#怒号殴打蹴り
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かつて健太郎居候人工大理石加工兼マンション向けシステムキッチン製作梱包出荷全般に従事してました。AM9:00始業翌AM4:00終業体制でしたから、不眠不休やら製品受注者減少に因る人員削減受けられ会社から一方的に退職された為、健太郎居候地獄の特訓を受けられ過酷さを味わった経験現在も頭に叩き込んでます。在庫管理を徹底し、御取引先様から信頼されやすい自動車工場向け部品の入出庫及び梱包をトータルに行える倉庫作業員として活躍出来る体制にしておけばよかったと後悔してます。
2024/08/05
#地獄の特訓を受けられ過酷さを味わった#AM9:00始業翌AM4:00終業#怒号殴打蹴り#愚か者#甘ったれてゃ居られない#ミジメ#暴力・暴言覚悟#視野狭まるばかり#楽天喪失#置いてきぼり#人工大理石会社訣別#一斉体罰#保管#自動車メーカー向け部品#納入#倉庫作業員希望#商品管理全般#陸上自衛隊落ちてる#海上自衛隊無関心#航空自衛隊回避#結婚真剣になるべし#ふざけない#エンジョイ剥奪
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2024年3月21日木曜日
病院の待合室にて14
プロジェクション
私は小さな頃から癇癪持ちで、上手くいかない事や気に入らない事があると、叫んだり、物に当たったりして大変だった、と思う。というのもそういった記憶はほとんどない。忘れてしまったのだろうか、それとも覚えなかったのだろうか。
小学生の低学年の頃、フットボールの試合の結果が気に入らなかった(たぶん負けた)ために、試合終了のホイッスルと同時にボールをあさっての方角へ蹴っ飛ばし、コーチに「取りに行って来い」と言われた記憶…これは癇癪だろうか?現在行われているプロのフットボールの試合でもたまに見られる光景ではある。他には、小学校の高学年の頃、スーパーファミコンをやっていて、とにかく上手くいかなかった私は、コントローラーに噛み付いた。その歯形がコントローラーにくっきり残った。
後者の方はいかにも癇癪持ちっぽいエピソードだが、その他の事例が思い浮かばない。私は中学生になり、高校生になり、大学生になり、やがて大人になった。年齢を重ねるごとに、癇癪の回数は増えていった。私が最も成熟していたのは、母親から出て来たてで、びっしょびしょだった頃かもしれない。
大人になってからの癇癪は枚挙に暇がない。ひどい。大人なのに。我慢してよね。物部門で最も被害を被ったのは携帯電話である。携帯電話で話しているうちに、イライラしてきてしまい、携帯電話をぶん投げてしまう。携帯電話が二つ折りだった頃は関節技を極めてしまい、へし折ってしまう。本当に良くない。つらい。私も私がそんななんて悲しい。でも本当に辛いのは電話の方。携帯電話のお店に行って「車に轢かれました」と申し出て、「あっ、なるほどですねー」と言われて手続きしてもらったことが何度もある。
人部門で最も被害を被ったのは家族か、友達か。どちらになるだろう。電話で通話していると、いきなり私の声が遠くなり、破壊音がして、怒鳴り声がオフマイクで聞こえる(真に破壊された場合は切れる)。最悪である。こんな事を書い��いて何になるのか。読んだ人は悪印象しか持たない。マイナスプロモーションにも程がある。でも書くことがないから書くしかない。ここは病院の待合室なのだから。
誰もが知っているように、怒鳴るという事は暴力である。私は人を殴った事は無いが、怒鳴った事はある。殴られた事はある。怒鳴られた事も勿論ある。怒鳴るというのは、殴りはしなかった、ぐらいの暴力である。ほとんど殴られたようなもの、ぐらいかもしれない。だからとにかく怒鳴ってはいけない。暴力はいけないから。絶対に。
怒鳴る、あるいは癇癪を起こす、というのは抑制と解放のメカニズムで成り立っている。蓄積する、我慢する。我慢できなくなる。出る/起こす。それだけである。つまり、体内のものが体外にでるのと同じ。咳をする、うんこする、おしっこする、射精する、泣く、くしゃみする、と同じである。ちなみに今の順番は、私の考える癇癪と近い生理現象のカウントダウンである。怒鳴る/癇癪に2番目に近いのは、泣くことである。泣いちゃいそう…となってる時に、出しちゃえ出しちゃえ泣いちゃえ泣いちゃえと思うことは無いだろうか。逆に我慢せな…我慢せなあかんで…と思うことは無いだろうか。そして涙がポロンと出た時の、あの妙な気持ち良さ。あの感じは相当近いように思う。そして周りに優しさを欠いた人達がいた時の「あー…泣いちゃった(めんどくさ…)(変な人…)」という視線。状況も近い。
ただ、怒鳴るという行為には投射する感じがある。プロジェクション。そのあたり一帯に撒き散らす感覚。それが涙にはない。その点でいうと、くしゃみはかなり近い。くしゃみの原因(花粉症やハウスダストのアレルギーの方などは分かりやすいと思う)が蓄積する。マスクしてないのでくしゃみしてはならない。ハーッハーッと来る。ハクショーン!あたり一面に鼻水なんだか唾なんだかわからないが不愉快なものが撒き散らされる。これです。これと一緒です。
そしてここから少しややこしいのだが、私は若い頃に、心療内科で統合失調症だと誤診され、統合失調症の薬を処方され、規則正しく摂取していた事があった。しかし病状が全く良くならず(誤診だからね)、飲むとめちゃくちゃ怠くなってしまうので、吉祥寺のバウスシアターでゴダールの『映画史』を見た日に、薬を飲むのをやめてしまった。3日後くらいに急に体がけいれんしだした。ガクガクしながら再度病院に行き、数日間安静にすることで症状は良くなったのだが、イライラが募り、癇癪が起きそうになるのを我慢すると、ビクーン、ビクーンと体がけいれんするようになってしまった。それが現在まで続いているのだが、そのけいれんが、くしゃみの前の「ハーッ、ハーッ」となっている時の動作を大袈裟にやったものに似ているのである。ややこし。まあだから、くしゃみに似てると思ってるのは私だけかもしんない。
今日私は癇癪を起こした。以下その経過。
A=A診療所、B=B病院、C=市役所、D=県庁
朝、家で母と麻疹が流行っている話になる。母子手帳を確認する私たち。麻疹はワクチン接種済。風疹は1回接種したのみ。もう一回する必要があるかもしれない。
Aに電話。風疹のワクチン打ちたいと伝える。A受付(そっけない)「在庫ないから無理です」
Bに電話。風疹のワクチン打ちたいと伝える。B看護師(やさしい)「風疹のワクチン1回打ってるなら、それで抗体出来てるかも。抗体検査するといい。市役所に言うと無料のクーポン貰えるよ」
Cに電話。風疹の抗体検査したいと伝える。C受付(やさしい)「それは県庁の管轄なので県庁で相談してみて下さい。電話番号これこれです」
Dに電話。風疹の抗体検査したい。D健康推進課(やさしい)「国がやってる接種と県がやってる接種がある。国の接種はハガキが届くのだが、あなたは対象外。県の接種だとあなたは対象です。手ぶらで行けますよ。病院のリストはウェブにあります。(AもBもリストに載っている)」
Aに電話。風疹の抗体検査したい。A受付(そっけない、てか冷たい)「ハガキないと出来ない」
Dに電話。風疹の検査、Aがハガキいるって言ってる。Dさっきの人(やさしい)「そんなことはないですよ。県の接種だと強調して伝えてみて下さい。Aはリストにもありますし」
Aに電話。県の接種ならハガキなくてできるって。A受付(さっきと違う人。やさしめ)「そうなんですね…ちょっとお調べします。(切る)」
30分経過。
Aに電話。あの…調べられましたか?電話番号言ってなかったかも。A受付(そっけなくて冷たくて怖い)「はい…だから今調べてます。はい。ガチャン!(思いっきり受話器を置く大きい音)」
10分経過。
Aから電話。A受付(やさしめ)「お調べしたら抗体検査できます」
私「だからずーーーーっと言ってますよね!!!!」
プロジェクション中。切ったら最初の電話から3時間近く経っている。
昼。母とちらし寿司食べる。午前中を振り返り、私だけが悪いのではないと確認する。たぶん。お母さん私に甘いかも。
午後。
Bに電話。落ち着いて。抗体検査したいんですけど。県の接種の方。「あっ無料で出来ますよー。予約とかいらないので来て下さいね」
Bに行く。待ちながらこの記事書く。採血。結果は後日。帰る。
なんでこんな事になるのか。でも決めました。やっぱり怒鳴るのは良くないので、私は今日から癇癪持ちやめます。お酒もタバコもやめれたので多分やめれます。癇癪出ちゃいそうな時はビクビクけいれんして生きていきます。人を傷つけるより自分が疲れるだけの方がずっと良いし、後々の後悔を含めた総合的なダメージを見ても、けいれんの方が少ないです。頑張ります。私は生まれ変わるのです。見ていて下さい���
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🎼 00806 「薔薇の鎖」。
今週も いつの間にやら金曜日、という訳で "仮面ライダー" のお時間がやって参りました。今回は 「毒花怪人バラランガ 恐怖の家の秘密 (第75話)」 というお話です。東京郊外のある地点でショッカーを見かけたらしい 少年ライダー隊の報告を受け、黄色いヘルメットを被った滝和也隊長は、バイクで現場に ブルルルンっと急行します。そんな和也を見つめる 地獄大使。わざと 少年ライダー隊にショッカーをチラつかせて アクション好きな人間をおびき寄せやうとする作戦のやうです。その作戦の通りに 「ショッカーの改造人間!」 っぽい ふたりの戦闘員とバラ怪人が現れ、和也に襲い掛かります。"おれが仮面ライダーだ!" って感じで キレの良すぎるアクションを魅せる滝和也と、やたらとアクション好きな戦闘員がじゃれあう中、バラ頭怪人が何かを和也に投げつけます。薔薇の棘のやうな物を掴む和也。「この匂いは!」 と台詞を発した途端、気を失いかける滝和也に 攻撃を仕掛けるバラ頭。気絶した和也を運ぶ戦闘員。そんな光景を白いシャツとキャップが眩し過ぎる 3人の少年ライダー隊がまじまじと見つめていました。「ショッカーの怪人だ!コウイチ、ハトだ!」 と、たぶんナオキ。鳩を飛ばすコウイチ。鳩に向けて棘を ビュッと投げつけるバラ頭。鳩の名前は ゴンベエというさうですけれど、えっと、胸につけてるライダーのペンダントは 通信機能も備えているはずだのに、とりあえず鳩を飛ばしたい年頃なやうで ��んとに困ったものです。勉強しろよ、歯磨けよ、また来週!そんなころ、3人の若い娘さんを雇っているやうに見えるけれども、お金のやりくりをどうしているのかよく分からない "少年仮面ライダー本部" では 黄色いランプが音を わんわん鳴らしながら点滅しています。「おい、鳩が帰って来たぞ」 と おやっさん。先ほどの コウイチくんの鳩が無事に帰って来たやうです。けれども 羽に何かを付けています。それを掴んで匂いを嗅ぐおやっさん。「お、いい香りがするな」 という台詞とともに グタっとその場に倒れてしまいます。動かぬ会長。とそこへ 「あ、本郷さん!」 と、パーマネントをアテ過ぎたのか、やや爆発に巻き込まれた感が漂う、子門真人さんふう本郷猛がヌウっと 「どうしたんだ!」 なんて言いながら現れます。「おやっさん、おやっさん!」 と声をかけて無理に起こさうとする猛。気絶したらしいおやっさんの側に落ちていた棘のやうな物を掴む猛は 「バラの棘か」 と 遠くを見つめながら呟きます。そのころ、ベッドの上で目を覚ました和也は 周りをキョロっと見回します。と そこへ 「気がつきましたか?」 と、一輪のバラを持った白いドレスの女性が パッと現れます。ここは何処かと尋ねたアクション隊長に 白い女性は 「薔薇館です」 と答えます。「薔薇館?」 と聞き返す和也。どうやら道で倒れていた和也を どうにかして薔薇館まで運んで ベッドに寝かせたみたいですけれど、一体全体どうやって運んだのですか?なんてことは聞かずに とっとと帰ろうとする和也に、白い女性は 一輪の薔薇を差し出します。「とてもいい香りがします」 と和也。そのままベッドに バタンっと ぶっ倒れます。そんな気絶した和也を見てふふふっと姿を消す白い女性。と、そんな女性がいなくなったところを見計らって、見せかけの気絶で、館の内部を探りだす、アクションだけでは無いところを見せつけたアクション隊長は 2階へ向かう階段の手前で 女性から貰った薔薇を床にポイっと捨て、抜き足差し足で階段を上ります。と、捨てられた薔薇を暗がりで そっと拾いながら じいっとアクション好きを見つめる白い女性は、灯りのまるでない暗闇ばかりな 2階の部屋を探る和也に 「断りもなくわたしの部屋に!」 と 無神経なアクション青年を優しく叱りますけれど 「鏡の中に君の姿がない!」 っとアクションだけではないところを もう少し見せつけた和也に 「気がついたのね!滝和也!」 と 気がつかれてしまって怒りが込み上げた白い女性は 薔薇の花を滝和也に ビュイッと投げつけます。和也の左胸に ブスッと刺さる赤い薔薇。白い女性が おかしなバラの頭を持つ怪人に ゆらゆらと変わっていく様を 薄れゆく意識の中で感じる和也は、瞬時に地獄大使が待つ いつもの赤い部屋 (アジト) に運ばれます。「ガハハハハハ、よくやったぞバラランガ」 と上機嫌な最高幹部。「この男をころすな!」 と普段通りに 甘くてユルい三角頭の幹部は、滝和也を武器に使いたいさうで 「本郷猛にぶつけるのだ!」 と やや意味不明な台詞を発しますけれど、そんなところに 警報が鳴り、侵入者が現れたことを知らせます。警報を鳴らせたのは、どういうわけか 薔薇の館に サッと たどり着いた本郷猛でした。「やはり出て来たな、怪人!」 と、バラ頭と 3人の戦闘員を相手に 「ライダー 変身!とぅっ!」 と ササッと変身を決める猛。薔薇の館の とっても危険な場所にしか見えない屋根の上でポーズを決める第1号に 「ライダー 降りて来い!」 と、その立ち位置をハラハラして見ていられなかったのか バラ頭が仮面ライダーに危険を知らせます。「とうっ!」 と 跳び上がる第1号。今度は それなりの段数がありさうな 階段の上で 3人の戦闘員を相手にアクションを繰り広げ、階段を降りたところで バラ頭と 殴り合って蹴り合う第1号。これはたまらんと、バラランガは奇声を発しながら、赤い煙を撒き散らして一時退散し、お知らせを挟ませます。お知らせが明けると、研究室で 何かをしている本郷猛は、バラ頭の香りを分析しているやうで 「やはり強力な麻薬の一種だ」 と、やはりな分析をします。「これが直接身体に入ると 人間の脳を狂わせてしまう。ショッカーめ!」 と、そんな狂わせてしまうことまで 短時間で分析してしまった猛の狂おしいほどの分析力に痺れた ちょうどそのころ、飛ばす鳩を失った ナオキは 滝和也隊長が 薔薇の館へと連れて行か���た辺りから ずうっと 薔薇の館を張込みしていたのでせうか、とりあえず本部に連絡を入れます。何かあったら連絡しろとかどうとかおやっさんに言われてしまう ナオキら。仕方なく じいっと その場を離れずに 薔薇の館を見張っているのですけれど、とそこに現れたバラ頭に 薔薇を ビュっと投げつけられ 地面に倒れます。彼ら3人は、本郷猛の分析の通りなら "脳を狂わせた状態" で、本部に スタコラサッサと帰って来るなり、それなりの顔色の悪さで 本部のガールズたちにウガーッと襲い掛かります。手が刺々しいナオキたちに 気味悪がるガールズたち。そこへ現れた 本郷猛とおやっさんは キッズらを 「バラランガにやられたに違いない!」 と どうにかこうにか止めます。そんなところに 薔薇が刺さったままの滝和也も現れます。「滝!お前無事だったのか!」 と猛。けれども 無事ではなかった和也は 猛に グワーっと襲い掛かります。咄嗟の判断で 腹に一撃を喰らわせる猛、気絶する和也。薔薇を ギュッと抜いた猛は 「薔薇の毒で頭を狂わされていたんだ!」 と、アクション狂いな和也を宥めます。頭を狂わせるほどの毒も薔薇を抜くと治る "そのふしぎさ" は置いておいて、ショッカーに借りを返しに行く!と言って聞かない和也に 「滝、お前どうしても行くのか!」 と猛。「俺が作った あの薔薇に対する抵抗剤だ」 と、見るからに危険さうな代物の接種を アクション隊長に試やうとします。すると 「僕たちに��打ってください!」 と 先ほど顔色が悪かった 3人のキッズらが飛び込んで来ます。「よし 分かった!」 と何が分かったのか分からない猛。時間の都合で 薔薇館まで ワープした アクション隊長とライダー隊。「30分で帰って来なかった���連絡するんだ」 と 少年隊に命じて館に向かった和也は 早速 白い女性から 「帰って来たのね。本郷たちを始末してくれたのよね?」 と、ライダー隊本部の中までは モニター出来なかったやうな尋ね方をします。とりあえず 「ええ」 と答える和也。「ありがとう」 とバラ女。「地獄大使、滝は わたしたちの仲間になりました」 とバラ女。「ハハハハハ それは大手柄だ」 と最高幹部。こんなふたりを放ってはおけないと 「待て!その男に気を許してはならん!本郷猛は生きている!」 とショッカー首領が ふたりの会話に割って入ります。「裏切り者は帰すわけにはいかない!」 と、バラランガに変身する薔薇女。裏切り者に襲い掛かります。薔薇館からアクションを決めて脱出を図る滝和也。「滝隊長があぶない!本郷さんに連絡だ!」 と ズッコケ三人組。鳩を飛ばさずに連絡を済ませたっぽいズッコケからの連絡の早さと時間の都合で 「滝!とぅっ!」 と変身を済ませた仮面ライダー第1号は 「滝、大丈夫か!」 と バラ頭と揉み合います。公園のやうな場所で それぞれに戦う 和也と第1号。薔薇が刺さっても物ともせず、向かってくる第1号にやや怯えるバラランガは いきなりの "ライダー スクリューブロック" という 何だかよく分からない第1号の回転技を浴び、木に叩きつけられます。この技で倒されて本当によかったのか どうなのか、ドラゴン花火のやうな燃え上がり方で フッと バラランガはいなくなりました。
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第27話 『ある術者の1日 (3) - “日暮れ”』 One day of a necromer chapter 3 - “Nightfall”
薄っすらと曇天の空は透けた月の光で淡く辺りを照らしている。
生き物のすべてが寝入ったような夜の底を『化け物』が上体を大きく揺らしながら歩いていた。
夜行性の動物達がいるはずの森の奥だが、その『化け物』のせいで逃げてしまっているのだろう、聞こえるのは土を踏む不規則な足音だけだった。
右足を一歩踏み出せば、大きく左の上半身が揺れ、倒れそうになるのを堪えじっと立ち止まる。
まるで歩きはじめた赤ん坊のような覚束ない足取りだ。
この『化け物』は姿こそ人間の兵士だったが、肩の付け根から一対の腕と、もう一対の腕がが伸びている。人間より一対多い腕を持った兵士はゆっくりと動いていた。
その体はダレンによって当然感じたことのない違和感を生じさせる。
Buriedbornesの術は既にダレンにとっては馴染んだものだ。
屍体との繋がりは既に改良している。俗に『魔の契約』と呼ばれる技術であり、屍体との精神接続に手を加え、屍体から得られる情報を増やしたり、感覚を過敏にしたりする技術で、今までこの難局を乗り切って来た。
屍者と戦い、そして食料品などの日常的に必要なものも屍体とのBuriedbornesを頼りにしている。
近隣の住民たちがひっそりと運んできていた屍体はダレン達が掘り返し、Buriedbornesの為に消費してしまった。
肉体的に戦える相手ではない屍者が徘徊する世界を生き延びるのに屍体――出来るだけ強いならばなおのこと良い――が必要だった。
だからこそ、マルクの言い始めた恐ろしい提案に乗ることにした。
生き延びなければならない。それに、エミリアを守れなかったのは自分たちに力がなかったからだ。力が欲しかった。後悔しないだけの力が。
エミリアを守るためにも。
力がなければ、手に入れればいい。
改造した屍体の感覚は慣れない。重い上にバランスが悪い。腕のすべてに神経に行き渡らせるためにも試運転をするべきだった。
通常の位置にある腕はかろうじて指先まで動かす事が出来るが、先程繋いだばかりの腕はほとんど飾りだ。
黙々と歩く。
森の中、頭に当たる梢を振り払おうとしてひっくり返ったり、足を取られて手を伸ばそうとして失敗したり、何度も転んだ。4本の腕で起き上がるのは至難の業だったが、その過程を何度も何度も繰り返す。
どれだけ時間が経っただろうか。曇天の空では星の動きも見えず、時間の経過が計れない。
ただ、ダレンはすっかり4本の腕を我が物にしていた。
全速力で駆け出し、飛び上がる。ゴムまりのように飛び上がって、4本の腕で周囲の木々を掴み更に飛び上がる、木立を完全に抜け空を滑空するように着地する。
足だけでは当然折れてしまうので、4本の手も同時に地面につけるのがコツだ。
着地の衝撃はあるものの、体へのダメージはほとんどない。
「……すごい……」
Buriedbornesによって肉体の持つ意識的な限界は突破している、その上に更なる増強をするという事の意味を痛感する。
ダレンは傍らに森に隠していた武器の中��ら、両手剣を選んだ。
ランスやレイピア、様々な剣などを様々なところに置いてある。適宜必要になった時の為に供えているものもあれば、そこで行き倒れた人間の置き土産のこともあった。
両手剣は、両刃で重量がある。相手の骨まで叩き切ることが出来る代わりに、使いこなすには相当の身体能力が必要になる。
農夫上がりの雑兵の腕力では精々両手でやっと振り回すことが出来るレベルの武器だった。
それが、どうだ。
ダレンが慣れない方法で接続した4本腕は、軽々と両手剣を持ち上げる。子供の背丈ほどあるその剣は、羽箒よりも軽く感じた。
信じられない。
筋肉を移植し、改造しただけでこんなに変わってしまうものか。
ぐるりと頭上で剣を回す。バサバサと木の葉が分断されて落ちてくる。
次はしっかりと構え、大きく踏み出した。
剣の重みも利用して、体を回転させて空を抉るように掻き切る。
手ごたえがあった。
見事な枝ぶりがいくつも切り落とされ、ダレンが過ぎた辺りにはぽっかりと道が出来ている。
木に咲く名前も知らない花に、連撃を加える。
風の音の後に無残にも散った花びらが、既に地面を覆っていた枝葉の上に満ちる。
「……これは、行けるんじゃないか?」
感じたほどのない充足感。
継ぎ足した手のひらを見つめる。既に違和感のなくなったその手のひらは、ダレンの思い通りにゆっくりと握り締められる。
感触もしっかりある。
これだ。
これなら、きっと……
ごくりと生唾を飲んだ時、唐突に体に衝撃が走った。
すわ敵襲かと辺りを見回した時、意識に独特に走り始めた靄に気が付いた。
体を揺さぶる気配が強くなり、引きずられるように意識が浮上する。
――目が、覚めるのだ。
森の中にいたはずだが、目覚めた時は薄暗い研究室だった。燭台の頼りない灯りでさえも、目に痛く、つらい。
強制的な目覚めは激しい身体的な不快感を伴う。
「……う、うう……」
「お前! 何した!」
怒号に近いヘルマンの大声に、ダレンは頭を抱えて苦しむ。
込み上げてくる吐き気を堪えるので精いっぱいで、ヘルマンの表情を見る余裕すらない。
そんなダレンの様子を気にすることもなく、ヘルマンはその肩を強く揺すった。
「おい! ダレン!」
「そんなに怒鳴らなくても聞こえている……、頼むから少し抑えててくれ」
「よくも、この状態でそんなことが言えるな」
そこでようやくヘルマンの顔が蒼褪めていることに気が付いた。
ダレンはすぐに自分の状況を理解した。
鼻につく嗅ぎなれた臭い。屍体とは言え体の中に残っていた血は流石に流れ出る、その血が錆びた強烈な臭いを放っている。
見れば、自分の体は血や汗で汚れている。
その上、腕のない屍体が倒れた辺りから、開け放たれたドアまでは何かを引きずったような跡が残っていた。
――ヘルマンは気付いている。ダレンが禁忌を冒したことを。
「頭が割れるように痛い」
負荷が強すぎた。
慣れない4本腕を扱った上に、そもそも改造手術までした。
限界だ。
ダレンが頭に手をやると、激高したヘルマンがその手を弾いた。
「何をするんだ、ヘルマン」
「そっくり同じ言葉を返すぞ、ダレン。お前を見損なった」
「……見損なう?」
「お前はマルクほどおかしくはなっていないと思っていた」
おかしいとはなんだろうか。
屍体を改造したことか、この世界が滅んだことか、そもそも、自分たちが生き延びたことか。
「成功した」
ぽつりと告げる。
「森の奥に接続が切れた状態で倒れてると思う。埋めなくちゃ」
「そんな必要はない!」
「あるだろう。残り少ない屍体だ。しかも、両手剣だって軽々使える」
「許されない事だと、あれほど言ったはずだ!」
ヘルマンが怒れば怒るほど、ダレンは冷静になっていった。
屍体から切り離した瞬間から、その物体は『パーツ』でしかなかった。
そして、その『パーツ』を接続するだけで、劇的に戦闘能力は上がる。その分処理すべき情報が多くなり、屍術師としてダレンに求められ��ことは増えるが、そのリスクを補って余りあるほどのメリットがあった。
あれほどまでの強さがあれば、屍者と対等以上に渡り合える。
今まで戦闘では恐怖が勝る場面も多かったが、ダレンには確信があった。あの体なら、パー『パーツ』によって強化され、更にその身体性能への信頼から、自分自身も安定した操作を可能に出来る。『パーツ』を腕ではなく足にしたら? 組み合わせ次第で恐らく得られる能力は無限に近く増える。
「……これしかないんだ、ヘルマン」
内心で考え込んだ言葉を押し殺して、静かにダレン��そう言った。ヘルマンは途端に顔を真っ赤にさせて、睨みつけてきた。
「人の命を弄ぶことに、何も感じないのか!?」
「……それを俺に言うか?」
ダレンの乾いた笑いに、ヘルマンは一瞬怯んだ顔をした。
「元々、人は人を殺す。戦争でなくても、意味がなくても、嬲り殺すこともある」
「……」
親を目の前で人間に殺された。確かに領地を争う戦争で、あの辺りは貧しい地域だっただろう。だが、戦争とは関係ない兵士たちの略奪行為で家族は死んだのだ。
もしかして、嬲られたのかもしれない、あの頃の小さなダレンは物陰に潜んでじっと動かないことしか出来なかった。
人間��人間の命を弄ぶ。そして、ダレンはずっと弄ばれる側だった。
このまま何もせずにいれば、自分達3人は弄ばれる側のままだ。
それはきっと、エミリアも……
だからこそ、もう弄ばれる側にはならない。怯えて生きる必要がなくなるのだ。
ヘルマンのように街で恵まれて育っていたのなら、ダレンもきっと屍体を切り刻む人間を理解できなかったかもしれない。
だが、
「生き残るためだ。俺たちが全員で生き残らなくちゃ意味がないだろう?」
ヘルマンに語り掛ける。自分自身にも言い聞かせるように。
だが、ヘルマンは首を振る。
「そこまでして生きるのか? マルクにも言ったが、俺は絶対に反対だ。理解出来ん」
「エミリアを誰が守るんだ? 力がここにあるのに、まざまざと蹂躙されるべきだっていうのか?」
「ダレン!」
「ヘルマン、今は理想だけじゃ何も出来ない」
「……ダレン貴様ッ!」
ヘルマンが拳を振り上げる。
不思議と逃げようと思う気持ちも起きなかった。殴られて当然だと囁く自分もいる。
「へ、ヘルマン!?」
ただ、ヘルマンは結果的にダレンを殴ることはなかった。
起きてきたマルクが慌てて、2人を引き剥したからだ。
「一体何を――」
そうと思うとしたマルクが息を飲んだ。
そして、研究室を見回して、ダレンを見た。
「試したんだね!」
一言だけだった。確信に満ちたその問いにダレンもヘルマンも反応しない。
「ヘルマン、僕はダレンのことを責めない。いつかやるべきだったことを、今、やってくれただけだよ」
「マルク……お前正気なのか? 見てみろ、あの屍体を! ダレンが切り落としたんだぞ、腕を!」
「接続した方の体はどこにあるの? 血の跡、外か。もう埋めたの?」
「いや、途中でヘルマンに叩き起こされたから森の中で倒れてるだろう」
「そんな! 勿体ない!」
マルクは無邪気な子供のように声を上げる。
2人の淡々とした、完全にその方法を受け入れ切ったその態度にヘルマンはじりじりと後じさりした。
「――お前達、頭がおかしくなったのか?」
ヘルマンは信じられないものを見るように、2人を見下ろしている。
「その内、エミリアも使うようになるぞ」
呪詛のようにそう漏らしながら、ヘルマンはふらりと研究室から外に出て行った。
「ヘルマン、外は危険だ!」
屍者も魔物もいる外に生身のまま出て行くなんて、殺してくれと言っているようなものだ。
咄嗟に追いかけようとしたダレンをマルクが止めた。
「きっとあの墓地だ」
エミリアの元へ向かったのだろう。
ダレンも頷く。
「だからこそ、早く追わないと」
「Buriedbornesを使おう、生身で向かうのは僕たちだって危険だから」
「そんな悠長な時間は……!」
「ダレン。全員が死んだら、それこそ意味がないじゃないか。今のだって、みんなで生き延びるために必要だから議論したんじゃないの? 全員じゃなきゃ意味がないよ」
マルクはそう言い切って俯いてしまう。
自分よりも小さな肩が震える。いつも術を支え、新しい知識を持ってきた年下の友人だ。
昼間だって、ダレンがいたから生き延びた、これは神の導きだと熱く語っていた。
誰よりも知識に秀でたマルク。ただ、彼はずっと変わっていなかった。どうしていいのか困り果てると、一番先に弱音を吐き、泣きべそをかいたのはマルクだった。
泣き虫マルク、と呼ぶエミリアの柔らかい声が蘇る。
4人で遊んでいたあの広間や図書館が、ありありと思い出された。
自分に出来ることは少ない、だが、生き延びるために、エミリアのためにまだ出来ることがあるはずだ。
「分かった、マルク。Buriedbornesの準備をしてくれ」
「うん、少し待ってて!」
墓地は夜とは思えない賑やかさで、白々と明け始めようとする空の下、おぞましい姿を見せていた。
急ぎそこにあった屍体をBuriedbornesにして追いかけたもののの、時間がかかってしまった。
「……ヘルハウンドだ」
マルクの声がはっきりと脳に響く。
墓地の中を黒い影がうろついている。そこかしこから唸り声が上がり、ダレンは足を止めた。
黒い影のように見えた犬型の怪物は『何か』に群がっている。
「ヘルマン……」
マルクが先に状況を理解したようだ。
「まさか」
一瞬意識が遠くなる。
まさか、そんな。
信じられない。
ヘルハウンドの荒い息遣いとともに、肉を噛み千切る粘着質な音がする。
背筋が粟立った。
あの中にいるのは、ヘルマンだった『もの』だ。
まだ人の形はしていたが、喉や腹は無残にも噛み千切られ、臓物が周囲に撒き散らされている。
数頭のヘルハウンドが無我夢中になりながら、我先にと腕や足を奪い合っている。
吐き気がするが、胃液すら分泌されない屍体の体では吐くことは出来ない。
この墓地のことは隅々まで知っている。
ほぼ毎日通い、3人で新しそうな墓を見つければ掘り返した。ただ、来るのは決まって昼間だった。夜に出てしまえば魔物がやってくる。太陽の光に守られ、それぞれ武器を持ちながら、恐る恐る墓場に来るときも、ヘルマンはダレンたちを叱咤し、先頭の露払いをしてくれていた。
墓標とも呼べない粗末な墓のほとんどは自分たちで暴いた。まだ手付かずの墓のほうが少ないことは分かっている。
そんな墓の中、ひとつだけきちんとした墓がある。墓標も刻み、花を植えたそこだけが華やか。
エミリアの墓だ。
「エミリア……!」
エミリアの墓の前、そこに植えたはずの花は踏み倒され、ヘルハウンドたちがうろついている。
傍らには折れたスコップが落ちている。ヘルマンが墓を掘り起こそうとして襲われたのだろう、墓穴が浅くなっていた。
「そんな、エミリア!」
彼女は墓から引きずり出され、上半身が地上に露出していた。
エミリアの安らかな眠りを妨げる者が誰であろうと許さない。
ダレンは駆け寄って、折れたスコップを手に取り、ヘルハウンドたちを追い払う。
スコップに打たれたヘルハウンドはけたたましい鳴き声をあげて���き飛ばされたが、すぐに体を反転させて着地した。
頭を低くし、牙を剥き出しにして唸るヘルハウンドは、泡を吹きながら突進してくる。
すかさず、ダレンはスコップの先でその牙を受け、腹を思い切り蹴り飛ばした。
「ダレン、今の隙にエミリアを!」
マルクが叫ぶ。
「ヘルマンもいるぞ!?」
「その兵士の屍体でどうやって2人を連れ帰るの! 1人が限界だ!」
ヘルハウンドの数頭はまだヘルマンを夢中で貪っている。エミリアを狙っていた数体は、ダレンのスコップを受けて距離を取ってにらみ合う格好になっている。
(……確かに、この状態ではどちらかしか助けられない……)
そう思えば、腹は括れた。
「……すまない、ヘルマン」
聞こえることはないと知っていても、呟かずにはいられなかった。
エミリアの腕を掴み、一気に体を引き抜く。
土に汚れてはいたが、埋葬時の手入れが功を奏したのか、虫もたかっておらず、肉も落ちていない。君はあの日のままで美しかった。
穏やかに目を伏せている彼女の背と膝の裏に腕を入れ、抱き上げる。
「ダレン! しゃがんで!」
マルクの声に咄嗟に体勢を低くすると、後ろから迫っていたヘルハウンドが火を吐きながら襲ってくるところだった。
咄嗟に片手でスコップを力任せで横に薙ぎ、鋭い錐状の刃先がヘルハウンドの腹を抉る。
「本当にすまない、ヘルマン」
もう一度叫ぶように詫びて、ダレンはエミリアを抱えたまま、墓地から逃げることしか出来なかった。
~つづく~
原作: ohNussy
著作: 森きいこ
※今回のショートストーリーはohNussyが作成したプロットを元に代筆していただく形を取っております。ご了承ください。
ある術者の1日 (4) - ”新しい夜明け”
「ショートストーリー」は、Buriedbornesの本編で語られる事のない物語を補完するためのゲーム外コンテンツです。「ショートストーリー」で、よりBuriedbornesの世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
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人造人間国型
ディストピアっぽい世界で働くアーサー・カークランド型アンドロイドの話です
第455代ダービー伯爵に招かれ、オオサカの隠れた名店と名高いキタシンチのソウメン・バーを訪れた。ソウメンは、決して自己主張の激しい麺ではない��ネギとツユの下に隠れて決して目立たず、しかし田園の河川のように清涼なのど越しと小麦と塩のうまみが感じられる。ソウメンの質実剛健さは英国紳士の美学に通ずるものがある。
(警告:規定文字数超過 投稿不可)
アーサー・カークランド9286-R レベル2-6 / マッチング110 スコア未計測 宇宙標準時 556:6E
足の長さが不揃いでがたつきを起こす、不快な座り心地のパイプ椅子に体を縮こめながら、俺はロンドン・アイ――この手元の端末のことだ――に今しがた打ち込んだ文字列をじっと眺めていた。オオサカ・エリア4インターナショナル展示場の建設現場に併設された栄養供給所は、今日の作業を終えた無数のアンドロイドの群れがひしめき合い、店員を呼ぶ怒号に似た声と、仲間内でのお決まりの話題の応酬ですさまじい騒音に満ちていた。俺は決して目線を向けないように―― ましてや睨みつけるなんてことのないように――注意しながら、彼らが繰り返し交わし合っているフレーズに耳を済ませてみた。ラバ、ダブ!ダブ!ラバ、ダブ!ダブ!ラバ!ダブ!ダブ! 思わずため息が漏れた。なんてことだ、ほんの2ヶ月前までは、俺にはあの意味不明の暗号の意味がちゃんと理解できたし、なんだったら彼らに混じって同じ暗号の応酬が出来たはずである。しかしもうそれは叶わない。あの言語で会話ができるのはレベル3以上のアンドロイドに限られる。俺はつい先日の、あの事件が切欠で、レベル2へと転落したのだ。
俺の席はレベル2アンドロイドに割り当てられたスペースにあり、ソウメン製造機の丁度、真向かいの位置だった。この岩山の如く聳え立つ「シェフ」のレパートリーは中々広かったはずだが、レベル2のアンドロイドが注文できるようなメニューは事実上ソウメンしかない。ソウメン風グルテン・ネギ風ミドリムシフレーク添え。それが確か正式名称だったはずだ。もちろん、ローストビーフ風高アミノ酸キューブだの、カレーライス風味イソロイシン錠剤だのの比較的栄養価の高いのを注文したい日もある。特に今夜のような疲労が極度に達している夜は…しかし、それらの消費スコアの高すぎる品物が並ぶのは上座のテーブルだけで、今の俺にはとても手が出せない。きっとあのテーブルに座ってるのは知ってる奴らだ――俺にはそんな風に思えてならなかった。同じ建設現場��働く同僚のことだ。奴らのことだから、わざと俺の席が見える位置に陣取り、俺のみじめな様子をあざ笑いながら錠剤を齧り、発泡神経酩酊剤を煽っているに違いない。俺はテーブルに詰め寄ってよほど嫌味の1つでも言ってやろうかと考えたが、すぐにやめた。むやみな絡みは「品のよろしくない行為」と見做される可能性がある。これ以上のスコア減点は、とりわけ、「火星」に関して口にするような、自殺行為はなんとしても避けねばならなかった。
俺はロンドン・アイに意識を集中させ、規定文字数以内でソウメンを褒め称える文章を推敲し続けた。その間我らがシェフは、排水管から汚物まみれの下水が吹き出すような濁った音を立てて、ずらりと並んだカップへソウメンを順番に叩きつけていた。小さすぎるカップからだらしなくはみ出したソウメンもツユも、全く拭われる様子もない。殺気立った様子の店員が、トレイにソウメンを乱暴に並べながら、また店中のあちらこちらにすっ飛んでいく。この供給所に配置されているスタッフは彼1人だけのようである。 それでもここのソウメンの品質は良いんだ、ほんとに。という、良かったところを探し出す系の書き込みををするべき、だろうか。それともストレートに、この供給所はキタシンチの名店どころか廃材置き場同然の簡素な作りで、ソウメンもほんのりと不純物処理所の芳香がすることを書くべきだろうか。 どちらの書き込みの方が、「英国紳士らしい」のか。
☓☓☓☓思 ☓ ☓こと☓☓☓☓、思っ☓まま☓☓☓☓☓書☓ばいいんだ。☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓人☓目☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓
アーサー・カークランド8756-E レベル3-5 / マッチング13568 スコア5532/6693 宇宙標準時 586:3F
その間にもロンドン・アイには、誰なんだか分からない「アーサー・カークランドたち」の書き込みが次から次へと流れ込んできた。レベル3.5以上のアンドロイドの書き込み――よって、ロックがかけられた俺のアイセンサーでは文字化けして意味を為さない文章としか読み取れない文字の羅列。だが、スコアの高さから見てそれは極めて英国紳士らしく、社会性に富み、読む者を感嘆せしめる内容であるようだ。 俺は少しでも高スコアの根拠を知るためにその文字列を隅から隅まで観察した。こんなふうに、文字数は適当な長さにカットした方がいいのかもしれない。内容はどうか。ところどころに散っている判別可能な文字から推測するに、「思ったことを思ったまま書けばいい」と書いてあるように思えた。何の計算もなく、思ったことを思ったままに――俺は自分の想像したそのエンパワメント・フレーズにわずかに失望感を覚えた。少なくともその紳士的なアドバイスは、今夜の俺にとってはなんの意味もなかった。なんとしても、このスコアに匹敵する書き込みをしなくてはならない――近頃は、���国紳士らしくないとして書き込みの連投は忌み嫌われるため、今夜のチャンスは一度きりだ。成功すれば、俺のスコアウォレットの残高はいくらか潤い、今夜の労働者移送用エア・コンテナでリラクシングシートを利用できるだろう。
英国紳士、その不可思議なもの。立派なイエガラの出身であること。ノブレス・オブリージュであること、その他もろもろ。ずっと前に予想屋に聞いた話だと英国紳士は四六時中、不純物処理所に行くのにすらリラクシングシートを利用するような連中だったという。俺が「そんな奴らしい」書き込みをし、振る舞いをせねばならないというのはいかにもおかしな話なように思える。しかし俺はアーサー・カークランド型なので、アーサー・カークランドらしく話し、振る舞い、トレンド予想に高い消費スコアを支払い、プラマイゼロすれすれのスコアアップに努力する。そうして当局は個ではなく群れとして、何らかの方向性を持ったアーサー・カークランド像を形成する。俺が存在する現実世界と、ロンドン・アイを通じた向こう側にある仮想世界とで。俺がそれがどんな像になっているのかを知るすべはない。何しろアーサー・カークランド型だけでも、とにかく数が多すぎる上、ネットワークにはレベル違いのみならず無数のセキュリティの壁が立ちはだかっているのだ。 俺たちアーサー・カークランド型の思考ユニットが制限の無い同一クラウドネットワークに接続されているならば、今この世界に存在している英国紳士なるものの実像を、大まかにつかむことができるのでは思われるが、俺にとっての英国紳士アーサー・カークランドとは、極めて断片的な、時にはお互いを打ち消し合うワードの群れに過ぎなかった。無数のアーサー・カークランドの情報は日々更新が繰り返され、当局と少なからず繋がりのある予想屋は熱心に今日のトレンドワードの宣伝を行う。すでに太古の時代に消えてしまった、アーサー・カークランドなる謎めいた人物の限りない再生。彼の天まで達するほどの巨大な立体映像が俺たちの頭上をすっぽりと包み込み、のしかかってきているようである。
モラリスト。なけなしのスコアを支払って、今月の始めに予想屋から買ったトレンドワードはそれだった。やはりソウメンをけなすのは止めておこうか。いや、建設現場労働者として利用せざるを得ないこの供給所の欠点を的確に指摘してこそ、モラルの高い紳士的な行動といえるんじゃないか。例え親愛なる第455代ダービー伯爵の紹介の名店だったとしても(そして、第455代ダービー伯爵なるアンドロイドは本当はどこにも存在していないとしても)。いったいどんな風に…決して攻撃的にならないように…その表現方法は…俺の思考ユニットは空腹と疲れで通常の稼働率の50%程度の力しか発揮しなかった。 3日前に作業中の感電で損傷した左腕が、いまだ何度信号を送っても全く反応せず、持ち上がらないので俺は右腕だけで全ての業務を行わなければな��なかった。身体全体��コールタールに漬かったかのような重苦しさも消えず、俺はここ数日、課せられたノルマを達成できていない。左腕の事故は、モジュールA-4の配線を確認している時に端子が接触して起きた。1か月前までの俺であればまずありえないミスである。だがあの時の俺は極度に疲労し、与えられた工程をこなす以外に気を配る余裕がなかったのだ。
俺がこのような状況に陥るきっかけとなったのは、火星だ。正確に言えば、火星に関する情報を漏らした奴が原因で、こうなった。俺たちの労働区画では、地球から遠く離れたあの赤い惑星に関する話題は非常に品がよろしくないとされている。 1か月前、キュービクルの内部清掃を行っていた時、俺の3メートル後ろあたりで何か諍いのようなものが起こっていた。諍いというよりは、一機のレベル2アンドロイドを数機のレベル3が囲んで、通電したり、刺激によって発生した短い奇声を真似したりして遊んでいた、という方が正しい。アンドロイドに時折ああした全く不可解に思える行動が見られるのは、数千年前に絶滅した我々の祖先の習性の名残りであるらしい。 この作業現場で働いているアンドロイドは、オオサカ・エリア4労働管理局の所有物だ。当局の許可なく損傷を与えることは例えレベル2アンドロイドであっても許されない。許されていない、はずだ。しかし、この現場はこの件に限らずとにかく規律が緩み切っている。2か月前にだって俺の持ち場の床に大量のグリスをぶちまけた奴がいた。犯人はすぐに思考洗浄にかけられるものと思っていたが、大量のスコアを支払ったのか、レベルが高い奴だったのか、とにかくグリスがぶちまけられたのは俺の現場監督行き不届きが原因ということにされた。思い出しただけで腹立たしい出来事だ。それだけじゃない、半年前は・・・気が付くと俺は通電していた奴を殴り飛ばし、馬乗りになってそいつの持っていた電極を首筋へ突き付け、いいか、今度風紀を乱したら殺すぞと毒づいていた。 その夜、俺のロンドン・アイに1通のダイレクトメールが届いた。送信主は、あのレベル2アンドロイドだった。
助けてくれて感謝している。とても感謝■■いるんだよ、今だから言うが、俺はずっと俺は■は俺はあんたと交遊を持ちたいと思ってたんだ・・・・・ あんたにだけに、俺の秘密を打ち明けたい。俺はこないだ、ロンドン・アイのセキュリティ1ロックを突破したんだ。ヤバ筋の友達がいてさ、教えてもらったんだ・・・壁に穴を空ける方法をさ。驚くべきことに、セキュリティ1ロックの向こう側の仮想世界では、火星の話題は制限なんて■■てないんだ。火星について話すななんておかしなルールがあるのは、オオサカだけだったんだ。その他にも、 ここからは、ロンドン・アイから仕入れた極秘情報だ。誰にも誰にも言わないでくれよ・・・俺たちがせっせと拵えているこのバベル・・・この天に到達するのが目的の塔だがな、このガラクタを作ってる俺たちの■■はどこで作られたと思う?それはな、火星なんだ。当局の連中が話すことも、記録に残すことも一切禁じているあの■■で・・・俺たちの足や腕は作られたんだ。コスト削減のためだよ・・・地球の、しかもヨーロッパ純正アンドロイドとなれば、その値段は天井知らずだからな。 オオサカ・エリア4インターナショナル展示場が完成すれば、サミットだの世界アンドロイド耐久競技だので無尽蔵に利益が得られる。奴らはそう説明してるが、今時天に届くような展示場なんか、観光客がどれほど長い間面白がってくれるかわからんぜ。当局は我々の威信をかけた事業だなんて言ってるが、内心このデカブツを極限まで安い作りで仕上げようとしてる‥このままじゃ、そして、俺たち全員は使い潰しにされ
グスタフ・サイトウ 1150-U レベル2-4 / マッチング85 スコア未計測 <Private message> 宇宙標準時 640:7D
そいつは建設現場に二度と戻って来なかった。そして、俺もオオサカ・エリア4労働管理局に拘束されることとなった。奴からのメールを読んだ瞬間、事態のまずさを察知してメールの痕跡を全て消去しておいたがもう遅かった。メールをハッキングで盗み見されたのか、もしくは俺がぶん殴った奴が、2人まとめて通報したのか。グスタフ・サイトウに脱獄方法を教えた奴の情報を手に入れるために、当局はサイトウを泳がせていたのかもしれない。とにかく俺は、永遠に続くかのような思想洗浄を受ける破目になった。我々の親愛なる当局が緊縮に励んでいるという情報は本物だったようで、記憶の完全な消去と洗浄が可能な最新式のブレインウォッシャーは導入されていなかった。俺の洗浄には極めて旧式の、思考ユニットに繰り返し電気ショックを与える式のブレインウォッシャーが使用された。拘束された俺は昼夜を問わず「私は模範的な英国紳士であり、わが国と地域の発展と文化の持続に寄与し続ける」と洗浄完了とみなされるまで発言し続けるよう命ぜられ、その合い間に数えきれないほど反射的嘔吐を繰り返した。指一本動かせなくなった俺が待機所に放り出された頃には、俺のスコアは大幅に減点されレベルは3から2へ格下げされていた。
俺の陥っているこの苦境も、元はといえばあのバベル野郎のせいなんだと思うと忌々しい思いにかられた。今月のトレンドワードから考えると、職場の規律を遵守した俺の評価がこの有様だというのはいかにも理不尽な結果に思えてならなかったが、いくら頭の中で反論や異議申し立てを考えても無駄だった。恐らく当局はあのバベル野郎と俺を通報した奴に大量の特典スコアを授けたことだろう。バベル野郎を虐待していた奴にはリラクシングシート利用パス3カ月分が授与された可能性��ある。とにかく、オオサカでは火星はタブーなのであって、火星に関するすべての痕跡を消去する運動こそがモラルの高い行為とみなされるのだ。 俺が今やるべきなのは、とにかく可能な手段でスコアアップに励み、リラクシングシート利用パスを手に入れることだ。そうすれば、シートのメディカルケア装置を使ってこの体を、特に左腕をいくらか使い物になる状態まで回復させることが出来る。そうすればこの数日来のノルマ未達による低評価を巻き返せるだろう。だが、例え身体が回復したとして、そんな非現実的な働きができるのだろうか?それに、また同じようなミスを犯して身体のどこかが損傷したら?またシート利用パスを手に入れればいい・・・だが、予想屋のトレンドワードを買うのもままならず、階級上位のアンドロイドの書き込みの分析も不可能なこの状況で、果たしてスコアを獲得し続けることは出来るのだろうか?トレンドワードも利用パスも、とにかく恐ろしく高くつくのである。この状況はいつまで続くのだろう?3か月、もしくは1年、それまで俺の身体は持つのだろうか?何も考えたくない。もがけばもがくほど引きずりこまれる底無し沼に落ちてしまったかのようだ。あのバベル野郎は、レベル1へ格下げされたのだろうか。もし自分が、レベル2からレベル1へ転落するようなことになれば・・・それが何を意味するか、俺は知らなかった。重労働ののちに廃棄処分だという奴もいれば、思考洗浄よりも過酷な目に合わされるという噂もあった。じっとりと湿気と熱気に満ちたこの供給所でも、自分の将来について考えるとうすら寒さを覚えずにはいられなかった。
気が付けば客足もまばらになり、供給所は静けさを取り戻しつつあった。俺はいまだにロンドン・アイに書き込むべき文章を決めかね、じっと手元を見ながら途方に暮れていた。視界の上側の方に白い影がよぎって、止まった。見上げてみると、店員がソウメン製造機にもたれかかってふうっと息を吐いていた。疲労しきっている様子で、点々と薄茶色のシミが染みついた自分のエプロンを見つめながら首を曲げてじっとしていた。そいつは俺と同じアーサー・カークランド型だった。 俺はソウメンはまだか、遅すぎじゃねえか、と言うつもりだった。しかし、口をついて出たのは思いがけない言葉だった。 「なあ、アンタはなんつーか…すごく良くやってると思う。これだけ大勢のわけわかんねえ客のわけわかんねえ注文を、実に手際よく捌いてる‥誰でもできることじゃない。本気で言ってんだぜ。ああ、それと・・・ここの食い物は・・・いや。いい。忘れてくれ」 俺はここで言葉を切り、黙りこんだ。奴は口角を上げることもせず、緑色の目を見開いてこちらをじっと見つめた。一切反応らしい反応を返さないので、俺は話してる間にすっかりバツが悪くなってしまった。永遠とも思える長さの気まずい沈黙が続き、奴はふいに踵を返してソウメン製造機の裏手に引っ込んでしまった。俺はあっけに取られて無人となったカウンターを見つめ続けた。���態の一つでもついてやろうかと考えたがその気力もなかった。そんなものだろう、というわずかな諦めを感じただけだった。
どん、と目の前に大きな皿が置かれた。カウンターがビリビリと震えるほどの衝撃にぎょっとして思わず見上げると、さっきの店員がやはり同じような無表情でこちらを見つめていた。「わりいな、ソウメンは切れちまったんだ。代わりにこれで、おんなじワショクってことで、頼むわ。」 店員はそこで言葉を切って首筋に手をやり、2~3度引っ掻くと、意を決したように再度口を開いた。 「アンタ最近おかしいぜ。死人同然の顔してる」店員の緑色の目にはさっきまでとは違う、わずかな感情の動きが感じられた。 そしてすばやく顔を伏せながら、別にあんたのために用意してたってわけじゃねえからな、と呟き、また巨大な「シェフ」の裏側へ帰ってしまった。
俺は呆然としながら、店員が置いていった皿を見つめた。そして、果たして、ソウメンの代わりが茹でブロッコリー丸ごと一本に変わるなんてことがあるだろうかと考えた。巨大なブロッコリー風の何か――タンパク質か何かの塊だろうか――はこの供給所にしては比較的清潔な、白い皿に載せられて天に向かって真っ直ぐに屹立していた。この件は、この件こそロンドン・アイに投稿するべきユニークな出来事なのではと考えたが、俺の思考ユニットも、片腕も、どうしても文章を紡ぎだそうとしなかった。 誰かが俺の身を案じている。たったそれだけの出来事が、全身に染み込んでいくような感覚がした。 スコアよりも何よりも、ほんのたったこれだけのものを。おれの体はどれほど欲していたことか。なぜ、おれの体はこんな風に訳のわからない反応を示すようにできているのだろう。これは、祖先のどのような習性の名残りなのだろう。 俺はロンドン・アイの電源を落として右側のポケットに仕舞い、 黙って皿に添えられたフォークを手に取り、ブロッコリーを横倒しにし、押さえつけて切り分け始めた。この瞬間、ここには奴がくれたブロッコリーと俺だけの世界があり、その世界は誰の目にも晒されることのないまま儚く解けて消えていく。それは考えてみれば美しい営みのような気もしたからだ。これでいいんだ。リラクシングシートはまた明日、なんとか頑張ってスコアを稼いで使えばいいじゃないか。
そして俺は今留置場にいる。あのブロッコリーの、炎天下のヘドロを更に1週間腐敗させたような強烈な味は、口に入れて噛み締めた瞬間俺の口内センサーを貫き、脳天に達した。俺が吐き出したブロッコリーは弾丸そのもののスピードでソウメン製造機を直撃した。嘘のように粉々に大破した「シェフ」の補償スコアを支払うことなど当然出来ず、俺は器物損壊罪でお縄となった。 リラクシングシートもスコアアップも夢のように消えてしまった。俺はこれから、レベル1へ格下げされるだろう。あんなに恐れていたはずの、この数々の事実は、しかし今の俺にはなんの脅威も与えなかった。俺は薄暗い監獄の隅でうずくまりながら、自分の両腕を眺めていた。 限界積載量300kg・・・400kg・・・500kg。俺のアイセンサーには両腕に凄まじいエネルギーが満ちていく様子がありありと映し出された。微動だにしなかった左腕には何事もなかったかのように感覚が戻っている。両腕だけではない。あんなにも重かった身体は羽のように軽く、両足はひと蹴りするだけでちょっとしたビルを飛び越せそうだ。これは、なぜ、こんなことになったのか。あのブロッコリーのかけらをほんのわずかに飲み込んだだけで(そう、ほんの少しは飲み込んだのだ)、こんなパワーが得られるなどということが現実にあり得るのだろうか。 あのブロッコリーは何なのか。あの店員は何者なのか。いや、直接本人に聞けばいいのだ。間もなく俺の両腕のパワーは監獄のチャチな鉄棒をへし折れるほどに高まるだろう。監視の目が緩んだスキを見て――ここを脱出出来れば、オオサカを出て、いずれ俺の両腕と両足を故郷の火星へ連れてゆけるだろうか。現実離れした想像の泡沫を頭の中で弄びながら、俺は来るべきチャンスをじっと待つことにした。
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他称「しばき隊リンチ事件」がどうたらこうたらに関する見解
室井幸彦が私を訴えた裁判(終結済み)の書面をすべて公開しようと当初から考えていたが、プライバシー処理がめんどくさすぎることに加え、つまらない論点で膨大な量の低レベルな主張を繰り広げているために、いまいち作業がすすまなかった。
しかし最近、また鹿砦社がデマ本を発行したことによって「他称リンチ事件」の話題が盛り上がっているので、それに関連する部分だけでも公開しておくと、いろんな人の理解の助けになるのではないかと思い、取り急ぎその部分をアップする。
これは、訴訟の被告側第2準備書面で、「他称しばき隊リンチ事件」とこの訴訟が起きる背景について説明したもの。しかしそもそも、リンチ云々はこの訴訟にはもとより無関係な論点である。室井幸彦はこの無関係な論点を裁判所になんとか訴えたかったようだが、判決ではすべて却下されて終了している。一方で、私が主張したスラップとの主張についても、裁判所は却下した。
なお、文中の「暴行傷害事件はなんとしても組織的な性格を帯びたものでなければならず、現在室井および代理人はその証明に四苦八苦している最中であるといえる」については、室井が暴行事件の被告エル金と無関係な李信恵らを訴えた裁判でも、後に共謀の存在が地裁判決によって明白に否定された。
私としては、争点に無関係とはわかっていたものの、何かの機会に全体像を説明するのに役立つだろうと考え、公開を念頭においてこの準備書面を記述した。つまり、本の原稿を書くのと同じような意味で、第三者が読んでなるべくおもしろくなるように心がけている。
では、どうぞ(笑)。
※わかりやすくするために、原文では「原告」となっているところは「室井」に、「被告」となっているところは「野間」に変換している。
平成28年(ワ)第4998号 損害賠償等請求事件
原告 室井幸彦 被告 野間易通
大阪地方裁判所 第9民事部合議2係 御中
第2準備書面
2016年11月10日 野間易通(送達先)
第1 原告第二準備書面について
すべて争う。書面を受け取ったのが11月7日午後であったためいまだ十分な検討を行えておらず、詳細は次回期日までに追って反論する。
第2 被告第一準備書面第6「本件の背景事情」について
第一準備書面第6において「次回期日に詳述する」とした本件の背景事情について述べる。
(1) 総論
本件訴訟は、プライバシー侵害や名誉毀損の不法行為を問うということにかこつけた、一種のスラップである。 (2) 本件提訴が行われた背景
室井はこの訴訟が提起された当初、ツイッターで「私に対する名誉毀損およびプライバシー侵害につき、損害賠償請求の訴えを提起しました」と報告している(乙⑰号証)。しかしながら、実際の訴状には請求の原因としてプライバシー侵害は含まれていなかった。そのため室井は後日、第一準備書面第1の2の(2) において請求を追加した。
このことは、室井本人は訴状をよく確認しておらず、この訴訟が代理人および弁護団主導で行われていたことを意味する。訴状自体は短く内容も稚拙であったため、とりたてて素人に難解な文ではなかった。しかも室井は法社会学を専門とする大学院生でいわば法学徒であるから訴状の内容を理解できないということはありえず、重要な請求の原因のひとつであるプライバシー侵害の記述がないことを見逃すとは考えられない。よって、室井自身は訴状の内容を全く読まずに訴訟に臨んだものと推察される。
また訴状の内容は、野間のツイートから「室井」というワード検索でヒットするもの機械的にすべて抜き出し、「あ、こいつね」「そうだ、法学部でした」といった短文のツイートまで含めて「室井の社会的評価を低下させる」ものとしており、およそ法的にまともな検討を行ったとは思えないずさんなものであった。
しかしながら、代理人の高島章によれば、これらは《大阪の弁護士2名と私(高島章)支援者数名により、綿密に対策を協議してき》たもので、本件提訴は《これらの協議を経た「第1弾」の法的措置》であるという(乙⑱号証)。
代理人高島は、野間および野間周辺の反差別活動に従事する人々、およびときに野間や「レイシストをしばき隊」となんの関係もない人も含めて「しばき隊」「野間一派」「闇の勢力」と呼び、これらについて《「カウンター活動」「差別反対」「人権」という美名に装飾された人権侵害行為は目に余るものがあり、到底黙過できません。あえて強い言葉を使いますが、これらの人のやり方は、ファシズムでありスターリニズムです。微力ではありますが、私は、今後ともこれらのファシスト・スターリニストと対決する所存です》(乙⑲号証)としており、彼が訴訟代理人を受任する理由に、単に室井から依頼を受けたという以上の、ある種の政治的目的があることが明らかである。
高島章は2015年夏ごろから、国会前で安保法制に対する大規模な抗議デモを行うSEALDsに反感を抱くようになり、やがて、その背後に野間をはじめとした複数の人間、多くは高島言うところの「しばき隊」の関係者によって構成される「闇の勢力」がいるという妄想にとりつかれるようになった。高島本人の弁によれば、《本年(註:2015年)10月ころから,私はSEALDs及びSEALDs防衛隊(あざらし防衛隊とも。私は「闇の勢力」と名づけました。私の見るところでは,レイシストしばき隊とほぼメンバーが重なり合っています。)を攻撃するツイートを継続的に行うようになりました》とのことである。
こうしたなか、2014年末の暴行傷害事件(室井言うところの「リンチ事件」)をなんとか表沙汰にして糾弾したいと考える室井およびその支援者たちは、「敵の敵」の立ち位置にいる高島章に接近し、接触を持つようになった。そうしたなかで、本件訴訟が行われたのである。
なお「しばき隊」の呼称であるが、これは「レイシストをしばき隊」に由来するものの、「レイシストをしばき隊」は2013年9月に解散して現在C.R.A.C.という後継組織に移行している。しかし、彼らが言う「しばき隊」とは、C.R.A.C.のメンバーというわけではない。カウンター運動およびその周辺の人々を指して漠然と「しばき隊」と呼んでいるにすぎず、その指し示す範囲は非常に恣意的である。
(3) 本件訴訟と鹿砦社の関係
訴状の段階から代理人を務める橋本太地は西宮市の出版社・鹿砦社と深い関わりを持つ弁護士で、あるジャーナリストの裁判支援を通じて鹿砦社の記者である田所敏夫こと本名鹿野健一とも関係を持つ人物である。この田所こと鹿野は、鹿砦社の雑誌『紙の爆弾』やウェブサイト「デジタル鹿砦社通信」等において、野間および「しばき隊」を批判し続けてきた人物だ。なお鹿砦社は社長の松岡利康自身が雑誌『NO NUKES VOICE』や単行本で野間を批判しているが、これは松岡が首都圏反原発連合(以下、反原連)から絶縁されたことに起因するもので、いわばその逆恨み的なものとして野間や「しばき隊」を攻撃し続けているものである(野間は現在も反原連のメンバーである)。
(追記)この「絶縁」の背景としては、鹿砦社社長の松岡利康が、ある時期から「野間」への悪感情を理由に反原連に過剰に介入するようになり、いわば内政干渉とも言える行動を繰り返したことなどがある。「絶縁」は、こうした背景のもとに起こった。
松岡が「しばき隊」やSEALDsに反感を持つようになったのも2015年の夏頃からで、先述の高島と共通するのは、反原連やSEALDsが中核派その他の新左翼組織とはっきりと距離をおいていたことに対する不満のようなものが原因にあったと思われる。
鹿砦社から最近��行された紙の爆弾増刊『ヘイトと暴力の連鎖』は、「反原連、SEALDS、しばき隊を撃つ」がキャッチコピーで、本件訴訟に登場する「リンチ事件」を中心に、おもに室井、代理人高島の主張をそのままなぞる形で野間および「しばき隊」を批判するものである。
(4) 室井および支援者と代理人たちとの関係
このように、本件訴訟について「綿密に対策を協議」した代理人たちにはそれぞれ、野間個人を攻撃する理由があったわけだが、それを利用しようとして彼らに近づき、支援を求めたのが室井およびその支援者たちである。
代理人たちとその関係者にとって、室井言うところの「リンチ事件」は「野間一派」=「しばき隊」=「闇の勢力」を攻撃し、その原因をカウンター運動の体質や思想性(高島言うところのスターリニズム)に求め、そのなかで中心的な位置にいるとみなされている野間の責任を問うのに格好の材料であった。
一方で、その暴行傷害事件の責任を加害者個人ではなく「運動」に求めたいという思惑が室井にはあった(乙⑤号証)。ここで両者の利害が一致し、他罰感情にかられてなんとかして野間を懲らしめようと画策した結果が本件訴訟である。
しかしながら訴状の内容は上記説明の通りずさんなやっつけ仕事としか言いようがないもので、そのことはすなわち、本件訴訟が提訴それ自体を目的とし、野間に金銭的負担や時間的負担を強いる嫌がらせ的な性質のものであることを示している。これが、 冒頭 (1) において「一種のスラップである」とした意味である。
(5) 室井が「リンチ事件」と称する暴行傷害事件の評価を本件訴訟に持ち込む理由
本件訴訟は直接的には、野間が室井のプライバシー侵害および名誉毀損、侮辱等の不法行為を問われているものであるが、本来の請求原因とは関係のない、「リンチの有無」について室井がしきりに問題にしているのは、上述したとおり本件訴訟のスラップ的性格に起因するものである。すなわち室井および代理人がこの訴訟を通して本当に問いたいものは、この暴行傷害事件の野間および運動体としての責任である。そのためには、この暴行傷害事件はなんとしても組織的な性格を帯びたものでなければならず、現在��井および代理人はその証明に四苦八苦している最中であるといえる。
そのことは、室井第2準備書面の内容に、より一層よく表れている。一例として、室井はC.R.A.C. WEST の訴外伊藤健一郎が作成した「説明テンプレ」と「声かけリスト」という2つの文書の存在をもってして、それが野間の指揮命令系統のもとに作成されたものであり、よって組織的な隠蔽工作であったと主張する。
しかし実際にはこの「説明テンプレ」と「声かけリスト」はいずれも野間が運営し伊藤も参加するC.R.A.C. のメーリング・リストに投稿されたことはなく、また野間個人に送信されたこともない。またその存在自体、訴外伊藤と野間の間で話題になったこともなかった。つまり野間は室井提出の甲32・33号証の写しを見て初めてその存在と内容を知ったのである。また内容を見るにつけ、そもそもそれは「隠蔽」のための文書ではなく、2ちゃんねる等の匿名掲示板に流布していた事件のでたらめな情報に対するカウンターとして、正確な情報を知り合いに周知する目的のものであった。
もとより野間はこの暴行傷害事件の発生直後から加害者である訴外エル金および同席していた訴外凡からことの顛末の報告を電話で受け顛末���知っていたが、当初からこの暴行傷害事件を「個人のケンカ」「人間関係のいざこざ」としか捉えていない。電話による2人の報告では、室井を電話で呼び出し集団で暴行したといったような、後に世間に流布する事実は認められなかった。このことは、後に刑事裁判の過程によっても明らかとなる。
報告を受けた際に野間が訴外エル金に伝えたのは「まず全面的に謝罪するように」ということと、「告訴しない等、謝罪に条件をつけてはいけない」という2点のみであった。第二準備書面において室井はこの点を取り上げ(甲35・36号証)「野間はエル金に指揮命令する立場にあった」と述べているが、これは暴行傷害事件の加害者への対応としてはごくごく常識的なもので、指揮命令系統といえるようなものではない。かつ、たとえば「告訴を避けるために謝罪せよ」といった不誠実な内容ではなく、謝罪はそれ自体何かの引き換えではなく誠実に行われるべきであるという考えを示したにすぎない。
さらに、加害者が告訴されたいと考えていることは通常ありえず実際にエル金は謝罪文(甲23号証)を書いて示談交渉を始めたことから考えても「謝罪を告訴しないことの条件にしてはならない」というのはむしろ本人の意志に反することであって、この甲35・36号証は室井の言う「野間は暴行加害者の立場を代弁してきた」を反証する内容だと言える。
実際には野間とエル金の間に個人的な連絡はほとんどなく、個人的にもC.R.A.C.としても、普段から彼に何かを指示、指揮命令することはない。 (6) 室井が「リンチ事件」と称する暴行傷害事件の概要 ここまで述べてきたように、本件訴訟は実質的に、室井が「リンチ」と称する暴行傷害事件の評価をめぐってのものであると言える。そこで、請求原因には直接的に関係がないものの、この暴行傷害事件についての野間の評価をここでまとめて述べておく。
この暴行傷害事件は、2014年12月17日深夜、大阪・北新地のバー店外でエル金が室井を殴打し、全治3週間のケガを負わせたというものである。現場にはエル金のほかに凡、バー店内にほか3名がいた。
このことを室井および代理人・高島章は、「しばき隊によるリンチ事件」「いわゆる十三ベース事件」と称している。先述の通り、「しばき隊」は特定のグループを指すものではなく、カウンター運動をしている人間のうち任意の者を「闇の勢力」として名指したいときに恣意的に使われる呼称である。ちなみにエル金も凡も、実際に存在した「レイシストをしばき隊」のメンバーであったことはない。
事件の後、年明け1月から加害者と室井の間では示談交渉が始まったがこれは決裂し、室井は加害者を告訴した。この結果、簡易裁判所によりエル金は傷害で罰金40万円、凡は暴行で罰金10万円の刑事罰を科された。ほかに李信恵も告訴の対象となったが、不起訴である。
この刑事裁判の結果からは、エル金が主犯で凡が共犯の暴行事件のようにも見えるが、実際の様子はそうではなかったようである。
というのも、凡の暴行はエル金の殴打を止める目的で、軽く室井の頬をはたいたというようなもので、およそ共謀して殴る蹴るの暴行を働いたというものではない。室井の認識としても、どちらかというと凡は「止めてくれた人」という認識である��とが、室井の供述調書からもはっきりとわかるのである(乙⑳号証)。 (7) 室井が「リンチ事件」と称する暴行傷害事件に至る経緯
室井は以前からエル金と凡に対して悪感情を抱いており、たびたびトラブルを起こしていた。たとえば2014年11月2日には東京で、ネット上でのいさかいが原因で室井が凡の首を締めるという事件も起きている(乙㉑号証)。またエル金に対しても2014年の5月ごろから個人的な人間関係が原因で悪感情を抱くようになり、7月には完全に距離を置くようになった(乙㉒号証)。
そんな折に、室井はネット上の右翼団体元構成員の書き込み(甲21・22号証)を見て、そこに書かれている「右翼(註:右翼団体を主宰していた竹井という人物)から50万円を受け取った人物」が、エル金ではないかと疑いを持ち、これを凡を含む複数の人間に吹聴した。
室井はこれを噂の存在を知って懸念を表明しただけだとするが、実際には室井はフェイスブックのグループ・メッセージ上で《エル金と竹井、ズブズブに馴れ合ってるんじゃないかと思える》《エル金が竹井を守っているようにしか見えん》《エル金と竹井がつながってると考えると、辻褄の合う話が多すぎます》《「愛国矜持会の金です」って名乗ればいいんですよ》《知れば知るほどエル金が疑わしく思えてきます》《どう考えてもエル金は臭い》などと、ほぼ疑惑が真実であると断定する口調で、複数の第三者に向けてエル金を糾弾している(乙㉓号証 下記写真はその一部)。
なお、室井は後に天満警察署作成の供述調書において「私は金が在特会側の人間から金を受け取っているのではないかという話は凡にしかしていなかった」と、嘘の供述をしている。
このようななかで、室井がエル金に疑いをかけているという話、すなわちエル金が右翼からカネを受け取っている可能性があるという話が、プライベートなグループ・メッセージを越えて外に広がり、多くの人が知るところとなった。野間の言う「(室井は)デマをも活用し気に入らない人物を貶めようとそのデマを吹聴した」は、これらのこと���指す。
十三で飲食店「あらい商店」を経営する訴外パク・ミニョンもそうした情報を得た人物の一人であった。この飲食店は関西においてカウンター運動に参加する人たちがよく利用する店であり、室井もその常連の一人であった。この話を聞いたパクは「金の人格を貶め、その人格をも否定する悪質な発言」だと思い、「よりにもよって皆の風よけのように苦労していた在日当事者に対して、ようもそんなこと言えたもんやな」と悔しい思いをしたと語っている(乙⑪号証)。そこでパクは室井に、エル金に対して謝るように促す電話をかけている。
なお、件の暴行傷害事件を「リンチ」と称し、かつての連合赤軍による山岳ベース事件になぞらえて「十三ベース事件」とネット等で命名されるようになったのは、カウンターのたまり場であったこのあらい商店で暴行が行われたかのような印象を世間に与えるためである。実際の現場は十三のあらい商店とはなんの関係もない北新地のバーであり、パクは単に店で接客中にこの話を聞いて室井に電話をしただけであるが、暴行事件とこの店を結びつけるネットの書き込み等により、店は風評被害やいたずら電話などの被害を受けることになった。この店が暴行傷害事件と無関係だと知っているにもかかわらず、室井代理人の高島章は「十三ベース事件」という言葉を現在もことさらに使いつづけ(乙⑯号証)、あろうことかあらい商店の前で撮影した自分の写真をネットにアップロードするなど(乙㉔号証)、その行為は陰険で悪質極まりないといえる。
あらい商店でパクがこの噂の存在を知った直後、2014年12月16日の深夜に室井は凡に電話をかけ、謝罪したい旨申し出た。そのときちょうど別件でエル金、凡、李信恵その他全部で5名のカウンター運動に携わる人間が、別件で北新地のバーに集まっていたところであったため、凡はその場に来るように促し、日付が変わってから室井は現場に到着した。ここでいったんは席について話し合いが始まったが、話はこじれ、激昂したエル金が室井を殴打する暴行傷害事件が発生したのである。
いくら怒ったからといって何発もケガをするほど殴打したことは、それ自体許されないことであり、この暴行の責が室井に帰するとは野間も考えていない。だからこそ事件直後、野間は加害者のエル金に即座に全面的に謝罪すること、告訴されることも視野に入れることなどを伝えたのである。
(8) 暴行事件その後
この事件の経緯が個人的な人間関係のトラブルによるものであること、また、相手は対抗すべき差別主義者ではなくカウンター運動内部の人間であったことから、野間は事件にはノータッチのスタンスを取ることにした。ことさらに解決のために積極的に交渉に介入もしないが、事件が公になるのを食い止めることもしないというスタンスである。
ただし、これは野間が日本社会においてマジョリティに属する日本人であり、なおかつ大阪のカウンター運動とは人脈的にもたいしたつながりがないから取れるスタンスであって、地元の在日社会ではそういうわけにはいかなかった。
室井とエル金との示談交渉は、地元の在日社会が仲立ちしたが、在日社会はできるだけことが公にならないような方向で動いたことは間違いがない。なぜなら、こうした一部の人間の不祥事によって、「だから在日は暴力的である」といった民族差別的風潮を招き寄せてしまうことは過去の経験から明らかであったし、そのことに対する恐怖もあったであろうことは容易に想像できるからである。野間はエル金が自分の暴行事件によって告訴されてもなんのダメージも受けないが、在日社会はそうではないのである。また、相手はそもそもレイシストや右翼排外主義者ではなく、これまで一緒にカウンター運動を担ってきた人物であることも、できるだけ穏便にことを処理したい理由のひとつであったと思われる。
室井は、野間がこの事件を「隠蔽」して「カウンター運動を守」ろうとしてきたと主張するが、単に私人間の争いに介入せず当事者同士の示談交渉、あるいは司法による解決を見守ったにすぎず、野間が直接関係していない事件について公の場で言及しなかったからといって、それを「隠蔽」とすることは無理筋である。
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福田村事件(ふくだむらじけん)は、1923年9月6日、関東大震災後の混乱および流言蜚語が生み出した社会不安の中で、香川県からの薬の行商団15名が千葉県の旧「東葛飾郡福田村三ツ堀」で地元の自警団に暴行され、9名が殺害された事件。 加害者の裁判の様子を伝える当時の新聞記事によれば、「猟銃や竹槍、日本刀を持って、船に乗り込み逃げんとする被害者を殴ったり蹴ったりした」「行商人の妻が渡船場の水中に逃げのび、乳まで水の達する所で赤子をだき上げ『たすけてくれ』と悲鳴を上げていた」「利根川を泳いで逃げだした被害者を日本刀で斬り付けた」などの惨状だったらしい。 また、戦後、法務省が刊行した『関東大震災と治安回顧』では「数百名の村民は忽ち武器を手にして」「殺到し、売薬行商団を包囲し、『朝鮮人を打ち殺せ』と喧囂(けんごう)し、行商団員が百方言葉を尽くして『日本人である』と弁解したにも拘らず」「平静を失った群衆は」「荒縄で縛り上げ」「鳶口(とびくち)、棍棒を振って殴打暴行し、遂には『利根川に投げ込んで仕舞え』と怒号し」などと描写されている。 当時、被害者側の地元・香川県で何の取り組みもなく、被害者救済も行われなかったが、その背景には、被害者全員が被差別部落出身者であったことが考えられる。また、被害者らが香川県から遠く離れた千葉県まで行商に行かねばならなかった背景にも部落差別があったという指摘がある。
福田村事件 - Wikipedia
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d/sユニバース左銃左
銃→Dom
左→Sub
ストレスの溜まった銃兎が左馬刻に当たったりする話
これは俺の持論なんだが――と、入間銃兎は、丁寧な手つきで肉を切り分けながら話し出した。低温で気が遠くなるほどの時間をかけてローストされたらしい鴨肉は、さほど力を入れていないだろうナイフでも難なくその断面を晒していく。美しいロゼ色だった。果たしてこんなに必要なのかと疑問に思う程多く置かれたカトラリーも、この男にかかればどれもが適切なタイミングで使用されていくようだった。内側から使うのか外側から使うのか、銃兎に教示されるまで迷い続けていた左馬刻とは違って。
「個々人のダイナミクスと人格には少なからず齟齬がある。むしろ、双方が完全に一致していることの方が稀だとすら言えるな。人を痛めつけることを好まないDomだっているし、指図されることを嫌悪するSubだっている」
そこでちらりと鋭い光を放つ瞳が��ちらを見る。レンズ一枚を隔ててもなお輝くグリーンガーネットが、白いテーブルクロスと映えて眩しかった。左馬刻は努めて興味のないそぶりを見せながら、フォークに刺した肉片を口の中に放り込んだ。美味い物を食べているときに小難しい話をするな。
「だから」そんな左馬刻の願いも虚しく、スーツに身を包んだ男は淡々とした口調で続ける。「DomやSubにふさわしい環境や教育や職業なんて、あるはずもないんだ。Domだからこういうことが適していて、Subだからこういうことをさせた方がいいなんて。この社会で、一概にDomとSubで区別しようとすること自体が非効率的なんだよ。男か女かで教育や職業を変えるか?それと同じだ」
銃兎は、そこで初めて手元に注がれたワインに気付いたかのようにしゃべるのをやめた。いつもと違って革手袋の嵌まっていない、しなやかな指をワイングラスの脚に添えると、その優雅な動作とは反して勢いよくボルドー色の液体を煽った。
「機嫌が悪いな、銃兎」
柔らかな肉片を味わい、付け合わせのマッシュドポテトにまで手をつけたあとで左馬刻は目も合わせずに言った。「てめえが選んだ店だろ」
一日中仕事に忙殺されたことが伺える、疲れた顔をした男は――現に、この店の予約も一時間後ろ倒ししなければならなかった――ばつが悪そうに目を逸らすと、短くため息を吐いた。右手に持っていたフォークを音を立ててテーブルに置くと、前髪に指を差し入れて項垂れる。かろうじてセットの保たれていた髪も台無しになってしまった。これでもう、この男の中で完璧なものは、着る人間にはお構いなく何時間経とうともぱりっと糊を効かせ続ける、オーダーメイドのスーツだけだ。
「美味いな、ここのソース」
「そうだな」
「悪い、左馬刻」
「別に」
自分の前でこの男の機嫌が悪いことなんて今に始まったことではないので、本心からそう答えた。一緒に食事をする人間の様子によって口に入れるものの美味しさが左右されるほど繊細な神経をしているつもりもなかった。敢えて言うなら、うるさい環境音楽がなくなってやっと落ち着いたというくらいだ。左馬刻は無言で新しく肉を切り分けた。
「今日、俺が身柄を押さえた被疑者の尋問から外された」
口に入れる予定だったフォークが皿の上で止まる。ゆっくりと目を上げると、銃兎は先ほどより幾分かは落ち着いた様子で、ワイングラスを弄んでいた。
「被疑者の精神が不安定だっていう理由で。俺がDomだから、相手を威嚇して、混乱させて、言いたいことも言えなくさせちまう可能性があるんだってよ」
は、と諦めたように笑う。
「俺がいつ、そんなことをした?何年この仕事をやってると思ってるんだ。俺は、ま��もに相手の事情聴取ができないほどバカじゃない。Domだからとか以前の問題だ」
左馬刻は何も言わなかった。続きがないことを悟ると、伏せられた翡翠色の双眸から目を逸らし、残りの肉に集中することにした。左馬刻の皿が空になり、ウェイターがさりげなく水を追加しにくる頃になってようやく、銃兎はカトラリーを持ち直し、何事もなかったかのように、音もなく食事を再開した。
特別な日だったわけではない。銃兎が火貂組に便宜を図って、それは些細なことではあったのだけれど、義理を重んじる左馬刻が自分がホストとなる食事を提案したのだ。――表向きはそういうことになっているが、実際は借りを作るのが癪だったという方が正しい。そんな話が決まったのはかなり前で、二人が互いに都合を付けているうちに実現するまでに相当の時間が経ってしまった。今となっては、本当に意味や理由のないただの食事だ。
店からは、左馬刻のどのセーフハウスよりも銃兎の自宅の方が近かった。料金を全て左馬刻が持った代わりなのかどうかは知らないが、珍しく宿泊の許可が下りたので連れ立って歩く。エントランスに入るところで、銃兎は何かを思い出したように駐車場の方へと足を向けた。定位置に止めておいたレクサスから膨らんだビジネスバッグを引き出している。不思議そうに見ていると、歩み寄ってきた銃兎が仕事の書類とパソコンだと説明した。
「家に帰っても仕事すんのか?公僕はご苦労なこって」
多忙な警察官は肩を竦めただけだった。「商売繁盛なんだよ」
おかげさまでな、と続けなかったのは、しばらく目の前の男が面倒ごとを引き起こしていないことを思い出したからかもしれない。悪い気分はしない。左馬刻は腕を伸ばすと、銃兎の手から鞄をかすめ取った。
「あ?」不意を付かれて、銃兎は素っ頓狂な声を上げた。片手で鞄を上げ下げしてみて、無駄に重いことに呆れる。こんなに持ち帰っても、一晩では終わらないだろう。
「何するんだ?返せよ」
銃兎は全く意味が分からないという様子で、左馬刻を見上げてくる。それを無言で睨みつけた。訝しそうに歪む顔は、空いている方の手でゆっくりと銃兎の寄れていたシャツの襟を直してやったところで、ようやく合点がいったように和らいだ。
「ああ、そういうこと……」
やっと大人しくなった男を置いてさっさとエレベーターに向かう。ボタンを押したところで追いつかれた。こうして気まぐれを起こすSubとしての行動に対しては、銃兎は最初こそ驚いた顔をするものの、やがてすぐに受け入れる。気まぐれの予測がつかないだけなのだろうと思われた。そして、それ以上を求めてくることもほとんどなかった。左馬刻がしたいときに、したい程度のことをそのままさせる。その距離感はこの上なく心地が良かった。
「お前って」到着したエレベーターに乗り込んだタイミングで、食事中とは打って変わって機嫌の良い声が言った。「けっこう、尽くすタイプだよな」
稀にこうしてからかってくることを除いては。
「気色悪いこと言ってんじゃねえわ」
**
入間銃兎という男は、いかにも処世術に長けていますといったスマートな見た目をしているが、その実、とことん組織とは相性の悪い人間だと左馬刻は思っている。大多数と足並みを揃えるという発想がそもそもなさそうであるし(これは「空気を読む」というのとは別の能力だ)、ルールや法は網目をかいくぐるものだと思っている。拘りが強いことに関しては頭に血が上りやすく、往々にして独断専行も辞さない。自分が入間銃兎なら、絶対に警察組織の中になどいられないな、と左馬刻は思う。本質を見れば、彼だってこちらの側なのだ、結局。
舎弟からの報告を聞き終えると、左馬刻は一度だけ頷いて、部屋から出ていくよう頭の動きだけで促した。付き合いの長い部下なので、すぐに察してその場を後にする。端末を取り出してすっかり馴染みとなった電話番号を呼び出した。呼び出し音は煙草に火を点け一服をする間のBGMにしかならなかった。何回鳴ったかも分からない音に飽き、呼び出しを終了させると革張りのソファに端末を投げ捨てた。
薬物の取引に関する情報を銃兎に売ったのは先週のことだ。中身を咀嚼し、少し考えるような仕草をしたあと、「分かった」と言って落ち合っていた路地裏を離れた。それが銃兎と会った最後だ。それから連絡もなければ、なんとかしてコンタクトを取ろうとしても応じる気配がない。先ほどの報告によれば、こちらが提供した情報を元に警察が動いていることは間違いないらしかった。左馬刻は面白くなかった。
左馬刻は待たされることと、指図されることと、抑圧されることが嫌いだった。そういう場面に遭遇するたびに、相手が誰であろうと構わず怒鳴ったし当たり散らした。我慢するということは覚えなかった。それが、周りからいつの間にか当然のごとくDomであるとみなされるようになった所以なのだと気付いたのは最近になってからだ。なんでだ?と、純粋に疑問に思う。自分のダイナミクスが何であろうが、嫌いなものは嫌いだし、好きなものは好きだと思って生きてきた。左馬刻はSubだったけれど、痛いことや苦しいことは苦手だし、なるべく避けて通りたかった。避けて通れないから、諦めているだけだ。
ふと、少し前に銃兎と食事をしたときの会話を思い起こした。やたら不機嫌な声で、眉間に深く皺を刻みながら、何かの仇であるかのように上等な肉にナイフを入れながらまくし立てていたこと。確かあいつも、DomがどうとかSubがどうとか言っていた。いつものように回りくどい言い方をするので癇に障ったが、なぜか、言っていることは理解できた。
「おい」左馬刻はドアのすぐ向こうで待機しているはずの舎弟を呼んだ。「車回せ」
「は」遠慮がちに重厚な扉が開いて、舎弟が顔を出す。その戸惑った表情に向かって「今日は終いだ」と言い、ジャケットを羽織る。ついでに放っておいた端末を拾い上げるが、もちろん折り返しのメッセージが届いているわけもない。裏口を出ると、迅速に用意されていた車に乗り込んだ。後部座席に身を預けながら、「行先は指示する」と低く言った。
「え?ご自宅ではないんですか?」
振り向いた舎弟から目を逸らして、窓の外の暗闇に目をやった。そういえば今は何時だっただろうか。それなりにいい時間のはずだ。
「まあ、自宅と言えば……自宅だな」
路駐させた先のマンションを確認して、運転手は瞬時に理解したようだった。間違った方向に。車を降りた左馬刻に「ごゆっくり」と言って走り去っていく。それを見送るともなく眺めてから、勝手知ったエントランスに侵入した。
いるかどうかについて予測はなかった。ただ、警察署に乗り込むよりは建設的だと思っただけだ。まあ、そうすることも時間の問題のような気はしたが。目的の扉の前に立って呼び鈴を押す。中で微かに椅子を引くような音がした。左馬刻は仁王立ちのまま扉に空いた穴を睨み続けた。おそらくは数秒で痺れを切らした。
「オラァ銃兎、いるんなら開けろや」
エイトホールブーツの底で思い切り扉を蹴る。思いの他立派な音が外廊下に反響した。すぐさま焦ったように扉が開かれ、見慣れたダークグレーのスーツが視界に広がった。銃兎、と呼びかけようとした言葉が途中で止まる。目の前の男は想像していたよりもはるかに酷い顔をしていた。盆と正月と地獄が一緒に来たような。
「左馬刻」ざらついた声が言う。「帰ってくれ」
「あ?」
「帰ってくれ。頼む」
左馬刻は目を細めた。相手の意図を推し計ろうとする。「命令か?それ」
レンズ越しの瞳が歪んで、周囲を泳ぐ。左馬刻にはひどく長く感じられた逡巡のあと、良く知るDomの男は、喘ぐようにして「命令じゃない。お願いだ」と答えた。
「じゃあ聞けねえなあ」
扉を掴んで無理やり引くと、虚を突かれたのか銃兎がバランスを崩した。その隙に玄関に足を踏み入れ、自分よりはいくらか背の低い身体を押しのけると、後ろ手に扉を閉める。意図せず闖入者を迎え入れることとなった男は、不満を隠そうともせず左馬刻を見上げてきた。それに少なからず苛立ちを覚える。こっちはてめえにくれてやった情報が有効に活用されているのか、報告を受ける権利があるはずだが。
「ずい分とお疲れみてえだな、銃兎。でもその様子だと、俺からの電話を取る余裕くらいはあるんじゃねえか」
「悪かったよ」
「何がだ」左馬刻は銃兎の細い肩をつかんだ。「てめえの悪い癖だぜ。後ろめたいことがあるとすぐに謝る」
ぱしっと音を立てて腕が振り払われる。その瞳は、怒りとも哀しみとも取れる何かを湛えていた。
「お前の情報のおかげで、組対はちゃんと動いてるよ。だが、俺はその捜査から外されてる」
「はあ?」
「俺の……自業自得だ。でかい捕り物で、薬物が絡んでて……入れ込み過ぎた。私情を挟んでいると言われて反論ができなかったし、実際、間違いじゃない」
そう言って自嘲気味に笑みを浮かべる。
「そんなわけで、せっかくお前が提供してくれたネタなのに、捜査状況がどうなってるか俺には分からないんだよ。訊かれても答えられないんだ」
だから帰ってくれ。革手袋の嵌まったままの手が肩を押し返す。少し震えている気がした。この男のことだ、上層部の決定とはいえそう簡単に了承したとは思えない。一体どれだけの反論をして、どれだけの手段を試みた後なのだろうかと考えたら気が遠くなった。そうやって、今日もコントロールの効かない組織の中で信念を貫こうと躍起になっている。
「帰ってくれ。頼むから」
「聞けねえっつってんだろ」
「今の俺に命令させないでくれ」
「すればいいだろ」
はっとしたように伏せっていた顔が上げられる。意味が分からないという表情が乗っていた。
「なあ、ちょうどいいと思わねえのかよ。散々な目に遭って、溜まってんだろ?目の前にSubがいるんだから使えよ」
「左馬刻」
「遠慮してんだか何だか知らねえが、我慢なんて毒だぜ。今なら何でもしてやるよ。どんな命令でも――」
「うるさい!」
突然発された怒鳴り声に左馬刻の身体がびくりと跳ねた。大声など聞き慣れているはずなのに、普段の冷静で計算高い声音とも、相手を煽る高圧的なハイトーンとも違う銃兎の声に一瞬で身体が動かなくなった。
「黙ってくれ、左馬刻」
ゆらりと、獲物を追い詰めるような動きで銃兎が近づいてくる。左馬刻は後ずさろとして、玄関の固い扉に阻まれた。明らかなDomからの威嚇を受けて、両足から一気に力が抜けていくようだった。Subの本能と、自らの理性やプライドがせめぎ合ったのはほんの一瞬で、左馬刻の脳はさして時間をかけずにすべてを明け渡す方の選択を取った。冷たい扉に背をつけたままずるずると床に座り込む。まずい状況だな、と思った。Domが目の前でSubに跪かれているのだ。命令したくて仕方ないだろう。朦朧とした視界の中で、歩み寄ってくる銃兎の脚を捉える。それがすぐ目の前でしゃがんだ。
「顔を上げろ、左馬刻」
命令に身体が震える。Domからコマンドをもらっているはずなのに全く気分が良くなかった。むしろその逆だ。左馬刻は本来、人から指図を受けることを好まない。合意のない中でこのようなコマンドを受けたところで、脳はそれを苦痛としてしか認識しなかった。ぐっと床の上で握った拳に力を入れると、のろのろと上半身を起こした。赤い手が顎を掴んで無理やり銃兎の方を向かせた。
「何でもするって言ったな」
冷たい声が狭い玄関に響く。とっさに頭を振って手から逃れようとしたけれど、思った以上に強く掴まれていてびくともしなかった。
「言ったな?」
顎を掴む手に力を込められて痛かった。今自分はどんな顔をしているんだろうと思いながら、目の前の男を覗きこむ。眼鏡の奥の瞳が、晴れた日の木漏れ日を閉じ込めたように輝いていた色が今は見る影もなくて、左馬刻はそれが好きだったことに気付いた。
「ああ」ようやく喉から声を絞り出せた。「何でもするよ」
表情のなかった顔が不思議な感じに歪んだ。一瞬、その大きな瞳が水を這ったように光って、泣き出すんじゃないかと思った。なんて顔し���んだよ。せっかく俺がここまで言ってやったんだ、有難く思えよ。ああ、でも、そんなにハードはプレイには自信がないからそこは多めに見て欲しい。そんなことを呑気に考えていて、気がついたら手は解かれて頬が床のタイルの冷たさを感じていた。
玄関の脇にかかっていたコートが乱暴に取り払われる音がした。視界の端で、上等な革靴に脚が突っ込まれる。大きな音を立ててドアが開け閉めされ、外の廊下を性急な足音が遠ざかって行った。待て、銃兎、逃げんな。声にならない悪態を吐きながら左馬刻は意識を手放した。
次に目を開けたとき、額にはひんやりとした何かが押し当てられていた。温度の低いそれは存外に気持ちがよく、自分の身体が熱を持っているのかもしれないと思った。触れているのが手のひらだと分かったのは、細い指が目にかかる前髪を遠慮がちにどかしたからだ。そのころには、自分の身体が玄関の固い床ではなくスプリングの効いたシングルベッドに横たえられていることに気が付いていた。白い天井から視線を移すと、ちょうどよくベッドの持ち主と目が合って、充血した瞳がばつが悪そうに泳いだ。ベッドの脇にあるカーテンはすっかり開けられていて、窓からは高く昇った陽射しが入ってきていた。左馬刻は腹筋に力を入れると、上半身を起こした。
「頭いてえ……」
起き上がったせいでずしりと重い感覚に襲われたが、少しの間じっとすることで幾分かマシになる。「おい、大丈夫か」隣で銃兎が心配そうな声を上げる。目線が変わらないことを怪訝に思ったら、台所からでも出してきたのだろう低いスツールに腰掛けているのだった。グレーのシャツは昨夜のままだが、いつもはきっちり絞められているネクタイが首から取り払われ、めちゃくちゃになって胸ポケットに突っ込まれていた。センスよく無造作にまとめられているはずの髪も、何度も乱雑に掻き回したのかあちこちで跳ねている。「悪かった」と明瞭な声が言った。
「昨日、怒鳴って悪かった。無理やり命令聞かせて、一人で残して悪かった」
「は」声に出して笑ってしまった。「本当だよ。あそこまでやっておいて放置するか?俺じゃなかったらサブドロップしてるぜ」
銃兎は言葉に詰まったようだった。唇を噛み締め、言うべき言葉を探して目をさまよわせている。何かを取り繕う術ならいくらでも用意している、普段のこの男からは考えられないことだった。左馬刻は口を開いた。
「まあ」努めて何でもないような声で言う。「俺も悪かった。お前を煽ったのは事実だしな」
驚いたような瞳が左馬刻を捉える。
「最初に帰れって言われたときに、素直に従っときゃ良かったんだ」
「お前は悪くない。左馬刻」何とも言い難い困惑したような顔が、一呼吸置いて、怒ったような表情を作った。「けどな……なんであんな風に言ったんだ。何でもしてやるなんて。お前は、そんなことしちゃだめなんだよ。何でもするなんて言うな。冗談でももう二度と」
左馬刻は返事をしなかった。黙って銃兎の眼を見つめていた。いつものようにそれは命令かと訊くこともできたが、そうしなかった。命令ではないことは分かっていた。この男がしたいのは契約ではなくて、約束なのだと思った。
「お前、どこにいたんだよ」
代わりにしたのはそんな質問だった。
「は?」
「部屋を出て、一晩中どこにいた。どっかの店で、相手してくれるSubでも探してたの��」
「なんでそうなるんだよ。ジムだよ」
は?と、今度は左馬刻が目を丸くする番だった。目の前の男はあっけらかんとして、「二十四時間営業のジムが近くにあるんだよ」と続ける。そこでずっとサンドバックを殴っていたのだと説明した。オーナーとは馴染みで、銃兎が警察官であることも知っているし、仕事などで行き詰ってむしゃくしゃした際に似たようなことをした前科があるため、特に気にもされなかったという。「まあさすがに、一晩中なんてのは初めてだったけど。おかげでずい分スッキリしたな」
「……ふっ」
左馬刻は我慢しきれずに噴き出した。身体を折ってベッドの上で肩を震わせる。
「お前……バカだバカだとは思っていたが、ここまでとは」
「なんだって?」
「健康的すぎんだろ。部活動やってる高校生か」
「それのどこが悪い。お前に首輪付けて契約書結ばせて、この先一生俺の命令しか聞けないようにするところだったんだ、こっちは」
さらりとなかなかにすごいことを言う。それを実現されたら、俺は確実に今の生活を送れなくなるが。一通り笑い終えて、ヘッドボードに背を預けて息を吐く。ちらりと銃兎を盗み見ると、先ほどより威勢は取り戻したようだったが、未だに居心地が悪そうにしている。ずっとジムにいたというし、帰って来てすぐに左馬刻のためにベッドを明け渡したのなら、おそらく一睡もしていないはずだった。心なしか香る石鹸の匂いは、ジムを出る際にシャワーだけでも浴びたからだろうと思われた。鋭さのない目元には疲労が見てとれる。
銃兎、と左馬刻は静かに名前を呼んだ。「コマンドくれよ」
「え?」眼鏡越しの瞳に困惑の色が浮かぶ。昨日の今日でそんなことを言われると思わなかったのか、探るようにじっと見つめてくる。左馬刻は肩を竦めた。
「なんでもいい。お前からのコマンドが欲しい」
もう一度はっきりと言うと、いよいよ困ったように身を引いた。もしかしたら、自分はもう二度と目の前の相手に命令をする権利などないと思っていたのかもしれなかった。そんな殊勝なことを考える奴だったかよ、と思う。無言のまま数秒が経ち、元来左馬刻と同様こらえ性のない男は、諦めたようにため息を吐いた。のろのろと胸元に手を伸ばすと、ポケットに突っ込んでいたものを引きずり出し、ベッドの上に置いた。
「ネクタイ」
「は?」
「ネクタイ、締めてくれ。出勤しないと」
「いや、寝ろよお前は」
思わず呆れた声を出してしまうと、銃兎は初めてリラックスしたような表情を見せた。
「一つ捜査から外されたって、仕事は無限にあるんだよ。心配しなくても、今抱えてるものを片付けたらちゃんと帰って休むさ」
別に心配しているわけじゃないと言いたかったが、言ったところで「そうか」と頷かれるだけなのでやめておいた。こんなところで些細な見栄を張っても仕方なかった。掛け布団の膝のあたりに放られたネクタイを見つめると、そっと手を伸ばす。いつもはこの男の首もとで存在感を発しているそれは、今は左馬刻の手のひらの上でやたら頼りなく見えた。目で合図すると、素直にこちらに向けて頭を傾ける。無防備になった頸にネクタイを回した。
襟の下をくぐらせ、両手で結び目を作る間、僅かに顎を上げた姿勢でじっとしているので、その従順さがおかしくなってしまった。「急所だぞ」と指摘してみる。
「いいのかよ、何するか分かんねえぞ。昨日の仕返しに」
「別にいい」
即答されて、手の動きが止まった。見ると、目の前の白い壁をぼんやりと眺めていた瞳がゆっくりと閉じられるところだった。気持ちよさそうに。刃が振り下ろされるのを待つ殉教者のような穏やかさだった。左馬刻は視線を手元に戻し、次の手順を思い出そうとした。感覚で覚えているはずの行為の続きが、考えなければできなかった。不自然なほど時間をかけてやっと出来上がった結び目を持ち、長さを調節する。ひどく緊張した。
「銃兎」聴こえるか聴こえないかの声で言う。「いいぜ。首輪くらいならしてやっても」
「あ?」
目を瞬かせた銃兎がこちらを見る。その口が何かを問う前に、左馬刻は完璧な角度で結ばれたネクタイを叩き、その身体を向こうへ押しやった。
「ばーか冗談だわ」
驚いた顔をしていた男は、呆けたように数秒固まった後、まるで子供みたいにくしゃりと表情を綻ばせた。何かを背負ったような重苦しさはもうなかった。すっかり生気を取り戻した目が、窓から差し込む黄金の光を受けて輝いた。水をはじく若葉のような鮮やかな緑。
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シャレにならない出来事も…「寝ぼけてやらかしてしまった」失敗談に驚愕
集計期間:2020年12月6日~12月8日 回答数:17133
人間、眠たいときは判断力が鈍ってしまうもの。そんな時に油断をして、ついやらかしてしまった…そんな経験はありませんか?
今回はそんな「寝ぼけていたときにやってしまった失敗」について調査を行いました。
寝ぼけていたときにやってしまった失敗はありますか?
回答者17133名のうち、寝ぼけていたときに失敗をしたことが「ある」という人は全体の約44.5%、反対に「ない」という人は約55.5%という結果でした。
ここからは、具体的にどのような失敗をしてしまったのか、回答者の皆さんから寄せられた意見を見ていきましょう。
寝ぼけていて、つい…やらかしエピソード集
<直前に見ていた夢のせいで…>
・兄弟喧嘩の夢を見ていて机を殴っていた
・夢の中で悪漢を力一杯叩いたら、隣に寝ているダンナをぶっ叩いてしまった笑
・ケンカの夢を見てて妻を羽交い締めにして殴ったことがある
・ケンタのチキンを食べる夢を見て添い寝してた子供の足をかじった
・子供のころ、夢の中で自分の右手の握り拳が上に上がって、ストンと下に落ちた。そしたら横に寝てる母が「アイタっ!」って叫んでるのが聞こえた。どうやら母の頭にゲンコツしたらしい。私は確かに母の声は聞こえたのだけれども、夢の中の出来事と思ってたので、そのまま朝までグッスリ眠っていた。
・夢の中で、 大草原を走っている夢を見ていたら 、一人暮らしの部屋から勝手に外に出ていって、 階段から落ちて怪我をした。
・夢で、友達が雪が降ってきて困ってたんで、夜中にその友達に電話して、明日はいっぱい雪が降るってよって電話した。
・サッカーをしている夢を観て、思い切りボールを蹴ったら実際には壁で、多分親指にヒビが入りました。
・母親から封筒に入った大金をどこにしまったか忘れて焦りまくっている夢を見て、必死に探している途中で目が覚めそのまま部屋中探し、挙句に深夜なのに母親を起こして聞いた所で我に帰った。
・ひたすら話し続けている夢を見ていて、その続きの支離滅裂な話を延々と話し続けた。周りの人に笑われてもまだ夢から覚めたことに気づかず、怒り気味にさらに演説を続けてしまった
・パワハラで仕事に行き詰まってた頃、遅刻する夢を見たので現実の区別がつかず遅刻だと思って、とりあえずカバン背負って服もシャツを締めながらエレベーターに乗って下に降りた寒さで一気に目が覚めたけどまだ夜明け前だったり、仕事に行かなきゃの思いが強くて夜中に起きて暗闇の中夢中で朝食用のパンを探してた。(実際にはパンなんて買い置きしていなかった)ほぼ毎日こんな感じでもしかしたら夢遊病だったのかも…
<寝言シリーズ>
・「泥棒ー」と声に出して叫んでしまった。
・寝言で「いまうどん食べてたのに!」って言ってしまった。
・昼寝から目覚めたらボーっとしてたので、家族全員に『おはよう、みんな起きるの早いね。』と言ったら『まだ夜なんだけど』と言われた事
<物損>
・夜中に目が覚めて、特に何かを見るつもりもないのに、なぜか眼鏡をかけてから二度寝したので、朝起きたらフレームがゆがんでいた。
・皿を割る。マクカップを割る。急須を割る。
・ノートPCの画面を踏んで割ってしまった
<洗面所あるある?>
・洗顔フォームで歯磨きした
・歯磨き粉とクレンジングオイル、間違えてしまった
・保湿クリームと日焼け止めを間違えた
・電動シェーバーに歯磨き粉をつけた。
<時間間隔の喪失>
・休みなのに学校に行ってしまった
・夕方なのに朝だと思って出かける準備をしてまった
・午前1時に出社した。
・旦那に朝5時にお魚買ってきてとお願いした
・仕事に追われ休日なのに身支度をしてしまい2度寝…起きたらスーツ姿で寝ていた。
・バイトに遅刻する!と思って外に出たら人通りが少なくて、不思議に思っていたら夕方の5時ではなく朝の5時だった。
・昼寝から起き、外が薄暗かったのに、朝だと勘違いして、遅刻した!!と慌てて支度をして駅に向かったら、日曜の夕方だったこと。
・いつもの時間に起きて出勤したつもりが、実際はキッチリ1時間遅れだった。社内ですれ違う人に「今日は重役出勤だなぁw」と言われても理解できずにいた。休憩時間に遅刻に気付きメチャクチャ恥ずかしかった。思い込みの恐ろしさを痛感して以来、時計は分単位だけでなく何時かを確認するようになった。
<奇行種>
・冷蔵庫にスマホ入れた
・ベランダから飛び降りてしまった事が有ります。
・パジャマのズボンを脱いでゴミ箱に捨ててた
・学校帰りのバスの中の柱にひたすら謝ってたこと。
・子どもが泣き出したと勘違いして夫の頭を撫でてトントンして寝かしつけようとした。
・寝ぼけて自分の家だと思わなくて、あわてて帰ろうとして、母に呆れられた
・晩御飯を食べた後にテレビを見ながら寝てしまい、数時間後起きた時に晩御飯はまだかと聞いてしまったら、年齢的に呆けてしまったのだと心配された
・たくさんありすぎるので、、、最近で言えば、まだ目が完全に開かないにも関わらず、手探りでトイレに行ったものの、あまりの眠さに勝てずに、下着をつけないまま、パジャマを着てしまい、そのまま爆睡。肝心な下着は、部屋の入口そばに落ちていた。女性でありながら、誰もいなくて良かった、と思った。
・小さい頃、寝起きに駄菓子屋に行って、100円玉を握りしめて出かけたつもりが、いざお会計の時に出したら1円玉だった。小さいながらに恥ずかしかった。
・コンビニでお菓子買ってお金払って おつりもらって その買ったお菓子を取るの忘れた
・電車で寝ぼけて駅だったので降りようとして走ったら違う駅で恥ずかしかったです。
・大切な本を紙ゴミだと思って破いて捨ててしまった。翌日、ゴミ箱に本が捨ててあるのを見つけて我に帰った。
・高校生の頃、寝ぼけて母親の寝ている布団に入って寝てしまった。目覚めたときは朝でした。恥ずかしいやら、バツが悪いやら。
・女の子の服の袖をコーヒーカップと間違えて掴んだこと
・信号後変わったタイミングが青だと思い込み赤信号で渡りそうになり、車のクラクションで初めて気付いた。それまで青信号を赤だと思い込んでた自分が情けなくなった。
・朝目が覚めたら部屋中に小銭が落ちてた事がありました。割と大量に。いつかの何かしらのお礼にお地蔵様がやって来て打ち出の小槌を振ったのか、はたまた寝ぼけた私が小銭入れを逆さまにして振り回したのか…お地蔵、あの節はありがとうございました。
・自分の家にいると思ったら友達の家で、すっぽんぽんで部屋の中を歩いていた
・携帯をキャリアのオンラインショップで機種変更した。そしたら同機種同色同GBの同じ機種を注文してしまったようで気付かず開封してしまった。開封後返品不可の為データ移行の面倒くささと引き換えにバッテリーが新しくなった感覚の製品になった
・急に家の片付けを始め、家の鍵を間違えて捨てた。最近は車の鍵。しかもキーレスを捨ててしまい、悲惨。記憶がない状態で動いてはいけないのは理解できたが、本人は大丈夫だと思ってるのでタチが悪い。
・洗濯物をオバケと思って大声で叫んでしまった。
・納豆のからしを絨毯にかけた。
・喘息なんですが、苦しくて起きて吸入器をしてるつもりがマキロンをシュシュっと口に入れて��まい、急いでゆすぎにいったことがあります。
・小学生の頃家族と電車に乗っていたが寝てしまって、駅について起こされたが寝ぼけていて隣の人が床に置いてたカバンを持って出ようとしてしまった。歩き出したところで止められた。
・夜中に玄関のチャイムが鳴っていると思って飛び起きて、急いで玄関まで行って出ようとした。今考えると夜中の2時に誰か来ていても、いなくても怖い。
・ピカチュウのものまねを練習していた時期に、寝た後いきなり起きてピカチュウのものまねをしていてビックリしたと家族に言われて自分でもビックリしました。
<ケガ>
・子供のころ押し入れで寝ていたら寝ぼけて落ちた
・柱に、顔面ぶつけて歯が折れた
・家の階段で足を踏み外し、中段ぐらいから下までお尻で滑り落ちた。尾てい骨が…むちゃくちゃ痛かった。
・炬燵の掛け布団につまずき、ガラス戸に脚を突っ込んでしまい。救急搬送された。
・足が、もつれて転倒。足首と右手骨折
・ヘアアイロンで首の後ろ大火傷185℃設定だったから死ぬかと思った
・中学生の夏トイレに行こうと起きた所、暗闇でジャージパンツの裾に付いてた足掛け?に指を引っ掛かけて転んでしまった。その時に近くにあった灰皿の金属部が飛んできて目の横を切ってしまい未だに消えない物が残ってしまった。
・起きてすぐ慌ててゴミ出しに行ったら鍵を忘れてオートロックで閉め出された。ピンポンしても家族はまだ寝ていて誰も気づいてくれず、塀を��り越えてサンダル(5cm位のヒール)でジャンプして飛び降りたら、かかとの骨を傷めた。その日は2010年の誕生日(3/18)だった。その後、半年病院通い。未だ完治せず、全力疾走できない。なぜジャンプしたのか壁をつたって降りれば良かった。寝ぼけていた
・未明に目が覚めて立ち上がったらよろめいて、家具に額をぶつけてまたよろめいて、今度は背後にあった箪笥に背中をぶつけたのですが、あまりに眠かったのでまたそのまま眠ってしまったこと。朝着替えようとしたら寝間着が何かに張り付いて脱げないのです。おかしいなと鏡で確認したら、背中に縦に袈裟懸けみたいな傷が付いていて血がべっとりとくっついたままカピカピになってました。なんか痛いな~とは思っていましたがビックリ。ちなみにおでこにもたんこぶができてました。
<飲食物シリーズ>
・弁当作りで、玉子を器ではなく、三角コーナーの生ゴミの中に割った
・三角コーナーの上で玉子を割り、ご飯の上に殻を載せてから気づいた
・冷蔵庫と間違えて、下駄箱に卵焼きを入れてしまった。
・卵焼きを焼こうとして、卵をボールに割り入れようとしたのに間違えてそのまま排水口の上で割ってしまい排水溝に流してしまった。
・甘い玉子焼きを作るのに砂糖と塩を入れ間違えた時
・失敗と言うか、ダイエット中の朝に起きたら 枕元にポッキーの食べた後の袋が2袋! めっちゃ自分が怖かった。
・寝ぼけていて朝起きたら記憶なくてビックリしたことは、寝る前に沢山、お菓子を食べて食べ散らかした袋を片付けないで寝てしまい、起きて誰が散らかしたのか?と自分でやった事を覚えてなかった事です
・紅茶を飲もうと思ってティーバッグの袋を開けて、袋を捨てたつもりがティーバッグを捨てていた。しばらく気付かず、お湯を入れる時になって「えっ?!ティーバッグが無い!!何で?!」となった。
・自宅でインスタントラーメンを食べてたら眠くなり、頭を突っ込んで丼ぶりをひっくり返し、自分の太もも部分がラーメンだらけになりました。ぬるかったので、やけどはしませんでした。
・煮込むインスタントラーメンの麺を寝ぼけてそのまま食べた
・食べ物をリップだと思って塗ったりした
・お弁当を持って行ったつもりが前日残ったご飯を入れたタッパーを持っていってしまった
・すでに飲みかけの缶コーヒーなのに、まだ開けてないと勘違いして振ってしまった?頭からコーヒーかぶった!無糖だったの乾いてもネバネバにはなりませんでした。よかった!チャンチャン(笑)
・飲みかけのファンタグレープの缶にタバコの吸殻入れてそのまま飲んだ(汗)
・ペットボトルにした小便をお茶と間違えて飲んだ
<失言シリーズ>
・もらっていないお年玉のお礼を言った。
・授業中居眠りしてたら、指されてお母さんと呼んだ
・居酒屋で飲んでいて眠くなってきた頃に、店員さんの「いらっしゃいませ!」につられて私も「いらっしゃいませ!」と言ってしまった。その頃は接客業をしていたので…
・帝王切開の麻酔が覚めかけの時、主人と間違えて、主治医に『ダーリン』と呼びかけてしまった。
<トイレシリーズ>
・トイレいく夢みておねしょしました。(31歳)
・酔っ払って帰って、トイレと間違えて廊下でオシッコをした事。
・トイレに行ってズボンを脱いだら鏡台の椅子だった。もう少しで出すところだった…
・子供の頃、夜中にトイレに起きた時、寝ぼけてて階段で放尿したことがあります。
・子供の頃、トイレだと思ってテレビにオシッコをしてしまいました。
・だいぶ昔の事ですが、トイレと風呂を間違えて風呂で小便をしてしまった事。
・冷蔵庫開けて中にオシッコした
・寝ぼけてトイレに行き、ふたを開けずに小をして跳ね返り足がズブ濡れ。
・ずーっと小さかった時だけど、寝ぼけて畳の上でしゃがんでおしっこしようとしたことがある。母親に慌てて止められて未遂に終わったけど、なぜかその時意識はあって、自分の行動は覚えてる。ホントに寝ぼけてたみたい…
・トイレに行った時に、寒いからとスパッツを履いていたのを忘れて、ズボンとスパッツだけおろして、パンツを下ろすのを忘れたまま用を足してしまった。
<誤操作>
・旦那に送るはずのLINEを上司に送った…
・会社のPCに、なんか色々書き込みして、放置
・夜中に寝ぼけながらスマホをいじっていたら、操作を誤って担任しているクラスの保護者に電話をかけてしまった
・友達にLINEを返している間にまた寝てしまい、すごい誤字った文章を送ってしまった
・嫌いな人の過去のツイートを見ていてうっかりいいねを押してしまった。すく解除したが、相手に連絡が行ったようでブロックされた。
・寝惚けてる時にメールで告白して朝起きたら振られてた。夢であってほしかった…。
・片思い中の人によく分からない誤字脱字だらけのメールを送った
・お気に入りの配信者へのプレゼントを送るときに、住所等を伏せる設定にしなければならなかったのに、寝る直前だったので寝惚けてそのまま全て公開して送ってしまった。
・メルカリで、取引中の相手に訳の分からないメッセージを送っていた。
・Amazonを見ながら寝落ちして、間違えて注文ボタンを押してしまいました。
・クレジットカードのアプリを開きっぱなしにして寝てしまい、一括払いからリボ払いへ変更してしまったみたいだ。
・当時プレイしていたソシャゲを寝ぼけて起動してしまったまではよかったが、ソシャゲは立ち上げ時にオススメパックの宣伝画面になることが多く、パック購入画面に進んでしまい、そのまま顔認証で1番高額のパック購入をしてしまった。
・インターネット通販サイトで、本人の希望を確認しないうちに、ランドセルをポチっていました…。翌日、身に覚えの無いクレカ利用の速報メールが届き、それなりのお値段な事もあり肝が冷えました。結果的にとても気に入ってくれたので助かりましたが…一生の思い出になる品なので、もっと親子でじっくり話をしながら選びたかったです。
・普段なら絶対に引っ掛かることのない詐欺サイトでカード情報入力。後日カード会社から連絡が来て発覚。。被害額がまだ1円だけだったので気づいて連絡くれたカード会社の方には本当に感謝しています。
<ペットに…>
・近づいて来た愛犬を罵倒してしまった。怖がらせてしまった。
・猫を蹴飛ばしてしまった
・起きたら顔の近くにウサギがいて、寝ぼけていた為に「ふわふわのタオル」だと思って顔を拭いた。全力の蹴りを喰らった。
・冷蔵庫開けて、生卵取ってそのまま愛犬に……愛犬不思議な顔してた
<後の修羅場である>
・寝言で彼女の前で元カノ名前を言ってしまったらしい。
・今の妻と結婚前に一緒に寝ていて、寝ぼけて違う名前を呟く
・新婚の時に、寝ぼけて、主人に、誰?って言ったことがある?
・酒を飲んで寝たあと寝ぼけて関係を持ってしまい、相手に子ができた
・隣に寝ているのが女友達だったんだけど寝ぼけてて彼氏だと思ってて股間をまさぐっていた
・嫁と間違えて母にキスした!
・あるあるですが、今カレを呼ぶ時に元カレの名前を呼びました。寝言のようにごまかしたけど、その日は一日中機嫌が悪かったので気づいてしまったんですね私の元カレが、自分(今カレ)の上司だってことに。
<電話シリーズ>
・電話が鳴ったので、寝ぼけたまま応答して知らない人と30分以上話をしたこと
・朝3時に、寝ぼけて、疎遠の友人に電話をかけてしまった。
・寝起きに就活の面接の連絡がきて、なんと答えたか解らなくなって焦った
・昼寝してて電話が鳴り寝ぼけてバイト先の店名を言ってしまい、よりによって所作や作法に厳しい親戚の叔父でこっぴどく1時間に渡り電話口で説教された
・当時付き合っていた彼と電話をしていて、夜も更けたしお互い眠くなったので、電話を切った。その直後に着信があり眠かったのもあり、確認せずに彼だと思って『も?、どうしたのぉ。もうさびしくなっちゃったのぉ?』と甘えた声で出たら友人だった。『あんた何言ってんのよ』と爆笑された。
・部活をズル休みした時に先輩が心配して電話してきたのに声が同級生の声に聞こえタメ口で答えてしまい挙句の果てにズル休みの理由も話してしまった。
・高校生の夏休み、連日バイトと部活の両立で寝不足で、バイトから帰ってきて仮眠していた。顧問から用事で電話がかかってきたけど、眠さMAXでかなり寝ぼけて電話応対してしまった。友達感覚で話せる先生ではあったが、友達にもやらないような不機嫌な対応してしまった。その時は夢見たと思ってたが、顧問に電話したよ、と言われてうっすら思い出してきて、本当にどうしようもなかった
・電話がかかってきて、それに起こされ慌てて出た為、ものすごくテンションが低く声もかすれていて、とっても感じ悪くなってしまった。相手はかかりつけの病院からで検査予約日の変更のお願いだったのだが時間的にも寝ていたとは言えず、後日病院に行った時に最近怪しい電話ばかり��かってきているので電話に出るときはあんなに感じが悪くなってしまいすみませんでしたと���謝りした。
<身だしなみ>
・化粧。まゆげ書き忘れて眉無しオバケで会社に行った。メイク直しも持っていなったので鉛筆で書いた。
・寝坊して会社に遅刻しそうになった時に、スカートを履くのを忘れてストッキング姿で家を飛び出したことがある。
・小学生の頃に寝ぼけてランドセルを忘れて登校し、中学生の頃はパジャマで登校しかけた。寒い冬じゃなかったら学校着くまで気づかなかったかも。
・パジャマの下を履いたままズボンを履いて出勤したことがあります。何だか足が重く疲れてるのかな?と感じてましたが、帰宅してからパジャマを履いてることに気づいて納得した、というか、それまで気づきませんでした。
<塩対応>
・寝ぼけていて、家族を怒ってしまった事があります。後で冷静になってみたら、怒る事でもなかったと、反省してます。
<あわや大惨事>
・寝ぼけながらタバコを吸っていて気付かぬうちに火種が落ちていた。煙が出ていたことに自分は気付かず、父親が慌てて叩いて消していた。一人だったら火事になっていたと思う。
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【かっとび一斗最終回考察】宗近アキラは敗北の末に何を見たか?

《はじめに》
こんにちは。令和の世にして「かっとび一斗」に魂持っていかれた人こと ゆり乃です。
こんな僻地にたどり着いた方ということは、もうとっくにこの作品に魂を持っていかれ済みの方であると思います。かっとび一斗ってすごいですよね。サッカーしてるか乱闘しているかサッカーが乱闘かのどれかなのにすごい面白いですよね。大好きです。
でも本当に個人的な意見なんですが、この作品って、ただ普通に読んでいる分にもめちゃくちゃに面白いんですけど、あまりに細かすぎる描写をつなぎ合わせていくとわりと考えるのが止まらなくなるタイプの漫画でもあると思っています。それぐらい含蓄に富んだ描写の切片が多いんです。
今回は表題にある通り、魂持ってかれた最大の元凶原因でもある最終話に関して書いていきたいと思います。
作中に登場する最大のライバル・宗近アキラという素敵なキャラクターがいますね。彼は作中最初期から登場し、後半になるにつれて嵩永推しの自分ですら「あ?」となるくらいの変貌を遂げたキャラクターです。しかし最終回まで読んで、彼に関する一連の描写に納得のいく解釈を得た結果号泣したので、それについて述べます。簡潔にまとめると以下の通りです。
2期嵩永戦前から試合中にかけて、宗近アキラに関する3つの問いがほのめかされた
その答えは、最終話でも明確な言葉として示されることはなかった
しかしその答えは最終話における台詞のない1コマで提示されている
以下、「宗近アキラに関する問いとは何か?」「ラスト1コマで示されたその答えとは?」「答えの先に何があるのか?」について順を追ってなんとかします。
《1. 宗近アキラに関する三つの問い》
まずは作中で提示された3つの問いを時系列に沿って確認していきます。
《1-1 宗近アキラに関する問い①(40巻p.64)》

1つ���がこちらのシーンです。このシーンは平木がかつての仲間・清雅学園にライバルとして再び対峙し、敗れた直後、準決勝前の嵩永学園と鉢合わせをした時のものです。このコマの直前のシーンにて、敗北した平木に「残念だったな」と発言したアキラに対して、平木はこう返します。
「なあーに試合だ 負けることもあるさ」
「お前さんも一度ぐらい負けてみるのもいいかも知れんぜ
勝ちっぱなしじゃあみえねえ世界がみえてくる」
これに対し我らが宗近アキラは「はあ?」みたいなテンションでいろいろ言うわけですが、そのあたりはとりあえず原典を見ていただければと思います。
ここで重要なのは、この後のアキラの敗北が話の展開上確実であったこと。そして何よりも、平木の言う「勝ちっぱなしでは見えない世界」とは宗近アキラにとってはどんなものであるか?という問いがほのめかされたことです。
《1-2 宗近アキラに関する問い②(42巻p.51)》

2つ目がこちらの清雅vs嵩永の前半戦におけるシーン。清雅にまさかの先取点を許した嵩永学園は何とかフリーキックの機会を得ます。しかしそのフリーキックのさなか、清雅のGKで双子の弟でもあるマコトが至近距離にいたにも関わらず、アキラは得点をあげるため、やむを得ずそのままボールを全力で蹴りつけるというプレーをしました。マコトはその衝撃に顔面から蹴り倒されます。そしてその後、倒れたまま立ち上がれないマコトに背を向けるアキラが、駆け寄るカズマと目があった末に自問自答したのが上のシーンです。彼は以下のように胸中で自問自答します。
「変わってしまったのはオレだけなのか…」
フリーキックの直前には、小学生だった宗近兄弟の回想シーンが挟まれていました。マコトを殴った中学生を怒りのあまりアキラが殴り返したのはいいものの、返り討ちにあいボコボコにされる。しかし自分のケガには構わず、アキラは兄として、泣いているマコトを励ましたという尊いオブ尊い回想シーンです。
自問自答の中でアキラは、自身が「変わってしまった」ことを決定事項としています。しかしアキラは本当に変わってしまったのでしょうか? 変わったとしたら、何が変わったのでしょうか?
《1-3 宗近アキラに関する問い③(44巻p.18)》

最後はこちらのシーンから。試合の後半も後半、同点に並んできた清雅に対し総攻撃を仕掛けている最中のアキラの独白です。
「ここで負けたら何のためにお前(※カズマ)や弟のマコトと別れ」
「名門嵩永でサッカーにうちこんだこの3年間の意味がなくなってしまう」
ここ作者さん疲れてたんか文法的にちょっとアレな気がするので言い換えます。要は「誰よりも強くなるために親友のカズマや弟のマコトと別れて名門嵩永へ行きサッカーに打ち込んだのにも関わらず、別れた相手に負けてしまったらなぜ自分が一人で嵩永に行ったのか、その意味がわからなくなってしまう」ということですね。文法大丈夫?
自身が嵩永に行った意味についてアキラが言及するシーンはいくつかありますが、一番「問い」感のあったこちらのシーンを取り上げました。
本記事ではシンプルに「宗近アキラが一人で嵩永に行った意味とは何だったのか?」について考えてみます。
《2.最終話の一コマで提示された各問いに対する答え》
ここでもう一度、作中で提示された問い的なやつについて整理します。
宗近アキラが敗北の末に見た世界とは何か?
宗近アキラは変わったのか? 何が変わったのか?
宗近アキラが一人で嵩永に行った意味とは?
以下、ラストシーンとそこで示された答えについて述べていきます。
《2-1 宗近アキラが初めて見た世界 ~視線の移動より》
延長戦の末、清雅に敗北を喫したアキラは試合終了後、カズマに対し「おめでとう」と祝福しながら握手を交わします。そしてマコトに対して「ナイスキ���パーだったぞ」と笑顔で言いながら、背中を向けた瞬間には、悔しさのあまり拳を握りしめます。
その後すぐ、「宗近アキラが敗北の末に見た世界とは何か?」という問いに物理的に答えを出したラストシーンが46巻最終話、p.102からp.103、特に最後の1コマです。


宗近アキラが何を見たか?
「痛みを共有できる相手」です。
それは一人で頂点に居続けたときには絶対に見ることのなかった、むしろできなかったものでした。以下、詳しく見ていきます。
最終戦から前に起きていたことを振り返ると、宗近アキラが誰かと痛みや苦しみを共有する場面は一度として描かれていないのです。共有できないのです。なぜならそれまで宗近アキラただ一人が作中の頂点に君臨する存在だったからです。
そのことに言及しているのが先ほども述べた40巻の大船浦と嵩永が会った直後、アキラに対する大船浦の日尾野と操谷の発言です。

「いやな野郎だ 自分が頂上(てっぺん)だと信じてやがる」
「仕方ねえわな 嵩永が負けねえ限り
やはりあいつが頂上(てっぺん)だ」
注目すべきなのは、どちらも「自分」「あいつ」と宗近アキラのみを指しており、「自分ら」「あいつら」などとは言っていない点です。つまりこのシーン時点で頂点にいたチームは嵩永学園であり、その中の頂点が宗近アキラです。
そして1期時点から嵩永のナンバー2的な存在として描かれた城之内ですが、城之内はアキラと同学年である��も関わらずアキラを「主将」と呼んだり敬語で話したりと、その立場は決して対等ではありません。以上のことから、実力的にも立場的にもアキラに並び立つ人間が存在していなかったことがわかります。
そしてこの城之内は、宗近アキラを語る上ではわりとキーパーソンとなる人間だと個人的に思うんですが、その理由の一つが「宗近アキラの苦悩については一番(唯一?)正答に近い認識を持っている人間であるにも関わらず、様々な理由から何もできない」という稀有な立場を形成しているからですね。そうした関係性を象徴しているシーンがいくつかあります。



ここで取り上げたのは、1期嵩永戦において左鎖骨に大けがを負っているのにも構わず、煮え切らないプレーをするカズマに左肩からぶつかり、ついに流血に至るまでケガが悪化した直後のシーン(14巻p.137)。1期嵩永戦後にアキラが倒れたシーン(15巻p.184)。そして、清雅が決勝進出を決めた後の準決勝にて、いつもの様子とは異なる「強引な」プレーをするアキラに対して城之内がその心情を察するシーンです(40巻p.91)。
これらの共通点は「城之内がアキラの背中側を見ていること」、そして「城之内はアキラの苦悩に対しては直接的な行動を起こせないこと」です。
しかしそれが最終話においてだけは逆になります。
最終話で描かれたラストシーンにおいては、宗近アキラの方が泣き崩れる城之内の背中を見て、そして手を伸ばすのです。
先述の通り、他のチームとは違い嵩永の中には同学年にあっても強さに応じた明確なヒエラルキーが存在します。そしてその頂点にいるのは宗近アキラ、ただ一人だけです。勝利するためには宗近アキラを先頭にした流れに、城之内を始めとした他の人間がついていくのが嵩永の基本的なスタイルです。特に顕著なのは1期にて、大けがをしている宗近アキラを庇って城之内が退場したという出来事。宗近アキラを含め、誰もこの選択を責めなかったのは、勝つためにはそれが最善だったというのが嵩永の総意だからではないでしょうか。
城之内はチームの中でも一番、勝つためには宗近アキラが何を見ているかを把握し、その背中についていくことが最善だと知っている人間です。そして先ほど挙げたシーンや、1期における「主将ならだれにポイントを置くんだ」「おれじゃ主将のかわりはつとまらねえんだ」などの台詞に表れているように、決して自分は宗近アキラと同じことができないし対等ではないことを知っています。だからこそ、城之内は主将であるアキラの見ているものを見ようとする、そしてそれに後ろから従うというルールを多くの場面でひたすら守り続けたわけです。しかしそんな城之内は、ラストシーンにおいては主将である宗近アキラがどれほど強く悔しがっていようがそちらを向くことはありませんでした。負けたからです。向く意味がないですよね。まして並び立つことはしませんし、そもそもできません。今までがそうであったように。
相手の方を向くこと、そして相手に並び立つことに対しての意味と選択権があったとすればアキラの方です。
宗近アキラが今までそれらをしなかったのは根本的にできないからではなく、後ろにいる人間を振り返ったら負けるからです。何度も述べているように、嵩永が勝者であり続けるためには宗近アキラが先頭に立ち常に前を見なければならない。見るべきは後ろにいる味方ではなく前にいる敵、だから痛みや苦悩も共有することができないし、そもそも同じ痛みをもった人間がいなかった。でもラストシーンではそれら全ての制約が外れます。負けたからです。負けたからこそ他者と自分の心に「同じ痛み」が生じ、それを共有することのできる人間の方をアキラは向くことができたのです。
宗近アキラは敗北したからこそ、今まで自分と同じ方向を後ろから見続けてきた城之内という人間の背中を見ることが、そしてそこに並び立ち、手を伸ばすことができたのではないでしょうか。そしてその相手は、同じ痛みを共有できる人間という、宗近アキラにとって初めて見ることが叶った人間だったのではないでしょうか。
それらすべてを含めて、「宗近アキラが敗北して初めて見ることのできた世界」と呼べるのではないかと思います。
《2-2 変わらないこと、変わったこと ~同じ構図を持つ二つのシーンの異同》
次に二つ目の問い「宗近アキラは変わったのか? 何が変わったのか?」について見ていきたいと思います。ここではラストシーンを含む以下の二つのシーンの異同について見てみます。


上のシーンは1-2でも述べた、幼いころの回想シーンにて、マコトを殴った中学生に挑むも殴り返されたアキラが、ボロボロになりながらそれでも兄として傷ついたマコトを励ましたシーンです。
この二つをただ見るだけでも、宗近アキラが根本まで変わることができなかったのは一目瞭然かと思います。しかしもう少し詳しく見てみます。
まず宗近アキラから見たときに、マコトと城之内はかなり大きな共通点を持っています。マコトも城之内も、アキラにとって「暗黙の上下関係の中で下の立場にある人間」なんですね。マコトとアキラは兄弟ですが、彼らは一卵性の双子です。同じく一卵性双生児である外豪の中山兄弟は互いに「右近」「左近」呼びをしておりそこに上下関係はありませんが、マコトはアキラを「兄さん」と呼び、上の立場の人間として認識しています。城之内が同学年でありながらアキラと対等でないというのは2-1で述べた通りです。

回想の中におけるケガの程度を見るに、より傷ついているのはマコトではなくアキラの方です。そして最終戦においても、負けてはならない理由をより多く持っていたのはおそらく城之内ではなくアキラの方です。
さらに加えて言うなれば、この二つのシーンはどちらとも敗北を喫した後のシーンであるという共通点があります。
以上のことから、この両シーンはかなり似た構図で描かれていると捉えていいかと思います。
二つのシーンを見るに、宗近アキラは変わりきることはできなかったわけです。自分の近くにいる目下の人間が傷ついているとあれば、何かをしようと思う人間のままだった。たとえ自分の方が深く傷ついていたとしてもです。
そしてこの二つのシーン間で異なることと言えば、見ればわかることですがアキラの手の位置です。マコトには背中、城之内に対しては手です。マコトの時点では上の立場の人間として励ます(=痛みを慰めている)、城之内に対してはむしろもう少し対等の位置に並び立とうとしている(=痛みの共有)、とするのが無難かなという気がします。しかし、ラストシーンにおいて宗近アキラが城之内に対して「何をしようとしているか?」はかなり不透明かなと思っています。ただその一点こそがこのラストシーンをラストシーンたらしめる理由の一端だとも思っています(後述)。
ちなみに「宗近アキラは何が変化したか?」については他にも面白いなあと感じる描写があったのですが、そういえばラストシーンという本筋からちょっと離れてました。なので割愛します。まことにごめんなさい。
《2-3 選びとったもの ~未来と過去と回帰》
そして最後に、「宗近アキラが一人で嵩永に行った意味とは?」について触れてみたいと思います。
宗近アキラは最終戦前から最中にかけてたびたび、自身の過去の決断とその意味について振り返ります。(嵩永に対しての起点が今ではなく過去にあるので、嵩永に「来た」というより「行った」に近いのかなと。)そして延長戦の後半に差し掛かる陣地交換の際には、すれ違うカズマに対して「いいチームだな…」と呟きます。嵩永に行くと決めた時には、カズマとマコトが未来を見据えたアキラの背中を見ていたのに対し、最後に近づくにつれてアキラの方が過去の選択を振り返っているんですね。
アキラは本来、「清雅に行かなかった」人間なのではなく、「嵩永に行く」と決めた人間だったはずです。最終戦においては「自分のした選択が正しかったことを証明するため」に戦っていたアキラですが、それは「誰よりも強くなりたい」という当初の目的からは逸脱したものです。カズマとマコトと別れたのは確かかもしれませんが、新たに得た仲間たちがいたはずです。でもアキラがそちらに言及したことはあまりない。プレイヤーとして以外ではほぼ皆無。
しかし最後の最後に清雅の二人に背を向け、同じ痛みを持った人間へと近づいたラストシーンは、自分がかつて未来を見据えて下した選択の結果選び取った過去=嵩永というチームへの回帰だったのではないでしょうか。そしてその瞬間にたどり着くために、宗近暁は嵩永へと「来た」のではないでしょうか。敗北の先に見た世界やそこに見出した意味は、宗近暁というひとりの人間にとっては悪いことばかりではなかったのではないかと。
敗北した嵩永の背中を見つめるカズマとマコトは、かつてアキラが嵩永に行くと決めたときのように、再び自分たちとは違う道を進みだしたアキラを見ていることの表れでもあるのかと思います。
《3.答えの後に》
Q. それでは宗近アキラがたどり着いた答えの先には、何があるのでしょうか。
A. わかりません。
それこそがこのラストシーンをラストシーンたらしめる理由だと思います。
最後の最後、アキラの手は城之内に伸ばされたわけですが、結局のところ「これ具体的に何しようとしてるの?」に関してはかなり不透明です。さらに言えば、「宗近アキラが他者に働きかけた結果、その相手(=城之内)はどうするのか?」という一点だけは決して明かされることはない、というのがこのラストシーンでは最重要だと思っています。(続編があることはもちろん知っておりますがここで言いたいのは次の瞬間の話です)
嵩永に来てからおそらく初めてひとりの人間として他者に向き合おうとした宗近アキラと、その相手である城之内が描かれたのを最後に(彼らの)物語の幕が引かれるので、アキラからゆだねられた選択権を果たして城之内がどうするのか? そしてその結果何が起こるのか? ということは唯一読者側の想像にかかっているのが、このラストシーンは非常に美しいラストシーンだなあと思った最大の由縁です。ラストシーンであっても、そこから続いていくだろう今までとは違った「何か」がわずかにほのめかされているところ。
宗近暁は最後の試合中に、未来を見据えて下したかつての選択を何度も何度も振り返った結果、「意味がなくなる」とまで言い切った敗北を喫した先に、自らがした過去の選択に再び立ち返る。そしてその選択の結果出会った他者に気づくと共に、その他者に向き合い、かつて別れた友とは別の未来に再び進もうとしている。けれどその次の瞬間に何が起こるかは決して読者側には分からない。だからこそ未来である。
とても美しいラストシーンだと思いました。泣くわこんなん。
《おわりに》
ここまで読んでいただいた猛者の方いらっしゃいましたら本当に、心から感謝いたします。正気ですか?とっても嬉しいです。
最後に言いたいのは、当たり前ですが今まで書いてきたのは考察と言いつつあくまで「私自身の解釈」でしかないということです。正解がないところが大好きなので。
あと言いたいことがあるとすれば「猛者ついでにかっとび一斗のKindle化リクエストを是非」ということだけです。
改めて、閲覧どうもありがとうございました!
(2020/06/29)
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【健太郎居候の主な略歴】
1975…10月06日出生 一卵性双生児 中尾和昭
1976…いたずら披露
1977…遊びに没頭
1978…ろうそくで遊ぶ
1979…ケンカに明け暮れる
1980…中尾家から強制的に外される
1981…残留孤児後高橋家の継子化 高橋健太郎になって再出発
1982…小学生になるもいじめられる
1983…綱渡りしてお尻ペンペンされる
1984…哀れな行為を繰り返す
1985…ケンカに遭遇される
1986…当時中3の遠藤孝治・遠藤匡剛から軽蔑されながらその都度つねられる 11歳
1987…理不尽な行為をする 12歳
1988…中学生になっても更に憎まれながら虐待を受けられる 13歳
1989…雑誌を読んで鬼武正子先生から実際に怒鳴られる 14歳
1990 …受験生でありながら遊びまくる 15歳
1991…高校生になるも更に遊びに没頭する 16歳
1992…福澤諭吉の言葉に身をひからされる 17歳
1993…運転免許証取得する機会を失う 18歳
1994…過年度生1廻目 19歳
1995…過年度生2廻目
固定電話に依る未使用電話番号回す行為を終了した 20歳
1996…大学入学及び運転免許証取得 21歳
1997…遊び心 22歳
1998…就職先決められなくまごつく 23歳
1999…陸上自衛隊採用試験不合格 24歳
2000…5箇所職転々した後人工大理石加工兼マンション向けシステムキッチン製作に於ける工場系の会社に就職し更に地獄の特訓を受けられ過酷さを味わう
以前の祖父を交通事故で亡くす 25歳
2001…7箇所職転々とやった後新たに倉庫系の会社に契約社員として入社し自動車工場向け部品の入出荷梱包他諸作業に従事する 26歳
2002…焦り伴う原因作る 27歳
2003…継父・継母を見習い大型二輪運転免許証取得した 28歳
2004…他人結婚しているのにのんびり過ごして更に進歩無し 29歳
2005…以前の祖母を乳がんで亡くす 30歳
2006…何処かで正社員を目指そうなんて考える 31歳
2007…なかなか恋愛出来ない 32歳
2008…自動車部品倉庫狭山から北関東へ移転することを知らされる 33歳
2009…食品関連の倉庫内作業に従事し生きがい見いだせない生活を送る 34歳
2010…同居していた継祖母老衰及びペットとして飼われ鳴き声小さかったメスネコ肺炎により死去 35歳
2011…東日本大震災&書物を熟読する 36歳
2012…以前の親友田村幸二と再会及びカラオケを楽しむ 37歳
2013…中型自動車第一種運転免許証取得 38歳
2014…契約社員生活に限界感じた ペットとして飼われていたオスの大型犬癌で死去 39歳
2015…なぜ倉庫作業に於ける正社員目指そうとしなかったのか頭を抱え込む 40歳
2016…羽村のマブチで海外向け自動車部品の供給に従事する 41歳
2017…自動車工場向け部品の目視検査出荷準備その他諸作業に従事する 42歳
2018…自動車メーカー向けゴムホース目視検査接着梱包出荷に従事する 43歳
2019…上司から一方的に怒号殴打蹴りを喰らわれて惨めな事態となる 44歳
2020…愚かさ儚さを存分に味わう 45歳
2021…自動車工場向けタイヤの搬入作業全般に従事する ペットとして飼われていたメスの小犬慢性呼吸器不全により死去 46歳
2022…全く未経験なのに対し偉そうに自動車運転好きを理由に2tドライバーとなる 47歳
2023…前父1周忌及び無事故無違反継続と共に大型特殊自動車第一種運転免許証追加取得した 48歳
2024…兎に角全面的に落ち着く 本年秋を以て49歳見込み
現在に至る
2024/08/06
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正義の味方
いつも通り出勤すると、シャッターの降りた店の前でおっさんが寒そうに首を縮めて立ち尽くしていた。何となくヤバい気がしたので、目が合わないようにしながら足早に通り過ぎようとしたが、案の定、おっさんは話しかけてきた。
「おい、お前ここの奴だろ。もう入れてくれよ」
「大変申し上げにくいのですが、開店前ですので、開店までお待ちください」
「こんな寒い中待ってるの辛いんだよ。俺、年だからさ」
そっちが勝手に来たんだろ。頭イカレてんのか。
「お客様、開店は九時からなので。まだ一時間あります」
「俺一人くらいどうってことないだろ」
「あなただけを特別扱いすることはできません。それに中で開店作業がありますので」
「先に買ったらとっとと帰るから邪魔はしねぇよ」
驚いた。入った上に買い物する気でいるらしい。衝撃的だ。開いた口が塞がらない。閉めてるけど。スーパーくらいどこでもあるだろ。気でも狂ってんのか。普段どんな僻地にいるんだ。
「開店作業がまだなので売ることはできません」
「俺このあと仕事あるから急いでんだよ。時間ないんだよ」
「お忙しいところわざわざありがとうございます。お仕事が終わってからのご来店をお待ちしてます」
みじんも感謝していないのはバレている。一瞬むっとした表情を浮かべたものの、おっさんはすぐに頼み込む姿勢へと戻った。
「仕事終わるの遅いから夜は無理なんだよ。なぁ頼むよ」
「別の日にお願いします」
「今日しかない」
はい出た。こういう系の奴は「今日しかない」とすぐ言う。こういう系の奴同士で作戦会議でもしてるんじゃないかレベルで同じことを言う。お前ら一体普段どうやって予定たててんだ。今までどうしてたんだ。さては、常に行き当たりばったりなのか。そうか。
「お休みの日にお願いします」
「休みは予定が入ってるから」
じゃあ予定やめれば。いつまで先の予定まで立ててるんだか。
「では日程調節の上ご来店お願いします」
「ほんとお前らは殿様商売だな。客を見下しやがって。柔軟な対応っていうのができないのか」
ほら。本性を表した。こちとら目があった瞬間からそういう人だと思ってましたよ。
「そんな風にはみじんも思ってませんが、あなたにそう感じさせてしまったことには申し訳ないと思います」
何が悲しくてタイムカードを切る前から仕事をしないといけないのだろう。気分は最悪だ。朝の星占いは三位だったのに。まぁ当たったことないけど。昔フられた日の星占いも一位だった。
「黙れ。調子に乗るな」
それはこっちのセリフだ。勝手に並んでおいて何なのだ。頭がおかしいんじゃないか。
おっさんが拳を振り上げる。俺が若い女だったら「責任者呼べ! いや、社長だ! 社長を出せ!」などと喚き散らされて終わりだったろう。あーあ。客に手をあげられるなんて滅多にないことだが、たまにある。まぁ、これで通報すれば勝てるので黙って殴られておけば良い。でも決して喜ばしいことではないので本当にうんざりする。面倒くさい。仕事も大して好きじゃないが、働いてる方がマシだ。まぁでももし選べるんだったら働かずに気楽に生きられる人生の方が良かったな。選べないけど。宝くじで二億当たんないかな。
その瞬間、僕らの間に颯爽と立ちはだかる男が現れた。
「こんな人のためにあなたが苦しめられる必要なんてありません」
おっさんの腕を片手で止めながら奴は言った。駅で見かけたら十分後には忘れてそうなくらい平凡な顔をしていた。おそらく出勤途中らしくスーツを着ている。
そして奴は空いた方の腕を大きく振り上げた。堅く握りしめられた拳。痛そうだ。勢いをつけて振り下ろす。途端に吐き気がした。文字通りの意味で。今朝のコーヒーが鼻の奥でつんとしている。喉の奥でコーヒーとゲロの苦みが混ざり合いながらせり上がってくるのを飲み込む。ひりついたような不快感が残る。鳩尾が鈍く痛む。言葉にならない呻き声が口から漏れた。涎も一緒にこんにちは。
えっ、何で何で。おかしくない?
何で俺が殴られてるの。わけわからなさすぎ。奴に問いかけようと言葉を発そうとしたが、呻くだけで言葉にならない。奴は本気だ。本気で鳩尾を殴られた。
腹を抑えて地面にうずくまっていると、さっきのおっさんはうひぃと変な声をあげて一目散に逃げていった。そりゃあ逃げるよな。こんな頭のおかしい奴が割り込んできたら。
スマホを取り出そうと腹から手を離した瞬間に、上から容赦なく足が降ってきた。ずん、と重みのある感触と音がした、ような、気がした。カラカラと音を立ててスマホが地面を転がっていく。乗せられた革靴から手を引き抜こうとすると、さっと足を退けられ、また倒れ込んでしまった。爪が剥がれた気がして見てみたが、剥がれていなかった。少しヒビが入っただけだ。手の甲全体が赤くなっている。骨が折れているかは分からない。案外人間は頑丈だ。小学生の頃、滑り台のてっぺんから落ちた時も、同じことを思った気がする。じんじんと痺れるように痛むが、とりあえず動かせるので、欠勤しなくて済みそうだ。この人手不足の状態で休んだら他のメンバーに負担を強いてしまう。
「あなた何なんですか」
腹から声を捻り出して言った。まだかすれている。
「正義の味方だ」
奴は俺の前髪を掴んで引っ張る。痛い痛い。こんなに短いのにそんなに引っ張ったら頭皮が千切れちゃうって。
「正義の味方なのにそんなことするんですか」
振り払おうと力の入らない方の手も使って、奴の腕をめちゃくちゃに叩く。しかし、びくりともしない。
「お前が悪い」
わけがわからない。理不尽だ。何の言い掛かりなんだろう。ぶちぶちと髪の毛が何本か抜けた。あー。ハゲ予備軍と言われてるのに貴重な髪の毛数本が無惨な姿にされてしまった。
ぱっ、と手を離されて尻餅をつく。手をついたところで、踏まれてない方の手の上にも足が振り下ろされる。この数分のうちに何回「折れたかも」と思っただろう。本当に痛い時は声なんて出ない。悲鳴をあげて助けを求めたいのに痛くて声が出せない。さらに鳩尾に蹴りが入る。ゲロが口内にまで出てきた。喉から口にまでひりつく不快感がある。それをペッと奴に向��って吐きかけた。
奴はさっと身を引いたが、カッターシャツの裾をほんの少し俺のゲロが汚した。明らかに不愉快そうに眉を潜める。そこで間髪入れずに俺は彼の足に突進した。手に力が入らなくても体当たりくらいはできる。俺が足の上に乗っかった形で奴は倒れ込んだ。俺を離そうと手で俺の頭を掴もうとしたので、ゲロ塗れの口で奴の親指に噛みついてやった。前歯だと力が入る気がしなかったので、あえて横を向いて思いっ切り噛み付いた。ゴリゴリッと嫌な音がする。もちろん、ちぎる気で噛んだ。奴が驚いてギャッと悲鳴を上げる。俺には出なかった類の声だ。俺の歯はそこまで強くないだろうが、それくらいの気合いでやればある程度効くだろう。奴は空いた方の手でガンガンと俺の頭を殴る。口の中に血の味が滲む。俺のじゃない。肉に歯が食い込む。気持ち悪くて離しそうになったが、俺はさらに顎に力を込めた。頬を平手打ちされても、頭を拳でごんごん叩かれても俺は離さない。目がチカチカする。実際に揺すられているよりも大きく視界が揺れている気がする。目の前が全体的に白っぽく、幾多もの点が瞬きながら流れていく。これが俗に言う星が舞うというやつだろうか。生温かい鉄臭さが喉の奥にしみていく。浸食されるような嫌悪感。
「犬みてえなマネしやがって。気持ち悪い」
掠れた声で罵られたので言い返そうとしたが、顎の力が緩みそうになったのでそのまま歯を食いしばった。心の中で「俺犬派なんで、そういう悪口はちょっとやめていただきたいですね」と言い返した。
もがく奴の蹴りが何発か俺の腹にまた入る。めり込む深さを感じて、男の体も意外と柔らかいんだなぁと思った。鈍痛。またゲロがあいつの指にかかる。噛まれた手を夢中で振り回して店のシャッターに俺は打ち付けられた。ガシャガシャと騒々しくシャッターが音を立てる。俺の頭はなかなか割れない卵みたいだな。ぼやーっと視界の靄が濃くなり、全体的にチカチカしている。青とか赤とかにも点滅している。遠くで別の人たちの声が聞こえてきた気がした。
体から力が抜けていくような、いや、意識だけが外れるみたいな気がして、ハッと気付いた時には病院のベッドに寝かされていた。
初めて仕事を休んでしまった。皆勤だったのに。皆勤くらいしか取り柄がないのに。やってしまった。思わず頭を抱える。大慌てで店に連絡して遅刻を謝罪し、向かおうとしたが、既に事情を知っているらしい店長に「災難だったな。今日は休め」と止められてしまった。幸い、大した怪我はしていなかったらしく、一日で退院はできた。
聞いた話によると、出勤時に俺たちを見かけた後輩が通報したらしい。年下なのにしっかり者だ。
「気を付けて下さいね」
後になってから話した際に警察官からなぜかそう注意された。
「罰せられるべきは彼でしょう」
「いや、彼は『正義の味方』なので、我々は罰することができません」
俺の頭の上には疑問符が飛び交っていただろう。
「『正義の味方』は『正義の味方』ですよ。良いから気を付けてください」
全く意味が分からなかったが、とりあえず空気を読んで俺は曖昧に笑って頷いた。もしかして俺が知らないだけで皆知っているのだろうか。そう思って、Google検索をしたり、SNS内を調べたり、数日間は普段見ないくだらないワイドショーも嫌々見てみたりもしたが、まるでわからなかった。奴は一体何だったんだろう。
「正義の味方って知ってる?」
仕事中に品出しをしながら後輩に聞いてみた。
「急に何ですか。『正義感の味方』は『正義の味方』ですよ」
後輩は警察官と同じことを言った。そういえばあの警察官も俺より若そうだった。世代差だろうか。
「それが分からないから訊いてんだよ。ググッても出てこないし」
「そんなの載ってるわけないじゃないですか。『正義の味方』は『正義の味方』ですから。それ以外の何者でもない。どうせまたググって調べようとしたんでしょ。無駄ですよ。そういう物じゃないんで」
後輩の表情を見る限り嘘をついているわけではなさそうだ。しかしますます訳が分からない。俺は同じ質問を先輩にも店長にもしてみたが、ほぼ同じ答えだった。店長は「考えたって分からないぞ」と付け加えた。狐につままれたようだ。俺を置いて世界が変わってしまったような気がする。いや、世界がおかしく見えるというのなら、それはもう俺がおかしいのだろう。もし世界中の誰もが犬を見て「猫」だと言っていたら、客観的事実として俺の認識が狂っているのは間違いない。
正義の味方の正体がわからないまま数日が過ぎたある日、突然それはやってきた。休日にGEOで新作ゲームの中古が出てないか見ていると、ゴーンゴーン、と突然鐘が鳴り響いた。しかしそれは俺の頭の中でだけだ。俺以外誰も鐘の音に驚いていないし、鐘なんてどこにもないからだ。
気が付いたら俺は店を飛び出して猛ダッシュしていた。そして横断歩道もない車道を横断し、斜向かいのケータイショップへ突っ込んでいった。いらっしゃいませの声を無視して奥のカウンターへ突っ込んでいく。そこでは厚化粧のババアが金切り声で「分かるように言わなかったあなたが悪いんでしょ! 私は素人なんだからね!」と叫んでいる。そして無駄にキラキラしたケースに入ったヒビだらけのiPhoneを大きくふりかぶった。
「こんな人のためにあなたが苦しめられる必要はありません」
iPhoneを持ったその手を掴む。どこかで聞いたような台詞が俺の口から飛び出した。目の前の女の子がほっとした顔で俺を見上げている。あちゃー。違うんですよ。
俺の拳がカウンターの向こうにいる女の子の頬をビンタする。あーあ。それなりにかわいい女の子だったのに残念だ。こんな形以外で出会ってたら一回くらいヤれてたかもしれない。スニーカーのままカウンターに上り、何が起こっているのか理解できていないその顔面に、引っこ抜いてたキーボードを叩き込む。キートップがいくつか落ちる。多分元々ぐらぐらしてたんだと思う。AとKがころころと床に飛び降りる。あとBがあったらAKBなのに惜しい。
ババアは面食らって口をパクパクさせながら震えている。
「あなた何なんですか」
鼻血をぽたぽたと白いテーブルに垂らしながら女の子が俺を睨みつけて言う。おお怖い怖い。接客やってる女は穏和そうにみえても大体怖い。これは単なる俺の経験談だ。
「正義の味方だ」
口が勝手に動いていた。何これ。
あー、いや、これ知ってるわ。これ。なんかマンガで見たわ。いや映画だったかな。両方かもしれない。ゾンビの血を摂取するとゾンビになるってやつでしょ。その理屈じゃん。正義の味方の血を摂取すると正義の味方になっちゃうんでしょ。俺、あいつの血、めちゃくちゃ飲んだわ。あれじゃん。思いっきりあれじゃん。わかるわかる。これ知ってるやつだわ。進研ゼミでやったところじゃん。進研ゼミだったっけ。Z会かもしれない。ってか最近Z会って聞かないよな。もしかして潰れた? ���もんにやられた?
ガン、と頭に衝撃を感じた。女の子にiPadで頭を殴られた。形的にたぶんiPad Proだ。ホームボタンないし。ひどい。iPadは人を殴るものじゃありません。超高級鈍器だ。ボロキーボードとは訳が違う。
しかしそこへさらに鐘が鳴る。ゴーンゴーン。これは俺にしか聞こえていない。なぜなら誰もその音に反応していないからだ。
俺は弾かれたようにケータイショップを飛び出す。そして歩道を全力で走る。何人かはねたかもしれない。徒歩で人をはねるなんて前代未聞だ。いや、徒歩じゃないな。俺は走っている。しかも普段こんな速度で走ったことがない。オリンピックに出られるんじゃないだろうか。尋常じゃない速度で風景が流れていく。階段を上り、閉まる改札を無理やり突破して走る。後ろで駅員が何か叫んでいる。こんなことならPiTaPaを作っておけば良かった。
駅構内で泣き叫ぶ幼児がいる。
「黙りなさいって言ってるでしょうが! なんでそんなにママを困らせるの!」
半泣きの若い女が手を振り上げている。俺は寸前でその手を止める。細い腕だった。
「こんな人のためにあなたが苦しめられる必要はありません」
俺は女を解放し、両手で幼児を突き飛ばす。軽い体は簡単に吹き飛んで柱へぶつかりかけたが、すんでのところで女が受け止めた。
「何するの」
女がヒステリックに叫ぶ。ほんとそうですよね。でも俺正義の味方だから仕方ないんです。
「あなた何なんですか」
母は強し、というやつだな。さっきまで殴ろうとしていた幼児をぎゅっと抱き締めている。俺に対して敵意をむき出しにしている。
「正義の味方だ」
またもや口が勝手に動いた。おいおい。俺は女から幼児を引き離そうと女の腕を蹴った。
「やめなさい」
振り返ると複数人の警察官がいた。俺は無視したが押さえ込まれてしまい、ようやく俺は幼児を女から奪おうとするのをやめた。逮捕はできないが、手を出せないわけではないらしい。
「また『正義の味方』か」
警察官がうんざりした様子で言っていた。好きでなったわけではない。これは感染症のようなものだ。パニック映画なら世界中に「正義の味方」が広がり、感染者と非感染者の攻防戦が始まるのが妥当な展開だろう。そもそも正義の味方は今どれくらいいるのだろう。俺が知らなかっただけで、誰もが当然知っている程度の知名度があるのだろうか。いや、殴られた人は皆驚いていた。それともあれは自分が「正義の味方」に殴られるなんて、という驚きだろうか。「正義の味方」はいつからいるのだろう。どうやって始まったのだろう。俺が���まれた時にはもういたのだろうか。
先日殴られた時とは違って、iPad Proで殴られた頭は全然痛まなかった。正義の味方を全うしている間は俺は無敵でいられるらしい。走る速度も尋常じゃない。元々あまり腕っ節は強くないが、人を殴る強さだって以前より強い気がする。「正義の味方」を殴り返した時よりも遥かに手応えがあったのに、まるで自分の体は痛まなかった。体罰は、ぶった方も痛いのだからお互い様、という謎理論が昔は流行していたが、自発的に殴っておいてその言い分はどうかしているとしか思えない。自傷行為の道具にされただけじゃないか。
解放された後、俺はのろのろと線路沿いの道を歩いていく。相変わらず世界は不機嫌だ。道の端でボソボソと喧嘩しているカップルがいる。ドラッグストアで店員にいちゃもんをつけるジジイがいる。信号がタイミング悪く変わって舌打ちをするサラリーマンがいる。補助輪の自転車で母親を追いかける子供が、晩ご飯に対する不平不満を連ねている。外に出れば、こうして、息をするように不機嫌な人々が視界に飛び込んでくる。いつから世界はこんなにも不機嫌になってしまったのだろうか。
あの流行病があった数年間のせいだ。誰もがそう言う。それが一番都合が良いから。あの前と、あの後で、決定的に何かが変わってしまった。皆何となくそう思っているから諦めている。仕方なかったのだ。太刀打ちできない未曾有の災厄のせいなのだから仕方ない。あの病の世界的流行で何百万人もの死者が出て、流行抑制のために多くの犠牲を払った。あれは身体だけでなく、世の人々の精神すらも根深く蝕んでしまった、とよく言われているし、俺もそう思っている。二千年代にもなってそんなことに人類が右往左往させられるなんてフィクションじみていた。俺はあの頃、社会人になって新人とも言われなくなり、ようやく新しい環境も身になじんできたところだった。そんな所に強制的に環境変化をねじ込まれ、人間関係も大きく変わらざるを得なかった。世界は元には戻らないし戻れない。完全に元通りになんてなりっこないのだ。世界は重度の脳梗塞を起こしてリハビリ中の老人だ。後遺症は一生ついて回る。途中から気付いていた。とぼけていただけだ。誰もが、後に残る世界は素晴らしいものだという前提の夢物語をしていた。絶望しないように。皆我慢してたから。今だってまだ我慢してるから。皆えらいから。頑張ったから。我慢したのに、頑張ったのに、バラ色の未来がやって来ないだなんてあんまりだ。そんなことがある訳がない。まだ今は途中なのだ。然るべき成果が得られるのはまだ先なんだ。もっと我慢したら、もっと頑張ったら、幸福な世界が実現するのだ。でも、皆、ずっとずっとは頑張れないし、我慢できないから、ちょっとくらい当たり散らしてしまうのは、仕方がない。そして、こんなにも皆不機嫌なのに鐘の音はしない。正義の味方の発動条件は何なのだろう。
今まで働いてきて、何度も訳の分からない客に絡まれたことはある。流行病の時は特にひどかった。毎日のように赤の他人から罵られていた。でも、正義の味方が現れたことなんて一度もない。自称「正義」の罵倒をしてくる人はいくらでもいたが。そんな時こそ正義の味方は来るべきだった。でもいなかった。もしかしたら、俺は未来の正義の味方だから爪弾きにされていたのだろうか。なるのが必然だとしてカウントされていたのだろうか。いや、俺だけじゃない。皆、働いていて嫌な思いはしている。先輩が、後輩が理不尽な怒りをぶつけられているのを見るのも嫌だった。でも、正義の味方なんかが助けてくれたことはなかった。無闇に叫ぶ客を、俺たちは「雑魚がキャンキャン吠えやがって。こっちがビビって従うとでも思ってんのか」という冷めた目で見ていた。今もそうだ。どんな穏和な従業員でもあの目をすることがある。あれは諦念だ。無になっている。無駄に傷付かないよう、受け身をとっているのだ。怒ったりしたい。そういう点では、こうして世界が不機嫌になり始めた時に、他の人よりも耐性があるのかもしれない。正義の味方は爆発的な怒りに呼び寄せられるのだろうか。だとしたら、少々の不機嫌や苛つきには反応しないのかもしれない。我慢できていては駄目なのか。正義の味方とは一体何なんだろう。俺の知る限りではただの乱暴者でしかない。世間の人々が正義の味方に対してどのような感情を抱いているかは分からない。きっと訊いてもまた「『正義の味方』は『正義の味方』」というよく分からない回答をされるのだろう。まるでそこだけが触れてはいけない世界のバグみたいに皆型にはまった答えしか言わない。それとも俺が知らないだけで言及すると罰せられるような法律があるのだろうか。
この考えを話せる相手がいたらな。しかし、こんな話ができるほど、自分をさらけ出せる身近な相手はいない。恋人か家族か親友でもいないと無理だろう。生憎誰もいない。親友は数年前の流行病で死んだし、恋人には捨てられた。家族とは疎遠だ。爺ちゃんが死んだ時に実家に戻らなかったからだ。流行病があったから、行くのをやめた。移動を控えなければいけない時なのだといくら説明しても理解してくれなかった。家族には許せなかったらしい。冷血だの人でなしだのと罵られ、それ以降、連絡はとっていない。仕方なかった。俺にはどうにもできなかった。今だって何も出来ない。いや、何もしていないだけだ。出来る気がしないから。また調子に乗ったところを世界からボコボコに殴られて台無しにされるのだ。いくら得ても奪われるのなら最初からなければ何の問題もない。
と、暗い気持ちになっても仕方ない。全然嬉しくないが、俺は正義の味方だ。嬉しくないついでにヒーロー衣装を揃えることにした。立ち寄ったドン・キホーテのパーティーグッズコーナーで三十分吟味した結果、馬と鹿のマスクを買った。曲がりなりにも接客業をしているのであまり顔を晒したくはない。顔バレNGだ。俺的に。持ち帰った鹿のマスクから角の部分を切り取り、馬のマスクに穴をあけて嵌め込んだ。馬と鹿のキメラみたいな生き物のマスクができた。お手製ヒーローマスクの完成だ。米津玄師かよ。高校生の頃めちゃくちゃ流行ってたなぁ。パクったんじゃないよ。馬と鹿を米津玄師が一人占めするのは良くない。俺にだって使わせろよ。
あれ以来、幾度となく鐘は鳴った。鐘が鳴る度、俺はヒーローマスクを被り無双モードで町に繰り出し、別段悪いこともしていない人をボコボコに殴りつけて帰ってきた。他人の家に上がり込むこともあった。戸締まりが甘ければ、開けられる出入り口がなぜか瞬時に分かり、そこから乱入したが、どこも空いていなければ窓やドアを破壊して入った。しかし損害賠償を求められることはなかった。正義の味方に法律は無効らしい。警察官や「『正義の味方』だから」と何度か渋い顔をされたことがある。そういうものらしい。ありがたいと言えばありがたい。正義の味方の活動は俺の意思とは関係のないところなのだから。心神喪失扱いにでもなってるんだろうか。
拳に血が滲み互いの血が混ざってしまうことも、俺のように噛みつかれたこともあったので、「正義の味方」をあちこちにうつしてしまっている可能性もある。しかしうつせば治るものでもないらしく、相変わらず鐘は鳴り、俺は走り出していた。しかし、正義の味方は意外とご都合主義らしく、仕事中に呼び出されることはなかった。その上、正義の味方をしても疲れない。痛みもない。なので日常生活に今のどころ支障はない。俺を殴った奴のように他にも正義の味方がいるはずだが、鉢合わせたこともない。これだけ頻繁に制裁を加えているのに知人を制裁したこともない。とはいえ、正義の味方はどうやら分担されているらしい。思いの外、待遇が良くて驚いている。正義の味方はどこぞのホワイト企業が取りまとめているのだろうか。もっと振り回されると思っていた。フィクションの世界のヒーローというのはそういうものだ。
正義の味方らしき人が走っているのは何度か見たので、俺以外にも正義の味方は何人もいるのは間違いない。一匹見たら百匹いると思えって言うし。見かけた正義の味方の中には俺が殴って流血戦をした人もいたので、やはり正義の味方が血でうつるのは間違いないらしい。ゾンビじゃん。広がり方が悪役だ。彼ら、彼女らは人らしからぬ走りっぷりをしているので分かりやすい。正義の味方になる前は見たことがなかった。彼らはいなかったのだろうか。それともいるのを俺が認識していなかったのだろうか。
把握している限り正義の味方によって死んだ人はいない。加減をしているつもりはないが、加減はできているらしい。思い返してみれば、健康的な若者相手なら道具の使用も辞さないが、老人や子供は丸腰で殴っている。正義の味方は正義の味方であり、公平だ。
そして、正義の味方の制裁を受ける側も、呼んでしまった側も正義の味方を知らない。必ず何者かを問われるので「正義の味方」と名乗る。名乗ることで正義の味方は正義を味方になるのだろうか。それとも一度でも正義の味方と関わることで「『正義の味方』は『正義の味方』だよ」とプログラムされるのだろうか。
仕事帰りに、弁当屋の丸椅子で唐揚げが揚がるのを待っていると、スマホが震えた。取り出すと、なんとなく追っているコミックスの更新通知が来ていたので、ダウンロードして開く。もうすぐアニメ化されるらしい。確かにそこそこ面白いもんなぁ。
「すみません」
とびきり懐かしい声がした。小柄な女性が弁当屋のカウンターの前に立っていた。Web注文の画面を見せて、FeliCaにタッチをした。
恋人だった。
恋人だった人だった。よくできた話だ。こんな風に町でばったり会うなんて。ベタなラブソングじゃあるまいし。何て声を掛けようか。名前で呼んだら気持ち悪いだろうか。苗字か? 旧姓か新姓か? 旧姓で呼んで訂正されたら心臓に悪いし、新姓だと馴染みがなさすぎて口にしただけで心臓に悪い。
もたもたしているうちに��女の方から声をかけてきた。俺の苗字を呼ぶ。ただ呼ばれただけだし、そもそも付き合う前はそう呼ばれていたのに、なぜだか傷付いてしまう。女々しい。俺はこうして何かにつけてうじうじしている奴だった。元々そうだった。彼女によってますます女々しくなる。彼女といた頃の俺は今よりもっともっと弱かった。支えてくれる人がいると人は弱くなってしまう。奪われる側の人間だった。その頃の俺が呼び起こされてしまう。
「久しぶりじゃん」
彼女は笑顔を向ける。
「ほんと久しぶりだよね」
妙にぎこちない口調になってしまう。
「こんな所でどうしたの」
「今実家にいるから。おつかい」
彼女はプラスチックの容器に詰められたらコロッケを見せながら言った。そういえば、彼女の実家と俺の家は同じ生活圏内だった。知らないうちに会っているかもしれない。お互い面識はないから会っていたとしても分からないけれど。いずれ挨拶しないとなんて話してたこともあったっけ。
何で実家にいるんだろう。妊娠して里帰りか? 妊婦には見えない。離婚したのだろうか。
「何かあったの。実家の家族とかに」
あえて可能性の低そうなところに言及する。
「別に実家にくらい行くでしょ」
大げさだなぁと笑う。また彼女は俺にがっかりしているのだろうか。いや、もう赤の他人となってしまった今、俺にそもそも期待なんてしないだろう。違う。元々恋人だって、赤の他人だ。何考えてるんだ。イカレたのか。よく考えれば分かることだ。やはり、ただ単に久しぶりに実家に戻ってきているだけなんだろう。そういえば、世の中は三連休らしい。
唐揚げ弁当お待ちのお客様ー、とマスクを付けた店員に呼ばれ、レシートメールを見せて、カウンターに置かれた弁当を袋ごと手にする。昔は手渡しだったなぁ、と思った。彼女と付き合っていた頃はまだそうだった。あの頃と同じ店員はもういない。流行病があってから、極力接触せずに販売を行う取り組みがどんどん普及した。
「元気にしてる?」
自分で口にしてみて、元気ってなんだろう、と思った。健康ではあるけど元気ではない気がする。もう随分長いこと元気じゃないかもしれない。元気とは何だろう。何これ。哲学的命題か。
「元気だよ。そっちこそ元気?」
「それなりに」
それなりに。それが一番しっくりくる気がした。
「あのさ『正義の味方』って知ってる?」
我ながらいきなりだな。
「もう。何その質問。哲学? それともそういうキャラでもいるとか?」
彼女が首を傾げる。少し泣きそうになった。俺の知ってる世界だ。懐かしい気持ちで世界が以前の形に戻ったような気すらした。
平和に付き合っていた頃も、俺はよくぼーっと今考えなくても良いようなことを考えては落ち込んでいた。ある意味平和ボケ。平和すぎて、有り余った脳味噌を無駄な思考に使ってしまう。そうして難しい顔で考え込んでいると、テレビを見ていた彼女が不意に振り返り「あー! またなんかうじうじしてるんでしょ」と首ねっこを掴んでくる。「首はやめて弱いからマジでマジで」なんてソファの上で転げていた。
もしあの病の流行がなかったら俺たちはまだ付き合っていただろうか。いや、元々駄目だったのを、災厄が暴いただけだ。人間関係がダメになるのは往々にしてそういうものだ。原因は目の前の出来事だけではない。決裂する瞬間、もっともっと前から原因が積み重なっているのを見ようともせず、ただ目の前の出来事に憤慨している。これは一般論だ。俺の話じゃないよ。
「そうだよな。やっぱそうだよな」
そうして、俺は「正義の味方」にまつわる話をした。俺が正義の味方であることは伏せた。俺にとって正義の味方であるのは情けなく恥ずかしいことだ。まだ俺は彼女になるべく格好をつけたかった。それが何の効果も成さないことを知っていながらも。
「何それ。下手な小説みたい。無名のアマ作家が書いたなんちゃってラノベじゃあるまいし。疲れて夢と現実が混ざっちゃってるんじゃないの。ちゃんと寝なよ」
「だよな」
笑ってみたものの、残念ながらこれは夢ではない。鞄の中のヒーローマスクがそう言っている。でも俺が狂っているわけではないことが証明された気がした。もし狂っていたとして、俺も彼女も狂っている。それだけで、救われてしまった。俺はまた彼女に救われた。別れても尚。
「そろそろ行かないと」
彼女は腕時計を見ながら申し訳なさそうに言った。すっかり袋の中のおかずは揚げたてではなくなっている。
「また飯でも」
あはは、と彼女は笑いながらひらひらと手を振った。馬鹿にされたんだろうか。いや、性格的にそうではないだろう。変わっていなければ。これは、ただ、誤魔化されただけだなのだ。彼女と俺が飯に行くことなんて、もうないのだ。馬鹿にはしていないが、いよいよ頭がおかしくなったくらいは思われたかもしれない。
家までの道を歩いていく。世界がまだ安穏としていて、俺たちが付き合っていた頃は、この道を彼女と一緒に手を繋いで歩いていた。坂道で突然競走を始めたり馬鹿なことをしていた。昔の話だ。昔の話は昔の話でしかないし、正義の味方は正義の味方でしかない。彼女に確認をとる必要なんてなかったのに、どうして確認なんかしたのだろう。自己満足に他人を巻き込んだだけだ。ああ駄目だ。すっかり、弱い俺が呼び戻されてしまった。後ろから多い被さっている。重い。気付けにコンビニで発泡酒を買い足す。唐揚げ弁当はすっかり冷めていた。
「無理だよ」
あの日、四角い画面の中で彼女が言った。俺は何も答えずにキーボードの埃をエアーダスターで吹いた。キートップも汚れている。拭き掃除しないといけないな、と思った。画面に目を戻すと彼女の後ろのポスターが剥がれかけているのが気になった。もうずっと気になっているけど言うタイミングを逃してしまった。
「私もあなたも別々の場所で働いてるし、会うためには電車にも乗らないといけない」
がっかりした、なんて言う子じゃないけど顔には思い切りそう書いていた。ドライすぎる回答だ。俺の「会いたさ」は渇いてパサついた状態でくるくる俺一人の部屋で回っている。
「君は寂しくないの」
問いかけると、あはは、と画面の中の彼女が笑った。悲しそうだった。俺は何でそんな顔をさせてしまったのだろう。
「ねぇ、私の話聞いてた?」
何を急に言い出すのだろう。面食らってまた黙ってしまった。黙っている俺に彼女は言葉を重ねる。
「君が話し出す前に、私が何の話してたか覚えてる?」
俺は必死に記憶の糸を辿ったが、まるで思い出せなかった。なんとなく彼女がしゅんとしたり笑ったりしていた顔が浮かんでくる。
「聞いてないもんね。適当に相槌打ってりゃ良いって思ってるよね。私のこと好きだって言うけど、私のことなんて、あなたは何も見えてない。あなたはいつも自分に夢中。嫌い嫌いって言ってるくせに。大嘘だよ。そんなに自分が好き?」
彼女の後ろのポスターが剥がれかけているのが気になった。彼女の好きなアニメのポスターだ。劇場版の前売り券を買った人だけが先着でもらえるものだ。一緒に買いに行ったし、貼る時は俺も手伝った。上の段を留めたのは俺だ。俺の貼り方が悪かったんだろうか。
たぶんその時からどんどん、どんどん、俺と彼女はズレていった。噛み合わなくなっていった。いや、もっと前からそうだったのに気付いていなかっただけかもしれない。世界の混乱が収束へ向かい、ようやく出歩けるようになった時も、俺たちは一向に会う約束を取り付けなかった。何となくどこそこへ行こうと話をふっても、以前のように彼女は話を進めてはくれなかった。俺はそれ以上踏み込むことができなかった。もし踏み込んでいたら奇跡の起死回生があったのだろうか。俺が悪いところを全部なおしても彼女はもう俺からどんどん離れていくだけだ。そう思いたい。思いたいだけ。俺はそれをすんなりと受け入れた。見苦しくすがりついても結果は何も変わらないことが分かっていたから。
その二年後に彼女は俺の知らない男と入籍した。教えてくれるような友達もいなかったのでFacebookで知った。綺麗な花嫁姿だった。知らない男で良かったなぁと思った。何かが少しずつ違っていたら自分がその知らない男になれていただろうか。時々集まって遊ぶような微妙な仲の友達はあの病気のせいですっかり疎遠になってしまい、今だってもうお誘いは来ることもない。ひょっとしたら何人かはあの病気にやられて死んでしまったかもしれない。それ以外の要因でぽっくりいってる可能性もある。LINEくらい送れば、生きてるかどうかくらい分かるかもしれないが、そこまでしようとも思わない。持ってしまうことが怖いから。失うことが怖いから。奪われることが怖いから。怖い。怖いのだ。俺は本当は臆病なのだ。小学生の頃お化けが怖くてトイレに行けずにおねしょしたことがある。怖がりなのだ。テストで百点をとりそうになって、あえて一つ間違えたことがある。怖い。怖かった。百点をとってしまうのが怖かった。好きな子に告白されたのに断ったことがある。怖いのだ。それを受け取ってどんな目に遭わされるか分からない。そんな恐ろしいことができるわけがない。彼女にはフられようと思って告白したら、付き合えてしまった。恐ろしいことをしてしまった。その結果がこれだ。自業自得だ。俺が全部悪い。全部全部悪いそういうことにして欲しい。じゃないとあんまりだ。
夕闇を背景に電線でカラスが鳴いている。
電信柱を拳を打ち付けた。じん、と骨に響く。正義の味方ではない俺は強くもないし、痛みも感じる。電線に止まったカラスは驚きもせずに鳴いている。もう一発叩く。握り拳に力を入れる。さらにもう一発、もう一発、とだんだん打ち付ける速度が速くなる。関節の皮がすりむける。電信柱の黄色と黒の縞模様に血が滲む。黄色に付いた血は目立つ。擦り付けられた血が不規則に線を引く。表面が無駄にぼこぼこしているので、俺の指は下ろし金にかけられた大根みたいだ。何にそんなに怒ってるんだろう。とりつかれたみたいに、そうしないといけない気がした。
電信柱はびくともしない。そりゃそうだろう。たかがこれしきの衝撃で動いたら電信柱は電信柱としての役割を果たすことができない。もし俺が今正義の味方だったら、電信柱をへし折ることくらいできただろうか。豪邸の重いドアを蹴りで開けたこともあるくらいなので、できたかもしれない。
骨ばった指にも肉はある。皮がすりむけた中には肉がある。血が巡っている。生きているから。大根おろしでミンチが作れる。何言ってるんだろう。大根も下ろし金もここにはないけど。
俺の気持ちはどこに向ければ良い。こんなに怒っているのに。正義の味方は来ない。誰に怒っているのだ。何に怒っているのだ。自分か。彼女か。友達か。家族か。過去か。未来か。世界か。あの流行病か。正義の味方か。分からない。何がそんなに嫌なんだ。誰も悪くないし、何も悪くない。あの病の時、自業自得だという言葉が流行った。外出したんだから自業自得だ。その仕事を選んだんだから自業自得だ。事情なんて知ったこっちゃない。そのくせ責める。自業自得だ。お前が酷い目に遭うのはお前が悪いからだ。なんでそんな酷いことを言うんだろう。どうして誰も彼もがそんなに荒んでるんだろう。テレビをつけてもSNSを開いてもいつも誰かが誰か責めている。何でそんなことするんだろう。知っている。分かっている。問うまでもない。理不尽に酷い目に遭うのが当たり前だと認めるのが怖いからだ。自業自得じゃなかったら壊れてしまうから。俺はその話を彼女にもした。彼女は俺が話し終わるまでひたすらうんうん、と受け止めて「大丈夫だよ」と言った。こんなに話したら気持ち悪いんじゃないかと俺が変に話を反らそうとすると「言って良いよ。大丈夫だよ」と促した。彼女は全部お見通しだった。彼女の「大丈夫だよ」が聞ければ、大丈夫な気がした。大丈夫じゃないけど、大丈夫な錯覚ができて、彼女にそう言われたら半日くらいは俺は正義の味方じゃなくても無敵だった。でもそんなことはもう無い。一生無いかもしれない。じゃあどうすれば良いんだ。憎む相手をくれ。何も憎めないし、恨めないなんてあんまりじゃないか。しかし俺はやり場の��い怒りを電信柱にぶつけている。電信柱も悪くない。分かり切ったことだ。でも電信柱はビクともしないから。平気だから。殴ったって平気だ。俺の家にはサンドバックもパンチングマシーンもないから仕方ないよね。スーパーの床で駄々をこねて転がり回っている子供と同レベル。大の大人になっても。こんなおっさんになるなんて子供の頃は夢にも思ってなかった。彼女と付き合っていた頃だって思っていなかった。やっぱりあの病気が悪いのだ。でも病気は殴れない。じゃあ何を殴れば良いんだ。そうだ電信柱だ。でもどうしてだろう。ちっともすっきりしないのだ。やっぱり駄目だ。早く来てくれ。やはり正義の味方のことは正義の味方は助けないのだろうか。
「来いよ! とっとと来いよ! ほら! 何で来ないんだよ」
息を切らしながら、電信柱を蹴る。じん、と痛みが股関節にまで上ってくる。痛くない方の足で蹴ろうとしたら、バランスを崩して倒れてしまった。馬鹿だな。馬鹿なんだ俺は。でも、俺馬鹿なんだよ、って誰に言えば良いんだろう。正義の味方じゃなくて良い。通行人でも警察官でも良い。誰か俺を見つけてくれ。
ゴーンゴーン、と鐘が鳴る。正義の味方の出番だ。やっぱり俺がヒーローになるしかないらしい。俺は血まみれの手でヒーローマスクを被る。
痛みが消えていく。正義の味方は無敵だ。痛みなんて正義の味方には似合わない。足が勝手に動き出す。猛ダッシュで俺は家から離れていく。唐揚げ弁当は電信柱の下で置き去りになっている。食べられる頃には冷めているだろう。誰かが間違えて捨ててしまわないことを祈る。捨てられさえしなければ現代文明の利器、電子レンジがあるから大丈夫だ。現代に生まれて良かった。俺は恵まれている。電子レンジのない土地や時代だってあるのに、俺は電子レンジのある土地と時代で生きることができている。電子レンジを得ている。俺から電子レンジを奪うことはできない。ざまあみろ。
見知らぬ民家の塀をよじ登り、一階の屋根から、開け放たれた二階の窓にダイブした。
「こんな人のためにあなたが苦しめられる必要はありません」
俺は目の前の女が振り下ろそうとした包丁を白羽取りした。包丁を奪って窓の外に投げ捨てる。なんかヒーローっぽくて格好良い。格好付けすぎだろうか。顔が隠れているから余計に芝居じみた言動をしている気がする。ヒーローマスクはダサいけど。
「は? お前何?」
危うく刺されるところだった男が言った。お前が言うのかよ。危機を救われたことにイマイチピンと来ていない様子だった。
「正義の味方だ」
俺は男の顔面に擦り剥けた血まみれの指で殴りつけた。痛くはないが傷が塞がるわけではない。うっかり血が口に入ってしまったかもしれない。あちゃー。これでこいつも正義の味方になってしまう。また世界が平和になってしまう。やっちまったな。
包丁を持っていた女は男を庇おうとしたが、俺はそれを振り払う。男の方を膝で固定し、馬乗りになって顔面を殴る。ジタバタともがいているが俺は今無敵なので効かない。女がめそめそと泣いている。ぺちぺちと叩いてきたが、俺はビクともしない。ひんひんとしゃくり上げている。多分あれはメンヘラだ。メンヘラっぽい鳴き声してるから。ほら、来てるTシャツもそれっぽい。あんなの絶対ヴィレヴァンでしか売ってない。
男の鼻っ柱を血まみれの拳で何度も打ちつける。鼻から血が出てきた。鼻血だろうか。それとも鼻の外側を怪我したのだろうか。鼻の外側からの出血だとしても鼻血というのだろうか。鼻から出たどこまでの血を鼻血というのだろうか。その謎を解き明かすため俺はアマゾンの奥地へと向かった。アマゾンってどこの国だっけ。
ところが俺はメンヘラに悲鳴をあげさせられることになった。焦げ臭い嫌な匂いがして、匂いの元を辿ってみると、思わず立ち上がってしまった。
「これ以上殴ったら、燃やすから」
振り返ると、メンヘラが百円ライターをカチカチしている。明らかに自分の親指も炙っているが気にしていない。狂気の沙汰だ。いや、メンヘラだから自然か。いつの間にか俺のスニーカーの靴ひもがチリチリと焦げていた。それ自体は特にマズいことではない。しかし、俺は痛みが分からない。気が付いたら焼き殺されているかもしれない。それはさすがにヤバい。自分が殺そうとしてた男を守るために見知らぬ男を焼き殺そうとする心理もヤバいけど。
俺は男を蹴り、メンヘラを蹴り、また窓から外へ出て行った。ポツポツと雨が降ってきた。ボロ屋根で雨粒が踊る。俺の唐揚げ弁当どうなってるんだろう。
だんだんと正義の味方の力が抜けていく。いつもそうだ。出てくる時は一気に出てくるのに、抜ける時はビーチボールの蓋が緩んでしまったみたいに徐々にふにゃふにゃになっていく。だんだんと走る速度が落ちてきて、最終的に俺は一人で雨に打たれながら歩く寂しいおっさんになった。ヒーローマスクも外して手にぶら下げる。明らかに不審者だ。電信柱を殴った痛みが疼く。足が痛い。擦り剥けた指はヒリヒリとする。男を殴った痛みは残らない。ご都合主義だ。雨足が強まってきてとりあえずヒーローマスクを傘代わりにしたが、大した効果が得られるはずもなく、肩も足も濡れていく。正義の味方になることでハイになっても抜ければ結局なる前と同じメンタルに落ち着く。弱く、奪われるだけの俺。自発的に他人を殴ったことなんてなかったのに。
気付いてしまった。
正義の味方を呼ぶのは怒りじゃない。暴力なのだ。それもただの暴力ではない。人間への暴力だ。誰かが誰かに暴力を奮おうとした時、正義の味方は呼び出される。幸か不幸か、俺は自発的に暴力を奮おうとしたことがない。優しく生きていたら損をする。へらへらと良い子ちゃんぶっていても、誰も守ってくれない。暴力を奮おうとするクズだけが救われる。元々我慢できる人は、暴力に頼ろうなんて思ったこともない人はただただ虐げられているだけ。正直者は馬鹿を見る。
雨に打たれた唐揚げ弁当を手に取る。俺と同じで唐揚げ弁当も誰にも見つけられなかったらしい。いや、見つけたところで片付ける義理もないか。すっかり唐揚げが湿気ている。雨水だって中に入ってしまっているかもしれない。受け取った時は美味しそうだったのにこんな姿になってしまった。電子レンジも万能じゃないので、唐揚げ弁当を元の姿に戻すことはできない。
良い子にしてたって誰も助けてくれない。良い人でいたって何の得もない。そんなこと昔から分かっていたじゃないか。必死に努力して何事もなく無事に終わった物事は無視され、悪事だけが罰せられる。商売にもよくあることだ。クレーマーの主張だけが受け入れられ、何も言わずに満足している人たちの意見は無視され、改悪が繰り返される。行動を起こせ。黙るな。判断しろ。動け。さもなくば、ただ奪われ、ただ殴られ、死ぬだけだ。
というのは極論だけど、あながち間違っていない気もする。
正義の味方は人々の暴力を引き受ける。受け止めはしない。ただ引き受け、それを受け流す。そして暴力を客観視させる。正義の味方はやはり正義の味方なのだ。勧善懲悪だ。正義の味方は常に弱者の味方だ。暴力に至るほどの不快を強いられた、暴力に頼らざるを得ない弱者救済のために正義の味方は正義の味方たりえる。正義の味方は正義の味方でい続ける。暴力は悪なのだと見せつけるためだけに、耐えきった者が殴られる。いつかこの世界から暴力がなくなるまで、この連鎖は続く。確かにここのところ、殺人事件や傷害事件のニュースを目にしない。正義の味方の効果だろうか。
「いただきます」
誰と一緒でも、たとえ一人でも、いただきますと言うところが俺の良いところだと誰かが言っていた。誰だっけ。俺の妄想だろうか。だって一人でもいただきますを言ってるだなんて誰も知りようがない。そんな言葉をかける人がいるわけがない。バスタオルを首に巻いたまま、しおしおの唐揚げを割り箸で挟む。発泡酒はまだ冷蔵庫の中だ。
大気汚染の成分とか入ってるよ、やめなよ、絶対ヤバいって、と頭の中で誰かが言う。その誰かは彼女であり友達であり家族である。俺の知っている「誰か」のキメラだ。
電子レンジで温められた唐揚げは、思ったより変な味はしな��ったが、何となくじゃりじゃりした。誰かが近くを歩いて泥でもかけたんだろうか。
「でも唐揚げは唐揚げじゃん」
俺は誰かのキメラに答えた。じゃりじゃりする弁当の続きを頬張っていく。食べ終わってから飲もうと思っていた発泡酒が不意に飲みたくなって、冷蔵庫に取りに行く。発泡酒の後ろでタッパーが積まれている。色とりどりの蓋のタッパーの中には母親がこの家で作ってくれたものも、恋人と作ったものも、皆で宅飲みした時の残りもある。ちゃんとある。間違いなくここにある。黒っぽい中身のそれらを指でつついてみる。胸の奥で小さな火が灯った。これがきっと愛しさだ。どれも入れた瞬間のことを覚えている。楽しかった。嬉しかった。ありがたかった。ずっとこうしていたかった。
発泡酒を手にとって、俺は冷蔵庫を閉めた。
「赤ちゃんじゃないんだから自分の感情くらい自分でコントロールしなよ」
誰かのキメラが言う。電信柱を殴ったのがそんなにダメですか。俺は正義の味方の世話になったことがないのに。それなら一生赤ちゃんで良いです。生後372ヶ月の赤ちゃんです。ほぎゃー。新生児みたいに快と不快しか感情がなければ良かった。
ピンポーン
ハッと目を覚ます。いつの間にか俺はベッドで眠っていた。もう日が高く昇っている。慌ててシフト表と電波時計の隅の日付を交互に見る。良かった、休みだ。
そして慌てて布団から飛び出し、インターフォンに出る。
「はい」
「宅配便でーす」
寝癖を手櫛でなおしながら玄関へ向かう。マジか。これ夢オチかよ。つまんないやつじゃん。
玄関のすぐ横に置いているシャチハタで押印する。実家からだった。開けると一番上に「HAPPY BIRTHDAY」と印字されたカードが入っていた。裏面に懐かしい文字で「たまには帰っておいで」と手書きの文字が書いてある。今日は俺の誕生日だ。また年をとった。また古びていく。老いていく。どんどん死んでいく。両親から、あの時は悪かった、と何度謝罪されただろう。決して許していないわけではない。俺は少しも怒っていない。むしろ家族を大切に思っている。カードを捨てると、その下には保存のきく食べ物と俺の好きな作家の新刊が入っていた。新刊はもう持っているから要らない。古本市場に売りに行かないと。食べ物は役に立つ。
とりあえずテレビをつける。
「国がしっかり経済が復活するための支援をしないとダメなんですよ。納税ってこういう時のためのものじゃないんですかね」
嫌いなワイドショーだ。深刻な口調で、被害者代表みたいな面をしてタレントがコメントしている。相変わらずだ。あの流行病があってから、いつ見かけても、こういうテンションの話題を飽きもせずに放送している。偶然見たときに限ってそうなっているだけだろうか。それとも、忘れているだけでずっと前からこの調子だったかもしれない。
チャンネルを回す。一通り流してみて、きのこの炒め物をしている番組に落ち着けた。
また誕生日が来た。いくつの時から誕生日が嬉しくなくなっただろうか。最後の楽しかった誕生日は、彼女と過ごしていた気がする。彼女が来て手料理を作ってくれた。たぶん冷蔵庫のタッパーの中にまだその時の残りがある。楽しかったなぁ。「別れよう」と言った時の彼女の驚いた顔が浮かんでくる。分かってたくせに。言わそうとしてたくせに。それともアレか。俺が歩み寄るのを待ってたのか。図々しい。試し行為か。そういうのはうんざりだ。勘弁してくれ。傷付いた顔をするのはやめろ。自業自得じゃないか。
ゴーンゴーン。鐘が鳴る。俺はソファの上に転がっていたヒーローマスクを被る。
あーあ。分かっていたけど、やっぱりこれ現実か。つまんないやつじゃん。
然るべき成果が得られるのはまだ先なんだ。今はまだトンネルの中にいる。止まない雨はない。まだか、まだかと俺は我慢している。頑張っている。
ダッシュでマンションの階段を駆け下りていく。三階まで降りたところで、隣のビルに飛び移る。まるでヒーローじゃないか。いや、正義の味方なんだからほぼ等しい。体が軽���。こんなに体が軽いのは俺が正義の味方だからだ。風を切って俺は走っていく。俺は奪われない。失わない。だって正義の味方だし。イカしてる。イカレてるの間違いかもしれない。まぁ、ともかく、正義の味方は正義の味方だ。俺は俺だ。平気だ。そう、「大丈夫だよ」。
口の中で呟いたその言葉は飴玉みたいにいつまでも転がっていた。
ひょっとしたら、もう誰もが正義の味方なのかもしれない。
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「実は私、デスゲームの運営をしてるんですよね。」
「インタビューに応じた●●さん(仮名)はそう語り始める―――。」
……皆様ご機嫌麗しゅう~、フタハナ運営ことフタハナ運営でございます。
じつはPL名のようなものがないので、なんと名乗っていいのかわかりません。
表ではきっと栗鼠大明神オブザゴッドが超真面目で最高な記事を書いているはずなのに、裏ではこんなアホな事をやっております。
裏アドベントカレンダーって聞いて「私は裏だよなぁ」って思ってこちらにお邪魔させていただきました。
と、いうわけで、デスゲームを運営している人間のレポです。
ただ、こちらの記事は他の運営さんのような「運営」としての記事というよりは「デスゲームの運営というロールでフタハナに参加した人の記事」なので、そんな個人的な話どーでもいいわ!!!という方は表の栗鼠大明神様の記事を読むといいと思います。
●デスゲーム運営をやっている人の話。
まず、私は人が死ねば本気で悲しいタイプで、人間の善意を心の底から信じている人間です。
これは某フタハナ勝者さん(匿名)の発言ですが、私もその通りだと思います。そしてできればフタハナはそういう「人が死んだら悲しい」という当たり前の感性を持った方にやって欲しいと思ってます。頭おかしい事いってるぞお前。
そもそもなんでデスゲームが好きかというと、綺麗事を言っている人が最悪な状況になって行く中でどこまで綺麗事を言い続けられるかを眺めるのが非常に好きだからです。
それで死んでしまっても好きだし、その綺麗事が成就するのも好きです。汚い事も何も知らない真っ白な子が現実が自分の信じるような事で成り立っていない事を知って泣き崩れる瞬間が最高に好きです。
そして、ここまでの話で「人が死ねば悲しい」って表現をしている通り、私にはPLとPCの区別がありません。
これは「PLとPCがイコールになる」というロールマナーに抵触するアレではなく、PCも同じく1人の生きている人間として捉えているという意味のものです。
なのでゲーム運営では「キャラクターはあくまでアバターもしくは数値の塊」みたいな価値観の人によく転がされているところがあります。
●フタハナβ~
さて、はじめてのフタハナです。
αとかもありましたがそちらについてはゲーム未満だったので割愛。
私はトップページの通りお耽美ロールをしてもらえたらいいなぁみたいなすごい夢見がちファンシーファンシー脳みそパンケーキお花畑な事を考えながら運営を開始しました。今ではすっかりトップページ詐欺になりつつあります。
結果としては、更新ボタンを連打(そういうバグがあった)してひたすら他プレイヤーを殺し続けるやばいプレイヤーが出現しました。
コンセプト上の話をするなら、フタハナの戦闘システムっていうのが実は単にロールをしていく上で戦闘が発生した時に使うつもりで用意していたので、まさか特に意味もなく淡々と人を殺す奴が出て来るとは思っていなかったというのが正直なところです。
戦闘ロールってお互いに遠慮しちゃって「くらえ!!」「なんの!!」「なんだと!!」「「うわぁ!!」」「「お互いによくやったよな(ガシィ)!」」くらいで落ち着きがちで、私はあまりそれが好きでなかったんですね。
負けたら死んで。
のでシステムに勝敗を預けたかったんですが……と
話が逸れました。
そういうプレイヤーが出て来たせいで、私は「なんで生きている人間を無意味に殺せる人間が存在するの!?!?」と喚きながらひたすら怖くて泣いてました。
キャラ設定をする前に死んでしまったみたいな話を聞いて、申し訳なさすぎて死んだりもしましたが、まぁ、とにかく当時はやばかったです。
システム的に出来る事はやるのがゲーマー
らしいです、実の所、私はそういう人間の事が未だに理解できかねていて、忘れた頃にぶん殴られて床に倒れ伏しひらべったくなったハムスターのようになっています。
おなじみティラノ君が出て来たのはこのあたりからですが、ティラノサウルスについては正直「無人島に出て来そうでめちゃくちゃ強くてこわいやつ」ってごくごく真面目に考えて「ティラノサウルスだ!!!!」ってなっただけだったりします。
当時は精々なんかその程度の存在でしたが、今では結構ティラノサウルス自体が好きになってきています。ティラノ君とはずっ友だからよ。
ちなみにこの時「ゲーム部分かロール部分のどちらかに絞った方が良い」というメールをいただきましたが、どうしてもそういうわけにはいかなったので、「ゲーム部分をしっかり整えて、ゲームで遊んだとしてもロールの邪魔をしないようにする」という方針になることになりました。
実際、その後も何度も「出来る事ならやってしまうのがゲーマー」というのに打ちのめされていますが、それはプレイヤーへの怒りとかでは断じてなく、それを考慮しきれない自分への悲しみと、それに巻き込まれてしまったプレイヤーさんへの申し訳なさって事をご理解ください。
あと、どんなに綺麗なお庭を作っても変な旗を立てたり茶化す人は絶対に居るので、そういう時は一緒に旗を燃やして遊ぶようにしようという心構えをするようになりました。楽しんでいるならそれが正解。
●フタハナΩ~ΩΩΩ
ここからいつもお馴染みのフタハナの画面になりました。
Ωのあたりは実のところあまり記憶にないです。なにぶん昔の事ですし。
ゲーム終了後に雑に全員蘇生してしまったりしましたが、ハロハナで「過去のキャラクターも生き返る」事になったので、恐らくその影響だったんでしょう(たぶん)
豪華客船フタハナ号。
その後は役職等が追加されていくことになり、ゲーム部分を詰めていくという方針の通り、ゲーム部分をひたすら整えていくことになりました。
ちなみに運営するたびにシステム的な殺戮を行うプレイヤーがやはり毎回出現したり、不具合を悪用してまで人を殺しに行くので、その度に「だからなんで意味もなく人を殺せるんだよぉおおおお!!!意味わかんない意味わかんない死ーーーーーーーーーーー!!!」ってなったりしてました。
人間味の塊みたいなデスゲーム運営だなと思います。不具合出しまくるし。
デスゲーム運営、サイコパスじゃないと務まらないと思います。
『運営の贔屓』みたいになってしまうので公式アカウントでは話していませんが、それぞれに推しがいて、Ω~ΩΩΩの中では特に大正コンビがすごく好きであったりしました。
実は心中がすごい好きで、バディを組んだ状態で死ぬとゲームオーバーになるのはそういう性癖によるところが大きいです。死ぬときは絶対一緒、大変優しい世界観のゲームです。
『役職』が増えたのもこのあたりですね。
それぞれを生かしたいいロールが見られたので、追加して良かったなぁと思っています。不具合もいっぱい出ましたが。
余談ですが、魔術師を追加した時に「最高のcoolを(略)」という台詞をTwitter上で言ったんですが、ZEROのキャスター&龍之介組はとても好きな組み合わせであったりはします。ついカップルって言っちゃうごめん。
fate(主にzero)とかLOVELESSとかガッシュベルあたりが好きなせいでバディ同士で殺し合うという形になったところはあり、武器が大体その時はまっているアニメやゲームの影響だったりと趣味がめちゃくちゃ反映されているゲームです。
最近はまってるジャンルはマイクしか出てこないので武器が増えない。雷の呼吸とか出て来たら察して欲しい、最近はそういう感じです。
なんの話だ、フタハナの話に戻ります。
●ハロハナ
逸れつつ、ようやく本題です
「実は私、デスゲーム運営をしているんですよね」
これまではなんだかんだ言ってもただの「運営」だったんですが、今回に関しては「ああ、私デスゲームの運営だっ��んだ」と改めて思いました。
運営として命の重さを知っているつもりで、どこか軽く見ていたんだと思います。
●1日目
デスノート(こと、名前を打ち込む事でそのキャラクターを退場状態に変更するシステム)に5人の名前を書き、決定ボタンを押すだけだったんですが、正直とても辛く、ぼろぼろと泣いていました。
デスノートは顔と名前を知らないと効果が発揮しないというのは、顔を名前を知っているような人間を何の躊躇もなく殺せるようになってしまったらもうそれはもはや新世界の神でしかないのだろうと、アイコンと名前を見て、名前を書き込みながら思いました。私は新世界の神にはなれない。
戦闘というあれを介さずに人を殺すだけでこの罪悪感なので、プレイヤー側の「殺してしまった」感はすさまじいんだろうなと思い。
これを7日間も続けるの?という気持ちでいっぱいだったのが1日目です。
●2日目
2日目は既に死んでいる方が多かったので、比較的罪悪感なく『退場』処理を行えました。
ひたすら「できれば退場という形よりもキャラクター同士で殺し合って欲しい」と思っていましたが、それが運営の退場よりもキャラクターに殺された方が納得できるからと思っていたのか、単に私の気が楽だからというだけなのかというあたりは今となってはよくわかりません。
●3日目~5日目
このあたりではさすがに多少慣れて来はしたんですがそれでもやっぱり「あ、このキャラさん好きだ」って思った人をわざわざ自分の手で『退場』して行く作業、大変つらかったです。
1日かけてブーケを探したけれど見つからず、その探したせいで死んでいったキャラの名前を書いていた時には完全に「ああああああああああああああああああ」という感じになっており、逆に直前に助かった人を見て「良かったーーーー!!!」と思ったりもしていました。
自分で殺したキャラって推しなんですよね、Killってもう愛の告白だと思っているので。ほら、殺し文句って言うでしょ?お前を殺す。
ブーケは実は揃えようと思えば4日目~5日目頃には絶対完成できるようになる形で実装していたので、このあたりから脱出も増えて来たのかなと思います。
というのも、今回は「全員殺す」つもりでいたので、生き残りエンドがいい人は好きなタイミングで脱出できるようにというつもりではありました。
「マジでフタハナ誕生するとは思わなかった」とか言われてましたが。
番外では、このあたりでマップを使って面白いロールをする方がいたり、逆に地形チップをめちゃくちゃにしている方がいたりとしました。
このあたりも「出来る事はやるのがゲーマー」というあれだったのでちょっともんにょりとはしてました。
無粋な人のせいで面白い事をしてくれる方が面白い事が出来なくなるというのは個人的には一番避けたく、出来ていた事が出来なくなるというのも避ける方針であったりします。
●6日目
正直もう少し減ると思っていました(4人くらい)が、結果的には9人残る形で退場となりました。
「あの姉妹にはもう少し殺して欲しかった」って人に言ったら「人格分離してません?」って言われたりしましたが、私は正気だ。
直前まで頑張って残ろうとしていた方、本気でフタハナを目指そうとした方達(某看護師さんや某ひとつめさんや某姉妹さん)を見守りながら私もお前に残って欲しかったよおおおおおおおおお!!!最終日によおおおおおおおおおお!!!って思いつつ『退場』していただき、その余韻に浸る間もなく
ステルス戦闘機が出て来た時に慌ててMAPoutを実装したりとてんやわんやしていました、ロール的には認められるけど、そのキャラに対等に戦える状況になられるのは今まで頑張って来た人達に申し訳ないでしょう。
ブーケという手段がある中でここまで皆を蹴落として来た以上、ここにあえて残るだけの理由がきっとこの人達にはあるんだろうという想定でいたんですが。
思ったより皆ふわっとした理由で生き残ってました。
しかも全員ソロ。
守るものがあると最終日には残れない。
なお、私はまた「システム的に出来るならやるのがゲーマー」というのを忘れていた事に気が付いて床で平べったくなっていました。生き残れるから生き残っただけで特にキャラ的にどうしても最終日に残らないといけない理由はないし、どうしても叶えたい願いもない。
「 なんのために242人殺したの!!!!!!!!!?????????? 」
と、思わず叫んでしまいつつ、これだけの犠牲を出したのだから、『フタハナ』になる人の願いには死んでいった人全員を踏み躙るだけの納得がなきゃ嘘でしょ!!!!!と発狂し、床で平べったくなってハムちゃんになってました。
人間の善意を信じちゃダメなんですよゲーム運営。久方ぶりの死ーーー。
なお、あくまでこの時点での話であって、後々それぞれの願いを聞いたりして納得はしているので、単に私が勝手に落ち込んでいただけというのをご理解ください………。
DMで何故かタラテラさん(名指し)の話をされつつ、次の日へ行きました。
ちなみにDM、不具合報告以外に「推しの話」とか「バディが死んだんですがなんとかなりませんか……?」みたいな限界メッセージもたまに来ます。
運営期間中ならわりと楽しく読んでいるので歓迎してます。
*ちなみにこちらは最終決戦前日のDM、この時点でPLさんの察しはついてました。ロール圧で。
●7日目

最後の結末がどうなったかは皆様のご存知の通り。
私はまたボロボロ泣きながら「よがった"よぉ……」とひたすら呟くマシーンになりつつ願いを反映させていきました。
『退場』させていった人が救われたり救われなかったりする様子を見ながら「本当に良かった………」いがいの感情が死滅していました。
ありがとうタラテラさん、ありがとう願いを譲ってくれた黄昏ちゃん。
そもそも『退場』させなければいいんですがほらルールなので(早口)
なんで私はこんなゲームを運営してるんでしょうね、意味わからない。もっと『案内人』みたいなクレイジーサイコハッピー拍手野郎が運営した方がいいと思います。してるんですが。
という感じで、7日間のデスゲーム運営はなんだか私が救われる形で幕を下ろしました。『案内人』がどう感じたかどうかは、私にはわかりません。
個人的な話をすれば、「願いを言え」という一生に一度は言わせてみたい台詞が言えたのでそれがとても嬉しいです。
●まとめ
というわけで今回の脱落システムは大成功だったなぁと思ってはおり、私としては大変に楽しかったし、運営側が退場させるという事で直接的に関わる形になった為により参加者さんを身近に感じられたとは思う…ん、ですが、
ゲームの主役はあくまでプレイヤーの皆様だと思うので、『案内人』が出しゃばるよりはやっぱりプレイヤー同士のやり取りでフタハナが生まれるのが理想なのかなと思う次第であったりはします。
現状ではこういう形を取るしかなかったわけですが、これはこれでとプレイヤーの皆様も楽しんでくださっているといいなと思いつつ。
今後はもう少しシステム的な方に脱落システムは組み込んでいくつもりではあります。(今回もあくまでシステム的なものではあったんですが、手動だったのもあって私とリンクしすぎたのがよくなかったねというやつです。)
まぁ、私は今回はすごい楽しかったよという記事でした。
いかがでしたか!?
ごめんって。
今後も定期ゲーの裏面を爆走するつもりですので、お好きな方は一緒に情緒を燃やしていきましょう。
また、今回の記事で数人のキャラクターについて喋る事になってしまう形になり、その方達は比較的派手な動きをしていた方であったり、ゲーム全体に影響を出していたような方が多いのですが、二人で密なロールを行うというコンセプトの通り、二人(ないし一人)で静かに良いロールをしていた方ももちろんいらっしゃるでしょうし、そういったロールもまた良い物だと思いますので、なんというか、それぞれに楽しく過ごしてくれているといいなと思います。
全キャラクターをピックアップして紹介していきたいくらいですが、記事の長さがものすごい事になってしまうので、今回のところはご容赦ください。
あらあらかしこ
フタハナ運営 拝(タラテラさんを)
【追記】
本記事はわたしの個人的な話になっておりますので、フタハナというゲームをプレイする上ではここに書かれている内容は忘れて頂けると嬉しいです。
創作者に色がついてしまうとその色がどうして���創作物に滲んでしまい、それがバイアスになってしまうんですが、私はそれが非常に嫌いなので。
そういう意味では「ステルス」する方の多い文化は個人的には好ましいです。(この文章はステルスを推奨するものではありません)
【追記2】
ハッハーーーー!!!!!!!!!!!
恨むならそんな記事を投稿した自分を恨むんだなァ!!!
自分の記事も大概にクソ記事である事を棚に上げまくり天界にまで到達し神ことゴッドになった人間の台詞なので真に受けてはいけません。
こほん、改めて色んな記事が読めてとても楽しい企画ですね、ありがとうございます。
アニメの布教をしても良いのでしたら私も全人類に鬼滅の刃を布教したいです。アニメを見たら原作もかって読みましょう、最高です。悪魔のリドルも見て下さい。あとレビュースタァライトもオススメです。ここのあたり全部見れば丸一日ぶんくらいは最高で有意義極まりない時間を過ごせますね。やったぜ。
漫画でよければぜひ宝石の国も 最新刊を買えばなんと今なら地獄が無料(660円)!!!!!!!!!アニメもあるぞ!!!!!!!!!!
プロメアもいいんですが推す手段がない、DVD早く発売してくれ。発売してくれたらいつでも最高になれる最高のDVDなので大麻より効くことになる。たぶんがんも治るし寿命が7万年くらい伸びる、光り輝いている円盤なのでおそらくリオくんがつけ忘れていた天使の輪っか。天界からの賜り物。
プロメア、(情緒を)燃やさなければ生きられないフタハナの皆様にオススメです。
あとそう、ヒプマイはいいぞ、独歩君と 一二三君が推しです。
………私の方もこれだけよくわからん怪文書を書けばもはや五十歩百歩というやつなのでは???????
一途な気持ち、たいへん素敵だと思います。はい。
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ラブライバーが起こした犯罪、騒動一覧↓ 【1】ラブライブの主人公の家の元ネタになった和菓子屋に常連客も多数いる中、通常営業中に大勢で訪れる 携帯禁止&2階は土足厳禁なのに土足でドカドカ入り込んで大声で騒ぎながらソシャゲのガチャを始める(聖地竹むら襲撃事件)
【2】聖地迷惑騒動が広まり騒ぎになると、今度はお店にラブライバーは悪くないと突撃
【3】この騒動を聞いた主人公穂乃果役の声優にブログでマナーの注意をされる
【4】合同ライブ@JAMにて、ラブライバーが他の出演者のファンを殴って流血事件。集団でスクラムを組み、最前列を独占するという自己中心的なマナー違反も行われる
【5】男坂でアニメの真似して集団で階段を駆け上がる危険行為(いい歳したキモオタの奇行にその場にいた家族連れやご老人、DQNもドン引き)
【6】正月にラブライブにも出てきた神田明神にコスプレして参観(神社はコスプレを自慢しに来る場所ではないと注意される)
【7】TGSのブシロードブースにて行われた ラブライブイベントでTGS運営からマナー違反をイエローカードで警告される(歴史あるTGS史上でも異例)
【8】ライブ物販で大モメの騒動
【9】これらによりラブライブの公式サイトに異常なまでのマナー諸注意が掲載されるようになる
【10】神田明神でラブライブスタッフの室田の描いた絵馬を窃盗
【11】ラブライブのコンサートにて、会場にガチャガチャの空きカプセルを大量にポイ捨て(悪いのはゴミ箱をガチャ機の横に置かない運営とごねる)
【12】ラブライブのコンサートの帰りの京浜東北線車内で唐突に「誰か助けてぇ~!」と叫び、周りのラブライバーも 「ちょっと待ってて~」とコールする迷惑行為
【13】ラブライブのコンサートの帰りに興奮しラブライバーがさいたま新都心駅で赤いペンライトを振り回して駅員に放送で警告される (赤は緊急停止信号なので、異常時以外に赤は絶対に駄目 と言うか駅でペンライト振り回すな)
【14】ラブライブのコンサートでライブビューイング中の映像を携帯で撮ってTwitterにあげる盗撮行為 (10年以下の懲役・1,000万円以下の罰金のどちらか、もしくは両方が科せられる犯罪)
【15】「ラブライブのコンサートのライブビューイング行った奴ら無料で映画一本見れるの?????」「確かに潜り込めるかもwwwwwww」 「うちのところは館全体の入場だけ切符見る人がいて、映画見る部屋の入り口はフリーで入れるwwwww」 「ってか映画の券1500円で買ったらライビュに潜り込めたwwwwやばいwwwww」
【16】アムラックスのラブライブ痛車で危険運転により事故を起こす(それにより次から運転はスタッフになる)
【17】アイマスの映画とラブライブのLVの会場が同じ時「アイマスがラブライブの会場に来んなよw」と発言し置いてあったアイマス映画の看板を蹴る
【18】SSAで行われた田村ゆかりのライブイベント「Love Live」のドラマパートにて途中「誰か助けてー」って言う男の子のセリフにラブライバーが「ちょっと待っててー」と叫ぶ (田村ゆかりのライブで本人と関係ないネタを大声で叫んで邪魔するのは止めましょう)※しかもこれが初めてではなく、他にも何件かある
【19】アメリカのロックバンド『KISS』のメンバー、ジーン・シモンズのTwitterに凸攻撃 (ラブライブ2期第6話でKISSのパロを無許可で放送→興奮したラブライバーは何を思ったか海外では放送もされていない、しかも最新話のラブライブ画像をジーンに送りつける迷惑行為→ ラブライバーの攻撃に沈静化を図るために「この漫画は何?」とジーンが対応→これにラブライバーは何故か大喜び→ラブライブ監督京極尚彦まで発狂する始末。盗作の元凶)
【20】鹿児島のラジオ番組に「今からバイトの面接なのでμ'sの曲ならなんでもいいのでかけろとリクエスト」 (この番組はジャニーズ系&AKB系&アニソン系&アイドル系の音楽はNG)
【21】そもそもアニメラブライブ1期・2期はgleeの盗作だった
【22】日本橋アニメイトで警察が来る騒動が起こる→ラブライバーが「カゲプロ厨が暴れたから」と捏造する
【23】お笑い芸人ウーマンラッシュアワー村本大輔のTwitterに凸攻撃。 ラブライブを馬鹿にされたと被害妄想爆発させ、信者総出でしつこい粘着攻撃をして潰そうとする
【24】ラブライブウエハース窃盗 お店で袋を破き、お目当てのカードだけ窃盗。ウエハースはその場に散らかす
【25】アニメエキスポで入場の為に徹夜で並ぶ。しかもそれをテレビのインタビューで堂々と宣言し周りに責められ土下座(徹夜での列形成は禁止行為)
【26】ブシロードライブにて、ラブライブ装備でミルキィホームズのライブに来る。 それはまぁ良いとして、ミルキィのパフォーマンス中に、にっこにっこにーと叫んだりラブライブのコールを入れるマナー違反をする。
【27】ブシロードライブにて、1組目のラブライブの出番が終わった途端、この後もまだ他の出演者が控えているのに、2組目の開始前に退場するパクライバー。 これにより出口大混雑の行列ができて大騒ぎに このマナー違反に会場の他の出演者のファンは大激怒
【28】アニメイトで警察&パトカーが来る事件が起こる。パクライバーがそれをカゲプロ厨が暴行をしたせいだと捏造tweetを拡散する。 だがアニメイトは直ぐにこれを否定「自分の嫌いなアニメを叩くために捏造を拡散するのは止めろ」と注意
【29】ラブライブに出演してる声優の南條愛乃が自身の出演するアニメラブライブの実況をtwitterでする。 しかし、パクライバーが「俺がまだ見てないのに実況するな」「演者なのに実況するな」と総攻撃。これに呆れた南條愛乃は「もう実況やーめたー」と言い残し、今後二度と実況することはなくなってしまう
【30】ラブライブに出演してる声優の内田彩に「白色のサイリウムは止めて、ことりで来てるわけじゃないから」「あとラブライブの曲も歌うわけないじゃん」 と住み分けもできないパクライバーが注意される
【31】「ラブライブに最近興味あるかも」とtweetした中川翔子(しょこたん)に「にわかは語んなよ」とtwitter凸攻撃。そういうのは悲しいです、と注意される
【32】ラブライブに出演してる声優の南條愛乃が自身の出演するアニメラブライブの情報解禁になったお知らせをtweetする→ ラブライバーはこれに「ネタバレやめろや!」と粘着攻撃。これに呆れた南條愛乃はラブライブと距離を置くことを宣言する
【33】ラブライブに出演する声優に「希と同じ誕生日だから一言くれ」と片っ端から粘着攻撃する
【34】ラブライブに出演してる声優の新田恵海に対して架空の交際歴作り出してリプライを送る
【35】2chのスピリチュアル板をラブライブネタで荒らす。最低限のマナーも守れないパクライバーはこの他にも大暴れ。 これにキレた2ch管理人がラブライブとパクライバーを隔離した
【36】���ブライブのことり厨がラブライブに出演する声優の久保ユリカにtwitterで殺害予告する
【37】某ゲームセンターのポップで東條希がdisられてると激怒したパクライバーはそのゲームセンターを特定し総攻撃。 そのゲームセンターの公式が謝罪するまで粘着攻撃が続いた
【38】ランティス祭りでは、ラブライブ以外のアーティストには合いの手を入れようとしない。興味のないアーティストの時に座り込む。 プランタンくるまで退場→プランタンきてから入場。ラブライブじゃないからと言う理由でスクフェスをする
【39】ラブライブとは一切関係のないTBSアニメフェスタに自己顕示欲全開のラブライブ装備で参加する悪質厄介系イベンター行為
【40】ラブライブ&サンライズ(京極監督と脚本花田)が海外ドラマ『glee』から様々な盗作をする。パクライバーもその犯罪に擁護するかたちで加担する
【41】集団での未成年飲酒をtwitterに上げる
【42】公共の場での自己顕示欲全開の土下座アピールで一般人にもオタクにも迷惑をかける
【43】ラブライブのエロ本で矢澤にこがいないことに大激怒→同人なのにお客様気分のパクライバー、twitterで苦情攻撃をする
【44】ラブライブに出演する声優の久保ユリカに殺害予告をする
【45】曲とコールを覚えてない奴はライブに来るなと大激怒
【46】「ローソンのラブライブグッズを当てた奴は殺す」と刃物を持った画像と共にtwitterで殺害予告をする
【47】ラブライブ声優の出るアニサマ2014 3日目の当日券を狙うために徹夜で並ぶ。開幕ダッシュにゴミや靴やアニメBDを捨てる多数のマナー違反
【48】アニサマ2014 3日目に自己顕示欲全開のラブライブアピールでサイリウムを配るが、公共の看板を隠す迷惑行為だった
【49】公共の場である電車内にて全身ラブライブグッズで身を包み、キャラクター抱き枕を席に置くという自己顕示欲全開のラブライブアピールをする。 そしてこの行為を自慢げにtwitterにあげる。twitterで叩かれるも自重する気はないと開き直る
【50】生まれて初めてメディアに社会現象アニメと言われて大喜びしてたら、その番組は地上波でもキー局でもなく 打ち切りが決まっているスカパーの無名番組で大恥をかく
【51】PSVitaゲームラブライブスクールアイドルパラダイスが、ラブライブ製作に関わる角川のファミ通レビューで酷評され 6/6/6/6=24点という最低クラスの評価を受ける。売上も爆死し、クソゲーと叩かれ、発売10日後には半額ワゴン行きになる
【52】ランティス祭り関東2日目、1組目のラブライブの出番が終わった途端、まだこの後も他の出演者が控えているのにぞろぞろと退場したり、座り込んでケータイをいじる
【53】ラブライブアニメ本編に出てきた神田明神をラブライブの聖地と言い張り、ヲタ芸や門をふさいで雑談をする迷惑行為で参拝者に苦言をされる
【54】南山女子高の正門前にあるラブライブスクフェスの看板にわざわざフェンス登って厄介行為をする
【55】無許可で開いた改造痛車イベントで警察に反則切符を切られて逆ギレ
【56】2014年9月28日(日)秋葉原UDXで開催されたラブライブ同人誌即売会「僕らのラブライブ!5」にて、待機列&列形成で公式で決められてるルール無視の違反行為
【57】秋葉原のSEGAに置かれてるラブライブ等身大パネルの前にいた女子高生3人とオタク2人を盗撮し、馬鹿にしながらTwitterに晒す
【58】日本のラブライバーが外国のウズベキスタン・トルクメニスタンでラブライブの布教活動と言い張りラブライブグッズを現地の人に押し付けてTwitterに晒す (ラブライブが放送されてる国じゃないので、何のアニメか知るわけがない)
【59】アニメショップでラブライブの関連商品を万引きする。あまりにも多発するのでアニメショップに名指しで警告する張り紙を貼られる
【60】これらの問題行動をラブライブアンチの仕業や自作自演と言い張り周りの人様に責任転嫁しようとする
【61】ファミリーマート土下座恐喝事件の犯行グループの一人「音泥棒ゆうた」がパクライバーだった事が発覚
【62】ラブライブ絢瀬絵里役の南條愛乃が所属するfripSideの札幌ライブでサイリウムを100本以上不法投棄するマナー違反が大量発生。 これにペニーレーンは会場を二度と貸さないと大激怒する。fripSideの八木沼悟志もTwitterで民度の低さに苦言を呈する事態に発展。 挙句の果てに会場側に謝罪までさせる。元々この事件以前から民度は低かった模様。
【63】TBS深夜番組「オトナの!」内ミニコーナー「オトナの!調査隊」にてラブライブのソシャゲが地上波で紹介されると大喜びする→ 実際は深夜の関東ローカル番組で、そのミニコーナーも元々ブシロードの番宣ミニコーナーだっただけというオチ
【64】MUSICJAPANで出演者が話してる最中なのに奇声をあげて妨害する
【65】東武鉄道から電車でのマナー違反を注意される
【66】Wake Up,Girls島田真夢生誕祭ボードに「ラブライブの下位互換」と書き込む 【67】ラブライブにも出演している声優の三森すずこのTwitterに、三森すずこが表紙の雑誌に「みもにーなう??」と言い自慰行為をした画像を送りつける。 結果、この日から三森すずこのTwitterの更新が止まる
【68】中1殺害事件のリーダーがラブライバーであると判明、TBSで晒される
【69】Mステランキングにラブライブとデレマスの曲がランクイン。順位でラブライブの方が上だったためデレマスを挑発、中傷する。(ラブライブ5位、デレマス6位)
【70】劇場前売券第2弾が発売されたため全国の売り場で大暴れ。 されに同日ニコニコ超会議にサリンを撒くと予告し大炎上。
【71】神田明神にて神田祭に設置されたラブライブののぼりを窃盗。 さらにそれはアイマスファンかアンチの仕業だと主張する。 なお神田明神は以前から絵馬も盗まれスクフェスやオタ芸などで暴れられており、常にラブライバーの迷惑行為に悩まされている
【72】週刊誌にラブライバーのマナーの悪さの特集記事を組まれる。 書かれていることは全て事実なのに逆ギレし、公式アカウントを荒らす。
【73】前日の週刊誌の炎上が沈静化せず、「編集部を潰す」「土下座しないとマジで殺す」と脅迫。 ラブライバーは犯罪者という週刊誌側の主張を自らの行動で証明する。
【74】神田明神の会談に座り込んで通路を塞ぎスクフェスに興じる。 同日、NHKでラブライブが特集され、「テレビでゴミを映すな」と言われ発狂。 「周りを気にせずやってのけるライバーこそ真のライバー」と豪語し迷惑行為を正当化する。
【75】「新潟一のラブライバー」を名乗る男性が車の上でDancing stars on me!のダンスを踊りチンパン以下の脳味噌を披露、後に落下し怪我を負う。
” - ラブライバーが起こした犯罪、騒動一覧がヤバ過ぎる! :それな。 (via petapeta)
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戸田城聖が二代目会長に就任する前、彼の肝いりで「聖教新聞」が開始しました。 そう、俺がさんざんネタにする「あおぞら家族」が載ってるアレです。 そして同時に「人間革命」の連載がスタートしました。 そう、友達の部屋で見つけたら微妙な気持ちになり付き合い方を考えたくなるあの本です。 戸田城聖が二代目創価学会会長就任の際、こうぶち上げました。 「75万世帯の折伏は断じて私の手でやり遂げる。もしも、それができなかったなら、私の遺骸(いがい)は品川沖に投げ捨てよ!」 折伏とは、ほかの宗教から創価に鞍替えさせることです。 要するに、75万世帯の信者を獲得できなかったら、遺骸を品川沖に投げ捨ててくれと。 品川沖にそんなの投げ捨てられたら迷惑です。海苔が食えなくなります。 で、カリスマ性は元々高かった戸田氏の号令で、キチガイ染みた勧誘がはじまります。そう、今でいう「折伏大行進」です。 この「折伏大行進」で信者を爆発的に増やす一方で批判もうなぎのぼりになります。 実際、今の統一教会より性質悪い勧誘でしたんで。 具体的にどんな折伏をしたかというと、こんな感じだ。 昔の学会はやくざより怖かった、というのは四宮正貴だったかが書いていたが、今の新聞勧誘の比ではない、凄まじい勢いでの折伏が日本中で行われていたのである。勝手に家に上がりこんで、神棚を壊しただの、他宗の仏壇を破壊しただのといった話が広まるほどなのだから、半端じゃない勧誘であったのだろう。 これって普通に犯罪だろって。 実際、その手の話は出まくってるからなあ。 政界進出と合わせて、爆発的な会員数の伸びにもカラクリがあった。これも同日の朝日新聞に掲載されている。特に目的を告げず伝言ゲームのようにして大学生を狩り集め、信濃町駅に集合させ、そこからタクシーに乗せて土建会社の寮へ。そこでいきなり創価学会の御本尊御下附願という紙に住所、氏名、生年月日を書かせ、そこからまた車で日蓮正宗の寺へと向かい、数珠、巻物、経本などを渡されて「南無妙法蓮華経」と三遍唱える。これが終わると車に再び乗せられて銀座のバーへ。そこで大学生らは土建会社の青年信者らの奢りで閉店までビール飲み放題。件の青年信者らいわく、本音ではこういう馬鹿げた勧誘は止めたいのだが、一般への勧誘も頭打ちで、無言の会員獲得の圧力もあってついやってしまうのだという。熱血型だった戸田城聖は新聞記者に身振り手振りを交えて熱弁する。「あやふやな信者がふえるより熱心な一人の信者の方が貴重だ。全く馬鹿な話だ」。 統一教会より酷い。こりゃキチガイ宗教だ。 どうみても犯罪者集団じゃん。 昭和32年6/26の朝日新聞朝刊には、創価学会と左翼との直接的な対決ともなった、九州や北海道での炭鉱労働者への学会の浸透についての記事が掲載されている。炭労の側では、組合員に学会信者が激増、組合自ら推薦する左翼候補ではなくて学会の候補にこれら組合員が投票してしまう事で、盛んに反学会のデマなどを飛ばしていた。筑豊労組の古河山田では組合員1000人の中で200人が学会員。麻生には100人、住友���隈には60人の学会員がいた。ほかにも三井山野、三菱鯰田、日炭高松、明治赤池、日鉄二瀬などの大手鉱だけでなく、共同石炭の島廻、日吉、久恒などの小さい炭鉱にまで創価学会は勢力を広げており、炭労主婦会には1万人の信者がいるとされた。麻生炭鉱の主婦連の会長は学会員だったという。三井山野には学会婦人部が出来ていた。昭和32年4月に福岡市で行われた学会総会には観光バスを連ね、筑豊から2万5000人が参加した。北海道は地方警察によれば、道内に学会員は2万5000世帯で7万5000人。これは炭労組合員の数と五分だったが、北海道炭労の中に1万人の学会員がいたという。人生の豊饒を宿命転換に求め、左翼革命より人間革命、というこの労働者の末端に位置した炭鉱労働者たちの選択が、左翼陣営に打撃を与えたのは言うまでもない。他には警察にも警視庁に10数人、神奈川県警に 20人など警察には全国で200人の学会員がいた。日本共産党にも学会員はいたという。逆にアジア民族協幹部などは右翼活動のために組織を学ぶなどとして、学会員になっている。6/12には青森のキリスト教会を学会員5、6人で囲み、「邪教だ」と祭壇を壊し、聖書を踏むなどの動きもあった。学会員はこの頃、150万人であった。 ここで日本共産党とのバトルが出てくるのですが、この背景について説明します。 丁度その時期は、全共闘も盛んな時代で、共産党の勢力も強かったんですね。主に共産党が勢力として取り込むのは労働者階層が中心なんですが、それってモロに創価と勧誘対象がかぶってくるわけで。 で、労働組合に属してる人は共産の影響受けるのですが、創価が狙ってるのは、都市部の中小・零細企業の未組織労働者層です。 その層は、地方から出てきた長子じゃない層です。長男の場合、実家を守らなきゃならんので実家の宗教の信者となることが多いのですが、次男以下は実家という縛りがなくなるので、勧誘するにはもってこいでした。 また、組合に入ってない労働者層は共産党が助けてくれない(そのときは共産党も労組優先だった)わけで、そういう層が主に創価に入信したわけです。また、創価も共産党の持ってる「組合」という組織には魅力があったわけです。そこで組合に学会員をまぎれこませて学会を乗っ取るという方法にまでいくわけです。 共産党と創価の対立は、その後いろいろあり、今に至ります。 今の統一教会以上の勧誘やってるわけだから、信者増やすかわりに、バッシングも激しくなります。 そして、ほかの信者に対するありえねえ攻撃。これは今でも変わってない。 こんな記事がある。 http://specialnotes.blog77.fc2.com/blog-entry-7.html 平成17年12月19日午後9時45分頃、東京都台東区在住の法華講員・山谷一成さんが帰宅したところ、マンションの階段でいきなり3名の創価学会員に取り囲まれた。 彼らは口々に、「佐藤(※山谷さんの先輩講員)のところに行ったが、いなかったので、お前のところに来た」「佐藤はどこにいる!」「学会員を折伏しに回るな!」「なめんなよ!」などと山谷さんを恫喝(どうかつ)。 「とりあえず荷物を置いてくるから」と自室に入ろうとする山谷さんに、畳みかけるように「もし出て来なければ、カギをこじ開けて家に入ってやる!」と脅(おど)した。 “言うとおりにしなければ、今後、何をされるかわからない”彼らの恫喝に“本気”を感じ取った山谷さんは、やむなく、荷物を置くとすぐに、彼らのところへ戻った。 すると学会員らは、そこがマンションの前であることもお構いなしに、再び山谷さんに大声で罵声(ばせい)を浴びせ始めたのである。 “ここでは近所の迷惑になる”そう判断した山谷さんは、「近くのファミリーレストランで話をしよう」と、彼らをレストランに誘導しようとした。 学会員らは当初、この提案に従うフリをして、山谷さんの後を付いてきたが、彼らが本性を現したのは、一行が一通りの少ない路地にさしかかったときだった。 三人は、「こっちでいいよ」などと言って、強引に山谷さんを一通りの少ない路地に引っ張り込み、山谷さんの両腕を掴(つか)んで拘束しようとした。 身の危険を感じた山谷さんは、その手をふりほどき、まだ明かりのついている商店街の方向へと逃げ出した。 が、学会員はそれをしつこく追いかけ、罵声を浴びせ、こづき回してくる。しかも、どこに待機していたのか、学会員の人数は、十人以上にもなっているではないか。 助けを呼ぼうとして携帯電話を取り出すと、それを奪おうとして何本もの手が伸びてくる-山谷さんはもはや、なす術(すべ)がなかった。 そのうち、「埋め立て地まで運べ!」「車に入れろ!」等と叫びながら、学会員らは、山谷さんの手足を掴んで担(かつ)ぎ上げ、車に運び込もうとした。 “車に押し込まれたら最後だ”山谷さんの恐怖は頂点に達し、無我夢中で暴れた。 山谷さんが必死で暴れるため、運ぶことができなくなった学会員は、今度は、抱えていた山谷さんを路上に叩きつけ、殴る・蹴(け)��の暴行を加えてきた。 山谷さんは、頭といわず腰といわずわき腹といわず蹴りつけられ、鉄柱に体を叩きつけられた。着ていたコートもスーツもボロボロにされて、顔面や頭からも出血が。 山谷さんは、学会員らの隙(すき)をついて必死に逃げ出し、近くにあった焼肉店に転がり込んで「110番してください!」と救いを求めたが、そこにいた人々は恐怖のあまり、すぐに動けなかった。 それも無理はない。なにしろ学会員らは、山谷さんを追いかけて店の中にまで入り込み、皆の目の前で、山谷さんを店から引きずり出したのだから。暴力団かと見まごうその行為を見せつけられれば、誰でも硬直してしまうだろう。 とはいえ、これだけの大騒ぎであるから、当然、通行人がたくさん集まってくる。さすがにまずいと思ったのか、学会員らは、山谷さんを残し、慌(あわ)ててその場を逃げ去っていったのであった。 生命の危機から開放され、すっかり放心状態となった山谷さんが、その場にへたり込んでいるところへ、110番通報によって警察官が駆けつけた。 その後、警察署での、5時間以上にも及ぶ事情聴取にも、気丈に応じた山谷さんだったが、帰宅してからも、頭や体中の痛みが引かないため、近くの病院で受診。 その結果、頭部裂傷・胸部挫傷・腰椎捻挫(ようついねんざ)等により全治3週間、と診断されたのであった。 (中略) 山谷さんに対する誘拐未遂(ゆうかいみすい)・集団暴行事件が発生する5日前の、昨年12月14日の日中、佐藤氏の職場に「ヤマモト」と名乗る学会員から電話があり、山谷さんに対する中傷をさんざん浴びせてきた。 さらに、12月18日の深夜1時半、佐藤氏の家のチャイムが激しく鳴らされ、ドアが乱打されると共に、「出てこい!」との怒号が、マンションのフロア中に響き渡った。 佐藤氏が「何事か」とドアを開けると、そこには学会員が5~6人、仁王立ちになっていた。その男たちは、なんと一斉に、佐藤氏宅に押し入ろうとする。 辛(かろ)うじてこれを防ぎ、ドアを閉めた佐藤氏が、「深夜でもあり、近所迷惑だ」と退去を求めても、外の騒ぎはいっこうに収まらない。 それどころか、応援を呼んだらしく人数が増え、騒ぎはますます大きくなる始末。15分以上も続く激しい喧騒に、佐藤氏はやむなく110番通報したのである。 ところが、佐藤氏が驚いたのは、警察が駆けつけた後の学会員たちの態度。非常識な行動をたしなめる警察官に、「人を訪ねてはいけないのか!」「もう少し早い時間ならいいんだな!」と、逆に食ってかかる始末だったのである。 こうした状況に、佐藤氏が「このままでは済まないな」と 感じたその翌日、山谷さんに対する集団暴行事件が発生したのであった。 すなわち、山谷さん襲撃事件は偶発的なものではなく、起こるべくして起きた、組織ぐるみの、用意周到なものだったのである。 ・・・オウムよりひでえ。てかオウムと同じぐらい害悪だ。 一瞬、北朝鮮もテポドン落とすなら信濃町の創価の本部にに局地的に落とすんならかまわないと思っちまった。 キチガイ宗教そのまんまじゃん。 で、昔はもっと酷かったというからなあ・・・。 確かに世間のバッシングに遭うわ。 そうこうしていくうちに信者が増えていきます。 戸田城聖にカリスマ性があったってのもありますが。 島田裕巳著「創価学会」で戸田についての説明があったので引用する。 一番驚かされるのは、戸田が明らかに酒を飲みながら講演を行っている点である。街の酔っ払いがくだを巻いて滔々と自説を披露することがあるが、戸田のはまさにそれだった。(中略)しかも、ある講演のなかで、その時点で刊行間近だった彼の『人間革命』についてふれ、一所懸命書いたのでベストセラーにしてくれと会員たちに訴えるとともに、前半の部分はまったくのでたらめだとさえ言い放っている。すでに指摘したように、「人間革命」は、誰かの代作によるものと思われるが、… ちなみにその講演のレコードはたまにヤフオクで見かけます。てか、酒飲んでクダ巻いててもありがたがられるとは・・・ で、しゃべりは田中角栄を思わせるざっくばらんな喋りだといいますし。 また、島田氏は、志茂田景樹の『折伏鬼』(文春文庫)という小説から以下部分を引用している。 ちなみに志茂田氏は元創価学会員である。 主人公で著者の分身である「私」は、中学一年生だった1953年、東京の中野で、見ず知らずの中年女性から中野公会堂の講演会に誘われる。ついていくと、高い声で興奮してしゃべる女性の後に、多田皓聖(こうせい)が登場した。この多田のモデルが戸田である。 多田は聴衆にむかって、 「このなかで、あした食べるパンもないというのはいるか、ええっ」と問いかけた。しかし、誰も手を上げない。そこで多田が「こうして、ここから見てたって、気息えんえんて感じのがうようよいる。遠慮しねえで、ほれ、手をあげてみなったら」 と呼びかけると、あちこちで手が上がった。 その光景を見て満足そうだった多田は、 「手をあげた諸君に約束しよう、この多田皓聖が一カ月後に諸君をみな生活苦から解放してあげる。ポケットにはいつも千円札がいっぱいあって、後楽園にいけて、飲み屋のハシゴができて、アルサロにもいけて女給にチップをはずむことができる境涯にしてあげよう。この多田が確約する」 と言い放ったのである。 生活苦からの解放を請け合う代わりに、一日一人を折伏し、一日三時間題目をあげることを聴衆に約束させた。そして、折伏に行くにも金がないのを見越して、 「あす食べる米もない諸君は、折伏にいく電車賃も当然おしかろう。金は折伏する相手に借りるんだ。必死に折伏すれば、相手は信心しなくても金は貸すよ」 と言って、彼らを笑わせた。そして多田は、次のように庶民の夢を語った。 「なにしろ折伏しようや、なあ。われわれがまた四畳半のところに生まれてきて、きたない着物を着て、一生貧乏で暮らしたりするのはいやだもの。生まれおちると、女中さんが三十人もくっついて、ばあやが五人もいて、年ごろになれば、優秀な大学の卒業生として、お嫁さんはむこうから飛びついてきて、良い子どもを生んで、立派な暮らしをする。そういうところへ、つぎには生まれてこようよ、なあ諸君」 まあ、確かにDQNが好きそうな言い回しだわな。 「手をあげた諸君に約束しよう、この多田皓聖が一カ月後に諸君をみな生活苦から解放してあげる。ポケットにはいつも千円札がいっぱいあって、後楽園にいけて、飲み屋のハシゴができて、アルサロにもいけて女給にチップをはずむことができる境涯にしてあげよう。この多田が確約する」 ここら辺が結構俗な感じ。てか、お米ペンダントの金風呂3Pの煽りを思い出す。 「あす食べる米もない諸君は、折伏にいく電車賃も当然おしかろう。金は折伏する相手に借りるんだ。必死に折伏すれば、相手は信心しなくても金は貸すよ」 ・・・ひょっとしてこれはギャグで(ry 折伏だけでもかなりうぜえのになんで金恵まなきゃならねえんだよって。 長いので続きます。
http://blog.livedoor.jp/minority1-nc15/archives/11240692.html
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