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#造り付け靴箱
aa-labo · 2 years
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おはようございます。 豊田の家|愛知県豊田市 大きなダイニングに隣接する玄関。 正面は造り付けの靴箱。 左側には土間収納。 #玄関 #造り付け収納 #造り付け靴箱 #ダイニング中心の家 #青木昌則建築研究所 #マイホーム #一戸建て #新築 #家づくり #建築家 #建築家と建てる家 #設計事務所 #設計事務所愛知 #設計事務所岐阜 #設計事務所三重 #建築士 #建築 #設計 #住宅設計 #木の家 #自然素材 #丁寧な暮らし https://www.instagram.com/p/CjwBvvZh_VL/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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zdlmlq · 6 months
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12.03.2023の日記
あなたの国は小さい子のヌード写真が多すぎるって
どのパーティーでも言われた
裸の女の子の写真があふれていて
電車の中にまで吊ってあるのは絶対おかしいって
でも、まさかその中のひとりがあたしだってことは
誰も気づかなかった
あたしは こういう所に集まるマダムたちは
エメラルドを頭にいっぱいつけすぎて
馬鹿になっちゃたんだと思って育ったの
パパは「この国には肉食の文化がないから、みんな我々のように、乳飲み仔牛から腐りかけ成牛までの、色々な肉の味わいの差だとか、ジビエの血の味の事とかがわからない。だから子供の裸ばかりありがたがるんだ。一種の国家的変態だよ」っていう、お得意の演説で、腐りかけの成牛みたいなママを喜ばせてる。彼女はキャビアを食べている人を見ると鼻をつまむ。小さな卵を食べるのは野蛮人だって
フォクシーひと粒でアダルトヴィデオの女の子みたいになれるって聞いたから、あたしは自分を魔女だって言ってる友達に頼んで、パーティーに持ってきて貰い、最高によく効きますように、そして憧れのトレーシーみたいになれますように、って魔法をかけてもらってから、彼女とキスをして、コアントローで飲み干した。どこかで生きていれば35になるのね。あたしのトレーシー・ローズ
あなたは、あたしが知る限り本当の天才、そして天使
あなたとパパの書斎で出会った日のことは一生忘れないわ
黒革の表紙の本の裏に隠されていた80年代のVHS(ヴェ・アッシュ・エス)
あのヴィデオキャッセをパパから盗んでからあたしの人生は変わった
あれがバイブルになったの
あたしは今、あなたがデビューした年と同い年で、あなたの娘ぐらいの歳だわ。そう思うととっても変な気分。まだフォクシーは全然効いてないみたい。口の中は、熱いチェリーの味ばっかり
生きてれば74歳になるのねあたしのグレース・ケリー、生きてれば15歳になるのねあたしのジョンベネ・ラムジー
あなた方のことを考えると、死ぬほどうっとりして、死ぬほど憂鬱になるの
パパの命令でお医者様にマリリン・モンローそっくりに改造されたり、本当にある国の王女になるなんて絶対間違ってる
でも死ぬほど羨ましい。そして死ぬほど怖い
あたしはこんなに
死ぬほど羨ましくて、死ぬほど怖くて、死ぬほど退屈
Vandome,la sick kaiseki
Vandome,la sick kaiseki
Vandome,la sick kaiseki
Vandome,la sick kaiseki
たくさん血が出たり骨を折っちゃったりするのは僕の時代にはあんまり好まれなかったんです。フェティッシュとか精神分析とか、そういうつまらないものが流行っていて
でも、彼女たちが好きなものは結局、宝石と香水と毛皮だって事は永遠なんですよ
裸に毛皮だけ着せて、香水の瓶を割って、お腹を軽く傷つける。詰まらないプレイですけれども効果はすごいんです。真っ赤な血が、うっとりするような香りで
宝石も勿論たくさん使いました。トパーズ、アメジスト、オパール、こういう物には水晶以上の魔力と、生体化学的な影響力があって、まあ、若返るんだと
こういう話をすると、馬鹿にして嘲けり笑っている連中ほど、瞳孔が開いているのがわかる。後で呼び止められるから絶対
それで、彼女たちの宝石箱から一つ残らず出させてね
身に付けさせるんじゃないですよ。体の中に入れてゆくんです
滑稽といえば滑稽だし、でも芸術的とも言える
お腹を宝石でパンパンにした御婦人が喘いでるんですから
勿論、楽しくも何ともなかった、気持ち良くも何ともなかった、嬉しくも何ともなかった
この国の社交界の一部では、こういったことが何百年も通いてるんだなって思うと、変に敬虔な気持ちにさえなりかけ��もんです。日本人だからでしょうね。僕は二十歳過ぎてたんだけど、誰もが15歳ぐらいだと思っていて
最近はちゃんとクラブがあったりするんですよ。卓もサウンドシステムもすごく充実していて、ヴァルスやポルカが終わると、変な、聴いたこともないオーストリア語のハウスみたいなのがかかるんですけど、みんなハイヒールに革靴だし。っていうか、踊りが凄くて、笑うのを我慢するのに苦労しました
嫌な感じの嘲笑しか出来ないから。生まれてからずっとそうなんです
復讐心ですか?どうだろう?今の東京の子供に比べればね
アメリカのポルノ女優に憧れてるっていう日本人の女の子がいて「さっきフォクシー飲んだの」って。この子は全然踊ってなくて、目をトロンとさせて、年寄りばっかり狙ってた
世界中に行ったけど、どこも何も変わらない。「オレみたいになるなよ」って、誰かに思ってた頃もあったんですけど、今はそんな誰かもいない
生まれて初めてです。自分からキスしたいなって思って
でも諦めました。彼女は、消えてた
Vandome,la sick kaiseki
Vandome,la sick kaiseki
Vandome,la sick kaiseki
Vandome,la sick kaiseki
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岩澤瞳のいたスパンクハッピーを知ったのは18の頃で、私はそれをカーテンもソファもない部屋の中で聴きました。退屈、と発音する彼女はその声にすら感情がなくてだからこそその言葉は彼女のためにあるような気がしました。私は自分を退屈だとは思えない。それは彼女のような人にこそ似合う言葉だと思っているから。
この歌詞にこころからうんざりできる人間であれればよかったのにと思います。私は自分が暴力を振るわれる若さと身体を持っている頃から、同じ傷を誰かにつけられるほどの加害性を持っていることを自覚しました。スパンクハッピー、或いはこの音楽を私に教えた人のせいです。傷をつけることがある人間だという自覚はついた傷を責め損ないます。自分がいつだって意図せずそちら側に立つ予感は、傷の痛みや怒りよりもよっぽどおそろしいものでした。私にとって、
ヘドラの目はヴァギナを模していますが性別は割り当てられていません。少なくともその言及はない。私はゴジラ対ヘドラという映画それ自体をとても気に入っていますが、何よりもこの怪獣にとても親近感をおぼえています。
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かわいいですね。
私が自分の体に嫌悪感を持たないのは、似た身体構造をもつ人々と親しくなった際にその体をこのましく思うからで、それが自分のものだから嫌悪するのは何か、通らないのでは、と、不安になってしまうからです。もちろんそれはそれ、これはこれとわけてしまうことはできます──というか、それが正しいのですが──、どうしてもその種の理屈を自分に向けて納得させることができません。私にはそういうことがとても多い。
今日が日曜日だということをうまく感じられません。とてもねむいです、
たくさんねむれるといいなと思います。
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mougen-nikki · 5 months
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1月
年女。元旦から地元の友人2人とデニーズに6時間居座り、年末年始限定メニューの存在を知る。卒業式ぶりにネイルをした。魂24周年にバリチルで開催したパーティーで初めてオーダーケーキを頼んだがかわいくて大満足。こうきとまなみと神田大明神と湯島天神に初詣に行き、一瞬リョータに会う。シネマカリテで『そばかす』を観た。
まなみと日産グローバル本社でSAKURAの試乗をし、帰りに寄った中華屋で居眠りをした。あゆみさんとすえぴとネロの店で新年会をする。
THE FIRST SLAM DUNKの衝撃。三井への恋心を15年振りに思い出す。
すみちゃんとの大人の休日倶楽部が発足し、蔵前〜合羽橋あたりを散歩。観音山フルーツパーラーでももちとあゆみさんとすえぴが初対面。帰りにみんなにつかあってもらって、Tnewtiesで靴とワンピースを買った。
ことごとくおみくじの引きが悪い。
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2月
休職中の同期に久しぶりに会えた。元気そうで一安心。こうき主催のスイーツ会兼合同お誕生日会。ダロワイヨでケーキをたくさん食べた。工場の同期と遊んでザファを一緒に観た(THE SECOND SLAM DUNK)ら、同期は24時間経たないうちに2回目を観に行っていた。代官山のあたりをプラプラ散歩し、無数のトイプードとすれ違ったり旧朝倉邸に住みたがったりする。自主的Tłusty czwartekでミスドを食す。
かなこと海を見てカラオケ。バリチルで三井の寿の宴を行う。21卒22卒23卒になった高校の友達と卒業旅行で箱根へ。富士屋ホテルで豪遊し、星の王子様ミュージアムに涙ながらの別れを告げる。
テニミュ青学vs氷帝が当日の公演中止でぴよと残念会。
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3月
同期とご飯に行ったら2ヶ月ビハインドで私のお誕生日プレートをオーダーしてくれていて、この子たちのことは何があっても守ろうと思った。私お姉ちゃんだから。
大学の部活の先輩同期とかなり久しぶりに会った。大手町有楽町エリアで昼から夜まで遊んで、現役の時もこんなに遊んだことないから新鮮だった。私はちゃっかり途中の大丸でコスデコのアイグロウジェムをタッチアップし購入していた。
妹と母と受験お疲れ様の一泊2日熱海旅行。恋愛おみくじに「六歳年下が良い」と言われてじゃあ、三井寿か。と思う。月曜有給旅行の良さを感じたが穏やかな春の熱海の空気に当てられて情緒が不安定になる。
念願の姫鶴一文字を初顕現。宝箱からかなり早い段階で飛び出してきてくれて嬉しかった。
THE THIRD SLAM DUNKで横断幕特典シールをもらう。すみちゃんとピューロに行き、バツ丸のカチューシャを買ったらマレフィセントになった。三井を応援するネームプレートを作る。
在宅後ダッシュで駒沢に向かい、まおとA東京の秋田ノーザンハピネッツ戦を観る。なまはげがいたり、ありえない技(天井ダンク)を持つマスコットキャラがいたり、選手の概念車を教えてもらえたり、SDGsがボコボコにされたりと見どころ満載。ザファのおかげでプレーの解説がしやすい。ありがとう井上雄彦。
本社の同期4人ですみだ水族館にお出かけ。大阪人の登場シーンが肩揺らしすぎ歩くの早すぎ治安悪すぎで爆笑。いつの間にか水族館に墨田区の伝統アピールとして大金魚ゾーンができており不意打ちを喰らう。その後浅草寺で引いたおみくじ:凶。
かなこと銀河劇場でマリー・キュリー観劇。すごく良かった。韓国作品らしくフェミニズムのベースに労働者の健康被害問題や企業の製造責任、資本主義批判まで織り込んでおり見事な構成力。そうこうしていたらミューマギの第二公演情報解禁があり、まさかの山﨑昌吾ジャーファルに椅子から転げ落ちる。
ぴよのお誕生日@バリチルを開催。調子に乗ってバカのバースデーケーキを買ったら大変な目に遭った。
ももちとすみちゃんの作った和風シナリオを通過。知人の作ったシナリオは初だったが手癖を感じて面白い。バカ男子大学生コンビだったのでロールプレイが楽しかった。ガチ恋粘着獣の影響でYouTuberの探索者にした。
客先から一部品番値上げOK連絡をもらい、祝いにケーキを買って帰る。ここまで足掛け半年。
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4月
まおとBunkamuraのマリー・ローランサン展を観る。ローランサンとシャネルのメディアを介したラップバトルの話やテニミュのような前衛映像で爆笑。
閉館前の三菱一号館美術館に駆け込み、グッズを買う。そのまま散歩してヒューマントラストシネマ有楽町で『ジョージア 白い橋のカフェで会いましょう』を観る。すごくリラクシングでおおらかな映画で良かった。お国柄かな。
カイザーの話をされすぎてブルロ原作を読み始める。何もかもがめちゃくちゃすぎて読んではTwitterを開き、読んではTwitterを開くハメになった。おかしすぎる漫画。
はるかさんのお誕生日会があり、ウォカジンのヘアピンで爆盛り上がり。まったく、兄貴は意外と抜けてるところがありやすからね。
すみちゃんとラシーヌの苺アフタヌーンティーに行き、ノリタケの加州安定ティーセットが届く。
アニメのオペラオーが良すぎてメロメロになる。本当に彼女のことが大好きだしこの手の人間に弱い。ウマ娘は人間ではないが。
品川区民として初めての選挙(区議会議員選挙)。出張ついでにTさんと京都で遊んで私が行きたかった京都府立植物園に付き合ってもらう。何故か28,135歩も歩いた。
わが、まお、あゆみさん、すえぴと日本橋でピザを食べてから千葉ジェッツのA東京戦を観戦。冨樫を初めて生で観た。千葉なのに東京のイキリ中学生たちがコラボしていて何故?と思う。今回は席が取れなすぎてバラバラに座ったから観ながら話せなくて残念。観戦後の焼肉で炎の男の写真撮影に興じる。
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5月
2日にネスの夢小説を読み「ふ〜ん結構ネスのこと好きかもと思った」とツイートしている。
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運転練習を兼ねてGWに家族で伊香保に行こうとしたが関越が混みすぎて秒速5センチメートルしか進まなくなったため途中で諦め森林公園へ行く。エゴイストなので別行動して一人だけサイクリングをした。地元のイタリアンで祖父母の誕生日祝いをした。
こうきとポコの再会。この時祖父母がこうきを質問攻めにしており申し訳なかった。
降り頻る雨の中ポラ科とポーランド祭りに行き、帰りに駅のムンバイでチャイをしばく。
金夜のミュージアムナイトですえぴとマティス展に行く。プロヴァンスの映像コーナーがあり、教会の鐘の音を聴いた瞬間幸村精市との存在しない記憶とホームシックの幻肢痛に襲われた。とにかくヨーロッパに行きたい。
ももちとひなと湘北を想う湘南ドライブ。逗子マリーナの駐車場が法外な値段という学びを得る。これがあゆみさんから譲り受けたネスと初めてのお出かけ。
文フリに出かけて東直子とまほぴ、安田茜にサインをもらう。のいちゃんとたほさんにもご挨拶して差し入れを渡す。いつかドームに連れて行きます!と言われて最前行きます!と返した。
こうきとすえぴ、あゆみさんが対面し4人でヴァーミリオンのポップアップへ。この時はオーブのガーネットの指輪を買った。昼食場所を探したが渋谷の人口密度が高すぎてお高めの地中海料理に入る。イスカンダルセットというワクワクセットを注文。
母の日プレゼントで母にageteのネックレスを見繕った。チャーム別売りのやつ。
すみちゃんと劇場版コナン(魚影)を観た。元太のセリフ全てと陰謀論者の目暮警部で爆笑する。観終わった後がってん寿司でうなぎを食べてネスにも見せてあげた。
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6月
マンシティvsバイエルンのチケットが当たりまくる。ここから1.5ヶ月ほどチケット捌きに奔走する。チケ取引が中学の先輩や大学の後輩に会うきっかけになったので何だかんだよかった。
すえぴとあゆみさんと六本木ヒルズで薔薇のアフタヌーンティー。スタンドの高さがありすぎて起立して写真撮影。PWCを始める。三笘が来た瞬間ゲームバランスが崩壊し三笘ゲーと化した。
ミューマギの公演が始まり、6公演入る。今回はキャストが増えたのでオープニングとエンディングの厚みがすごかった。まさかの客降りで山﨑ジャーファルさんが数メートル先を歩いて行った。長生きはするものだと思った。マギ、サイコー!でも紅玉ちゃんの個人ブロマイドがないのはまだ納得してない。アクスタが売り切れすぎて買えないかと思ったがぴよが捕獲してくれた。
ネスの夢小説を書く。執筆中は納期にミートするために定時退社していた。わりと気に入っているので続きが読みたい。
部署の奨励金で帝国ホテルのご飯を食べ、その後走って若手による新入社員歓迎会に移動。
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7月
前日深夜に母に誘われ、急遽クレイジー・フォー・ユーを観劇。萌さんをリアルで初拝見。エンタメに全力な作品でかなり良かった。衣装もすごい。タイミングよくたかりかさんとも会えた。
ぴよとあゆみさんと東京タワーで迷子のストライカー探し。その後言ったカフェでマスターの爺さんに絡まれ怪しげな成功譚を聞かされる。
はるかとこうきと浦和レッズvsFC東京を観戦。初めてのスタジアムだったのでドキドキだったが色々新鮮で楽しかった。埼玉出身者としてコバトンと写真撮影。試合は0-0で内容もしょっぱい。酒井も3分くらいで怪我したし。翌日に国立でこうきと町田ゼルビア vs東京Vを観戦。シチュエーションが整っておりかなり熱い試合とブーイングが見られた。
リトル・マーメイドをひなと観た。冒頭にアンデルセンの引用があり大事をあげて椅子から転げ落ちる。
あゆみさんが妄言バースの夢小説を書いてくれた。嬉しすぎて仕事中に読みまくる。やってることが10年前と同じ。
すえぴあゆみさんももちとココス呪術コラボを冷やかす。
ポラ科ドライブで秩父へ行きそばを食べる。ポテくまくん邸を表敬訪問。
あゆみさんと渋谷シティの試合観戦。コートが近く、ボールを蹴る音が聞こえてすごかった。妹と国立西洋美術館のスペインのイメージ展に行く。
大学の部活の納会に参加しバスケをした後2次会までこなす。
マンシティvsバイエルンの当日、午後休を取ってネイルを変えてから国立へ向かう。かなりお祭りムードで楽しい。こうきにバイエルンバウンドの服装を褒められて嬉しかった。はるかさんも合流して写真撮影やらトロフィーチラ見やらをした。試合はシティのパスワークのすごさとバイエルンの疲労を感じた。
バリチルでリョータとソーちゃんの誕生日会をした。
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8月
地元の祭りで3年ぶりの花火がまさかの強風で打ち上げ中止。同日に花火大会があった板橋では火事が起きていたので妥当な判断だったと思う。
すみちゃんと大人の休日倶楽部有楽町編を実行し、シンガポール料理、プラネタリウム、マリアージュ・フレールを巡る。マリアージュ・フレールで友人の結婚祝いを買った。
友人の結婚パーティーに参加したが、レストランでやる簡単なものだったためか泣かなかった。中学時代のいつメンと会えて嬉しいが、私が恋愛の話題に非対応なためやりづらさはある。最近どう?と聞かれたので順調だよ〜と言ったらいつから付き合ってるんだっけ?と言われる。流れを無視して交際ではなく人生の話をしてしまいすみません。でも結婚した友人のことは誇りに思うし尊敬するし応援してる。私たちもうホグワーツにも帝光中にもいないけど、それぞれの戦場で変わらず戦おうね。
お盆は車を乗り回すためムーミンバレーパークやスタジアムジャポンや伊香保に出かけた。
ひなとまなみと島でバカンス。海で浮いたり原チャリを乗り回したりと満喫。花火もお菓子も買ったのに朝が早かったため夜ご飯後に爆睡。星が綺麗らしかったが当然見れず。護岸されていない箇所で泳ごうとしたら波が激しすぎて引き波の時に足に当たる石で流血した。
ももちこうきあゆみさんと才能の原石たちとで本能のままに餃子を食らった。あゆみさんももちまおとHUBでサバトも開催。
かなこれみかと横浜散策。ダイナーでハンバーガーを取り違えられ、中華街にあるフォーチューンアクアリウムの存在を初めて知る。
ひなとTHE FOURTH SLAM DUNK。
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furoku · 7 months
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shukiiflog · 8 months
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ある画家の手記if 佐伯岬/春輝視点 告白
わたしを見つけて
佐伯岬:
光は人が好きだった。
妻の昴が持病の具合がよくなくて光を見ていられない日、僕は仕事で行くパーティに幼い光を抱えて連れていった。 子供用のかわいいドレスを着せて、髪の毛は僕が編んだ。 会場に着くと光はすぐに僕の腕から降りて、会場をとことこ歩き回り、途中から靴擦れで足が痛くなったのか靴を脱いで裸足になって、あちこちの人に笑顔でシャンパンや花を配って回った。途中でパーティの主催者に光にそういうことをさせてもいいかと聞かれて、僕も了承した。 接してくれる誰もが光を笑顔で可愛がり、あたたかく迎えてくれた。 しょっちゅう誰かにお菓子か何かをもらっては、遠目に見ている僕のところへ光はいちいち走って戻ってきて「もらった」といって僕にもらったものを一つずつ丁寧に見せてくれた。 「おとうさんがもってて。たべてもいいよ。これとこれはたべちゃだめ」光に荷物持ちにされて細かく指示を受ける。 「はい。いってらっしゃい」笑顔で受け取って光を送り出す。昴に似てとてもかわいい。僕がそういうといつも周囲は「いや、お前に似てる」と返してきた。そうかな? そういう場で春輝とも出会った。光に声をかけられた春輝はまだ学生だった。春輝も親に連れられて来場していた。
昴が病気で寝込むことが多い以上、お手伝いさんを雇ったりするべきだったのだろうけど、そこまでのお金がなかった。なんとか僕が仕事を調整すれば光のことは見ていられたし、家事はもともと僕が好んでしていたから、うちは僕と昴と光の三人家族だった。 それより以前は存命だった僕の父も一緒に暮らしていたけれど、影で光によくない悪戯をしようとしているのに気付いてからは父には出ていってもらい、そのまま親子の縁を切った。 僕はそれ以来、ほとんど勘当されたも同然の身になり、莫大な財産に支えられた生活は終わった。 その後は父ではなく僕個人と繋がった人脈でなんとか仕事を続けて稼いでいた。培った仕事の要領でそれなりの年収はあったものの、昴の医療費にかなりの額を確保しておく必要があったため、暮らし向きはどこにでもある中流家庭の域を出るものではなかった。 その点では財産を丸々失ってしまうため昴には申し訳ないことになると思ったが、僕が昴に事情を話すと、昴から言い出してくれたのだった。 「私たちが出ていくか、お義父さんに出ていってもらいましょう」
僕一人にえらく負担がかかっているように周囲からは見えたようだったけれど、光の面倒を見る時間は僕には癒しだった。 光は僕のいない時間は昴の寝ている布団のまわりで転がりながら、折り紙をしたり絵を描いたり本を読んだりして過ごし、昴は体調のいい日には光と一緒にそういうことをしたり、もっと難しい折り紙や一人遊びを教えたり、本を読み聞かせたりしていた。
僕は仕事から帰ってくると昴の寝ている部屋に顔を出す。光がいない。「光はどこかな?」「さぁ、岬さんの車が帰ってくる音が聞こえたら急にどこかに行ってしまって…」 これが僕と光の日課だった。 僕が帰ってくる気配がすると光は家の中のどこかへ隠れる。僕が光の名前を呼びながら家中を探し回る。 光は運動神経もいい上に極端に体の小さな子だったから、思いがけない場所によく隠れていて、真剣に探しても見つけるのはなかなか簡単ではなかった。 光の隠れ方もたまに巧妙に裏をつくようなものだったりして、洗濯籠に洗濯物に埋まって隠れている光の上から脱いだ服を気づかず僕は投げ入れていたり、帰ってきて無造作に放っていたままのコートの下に隠れていた光を危うく踏みつけそうになったり。 足場もない高い箪笥と天井の隙間の影にいたり、戸棚を一つずつ全部開けたらその中の一つに実にうまく体を曲げてコンパクトに手足を折りたたんでおさまっていたりした。 賢いのか天然なのか、とにかくいつも光は何事にも真剣で一生懸命に取り組んでいた。 ある時は隠れるためにあまりに高い場所に登ったせいで一人で降りられなくなって、いつまでも僕が見つけられずにいると光が僕を細い声で呼んだ。僕は笑って梯子を持ってきて光を抱えて床に降ろした。 それでもやっぱり子供だから簡単に見つけられる日もあった。けれど僕は見つけられないふりをしてしばらくの時間、家をわざとうろうろした。 「光はどこいったのかな?」「隠れるのが上手だね」「大人の僕でもこれはとても見つけられない」「光は賢いなぁ」そんなことを隠れているつもりの光に笑顔で言いながら。
どんな些細なことでも、光に一つでも多くの成功体験を積ませるため、僕は光をいつも褒めた。 この子が人を好きになってくれたら。 屈託なく誰にでも心から笑えて、人の善性を信じ尊んで大事にするように育ってくれたら。 もちろんいつまでもそれだけではいけない、けれどこの年齢ならまだ子供を守るのは僕や昴や大人の役目だ。先に信じることを、疑うことは後からいくらでも身につけられる。この世界への安心感と揺るぎない信頼をまず光にあげたかった。 光は僕と昴の愛情に育まれて、天真爛漫で素直な素晴らしい子に育ったし、僕も昴もそんな光の成長に日々を支えられていた。
ある日を境に、僕は光をパーティに連れていくことをやめた。光は行きたがったけれど、もう二度と同じような思いはしたくなかった。 パーティ会場で幼い光に多くの人が善意でお菓子やかわいいキーホルダーや着けているアクセサリーをくれた。光はいつも僕にそれを渡していって、中にあまりに高額そうなものが混じっていたら僕が帰り際に主催者に持ち主に返してくれるよう頼んで預けて帰った。 ある日、光が僕に渡したその中にコンドームの箱が一つ混じっていたのだ。誰が光にこれを渡したのかは結局分からずじまいだったものの、あまりの不快感と吐き気で僕はすぐに光を連れて帰って、二度とそういう場所へは連れていかなかった。
光が平均的な子供より可愛らしい容姿をしていることは親の欲目を捨てても理解できていた。 子供服のモデルのスカウトや、テレビでちょっとした子役に出してみないかという話がよく人づてにきたが、僕はそれらをすべて断ったし光にも教えなかった。 なんであれ子供に自分で金を稼がせることは慎重にしっかりした教育下で少額から少しずつ経験させていかなければいけない。労働や消費対象になることなども含めて、どんなに条件のいい話でも僕には許容できなかった。
光は、止むを得ず僕がほんのすこし目を離したタイミングで、誘拐されかけたり連れ去られそうになったりしていた。そのすべてを僕が間一髪で防いではいたものの、そういうことは光が成長するにつれて頻度を増した。まだ裁判沙汰にまで至らないし、すべて相手に逃走されて終わっていたとはいえ、僕にとってはすべて重大なただならぬことだった。
光にとってもどこかでストレス要因になって積もり積もったものがあったのか、それともまったく別の何かからなのか、光は自分の指や爪を噛んで、ちぎったり皮を剥がしてしまうようになった。 指先が血みどろになっても光はやめなかった。 とめる間もなくすぐに癖付いてしまった自傷をなんとかしようと、僕は空いた時間に光を抱きかかえて優しく揺らしながら家の中を毎日散歩した。 光は静かに揺られながら僕の首筋の肌に噛みついてじっとしていた。そのうちうとうとして、眠り込んだ光を昴の布団に入れる。 僕の首筋には鬱血した噛み痕が残ったけれど、光の指先に比べればどうというほどのものでもなかった。 なにかを噛んでいると光は安心するようだった。
その頃からすこしずつ、光の問題が浮かび上がってきていた。 知らない人についていってはいけないとか、物をもらってはいけないと言い聞かせても、光はそれを理解できなかったのか、何度も似たようなことを繰り返してしまった。 叱らずによく話を聞いたが、総じて光は加害者を「やさしくていいひとだった」というふうに屈託なく笑顔でそう評した。 僕が、育て方を致命的に誤ってしまったのか。悩んだ末に、光に危険な存在や行為や悪意についてそろそろしっかり教えなければと思った。光は人の言うことをいつだって真剣に聞くし、僕のことを誰より信頼している。根気強く教えればいい。 もし光にそれらを理解できない何か重大な問題があるのならそのように接して、光が生きていく環境を僕がある程度整えなくてはいけない。 酷いことが起きないように僕が目を光らせながら、僕がいつか居なくなっても光が生きていけるように、信頼できる伴侶や守ってくれる存在を見つけて、いつか僕からその人たちへ光を託さなければ。 このまま順当にいけば僕の方が光より先に死ぬことは明らかなのだから。
***
佐伯春輝:
岬さんが出張先の海外で起きたテロに巻き込まれて亡くなって、僕は遺された昴さんと結婚した。昴さんはまだ若いけれど僕よりはずっと歳上だった。 僕には岬が一人でなんとか仕事をして稼いで暮らしているのが理解できなかった。勘当されたとかいう話は聞いたけれど、なんでそんなことになったのか、光もいて、昴さんの医療費もあるんだし、佐伯の実家に頼るのが一番だろうに。 そう思って、結婚してすぐに僕は絶縁状態になっていた佐伯家へ出向いて、資金援助と和解を申し出た。 岬は不利な要素を抱えても一人で中流家庭並みの暮らしを実現させていたけど、僕はまだ若いし、とても岬の真似事はできなかったから。 そうして僕は佐伯の家の跡継ぎになった。一人息子の岬に去られて佐伯家は今後どうするかで揺れていたから、僕の申し出は歓迎された。ただやっぱり僕は頼りなかったのか、佐伯の家から受け入れられている感じはしなかった。 僕はすこし気が弱いし、あまり自分に自信もないし、自分でもこれからどうしようか途方にくれることが多かった。 それで僕は光を使うことにした。 幼い頃に僕にパーティ会場で花をくれた。初対面から光は僕に好意的だった。 僕は光に家でも人前でも僕を「お父さん」と呼ぶように言いつけた。光は断固としてそれを拒否し続けていたけど、一度ベッドに無理やり連れ込んだら以降はおとなしく言うことを聞くようになった。 それでも光は「おかあさんのお部屋にいたい」と言ってしつこかった。実際、昴さんは岬を亡くしてから持病を拗らせていたし、光はそんな母親のそばについていたかったのだろうが、僕はそれを許さなかった。 僕の目を盗んで母親の部屋にいた光を抱えて連れ出し、「そんなにべったり一緒にいたらお前にも病気がうつってしまうよ、昴さんはそれを望むかな?」と説いた。 それから光は遠くの廊下から母親のいる部屋を毎日じっと見つめているだけになった。 それから一度も昴さんと光は会えないまま、昴さんはあっけなく亡くなった。 家には僕と光だけになった。
光はその頃まだ小学生だったけれど、成人女性の色気とも種類の違う独特の色気のようなものを発していた。 子供にしても未発達な印象のあどけない童顔、黒くて艶めいた長くて太い睫毛で常にアイラインを引いてるような目元、小さな口や鼻、すこし厚めの唇。 頭、顔、肩幅、手、足、耳、爪、すべて規格外に小さい。すべて小さいのでバランスにあまり違和がない。 全身痩せ型で細いが、とくに手首と足首が折れそうなほど細い。 全体的な雰囲気は岬と似ていた。 生前の岬も、光はつけ狙われやすいと友人に相談していたそうだ。そういう子なんだろう。 僕を誘ったのは光の方だと思っている。意識的なのか無意識なのかは知らないけれど。光の体には毒がある。 僕はその毒にあたったのだ。 岬が死んでから光はほとんど眠れなくなっていた。夜の間は僕が遊び相手になった。 光の体は感度が良くてすぐ濡れるからいつも大した準備なんてしなくてもすんなり僕のことを受け入れたし、光もおとなしかった。佐伯の人間で僕を受け入れてくれるのは光だけだった。 同時期から光は食事を嫌がるようになった。匂いが強いとか味が濃いとか、食材も味付けも以前と変わらないのに急にわがままを言いだすようになった。なら食べなくていいと言ったら、光は本当に食べずにどんどん痩せ細ってしまった。 医師からは拒食症だと言われた。なにか心的外傷になるような出来事があったか尋ねられたので、僕は岬と昴さんの死について語った。
僕は光を義務教育期間だけ学校に在籍させていた。高卒や大卒の履歴などこの子に必要ないだろう。 医師の診断書を偽造して、母親と同じ病気であるとあちこちに触れ回った。 それで光はむやみに外出もできなくなった。 妙に本質を突くような聡いところがあるかと思えばこんな僕の言うことを簡単に鵜呑みにしてしまう、どうにも愚かな子だった。 ただ何かの拍子に光は僕の目をじっとただ黙って見た。子供らしく床に転がってお絵かきをしたり本を読んでいる姿勢で止まって、そこにやってきた僕の目を、じっと。いつものように笑ってもいない、無表情に近いけれどはっきりと意思を宿した大きな瞳が、黒くて長いまつ毛に縁どられてただ僕を凝視していた。光はそういうとき一言もなにも言わなかった。
人形かなにかのようだ。意思があるように見えるだけで僕の内面を反映しているだけ。人の形をしているし、いかにも人間らしいけれど、それだけだ。 そのたびに、僕のことなどすべて見通されているように感じて、怖くなった。脅かされているのは、僕のほうだ。
そういうふとしたとき以外は、光は天真爛漫なかわいい子だった。 岬が死んで以来、身長や体重が変化せず、成長がぴったり止まったようになっていたし、光には第二次性徴が訪れず、月経も始まらなかった。そういう体質なのかもしれないと思って放っておいた。 何より光の成長が止まったことは偽りの病気にもっともらしいぱっと見でわかる事実としての身体的異常を付け加えてくれた。 僕は光に言った。 「こんなに背が小さいのも初潮がこないのも、病気の影響だよ。この歳でこんなに背が低いなんて昔なら奇形児なんて言われて気味悪がられてるところだ。今でもそういうふうに言ってくる心ない人は外にたくさんいるけれど、光がここにいれば僕が守ってあげられる。お前はきっと一生一人では何もできないだろう。未成熟な醜い子だけれど、僕は光を誰より美しいと信じてるよ。光を愛しているからね」 光は僕の言ったことを、ただ無表情で黙って聞いていた。 僕が喋れば喋るほど光は無表情になって黙って僕を見るだけになったから、怖くてだんだん僕は光とちゃんと会話するのを避けるようになった。
光は保健室登校しながら、ある日突然彼氏だと言って同じくらいの学齢の男子生徒を家に連れてくるようになった。 その度に僕が間に入って、申し訳ないけれどこの子は闘病で手一杯だからと話して無理やり二人を別れさせた。それでも光は性懲りもなく何度も新しい別の彼氏を作った。 ある日、僕は光に聞いた。「どうしてそんなに次々に誰かと付き合うんだ、別れるのだってあんなに簡単に別れるのならどうして付き合おうと思ったんだ」と。 光はこともなげに「付き合いたいって言われたから」だと答えた。それ以上のものはないように見えた。 ますますもって人形じみてきたと感じた。僕の人形だと思っていたけれど、誰の人形にでもなるのか。
僕の中で光への感情が修復不可能なほど屈折していくのが分かったけれど、僕が屈折しているのではなくて光がただ異常なだけであるようにも感じた。両親の死で本当にどこかおかしくなったのかもしれない。 僕は二人だけの家にわざと他人を招いて、光を襲わせた。 光も僕の差し金だと分かっていただろう。勝手に外で恋人を作ってくるような真似をするからだ。相手が欲しいのならいくらでも適当なのをあてがってやる。どうせ大した怪我なんてしないだろう、誰相手にでもすぐ慣れるふしだらな体だ。 そのうち光はそういう連中を相手取ってなのか家のあちこちに隠れるようになった。 光は見つかっては隠れた場所から力尽くで引きずり出されていいように弄ばれた。 あるとき光はひとりごとみたいに空中に向かって呟いた。「かくれんぼは最後に絶対にお父さんが見つけてくれる」 光の中ではまだ隠れているまま、終わっていないという意味か。お父さんとは僕のことじゃなく岬を指しているんだろう。 ちょうどいい。何度でも岬ではない他人に見つかって暴行されて終わるのを繰り返してその拠り所と一緒にめちゃくちゃに踏み躪られればいい。本当に岬はもういないのだから。
以前から光は年齢に似つかわしくない難解な本を好んで読んでいた。 僕にはそれらの内容が理解不能だったし、光はそれらに熱中することで他の自身についての事柄にさらに無頓着になっていたから、僕には都合が良かった。それで邪魔はせず、欲しがる本はすべて買い与えた。 光の本棚はあっという間に埋まって増えていって、一見たいそうな読書家の部屋のようになった。光が読んだ本について僕になにか語ることは一切なかった。
そして時間の止まった家は光を内包するための容量が足りなくなったことを象徴でもするようにその都度必然的な理由で増築されていき、家には巨大な施設群がくっついて光はそっちで過ごすことの方が多くなった。 見栄えも考えてあったが一般客のためのアトラクション的なものではなく、どちらかというと研究者や有識者のための学術的な場だった。プレゼンテーション用のスクリーンが完備されたホールなどがあり、そういう空間がよく学会などの発表の場として活用されていた。 屋内にも緑が多く、建物のあちこちに綺麗に水が通る自然の地形を生かした設計は訪問客にとても好評だった。光はその設計を初めて見たとき「フランク・ロイド・ライトの建築のよう」だとその美的感覚を絶賛していた。僕には光の話すことはよくわからなかった。 たまに光は訪れた有識者とオーナーの娘として知り合いになって気まぐれにしばらく楽しげに話し込み、「研究に興味を持って話を聞いてくれた。聡明な娘さんですね」と僕があとでお世辞を言われることもしばしばだった。 あの子をまだ小学生かその程度だと勘違いして買いかぶったのだろう。実年齢を聞けばきっとバケモノでも見るような顔をするに違いない。
あるとき施設の管理担当が一人の若い男に引き継がれる流れになった。 広くて全体を把握するのも難しいため、何人かの担当者にあちこち区分させて管理を任せていたけれど、その男は突然一人でやってきて簡単に屋内を歩いて巡ったあとで、仕事を一人で引き受けてしまった。 彼は僕と信頼関係を築くための必要最低限の世間話を応接間でしていった程度で、施設の現状の資料を一台のノートパソコンにおさめて帰っていった。定期的に訪れて微調整をすると言っていた。 彼が帰ったあとでよく思い出したら、この施設の初期の設計に携わった数人の建築家のうちの一人が彼だった。会ったのはこれが初めてだった。建設される当時はもっと年配の人間が責任者兼代表として僕に挨拶にきていた。 一人一人の年齢まで把握していなかった、まだあまりに若くて気づけなかったけれど、要は自分の設計した建物がようやく本人の管理下に落ち着いたということなのだろうか。
何より喜ばしかったのは、光がこの男に少しずつ惹かれていったことだ。 光と僕はそういう話はまったくしなかったが、僕から見たって一目瞭然だったし光も隠す気はないようだった。これまで迫られて了承する形でしか恋愛といったものに関われずにきた光が自分の意思で彼に迫るようになった。 それを十分確信したタイミングで僕は彼に光との縁談を持ちかけた。 光が世間的な常識人とうまく関係を築けるはずもない。接したところ彼はそのあたりをよく踏まえた常識的で賢明な人物であるように感じた。結婚してここを出ていこうが、必ず破綻して光がここへ出戻ってくることは明白だ、僕のもとへ。 光自身の無力と絶望的な精神的遅滞とを自分で痛感して、光は一生立ち直れないほどのひどい挫折体験を抱えて帰ってくるだろう。それが光にとっての外界へのイメージになるはずだ。光の中にある外界への憧れを光自身が望んで実行した行動と感情を基にして、折ることができる。 そのためには彼への恋愛感情がより強く揺るぎないものになればなるほどいいだろう。 僕は彼に感謝した。 病気でしかもどうしようもない世間知らずな娘を手厚く扶養する父親として、僕の立場はこれまでなんとかもってきていたのだから。
光視点
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soranisasuhana · 10 months
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   1  「これ捨てなかったんだ?」 『玄関』と書かれた段ボールから靴や折り畳み傘などを取り出していた時、早音はそれを見つけた。彼女はそれを、今までに何度も見たことがあったが、手に取ったのは初めてだった。四角形のアルミの枠に、潜水艦のよ���な形をした白い陶器がぶら下がっている。上部に一円玉ほどの大きさの穴を開けており、中は空洞のようだった。風貌どおり、持ってみると重みがあった。 「ねえ、これ」 早音は持ち主のところにそれを持って行った。用途も名称も見当がつかないので、直接見せるしかなかった。 「ああ、それ」持ち主は汗をぬぐいながら、ほほ笑んで言った。「それ、なんだと思う」 「え、なんだろう」 まず思い浮かんだのは、ビートルズのイエローサブマリンであった。さっきまでレコードの荷解きをしていたからかもしれない。しかしそれにしては、どうにも風格があった。ポップスバンドのファングッズには到底見えなかったし、もちろんイエローでもない。つまりそれくらい潜水艦のような形をしていた。 「それはね、人生だよ」 「なにそれ」  持ち主は来月、私の旦那になる予定の男だ。彼は得意げに「人の一生」と言ってまた笑った。こういう極端なことを言ってのけるユーモアが、彼にはあった。理屈っぽいところがたまにキズだが、それでもそんな彼が早音は好きだった。 「それは、捨てられないね」 早音もあえて、意地の悪い返答をした。 「実を言うと、俺もよく分からないんだ」 「何かの、記念品?」 「二十歳の誕生日に父親にもらったんだよ」 「これを?」 しかし納得はできた。なるほど、この引っ越しの前に彼が住んでいたワンルームにも、ずっと飾ってあったのはそういうわけか。 「親父そのとき、酔っぱらってそれを人生だって言ったのよ」 意味分からないよなと、彼は呆れた様子で荷解きを再開した。 「ふうん」  早音は先月、彼からプロポーズを受けた。そして二人はおよそ三年の交際期間を経て、結婚することになった。ところで早音の両親はというと、少し古風なところがあった。結婚するまでは同棲など認めてなるものかと、父親の方はいつも背中で二人を睨みつけた。しかし早音の婚約者は、そのような思想をまったく純粋に尊重した。とはいえ実際には、早音は彼のワンルームに入り浸っていたのだから、結局は同じことだったのだが。とにかく婚約を機に、早音たちは新居に引っ越してきたのである。  早音はその『人生』とやらを丁寧に持ち直して玄関に戻ると、まだ綺麗な靴棚の上に、そっと置いた。    2  「いいのよ早ちゃん、ゆっくりして」 早音が夕食の後片付けを手伝おうとすると、彼の母親に柔らかく遮られた。 「じゃあこれだけ」早音はテーブルの中央に置かれた丸い大皿を持って台所に運んだ。その大皿は立派な作りをしていた。描かれた花木は、先ほどまで盛られてあったご馳走に引けを取らないほど、鮮やかに彩っていた。「これ、すごいですね」 「重いでしょう。このお皿も昔は、スタメンだったのだけれど」 彼女はありがとうと言って受け取ると、手際よくシンクの中に重ねていく。 「今は違うんですか」 「だって私たち二人で、どうするのよ」 居間でくつろぐ自分の旦那を振り返りながら、彼女は笑った。 「確かに」 しかし、二人でどうすると言ってしまえば、この家にある全てがそうである気もした。二人で住むには広すぎるこの家での暮らしを、早音は想像する。昨日まで、そして明日からの彼女たちの暮らしは、どのようなものなのだろうか。 「でもその絵柄、すごくきれいです」 「いる?あげようか」 「やめとけやめとけ」割って入ってきたのは彼の父親だ。呑んでいた瓶ビールが空になったらしい。「古臭いよ」 「そんなこと、ないわよねえ」  早音はこの二人を見ていると、気持ちが穏やかになるのだった。こんな夫��になれたらいいなと、いつも憧れた。そして同時に、この家で育った婚約者のことを羨ましく思った。花柄の大皿を古臭いと一蹴する心の余裕が、自分の父親にも備わっていてほしかった。  その時ガタンと物音がして、三人がそれぞれ、合わない目を見合わせた。それは二階から聞こえてきた。 「ほらお父さん、手伝ってあげなさいよ」 洗い物で手がふさがっていた彼の母親は、顎で音の鳴った方向を示した。  二階では、彼が雨戸の修繕をしていた。先の台風の影響で、その立て付けが悪くなったという。被害はそれくらいで済んだと彼の母親は言ったが、近隣の土砂崩れが夕方のニュースで取り上げられるほど、雨風は強力なものだった。それの過ぎた朝方に、両親を心配した彼が電話をかけたところ、雨戸の一部が歪んでしまい開かなくなったと報告を受けたのだ。結婚の挨拶からいくつも経っていなかったが、二人はまた足を運ぶことにした。早音たちは彼の実家に来ていたのだった。  「そしたら、りんごを剥いてくれる?」 手伝いを制され逡巡する早音を見かねてか、彼の母親は提案した。かえって気を遣わせたかとも思ったが、その優しさを早音は素直に受け入れた。 「剥きます」 「でも良かった。新しい住まいの写真も見られたし」 「お義母さんたちも、無事で良かったです」 「来てくれて、ありがとうね」 早音はこの台所で初めて手伝いをしたときの、その情けなさを思い出していた。今ではりんごの皮はなめらかな一本の帯となって、静かにたたまれていく。早音はそれがこの家族との繋がりのように思えて、なんだか嬉しかった。 「古臭いなんて言ってたけどね、あの人。これ大事にしてたのよ」彼女は洗いものを一通り終えると、例の大皿についた水滴を丁寧に拭きながら言った。「子供たちが小さかったときまでは、和室に飾ってあったの」 「そうだったんですか」 「男って意味が分からないわよねえ」 早音は手元の作業をいったん中断して、彼女を見つめた。 「どうして?」 「だってそうでしょ、食べ物を乗せなきゃ。お皿なんだから」 それはどうにも拍子の抜けた台詞だったが、早音は妙に納得してしまった。ここは大げさに彼女の味方をすることにした。 「言われてみれば、意味が分からないですね」 二人は女学生のように、顔を寄せ合って、そして笑った。 彼の母親は大皿を食器棚の奥の方にしまい込みながら、こうも続けた。 「何のためにあるか分からなくても、なんとなく置いておくのもいいじゃないかって、変なことを言ってたわ」 「なんか深いですね」 「しまいには『これは人生だ』なんて、大げさよ」 早音は驚いた。つい最近、全く同じ言葉の並びを聞いたばかりだった。  ここまで順調に一本の帯を成していたりんごの皮は、あっけなく途切れてしまった。    3  玄関のベルが来客を知らせたのは、よく晴れた土曜日の昼下がりのことだ。新居に越して来てからというもの、訪ねてくるのは業者ばかりであったため、次はなんだろうと、早音たちは顔を見合わせた。そして今回の来客も予想通り、一箱の段ボールであった。ところがその送り主は意外にも、早音の母親であった。 「なんだろう」 大きさの割に軽いその段ボールをテーブルの上に置くと、二人は並んで座った。そしてかしこまったように、姿勢を正した。ゆっくりと中を開くと、そこに入っていたのはなんとも豪勢な花の束であった。 「すごいね」 「すごい」 早音はその美しい造形を崩さぬよう、丁寧に持ち上げた。優しい香りが、部屋の空気に溶けていく。花々は凛とし、それぞれが自分の役目を知っているかのように、朗らかに咲いていた。 「挨拶に行ったときに話した今日のこと、お義母さんたち覚えてたんだね」 「そうみたい」 その今日が、まさしく今日であった。とうとうこの日が来てしまった。『しまった』という言葉が、相応しくないことは分かっていたが、早音はやはり、この日について『来てしまった』と表現する自分を認めるしかなかった。  「この真ん中の赤い花、きれいだね」 そう言われて早音は、その中央にひと際目立つ花があることに気付いた。彼女はこの花のことをよく知っていた。そしてそれは父親の思い出と共に、早音の心の中にあった。まだ小さい頃、実家の庭にそれは咲いた。早音はなぜかその赤い色に惹かれて、来る日もただ眺めていた。その姿を不憫に思ったのか、父親がそれを鉢に植え替えてくれた。無言で土を掘り起こす父の背中が、やけに小さく見えたことを早音はよく覚えていた。 「帰りに花瓶を買おうね」 「うん」 「それじゃあ、行こうか」  今日は役所に婚姻届けを出しに行く日だ。しかし早音は、自分がなぜこんな気持ちになるのか分からなかった。彼の両親たちのような、あるいは自分の親でも、あんなふうに、二人で生きていけるのだろうか。不安の原因が彼にあるわけではないことも、それ以外の全てもまた無関係であることも、分かっていた。早音のこのような気持ちは、決して彼に悟られてはいけなかった。きっと彼の優しさは、何か気の利いた冗談で早音を慰めるに違いない。でもそれでは駄目だった。玄関を開けると、澄んだ風が部屋の中へ流れ込んだ。その眩しさに目が慣れると、空は澄んで輝いていた。 「そうだ」 彼がそう言ったのはその時だった。そして靴棚の上に飾られた白い陶器を手に取ると、ちょっと待って、と言いながら部屋の方へ戻っていく。 「忘れ物?」 早音は、差し込んだ光に照らされたその床や壁を見つめた。ここが帰る場所なのだ。外の方に向き直ると、秋の空を深く吸い込んだ。 「ほら見て」彼が戻ってきた。その手には、白い陶器に挿された一輪の赤い花があった。彼は笑って言った。「なんのためにあるか分からなかったけど、やっと意味が生まれたよ」  早音に先ほどまでの不安はもう無かった。涙が出ただろうか。しかしこれもまた、決して彼に悟られるわけにはいかなかった。 ...
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saginoya · 10 months
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   1  「これ捨てなかったんだ?」 『玄関』と書かれた段ボールから靴や折り畳み傘などを取り出していた時、早音はそれを見つけた。彼女はそれを、今までに何度も見たことがあったが、手に取ったのは初めてだった。四角形のアルミの枠に、潜水艦のような形をした白い陶器がぶら下がっている。上部に一円玉ほどの大きさの穴を開けており、中は空洞のようだった。風貌どおり、持ってみると重みがあった。 「ねえ、これ」 早音は持ち主のところにそれを持って行った。用途も名称も見当がつかないので、直接見せるしかなかった。 「ああ、それ」持ち主は汗をぬぐいながら、ほほ笑んで言った。「それ、なんだと思う」 「え、なんだろう」 まず思い浮かんだのは、ビートルズのイエローサブマリンであった。さっきまでレコードの荷解きをしていたからかもしれない。しかしそれにしては、どうにも風格があった。ポップスバンドのファングッズには到底見えなかったし、もちろんイエローでもない。つまりそれくらい潜水艦のような形をしていた。 「それはね、人生だよ」 「なにそれ」  持ち主は来月、私の旦那になる予定の男だ。彼は得意げに「人の一生」と言ってまた笑った。こういう極端なことを言ってのけるユーモアが、彼にはあった。理屈っぽいところがたまにキズだが、それでもそんな彼が早音は好きだった。 「それは、捨てられないね」 早音もあえて、意地の悪い返答をした。 「実を言うと、俺もよく分からないんだ」 「何かの、記念品?」 「二十歳の誕生日に父親にもらったんだよ」 「これを?」 しかし納得はできた。なるほど、この引っ越しの前に彼が住んでいたワンルームにも、ずっと飾ってあったのはそういうわけか。 「親父そのとき、酔っぱらってそれを人生だって言ったのよ」 意味分からないよなと、彼は呆れた様子で荷解きを再開した。 「ふうん」  早音は先月、彼からプロポーズを受けた。そして二人はおよそ三年の交際期間を経て、結婚することになった。ところで早音の両親はというと、少し古風なところがあった。結婚するまでは同棲など認めてなるものかと、父親の方はいつも背中で二人を睨みつけた。しかし早音の婚約者は、そのような思想をまったく純粋に尊重した。とはいえ実際には、早音は彼のワンルームに入り浸っていたのだから、結局は同じことだったのだが。とにかく婚約を機に、早音たちは新居に引っ越してきたのである。  早音はその『人生』とやらを丁寧に持ち直して玄関に戻ると、まだ綺麗な靴棚の上に、そっと置いた。    2  「いいのよ早ちゃん、ゆっくりして」 早音が夕食の後片付けを手伝おうとすると、彼の母親に柔らかく遮られた。 「じゃあこれだけ」早音はテーブルの中央に置かれた丸い大皿を持って台所に運んだ。その大皿は立派な作りをしていた。描かれた花木は、先ほどまで盛られてあったご馳走に引けを取らないほど、鮮やかに彩っていた。「これ、すごいですね」 「重いでしょう。このお皿も昔は、スタメンだったのだけれど」 彼女はありがとうと言って受け取ると、手際よくシンクの中に重ねていく。 「今は違うんですか」 「だって私たち二人で、どうするのよ」 居間でくつろぐ自分の旦那を振り返りながら、彼女は笑った。 「確かに」 しかし、二人でどうすると言ってしまえば、この家にある全てがそうである気もした。二人で住むには広すぎるこの家での暮らしを、早音は想像する。昨日まで、そして明日からの彼女たちの暮らしは、どのようなものなのだろうか。 「でもその絵柄、すごくきれいです」 「いる?あげようか」 「やめとけやめとけ」割って入ってきたのは彼の父親だ。呑んでいた瓶ビールが空になったらしい。「古臭いよ」 「そんなこと、ないわよねえ」  早音はこの二人を見ていると、気持ちが穏やかになるのだった。こんな夫婦になれたらいいなと、いつも憧れた。そして同時に、この家で育った婚約者のことを羨ましく思った。花柄の大皿を古臭いと一蹴する心の余裕が、自分の父親にも備わっていてほしかった。  その時ガタンと物音がして、三人がそれぞれ、合わない目を見合わせた。それは二階から聞こえてきた。 「ほらお父さん、手伝ってあげなさいよ」 洗い物で手がふさがっていた彼の母親は、顎で音の鳴った方向を示した。  二階では、彼が雨戸の修繕をしていた。先の台風の影響で、その立て付けが悪くなったという。被害はそれくらいで済んだと彼の母親は言ったが、近隣の土砂崩れが夕方のニュースで取り上げられるほど、雨風は強力なものだった。それの過ぎた朝方に、両親を心配した彼が電話をかけたところ、雨戸の一部が歪んでしまい開かなくなったと報告を受けたのだ。結婚の挨拶からいくつも経っていなかったが、二人はまた足を運ぶことにした。早音たちは彼の実家に来ていたのだった。  「そしたら、りんごを剥いてくれる?」 手伝いを制され逡巡する早音を見かねてか、彼の母親は提案した。かえって気を遣わせたかとも思ったが、その優しさを早音は素直に受け入れた。 「剥きます」 「でも良かった。新しい住まいの写真も見られたし」 「お義母さんたちも、無事で良かったです」 「来てくれて、ありがとうね」 早音はこの台所で初めて手伝いをしたときの、その情けなさを思い出していた。今ではりんごの皮はなめらかな一本の帯となって、静かにたたまれていく。早音はそれがこの家族との繋がりのように思えて、なんだか嬉しかった。 「古臭いなんて言ってたけどね、あの人。これ大事にしてたのよ」彼女は洗いものを一通り終えると、例の大皿についた水滴を丁寧に拭きながら言った。「子供たちが小さかったときまでは、和室に飾ってあったの」 「そうだったんですか」 「男って意味が分からないわよねえ」 早音は手元の作業をいったん中断して、彼女を見つめた。 「どうして?」 「だってそうでしょ、食べ物を乗せなきゃ。お皿なんだから」 それはどうにも拍子の抜けた台詞だったが、早音は妙に納得してしまった。ここは大げさに彼女の味方をすることにした。 「言われてみれば、意味が分からないですね」 二人は女学生のように、顔を寄せ合って、そして笑った。 彼の母親は大皿を食器棚の奥の方にしまい込みながら、こうも続けた。 「何のためにあるか分からなくても、なんとなく置いておくのもいいじゃないかって、変なことを言ってたわ」 「なんか深いですね」 「しまいには『これは人生だ』なんて、大げさよ」 早音は驚いた。つい最近、全く同じ言葉の並びを聞いたばかりだった。  ここまで順調に一本の帯を成していたりんごの皮は、あっけなく途切れてしまった。    3  玄関のベルが来客を知らせたのは、よく晴れた土曜日の昼下がりのことだ。新居に越して来てからというもの、訪ねてくるのは業者ばかりであったため、次はなんだろうと、早音たちは顔を見合わせた。そして今回の来客も予想通り、一箱の段ボールであった。ところがその送り主は意外にも、早音の母親であった。 「なんだろう」 大きさの割に軽いその段ボールをテーブルの上に置くと、二人は並んで座った。そしてかしこまったように、姿勢を正した。ゆっくりと中を開くと、そこに入っていたのはなんとも豪勢な花の束であった。 「すごいね」 「すごい」 早音はその美しい造形を崩さぬよう、丁寧に持ち上げた。優しい香りが、部屋の空気に溶けていく。花々は凛とし、それぞれが自分の役目を知っているかのように、朗らかに咲いていた。 「挨拶に行ったときに話した今日のこと、お義母さんたち覚えてたんだね」 「そうみたい」 その今日が、まさしく今日であった。とうとうこの日が来てしまった。『しまった』という言葉が、相応しくないことは分かっていたが、早音はやはり、この日について『来てしまった』と表現する自分を認めるしかなかった。  「この真ん中の赤い花、きれいだね」 そう言われて早音は、その中央にひと際目立つ花があることに気付いた。彼女はこの花のことをよく知っていた。そしてそれは父親の思い出と共に、早音の心の中にあった。まだ小さい頃、実家の庭にそれは咲いた。早音はなぜかその赤い色に惹かれて、来る日もただ眺めていた。その姿を不憫に思ったのか、父親がそれを鉢に植え替えてくれた。無言で土を掘り起こす父の背中が、やけに小さく見えたことを早音はよく覚えていた。 「帰りに花瓶を買おうね」 「うん」 「それじゃあ、行こうか」  今日は役所に婚姻届けを出しに行く日だ。しかし早音は、自分がなぜこんな気持ちになるのか分からなかった。彼の両親たちのような、あるいは自分の親でも、あんなふうに、二人で生きていけるのだろうか。不安の原因が彼にあるわけではないことも、それ以外の全てもまた無関係であることも、分かっていた。早音のこのような気持ちは、決して彼に悟られてはいけなかった。きっと彼の優しさは、何か気の利いた冗談で早音を慰めるに違いない。でもそれでは駄目だった。玄関を開けると、澄んだ風が部屋の中へ流れ込んだ。その眩しさに目が慣れると、空は澄んで輝いていた。 「そうだ」 彼がそう言ったのはその時だった。そして靴棚の上に飾られた白い陶器を手に取ると、ちょっと待って、と言いながら部屋の方へ戻っていく。 「忘れ物?」 早音は、差し込んだ光に照らされたその床や壁を見つめた。ここが帰る場所なのだ。外の方に向き直ると、秋の空を深く吸い込んだ。 「ほら見て」彼が戻ってきた。その手には、白い陶器に挿された一輪の赤い花があった。彼は笑って言った。「なんのためにあるか分からなかったけど、やっと意味が生まれたよ」  早音に先ほどまでの不安はもう無かった。涙が出ただろうか。しかしこれもまた、決して彼に悟られるわけにはいかなかった。 ...
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harinezutaka · 11 months
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二年前日記29(2021年7/16〜7/22)
7月16日  仕事の日。暇だー。もう、週一ぐらいに減らした方がいいのではなかろうか。もう少し働きたいけどはたして仕事あるのだろうか。かろうじて、仕上げてしまわないといけないものがひとつあるにはあるが、それも待ちの状態。帰りに明石で降りて、コンタクトレンズを買いに行く。本屋さんで雑誌を2冊買って、カフェで読んだ。一冊は、マタニティ用の雑誌。何となく買う勇気が出ないでいたが、買ってみるととても役立つ情報がたくさんあり、買ってよかったなと思った。晩ご飯は、串カツ田中で串カツの持ち帰り、あとはあるものを適当に。『コントが始まる』最終話を見る。良いドラマであった。
7月17日 朝、夫を車で職場に送る。今日は日中私が車を使うので。帰りにコンビニに寄り、新聞と食材などを買う。帰ってから新聞を読んだり読書したり。洗濯をして、ダメになりかけの野菜を冷凍した。お昼からKちゃんとランチ。実家の近くにできたレストランに行った。少し早めに着いたが外で待っててくださいとのこと。12時に3組がカウンターに並ぶ。同じタイミングで料理が出てくる。ワンドリンク付きのコースをお願いにた。お造り、すじどて煮、鯛の包み焼き、鯛の出汁茶漬け、デザートはとうもろこしのブリュレ。どれもこれも凝っていてとても美味しかった。お腹はいっぱいだったのだけど、移動して引き続きお茶しながら話した。赤ちゃんのこと、何度も「楽しみだね」と言ってくれた。近々、共通の同級生に会う約束があるらしく、その子にも言ってもいいかと聞かれ嫌とも言えなかったが、あまり広まらないで欲しい気持ちもある。無人の餃子屋さんができていて、お互い気になっていたので買いに行った。自動販売機みたいなのかなと思ったら、冷蔵庫とお賽銭箱みたいなのが置いてあるだけだった。面白いなぁ。帰宅後、近所のひとにお届け物をして、夫を迎えに行く。近くのショッピングセンターで県知事選の投票をした。晩ご飯は、CoCo壱でカレー。私はミニサイズのほうれん草カレー、夫はカレーうどん。チキンサラダも食べる。CoCo壱こんなに美味しかったっけ?と思うほど美味しかった。
7月18日 梅雨明けしたみたいなので、カーテンなども洗ってしまう。太陽バンザイだ。掃除、読書、昼寝。夕方、少し散歩に行く。晩ご飯は、昨日買ってきた餃子、余った春巻きの皮で作った明太子とじゃがいものピザ、トマトサラダ。県知事選は、保守分裂で維新が応援している候補が当選した。
7月19日 今日もカーテンを洗う。掃除のあと朝、二人で鍼へ。終わってからサイゼリヤに行った。アスパラガスの冷製スープ、自分で作るサンドイッチ、ミラノ風ドリア、きのことアンチョビのピザ。帰宅後、少し昼寝のつもりががっつり寝てしまった。晩ご飯は、麩チャンプルー、椎茸と揚げのすまし汁、タコキムチ、胡瓜のキューちゃん漬け。夫は久しぶりの夜勤。句会の選句、本の整理などする。友達づたいに妊娠のことを聞いた友人から、色々譲ってくれるという連絡がきた。ありがたいが置く場所どうするんだ問題が切実。
7月20日 仕事の日。同僚もすることがなさそうで、研修の動画を見ていた。私は、待っていた書類が届いたので、ひとつ仕事が前に進んだ。帰宅後、シャワーして、少し休憩。今日も暑くて熱中症気味。眠くて眠くて仕方ない。ご飯は、焼いた鶏肉(買ってきた)、焼き野菜、玉ねぎのスープ。今日は子がもにょもによ動くのが感じられなくて少し心配になる。全くないわけではないので大丈夫だと思う。
7月21日 仕事の日。人は何歳からでも変われるのだろうか?みたいなことが話題になった。小山田氏のこととかも。いろいろ話して、久々に人と繋がれた感覚があった。帰り、実家に寄る。ゴーヤチャンプルーを作ってくれる。まだ実家に置いたままの荷物(本とか)を少しずつ持って帰っている。晩ご飯は、鮭の味噌漬け、ゴーヤチャンプルー、ラタ��ゥイユ。気がついたら寝てしまっていた。
7月22日 誕生日。40歳になった。夫は夜勤明けでまだ21日モードのようで、朝は特に何もなく、昼起きた時に「お誕生日おめでとう」と言ってくれた。ニューバランスの靴とビームスの長袖のバスクシャツを買ってくれた。「誕生日に合わせると夏ものばかりになっちゃうので」って。いろいろ考えてくれていて嬉しい。メールをもらったり、プレゼントが届いたり。Nちゃんからは益子焼きの風鈴が。いつも素敵なものを探してくれる。嬉しいことがたくさんあったのに、とてもモヤモヤしてるのは小林さん解任のことがあったからだろう。苦しい。晩ご飯は夫が作ってくれた。オイシックスのキットの、唐揚げサラダとナスの副菜。
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japanpromos · 1 year
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【JapanPromos】宅配買取サービスのおすすめ16選!お洋服からブランド品、本・漫画、ゲーム・DVD、おもちゃ・フィギュアまで何でも売れる!
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宅配買取サービスは、手軽に不要なアイテムを売ることができる便利な方法です。お洋服やブランド品、本・漫画、ゲーム・DVD、おもちゃ・フィギュアなど、さまざまなアイテムを簡単に買取してもらえます。
今回JapanPromosでは、おすすめの宅配買取サービスを16選紹介し、それぞれの特徴や手続き方法を解説します。さらに、売りたいアイテムの選び方や買取価格の比較方法などもご紹介します。ぜひ参考にして、スムーズな宅配買取を楽しんでください!
宅配買取の選び方
宅配買取の選び方には、以下のようなポイントがあります。
査定方法
一点ごとに査定する方法と、重さで査定する方法があります。一点ごとに査定する方法は精度が高く、商品に合った査定が行えますが、時間がかかる場合があります。重さで査定する方法は安い服や難あり商品を買い取ってもらえますが、価格が安くなる場合があります。
手数料
送料やキャンセル料、返送料などの手数料が無料の業者を選ぶとお得です。また、振込手数料も無料の業者を選ぶと良いでしょう。
宅配キット
ダンボールや梱包材などの宅配キットを無料で送ってくれる業者を選ぶと、自分で準備する手間が省けます。また、梱包キットを使うと、商品が破損しないようにしっかりと梱包できます。
事前査定
買取価格の目安を知ってから買取を申し込みたい場合は、WEBか電話での無料事前査定の利用がおすすめです。事前査定を利用すると、買取金額に納得できるかどうか判断できます。
支払いまでの日数
申し込みから買取金額を受け取るまで期間が長い業者もあります。早く現金化したい場合は、支払いまでの日数が短い業者を選ぶと良いでしょう。
宅配買取サービスは多くの業者がありますが、自分の売りたい商品や利用目的に合わせて選ぶことが大切です。
何でも買取サービス
Recommerce(リコマース)
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Recommerce(リコマース)は、家電やブランド品、洋服など幅広いジャンルの商品を買取してくれるサービスです。送料や手数料は無料で、事前査定も可能です。また、Amazonで提供している宅配買取サービスでAmazonギフト券での受け取り方法となります。
リコマースでは取り扱っていない商品の中には安価なブランド衣類、1,000円以下の雑貨が苦手商品で送っても買取の対象外で、ご注意ください。
リコマースクーポン・キャンペーン情報はこちらへ
2nd STREET(セカンドストリート)
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2nd STREET(セカンドストリート)は、古着やブランド品、家電、ホビーなど幅広い買取品目に特化したサービスです。金券や楽器、雑誌なども買い取ってくれるサービスです。送料や手数料は無料で、ダンボールも10箱まで無料で送ってくれます。また、初めて利用する方は、初回限定のお得なクーポンで買取金額がアップとなります。
セカンドストリートクーポン・キャンペーン情報はこちらへ
洋服の宅配買取
TreFacStyle(トレファクスタイル)
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TreFacStyle(トレファクスタイル)は、古着や靴、バッグなど幅広い買取を行っているサービスです。ラグジュアリーだけでなく、オフィスカジュアルやスポーツ・アウトドア、ベージック、ヴィンテージなどのジャンル・ブランドも対応できます。
送料や手数料は無料で、査定額に納得できなければ返送料も無料です。また、初回の他に、定期的に対象ブランドやカテゴリーなどの買取金額アップキャンペーンが魅力の一つです。
ただし、一回お申し込みには商品10点以上からご利用可能、査定期間が7~8日ほどですのでご注意ください。
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Kindal(カインドオル)
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Kindal(カインドオル)は、ブランド品や古着を高価買取してくれるサービスです。お客様のお手持ちの紙袋やダンボールにお品物を詰めますが、往復送料や査定・振込手数料・キャンセル料が一切無料です。査定額が商品の状態によって異なり、付属品またはタグや箱・袋・説明書など付いてる場合は金額がアップになります。
査定期間は商品によって異なり(到着から最短3営業日)、買取達成の場合は最短翌営業日(銀行の営業日)に振り込みます。
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子供服の買取・販売キャリーオン
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子供服の買取・販売キャリーオンでは、子供服や子供用品の専門買取サービスがあります。往復送料や手数料が無料で、査定額に納得できなければ返送料も無料です。
子供服の買取として「着払いコース(20点以上)」と「元払いコース(19点以下)」があり、季節外の服でも買取可能です。査定完了後に、買取達成の場合はキャリーオンポイント・Amazonギフト券・LINE Pay・現金振込での受取方法をご選択可能です。
査定期間は随時更新ですが、通常、商品到着から即日~10日程となります。
無料の発送キットは着払いコース(20点以上)のみ対応しますのでご注意ください。
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高額商品・ブランド品の買取
EcoRing(エコリング)
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エコリングは、ブランド品や貴金属などの不用品の買取サービスです。特に、エコリングでは使い古したバッグや財布などが破れても、汚れても大歓迎です。商品の状態によって査定期間が異なりますが、いち早くメールへの連絡となります。
無料宅配キットをオンラインまたは電話で申し込む可能で、送料や手数料が無料、納得しなくも無料で返送します。段ボール箱、ガムテープなど梱包キットは無料サービスしてもらえます。
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BRAND COLLECT(ブランドコレクト)
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ブランドコレクトは、ブランド古着のみの宅配買取サービスです。1回お申し込みの際に5点以上でご利用可能になります。宅配キット&往復送料が無料、買取確認後に最短2営業日以内に銀行振込やLINE Payなどでの入金。
取り扱っていないもの
子供服、マタニティ、古いビジネスアイテム
2年以上経過した服、服飾以���のアイテム
状態が悪いもの
下着、水着、雑誌の付録、偽造品
高額買取可能なブランド
ウォッチ&ジュエリー
スーパーブランド
インポート
ドメスティック
ストリート
セレクトカジュアル
スポーツ&アウトドア
その他、ヴィンテージ、ワーク、キャリア、ビジネスブランドも大歓迎
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古着買取王国
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古着買取王国は、古着やバッグ、シューズなどブランド品を強化して買い取りしています。査定・往復送料・振込手数料・キャンセル料などすべて無料です。また、対象ブランドや商品が特別買取UPキャンペーンがあり、WEBでのお申し込みなら査定金額3,000円ごとに1,000円アップになります。
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BUYSELL(バイセル)
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BUYSELL(バイセル)は、着物や切手、金や宝石などの貴金属、時計やお酒などの幅広い品物を買い取りできるサービスです。24時間365日受付中・携帯からも受付、宅配キット・送料・査定料・振込手数料が無料です。査定確認後に即日入金ですが、返送ご希望の場合は返送料がお客様の負担となります。
BUYSELLクーポン・キャンペーン情報はこちらへ
家電・スマホ・タブレット・PC・MacBookの宅配買取
Mac買取ネット
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Mac買取ネットは、MacBookやiMacやMacの周辺機器の製品が買い取りできるサービスです。Macの専門買取として高価買取が期待でき、中古品や小商品、カスタマイズしたMacも買取対象です。ご希望の場合、Macのサイズに合わせた梱包資材を無料で提供しています。
送料・査定料・振込手数料が無料、査定結果に納得したら、最短48時間以内で入金、納得できない場合は返送料の自己負担で返送されます。
Mac買取ネットクーポン・キャンペーン情報はこちらへ
ゲオの買取
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ゲオの買取は、ゲオ公式オンラインショップから申し込める宅配買取サービスです。
ゲオ買取ではゲームやDVD、ブルーレイ、CD、スマホ、タブレット、iPod、家電、パソコンなどを買取対象となり、送料・査定料・振込手数料が無料、査定金額に納得しなくても無料で返送となります。
ゲオ買取クーポン・キャンペーン情報はこちらへ
本・漫画やゲーム・DVD、おもちゃ・フィギュアの買取
ネットオフ
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ネットオフは、本・ゲーム・DVD・CDから、ブランド品、家電、楽器など幅広いジャンルの商品を買取しているサービスっです。買取箱・送料・査定料・振込手数料が無料です。査定金額に納得したら、最短2日で振り込みます。査定金額に納得しなくても返送料は無料となります。
ネットオフクーポン・キャンペーン情報はこちらへ
また、ネットオフでは「もえたく」で、可愛いフィギュアを売ることができます。買取アップキャンペーンが充実、または愛情のあるフィギュアを売るなら査定金額がUPとなります。
もえたくクーポン・キャンペーン情報はこちらへ
フィギュア買取ネット
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フィギュア買取ネットの宅配買取とは、フィギュアやドール、超合金、プラモデルなどを自宅から送って買い取ってもらうサービスです。
特徴は買取箱や往復送料・振込手数料が完全に無料、査定金額が最短2営業日以内に入金されます。フィギュア買取ネットでは限定品・品薄・人気商品が買取特化し、まとめてお売りの場合は査定金額が大幅に上乗せとなります。
フィギュア買取ネットクーポン・キャンペーン情報はこちらへ
カイトリワールド
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カイトリワールドは、ゲーム・フィギュア・鉄道模型・ホビーなど専門の宅配買取サービスです。同じく・宅配キット・往復送料・査定料・振込手数料が無料となります。お品物が到着から5日間以内に査定完了の保証付き、買取承認の場合は当日に振り込みます。カイトリワールドでは、商品の状態や需要によって買取価格が変動しますので、売りたいものがあるならお早めに!
カイトリワールドクーポン・キャンペーン情報はこちらへ
専門書アカデミー
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専門書アカデミーは、大学の教科書や専門書、医学書など専門性が高い書籍を買い取りできる宅配サービスです。全国で送料・返送料が無料、お申し込みで集荷キットのプレゼントで受け取れます。買い取りしてほしい書籍の本体だけでなく、書き込みの記名やカバーなどと一緒に梱包するなら査定金額がアップ!査定確認後、お申し込んだフォームに応じて銀行振込やAmazonギフト券や現金や買取金額3%UPのe-GIFTで受け取れます。
専門書アカデミーでは、定期的にお得なキャンペーンが開催し、買取UPクーポンをご利用でご書籍の価格が上乗せとなります。お楽しみください!
専門書アカデミークーポン・キャンペーン情報はこちらへ
ECOSTORE Records(エコストアレコード)
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ECOSTORE Records(エコストアレコード)は、レコードやオーディオ、CDなどを買い取ってもらうサービスです。日本全国のレコード宅配買取サービスであり、段ボール箱、ガムテープなど梱包キットは無料サービスを提供しています。高価買取の他に、一部の商品が買取アップキャンペーンが開催中です。
エコストアレコードクーポン・キャンペーン情報はこちらへ
まとめ
宅配買取サービスは、現代の忙しい生活に合わせた便利な買取方法として注目されています。この記事では、カテゴリーに特化した宅配買取サービスをご紹介しました。
衣類から家電まで、手軽に商品を買い取ってもらえる魅力的なサービスです。各サービスの特徴や査定基準を比較し、自分に合ったサービスを選びましょう。
また、多くの会社はお品物の他に、サービス利用者の身分証やお品物の証明など条件が必要となります。お申込前にご確認ください。 お部屋を片付けるために、宅配買取の他に、保管サービスもご参考になります。
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kl-na · 2 years
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2022/9/3 (土) - 辛国社、おみくじ、燻製とレバーペースト、自治会
今日は案内所。母はショートステイ。前回のショートステイが8月6日だったから、約1か月ぶりだ。迎えは9時前だから、自分が先に家を出た。
午前は晴れ。もっとも、沖縄付近にある台���の影響で、最近は天気予報があまりあてにならない。今後、急な雨もあり得る。
夏休み期間が終わり、案内所周辺の人出は少なめ。9月1~2日の平日の記録を見ると、さらに人が少ない。本格的な秋の観光シーズンが来るまでは、少し弛緩した日々になるのだろうか。
昼休み。いつもならパンとサラダで済ませることが多かったのだが、今日は弁当。…と言っても、冷凍おにぎりにした余りもののご飯と余りもののおかずを詰め合わせただけ。 昼食をパンにしていたのは、前日から準備しておけるのと、普段米食が多いので目先を変えたいという二つの理由から。弁当にして確かに準備は慌ただしくなったが、いつものパンと違うという点で目先は変わった。安上がりだし、悪くはない。
弁当を食べ終えて、外を歩く。 東大寺内の辛国社というところをお参りした。久しぶり。
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東大寺創建時、作業の邪魔をする天狗を改心させた際に造られたお社との言い伝えがある。古くは天狗社と呼ばれていたそうな。大きな法会の際には、このお社で「正法護持を祈る」ことになっている。
天狗に由来するお社だけあって、拝殿内の提灯にも、天狗の羽うちわが描かれていた。
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そして、おみくじが置かれていた (下の写真のお賽銭箱の左横)。
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自分で引き、番号と突き合わせて運勢を知るスタイル。せめてお賽銭をと思ったが、昼休みにつき財布を持ってきていなかった。…うむ、また改めてお賽銭を上げに来ます。
さて、引いてみた結果は「七」。拝殿内の掲示を見ると……
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第七は「凶」。「思うこと成さんと色々工夫すれども妨げありてのぞみ事かなわず」だそうである……。まあ、当たっちゃいるか。
運勢の掲示のそばには、ヤモリがいた。
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ヤモリは漢字で「家守」と書くのが一般的だが、「宮守」「守宮」と書くこともあるらしい。なるほど、お宮を守っていると見える。
辛国社を辞す。 近くのお土産屋さんに、ぬんちゃくが売られていた。安い。
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午後の業務。雨が降ってきたので、人出も細る。案内所のSNSに辛国社のこと��アップしたりなどして過ごす。
業務終了。今日は自治会の役員会もあるので、外で食べて帰ることにする。 路地裏にある洋風居酒屋(?)で、ワイン、レバーペースト、燻製三種 (タコ、合鴨、チーズ) をいただいた。
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こくのあるレバーペーストが美味しかった。タコの燻製も美味で、ワインによく合う。合鴨の燻製は生感がかなり強いが悪くない。片やチーズはあまりスモークを感じられず。
総じて満足感は高いのだが、値段も (自分が想定していたより) 高かった。ネット情報など見ていたのだが、昨今の情勢からか、そこで見た値段から跳ね上がっていたようだ。 …これは、オフィシャルの情報をちゃんと見ていなかった自分が悪いな。
食べている途中、激しい雨音と雷が聞こえて来た。警報も出ている。 …んー、これは。 小一時間で落ち着くだろうが、そうすると自治会に間に合わない。濡れるのを覚悟で早めに帰るほかなさそうだった。
お会計をしてもらい、豪雨の中、駅へ向かう。靴は完全に水に浸かってグチョグチョである。…いやはや。
自治会までの半端な空き時間をうまく使ってお店を開拓しつつ小腹を満たすつもりだったが、色々と巡り合わせが悪かった。まさに、おみくじの「思うこと成さんと色々工夫すれども妨げありてのぞみ事かなわず」だ。
帰宅後、身繕いなどしてから自治会役員会。 議題はあまり多くなく、比較的短めに終わった。
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新型コロナ。9/3午前 (日本時間) の時点で死者数増加が、アメリカ310人弱、インド30人強、ブラジル130人強、ロシア90人強、メキシコ40人強、イギリス30人強、フランス60人弱、イタリア90人強、ドイツ120人。 世界全体での今日1日の感染者数は、562,000人強の増加。
日本では、今日一日で感染者123100人増加、死者288人増加。感染者数は、東京12561人、大阪9385人、神奈川6196人、愛知8790人、福岡5685人、北海道5276人、沖縄2024人。奈良の感染者数は1201人。 (出典: Worldometer、NHK)
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aa-labo · 2 years
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おはようございます。 飛香台の家|愛知県常滑市 玄関からダイニングを見る。 #玄関 #造り付け靴箱 #アウトセット引戸 #コンクリ土間 #常滑市 #青木昌則建築研究所 https://www.instagram.com/p/ChA-hOBvsvB/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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petapeta · 3 years
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「次室士官心得」 (練習艦隊作成、昭和14年5月) 第1 艦内生活一般心得 1、次室士官は、一艦の軍規・風紀の根源たることを自覚し、青年の特徴元気と熱、純  真さを忘れずに大いにやれ。 2、士官としての品位を常に保ち、高潔なる自己の修養はもちろん、厳正なる態度・動  作に心掛け、功利打算を脱却して清廉潔白なる気品を養うことは、武人のもっとも  大切なる修業なり。 3 宏量大度、精神爽快なるべし。狭量は軍隊の一致を破り、陰欝は士気を沮喪せし  む。忙しい艦務の中に伸び伸びした気分を忘れるな。細心なるはもちろん必要なる  も、「コセコセ」することは禁物なり。 4 礼儀正しく、敬礼は厳格にせよ。次室士官は「自分は海軍士官の最下位で、何に  も知らぬのである」と心得、譲る心がけが必要だ。親しき仲にも礼儀を守り、上の   人の顔を立てよ。よからあしかれ、とにかく「ケプガン(次室士官室の長)を立てよ。 5 旺盛なる責任観念の中に常に生きよ。これは士官としての最大要素の一つだ。命令を下し、もしくはこれを伝達す  る場合はは、必ずその遂行を見届け、ここに初めてその責任を果したるものと心得べし。 5 犠牲的精神を発揮せよ、大いに縁の下の力持ちとなれ。 6 次室士官時代はこれからが本当の勉強時代、一人前になり、わがことなれりと思うは大の間違いなり。 7、次室士官時代はこれからが本当の勉強時代、一人前にをり、わがことなれりと思うは大の間違いなり。公私を誤  りたるくそ勉強は、われらの欲せざるところなれども、学術方面に技術方面に、修練しなければならぬところ多し。  いそがしく艦務に追われてこれをないがしろにするときは、悔いを釆すときあり。忙しいあいだにこそ、緊張裡に修  業はできるものなり。寸暇の利用につとむべし。   つねに研究問題を持て。平素において、つねに一個の研究問題を自分にて定め、これにたいし成果の捕捉につと  め、一纏めとなりたるところにてこれを記しおき、ひとつひとつ種々の問題にたいしてかくのごとくしおき、後となり   てふたたびこれにつきて研究し、気づきたることを追加訂正し、保存しおく習慣をつくれば、物事にたいする思考力  の養成となるのみならず、思わざる参考資料をつくり得るものなり。 8、少し艦務に習熟し、己が力量に自信を持つころとなると、先輩の思慮円熟をるが、かえって愚と見ゆるとき来るこ  とあるべし、これすなわち、慢心の危機にのぞみたるなり。この慢心を断絶せず、増長に任じ人を侮り、自ら軽ん   ずるときは、技術・学芸ともに退歩し、ついには陋劣の小人たるに終わるべし。 9、おずおずしていては、何もできない。図々しいのも不可なるも、さりとて、おずおずするのはなお見苦しい。信ずる  ところをはきはき行なって行くのは、われわれにとり、もっとも必要である。 10、何事にも骨惜L誤をしてはならない。乗艦当時はさほどでもないが、少し馴れて来ると、とかく骨惜しみをするよう  になる。当直にも、分隊事務にも、骨惜しみをしてはならない。いかなるときでも、進んでやる心がけか必要だ。身  体を汚すのを忌避するようでは、もうおしまいである。 11、青年士官は、バネ仕掛けのように、働かなくてはならない。上官に呼ばれたときには、すぐ駆け足で近づき、敬  礼、命を受け終わらば一礼し、ただちにその実行に着手するごとくあるべし。 12、上官の命は、気持よく笑顔をもって受け、即刻実行せよ。いかなる困難があろうと、せっかくの上陸ができなか   ろうと、命を果たし、「や、御苦労」と言われたときの愉快きはなんと言えぬ。 13、不関旗(他船と行動をともにせず、または、行動をともにできないことを意味する信号旗。転じてそっぽを向くこと  をいう)を揚げるな。一生懸命にやったことについて、きびしく叱られたり、平常からわだかまりがあったりして、不  関旗を揚げるというようなことが間々ありがちだが、これれは慎むべきことだ。自惚があまり強過ぎるからである。  不平を言う前に已れをかえりみよ。わが慢心増長の鼻を挫け、叱られるうちが花だ。叱って下さる人もなくなった   ら、もう見放されたのだ。叱られたなら、無条件に有難いと思って間違いはない。どうでも良いと思うなら、だれが  余計な憎まれ口を叩かんやである。意見があったら、陰で「ぷつぷつ」いわずに、順序をへて意見具申をなせ。こ  れが用いらるるといなとは別問題。用いられなくとも、不平をいわず、命令には絶対服従すべきことはいうまでもな  し。 14、昼間は諸作業の監督巡視、事務は夜間に行なうくらいにすべし。事務のいそがしいときでも、午前午後かならず  1回は、受け特ちの部を巡視すべし。 15、「事件即決」の「モツトー」をもって、物事の処理に心がくべし。「明日やろう」と思うていると、結局、何もやらずに  沢山の仕事を残し、仕事に追われるようになる。要するに、仕事を「リード」せよ。 16、なすべき仕事をたくさん背負いながら、いそがしい、いそがしいといわず片づければ、案外、容易にできるもので   ある。 17、物事は入念にやれ。委任されたる仕事を「ラフ」(ぞんぎい〕にやるのは、その人を侮辱するものである。ついに    は信用を失い、人が仕事をまかせぬようになる。また、青年士官の仕事は、むずかしくて出来ないというようなも   のはない。努力してやれば、たいていのことはできる。 18、「シーマンライク」(船乗りらしい)の修養を必要とす。動作は「スマート」なれ。1分1秒の差が、結果に大影響を    あたえること多し。 19、海軍は、頭の鋭敏な人を要するとともに、忠実にして努力精励の人を望む。一般海軍常識に通ずることが肝要、   かかることは一朝一夕にはできぬ。常々から心がけおけ。 20 要領がよいという言葉もよく聞くが、あまりよい言葉ではない。人前で働き、陰でずべる類いの人に対する尊称    である。吾人はまして裏表があってはならぬ。つねに正々堂々とやらねばならぬ。 21、毎日各室に回覧する書類(板挟み)は、かならず目を通し捺印せよ。行動作業や当直や人事に関するもので、    直接必要なる事項が沢山ある。必要なことは手帖に抜き書きしておけ。これをよく見ておらぬために、当直勤務   を間違っていたり、大切な書類の提出期目を誤ったりすることがある。 22、手帖、「パイプ」は、つねに持っておれ。これを自分にもっとも便利よきごとく工夫するとよい。 23、上官に提出する書類は、かならず自分で直接差し出すようにせよ。上官の机の上に放置し、はなはだしいのは   従兵をして持参させるような不心得のものが間々ある。これは上官に対し失礼であるばかりでなく、場合により   ては質問されるかも知れず、訂正きれるかも知れぬ。この点、疎にしてはならない。 24、提出書類は早目に完成して提出せよ。提出期口ぎりぎり一ぱい、あるいは催促さるごときは恥であり、また間違   いを生ずるもとである。艦長・副長・分隊長らの捺印を乞うとき、無断で捺印してはいけない。また、捺印を乞う    事項について質問されても、まごつかぬよう準備調査して行くことが必要。捺印を乞うべき場所を開いておくか、   または紙を挾むかして分かりやすく準備し、「艦長、何に御印をいただきます」と申し出て、もし艦長から、「捺して   行け」と言われたときは、自分で捺して、「御印をいただきました」ととどけて引き下がる。印箱の蓋を開け放しに   して出ることのないように、小さいことだが注意しなければならぬ。 25、軍艦旗の揚げ降ろしには、かならず上甲板に出て拝せよ。 26、何につけても、分相応ということを忘れるな。次室士官は次室士官として、候補生は候補生として。少尉、中尉、   各分あり。 27、煙草盆の折り椅子には腰をおろすな。次室士官は腰かけである。 28、煙草盆のところで腰かけているとき、上官が来られたならば立って敬礼せよ。 29、機動艇はもちろん、汽車、電車の中、講話場において、上級者が来られたならば、ただちに立って席を譲れ。知   らぬ顔しているのはもっとも不可。 30、出入港の際は、かならず受け持ちの場所におるようにせよ。出港用意の号音に驚いて飛び出すようでは心がけ   が悪い。 31、諸整列があらかじめ分かっているとき、次室士官は、下士官兵より先にその場所にあるごとくせ。 32、何か変わったことが起こったとき、あるいは何となく変わったことが起こったらしいと思われるときは、昼夜を問わ   ず第1番に飛び出してみよ。 33、艦内で種々の競技が行なわれたり、または演芸会など催される際、士官はなるべく出て見ること。下士官兵が    一生懸命にやっているときに、士官は勝手に遊んでおるというようなことでは面白くない。 34、短艇に乗るときは、上の人より遅れぬように、早くから乗っておること。もし遅れて乗るような場合には、「失礼い   たしました」と上の人に断わらねばならぬ。自分の用意が遅れて定期(軍艦と陸上の間を往復し、定時にそれら   を発着する汽艇のこと)を待たすごときは、もってのほである。かかるときは断然やめて次ぎを待つべし。    短艇より上がる場合には、上長を先にするこというまでもなし。同じ次室士官内でも、先任者を先にせよ。 35、舷門は一艦の玄開口なり。その出入りに際しては、服装をととのえ、番兵の職権を尊重せよ。雨天でないとき、   雨衣や引回しを着たまま出入りしたり、答礼を欠くもの往々あり、注意せよ。 第2 次室の生活について 1、我をはるな。自分の主張が間遠っていると気づけば、片意地をはらす、あっさりとあらためよ。  我をはる人が1人でもおると、次室の空気は破壊される。 2、朝起きたならば、ただちに挨拶せよ。これが室内に明るき空気を漂わす第一誘因だ。3、次室  にはそれぞれ特有の気風かある。よきも悪きもある。悪い点のみ見て、憤慨してのみいては   ならない。神様の集まりではないから、悪い点もあるであろう。かかるときは、確固たる信念と決心をもって自己を修め、自然に同僚を善化せよ。 4、上下の区別を、はっきりとせよ、親しき仲にも礼儀をまもれ。自分のことばかり考え、他人のことをかえりみないよ  うな精神は、団体生活には禁物。自分の仕事をよくやると同時に、他人の仕事にも理解を持ち便宜をあたえよ。 5、同じ「クラス」のものが、3人も4人も同じ艦に乗り組んだならば、その中の先任者を立てよ。「クラス」のものが、次  室内で党をつくるのはよろしくない。全員の和衷協力はもっとも肝要なり。利己主義は唾棄すべし。 6、健康にはとく��留意し、若気にまかせての不摂生は禁物。健全なる身体なくては、充分をる御奉公で出来ず。忠  孝の道にそむく。 7、当直割りのことで文句をいうな。定められた通り、どしどしやれ。病気等で困っている人のためには、進んで当直を  代わってやるぺきだ。 8、食事に関して、人に不愉快な感じを抱かしむるごとき言語を慎め。たとえば、人が黙って食事をしておるとき、調理  がまずいといって割烹を呼びつけ、責めるがごときは遠慮せよ。また、会話などには、精練きれた話題を選べ。 9、次室内に、1人しかめ面をして、ふてくされているものがあると、次室全体に暗い影ができる。1人愉快で朗らかな  人がいると、次室内が明るくなる。 10、病気に羅ったときは、すぐ先任者に知らせておけ。休業になったら(病気という程度ではないが(身体の具合い   が悪いので、その作業を休むこと)先任者にとどけるとともに、分隊長にとどけ、副長にお願いして、職務に関する  ことは、他の次室士官に頼んでおけ。 11、次室内のごとく多数の人がいるところでは、どうしても乱雑になりがちである。重要な書類が見えなくなったとか  帽子がないとかいってわめきたてることのないように、つねに心がけなければならぬ。自分がやり放しにして、従  兵を怒鳴ったり、他人に不愉快の思いをきせることは慎むべきである。 12、暑いとき、公室内で仕事をするのに、上衣をとるくらいは差し支えないが、シャツまで脱いで裸になるごときは、   はをはだしき不作法である。 13、食事のときは、かならず軍装を着すべし。事業服のまま食卓についてはならぬ。いそがしいときには、上衣だけ  でも軍装に着換えて食卓につくことになっている。 14、次室士官はいそがしいので一律にはいかないが、原則としては、一同が食卓について次室長(ケプガソ)がはじ  めて箸をとるべきものである。食卓について、従兵が自分のところへ先に給仕しても、先任の人から給仕せしむる  ごとく命すべきだ。古参の人が待っているのに、自分からはじめるのは礼儀でない。 15、入浴も先任順をまもること。水泳とか武技など行をったときは別だが、その他の場合は遠慮すべきものだ。 16 古参の人が、「ソファー」に寝転んでいるのを見て、それを真似してはいけない。休むときても、腰をかけたまま、  居眠りをするぐらいの程度にするがよい。 17、次室内における言語においても気品を失うな。他の人に不快な念を生ぜしむべき行為、風態をなさず、また下士  官兵考課表等に関することを軽々しく口にするな。ふしだらなことも、人秘に関することも、従兵を介して兵員室に  伝わりがちのものである。士官の威信もなにも、あったものでない。 18、趣味として碁や将棋は悪くないが、これに熱中すると、とかく、尻が重くなりやすい。趣味と公務は、はっきり区別  をつけて、けっして公務を疎にするようなことがあってはならぬ。 19、お互いに、他の立場を考えてやれ。自分のいそがしい最中に、仕事のない人が寝ているのを見ると、非難した   いような感情が起こるものだが、度量を宏く持って、それぞれの人の立場に理解と同情を持つことが肝要。 20、従兵は従僕にあらず。当直、その他の教練作業にも出て、士官の食事の給仕や、身辺の世話までするのであ   るからということを、よく承知しておらねばならぬ。あまり無理な用事は、言いつけないようにせよ。自分の身辺の  ことは、なるべく自分で処理せよ、従兵が手助けしてくれたら、その分だけ公務に精励すべきである。釣床を釣っ  てくれ、食事の給仕をしてくれるのを有難いと思うのは束の間、生徒・候補生時代のことを忘れてしまって、傲然と  従兵を呼んで、ちょっと新聞をとるにも、自分のものを探すにもこれを使うごときは、わがみずからの品位を下げゆ  く所以である。また、従兵を「ボーイ」と呼ぶな。21、夜遅くまで、酒を飲んで騒いだり、大声で従兵を怒鳴ったりす  ることは慎め。 21、課業時のほかに、かならず出て行くべきものに、銃器手入れ、武器手入れに、受け持ち短艇の揚げ卸しがある 第3 転勤より着任まで 1、転勤命令に接したならば、なるべく早く赴任せよ。1日も早く新勤務につくことが肝   要。退艦したならば、ただちに最短距離をもって赴任せよ、道草を食うな。 2、「立つ鳥は後を濁さず」仕事は全部片づけておき、申し継ぎは万遺漏なくやれ。申し  継ぐべき後任者の来ないときは、明細に中し継ぎを記註しおき、これを確実に託し   おけ。 3、退艦の際は、適宜のとき、司令官に伺候し、艦長・副長以下各室をまわり挨拶せよ4、新たに着任すべき艦の役務、所在、主要職員の名は、前もって心得おけ。 5、退艦・着任は、普通の場合、通常礼装なり。 6、荷物は早目に発送し、着任してもなお荷物が到着せぬ、というようなことのないようにせよ。手荷物として送れば、早目に着く。 7、着任せば、ただちに荷物の整理をなせ。 8、着任すべき艦の名を記入したる名刺を、あらかじめ数枚用意しおき、着任予定日時を艦長に打電しおくがよい。 9、着任すべき艦の所在に赴任したるとき、その艦がおらぬとき、たとえば急に出動した後に赴任したようなと時は、  所在鎮守府、要港部等に出頭して、その指示を受けよ。さらにまた、その地より他に旅行するを要するときは、証  明書をもらって行け。 10、着任したならば、当直将校に名刺を差し出し、「ただいま着任いたしました」ととどけること。当(副)将校は副長に   副長は艦長のところに案内して下さるのが普通である。副長から艦長のところへつれて行かれ、それから次室  長が案内して各室に挨拶に行く。艦の都合のよいとき、乗員一同に対して、副長から紹介される。艦内配置は、   副長、あるいは艦長から申し渡される。 11、各室を一巡したならば、着物を着換えて、ひとわたり艦内を巡って艦内の大体を大体を見よ。 12、配置の申し継ぎは、実地にあたって、納得の行くごとく確実綿密に行なえ。いったん、引き継いだ以上、全責任  は自己に移るのだ。とくに人事の取り扱いは、引き継いだ当時が一番危険、ひと通り当たってみることが肝要だ。  なかんずく叙勲の計算は、なるべく早くやっておけ。 13、着任した日はもちろんのこと、1週間は、毎夜巡検に随行するごとく心得よ。乗艦早々から、「上陸をお願い致し  ます」などは、もってのほかである。 14、転勤せば、なるべく早く、前艦の艦長、副長、機関長、分隊長およびそれぞれ各室に、乗艦中の御厚意を謝す   る礼状を出すことを忘れてはならぬ。 第4 乗艦後ただちになすべき事項 1、ただちに部署・内規を借り受け、熟読して速やかに艦内一般に通暁せよ。 2、総員起床前より上甲板に出で、他の副直将校の艦務遂行ぶりを見学せよ。2、3日、当直ぶりを注意して見てお   れば、その艦の当直勤務の大要は分かる。しかして、練習艦隊にて修得せるところを基礎とし、その艦にもっとも  適合せる当直をなすことができる。 3、艦内旅行は、なるぺく速やかに、寸暇を利用して乗艦後すぐになせ。 4、乗艦して1ヵ月が経過したならば、隅々まで知悉し、分離員はもちろん、他分隊といえども、主たる下士官の氏名  は、承知するごとく心がけよ。 第5上陸について 1、上陸は控え目にせよ。吾人が艦内にあるということが、職責を尽くすということの大部である。職務を捨ておいて   上陸することは、もってのほかである。状況により、一律にはいえぬが、分隊長がおられぬときは、分隊士が残る  ようにせよ。 2、上陸するのがあたかも権利であるかのように、「副長、上陸します」というべきでない。「副長、上陸をお願いしま   す」といえ。 3、若いときには、上陸するよりも艦内の方が面白い、というようにならなけれぱならない。また、上陸するときは、自  分の仕事を終わって、さっぱりした気分で、のびのびと大いに浩然の気を養え。 4、上陸は、別科後よりお願いし、最終定期にて帰艦するようにせよ。出港前夜は、かならず艦内にて寝るようにせよ。上陸する場合には、副長と己れの従属する士官の許可をえ、同室者に願い、当直将校にお願いして行くのが慣例  である。この場合、「上陸をお願い致します」というのが普通、同僚に対しては単に、「願います」という。この「願い  ます」という言葉は、簡にして意味深長、なかなか重宝なものである。すなわち、この場合には、上陸を願うのと、  上陸後の留守中のことをよろしく頼む、という両様の意味をふくんでいる。用意のよい人は、さらに関係ある准士   官、あるいは分隊先任下士官に知らせて出て行く。帰艦したならば、出る時と同様にとどければよい。たたし、夜   遅く帰艦して、上官の寝てしまった後は、この限りでない。士宮室にある札を裏返すようになっている艦では、か   ならず自分でこれを返すことを忘れぬごとく注意せよ。 6、病気等で休んでいたとき、癒ったからとてすぐ上陸するごときは、分別がたらぬ。休んだ後なら、仕事もたまってお  ろう、遠慮ということが大切だ。 7、休暇から帰ったとき、帰艦の旨をとどけたら、第1に留守中の自分の仕事および艦内の状況にひと通り目を通せ。  着物を着換え、受け持ちの場所を回って見て、不左中の書類をひと通り目を通す心がけが必要である。 8、休暇をいただくとき、その前後に日曜、または公暇日をつけて、規定時日以上に休暇するというがごときは、もっと  も青年士官らしくない。 9、職務の前には、上陸も休暇もない、というのが士官たる態度である。転勤した場合、前所轄から休暇の移牒があ  ることがあるけれども、新所轄の職務の関係ではいただけないことが多い。副長から、移牒休暇で帰れといわる   れば、いただいてもよいけれども、自分から申し出るごときことは、けっしてあってはならぬ。 第6部下指導について 1、つねに至誠を基礎とし、熱と意気をもって国家保護の大任を担当する干城の築造者たることを心がけよ。「功は部下に譲り、部下の過ちは  自から負うは、西郷南洲翁が教えしところなり。「先憂後楽」とは味わうべき言であって、部下統御の機微なる心理も、かかるところにある統御者たるわれわれ士官は、つねにこの心がけが必要である。石炭  積みなど苦しい作業のときには、士官は最後に帰るようつとめ、寒い  ときに海水を浴びながら作業したる者には、風呂や衛生酒を世話してやれ。部下につとめて接近して下情に通せよ。しかし、部下を狎れしむるは、もっとも不可、注意すべきである。 2、何事も「ショート・サーキット」(短絡という英語から転じて、経由すべきところを省略して、命令を下し、または報告する海軍用語)を慎め。い  ちじは便利の上うたが、非常なる悪結果を齋らす。たとえば、分隊士を抜きにして分隊長が、直接先任下士官に命じたとしたら、分隊士たる者いかなる感を生ずるか。これは一例だか、かならず順序をへて命  を受け、または下すということが必要なり。 3、「率先躬行」部下を率い、次室士官は部下の模範たることが必要だ。物事をなすにもつねに衆に先じ、難事と見ば、 真っ先にこれに当たり、けっして人後におくれざる覚悟あるべし。また、自分ができないからといって、部下に強制  しないのはよくない。部下の機嫌をとるがごときは絶対禁物である。 4、兵員の悪きところあらば、その場で遠慮なく叱咤せよ。温情主義は絶対禁物。しかし、叱責するときは、場所と相  手とを見でなせ。正直小心の若い兵員を厳酷な言葉で叱りつけるとか、また、下士官を兵員の前で叱責するなど  は、百害あって一利なしと知れ。 5、世の中は、なんでも「ワソグランス」(一目見)で評価してはならぬ。だれにも長所あり、短所あり。長所さえ見てい  れば、どんな人でも悪く見えない。また、これだけの雅量が必要である。 6、部下を持っても、そうである。まずその箆所を探すに先だち、長所を見出すにつとめることが肝要。賞を先にし罰を  後にするは、古来の名訓なり。分隊事務は、部下統御の根底である。叙勲、善行章(海軍の兵籍に人ってから3  年間、品行方正・勤務精励な兵にたいし善行章一線があたえられ、その後、3年ごとに同様一線あてをくわえる。  勇敢な行為などがあった場合、特別善行章が付与される)等はとくに慎重にやれ。また、一身上のことまで、立ち  入って面倒を見てやるように心がけよ。分隊員の入院患者は、ときどき見舞ってやるという親切が必要だ。 第7 その他一般 1、服装は端正なれ。汚れ作業を行なう場合のほかは、とくに清潔端正なるものを用いよ。帽子がまがっていたり、「  カラー」が不揃いのまま飛び出していたり、靴下がだらりと下がっていたり、いちじるしく雛の寄った服を着けている  と、いかにもだらしなく見える。その人の人格を疑いたくなる。 2、靴下をつけずに靴を穿いたり、「ズボン」の後の「ビジヨウ」がつけてなかったり、あるいはだらりとしていたり、下着  をつけず素肌に夏服・事業服をつけたりするな。 3 平服をつくるもの一概に非難すべきではいが、必要なる制服が充分に整っておらぬのに平服などつくるのは本末  顛倒である。制服その他、御奉公に必要をる服装属具等なにひとつ欠くるところなく揃えてなお余裕あらば、平服  をつくるという程度にせよ。平服をつくるならば、落ちついて上品な上等のものを選べ。無闇に派手な、流行の尖   端でもいきそうな服を着ている青年士官を見ると、歯の浮くような気がする。「ネクタイ」や帽子、靴、「ワイシャツ」  「カラー」「カフス」の釦まで、各人の好みによることではあろうが、まず上品で調和を得るをもって第1とすべきであ  る。 4、靴下もあまりケパケパしいのは下品である。服と靴とに調和する色合いのものを用いよ。縞の靴下等は、なるべく  はかぬこと、事業服に縞の靴下等はもってのほかだ。 5、いちばん目立って見えるのは、「カラー」と「カフス」の汚れである、注意せよ。また、「カフス」の下から、シャツの   出ているのもおかしいものである。 6、羅針艦橋の右舷階梯は、副長以上の使用さるべきものなり。艦橋に上がったら、敬礼を忘れるな。 7 陸上において飲食するときは、かならず一流のところに入れ。どこの軍港においても、士官の出入りするところと、  下士官兵の出入りするところは確然たる区別がある。もし、2流以下のところに出入りして飲食、または酒の上で  上官たるの態度を失し、体面を汚すようなことがあったら、一般士官の体面に関する重大をることだ。 8、クラスのためには、全力を尽くし一致団結せよ。 9、汽車は2等(戦前には1、2、3等の区分があった)に乗れ。金銭に対しては恬淡なれ。節約はもちろんだが、吝薔  に陥らぬよう注意肝心。 10、常に慎独を「モットー」として、進みたきものである。是非弁別の判断に迷い、自分を忘却せるかのごとき振舞い  は、吾人の組せざるところである。
hiramayoihi.com/Yh_ronbun_dainiji_seinenshikankyouikugen.htm
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furoku · 7 months
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shukiiflog · 8 months
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ある画家の手記if.86 告白
愛してくれて ありがとう
クリスマス当日。
記憶がひどく欠けることがなくなってから、僕は慧の家に居候するのをやめて、ホテルの一室で生活してる。 安いビジネスホテルとかにすると部屋も狭そうだし、最悪サイズの問題でベッドで体が伸ばせないかもしれないと思って、ちゃんとしたホテルを選んだ。 昔は絵にサインを入れ忘れたとかで他県まで行ったりはしてたけど、そういうときも日帰りばかりでどこかに泊まったりはしないようにしてた、個展も海外や遠方からの誘いで僕も行かなきゃいけないようなのは断ってたし、なるべくアトリエ付近でいつも生活圏が落ち着くように…してたかも。絵を描くのに旅が必須な絵描きもいるけど、僕は同じ一つのアトリエで一生描き続けていられる静物ばっかりだったし。 ホテルは一応僕が選んだ場所なだけあって調度品も内装も僕好みの落ち着いた暖色の木造で、たくさんの人を迎えてきた証が木肌の美しい艶に鮮明だった。 洗濯してても毎日同じ服はさすがにだめかなと思って、仕事前に毎日服を一揃い買って着替えて出勤してたけど、今年の僕の仕事は一昨日で終わった。 それからは香澄にあげるクリスマスプレゼントを探し歩いてた。 なにもなくても僕はいつも香澄にいろんなものプレゼントしてるから、香澄の身の回りのちょっとしたものはどれも長く使える良い品に変わってきてたりする。慧に話したら「マイフェアレディか」ってつっこまれた。 だから今日あげるのは実用品とか高くて良い品とかじゃ全然ない、香澄 喜んでくれるかな
それで、今日の僕の服装はどうしようかなと思って、あれこれ迷って、まだ特に香澄とはどこに行くとも何をするとも決めてなかったから、普段の香澄の服装に合わせることにした。 僕の仕事着がいつも少しフォーマル寄りのスーツだから、カジュアルな感じに。もしロケーションや一緒に過ごす香澄の服とちぐはぐだったらデート中に合う服買って急いで着替えればいい。 下はチェック柄の細身のスラックス、シャツを着た上から木製のボタンがかわいいスーツベストを着て、首にゆるゆるしたざっくり編みのニットのスヌード、上からダッフルコート。靴はクロケット&ジョーンズとかいうとこのセミブロ……? お店の人が説明してくれたけど全然覚えきれなかった… あんまり買ったことも着たこともない系統の服で、ファッションとしてこれでいいのか不安だから冷泉に写メ送ったら「粗を探せと言われれば妙なところが多い気がするけど色の合わせ方は良いから目を細めてものすごく遠目に見れば違和感はない。時間あるならベストかコートかスヌードのどれかを変えろ」って返ってきて、そのあともどこをどう変えればいいか続けて何回かやりとりしてたら最終的に「もう何もするな。動くな。そこでじっとしてろ」って言われて、ブランド店で買ったアイテムいくつも抱えてわざわざホテルの部屋に来てくれた。 慧は買ってきたものを僕の体にあてながら、全身少しずついじったり裾を折ってみたりあれこれ試しながら、最終的には自前の裁縫道具まで取り出して「応急処置だからな」って言いながら余った腰まわりの布とかを縫い縮めて僕の体型に綺麗に合わせてくれた。 慧はプロのスタイリストさながらの手際で僕を着付けて一仕事終えたらグラスの水をぐいっと飲んで一度も椅子に座りもしないままその足で職人みたいにすぐ帰っちゃった。慧らしくはある。 帰り際に振り返って見送る僕の顔をじっと見たかと思ったら、「全身かなりカジュアルに遊んでるからまぁアリか…」ってひとりごと言いながら僕をくるっと後ろ向きにして、髪のゴムを引き抜かれた。 かわりに髪を捻るみたいにしてそこに何か刺された。後ろだからよく見えない…「香澄は喜ぶかもな」って言ってたけど、髪になにがついてるんだろ。
香澄との待ち合わせに遅れないように時計(今日の服に合わせてかわいいのを新調した)を見ながら、大きなプレゼントを片腕に抱えてコートのポケットに手をつっこんで、ホテルを出る。 ホテルのロビーには本物の大きなモミの木を使ったクリスマスツリーが飾られてた。
待ち合わせ場所は去年のクリスマスに一緒にツリーを見た場所。 同じ場所に今年も大きなツリーがあった。 早く着いちゃったから二人分のコーヒーを買ってきて、香澄の分は手に持ってもう片手で飲みながら待つ。 すごく久しぶりにやっと香澄と会える…。って感慨に浸ろうとした瞬間、遠くを一人でうろうろしてる香澄が視界に入ってきてコーヒーが喉から変なとこに入ってめちゃくちゃ噎せた。 コーヒーを近くのお店の塀の上に一旦置かさせてもらって手で口元押さえながら咳がとまる���を待つ。その間も視線だけじーっと香澄を逃さないように追う。僕けっこう目が悪いほうだし今日は眼鏡かけてないんだけど、香澄がいるのは遠くからでもすぐ分かる。 真っ白だ…かわいい…髪の毛の色がよく映えてる…僕があげたマフラーしてくれてる…かわいい 呼吸が落ち着いたらすぐにうろうろしてる香澄のほうへ走り出す、手に持ってるコーヒーは走ると零しそうで邪魔だから道の脇のゴミ箱に二つとも投げ入れるように捨てた、まわり見てなくて途中で何人かぶつかっちゃった人に短く謝りながら走る 「香澄!」 少し離れた場所から声を張って呼んだら振り返って、ニット帽の先についたふわふわが跳ねた、僕を見つけて香澄がぱっと明るい笑顔になる、目の前まで走り寄って香澄の両脇に手を差し込んでそのまま腕を空に伸ばして香澄の体を高く抱えあげた「香澄、天使みたい!」 香澄は持ち上げられたまま、笑ってる僕の肩に手をついてバランスをとりながらわたわたしてる。「ちょっ…なおと、こ、ここデパート、の、往来、」なんか言ってるけど往来とか知らない、香澄がかわいい、白い、もこもこしてる… 持ち上げてた腕を離して僕の体の上に落として滑らせるみたいにして地面におろしてからぎゅーっと抱きしめる、僕の顔の横で帽子の白いふわふわが揺れてる… 「香澄かわいい~~」 声に出したらさらに愛おしくなってもっと強くぎゅうぎゅう抱き締める。香澄は諦めたのか僕をなだめるみたいに背中を撫でてくれた。 ひとしきりそうしてから香澄から体を離すと、香澄を抱えあげるときに地面に落としちゃった大きな包みを拾う。綺麗な道だったから見まわしても濡れたり汚れたりはしてない、包装もしっかりしてるから中身は綺麗なはず。 「それなに?」 「香澄にクリスマスプレゼント。でも今日は歩き回るしまだ僕が預かっておくよ。家に帰ってから、一人のときに開けてごらん」 そう言って包みを脇に抱えた。香澄の頭をわしわし撫でたら帽子がずれたから綺麗にかぶせ直す。香澄は中身が気になるのか大きな目をさらに大きくして包みをチラチラ見てる。喜んでくれるといいな。 「歩き回る? 直人行きたいとこ決まった?」 塞がってないほうの手で香澄の手をとった。手袋してる、親指しか指がわかれてないやつ、かわいい…。繋ごうとした香澄の手に、手袋に、頬ずりしながら笑って言う。 「うん、遊園地にいこう」 僕の一言で行き先が決まった。 二人で横に立ってるクリスマスツリーを見る。 「去年も見たね」 「去年より地面に置いてあるプレゼントのレプリカが増えてる」 「イルミネーションの色も変わった」 「よく覚えてるね」 「うん …覚えてたね」 香澄の体を後ろから抱きしめながら香澄のマフラーに顔を埋める。香澄が僕の体に体重かけてきた。そこは去年といっしょ。 二人ともこの流れを覚えてたのか、そのあと香澄にまたマフラー巻きつけられそうと思って先に香澄の両手を後ろから握って先制防衛したら香澄が笑った。
遊園地までの道すがら、香澄が僕の髪を見ながら言った。 「それ直人が買ったの?」目がキラキラしてる… 「出がけに慧が服装直しにきてくれたんだけど、帰り際に髪に何か刺されたんだ。なにが着いてるの?」 「簪みたいなのの先に小さい金色のかいじゅうくんのチャームが着いてる…」 僕は思わず笑った。 「慧はこれ刺しながら香澄が喜ぶかもって言ってたよ」 クリスマスプレゼントだったのかも、僕にっていうより香澄にって感じだった、慧も香澄に喜んでほしいんだ、香澄は慧から好かれてるね。って香澄の頭撫でながら言ったら香澄はへにゃっと顔を緩めて笑った。 「いま直人は先生の家にいる���じゃないの?」 「最初だけ少し��たけど、今は一人でホテルに移ってるよ」 ホテルの内観や雰囲気や調度品が好きだったから香澄に話したら「俺も行きたい」って香澄が隣ではしゃぐ。 遊園地の入り口に着いて香澄がチケット買ってる間に、ホテルに電話を入れて僕の部屋をスイートルームに変更して荷物の移動までお願いしておいた。散らかしてないからそんなに大変じゃないはず。
こういう賑やかな遊園地に来たのって、僕はもしかして初めてかな? 人混みとかは焦点に迷って人に酔うから昔から苦手だったけど、香澄だけ見てるから今はそんなに酔いそうな感じはしない。 手を繋いで歩く香澄の後頭部でふわふわが揺れる… 香澄が最初のお店で買ったカラフルなソフトクリームを僕の口に向けてくれる、首を伸ばしててっぺんを舌先で舐めた、甘くてひんやりしてて気持ちいい。 ソフトクリームも、他のパステルカラーのメリーゴーランドやお城やアトラクションも、白い香澄がさらに引き立てられてるし、よく馴染んでる、やっぱり遊園地に連れてきてよかった。スマホでたくさん香澄の写メ撮った、どう撮っても彩りも構図も美しい。 香澄に教えてもらってたら僕もスマホの扱いに慣れてきて、だいぶ使いこなせるようになってきた、文字を打つのもはやくなった。
観覧車の前まで来たから二人で乗る。 僕らの身長と体重だと向かい合って左右に座らないとゴンドラが傾きそうだからそうする。 正面に座ってる香澄の帽子が傾いてたから綺麗に直しながら、長く伸びた前髪を顔の横に流す。 「香澄が今日着てる服…」自分で買ったの?って訊きかけてピンときた。「絢が選んだ?」 「うん、ぜんぶ絢が今日のために選んでくれた」 香澄は嬉しそうににこにこする。絢が選んでくれたことが嬉しいみたい。二人が仲良しで僕もにこにこする。 「絢のセンスは間違いないと思うし、まこともいいって言ってくれたけど、直人こういうの嫌じゃない?」 「かわいい」間髪いれずに答えた。 真っ白ですごくよく似合ってる、その帽子すごくすき、ふわふわが揺れるのずっと見てたい、髪の色がよく映えてる、天使みたい、クリスマスツリーの前にいるのすごくかわいかった、羽が生えて飛んでいきそう、飛んでいかれたら僕が寂しいから困るけど、この場所ともよく合ってる、遊園地がぜんぶ香澄の背景のためにあるみたい、 って思ったことずらずら際限なく言ってたら香澄が目を丸くしながら顔を赤くした。かわいい… キスしたかったけど久しぶりすぎてそのまま抑えが効かなくなるのが怖いから、香澄の手をとって一度手袋をとって、素手の白い手のひらを僕の口元に押し当てるようにして口付けた。
「香澄、ちょっとここでこれ持って待っててね」 観覧車から降りたらファンタジックでかわいい作りのベンチに香澄を座らせて、香澄に僕が抱えてた包みを抱えさせた。一瞬だけど僕が離れる間、香澄の番犬になってね。 近くにいたクラウンがたくさんの風船を手にして来場者に配ってる、後ろに引いてる揺りかごにも在庫なのか数え切れないほどたくさん風船が結んである。 大人が一度にたくさん欲しがったらだめかなと思いながらお金を差し出したら、クラウンは喋らずに笑顔で首を横に振ってお札を持った僕の手を押し返した。 僕に一つ、風船をタダで差し出してくれる。 受け取った僕は首を横に振る。 クラウンはもう一つ僕に風船をくれた。それでも僕は首を横に振る。 クラウンは困ったように腰に手をあてて大げさに首を傾げた。笑って少し離れたベンチに座ってる香澄を指差して言った。「あの子が宙に浮くくらいたくさんください」 クラウンは自分が両手に持っている風船を交互に見やってから、大きく頷いて僕に持っていた風船をぜんぶくれた。
片手にたくさんの風船を引いて歩きながらベンチにいる香澄のもとに駆け寄って、大事そうに抱えてる香澄の腕から包みをとりあげる。見張り番ありがとう。 香澄の手をとってベンチから立ち上がらせる。そのまま香澄の手を引いて広場の真ん中に導きながら香澄の両手に風船を、片手に5個ずつ、僕が持ってるのを全部持たせた。 風の弱い日、風船はみんな綺麗に空に向かって伸びる、数歩下がって、色とりどりの風船を持って真ん中で笑う香澄の写真を撮った。 スマホをコートのポケットにしまいながら香澄に歩み寄って頰をそっと撫でる。 「すごくかわいい、よく似合ってる」笑って帽子から出た香澄の髪の毛の先を指で梳いて、香澄をぎゅっと抱きしめた。
夕飯はホテルでちゃんと食べることにして、僕らはオモチャみたいなかわいいお菓子とか全然お腹が膨れないようなものばっかりたくさん買って二人で交互に食べながらあちこち歩きまわった。 大きなぐるぐるキャンディが舐めても全然溶けなくて減らないって香澄が言うから、香澄の持ってるキャンディに僕が噛みついた。硬い。歯に力を入れて思いっきり噛み砕いたらバキッてすごい音がして粉々に割れた。噛み砕いたカケラをそのまま口に咥えてたら香澄にそこを激写された。 香澄がたくさん風船もってて白くてかわいいから目立ってたみたいで、たまに遊園地のキャストと勘違いされたのか、来場者に写真を撮っていいかって聞かれた。 恥ずかしいのか、もごもご言ってる香澄の隣で「いいですよ、ただしSNSやネットには流さないで」って僕が答える。 写真を撮られるときに香澄の体を引き寄せて目元にキスしてわざと僕も一緒に映り込んだ。 写真を撮っていく人たちの記念写真も僕が必ず撮って、お互いにスマホで撮った写真をその場で交換していった。さよならしたあともずっと僕らに手を振ってくれる小さな男の子に、香澄は笑顔で小さく手を振り返してた。 カメラロールに僕が撮った香澄一人だけの写真じゃなくて、僕と香澄が一緒に写った写真が増えて、さらに全然知らないたくさんの笑顔の人たちの写真も増えた。 今日になるまで香澄を守ってくれた情香ちゃん、絢、まことくん、僕を守ってくれた慧、香澄を守ろうとする絢を助けてくれた人たち、大学の生徒たち、…兄さん、 それだけじゃなかった、僕らの周りに居たのは、 スマホに残った写真の中の名前も知らない、もう一生会わないような人たち、今日この日に数分だけ会って一緒に笑っただけで幸せな気持ちをくれた 「香澄の…僕たちのまわりに居るのは、香澄を害するような人たちだけじゃないよ」 メリーゴーランドの前で立ち止まって、香澄と向かい合って立つ。香澄の頰を両手で包んで、香澄の額に僕の額を合わせて微笑んだ。 「優しい、世界中のみんな、香澄を傷つけていくだけじゃない。僕はそう感じられるときが嬉しい」 それだけじゃないのは分かってる、無害で善意の人ばかりじゃない、今は服で隠れて見えない部分にたくさん重なった香澄の体の傷跡が、背中の刺青が訴える、忘れられない、でも世界はそれだけじゃないよ こうしてじっと見つめ合ってる僕らをほっといて素通りしていくたくさんの人に囲まれてる 傷つけてこないし関係しない、たくさんの人に、僕が香澄を守ろうとするのとはまったく違う形で香澄は守られてる 僕も たくさんの僕らにとって名も無い人に囲まれて、僕らは在る 「僕は香澄が生まれてきてくれたこの世界が好き」 香澄が風船を持ったまま僕の首にぎゅっと腕を回してきた 視界にたくさんの風船が揺れる 「俺も 直人 誕生日おめでとう」 少し震えるような声が耳元で囁いた 僕は香澄の背中に腕を回して抱きしめ返した。帽子の上から香澄の頭に顔を寄せて、頰をすり寄せる。 香澄が好き、香澄が生まれてきてくれたことが、香澄がいてくれる世界が、僕を愛してくれることが 香澄に愛してもらえることが 嬉しい 僕は…香澄に愛してもらえたことが 僕が愛してるだけじゃなくて 香澄と愛し合いたい 僕は 生まれてきて よかったんだ 「ありがとう。 愛してる 香澄… 」
僕を 愛してくれてありがとう
僕の滞在してるホテルは遊園地から歩いて帰れるくらいの距離にあったから、手を繋いでホテルに一緒に帰った。 途中の道で、ビル風に煽られて風船は香澄の手から離れてどこかに飛んでいってしまった。 香澄が追いすがるように素早くその場でジャンプして一個だけなんとか掴めた風船を、僕にくれた。僕は香澄がくれた最後の一個の風船を大事に手にして帰った。
香澄視点 続き
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trinityt2j · 3 years
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ダ-ティ・松本 不健全マンガ家歴30年[-α]史 ●はじめに  この文章は同人誌「FUCK OFF!7」において書かれたものをベースにして逐次増補改定を加えていき、いずれ歴史の証言として、[というほど大袈裟なものでは無いが…]一冊の本にまとめたいという意図のもと、近年どんどん脳が劣化していくダ-松の覚え書きとしても使用の予定。事実関係は間違いに気付き次第 訂正。同人誌発表時のものも今回自粛配慮して、実名、エピソード等を削除した箇所有り。有り難い事に某出版社よりすでに出版打診があったがまだまだその時期ではない、マンガを描く事が苦痛になったら活字の方も気分転換にいいかも…。 /*マークは今後書き加える予定のメモと心得たし。 ●前史/修行時代・1970 さいとうプロの短くて濃い日々……  1968年に上京。数カ月後東京は戦場に。熱い季節の始まりだった。 2年後親元を飛び出し友人のアパートに転がり込む。場所は渋谷から井の頭線で駒場東大駅下車、徒歩5分。地図で見ると現在の駒場公園あたり。昼間でも裸電球を付けなければ真っ暗という馬小屋のような部屋。数メートル先には当時の建設大臣の豪邸が…。前を通りかかるだびに警備のおまわりがじろり。  いつまでも友人に迷惑もかけられないのでとりあえずアシスタントでも…と手元にあったマンガ誌をひっくり返し募集を探す。幸いさいとうプロと横山まさみち氏のところでアシ募集があり両方応募。どっちか一つ通れば…と思っていたら何と両方受かってしまい、双方に条件を聞く。当時高円寺 のアパート、風呂無し4畳半の部屋で相場12000円の時代。前者一ケ月の給料10000円、後者20000円との事。給料の方がボロアパートの家賃より安いとは…!どう考えても前者は食う方法がないと判断し、後者さいとうプロへ入社。  ここに居たのはたったの半年に過ぎないけれど今思えばこれだけで本が一冊描ける位の濃い半年だった。しかしこのあと2X年分も書かねばならないことを思えば今回はいくつかのエピソードを書くだけに留めよう。  ダー松が入った時は小池一夫氏[クビ?]、神田たけ志氏や神江里見氏、きしもとのり氏[現・松文館社長]等と入れ替わりの時で、きし氏の女遊びの凄さと神江氏の絵のうまさは伝説になっていた。現在「亀有」「ゴルゴ」が歴代単行本の巻数の多いベスト1、2位だが[ともに100巻を越えた]、3位は神江氏の「弐十手物語」[70巻以上]だという事は知ってる人は少ないだろう。  当時の制作部は、さいとうたかを[以下ゴリ]をトップに石川班[ゴルゴ13、影狩り]、甲良班[バロム1]、竹本班[シュガー、どぶ等]の3つに分かれ、それぞれのキャップにサブ・チーフが一人づついて、ヒラが2~6人いるというシステムで総16名。独立し現在も活躍中の叶精作、小山ゆう、やまさき拓味の3名がそれぞれの班のサブ・チーフ。ダー松は石川班で左右1メートル以内に叶氏とゴリにはさまれ、のんびり出来ない状態で、はなはだ窮屈。叶氏はほとんどマンガ家になりたいとも思った事のなかった人で、設計事務所みたいなところで図面を引いていた人がなぜマンガプロダクションに来たのか不思議だった。格別マンガ好きというわけでもなかったせいか現在まで全ての作品が原作もので、オリジナルは一本もないのはそのせい?祭りなどの人がうじゃうじゃ出てくる群集場面が得意。 やまさき氏は大の競馬好き、現在競馬マンガを多く描くのは当時からの趣味が生きたというべきか。もう一つの趣味である風俗についてはここでは書くのは差し控えよう。小山氏は後日ここの事務の女性と結婚するが、当時はつき合っているとは誰も知らず、スタッフの一人がやめる時その女性に交際を申し込んだら、茶店に呼び出されて小山氏からと凄まれたと聞いたが嘘か本当かは不明。  ここでの生活は新入り[ダー松を含めて3名]は朝の9時前に会社に行き、タイムカードを押し、前日のごみをひとまとめして外に出し、トイレ掃除をして、16人分のお茶を2Fで入れて制作部のある3Fへの狭い階段をふらふら昇り、机ごとに置いて歩き、終れば、一息ついて買っておいたパンと牛乳を3分で食べて、やっとそれから仕事。しかし新入りの3名の内1人折茂は常に遅刻なのでいつも佐藤と2人でやっていた。佐藤も遅れる時はダー松1人で。辞めてから10年位、16人分のお茶を持って階段をふらふら歩きお盆をひっくり返す夢をよく見たものだが、実際ひっくり返したのは折茂と佐藤の2人で、よく茶碗を割っていた。 たまには夕方6時には帰れるが、普通は夜10時までで、アパートに帰って銭湯に行けばもう明日にそなえて寝る時刻、このくり返しの日々。週1日は徹夜で明け方に帰り、その時は当日の昼12時出勤。休日は日曜日のみで忙しい時はそれも取り消し。つまり休みは月3日。[これで給料2万円!]そんな日々の繰り返し。  夕方までは皆和気あいあいと仕事していたが、ゴリが夕方6時頃に「おはようさん」と現れると、全員無駄口がたたけなくなり、仕事場はシーンと静まり返り、以下その日が終わるまでは疲れる時間がただひたすら流れるのみ。 当時石川班は「ゴルゴ13」と「影狩り」を描いていたがゴリは主人公の顔と擬音のみ。マジックで最後に入れる擬音はさすがに入れる位置がうまいと感心。ゴルゴの顔はアルバムに大小取り混ぜてコピーがとってあり、忙しい時は叶氏がピン���ットで身体に合わせて「これが合うかな~」といった感じで���り付けていた。  その頃すでに「ゴルゴ」は近々終わると噂されていたが、現在もまだ続いているとは感嘆ものだ。 ゴリと石川氏が「ゴルゴ」の最終回の終わり方を話しているのを聞いたら、何ともつまらない終わり方。しかしあれから20年以上も経つ事だし、きっともっといい終わり方を考えてあるだろうなと思っていたら、先日TVで本人が最初から考えてある終わり方だと言うのを聞き、がっくり。企業秘密だろうから書かないが、作品の最初の方に伏線が数度出ているのでわかる人にはすぐわかる筈。  辞めた小池一夫氏とさいとうプロに何があったかは知らないが、漏れ聞く話では結構もめ事があったみたいだ。 「子連れ狼」で「ゴルゴ13」と同じ設定の回があった時、「小池のガキャー訴えたるー!」とゴリが吠えていたものだが、結局たち消え。さいとうプロ作品で脚本を書いた本人が辞めた後、他の作品で同趣向の作品を書いても著作権は脚本を書いた原作者のものだと思うがどんなものだろう。その回のタイトルは忘れたが、ある場所に居合わせた人々が武器を持った集団の人質となり、その中に素人だと思われていた主人公、実は殺しのプロフェッショナルがいて、次々とその集団を殺していく、といったプロットで、ミッキー・スピレーンの短編に同じような作品があり、本当に訴えていたら恥をかいたと思うが・・・。  そういえば事務の方には山本又一郎という男がいたが、後年映画プロデューサーとして 「ベル薔薇」や「太陽を盗んだ男」等を創る事になるが、この野郎が生意気な男で当時皆に対して10歳は年上、といった感じの振る舞いだったが後日俺と一つしか年が離れてなかった事を知り、そんな若造だったとは、と皆怒ったものだ。以来奴の事を「マタさん」から「クソマタ」と呼ぶようになる。  さて半年後に先輩たちが積もり積もった不満を爆発させる反乱事件が勃発し、2年は居るつもりでいたここでの生活も、辞めるか残るかの選択を迫られる。残ればさいとうプロの現体制を認める事となるので、ダー松も退社。 しかし反乱グループとは別行動をとって一人だけの肉体労働のアルバイター生活へ突入。超ヘビーな労働の製氷工場、人使いの荒い印刷所、命綱もない高所の足場で働く建設現場等々。トラックの助手をしていた時は運ちゃんが「本宮ひろしって知ってるか?うちの息子の友達でさぁ、昔、おっちゃんメシ食わしてくれーなんて言ってきたもんだが、今は偉くなっちゃってさー、自分のビル建てたらしいよ。赤木圭一郎みたいにいい男なんだ。」とうれしそうに話してくれたが、運ちゃんには悪いがそいつは今も昔も一番嫌いなマンガ家なんだ。あの権力志向はどうにかならんか。天下を取る話ばかりだもんなぁ。  ところで後日、単行本の解説で高取英が「さいとうたかをのヤローぶっ殺してやる!」とダー松が言ったなどと書いているが、小生はそんな危ない事言った覚えはないのでここできっちり訂正しておきます。 「会社に火ィつけてやる!」位は言ったかも・・・[嘘] 。 悪口は言っても別に怨みなど無い。ところでアシスタントとしてのダー松は無遅刻、無欠勤以外は無能なアシだったと反省しきり。理想的なアシスタントとはどんなものか、それはまた別の機会に。 *入社試験はどんな事を? *さいとうプロには当時ほとんどろくな資料は無かった? *ハイジャックの回の飛行機内部の絵は、映画「大空港」を社内カメラマンが映画館で写してきたものをもとに描く。 *当時のトーンは印刷が裏面にしてあり上からカッターでけずったり出来ない。 *トーンの種類は網トーンが数種、それ以外はほんの3、4種類位しかなかった。 *仕事中のB.G.M.はアシの一人が加山雄三ばかりかけるので大ひんしゅく。好評だったのは広沢虎造の浪曲「次郎長三国志」、初代桂春団次の落語。眠気もふっとぶ位笑えた。 ダ-松が岡林信康の「見る前に跳べ」をかけてるとゴリは「何じゃー!この歌は!」と怒る。名曲「私たちの望むものは」はこの男には理解不能。 ●1 9 7 1 ~ 1 9 7 4  持 ち 込 み & 実 話 雑 誌 時 代    当時は青年劇画誌全盛時代で、もともと望月三起也氏や園田光慶氏のファンで活劇志向が強く、 主にアクションもののマンガを描いて持ち込みに行っていた。今のようにマンガ雑誌が溢れかえって、山のようにマンガ出版社がある時代ではなく、数社廻るともう行くところがない、という状態で大手では「ビッグコミック」があっただけで 「モーニング」も「スピリッツ」も「ヤン・ジャン」も当然まだない。テーマを盛り込んだ作品を持って行くと編集から「君ィ、うちは商売でやっているんだからねぇ」と言われ、アクションに徹した作品を持って行くと「君ぃ、ただおもしろいだけじゃあねぇ」と言われ 「おい、おっさん!どっちなんだ?」とむかつく事多し。この辺の事は山のように書く事があるが、有りすぎるのでパス。 *そのうち書く事にする。  ただ金属バットで頭をカチ割って脳みそをぶちまけてやりたいような奴が何人もいたのは事実。今年[’97]「モーニング」に持ち込みに行って、断られた奴が何万回もいやがらせの電話をかけて逮捕された事件があったが、そのうちトカレフを持って殴り込みに行く奴が出てくるとおもしろい。出版社も武装して大銃撃戦だぁ!などと馬鹿な事書いてどうする!とにかく持ち込みにはいい思い出が何もない。そんな中、数本だけ載った作品は渡哲也の映画「無頼」シリーズの人斬り五郎みたいな主人公がドスで斬り合う現代やくざもの[この頃の渡哲也は最高!]、ドン・シーゲルの「殺人者たち」みたいな二人組の殺し屋を主人公にした『汚れたジャングル』、陽水の「傘がない」が好きだという編集さんの出したテーマで車泥棒とブラックパンサーの闘士とのロード・ムービー風『グッバイ・ブラザー』、拳銃セールスマンを主人公にした『ザ・セールスマン』、等々10本ちょい位。  さてその頃並行してまだエロマンガ専門誌といえるようなものがなかったような時代で、実話雑誌とい��写真と記事ページからなる雑誌に4~10ページ位を雑誌の味付けとして描かせてもらう。当時、お手本になるようなエロマンガなど皆無で、エロ写真雑誌を古本屋で買ってきてからみのポーズを模写。マンガで裸を描く事はほとんど初めてで、これがなかなか難しいのだがエロシーンを描くのは結構楽しい。当時出版社に原稿持って行き帰りにグラフ誌をどっともらって帰るのが楽しみだった。SM雑誌の写真ページも参考になる。なお当時のペンネームは編集部が適当につけた池田達彦、上高地源太[この名前はいけてます。また使いたい]等。その数年後、逆にマンガが主で記事が味付けというエロマンガ誌が続々と創刊される。 *さいとうプロをやめたあと編集や知人に頼まれて数人のマンガ家の所へ手伝いに行く。秋田書店「漫画ホット」で『ジェノサイド』を連載中の峰岸とおる氏の所へ行き、仕事が終わったあとまだ売れてない頃の榊まさる氏も交え酒を飲む/川崎のぼる大先生のところへ数日だけ/3000円たこ部屋/小山ゆうオリオンププロ *当時のアルバイトは記憶によると時給150~200円位/大日本印刷市ヶ谷駐屯地/坂/ *一食100円/どんなに貧しい漫画家もみかん箱の上で書くやつはいない/TV萩原サムデイ *ろくでなし編集者 ●1 9 7 5 ~ エ ロ マ ン  ガ 誌 時 代 に 突 入   実話誌は意外とエロは抑え目で描くように口すっぱく言われていたのだが、以前活劇っぽい作品を描かせてもらってたが潰れてしまった出版社にいた児島さんが編集する「漫画ダイナマイト」で打合せも何にもなしに好きに描かせてもらい、ここでエロマンガ家としての才能[?]が開花する。描いてて実に楽しく眠る時間がもったいない位で、人に睡眠時間が必要な事を恨んだ程。出来る事なら一日中休まず描いていたい気分で完全にはまってしまう。  初の連載作品「屠殺人シリーズ」はこの頃から/『漫画ポポ』。中島史雄氏は大学時代にこの作品を見ていたとの事で、トレンチコートにドクター・ペッパー模様のサイレンサーつきマグナム銃で遊戯人・竜崎一也が犯しまくり殺しまくり、サディスト、マゾヒスト、殺人狂、まともな奴が一人も出てこない性と暴力の祭典。ちなみにタイトルページは描かないでいい、との事でどうするのかと思っていたら編集部が中のワンカットを拡大してタイトルページを創り、1ページぶんの原稿料をけちるというせこいやり方だった。けちるといえば、原稿の1/3にCMを入れる際、原稿料を1/3削った会社もあり。 ●1 9 7 6 ~   後に発禁仲間となる高取英と出逢い、『長編コミック劇場』で「ウルフガイ」みたいのをやろうと、怒りに震えると黒豹に変身してしまう異常体質の主人公を設定し、獣姦のイメージで「性猟鬼」なるエロマンガをスタート!しかしその号で雑誌が潰れる。この路線は今でもいけそうな気がするがどんなものだろう。  この頃の珍品に「快楽痴態公園」がある。タイガースに11-0とワンサイドで打ちまくられ、怒ったジャイアンツファンのおっさんが公園でデート中の女をずこずこに犯りまくり、その間にジャイアンツは9回裏に12-11とゲームをひっくり返してしまうのである!その時のジャイアンツの監督はもちろんミスター長嶋、先発堀内、打者は柴田、土井、高田、王、張本等々がいる。タイガース監督は吉田、ピッチャー江本、キャッチャーフライを落球する田淵、そしてあの川藤もいる。解説は牧野…… ●1 9 7 7 ~   上記2作品を含む初の単行本「肉の奴隷人形」が久保書店より発行。後にリングスの会場で逢った佐竹雅昭氏はこの本が一番好きとの事だった。  「闇の淫虐師」もこの年スタート。一話完結でバレリーナ、バトンガール等々、毎回いろんな女たちをダッチワイフのごとくいたぶりまくるフェチマンガとして1979年まで続け、単行本は「堕天使女王」「裂かれた花嫁」「エロスの狂宴」「陶酔への誘い」「終りなき闇の宴」の全5巻。ちなみに今年「闇の淫虐師’97」を『コミック・ピクシィ』にて発表。いつか『闇の淫虐師・ベスト選集』でも出したいところ。 [’98に実現、’99には続刊が出る] ●1 9 7 8 ~   久保書店より第2弾の単行本「狂った微惑人形」。収録作品の「犯された白鳥」は持ち込み時代に描いた初のバレリーナもの。結構気に入っていた作品なのに、後年再録の際、印刷所の掃除のおばさんが捨ててしまい、この世にもはや存在しない不幸な子となる。[’99に宝島スピード・ブックに本より直接スキャンして収録]  エロ、グロ、ナンセンスの会心作「恍惚下着専科」を発表。サン出版より同名の単行本発行。また同出版より「コミック・ペット/堕天使画集」として今までの作品を続々単行本化。全10巻位。これは今でも古本屋で流通しているとの事で、まだまだ世間様のお役にたっているらしい。  この年、「堕天使たちの狂宴」を描いていた『漫画エロジェニカ』が発禁処分、来年でもう20年目となる事だし、当時の人たちと集まってその大放談を収録し「発禁20周年特集号」でも創ってみようかと計画中。さて当時の秘話としてもう時効だろうから書いてみるけど、前述の『堕天使画集』に「堕天使たちの狂宴」は収録される事となり、当然修正をガンガン入れて出版されるものと覚悟していたら、米国から帰国後出来上がった本を見ると発禁になった状態のまま再録されている!以下桜木編集長との会話 ダ/いや~、いい度胸してますね。 編/だって修正してあるじゃない。 ダ/その修正状態で発禁になったんですよ 編/・・・・・ ダ/・・・・ 以下どんな会話が続いたのか失念…… それにしてもサドの「悪徳の栄え」の翻訳本は発禁後20年以上して復刻されたけれど、「堕天使たちの狂宴」は半年もしない内に単行本になっていたとはエロ本業界とは何といいかげんな世界!しかし作品そのものは、今見るとリメイクする気にもならないどうという事もない可愛い作品で、結局あれもあの時代の姑息な政治のひとかけらに過ぎなかったのだろう。いい点があるとしたら一つだけ、それまでのエロマンガになかった瞳パッチリの少女マンガ的ヒロインを登場させた事位か。今の美少女エロマンガは本家の少女マンガもかくや!という位眼が大きいが当時としては画期的だったかも。 ●1 9 7 9 ~   この年の「淫花蝶の舞踏」は「堕天使たちの狂宴」よりずっといい/『漫画ソフト』。今年出た「別冊宝島/日本一のマンガを探せ!」でベスト2000のマンガがセレクトされているが、ダー松の作品の中ではこの作品が選ばれている。教師と生徒、二人の女たちが様々な男たちの手によってに次々ともてあそばれ、闇の世界を転々として再び巡り会う時、女たちは蝶と化し水平線の彼方に飛び去り、男たちは殺し合い血の海の中で屍と化す。ダー松作品にはこのように男根が女陰の海に飲み込まれてに負けるパターンが多い。[性狩人、遊戯の森の妖精、美少女たちの宴、人魚のたわむれ・・等々]  この年からスタートの「性狩人たち」シリーズ[劇画悦楽号]はバレエ、バイオレンス、SEXの三要素がうまくからみあい、それぞれが頂点まで達する幸福な神話的作品だ。ここから派生した路線も多く、美少年路線は’83の「聖少女黙示録」へ。身体障害者路線は’80の「遊戯の森の妖精」、’84からの「美姉妹肉煉獄」へと繋がる。’81の最終話「ハルマゲドンの戦い」ではせりふなしで24ページ全てが大殺戮シーンという回もあり、中でも一度やりたかった見開きで銃撃戦の擬音のみという事も実現。こんな事がエロマンガ誌で許される時代だった。ちなみにこの回は[OKコラルの決闘・100周年記念]だが、何の意味もない。単行本は最初サン出版より、その後久保書店より「白鳥の飛翔」「少女飼育篇」「ヘラクレスを撃て!」「眼球愛」「海の女神」の全5刊。現在入手出来るのは後の3刊のみ。[「海の女神」も最近在庫切れ]  この年出た「人魚のたわむれ」の表題作は性器に{たこ}を挿入するカットを見た編集長が「・・・[沈黙]・・・頭おかしいんじゃ・・ブツブツ・・気違い・・・ブツブツ・・・」と呆れてつぶやいていたのを記憶している。たこソーニューは今年出た「夜顔武闘伝」で久しぶりに再現。なおこの作品は’83にマンガと実写を噛み合せたビデオの珍品となる。水中スローモーションファックがなかなかよい。 ●1 9 8 0 ~   なぜか「JUNE」の増刊として作品集「美少女たちの宴」がサン出版より出版され、その短編集をもとに脚本化し日活で映画が創られる事となる。[「花の応援団」を当てたこの映画の企画者・成田氏は日活退社後「桜の園」等を創る。]その際、初めて映画撮影所を見学し、せこいセットがスクリーン上ではきちんとした絵になってるのを見て映画のマジックに感心。タイトルはなぜか「性狩人」で、’96にビデオ化された。監督・池田敏春のデビュー第2作となり現在までコンスタントに作品を発表しているが、出来のいい作品も多いのになぜか代表作がない。初期の「人魚伝説」が一番いいか。  この映画に合わせて「美少女たちの宴」を2~3回のつもりで「漫画ラブラブ」で描き出すがどんどん話がふくらみ、おまけに描いてる出版社が潰れたり、雑誌が潰れたりで雑誌を転々とし条例による警告の嵐がきた「漫画大飯店」を経て、「漫画ハンター」誌上で完結したのは’83になる。この作品でクリトリスを手術してペニスのように巨大化させるという人体改造ものを初めて描く。  この年の「遊戯の森の妖精」は身体障害者いじめ鬼畜路線の第2弾!森の中の別荘に乱入したろくでなしの二人組が精薄の少女の両親達を虐殺し、暴行の限りをつくすむちゃくちゃな作品で、雷鳴の中、少女の性器に男達のペニスが2本同時に挿入されるシーンは圧巻!しかしこのとんでもない男達も少女の性のエネルギーに飲み込まれ、朽ち果てていく・・・。 ●1 9 8 1 ~   美少女マンガ誌のはしり「レモン・ピープル」誌創刊。そこで描いたのが「白鳥の湖」。虚構の世界のヒロインを犯すというコンセプトは、アニメやゲームのヒロインをずこずこにするという今の同人誌のコンセプトと同じかも。バレエ「白鳥の湖」において悪魔に捕われたオデット姫が白鳥の姿に変えられる前に何にもされてない筈がないというモチーフにより生まれたこの作品は、悪魔に男根を植えつけられたヒロインが命じられるままに次々と妖精を犯して歩き悪魔の娘となるまでを描くが、あまり成功したとは言えない。ただ人形サイズの妖精をしゃぶりまくり淫核で犯す���イデアは他に「少女破壊幻想」で一回やっただけなのでそろそろもう一度やってみたいところ。「ダーティ松本の白雪姫」はその逆をいき、犯す方を小さくした作品で7人の小人が白雪姫の性器の中にはいり、しゃぶったり、処女膜を食べたり、と乱暴狼藉![ちなみに両者をでかくしたのが同人誌「FUCK YOU!3」の「ゴジラVSジュピター」]この童話シリーズは意外と好評で続いて「ダーティ松本の赤い靴」を上記の単行本に描き下ろして収録。童話は結構残酷なものが多く、この作品も切られた足だけが荒野を踊りながら去って行くラストは原作通り。 *近年童話ブームだがこの頃もっと描いておけば「こんなに危ない童話」として刊行出来たのにとくやまれる。 「2001年快楽の旅」もこの本に収録。快楽マシーンを逆にレイプしてしまう、珍しく映画「2001年宇宙の旅」風のSF作品。  掲載誌を決めずに出来る限り多くのマンガ誌で描こうというコンセプトで始めたのがこの年スタートした「怪人サドラン博士」シリーズ。「不死蝶」シリーズや「美少女たちの宴」シリーズの中にも乱入し、「漫画ハンター」最終号では地球をぶっ壊して[その際地球は絶頂の喘ぎ声をあげ昇天する!]他の惑星へ行ってしまう。今のところ10誌位に登場。いつかこのサドラン・シリーズだけ集めて単行本化したいところ。ちなみに「サド」と「乱歩」を足して「サドラン博士」と命名。作者の分身と言っていい。 [後年、「魔界の怪人」として全作品を収録して刊行、04年現在品切れ中]  この年描いて’82の単行本『妖精たちの宴』に収録の「とけていく・・」はレズの女たちが愛戯の果てに、肉体が溶けて一匹の軟体動物と化す、タイトルも内容も奇妙な作品。作者の頭もとけていた? ●1 9 8 2 ~ 1 9 8 3   ’83年に「美少女たちの宴」が完結。全てが無に帰すラストのページは真っ白のままで、このページの原稿料はいりません、と言ったにもかかわらず払ってくれた久保書店、偉い![明文社やCM頁の稿料を削った出版社=某少年画報社なら払わなかっただろうな……と思われる……]この作品以外は短編が多く、加速度をつけてのっていく描き方が得意のダー松としてはのりの悪い時期に突入。また10年近く走ってきてだれてきた頃でもあり第一次落ち込み期と言っていい。マンガがスタンプを押すように描けないものか、などとふとどきな考えまで湧いてくる。思えば一本の作品には、いったい何本の線を引いて出来上がっているものなのか。数えた馬鹿はいないだろうが数千本は引いている筈。一ヵ月に何万本とペンで線を引く日々・・うんざりする筈です。  この頃のめぼしい短編をいくつか書くと、少女マンガ家の家に税務調査にきた税務署員が過小申告をネタにねちねちいたぶるが、アシスタントに発見された署員は撲殺される。そして板橋税務署は焼き討ちにあう、といった作品「[タイトル失念]xx税務調査」。[後日読者よりこのタイトルを「色欲ダニ野郎」と教えていただく。ひどいタイトル *編集者のつけるタイトルはその人のセンスが実によくわかる。しかしサイテ-の題だなこりゃ…。 果てるまで「おまんこして!」と言わせながら処女をやりまくる「美処女/犯す!」はラスト、狂った少女が歩行者天国の通行人を撃ちまくり血の海にする。「嬲る!」はパンチドランカーとなった矢吹ジョーが白木葉子をサンドバッグに縛りつけ、殴って、殴って、殴りまくる。段平おっちゃんの最後のセリフ「・・ブスブスくすぶっちゃいるが・・・」「打てッ!打つんだ!ジョー!」「お前はまだ燃えつきちゃいねえ!」とはエロ・ドランカーの自分自身に向けて発した言葉だったのかも。トビー・フーパーばりの「淫魔のはらわた」は電気ドリルでアナルを広げてのファック!とどめにチェーンソーで尻を切断!いまだに単行本に収録出来ず。[’98の「絶頂伝説」にやっと収録]「からみあい」は夫の愛人の性器を噛みちぎる。「危険な関係」はアルコール浣腸をして火をつけ尻から火を吹かせる。この手は『FUCK YOU!2』の「セーラー・ハルマゲドン」で復元。そういえばこの作品の序章と終章だけ描いて、間の100章位をとばすやりかたはこの頃の「禁断の性獣」より。女性器にとりつき、男性器に変身するエイリアンの侵略により地球は女性器を失い滅亡する、といったストーリーで当時聞いた話では谷山浩子のD.J.でこの作品がリスナーの投書でとりあげられ、ダー松の名はダーティ・杉本と読まれたそうな。ヒロインの少女がひろ子という名前なのでこのハガキが選ばれたのかもしれないが、作者は薬師丸ひろ子からとったつもりだったのだが・・。[別にファンではない。] 「女教師狩り」は映画館で観客に犯される女教師とスクリーン上の同名のエロ映画の二本が同時進行し、一本で二本分楽しめるお得な作品。 ’83は’80に「漫画エロス」にて描いた「エロスの乱反射」の最終回の原稿が紛失したため単行本が出せないでいたのを、またまた「仏の久保さん」に頼んでラスト近くをふくらませて「漫画ハンター」に3回程描かせてもらい、やっと’85に出版。見られる事に快感を覚えるファッション・モデルが調教される内に、次第に露出狂となっていき、街中で突然裸になって交通事故を起こさせたり、最後はビルの屋上でストリップショー。そしてカメラのフラッシュの中に飛び降りていき、ラスト1ページはその性器のアップでエンド!  本格美少年・ゲイ・マンガ「聖少女黙示録」も’83。レズの姉たちの手によって女装に目覚めた少年がホモのダンサーたちに縛られなぶられ初のポコチンこすり合いの射精シーン。そして性転換して女となった主いるが、その中の’84の「白い肌の湖」はタイトルで解る通りのバレリーナものだがポコチンを焼かれた男が、一緒に暮ら人公が手術で男になった少女と暮らすハッピーエンド。この作品は単行本「美少女ハンター」に収録されてす二人の女と一人の男に復讐するエンディングがすごい!まず男の性器を切り取り、片方の女の性器にねじ込んだあと、その女の性器ごとえぐり取る。そしてその二つの性器をつかんだまま、もう一人の女の性器にフィストファック!のあげく、その二つの性器を入れたままの女性器をナイフでまた切って、ほとんどビックマック状態でまだヒクヒクうごめく血まみれの三つの性器を握りしめるとんでもない終り方!全くダー松はこんな事ばかりやっていたのかとあきれかえる。もう鬼畜としか言い様がない!しかし「ウィンナー」を二枚の「ハム」で包むなんて・・GOODなアイデアだ、又やってみよう。 ●1 9 8 4 ~   「漫画ハンター」で「闇の宴」前後篇を描き、後日これをビデオ化。雪に包まれた六本木のスタジオで痔に苦しみながらの撮影。特別出演として中島史雄氏が絶妙の指使い、東デの学生時代の萩原一至が二役、取材に来たJITAN氏もスタジオに入ってきた瞬間、即出演で生玉子1000個の海で大乱交。カメラマンが凝り性で照明が気に入るまでカメラを廻さず、たった二日の撮影はやりたい事の半分も出来ず。撮影が終ると痔はすぐに完治。どうもプレッシャーからくる神経性だったみたいでこれに懲りてビデオは一本のみ。 この年の「肉の漂流」は親子丼もので、近所の書店のオヤジからこの本はよく売れたと聞いたが、一時よく描いたこのパターンは最近では「FUCK YOU!3」の「母娘シャワー」のみ。熟女と少女の両方が描けるところが利点。「血の舞踏」は久しぶりの吸血鬼もの。股間を針で刺し、噛んで血を吸うシーン等々いい場面はあるが、うまくストーリーが転がらず3回で止める。短編「果てるまで・・」は核戦争後のシェルターの中で、父が娘とタイトル通り果てるまでやりまくる話。被爆していた父が死んだ後、娘はSEXの相手を捜して黒い雨の中をさまよう。  またリサ・ライオンの写真集を見て筋肉美に目覚め、マッチョ女ものをこの頃から描き出す。しかしなかなか筋肉をエロティックに描くのは難しい。 ●1 9 8 5 ~   くたびれ果ててすっかりダレてきたこの頃、8年間働いてくれたアシスタント女史に代わってパワーのかたまり萩原一至、鶴田洋久等が東京デザイナー学院卒業後加わってダーティ・マーケットも第2期に突入!新旧取り混ぜておもしろいマンガをいろいろ教えて貰って読みまくる。「バリバリ伝説」「ビーバップハイスクール」「ペリカンロード」「めぞん一刻」「わたしは真悟」「Be Free!」「緑山高校」「日出処の天子」「吉祥天女」「純情クレイジー・フルーツ」「アクター」「北斗の拳」「炎の転校生」「アイドルをさがせ」「綿の国星」「いつもポケットにショパン」「バツ&テリー」「六三四の剣」永井豪の絶頂期の作品「バイオレンス・ジャック」「凄之王」「デビルマン」等々100冊以上とても書ききれない位で、う~ん・・マンガってこんなにおもしろかったのか、と感動! そこで眠狂四郎を学園にほうり込んで、今まであまり描かなかった学園マンガをエロマンガに、というコンセプトで始めたのが「斬姦狂死郎」。「六三四の剣」ばりに単行本20巻を目指すものの、少年マンガのノリは今では当たり前だが、当時はまだエロマンガとして評価されず、ほんの少し時代が早すぎたかも。’86に中断、今年’97に「ホリディ・コミック」にて復活!果たしていつまで続けられるか? →後に「斬姦狂死郎・制服狩り」、「斬姦狂死郎・美教師狩り」として刊行完結  前年末から始めた「美姉妹肉煉獄」は身障者いじめの鬼畜路線。盲目の姉とその妹を調教して性風俗店等で働かせ、娼婦に堕していく不健全・不道徳な作品で、肉の快楽にひたっていく盲目の姉に対し妹も「春琴抄」の如く己の眼を突き、自らも暗黒の快楽の世界にはいり、快楽の光に目覚めるラスト。 また、これからは女王様物だ!となぜか突然ひらめき「筋肉女」シリーズの延長としてフィットネス・スタジオを舞台に「メタル・クイーン」シリーズも開始。これは単行本2冊分描いたが、連載途中でヒロインの髪型を歌手ステファニーのヘア・スタイルにチェンジしたり、レオタードもたっぷり描けてわりと気に入っている。  10年近く描いた「美蝶」先生シリーズもこの年スタート!こうしてみるとマンガを描く喜びに満ちた大充実の年だったかも。 ●1 9 8 6 ~   この年は前年からの連載ものがほとんどだが、「エレクト・ボーイ」は空中でファックするシーンが描いてみたくて始めた初の超能力エロマンガ。コメディ的要素がうまくいかず2回で止める。この路線は翌年の「堕天使輪舞」で開花。  「夜の彷徨人」は自分の育てた新体操選手が怪我で選手生命を失ったため、その女を馬肉のごとく娼婦として夜の世界に売り渡した主人公という設定。しかし腕を折られ、女にも逆に捨てられ、そして事故によってその女を失ったあげく不能となってしまう。失った快楽を取り戻すため無くした片腕にバイブレーターを取りつけ、夜の街をさすらい次々と女たちをレイプしていくというストーリー。がっちり設定したキャラだったのにまったく話がはずまず、男のポコチンは勃起しないままに作品も不発のまま終る。  「斬姦狂死郎」が不本意のまま終わったため学園エロス・シリーズは「放課後の媚娼女」へと引き継がれる。当時見ていた南野陽子のTV「スケバン刑事・」とS・レオーネの「ウエスタン」風に料理。ラストの「男といっしょじゃ歩けないんだ」のセリフは一番好きな映画、鈴木清順の「東京流れ者」からのもじり。単行本は最初司書房から出て、数年後ミリオン出版から再販、そして’97久保書店より再々販ながら結構売れて今年また再版。この作品は親を助けてくれる有難い孝行息子といったところ。 ●1 9 8 7 ~   さいとうプロOBで那珂川尚という名のマンガ家だった友人の津田が「漫画ダイナマイト」の編集者になっていて、実に久しぶりに同誌で「堕天使輪舞」を描く。超能力エロマンガの第2弾。今回はエロと超能力合戦とがうまくミックスされ一応成功といっていい。この路線は「エレクト・ボーイ」とこの作品、そして’96の「夜顔武闘伝」も含めてもいいかも。一時、この手の作品は数多くあったが最近はめったに見かけない。しかし、まだまだこの路線には鉱脈が眠っているとにらんでいるがどんなものだろう。 ●1 9 8 8 ~   「放課後の媚娼女」に続いて抜かずの凶一無頼控え「放課後の熱い祭り」を2年がかりで描く。’89に完結し司書房より単行本化。そして今年’97に改定してめでたく完全版として復刊!この頃が一番劇画っぽい絵で、たった2~3人のスタッフでよくこれだけ描き込めたなと改めて感心!エロシーンがちょっと少なめながら中島史雄氏がダー松作品でこの作品が一番好き、とお褒めの言葉を頂戴する。  TVで三流アマゾネス映画を見ている内、むくむくとイメージがふくらみ、昔から描きたかった西部劇と時代劇がこれで描けると、この年スタートさせたのが「不死蝶伝説」なるアマゾネス路線。昔々青年誌の創世期にあのケン月影氏がマカロニ・ウエスタンを描いていたことを知る人は少ないだろう。俺もあの頃デビューしていたらウエスタンが描けたのに、と思う事もあったが、このシリーズでほんの少しだけその願望がかなう。  この頃、アシスタントやってくれてた格闘技マニアの鶴田洋久に誘われ、近所の空手道場通いの日々。若い頃修行のため新宿でやくざに喧嘩を売って歩いたという寺内師範は、もう鬼のような人で、行けば地獄が待っていると判っててなぜ行く?と不思議な位休まず通う。体育会系はマゾの世界と知る。組手は寸止めではなく顔面以外は当てて可だったので身体中打撲のあざだらけ、ビデオで研究したという鶴田の体重をかけたムエタイ式の蹴りをくらい、右手が饅頭のように腫れ上がる。先輩たちの組手の試合も蹴りがもろにはいってあばら骨が折れたりで、なぜこんなヘビーな事をする?と思うが、闘う事によって身体の奥から何か沸き上がってくるものがある。スリランカの元コマンドと組手をやった時、格闘家の気持ちが少しだけ判るようになった。 ●1 9 8 9 ~   ’94まで続く「美蝶」シリーズでこの年は『ノスフェラトウ篇』を描き、シリーズ中これが一番のお気に入り。同人誌の「王夢」はこれが原点。  短編では「悪夢の中へ」はスプラッタ・エロマンガで久しぶりにチェーンソゥでお尻のぶった切り!はらわた引きずり出し、人肉食いちぎり!顔面叩き割り等々でラストに「ホラービデオの規制をするバカは俺が許さん!」などと書いているので、この年が宮崎事件の年か?世間は彼が日野日出志・作のホラービデオ「ギニーピッグ」を見てあの犯罪をおかした、としてさんざんホラービデオの規制をやっといて、結局見てもいなかったとわかったあとは誰一人日野日出志氏にもホラービデオさんにも謝らす゛知らんぷり。残ったのは規制だけで、馬鹿のやる事には全く困ったもんである。先日の「酒鬼薔薇・14才」の時も犯罪おたくの心理学者が、「これはマンガやビデオの影響です。」などと相も変わらずたわけた寝言をぬかしていたが、馬鹿はいつまでたっても馬鹿のまま。少しは進歩しろよ!お前だよ、お前!短絡的で幼稚な坊や、小田晋!よぅく首を洗っとけ!コラ!  「獣人たちの儀式」は退学者や少年院送りになつた生徒、暴走族、ヤクザ達が集まって酒盛りしながら女教師たちをずこずこにしてOB会をひらく不健全作品。編集長が「また危ない作品を・・・」とこぼしたものだが、岡野さん、田舎で元気にお過しでしょうか。この頃の「漫画エロス」には「ケンペーくん」だとか「アリスのお茶会」だとかおもしろい作品が載っていたものです。「爆走遊戯」は伝説のストーカー・ろくでなしマンガ家の早見純が一番好きな作品と言ってくれたが、なぜだかわからない。人の好みはいろいろです。以上3本は単行本「熱き唇��女神」に収録。 「ふしだらな女獣たち」はフェミニストの女二人が美少年をいじめる話。これは「氷の部屋の女」に収録。 ●1 9 9 0 ~   この年の「美蝶」シリーズは『ダンシング・クイーン篇』。マネキン工場跡でJ・ブラウンの「セックス・マシーン」にのせて5人プレイをするシーンや文化祭でのダンスシーン等々結構好きな場面多し。暗くて硬い作品が多いので、この「美蝶」シリーズは肩肘張らずに、かなり軽いノリでキャラクターの動きに任せて、ストーリーも、そして次のコマさえも先の事は何にも考えず、ほとんどアドリブで描いた時もある。  「不死蝶伝説」に続いてシリーズ第2弾「不死蝶」は2誌にまたがって2年位続ける。これも結構お気に入りの一遍。 ●1 9 9 1 ~ 1 9 9 3   「性狩人たち」の近未来版、といった感じの「夜戦士」は学園物が多くなったので、マグナム銃で脳天をぶっとばすようなものが又描きたくなって始めたミニシリーズ。全5話位。松文館より単行本「黒い夜と夢魔の闇」に収録。  この年から知り合いの編集者がレディス・コミックを始める人が多く、依頼されてどうしたものかと思ったが、エロなら何でもやってみよう精神と何か新しい世界が開けるかも、という事から’94位までやってみたものの結果的に不毛の時代に終わる。与えられた素材が体験告白物という事で、非現実的なものは描けないという事は得意技を��印して戦うようなもので苦戦を��いられ、これって内山亜紀氏がやまさき十三原作の人情話を描いたようなミス・マッチングで不発だったかな。今後、もしやることがあれば美少年SMのレディス・コミックのみ。そんな雑誌が出来れば、の話だが。  いくつかやったレディコミの編集の一人「アイリス」の鈴木さんは同じさいとうプロOBで、マンガ・アシスタント、マンガ家、マンガ誌の編集、そして今はマンガ学校の講師、とこれだけ多くのマンガに関わる仕事をしてきた人はあまりいないだろう。これでマンガ評論でもやれば全て制覇だが・・・。  この頃はいつもと同じ位の30~40本の作品を毎年描いていたが、レディコミは一本30~40枚とページが多く結構身体にガタがきた頃で、右手のひじが腱傷炎になり1年以上苦痛が続く。医者通いではさっぱり痛みがひかず、電気針で針灸治療を半年位続けてやっと完治。その後、住んでいたマンションの理事長を押しつけられ、マンション戦争の渦中に巻き込まれひどい目にあう。攻撃するのは楽だが、話をまとめるなどというのは社会生活不適格のダー松には大の苦手で「お前等!わがままばかり言うのはいいかげんにしろー!」と頭をカチ割りたくなるような事ばかりで、ひたすら我慢の日々で血圧がガンガン上がり、病院通いの日々。確実に寿命が5年は縮まる。あの時はマジで人に殺意を抱いたものだが、今でも金属バット持って押しかけて奴等の脳みそをクラッシュしたい気分になる時もある。いつかこの時の事をマンガにしようと思っていて、まだ誰も描いてない「マンション・マンガ」というジャンル、タイトルは「我が闘争」。え?誰も読みたくない?  この間に出た単行本は「血を吸う夜」、「赤い月の化身」「熱き唇の女神」[以上・久保書店] /「牝猫の花園」「真夜中の人魚たち」[以上久保書店]、「美蝶/放課後篇」「美蝶/ダンシング・クイーン篇」「不死蝶/鋼鉄の女王篇・上巻」[以上ミリオン出版]。 ●1 9 9 4 ~ 1 9 9 5   ろくでもない事が続くのは厄払いをしなかったせいか、このままここにいたら頭がおかしくなる、と15年以上いたマンションから引っ越し。板橋から巣鴨へ移動し気分一新!以前からうちもやりましょうよ、と言われていた同人誌創りをそのうち、そのうちと伸ばしてきたものの遂に申し込んでしまい、創らざるをえなくなる。しかもそれが引っ越しの時期と重なってしまい大いに後悔する。しかしいろんな人にお願いして何とか一冊でっちあげ、ムシ風呂のような夏コミに初参加。これが運命の分岐点。レディコミもこの年で切り上げ、以下同人街道をまっしぐら。現在まで「FUCK OFF!」が9まで、「FUCK YOU!」が4まで計10+&冊創る。  ’95からダーティ松本の名前にも飽きてきたしJr,Sam名でも描き始める。 レディコミ時代は松本美蝶。あと2つ位違うペンネームも考案中。  この間の単行本「氷の部屋の女」「双子座の戯れ」[久保書店]、「黒い夜と夢魔の闇」[松文館]、「危険な女教師/美蝶」[ミリオン] ●1 9 9 6 ~   美少女路線の絵柄もこの年の「夜顔武闘伝」あたりでほぼ完成、今後また少し変化させる予定。しかしこの作品は超能力、アマゾネス、忍法エロマンガとでも呼ぶべきか。「グラップラー刃牙」みたいに闘技場での勝ち抜き性武道合戦までいきたかったけれど、残念ながらたどり着けず。  「冬の堕天使」は久しぶりの吸血鬼もの。都営住宅で生活保護をうけている吸血鬼母子のイメージが浮かび、そこから漫画家協会・加藤芳郎を撃つ有害図書騒動のマンガへ。吸血鬼少年が光の世界との戦いに旅立つまでを描き、「闇に潜みし者」は時空を越えて近未来での戦い。その間を描く作品を今後創らなければ。  「FUCK CITY 2006」はクソ溜めと化した近未来のTOKYOを舞台に久しぶりにダーティ・バイオレンスが炸裂!ハード・エロ劇画と同人誌風・美少女路線の合体は果たしてうまくいったかどうか?30ページほど描き足して、’97、9月にフランス書院のコミック文庫にて発売。[「少女水中花」]  「放課後の媚娼女」と「人形愛」刊行。[いずれも久保書店刊]前者は以前、上下巻だったのを一冊にまとめて。後者は近作を集めた同人時代を経ての初単行本で、同人誌を知らなかった読者はショックを受ける。メタルフアンから以下のようなお手紙を受け取る。「これはジューダス・プリーストの『ターボ』だ。ラストの『眠れる森の少女』は『レックレス』にあたる。しかしジューダスもその後『ラム・イット・ダウン』や『ペイン・キラー』という傑作を世に出した事だし、今後を期待したい」という意のダー松のようなメタルファン以外は意味不明の激励をうける。 ●1 9 9 7   同人誌「エロス大百科シリーズ」スタート!いろんな項目別に年2刊づつ計100ページ位を別刊シリーズとして出し続ければ10年で1000ページになり、以前「谷岡ヤスジ1000ページ」という枕に最適の本があったが、これも一冊にまとめて枕にして寝れば、目覚める頃は3回夢精しているなんて事に・・・などとまだたった40ページの段階で言っても何の説得力もないか。飽きたら2~3号でSTOPするだろうし・・。[推測通り「毛剃り」「美少年SM」「女装」3号でストップ中]冬にはやおい系にも進出の予定。  今年出した単行本は厚くて濃いエロマンガを集めた久保書店MAXシリーズ第2弾!「放課後の熱い祭り/完全版」と「夜顔武闘伝」オークラ出版。ともに大幅描き足して25周年記念出版として刊行。ティーツー出版よりJr,Sam名で「昼下がりの少女」、9月にはフランス書院より「少女水中花」の文庫本が出る予定で現在、この同人誌と並行して描き足し中。「斬姦狂死郎」第2部も「ホリディ・COMIC」誌にて6月よりスタート!年内創刊予定の『腐肉クラブ』なる死体姦専門のマンガ誌にも執筆予定。  さてさて25年間、旅行の時を除いて、現在まで2日続けてマンガを描かなかった事はほとんどない。これはその昔、伊東元気氏というマンガ家とお会いしたとき「今月何ページ描いた?」との問いに、「今月仕事ないんでぜんぜん描いてません」と答えたら、「そんな事じゃ駄目だ。仕事があろうがなかろうが、毎月100頁は描かなきゃ。」と言われ、以後その教えを守り[描けるページ数は減ったが]、マンガは仕事ではなくなり、朝起きたら顔を洗うのと同じで生活そのものとなり現在に至る。  今は何でも描けそうなハイな状態で、以前はたまには外出しないと煮詰まってしまうので週いち位ガス抜きをしていたものだが、最近はせいぜい月いち休めば十分の「純エロマンガ体」。[純粋にエロマンガを描くためだけの肉体、の意。ダー松の造語]  こうしてふり返ると、この路線はまだえぐり足りない、これはあと数回描くべし、なぜこれを一度しか描かない!等々、残り時間にやるべき事、やりたい事の何と多い事! 爆裂昇天のその日まで・・・      燃 え よ ペ ン !  なお続きは 1997年後期 1998年 INDEX
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isakicoto2 · 3 years
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青と金色
■サイレンス
この部屋のインターフォンも灰色のボタンも、だいぶ見慣れてきた。指で押し込めて戻すと、ピーンポーンと内側に引っ込んだような軽い電子音が鳴る。まだこの地に来た頃はこうやって部屋主を呼び出して待つのが不思議な気分だった。鍵は開かれていたし、裏口だって知っていたから。 「…さむっ」 ひゅうう、と冷たい風が横から吹き込んで、思わずそう呟いて肩を縮めた。今週十二月に入ったばかりなのに、日が落ちると驚くほど冷え込む。今日に限って天気予報を観ていなかったけれど、今夜はいつもと比べても一段と寒いらしい。 近いし、どうせすぐだからと、ろくに防寒のことを考えずに部屋を出てきたのは失敗だった。目についた適当なトレーナーとパンツに着替え、いつものモッズコートを羽織った。おかげで厚みは足りないし、むき出しの両手は指先が赤くなるほど冷えてしまっている。こんなに寒いのならもっとしっかりと重ね着してこれば良かった。口元が埋まるくらいマフラーをぐるぐるに巻いてきたのは正解だったけれど。 いつもどおりインターフォンが繋がる気配はないけれど、その代わりに扉の奥からかすかに足音が近付く。カシャリ、と内側から錠の回る音がして目の前の扉が開かれた。 「おつかれ、ハル」 部屋の主は片手で押すように扉を開いたまま、咎めることも大仰に出迎えることもなく、あたたかい灯りを背にして、ただ静かにそこに佇んでいた。 「やっと来たか」 「はは、レポートなかなか終わらなくって…。遅くなっちゃってごめんね」 マフラー越しに笑いかけると、遙は小さく息をついたみたいだった。一歩進んで内側に入り、重たく閉じかける扉を押さえてゆっくりと閉める。 「あ、ここで渡しちゃうからいいよ」 そのまま部屋の奥に進もうとする遙を呼び止めて、玄関のたたきでリュックサックを開けようと背から下ろした。 遙に借りていたのはスポーツ心理学に関する本とテキストだった。レポート課題を進めるのに内容がちょうど良かったものの自分の大学の図書館では既に貸し出し中で、書店で買うにも版元から取り寄せるのに時間がかかるとのことだった。週明けの午後の講義で遙が使うからそれまでには返す、お互いの都合がつく日曜日の夕方頃に部屋に渡しに行く、と約束していたのだ。行きつけのラーメン屋で並んで麺を啜っていた、週の頭のことだった。 「いいから上がれよ」遙は小さく振り返りながら促した。奥からほわんとあたたかい空気が流れてくる。そこには食べ物やひとの生活の匂いが確かに混じっていて、色に例えるなら、まろやかなクリーム色とか、ちょうど先日食べたラーメンのスープみたいなあたたかい黄金色をしている。それにひとたび触れてしまうと、またすぐに冷えた屋外を出て歩くために膨らませていた気力が、しるしるとしぼんでしまうのだ。 雪のたくさん降る場所に生まれ育ったくせに、寒いのは昔から得意じゃない。遙だってそのことはよく知っている。もちろん、帰ってやるべきことはまだ残っている。けれどここは少しだけ優しさに甘えようと決めた。 「…うん、そうだね。ありがと、ハル」 お邪魔しまーす。そう小さく呟いて、脱いだ靴を揃える。脇には見慣れたスニーカーと、濃い色の革のショートブーツが並んでいた。首に巻いたマフラーを緩めながら短い廊下を歩き進むうちに、程よくあたためられた空気に撫ぜられ、冷えきった指先や頬がぴりぴりと痺れて少しだけ痒くなる。 キッチンの前を通るときに、流しに置かれた洗いかけの食器や小鍋が目に入った。どうやら夕食はもう食べ終えたらしい。家を出てくる前までは課題に夢中だったけれど、意識すると、空っぽの胃袋が悲しげにきゅうと鳴った。昼は簡単な麺類で済ませてしまったから、帰りにがっつり肉の入ったお弁当でも買って帰ろう。しぼんだ胃袋をなぐさめるようにそう心に決めた。 「外、風出てきたから結構寒くってさ。ちょっと歩いてきただけなのに冷えちゃった」 「下旬並だってテレビで言ってた。わざわざ来させて悪かったな」 「ううん、これ貸してもらって助かったよ。レポートもあと少しで終わるから、今日はちゃんと寝られそう……」 遙に続いてリビングに足を踏み入れ、そこまで口にしたところで言葉が詰まってしまった。ぱちり、ぱちりと大きく瞬きをして眼下の光景を捉え直す。 部屋の真ん中に陣取って置かれているのは、彼の実家のものより一回り以上小さいサイズの炬燵だ。遙らしい大人しい色合いの炬燵布団と毛布が二重にして掛けられていて、丸みがかった正方形の天板が上に乗っている。その上にはカバーに入ったティッシュ箱だけがちょんとひとつ置かれていた。前回部屋に訪れたときにはなかったものだ。去年は持っていなくて、今年は買いたいと言っていたことを思い出す。けれど、それはさして驚くようなことでもない。 目を奪われたのは、その場所に半分身を埋めて横になり、座布団を枕にして寝息を立てている人物のことだった。 「…えっ、ええっ? 凛!?」 目の前で眠っているのは、紛れもなく、あの松岡凛だった。普段はオーストラリアにいるはずの、同郷の大切な仲間。凛とはこの夏、日本国内の大会に出ていた時期に会って以来、メールやメディア越しにしか会えていなかった。 「でかい声出すな、凛が起きる」 しいっと遙が小声で咎めてくる。あっ、と慌てたけれど、当の凛は起きるどころか身じろぐこともなく、ぐっすりと深く眠ってしまっているようだった。ほっと胸を撫で下ろす。 「ああ、ご、ごめんね…」 口をついて出たものの、誰に、何に対してのごめんなのか自分でもよく分からない。凛がここにいるとは予想だにしていなかったから、ひどく驚いてしまった。 凛は今までも、自分を含め東京に住んでいる友達の部屋に泊まっていくことがあった。凛は東京に住まいを持たない。合宿や招待されたものならば宿が用意されるらしいけれど、そうでない用事で東京に訪れることもしばしばあるのだそうだ。その際には、自費で安いビジネスホテルを使うことになる。一泊や二泊ならともかく、それ以上連泊になると財布への負担も大きいことは想像に難くない。 東京には少なくとも同級生だけで遙と貴澄と自分が住んでいる。貴澄は一人暮らしでないからきっと勝手も違うのだろうが、遙と自分はその点都合が良い。特に遙は同じ道を歩む選手同士だ。凛自身はよく遠慮もするけれど、彼の夢のために、できるだけの協力はしてやりたい。それはきっと、隣に並ぶ遙も同じ気持ちなのだと思う。 とはいえ、凛が来ているのだと知っていれば、もう少し訪問の日時も考えたのに。休日の夜の、一番くつろげる時間帯。遙ひとりだと思っていたから、あまり気も遣わず来てしまったのに。 「ハル、一言くらい言ってくれればいいのに」 強く非難する気はなかったけれど、つい口をついて本音が出てしまった。あえて黙っていた遙にじとりと視線を向ける。遙はぱちり、ぱちりと目を瞬かせると、きゅっと小さく眉根を寄せ、唇を引き結んだ。 「別に…それが断わる理由にはならないだろ」 そう答えて視線を外す遙の表情には少し苦い色が含まれていて、それでまた一歩、確信に近付いたような気がした。近くで、このごろはちょっと離れて、ずっと見てきたふたりのこと。けれど今はそっと閉じて黙っておく。決してふたりを責めたてたいわけではないのだ。 「…ん、そうだね」 漂う空気を曖昧にぼかして脇にやり、「でも、びっくりしたなぁ」と声のトーンを上げた。遙は少しばつが悪そうにしていたけれど、ちらりと視線を戻してくる。困らせたかな、ごめんね、と心の中で語りかけた。 「凛がこの時期に帰ってくるなんて珍しいよね。前に連絡取り合ったときには言ってなかったのに」 「ああ…俺も、数日前に聞いた。こっちで雑誌だかテレビだかの取材を受けるとかで呼ばれたらしい」 なんでも、その取材自体は週明けに予定されていて、主催側で宿も用意してくれているらしい。凛はその予定の数日前、週の終わり際に東京にやって来て、この週末は遙の部屋に泊まっているのだそうだ。今は確かオフシーズンだけれど、かといってあちこち遊びに行けるほど暇な立場ではないのだろうし、凛自身の性格からしても、基本的に空いた時間は練習に費やそうとするはずだ。メインは公的な用事とはいえ、今回の東京訪問は彼にとってちょっとした息抜きも兼ねているのだろう。 「次に帰ってくるとしたら年末だもんね。早めの休みでハルにも会えて、ちょうど良かったんじゃない」 「それは、そうだろうけど…」 遙は炬燵の傍にしゃがみこんで、凛に視線を向けた。 「ろくに連絡せずに急に押しかけてきて…本当に勝手なやつ」 すうすうと寝息を立てる凛を見やって、遙は小さく溜め息をついた。それでも、見つめるその眼差しはやわらかい。そっと細められた瞳が何もかもを物語っている気がする。凛は、見ている限り相変わらずみたいだけれど。ふたりのそんな姿を見ていると自然と笑みがこぼれた。 ハル、あのね。心の中でこっそり語りかけながら、胸の内側にほこほことあたたかい感情が沸き上がり広がっていくのが分かった。 凛って、どんなに急でもかならず前もって連絡を取って、ちゃんと予定を確認してくるんだよ。押しかけてくるなんて、きっとそんなのハルにだけじゃないかなぁ。 なんて考えながら、それを遙に伝えるのはやめておく。凛の名誉のためだった。 視線に気付いた遙が顔を上げて、お返しとばかりにじとりとした視線を向けた。 「真琴、なんかニヤニヤしてないか」 「そんなことないよ」 つい嬉しくなって口元がほころんでいたらしい。 凛と、遙。そっと順番に視線を移して、少しだけ目を伏せる。 「ふたりとも相変わらずで本当、良かったなぁと思って」 「…なんだそれ」 遙は怪訝そうに言って、また浅く息をついた。
しばらくしておもむろに立ち上がった遙はキッチンに移動して、何か飲むか、と視線を寄こした。 「ついでに夕飯も食っていくか? さっきの余りなら出せる」 夕飯、と聞いて胃が声を上げそうになる。けれど、ここは早めにお暇しなければ。軽く手を振って遠慮のポーズをとった。 「あ、いいよいいよ。まだレポート途中だし、すぐに帰るからさ。飲み物だけもらっていい?」 遙は少し不満そうに唇をへの字に曲げてみせたけれど、「分かった、ちょっと待ってろ」と冷蔵庫を開け始めた。 逆に気を遣わせただろうか。なんだか申し訳ない気持ちを抱きながら、炬燵のほうを見やる。凛はいまだによく眠ったままだった。半分に折り畳んだ座布団を枕にして横向きに背を縮めていて、呼吸に合わせて規則正しく肩が上下している。力の抜けた唇は薄く開いていて、その無防備な寝顔はいつもよりずっと幼く、あどけないとさえ感じられた。いつもあんなにしゃんとしていて、周りを惹きつけて格好いいのに。目の前にいるのはまるで小さな子供みたいで、眺めていると思わず顔がほころんでしまう。 「凛、よく寝てるね」 「一日連れ回したから疲れたんだろ。あんまりじっと見てやるな」 あ、また。遙は何げなく言ったつもりなのだろう。けれど、やっぱり見つけてしまった。「そうだね」と笑って、また触れずに黙っておくけれど。 仕切り直すように、努めて明るく、遙に投げかけた。 「でも、取材を受けに来日するなんて、なんか凛、すっかり芸能人みたいだね」 凄いなぁ。大仰にそう言って視線を送ると、遙は、うん、と喉だけで小さく返事をした。視線は手元に落とされていながら、その瞳はどこか遠くを見つめていた。コンロのツマミを捻り、カチチ、ボッと青い火のつく音がする。静かなその横顔は、きっと凛のことを考えている。岩鳶の家で居間からよく見つめた、少し懐かしい顔だった。 こんなとき、いまここに、目の前にいるのに、とそんな野暮なことはとても言えない。近くにいるのにずっと遠くに沈んでいた頃の遙は、まだ完全には色褪せない。簡単に遠い過去に押しやって忘れることはできなかった。 しばらく黙って待っていると遙はリビングに戻って来て、手に持ったマグカップをひとつ差し出した。淹れたてのコーヒーに牛乳を混ぜたもので、あたたかく優しい色合いをしていた。 「ありがとう」 「あとこれも、良かったら食え」 貰いものだ、と小さく個包装されたバウムクーヘンを二切れ分、炬燵の上に置いた。背の部分にホワイトチョコがコーティングしてあって、コーヒーによく合いそうだった。 「ハルは優しいね」 そう言って微笑むと、遙は「余らせてただけだ」と視線を逸らした。 冷えきった両の手のひらをあたためながらマグカップを傾ける。冷たい牛乳を入れたおかげで飲みやすい温度になっていて、すぐに口をつけることができた。遙は座布団を移動させて、眠っている凛の横に座った。そうして湯気を立てるブラックのコーヒーを少しずつ傾けていた。 「この休みはふたりでどこか行ってきたの?」 遙はこくんと頷いて、手元の黒い水面を見つめながらぽつぽつと語り始めた。 「公園に連れて行って…買い物と、あと、昨日は凛が何か観たいって言うから、映画に」 タイトルを訊いたけれど、遙の記憶が曖昧で何だかよく分からなかったから半券を見せてもらった。CM予告だけ見かけたことのある洋画で、話を聞くに、実在した人物の波乱万丈な人生を追ったサクセスストーリーのようだった。 「終盤ずっと隣で泣かれたから、どうしようかと思った」 遙はそう言って溜め息をついていたけれど、きっとそのときは気が気ではなかったはずだ。声を押し殺して感動の涙を流す凛と、その隣で映画の内容どころではなくハラハラと様子を見守る遙。その光景がありありと眼前に浮かんで思わず吹き出してしまった。 「散々泣いてたくせに、終わった後は強がっているし」 「あはは、凛らしいね」 俺が泣かせたみたいで困った、と呆れた顔をしてコーヒーを口に運ぶ遙に、あらためて笑みを向けた。 「よかったね、ハル」 「…何がだ」 ふいっと背けられた顔は、やっぱり少し赤らんでいた。
そうやってしばらく話しているうちにコーヒーは底をつき、バウムクーヘンもあっという間に胃袋に消えてしまった。空になったマグカップを遙に預け、さて、と膝を立てる。 「おれ、そろそろ帰るね。コーヒーごちそうさま」 「ああ」 遙は玄関まで見送ってくれた。振り返って最後にもう一度奥を見やる。やはり、凛はまだ起きていないようだった。 「凛、ほんとにぐっすりだね。なんか珍しい」 「ああ。でも風呂がまだだから、そろそろ起こさないと」 遙はそう言って小さく息をついたけれど、あんまり困っているふうには見えなかった。 「あ、凛には来てたこと内緒にしておいてね」 念のため、そう言い添えておいた。隠すようなことではないけれど、きっと多分、凛は困るだろうから。遙は小さく首を傾げたけれど、「分かった」と一言だけ答えた。 「真琴、ちょっと待て」 錠を開けようとすると、思い出したみたいに遙はそう言って踵を返し、そうしてすぐに赤いパッケージを手にリビングから戻ってきた。 「貼るカイロ」 大きく書かれた商品名をそのまま口にする。その場で袋を開けて中身を取り出したので、貼っていけ、ということらしい。貼らずにポケットに入れるものよりも少し大きめのサイズだった。 「寒がりなんだから、もっと厚着しろよ」 確かに、今日のことに関しては反論のしようがない。完全に油断だったのだから。 「でも、ハルも結構薄着だし、人のこと言えないだろ」 着ぶくれするのが煩わしいのか、遙は昔からあまり着こまない。大して寒がる様子も見せないけれど、かつては年に一度くらい、盛大に風邪を引いていたのも知っている。 「年末に向けて風邪引かないように気を付けなよ」 「俺は大丈夫だ、こっちでもちゃんと鯖を食べてるから」 「どういう理屈だよ…って、わあっ」 「いいから。何枚着てるんだ」 言い合っているうちに遙が手荒く背中をめくってくる。「ここに貼っとくぞ」とインナーの上から腰の上あたりに、平手でぐっと押すように貼り付けられた。気が置けないといえばそうだし、扱いに変な遠慮がないというか何というか。すぐ傍で、それこそ兄弟みたいに一緒に育ってきたのだから。きっと凛には、こんな風にはしないんだろうなぁ。ふとそんな考えが頭をもたげた。 遙はなんだか満足げな顔をしていた。まぁ、きっとお互い様なんだな。そう考えながら、また少し笑ってしまった。 「じゃあまたね、おやすみ」 「ああ。気を付けて」
急にひとりになると、より強く冷たく風が吹きつける気がする。けれど、次々沸き上がるように笑みが浮かんで、足取りは来る前よりずっと軽かった。 空を仰ぐと、小さく星が見えた。深く吐いた息は霧のように白く広がった。 ほくほく、ほろほろ、それがじわじわと身体中に広がっていくみたいに。先ほど貼ってもらったカイロのせいだろうか。それもあるけれど、胸の内側、全体があたたかい。やわらかくて、ちょっと苦さもあるけれど、うんとあたたかい。ハルが、ハルちゃんが嬉しそうで、良かった。こちらまで笑みがこぼれてしまうくらいに。東京の冬の夜を、そうやってひとり歩き渡っていた。
■ハレーション
キンとどこかで音がするくらいに空気は冷えきっていた。昨日より一段と寒い、冬の早い朝のこと。 日陰になった裏道を通ると、浅く吐く息さえも白いことに気が付く。凛は相変わらず少し先を歩いて、ときどき振り返っては「はやく来いよ」と軽く急かすように先を促した。別に急ぐような用事ではないのに。ためらいのない足取りでぐんぐんと歩き進んで、凛はいつもそう言う。こちらに来いと。心のどこかでは、勝手なやつだと溜め息をついているのに、それでも身体はするすると引き寄せられていく。自然と足が前へと歩を進めていく。 たとえばブラックホールや磁石みたいな、抗いようのないものなのだと思うのは容易いことだった。手繰り寄せられるのを振りほどかない、そもそもほどけないものなのだと。そんな風に考えていたこともあった気がする。けれど、あの頃から見える世界がぐんと広がって、凛とこうやって過ごすうちに、それだけではないのかもしれないと感じ始めた。 あの場所で、凛は行こうと言った。数年も前の夏のことだ。 深い色をした長いコートの裾を揺らして、小さく靴音を鳴らして、凛は眩い光の中を歩いていく。 格好が良いな、と思う。手放しに褒めるのはなんだか恥ずかしいし、悔しいから言わないけれど。それにあまり面と向かって言葉にするのも得意ではない。 それでもどうしても、たとえばこういうとき、波のように胸に押し寄せる。海辺みたいだ。ざっと寄せて引くと濡れた跡が残って、繰り返し繰り返し、どうしようもなくそこにあるものに気付かされる。そうやって確かに、この生きものに惚れているのだと気付かされる。
目的地の公園は、住んでいるアパートから歩いて十分ほどのところにある。出入りのできる開けた場所には等間隔で二本、石造りの太い車止めが植わるように並んでいて、それを凛はするりと避けて入っていった。しなやかな動きはまるで猫のようで、見えない尻尾や耳がそこにあるみたいだった。「なんか面白いもんでもあったか?」「いや、別に」口元がゆるみかけたのをごまかすためにとっさに顔ごと、視線を脇に逸らす。「なんだよ」凛は怪訝そうな、何か言いたげな表情をしたけれど、それ以上追及することはなくふたたび前を向いた。 道を歩き進むと広場に出た。ここは小さな公園やグラウンドのような一面砂色をした地面ではなく、芝生の広場になっている。遊具がない代わりにこの辺りでは一番広い敷地なので、思う存分ボール投げをしたり走り回ったりすることができる。子供たちやペットを連れた人たちが多く訪れる場所だった。 芝生といっても人工芝のように一面青々としたものではなく、薄い色をした芝生と土がまだらになっているつくりだった。見渡すと、地面がところどころ波打ったようにでこぼこしている。区によって管理され定期的に整備されているけれど、ここはずいぶん古くからある場所なのだそうだ。どこもかしこもよく使い込まれていて、人工物でさえも経年のせいでくすんで景観に馴染んでいる。 まだらで色褪せた地面も、長い時間をかけて踏み固められていると考えれば、落ち着いてもの静かな印象を受ける。手つかずの新品のものよりかは、自分にとって居心地が良くて好ましいと思えた。 広場を囲んで手前から奥に向かい、大きく輪になるようにイチョウの木々が連なって並んでいる。凛は傍近くの木の前に足を止め、見上げるなり、すげぇなと感嘆の声を漏らした。 「一面、金色だ」 立ち止まった凛の隣に並び、倣って顔を上げる。そこには確かに、すっかり金に色付いたイチョウの葉が広がっていた。冬の薄い青空の真下に、まだ真南に昇りきらない眩い光をたっぷりと受けてきらきらと、存在を主張している。 きんいろ、と凛の言葉を小さく繰り返した。心の中でもう一度唱えてみる。なんだか自分よりも凛が口にするほうが似つかわしいように思えた。 周囲に視線を巡らせると、少し離れた木々の元で、幼い子供ふたりが高い声を上げて追いかけっこをしていた。まだ幼稚園児くらいの年の頃だろうか、頭一個分くらい身の丈の異なる男の子ふたりだった。少し離れて、その父親と母親と思しき大人が並んでその様子を見守っている。だとすると、あのふたりは兄弟だろうか。大人たちの向ける眼差しはあたたかく優しげで、眩しいものを見るみたいに細められていた。 「な、あっち歩こうぜ」 凛が視線で合図して、広場を囲む遊歩道へと促した。舗装されて整備されているそこは木々に囲まれて日陰になっているところが多い。ここはいつも湿った匂いがして、鳥の鳴き声もすぐ近くから降りそそぐように聞こえてくる。よく晴れた今日はところどころ木漏れ日が差し込み、コンクリートの地面を点々と照らしていた。 休日の朝ということもあって、犬の散歩やジャージ姿でランニングに励む人も少なくなかった。向かいから来てすれ違ったり後ろから追い越されたり。そしてその度に凛に一瞥をくれる人が少なくないことにも気付かされる。 決して目立つ服を着ているわけでもなく、髪型や風貌が特に奇抜なわけでもないのに、凛はよく人目を惹く。それは地元にいたときにも薄っすらと浮かんでいた考えだけれど、一緒に人通りの多い街を歩いたときに確信した。凛はいつだって際立っていて、埋没しない。それは自分以外の誰にとってもきっとそうなのだろう。 いい場所だなぁ。凛は何でもないみたいにそう口にして、ゆったりとした足取りで隣を歩いている。木々の向こう側、走り回る子供たちを遠く見つめていたかと思えば、すぐ脇に設けられている木のベンチに視線を巡らせ、散歩中の犬を見て顔をほころばせては楽しそうに視線で追っている。公園までの道中は「はやく」と振り返って急かしたくせに、今の凛はのんびりとしていて、景色を眺めているうちに気が付けば足を止めている。こっそり振り返りながらも小さく先を歩いていると、ぽつぽつとついてきて、すうと寄せるようにしてまた隣に並ぶ。 その横顔をちらりと伺い見る。まるで何かを確かめるかのように視線をあちらこちらに向けてはいるものの、特にこれといって変わったところもなく、そこにいるのはいつも通りの凛そのものだった。 見られるという行為は、意識してしまえば、少なくとも自分にとってはあまり居心地が良いものではない。時にそれは煩わしさが伴う。凛にとってはどうなのだろう。改まって尋ねたことはないけれど、良くも悪くも凛はそれに慣れているような気がする。誰にとっても、誰に対しても。凛はいつだって中心にいるから。そう考えると苦い水を飲み下したような気持ちになって、なんだか少し面白くなかった。
遊歩道の脇につくられた水飲み場は、衛生のためだろう、周りのものよりずっと真新しかった。そこだけ浮き上がったみたいに、綺麗に背を伸ばしてそこに佇んでいた。 凛はそれを一瞥するなり近付いて、側面の蛇口を捻った。ゆるくふき出した水を見て、「お、出た」と呟いたけれど、すぐに絞って口にはしなかった。 「もっと寒くなったら、凍っちまうのかな」 「どうだろうな」 東京も、うんと冷えた朝には水溜まりが凍るし、年によっては積もるほど雪が降ることだってある。水道管だって凍る日もあるかもしれない。さすがに冬ごとに凍って壊れるようなつくりにはしていないと思うけれど。そう答えると凛は、「なるほどなぁ」と頷いて小さく笑った。 それからしばらくの間、言葉を交わすことなく歩いた。凛がまた少し先を歩いて、付かず離れずその後ろを追った。ときどき���離がひらいたことに気付くと、凛はコートの裾を揺らして振り返り、静かにそこに佇んで待っていた。 秋の頃までは天を覆うほど生い茂っていた木々の葉は、しなびた色をしてはらはらと散り始めていた。きっとあの金色のイチョウの葉も、程なくして散り落ちて枝木ばかりになってしまうのだろう。 「だいぶ日が高くなってきたな」 木々の間から大きく陽が差し込んで、少し離れたその横顔を明るく照らしている。 「あっちのほうまできらきらしてる」 中央の広場の方を指し示しながら、凛が楽しげに声を上げた。示す先に、冷えた空気が陽を受け、乱反射して光っている。 「すげぇ、綺麗」 そう言って目を細めた。 綺麗だった。息を呑んで見惚れてしまうほどに。いっぱいに注がれて満ちる光の中で、すらりと伸びる立ち姿が綺麗だった。 時折見せる熱っぽい顔とは縁遠い、冴えた空気の中で照らされた頬が白く光っていた。横顔を見ていると、なめらかで美しい線なのだとあらためて気付かされる。額から眉頭への曲線、薄く開いた唇のかたち。その鼻筋をなぞってみたい。光に溶け込むと輪郭が白くぼやけて曖昧になる。眩しそうに細めた目を瞬かせて、長い睫毛がしぱしぱ、と上下した。粒が散って、これも金色なのだと思った。 そうしているうちに、やがて凛のほうからおもむろに振り返って、近付いた。 「なぁ、ハル」少し咎めるような口調だった。「さっきからなんだよ」 ぴん、と少しだけ背筋が伸びる。身構えながらも努めて平静を装い、「なにって、何だ」と問い返した。心当たりは半分あるけれど、半分ない。 そんな態度に呆れたのか凛は小さく息をついて、言った。じっと瞳の奥を見つめながら、唇で軽く転がすみたいな声色で。 「おれのこと、ずっと見てんじゃん」 どきっと心臓が跳ねた。思わず息を呑んでしまう。目を盗んでこっそり伺い見ていたのに、気付かれていないと思っていたのに、気付かれていた。ずっと、という一言にすべてを暴かれてしまったみたいで、ひどく心を乱される。崩れかけた表情を必死で繕いながら、顔ごと大きく視線を逸らした。 「み、見てない」 「見てる」 「見てない」 「おい逃げんな。見てんだろ」 「見てないって、言ってる」 押し問答に焦れたらしく凛は、「ホントかぁ?」と疑り深く呟いて眉根を寄せてみせる。探るような眼差しが心地悪い。ずい、と覗き込むようにいっそう顔を近付けられて、身体の温度が上がったのを感じた。あからさまに視線を泳がせてしまったのが自分でも分かって、舌打ちしたくなる。 「別に何でもない。普段ここへは一人で来るから、今日は凛がいるって、思って」 だから気になって、それだけだ。言い訳にもならなかったけれど、無理矢理にそう結んでこれ以上の追及を免れようとした。 ふうん、と唇を尖らせて、凛はじとりとした視線を向け続ける。 しかしやがて諦めたのか、「ま、いいけどさ」と浅くため息をついて身を翻した。 顔が熱い。心臓がはやい。上がってしまった熱を冷まそうと、マフラーを緩めて首筋に冷気を送り込んだ。
それからしばらく歩いていくうちに遊歩道を一周して、最初の出入り口に戻ってきた。凛は足を止めると振り返り、ゆっくりと、ふたたび口を開いた。 「なぁ、ハル」今度は歩きながら歌を紡ぐみたいな、そんな調子で。 「さっきは良いっつったけどさ、おれ」 そう前置きするなり、凛はくすぐったそうに笑った。小さく喉を鳴らして、凛にしては珍しく、照れてはにかんだみたいに。 「ハルにじっと見つめられると、やっぱちょっと恥ずかしいんだよな」 なんかさ、ドキドキしちまう。 なんだよ、それ。心の中で悪態をつきながらも、瞬間、胸の内側が鷲摑みされたみたいにきゅうとしぼられた。そして少しだけ、ちくちくした。それは時にくるしいとさえ感じられるのに、その笑顔はずっと見ていたかった。目が離せずに、そのひとときだけ、時が止まったみたいだった。この生きものに、どうしようもなく惚れてしまっているのだった。 「あー…えっと、腹減ったなぁ。一旦家帰ろうぜ」 凛はわざとらしく声のトーンを上げ、くるりと背を向けた。 「…ああ」 少し早められた足取り、その後ろ姿に続いて歩いていく。 コンクリートの上でコートの裾が揺れている。陽がかかった部分の髪の色が明るい。視界の端にはイチョウの木々が並んできらめいていた。 「朝飯、やっぱ鯖?」 隣に並ぶなり凛が��っと訊ねてきた。 「ロースハム、ベーコン、粗挽きソーセージ」 冷蔵庫の中身を次々と列挙すると、凛はこぼれるように声を立てて笑ってみせた。整った顔をくしゃりとくずして、とても楽しそうに。つられて口元がほころんだ。 笑うと金色が弾けて眩しい。くすみのない、透明で、綺麗な色。まばたきの度に眼前に散って、瞼の裏にまで届いた。 やっぱり凛によく似ている。きっとそれは、凛そのものに似つかわしいのだった。
(2017/12/30)
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