ari0921 · 10 months ago
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和五年(2023)12月27日(水曜日)参
    通巻第8070号
 AIは喜怒哀楽を表現できない。人間の霊的な精神の営為を超えることはない
  文学の名作は豊かな情感と創造性の霊感がつくりだしたのだ
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 わずか五七五の十七文字で、すべてを印象的に表現できる芸術が俳句である。三十一文字に表すのが和歌である。文学の極地といってよい。
どんな新聞や雑誌にも俳句と和歌の欄があり、多くの読者を引きつけている。その魅力の源泉に、私たちはAI時代の創作のあり方を見いだせるのではないか。
 「荒海や佐渡によこたう天の川」、「夏草や強者どもが夢の跡」、「無残やな甲の下の蟋蟀」、「旅に病で夢は枯野をかけ巡る」。。。。。
 このような芭蕉の俳句を、AIは真似事は出来るだろうが、人の心を打つ名句をひねり出すとは考えにくい。和歌もそうだろう。
 『春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天香具山』(持統天皇)
 皇族から庶民に至るまで日本人は深い味わいが籠もる歌を詠んだ。歌の伝統はすでにスサノオの出雲八重垣にはじまり、ヤマトタケルの「まほろば」へとうたいつがれた。
 しかし人工知能(AI)の開発を米国と凌ぎを削る中国で、ついにAIが書いたSF小説が文学賞を受賞した。衝撃に近いニュースである。
 生成AIで対話を繰り返し、たったの3時間で作品が完成したと『武漢晩報』(12月26日)が報じた。この作品は『機憶(機械の記憶)の地』と題され、実験の失敗で家族の記憶を失った神経工学の専門家が、AIとともに仮想空間「メタバース」を旅して自らの記憶を取り戻そうとする短編。作者は清華大でAIを研究する沈陽教授である。生成AIと66回の対話を重ね、沈教授はこの作品を「江蘇省青年SF作品大賞」に応募した。AIが生成した作品であることを予め知らされていたのは選考委員6人のうち1人だけで、委員3人がこの作品を推薦し
「2等賞」受賞となったとか。
 きっと近年中に芥川賞、直木賞、谷崎賞、川端賞のほかに文学界新人賞、群像賞など新人が応募できる文学賞は中止することになるのでは? 考えようによっては、それは恐るべき時代ではないのか。
 文学の名作は最初の一行が作家の精神の凝縮として呻吟から産まれるのである。
 紫式部『源氏物語』の有名な書き出しはこうである。
「いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり」
 ライバルは清少納言だった。「春は曙、やうやう白く成り行く山際��こし明かりて、紫立ちたる雲の細くたなびきたる」(清少納言『『枕草子』』
 「かくありし時すぎて、世の中にいとものはかなく、とにもかくにもつかで、世に経るひとありけり」(道綱母『蜻蛉日記』)
 額田女王の和歌の代表作とされるのは、愛媛の港で白村江へ向かおうとする船団の情景を齊明天王の心情に託して詠んだ。
「熟田津に 船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬ今は漕こぎ出いでな」(『万葉集』)。
 「昔、男初冠して、平城の京春日の郷に、しるよしして、狩りにいにけり。その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。」(『伊勢物語』)
 ▼中世の日本人はかくも情緒にみちていた
 「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶ泡沫(うたかた)はかつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」(『方丈記』)
 『平家物語』の書き出しは誰もが知っている。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。 奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。 猛き者も遂にはほろびぬ、 偏(ひとへ)に風の前の塵におなじ」。
 『太平記』の書き出しは「蒙(もう)竊(ひそ)かに古今の変化を探つて、安危の所由を察(み)るに、覆つて外(ほか)なきは天の徳なり」(『太平記』兵藤祐己校注、岩波文庫版)
「つれづれなるままに、日くらし硯にむかひて、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ」(『徒然草』)
 古代から平安時代まで日本の文学は無常観を基盤としている。
 江戸時代になると、文章が多彩に変わる。
 井原西鶴の『好色一代男』の書き出しは「「本朝遊女のはじまり、江州の朝妻、播州の室津より事起こりて、いま国々になりぬ」
 上田秋成の『雨月物語』の書き出しはこうだ。
「あふ坂の関守にゆるされてより、秋こし山の黄葉(もみぢ)見過しがたく、浜千鳥の跡ふみつくる鳴海がた、不尽(ふじ)の高嶺の煙、浮島がはら、清見が関、大磯小いその浦々」。
 近代文学は文体がかわって合理性を帯びてくる。
「木曽路はすべて山の中である」(島崎���村『夜明け前』)
「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜ぬかした事がある」(夏目漱石『坊っちゃん』)
「石炭をば早はや積み果てつ。中等室の卓つくゑのほとりはいと静にて、熾熱燈の光の晴れがましきも徒らなり。今宵は夜毎にこゝに集ひ来る骨牌カルタ仲間もホテルに宿りて、舟に残れるは余一人ひとりのみなれば」(森鴎外『舞姫』)。
 描写は絵画的になり実生活の情緒が溢れる。
「国境の長いトンネルをぬけると雪国だった」(川端康成『雪国』)
 谷崎潤一郎『細雪』の書き出しは写実的になる。
「『こいさん、頼むわ』。鏡の中で、廊下からうしろへ這入はいって来た妙子を見ると、自分で襟えりを塗りかけていた刷毛はけを渡して、其方は見ずに、眼の前に映っている長襦袢姿の、抜き衣紋の顔を他人の顔のように見据みすえながら、『雪子ちゃん下で何してる』と、幸子はきいた」。
 「或春の日暮れです。唐の都洛陽の西の門の下に、ばんやり空を仰いでいる、一人の若者がありました」(芥川龍之介『杜子春』)
 ▼戦後文学はかなり変質を遂げたが。。。
戦後文学はそれぞれが独自の文体を発揮し始めた。
 「朝、食堂でスウプをひとさじ吸って、お母様が『あ』と幽(かす)かな声をお挙げになった」(太宰治『斜陽』)
 「その頃も旅をしていた。ある国を出て、別の国に入り、そこの首府の学生町の安い旅館で寝たり起きたりして私はその日その日をすごしていた」(開高健『夏の闇』)
 「雪後庵は起伏の多い小石川の高台にあって、幸いに戦災を免れた」(三島由紀夫『宴のあと』)
和歌もかなりの変質を遂げた。
正統派の辞世は
「益荒男が 手挟む太刀の鞘鳴りに 幾とせ耐えて今日の初霜」(三島由紀夫)
「散るをいとふ 世にも人にも さきがけて 散るこそ花と 吹く小夜嵐」(同)
 サラダ記念日などのような前衛は例外としても、たとえば寺山修司の和歌は
「マッチ擦る つかのま海に霧ふかし 身捨つるほどの 祖国はありや。」
 わずか三十一文字のなかで総てが凝縮��れている。そこから想像が拡がっていく。
 こうした絶望、空虚、無常を表す人間の微細な感情は、喜怒哀楽のない機械が想像出来るとはとうてい考えられないのである。
AIは人間の霊感、霊的な精神の営みをこえることはない。
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kachoushi · 9 months ago
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各地句会報
花鳥誌 令和6年2月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年11月1日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
星の出るいつも見る山鳥渡る 世詩明 人の世や女に生まれて木の葉髪 同 九頭竜の風のひらめき秋桜 ただし 太陽をのせて冬木の眠りけり 同 生死また十一月の風の音 同 朝湯して菊の香に上ぐ正信偈 清女 懸崖の赤き菊花の流れ落つ 誠
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月2日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
秋空の深き水色限りなし 喜代子 故里は豊作とやら草紅葉 由季子 菊花展我等夫婦は無口なり 同 しぐれ来る老舗ののれん擦り切れて 都 狛犬の阿吽語らず冬に入る 同 謎々のすつきり解けた小春の日 同 杣山の織火となりぬ紅葉山 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月4日 零の会 坊城俊樹選 特選句
綿虫と彼女が指せばそれらしく 瑠璃 梵鐘のはらわたに闇暮の秋 緋路 逝く秋をくづれゝば積み古書店主 順子 綿虫や浄土の風が抜けるとき はるか 太き棘許してをりぬ秋薔薇 和子 弥陀仏の慈顔半眼草の花 昌文 綿虫のうすむらさきや九品仏 小鳥 参道で拾ふ木の��を投げ捨てる 久 綿虫は仏の日溜りにいつも 順子 香煙はとほく菩提樹の実は土に 小鳥
岡田順子選 特選句
腰かける丸太と秋を惜しみけり 光子 九品の印契結ぶや冬近し 眞理子 古に大根洗ひし九品仏 風頭 綿虫や浄土の風が抜けるとき はるか 奪衣婆の知る猿酒の在り処 光子 神無月ならば阿弥陀も金ぴかに 俊樹 蚤の市に売る秋風と鳥籠と 和子 下品仏とて金秋の色溢れ 俊樹 綿虫と彼女が指せばそれらしく 瑠璃 梵鐘のはらわたに闇暮の秋 緋路
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月4日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
ありきたりの秋思の襞を畳みをり かおり 秋日入む落剝しるき四郎像 たかし 返り花ままよと棄つる文の束 美穂 凩や客のまばらな湖西線 久美子 凩のやうな漢とすれ違ふ 睦子 小鳥来る小さなことには目をつむり 光子 流れ星キトラの星は朽ちてゆき 修二 凩に雲や斜めにほどかれて かおり 人肌を知らぬ男のぬくめ酒 たかし 老人が老人負うて秋の暮 朝子 冬の日や吾が影長く汝に触れて 同 身に入むや妣の財布の一セント 久美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月10日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
秋思消ゆ「亀山蠟燭」点せば 悦子 この町へ一途に滾り冬夕焼 都 新蕎麦を打つ店主にも代替はり 佐代子 添ふ風に方位はあらず狂ひ花 悦子 HCU記号音満つ夜の長し 宇太郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月11日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
トランペット響く多摩川冬に入る 美枝子 竹林の風音乾き神の留守 秋尚 公園の隣りに棲みて落葉掃く 亜栄子 句碑の辺の風弄ぶ式部の実 同 新のりの茶漬に香る酒の締め 同 歩を伸ばす小春日和や夫の癒え 百合子 朔風や見下ろす街の鈍色に 秋尚 ぽつぽつと咲き茶の花の垣低き 同 リハビリの靴新調し落葉ふむ 多美女 濡れそぼつ桜落葉の華やぎぬ 文英 露凝りて句碑に雫の朝かな 幸風 大寺の庭きりもなや木の葉散る 美枝子 山寺の風の落葉を坐して聞き 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月13日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
風除の日だまりちよっと立ち話 和魚 風除の分厚き樹林影高き 秋尚 揚げと煮し切り干やさし里の味 あき子 薄日さす暗闇坂に帰り花 史空 渦状の切干甘き桜島 貴薫 切干や日の甘さ溜め縮みたる 三無 風除けをせねばと今日も一日過ぎ 怜 切干や少し甘めに味継がれ���秋尚
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月13日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
確かむる一点一画秋灯下 昭子 幽玄な美女の小面紅葉映ゆ 時江 釣り糸の浮きは沈みし日向ぼこ 三四郎 六地蔵一体づつにある秋思 英美子 赤い靴なかに団栗二つ三つ 三四郎 着飾りて姉妹三人千歳飴 ただし 正装で背中に眠る七五三 みす枝 雪吊の神の恐れぬ高さまで 世詩明 七五三五人姉妹の薄化粧 ただし トランペット音を休めば息白し 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月14日 萩花鳥会
夜鴨鳴く門川住居六十年 祐子 捨てられて案山子初めて天を知る 健雄 ゴルフ玉直ぐも曲るも秋日向 俊文 山茶花や現役もまた楽しかり ゆかり 舟一艘ただぼんやりと霧の中 恒雄 献茶式津和野城下や朝時雨 美惠子
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令和5年11月14日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
秋の暮百均で買ふ髪飾 令子 虫食ひの跡そのままに紅葉かな 紀子 背の丸き鏡の我やうそ寒し 同 小春日や杖つく母を見んとする 令子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月15日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
小春日や日々好日と思ひたり 世詩明 禅林を通り来る風秋深し 啓子 何事も無き一日や神の旅 同 炉開きの一花一輪定位置に 泰俊 一本の池に煌めく櫨紅葉 同 三猿を掲ぐ日光冬日濃し 同 立冬こそ自己を晒せと橋の上 数幸 小六月笏谷石は饒舌に 同 如何にせん蟷螂は枯れ僧恙 雪 猫じやらしもて驚かしてみたき人 同 一匹の枯蟷螂に法の庭 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月17日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
小鳥来る赤き実に又白き実に 雪 幽霊の出るトンネルを抜け花野 同 おばあちやん子で育ちしと生身魂 同 見に入みぬ八卦見くれし一瞥に やす香 時雨るるやのつぺらぼうの石仏 同 近松忌逝きし句友の幾人ぞ 同 季は移り美しき言葉白秋忌 一涓 菅公の一首の如く山紅葉 同 落葉踏み歩幅小さくなる二人 同 冬ざれや真紅の句帳持ちて立つ 昭子 今日の朝寒む寒む小僧来たりけり やすえ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月17日 さきたま花鳥句会
からつぽの空に熟柿は朱を灯し 月惑 白壁の色変へてゆく初時雨 八草 六切の白菜余すひとり鍋 裕章 一切の雲を掃き出し冬立ちぬ 紀花 小春日や草履寄せある躙口 孝江 柿を剥く母似の叔母のうしろ影 ふゆ子 いわし雲よせ来る波の鹿島灘 ふじ穂 鵙たける庵に細き煙たつ 康子 雲切れて稜線きりり冬日和 恵美子 水鳥の羽音に湖の明けにけり 良江
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令和5年11月18日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
紫のさしも衰へ実紫 雪 蟷螂の静かに枯るる法の庭 同 二人居て又一人言時雨の夜 清女 母と子の唄の聞こゆる柚子湯かな みす枝 還りゆく地をねんごろに冬耕す 真栄 帰省子を見送る兄は窓叩く 世詩明 人に無く芒にありし帰り花 同 香水の口よりとどめさす言葉 かづを 時雨をり故山の景を暗めつつ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月19日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
浮寝鳥日陰に夢の深からむ 久子 呪術にも使へさうなる冬木かな 久 無敵なる尻振り進む鴨の陣 軽象 冬日和弥生も今も児ら走る 同 冬蝶の古代植物へと消えぬ 慶月 谿の日を薄く集める花八手 斉 冬天へ白樫動かざる晴れ間 慶月 青空へ枝先細き大枯木 秋尚 旋回す鳶の瞳に冬の海 久 冬の蜂おのが影這ふばかりなり 千種 水かげろうふ木陰に遊ぶ小春かな 斉
栗林圭魚選 特選句
竹藪の一画伐られ烏瓜 千種 遠富士をくっきり嵌めて冬の晴 秋尚 白樫の落葉急かせる風のこゑ 幸風 切り株に鋸の香遺る冬日和 久子 四阿にそそぐ光りや枯れ芙蓉 幸風 白樫の木洩れ日吸ひて石蕗咲けり 三無 小春の日熊鈴つけしリュック負ひ 同 青空へ枝先細き大枯木 秋尚 寒禽の忙しく鳴ける雑木林 貴薫 草の葉を休み休みの冬の蝶 秋尚 逞しく子等のサッカー石蕗咲けり 亜栄子 甘やかな香放ち桂紅葉散る 貴薫 あづまやの天井揺らぐ池の秋 れい
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月26日 月例会 坊城俊樹選 特選句
薄き日を余さず纏ふ花八手 昌文 耳たぶに冬の真珠のあたたかく 和子 黒松の肌の亀甲冬ざるる 要 雪吊をおくるみとして老松は 緋路 冬空を縫ふジェットコースターの弧 月惑 ペチカ燃ゆフランス人形ほほそめる て津子 上手に嘘つかれてしまふ裘 政江 嘘つつむやうに小さく手に咳を 和子 手袋に言葉のかたち作りけり 順子
岡田順子選 特選句
池一枚裁ち切つてゆく鴨の水尾 緋路 黒松の肌の亀甲冬ざるる 要 自惚の冬の紅葉は水境へ 光子 玄冬の塒を巻きぬジェットコースター 同 光圀の松は過保護に菰巻きぬ 同 ペチカ燃ゆフランス人形ほほそめる て津子 雪吊を一の松より仕上げをり 佑天 不老水涸れをり茶屋に売る団子 要 遊園地もの食ふ匂ひある時雨 俊樹
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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hisa-gsr250 · 2 years ago
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昨日は朝仕事してフラフラツーリング 於茂登岳の島したにある石垣島唯一無二の トンネル〜沖縄県で2番目に 長いトンネル〜1174メートル いいなし 覚えてね🤣 #石垣島 #石垣市 #トンネル #沖縄県 #石垣島トンネル #���茂登トンネル #シーサー #石垣アイランド #ishigaki #ishigakiIsland #八重山 #バイク男子 #バイクのある風景 #バイクのある生活 #バイクのある日 #バイクのある景色 #バイクのある人生 #鈴菌 #鈴菌感染者 #gsr #gsr250 (Ishigaki, Okinawa) https://www.instagram.com/p/Cg8MJippDl9/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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tosshi-san · 6 years ago
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石垣市の桴海という場所にある 茶房 うふた。 桴海って読めますか? ふかい と読むそうです。 地名は難しいですのね。 こちらは市街地から見たら於茂登岳の向こう側の海岸線79号線沿いにありますので車でないと行けません。 於茂登トンネルを渡ってすぐですね! 三枚肉そば 中 ¥950。 三枚肉は文句なしにうまいです。 本当です!食べてみてください。 お値段はややお高めですねぇ。 ここだけ、東京値段になっとる、、、、。 場所柄、観光客くらいしか来ないのではないでしょうか? ドライブがてら、ふらっと寄るのも良いですよ。安くはないけど、この角煮は沖縄でもトップクラスの美味しさでした。 これと泡盛の組み合わせは最高でしょうね。 車なのでその願いは叶いませんけど。 このお店は八重山そばでも、スープは茶色だし、茹で玉子も入っておるし、オリジナルの八重山そばでした。 #YAEYAMA #ISHIGAKI #OKINAWA #soba #RAMEN #石垣島 #石垣市桴海 #桴海 #ふかい って読めません #うふた #茶房うふた #豚の角煮 #三枚肉 #絶品でした #値段は高い #観光客向け #八重山そば #宮古そば #沖縄そば #八重山諸島 #八重山 #沖縄 (八重山そば処 茶房 うふた) https://www.instagram.com/p/Bs4JqmrAewP/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=1facvttjzg8bk
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trashthedresswedding · 3 years ago
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沖縄・瀬底島のグリーンのトンネルで。
鮮やかな緑が美しいグリーンフォトです(^^♪
\沖縄本島・石垣島・宮古島の撮影プランご用意しています/
📢お問い合わせは沖縄ウェディングオンラインのホームページからお待ちしています。
https://okinawa-wedding.online/
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notenoughtoplay · 4 years ago
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a letter of sorts vol. 16 あらゆる面で吠えつづける星たち(未完の詩)
(2021年3月24日、以下の文に記したバンドの最初のドラマーが亡くなったことを日本時間同月25日の朝SNSで知りました。心よりご冥福をお祈り申し上げます)
花をたっとぶにはたっとい花のたとえばなしから。    たっとい花を  そのたっとい花の名を  おぼえていよう  おぼえていなければいけない    その花を  そのたっとい花を  知らない人がいるなら  伝えなければいけない  たっとい花の名を伝え  たっとい花について伝えなければ    思い出してから  その日も次の日も  たっとい花のバンドの名を  SNSで検索してみる  毎日投稿は増えていく    誰かしら 世界のどこかで  たっとい花のはなしをしている  たっとい花のうたう歌が好きで  たっとい花のタップする足を思い出しながら聴く  たっとい花のうたう言葉が大好きだったのに    しばらく  それもずいぶんと長くしばらく  たっとい花のことを忘れていた    話題になった小説を読み終えて  ふとたっとい花のことを思い出した  たっとい花をたどって  トンネルの先の光に向かっていく
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 その人は唄った。  石鹸とスープと救いの歌を高らかに。  ひとつの才能はみんなへの贈り物とも。  運命は不親切で  ドアを閉めたカギは置いていかないとも。    表紙の厚いマルマンのノートに、  その人の歌を記してた。  「こんな気持ちが罪なら私は有罪になる」。  ノートはどっかにいっちゃったけど、  筆圧だけは残ってる。    そのレコードから36年。  その人は唄ってる。  偶々(ということにしておいてくれ)、  その人のことを、  その人の歌を思い出すことがあった。  偶々さがしてた歌の横にあった。  そしてそのまま、  さがしはじめた。  動画サイトにはデビュー前の録音もあって、  バンドの頃もソロになってからも、  38年分の歌声を聴けた。  思ったよりずっと、  簡単に聴けた。  その人のsinging、その人のsoul、その人のsaintliness。  いや、それは大げさだな。  では言いなおして、  その人のsinging、その人のsoul、あとその人のChristianity。  これは知っていた、多少なりとも知っていた。  昔は見る機会が少なくてわからなかったことを、  いまになっていくつも知ることができた。  その人のstep、その人のspoken words、  と、  昔は好きになれなかった、その人の (the hit) single。  気づいてから何度も聴いている。  長かったことに気づいてから。  そして、  長く忘れていたことを悔いあらためながら。  長かった分の反動だろうか、  その人のstageを見る。  次の日もその人のstageを見る。  次の日もその人のstageを聴く。  次の日もその人のstageをさがすために  こちらはstareしつづける。  それはその人の目ヂカラに負けたくないとか、  そんなつもりではない。
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 ポスターとかさがせばあったのかもしれないけど  買って壁に貼ってた記憶もない  発売日にレコードを買いに行ったのも  ソロになるまでなかったはずだ  ロッキンオンに載ってたピンナップは  切って持ってた記憶もあるけど  ケースに入れて下敷きにしてたとか  そんな記憶もない  (そもそもあの頃、もう下敷き使ってなかった気もするな)  FMステーションについてたカセットサイズの写真を  ケースの表に入れてたのは  最初は貸しレコード屋で借りてきたという  事象の現れでもあるわけで  僕はまぁそのくらいのファンでしかない  ほかのたくさんの大好きだったアーティストと  その人との違いは  その人のレコードには歌詞の訳がなくて  ノートを作らざるを得なかった  そんなノートを作らせたのも  雑誌が出て半年たってから  あの25文字に気づいたからだった。  誰があの25字を書いたんだろう。    ほかのたくさんの大好きだったアーティストと  その人との違いは  詞のノートを記した  それだけのことだ。    その人には失礼かもしれないけど  その人がバンドをギリシャ悲劇の幕間のサテュロスに譬えようが  母親との折り合いがいかに悪かろうが  厳密には自分はレズビアンで、とつぶやこうが  わりと僕にはどうでもよくて  (僕に人の感情も嗜好も厳密になど区切れないってことを教えてくれたのはあなたの詩と歌じゃないのってことくらいは思うけど)  その人が歌をとどけてくれれば  その人がstageで唄ってくれれば、  それでいい。  まぁ、そのくらいの水準のファン。    動画サイトにはコメントをつける人がいるから、今もって  その人が愛されていることも  その人の歌を渇望する人がいることも  その人が悲しみを詩に昇華して  それを讃える人がいることも見える  そんな言葉を目にできる今は昔よりちょっといい時代かもしれない  でも35年は長い  ちょっと思い返すとつらいことがあって  この前その人が来日したときのライヴをみていないのだ  その頃もうTwitterははじめてたけど  観られなかったとかつぶやいてもない  あの時、たしか電車の中吊り広告  会場のライヴハウスの広告で知った  行けなかった理由など思い起こしてもみつからない  その時自分が失業してて  行くお金がなかったんだだけの話  だから忘れたかったんだ  少なくともその時は  だからその人のライヴには  いまだに27年前の晩冬の一度しか行ったことがない  あの頃はネットもなかったから  どの曲を演るかなんて調べようもなかった  だからあの時  演るわけないと思ってたバンド時代のテーマ曲を演ってくれて  うれしかった  出だしのコールに  僕も客席からレスポンスでこたえた  あそこで叫べるのはうれしかった  けど27年経つと感触もちょっとおぼえてなくて  その頃のライヴを聴きながら  ぼやけた画で心象返しを試みる    その人は生まれた「大陸」国より  「島国」で人気が高い人  「島国」とその近辺の大陸での大ヒット曲も  生まれた「大陸」国でヒットしていない  どうやら「島国」周辺の多数の人に  その人はナツメロの一発屋歌手と  いまだに思われてるらしい  でもその人は「大陸」の西端の  イイトコの出のひとなんだ  だからバンドのテーマ曲は  「エデンの東」だったのである  その人がなまじ歌がうまいもんで  みんな「歌手」だと思っちゃう  世の大勢は「シンガーソングライター」って  もっと歌がヘタでボソボソ唄うと思っちゃう    その人は世の中におけるふたつの術語  「歌手」と「シンガーソングライター」への  思い込みを可視化してくれる人  時に低く時に気まぐれに高い両者の垣根を  ときおりかるがる越える人    動画サイトで音だけ入った  その人の素晴らしいライヴを聴いた  そこに誰かがコメントつけてて  僕の気持ちをそのまま言ってた    「彼女がそこにいて、足で床をたたいて脚を揺らしてギターひっかきならす時。もうただほかにこんな人はいないよ!このライヴにはそこが全部入ってる!」    このコメントが好きな点は  「足」の話からはじまる点で  なにしろその人がバンドにいたときは  ライヴは観られなかったのだから  やむなく同じひとつのライヴをヴィデオでくりかえし観てたから  だいたいわかってはいたんだけど  言われりゃあの左足と右脚を  やはり思い出してしまうワケで    その人が厚底靴の左足で  床を(どんっどんって)たたいて  右足だけで踏ん張っているのに  しだいに脚だけが動き出すとき  ああ、やっぱりこの人はリズムギターを弾いてうたう人なんだなって  そのうたう姿をみながらこちらもひっそりと思うワケで    もう30年以上前だけど  その人がソロになってまもない頃  なんでそんな痩せてないといけなかったんだと思う頃だけど  深夜のジャズ番組に  それこそダロウェイ夫人ばりのパーティドレスで  ヴァン・ダイク・パークスと共演して  リトル・フィートのあの靴の歌をうたうとき  あのとき画面の下のほうに  わずかに足がうつってて、なんか  「クラリッサはそのとき、なにか居てもたってもいられないものを感じた」みたいな  歌に入る時に床をどんっとたたいたあの画が忘れられない  なにを唄ってもうまいんでよけいに忘れられない    そこから28年ほどたって  その人がセント・パトリック・デーに  「島国」の教会の前でうたう動画をみた  「最近この曲うたってないん��、  だってロックンロールじゃないもん」って言ってから  そのときから27年前の大ヒット曲を  ひとりギターを弾いてうたった  27年前とかわらない  というか27年前よりうまいんじゃないか  なんて思ったとき  その人の左足がどんっ、どんっ、どんっって  床をたたくのを見たときに  手前勝手に泣いてしまった  ほんとうに手前勝手に泣いてしまった    陸から陸へ  父から子へ  土でも砂でも  過ぎ去っていく    その人が36年前にうたった歌を  これも手前勝手に思い出す    誰があの25字を書いたんだろう。
 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
 これは長篇詩になっていく 35年分の詩になっていく 35年をぶつけるのに200行を越えちゃったけどぶつけるだけでは誰も読んでくれないので詩のかたちにしているだけ  この長篇詩はまだ続くけど 未完の経過をあげておく 終わりかただけは決まっているので 終わりもつけてあげておく その人のうたう姿が大好きだ その人の歌が大好きだ
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groyanderson · 4 years ago
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ひとみに映る影シーズン2 第四話「ザトウムシはどこへ行く」
 ☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 最低限の確認作業しかしていないため、  誤字脱字誤植誤用等々あしからずご了承下さい。 尚、正式書籍版はシーズン2終了時にリリース予定です。 (シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!! pixiv版 (※内容は一緒です。) ☆キャラソン企画第四弾 牛久舎登「かっぱさん体操」はこちら!☆
དང་པོ་  洗面所で顔を洗い、宴会場に戻る。時計は丁度六時をまわった所だ。ふと、窓の外から懐かしい歌が聞こえてきた。 『かっぱさん体操第一ィィィ!』『プッペケプッぺップー』 「うー。何だよぉこんな朝っぱらからぁー!」 「ふわあぁ~」 「ああ、かっぱさん体操の時間……」  朝っぱらから近所迷惑な体操音楽によって、佳奈さん、万狸ちゃん、玲蘭ちゃんが同時に布団から出てきた。玲蘭ちゃんと私はカーテンを開け、大音量で音楽を流しながら体操する河童の家教団を眺める。 「牛久の河童はかっぱっぱーのパァー」 「お皿を磨いてツーヤツヤーのツャー」 「「みんなで腹からワッハッハーのハァー、笑顔に勝るー力なし」」 「は? 二人なんで歌えるの?」  歌詞を暗記している私達を、佳奈さんが訝しんだ。 「佳奈さんの地元にはいませんでしたか? 河童信者」 「ぜぇんぜん」 「���関東から東北あるあるなんじゃない? 私も会津にいた時はほぼ毎朝だったのに、沖縄(うちなー)では一度も聞いた事なかった」  影電話で万狸ちゃんにも聞いてみる。 <木更津はどう?> 「一度だけ布教に来た事はあったね……あの体操で大狸様を怒らせちゃって、追い出されてた」 <あはははは>  河童の家、案外ローカルネタなのかな。 「じゃあ、どの学年にも一人はいる子河童も知らないですか? 佳奈さん地元は京都でしたっけ」 「ううん、両親両方京都だけど東京生まれ東京育ち……そもそも子河童って何?」 「そこからですか」  茨城県に本拠地を置く新興宗教、河童の家。元お笑い芸人の牛久舎登が発足し、『笑顔に勝る力なし』を教義とする。そのため宗教活動では一発芸や話術を磨く修行をし、信者は男も女も子供も、皆河童のように頭頂部を剃り上げる。この教団が近所にあると毎朝『かっぱさん体操』という体操曲が爆音でかかり、また近隣の学校には通称『子河童』と呼ばれるお調子者な学生が何人か生息する。そして彼らは将来、教団が運営する芸能事務所『かわながれ興業』に所属するんだ。でも人を笑わせる、そして人から笑われる事も最上の幸福であるという教えを拡大解釈した信者が、パワハラやいじめ、体罰を起こして時折問題になっている。 「私が知っている河童の家についての情報は、こんなところですかね」 「へぇ……やけに芸能界に影響力がある宗教だと思ってたけど、そんなだったんだね」 「ああ、東北も多いけど、大阪には芸人養成学校があるから日本一信者が多いんだって」  玲蘭ちゃんがスマホで調べてくれた。  その時、トントン、と襖がノックされる。 「おはよぉございます……。お嬢さん方。河童さんが体操終えて食堂混む前に、朝食行きませんか?」  タナカDだ。 「そうしよっか」  カメラが回るだろうから、私達は各々最低限顔を描く。眉毛面倒だから影で作っちゃった。後で朝風呂に入ってからちゃんと直そう。 གཉིས་པ་  食堂に行くと、奥の席で既にタナカDが朝食を一品ずつ物撮(ぶつど)りしていた。テーブルには全員分のネームプレートと朝食が配膳されている。 「ぅあ~~~~~~~~……」  席につくなり、佳奈さんからアイドルが一番出しちゃいけないような声が漏れた。 「どうしたんですか佳奈さん、まるで深夜バスにでも乗ってたみたいな顔して」 「似たようなもんだよ……ずっとすごい雷鳴ってたじゃん。しかもなんか救急車の音とかしなかった? それで朝はかっぱさん体操。ほぼ一睡もできなかった」 「救急車、ですか」 「はぁ……一美ちゃんは本当にどこでも眠れるよね……昨晩大雨だった事も知らなかったでしょ」 「うーん……」  本当の事を言うと、眠るどころじゃなかったんだけど。それを説明する事もできないからもどかしい。 「雷雨ぐらい気付いてました。私も全然休んだ気がしないです」 「でも寝てただけいいじゃん」 「嫌な夢を見てたんですよ。私は地元のお寺の尼僧になってて、お御堂のバルコニーが浸水して和尚様が馬頭観音になってすっごい怒ってる夢」  この内容は嘘ではない。そういう夢を見たのは事実だ。 「ば、罵倒観音? なにそれカオス……それはうなされるわ」 「おう何だ何だ、お二人共だらしないですなぁ!」  タナカDが物撮りを終えて席につく。彼は朝から声が大きい。 「まあ冷めないうちに食べようじゃありませんか。『じゅんなぎ』もありますよ」 「へえ、じゅんなぎですか」  手元のネームプレートを裏返すと、朝食メニューが書かれていた。 『朝食 おこんだて イシガキダイのちらし寿司 小松菜とかぼちゃのお味噌汁 わかめの辛子味噌和え じゅんなぎ』  おお、朝からなかなか豪華だ。ちらし寿司は大きな鯛のお刺身がどっさり乗っていて海鮮丼のよう。お味噌汁のかぼちゃもほうとうを彷彿とさせる大きなスライスで食べ応えがある。わかめは勿論新鮮な生わかめ。そして、千里が島で一度は食べてみたかったじゅんなぎ! 「皆さん、これはですね。『蓴菜(じゅんさい)で鰻繋ぐ』、つまり『ヌルヌルした野菜でヌルヌルした鰻を捕まえるような行いは無謀である』という諺が由来の、千里が島の郷土料理なんです。蓴菜と冷製の鰻を湯葉で巻いてあるから、『不可能を可能にした縁起物』、すなわち霊力が上がるパワーフードなんですよ!」 「おぉいおいおい、紅さん。台本もないのに詳しいですなあ! ま、僕はじゅんなぎが無くても今日は無敵ですがねぇ……フフン」 「どうしてですか?」 「いやね? お二人が眠れない夜を過ごしていた間に恐縮ですけど。昨夜、狸おじさんのおかげですごぉく縁起の良さそうな夢を見ましてですねぇ!」 「へ?」  何の事ですか? と言いたげな表情で、隣のテーブルの斉一さんがこちらを見る。 「夢に人語を話す化け狸が出てきて、僕にお酌してくれるんですよぉ。なんかご利益ありそうでしょぉ。しかもただの化け狸じゃない、ドレッドヘアのちょいワル狸ですよ!」 「ぶっ!! げほ、げほ!」  斉一さんが辛子味噌和えをむせた。ていうか、その狸、完全に斉二さんの事じゃないか。 「い、いや、わざとじゃないんだよ!? なーんか俺もタナカさんと晩酌する夢を見た気がしてたんだけど、本当わざとじゃないのマジで!!��  当の本人は必死に否定している。要するに寝ぼけてタナカDに取り憑いたまま寝ていたという事らしい。どうりで今朝あんな事があったのに、斉一さんしか迎えに来なかったわけだ……! 「狸おじさん、風水的にはどうなんですか? ラスタな狸って縁起いいんですかね??」 「ん゙っ、ん゙んっ……き、聞いた事ないですね……あれかな! 昨晩私が張った結界が効いている証拠とか! はい、ぽ、ぽんぽこぽーん……ふっくくく……ぽっ、ぽこ……」  斉一さん、完全にツボに入ってしまったようだ。佳奈さんも釣られて肩を揺らしだした。 「ちょっふっふっふ……タナカDが能天気すぎるだけだよそれ! てか狸おじさん困ってるし……なにラスタな狸って!?」 「部屋にラスタな狸がいたら報告した方がいいですか?」 「あっはっはっはっ��!!」  何故か玲蘭ちゃんまで佳奈さんに調子を合わせる。じゃあ私も。 「玲蘭ちゃん、ラスタな狸はタナカさんに譲るんで、可愛い女の子狸は私が貰っていい?」 「それなら昨夜ずっと一美の隣で寝てたよ」 「きゃー! アハハハ」  皆で和気あいあいと食事していたら、いつの間にかじゅんなぎを無意識に食べてしまっていた。けどなんか、別にもういいかな……という気分だった。 གསུམ་པ་  食後。手短に朝風呂に入り、軽く荷物をまとめてホテルを発つ。今日はまず主要な観光スポットを幾つか巡って、図書館で資料を見ながら埋蔵金の場所を推理する段取りだ。ロビーを出ると、青木さんが待ってくれていた。 「おはようございます。昨晩は凄い雨けど、ご快眠を?」 「全然だよー。そこの三角眉毛は別だけど」 「おう誰がデブで三角眉毛だとぉ? この極悪ロリータ」 「佳奈さんデブとは言ってないじゃないですか。いいから行きますよ、お二人共。青木さん困ってるでしょ」  手元で地図を見ながら、一行はまず徳川徳松こと御戌神(おいぬのかみ)が祀られる、御戌神社へ。ホテルから海沿いのなだらかな丘を五分ほど登ると、右手に見えたのは『石見沼(いしみぬま)』だ。青木さんが解説をしてくれる。 「中央に大きな岩をご覧で? あれに水切りで石当てるのに成功すると、嫌いな相手が怪我を」 「初っ端から物騒な観光スポットですね!?」  驚く私の背後で、カメラを抱えたタナカDがガハガハと笑った。 「これぐらいで驚いてちゃあ後が持ちませんよぉ紅さん! なにせ千里が島は縁切りのテーマパークですからなぁ。この後はもっともっと物騒な所をお見舞いしていきますよぉ」 「タナカさん、あなた本当にこの島を応援したいんですか? それとも視聴者をドン引きさせたいんですか?」 「ナハハハ、だぶか放送後は調布飛行場に行列が出来ているかもしれませんよ? 『あの紅一美がチビった恐怖の心霊島』と……」 「青木さん、石! 丸い石ください、水切りしやすそうなやつ!!」 「あややや、喧嘩はやめて下さいだぁあ!」  と、こんな所で尺を取っても始末に負えないから、小競り合いを演じたらさっさと移動する事に。暫く進み、御戌神社の鳥居が見えてきた。 「ウゲ……」  それを見た途端、私は絶句。それは鳥居と呼ぶには余りにも不気味な色に見えた。まるで糖尿病で壊疽を起こした脚みたいな……いや、この異常には心当たりがある。 「佳奈さん、この鳥居なんか変じゃないですか?」 「え、普通じゃない?」  思った通り、佳奈さんは平然としている。これは倶利伽羅龍王を討伐した時、地元の神様から聞いた現象だ。倶利伽羅を生み出した邪教、金剛有明団にまつわる物は、信仰心に準じて見た目が変わって見えるらしい。例えば倶利伽羅も金剛信者には美術品のように美しい龍に見え、金剛に恨みがある私には汚物にしか見えない。今回もそれと同じ……つまりこの神社は散減同様、金剛にまつわる領域なんだろう。我慢して入るしかなさそうだ。བཞི་པ་ まずは普通の神社と同様、手を清める。案の定手洗い場も気持ち悪く見えて、正直とてもじゃないけどここの水に触れたくない。ていうか臭い。牛乳を拭いた雑巾みたいな臭いがする。とりあえず口はつけず指先をちょっとだけすすいだけど、後で境外で肌荒れするまで手を洗いたい!  詳しく境内を見る前に、賽銭箱に小銭を入れて手を合わせる。金剛とこれ以上因縁が続いては困るから、小銭がない振りをして五円玉をタナカDからタカった。神様に手を合わせている間は金剛への嫌悪感を読み取られないように、無我を貫いた。  参拝が終わったら、境内を進み御戌神が眠る『御戌塚(おいぬづか)』へ。境内はそこそこ広い割に、随分と殺風景だ。まず社務所がない。青木さんいわく、神社境内に職員が常駐すると現世との縁が切れてしまうからだそうだ。そして狛犬もいない。御戌様が御神体だからだという。  奥へ進んでいる途中、私はふと左手に一際強烈な禍々しさを感じた。見ると竹やぶに覆い隠されるように、傘立てみたいな簡素な祠が建っていた。厳重にしめ縄が巻かれ、星型の中央に一本線を引いたような記号の霊符が貼ってある。 「青木さん、あれは何ですか?」 「大散減(おおちるべり)というオバケを封じた祠ですだ。あまり直視したら良くないかも……ああっタナカさん、撮影など!」 「ダメかい? そんなに恐ろしいオバケなの、そのオオチルベリってやつは」 「モチのロンだから! 体が五十尺もある、八本足にそれぞれ顔がついてて、そのうち本物の顔を見つけて潰さないと死なない怪物で! しかも人間の肋骨食べて、一本足のミニ散減を生み出すとか。だからともかく、大散減は撮っちゃダメですだぁ!」 「一尺って何メートルでしたっけ、なんだか想像つかないですなぁ~」  タナカDは渋々とカメラを逸らした。人間の肋骨から新たな散減を生み出す……昨晩、おばさまの肋骨から散減が生まれた瞬間を私は見た。それに、倶利伽羅龍王も……。  そして私達は御戌塚に到着。平将門公の首塚みたいなお墓っぽい形状の石碑を予想していたら、実際は犬の石像だった。徳松さんご本人は不在のようだ。恐らく既に成仏されたか、どこか別の場所にいるんだろう。 「あれ? 一美ちゃん、これ犬じゃなくない? タテガミがあるよ」 「これはどちらかと言えば狛犬ですね。狛犬は獅子に似ているんです」 「あ。確かに、普通の神社の狛犬も、タテガミ生えてたかも! そういえば、徳川徳松は狛犬の魂を持ってたんだよね。じゃあお犬様の犬種って狛犬なのかな?」 「あはは、そうかもだ。それと、志多田さん。御戌様はわんこの『犬』でなくて、十二支の『戌』という字を」 「へー、どうして?」  青木さんによると、戌という漢字は滅ぶという字が元になっているそうだ。植物が枯れて新たな命に変わる様子を表しているんだ。早逝して祟り神になった徳松さんをよく表していると思う。 「御戌塚から伸びる道は、竹やぶで薄暗いのが『亡目坂(なきめざか)』、奥の見晴らしいい方が『足失坂(あしないざか)』で。いずれも嫌な奴を思い浮かべながら歩くと、それぞれ違ったご利益がとか。ちなみに足失坂を途中で右に下ると『口欠湿地(くちかけしっち)』が……」 「青木さん、今は特に切りたい縁はないんで大丈夫です!」  さすが御戌神社周辺は地名が物騒だ。昨晩斉三さんが言っていた、『気枯地』という言葉がしっくり来る。これ以上ここにいても千里が島のネガティブキャンペーンにしかならなさそうだから、私達は次の場所へ移動する事にした。ལྔ་པ་ 足失坂を下り、ザトウムシ記念碑がある『千里が島国立公園』へ。物騒な地名とは裏腹に本当に見晴らしが良い。閉塞的な御戌神社から出た瞬間、空がばっと広がったような感じだ。麓に見える口欠湿地も空の青を反射して美しく輝き、それをタナカDが嬉々としてカメラに収める。千里が島の縁切りや祟りといった暗い側面だけじゃなくて、こういった絶景も収録出来たのは本当に良かった。  国立公園は坂中腹からふもとまでの広い敷地を有する。地面は芝生とシロツメクサで覆われ、外周は桜並木に囲まれている。ただ、やはり気枯地だからか、桜はどれ一本として真っ直ぐ生えていなかった。  ザトウムシ記念碑は簡素な作りで、歌詞と小さなイラストだけ書かれた石碑だ。歌い継がれてきた民謡のため、作詞作曲者は不明らしい。また隣にはザトウムシの生態を説明するパネルもあった。 「ええと、『ぼくはクモに似てるけど、ダニの仲間なんだよ! 八本足に見えるけど、そのうち一本は杖なんだよ! 一人ぼっちよりも、みんなで集まるのが大好きだよ!』なるほど……ザトウムシがワサワサ密集してたらなんかちょっと嫌ですね」 「僕前に公園のベンチで、黒いタワシみたいな塊落ちてて……触ると大量のザトウムシがブワササーと」 「やだー! 青木君やめてよ~」 「わはははは!! それは最悪ですなぁ!」  公園を抜けて市街地へ降りていくと、月蔵(つきくら)小学校と併設する町民図書館が見えてきた。カメラに群がる小学生達に軽くファンサービスしながら、図書館へと急ぐ。私がお目当ての子はみんな「ドッキリ大成功! したたびでーす!!!」と絶叫しながら全力疾走で追いかけてくる。佳奈さんの影響だ。私も期待に応えて校庭をダッシュしたら、地面から急にスプリンクラーが出てきて水を撒き始めた! 「ぎゃー! また騙されたーっ!!」དྲུག་པ་ 何とか濡れずに済むも、息絶え絶えで図書館に入る。トイレを借り、やっと手を洗えた! と安堵して戻ると、皆は既に資料が並べられたテーブルを囲んでいた。太っているタナカDと大柄な青木さんは、小学生向けの低い椅子で収まりが悪そうにモゾモゾ蠢いている。私も着席するとカメラが回り、タナカDが進行を始める。 「実際に歩かれてみて、お二人何かお気付きになった事はありますか?」  気付いた事か。幾つかあったけど、金剛有明団や霊にまつわる情報は直接共有できない。少しぼやかして話そう。 「斉ぞ……ええと、狸おじさんから伺ったんですが、植物が曲がって生える土地は風水的に不吉らしいんです。それで今日気にして見ていたら、御戌神社がある坂の上に近づくほど木がねじれたりしてて、海沿いの石見地区や市街地である月蔵地区はそうでもないんです」 「御戌様が埋蔵金を守ってるからかな? じゃあ神社の近くが怪しいね!」  佳奈さんが消せる蛍光ペンでコピー地図を囲んだ。 「不吉な場所ですかぁ。だぶか神社から一番遠い南側、竹由……こりゃ『たけよし』で合ってるかい?」 「ですだ」 「竹由地区ね。この辺はまっすぐ生えてるんですかねぇ」  確かに地名に『よし』が入っていて、島の南側は縁起が良さそうではある。私達はまだ行っていない竹由地区の資料を見ると、小さなお寺が一つあるだけで後は住宅街のようだ。 「志多田さんはどうだい?」 「うーん、埋蔵金については何もなかったかなー。ところで青木君、この地図のここ、誤植じゃない?」 「え、誤植で?」  全員で地図を確認する。佳奈さんが指さしている箇所には、『新千里が島トンネル(旧食虫洞)』と書かれていた。昨日、私と青木さんが行ったコンビニの所だ。 「食虫……洞? 確かに変ですね。『虫食い洞』なら虫がトンネルを掘ったような感じで意味が通じ��けど、食虫洞じゃ洞窟が虫を食べちゃうみたい」 「でしょでしょ? それともウツボカズラがいっぱい生えてるのかな」 「いえ、『食虫洞(くむしどう)』が正解で。ウツボカズラは生えてねぇけど、暗いから虫を食うコウモリが住んでるかもだ」 「うーん、そういう問題なのかな……? まあ関係ないからいっか……」  佳奈さんは煮え切らない顔のまま、地図を机に置いた。タナカDが仕切り直す。 「じゃじゃじゃあ、まずは今まで埋蔵金探しに失敗した方々の仮説を見てみましょうよ! 青木君」 「はい、こちらを」  タナカDは青木さんが差し出した資料を私達側に向ける。インターネット上で日本各地の徳川埋蔵金に関する情報をまとめたサイト、『トレジャーまとめ』さんの記事コピーだ。これまでザトウムシの歌詞をもとに埋蔵金のありかを探索した人々のレポートらしい。上からざっと目を通す。 ・その一 ザトウムシは座頭、盲目の暗喩だ。歌詞の『ザトウムシ』という言葉の総文字数を歩数として、記念碑から亡目坂を登る。そして到着地点の地面を掘ってみた。  結果 何も出てこなかった。これを試みた探索者の一人が島を出た後(以降は修正液で消されている) ・その二 『水墨画の世界』は白黒、あの世を表している。竹由地区には名前に『虫』がつく虫肖寺(ちゅうしょうじ)があり、そこには墓地が隣接している。その墓地で、黄昏時に太陽が見える西側の井戸内を調べた。  結果 何も出てこなかった。これを試みた探索者全員が数日後、(以降は修正液で消されている) ・その三 ザトウムシが埋蔵金を表しているなら、食虫洞は金を蓄える隠し場所に違いない。歌詞の通り、黄昏時から逢魔が時にかけての時間、トンネルを調査した。  結果 翌々日、(以降は数行にわたり修正液で消されている。塗りこぼしから微かに『トンネルが永遠に続いて外に出られ』という一文が垣間見える) ・その四 『口欠』『足失』『亡目』など体の欠損にまつわる地名は心霊現象や祟りが多いという。その三箇所いずれかに宝があるとみて、調査した。  結果 それらの地点には共通して護符の貼られた祠があり、護符を剥がした探索者は肋(次の行以降は紙ごとハサミで裁断されている) 「「いや怖いわ!!」」  全部読み終わる前に佳奈さんと異口同音! 「ちょっと青木君、これ元は何て書いてあったの!?」 「すいません、あんまりにも酷いデマなどが。根も葉もねぇので僕が修正を!」 「本当にデマなんでしょうね!?」 「嘘こいてねぇです、本当に事実無根なので! 大体、コトが事実なら普通新聞に載るなど……」  事実なら新聞に載るほどの事が書いてあったのか。これは下手に島を引っ掻き回すと、またとんでもない事になりそうだ。 「まあまあまあ、お嬢さん方。要はあなた方がね、埋蔵金を見つけちゃえばいいんですよ」 「なに他人事みたいに言ってるんですか、この三角眉毛は。祟られる時は全員祟られるんですよ? わかっ���んですか?」 「そーだそーだ、デブちん三角眉毛!」 「おう遂にちゃんとデブって言ったな!? 今日の僕にはラスタな狸がついているんだ。一人でもしぶとく生き残ってやるぞぉ」 「一美ちゃん、ちょっと今夜御戌神社で丑の刻参りしよっか」 「了解しました。加賀繍さんのぬか床に五寸釘入ってるから分けてもらって……」  ん? 「佳奈さん、今の言葉もう一回いいですか?」 「え? だから、『御戌神社』で『丑の刻参り』」 「……それだ!」  ラッキー! 今の超下らないやり取りで、歌詞の謎が一つ解けたかもしれない! 「おぉ何だい、そんな聞き返すほど僕を呪いたいのか小心者」 「違いますよ。見て下さい、歌詞の一番と二番の冒頭……」  ザトウムシの一番、二番の歌い出しは、それぞれ『たそがれの空を』『おうまが時の門を』だ。 「いいですか? 昔の日本は十二時辰(じゅうにじしん)、つまり十二支で時間を測る単位を使っていました。その単位では、『逢魔が時』と『黄昏時』……つまり夕方から夜に変わる時間帯は、『酉の刻』と『戌の刻』になるんです」 「じゃあ歌詞に当てはめると、一番は『戌の刻の空を』、二番は『酉の刻の門を』に変換できるって事?」 「はい。ここで思い出しませんか? 御戌塚から伸びる二つの道」 「薄暗い亡目坂と、見晴らしがいい足失坂……あっ、『戌』から『空』が見えるのは足失坂だ!」 「そうです。しかも続きの歌詞が『ふらついた足取りで』、足って言ってるんですよ! 一方二番……酉の門といえば?」 「神社の『鳥居』! 坂からまた神社に戻っちゃってる!?」 「そうなんです!」  つまり、私の説はこうだ。この歌は埋蔵金のありかを一箇所漠然と示しているんじゃなくて、そこに至る道順のヒントが歌詞になっているんだ。御戌塚から始まり、足失坂を通って何らかのルートを経由。やがて神社に戻って、そこからまたどこかへ行く……こうして遠回りをする事自体が、埋蔵金を発見するために必要なのかもしれない! 「なるほど、道順を! それは今まで誰もやらなかったかもだ……それにしても、お若いのによく十二支の時間をご存知で?」 「あはは、青木さんより若くはないですよ~。小さい頃ちょっとだけお寺に住んでた事があって、こういう歴史っぽい雑学にちょっと明るいだけです。ただ……」  残念ながら、歌詞に干支にまつわる描写はそれしかないんだ。そこから先の謎はまだわからない。私が自説をフリップに書き終えると、タナカDが佳奈さんに話を振る。 「志多田さんどうですか? 紅さんがワンアイデア出しましたよぉ」 「急かさないでよー。私まだ食虫洞の謎が頭から離れないんだから。そーいうタナカDこそ何かないの?」 「僕かい? そうですな……このサビの、『月と太陽が同時に出ている』って、日蝕か月蝕って事でしょ? 千里が島で日蝕月蝕が観測された事って歴史的にあるんですかねぇ?」 「え? この歌詞って単純に黄昏時の事じゃないんですか?」 「あ、そうか。そりゃ黄昏時には月と太陽が両方見えますな」  すると今度は佳奈さんが閃いた。 「ちょっと待って���日蝕……?」  佳奈さんは私の手元から地図を取り上げ、食い入るように見つめ始める。 「……しょく、ふき、ぞう、すずり……」 「佳奈さん?」 「あー、そういう事かあ! これ、千里が島の地名ってさ、繋げるとみんな漢字一文字になるんだ!」 「え、そうなんですか?」 「どういう事で?」  青木さんも知らなかったようだ。全員興味津々で佳奈さんの指さす地図に見入った。 「例えばこれ、食虫洞はさ、食と虫を繋げて書くと日蝕の『蝕』になるでしょ。亡目坂は盲目の『盲』、月蔵は臓器の『臓』」 「すごい、本当ですね! 石見は書道の『硯(すずり)』、竹由は『笛』ですか。あれ、でも足失坂は……」 「『跌(つまずく)』。常用漢字じゃないけど」 「つまずく?」  タナカDは自分のスマホで『つまずく』と入力し、跌と変換できるか試みた。 「ああ、跌(つまずく)だ! 確かに跌ですよ跌! いや、よく読めますなあ。ところで佳奈さん、最終学歴は?」 「いちご保育園だってば。何度も聞くなー!」  佳奈さんは国文学分野で大学を卒業しているけど、年齢不詳アイドルである彼女にとってそれは公然の秘密だ。タナカDはそれを承知の上で度々ネタにしているんだ。 「あれ、佳奈さん。それを当てはめたら歌詞解読できるかもしれませんよ!」 「え本当? よーし、やってみよう!」  こうして数十分試行錯誤しながら、私達したたびチームの歌詞解釈はほぼ完成した。それが、こうだ。 たそがれの空を  ザトウムシ ザトウムシ歩いてく   (御戌塚から始まり、空が見える方向へ進む)  ふらついた足取りで  ザトウムシ歩いてく   (そのまま神社境外に出て、つまずきやすい道、つまり足失坂へ進む) 水墨画の世界の中で  一本絵筆を手繰りつつ   (足失坂のふもとから水墨画の世界、硯と水を象徴する石見沼へ進む)  生ぬるい風に急かされて  お前は歩いてゆくんだね   (石見沼から風が吹く方向、口欠湿地方面へ進む) あの月と太陽が同時に出ている今この時  ザトウムシ歩いてく  ザトウムシ ザトウムシ歩いてく   (口欠湿地から月が太陽を蝕む場所、旧食虫洞へ進む) おうまが時の門を  ザトウムシ ザトウムシ歩いてく   (食虫洞を抜けた所から丘を登り、御戌神社の鳥居をくぐる)  長い杖をたよって  ザトウムシ歩いてく   (神社境内から視覚障害者が杖を頼りに歩くような暗い道、亡目坂へ進む) ここまで考察した段階で、地図に道順を引いていた佳奈さんがペンを止めた。 「何これ……星……?」  蛍光ペンで地図に書かれた道筋は、島の中心に魔法陣のような模様を描いていた。五芒星の中心に一本線を引いたような、シンボルを。 「佳奈さん。まだ、解読できてない歌詞は残ってますけど……これはこの形で完成だと思います」 「一美ちゃんもそう思う? これ以降の歌詞って、対応する地名が見当たらないんだよね……」 「青木さん」  私はさっきの埋蔵金探し失敗談を手に取る。 「この消されている箇所、要するに全部��祟りがあった』って事ですよね?」 「はい……あ! いえ、そんな事は……」 「そうなんですね。つまり余所者が千里が島を検めるためには、正しい儀式か何かを踏まないと祟りに遭う。その儀式の方法こそが、この民謡ザトウムシに隠された暗号の正体だった」 「……」 「私、さっきこのシンボルを見たんです。御戌神社の、祠で……」  もう私の中で謎は核心に迫っていた。霊能者達は今それぞれ除霊活動に励んでいるけど、『ザトウムシ』……恐らくは、怪物の親玉であるそれを倒さなければ島の祟りは終わらないのだろう。 「結論が出ました、青木さん。ザトウムシは、徳川埋蔵金のありかを示している歌じゃありません。私はこれを……八本足の怪物、大散減を退治するための手順を示した歌だと思っています」  衝撃的な結論に全員が呆然としていると、窓の外で何かが破裂するような音がした。更に間髪入れず、河童信者が一人血相を変えて図書館に飛びこんでくる。 「たた、た、大変です! 大師が……大師が……紅さん、ともかく来てください!」 「え? どうして私が……うわあ!?」  河童信者は乱暴に私の腕を掴み、外へ連れ出した。他の皆も続く。牛久大師が私を指名したという事は、また散減が現れたのだろう。けど今はカメラが回っている。玲蘭ちゃんや万狸ちゃん達は別行動だし……私、どうすればいいの!?
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okinawagram · 4 years ago
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🌞🌞🌴Ishigaki island~🎵When pass through the green tunnel, the sea and the blue sky come ~❗ #ishigaki #okinawa #taketomijima ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 🌞🌞🌴 ..
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@hurricane_hawaiian この投稿をInstagramで見る J"Hurry"O(@hurricane_hawaiian)がシェアした投稿 🌞🌞🌴Ishigaki island~🎵When pass through the green tunnel, the sea and the blue sky come ~❗ #ishigaki #okinawa #taketomijima ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 🌞🌞🌴石垣島~🎵グリーンのトンネルを抜けると先に海と青空が~❗ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ #石垣島 #沖縄 #hawaiilove #hawaiitrip #沖縄旅行 #ワイキキビーチ #ハワイ暮らし #ハワイ好き…
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chatalowta · 6 years ago
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少し前に無事に帰宅しましたー!!(*´꒳`*) ・ 本当にあっという間の3泊4日、石垣島家族旅行でした。。 とっても楽しくて素敵な時間を過ごせましたよ☆(*´∀`*) ・ 来年はあっくんが6年生で卒業の年だから石垣島旅行はお休みになりそう。。(´;ω;`) 再来年はもう中学生だからね…部活もあるだろうし、どうなることやら。。(´ω`;) ・ 再来年はなんとかまた行けると良いなぁ♡(*ノ∀ノ) ・ ・ ってことで、備忘録的に家族旅行まとめ♪ 3月23日(土) 朝7時に出発して、車で中部国際空港セントレアを目指します!(`ω´)キリッ ・ 11時過ぎの石垣島直行便に搭乗! 昨年までは那覇経由で乗り換えだったので、直通なのは楽チンね♪(*´艸`) ・ 14時過ぎに石垣空港に到着!(*´꒳`*) ところが…寒い、寒過ぎる((.;゚;:Д:;゚;.)) お天気も曇り空で兎に角寒いのね。。 一応、長袖を着ていたのに驚いちゃう程…ヾ(゚Д`;≡;´Д゚)ノ゙ ・ レンタカーを借りて、毎年お世話になっている隠れ宿【楽楽楽】さんへGO!!(*´∀`*) ・ この日はそのまま美味しい夕ご飯を戴いて、のんびり♪(*´꒳`*) ・ ・ 3月24日(日) 朝4時起床! 石垣島22kmRUN☆( ・`ω・´)キリッ ・ 実に16日振りのランニングだったので、ヘロヘロのプゥでしたが、気温は暑過ぎず気持ち良く走れました♪( ゚∀゚)o彡゚ ・ この日は午前中に【らぐーん】さんでカヌー体験☆キターヾ(°∀° )/ー!!! このカヌー体験がめっちゃ楽しいのです! インストラクターの山口さんというご主人の石垣島に纏わるとっても楽しいお話を聞きながら、カヌーでいろんな種類のマングローブを見たり、洞窟や植物のトンネルを潜ったり…あっという間の90分でした♪(*´艸`) ・ そしてお昼は恒例の【ウリウリカフェ】でランチ♪(*´∀`*) ・ 今回は石垣島最北端の平久保崎灯台へ行ってきました♪(°∀°) 景色も良くて見る価値アリだったので���が、観光客が多くて駐車場が混み混みでした(-ω-;) ・ 2日目はのんびりロングドライブ♪ 所々、奥さんも運転を代わってくれました(。´・∀・)ノ゙ あざます☆ そして、ミルミルでジェラートをね♡( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ ・ その後、お土産を見に【ユーグレナモール】へ☆(*'ω'*) ・ この日も結構寒くて、ビーチに寄っても海には入れませんでした(´;ω;`) ・ ・ 3月25日(月) 本来の予定では、フェリーで竹富島へ行くはずだったのですが、天気予報では午後から雨…。・(ノД`)・。 仕方がないので、3日目と最終日のスケジュールを入れ替えて(´・ω・`) ・ 午前中はダメ元でビーチを見つつ、やっぱり寒空だし諦めて【ゆらてぃく市場】へ行ったり再び【ユーグレナモール】でお買い物♪(°∀°) ・ その後、14時に宿に戻ったとたんスコールの様な豪雨…((.;゚;:Д:;゚;.)) 危ない危ない、危機一髪でしたよ(;-ω-)ゞ ・ そして【楽楽楽】さんで砂絵体験をさせて頂きました♪ この砂絵の砂自体、宿の奥様が石垣島の砂を染めたそうでΣ(゚Д゚;≡;゚д゚) 家族で作品を完成させて…楽しかったーー!( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ ・ そして、夕方からは小雨の中【具志堅用高記念館】へ☆・:*+.\(( °ω° ))/.:+☆ 感動して未だに用高熱がwww ・ 夕方には雨も上がったので【フサキビーチ】にも行ってきまきた♪(*´꒳`*) ・ ・ 3月26日(火) あっという間に最終日です。。(´;ω;`) 今年も本当にお世話になった【楽楽楽】のご夫妻にご挨拶して。。 最終日は朝からフェリーで竹富島へGO!!!(*゚∀゚*) 最終日にしてようやく晴れて良いお天気♪(*´꒳`*) ・ 竹富島ではレンタサイクルで【カイジ浜】へ行って星砂を探したり【西桟橋】へ行ったり、あとは島の中心部をてくてく歩いて♪ 郵便局から両方の祖父母宛に葉書を投函♪(⊃∀`* ) あっくん&まあくんにコメントを書いてもらいましたよ☆(*´꒳`*) ・ 島中、白い砂とオレンジの屋根、青い空に真っ赤なハイビスカス…と、最高のロケーションで竹富島を満喫出来ました(*ノ∀ノ) ・ そして、いよいよ旅行も終わりです(´;ω;`) 15時過ぎの飛行機で名古屋へひとっ飛び(ノд-。)クスン そこから車で約3時間。。 21時過ぎに無事、帰宅しました(°∀°) ・ ・ 本当に本当に楽しかったなぁ♡(*´∀`*) また行きたいな☆(≧∀≦) ・ さて!無理矢理連休をもらっちゃったのでね。。 明日からお仕事頑張らなくちゃ!!! ・ 具志堅用高さんの「一生拳命に走れ」を思い出しながら邁進しますぞ!!(`ω´)キリッ ・ ・ ・ ・ #石垣島 #石垣島旅行 #石垣島大好き #家族旅行 #ishigaki #ishigakiisland #親バカ #親バカ部 #息子 #兄弟 #polarbear #しろくま #シロクマ #白くま #白クマ #モンスイユ #monseuil #ぬい撮り #竹富島 #八重山 #八重山諸島 #ミルミル #沖縄 #okinawa #具志堅用高 #楽楽楽 (【石垣島の隠れ宿】宿・八重山すてい楽楽楽(ららら)) https://www.instagram.com/p/BverM54A8nb/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=dc1mhmpt3wyz
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nanseiblog · 19 years ago
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石垣島(2005年7月 民宿「花城」のほぼ竣工お祝い)
行ってきたわけです。八重山に。 
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かえりの那覇の乗り継ぎの合間にお会いできたccoさんの 「八重山では何をされてきたんですか?」の問いに
「ほとんど呑んでました」
って答えるの恥ずかしかったです、正直。 まあでも間違っちゃいないし、わりといつもそうだし。 ソレはそうと、今回は米原ビーチそばの民宿「花城」のほぼ竣工お祝いと@yaimaの全国規模の寄合いが兼ねられたイベントだったわけです。 大人数の面倒を見てくれた世話役の皆さんこの場を借りて感謝です。 ありがとうございました。  
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前の日ほぼ寝ないまま出発して夕方に石垣空港に着くまで携帯+PCで仕事まみれ。 空港に迎えに来てくれていた世話役の方の車中でまで仕事の電話をするほど野暮で強引なシマ入りでしたが、於茂登トンネルにもぐりこむ前になんとか仕事ケータイを強制終了させたものの、日常から脱しきれない状態のままダイレクトに米原の会場入りしたので、いきなり極楽に放り込まれたような感じで急激に脱力しながらの宴会突入。再会あり出会いありの酔いだおれの一夜でありました。
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気がつけば朝、男二匹ビーチで並んでビールを飲み、夜明けを迎え、
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気付いたら車の中で熟睡してました。
10時頃起きぬけのままマンタ十字路ちかくのビーチで海遊び。 カヤックやってくたびれて、強烈な日差しのなかで ぼよーんと海に浸かっているうちに激しく熱気にやられたのか睡魔に襲われてしまい、 ちょっと涼んで一服するつもりで車に戻りましたが、
気付いたら車の中で熟睡してました。
そのせいで某会長がジェット3台引き連れて海から颯爽と現れたら、熱い抱擁で再会を確かめ合うつもりだったのに、 挨拶ひとつ出来ないというダメな持ち味を発揮してしまったのでした。 メンバーの皆さんはビスケットやらウエークボードやらジェットやら バーべしながらそーとー楽しまれていたようで、 そんな楽しい時間を共有できなかったのはとても残念でありました。
スッキリしたけど。  
目が覚めて車から降りたら某会長マダムとバッタリ出くわせたのが せめてもの救いながら、メガネかけてなかった上熟睡あけの寝ぼけ頭で、 ろくすっぽ話も出来なかったのでした。 二日目の夜となるこの晩は◎ターシさんライブ。
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二晩続けて力強くてあま~いメロディを聞かせてもらいました。 うちあげがてら、店を換えもうひと飲みふた飲み…したのちホテル洲鎌泊。 布団で、ってか、
屋根と壁のある所で眠れてよかった。
そして洲鎌名物のしっかり朝ごはんをきちんと食べたのち、オリオンビアフェスの開催準備の真っ最中の新栄町公園を突き抜けつつBeachでライブカメラ公開タコライスお昼の便でお帰り。 
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とホントにあっという間の出来事。 梅雨明け直後の絶好の陽気の中、島を離れるのは本当に辛かったわけです。
 羽田に着いたらどっぷり梅雨寒だったしね。  
あーあ、帰ってきちゃったなあ…  
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kanakomoriwaki-blog · 7 years ago
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#地形ポイント #トンネルを抜けたらそこは? #石垣ブルー と #光のカーテン が #めっちゃキレイ (๑˃̵ᴗ˂̵) #沖縄 #石垣島 #ダイビング #石垣島ダイビング #グローバルダイブ #ファンダイビング #ライセンス講習 #シュノーケリング #石垣島ダイビングGLOBALDIVE #japan #okinawa #ishigaki #scuba #scubadiving #diving #divingmag #GLOBALDIVE #license #snorkeling #sea #ocean #水中写真うまくなりたい ------- 公式アカウント @global_dive_ishigaki ------- 石垣島ダイビング GLOBAL DIVE(グローバルダイブ) http://global-dive.net/ 0980-87-5732 (Global Dive(グローバルダイブ))
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yasuhirotakabachiblr · 4 years ago
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恩納村 万座でのんびりビーチダイビング
こんにちは、今回は沖縄恩納村の万座でビーチダイビングをしてきました! 恩納村の万座で地形と綺麗なサンゴを楽しめるビーチダイビングのスポットです!
エントリーしてすぐにトンネルを潜り抜けます! 浅瀬は太陽の光が届いて綺麗です!!
少し進んで行くとサンゴの綺麗な場所に到着! ゲストさんの中性浮力が上手なので写真も綺麗に撮れています! ホワイトバランスを毎回調整する本格派です! たまに燃えてるような写真になってましたね!笑 僕のライトが邪魔でした?笑
ノールックピース
恩納村万座 粟国 ケラマ エモンズと4日間ダイビング三昧でお疲れ様でした! また沖縄本島でお待ちしています、石垣に行った時には案内してくださいね!
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