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#涼風真世 - 涙は知っている
nakamorijuan · 3 months
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涼風真世 - 涙は知っている Mayo Suzukaze - Namida Wa Shitteiru Rurouni Kenshin - 2nd Ending Theme
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mediasakaki · 2 years
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未遂
 足元の水がぬるい。冷えることを諦め切った水が流れのままに蠢く。通常このように暗い洞窟であれば、流れる川は冷たい筈なのに。真っ赤に霜焼けた足が、力なく液体を掻き分けて、なお彼女は前に進んでいる。
 これまでどう歩いてきただろうか。一般家庭に生を受け、2人の両親のもとに育った。そこそこ恵まれた教育を受け、運か努力か優れた会社に内定した。己の経歴だけを考えると何不自由ない歩み方であった。傍から見れば。彼女は人間が嫌いであった。街を行く知らぬ人間も、コミュニティの見知った人間も、友人も家族も恋人も、無論自分も嫌いであった。人間というものは、哺乳類のうちで最もコミュニケーションが下手な動物である。蝙蝠だってクジラだって、独自のコミュニケーションツールを用いてお互いに協力しあって生きているというのに。人間は言語や五感、ボディランゲージなど、他の生物と比べて遥かに便利なコミュニケーションツールを持っているというのに。逆に、これだけ多くのツールを持っているからこそ、複雑性が増して他の生物ほど単純に伝え合えないのであろう。ツールというものは、あればあるほど不便である。対人関係で何かしらどこかしら上手く伝えられずにつまずいた人間は、その蟠りを抱えたまま自身の子孫を残し、蟠りから来る劣等感を子孫へも伝播し、その子孫もまた上手な生き方を得られないまま蟠りを抱え、周りの人間に伝播し、子孫に伝播し、負の連鎖を生み出していく。彼等は、その連鎖を止めたかった。しかし残念でした。これを断つ方法は、子孫を作らず周りの人間とも関わらないこと、これ一択であった。なのにどうして。人間は生き物だから、このまま生きて一人でも多くの人間と関わろうとする。そこで人間は、本当に助かりたいものは、自らこの負の連鎖を止めるのだ。
 足元の水のぬるさが増す。見下ろすとそこにもう水はなかった。代わりに真っ赤に濁った足が、背後から川面の光に照らされている。川を歩くときに、どれかの岩で足を切っていたようだ。その事実は理解できたが、なんら痛みを感じない。
 一途な愛を踏み躙った。次に残るのは半端な愛だった。いや案外そうではなかったかもしれない。半端だったのは自分の受け取り方であって、自分の愛は邪悪だった。いつまでこの世界で過ごしているのだろう。長老というものは何も偉いわけじゃない。長年生きた経験値と知恵が多いだけ。この景色も相当見飽きた。赤とオレンジと白と水色と青と紫と橙と黒と灰の空を何十年くり返し見続けなくてはならないのだ。鳥が飛ぶ、見つめる。これを書きこむデバイスですら、自身の管理能力の低さからいつデータが消えるかもわからない。人が怒るのを見るのが怖い。それだけで涙が出てしまう。自分に充てた怒りは勿論、全く関係のない他人に充てた怒りですら泣いてしまう。私は優しいんじゃない、逃げているだけだ。逃げてなんかない、私は正義でありたいだけだ。だけど悪役に惹かれるのはなぜ。ああ、電気をつければ景色って変わるんだ。一人で生きていたら電気をつけることすら忘れていた。食べ物を与えてくれる、おなかがいっぱいでも入るときは入る。薬を飲めと言われる。それすら気力がないんだ。そういえばあの話はどうなった。そしたらあれもしないと。うるさい。そういえば最近は暗い夢ばかり見る。夢は深層心理を写すというが、起きていても寝ていても何かにずっと追われているのは勘弁だ。せめて夢の中でくらい楽にさせてくれないか。走り続けるのは疲れたんだ。何もできていない。何も出来ていない。私には合わない社会だった。だから私はもう。
  彼女は歩みを止めた。
 ついに洞窟から出て、目の前には眩い光が青空と広い海を照らしている。ずっと向こう側まで広がっている。暗い洞窟をでたことで足元の血が良く見えた。シャツの端を千切り、傷口を強く縛り付ける。こんなにも痛かったのか。強い海風が頬を撫でる。「涼しい」。それでもこの景色を綺麗だなんて思わない。この感覚を素敵だなんて思えない。
彼女は歩みを止めることしかできなかった。明るい景色に辿り着いたものの、洞窟から出た先は断崖であった。かろうじてこの先もここに立っているか、もしくは背後の暗い洞窟へ戻ることしか、できなかった。
または、目を閉じて、この断崖で左足を一歩前に踏み出すことしか、選択肢はなかった。
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bookmeter-blog · 2 years
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2022年7月の新刊情報
2022年7月の新刊で、発売前から読みたい本登録数がたくさん集まっている作品や、読書メーター運営事務局が注目している作品を紹介します。 読書メーターの読書家さんたちに発売前から注目されている 新刊、シリーズ最新作、文庫化です!
 新作
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リーガルミステリーの新星、圧巻の最高到達点!
 幻告 
  五十嵐 律人
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世にも美しいアート×ショート・ショート
 マイ・プレゼント 
  青山 美智子
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恐ろしくて歪んだ世界に五つの物語が私たちを導く
 紙の梟 ハーシュソサエティ 
  貫井 徳郎
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抱腹絶倒・感涙必至の本の旅!
 その本は 
  ヨシタケシンスケ,又吉直樹
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あなたの心に火を灯す驚愕×号泣ミステリ―!
 終活中毒 
  秋吉 理香子
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毎月2万円の貯金。節約を重ねてでも、欲しいものがあった――。
 財布は踊る 
  原田 ひ香
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ちょっぴりつらい今日の向こうは、光と音があふれてる。
 掬えば手には 
  瀬尾 まいこ
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いくつもの人生が交差して響き合う、極上の青春群像劇。
 腹を割ったら血が出るだけさ 
  住野 よる
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六つの世界の物語が一つに繋がる一大幻想奇譚
 箱庭の巡礼者たち 
  恒川 光太郎
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直木賞作家 今村翔吾の凄みあふれる驚愕の歴史短編集
 蹴れ、彦五郎 
  今村翔吾
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「夜の街」の住人たちの圧倒的なリアリティ。芥川賞候補作。
 ギフテッド 
  鈴木 涼美
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丸山正樹「デフ・ヴォイス」シリーズのスピンオフとなる児童書
 水まきジイサンと図書館の王女さま 
  丸山正樹
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誌上発表後、新聞各紙絶賛、話題沸騰!第167回芥川賞候補作
 家庭用安心坑夫 
  小砂川 チト
     
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「人を消す物語」の正体は。長編ホラーミステリの神髄!
 あさとほ 
  新名 智
  
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心に潜む “明るすぎる闇“に迫る著者新境地
 嫌いなら呼ぶなよ 
  綿矢 りさ
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ままならなさを悪態に変え奮い立つ、19歳のヘヴィな日常。
 あくてえ 
  山下紘加
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人間の取り返しのつかない刹那を描いた4篇
 とんこつQ&A 
  今村 夏子
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学長選挙に暗躍するダーク・ヒーローあらわる!
 フクロウ准教授の午睡 (文春文庫) 
  伊与原 新
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鬼才ケアリーが描く、もう一つのピノッキオの物語。
 呑み込まれた男 
  エドワード・ケアリー
  
 シリーズ新刊
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土地と記憶をめぐる四世代にわたる物語、感動のシリーズ第五作
 菓子屋横丁月光荘 金色姫 (ハルキ文庫) 
  ほしお さなえ
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シリーズ累計50万部超!感動と涙のストーリー完結編
 水族館ガール9 (実業之日本社文庫) 
  木宮 条太郎
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『自由研究には向かない殺人』待望の続編
 優等生は探偵に向かない (創元推理文庫) 
  ホリー・ジャクソン
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ケーキの橋をふたりで歩こう。尊い二人の青春スペシャリテ第6弾
 ケーキ王子の名推理 6 (新潮文庫) 
  七月 隆文
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ロボットと人間の心温まる超人気シリーズ、待望の第5弾!
 ロボット・イン・ザ・ホスピタル 
  デボラ・インストール
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これは、少女があいされて幸せになるまでの物語。
 わたしの幸せな結婚 六 (富士見L文庫) 
  顎木 あくみ
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澪の淡い恋の行方も気になる、呪術幻想譚シリーズ第二弾。
 京都くれなゐ荘奇譚(二) 春に呪えば恋は逝く (PHP文芸文庫) 
  白川 紺子
  
 文庫新刊
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東野圭吾の「家族」の物語。待望の文庫化!
 希望の糸 (講談社文庫) 
  東野 圭吾
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圧倒的な筆致により日本SFと世界文学を接続する著者初の短篇集
 嘘と正典 (ハヤカワ文庫JA) 
  小川 哲
  
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『しずかな日々』『るり姉』の著者が描く喫茶店ミステリー
 純喫茶パオーン (ハルキ文庫) 
  椰月 美智子
     
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したたかに生きる正子の姿を痛快に描き切る極上エンターテインメント
 マジカルグランマ (朝日文庫) 
  柚木 麻子
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読者の心に「熱」を残さずにはおかない書き下ろし歴史大作
 熱源 (文春文庫) 
  川越 宗一
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バルサが挑む、ロタ王国の歴史の闇!
 風と行く者 (新潮文庫) 
  上橋 菜穂子
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復讐に生きる女性の情念を描いた愛憎のミステリー!
 灼熱 (PHP文芸文庫) 
  秋吉 理香子
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真梨ワールド炸裂!あなたは騙される快感を知る。
 坂の上の赤い屋根 (徳間文庫) 
  真梨幸子
  
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kyo-sakisaka · 2 years
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最果 #6
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続き物です。とある小説家と画家のおはなし。 以前よりご覧いただいている方々、お待たせしました。 キリが良いので少し短いですが、ようやっと中盤くらいになったかな(遠い目) ここから少しずつ伏線やらなんやらどうにかなるかもしれない
表紙お借りしています→illust/69660367
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 決定的に違う。そんなことを分かっていながら、彼と共にいたいなんて傲慢にも程があるのだ。愛じゃない、と宣告されたこの感情は、それでは一体なんだというのだろう。彼と僕の間にある明らかな違和の種明かしもせず、ただただ酸素を吸い潰すだけの毎日に、どこに価値などあるのだろうか。  轟くんはなにかを隠している。分かっていたはずなのに、改めて突き付けられると心がみしみしと軋んだ。それでも僕は、轟くんの傍から離れるという選択をすることができなかった。  なぜか? 簡単だ。僕も轟くんも、もう戻れないところまで来ていた。   (行き止まり…………、)    からん。グラスを揺らせば、そんな甲高い音が鼓膜に響く。うろ覚えのテレビによると、今日の最高気温は  三〇℃近くになるそうで。からん、からん、と涼しげな音を立てるのは氷の入った麦茶のグラスだけで、開け放たれた窓から気まぐれのように吹く風は涼しさとは無縁の、むしろ熱風を運んでくるばかりだ。担当の彼からの連絡がなければ、今頃僕はこんなところにいないというのに。そんな考えてもどうにもならないことを思いながら、時折グラスを持ち上げてはからからと氷を揺らす。  担当の彼曰く、事前に確認した手筈通りオークションへの出品準備は整っているらしい。そうして今夜、そのオークションが開かれる。自分の絵を手放すことに大した未練もなかったはずなのに、不思議と今日は誰にも会う気にならなかった。それはもちろん、轟くんも例外ではない。だからこんな真夏日に、自分で借りていたアパートへと数か月ぶりに戻ってきたわけなのだ。 「……臆病だな」 『愛じゃないんだよ、緑谷くん』    少年、と口にすることを辞めた先生。青に囚われたあの人の時間は、僕が心配なんてしなくてもきちんと前に進んでいた。それがどうにも寂しいと感じてしまう僕は、一体どこまで愚かなのだろうか。  あの日以来、轟くんと普段通りに会話できていない。不信感、というと少し違う。僕らは最初から信頼もなにもないのだから。僕らの間にあったものとい���ば、ありふれた感情への共感と盲目的な依存くらいだろうか。  汗ばんだグラスが机の上を濡らすのも構わず、僕は机に突っ伏した。愛だとかなんて、この歳になって今更考えるものでもない。まさか先生にそんなことを言われるとは思っていなかったのだ。  そんなことを考えていた時だった。突如として、机が震える。いや、正確には机の上に置かれたスマホだ。震え続けるスマホの画面は、担当の彼からの着信を告げていた。 「はい」 『先生!? 一体何が起こってるんです!?』 「……はい?」  耳に当てたスピーカー越しからにもわかる、彼の焦ったような声。慌てふためく彼の様子に思わず眉を顰めてみせるも、僕自身心当たりなどない。一体何が起こってるのかなんて聞きたいのはこっちの方だ。 「えーっと、とりあえず何があったんです?」 『何があったって……中止ですよ! 中止!』 「中止?」  頭が痛くなってきた。大層興奮している彼の様子を見るに、まともに話を聞けないかもしれない。こめかみを抑えながら僕はむくりと起き上がる。落ち着いてからまた今度――そんな言葉を言おうとした口が、止まる。   『オークションが中止されたんですってば!』 「…………………え」  からん、と鳴る氷の溶ける音。開け放たれた窓から舞い込む甘い香り。それは徐々に強さを増して、甘ったるいとさえ感じるほどになる。無花果(いちじく)の匂いだ。どこかぼんやりそんなことを考える。  限りなく透明な季節にいた。侵食する夏の匂いに、なにかが焼け落ちていく。ぐわん、と視界が揺れたかと思えば、聞こえるのはひどくうるさい蝉の声。ふと足元に鈍い痛みを感じて、僕はゆっくりと視線を下ろす。気が付けば手元からするりとスマホを取り落としていた。スマホが落下した音すら、蝉の声がかき消していたのかもしれない。全身がひどく強張っていた。油が切れた人形のように、通話中と表示されたままのディスプレイを見やる。   『先生、あなた一体何したんですか』    落としたスマホからは、彼の声が響いていた。      ***      ごぽり。    どこかで音がする。水音だ。気管を空気でない液体が満たしていく音。行き場のなくなった酸素が、口から喘ぐように吐き出される音。けれどもそこに苦しさはない。   『泳ぎたい』  誰かが言う。それは僕の声じゃない。 『泳げない』  誰かの声は、続けてそんな言葉を吐き出した。    ――これはなんだ? 僕はいま、なにを見ている?    担当の彼から連絡を受けて、それから僕はどうしたんだったか。記憶がひどく曖昧だ。自分が自分でないような感覚なのに、なぜか不快ではない。それどころか、どこか居心地の良さすら感じる。 「知ってしまったろ」  どこからかそんな言葉が吐き出される。驚くことに、その出所は僕だった。同時に、その言葉の意味を直感的に理解する。    そうだ。僕は知っていた。この場所がどこか。泳ぎたいと口にする誰かの声の正体を。  それは僕だった。僕であって、いまは僕でない。轟くんの声だ。泳ぎたくて泳げない轟くんと、泳げない僕――いや、正確には「泳がなくなった」僕の声だ。  そして知ってしまったのだ。この場所に、その果てに、楽園なんてものはない。見てみたいだなんて口にしながら、それが空想の産物であることに気が付いている。“ここではないどこか”なんて、この世のどこにもありはしないのだ。    不意に、視界が真っ白に染まる。あたりを見渡しても、先ほどまでの海原はどこにも見当たらない。例えるならそれは、なにもない真っ白な部屋だ。けれども僕は、それに驚きもしなかった。    ぼとり。    足元に何かが落ちる。誘われるかのように視線を下げれば、そこにあったのは真っ赤な果実。その果実を認識した途端、どこからか甘い香りが漂った。    ――無花果だ。    それは真っ赤に熟れていた。ぼとりと落とされた無花果の実は、衝撃に耐えきれずその一部がひしゃげてしまっている。甘い香りはそこから発しているようで、この閉鎖された白い部屋に徐々に充満していった。 「…………なんだ、そういうこと」  甘い。くらくらと脳髄を蕩かしていくような、無花果の香り。それに手を伸ばしたのはもはや必然だった。だってそうだろう? そうでなければ、はじまりすらなかった。  僕は笑った。苦笑を堪えることができなかった。これほどまでに相応しい過ちなどない。逃げたい――? おかしな話だ。逃げたいもなにも、僕はそこにいないというのに。  真っ赤に熟れた無花果。その果肉にがぶりと噛み付く。途端に舌先にじゅわりと甘い果汁が広がった。それは直に脳内に伝わって、ひどく倒錯的な快楽を与えてくる。    ――ああ、美味しい。美味しくてたまらない。    僕を見つめるひとつの影に、僕は視線を投げかけた。欲がないように見えて、頑固なきらいがある君は、この果実に決して手を伸ばそうとしないだろう。 「正直に言うよ。僕はきみが羨ましかった」  きみは俯いたまま、じっとひしゃげたままの無花果を見つめている。きみの分まできちんと用意されているというのに、手を出そうとしない。いや、躊躇っているんだろうか? 「夢を見続けるきみが、羨ましかったんだ」  僕はもう夢を見ることができない。画家であるというのに、絵すら描けなくなってしまった僕には。ただひとり自分の王国に立てこもって、張りぼての空を眺めるだけの日々。泳がなくなった僕には、海を漂う資格なんてものはないのだから。  次第に息が苦しくなった。おかしい。ここは先ほどまでの海ではないというのに。どうしてこうまで、息苦しいのだろう。どうしてこうまで、瞳が熱いのだろう。瞳の体積からあふれだした涙が、頬を伝っていく。いつしかそれは、嗚咽になっていた。甘い。美味しい。どうして。――どうして。  嗚咽混じりの涙を流しながら、それでも僕は無花果を咀嚼し続ける。この手のひらのうちからこぼれた海が、どこまでも美しく思えて嫌だった。どうしてなくしたものばかり、捨ててしまったものばかりに、美しさは宿るのだろう。 「………………………………」  言葉が続かない。きみに会ったらもっと、もっと伝えたいことがあったはずなのに。どうして僕は、この果実を食べずにいられないんだろう。まるでそれが、生きるための手段だといわんばかりに。  いつしかきみは、僕を見つめていた。きみがこの果実に興味がないことくらい、僕は最初から知っていた。きみが躊躇う理由なんてひとつしかなかった。そうしてゆっくりと、きみが口を開く。 「――ちがうのか?」  眼球が熱い。焼け爛れてしまいそうだ。ひっきりなしに流れ続ける涙に、いっそ嫌気が差す。僕たちは違う場所にいたのに、違う椅子に座っていたというのに、それなのにどうしてきみはここにいるんだろう。どうしてきみは、そうまでも優しいんだろうか。 「……おまえと違うのは、嫌だな」  きみは笑った。手にした無花果に、がぶりという音を立てて。      ***   「――――――――――ッッッ!!」  意識が浮上した。  そう認識した途端、僕はがばりと飛び起きる。ひどく生々しい夢を見た。白い部屋と、無花果の実。それから――おまえと違うのは嫌だと笑った、轟くんの顔。  見渡せばそこは自分の部屋だ。白い部屋なんてどこにもない。先ほどまでの光景が夢だとわかっていても、変わらず心臓は早鐘を打っている。じくじくと鳴り続ける蝉の声に、わけもなく気持ちが急いた。なんとなく、轟くんに会いに行かなければならない気がした。  とうに充電の切れたスマホを片手に、家を飛び出る。夏のきつい日差しが肌を焼くように照り付けて、痛みすら感じるほどだった。  はやく、はやく行かなければ。こめかみから流れ落ちる汗が鬱陶しい。かといってそんなことを気に留めている余裕なんてものがあるわけもなく、僕はもつれそうになる足を必死に動かしていた。    ――不思議な夢を見た。    溶けてしまいそうなほどの青。ごぽりと音を立てた泡の集合。音が息絶えた真白い部屋。色鮮やかな無花果の実。  不思議な夢だ。とはいえ夢なんてそんなものなのだから、目が覚めてその整合性が取れなくとも別段不思議に思う理由もない。だというのに、どうしてこうまでも僕は焦っているんだろう? どうしてこんなにも、轟くんに会わなければならない気がするんだろう? 「まって」  吐息交じりに呟く。必死に走る僕を嘲笑うかのように、向日葵が僕を見つめていた。憧れの光を忘れられないのに、反比例してくすんでいった僕はきっと健全とは程遠い。それはきっと轟くんも同じだった。僕らは最初から臆病で、なにかを諦めていた。僕にとっての絵が、轟くんにとっての何かに相当するのだろう。  奇しくも口からこぼれ出た言葉は、あの人に言えなかった言葉だ。どこまでも青いあの海原で、手を伸ばしてすり抜けたもの。    ――まって。    一体何を待ってほしい? 僕は何に追いつきたい?  わからない。自分のことも、轟くんのことも、なにもかもがわからない。いま僕を突き動かしているのは、もはや衝動としか言いようがなかった。夏の密度を最大にした風が頬を撫でる。汗を吸ったシャツが重い。   『緑谷?』    夏が連れ去った幻とでもいわんばかりに、家主のいない家はがらんどうとしている。いつもだったら聞こえるはずの声が、聞こえない。轟くんの姿がどこにもない。食卓テーブルの上に残されたクロワッサンと、開け放たれたままの窓から漂う無花果の香り。脳裏に浮かぶのは、あの夢の最後で見た轟くんの困ったような笑みばかり。 「とどろきくん」  何も知らない。何もわからない。  臆病で、傷を舐め合うように傍にいた僕らは、どこまでも遠い。ちいさく呟いた僕の声は、無人の部屋に吸い込まれて消える。溶けて消えるだけの結末しか残らない。  それを否定する権利なんてものは、僕にはないのだ。だって、知ろうともしなかった。轟くんが何をやっていて、どんな人で、どうして僕に一緒に住まないかなんて言ったのかを。ぬるま湯のような居心地の良さに甘えるばかりで、それを当たり前だと思ってばかりいた。こんな曖昧な、すぐにでも途切れてしまいそうなものに縋って、それが永遠であることを祈った。祈るばかりで、なにもしなかった。  伽藍洞だ。家具も物も家電も、つい先日までとなにひとつ変わらないというのに。それなのに、ここにはなにもない。まるで、この世の最果てのような場所。 「……嫌だ」  嫌だ。轟くんが、このまま消えるだなんて。もしも彼が帰って来なかったら。もしも僕と二度と顔を合わせることなどないとしたら――。  冷静に考えてみれば、僕は間違いなくおかしいのだろう。直感的に嫌な予感がする、だなんて曖昧な理由さえなければ、ただの留守にすぎないのかもしれない。それでも今の僕には、それができない。今の僕と轟くんの間には、安心する材料の一つすらないのだから。  気が付いた時には、轟くんの私室へと走り出していた。そこは今まで一度として入ったことのない部屋。曖昧な関係の僕らがいつまでも曖昧なままでいられるようにと、最後の砦のように頑なに足を踏み入れることのなかった場所。はやる鼓動に急かされるようにして、ドアノブを捻る。鍵は開いていた。 「……うそ、」  無機質な扉の色から視界が開ける。そこは何の変哲もない書斎に見えた。けれども僕は、その場所を「何の変哲もない書斎」だとは到底思えなかった。壁に貼られた資料の数々。知らないはずなどない。わからないはずなどないのだ。だってそれは、僕が密かにファンである、あの作家――氷叢焦凍の小説に出てくるものなのだから。    ――うそ。    酸素を求めて開いたはずの口が、何も得ることができないまま閉じられる。それを数度繰り返して、僕は魚のように喘ぐことばかりしていた。あまりにも衝撃的なことに理解が追い付かないと、人間は酸素すらも吸えなくなる。そんなことをどこか他人事のようにぼんやりと考えながら、酸欠の体を持て余していたのだ。  落ち着いて考えてもみれば、最初からおかしなことだらけだった。どうして今の今まで僕は気付かなかったのだろう。始まりは――あの日、映画館で轟くんに出会ったことだろうか。あるいは、あの元同業者の彼からムービーチケットを貰ったこと? それとも――僕の預かり知らぬところで、それよりずっと前から何かが始まっていた?    頭の中を凄まじい速度で記憶が駆け巡る。ムービーチケット。コインランドリー。レシート。鰯の群れ。共犯者。王国。逃避行。展覧会。横断歩道。オークション。無花果。    ――噎せ返るほどの夏の匂い。 「う、あ、ぁ、」  頭が痛い。割れてしまいそうだ。蝉の声と無花果の匂いが混ざり合って、吐き気すらした。どこまでも清廉ぶる夏が、その裏側で僕を笑っている。この世のどこにも逃げ場がない。置いていかれた、だなんて被害妄想ばかりが膨らんで、弾けてしまいそうだ。  僕は引き出しを、本棚を、机を、手当たり次第に物色した。いけないことだなんて、そんな理性はもう働いてすらいなかった。欲しかったのだ、証拠が。脳裏を過ぎる不気味な感覚を払拭する証拠が欲しかった。すべてが偶然だとか、僕の考え過ぎだとかいう、証拠が。  不安と焦りにじりじりと思考を焼かれて、一体どれほどの時間が過ぎた頃だろうか。引き出しの奥、まるで大切なものをしまい込むかのようにそれはあった。 「手紙、…………」  シンプルで上品な空色の便箋。それを目にするなり僕は唐突に思い出す。自分で言うのも恥ずかしいのだけれども、現役時代にはファンレターの類のものを受け取ることが何度かあった。なかでも熱心に届いたのは、空色の便箋。差出人もなければ、何処の誰かもわからない。返事をするにもできなかった、あの差出人不明の空色の便箋がここにある。それが何を意味するのか、僕はとうとう認めざるを得なかった。   『今日一日、家にいたけど』    違う。轟くんは知っていた。僕が留守にすることも、あの場所で展覧会が開かれることも。知っていて、会場を見上げていた。そうして僕と、目が合ったのだ。 「……みどりや?」  背後から聞こえた声に、反射的に振り向く。いや、振り向いてしまった。買い物に出ていたのだろうか、レジ袋を片手に立ち尽くす轟くんがそこにはいた。次いで、がさりとそれが落ちる。落とした拍子に茶色の何かが転がった。――クロワッサンだ。 「とどろき、くん」  ばちり、と色違いの瞳とその視線が合う。  見られた。見られてしまった。ばれてしまった。勝手に彼の部屋に入って、物色していたことが。息を呑んだ僕の視線の先で、轟くんが目を見開いている。ばれてしまったのだ。お互いの秘密が、曖昧にしてきたものが。僕らを分け隔ていた透明な境界線が、今確かにこうして顕になっている。それはとてつもないほどの絶望に思われた。 「………………」  僕らは何も言わなかった。言えなかった。噎せ返るほどの夏の息苦しさに充てられながら、何も口にできなかった。言葉を探して、口を開いては閉じる。恐ろしい。どこまでいっても、実態の掴めない雲のような彼が。だというのに、この場を去ることができない。絶望と、恐ろしさと、――それでもこの人は僕の隣にいてくれるのだとかいう、馬鹿みたいな期待が綯い交ぜになる。僕らはきっと、今ここで「はじめて」になったのだ。 「…………話をしよう、緑谷」    ***      夏の記憶のなかに、俗に言う青春なんてものの影が伸びたことはない。そう思ってはいたものの、時が経てば記憶は美化されるものだということをこの歳になって知った。僕の青春は、確かにあったのだ。そして恐らく、轟くんにも。  恋愛の如何だけが青春ではないなんていう持論を持つ僕は、やっぱり夏への劣等感に思考を焼かれているんだろうか。それでも僕は思うのだ。僕の青春は、間違いなくあの海だった。どこまでも穏やかに微笑むあの人と過ごした日々だったと。  そのすべてが、今や後悔に変わってしまった。さざなみの音と、潮の匂いが連れてくるのは、結末だ。先生の結末と、僕の結末。僕が絵を描けなくなった理由くらい、考えるまでもない。  ふいに、無花果の香りが鼻腔を掠める。隣にいる轟くんを見るも、もちろんそこに無花果はない。夢の中での姿が思い出されて、自然とそのくちびるに視線が吸い寄せられた。   『…………おまえと違うのは、嫌だな』    赤く色付いた、薄いくちびる。歯が果肉を噛み切るぷつり、という音。  困ったような笑みを浮かべた轟くんの姿を、その背中越しに重ねる。話をしようと口にした轟くんはひどく青褪めていた。轟くんが何を考えているのかだとか、どこまで知っているのだとか、そんなことは僕には知る由もない。    轟くんは僕を外に連れ出した。話をしようと口にした彼が、何も話すことはない。どこへ行くでもなく、ただただ彷徨う亡霊のように、僕らは夏の中にいた。薄着で来たつもりだけれども、相変わらず背中には汗が伝っている。轟くんの背中を追いかけながらも、僕は何も口にすることはできなかった。 「………………………………」  ――手。轟くんの、手のひら。    いや、違う。正しくはあの人の、氷叢焦凍の手のひら。僕の憧れの、作家の手のひら。難しい。頭が痛い。「轟くん」と「氷叢焦凍」が、僕の中で重ならない。そうだったんだと頭の中で理解しながらも、心の底から拒絶しているような気分にもなる。たぶんきっと、これは言い訳だ。轟くんの前で見せてしまった弱みの言い訳なのだ。  僕は慰めのように、間違いのように、轟くんの手を取った。きっと正解などどこにもないのだ。先生のことだって、轟くんのことだって。轟くんの手のひらは、柔くて温かった。寂しいのかな、なんて妄言じみたことすら思った。    何の因果か、気がつけば僕たちは潮の匂いに揉まれていた。ざあ、と寄せては返す波の音に、否が応でも先生の影を見つけてしまう。あの人を奪った青。それでいて僕が憧れた、あの人を奪った、僕の青。何度嫌いになっても、何度諦めようとしても、青は僕を逃がしてくれない。離してくれやしない。ぎゅう、と繋いだ手のひらに力がこもった。轟くんが、握り返したのだ。    ――共犯者。僕らはそれ以上でも、以下でもない。 「……海は、あんまり得意じゃないんだ」  堰を切ってしまった言葉は止まらない。その収集など誰も付けてくれやしない。だというのにどうすればいいのかわからないから、嫌になる。  目の前を歩いていた轟くんの足が、ぴたりと止まった。それからゆっくり、ばつが悪そうな顔をしてこちらを振り返る。本音を他人に口にしたのは、一体いつぶりだろうか。轟くんの端正な顔立ちに、影が差す。その様を、じっと見ていた。 「そんな顔しないでよ」 「……だって、」 「きみを責めてるわけじゃないんだ」 「でも、俺はお前に――」 「知ってる。きみが僕のことを知ってて、僕に正体を隠してたこと」  ひゅ、と息を呑む音が聞こえた。次いで聞こえたのは、蝉の声。傾いた太陽が海に色を差して、僕らの足元に影を伸ばす。轟くんは優しい。こうしてまた、自分を責めてしまう。 「……どうして?」  彼は知っているのだろうか。僕が絵を描かなくなった理由を。先生の事故のことを。どうして彼は、そこまで僕に執着するのだろうか。  そっと目を伏せた。波の音が聞こえる。大好きだった波の音が、こんなにも恐ろしい。がたがたと体が震え出して、吐き気のような気持ち悪さが腹の奥底から湧き上がってくる。それを押し殺すように俯けば、ぎゅう、と轟くんに抱きすくめられた。 「どうして僕なの、轟くん」  彼の心臓の音が聞こえる。胸に頭を預けてその音に耳を澄ませていれば、不思議と恐怖が溶けていくような気がした。僕が愛した夏が、帰ってきたみたいだ。あの人を奪われる前の、夏が。  轟くんは、何も答えなかった。ただ、この世でいちばん尊いものみたいに、僕をずっと抱き竦めていた。馬鹿みたいに必死なその有様がなんだかおかしくて、けれどもおかしなことに僕も泣きそうだったから、ずっと目を瞑っていた。鼓膜の奥を満たす波の音が、心地良い。いつまでもこうしていたいとすら思う。 「………まだ、泳ぎたい?」  オレンジ色の西日が目蓋の裏に降る。その眩しさに、僕はうっすらと目を開けた。 「うん。……でも、少し違う」 「泳ぎたい。お前と一緒に」  ……それから先のことは、ひどく曖昧だ。僕だったようにも思うし、僕の姿かたちをした別人のことのようにすら思える。覚えているのは、突然に降り出した夕立と、雨宿りしたバス停。それから、轟くんの長い睫毛が雨でしとどに濡れて、その雫が僕の頬に落ちたこと。   『――教えてくれないの?』    僕の問いに答えるかのように頬を撫でた彼の手のひらが、一体どれくらいの温度だったとか。くちびるに感じた甘さは、やっぱり無花果だったのかな、だなんて。    覚えているのは、それくらい。――精々、それくらい。
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yuupsychedelic · 2 years
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詩集「いつかの君に逢いにゆく」
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詩集「いつかの君に逢いにゆく」
1.「君の唄うラブソングが好きでした」 2.「プリマドンナは君だけ」 3.「君と僕とオースチン・ミニ」 4.「硝子のココロは君のせい?」 5.「君はハートブレイカー」 6.「いつかの君に逢いにゆく」 7.「嫉妬」 8.「私たちの結婚」 9.「あなたと私とユナ」 10.「シンガーソングライターの時代」 11.「最後のツイスト」 12.「SINCE 2022」
1.「君の唄うラブソングが好きでした」
大人になったら 無邪気な恋を懐かしむ 大人になったら 穏やかな愛に憧れる 私もそうなるのだと信じてた
ウエディング・ベルは遥か遠く ラブソングさえも似合わない 野良猫のような青春を 風に吹かれながら生きてしまった
あなたに出逢う前は知らなかった こんな気持ちになるなんて 嬉しい 悲しい 楽しい 当たり前の気持ちが愛おしい
愛とは互いを認めあうこと あなたの音楽が好きでした
大人になったら 無意識の恋をしなくなり 大人になったら 爽やかな愛に憧れる 私に無縁だった日々の決めつけ
パクチーもコーヒーも嫌いなまま お酒もタバコも未体験 野良猫のような青春を なんとなくで生きてきてしまった
あなたに出逢う前は知らなかった こんな気持ちになるなんて 辛い 切ない 悔しい 当たり前の気持ちが愛おしい
あなたのために大人になる 僕だって大人になれる 恋も 愛も 夢も いつかわかるようになるから
愛とは互いを認めあうこと あなたの音楽が好きでした
熱に浮かされたように 初めて恋に堕ちた だけど時を重ねるうち 現実へ還っていく
あなたを何故好きになり あなたの音楽に何故惹かれたのか…… ふと正気に返る瞬間が深い傷になる
あなたに出逢う前は知らなかった こんな気持ちになるなんて 辛い 切ない 悔しい 当たり前の気持ちが愛おしい
あなたに出逢ってからの私と あなたに出逢う前の私は 確かに変わったけど 今の私にあなたは居なくてもいい
愛とは互いを認めあうこと あなたの音楽が好きでした
本当はあなたのことも好きになりたかった…… 君の唄うラブソングが好きでした
2.「プリマドンナは君だけ」
もし君が傍にいるなら こんなに不安にならないのさ 僕はもう吹っ切れたよ
未熟を涙で誤魔化さず すべて捧げた青春 それでも君の幸せを願ってる!!
出逢った時から 君は学校のスタアで 何故恋人なのか不思議だった
今思えば…… 見透かされてたんだよね なんて愚かなんだろう
仮に時を戻せても きっと同じ過ちを犯す 嘆くだけじゃ始まらない 人生という名の物語
もし君と恋が続いたら やりたいこともあったのに 未だ上の空
孤独を涙で誤魔化せず すべて晒した青春よ それでも君を好きになって 僕は変わった
誰かと手を繋いだのも ファーストキスも いつも君が初めてで 大人になってからも 君と恋がしたかった
でもアイツと出逢って 君も変わってしまったよ
もし君の想いを縛れたら ここに繋いでおけるのに 現実は残酷すぎて
うつろな瞳で 僕を見つめる君は もうかつての君じゃなく 誰かの恋人
本音はアイツを懲らしめて 君を奪い返したい
だけど……そんなことをしたら 君が傷つくと知ってる
ここは僕が引き下がった方がいい 大粒の雨よこの愛を流して
もし君が傍にいるなら こんなに不安にならないのさ 僕はもう吹っ切れたよ
未熟を涙で誤魔化さず すべて捧げた青春よ それでも君の幸せを願ってる!!
どんなに時が流れても プリマドンナは君だけ 素直に愛を注げるのは今も君だけ
孤独を涙で誤魔化せず すべて晒した青春よ
それでも君を好きになって 僕は変わった
3.「君と僕とオースチン・ミニ」
壊れかけのドアに なけなしの身を委ねた 遥か昔 青春の頃 オンボロ・ワゴンで行こう!
出来立てのハイウェイ 朝焼けに向かって走れ 水平線 まだゴールは見えず 昔話を弾ませて
カリフォルニアの風が サンルーフを揺らす 三速から四速に上げて 少し先へ急げ
散らかったままの夢の痕 始まりのトレーラーハウス 屋上で二人誓った 夢をこれから叶えにゆく
あの赤い橋を越えて アイツの背中を掴め!
かつての恋人や 好きだった君の面影 目的地が近づくほど 気分はセンチメンタル
今やジャーニーマン 夢のために Here we Go…… 水平線 明日はどこへ? その日暮らしの俺でも
カリフォルニアの風が 涙を誤魔化すよ 人の暮らしと自由な生き方 信じてほしい
ありふれた言葉じゃ語れない 平凡な夢じゃやり尽くせない だから素晴らしき人生 この夢は終わらない
怒りも抱きしめて アイツの背中を掴め!
リアシートで眠るギターが すべてを慰める 叶わなかった恋や 掴めなかった夢さえも
散らかったままの夢の痕 始まりのトレーラーハウス 屋上で二人誓った 夢をこれから叶えにゆく
ありふれた言葉じゃ語れない 平凡な夢じゃやり尽くせない だから素晴らしき人生 この夢は終わらせない
カリフォルニア・ドリーマー 赤いクルマからすべてを始めよう
4.「硝子のココロは君のせい?」
春かすみ 昼下がり 目に留まる その背中 すべての始まり……
春宵 卒業の日 何も始まらぬ 虚無感 すべては片想い……
好きになればなるほど 嫌いが怖くて 愛が強ければ強いほど 見えぬ何かに怯えてる
そんな情けない俺を お前はどう感じただろう どうせ目にも留まらず ただの知り合いだったろう
嗚呼 未だ忘れられない 青春時代の恋心
夏祭り 友と訪れ 目に留まる その黒髪 心 燃え上がる……
だが涼風 また後悔 消えてゆく 面影に 心 崩れていった……
時が経てば経つほど 好きが怖くなる 距離が縮まるほど 些細な綻びは目に留まる
こんな俺だからこそ お前は愛さなかっただろう どうせ視界にも入らず ただの知り合いだったろう
嗚呼 未だ解けない 青春時代よ…… 恋の魔法よ……
「あなたの心には他の誰かがいる」 恋をするたび 最後はいつもこの言葉
嗚呼 未だ忘れられない 青春時代の恋心
嗚呼 未だ解けない 青春時代よ…… 恋の魔法よ……
愛が深くなるほど 嫌いになる
5.「君はハートブレイカー」
たとえ都会に染まっても あなただけは忘れない……
いつか、こんなことを君は言ったよね 久しぶりにばったり会ったら 見知らぬ誰かと手を繋いでいた 思わず他人のフリをして 通り過ぎるしかなかったよ
あなた色に染まりたい あなた色に染まってみたい
僕なんかじゃ不満だったよな 負け犬は静かに去るだけ 君はハートブレイカー
たとえ人混みの中でも あなたを見つける自信がある……
いつか、こう笑顔で指切りしてくれたよね アプリの中の君に かつての無垢な姿を重ねる 思わず涙が溢れてきて また世界が君色に染まってしまったよ
わたし色を知りたい わたし色を知ってみたい
僕が最初に見つけたんだ 星空に呟いても虚しすぎて 君はハートブレイカー
愛ゆえに悲しい 君を本気で愛してたから
初めて出逢った時の僕らは 少しだけ髪が長くて短かった でも幼いなら幼いなりに 君のことをちゃんと覚えてた そしていつの日か君に告白した
あなた色に染まりたい あなた色に染まってみたい
その決め台詞(キラーフレーズ)は かつての僕への決め台詞 時を戻してよ
今の君も好きだけど 昔はもっと輝いてた ねえ、覚えてるよね?
この言葉に一瞬目が泳いでも 表情に迷いはなかった 剥がされた瞬間 僕は悟ったよ 恋も青春も終わったこと
それでも君を好きになってよかった ハートブレイカー
6.「いつかの君に逢いにゆく」
君と交わした約束を頼りに あの街へ帰ってきた 変わらぬ景色 懐かしの友 白黒写真に色がつくよう
大人になったら 私たち結婚しようね
無邪気な言葉に 確かな愛情 忘れられない記憶
ふと君のことを尋ねると いきなり友は沈黙して 口を噤んだまま 何も言えなくなった その瞬間 僕はすべてを悟った……
ずっと傍にいれたら こんな結末はなかったのかな 後悔の海に身を投げたまま この罪を一生背負わなければならないのか
僕らのまっすぐ過ぎた愛に 慰めの言葉はいらない 君の笑顔も 怒った顔も 全部守ってあげたかった
ごめんね 今更遅過ぎたよね
君のことが心配だったんだ 押しが強いけど決められないところとか 情に脆いところも 困ってる人を放っとけないところも 僕がついてたら何か変わったのかな
春になったら この街を出るんだ
無邪気な言葉に 唖然とする君 今思えば……
叶いもしない夢を追いかけた日々 友は僕を責めるけど あの頃は走ることしか頭になかったんだ 誰の顔でもなく自分しか責められない どんな言葉も綺麗すぎるんだ
ずっと夢中だったら こんな結末はなかったのかな あの子は少しばかり優しすぎたんだ 友の言葉が胸に刺さったまま
僕は君のぬくもりを求めて 故郷をただ彷徨うだけ 別れ際、飛び切りの笑顔を見せてくれた あの表情がすべての餞別……
ごめんね 未だ信じられない
次の日…… ある友から見せられた写真に ぬくもりを求める君の姿が映っていた 見たこともないポーズに舌を出して まるで別人のように笑ってた
そして「これがあの子の最期の写真だ」と 彼は力なく呟いた
守ってあげたかった 一緒にいたかった もっと話がしたかった 優しくなりたかった
痛みをわかりたかった 笑いたかった そして何より…… もっともっと君を知りたかった
いつかの君に逢いにゆく この虚しさを責めてほしい 誰の声でもなく君の声で 僕に「何してるんだ」と言ってほしい
もっともっと君を好きになりたかった ぎゅっと君を抱きしめたかった 最期くらいは傍で君を守りたかった
7.「嫉妬」
決して見えぬように 心にかさぶたを貼った
自分自身を演じて ここまで生きてきたけど 本当に残ったのは素直な僕だけ
遥か彼方のステージで 君は君の歌を唄う そのメッセージで狂喜乱舞 いつか憧れた姿さ
何度でも 何歳でも 倒れたら立ち上がって やり直す勇気があるなら 泥だらけでもいい
いくつになっても 自分だけの意地を持って 人は死ぬまで生まれ変われる だから今日からLet's Try!!
つらいことはつらいと言えず 嬉しいことも誤魔化して 似合いもしない仮面劇(ポーカーフェイス) ひとり演じてきた
いつかの君に憧れて 君の真似もしたけど そう簡単に上手くはいかない 言葉じゃわかっているさ
はじめてのときめきを 僕は忘れてないかい? 倒れても立ち上がり ずっと愛のままに
僕は僕なりに素直に生きる 必ず叶えてみせるよ 何度でも 何歳でも 走る!! いつでもTry Again!!
叶いそうで叶わなかった あと一歩が大差だった 何度見たかわからない 悔しさの河の中に 眩い光をもう一度だけ見つけてみたいよ
星空の海に言葉の橋を架けよう たとえ届かぬ虹の先も 今の僕なら手が届く気がする
何度でも 何歳でも 倒れたら立ち上がって やり直す勇気があるなら 泥だらけでもいい
明日も 明後日も 胸を張って失敗しよう 何度でも諦めず 未来の風向きを信じて
いくつになっても 自分だけの意地を持って 人は死ぬまで毎日生まれ変わる だから今日からLet's Try!!
僕は僕なりに素直に生きる 必ず叶えてみせるよ 何度でも 何歳でも 走る!! いつでもTry Again!!
僕の未来に見えるのは 輝ける明日さ
8.「私たちの結婚」
静けさのベルリネッタ 穏やかに微笑む 神戸港が美しい
階段下ですれ違った女(ひと) 何者でもないその瞳(め)に どうしようもなく 惹かれてしまったわ
優柔不断が売りなのに この日だけは違った いきなり足が動き出し 両手掴むまで止まらずに
きらめくオリオンの調べに乗せ ふたりの恋が深呼吸する 夜空の星に誓った愛は きっと永遠になるの
出逢いの街 チャペルで交わしたキスは 恋が結ばれた証
麗しのビドゥルボ 月夜に照らされ ネオンは旋律を奏でる
指輪では判らない 言葉では現せない こんなに強い気持ち 生まれて初めてよ
普段は何も言えないのに あの日だけは違った 運命の悪戯みたく 次々と言葉が生まれたの
ときめくカニス・ミノルの導くまま ふたりの恋は天体を飛び立つ 幾多の時が刻まれたこの宇宙で あなたのすべてを愛したい
出逢いの街 ふたりで築いたテラスは 恋が愛になった証
こんなに深く美しく 私達は愛し合っているのに 夜明けを待つばかりで何も出来ない 歯がゆい想いはもう終わりにしたいの
さあ、行こう! カニス・マヨルの奇跡を信じて 喜望への道 ここはドーバー海峡
この街ならふたり結ばれる 狂おしく愛おしい生活(くらし)を手放しても 遠く離れた街で願う いつか戻れるよね
出逢いの街で 答えを求めた 青春の日々が懐かしい
今は見知らぬ街で 新しい生活(くらし)を…… ふたり捜している
9.「あなたと私とユナと」
きっと幼馴染だよ みんなはこう表すけど 実は最近出逢ったばかり
同じクラスになって 一気に仲良くなってさ
あっという間にお決まりの三人
好きとか嫌いとか そんなのじゃなくて 一緒にいないと落ち着かないの 離れたら恋しくなるの
ふたりと友達になれて 本当に幸せ
あと一年もしたら 別々の道を歩むけど それまでにいっぱい作りたい とっておきの思い出
大切なあなたと 恋って言葉じゃ測れない 私たちの記憶を 残したい
休み時間も帰り道も ずっと三人だった 一緒にいないと淋しいの 離れたら私じゃないの
いつもわがままばかりでごめんね My Friends……
このまま大人になれるって 高校時代は誰もが一度は思い込む 本当は違うのにね 笑いたくなるほど私達は純粋で 現実を知ったとき 立ち尽くす……
いつも最初はユナだった 何かを決める時は そんなユナを信じてる 幸せ・恋愛・その未来 もちろん……あなただって
好きとか嫌いとか そんなのじゃなくて 一緒にいないと落ち着かないの 離れたら恋しくなるの
ふたりと友達になれて 本当に幸せ
いつまでも私達 たまには逢おうね
10.「シンガーソングライターの時代」
自分の想いも考えも伝え方を知らずに 気づけばギターをつま弾き歌ってた あの時めきが運命でした
数えきれぬほどの歌を作り 時に罵声も浴びました それでも自分だけを信じて 歌ってきて良かったと思います
“シンガーソングライター”なんて呼ばれて カラーページに顔を出すようになって 何か変わったわけでもないのに 「あいつは変わってしまった」とか 「商業主義に走った」とか 勝手なこと言ってんじゃねえよ
今の私を愛して 私の歌だけを信じて 心が闇に包まれた時こそ 私だけを見てほしい
私だけが季節に取り残された気がして レゲエとかフュージョンとか なんでもやってましたよね
でも自分のいいと思ったものが やっぱ一番いいんですよ そんな当たり前に気づいたのは ちょっと遠回りしたからなの
“シンガーソングライター”なんて呼ばれて 若いからってチヤホヤする奴がいる 「男だから」「女だから」ってなんだよ 「あいつは生意気だ」とか 「その態度が気に食わねえ」とか 勝手なこと言ってんじゃねえよ
今の私を愛して 私の歌だけを信じて 心が闇に包まれた時こそ 私だけを見てほしい
私があなたを愛して あなただけを抱きしめて 共感のぬくもりをあなただけに 私だけを見てほしい
すぐ側を通り過ぎていった仲間へ 階段を降りていった仲間へ あの日の教室で語らった夢 それぞれの場所で今も覚えていますか?
今の私を愛して 私の歌だけを信じて 心が闇に包まれた時こそ 私だけを見てほしい
私があなたを愛して あなただけを抱きしめて 共感のぬくもりをあなただけに 私だけを見てほしい
11.「最後のツイスト」
ナイトクラブで夜通し 踊り明かしていた頃 私はちょっと天狗気取りで 腰を振っていたよ
あなたに出逢っても 時々知らんぷりして いつか頬を叩かれるまでは ロクに話もしなかった
フォークソングの季節は過ぎ去り 冬の街をふたり歩く たしかな愛も掴んだけれど 恋愛よりも大切なあなただけは忘れられない
最後のツイスト 若かったあの頃 身も心も歳を取ったが 忘れられない…… 忘れたくない夢がある
アルバトロスが潰れて 行き場を失った時 ボブ・ディランはもう合わぬと 楽譜を燃やしてしまった
かつてのあなたによく似た若者 街ですれ違う度 その面影 気付いて振り向いても 矛盾混じりの溜息
熱に浮かされた季節は過ぎ去り 冬の街をふたり歩く 子どもも幸せも巡り逢えたけど 今でもあの頃のあなたが忘れられない
最後のツイスト 歳を重ねた今こそ 身も心も歳を取ったが 負けられない…… 負けてられない意地がある
いつかあなたの好きなアイドルも 時代が終わる時は来る そして振り返ると気づくだろう 早送りのビデオみたいだ…… まるで
若さだけで走れた季節は とうの昔に過ぎ去り 冬の街をひとり歩く 今だからわかったことがある 時代は気まぐれさ
最後のツイスト 若かったあの頃 身も心も歳を取ったが 忘れられない…… 忘れたくない夢がある
最後のツイスト 歳を重ねた今こそ 身も心も歳を取ったが 負けられない…… 負けてられない意地がある
最初で最後のツイスト 始まりはあなたから
12.「SINCE 2022」
ひとつ上の先輩に憧れて 私もピアノを始めたよ 最初はこんなステージに立てるなんて 想像もしてなかったけど
今はあなたがいるから どんな歌も声も力になる 大切な人や愛を守るために 今日もここで音楽を奏でるわ
三国ヶ丘のステージで 恋の歌を歌っていた頃 聞いてくれたのはふたりでも 心は胸いっぱいのぬくもりに満たされてた
今こそあの頃に感謝を あなたと青春を謳おう
明日に向かって 一歩目を踏み出す 勇気があれば それでいいよ
夕陽が沈む寸前の公園で あなたとよくセッションをしたよね 庄内の街で愛を叫んでいた頃は まだ大人になりきっていなかった
いつか友と夢を語り合った日は どんな歌も届く気がした 遠い国で音を見つめるあなたに この声は届いているかな?
心斎橋のステージで 無邪気に歌っていた日は どんなに叫ぼうとも明日は見えずに 帰りの電車で愚痴をこぼしてばかりだった
今こそあの頃に感謝を あなたと青春を謳おう
夢があるなら 私と一緒に 勇気があれば それでいいよ
もう愛の歌を唄いたくはないと 恋人とぶつかった日もある 大恋愛が終わった夜 かつての友に久々に電話をした
嫌いになりかけていた音楽が 友と歌うだけでまた好きになった
私はやっぱり音楽しかないの 愛すべきものがわかった気がした
三国ヶ丘のステージで 恋の歌を歌っていた頃 聞いてくれたのはふたりでも 心は胸いっぱいのぬくもりに満たされてた
今こそあの頃に感謝を あなたと青春を謳おう
明日に向かって 一歩目を踏み出す 勇気があれば それでいいよ
あなたと私のこのステージは すべての物語の始まり かつて私が音楽を始めた頃 無邪気に夢見てた場所
夢は叶えるためにあるもの 一緒に手を取り合って 私はそれが偶然音楽だっただけ あなたとまだ見ぬ夢を叶えよう
今こそあの頃に感謝を これからもあなたと…… 青春を謳ってゆこう
2021年12月20日:詩集「いつかの君に逢いにゆく」 作 = 坂岡 優 リスペクト = あいみょん, 松井五郎, 売野雅勇, イーグルス, 松本隆, 山下達郎, 高見沢俊彦, 高橋研, 辻村深月, 生田絵梨花, 幾田りら, LGBTQ+の権利のために闘い続けている人たち, かつてのクラスメイト, 中島みゆき, 吉田拓郎, すべての夢を追いかけるあなた, 私を応援してくれたすべての人たち, マックス・フェルスタッペン, 私のヒーロー(すべて敬称略)
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itigo-popo · 3 years
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こんにちは!今回は前回と前々回で予告したクランちゃん🌹とグレン君🥀についての記事です!毎度の事ながら原作者である🍓ちゃんに頂いた資料を元に、感謝の念と溢れる熱量と共に解説していきます〜!🌻
★二人の立ち絵は後々また描き足すかもしれません。グレン君の立ち絵の方は下記にて…!
【2021/09/23追記:一部文章の修正と追加済み】
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舞台はとある王国に聳え建つ大きな城。厳重に施錠された塔一角の部屋に一人の薔薇色の少女が国から手配されたメイドの監視下の元、一人ぼっちで幽閉されていました。
その少女の名は〝クラン・ローゼンベルク〟といいます。
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★補足
この王国は前回のオズウェルさんが訪れていた村があった国では無く、はたまた村を襲った敵兵の国でも無く、次回の記事で書かせて頂く予定のルイの出身国でもありません。
因みにラブリーちゃんとミハエルさんはオズウェルさんと同様に後に地上に降り立ちますが恐らくまだこの時点では天界在住です。各自地上に降りる理由ですがラブリーちゃんは保護者役になったオズウェルさんに連れられ、ミハエルさんはラブリーちゃんを追ってという理由かと思われます。
花夜と春本に至っては作者が🍓ではなく🌻で舞台も日本と全く違う為こちらは国以前に蚊帳の外です。カヤだけに。
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話を戻しまして…クランちゃんの出生ですが、
王国専属の魔法使いが連れて来た子です。
クランちゃんが幽閉されている城や国の主導権は主である国王と息子である王子に有りますが当然〝連れて来た〟からには彼らの娘という立ち位置ではありません。
ならば貴族の子か?というと違い、かといって村や街に父や母がいる訳でも無く…しかし孤児でも人攫いでもない。
遠く離れた血縁でもありません。そんな少女を一体どのような目的で幽閉までし、人目を避けさせ隠しているのか…。
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それには理由が有りました。まず国王は国全体の権力者達や政治家達、軍事機関、研究機関と深い繋がりがあります。
そしてクランちゃんの傍には彼女に正体を隠している国から派遣されたメイドが世話係と銘打って監視をしています。
万が一逃げ出さないようにしているからです。つまるところ
クランちゃんは純粋な人間ではありません。
元々彼女は無限に膨大な魔力を発生させる事が出来る装置のような存在として創られました。
この魔力を国や王は軍事や国家機密の研究に利用する為クランちゃんを幽閉していたのです。
そして、それらは後発的にそうなったのでは無くクランちゃんが創られた理由でもあります。
因みに王と違い王子は善良で国王共々クランちゃんに直接の面会はなかったものの彼女への幽閉や以降に記述する〝ある〟研究内容に反対しています。
この王子の存在が後々の展開に大きく影響していきます。
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ここまで禍々しく書き連ねて来ましたが、クランちゃんは種族としては人間です。正確には〝天使に近い存在〟です。理由は後程。
とはいえ機械では無いと言えど彼女の魔力の使い道を考えますと、それこそ機械のように扱い然るべき施設内にて監視且つ管理し利用した方が効率も良いのでは?と疑問も感じ無くもありません。
ましてや愛らしく着飾る洋服も本来は最も必要が無いはず。
この辺りについては彼女を連れてきた王国専属の魔法使いが大きく関係しています。彼女も権力者の一人でもあります。
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女性は国から頼まれた魔力装置を創る為に神様の元に訪れます。神話みたいですね!この神様なのですが現在は地上界に隠居中のようでして前回のオズウェルさんの記事の時にて登場した全智の天使に神としての役割を引き継いでいます。
こう見ますとそれぞれ在住していた国は違えど皆々同じ🍓が描いた世界に住んでいるのだな〜と嬉しくなる🌻…!!
つまりクランちゃんは神様が人間として創造した子ですので、先述でいう〝天使に近い存在〟なのです。
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しかし、何故この時点で敢えて〝人間〟として創ったのか。
これは神様の意思からではなく魔法使いの女性がそう創って欲しいとお願いしたからです。
歳も取りますし、国としては今後も末永く使っていく効率を考えますと悪手のように感じざるを得ません。
これに関しては恐らく魔法使いの女性が、前回のオズウェルさん同様に人間が好きだったからだと伺えます。
但し、この女性もオズウェルさんと同じく良識的な人間を好いており王国の民が好きで且つ彼らを護る為に王国専属の魔法使いをしています。故に国王や後に記述する研究機関等のやり方には眉を顰めており、まだこの時点では内側に潜めていますが彼女もまた王子同様に反対派なのです。
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上記の通り魔法使いの女性は慈悲深い方で、クランちゃんを連れて来た際に大切に扱うようと国王に釘を打ちます。
魔法使いとしての実力も然ることながら神と繋がっていたりと特殊なパイプ持ちでもありますから国王も彼女の言い分を無碍に扱わず、提示された条件を呑み承諾します。
一種の取引みたいなものでしょうか。人間として創られた事以外は国王側からしても悪い話ではなく、そんな些細な欲求に対し首を縦に振ってさえしてしまえば無限の魔力の提供という膨大な利益を得る事が出来るのですから。
以降クランちゃんは〝幽閉〟はされているものの、衣食住や遊ぶものにも困らない何不自由のない生活を送ります。
城に来た当初は四歳くらいで、とても幼なかったのですが今現在は十四歳まで成長しています。世間を知らずに育った為やや浮世離れはしていますが心優しい性格に育ちました。
魔法使いの女性も仕事の合間に遊びに来てくれたりと、血の繋がりこそ有りませんが母と娘のような関係を築きます。
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因みに、これ以降の展開には神様は全く関与して来ません。
クランちゃんを創造したのち、その後どう扱われるか又は持たせた魔力によって一つの国がどうなっていくのか…。
それに関心も無関心も無い。手を貸すのも偶然且つ必然。世界を憂い愛と平和を謳いながら冷徹で残酷な傍観者です。
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視点をクランちゃんに戻します。
上記の方でふんわりと触れましたが彼女の素知らぬところで彼女が生成する強大で膨大な魔力は軍事利用を始めとした王国専属である〝機密〟の研究機関により非人道的な人体実験にも使われてしまいました。
その人体実験の内容は、身寄りの無い孤児を集め兵士として利用する為にクランちゃんの魔力を使い潜在する運動神経を刺激し著しく向上させるという実験です。
この実��が成功した暁には対象は常人離れした身体能力を得る事が出来ます。
但し実験対象が魔力を持っていた場合クランちゃんの魔力に影響される副作用か又その後遺症か、魔力が消失します。
数々の孤児が犠牲となり失敗作と成功作が生まれました。
救いは先述した王子や魔法使いの女性に根回しされたのか失敗作の孤児達は城内で働いてるという事でしょうか。
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★補足
魔法使いの女性がクランちゃんを連れて来なければ、事前にこのような人権を無視した事態は未然に防げた筈です。
恐らく企画段階で、孤児の子達を含めた彼女が愛する国民達の命を天秤に掛けられてしまった又は人質に取られる等、弱味を握られてしまったからではないかと思います。
又は孤児の子達が人体実験以上の危機に晒されてしまう等。
クランちゃんを敢えて〝人間〟としたのは人間が好きだから以外にも訴える想いやメッセージが含まれていそうです。
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凄惨な実験の果てにクランちゃんの魔力に適合し成功した孤児達は軍事利用の為、兵士としての教育を受けます。
その中でも逸脱した身体能力を覚醒させた優秀な成功作である一人の真紅の少年がいました。
その少年の名こそ〝グレン・クロイツ〟元孤児であり、この人体実験の被検体の一人だったのです。
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過酷な境遇だった為か、それとも教育の影響なのか自身を〝駒〟と呼び感情を表に出さない少年です。淡々と任務遂行する姿は一人前の兵士にも全てを諦めているようにも見て取れます。その後は暫くの間、その高い能力を見込まれ王城専属の傭兵兼使用人として過ごしていました。
そうして与えられた任務や日々を、ただただ機械的に過ごしていた彼に、やがて突然過ぎる転機が訪れます。
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とある業務で偶然、中庭にて作業をしていた日のことです。
これまた偶然にも部屋の窓から中庭を見下ろしていたクランちゃんの目に、グレン君の姿が留まりました。
先述通りクランちゃんは浮世離れ気味で世間を知らない面があります。自分と似た髪色、瞳の色を持つグレン君に好奇心に似た興味を抱きそれ以降、窓の外で彼を見かける度に目で追うようになっていきました。
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魔法使いの女性が国王に釘を指してくれたお陰で、大事にはされていますがクランちゃんは幽閉をされている身です。
流石に十年もそれが続けば、室内に居るのがが当たり前に育ったといえど飽きが来るというもの。
退屈だったクランちゃんにとって、外で見掛けるグレン君は羨望の的のように輝いて見えていたのかもしれません。
そして遂には我慢出来なくなった彼女は訪れていた魔法使いの女性に頼み。彼と遊んでみたいとお願いします。
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クランちゃんの口からこのような〝お願い〟が出たのは、恐らく今回が初めてで魔法使いの女性はそれを快諾します。
グレン君にとっても異性同士とはいえ同年代の子と…ましてや遊ぶ機会なんて随分と無かったと思いますから悪い話では無い筈です。足早に国王に掛け合いました。
国王は些か呆れ気味に聞いてはいましたが、多少グレン君の仕事内容に調整が入る程度であり通常通りの任務にクランちゃんと遊ばせるという風変わりなものがくっつくだけなので返答をそこまで渋るような内容でもありませんでした。
もし不穏な動きが有れば予めクランちゃんの側近として配置させているメイドがグレン君を拘束し再教育するように研究機関に送り返すだけです。
こうしてグレン君は傭兵兼使用人又はクランちゃんの従者兼遊び相手��して勤めるようになり晴れて二人は顔を合わせる事となりました。
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因みに銘を受けた当日のグレン君ですが上司に呼ばれ初っ端口頭から「最重要人物の護衛及び監視の任務だ」と告げられ、流石のグレン君も涼しい顔の内心では戦々恐々としていたのですが蓋を開けてみれば少女と文字そのままの意味で遊ぶだけだったので拍子抜けしたとかなんとか。
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最初こそ主にグレン君が警戒を示して距離感があったもののクランちゃんの能天気な…おっとりとしたペースにだんだんと絆されていきました。二人は徐々に親密になります。
好奇心からか人懐っこく少々抜けている愛らしい面もあるクランちゃんに対しグレン君も素で少々辛辣な言葉を投げ掛けてみたりと魔力装置とその魔力による被検体とは思えないような微笑ましく仲睦ましい関係値を築きます。
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少し引っ掛かるのは、クランちゃん自身に知らされていない事とはいえ自身や周囲の孤児達をこのような姿にした元凶でもあるクランちゃんに対してグレン君は怒りや怨みを感じ無かったのだろうかという点ですが恐らくそんな事は無く、だからこそ最初の頃は警戒し場合によっては一夜報いて処分される気もあったのではないかなと思います。
しかしクランちゃんと触れ合っていくうちに連れ彼女自身の境遇も決して良いものとは言えず彼女もまた被害者の一人であるという答えに落ち着いたのではないかと推測します。
二人が親しい友人となるまで、そう長い時間は掛かりませんでした。しかし同じくして穏やかな時間も長くは続いてくれなかったのです。
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これまでの国王の横暴な統制に国民や一部兵士の不満が爆発しクーデターが勃発したのです。
瞬く間に王国内が戦場と化しました。勿論、国同士の戦争では無く内紛でです。城内にも怒号と罵声が響き渡ります。
意外にも早々に劣勢に陥ったのは国民側ではなく王国側でした。軍事力は王国側が保持しているものの肝心の指揮が行き届いていなかったのです。何故そのような事態に陥ったか
国王も混乱していました。何故ならクーデターを起こした先導者は実の息子、自身の傍で仕えて来た筈の王子だったからです。
だいぶ遡った先述にて書かせて頂いたこの王子の存在が後々の展開に大きく影響していくというのが、ここで繋がります。ずっと傍らで国王の人を〝駒〟のように扱う王政、そして非人道的な研究への協力等々人権や意志を無視したやり方を見て来た王子は、裏で傷ついた国民や兵士達に寄り添い反旗を翻すタイミングを見計らっていました。
恐らく魔法使いの女性も王子同様に以前から国民側として裏で手を引いていたと思われます。そして、このクーデターはクランちゃんとグレン君の保護までしっかりと視野に入れられており、外部にも漏らさぬよう慎重に計画を練られていた筈のものでした。
魔力提供したものとは又違いクランちゃん本体の強力な魔力は、王城内外のバリア等あらゆる動力源としても使用されてしまっており図らずしもクーデターを起こすには厄介なものとなってしまう為、一時的に城外に避難させる必要がありました。そこで警備が手薄になる内乱での混乱に乗じてグレン君が外の安全地帯に彼女を連れ出すという算段の筈でした。
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一足…いや二足も早くクランちゃんの側近であった王国専属のメイドが王子や魔法使いの女性の規格外に動きクランちゃんを拘束します。
彼女はただのメイドではなく王国の為に戦闘��員として教育された暗殺者の一人でした。思うに彼女は事前に王子や魔法使いの女性の裏での行動に気付いており尚且つグレン君がクランちゃんを連れ出すという計画まで〝メイド〟として傍で聞き確実に王国側を勝利させる為敢えて大事にせぬように内に潜ませ、虎視眈々と様子を伺って来たのではないかと思います。
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★解説では早い段階でメイドの正体は王国から手配された監視役と明かしていましたがクランちゃんやグレン君達が彼女の正体に気づくのは今この瞬間です。
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さて確実に王国側を勝利させる条件ですが、それはクランちゃん…もとい、
無限魔力発生装置の主導権を王国側が絶対的に握り最大限に利用する事です。
これまでは魔法使いの女性との契約により大事に扱ってきましたが王国側から見たら今の彼女は裏切り者です。
よって契約は破棄と見なされ、クランちゃんを大事に且つ丁重に扱う理由も無くなりました。
逃げようとするクランちゃんの手をメイドは捕まえます。
当然そんな裏事情など知らずに十年間、彼女に信頼を置き剰(あまつさ)え家族のように慕っていたクランちゃんは酷くショックを受けます。
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予定外の展開にグレン君も呆気に取られ、動揺している間にクランちゃんは王城内の他の部屋に攫われてしまいました。
今までと打って変わり問答無用という態度にグレン君も普段の冷静さを失い激昂し、それこそ同士討ち前提の死を覚悟しクランちゃんを死に物狂いで探します。
もしこれが王国の手により強化された人間同士の一対一の純粋な決闘ならグレン君にも勝算が見えたかも知れません。
しかし現状は内部戦争です。相手も無策な訳がありません。
ここにきて王国側からの新たなる刺客がグレン君とクランちゃんを絶望の淵に追いやります。
城内が混乱する渦中やっとの思いでグレン君がクランちゃんを探し当てた部屋には怯える彼女と一緒に最凶で最悪な暗殺者が血色の眼を揺らしながら尋常でない殺意と狂気を放って恨めしそうにグレン君を待ち構えていたのです。
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この刺客とは一体何者なのか。まず、クランちゃんの側近であったメイドは王国に忠誠を誓う暗殺者の一人でした。要は彼女の他にも暗躍していた者達が存在していたのです。
その中でも現在グレン君と対峙している暗殺者の少女はタチが悪く、例えば暗殺者でありながらも世話係の兼任を担っていたメイドが持つような理性が崩壊しており殺しそのものを生業とする生粋の暗殺者です。そして国王以外に唯一、メイドが信頼する彼女の実の妹でもあります。
この暗殺者の少女はクランちゃんやグレン君と同じ年頃でありますが、元々の素質か暗殺者として育て上げられた過程でか価値観が酷く歪んでしまっており『自分を見てくれるから』ただそれだけの理由で暗殺を遂行してきました。
今回も例に漏れずグレン君が『見てくれるから』彼を殺そうとします。そこに最早もう内部戦争だとか暗殺任務だ等は塵程に関係ありません。
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★補足
この間クランちゃんを暗殺者の妹側に任せて姉側のメイドは何処に行っていたのかと言いますと、国王の元へと助太刀しに行っていたのではないかと思います。クーデターが勃発している現状、命が一番危険に曝されているのは国王です。
この姉妹も出生はグレン君と同じく孤児であり特に姉のメイドの方は王国に拾われた恩義から強い忠誠心を持ち結果としてクランちゃん達と敵対しました。
しかし妹の方は精神が壊れてしまっており暗殺の理由である『見てくれるから』という物言いの仕方からして、国に恩義を感じる以前に幼さ故に愛情不足等々のストレスに心が耐え切れなかったのだと推測します。
因みに姉妹と表されていますが血の繋がりはありません。
二人の関係ですが、少なくとも姉の方は妹を大事にしている印象で壊れてしまった妹と同じ年頃であるクランちゃんの傍で仕えながら、同じく彼女らと同じ年頃であるグレン君と一緒に従者として働いていた日々の内心を思いますと複雑なものがあります。
因みに約十年間メイドとして触れ合ったクランちゃんの事は「嫌いでは無かった」ようで今回の王国側と国民側の対立が無ければ、もっと良好な関係が築けていたのかもしれない。
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★補足2
今まで触れて来なかったクランちゃんの戦闘能力ですが無限に魔力を発生させれるものの、温室育ちであり恐らく王国側からの指示で万が一抵抗された際に厄介なので護身用の教育を受けていません。よって王国の動力源に使われる程の高い魔力を持っているにも関わらず戦闘能力は皆無です。
素質としては王城の防御壁代わりに使われていた防御魔法に特化しており、攻撃魔法より守護面に長けているようです。
しかし今回の件を考えますと王国側の判断は大正解だったようで実際にクランちゃんは戦闘場面においての自身の力の使い方が分からずグレン君を守る事が出来ませんでした。
これに関しては、先を見据えて指示した王国側がしたたかであったと言う他ありません。
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視点を絶体絶命のグレン君とクランちゃんに戻します。
グレン君も傭兵として培われた経験や過酷な訓練を乗り越えて来ただけあり持ち前の身体能力を持ってして抵抗します。全ては囚われてしまったクランちゃんを救ける為。いま彼女を敵の手中に収めてしまったら、もう二度と会えなくなってしまう…そんな胸騒ぎがグレン君を焦燥に駆り立てます。
しかし相手は〝殺人〟に関して一流であり加えて精神が崩壊している為ブレーキが存在せず惨殺するまでグレン君に執着し続けます。例えクランちゃんが自分を犠牲にしグレン君を見逃すように叫んでも羽虫の鳴き声程にしか捉えない又は聞いてすら…はたまた聞こえてすらいないのです。
その結果、グレン君くんの必死の攻防は悲劇的で尚且つ最悪な結末として無念にも終わってしまいます。クランちゃんの目の前でグレン君の身体は鋭利な刃や黒魔術により深く刻まれ嬲られ満身創痍となりました。
死体よりも酷い有り様の瀕死状態で、まともに呼吸をする事すら出来ているのか分からない程に変わり果てたグレン君の姿にクランちゃんは遂には泣き崩れてしまいます。
その凄惨な光景は、誰がどう見ても逆転不可能な幕引きにしか見え無かったのです。しかし…
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クランちゃんの泣き声を聞きグレン君は最期の力を振り絞り傷だらけの体で立ち上がります。
それとほぼ同時に魔法使いの女性が率いる一部の反乱軍がグレン君とクランちゃんを護るように部屋に突入し、反乱軍である国民と魔法使いの女性の決死の助力によってクランちゃんとグレン君は先述していた計画を組んでいた際に事前に用意されていた外の安全地帯へと送られたのです。
そして���時刻…クランちゃんとグレン君の逃亡劇の裏で、王城の玉座の前では国王は国の繁栄を、王子は民の意志を継いで、互いの思想と理想の為に親と子は剣を振り下ろしました。
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安全地帯に送られ、文字通り命からがら城外に逃げる事が出来たクランちゃんとグレン君。クランちゃんは初めて出た外を不安げにきょろきょろと見渡します。足取りも覚束無いまま緊張の糸が切れ尻餅を着くクランちゃんの横で、どさりと重たい音がしました。グレン君が倒れたのです。
逃げる前グレン君は重症よりも酷い状態でした。その深手のまま敵に抗い痛みを感じる以上にクランちゃんを助ける事に必死でした。自分の命を犠牲にしてまでもクランちゃんに生き延びて、生き続けて、生きていて欲しいと。
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二人を逃がす前に、魔法使いの女性から応急手当として回復魔法を受けていたと思われるグレン君ですが恐らく魔法使いの女性は回復魔法は専門外であり、専門の術者もその場におらず呼びに行くとしたら時間が掛かってしまい目の前の敵に隙が出来てしまう…そして、それ以前に暗殺者の黒魔術が蝕んでしまったグレン君の体や魂は、もう助からない段階まで症状が進んでしまっていたのだと思われます。
魔法使いはグレン君に眴せします。流石にグレン君を治療が行き届かない外に出す訳にはいきません。例えもう助からないとしても1%でも生存確率を上げるならばクランちゃんを一人で外に逃がし、そして暗殺者と今も尚対峙している為この場は危険な場所には変わりませんが医療班が来る望みがまだ有る分こちらにグレン君は残っているべきと…ですが
その真紅の瞳は近くまで来ている〝死〟への恐怖は微塵も感じさせず最期までクランちゃんを護りたい、傍にいたいという強い願いと従者としての誇りを、肌がひりつく程に感じさせました。
いずれの選択にせよグレン君が長く無いのは変わりません。ならば彼の意志を最大限に尊重するのが、せめてもの手向けになるのではないか…そうして魔法使いの女性は、それこそ断腸の思いでクランちゃんと共にグレン君を送り出しました。彼女にとっても王国により犠牲となってしまった国民である一人の少年を。そして大事な娘…そのような存在であるクランちゃんの、やっと出来た大切な友人を自身の目の前で救えなかったのですから…。
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安全地帯にさえ来てしまえば、クランちゃんはもう大丈夫です。役目を終えグレン君は血塗れた瞼を穏やかに閉じて息絶えていました。従者として友として最期まで彼女の傍にいました。
グレン君の死にクランちゃんは酷く悲しみました。しかし、もう先程のようには泣き叫びませんでした。膝枕するようにグレン君の頭を乗せ、泣いていた時の余韻を残して少し赤く腫れてしまった瞳で何かを決意したようにグレン君の亡骸を見据えます。そして彼女の〝救けたい〟という純粋な想いと祈りは、潜在的に宿り眠り封じられた秘められし〝奇跡の力〟を覚醒させます。
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二人を取り囲むようにして、周囲をクランちゃんの強い魔力が顕現した証である紅い薔薇が、まるで今から起こる出来事を祝福でもするかのように咲き乱れ華やかに舞い踊ります。
随分と遡った先述にて記させて頂いた通りクランちゃんの実態は人間ではなくどちらかと言うと天使に近い存在です。
そう、今まで鳴りを潜めていた天使としての力が覚醒したのです。そして運命に翻弄され続けた少女の無垢な祈りは無事に天へ届きました。
こうして意識を取り戻したグレン君の視界には宝石のような瞳に涙を一杯一杯に溜めたクランちゃんが映り、揶揄ってやろうとするも束の間に抱き締められ、傷に響くと小さく呻きつつも照れくさそうに抱き締め返すのでした。
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天使の蘇生術を施された反動によりグレン君も人間ではなくなってしまいました。クランちゃんも以前のように人間の真似事のような歳の取り方を出来なくなってしまいます。しかし、そんな事は今の二人にとって、とてもとても些細な事でした。
その後の長い長い年月を、クランちゃんとグレン君は互いに手と手を取り支え合い二人は幸せに生きていくのでした。
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ここからは補足と後日談。内紛は王子が率いる国民側が勝利し、研究施設諸々は取り壊され軍事の在り方についても一から見直していく事となりました。国民を踏み台として富や税を貪っていた一部の権力者達も総入れ替えを行い今度は国民に寄り添える王国を目指し今ここに若き王が誕生しました。
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元国王の処罰そして処遇については王子自身が殺害での解決を望まない人柄に汲み取れた為、権力を剥奪した状態で王子側の兵士の監視下の元軟禁または国民が知る由も無い住居にて隠居させているのではないかと思います。後者の隠居の場合に関しては見つからない場所でないと恨みが収まらない国民が国王を手に掛けてしまう事が危惧出来るからです。
これに関しては元研究員達や元王国側の権力者達そして例の暗殺者であった姉妹達にも同じような処遇が下されたかと思います。もし更生が可能ならば数年後には贖罪という意味合いも込めて表で活動出来るよう手配をする事も考慮して。
但し人として余りにも許されない行為をしてしまっていたり、更生の余地や意思が無いようであれば再出発をした王国を脅かす脅威となる前に正当に処罰を降したと考えます。
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その後のクランちゃんとグレン君について。
隠居とはまた違いますが、復興中の王国内が落ち着くまで暫くは安全地帯での生活を余儀なくされます。とはいえ生活で必要な食料や衣料品等は、新しくなった国からほぼ毎日届いており特に不便や不自由なく暮らせる状態です。
落ち着きだした頃には魔法使いの女性も二人が人間ではなくなってしまった事情も知った上で変わらぬ様子で接し度々顔を出すようになります。まるで新婚さんのような二人を茶化す母親のように。
安全地帯に関してですが、恐らく特に危険な生物が生息していない森の中で目立たないながら赤い屋根の可愛いらしいお家が建っており、そこを王国内に戻るまで仮住まいにしていたのではないかと推測。もしかしたら、そのままそこに住み続けているのかも。小鳥のさえずりで起きてほしいし、クランちゃんには森の小動物と遊んでほしい。
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以上がクランちゃんとグレン君編でした!🌹🥀
クランちゃんの愛らしさも然る事ながらグレン君という一人の男の子の生き様と言いますか在り方が格好良すぎる…!!
因みに今後ルイ達と邂逅する時が来た場合、時系列的には逃亡後の二人と会うのが正解なのですが、お城…箱入り娘のお嬢様…と見せかけて実は囚われの身の女の子…グレン君との主従関係…イイよね…みたいな感じで🍓と話していて、んじゃあ逃亡前にするか〜と審議中だったり🌻
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そうだ、せっかくなので…魔法使いの女性、クランちゃんのメイドであった暗殺者のお姉さん、そのお姉さんの実妹でグレン君を窮地に追いやったヤベー暗殺者の子は…実は…!
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この🍓が販売中のスタンプにいます。(久々な突然の宣伝)
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ちょうど三人で並んでらっしゃいました。左が魔法使いの女性、左中央が妹の方の暗殺者の子、右中央が姉の方の暗殺者の女性でメイドとしての姿、右が暗殺者としての姿です。
みんな可愛くて美人さんです!因みに🌻の推しは…春本の作者なので何となく察して頂けてそうですがヤベー妹の子。
でもって!なんと神様(左)と、オズウェルさん編で登場した全智の天使���(右)もスタンプの中にいるのだ〜!神々しい!
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そんな感じで今回はここまで〜!次回はルイと花夜と春本編です!😼🦊🐰もしかしたらルイと花夜、次々回に春本という風に記事を分割するかもしれません。まだ未知数…!
今回…というより、まとめ記事を書く度🌻から🍓への愛の重さが尋常でなく露呈しだしており見ての通り沢山書いてしまった為、誤字脱字すごいかもしれません…!見つけ次第直していきます😱それでは!♪ (2021/09/22)🌻
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mii1211 · 3 years
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雨はしとどに降っておりました。ザァーと音を立て、京の町に霧の帳をおろすかのような、細かく白い雨でした。木造が多い京の町の建物は、雨を弾くことなく観念したようにギイギイと雨を吸い込むのでした。丁度、夕方頃に降りましたので向かいの家のおっかさんなんかは、
「アラ、夕立かしらん。お洗濯物をいれなすって」
と娘に声をかけるのでした。
この雨は夕立と申し上げて差し支えないのでございましょうが、一人娘は
「涼雨よ。アタシ、夕立よりも涼雨のほうが口馴染みが良いの」
と言って木造の階段をのぼるのでした。
涼雨というのは、涼しさが感じられる夏の雨のことでございます。娘の言う通り、日も暮れましてピトピト屋根から雨粒が落ちます音は、陰の美しさによる冷やかさがありました。いつもは栄えております2つ目の角の茶屋も、人っ子一人いないで、紺色の旗がぐっしょり濡れているのは寒々しいものがあるのでしょう。しかし、夕方の雨といえど、6月は暑い。毛虫が花の茎を這い上がるような湿った不快感が、人々の皮脂となり汗となり雨と混じって一段と町の湿り気を増すのです。
なんと悪戯なことでございましょうか。娘がお洗濯物を入れようとすると、雨は嘲笑うかのように小降りになりました。娘は「ふん」と頬を膨らませたのですけれども、天気は気まぐれで意地悪なことは、その20年に満たぬ愛い人生経験のなかで分かっておりましたから、眉間に皺を少しだけ寄せて静かに取り込みました。カコ、と物干し竿が動く度に、その竿からつららのような軌道を描いて雨粒は落ちていきます。数十粒が一斉に、狂い咲き終わった花の如く呆気なく終わりを迎えました。
閑話休題。小降りになった京の町の三つ目の角から、急に深紅が現れました。カランコロンと音がします。
その深紅の正体は、和傘でございました。正式には、番傘でございます。持ち手が太い竹に血のような赤の和紙が隙間なく貼られています。丁寧に作られた一品であることが手に取るように分かる造りでした。
カランコロンと下駄の音が静かな雨上がりに響きますこと、咄嗟に牡丹灯籠の怪談話を思い出すこと知る多少、もってその足の持ち主は、色白な少年でした。
深紅の番傘に茶の下駄、簡単な浴衣という出で立ちでございます。お顔は傘に隠されており、手足の生気を感じ���せぬ白が小雨の中綺麗に映えておりました。ほんとうの最初は、八割くらいの者が少年のことを人間だと認識するのに時間がかかるものです。というのも、その少年の歩く姿が菖蒲のようであるためです。茎までしぃろい菖蒲のようであるためです。その白さと細さと、温度や血を感じさせない出で立ちによって、多くの人が少年を花か綺麗な物の怪かとすら見間違えるのでした。
少年の下駄の音はカランコロンというものから、次第にカラコロという音になり、排水溝に流れゆく水を踏んづけると、下駄の底がとうとうぐっしょり濡れてしまってボトボトという音色に変わってしまいました。少年がどこにいるのか、音では中々分かりづらくなりました。
少年は下駄が濡れようと裾が濡れようと、濡れてしまってその召し物の色が濃くなろうと、何も気にせず優雅に歩きました。優雅といっても華々しいものではなく、わびさびのある和室が似合う優雅さでした。優という漢字も、雅という漢字も純和風であることに間違いは無いのですが、どうしてでしょうか。優雅というと最近流行りの西洋を想起してしまうのが常でございます。
お洗濯物を取り入れた娘がガララと戸をしめた音がします。少年は丁度そのときに娘の家の手前を歩いておりましたので、「はて」とその音のするほうを一瞥すると、またボトボトと歩き始めました。
そして、急に歩みを止めたのです。
少年が歩みを止めますと、無音に近い雨の帳が世界を支配してしまったかのような錯覚に陥ってしまいます。少年は長らくぼおっと顔を娘の家の反対側に向けて突っ立っておりましたが、やがて向かいの家に吸い寄せられるように近づいてゆきました。下駄の乾いている部分が未だあったのでしょうか。小さくカラと音がなります。
少年は、向かいの家の植え込みの紫陽花を見ておりました。道に飛び出すほどの立派な紫陽花が燦燦と咲いております。全体的に茶と紺、それに深い青が主の町の色合いでしたから薄紫の紫陽花はよく馴染んでいて、目もくれずに過ぎていく者がほとんどでしたが、少年だけはひどく惹かれたように見入っているのでした。
少年がもう一歩近づきますと、その傘も相まって紫陽花に深い影を落とします。淡紫の紫陽花は闇を得て、妖しく雫を光らせました。
少年の白百合のような指が、つと紫陽花の葉にそえられます。指は可憐で花弁のようでございますので、生け花でも行われているかのような心地がします。そえられた指が不規則な網目の葉脈をたどり、指の重みでしなる葉の末端からポロリと雫が落ちました。
「はてな、雫が淡紫なんか、紫陽花が雫を淡紫にしてはるんか」
少年はそう言うと、ずいっと体を傾けて紫陽花をよく見ます。反動で傘からは無数の飛沫が踊り落ちました。深い赤の傘からは、少年の、芙蓉のような桃色の唇がのぞいています。ついでに、控えめながらも筋の通ったととのった鼻頭が見えておりました。
「おうい、そこの君、知らぬかや。雫が淡紫なのか、それとも紫陽花が雫を……」
少年は、紫陽花に引っ付いていたてんとう虫にこう尋ねました。てんとう虫はウジウジと葉をまわって、それから目線を逸らすかのように飛び立ちました。
子供はそんなん知らんでよか、と言う叔父の目線の逸らし方によく似ていると少年は独り言ち、やがて口角を少し上げました。芙蓉のような唇の端にやわく力が入り、ようやく血色たるものをその両端にまとった少年は、これ以上なく美しい夏の花でございます。紫陽花に顔をより一層近づけると、まさしく花の世界でした。芙蓉と白百合、紫陽花と、深紅の傘は椿です。
少年は長らく、葉を掻いては鼻で匂いを嗅ぎ、葉の側面をじいと眺めては「はて、はて、どちらかしらん」とまだ先程の疑問を諦めてはいない様子でした。
夕方だった京の町は、月の光に照らされ始めました。少年は雨粒に塗れた手でふと目を擦りますと、余った水気がツツツと涙のように少年のまろい頬を辿りました。少年はそれを首を降って落とそうとし、くるりと頭を一周させると、突然「は」と声を出して上を向きました。
少年が上をむくと、傘の持ち手が地面と平行になりまして、深遠な赤から眞白のお顔がのぞきます。鼻筋に月の光が馴染み、やがて黒豆のようなお目目が月を見上げました。少年のお顔は、どこをとっても清潔でございます。こぶりながら芯があって、月の光と季語が似合うお顔立ちです。歌を詠みたくなる出で立ちも相まって、水墨画の水彩画のいいとこ取りをした絵画のようで、人々は如何なる額縁をこしらえようかと考えるのでございます。
町には、花の香りに混じって、醤油と味噌の香りが漂い始めました。晩飯の時間帯なのです。ショロロと控えめな排水溝が雨の終わりを告げていました。
「腹が減っては戦にならぬ、腹が減っては戦が出来ぬ」
少年は歌を詠むようにそう言うと、傘を真剣のようにさばいて閉じました。傘からは雨の名残が桜吹雪のように狂い散ります。
少年は綺麗なまま、頬が水で少しばかり濡れたまま、また最初のように優雅に歩き始めました。下駄は少し乾いて、カラカラと小さな音を立てます。
「キャ!おっかさん、お皿が、お皿が」
向かいの家からは、娘の慌てた声が聞こえました。少年はそれを気にも止めず、まぁっすぐ歩いていきます。裾の深い紺は、河のような清らかな青を取り戻していました。
時は経ち、雨が止み、裾と下駄は乾いて、月が出た。
月がァ出た出たァ、嗚呼、ヨイヨイ
三井炭坑のォ 上に出たァ
あんまり煙突がァ 高いので
さぞやお月さん 煙たかろッ
少年は小さく炭坑節を口ずさみながら、向こうへ歩いていきます。その姿は、やはり、人間というよりは夏の花か優しい物の怪のようでした。
少年が角の茶屋を曲がって、その姿が見えなくなったとき、紫陽花からピトとまたひとつ淡紫の雫が垂れ落ちました。それは少しばかり蜘蛛の糸をひいていて、つややかな細っこい糸が月の光を浴び、高貴な弦のようにしなりました。
少年が去り、娘の慌てた声も落ち着いて、京の町は雨の名残と夕飯の豊かな香りで溢れております。木造建築ですから、家々はその香りを吸い込み、深い茶に磨きをかけるのでしょう。月の光は、それを静かに照らすのでしょう。
紫陽花は6月が栄えでございます。7月以降は、百日紅が盛んだとおっかさんが言っておりました。
(完)
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malibu-beach · 3 years
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通過済みシナリオ
★CoC6版 ・あぁ~!水素の音ォ~!! /月野滉太郎 ・アイイズノットチョコレート! /毒島健治 ・愛され少女のステキな末路(HO1) /渡中井のえる ・仰ぎ見る遡行 /凍崎つぐみ ・青と紫の指輪 /城山洋一N ・アオのあなたへ /汐見きら ・悪魔の唇(HO2) /酒匂玲夢N ・悪霊の家 /メルヴィンN ・あけて、あけてよ! /蒲鮫ラブN ・鮮やかな死を貴方に /星浦あくあN ・貴方は私を二度殺すのね。 /梵霙N ・アンケート#17 /汐見きら ・アンチテェゼ・ポジション(HO1)/永福溯哉N ・AND/HAND /頭夢児冰御 ・行きはよいよい /魚住潤N ・一瞬で終わるシナリオ /湯麗桃N ・隠匿のエリス(HO2) /凍崎つぐみN ・薄紅色の扼痕 /霜陰雅智N ・海も枯れるまで(HO1) /揺風波音N ・うらおもて /双葉潮 ・永久の一日 /敷浪惚N ・S村事件についての考察 /澄川透 ・択ぶ魂刻師(予定) ・エンジェル・デビル・インプロパー(HO悪魔) /エレN ・縁と命はつながれぬ /咲洲輝凪 ・おい、電車に牛丼挟んだ奴誰だよ /天満らむね ・お酒こわい /宮ヶ瀬綺純 ・御一人様ですか!? /澄川透N ・お前がママになるんだよ! /魚住潤 ・御曹司オペラ /九重弥白N
・カーテンコールは手の中に /霧裂瞳子 ・怪傑倶楽部義勇奇譚(予定/HO鼠) ・かいぶつたちとマホラカルト(HO1) /牙峰澯N ・欠けた片割れの星 /宮ヶ瀬綺純 ・彼方からの君に捧ぐ(予定) ・がなる切っ先と硝子ペン /毒島健治N ・神はサイコロを振らない /灰方霞 ・カリガリ博士のキャビネット /花浴栄華N ・関西大日本帝国(HO1) /漆戸景N ・ギガンティック☆ギャラクシー☆ツアー /中溝染N ・ぎこちない同居 /桜雷照N ・黄添高校怪奇忌憚 /真鶴詩沁N・渡中井のえるN ・君隠れしの誰そ彼刻 /源悠奈 ・君におはようといえたら /渡鳥彼方 ・キミは神推し? /星浦まりん ・きみはここにいた(HO3) /双葉潮N ・狂気山脈~邪神の山嶺~ /渥美開N ・京都怪異譚(HO1) /濡羽群青N ・共有せよ /汐見きら ・虚箱 /入田・S・渚N ・僅差平行のヴェルダンディー /漣夕陽 ・空中ブランコ乗りのエリー /淡辺ナディアN ・腐っても探索者! /蘭鋳霑N ・99 /湯翠雨N ・クソキノコの恐怖~このクソキノコはどこまでも~(HO2) /マイカ ・口裂け女 /宮ヶ瀬綺純 ・Good morning All(予定/HO不老不死) ・クロッカスはリナリアを見ない /初台湊N ・KPCが知らないおばさんと健康飲料売りにきた /漣夕陽 ・月面世界(HO地球人) /遠浅マヒナN ・こゝろ(HO2) /霽月紘希N ・孤独の密室 /入田・S・渚L ・コンティニュエーション・ベット /灰方霞
・囀りとメメント(予定/HO2)  ・サファイアの月(HO2) /蓮池・Q・魅夜N ・36℃のMSゴシック /龍海マーメイドN ・三色の部屋 /星浦まりんN ・幸せな夫婦 /淡辺ナディア ・死者のストンプ /メルヴィン ・死にたがり電車 /敷浪想 ・死ね!花粉 /湯紫耀N ・蹂躙するは我が手にて(HO3) /シスネ・C・テティスN ・心臓がちょっとはやく動くだけ /甘露寺心N ・人類は何故パンツを履くのか? /宮ヶ瀬綺純 ・Sweets xxxxx Lend /滝留磨生 ・好きです、○○さん /要害汀月 ・ストラフトン山の火 /メルヴィン ・絶世美人 /汐見きら ・絶望の孤島 /汐見きら ・遭難者C /渥美昇 ・ソープスクール(HO3) /雫川鴇羽 ・そして、誰がいなくなるのか?(HO4) /チェイスNL ・その命を捧げよ /汐見きらN ・その真紅に愛を見る(HO召使) /緋臆深令N ・空の色すら知らない(HO3) /ハイドラ��ジェラN ・空の観客席から拍手喝采を! /宮ヶ瀬綺純
・太陽と月と眼 /沸井幹斗N ・たすくの手 /汐見きら ・魂の行方(HO2) /大淀颯N ・誰かがメス堕ちしないと出られない部屋 /走潟当N ・誰がロックを殺すのか(HO2/ベース) /龍海サンゴN ・タンサクシャシッソウダービー /頭夢児冰御 ・チャルディーニの法則(HO1) /黒沼燗那N ・丁々発止と撃鉄を /メルヴィン ・辻斬り!おちんちん侍 /マルチンN ・デウス・エクス・マキナは死んだ(HOヒト) /フェザーN ・天才アイドル南アリサは何故死んだのか?(予定/HO2) ・天使のつくりかた /梵霰 ・天使の密室と不浄のロザリオ(HO3) /ディアN ・同居人 /城山洋一L ・毒入りスープ /灰方霞N ・頭夢児島殺人事件(HO2) /頭夢児冰御N ・ともだち切符 /毒島健治 ・虜(HO2) /月野滉太郎N
・永すぎた前奏 /天満らむねN ・何をしたって言うんだ!? /双葉潮 ・なりかわり様 /敷浪想N ・ナンとカレーなダンスを! /ビチN ・汝、死を乗り越え目覚めを渇望せよ /入田・S・渚 ・庭師は何を口遊む(HO1) /漣夕陽N ・人間博物館 /メルヴィン ・ぬばたま落ちよ /宮ヶ瀬綺純N ・沼男は誰だ? /日向夏海NL ・ネリネ /鱓沢衣々瑠N ・脳筋夜行列車 /ジャンゴNL
・廃棄物 /源悠奈N ・Bye-Bye Summer Days(図書委員) /大橋浪漫N ・パスハの卵 /漂内うずら ・花園崩壊(HOスターチス) /マリオンN ・Paranormal Crime(HO3) /ベニコ・M・羽ヶ崎N ・Hello Hero(予定休止中・2話まで通過済/HO2) /敷浪恋N ・晩夏の聖処女(HO2) /洛輪太郎N ・パンケーキ夜行 /汐見きら ・Hand in Hand /凍崎つぐみ ・Pの正体 /真鶴深哉NL ・火点し頃の蜘蛛踊り(HO4) /南雲知朱N ・秘密と内証 /アイルN ・fearless(HO集合体恐怖症) /紫波岡善人N ・ブルー・スターズ・セパレート /メルヴィン ・ブリーディングボール /夕涼彗夏 ・ベッドから起きるのめんどくさすぎる!! /頭夢児冰御 ・ペットは私 /メルヴィン ・Help mew! /灰方霞 ・VOID(HO2) /菊花N ・紡命論とシンギュラリティー(HO2) /霪紅慰N ・僕と夏とサバ味噌サイダー /源悠奈 ・ぼくの考えた楽しいお部屋 /湯麗桃 ・綻びの家 /渦巻威風NL ・星の神話、エンドロール(HO1) /梵霰N ・ホットココアとマシュマロを。 /凍崎つぐみ
・MY SUPER DARLING! /星浦あくあ ・マザーグース・レストラン /頭夢児冰御 ・真夜中のサルーテ /灰方霞 ・真夜中のシークレットサーカス /梵霰 ・真夜中遊園地 /メルヴィン ・まれびとこぞりて /南雲知朱 ・Mamma Mia Vampire /滝留磨生 ・水底から呼ぶ者 /梵霰 ・見果ての綸紡(HO4) /梵雹N ・名探偵黒猫と大怪盗キャッツ(HO1) /滝留磨生N
・幽明境を異にして、(HO4) /轟鬼零N ・雪山密室 /渥美昇N ・ようこそ!迷冥市役所都市伝説課へ!(HO2) /霊仙祈N ・よるのしじまがやってくる /凍崎つぐみ
・ラーヘンデル・アイランド /宮ヶ瀬綺純 ・楽園パラノイア(HO1) /咲洲輝凪N ・リガロ /灰方霞 ・裡面世界の天蓋花 /日向夏海永L ・旅館の捕食者(HO3) /漂内うずらN ・りんごはあまい /甘露寺心 ・ルベライトジャム(HO4) /梵雪N ・レモン症候群 /漆戸景
・WORSTBUDDY-獣の覚醒- /双葉潮 ・海神の契約書 /湯麗桃 ・嗤う人間師(HO4) /マイカN ・悪い子だぁれ? /霧裂瞳子N ・ワンルーム・ディスコン(HO2) /狩湖飛菜N
★CoC7版 ・まずはダイスを振れ、話はそれからだ。 /メルヴィン ・The サイゼリヤ /メルヴィン ・紅文字 /メルヴィン
★インセイン ・この家は眠れない(PC2) /護国寺涙N
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gokunote · 4 years
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すみません、遅刻です。
柊 真昼です!
8月の中旬には更新と言っていたのに下旬になってしまいました…申し訳ありません。
気を取り直して、7月のお気に入りを紹介します!
今回は過去1悩みましたし、曲順も悩みに悩みました…
夏メロって本当に多いですね…
曲順に悩みまくった結果、今回は通しで聴いてもシャッフルして聴いても楽しめると思います!
紹介はいつもの通り曲順に紹介していきます!
https://open.spotify.com/playlist/79jte5LWCLrHsmz7nH3WJ5?si=MgE9V89NQY-JTkjhJuZ1LA
1曲め!
nobodyknowsの「ココロオドル」です!
夏メロではないかもしれませんが、1曲めからテンションを爆上げしたかったので選曲しました!
イントロからアウトロまで全部が好きなんですよね…
テンポ感や、掛け合い、韻の場所など全てがテンションの上がる要素になってます。最高!!
まさにココロがオドル!です!
余談ですが、ココロオドルをbgmとした、音MAD動画なども大好きでよく見てます。知らない作品のmadですらチェックしますね…
(自分はジョジョの奇妙な冒険のココロオドルMADが1番好きです)
2曲めはRADWIMPSの「君と羊と青」です!
この曲も夏メロ?ではない気もしますが、楽曲から匂う香りが夏!って感じがしたので選んでみました!!
この曲もテンションあがります!!!
オーオオ オーってところが大好きです。
(文字だと伝わりづらいですね…笑)
カラオケで歌うととても気持ちいいのです…
あと中でも好きな歌詞があって「君を見つけ出した時の感情が この五臓の六腑を動かしてんだ」ってところなんですが、めっちゃよくないですか!?
君が原動力になってるんだよ!って感じがしてお気に入りの一節です…!
スピード感も大好きです!
3曲めはOrangestarさんの「快晴」です!
この曲は7月っていうより6月のイメージもあるのですが(初っ端から「梅雨が明けるまであとどれくらい?」とあるので)
、前の曲である「君と羊と青」と同じ香りがしたので選んでみました!
そして突き抜けるようなサウンド、開放感のあるメロディが夏感いっぱいで好きです…!
この曲本当に歌詞が良いんですよね…
マジで好きです。
ラスサビ前の「泣いていたって空は晴れるよ 君が濡らしたって滲まないほど」
ってすごく好きな表現です…泣けます…
とても落ち込んでいた時にこの曲に元気付けられたので、自分にとって大事な曲というか思い出深い曲でもあります…
4曲めはジミーサムPの「Calc.」で歌唱は以前紹介したvtuberのEMMA HAZY MINAMIさんです!
「快晴」からの「Calc.」めっちゃ良くないですか!?!親和性高くて気に入っています笑
この曲は昔から大好きな曲です。
その大好きな曲を大好きな人が歌っています…
心に染みます…本当に。
なんたってサビが好きです。
ファルセットの場所が最高ですよね。
サビの「風に吹かれ」の吹かれの部分がファルセットなの凄く「風に吹かれてる感」があって好きです。伝わりますかね!?表現が下手ですみません!
とにかく好きです!
なんか今回好きですしか言ってない気がする…
サウンド自体はポジティブというか明るい曲に聴こえますが、歌詞を見るととても切ない曲なんですよね…
「感情一つ消せるのなら「好き」を消せば楽になれるかな」て歌詞…
切なすぎます。
でもその切なさも大好きです。
5曲めはASIAN KUNG-FU GENERATIONの「お祭りのあと」です。
ガッツリ夏メロをここで持ってきました!!
アジカンを紹介するのは初ですかね?
実は高校生の頃結構聴いてました!
というより高校生の頃はバンドをよく聴いてたのでその名残ですね!
サビが好きなんです!!!
(サビが好きなこと多すぎますね…)
「解けなくなって」って続く場所が歌ってて気持ちいいです。
歌詞もなんとなく想像できるというか情景が目に浮かぶような気がして好きです。
「夜の端に僕らだけ」って歌詞めっちゃ良くないですか!?!
良いですね…
6曲めはaikoさんの「花火」です!!
aikoさんは先日サブスク解禁されたときに結構聴きました!
今回は夏感満載の「花火」です!
aikoさん凄くいいですよね
歌い方すきです
「夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして」って表現…!
「こんなに好きなんです 仕方ないんです」
って…!!めっちゃ可愛くないです?
ラスサビ前の「花火は消えない 涙も枯れない」って部分、生で聴いたら泣いちゃう自信ありますね…それくらい胸にきます…
そしてラスサビのメロディすきです。
今回なんか好きしか言えないですね、
いつもそうな気もしますが…!笑
そして7曲めです!
ポルノグラフィティの「ミュージック・アワー」です!
ここで更にテンションを上げちゃおうってことです!!
カラオケ行くと高確率で歌うくらいには好きですね〜!!!
めっちゃテンション上がりませんか!?!
このタンブラーを書くときは実際にその楽曲を聴きながら、というか、このプレイリストを流しながら書いているのですが、今とてもテンション上がってます!!!やばい!!
2番のサビに好きな歌詞があって
「大好きだから踏み出せない 大好きだから臆病になる」って部分なんですが、本当にその通りだと思います!
この歌詞をこのメロディやリズムで歌われると「うわーー!そうなんだよ〜!!!」って感じになりますね笑
最近、そういう臆病に直面してないですけど…
まぁまぁ
ラスサビの「淡い恋の端っこを決して離さなければ」って部分!!ファルセット!!!最高!!大好きです〜!!!
テンション上がりますね…
8曲めです!
ハッピーくるくるの「はんぶんこ花火」です!
イントロを聴くと「落ち着いてる曲かな?」って思われるかもしれませんが、この曲は自分の中でとてつもなくアッパーチューンなんです!!
この曲サウンドはとてもedm?future baseっぽいんですけど、歌詞がとても詩的というか国語力試される感じがします笑
サビの節の頭が共通して「anun」の韻を踏んでるのもすきですね
散文、はんぶん、3分、たんじゅん、ですね!
決まった場所に決まった韻が入るとグルーブ感が増していい感じになりますよね!
トラックも最高ですね!ノリノリになります!
9曲めはvtuber、ではなくXtuberのナギナミ(海月ナギちゃん、飛鮫ナミちゃんによるユニット)の「クロスエメラルド」です!
Xtuberっていうのはバーチャルとリアルを交差したような世界観で生きているってことで、この2人による造語だった気がします!素敵!
(ちなみに、ジャケット絵の真ん中、1番上の女の子2人組がナギナミのお2人です!)
曲の感想なんですが、とてつもなく好きです。
お2人とも、それぞれ声が素敵なんですけど、その声が重なると、より素敵になるんですよね…ハモりも綺麗で耳が心地よいです!
ファルセットフェチとしても、この曲は最高の場所にファルセット箇所があるので心が惹きつけられますね…
1番のAメロかな?「海 空 雲 のような」ってところ!2番にも「青 白 緑色の」ってところ!リズム感よすぎません?しかも2番はそのあとに「眼差しブランニューワールド」って!!天才すぎます…
この曲最高すぎます。
全部好きです!!
そして1番最後、「物語を共に歩もう」って…
「たはー!」って感じですね…
気になった方はYouTubeも見てみてください〜!
https://www.youtube.com/channel/UCvnO_CTJr80qayp5JFEf3Fw
10曲めは嵐の「Summer Splash!」です!
爽やかなラップが特徴的な楽曲ですねー!
シンプルに韻硬いんですよね
歌詞見ながらだと、より伝わると思います!
文の破綻もないのでお手本のようなラップですよね〜!
カラオケで歌いたいんですけど、1人で歌うことを想定されていないので息継ぎが地獄です笑
そしてこのサビ!!!爽やかすぎる!!
嵐が好きでライブ映像をよく観るのですが、この曲のライブバージョンすごく良いんですよね…コーレスの煽り方とか、そのコーレスも綺麗に揃ってて心地いいんですよ〜!!
嵐最高すぎますね…
またライブ行けたらいいな…
そして7月のプレイリスト、最後の曲は!
スカイピースの「クリームソーダ」です!!
この曲めっちゃ好きなんですよ〜!もちろんスカイピースも大好きなんですけど!
(スカイピースは、⭐︎イニ⭐︎(じんくん)とテオくん、からなる2人組のYouTuberさんです!なんとメジャーデビューしているという…!すごい!YouTubeのリンク貼っておきます!)
https://www.youtube.com/channel/UC8_wmm5DX9mb4jrLiw8ZYzw
楽曲の感想です!
トランペットですかね?詳しいことわかんないんですけど、伴奏もめっちゃいいですよね〜!
そしてなんといってもこの爽やかさ!
全てが爽やか!!清涼感たっぷり!!
清々しいですね
2番の入りのテオくんのバースなんですけど、
「どっぷりハマっちゃったの この甘さに 緑色白色選り取り見取り」ってところ好きです!
リズム感いいですよね〜!
この曲聴いてると無性にクリームソーダ飲みたくなりますね…こまるよ…笑
飲み物の中では、メロンクリームソーダが1番好きです。
この曲、アウトロが少し長めなので1番最後にピッタリかなって思いこの位置に配置してみました!!
7月のプレイリストは以上です!!
実は今、いつもやってる毎月のプレイリスト紹介とは別に違うプレイリストも制作中です!
次回予告をすると、私の大好きなラブライブ!が関係しています!近々紹介できると思うので楽しみにしていただけると!
7月の曲はとにかくアップテンポ!爽やか!夏!って感じがしましたね〜!最高です!
8月のプレイリストも今どういう構成にしようかなって考えているのでお楽しみに!
最近、暑くなってきていますが熱中症にはくれぐれもお気をつけて過ごしてくださいね!
お家に帰ってきたら、手洗いうがい忘れずにやっていきましょー!!!
では、今回はこの辺で失礼しますっ!
(誤字脱字などありましたら、すみません!気付き次第、修正します!)
プレイリスト紹介以外のタンブラーもそのうち書くと思います!
それでは、ここまで見ていただきありがとうございました!!!
(追記なのですが、「快晴」の紹介で「梅雨があけるまで〜」という一節から6月のイメージと言ったのですが、今年の梅雨明けは7月下旬ごろだったみたいですね…全然今回にピッタリな楽曲でした!笑、すみませんそれだけです!笑)
今度こそ、ではまた!!
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roomminerva · 4 years
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田園だらけの田舎の風景にそぐわないその洋風の屋敷のことを、地元の子供達はみな「幽霊屋敷」と呼んでいた。人が住んでいる気配がなく、壁が汚れていて屋根から滴る水滴のせいで血か涙が流れたような染みがついているのがそう呼ばれ出した主な理由だったが、この屋敷をさらに不気味にしているのがすぐ隣にある神社の存在だった。屋敷と神社は共に木が鬱蒼と生える山肌を背にして建っている。神社の周りは大きな木で囲われており、屋敷のすぐ隣の木は身を乗り出すようにして屋敷の屋根の上に枝を伸ばしている。そのあたりの空気はいつもじめじめと湿っていて、薄暗く、風が吹いて木々の枝がしなる時でさえ静まり返っているように見えた。そこだけ世界が違うように見えたのだ。
私は子供のころから神社やお寺に行くのが好きだった。人見知りのせいもあり大勢でわいわい遊ぶのがあまり好きではなかったので、一人で読書をして過ごすことが多く、そういう時間が一番安心できた。クラスメイトたちは特にこの話に登場する神社には行きたがらなかったので、私はそこの境内でよく一人で本を読んでいた。夏は涼しいし、穴場だった。
その日も私はその神社の境内に座り読書をしていた。あまりに集中していたので全く気づかなかったのだが、ふと視線を感じて顔を上げると自分と同い年ぐらいの女の子がこちらを見つめて立っていた。少女のことは学校で見た覚えが無かったが、自分と同じく人見知りで、ここが彼女の安心できる隠れ家なのかもしれないと思うと親近感がわいた。話しかけようとすると、少女は慌てて向きを変え、隣の屋敷の方へかけて行った。あの屋敷には住人がいたのだ。なんと物静かな人たちなのだろう。とその時私は思っていた。
ここからは、私が大人になってから知った話だ。
実家の引っ越しを手伝うために独り暮らしのアパートから帰ったとき、埃まみれの古いアルバムを見つけて中を覗いたことがあった。そこにはまだやっと歩き始めたぐらいの年齢の私の写真がたくさん貼ってあった。時代を考えればかなりハイカラなインテリアの部屋が写っている写真が一枚あった。そこにはなんとなく見覚えのある顔の年上の女の子に遊んでもらっている私が写っていたのだが、私はそれがどこの誰だか思い出せず母を呼んで聞いてみることにした。ああ、その子ね。と、母は奇妙な表情を浮かべながら答えた。
「神社の横のお屋敷あるでしょ?あそこに住んでた子。よく遊んでもらってたのよ。あんた小さかったから覚えてないでしょ?」
私はそこで、突然夏の日の神社の境内での出来事を思い出した。あのとき私を見つめていた少女は、この子だ。
「この子に会ったかも。小学生ぐらいの時神社で」
すると母は、それまで奇妙だった表情をさらに曇らせて目を見開いた。少し間を開けて母は言った。
「きっと見間違いね、その頃にはもうそこには住んでいないから」
「引っ越したの?」
「引っ越したというか…」
迷ったように言葉を詰まらせると、母はようやく声を押し出した。
「亡くなってしまったの。旦那さんが奥さんとこの子を…」
氷の塊が胃のなかに滑り込んで来た。そんなはずはない。だってあんなにはっきり目の前にいたんだもの。母の言葉を否定しながらも、わたしはあの日の少女の姿が写真の中と寸分違わないことを思い出していた。生きていたら、少女はだいぶ成長した姿だったはずだ。
「今思うとあの子、ときどき袖口からアザが見えてたのよね。聞いても転んだだけだって言っていたんだけど…後悔先に立たずね…」
母は申し訳なさそうに写真に手のひらを重ねた。写真の中の少女の後ろに見切れている大人の男の足が、不自然に黒ずんでその情景に馴染んでいないように見えた。
その屋敷は今も同じところに建っている。買い手もつかず、かといって取り壊されもしない。
ポツンと悲しげに子供達が下校してくる田舎道を、神社と山の木々に守られながら見下ろし続けている。
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poetohno · 5 years
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「その歩みにエールを その未来にどうか祝福を」
「器がでかい人間になりたい!」 「タバコいりますか、先輩?」
「まだカロリーメイト食って生きてるんすか」
最近もやもやしたものを上手に言葉にまとめることができなくて悔しい 心の内を綺麗にする言葉のはずなのに自己否定に絡みついた汚れが消えない
新しい制服ローファーの靴擦れ朝の小テストとコンタクトの付け外しと友達も 高校に通って勉強をしているのは夢なんじゃないかというくらいふわふわして
生まれ育った環境信仰している宗教年齢全てにおいて愛してしまった彼女の話 計り知れないほど大きな罪悪感を乗り越えてでも守りたい人がいる話
歯止めの効かないことだから時に美しくも時に残酷な恋に落ちるということ 小さな希望を諦めずに立ち上がれば本当の自分を見つけられるかもしれない夢
五月病で泣いた夜も勉強に苦しんだ日も劣等感も全てこの涼しい風で空の青へ 日記に残したいことやりたいこと数えきれない程あるはやく夏がきてほしい
英語に苦戦してギターは一向に上手に弾けなくて高校二年生になりました
(ボクの自意識はどこへいってしまったんだ?) ずっと、ってなんだと思いますか?
それは赦すということ 振り返る過去を受け入れて歩み続けること 自分ではない誰かと手を繋いで永遠を誓うこと 悲しみに暮れて泣いてしまうこと 不安に襲われ緊張と焦りで眠れない夜があるということ 孤独とか無力感とか虚無感の響きに寂しくなるということ 幸せすぎてにたにたしてしまう日々があるということ ずっとその形を変えながらどこかでは生き続けると思うということ
それは写真の中の一瞬の風景 それはインターネットの片隅 誰かの記憶の中のうたかた
すべてが私の一部であるということ 「ずっと」という言葉の温もりに触れるということ
それはずっと一緒に手を繋げられる予感 あなたが今とても大切にしている存在が 「ずっと」 になるように
祈るということ
玉葱を買った帰り誰もいない小さな広場向かいのベンチにカラスが一羽夕暮れ 見たことのない薄暗い部屋古い映像に公園を歩く幼い頃のぼくが通り過ぎた夢 窓の外から懐かしい声途中でそれは映像のなかの音が聴こえていただけ 切れてしまったように涙が溢れたもういやだ泣いてしまう幼い子どものように 再び窓に向かって歩き出す映像の中にかろうじて残されている世界に行こう 目が覚めたら外では風がびゅうびゅうと吹き抜けていく音がした
これから先親以外から愛されることなんてこれから先あるんだろうか
――それはなんて、心細い――
付き合ってるから同棲を強制意味がわからない 自分の家にも実家にも帰してくれない意味わかんない
死にそうもう無理自由になりたいのあなたから解放されたい幸せになりたいの だからねえ私を忘れて私が好きな人は私を幸せにしてくれないので だったらいっそのこと私のことが好きな人を大切にしようと思います
銀座のアイス万博とトムとジェリー展は最後のデート 可愛いトートバッグは最後の一イタリアンの店で食べたピザはおしゃれだった 電車に乗ってなんか最後とは思えなかったいつもと同じすぎた彼の部屋 2週間以上の手紙を渡すか迷う彼の部屋に置いた荷物を受け取る帰り際に泣いた いつもと違うマンションの階段の手前まで来てくれた好きだった私だけの貴方時間かけて書いたんだし一度確認してポストに入れた手紙風が気持ちよかった
別に泣かなかった この数ヶ月の闘いが終わった すごく気が楽だった これからお金貯めて自分の欲しいもの買おう
私の強い所を可愛いと言ってくれる人に出会えた時、私は絶対結婚すると思う
「あなたなんかに振り回されない」誓ったそれはあなたが選びそうな方だった あなたになれる日が来るかもってどっかで思ってた喧嘩して謝られなくても こんな自分ごめん���かっこよくない別にかっこよくなりたいわけでもないけど 蝕んだ箇所を捨てる新しいシャツと短めのスカートはいて胸をしゃんと張って
見ててよ。 一歩後ろを歩いてたわたしなんて追い抜いてもっともっと先を行くんだから
ちゃんと見ててよ、昨日の私 見てろよ、明日
いつかいつかその歩みが決意があなたを眩しい場所へと連れていきますように
火をいじったり赤マルを吸う彼に何度も恋した2回目のキャンプ 誰もいない森の中で満点の星を見ながら闇に隠れてキスをした みんなで寝転んで天の川や流れ星を眺めた私たちはこっそり手を繋いだ 「2人見てたら結婚したくなった」友人たちに囲まれている 苦労して我慢して取り繕った幸せを勘違いしたまま生きてこなくてよかった 周りを幸せにできる夫婦になれて本当に良かった
もっともっと賢くて強くて美しくなりなさい
本当の意味で透き通るくらいに
賢さはあなたを聡明にし 強さはあなたを気高くします
けれどもあなたは美しいことを まずは知ることなのです
好きな人に愛を与えるのではなく あなたの愛を与えるに足る人を 好きになりなさい
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kyo-sakisaka · 2 years
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鎖が見える話
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このジャンルでははじめまして。京と申します。 面白いくらい華麗なる沼落ちを決めました。
・2章ネタバレを含みます ・モブがでしゃばります ・鍾空は匂わす程度
大丈夫そうな方のみどうぞ!
***
往生堂。璃月の人間で、その名を知らぬものはいないだろう。人の死を送るもの、すなわち葬儀屋として璃月に名を馳せるそれは、常に死の匂いを纏っている。 そんないかにも重々しそうな往生堂という葬儀屋は、その実ひどくちぐはぐなのだ。間違いを恐れることなく口にするのなら、少女と若い男。順当に考えればこの若い男こそが堂主かと思うものだとは思うが、なんと堂主はむしろ少女の方だという。聞く話によると若い男の方は客卿だとかで、博識で聡明なのだとか。 ――と、長々と語りはしたものの、俺にとっては全く関係の話だ。というのも、俺はこの商業の国璃月で生まれ、育ち、人並みに食べていけるくらいの商人として恙なく生きているだけの人間なのだから、まさか往生堂などという物騒で奇天烈な存在とお関わり合いになることなど万に一つもない。よもや、自分から死の気配が漂う場所に足を踏み入れるなんてこともないだろう。そう考えるくらいには、俺は自分のことが可愛く、この命を大切に生きてきた。 なにせ往生堂には、不可解なことが多いのだ。堂主が幼さの残した少女であるということが何よりの原因かもしれないが、不思議なことに専ら璃月においてその評判は決して悪いものではないからますます不自然だ。自分の商人仲間のなかには客卿だとかいう若い男と話をしたやつもいるものの、俺からしたら得体の知れないやつには変わりない。つまるところ、俺にとって往生堂という場所は――いや、そのものが危険の象徴だったわけで。 「で、なんで俺なんすか」 「う……それはその……」 ついてない。今日は本当についてない日だ。3年間付き合っていた彼女には「甲斐性がない」と振られるし、やさぐれて飲み屋で飲んだくれていれば金はスられるし。どうしようもなくなって掃き溜めみたいな裏路地で、これまたボロ雑巾よろしく転がされていれば、頭上から降りかかる女の声。つい数分前まで悪態をついていた神とやらに感謝し勢いよく顔をあげた先にあったのは天使のような顔だち。 しかしながら非常に可哀想なことに、瞬時にして舞い上がった俺のテンションは彼女の「あの、これを渡してくれませんか!」という言葉で一気に急降下することになる。 「と、とにかくこれを往生堂の鍾離さんに渡してほしいんです!」 「いや、自分で渡しましょうよ……」 恥じらう姿は非常に可愛らしい。非常に可愛らしいのだけれども、どうしてその大事な大事な鍾離さんとやらにその姿を見せてやらないのか。鍾離、という名前に聞き覚えないが、おそらくあの若い男のことだろう。涼しげな顔立ちでいかにも女性の人気が高そうだ、なんて思ってしまうのは彼女に振られたがゆえの僻みだろうか。 「よろしくお願いしますね!」と手渡された小包の包装を見て、それがただの贈り物だと思うほど自分は鈍感ではないつもりだ。その恥じらいを見るに、いまだ片想いというやつにちがいない。とはいえ、どうして自分が振られたその日に赤の他人の恋のキューピッドにならねばならぬのだ。はあ、とため息をついた俺に答えたのはもの寂しい風の音だけだった。 *** 隣国、自由の国モンドではかの慈悲深き風の神により自由の風が絶えず吹いているという。となれば生粋の璃月人である俺にはまちがいなく我らが岩王帝君のご加護をこの身に受けているに違いない。実際自分達商人がこうしてこの場所で飯を食っていけるのは、魔神を鎮め璃月港を開いた岩王帝君のお導きあってこそなのだから。 とはいえ、たかが人類、それもちっぽけな個人に向けられる加護など到底有るはずもない。矮小な人間の根底にあるそんな願いを知ったためかどうかは定かではないが、ともかく我らが岩王帝君は神の座を降りられたという。となればもともと雀の涙ほどしかなかった俺の運とやらは砕け散ったも同然で、どうしても往生堂に行かなくてはならないことを俺は悟った。なんだかんだ言っても結局のところ、うら若き乙女の可愛らしい頼み事を断ることができなかったのだ。男だから。 往生堂、という名を耳にしたことはあれど、その場所に足を踏み入れたことのある人間は一体どれほどいるのだろうか。ぎい、と軋んだ音を響かせる扉を開くだけで心臓が口から飛び出そうだ。やっぱりこんな頼まれ事、俺じゃなくてもいいだろう。さっさと商売仲間にでも頼んで帰ってしまおうか――。ふと頭をよぎった考えがその体積を膨らます前に、それは目の前に現れた。 華美。口にするなら、その一言に尽きた。きらびやかな照明に照らされ輝きを増す、調度品の数々。おそらく商人でなくても一目見ただけで値段の張るものだとわかるだろう。岩王帝君の岩元素の金色と、璃月ならではの赤を基調としたその場所は、古くといえば古く、けれども決して古臭くはない。華美ではありながら、どこまでも上品であり、璃月の歴史を体現するかのように鎮座していた。 「すげえ…………」 言ってしまってから、はっと口を押さえる。幸いなことにあたりに人の姿はないようで、きょろきょろと周りを見渡してようやく息を吐いた。 「こんな場所で葬儀の話なんかするのか……」 「それが堂主の望みだな。生者も死者も平等に、心から満足させる」 心臓が口から飛び出る、という言葉はきっとこのことを指すにちがいない。びく!と思いきり肩を揺らしてしまえば、声を掛けた男は「すまない」と口にしながらその姿を現した。 「鍾離という。葬儀の話か?生憎だが今堂主は外に出ていてな」 なんだこのイケメン。遠目で見たときも相当な顔の整い具合だとは思ったが、近くで見るとその桁がまるで違う。思わず口をあんぐりと開けてしまった俺を笑える男はこの世にいるのだろうか。 「……それは?」 「あ、いやその、」 鍾離の目が小包へと向く。これではまるで俺がこの鍾離とかいう男に持ってきたみたいではないか。冗談じゃない。どう弁明しようかと考えを巡らせていると、鍾離が口を開いた。 「堂主への贈り物か。ふむ、俺が渡しておこう」 「あ、ありがとうございます……」 すまん、名前も知らぬ乙女。 もはや記憶も朧げな少女の顔に心の中で謝罪をしながらおずおずと鍾離に小包を渡した。 「………………?」 その瞬間、不意に指先に電流のような小さな違和感が奔る。静電気だろうか? だとしても妙だ。そんな季節じゃない。おかしい。そう思って鍾離に視線を向けるが、別段変わった様子はない。涼しい顔で小包を受け取った鍾離の指先を見て、俺は目を丸くすることになった。 ――なんだ、あれは。 それは鎖だ。黄金の鎖。岩元素の光を宿した、鎖。 服の黒さに紛れるようにして、けれどもはっきりと黄金の光が浮かび上がっている。指先から絡みつく鎖は手のひらから手首へと繋がって、片腕全体を覆いつくしている。思わず目を擦ってみるものの、その鎖は消えることなく目の前にある。 おかしい。おかしいのだ。俺の記憶が正しければ、そんな鎖のようなものはつい先ほどまでそこにはなかったはずだ。幻覚だというにはあまりにはっきりと見えているそれは、もはや俺の目には不気味以外の何物にも映りはしない。というかそもそも、神の目を持たないただの凡人である俺に元素知覚などできるはずもないのだ。 「? どうかしたのか?」 指先を注視し続ける俺の視線に気付いたのか、鍾離が鎖の巻き付いた片腕を持ち上げて視線を落とした。その途端、鍾離が目を丸くする。まるで、自分に鎖が巻き付いているという事実に気付きもしなかったといわんばかりの表情だ。かと思えば、鍾���は目を細めてひどく嬉しそうにうっとりとした微笑みを浮かべる。それは男の俺でもうっかり見惚れてしまいそうな、どこまでも色を含んだような微笑みで。 「あ、あのじゃあ俺――」 これはまずい。なにがまずいかうまく言葉にできないが、本能がまずいと警告をしている。そう思い口にした言葉は、鍾離に遮られた。 「そうだ。折角だから茶でも飲んでいかないか? なにせ堂主がいないと暇なものでな」 ただでさえ慣れない場所だというのに、こんな人間離れした顔立ちの男と話をしていたら気でも狂ってしまいそうだ。丁重に断ろうとしたものの、どうやらすこぶる機嫌のよろしいこの鍾離という男は既に茶器を準備しはじめていたのだから、俺に断る余地なんてものはきっと最初からありはしなかったのだ。 *** 何が楽しいのか、鍾離という男は俺の話を聞きたいようだった。正直こんな凡人を極めつくしたような人間に対し本当に何が楽しいのかという感じはするものの、鍾離は邪険にすることもなければ、むしろ極めて真面目に俺の話を聞いていたのだからわけがわからない。 とはいえ居た堪れないのは事実で、俺としては一刻も早くここを出たいという気持ちに変わりはなかった。確かにこの場所を訪れる前とのイメージは大分変わったとはいえ、こうも非日常が続くと逃げたくなるのは人間の性と言うものだろうか。 出された茶に口を付けて、ちらりと鍾離を盗み見る。こうも人間離れしたほど整った容姿だと、もはや嫉妬の情すらも生まれないのだということを俺は初めて知った。朱色で鮮やかに模様が描かれた茶器の中では、薄紅色に色付いた蓮の花が浮かぶ。なんというか、絵画の中にでも迷い込んだ気分だった。 「あの、お手洗いをお借りしても?」 「ああ。突き当りを左手に行けばいい」 くらくらする。足元が覚束ない。立ち込める花の香りに充てられた俺に必要なのは、一度冷静になる時間だ。そう思い席を立てば、やたらと長い廊下が俺を出迎える。ここに足を踏み入れた当初から思っていたが、やけに格式が高い。鍾離という男からも窺えることだが、随分と金を持っているように思われる。 「なんでこんなことに………」 突き当たりを左。鍾離の口にした通りに足を進めていれば、ふと大きな扉が視界に入る。その扉は通り過ぎたどの部屋の扉よりも大きく、一目でここが往生堂の中で最も格式高い部屋だと思われた。 「………………………」 何を血迷ったのか、俺は扉に手を伸ばす。言葉にするのなら、それは好奇心だ。往生堂の中で最も豪華な客間が、一体どんな場所なのか。そんな危険な好奇心に肌を粟立たせながら、扉をそっと押す。鍵は掛かってないのか、ぎい、と少し軋む音を立ててそれは開かれた。 「………せんせい?」 目に移ったのは、金色。岩元素の光にも似た、光を反射してきらきらと光る金。 せんせい、と小さく呟いてこちらを振り返った少年の姿に、俺は見覚えがあった。いや、見覚えどころではない。この国で彼を知らない人間なんて果たしているのだろうか。七星と共に璃月を魔神から救った英雄、異国からの旅人。そんな彼が、どうしてこんな場所に――、 そこまで考えて、はっとした俺は弾かれたように走り去った。気付かれた。見られてしまった。ただ招かれた立場でありながら秘密の扉を開けてしまったのだ。 これがあの鍾離という男にもしバレてしまったのなら。そう考えると、背筋が凍った。数分前の好奇心と高揚が嘘のように、焦りだけが体積を増して脳を埋め尽くしていく。もはや鍾離の元に戻る気にすらならない。往生堂の玄関を抜け、往来に出ても尚俺は走った。どこまでもあの鍾離という男の影がちらついて離れない。 見てはいけない光景を見てしまった。そう確信するほどに扉の中は異質で、まるで宝箱にも似ていた。そうして、俺は本当に厄介なことに、その宝箱の中にある中身を知ってしまったわけだった。 *** 自分史上最悪な1日を過ごしてから数日、往生堂の人間から社会的に殺されるのではないかと怯えていた日々も過ぎ去り、ようやく何の不都合もないことを悟った俺はきわめていつも通りの日常を送っていた。 「まいどありがとうございました〜!」 去っていく客の背を見送りながら、いつものように声をかける。商売も順調。これといった稼ぎがあるわけでもないとはいえ、食べていける程度の稼ぎはある。あの日振られて以来彼女こそはまだいないものの、それでもこの璃月の中では幸せだといえるだろう。 ふう、とひとつため息をついて、軒先に並べた商品を見下ろす。日も落ちてきた。そろそろ店仕舞いの頃だろう。あたりの同業者たちもいそいそと後片付けを始めている。そうしてふと視線を向けた先に、彼はいた。 太陽に反射する金色の髪。どこか異国めいた服装。見ればわかる。ここの人間なら誰でも知っている、璃月の英雄。異国からの旅人。そんなことは知っている。けれども違う、俺が言いたいのは、そんなことじゃない。息を呑んで、目を見開く。言葉が出てこない。 視線の先にあるのは、鎖だ。黄金色の、岩元素の鎖。あの日、往生堂で鍾離とかいう男に見たものと同じもの。ただ明らかに一つ違うのは、その鎖の量。 ――あれは、まさか。 何をどこまで拗らせたら、これほどまでの鎖が体に巻きつくのだろうか。それはもはや、鎖の塊のようにすら見える。幾重にも巻かれたその鎖の隙間から、辛うじて服が見える程度だ。いかにも実物のように見えるそれは、光に透けていて実物ではないことがわかる。だからこそ余計に奇妙だった。周りのどこを見渡しても、こんな鎖のようなものが巻き付いている人間なんかを目にしたことはない。たったひとり、往生堂で出会ったあの鍾離という男を除いては。 「あ、あの人」 「え」 俺の視線に気付いたのか、ばちりと目が合ったかと思えば旅人は俺を指差す。それに釣られるようにして、ふわふわと周りを飛んでいる小さな生物がこちらを振り向いた。 そこで俺は初めて、英雄さまの顔をはっきりと見ることになるのだ。太陽に反射した金色の髪に、英雄という言葉からは遠く想像が及ばないほどに幼げな顔立ち。璃月では目立つ、異国情緒めいた装い。それから――それから、首筋に赤く残る色濃い情事の痕。 「――――っ、!」 どきり、と心臓が跳ねる。生々しさを感じさせるその色は、幼げな顔立ちにはひどく不釣り合いかと思えば、かえってぐらぐらとするような倒錯的な魅惑を生み出している。ただその首筋に深く絡みつく金色の鎖だけが、こいつはやらんぞと言わんばかりに牽制していた。 「知り合いか?」 「うーん、前に先生のところで見た気が」 訝しげに首を捻る少年の姿見に、俺の何かが壊れていく。心の臓が、もはや自分のものだとは思えないほどにうるさくてたまらない。鎖も、その上につけられた情慾の痕も、何ひとつほかの人間には見えてないというのだろうか。そうだというのならどうして俺だけこれが見えているのだろうか。 (――――――あ、もしかして) 俺の脳裏にちらついたのは、鍾離という男。喪服めいた出で立ちでその指先から手首に金色の鎖を絡み付かせた、あの男。愛おしむように、慈しむように、そっと鎖を撫でてみせたあの男。そういえば、あの男の瞳の色は――――、 「お兄さん?」 ごくり、と唾を飲み込む。平和な日常が戻ってきただと?馬鹿も大概にするべきだ。一体全体これのどこが平和なんだ?俺の様子を不安げに覗き込む旅人に鎖を付けた相手も、あの鍾離という男に鎖を付けた相手も、もはや口にするまでもない。ただ脳裏に浮かび続けるのは、あの男の金色の瞳。何一つ見逃さないと言わんばかりの、岩元素の色。 なんということだ。俺はきっと、知ってはならぬことを知ってしまったのだ。 *** 「あら、こんにちは。またいらっしゃったんです?」 「呼ばれたから。先生は?」 「奥にいらっしゃいますよ」 にこりと微笑む受付の言葉に、空は歩を進める。向かう場所は奥の部屋。空にとっては最早通い慣れた、この往生堂でも最も格式高い場所。先生、と呼ばれた男は、滅多なことであの部屋に人を通したりはしない。その意味を、「先生」も「旅人」も、それから受付の自分でさえも知っている。はじめてこの場所を訪れた人間なら萎縮するばかりのその場所に、空と呼ばれる少年はなんの躊躇いもなく入っていく。その背中を見ながら、受付の女は呆れたようにため息をついた。 「まったく、怖いったりゃありゃしないわ」
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yuupsychedelic · 4 years
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詩集「ACID WAVE」
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詩集「ACID WAVE」
1.「ACID WAVE」 2.「FAKE MOVE」 3.「BLACK JOKE」 4.「SENTIMENTAL FUTURE」 5.「EMOTIONAL JAIL」 6.「無口な花束」 7.「DEMAGOG RHAPSODY」 8.「NOISY BOY」 9.「FLOWER JAM」 10.「APOSTROPHE」 11.「ROAD MOVIE 〜 ACID WAVE:EPILOGUE」
1.ACID WAVE
謂われもない 正しくない そんな言葉に縋り付く幻想 つまらない 逃げ出したい そんな怒りに縋り付く妄想
Ah 僕らは何のために生きるの? 幻想 妄想 空想 瞑想 惑わされないで
ACID WAVE こわれもの ACID WAVE はぐれもの 激しい風に吹かれた 今こそ君を見つめ直せ
ACID WAVE いたみわけ ACID WAVE のれんわけ 激しい風が変えてく この世界を洗いざらい “あたしが変える”
さりげなく とめどなく こんな言葉に立ち止まる若者 痛みもない 信じらんない こんな時代に立ち止まる旅人
Ah 僕らは誰のために迷うの? 群衆 観衆 聴衆 大衆 波に負けないで
ACID WAVE ふれるなよ ACID WAVE さけぶなよ 激しい風に吹かれても 何も言わぬ君がいる
ACID WAVE つらくても ACID WAVE さみしくても 激しい風に乗ってくの こんな世界にも愛がある だから! “あたしが変える”
こんなに叫んでも 誰も動いてはくれない なぜ なんで どうして ゆるせない 感じるパワー みなぎるエネルギー 君も一緒に行こう
ACID WAVE ほんとうを ACID WAVE しんじつを 激しい風が吹いてる あたしがこの世界を変えるの
ACID WAVE こわれもの ACID WAVE はぐれもの 激しい風に吹かれてる 今こそ君を見つめ直せ
ACID WAVE こんどこそ ACID WAVE はしりだせ 激しい風に乗っていけ あたしはもう一人じゃないんだ 激しい風と共にいけ 立ち止まってる暇はないよ だから! “あたしが変える”
2.FAKE MOVE
AとBの関係が AとCの関係になる 私が言いたいのは そんなことばっかじゃない
根も葉もない嘘に 世界は覆われ 君が何かを始めるとき その嘘が障害物(ゲート)に変わる
Fake Movement 嘘と言ってよ 私はそんな奴じゃないの Fake Moment なんとかしてよ 私の暮らしが毀(こわ)れてく 人は誰もが夜明けを求めて それぞれの明日を捜すもの
ある花の咲く時 薔薇が邪魔をする あなたの言いたいこと ぜんぶ代わりに述べてくれる
見聞きした声に 世間も騙され 薄っぺらの#とやらで 拡散される気分はどうよ?
Fake Movement 止まらぬ声に 私が私を殺してく Fake Moment 支配されて 私が私じゃなくなるの 作りかけのpersonality 粉々に砕けてく この夜
アイドルでいるのも 楽なことじゃない 君が君らしくいられるのは その嘘を代わりに繋ぐ誰かがいるから
Fake Movement 戻りたいわ 私がまだ“it”だったあの頃に Fake Moment もう十分よ 私に何も求めないで!
Fake Movement もうやめてよ 私がこんなに頼むのに Fake Moment 拡散されてく ほんとは全部嘘なんだ
Fake Movement 言われるがまま 私に出来ることはなに? Fake Moment 流されるがまま ただ生きてくしかないのね
3.BLACK JOKE
I hate a money… I hate a money… I hate a money… I hate a money…
顔も声も知らない奴が 今日も有名人を叩いてた どんなに声を遮っても どこからか お前は沸いてくる Uh-Oh 二言目には溜息さ
世界は正解を捜すけれど その世界が意外と狭いように もしも君が 何にも知らない 知らされない 鳥かごの中の生き物だったら?
憎しみの先に何がある 欺瞞と疑惑の世界の中で 僕らは生きていくのだから 一言目に許せる勇気を 黒い嘘 さあ放て Black Joke!!
努力や失敗も知らずに まるでヒーローを気取ってさ お前は何様なんだ? そもそも正義ってなんだ? Uh-Oh 少なくともお前は正義じゃない
I hate a money… I hate a money… I hate a money… I hate a money…
諦めの先に何がある 人々が現実に絶望して 無言で立ち去った痕には 一言目に愛しさを Oh baby さあ放て Black Joke!!
思想が思想とぶつかり合い 声を挙げることを躊躇う者たち そんな彼らを嘲笑う お前らも子羊の一匹だろ?
憎しみの先に何がある 欺瞞と疑惑の世界の中で 僕らは生きていくのだから 一言目に許せる勇気を 黒い嘘 さあ放て Black Joke!!
諦めの先に何がある 人々が現実に絶望して 無言で立ち去った痕には 一言目に愛しさを Oh baby さあ放て Black Joke!!
どいつもこいつも お前も貴様も いい子ぶってんじゃねえよ!!
4.SENTIMENTAL FUTURE
僕の馴染みのサ店が 日曜 店を畳むらしい 太陽の眩しい真夏日 レーコーがあまりに美味しかったんで 思わずマスターに駆け寄り 「ありがとう」と握手を求めると コーヒー豆を持たせてくれたよ
声を挙げるだけで すべて変わると信じた あの日々が懐かしい
僕が愛した御神酒(おみき)屋も 近々 店を畳むらしい 学友とアジった帰り道 日本酒があまりに美味しかったんで 思わずバーテンに駆け寄り 「この酒どこのですか?」と尋ねると 住所をメモに書いてくれたよ
声を挙げるだけで すべて変わると信じた あの日々が懐かしい
君との馴れ初め古書店まで 明日 店を畳むらしい 論文に追われた夏休み 黒髪があまりに美しすぎた 思い出は色褪せぬまま
声を挙げるだけで すべて変わると信じた あの日々が懐かしい
声を挙げるだけで すべて変わると信じてた あの青春の日々が 今はただ懐かしい
5.EMOTIONAL JAIL
ある日 パソコンを開くと 君が一面に映ってた 何故だか 僕はわからず 電話をかけてみると 全部話してくれた
大根がふつふつと煮えるように 時がすべてを変えるだろう 君は無邪気に語るけど なにも変わりはしなかった
ある朝 ウトウトと目覚めた 君は隣で笑ってた 何故だか 嫌な予感がして ぎゅっと抱きしめてみると 君は笑ってくれた
茶柱が幸福(しあわせ)を繋ぐように 時がすべてを変えるだろう 君は無邪気に語るけど なにも変わりはしなかった
ある夜 ニュースを観ると 君が白ヘルを被って 波と波 消えた幻が 僕らの終わりだった 全部終わりだった
数年後 僕たちは離れたまま 風の便りで今を知る 見出しに小さなイニシャル それは僕の名前だった
突然何かに追われるように 僕は再び帰京した 君がもういないと知りながら 青リボンをずっと捜し続けた Aの街に少女の声 聞こえた気がしたんだ
6.無口な花束
柱の落書き まばらな観客 毎週水曜 青春捜して さすらう愛を あなたへ囁く
哀しきセレナーデは 醒めた夢への餞別
誰もいないステージで ひとり悟った恋の限界(フィナーレ) 無口な花束 黄昏(ゆうひ)の約束 サヨナラは何も言わずに
時代は変わった ここは変わらない 小さな劇場 無限の未来へ 信じ続けた夢は何も語らず
群青は水性の儚さで あの夏を静かに溶かした
誰もいないステージで ひとり悟った恋の限界 無口な花束 永遠(とわ)への幕開け 倖せの唄をあなたと友に
フィルムに残された 涙と歓び 来週水曜 もうここにはいない 記憶は風と明日へ消えゆく
誰もいないステージで ひとり悟った恋の限界(フィナーレ) 無口な花束 無言の客席 サヨナラは誰にも言えずに
あなたのためにずっと ひとり狂った恋を謳い 夢への舟が来るんだと 私はひたむきに信じてた 無口な花束 「ファン一同より」の文字 サヨナラは夜に隠して
7.DEMAGOG RHAPSODY
幸せになりたくない人なんていない 優しくなりたくない人などいない 淋しいのがいいって人はいない 怒られるのが好きな人もいない
ああ 愚民たちよ なぜ君たちはそんなに愚かなのか? ああ 愚民たちよ どうして君たちはそんなに馬鹿なのか??
悲しいほど静かな街の中で ただ大好きなものを投げ捨て 俺はここまで歩いてきた 素直に夢を追いかけてきた
ラララ ラララララ ラララ ラララララ
文句を言う前に 君のやるべきことをやれよ 誰かをアジる前に 君のやるべきことをやれよ
言いたいことを言えば 風の噂で火は巻き上がり 還ってきた時には姿を爆弾に変え 俺の前で���火線が切れる
あきらめろ もう遅いぜ あきらめろ もう遅いぜ
声を挙げるのが遅すぎたのさ もう止まりはしないのさ
暴走電車にようこそ 華やかな宴にようこそ
怒れ 怒れ 怒れ 怒れ 怒れ 笑え 笑え 笑え 笑え 笑え ぴえん ぴえん ぴえん ぴえん ぴえん しくしく しくしく しくしく しくしく しくしく
自分がヒーロー気取りで 正しさの意味さえ知らずに 君は正しさを語るつもりなのか それならケチャップを丸呑みしてまで 苦労の道を歩むことはないだろう?
おかしいことはおかしいと言うのだ 違うものは違うと言うのだ 寂しいときは寂しいと言うのだ せつないときにはせつないと言うのだ
神がこの星を創り 俺たちがここに産み落とされた 宇宙の法則の中 流星群に乗り 飛びたて 夜が嵐に包まれて かつてない狂騒 明日は闇に覆われて かつてない競争 着せ替え人形のように お前も変わり身が得意だな!
壊してばかりじゃ何も始まらない 叩いてばかりじゃ何も産まれない 涙ばかりじゃ何処も渡れない 争いばかりじゃ夢も翔ばない
華やかな週末に 綺麗なドレスで着飾って 鏡の間 集結する若人よ
ひどく暑い夏に あの橋を駆け抜けてゆく 髪を束ねた 少女ランナー
黒雲に青空は見え 彼方には遥かなる山 その滾るような美しさ 忘れかけてたもの 子供たちのあどけない微笑み 淋しかったから 声をかけてみよう
ロックは死んだ ロックは死んだ ロックは死んだ サイレントマジョリティー 広場に人は集まり まだ終わってないと声を挙げる 意味がないと知っていても 変わる可能性がある限り 闘い続ける 走り続ける それが人の慣性
ダイスを振れば 転がる石のように 気まぐれに時代は変わる
誰かの声に揺られて 転がる石のように 気まぐれに世間は変わる
最高の詩があれば 世界も変わるはずさ
もう一度 信じてみたい もう一度 愛してみたい
愛する勇気をみんなで持てば きっと世界は良くなる
パンドラの函を開く前のように カオスのない世界 まだ物語は始まりすらしない 人間なんだもの 毎日 君も生まれ変われる 世界はもっと良くなる
8.NOISY BOY
あの店でウォッカを片手に 世間を語った青年 過ちは恐れずに 明日を見つめていた
最終電車が過ぎても 何にも気にすることはなく 怒りに震えながら 正義を語り続けた
あれから何年かして 少年の姿は見えなくなった 今どこで何をしてるのだろう そんな想いが浮かんだ
道を健やかに 君だけのために走れ 最高の想いがあるなら それをぶつければいい 君ならできる 君ならやれる ここから君へ叫ぶよ 諦めるな 投げ出すなと 真っ白な空へ唄う
僕らが親父になって あの日の青年を見つけた 白髪になって シワも増えて なんだかやつれていた
最終電車が近づき 時計を何度も気にして まるで達観したかのような表情で 山手線に乗り込んだ
あれから何十年か経って 少年の微笑みも無くなり 諦めかけたその眼に 勇気は消え失せていた
道を激しく 君だけのために走れ あの頃の想いがあるなら それをぶつければいい 君ならできる 君ならやれる いつまでも君へ叫ぶよ 諦めるな 投げ出すなと 肩を叩いて君へ唄う
帰り際に振り返り 「もう終わったのだ」と淋しそうに 髭を生やしてつぶやく老紳士は もはや別人のようだった
悲しいなら悲しいと言っていいよ 許せないなら許せないと言っていいよ
世界を的確に切り取っていた あの日の少年はどこへ?
道を泥臭く 君だけのために走れ 守るべき人がいるなら その人だけのために走れ
道を健やかに 君だけのために走れ 最高の想いがあるなら それをぶつければいい 君ならできる 君ならやれる ここから君へ叫ぶよ 諦めるな 投げ出すなと 真っ白な空へ唄う
まだ僕らは諦めるには早すぎる
虚しいほどの情熱で 君だけのために唄う あの日の Noisy Boyへ
9.FLOWER JAM
君が風に吹かれ 光を浴びていた頃 爽やかな暮らしを 無邪気に語っていたね
コーヒー豆にこだわり うんちくを僕に語る 追い風に乗って 淋しさを憂い 華やかな明日を信じた
少女よ あの場所で唄う ラブソングをもう一度
清らかな青春の日差しのように 思い出を書き記す夏
君に吹いた風が止み 光が闇に変わる 過去を捨てようとも 過去に縋るしかなく
都会を歩く 若者たちの叫びが 真夜中に駆け出す 切なさみたいに 憂鬱な明日を感じた
少女よ あの場所で唄った ラブソングをもう一度
艶やかな時代の声のように 熱く燃え上がった夏
少女よ あの場所で唄う ラブソングをもう一度
清らかな青春の日差しのように 思い出を書き記した夏 眩しすぎた夏
10.APOSTROPHE
まだ秘めた気持ちを 形に出来ぬまま 私は星になった
いいねの数ばかりが 話題になる世界で 私は星になった
百億分の一 不幸のナイフが傷になる 愛する意味を知らぬ者が 幸せ 殺しに来た
ひとりの声 混じり合い いつしか世代になった 心のフィルター くぐり抜けて 届くのは心無い声 ああ 私はここにいなくていかい? まだ 私はここにいるべきじゃなかったかい??
いつの間にか過ぎてく 時間は風のように 私も大人になる
右も左もわからず その声 波のように 私も大人になる
七十億分の一 誰かに愛された人たち あなたに誇りがあるなら 画面の向こう側を感じて
ひとりの声 重なり合い いつしか時代になった 正義のフィルター 回り道して 伝わるのは心無い声 ああ 私はもう何も言わなくていいかい? まだ 私はもう何もしない方がいいかい??
喜びも悲しみも 全部抱きしめて あなたに愛があるなら 傷つけ合うのはもう終わりにしよう?
ひとりの声 混じり合い いつしか世代になった 心のフィルター くぐり抜けて 届くのは心無い声 ああ 私はここにいなくていいかい? まだ 私はここにいるべきじゃなかったかい??
ひとりの声 たしかめあい いつしかナイフになった 最後のフィルター くぐり抜けて 届くのは心無い声 もう 世界は誰のものでもないんだ…… さあ 世界に絶望するのはやめよう……
雲ひとつない青空 幸せのエールを投げた 悲しみも 喜びも すべて 今はどうでもいいよ 愛する人たちへ 愛せなかった人たちへ 何者でもない少女の詩を
11.ROAD MOVIE
愛する意味も 夢見る意味も知らず ただ叫び続けていた ただ泣き続けていた 誰かに操られるがまま 私は何かを変えようとしていた 変わろうとしていた
しかし 何も変わらず 今日も世界は回っている 私たちの声を聞こうともせず 今日も世界は変わっていく 誰のために頑張ってきたのだろう 何のために声を上げてきたのだろう
気付いたとき すべてが空っぽになっていた 気付いたとき 誰も周りにいなかった 気付いたとき 私は独りになっていた
誰にも気付かれないように 早朝家を飛び出した 最寄駅から各停に乗り 始発電車で故郷を後にした 愛を捜すために 夢を探すために 私は旅に出たんだ 旅に出たんだ
流れる景色は見慣れたはずなのに 今日はなんだか美しく見えるね 流れるビル群と住宅街の調べ すっかり季節は変わってしまったけれど この街は何も変わっていない ぎゅっと抱きしめてくれた 不安だった私をそっと見送ってくれた ありがとう ありがとう 涙が止まらなくなる
それでも 私は旅に出なけりゃいけない 世界の意味を知るため 旅に出なけりゃいけない 知らない世界を知るため 今日旅に出なけりゃいけない
世界がさらに速いスピードで流れていく 私の探していたものは何だったのか だんだんわからなくなってきた でも これでいいんだ わからなくてもいいんだ 地図を広げて目的地を確認してみた 知らない土地へ行くのはいつも緊張する 受け入れてもらえないんじゃないかと怖くなる でも これでいいんだ 怖くてもいいんだ
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
何時間か電車に揺られると お腹が鳴り始める 次の駅には売店がある ここは牛肉が有名だから 思いっきり腹を満たしておこう
そんなこんなで駅をブラブラしてたら 目当ての電車を乗り過ごした ちょっぴり焦ってしまったけれど でも これでいいんだ 焦らなくていいんだ 時間とは一旦距離を置く そう決めたんだ 私は決めたんだ 紫陽花が咲く頃に こう決めたんだ 私が決めたんだ
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
太陽が沈み 深い夜が顔を出す ただ叫び続けていた 泣き続けていた 少女の頃を思い出して 懐かしさに浸りそうになったけれど もういいんだ 水に流すんだ
かつて 私はわんぱくだった もはやその面影すらなく ただ大人になりかけていた そんな私をある人が変えてくれた 私は声を上げることを覚えた これまで無関心だった世界に興味を覚えた
気付いたとき 私は輪の中心にいた 気付いたとき もう戻れなくなった 気付いたとき 誰も相手にしなくなった
見知らぬ声が怖くなり ついに私は旅に出た いつ帰るかもわからない そういう旅だ 行き先も決めずにぼんやりと 流れる景色を見つめてる 明日の宿とその日の下着 これさえあればどこへでも行ける そういう旅だ 私だけの旅なんだ
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
今日の宿は友達の家 ご両親の気づかいが嬉しかった 友達も優しかった カレーライスが美味しかった お風呂は気持ち良かった 当たり前のように見えて当たり前じゃない そんなふつうが嬉しかった 友達と居られるのが幸せだった
翌朝 私は再び電車に乗った 片道切符でどんどんいこうか 青空があまりにも眩しかった もうとっくに夏は終わったというのに なぜこんなに暑いんだろう だけど もういいんだ 気にしなくていいんだ いつか涼しくなるよね だから もういいんだ 気にしなくていいんだ
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
どこまでも行ければそれでいい 雨の日でも傘は差さない 世間の声などどうでもいい 制服なんていらない 友達気取りももういらない
何度か友達の家に流れ着き ありったけの愛を注いでもらった 友達は皆やさしかった 戸惑うこともあったけれど これが旅だと思うと心が軽くなった 好きな人のラジオが耳に届く度 もっと遠くへ行こうという気になった もっともっと旅がしたかった
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
行き先を決めなかったつもりだったけど 実は最初から決めていた あと数十キロで あと一回の乗り換えで カウントダウンが始まる
もうすぐ街に着く かつて夢にまで見た街だ もうすぐ旅が終わる いや始まりだ 私にとっての再始動
どうでもいいと言われた 君には期待していないと言われた 死ねとまで言われた そんな人たちを見返すために もう一度やり直す まだ愛とやさしさが残っているうちに この街でもう一度やり直す 私はまだ死んでいないから
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう また数週間が経った やっと目的の人に逢えた 私は二度目の青春を始めた どんな瞬間よりも喜びを感じた 生きるってこんなに楽しいんだね 久々の感覚だった この街で生きられるのが嬉しかった 変わっていくのが楽しみだった
しかし変わらなかった そう簡単には変わってくれなかった まっすぐな笑顔 人間のぬくもり すべてあるのに なんにも変わってくれなかった だけど気付いた もう一度気付いた 私が変わろうとしなかったんだと 変わるために頑張れていなかったんだと
自暴自棄になりそうだったある日 ある人が教えてくれた 「君の自由は当たり前のものじゃないんだよ」 未だ名前はわからない とにかくあったかい人だった 忘れかけていたものを三たび思い出した もっと純粋に夢を追いかけてもいいんだ もっともっと熱く世界を語ってもいいだと
だから もう一度旅に出ることにした あの旅に出た時の感覚を思い出すために もう一度旅に出ることにした
いつかまたやり直せる この街は私をぎゅっと抱きしめた 旅立ちの日は空があまりにも美しかった 今まで感じたことのない安らぎがそこにあった 見つめ合う自然の笑顔がやさしかった 「人は何度でもやり直せる」 そう感じさせてくれる空だった
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
今の私ならどこまでも行ける 行き方のわからない目的地がすべての目印 人生はみなロードムービー
Bonus.PROTEST SONG’20
やさしさの行進(ぬくもりの交信) はげしさの更新(かなしさの恒心)
さわやかな日々も ひそやかな日々も みんな同じだよ しあわせの価値は みんな同じだよ あいに生きる あいで生きよう あいを生きていこう きみが思うほど きみは愚かじゃない
さみしさの漸進(つよがりの染心) いとしさの全身(たのしさの前進) はなやかな日々も ありきたりな日々も みんな同じだよ しあわせの価値は みんな同じだよ
ゆめに生きる ゆめで生きよう ゆめを生きていこう あなたが思うほど あなたは弱くない
詩集「ACID WAVE」Staff Credit
All Produced by Yuu Sakaoka(坂岡 ユウ) Respect to Pink Floyd, THE ALFEE, BAKUFU-SLUMP and MORE... Special Thanks to My Family, my friends and all my fans!!
2020.5.25 坂岡 ユウ
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2ttf · 12 years
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see also How to Edit a Glyph that is not listed on iFontMaker
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1118-heart · 5 years
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翼を亡くした僕のこと 君は何も知らないままに 愉快にはしゃいでいるのだろう 僕に翼があったってこと、 きっと知らないのだろうね 翼を亡くした僕には 何が残るのだろう 君のためだった それが全てだった でも 君は僕を見ていなかった 冷たい雫が 流れていく 痛いよ 悲しいよ 僕には 何が残っているのだろう _______________ 選ばれた人間しか許可されないことがある。きっと、大部分の人間は要らないのだろうと思う。でも、選ばれるためには数多くの人間が必要だ。特別な人間。素晴らしい才能を持った人間。あぁ、どうしてこんなにも同じ人間なのに違うのだろう。私は何にも許可されていない。 深く重い沈黙とか、泣くのを我慢するとか、イライラして過食するとか、気に入らない人の悪口を言うとか、なんだか嫌だなぁと思う。負の出来事はしょっちゅう起こるから仕方ないけれど、なるべくなら避けていきたい。ただ、私は避ける術を知らない。いつも負の出来事は真正面からぶつかってくる。ポジティブな状態であったなら戦って倒していくけれど、ネガティブな状態の時はどうしようもない。心に突き刺さってくる。傷口から沢山のばい菌が入ってくる。涙のように血が流れて全てが赤く染まっていく。そうして、負の感情に支配される。私も涼やかな風を感じていたいよ、暖かい太陽の光、ふわふわと空を飛んで甘い雲を食む。そんな、幸せな出来事があればいいのに。 私の目には世界は昏く見える。表情があるようで表情のない人達が沢山いる。心の底からこの時を謳歌している人なんて、あんまりいないのだと思う。皆が自分の目の前のことしか考えていないように見える。でも、自分が主になるのは当たり前のことだし、他人に時間を割ける人はそんなに多くない。私はというと、ちょっと違っていて他人のことを考えてしまう。それは善人なのではなく、自分のためにだ。他人のことを思うのは楽しい。今、あの人はどんな風に生きているのだろうとか元気かなとか、そんなことを考える。悪い風には考えない。悪い風に考えたらその人に失礼だからね。色々、思い出すんだ、色々ね。表情がない人達はどうやって生きているのかな。上辺の辛さを知らないのかな。でも上辺こそが、楽な時が多いのだろう
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kkagneta2 · 5 years
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マジックハンド
巨乳な女の子に「せんぱい、先輩、せんぱい!!!」って呼ばれたいという妄想から始まった短編。
真夏、――と言ってもまだ六月ではあるけれども、クーラーの入るか入らないかギリギリの季節の図書室は、地獄と言ってもそれほど違和感は無いにも関わらず、陸也は後輩に勧められるがまま手渡された短編集を開いていたのであるが、もうかれこれ三十分ほどは字を追いかけるだけで内容なんてちっとも入って来ていなかった。正直に言って本を読むことなんて二の次なのだから、別段この灼熱地獄を耐える必要など無い。が、眼の前に座っている後輩、――汀沙(なぎさ)などとおだやかそうな名前をしている一つ歳の離れた女子が、パタパタと下敷きで自身を扇ぎながら、瞬きもあんまりせず熱心に目を上から下へ動かしているので、仕方無いけれども彼女が一息つくまで待たねばならぬ。陸也は暑さに耐えかねて静かにため息をつくと、本を少しだけ下ろして、視界を広げて、器用に片手でページをめくる彼女の姿を覗いた。彼女とはここで初めて会った、……というのは嘘だけれど、ちゃんと話したのはこの図書室が初めてなのだから、そう言っても良いであろう。その時から小生意気で、先輩というよりは友達感覚で接してきて、これがあの人の妹なのかと、ついつい声が出てしまったのであるが、それでも黙っていると美人なものは美人で。彼女の日本人らしい黒髪は、短いけれども艶々と夏の陽で輝いているし、すっと伸びた眉毛から目元、鼻先は性格に似合わず小造りであるし、パタ………、と止まった手首はほの白く、全くもって姉と同じ華車な曲線を描いている。陸也はそれだけでもかつて恋い焦がれていた〝先輩〟を思い出してしまうのであるが、机の上に重々しく乗って、扇ぐのを再開した腕に合わせてふるふると揺れ動く汀沙の、――およそ世界で一番大きいと言っても過言ではないおっぱいを見ていると、いつしか本を閉じて机の上に置いていた。
「せんぱい、せんぱい、それどうです? 面白いでしょ?」
目ざとく陸也の動きに反応した汀沙が相変わらず自分の顔を扇ぎながら言う。額にひたひたと張り付いていたかと思っていた前髪が、ふわりと浮いては、ふわりと額を撫でる。
「せやな。………」
「先輩?」
「んん?」
「その本の一番最初の話を七十字程度に要約せよ。出来なければジュース一本おごりで。――あ、二本でもいいですよ」
と得意げな顔をして言うのは、陸也が暑さで朦朧としているのを知っているからである。
「あー、あー、おごってあげるから、俺もそいつで扇いでくれ。………」
「やっぱり。仕方ないですねぇ」
と本を置いて、ぐいと、体を前に乗り出し、バサバサと両手で下敷きを持って扇いでくれる。図書室は狭いくせに結構広めの机だから、陸也に届く頃にはさらさらとしたそよ風になっていたけれども、あるか無いかでは大違いであった。だが長くは続かない。………
「はい、お終い!」
と再び自分をパタパタと扇ぎ初めた。
「えー、もう?」
「えー、じゃないです。扇ぐ方の身にもなってください」
「……俺、先輩だし。………」
「っていうか、先輩が隣に来たら良いんですよ。たぶん横の席は涼しいと思いますよ?」
とニヤリと目を細めて言い、ぽんぽんと左手にある席を叩く。確かに、汀沙の言う通り隣の席に行けば風に当たることは出来よう、しかし彼がそういう風に座らなかったのは、今更示しても無駄な理性が働いたからであった。先程、汀沙のおっぱいは世界で一番大きい、と言ったのは全くの嘘ではなく、自身の顔を超え、バスケットボールを超え、………いやそうやって辿って行くと果てしがないので一気に飛ばして言うと、バスケットボール三つ分よりもまだ大きい。恐らくこの世には、机におっぱいが乗る女性などごまんと居るであろうが、片方だけでも西瓜よりまだまだずっと大きい彼女のおっぱいは、乗る、というよりは、乗り上げる、と言った方が正しく、こんもりと山のように盛り上がったおっぱいは彼女の顎にまで当たりそうで、そして両隣の席にまで大きくはみ出しているのである。制服に包まれてその姿は拝むことは出来ないが、自身の重さで描かれるたわやかな楕円だったり、ここ最近の成長に追いつけずパツパツに張っている生地を見ていると、それだけで手が伸びてしまう。隣に座ればきっと我慢することなど出来やしない。心行くまで後輩のおっぱいを揉みしだいてしまう。だから陸也は彼女の隣に座らなかったのであるが、結局はいつものように汀沙の誘いに誘われるがまま、席を立つのであった。
「せんぱいのえっち。でも今日は、いつもより耐えられた、………ような気がします」
「いつも思うんだけど、どうしてすぐに触らせてくれないの。………」
そういえば去年の冬、試験勉強をしている最中に消しゴムが彼女の胸元へ転がって、拾おうと手を伸ばして、ちょっと触れてしまったことがあった。その時にひどく怒られて以来しばらく、陸也はすぐに彼女のおっぱいには触れられなくなったのであるが、そんなこともうどうでもよくなった汀沙からすると、今では何だか面白いから続けているようなものだし、窒息して気を失うまで胸元に押し付けられた陸也からすると、今では新たな性癖が芽生えて自分で自分を縛っているだけである。
「私はお姉ちゃんのように甘くはありませんからね。――あ、どうぞどうぞ、こちらへ。………」
とガラガラという音を立てさせつつ椅子を引いてくれたので、大人しく座った。おっぱいに引っ張られて床と平行になった胸ポケットから名札がこちらを覗いていたが、すっと目の前に出てきたのはしなやかな指に挟まれた下敷きであった。
「ん? ――」
「先輩、扇いでください。さっきは私がしてあげたでしょう?」
「………えー」
「えー、じゃないですってば。後少しで切りの良いところにたどり着くので、――ほらほら、でないと私帰っちゃいますよ?」
「しゃあなしやで」
こうやって焦らされるのはいつものことだけれども、今日は特に上機嫌なせいか、特にいじられている気がする。陸也は手でボールを転がすようにおっぱいを揺すっている汀沙に下敷きを向け、パタパタとちょうどよい力加減で扇いであげた。たなびく髪の影からちらちらと彼女のうなじが見えて来たけれども、ちょっと艶めかしすぎるので目をそらしてしまったが、今度は制服を突き抜け、インナーを突き抜けてその存在を主張するゴツゴツとした、きっと巨大であろうブラジャーが目に飛び込んできて、もうどうすることもなしにただ校舎の外に植えられているクスノキを眺め初めた。傾きかけた陽の光が木の葉に映って綺麗であった。――
汀沙の「後少し」は、ほんとうに後少しだったのか五分ともせずにパタンと、本を閉じて陸也の方を向く。
「先輩、切りの良いところまでたどり着いたので、気分転換に〝ミステリー小説を探しに行きましょう〟」
これが二人の合言葉であった。汀沙は手を机について立ち上がると、制服の裾を引っ張ってだらしのなくなった胸元をきちんと正し、ついでに肩にかかるストラップがズレているのが気に食わなくて正し、そうすると次は、そろそろ収まりの悪くなってきたブラジャーから何となくおっぱいが溢れているような気がしたが、よく考えればこれは昨日からだった。無言で陸也と視線を交わして、図書室の奥の奥、……自分たちの住む街の町史だか何だかがある、決して誰も近寄らず、空気がどんよりと留まって、嫌な匂いのする場所、……そこに向かう。図書室には基本的に人はあまり来ないから、そんな変な匂いに包まれることも無いのだ��、陸也がどうしてもここでと言うからいつもそこである。今一度見渡してみると陽の光は入らないし、天上にある蛍光灯は切れたままだし、やっぱりカビ臭いし、聞こえるのは布の擦れる音と、自分と陸也の呼吸だけ。………もう誰にも見られていないに違い無いので、彼の胸元に自分の大きく育ちすぎたおっぱいを押し付けながら、強く強く抱きついた。もし、服を着ていなければ、きっと上半身をほとんど包み込めていただろうが、こうやって私と、陸也の力でぎゅっ……と距離を縮めるのも悪くはない。汀沙はそっと手を離して、半ば陸也の拘束を振りほどくように、くるりと回って背を向けた。
「先輩、今日こそ優しくおねがいします。………」
と小声で、両手を股の辺りでしっかりと握りながら言うと、背中から彼の体がぴったりと密着してくる。脇の下から彼の手がそっと通ってくる。その手は迷うこと無く自分の一番敏感な部分に制服の上から触れ、こそばゆいまでに優しくおっぱい全体を撫で回す。もう一年以上、同じことを休日以外は毎日されているけれども、この瞬間だけは慣れない。汀沙は顔を赤くしながら口を抑えると、背中を陸也にすっかり預けて、砕けそうになる膝に力を入れて、すりすりとてっぺんを撫でてくる手の心地よさに必死で抗った。
やっぱり今日も、魔法の手は魔法の手だった。姉から、りっくんの手は魔法の手だから気をつけて。ほんの少しだけ触れられるだけでこう、……何て言ったら良いのかな、おっぱいのうずきが体中に広がって、背筋がゾクゾクして、膝がガクガクして、立っていられなくなるの。上手くは説明できないけど、一度体験したら分かると思う。よくスカートを汚して帰ってきたことがあったでしょう? あれはりっくんの無慈悲な手を味わい続けて、腰を抜かしてしまったからなの。女の子の扱いなんて知らないような子だから、毎回抱き起こすのが下手でね、しかもあの魔法の手で背中を擦ってきてね、腰の骨が無くなっちゃったような感じがしてね、――と、しごく嬉しそうな顔をしてのろけられたことがあったのだが、その時はまだ高校に入学する前だったので、何を言ってるんだこの姉は。よくつまづくから自分でコケたんじゃないか、と半信半疑、いや、あの常日頃ぼんやりとしているような男に姉が負ける訳が無いと、全くもって疑っていたのである。けれども一年前のゴールデンウィーク前日に、廊下を歩いていると、後ろから名前を呼びかけられると共に肩を叩かれた事があった。陸也は手を振ってさっさと去ってしまったが、妙に肩から力が抜けたような気がしてならぬ。いや、そんなことはありえないと、しかしちょっとだけ期待して図書室へ行ったが彼の姿はどこにも見当たらなかったので、その日は大人しく家に帰って眠って、ほんの一週間にも満たない休日を満喫しようと思っていた。が、やはりあの手の感触が忘れられない、それになぜだか胸が張って来たような気がする。中学生の頃からすくすくと成長してきた彼女のおっぱいは、その時すでにIカップ。クラスではもちろん一番大きいし、学年でもたぶんここまで大きい同級生は居ないはず。そんなおっぱいがぷっくりと、今までに無い瑞々しいハリを持ち始め、触ってみたらピリピリと痛んで、肌着はもちろんのことブラジャーすら、違和感でずっとは着けていられなかった。
結局ゴールデンウィークが開ける頃には彼女のおっぱいはJカップにまで育っていたが、それよりも陸也の手が気になって気になって仕方がなく、久しぶりの授業が終わるやいなや図書室へと駆け込んだ。姉からりっくんは図書室に居るよと伝えられていたし、実際四月にもしばしば姿を見かけていたので、適当に本を一冊見繕って座って待っていると、程なくして彼はやって来た。汀沙を見つけるとにっこりと笑って、対面に座り、図書室なので声を潜めてありきたりなことを喋りだす。だがこれまで挨拶を交わす程度の仲である、……すぐに話のネタが尽き無言の時間が訪れたので、汀沙は思い切って、姉から伝えられていた〝合言葉〟を口に出した。――これが彼女にとっての初めて。Jカップのおっぱいをまさぐる優しい手付きに、汀沙は一瞬で崩れ落ち、秘部からはとろとろと蜜が溢れ、足は立たず、最後にはぺたんと座り込んで恍惚(うっとり)と、背中を擦ってトドメを刺してくる陸也をぼんやり眺めるのみ。声こそ出さなかったものの、そのせいで過呼吸みたいに浅い息が止まらないし、止めどもなく出てくる涙はポタポタと床に落ちていくし、姉の言葉を信じていればと後悔したけれども、ジンジンと痺れるおっぱいは、我が子のように愛おしい。もっと撫でてほしい。………
その日を境に、汀沙のおっぱいは驚異的な成長を遂げた、いや、今も遂げている。最初の頃は二日や三日に一カップは大きくなっていっていたので、ただでさえJカップという大きなおっぱいが、ものの一ヶ月で、K、L、M、N、O、P、Q、R、………と六月に入る頃にはTカップにまで成長していた。姉からはなるほどね、という目で見られたが、友達たちにはどう言えばいいものか、特に休日を挟むと一回り大きくなっているので、校舎の反対側に居る同級生にすら、毎週月曜日は祈願も込めて汀沙のおっぱいは揉まれに揉まれた。ある人はただその感触を味わいたいが故に訪れては揉み、ある人は育乳のコツを聞くついでに訪れては揉み、まだ彼女のことを知らぬ者はギョッとして写真を撮る。汀沙はちょっとした学校の人気者になっていたのであったが、休み時間は無いようなものになったし、お昼ご飯もまともに食べられないし、それに何より放課後そういう人たちを撒くのに手間取り陸也との時間が減ったので、かなりうんざりとしていた。が、そういったいわゆる「汀沙まつり」も六月の最終週には収まった。――とうとう彼女のおっぱいがZカップを超えたのである。たった一ヶ月で頭よりも大きくなり、二ヶ月でアルファベットで数えられなくなったおっぱいに、さすがの女子たちも、それに男子たちも気味が悪いと感じたのであろうか、触れてはいけないという目で見てくるようになって、居心地の悪さと言ったらなかった。以前のように行列を作るようなことは無くなったどころか、仲の良い友達も自分のおっぱいを話題に上げることすらしない。どこか距離を置かれているような、そんな感じである。
だがそれは自分から話題を振るとやっぱり、彼女たちも我慢していたのか以前と変わらない接し方をしてくれ、週明けには何センチ大きくなった? とも聞いてくるようになったのであるが、さて困ったのは授業である。と言っても普段の授業は、机の上におっぱいが乗ってノートが取れないと言っても、出来るだけ椅子を引けば膝の上に柔らかく落ち着かせることが出来るから、そこまで支障は無い。ほんとうに困ったのは体育である。体調も悪いのでなしに休むことが出来なければ、見学することも出来ない。かと言って意外に真面目な彼女は仮病なんて使いたくない。幸いにも水泳は無かったからブラジャーと同じでバカでかい水着を買うことは無かったけれども、やはり少しくらいは授業に参加しなければならず、たぷんたぷんと揺れるおっぱいを片腕で抑えながら行うバスケやバトミントンは、思い出すだけで死にたくなってくる。殊にバスケではボールを手に持っていると友達から、あれ? ボールが三つもあるよ? などと冷やかされ、どっちの方が大きいんだろう、……などとバスケットボールとおっぱいを比べられ、うっそ、まじでおっぱいの方が大きい、………などと言われ、ちょっとした喧嘩に発展しそうになった事もある。今では片方だけで十キロ以上あるから基本的に体育は見学でも良くなったものの、去年一年間のことはもう思い出したくもない。陸也との思い出以外には。………
おっぱいを触れられてから恋心が目覚めるなど、順番がおかしいように感じるが、汀沙はあの魔法の手でおっぱいを揉まれてからというもの、その前後に交わす会話から少しずつ陸也に心が寄っていくのを感じていた。姉妹揃って同じ人物に惚れるなんてドラマじゃあるまいし、もしそうなったらドロドロになりそうで嫌だなぁ、と思っていたら現実になりかけている。「なりかけている」というのは若干の諦めが混じっているからなのだが、それが何故なのかと言うと、陸也はやっぱり姉の方に心を傾けているのである。先輩は決して遊びで私のおっぱいを揉んではいないけれども、どこかよそよそしく感じるのはどうしてだろう、姉は魔法の手でおっぱいを揉みしだかれたと言うが、私はもにもにと軽く力を入れられた記憶しかない。それだけで十分といえば十分ではあるが、やはり物足りない。やはり先輩はお姉ちゃんの方が好き。もうこんなに、――歩くのも大変で、況してや階段を降りるなんて一段一段手すりに捕まらなければ出来ないというのに、毎朝あの巨大なブラジャーを付けるのに十分は手こずるというのに、お風呂に入ればお湯が大方流れて行ってしまうというのに、毎夜寝返りも打てず目が覚めては布団を掛け直さなくてはならないというのに、電車に乗れば痴漢どころか人をこのおっぱいで飲み込まなければいけないというのに、振り向くどころか姉の影すら重ねてくれない。汀沙は今ではやけっぱちになって、陸也を弄っている折があるけれども、内心ではいつか、と言っても彼が高校を卒業するまでもう一年も無いけれど、いつかきっと、……という思いがあるのであった。
「――汀沙、そろそろ揉むよ、良い?」
と一人の女の子を快楽で悶えさせていた陸也が、今までやっていたのは準備体操と言わんばかりに軽く言う。実際、彼はおっぱいの感触を楽しむ、というよりはそれをすっぽりと包む純白のブラジャー、……のゴツゴツとした感触を制服越しになぞっていただけであった。
「お、おね、おねがい。……」
普段はよく舌の回る汀沙も、魔法の手には敵わない。ここに居る間は原則として声を発してはいけないことになっているから、陸也からの返事は無いが、次第におっぱいを持ち上げるように手を下に入れられると、指がその柔らかな肉に食い込み始めた。ブラジャーを着けて支えていてもへそを隠してしまうおっぱいは、中々持ち上がりそうに無く、ギシギシとカップの軋む音だけが聞こえてくる。特注のブラジャーはいたる所にワイヤーが通されてかなり頑丈に作られているから、ちょっとやそっとではへこまないのであるが、そんな音が聞こえてくるということは、相当力を入れているのであろう。そう思うだけでも快感が頭にまで登ってくる。
「んっ、……」
思わず声が出てしまった。呼吸が苦しくなってきたので、口から手を離して息を吸うと、彼もまた浅く荒く呼吸しているのが分かった、目はしっかりと見開き、額に汗をにじませながら彼女の、巨大なおっぱいを揉んでいる。……汀沙はその事実がたまらなかった。例えお姉ちゃんを忘れられずに行っている陸也の自慰行為とは言っても、ただの想像だけではここまで興奮はしないはず。今だけは姉のおっぱいではなく、私のおっぱいに注目してくれている、私のおっぱいで興奮してくれている。けれどもやっぱり、その目には姉が映っているのであろう、私もその愛を受けてみたい、あんまりおっぱいは大きく無いけれど、私に向けられて言うのではないけれど、その愛を感じてみたい。――と思うと汀沙は自然に陸也の名前を呼んでいた。
「りっくん。………」
とは姉が陸也を呼ぶ時のあだ名。
「遥奈。………」
とは姉の名。あゝ、やっぱり、彼は私のことなんて見ていなかった、それにお姉ちゃんのことを「先輩」なんて呼んでいなかった。陸也の手は汀沙が彼を呼んだ時に止まってしまっていたけれども、やがて思いついたように、再びすりすりとおっぱいを大きく撫で回していた。その手を取って、無理やり自分の一番敏感な部分にピタッとつけると、ここを揉めと声に出す代わりに、魔法の手の上から自分のおっぱいを揉む。
「汀沙?」
「今は遥奈でもいいです。けど、そのかわり遠慮なんてしないでください。私をお姉ちゃんだと思って、……おねがいします。――」
言っているうちに涙が出てきて止まらなかった。汗ばんだ頬を伝って、ぽたりぽたりと、美しい形の雫が異常に発達した乳房に落つ。その時眼の前が覆われたかと思えば、意外とかわいい柄をしたハンカチで、ぽんぽんと、優しく目元を拭われていた。
「汀沙、やっぱりそれは出来ない。汀沙は汀沙だし、遥奈は遥奈だよ」
「ふ、ふ、……さっき私のこと遥奈って言ったくせになにかっこつけてるんです」
ぺらりと垂れ下がったハンカチから、極端にデフォルメされたうさぎがこちらを覗き込んでいるので、涙が引くどころか、笑みさえ浮かべる余裕が出来たのである。
「まぁ、うん、ごめんなさい。――今日はこの辺にしておく?」
「それは駄目です。もうちょっとお願いします」
「えー、…��」
「えー、じゃないって何回言えば分かるんですか。早くそのファンシーなハンカチをしまってください」
と陸也がハンカチをしまったのを見て、そういえば昔、家でああいう柄をしたハンカチを見たことがあるのを思い出すと、またしても心が痛くなったけれども、所詮叶わぬ夢だったのだと思い込んで、再び魔法の手による快楽地獄に身を任せてから、シワの入ってしまった制服を整えつつ席に戻った。
「そろそろ帰るかー。暗くなりそうだし。それに夜は雨だそうだし」
と背伸びをして、陸也はポキポキと首を鳴らす。外にあるクスノキの葉は、夕焼けに照らされて鈍く赤く輝いてはいるけれども、遠くの方を見ると墨を垂らしたような黒い雲が、雨の降るのを予見していた。
「ですね。それ、借りていきます?」
と指さしたのは、例の短編集で。
「うん。まだ最初の二三話しか読めてないしね」
「ゆっくり読んでくださいね。あと声に出すともっと面白いですよ、その作者の作品はどれも、――私は好きじゃない言い方なんですけど、異様にリズムが良い文体で書かれているから。……」
「なるほど、なるほど、やってみよう。……ちょっと恥ずかしいけど」
「大丈夫ですよ。聞いてる側は鼻歌のように感じますから。……って、お姉ちゃんに言われただけなので、あんまり信憑性が無いですけどね。――」
汀沙が本を書架に返しに行っているあいだに、陸也は後輩おすすめの短編集を借りて、二人は一緒に学校の校門をくぐった。薄暗い図書室よりも、夕焼けの差す外の方が涼しくて最初こそ足は弾んだが、袂を分かつ辻にたどり着く頃には、二十キロ以上の重りを胸に着けている汀沙の背に手を回して、足並みをそろえて、付き添うようにゆっくりと歩くようになっていた。あまり車通りの無いのんびりとした交差点だからか、汀沙はふと足を止めると、不思議そうに顔を覗き込んでくる陸也の腕をとって言う。
「先輩、お父さんも、お母さんも居ないので、今日こそ私の家に来てくれませんか?」
途端、それまで柔和だった陸也の顔が引き締まる。
「それは、……駄目だろう。バレたら今度こそ会えなくなる」
「でも、一目だけでも、お姉ちゃんと会ってくれませんか? ずっとずっと待ってるんですよ、あの狭い暗い部屋の中で一人で。――」
「いや駄目だ。あと六ヶ月と二日、……それだけ待てば後は好きなだけ会えるんだ。あともう少しの辛抱なんだ。………」
陸也は現在、汀沙の姉であり、恋人である遥奈と会うことはおろか、電話すらも出来ないのであった。詳しく話せば大分長くなるのでかいつまんで説明すると、陸也は高校へ入学して早々、図書室の主であった遥奈と出会ったのであるが、もともと似た体質だったせいかすぐさま意気投合して、何にも告白などしていないにも関わらず、気がついた時には恋仲となっていた。妹の汀沙も高校一年生の時点でIカップあって胸は大きかったが、姉の遥奈はもっともっとすごく、聞けば中学一年の時点でKカップあり、早熟かと思って油断していると、あれよあれよという間にどんどん大きくなっていって、魔法の手を借りずとも高校一年生でXカップ、その年度内にZカップを超え、高校二年に上がる頃にはバストは百七十センチとなっていたと言う。当然、そんなおっぱいを持つ女性と恋仲になるということは、相当強い理性を持っていなければ、手が伸びてしまうということで、陸也はこの日のように図書室の奥の奥、……自分たちの住む街の町史だか何だかがある、決して誰も近寄らず、空気がどんよりと留まって、嫌な匂いのする場所、……そこで毎日のように遥奈と唇を重ね、太陽が沈んでもおっぱいを揉みしだいていたのである。ここで少し匂わせておくと、娘が毎日門限ギリギリに帰ってくることに遥奈らの両親は心配よりも、何かいかがわしいことをしているのでないかと、本格的な夏に入る前から疑っていたらしい。で、再びおっぱいの話に戻ると、陸也の魔法の手によって、高校一年生でIカップだった汀沙がたった一年で(――遥奈は別として、)世界一のバストを持つ女子高校生になったのだから、高校一年生でXカップあった遥奈への効果は言うまでもなかろう、半年もしないうちに、立っていても地面に柔らかく着いてしまうようになっていた。もうその頃には彼女は、そもそも身動きすらその巨大なおっぱいのために出来ず、学校へ行けなくなっていたので、陸也と会うためには彼が直接家まで向かわなければいけない。だが、ここで問題があった。彼女らの両親、……母親はともかくとして、父親がそういうことに厳格な人物らしく、男を家に上げたがらないのである。しかも親馬鹿な面も持ち合わせているので、娘が今、身動きすら取れないことに非常に心配していらっしゃるらしく、面と向かって会うのは避けた方が良い、それにお忍びで会うなんて何か素敵だよね、と遥奈が言うので、陸也は両親の居ないすきを突いて遥奈と会い、唇を重ね、おっぱいを揉みしだき、時には体を重ねた。その時唯一知られたのは、ひょんなことで中学校から帰って来た妹の汀沙であるのだが、二人の仲を切り裂くことなんて微塵も思って無く、むしろ両親に悟られないように手助けすると言って、ほんとうにあれこれ尽くしてくれた。――が、そんな汀沙の努力も虚しく見つかってしまった。それはクリスマスの少し前あたりであった。幸いにも行為が終わって余韻に浸りながら楽しく喋っているところではあったが、冷たい顔をした父親に一人別室に呼び出された陸也はそこで根掘り葉掘り、娘と何をしていたのか聞き出されることになったのである。若い男女が二人、ベッドの上で横に並び合い、手を繋いで離すなど、それだけでも父親にはたまらなかったが、何より良くなかったのはお忍びで会っていたことで、何をこそこそとやっとるんだ、もしかして遥奈の帰りが遅くなっていたのはお前のせいか、俺は娘が嘘をついていることなんて分かっていたが、やっぱりそういうことだったのか、などとまだ高校一年生の陸也には手のつけようが無いほど怒り狂ってしまい、最終的に下された結論は、二年間遥奈と会わないこと、通話もしないこと。お前もその時には十八歳になっているだろうから、その時に初めて交際を許可する。分かったなら早く家へ帰りなさい。――と、遥奈に別れも告げられずに家を追い出されたのである。
だから陸也はもう一年以上、あのおっとりとした声を聞いていないし、あの��っそりとした指で頬を撫でられていないし、あのぷっくりと麗しい唇と己の唇を重ねられていないし、あの人を一人や二人は簡単に飲み込める巨大なおっぱいに触れられていないのである。二年くらいどうってことない、すぐに過ぎ去る、と思っていたけれども、妹に己の欲望をぶつけてしまうほどに彼女が恋しい。今も一人この鮮やかに街を照らす夕日を眺めているのだろうか、それとも窓を締め切って、カーテンを締め切って、一人寂しさに打ち震えているのであろうか、はたまた無理矢理にでも攫ってくれない自分に愛想をつかしているのであろうか。――頭の中はいつだって遥奈のことでいっぱいである。汀沙から毎日のように状況は聞いているが、自分の目でその姿を見られないのが非常にもどかしい。陸也はもたれかかっていた電柱にその悔しさをぶつけると、その場に座り込んだ。
「先輩、大丈夫ですか?」
「無理かも。……」
「あ、あの、……無理言ってごめんなさい。……」
「いや、汀沙が謝ることはないよ。全部俺の意気地が無いだけだから。……」
「……先輩、私はいつだって先輩とお姉ちゃんの味方ですからね。だからあと半年感、――ちょっとおっぱいは足りないけど、私をお姉ちゃんだと思って好きなだけ甘えてください。ほら、――」
さらさらと、汀沙が頬を撫でてくる、ちょうど遥奈と同じような力加減で、ちょうど遥奈と同じような手付きで。………
「ありがとう汀沙、ありがとう。………」
絞り出したその声は、震えていてついには風切り音にかき消されてしまったが、側に居る汀沙の心にはしっかりと響いていた。
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