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#蔵内勇夫
yotchan-blog · 4 months
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2024/5/13 22:01:37現在のニュース
決算発表に孫氏現れず アーム依存のソフトバンクG、経営再建の鍵は(毎日新聞, 2024/5/13 21:58:55) 西原理恵子さん「男にほれられる男の人」 伊集院静さん死去に | 毎日新聞([B!]毎日新聞, 2024/5/13 21:54:24) 次々値上げ…オレンジジュースが気軽に飲めなくなっちゃう 「販売休止」の予定も 一体何が起きている?:東京新聞 TOKYO Web([B!]東京新聞, 2024/5/13 21:48:44) 山火事、温暖化で大規模に 国内でリスク高まる地域も - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/5/13 21:48:33) 日本人初の世界獣医師会会長へ 蔵内勇夫氏「ワンヘルス」のグローバルスタンダードが目標([B!]産経新聞, 2024/5/13 21:39:35) ゼロ歳に選挙権? 「各世代の声を均等に政治に」注目高まる(1/2ページ)([B!]産経新聞, 2024/5/13 21:39:35) 長期金利、一時0.940%まで上昇 日銀の国債買い入れ減額で(朝日新聞, 2024/5/13 21:37:37) 「2040GXビジョン」策定へ 脱炭素化や排出量取引の具体策練る(朝日新聞, 2024/5/13 21:37:37) 救急車、分岐を誤り到着13分遅れ 患者は病院で死亡 横浜(朝日新聞, 2024/5/13 21:37:37) ソフトバンクG、3期連続の赤字決算 「攻めることできた」(朝日新聞, 2024/5/13 21:37:37) 宇都宮ライトレールと市スポーツ財団が連携協定 コラボ商品開発も(毎日新聞, 2024/5/13 21:36:44) 西九州新幹線の未着工区間巡り初の3者協議 ルートで主張隔たり(毎日新聞, 2024/5/13 21:36:44)
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psytestjp · 7 months
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honoya · 1 year
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本おや店内イベント「『百年の藍』刊行記念! 小説家・増山実さん サイン会&トークイベント」開催のお知らせです☆★☆
大阪の本おやでは『勇者たちへの伝言』や『空の走者たち』などでお馴染み! 小説家の増山実さんが、来る2023年10月28日(土)に、なんとなんと朝来の本おやにお越しくだり、最新作『百年の藍』のサイン会をしてくださることになりましたー!!
また、特別企画としてサイン会と同日にトークイベントの開催も決定です! お話上手かつ多方面にお詳しい増山さん(作家業と並行しての構成作家業では、あの、面白いのにためになるテレビ番組「ビーバップ・ハイヒール」の構成なども!)ですので、きっと楽しい会になることうけ合いです☆
トークのテーマは「小説家・増山実の取材のしかた」! 一つの小説を書き上げるまでにどのような取材をされるのか、長年に渡る構成作家業でもきっと培われたであろう増山さんの「取材力」についてお話いただきます!
ちなみに個人的には『百年の藍』に出てきた人物たちの言葉の一つ一つに、それぞれの生きてきた道や心が感じられたところに一番感動したので、そういう「その登場人物にしか語れない言葉」が一体どのように作家の頭から紡ぎ出されていくのかも知りたいと思っています。生きた時代も生きる術も、現代に生きる増山さんとはまるで異なる登場人物たちの話す言葉が、しんじつ心にしみいる謎にも迫りたし!
 
「本を見て、木(原料)を想う」ように、一つの言葉、一つの場面、そして一つの小説が生み出されるまでの背景(時にそれは歴史の連なり)を知ることは、きっと私たち読者に多様な読みかたを教えてくれると思います。いろんな読みかたができたほうが、そらーもう読書がさらに楽しくなるに決まっているので、そこに到達!する一つの道しるべ的な意味もこめつつ、増山実さんに「取材のしかた」を教えていただきましょうー!
そんなわけで、小説家になりたい人はもちろんのこと、本を読むのがとにかく好きだーっ!という方も、ぜひぜひ増山実さんのトークをお聞きいただけましたら幸いです☆
◾️イベント名
『百年の藍』刊行記念! 作家・増山実さんサイン会&トークイベント
◾️日時
2023年10月28日(土)
トークイベント 13:00〜14:30 「小説家・増山実の取材のしかた」
サイン会    15:00〜
◾️場所
本は人生のおやつです!!店内
〒669-5103
兵庫県朝来市山東町矢名瀬町689
079-660-7472
※駐車場有。店の駐車場とは場所が異なりますので、ご予約の方に別途お伝えします。
◾️参加条件 ※どちらも要予約です。
・サイン会 当日までに、当店にて『百年の藍』をお買い上げの方に整理券をお渡しします。
・トークイベント 参加費1000円です。ただしサイン会にお申し込みの方に限ります。
◾️定員
サイン会 特になし
トークイベント 15名(先着順)
◾️お申し込み
・インスタのDM
・H Pのお問い合わせフォーム http://form1.fc2.com/form/?id=637738&viewmode=pc
に、「お名前・当日のご連絡先・店頭でのお買い上げor通販のいずれか」を明記いただき件名「増山実さんの サイン会orサイン会&トークイベント 参加希望!」でお申し込みください。
通販ページはこちら https://honoya.thebase.in
増山実さんのサイン会は朝来市では初めてとなります! また、トークは作家さんのお話を15名で聞けちゃうという、なんとも距離の近い豪華感満載のイベントです〜! 質疑応答もございますので、トークイベントにご参加の皆様におかれましては、当日までに『百年の藍』を読了されてからの方がより楽しめるかと思われます☆
ちなみに、そんな増山さんが初めて大阪の本おやにお越しくださった日のことは、『本の雑誌』2019年9月号にしれっと書いたことがありますー! 店内においておりますので、気になる方はご覧ください☆ 増山さんがいかに本好きな方であるかがわかります!
……な、本おや店内イベント開催のお知らせでした! 
皆さまのご参加、お待ちしておりまーす☆★☆
◾️増山実さんプロフィール
一九五八年大阪府生まれ。放送作家を経て、松本清張賞最終候補作を改題した『勇者たちへの伝言』で二〇一三年にデビュー。同作で第四回大阪ほんま本大賞を受賞。
二〇二二年には、『ジュリーの世界』で第一〇回京都本大賞を受賞。
他の著書に『空の走者たち』『風よ僕らに海の歌を』『波の上のキネマ』『甘夏とオリオン』がある。
◾️『百年の藍』あらすじ
ジーンズに懸けた人々の百年にわたる物語
鶴来恭蔵は、故郷の岡山県児島から浅草に来ていた。車夫の政次のアドバイスにより、憧れの竹久夢二に奇跡的に会うことができた。しかし翌日の大正十二年九月一日、関東大震災に遭遇。親を亡くした娘りょう、政次とでしばらく避難生活をしていた。りょうと児島に戻るという時に、政次からアメリカの救援物資にあったズボンを受け取る。生まれつき色覚に異常があった恭蔵だがズボンの藍色に魅せられ、国産ジーンズを作りたいと考えるようになる。
時代は進み、日本は太平洋戦争に突入し、鶴来家もその大きな波に巻き込まれた。
戦後、世の中が激動する中で鶴来の会社を支えたのは、りょうだった。そして、彼女も日本でジーンズを作るという恭蔵の夢を忘れてはいなかった。ある日、鶴来の家をひとりの男が訪ねてきた。恭蔵の思いは、途切れることなく、繋がっていた––。
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juichiomori · 2 years
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松本俊夫実験映像集1−詩としての映像−
本人解説要約
【西陣】
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●1961年発表。
●カメラマンは日本映画の天皇とも言われている宮島義勇が自ら名乗り出てくれた。
●詩人の関根弘。
●日常的な風景の積み重ねで見えなかった内向的な部分が見えてくる。
●見えない怖いもの、鬱屈した気分を拾い集めながら発酵させるスタイル。
●何かが出てくるのか出てこないのかは分からずに撮っている。
●インタビューを素材にしてモンタージュ(映画・写真で、いろいろの断片を組み合わせて、一つの場面・写真を構成すること。そうして作ったもの。)にしている。
●機械化(生産の合理化)と手織り(独自性)の対比。
●基本織物を織っている場面の積み重ねで進んでいく。
●織っている人の顔をほとんど出さないようにしている。
●西陣の全体像を作り上げさせる映像。
●おまじないが非常に目立つ世界を映している。
●西陣の中に沈んで溜まっていく心と身体の病が見えてくる。
●展示会等、表面の華やかな面を西陣のイメージとして作り上げるがその裏では歴史を背負った習慣が人々の意識を作り上げている。
●能を踊っているのはカンジヒデオ。
●蜘蛛の”糸”と織物の”糸”を掛けている。
●当時は五寸釘の遊びという子供の遊びがあった。
●釘抜き地蔵に職業病で悪くなっている身体の釘を抜いてもらうというもの。(これもおまじないの一部)
●西陣の良くも悪くも変わらない体質を表現。
●西陣の人手不足。
・若者を募集するビラ、集団就職。
・西陣の過酷さをそこまで過酷と思わない過酷な農村にいた中学生たちを集める。
●細い路地、屋根。
●経営者たちの会議を誇張して映し、モンタージュにしている。
・会議室の隣には誰もいない部屋がある。
・何か大きく穴が空いている様を表現。
・空洞性
●状況が行き詰まっているのをあるがまま映し出している。
●基本寄りでしか撮影していないが最後のみ、織る人の引きの画を映している。
●混沌とした世界。
●映画では最後までメッセージを伝えていない。
・観た後に考えさせる映像にしている。
●第13回ベネチア国際記録映画祭でサン・マルコ金獅子賞を受賞。
【石の詩】
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●1963年、TBSで放映された。
●アーネスト・サトウが700枚程白黒写真を撮ってきた。
●それを映像化するつもりだったがプロデューサーが危機感を抱く。
・誰かの「そんなときは松本に聞けば奇抜なアイデアを出してくれる」の一言で松本俊夫に話が来た。
●最初、石の映像のどこに切り口をつけていいか分からなかった。
●エンターテインメントよりも西陣でや��たようなシネポエム(映画用語としては「映画自体が詩であるもの」つまり映像による詩的表現のことを指し、文学用語としてはシナリオ形式を借りた詩のことを指す。)のような考えを進めてはいけないかと考えた。
●写真素材は動かない、動きのない石がモチーフ、静物の静止画というのは映画表現から遠く難しいと感じた。
・非映画的。
●じっと眺めていると、別に何か自分の意識の奥底に蹲っているものがこれらの写真によって刺激されることに気が付いた。
●沈黙というのは死に近い世界。
●彫刻家の流政之は「石をみがくと石が生きてくる」と言っている。
●フレームを切り取ったり構築したりする中に映像が表現を孕んでくることによって、石が生きてくる次元で見られるのではないかと考えた。
●死と再生という根源的な題が隠喩されている。
●当時、安保の敗北で全てが終わったという空気になっていた。
・時代の沈滞化。
・63年になると死に近い状況。
・メタファー。
・その中に生が蘇ることをどこかで望みながら胎動を確信することが出来ないでいる。
・歴史のエアポケットのようなところだった。
●石が生きてきたことと映画が息衝き出したことを連鎖的に帯びさせたい。
●写真を映像にするにはアーネスト・サトウの写真のフレームを弄らねばならないが、写真家はフレームを拘って撮影する為に弄られることを酷く嫌う。
・「映像の尺問題があるのでそれがOKなら出来る」と言う。
・最初アーネストサトウは拘りたいと一日時間を置いたが良い手が見つからないとの事で託された。
・この時点で放送まで後10日。
●まずは3日間徹夜してグラフコンテを描き、それをスタッフに渡して指示。
・撮影とコンテを同時進行。
・撮影はすべてコマ撮りにして写真を原画にしたアニメーションにした。
・現像場でエフェクトをかける時間はない為、カメラでエフェクトを直接撮影して付けた。
・それを時間軸へと構成。
・イメージの流れ、時に飛躍をわざと含ます。
●映像内容で無く、素材自体の印象を意識。
・言語内容より言語そのものに刺激を受けるのに近い映像。
●石と作業の素材のみで世界を映し出す。
・沈黙の中に浮かび出す生。
・素材主義。
●音楽は透明な音が聞こえる。
・サウンドを担当した現代音楽の評論家秋山邦晴が石を楽器にしている。
・石から音楽を作っている。
・ミュージックコンクレート。
・速度を落としたり変調したりしたものを6mmテープで合成していった。
●スタッフの不眠不休。オンエアの1時間前に完成。
●出来上がって全体を見てみて初めてこういう映画だったのかと分かった。
●放送後「テレビの常識からかけ離れすぎている」と報道局の局長がひどく怒りプロデューサーは飛ばされてしまう。
・そして松本俊夫はTBS出禁。
●結果、賛否はあったが後にジョルジュ・サドゥールやクリス・マルケルに評価された。
【母たち】
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●1967年発表。
●石の詩からの3年半の間、テレビでも映画でも出禁状態の評判で干されていた。
・焦りも出ていた。
・その間は演劇に携わったりしていたが、やはり映画がやりたいと思っていた。
・映画製作会社「自由工房」を立ち上げた工藤充にやらないかと誘ってもらった。
・電通が絡んでいてスポンサーがプリマハム。
・たまたまプリマハムが当時ハムの中毒事件があってそのイメージを脱却したいとの意図。
・清潔なハムの製造のビデオになるはずだったがそんなのはつまらないし説得力を持たないと思った。
・そこで主婦に目を向けようとした。
●産業映画でなしに時代や人々を見つめる映画にしませんか?と提案。
・それは面白いとなった。
・世界の母親とその子供の姿を捉えることによって生活環境や感情を映し出す。
・共感関心を得られるテーマ。
・説明的ではなく一つの映画として。
・またやらかすともう作れないかもと思い、難解でないものにしようとした。
・「西陣」はベネチア国際映画祭で賞をとっている。
・それでプロデューサー等との葛藤が和らいだ。
・そこで賞を取れるレベルの映画にしようとは思っていた。
・30分くらいの長さにしよう。
・シナリオハンティングの予算はとても無かった。
・ぶっつけで撮影しにいく。
・シナリオではなく意図のみを書き出しスタートした。
・400字ほどの企画書を持って、アメリカ、フランス、ベトナム、ガーナ(アフリカ)の四カ国のオムニバスを撮影しに行った。
・南北問題
●白人が作った文化、社会、それによって苦しむ第三社会の対比。
・あまりキツくは出さずともなんらかの形で出るのではないか。
●予算問題が厳しかったので4カ国で40日間厳守でスタッフと四人旅。
・たまたま松本の発想で寺山修司の詩をコラージュしていた。
・寺山修司から許可をもらった。
・さらに「外国に行った事がないので一緒に行きたい」と言われた。
・寺山修司とも一緒に旅に行くことになった。
●アメリカはその時代ベトナム戦争中。
・黒人差別が露骨に残っている時代。
・そこらを切り口にしてアメリカとベトナム、ガーナ。
・ヨーロッパの経済発展に伴う空虚感を忍ばせるフランス。
・そういった意図でのこの4カ国。
●移動含めて一カ国10日。
・実際に撮影できる日にちは1カ国1週間。
・段取りはできないのでぶっつけで撮影していく。
●アメリカではハーレムにいく。
・当時かなり怖いところだったので、簡単に撮影は出来ない。
・事件が起きるのは夏というデータを取っていたので、事件があまりない冬にはなんとか撮られるのではないかと考えていた。
・現地で本屋を経営する日本人に案内をしてもらうつもりだったが急遽断られた。
・当時は現地の人がビビってしまうほどの状況だった。
・たまたまハーレムの中でアル中のお母さんを捕まえて強引に家まで押しかけて撮影。
●フランスの場合は、道で「こういった母親はいないか?」と聞いて回っていた。
●ベトナムは映像では三個目のシーンだが、最後に撮影した。
・ベトナムに入るには観光旅行の装いをしなければならない。
・アメリカ軍に申請をしようとしたら間に合わない為、世間知らずの若者たちが観光旅行をしながら撮影して入り込んで行っている装いを作ろうとした。
・そのために16mm(他は36mm)で行こうと考えた。
・ちょっとした金持ちのドラ息子だと思わせた。
・寺山修司は仕事で帰国しなきゃいけなかったのでデータや機材を託し、カバンに馬鹿げたお土産をたくさん詰めてベトナムへ行った。
・万一危険な状態になったら案内に従ってほしいと現地の案内人に言われた。
・メコンデルタに行った。
・昼は政府軍、夜はベトコン。
・ある時銃声が聞こえたら、自分たちへの威嚇だった。
・とりあえず捕まって永遠に田んぼを歩かされ、テントに連れてかれて尋問された。
・カメラが銃に見えたと言われた。
・戦場だと知らないで入ったといったらお前らはバカだと言われて強制送還された。
・バカを装って上手く騙したベトナム撮影。
・当時はベトナム戦争の最中だったので子供が死んで泣いている母親もいて深刻感が強かった。
●ガーナに映るときに気持ちを和ませてほしいと言われて最初は躊躇ったがクッションをいれた。
・ガーナでは解放、民主化が上手く進んでいた。
・将来へのビジョンが見えていてハーレムの空気とは対照的だった。
・ガーナの中での黒人の生活は精神的に豊かだった。
・オムニバスの最後に持ってくるのがいいとなった。
・野口英世は高熱病の件でガーナでは特別に扱われていて、それで日本人への対応も暖かかった。
・民族問題、宗教問題はアフリカの新しい矛盾としてなっていくことをこの頃は予想させなかった。
・紋様のデザインの感覚に驚いていたが何より驚いたのは商品自体の布がメイドインジャパンだった。
・アフリカの映像は映画のラストであり、持つ意味は大きい。
●海は母性。
・今この母子はどうしているのだろうかと思う。
●この映像は、普遍的な訴える力を持っている。
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akerumade · 7 years
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加計学園:京産大の「落選」は獣医師会ロビーの成果-会長「要請活動が実り“1校限り”に」…平成29年度 理事会 会議報告にも明記
産経新聞 2017.5.29 19:26
「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画に絡み、京都産業大でも獣医学部新設の動きがあることを知った日本獣医師会側が、計画阻止のために、現職大臣らに激しいロビー活動を行っていたことが29日、分かった。
   ・   ・   ・
 国家戦略特区諮問会議は平成28年11月9日、約50年間新設されていない獣医学部について、「広域的に獣医師の養成大学等の存在しない地域に限り、獣医学部の新設を可能にするための関係制度の改正を直ちに行う」と決定した。
 日本獣医師会はこの決定に激しく反発。「決定撤回もしくは1校のみ」を求めて、蔵内勇夫会長や同会政治連盟委員長を務める北村直人衆院議員ら日本獣医師会幹部らが、政界に働きかけたという。
 日本獣医師会は今年1月30日に発行した会報の「会長短信 春夏秋冬」の中で、「粘り強い要請活動が実り、関係大臣のご理解を得て、何とか『1校限り』と修正された」と、ロビー活動の“成果”を強調している。
産経新聞 2017.5.29 19:26 (http://www.sankei.com/politics/news/170529/plt1705290037-n1.html)
*
獣医師会会長「『1校限り』への粘り強い要請実った」
 この間、私や日本獣医師政治連盟の北村委員長を始めとした本会の役職員は、できれば獣医学部新設決定の撤回、これが不可能な場合でもせめて1校のみとするよう、山本幸三地方創生担当大臣、松野博一文部科学大臣、山本有二農林水産大臣、麻生太郎自民党獣医師問題議員連盟会長、森英介同議員連盟幹事長など多くの国会議員の先生方に、本会の考え方にご理解をいただくよう奔走いたしました。
 このような皆様方からの多数の反対意見、大臣及び国会議員の先生方への粘り強い要請活動が実り、関係大臣等のご理解を得て、何とか「1校に限り」と修正された改正告示が、本年1月4日付けで官報に公布・施行されました。
会長短信「春夏秋冬(42)」 「獣医学部新設の検証なき矛盾だら��の決定に怒り」より 平成29年1月30日 公益社団法人 日本獣医師会 会長 藏内勇夫 (http://nichiju.lin.gr.jp/test/html/aisatsu/shunkashuutou/log42.html) (https://archive.is/bc4aq)
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「 広域的に1カ所かつ1校のみ」の要件が獣医師会の要請であったことの動かぬ証拠
▽参考・一部引用元
「加計学園」騒動、欲張った文科省と獣医師会が全面的に泣きを見る形で収束へ / 井戸端会議・瓦版 2017年6月25日 (http://vox.hatenablog.com/entry/2017/06/25/175120)
漆ちゃん 2017年6月27日 (https://twitter.com/urushicchi/status/879707587612102657)
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1:「広域的に1カ所かつ1校のみ」と要望したのは獣医師会
獣医師会は「1校のみと働きかけをしたことはない」と述べ(ているが)明らかな嘘。(獣医師会の)平成28年度第5回理事会の会議報告(PDF)には次のように明記されている。
HOME > 獣医学術振興・普及 > 日本獣医師会雑誌 > 2017年 第70巻 第5号 日本獣医師会雑誌 第70巻 第5号 [Vol.70 No.5 (2017)] (http://nichiju.lin.gr.jp/test/html/mag/07005/index.html)
└ 平成28年度 第5回理事会の開催 会議報告  253-263 会議報告(7005).indd - 日本獣医師会  (http://nichiju.lin.gr.jp/test/html/mag/07005/a2.pdf)
6 国家戦略特区に関する件
(1)境専務理事から,国家戦略特区についての本会の取組みとして,以下について説明された.
 ※境専務理事…境政人(平成27年より日本獣医師会の専務理事を務める)
①平成28年12月8日付け28日獣発第230号「国家戦略特別区域による獣医学部の新設に関する要請」をもって,山本内閣府特命担当大臣あて,獣医学部の設置認可申請があった際は,国際水準の獣医学教育の提供は無論,当該獣医学教育施設及び体制が閣議決定した4条件を満たすか否か,内閣府,文部科学省,農林水産省等で厳しく審査すること,さらに今回決定された「広域的に獣医師養成系大学等の存在しない地域」を1カ所かつ1校のみとすることの明記を要請した.
 ※日獣=日本獣医師会
③平成29年1月20日付け事務連絡(略)をもって日本獣医師政治連盟委員長から,各地方政治連盟委員長あてに上記①及び②について情報提供されたこと.
*
北村顧問「1校だけならと言ってない」→ 言ってた
民進党「北村獣医師会顧問が最悪1校に限ると要請」→ 1ヶ月後 民進党「1校だけならいいと言ったつもりない、と北村氏」 anonymous 2017/7/7 (http://anonymous-post.com/archives/9211)
2017年05月24日 面会を終えて記者団の取材に応じた桜井座長は、北村顧問から概ね次のような話があったと説明した。獣医師会としては、最悪仕方がないので1校に限ることにしてくださいとお願いしたが、基本的には獣医学部の新設には反対だ。苦渋の決断でやったのであって、獣医師会の要望があったから1校新設になったというのはまったく違う。 民進党 (https://www.minshin.or.jp/article/111833)
2017年07月06日 今井共同座長は冒頭、5日に日本獣医師会を訪問して北村直人顧問(獣医師、元自民党衆院議員) からヒアリングを行った報告として、「(略)」「獣医師会は反対をしているので1校だけならいいと言ったつもりはない」「(略)」などと北村顧問が話をしており、憤っていたことを明かした。 民進党 (https://www.minshin.or.jp/article/112254/)
―――――
往生際の悪い詭弁ですね。要は、獣医学部が幾つ新設されるかわからないので、獣医師会&北村氏は「新設が免れないのなら最悪1校で」という“制限”を要請したのであって、「1校までなら創っていい」という“認可”の意はなかった、ということなのでしょう。
―――――
*
関連
加計学園:安倍首相「獣医学会ロビーへの妥協が疑念を生むことに~今治市に限定することなく全国展開を目指したい」/ anonymous 2017/6/25 (http://anonymous-post.com/archives/8407)
加計学園:四国への獣医系大学誘致に尽力した民進党・高井たかし氏、ブログ全削で証拠隠滅…消せば増えるの法則で火に油 モナニュース 2017年06月23日 (http://mona-news.com/archives/71469763.html)
「都議選惨敗の総括ない」 民進・横山博幸氏(愛媛2区~今治市他)が離党の意向 anonymous 2017/7/7 (http://anonymous-post.com/archives/9117)
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memory-of-hiroshima · 2 years
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77回目の8月6日が来ました。 あの日、そしてその後の“ヒロシマ”を知ってもらうことが、核兵器廃絶への道につながることを信じたいのです。 2年前に書いた文章ですが、読んでいただければ嬉しいです。
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胎内被爆者の綴り方
<はじめに>  長い間、私は不特定多数の人に被爆体験を語ることにとまどいを覚えておりました。胎内被曝のため、実際に被爆の被害・惨状を見たわけでもなく、肉親を失ったわけでもなく、私自身もこの年齢まで生きてこれた幸運もあり、大きな嘆きの人々に比べれば語る資格がないと思っていました。  しかし、ここ数年、特に日本政府は広島・長崎の被害の事実をなかったものかのように動き始め、核兵器禁止条約に対しても、日本の代表とは思えぬ動きで、私は不安でたまりません。  今まで、生協の平和行進や集会、そして募金に参加したことがあるくらいで、平和や反核に対する運動をほとんどしていません。平和公園での座り込み運動にも、心をよせてはいても、ただの傍観者でした。私が育った戦後、ついこの間までは多くの活動をする人がいて、私も黙っていてもよかったのです。ただ被爆者の会も高齢化で消滅解散する中で、何かしなければならないのではと思い始めていました。  そんな時、オーラルヒストリーを研究しておられる元TBSアナウンサーの久保田智子さんの講演を聞く機会がありました。私が記憶を語るとしたら客観的事実ではないかもという懸念をもっていたのですが、久保田さんは「その人が感じ考え思ったことをいっしょに述べること、主観的事実でいい」と言われました。「複雑でいい、矛盾していい、個人的なものを社会的なものに関連づけて解釈するのだ」と。これは私を勇気づけました。  また、ピラミッドの一番上に直接被爆者がいて、その下にいろいろな人が階層的に存在し、それぞれに思うこと感じ考えることがある、それも大切だと。「ああ私の位置はヒエラルキーの二番目だ、それでも語っていいのだ」と強く励まされました。  それから1ヵ月後、ニューヨークの2020年NPT(核兵器不拡散条約)会議に広島生協の代表として行くことになった友人が、胎内被爆者の会が証言集を出す予定であることを教えてくれました。思い迷った末に、証言集に応募するしないにかかわらず、記憶がうすれる前に一度整理してみようかなとの思いに至りました。
<8月6日>  1946年1月24日生まれの私は、1945年8月6日原爆の炸裂したあの日、母の胎内にいました。予定より早く生まれたと聞いていますから、妊娠4ヵ月位ではなかったでしょうか。悪阻が激しく空襲警報がなっても「このまま死んでもいいから」と逃げるのが億劫だと言っていた母は、朝の洗たくものを干すため両手をあげた時、原爆の光を浴びたといいます。あっと思った時は、胸と腕に火傷をしたようですが、幸いにも「天ぷら油をぬったらいい」と教えてもらい、ケロイドにならずにすみました。借家だった家の前はごぼう畑が広がり、己斐駅がすぐ目の前に見渡せました。光線をさえぎるものは何もありません。爆心地から2.5kmとS42年(1967年)2月18日取得の被爆者手帳にはしるされています。  その時父は観音町の三菱重工の工場、爆心地から4kmの所で被爆。父がどのルートでどのように己斐まで帰ってきたのか全く知りません。9月に4才になる姉は、家の中の布団で寝ており、布団ごと部屋の端から端まで飛ばされていました。壁が少し崩れたくらいで、家は倒れずにすみ、姉も無事でした。  これらの話を父や母から直接聞いたという記憶はなく、どこでどのように知ったのでしょう。母が黒い雨にうたれ、髪の毛が抜け寝こんだこともどうして知ったのでしょう。それには一つの類推があります。
<近所の人々との思い出>  私が小学校低学年の頃住んでいた家はやはり己斐ですが、被爆した時とは違う近くの家です。家の前にも横にも40cm位の側溝に水が流れ、夏には青い露草の花が咲き蛍もとんでいました。暑い暑い8月6日の前後には、近所の人々が涼を求めて集まり、石垣に座って思い思いに語ります。クーラーも無い時代、手にはうちわがあります。冷蔵庫も氷で冷やす木の冷蔵庫です。家には西瓜が待っており、私たち子供は浴衣を着て、大人のまわりをうろちょろしています。そんな時大人の話が聞こえるともなく聞こえるのです。 「ようけえ逃げてきたのお」「おう、水あげりゃあえかったのう、どうせ死ぬんじゃったらのお」「Tさんの家は壊れたらしいのぉ」「下敷きになって男ん子が死んだんよ」「Nさんの奥さんは今年も日傘さして行きよっちゃったよ」「式典なんじゃろう。姉妹や親はえっとこ亡くなったって」  話が聞こえてくるうちにだんだん恐くなります。帰ってトイレに行くのも、夜寝るのも恐くなります。こんな会話の中で私の母の話も語られ、私が覚えたのだという気がします。  Nさんとは、私を実の娘と同じようにかわいがって、お風呂に入れて身体をごしごし洗ってくれたり、焼きリンゴを作ってごちそうしてくれたおばちゃんです。あの優しいおばちゃんが大きな悲しみを抱えておられたのに深く気づくのはずっと後です。このおばちゃんは小学生の女の子2人を残して腎臓病で、身体をパンパンにむくませて亡くなられました。きっと被爆の影響だったと今なら思いますが、当時小学生だった私は、おばちゃんの変わり様に恐ろしかっただけです。  あの夏の日々は、あらためて語り部と言わなくても、みんな思い思いに自然に語って、私たちに伝承されていたのだなあと改めて思います。
<己斐小学校でのこと>  伝承というと小学校の担任を1年から6年まで受け持ってもらったY先生のことが思われます。8月6日宝町の自宅から己斐小学校へ通勤した日のできごと。爆心地近くから相生橋、本川を通ってひたすら己斐へ歩く途中に見た被災の光景。川の中に浮かぶたくさんの人々、横たわる死者たち。その話を聞いた記憶がしっかり残っています。教壇に立って語る先生の息づかい。並ぶ生徒たちの机。写真のようにまぶたに残っています。先生はその日どのように自宅へ帰られたのでしょうか。全く知りません。Y先生はその後私たちが4年か5年生の頃、だから戦後10年くらいでしょうか、肝臓を悪くされ長く入院されたことがありました。きっとこれも原爆と関係があるに違いないと今は思います。  私の小学校は己斐小学校ですが、己斐はたくさんの被災者が流れ込んできて、小学校の校庭ではたくさん人を焼いたと言います。春秋に運動会があったのですが、グランド整理で土をならすと骨が出るというのをよく聞きました。私は直接拾ったことはないのですが恐くてたまりませんでした。それに春は校庭の桜が葉桜になる頃の運動会でしたから、毛虫がぞろぞろはい回ります。私は大の虫嫌い。二重に恐くて――。今と違って素足でかけっこですものね。
<ABCCの記憶>  私が唯一当事者として語れるのはABCC(現・放射線影響研究所)のことかもしれません。小学校低学年の時だったと思います。母と、あるいは近所の友と、そして級友と何回かABCCが近所まで迎えに来て出かけました。学校まで迎えに来たこともあります。黒塗りの大きなハイヤーが来るのですが、私はすぐ酔うので苦手です。行くと、全てがすんだあとクッキーやサンドイッチ、紅茶などをご馳走してくれるのです。異文化への興味や憧れのようなものがありました。けれども何しろアンパンやジャムパン育ちで偏食も多かった私は、なれないものを何とか口にし、帰りの車でまた気分が悪くなるのでした。  さて、ABCCの記憶で長く私が語れなかったことが一つ。検査に行くとズロース(パンツ)の上に白いスモックのようなものを1枚かぶるのですが、それを着てある部屋に一人連れて行かれます。大きな机、私には3m×4mぐらいにも思われましたが、その端に足をぶらんと下ろして、入口のドアに向かって不安そうに座っている自画像が脳裏に残って消えません。そして、立つように促されたのでしょうか。服を脱いでズロース1枚でテーブルに立ったと思うまもなく、大きな180cm位の白人男性がこれまた大きなカメラを抱えて10人近くどたどたと入って、テーブルの回りから、四方八方カメラのフラッシュをたきました。驚きと恥ずかしさと何があったかわからないのとで呆然としていたのでした。一番大きかったのはたぶん恥。何かいけないことのように思ったのでしょう。この話は帰りの母にも友にも誰にも話しませんでした。話せば自分一人の体験ではなかったことがわかったかもしれません。後に語れるようになり、友人夫妻にこの体験を話した時「つらい話をさせてしまった」と言われ、ああそうだったのかと納得したものです。映画のワンシーンのようなこの記憶は今後も決して消えることはないと思います。
<病気に思うこと>  私が生まれたのは、母の母・未亡人だった祖母のいた広島県北部の旧・山縣郡千代田町壬生です。大雪で2階の窓から出入りするような日だったということです。戦後の広島を避けてお産をしたのでしょう。私は乳を飲んでもすぐ吐き、胃の入口の調子が悪くて薬を飲んで治したといいますが、詳しいことはわかりません。その後10カ月位の時には百日咳の激しいのにかかり骨と皮になりました。母は父の実家の香川県高松市鬼無町にひきあげました。そこで祖父から「こんな子を連れて帰って」と非難されたことを相当うらめしく思ったようで、時々同じ話をしてくれました。父の家の事情もあり、結局両親と私たちはまた己斐に戻りました。  そこで成長して22才の大学卒業まで暮らすのですが、父も母も被爆者でしたが、特に母の身体が弱かった気がします。家事だけの人でしたが、一日中かかって掃除・洗たく・食事の支度をし、少し動くと休みながらという具合です。おまけに度の過ぎた清潔好きで、洗たくもハンカチを洗って次は上のもの、下着はその次、そのあとパンツ…といったくらいに丁寧でした。今思えば、それも��れも細菌におびえていた事情もあったかもしれません。私は母の身体の弱いのは偏食のせいと思っていましたが、ひょっとすると被爆の影響があったかもしれません。父は61才、母は57才で亡くなりました。二人とも脳内出血ですが、母は一度肺ガンということで、広島市のM病院で放射線治療を受けたこともあります。  私はよく熱を出し、決して強いとは言えず、身体も細く背も前から一・二・三を争うくらいのチビでした。それでも高校時代は皆勤賞をもらいました(授業中寝てばかりの子でしたが)。  それが結婚して1ヵ月ちょっとだったでしょうか。盲腸になり、夫も手術をしたこともあり夫の家族の中では名医と呼ばれていたN外科で手術をしました。なぜか2、3日眼が覚めず熱も出て、私が被爆者手帳で受診したからでしょうか、先生は慎重になられ結局1ヵ月入院しました。  また、二人目の子のお産の時、妊娠5ヵ月くらいから妊娠中毒症になりとうとう7ヵ月ころ入院。そして子供が9ヵ月に入った時母体がもたないということで早く生みました。お産がすめば蛋白尿がよくなるということでしたが、数値は4本プラスが2本プラスになっただけで入院がその後も続きました。家族を心配して泣き、食事もとれなくなり、そんな私を心配した先生が退院させてくれました。1年位かけて漢方薬をせんじて飲みながら治ることができました。この2回のトラブルで、人がスムーズにできることが上手にできないのは被爆と関係があるのかなあと思ったりしました。これが被爆者共通の心理かもしれません。
<家族の中で>  私が被爆者であるということを夫に初めて言ったのがいつかは覚えていません。当時は手帳取得が結婚にさわるという風評もあり、姉などは「いらない」とすぐにはとらなかったような気がします。私はそんな思いもなく所持していたのですが、夫が戦争の責任とか社会のものの見方などで、私よりはるかに反戦の意識が強かったので何も心配ありませんでした。広島・長崎の式典中継でも私より深く正座してみるような人で、これは幸いでした。  家庭の中で被爆体験を話せたこと。それを淡々と聞いてくれる家族がいたことはうれしいことです。  初孫が5才のころでしょうか。我が家には「原爆の図」「ひろしまのピカ」「ピカドン」(いずれも丸木位里・俊作)や原爆ドームの本など夫が集めた本がたくさんあります。それらを持って帰るほど興味をもち、「原爆ドームに行きたい」と親にねだるほどの孫娘。ホロコースト記念館にも何回か行き、私たち夫婦にもアンネの部屋を丁寧に教えてくれ、「ああこの子は平和の担い手に」と期待をこめて見守っていました。なにしろ8月15日生まれですから。そしてその孫に、佐々木禎子さんについてまとめたダイジェスト版の本を夫は作りました。それを読んだ孫は「禎子さんちは散髪屋さんだったんだね」と。夫はその一言に苦笑していました。2、3年もすると興味を失った孫娘が、いつの日かまた興味と関心を持ってくれれば幸いです。  孫娘が小学校1年生くらいの夏に遊びに来て、寝物語に被爆体験の話をしたところ「おばあちゃん(生きてて)よかったね」と言われ、私ははっとしたのを覚えています。「生きてて申しわけない」という被爆者のことばがよく言われます。私に明確にあるのではありませんが、いくらか私にも長生きへの申しわけなさみたいなものがあります。でも「よかったね」というのはありがたくかみしめたいと今では思っています。
<最後に>  たまたま2020年3月15日付の中国新聞に、「被爆オリンピアン肉声現存・広島市出身36年出場故高田静雄氏」という見出しを見ました。その人は小学校時代の級友の父親です。また、米兵たちの被爆をほりおこし追悼してオバマ大統領にハグされた森重昭さんも級友のお兄さんです。佐々木禎子さんが白血病で亡くなられたころ入院した級友もいます。でも、私たちは戦後60年、還暦を迎えた同窓会でほんの少し被爆のことを話したことがあるくらいで、級友でも詳しいことはほとんど知りません。日々衰えていく記憶と、語りあう機会も減っていく中で、今回書き残してみたのはよかったように思います。記憶とは不思議なもので、自分流にゆがめているかもしれません。この主観的な記録がどのように伝えられていくのか少し楽しみです。長生きすれば「最後の被爆者」となる可能性もある人間の記録ですから。そのためにも両親からもっともっと話を聞いておきたかったです。
<さらに>  この原稿のパソコン入力を娘がひきうけてくれました。彼女は幼い頃、原爆資料館のろう人形母子を見ておびえましたが、私と平和行進に参加したことや、大会で「青い空は青いままで子どもらに伝えたい。燃える八月の朝…」と歌ったことは覚えています。8月6日の式典で峠三吉の詩を子供代表が語ったのに感動して、東京から電話をかけてきたこともあります。彼女には彼女のヒロシマとの歴史が作られているのですね。いろいろな形でヒロシマが伝承され続け、子や孫・その先まで、この愚かなことがくり返されぬように祈ります。私の胸を今でもゆさぶる歌「原爆許すまじ」を心に銘じて。
(2020年4月記/上村洋子)
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argeno · 3 years
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копипаст из удоленного в настоящее время бложега
но мне оно нужно под рукой %)
------------------------------------------ ◎蒼井夕真 (井口祐一)
------------------------------------------ ◎青島刃 (成田剣) ------------------------------------------ ◎あさぎ夕 (鈴木裕斗) ------------------------------------------ ◎Ash (髙坂篤志) ※違っていたらご指摘下さい
------------------------------------------ ◎天野晴 (田丸篤志) ------------------------------------------ ◎斧爆弾 (安元洋貴) ------------------------------------------
◎庵田技剛 (仲村宗悟)
------------------------------------------
◎イシイツタオ (鈴木達央) ------------------------------------------ ◎泉菊之介 (三浦祥朗)
------------------------------------------
◎いちごみるく (白石稔) ------------------------------------------ ◎一条光 (笹沼尭羅) ------------------------------------------ ◎一条和矢 (一条和矢) ------------------------------------------
◎五日天峰 (寺島惇太)
------------------------------------------
◎犬神帝 (森川智之) ------------------------------------------ ◎沖野靖広 (高橋広樹) ------------------------------------------ ◎折春紺 (小野友樹) ------------------------------------------ ◎魁皇楽 (柿原徹也) ------------------------------------------ ◎柏木誉 (野島裕史)
------------------------------------------
◎香純秋 (大須賀純)
------------------------------------------
◎加藤一樹 (石井一貴) ------------------------------------------ ◎金部影人 (酒井広大)
------------------------------------------ ◎金田 亮 (藤原祐規) ------------------------------------------ ◎河村眞人 (山中真尋) ------------------------------------------ ◎木島宇太 (水島大宙) ------------------------------------------ ◎切木Lee (新垣樽助) ------------------------------------------ ◎久喜大 (高橋英則)
------------------------------------------
◎黒井勇 (白井悠介) ------------------------------------------ ◎黒井鋼 (樋口智透) ------------------------------------------ ◎黒瀬鷹 (黒田崇矢) ------------------------------------------ ◎小池竹蔵 (萩原秀樹)
------------------------------------------ ◎櫻井真人 (福島潤) ------------------------------------------ ◎桜ひろし (前野智昭) ------------------------------------------ ◎先割れスプーン (鳥海浩輔) ------------------------------------------ ◎笹崎こじろう (益山武明)
------------------------------------------
◎佐藤タカ (梯篤司) ------------------------------------------
◎猿飛総司 (小松昌平)
------------------------------------------ ◎佐和真中 (中澤まさとも) ------------------------------------------ ◎ししゃも (河西健吾)
------------------------------------------
◎紫原遥 (鈴木千尋) ------------------------------------------ ◎松涛エルサ (堀内賢雄) ------------------------------------------ ◎須賀紀哉 (間島淳司) ------------------------------------------ ◎杉崎和哉 (谷山紀章) ------------------------------------------ ◎洲鳩流人 (下野紘) ------------------------------------------ ◎スメラギ隼人 (堀江一眞) ------------------------------------------ ◎皇 帝 (立花慎之介) ------------------------------------------ ◎鷹取玲 (坪井智浩)
------------------------------------------ ◎田村拓狼 (江口拓也)
------------------------------------------ ◎ダンミツオ (岸尾だいすけ) ------------------------------------------ ◎茶介 (加藤将之) ------------------------------------------ ◎テトラポット登 (古川慎) ------------------------------------------ ◎寺竹順 (阿部敦) ------------------------------------------ ◎東堂京介 (郷田ほづみ) ------------------------------------------ ◎十利須我里 (日野聡)
------------------------------------------ ◎土門熱 (佐藤拓也)
------------------------------------------ ◎西島古都夫 (石井真) ------------------------------------------
◎二枚貝ほっき (中島ヨシキ)
------------------------------------------ ◎二枚貝ほたて (榎木淳弥)
------------------------------------------
◎二枚貝ムール (伊東健人)
---------
◎紀之 (杉山紀彰) ------------------------------------------ ◎刃衣斬人 (下野紘) ------------------------------------------ ◎萩大左衛門 (山谷祥生)
------------------------------------------
◎八王子タカオ (深町寿成)
------------------------------------------
◎鳩万軍曹、鳩マン軍曹 (川原慶久)
------------------------------------------ ◎早川凜太 (松田健一郎) ------------------------------------------ ◎春男児 (土岐隼一)
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◎柊三太 (小野友樹) ------------------------------------------ ◎髭内悪太 (竹内良太) ------------------------------------------ ◎左高蹴 (安元洋貴) ------------------------------------------ ◎平井達矢 (平川大輔) ------------------------------------------
◎���間真昼 (八代拓)
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◎広山和重 (増田俊樹)
------------------------------------------
◎冬ノ熊肉 (熊谷健太郎)
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◎不破光秀 (前野智昭) ------------------------------------------ ◎Professor太郎 (柿原徹也) ------------------------------------------ ◎Prof.紫龍 (山崎たくみ)
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◎ヘルシー太郎 (伊藤健太郎)
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◎ペロペロンチーノ (花江夏樹) ------------------------------------------ ◎ほうでん亭ガツ (森川智之) ------------------------------------------ ◎ほうでん亭ガツ芯 (千葉一伸)
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◎本場伊江 (萩道彦) ------------------------------------------ ◎マーガリン天狗 (藤原祐規) ------------------------------------------ ◎舞岳育 (小林親弘) ※教えていただいた方ありがとうございます
------------------------------------------ ◎マクシミリアン渚 (井上和彦) ------------------------------------------ ◎まつたけ弥太郎 (榎木淳弥) ------------------------------------------ ◎真野大 (狩野翔)
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◎万里小路 麗音 (逢坂良太) ------------------------------------------ ◎ミノベサトル (新垣樽助) ------------------------------------------ ◎三楽章 (牧野秀紀) ------------------------------------------ ◎村上たつや (武内健) ------------------------------------------ ◎村野住人 (村田太志) ------------------------------------------ ◎米良奏真 (下野紘) ------------------------------------------ ◎八神大輔 (野宮一範) ------------------------------------------ ◎山田コーハチ (平川大輔)
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◎美術千性 (岸尾だいすけ) ------------------------------------------
◎吉村カートマン (村瀬歩)
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◎四ツ谷サイダー (興津和幸) ------------------------------------------ ◎利一翔 (伊東健人)
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◎竜仙鳳堂院斬慈刃琉 (岸尾だいすけ) ------------------------------------------ ◎ルネッサンス山田 (前田剛) ------------------------------------------ ◎我武テツ (櫻井トオル)
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◎ワッショイ太郎 (川田紳司)
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myonbl · 2 years
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2022年5月1日(日)
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今日から5月がスタート、5/1は「すずらんの日」というそうだ。初めて聞いた言葉だが、
5月1日は、フランスを中心にすずらんの日と呼ばれています。 すずらんの日は毎年5月1日に、恋人やパートナーそして、日頃からお世話になっている友人や家族などにすずらんを贈る日とされています。(花キューピット)
知らなかったなぁ。幾つになっても、勉強ぢゃ!
5時起床。
日誌書く。
今日も全員オフ。
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朝食前に血圧測定、4月は結構高かった。
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アオサそば+そば湯+ヨーグルト。
洗濯1回。
ツレアイは太鼓の練習で奈良へ、京都駅まで送る。ところが、JR奈良線が倒木のため運休中、近鉄で向かうとのこと。
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FITの4月のデータ、ガソリン消費量が前年同月比39.2%と多くなっているが、昨年は第2週からリモートになったのだ。
町費の回収、3軒のうち2軒は今日も留守、メモを作成して投函する。
町内会・会計の資料整理。
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ランチ、息子も私もサッポロ一番味噌ラーメン。
ツレアイは近鉄東寺からバスで帰宅、遅めのランチは辛味焼きそば。
その後はまたしても買物、調味料・トイレットペーパーなど。
町内会長から他の4組の町費が届く、金額を確認して領収メモを渡す。こちらの町籍簿がまだ揃っていないので後日届けると。
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夕飯は鹿肉ソテー、先日の焼肉のタレと塩味の2種。息子たちはスパークリングワイン、私たちは呉春+🍷。
録画番組視聴。
サラメシ シーズン12 (3)「75歳歯科医最後のお弁当▽千葉真一が愛した昼」
初回放送日: 2022年5月1日
横浜で長年、歯科医院を営んできた75歳の男性。この春、歯科医を勇退する決断をした。結婚間もないころから48年間、昼ごはんは妻が作るお弁当を食べてきたが、夫の勇退とともに妻もお弁当作りを卒業することに。地域の人々に愛されてきた歯科医最後の一日、患者とのふれあいや最後のランチタイムを見届けます▽アクションスター千葉真一が通ったシーフードレストラン。店主に語った夢の話や千葉が愛した刺身定食を紹介する
日本の話芸
立川談四楼 落語「井戸の茶碗」
初回放送日: 2022年5月1日
立川談四楼さんの落語「井戸の茶碗」をお送りします(令和4年2月11日(金)収録)【あらすじ】くず屋の久蔵は、貧しい浪人・千代田卜斎(ぼくさい)から古い仏像を200文で買い取り、細川家に仕える高木作久左右衛門に300文で売る。ところがこの仏像、汚れているのを高木が磨くと、台座の紙がはがれ中から50両もの小判が出てきた。「仏像は買ったが中の小判まで買った覚えはない」と高木はこの金を返そうとするが…
刑事コロンボ
(32)「忘れられたスター」
何度見ても新しい!ミステリードラマの金字塔。ヒッチコック監督の映画「サイコ」のヒロイン、ジャネット・リーが、カムバックを夢見る往年の名女優を演じる。
過去の名作ミュージカルの名場面を集めた映画が公開され、再び脚光を浴びた往年の名女優グレース・ウィラー。女優としてカムバックするために必要な資金の援助を夫に断られると、眠っている夫の手に拳銃を握らせ、自殺に見せかけて殺害する。完全犯罪を実行したかのように思えるグレースをコロンボは逮捕できるのか!?
終わる頃には記憶がもうろう。
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明日からは、ちゃんと体を動かそう。
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shakuhachi-kataha · 3 years
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虚無僧尺八入門曲 ☆ 霧海篪(むかいぢ)徹底探求! 
霧海篪は恋慕(れんぼ)なの?!
中世の薦僧はれんぼを吹いていた?
霧海篪とは、虚鈴、虚空にならぶ古伝三曲の一つ。
霧海篪鈴慕とも云う。
古い譜には「箎」と明記されていますが、「篪」と同じで、笛の意。
神田可遊著『虚無僧と尺八筆記』の尺八古典本曲解説「鈴慕・霧海篪」によると、「『霧海篪』は「恋慕」の異名であるということになっている。」とのこと。
「恋慕の一曲は、こひしたふといふ文字にして凡夫愛着恋慕の妄執にまどはされ居て、一心を開覚する事能はず、仏の他力にて発動するの曲なり(中略)俗縁の恩愛を断ざれば仏になれぬ故に、恋慕の俗恩を棄て無為の門を修行」する秘曲で、「当門入門の一曲なり、是即発心門なり」
鈴慕と言う曲が多いのは入門曲ということなのだろう。一般にも虚無僧は恋慕を吹くものと思われていたらしい。『霧海篪』は「恋慕」の異名であるということになっている。
『虚霊山縁起并三虚霊譜弁』(1735年)では、虚竹が霧中に聞えたこの尺八を「霧海南針」というべしとし、これによって霧海篪という譜の名にしたとしている。
「霧海南針」の【南針】とは、中国語の辞書によると、南针(ピンインnánzhēn)と書き、「指南、指針、指導」の意があります。
「恋慕の俗恩を棄て無為の門を修行」する秘曲とあるように、入門者にとっては基本の曲であったことが伺われます。
「虚鐸伝記」伝説の霧海篪についてはこちらをご参照下さい↓
youtube
↑明暗対山派(流)、37代目の谷北無竹から竹内史光師に伝承された霧海篪です。
では、霧海篪の原型である「れんぼ」は一体どんな曲なのか?を探求してみたいと思います。
「れんぼ」と一節切との関連性は、次のような浄瑠璃の詞章にも見られる。
   〽一夜ぎりには子も足らぬ 只しやくはちのねをながく
    れんぼれゝつれがよございしょ」
金平浄瑠璃《四天王丸山あそび》貞享頃 1684-1688年
【金平浄瑠璃(きんぴらじょうるり)】江戸前期、江戸に流行した浄瑠璃。
江戸の桜井和泉太夫(のち丹波掾)が創始。坂田金時の子金平の武勇談を操 (あやつり) 芝居で上演,その豪快粗野な曲が江戸の気風に適合して町人に喜ばれた。初世市川団十郎の荒事 (あらごと) もこの人形の動きから考案されたものという。(『旺文社日本史事典 三訂版』より)
近世初期歌謡「れんぼ」から生まれた一節切尺八のイメージは、詞章〽レンボレレツレ」の「レレツレ」に象徴的に示されている。〽レレツレ」は一節切尺八の唱歌に起因する詞章と思われ、それが「れんぼ」の詞章の特 徴となり、同時に旋律の音楽的特徴ともなった。
〽レンボレレツレ」という詞章の「レンボ」と「レレツレ」が、それぞれに、「恋慕」という情感のイメージと 一節切尺八のイメージに対応し、後述するように、定型旋律「レンボ」が広がる状況にも影響を与えていくので ある。
(『近代邦楽における「レンボ」の広がり』より)
近世初期の流行歌謡「レンボ」の旋律について、楽譜と共に大変詳しく書かれていますので、こちらをご参照下さい。
ここで一つ謎なのが、この頃の一節切の譜はロツレチ譜では無くフホウエ譜なので、ここで歌われる「レレツレ」はただの言葉遊びかと思われますが、「ウウホウ」の部分が現代の譜のロツレチにすると「レレツレ」になのは偶然にしても上手く行き過ぎているような…🤔
地歌筝曲の「歌恋慕」(うたれんぼ)とは?
流儀によって各種ある。元禄以前の歌謡を組み合わせたもので、各歌の長さは不定。作曲は菊平勾当、もしくは河原崎検校とみられる。
三歌のあとに手事風の間奏が入り、巣籠地を合わせることができる。これは歌詞や曲名が尺八曲に因むためであるという。
【手事(てごと)】地唄、箏曲での歌の間に挿入される器楽の長い間奏部分。
詩の内容は、愛しい人に会えれば一夜限りでもうれしく、夢の中でさえその伊達男が吹く尺八の音色にこそ束の間の幸せを感じる、そんな哀しい遊女の心情を歌った詩。
歌恋慕(うたれんぼ)
一、
絶えて逢はずとな、文をば通ひ、文は妹背の橋となる。妹背のな、妹背の文は、文は妹背の中となる。
二、
人の辛さにな。こりもせず。憂き玉の緒のいつまでか。絶えぬ思ひに呉竹の。幾夜、伏見の袖濡れて。乾く間も無き涙の渕よ。夢になりとも逢瀬は嬉し。
三、
寝良げに聞くは小夜の尺八。一節切にも情あれかし。
四、
梅は匂ひよ、桜は花よ。それそれ人の情は、いつも花の香。
1.
打ち絶えて、逢わないということですか、手紙を出しなさい。手紙は恋の架け橋となる。恋の手紙は、手紙は恋の仲立ちとなる。
2.
人の世の辛さにこりもしないで、憂い生命はいつまで生られるのか、絶えない思いに暮れて、幾夜も伏見で伏して袖を濡らし、乾く暇のない涙の淵であるよ。夢にでも逢う瀬は嬉しい。
3.
寝耳に聞いてよい夜の尺八や、一節切の一夜だけでもよいから情けが欲しい。
(「一節切」と「一夜きり」がかけてあります。)
4.
梅は匂いが良いし、桜は花が良い。それぞれ人の情けはいつも梅や桜の花と香りのように良いものだ。
参照・日本伝統音楽情報サイト、尺八修理工房幻海HP
次は、
薦僧が「れんぼ」を吹いていたとされる史料です。
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中世から江戸初期にかけての虚無僧スタイルの二人の横に、
「こむれんぼふく」
とあります。
こちらは「れんぼながし」の三味線の楽譜です。
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(古典かな字のため「れんぼながし」の「ん」と「し」しか読めません😅日本人でこの古典かな文字が読める人は殆どいないです)
「れんぼながし」の譜の最後の箇所に↓
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此外ニ
こもれんぼとて有
と、記してあります。
最初の虚無僧二人の絵では「こむ」でしたが、こちらは「こも」ですね。
「れんぼ」もそうですが、「こもそう」「こむそう」も当て字が幾つかあります。
薦僧、古無僧、虚妄僧などなど。
『大怒佐』(三味線入門書)東京大学学術資産等アーカイブズポータルより。原題簽/「糸竹大全三味線初心書」
そして、『糸竹初心集』の類書で、一節切尺八の書一節切尺八の書『紙鳶(いかのぼり)』(1687年)にも「れんぼ」の譜があります。
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『紙鳶(いかのぼり) 3巻』(国立国会図書館蔵)
一節切のフホウエの譜です。
早速、一節切で吹いてみたのですが、今の霧海篪の原型と言えるかと言われると、どうもしっくりこない。
尺八研究家の神田可遊氏も、ご自身の著書に共通点が感じられないと書いておられます。
ですが、霧海篪で何度も繰り返される「リイーリイー(ハイーハイー)の部分と、『れんぼ』の譜の「ウホウホ」と同じ音である事が、『霧海篪』と『れんぼ』の共通点である事が分かりました。
謎は残りますが、霧海篪と名前がついた頃は色々吹き継がれて、全く原型を留めない新しい曲になっていったことは想像できます。
この「れんぼ」も1000回くらい吹けばきっと何かが分かるかもしれない…、いやきっと分かるはず。古典本曲はとにかく1000回以上演奏すれば、その曲の本質がようやく分かってくる。ということが、今までの経験上分かっていることです。笑
まだ宗教味を帯びていない中世の尺八吹きは、門前では流行りの歌謡曲などを吹いていた薦僧もいたと想像します。きっと情感のある曲だったろうな〜と思いを馳せながら、霧海篪を吹いてみてもいいですね。
...
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kuro-tetsu-tanuki · 3 years
Text
裕くんが三日月亭でバイトする話(タイトル)
定晴ルート入った辺りのお話。
委員会イベやら本編の描写やらとあるルートネタバレやら有。
「なぁ裕。お前、数日ここでバイトしねえか?」 「は?バイト?」
いつものように三日月亭に買い物に来ていた俺は、店長から唐突な申し出を受けた。
「お前ドニーズでバイトしてたって言ってたよな?調理スタッフとしてもやれるだろ?」 「はあ。まぁ、確かにキッチンもやってたのでやれなくはないですが。どうしたんです?随分と突然ですね」
三日月亭は店長が一人で回している。 繁盛している時間は確かに忙しそうではあるが、注文、調理、配膳と見事に捌いている。 港の食堂を稼働させていた時の俺のような状態ではとてもない。 これが経験の差というものか。 いや、それは兎も角人員を雇う必要性をあまり感じないのだがどうしたというのだろうか。
「いや、その・・・ちょっと腰が・・・な」 「腰?店長腰悪くしたんですか?ちょ、大丈夫ですか!?海堂さん呼んできましょうか?あの人ああ見えてマッサージ得意なので」 「あー・・・そういうワケじゃ、いや、元はと言えばお前らがブランコなんか・・・」
なんだかよくわからないが随分と歯切れが悪い。 腰悪くしたことがそんなに言いにくい事なのか? 言葉尻が小さくて上手く聞き取れない。
「・・・あー、海堂の旦那の事は頼む。屈んだりすると結構痛むもんでな。基本はホール、こっちが手一杯になったらキッチンもやってもらうつもりだ。で、どうだ?まかない付きで給料もしっかり出すぜ。時給は・・・こんくらいでどうだ?」 「おお・・・意外と結構な金額出しますね」 「臨時とは言えこっちから頼んでるわけだしな。その分コキ使ってやるが」
海堂さんの事を頼まれつつ、仕事内容も確認する。 まぁ、ドニーズの頃と左程変わらないだろう。お酒の提供が主、くらいの違いか。 時給もこんな離島の居酒屋とは思えない程には良い。田舎の離島で時給四桁は驚きだ。 内容的にも特に問題ない。直ぐにでも始められるだろう。 とはいえ、屋敷に世話になっている身。勝手に決められるものでもない。
「非常に魅力的ではあるんですが、即断即決とは・・・。申し訳ないですが、一度持ち帰らせてください」 「おう。言っとくが夜の居酒屋の方だからな」 「キッチンの話出しといて昼間だったらそれはそれでビックリですよ。わかりました、また明日にでも返事に来ますよ」
話を終え、買い物を済ませて三日月亭を後にする。 バイト、かぁ・・・。
夕食後。皆で食後のお茶をいただいている時に俺は話を切り出した。 夜間の外出になるのでまずは照道さんに相談するべきだし、海堂さんにもマッサージの話をしなければならない。
「成程。裕さんがやりたいと思うなら、私は反対はしませんよ。店長には日ごろからお世話になっていますし」 「ほー。ま、いいんじゃねぇの?懐があったかくなることは悪いことじゃあねえじゃねえか。マッサージの方も受けといてやるよ。店長に借り作っとくのも悪くないしな」
難しい顔をされるかと思ったが、話はあっさりと通った。 海堂さんに至っては難色を示すかと思っていたが、損得を計算したのかこちらもすんなりと了承を得た。 ちょっと拍子抜けしつつ、改めて照道さんに確認する。
「えっと、本当にいいんですか?」 「ええ。ただ、裕さんの事を考えると帰りだけは誰かしらに迎えに行ってもらった方がいいかもしれませんね」
確かに。禍月の時ではなくても、この島は気性が荒い人は少なくない。 まして居酒屋で働くのだ。店長がいるとはいえ何かしらトラブルに巻き込まれる可能性もある。
「じゃあ、俺が迎えに行くぜ。なんなら向こうで普通に飲んでてもいいしな」
お茶を啜っていた勇魚さんがニカッと笑う。 あ、湯呑が空になってる。 急須を取り、勇魚さんの湯呑にお茶を注ぎながら問い返す。
「俺は助かりますけどいいんですか?はい、お茶のおかわり」 「お、さんきゅ。いいんだよ、俺がやりてえんだから。俺なら酔いつぶれることもねえしな。それに、そういうのは旦那の仕事だろ?」
自然な流れで旦那発言が出てきて驚きつつ、その事実に一気に顔が火照る。 うん、そうなんだけど。嬉しいんだけど。そうストレートに言われると恥ずかしいというかなんというか。
「え、と・・・ありがとうございます」 「けっ、惚気は余所でやれってんだ」 「ふふ・・・」
海堂さんのヤジも、照道さんの温かな眼差しもどこか遠くに感じる。 ヤバい。凄い嬉しい。でもやっぱ恥ずかしい。 そんな思いに悶々としていると、冴さんがコトリと湯呑を置いた。
「で、バイトはいいんだけど、その間誰が私達のおつまみを用意してくれるの?」 「はっ、そういやそうだ!オイ裕!お前自分の仕事はどうする気なんだ」
冴さんの一言に、海堂さんが即座に反応する。 ええ・・・酒飲みたちへのおつまみの提供、俺の仕事になってたの・・・?
「それこそ三日月亭に飲みに来ればいいのでは・・・?」 「それも悪くはないけれど、静かに飲みたい時には向かないのよ、あそこ。それに、この髭親父を担いで帰るなんて事、か弱い乙女の私にさせるの?」
確かに三日月亭は漁師の人達がいつもいるから賑やか、というかうるさい。 ゆったり飲むには確かに向かないかもしれない。ましてや冴さんは女性だから漁師たちの視線を集めまくることだろう。 さり気なく、海堂さんを担ぐのを無理ともできないとも言わない辺りが冴さんらしい。
「ふむ。俺が裕につまみのレシピを教えてもらっておけばいいだろう。新しいものは無理だが既存のレシピであれば再現して提供できる」 「それが無難ですかね。すみません、洋一さん。今日の分、一緒に作りましょう。他にもいくつか教えておきますので」 「ああ、問題ない」
結局、洋一さんが俺の代わりにおつまみ提供をしてくれる事になり、事なきを得た。
翌日、午前中に店長へと返事をした後、島を探索。 少々の収穫もありつつ、昼過ぎには切り上げ、陽が落ち始める前には三日月亭へと足を運んでいた。
「説明は大体こんなもんか。不明な点が出てきたら逐一聞いてくれ」 「はい。多分大丈夫だと思います」
注文の仕方、調理場の決まり、会計の方法。 業務の大半はドニーズでの経験がそのまま役立ちそうだ。 むしろ、クーポンだのポイントだのない分こちらの方がシンプルで楽かもしれない。 渡されたエプロンを付けて腰紐を後ろで縛る。うん、準備は万全だ。
「さ、頼むぞルーキー」 「店長が楽できるよう努めさせてもらいますよ」
そんな軽口をたたき合いながら店を開ける。 数分も経たないうちに、入り口がガラリと音を立てた。
「いらっしゃい」 「いらっしゃいませー!」
現れたのは見慣れた凸凹コンビ。 吾郎さんと潮さんだ。
「あれ?裕?お前こんなとこで何してんだ?」 「バイト・・・えっと、店長が腰悪くしたみたいで臨時の手伝いです」 「なに、店長が。平気なのか?」 「動けないって程じゃないらしいので良くなってくと思いますよ。マッサージも頼んでありますし。それまでは短期の手伝いです」 「成程なぁ・・・」
ここで働くようになった経緯を話しつつ、カウンター近くの席へご案内。 おしぼりを渡しつつ、注文用のクリップボードを取り出す。
「ご注文は?まずは生ビールです?生でいいですよね?」 「随分ビールを推すなお前・・・まぁ、それでいいか。潮もいいか?」 「ああ、ビールでいいぞ。後は―」
少々のおつまみの注文を受けつつ、それを店長へと投げる。
「はい、店長。チキン南蛮1、鶏もも塩4、ネギま塩4、ツナサラダ1」 「おう。ほい、お通しだ」
冷蔵庫から出された本日のお通し、マグロの漬けをお盆にのせつつ、冷えたビールジョッキを用意する。 ジョッキを斜めに傾けながらビールサーバーの取っ手を手前へ。 黄金の液体を静かに注ぎながら垂直に傾けていく。 ビールがジョッキ取っ手の高さまで注がれたら奥側に向けてサーバーの取っ手を倒す。 きめ細かな白い泡が注がれ、見事な7:3のビールの完成。 うん、我ながら完璧だ。 前いたドニーズのサーバーは全自動だったから一回やってみたかったんだよなぁ、これ。
「はい、生二丁お待たせしました。こっちはお通しのマグロの漬けです」 「おう。んじゃ、乾杯ー!」 「ああ、乾杯」
吾郎さん達がビールを流し込むと同時に、入り口の引き戸が開く音がした。 そちらを向きつつ、俺は息を吸い込む。
「いらっしゃいませー!」
そんなスタートを切って、およそ2時間後。 既に席の半分は埋まり、三日月亭は盛況だ。 そんな中、またも入り口の引き戸が開き、見知った顔が入って来た。
「いらっしゃいませー!」 「おう、裕!頑張ってるみたいだな!」 「やあ、裕。店を手伝っているそうだな」 「勇魚さん。あれ、勇海さんも。お二人で飲みに来られたんですか?」
現れたのは勇魚さんと勇海さんの二人組。 俺にとっても良く見知ったコンビだ。
「勇魚から裕がここで働き始めたと聞いてな。様子見ついでに飲まないかと誘われてな」 「成程。こっちの席へどうぞ。・・・はい、おしぼりです。勇魚さんは益荒男ですよね。勇海さんも益荒男で大丈夫ですか?」 「ああ、頼むよ」 「はは、裕。様になってるぞ!」 「ありがとうございます。あまりお構いできませんがゆっくりしていってくださいね」
勇魚さんは俺の様子見と俺の迎えを兼ねて、今日はこのままここで飲むつもりなのだろう。 それで、勇海さんを誘ったと。 もう少しここにいたいが注文で呼ばれてしまっては仕方ない。 別の席で注文を取りつつ、すぐさまお酒の用意を準備をしなければ。
「いらっしゃいませー!」 「おッ、マジでいた!よう裕!遊びに来てやったぜ!」 「あれ、嵐の兄さん、照雄さんまで。何でここに?」
勇魚さん達が来てからしばらく経ったころ、店に見知った大柄な人物がやってくる。 道場の昭雄さんと嵐の兄さんだ。
「漁師連中の噂で三日月亭に新しい店員がいるって話を聞いてな」 「話を聞いて裕っぽいと思ったんだが大当たりだな!」 「確認するためだけにわざわざ・・・。ともかく、こっちの席にどうぞ。はい、おしぼりです」
働き始めたの、今日なんだけどな・・・。 田舎の噂の拡散力は恐ろしいな。 そんな事を思いつつ、2人を席に誘導する。 椅子に座って一息ついたのを確認し、おしぼりを渡しクリップボードの準備をする。
「おお。結構様になってるな。手際もいい」 「そりゃ照雄さんと違って裕は飲み込みいいからな」 「・・・おい」
照雄さんが俺を見て感心したように褒めてくれる。 何故か嵐の兄さんが誇らしげに褒めてくれるが、いつものように昭雄さん弄りも混じる。 そんな嵐の兄さんを、照雄さんが何か言いたげに半目で睨む。ああ、いつもの道場の光景だ。
「はは・・・似たようなことの経験があるので。お二人ともビールでいいですか?」 「おう!ついでに、裕が何か適当につまみ作ってくれよ」 「え!?やっていいのかな・・・店長に確認してみますね」
嵐の兄さんの提案により、店長によって「限���:臨時店員のおすすめ一品」が即座にメニューに追加されることとなった。 このおかげで俺の仕事は当社比2倍になったことを追記しておく。 後で申し訳なさそうに謝る嵐の兄さんが印象的でした。 あの銭ゲバ絶対許さねえ。
「おーい、兄ちゃん!注文ー!」 「はーい、只今ー!」
キッチン仕事の比重も上がった状態でホールもしなければならず、一気にてんてこ舞いに。
「おお、あんちゃん中々可愛い面してるなぁ!」 「はは・・・ありがとうございます」
時折本気なのか冗談なのかよくわからないお言葉を頂きつつ、適当に濁しながら仕事を進める。 勇魚さんもこっちを心配してくれているのか、心配そうな目と時折視線があう。 『大丈夫』という気持ちを込めて頷いてみせると『頑張れよ』と勇魚さんの口元が動いた。 なんかいいなァ、こういうの。 こっからも、まだまだ頑張れそうだ。
「そういえば、裕は道場で武術を学んでいるのだったか」 「おう。時たまかなり扱かれて帰って来るぜ。飲み込みが早いのかかなりの速度で上達してる。頑張り屋だよなぁ、ホント」 「ふふ、道場の者とも仲良くやっているようだな。嵐の奴、相当裕が気に入ったのだな」 「・・・おう、そうだな。・・・いい事じゃねえか」 「まるで兄弟みたいじゃないか。・・・どうした勇魚。複雑そうだな」 「勇海、お前さんわかって言ってるだろ」 「はは、どうだろうな。・・・ほら、また裕が口説かれているぞ」 「何っ!?ってオイ!勇海!」 「はははははっ!悪い。お前が何度もちらちらと裕の方を見ているのでな。あれだけ島の者を惹きつけているのだ、心配も当然だろう」 「裕を疑うわけじゃねえ。が、アイツ変なところで無防備だからよ。目を離した隙に手を出されちまうんじゃないかと気が気じゃねえんだよ」
何を話しているのかはここからじゃ聞こえないが、気安い親父たちの会話が交わされているらしい。 勇魚さんも勇海さんもなんだか楽しそうだ。
「成程な、当然だ。ふうむ・・・ならば勇魚よ、『網絡め』をしてみるか?立会人は俺がしてやろう」 「『網絡め』?なんだそりゃ」 「『網絡め』というのはだな―」
あまりにも楽しそうに会話しているので、まさかここであんな話をしているとは夢にも思わなかった。 盛大なイベントのフラグが既にここで立っていたのだが、この時点の俺にはあずかり知らぬ出来事であった。
そんなこんなで時間は過ぎ、あっという間に閉店時刻に。 店内の掃除を終え、食器を洗い、軽く明日の準備をしておく。 店長は本日の売り上げを清算しているが、傍から見ても上機嫌なのがわかる。 俺の目から見ても今日はかなり繁盛していた。 売り上げも中々良いはずだろう。
「いやぁ、やっぱお前を雇って正解だったな!調理に集中しやすいし、お前のおかげで客も増えるし財布も緩くなる!」 「おかげでこっちはクタクタですけどね・・・」 「真面目な話、本当に助かった。手際も良いしフードもいける。島にいる間定期的に雇ってもいいくらいだ。もっと早くお前の有用性に気づくべきだったな」
仕事ぶりを評価してくれているのか、便利な人材として認識されたのか。 両方か。
「俺も俺でやることがあるので定期は流石に・・・」 「ま、ひと夏の短期バイトが関の山か。ともかく、明日もよろしく頼むぜ」 「はい。店長もお大事に。また明日」
金銭管理は店長の管轄だし、もうやれることはない。 店長に挨拶をし、帰路につくことにする。 店を出ると、勇魚さんが出迎えてくれた。
「さ、帰ろうぜ、裕」 「お待たせしました。ありがとうございます、勇魚さん」 「いいって事よ」
三日月亭を離れ、屋敷までの道を二人で歩いていく。 店に居た時はあんなに騒がしかったのに、今はとても静かだ。 そんな静かな道を二人っきりで歩くのって・・・何か、いいな。
「・・・にしてもお前、よく頑張ってたな」 「いや、途中からてんてこ舞いでしたけどね。飲食業はやっぱ大変だなぁ」 「そうか?そう言う割にはよく働いてたと思うぜ?ミスもねえし仕事遅くもなかったし」 「寧ろあれを日がな一人で捌いてる店長が凄いですよ」 「はは!そりゃあ本業だしな。じゃなきゃやってけねえだろうさ」
勇魚さんに褒められるのは単純に嬉しいのだが、内心は複雑だ。 一日目にしてはそれなりにやれたという自覚もあるが、まだまだ仕事効率的にも改善点は多い。 そういう部分も無駄なくこなしている店長は、何だかんだで凄いのだ。
「にしても、この島の人達はやっぱり気さくというか・・・気安い方が多いですね」 「そう、だな・・・」
酒も入るからか、陽気になるのは兎も角、やたらとスキンシップが多かった。 肩を組んでくるとかならまだいいが、引き寄せるように腰を掴んできたり、ちょっとしたセクハラ発言が飛んできたり。 幸か不幸か海堂さんのおかげで耐性がついてしまったため、適当に流すことは出来るのだが。
「裕、お前気を付けろよ」 「はい?何がですか?」 「この島の連中、何だかんだでお前の事気に入ってる奴多いからな。こっちは心配でよ」 「勇魚さんも俺の事言えないと思いますけど・・・。大丈夫ですよ、俺は勇魚さん一筋ですから」 「お、おう・・・」
勇魚さんは俺の事が心配なのか、どこか不安そうな顔で俺を見る。 モ���具合で言ったら寧ろ勇魚さんの方が凄まじい気がするので俺としてはそっちの方が心配だ。 でも、その気遣いが、寄せられる想いが嬉しい。 その温かな気持ちのまま、勇魚さんの手を握る。 一瞬驚いた顔をした勇魚さんだが、すぐさま力強く握り返される。
「へへっ・・・」 「あははっ」
握った手から、勇魚さんの熱が伝わってくる。 あったかい。手も。胸も。 温かな何かが、胸の奥から止まることなく滾々と湧き出てくるようだ。 なんだろう。今、すごく幸せだ。
「なぁ、裕。帰ったら風呂入って、その後晩酌しようぜ」 「閉店直前まで勇海さんと結構飲んでましたよね?大丈夫なんですか?」 「あんくらいじゃ潰れもしねえさ。な、いいだろ。ちょっとだけ付き合ってくれよ」 「全くもう・・・。わかりましたよ。つまむもの何かあったかなぁ」
という訳でお風呂で汗を流した後、縁側で勇魚さんとちょっとだけ晩酌を。 もう夜も遅いので、おつまみは火を使わない冷奴とぬか漬けと大根おろしを。
「お待たせしました」 「おっ、やっこにぬか漬けに大根おろしか。たまにはこういうのもいいなあ」 「もう夜遅いですからね。火をつかうものは避けました」
火を使っても問題は無いのだが、しっかりと料理を始めたら何処からかその匂いにつられた輩が来る可能性もある。 晩酌のお誘いを受けたのだ。 どうせなら二人きりで楽しみたい。
「お、このぬか漬け。よく漬かってんな。屋敷で出してくれるのとちと違う気がするが・・・」 「千波のお母さんからぬか床を貰いまして。照道さんには、俺個人で消費して欲しいと言われてますので・・・」 「ああ、ぬか床戦争って奴だな!この島にもあんのか」
ぬか漬け、美味しいんだけどその度に沙夜さんと照道さんのあの時の圧を思い出して何とも言えない気分になるんだよなぁ。 こうして勇魚さんにぬか漬けを提供できる点に関しては沙夜さんに感謝なんだけど。 というかぬか床戦争なんて単語、勇魚さんの口から出ることに驚きを感じますよ・・・。 他の地域にもあるのか?・・・いや、深く考えないようにしよう。
「そういえば前にからみ餅食べましたけど、普通の大根おろしも俺は好きですねえ」 「絡み・・・」
大根おろしを食べていると白耀節の時を思い出す。 そういえば勇魚さんと海堂さんでバター醤油か砂糖醬油かで争ってたこともあったなぁ。 と、先ほどまで饒舌に喋っていた勇魚さんが静かになったような気がする。 何があったかと思い勇魚さんを見ると、心なしか顔が赤くなっているような気がする。
「勇魚さん?どうしました?やっぱりお酒回ってきました?」 「いや・・・うん。なんでもねえ、気にすんな!」 「・・・???まぁ、勇魚さんがそう言うなら」
ちょっと腑に落ちない感じではあったが、気にしてもしょうがないだろう。 そこから小一時間程、俺は勇魚さんとの晩酌を楽しんだのであった。
翌日、夕方。 三日月亭にて―
「兄ちゃん!注文いいかー?この臨時店員のおすすめ一品っての2つ!」 「こっちにも3つ頼むぜー」 「はーい、今用意しまーす!ちょ、店長!なんか今日やたら客多くないですか!?」 「おう、ビビるぐらい客が来るな。やっぱりお前の効果か・・・?」
もうすぐ陽が沈む頃だと言うのに既に三日月亭は大盛況である。 昨日の同時刻より明らかに客数が多い。 ちょ、これはキツい・・・。
「ちわーっとぉ、盛況だなオイ」 「裕ー!面白そうだから様子見に来たわよー」 「・・・大変そうだな、裕」
そんな中、海堂さんと冴さん、洋一さんがご来店。 前二人は最早冷やかしじゃないのか。
「面白そうって・・・割と混んでるのであんまり構えませんよ。はい、お通しとビール」 「いいわよォ、勝手にやってるから。私、唐揚げとポテトサラダね」 「エイヒレ頼むわ。後ホッケ」 「はいはい・・・」
本日のお通しである卯の花を出しながらビールジョッキを3つテーブルに置く。 この二人、頼み方が屋敷の時のソレである。 ぶれなさすぎな態度に実家のような安心感すら感じr・・・いや感じないな。 何だ今の感想。我が事ながら意味がわからない。
「裕。この『限定:臨時店員のおすすめ一品』というのは何だ?」 「俺が日替わりでご用意する一品目ですね。まぁ、色々あってメニューに追加になりまして」 「ふむ。では、俺はこの『限定:臨時店員のおすすめ一品』で頼む」 「お出しする前にメニューが何かもお伝え出来ますよ?」 「いや、ここは何が来るかを期待しながら待つとしよう」 「ハードル上げるなァ。唐揚げ1ポテサラ1エイヒレ1ホッケ1おすすめ1ですね。店長、3番オーダー入りまーす」
他の料理は店長に投げ、俺もキッチンに立つ。 本日のおすすめは鯵のなめろう。 処理した鯵を包丁でたたいて細かく刻み、そこにネギと大葉を加えてさらに叩いて刻む。 すりおろしたにんにくとショウガ、醤油、味噌、を加え更に細かく叩く。 馴染んだら下に大葉を敷いて盛り付けて完成。 手は疲れるが、結構簡単に作れるものなのだ。 そうして用意したなめろうを、それぞれのテーブルへと運んでいく。 まだまだピークはこれからだ。気合い入れて頑張ろう。
そう気合を入れ直した直後にまたも入り口の引き戸が音を立てたのであった。 わぁい、きょうはせんきゃくばんらいだー。
「おーい裕の兄ちゃん!今日も来たぜ!」 「いらっしゃいませー!連日飲んでて大丈夫なんですか?明日も朝早いんでしょう?」 「はっは、そんくらいで漁に行けない軟弱な野郎なんざこの打波にはいねえさ」 「むしろ、お前さんの顔見て元気になるってもんだ」 「はァ、そういうもんですか?とは言え、飲み過ぎないように気を付けてくださいね」
「なぁあんちゃん。酌してくれよ」 「はいはい、只今。・・・はい、どうぞ」 「っかー!いいねぇ!酒が美味ぇ!」 「手酌よりかはマシとは言え、野郎の酌で変わるもんです?」 「おうよ!あんちゃんみたいな可愛い奴に酌されると気分もいいしな!あんちゃんなら尺でもいいぜ?」 「お酌なら今しているのでは・・・?」 「・・・がはは、そうだな!」
「おい、兄ちゃんも一杯どうだ?飲めない訳じゃねえんだろ?」 「飲める歳ではありますけど仕事中ですので。皆さんだってお酒飲みながら漁には出ないでしょう?」 「そらそうだ!悪かったな。・・・今度、漁が終わったら一緒に飲もうぜ!」 「はは、考えておきますね」
ただのバイトに来ている筈なのに、何だか何処ぞのスナックのママみたいな気分になってくる。 それも、この島の人達の雰囲気のせいなのだろうか。
「あいつすげぇな。看板娘みてぇな扱いになってんぞ」 「流石裕ね。二日目にして店の常連共を掌握するとは。崇といい、これも旺海の血なのかしら?」 「もぐもぐ」 「さぁな。にしても、嫁があんなモテモテだと勇魚の野郎も大変だねぇ」 「裕の相手があの勇魚だって知った上で尚挑めるのかが見ものね」 「もぐもぐ」 「洋一、もしかしてなめろう気に入ったのか?」 「・・・うまい。巌もどうだ?」 「お、おう」
料理を運んでいる途中、洋一さんがひたすらなめろうを口に運んでいるのが目に入る。 もしかして、気に入ったのかな? そんな風にちょっとほっこりした気持ちになった頃、嵐は唐突に現れた。 嵐の兄さんじゃないよ。嵐の到来って奴。
「おーう裕。頑張っとるようじゃのう」 「あれ、疾海さん?珍しいですね、ここに来るなんて」 「げ、疾海のジジィだと!?帰れ帰れ!ここにはアンタに出すもんなんてねぇ!裕、塩持って来い塩!」
勇海さんのお父さんである疾海さんが来店。 この人がここにやってくる姿はほとんど見たことがないけれど、どうしたんだろう。 というか店長知り合いだったのか。
「なんじゃ店主、つれないのう。こないだはあんなに儂に縋り付いておったというのに」 「バッ・・・うるせェ!人の体好き放題しやがって!おかげで俺は・・・!」 「何言っとる。儂はちょいとお前さんの体を開いただけじゃろが。その後に若い衆に好き放題されて悦んどったのはお前さんの方じゃろ」
あー・・・そういう事ね。店長の腰をやった原因の一端は疾海さんか。 うん、これは聞かなかったことにしておこう。 というか、あけっぴろげに性事情を暴露されるとか店長が不憫でならない。
「のう、裕よ。お主も興味あるじゃろ?店主がどんな風に儂に縋り付いてきたか、その後どんな風に悦んでおったか」 「ちょ、ジジィてめぇ・・・」 「疾海さん、もうその辺で勘弁してあげてくださいよ。店長の腰がやられてるのは事実ですし、そのせいで俺が臨時で雇われてるんですから。益荒男でいいですか?どうぞ、そこの席にかけてください」 「おい、裕!」 「店長も落ち着いて。俺は何も見てませんし聞いてません。閉店までまだまだ遠いんですから今体力使ってもしょうがないでしょう。俺が疾海さんの相手しますから」 「―ッ、スマン。頼んだぞ、裕」
店長は顔を真っ赤にして逃げるようにキッチンへと戻っていった。 うん、あの、何て言うか・・・ご愁傷様です。 憐れみの視線を店長に送りつつお通しと益荒男を準備し、疾海さんの席へと提供する。
「よう店主の手綱を握ったのう、裕。やるもんじゃな」 「もとはと言えば疾海さんが店長をおちょくるからでしょう。あんまりからかわないでくださいよ」
にやにやと笑う疾海さんにため息が出てくる。 全く・・・このエロ爺は本当、悪戯っ子みたいな人だ。 その悪戯が天元突破したセクハラばかりというのもまた酷い。 しかも相手を即落ち、沈溺させるレベルのエロ技術を習得しているからなおさら性質が悪い。
「にしても、裕。お前さんもいい尻をしておるのう。勇魚の竿はもう受けたか?しっかりと耕さんと���レは辛いじゃろうて」
おもむろに尻を揉まれる。いや、揉みしだかれる。 しかも、その指が尻の割れ目に・・・ってオイ!
「―ッ!」
脳が危険信号を最大限に発し、半ば反射的に体が動く。 右手で尻を揉みしだく手を払いのけ、その勢いのまま相手の顔面に左の裏拳を叩き込む! が、振り抜いた拳に手ごたえは無く、空を切ったのを感じる。 俺は即座に一歩下がり、構えを解かずに臨戦態勢を維持。 チッ、屈んで避けたか・・・。
「っとぉ、危ないのう、裕。儂の男前な顔を台無しにするつもりか?」 「うるせえジジイおもてでろ」 「ほう、その構え・・・。成程、お前さん辰巳の孫のとこに師事したんか。道理で覚えのある動きじゃ。じゃが、キレがまだまだ甘いのう」
かなりのスピードで打ち込んだ筈なのに易々と回避されてしまった。 やはりこのジジイ只者ではない。 俺に攻撃をされたにも関わらず、にやにやとした笑いを崩さず、のんびりと酒を呷っている。 クソッ、俺にもっと力があれば・・・!
「おい裕、どうした。何か擦れた音が、ってオイ。マジでどうした!空気が尋常じゃねぇぞ!?」
店内に突如響いた地面を擦る音に、店長が様子を見に来たようだ。 俺の状態に即座に気づいたようで、後ろから店長に羽交い締めにされる。
「店長どいてそいつころせない」 「落ち着け!何があったか想像はつくが店ん中で暴れんな!」 「かかかっ!可愛い奴よな、裕。さて、儂はまだ行くところがあるでの。金はここに置いとくぞ」
俺が店長に止められている間に、エロ爺は笑いながら店を後にした。 飲み食い代よりもかなり多めの金額が置かれているのにも腹が立つ。
「店長!塩!」 「お、おう・・・」
さっきとはまるきり立場が逆である。 店の引き戸を力任せにこじ開け、保存容器から塩を鷲掴む。
「祓い給え、清め給え!!消毒!殺菌!滅菌ッ!!!」
適当な言葉と共に店の前に塩をぶちまける。 お店の前に、白い塩粒が散弾のように飛び散った。
「ふー、ふー、ふーッ!・・・ふぅ」 「・・・落ち着いたか?」 「・・・ええ、何とか」
ひとしきり塩をぶちまけるとようやく気持ちが落ち着いてきた。 店長の気遣うような声色に、何ともやるせない気持ちになりながら返答する。 疲労と倦怠感に包まれながら店の中に戻ると、盛大な歓声で出迎えられる。
「兄さん、アンタやるじゃねぇか!」 「うおッ!?」 「疾海のじいさんにちょっかいかけられたら大体はそのまま食われちまうのに」 「ひょろっちい奴だと思ってたがすげえ身のこなしだったな!惚れ惚れするぜ!」 「あ、ありがとうございます・・・はは・・・」
疾海さんは俺と勇魚さんの事を知っているから、単にからかってきただけだろうとは思っている。 エロいし奔放だし子供みたいだが、意外と筋は通すし。 あくまで「比較的」通す方であって手を出さない訳ではないというのが困りものではあるが。 そんな裏事情をお客の人達が知っている訳もなく、武術で疾海さんを退けたという扱いになっているらしい。 けど、あのジジイが本気になったら俺の付け焼刃な武術じゃ相手にならない気がする。 さっきの物言いを考えると辰馬のおじいさんとやりあってたって事になる。 ・・・うん、無理そう。
「おっし!そんなあんちゃんに俺が一杯奢ってやろう!祝杯だ!」 「いいねえ!俺も奢るぜ兄ちゃん!」 「抜け駆けすんな俺も奢るぞ!」 「ええっ!?いや、困りますって・・・俺、仕事中ですし・・・」 「裕、折角なんだし受けておきなさいな」
どうしようかと途方に暮れていると、いつの間にか冴さんが隣に来ていた。 と、それとなく手の中に器のようなものを握らされた。
「冴さん。あれ、これって・・・」
横目でちらりと見ると『咲』の字が入った器。 これ、咲夜の盃・・・だよな?
「腕も立って酒にも強いと知っとけば、あの連中も少しは大人しくなるでしょ。自衛は大事よ」 「はぁ・・・自衛、ですか」 「後でちゃんと返してね」
これって確か、持ってるだけで酒が強くなるって盃だったっけ。 その効果は一度使って知っているので、有難く使わせてもらうとしよう。 店長もこっちのやりとりを見ていたのか何も言うこと無く調理をしていた。
「おっ、姐さんも一緒に飲むかい!?」 「ええ。折角だから裕にあやからせてもらうわ。さぁ、飛ばしていくわよ野郎共ー!」 「「「「おおーっ!!」」」」 「お、おー・・・」
その後、ガンガン注がれるお酒を消費しつつ、盃を返す、を何度か繰り返すことになった。 途中からは冴さんの独壇場となり、並み居る野郎共を悉く轟沈させて回っていた。 流石っス、姐さん。 ちなみに俺は盃のご利益もあり、その横で飲んでいるだけで終わる事になった。
そんな一波乱がありつつも、夜は更けていったのだった。
そんなこんなで本日の営業終了時刻が近づいてくる。 店内には冴さん、海堂さん、洋一さんの3人。 冴さんはいまだ飲んでおり、その底を見せない。ワクなのかこの人。 海堂さんはテーブルに突っ伏してイビキをかいており、完全に寝てしまっている。 洋一さんはそんな海堂さんを気にしつつ、お茶を啜っている。 あんなにいた野郎共も冴さんに轟沈させられた後、呻きながら帰って行った。 明日の仕事、大丈夫なんだろうか・・・。
後片付けや掃除もほぼ終わり、後は冴さん達の使っているテーブルだけとなった時、入り口が壊れそうな勢いで乱暴に開いた。
「裕ッ!」 「うわっ、びっくりした。・・・勇魚さん、お疲れ様です」
入り口を開けて飛び込んできたのは勇魚さんだった。 いきなりの大声にかなり驚いたが、相手が勇魚さんとわかれば安心に変わる。 だが、勇魚さんはドスドスと近づいてくると俺の両肩をガシリと掴んだ。
「オイ裕!大丈夫だったか!?変な事されてねえだろうな!」
勇魚さんにしては珍しく、かなり切羽詰まった様子だ。 こんなに心配される事、あったっけ・・・? 疑問符が浮かぶがちらりと見えた勇海さんの姿にああ、と納得する。 というか苦しい。掴まれた肩もミシミシ言ってる気がする。
「うわっ!?大丈夫、大丈夫ですって。ちょ、勇魚さん苦しいです」 「お、おう。すまねえ・・・」
宥めると少し落ち着いたのか、手を放してくれる。 勇魚さんに続いて入って来た勇海さんが、申し訳なさそうに口を開いた。
「裕、すまないな。親父殿が無礼を働いたそうだな」 「勇海さんが気にすることではないですよ。反撃もしましたし。まぁ、逃げられたんですけど」 「裕は勇魚のつがいだと言うのに、全く仕方のないことだ。親父殿には私から言い聞かせておく。勘弁してやって欲しい」 「疾海さんには『次やったらその玉潰す』、とお伝えください」 「ははは、必ず伝えておくよ」
俺の返答に納得したのか、勇海さんは愉快そうに笑う。 本当にその時が来た時の為に、俺も更なる修練を積まなければ。 ・・・気は進まないけど、辰馬のおじいさんに鍛えてもらう事も視野に入れなければならないかもしれない。
「裕、今日はもう上がっていいぞ。そいつら連れて帰れ」 「え、いいんですか?」 「掃除も殆ど終わってるしな。色々あったんだ、帰って休んどけ」
俺に気を遣ってくれたのか、はたまたさっさと全員を返したかったのか、店長から退勤の許可が出た。 ここは有難く上がらせてもらおう。色々あって疲れたのは事実だ。
「じゃあ、折角ですので上がらせてもらいます。お疲れ様でした」 「おう。明日も頼むぞ」
店長に挨拶をし、皆で店を出る。 勇海さんはここでお別れとなり、俺、勇魚さん、冴さん、海堂さん、洋一さんの5人で帰る。 寝こけている海堂さんは洋一さんが背負っている。
「裕、ホントに他に何も無かったんだろうな!?」 「ですから、疾海さんにセクハラ受けただけですって。その後は特に何も無かったですし・・・」
で、帰り道。勇魚さんに詰問されております。 心配してくれるのはとても嬉しい。 嬉しいんだけど、過剰な心配のような気もしてちょっと気おくれしてしまう。
「俺に気を遣って嘘ついたりすんじゃねえぞ」 「冴さん達も一緒にいたのに嘘も何もないんですが・・・」 「裕の言ってる事に嘘はないわよ。疾海の爺さんに尻揉まれてたのも事実だけど」 「・・・思い出したら何か腹立ってきました。あのジジイ、次に会ったら確実に潰さなきゃ」
被害者を減らすにはその大本である性欲を無くすしかないかな? やっぱり金的か。ゴールデンクラッシュするしかないか。 あの驚異的な回避力に追いつくためにはどうすればいいか・・・。 搦め手でも奇襲なんでもいい、当てさえすればこちらのものだろう。 そう思いながら突きを繰り出し胡桃的な何かを握り潰す動作を数回。 駄目だな、やっぱりスピードが足りない。
「成程、金的か」 「裕、その、ソイツは・・・」
洋一さんは俺の所作から何をしようとしているかを読み取ったようだ。 その言葉にさっきまで心配一色だった勇魚さんの顔色変わる。 どうしました?なんで微妙に股間を押さえて青ざめてるんです?
「冴さん。こう、男を不能寸前まで追い込むような護身術とかないですかね?」 「あるにはあるけど、そういうの覚えるよりもっと確実な方法があるわよ」 「え?」 「勇魚。アンタもっと裕と一緒にいなさい。で、裕は俺の嫁アピールしときなさい」
嫁。勇魚さんのお嫁さん。 うん、事実そうなんだけどそれを改めて言われるとなんというか。 嬉しいんだけど、ねぇ?この照れくさいような微妙な男心。
「裕。頬がだいぶ紅潮しているようだが大丈夫か?」 「だ、大丈夫です。何というか、改めて人に言われると急に、その・・・」 「ふむ?お前が勇魚のパートナーである事は事実だろう。港の方でも知れ渡っていると聞いている。恥ずべきことではないと思うが?」 「恥ずかしいんじゃなくて嬉しくも照れくさいというか・・・」 「・・・そういうものか。難しいものだな」
洋一さんに指摘され、更に顔が赤くなる。 恥ずかしいわけじゃない。むしろ嬉しい。 でも、同じくらい照れくささが湧き上がってくる。 イカン、今凄い顔が緩みまくってる自覚がある。
「流石にアンタ相手に真正面から裕に手を出す輩はいないでしょう。事実が知れ渡れば虫よけにもなって一石二鳥よ」 「お、おお!そうだな!そっちの方が俺も安心だ!うん、そうしろ裕!」
冴さんの案に我が意を得たりといった顔の勇魚さん。 妙に食いつきがいいなァ。 でも、それって四六時中勇魚さんと一緒にいろって事では?
「勇魚さんはそれでいいんですか?対セクハラ魔の為だけに勇魚さんの時間を割いてもらうのは流石にどうかと思うんですが」 「んなこたあねえよ。俺だってお前の事が心配なんだ。これくらいさせてくれよ」 「そう言われると断れない・・・」
申し訳ない旨を伝えると、純粋な好意と気遣いを返される。 実際勇魚さんと一緒に居られるのは嬉しいし、安心感があるのも事実だ。
「裕、あんたはあんたで危機感を持った方がいいわよ」 「危機感、といいますとやっぱりセクハラ親父やセクハラ爺の対処の話ですか?」
冴さんの言葉に、2人の男の顔が思い浮かぶ。 悪戯、セクハラ、煽りにからかい。あの人たちそういうの大好きだからなぁ。 でも、だいぶ耐性はついたし流せるようになってきたと思ってるんだけど。
「違うわよ。いやある意味同じようなモンか」 「客だ、裕」 「客?お店に来るお客さんって事ですか?」
え、海堂さんとか疾海さんじゃないのか。 そう思っていると意外な答えが洋一さんの方から返って来た。 客の人達に何かされたりは・・・ない筈だったけど。
「店にいた男たちはかなりの人数が裕を泥酔させようと画策していたな。冴が悉くを潰し返していたが」 「何っ!?」 「え!?洋一さん、それどういう・・・」
何その事実今初めて知った。どういうことなの。
「今日店に居た男たちは皆一様にお前をターゲットとしていたようだ。やたらお前に酒を勧めていただろう。お前自身は仕事中だと断っていたし、店長もお前に酒がいかないようそれとなくガードしていた。だがお前が疾海を撃退したとなった後、躍起になるようにお前に飲ませようとしていただろう。だから冴が向かったという訳だ」 「���海の爺さん、なんだかんだでこの島でもかなりの手練れみたいだしね。物理でだめならお酒でって寸法だったみたいね」 「えっと・・・」 「食堂に来てた立波さん、だったかしら。ここまで言えばわかるでしょ?店長も何だかんだでそういう事にならないよう気を配ってたわよ」
あァ、成程そういう事か。ようやく俺も理解した。 どうやら俺は三日月亭でそういう意味での好意を集めてしまったという事らしい。 で、以前店長が言っていた「紳士的でない方法」をしようとしていたが、疾海さんとのやりとりと冴さんのおかげで事なきを得たと、そういう事か。
「えー・・・」 「裕・・・」
勇魚さんが俺を見る。ええ、心配って顔に書いてますね。 そうですね、俺も逆の立場だったら心配しますよ。
「なあ裕。明日の手伝いは休んどけ。店には俺が行くからよ」 「いや、そういうワケにもいかないでしょう。勇魚さん、魚は捌けるでしょうけど料理できましたっけ?」 「何、料理ができない訳じゃねえ・・・なんとかなるだろ」
あっけらかんと笑う勇魚さんだが、俺には不安要素しかない。 確かに料理ができない訳じゃないけど如何せん漢の料理だ。店長の補助とかができるかと言うと怪しい。 この島に来てからの勇魚さんの功績をふと思い返す。 餅つき・・・臼・・・ウッアタマガ。 ・・・ダメだ、食材ごとまな板真っ二つにしそうだし、食器を雑に扱って破壊しそうな予感しかしない。 勇魚さんの事だからセクハラされたりもしそうだ。 ダメダメ、そんなの俺が許容しません。
「様々な観点から見て却下します」 「裕ぅ~・・・」
そんなおねだりみたいな声したって駄目です。 却下です却下。
「裕、ならば俺が行くか?」 「お願いしたいのは山々なんですが洋一さんは明日北の集落に行く予定でしたよね。時間かかるって仰ってたでしょう?」 「ふむ。ならば巌に―」 「いえ、海堂さんには店長のマッサージもお願いしてますしこれ以上は・・・」
洋一さんが申し出てくれるが、洋一さんは洋一さんで抱えてる事がある。 流石にそれを曲げてもらうわけにはいかない。 海堂さんなら色んな意味で文句なしの人材ではあるのだが、既にマッサージもお願いしている。 それに、迂闊に海堂さんに借りを作りたくない。後が怖い。
「洋一も無理、巌も無理とするならどうするつもりなんだ?高瀬か?」 「勇魚さん、三日月亭の厨房を地獄の窯にするつもりですか?」 「失礼ねェ。頼まれてもやらないわよ」
勇魚さんからまさかの選択が投げられるがそれは無理。 冴さんとか藤馬さんに立たせたら三日月亭から死人が出る。三日月亭が営業停止する未来すらありえる。 頼まれてもやらないと冴さんは仰るが、「やれないからやらない」のか「やりたくないからやらない」のかどっちなんだ。
「明日も普通に俺が行きますよ。ついでに今後についても店長に相談します」 「それが一番ね。店長も裕の状況に気づいてるでしょうし」 「巌の話だとマッサージのおかげかだいぶ良くなってきているらしい。そう長引きはしないだろう」 「後は勇魚がガードすればいいのよ」 「おう、そうか。そうだな」
そんなこんなで話も固まり、俺達は屋敷に到着した。 明日は何事もなく終わってくれればいいんだけど・・・。 そんな不安も抱えつつ、夜は過ぎていった。
そしてバイト三日目。 俺は少し早めに三日月亭へと来ていた。
「ああ、だよなぁ。すまんな、そっちの可能性も考えてなかったワケじゃ無いんだが・・・そうなっちまうよなあ」
俺の状況と今後の事を掻い摘んで説明すると、店長は疲れたように天井を仰ぐ。
「何というか・・・すみません。腰の具合はどうです?」
別に俺が何かをしたわけではないけれど、状況の中心にいるのは確かなので申し訳ないとは思う。
「海堂の旦那のおかげでだいぶ良くなった。もう一人でも回せそうだ。何なら今日から手伝わなくてもいいんだぞ?」
店長はそう言うが、完治しているわけでもない。 悪化するわけではないだろうが気になるのも事実。 なので、昨日のうちに勇魚さんと決めていた提案を出すことにする。
「でも全快というわけでもないんでしょう?引き受けたのは自分です。勇魚さんもいますし、せめて今日までは手伝わせてくださいよ」 「心意気はありがてえが・・・。わかった、面倒ごとになりそうだったらすぐさま離れろよ?勇魚の旦那も頼むぜ」 「おう!」 「はい!さ、今日も頑張りましょう!」
昨日話した通り今日は開店から勇魚さんも店に居てくれる。 万が一な状態になれば即座に飛んできてくれるだろう。 それだけで心の余裕も段違いだ。
「裕、無理すんなよ」 「わかってますよ。勇魚さんも、頼みますね」 「おう、任せときな!」
勇魚さんには店内を見渡せる席に座ってもらい、適当に時間を潰してもらう。 俺は店長と一緒に仕込みを始めながら新メニューの話も始める。 途中、勇魚さんにビールとお通しを出すのも忘れずに。
「新しいメニュー、どうすっかねぇ」 「今日の一品、新レシピも兼ねてゴーヤーチャンプルーでいこうかと思うんですよ」 「ほー。確かに苦瓜なら栽培してるとこはそこそこあるしな。行けるだろう」 「スパム缶は無くても豚肉や鶏肉でいけますからね。肉が合わないなら練り物やツナでも大丈夫です。材料さえあれば炒めるだけってのも高ポイント」 「肉に卵にと寅吉んとこには世話になりっぱなしだな。だが、いいねえ。俺も久しぶりにチャンプルーとビールが恋しくなってきやがった」 「後で少し味見してくださいよ。島の人達の好み一番把握してるの店長なんだから。・・・でも、やっぱり新メニュー考えるのは楽しいな」 「・・・ったく、面倒ごとさえ無けりゃあこのまま働いてもらえるってのに。無自覚に野郎共の純情を弄びやがって」 「それ俺のせいじゃないですよね・・・」
調理実習をする学生みたいにわいわい喋りながら厨房に立つ俺達を、勇魚さんはニコニコしながら見ている。 あ、ビールもう空きそう。おかわりいるかな? そんな風に営業準備をしていると時間はあっという間に過ぎ去り、開店時間になる。 開店して数分も経たないうちに、店の引き戸がガラリと開いた。
「いらっしゃいませー!」
「裕、お前まだここで働いてたのか」 「潮さん、こんばんは。今日までですけどね。あくまで臨時なので」 「ふむ、そうか。勇魚の旦那もいるのか」 「おう、潮。裕の付き添いでな」 「・・・ああ、成程な。それは確かに必要だ」
「おっ、今日も兄ちゃんいるのか!」 「いらっしゃいませ!ははは、今日で終わりなんですけどね」 「そうなのか!?寂しくなるなぁ・・・。なら、今日こそ一杯奢らせてくれよ」 「一杯だけならお受けしますよ。それ以上は無しですからね」
「裕の兄ちゃん!今日でいなくなっちまうって本当か!?」 「臨時ですので。店長の具合もよくなりましたし」 「兄ちゃんのおすすめ一品、好きだったんだけどよ・・・」 「はは、ありがとうございます。今日も用意してますから良かったら出しますよ」 「おう、頼むぜ!」
続々とやってくる常連客を捌きつつ、厨房にも立つ。 店長の動きを見てもほぼ問題ない。治ってきてるのも事実のようだ。 時折お客さんからの奢りも一杯限定で頂く。 今日は以前もらった方の咲夜の盃を持ってきているので酔う心配もない。
「おう、裕のあんちゃん!今日も来たぜ!」 「い、いらっしゃいませ・・・」
再びガラリと入り口が空き、大柄な人物がドスドスと入ってくる。 俺を見つけるとがっしと肩を組まれる。 日に焼けた肌が特徴の熊のような人だ。名前は・・・確か井灘さん、だったかな? 初日に俺に可愛いと言い、昨日は酌を頼まれ、冴さんに潰されてた人だ。 スキンシップも多く、昨日の一件を考えると警戒せざるを得ない。 取り合えず席に案内し、おしぼりを渡す。
「ガハハ、今日もあんちゃんの可愛い顔が見れるたぁツイてるな!」 「あ、ありがとうございます。注文はどうしますか?」 「まずはビール。食いモンは・・・そうさな、あんちゃんが適当に見繕ってくれよ」 「俺が、ですか。井灘さんの好みとかわかりませんけど・・・」 「大丈夫だ。俺、食えねえもんはねえからよ。頼むぜ!」 「はあ・・・分かりました」
何か丸投げされた感が凄いが適当に三品程見繕って出せばいいか。 ついでだからゴーヤーチャンプルーも試してもらおうかな。 そんな事を考えながら、俺は井灘さんにビールとお通しを出す。
「む・・・」 「どうした旦那。ん?アイツ、井灘か?」 「知ってるのか、潮」 「ああ。俺達とは違う港の漁師でな。悪い奴では無いんだが、気に入った奴にすぐ手を出すのが玉に瑕でな」 「そうか・・・」 「旦那、気を付けた方がいいぞ。井灘の奴、あの様子じゃ確実に裕に手を出すぞ」 「・・・おう」
こんな会話が勇魚さんと潮さんの間でなされていたとはつゆ知らず。 俺は店長と一緒に厨房で鍋を振っていた。
「はい、井灘さん。お待たせしました」 「おう、来た来た」 「つくね、ネギま、ぼんじりの塩の串盛り。マグロの山かけ。そして今日のおすすめ一品のゴーヤーチャンプルーです」 「いいねえ、流石あんちゃん。で、なんだそのごーやーちゃんぷうるってのは?」 「内地の料理ですよ。苦瓜と肉と豆腐と卵の炒め物、ってとこでしょうか。(厳密には内地の料理とはちょっと違うけど)」 「ほー苦瓜。滅多に食わねえが・・・あむ。うん、美味え!美味えぞあんちゃん!」 「それは良かった」 「お、美味そうだな。兄ちゃん、俺にもそのごーやーちゃんぷうるってのくれよ」 「俺も!」 「はいはい、ただいま」
井灘さんが美味しいと言ってくれたおかげで他の人もゴーヤーチャンプルーを頼み始める。 よしよし、ゴーヤーチャンプルーは当たりメニューになるかもしれない。 そう思いながら厨房に引っ込んでゴーヤーを取り出し始めた。
それからしばらくして井灘さんから再びゴーヤーチャンプルーの注文が入る。 気に入ったのだろうか。
「はい、井灘さん。ゴーヤーチャンプルー、お待たせ」 「おう!いやー美味えな、コレ!気に入ったぜ、ごーやーちゃんぷうる!」 「あはは、ありがとうございます」
自分の料理を美味い美味いと言ってもりもり食べてくれる様はやっぱり嬉しいものだ。 作る側冥利に尽きる。 が、作ってる最中に店長にも「アイツは気を付けとけ」釘を刺されたので手放しに喜ぶわけにもいかない。
「毎日こんな美味いモン食わせてくれるなんざあんちゃんと一緒になる奴は幸せだなあ!」 「はは・・・ありがとう、ございます?」 「あんちゃんは本当に可愛い奴だなあ」
屈託ない笑顔を向けてくれるのは嬉しいんだけど、何だか話の方向が急に怪しくなってきたぞ。
「おい、裕!早く戻ってきてこっち手伝え!」 「ッ、はーい!じゃあ井灘さん、俺仕事に戻るので・・・」
こっちの状況を察知したのか、店長が助けを出してくれる。 俺も即座に反応し、戻ろうと足を動かす。 が、その前に井灘さんの腕が俺の腕を掴む。 あ、これは・・・。
「ちょ、井灘さん?」 「なあ、裕のあんちゃん。良けりゃ、俺と・・・」
急に井灘さんの顔が真面目な顔になり、真っ直ぐに俺を見据えてくる。 なんというか、そう、男の顔だ。 あ、俺こういう顔に見覚えある。 そう、勇魚さんの時とか、立浪さんの時とか・・・。 逃げようと思うも腕をガッチリとホールドされ、逃げられない。 ・・・ヤバイ。そう思った時だった。 俺と井灘さんの間に、ズイと体を割り込ませてきた見覚えのあるシャツ姿。
「なあ、兄さん。悪いがこの手、離してくんねえか?」 「勇魚さん・・・」
低く、優しく、耳をくすぐる声。 この声だけで安堵感に包まれる。 言葉は穏やかだが、どこか有無を言わせない雰囲気に井灘さんの眉間に皺が寄る。
「アンタ・・・確か、内地の客だったか。悪いが俺の邪魔・・・」 「裕も困ってる。頼むぜ」 「おい、アンタ・・・う、腕が動かねえ!?」
井灘さんも結構な巨漢で相当な力を込めているのがわかるが、勇魚さんの手はびくともしない。 勇魚さんの怪力はよく知ってはいるけど、こんなにも圧倒的なんだなあ。
「こいつ、俺の大事な嫁さんなんだ。もし、手出しするってんなら俺が相手になるぜ」
そう言って、勇魚さんは俺の方をグッと抱き寄せる。 抱き寄せられた肩口から、勇魚さんの匂いがする。 ・・・ヤバイ。勇魚さん、カッコいい。 知ってたけど。 知ってるのに、凄いドキドキする。
「っ・・・ガハハ、成程!そいつは悪かったな、旦那!」 「おう、分かってくれて何よりだぜ。さ、裕。店長が呼んでるぜ」 「あ、ありがとうございます勇魚さん。井灘さん、すみませんけどそういう事なので・・・」
勇魚さんの言葉に怒るでもなく、井灘さんは納得したようにあっさりと手を放してくれた。 井灘さんに謝罪しつつ、促されるまま厨房へと戻る。
「おお!あんちゃんも悪かったな!旦那、詫びに一杯奢らせてくれや!」 「おう。ついでに裕のどこが気に入ったのか聞かせてくれよ」
漁師の気質なのかはたまた勇魚さんの人徳なのか。 さっきの空気はどこへやら、そのまま親し気に話始める2人。
「ちょ、勇魚さん!」 「いいぜ!旦那とあんちゃんの話も聞かせてくれよ!」 「井灘さんまで!」 「おい裕!いつまで油売ってんだ、こっち手伝え!」
店長の怒鳴り声で戻らざるを得なかった俺には二人を止める術などなく。 酒の入った声のデカい野郎共が二人、店内に響かない筈がなく・・・。
「でよ、そん時の顔がまたいじらしくってよ。可愛いんだこれが」 「かーっ!羨ましいこったぜ。旦那は果報モンだな!」 「だろ?なんたって俺の嫁さんなんだからな!」
勇魚さんも井灘さんも良い感じに酒が入ってるせいか陽気に喋っている。 可愛いと言ってくれるのは嬉しくない訳ではないけれど、連呼されると流石に男としてちょっと悲しい気分になる。 更に嫁さん嫁さん連呼されまくって複雑な心境の筈なのにどれだけ愛されているかをガンガン聞かされてオーバーヒートしそうだ。
「何故バイト中に羞恥プレイに耐えなければならないのか・・・」 「おい裕、いつまで赤くなってんだ。とっとと料理運んで来い」 「はい・・・いってきます・・・」
人が耐えながらも調理しているというのにこの銭ゲバ親父は無情にもホール仕事を投げて来る。 こんな状況で席に料理を運びに行けば当然。
「いやー、お熱いこったなあ兄ちゃん!」 「もう・・・ご勘弁を・・・」 「っははははは!」
茶化されるのは自然な流れだった。 勇魚さんと井灘さんのやりとりのお陰でスキンシップやらは無くなったが、祝言だの祝い酒だの言われて飲まされまくった。 咲夜の盃が無ければ途中で潰れてたかもしれない。
そんな揶揄いと酒漬けの時間を、俺は閉店間際まで味わうことになったのだった。
そして、もうすぐ閉店となる時間。 勇魚さんと一緒にずっと飲んでいた井灘さんも、ようやく腰を上げた。 会計を済ませ、店の前まで見送りに出る。
「じゃあな、あんちゃん。俺、マジであんちゃんに惚れてたんだぜ」 「はは・・・」 「だが、相手が勇魚の旦那じゃあ流石に分が悪い。幸せにしてもらえよ!」 「ありがとうございます・・・」 「また飲みに来るからよ。また今度、ごーやーちゃんぷうる作ってくれよな!」 「その時に居るかは約束できませんが、機会があれば」
からりとした気持ちの良い気質。 これもある種のプレイボーイなのだろうか。
「じゃあな!裕!勇魚の旦那!」 「おう!またな、井灘!」 「おやすみなさい、井灘さん」
そう言って手を振ってお見送り。 今日の三日月亭の営業も、これにて閉店。 店先の暖簾を下ろし、店内へと戻る。
「裕。そっちはどうだった?」 「こっちも終わりました。後は床掃除したら終わりですよ」 「ホント、この3日間マジ助かった。ありがとうな」 「いえいえ、久しぶりの接客も楽しかったですよ」
最後の客だった井灘さんも先程帰ったばかりだ。 店内の掃除もほぼ終わり、閉店準備もほぼ完了。 三日月亭のバイトももう終わりだ。 店長が近づいてくると、封筒を差し出してきた。
「ほい、バイト代だ。色々世話もかけたからな。イロ付けといたぜ」 「おお・・・」
ちょろっと中身を確認すると、想定していたよりかなり多めの額が入っていた。 店長なりの労いの証なのだろう。
「なあ裕。マジで今後もちょくちょく手伝いに来ねえか?お前がいると客足増えるし酒も料理も注文増えるしな。バイト料もはずむぜ」 「うーん・・・」
店長の申し出は有難いが、俺は俺でまだやらなければならない事がある。 悪くはない、んだけど余り時間を使うわけにもなぁ。 そんな風に悩んでいると、勇魚さんが俺の頭にぽん、と掌をのせる。
「店長、悪いがこれ以上裕をここにはやれねえよ」 「はは、旦那がそう言うんなら無理は言えねえな。裕の人気凄まじかったからな」 「ああ。何かあったらって、心配になっちまうからな」
今回は勇魚さんのお陰で事なきを得たけど、また同じような状況になるのは俺も御免被りたい。 相手に申し訳ないのもあるけど、どうすればいいか分からなく��困ったのも事実だ。
「お店の手伝いはできないですけど、またレシピの考案はしてきますので」 「おう。売れそうなのを頼むぜ。んじゃ、気を付けて帰れよ」 「はい、店長もお大事に。お疲れ様です」 「旦那もありがとうな」 「おう、おやすみ」
ガラガラ、という音と共に三日月亭の扉が閉まる。 店の前に残ったのは、俺と勇魚さんの二人だけ。
「じゃ、帰るか。裕」 「ええ、帰りましょうか。旦那様」 「おっ・・・。へへ、そう言われるのも悪くねえな」 「嫌味のつもりだったんだけどなァ」
そう言って俺と勇魚さんは笑いながら屋敷への帰路につくのであった。
後日―
三日月亭に買い物に来た俺を見るなり、店長が頭を下げてきた。
「裕、頼む・・・助けてくれ・・・」 「ど、どうしたんです店長。随分疲れきってますけど・・・」 「いや、それがな・・・」
あの3日間の後、事あるごとに常連客から俺は居ないのかと聞かれるようになったそうな。 俺がまだ島にいるのも事実なので連れて来るのは不可能だとも言えず。 更に井灘さんがちょくちょく仲間漁師を連れて来るらしく、『姿が見えない料理上手な可愛い店員』の話だけが独り歩きしてるらしい。 最近では聞かれ過ぎて返す言葉すら億劫になってきているそうな。 ぐったりした様子から、相当疲弊しているのがわかる。
「な、裕。頼む後生だ。俺を助けると思って・・・」 「ええ・・・」
それから。 たまーに勇魚さん同伴で三日月亭にバイトに行く日ができました。
更に後日。
勇魚さんと一緒に『網絡め』という儀式をすることになり、勇海さんに見られながら致すというしこたま恥ずかしいプレイで羞恥死しそうな思いをしたことをここに記録しておきます。
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shinjihi · 4 years
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伊藤詩織氏が告発した山口敬之氏の独占手記
「詩織」と名乗る女性の勇気ある告発!
2017年5月29日、「詩織」と名乗る女性が、東京・霞が関の司法記者クラブで、たくさんの記者とテレビカメラを前に、私から性的暴行の被害を受けたと主張した。
「性犯罪の被害者と主張する女性が顔を出して記者会見を行った」ということで、多くの新聞、テレビ、週刊誌が大きく扱った。この女性は自らの主張を詳細に説明するとともに、2016年7月の検察の不起訴処分について検察審査会に不服申請を行った、と述べた。
この問題は、この会見に先立つ5月中旬、なぜか『週刊新潮』が「安倍総理べったり記者の準強姦逮捕状」というセンセーショナルなタイトルで報じていた。
私は、週刊誌報道の段階から一貫して疑惑を全否定し続けた。しかしメディアの大半は、「勇気ある告発をした」として女性に寄り添い、私を犯罪者と断定するかのような報道が少なくなかった。
また、複数の野党議員が国会の内外で、女性側に寄り添い、事実認識を誤った質問を繰り返した。そしてなぜか、これら野党の主張に共鳴する集団も、ネット上で女性の主張を鵜みにして私を糾弾し、私や私の家族には「死ね」などという誹謗中傷のメールが殺到した。
事実と異なるあなたの主張によって私は名誉を著しく傷つけられ、また記者活動の中断を余儀なくされて、社会的経済的に大きなダメージを負いました。私は虚偽の訴えに強い憤りを感じました。
しかし4カ月あまりの審理の末、検察審査会は9月21日、「不起訴処分は妥当」との最終結論を出した。「犯罪行為があった」という女性の主張は退けられ、刑事事件としては完全に終結した。
 
この間、私は様々な判断から基本的に沈黙を守ってきた。しかし、女性が民事訴訟を提起したことで状況が変わった。これまでの沈黙の理由も含め、私は自らの見解を「当該女性への書簡」という形で申し述べることにした。
いままで私が、沈黙を守ってきた理由
詩織さん、
あなたは性犯罪被害者ではありません。そして、自分が性犯罪被害者でない可能性があるということを、あなたは知っています。
検察審査会は、一般国民から無作為に抽出された11人のメンバーによって構成されます。
そして、あなたの「犯罪行為があった」という主張と、私の「犯罪行為はなかった」という主張、さらに当局が収集した膨大な客観的な物証に基づく4カ月あまりの審査の結果、検察審査会は「不起訴処分は妥当であった」という結論に達しました。
 
これにより、刑事裁判によって私に犯罪者という汚名を着せようというあなたの企ては、最終的に失敗したわけです。
もしあなたが民事訴訟に打って出なければ、私はこれ以上の議論をしないつもりでいました。それは、これまで沈黙を守ってきた判断と同様に、傷ついているように見えるあなたがさらに傷つく危険性があると判断したからです。
しかし、あなたがあえて「不法行為があった」との主張を民事訴訟の場で繰り返すのであれば、無関係な他者を巻き込んで騒動を継続しようとするならば、私は自らの主張の中身を公表せざるを得ません。
 
それは「あなたの主張が事実と異なっている」ことを示すことを一義��な目的としますが、そのために「全く根拠がないことを事実だと思い込むあなた特有の傾向」まで指摘することになります。
残念ですが、あなたが選んだ道ですから、冷静かつ論理的に、私の主張の一部をここに示すこととします。
 
あなたの主張は、要約すれば「2015年4月3日の夜、抗拒不能な状態で意に反して性行為をされた」ということになります。そしてそれは、「飲食店のトイレから翌朝5時まで継続して意識を失っていた」というあなたの認識に立脚しています。
 
それは全く事実ではありません。また、あなたは自らの主張が正しいと立証することが絶対にできません。このことは、実は捜査段階ですでに明確に示されていました。
だからこそ検察官は不起訴処分という結論に達し、検察審査会もその判断が妥当という最終結論に至ったのです。私はこれから、その詳細を5つの事象に分けて説明します。
①「デートレイプドラッグ」
②「ブラックアウト」(アルコール性健忘)
③詩織氏特有の性質
④あとから作られた「魂の殺人」
⑤ワシントンでの仕事への強い執着
①「デートレイプドラッグ」――間違った主張のはじまり
あなたの「犯罪被害に遭った」という主張は、「私はお酒ですっぽり記憶を失くした経験はない」から、「山口氏にデートレイプドラッグを混入されたと思っている」という点からスタートしています。
 
私はそれを聞いて本当に驚きました。私はそもそも、デートレイプドラッグというもの自体を知らなかったからです。しかも、当夜の状況を見れば、私があなたのグラスにいかなる薬物も混入させることなどできなかったことは明白です。
2015年4月3日、我々は東京・恵比寿の2軒の店で飲食しました。1軒目は庶民的な串焼き店、2軒目はカウンターの寿司店。2軒とも、10数人も座ればいっぱいになる、小さいけれども明るいオープンカウンターの店で、客は店主と向き合って座ります。
1軒目の串焼き店はほぼ満席で、我々の両サイドにお客さんが座っていました。2軒目の寿司店もたくさんのお客さんで賑わっており、ほぼ満席でした。
 
当地で生まれ育った私にとって、両店は20年以上通う行きつけのお店です。あなたも記憶していると希望しますが、私はどちらの店でも、馴染みの店主やその奥さんと親しく談笑しました。
 
あの夜、あなたはいろいろな種類の酒を飲みましたね。1軒目の店に座ってほどなく、私はあなたの飲むペースが非常に早く、かなり強いお酒をぐいぐいと一気飲みのように飲むことに気が付きました。
少し心配になり、
「大丈夫ですか?」
と訊きました。するとあなたは、
「喉が渇いているので。お酒は強いほうだから大丈夫です」
と答え、その後もハイペースで飲み続けました。
私は少し驚きながらも、いい大人なのだからと、それ以上は警告をしませんでした。もちろん、私があなたに飲酒を強要したことは一切ないこともお認めになりますね?
結局、あなたは2軒の店でビール、サワー、ワイン、日本酒を飲んだ。そして2軒目の寿司店で、当夜1回目のトイレに立って、そこで酔いつぶれた。あなたは記憶を失ったのは2回目だったと主張しています。
しかし、あなたが寿司店でトイレの場所を私に訊いてから席を立ち、その後、戻ってこなかったので私はよく覚えているのです。酔いつぶれてしまった女性が、直前のトイレの回数を正確に覚えているというのも不思議な話です。
あえて2回目と主張しているのは、そう主張することで私に薬を入れる機会があったと主張するためではありませんか?
 
要するに、あの夜、あなたが飲んだ全てのアルコールのグラスは、ずっとあなたの目の前にあったのです。
 
百歩譲って、あなたがつぶれたのが2回目のトイレだとしても、ほぼ満席の客でごった返す明るいカウンター席の店で、顔馴染みの店主や従業員のいる前で、女性のグラスに薬品を入れることなどできるはずもありません。
「山口に違法ドラッグを飲まされた」
しかも驚くべきことに、あなたは薬を入れているところを見たわけでも、その後、目撃証言を得たわけでもなく、「私は酒に強いはずなのに、急に酔いが回ったから、山口に薬を盛られたに違いない」と言うのです。
失礼千万な話です。
 
あなたの言う「デートレイプドラッグ」は、その後、調べてみたところ、町の薬局で手に入るものではなく、ほとんどがインターネットを通じた取引だということですね。
私は所有していたすべてのパソコン、携帯電話、タブレットなど、ありとあらゆる物を警察に提供しましたが、違法薬物の購入や使用に繋がる物証は一切ありませんでした。
 
もし私が違法薬物を入手したり使用したりしたのであれば、日本の優秀な警察機構は何らかの手掛かりを見つけたはずですが、あなたの主張を聞いたにもかかわらず、そんなものはなかった。
串焼き店、寿司店でも捜査員が証言を集めに回ったことが確認されていますが、そこでも薬物混入を示す証言は一切なかったのです。
当たり前です。繰り返しますが、私はあなたの言う「デートレイプドラッグ」などというものは、聞いたことも見たこともないのです。
 
あなたはただ、「自分の酒量を過信して飲みすぎた」だけなのです。それはよくあることで、そのこと自体を強く責める気はしません。
しかし恐るべきは、その後のあなたの見解です。自分の飲みすぎを認めないばかりか、何の証拠もなく、「山口に違法ドラッグを飲まされた」という前提で主張のすべてを組み立てている。
 
記者会見で、デートレイプドラッグを盛られたという主張をした際に、あなたは「他に思い当たる節もある」と述べました。それは何を指しますか? 明確に示して下さい。
そんなものはあるはずがない。あなたの勘違いと思い込みなのだから。ありもしない証拠や傍証を、あたかも存在するかのように記者会見の場で匂わせるのは、卑怯なやり方です。
②ブラックアウト(アルコール性健忘)
繰り返しますが、あなたはいかなる薬物も混入されていません。ただ、飲みすぎただけです。
その一方で、あなたは記者会見で「私は酒に強く、泥酔したり酔いつぶれたりしたことはない」と主張しました。ということは、あのように泥酔してしまったのは人生で初めての経験ということになりますね。
 
それならば、あなたは酒の過剰摂取の影響下で、自分がどう行動するか、そして、その行動をどこまで記憶しているか、経験がないから類推できない。これが、今回の問題の核心部分です。
 
寿司屋でトイレに入ったあなたは、長い間出てこなかった。心配になった店の方に促されて、ようやく出てきたあなたは、見るからに酔っぱらっていました。驚いた私は、やむなく急いで会計を済ませました。
 
店を出たのは22時半から23時頃だったと思います。店を出る段階で、あなたは足元が覚束なかった。そして、店の入り口左手にあった荷物置きの棚から、あなたは自分のショルダーバッグに加えて、他のお客さんのカバンも持って出てしまったことが、あとになってわかっています。
誰が見ても、一人で電車に乗って帰すことは困難な状態でした。
 
しかし、私は当時、TBS報道局のワシントン支局長を務めていたので、ワシントン時間の午前中、すなわち日本時間の23時過ぎまでに済ませなければならない作業(メール確認やパソコンでの調査・連絡)を複数抱えていました。
神奈川県に住んでいるあなたを送っていったら作業が時間内に終わらない。しかし、あなたは自力では帰れそうにない。私はやむなく、当時逗留していたホテルで休んで酔いを醒ましてもらい、自分の作業を終えてから送って帰るしかないと判断しました。
「意識のない状態で部屋に連れ込まれた」
あなたはタクシー運転手の証言を元に、「『駅で降ろしてください』と言ったのにホテルに連れて行かれた。だからその段階で犯意があったのだ」というストーリーを作ろうとしているが、とんでもないことです。
そもそもあなたは、「寿司店のトイレ以降、記憶がない」と主張しています。あなたが相当程度酔っていたことは、あなたも認めているのです。
実際、あなたはそのタクシーのなかで嘔吐したではありませんか。嘔吐し、朦朧とした泥酔者が「駅で降ろしてください」と言ったからといって、本当に駅に放置すべきだと思いますか?
 
私が宿泊していた白金高輪のシェラトン都ホテルに到着すると、私は泥酔しているあなたがタクシーから降りるのを手伝いました。あなたはタクシーのなかで嘔吐したこともあって、傍目には少し回復したように見えました。
そして、千鳥足ではありますが、自分の足で歩きました。
 
このホテルでの移動について、あなたは「意識のない状態で部屋に連れ込まれた」と主張していますが、それはあなたが何と言おうと物理的に全く不可能です。ホテルの1階ロビーは、車寄せからエレベーターホールまで100メートルほどあります。
もしあなたの主張どおり、全く意識がない状態だったとしたら、私はあなたを抱えて、どうやって100メートルも移動したというのでしょうか? 
衆人環視のなか、正体不明の大人の女性を荷物のように背負ったり、引きずって歩いたりしたとでもいうのでしょうか?
あのホテルは、車寄せから入り口を入ると、まずドアマンや荷物係が待機しており、正面には24時まで営業している大規模なラウンジ、そして右手に曲がるとホテルフロントがあり、レセプションの人やコンシェルジェ、案内係がズラリと並んでいます。
意識を失っている、あるいは意に反して無理矢理移動させられている女性がいたとして、一流ホテルの訓練された接客のプロたち全員が、それを見逃すということがありうるでしょうか?
 
しかも、4月3日は金曜日で、ロビー階では多くの宿泊客やレストランの利用客が往来していました。あなたの主張がいかにありえないかは、金曜日の夜11時に、都ホテルに行ってみればすぐにわかります。
 
実際のあなたは、2つのカバンを自分で持って、自分の足でヨタヨタと歩いたのです。もちろん、千鳥足ではありましたから、私はあなたが転ばないように注意はしましたが、移動を無理強いしたり、あるいは担いだり引きずったりは一切していません。
防犯カメラに映っているのも、「意識のないあなた」ではなく、「酔っぱらっているけれども何とか自力で歩けるあなた」です。
 
要するにあなたは、犯罪行為が行われたという主張の根幹をなす「意識のない状態が朝まで続いた」という認識の一環として、「ホテル到着時も意識がなかった」との立場をとっていますが、あなたの主張は物理的にありえないのです。
 
私の部屋がある階でエレベーターを降りたあとも、あなたは自分の足で普通に歩きました。私が部屋の鍵を開けると、あなたは私を押しのけて先に部屋のなかに入り、小走りに窓際に向かいました。そして、いきなり嘔吐しました。
あなたは、いびきをかいて、寝ていた
私は翌朝、アメリカに帰ることになっていたので、パッキング前の荷物を窓際にまとめて置いていましたが、その上にも吐瀉物が飛び散りました。
自分の荷物を汚されて少なからず驚いていると、あなたは今度は踵を返して、無言でトイレに駆け込みました。あなたの吐瀉物をタオルで拭いておりますと、トイレのなかから嘔吐する大きな音が2度しました。
 
正直に言って、本当に迷惑でした。やらなきゃならない仕事を抱えて、翌日の移動のためにパッキングもしなければならないのに、荷物をゲロまみれにされたうえに��イレを占領されている。
しかし、早く済ませなければならない作業が複数あったので、私はやむなくパソコンに向かいました。仕事が一段落してもあなたがトイレから出てこないので、私は心配になってドアをノックしました。
すると、なかからかすかな声が聞こえたのでドアノブを回すと、ドアは施錠されていなかったため、ドアを開けてなかを見ると、あなたは尻もちをついて、トイレとバスタブの間に座り込んでいました。ブラウスとスラックスは、大量の吐瀉物で汚れていました。
 
私は吐瀉物が苦手なので自分も吐きそうになりましたが、このまま放置すると喉に物を詰まらせて事故を起こす可能性もあったので、やむなくなかに入って吐瀉物をタオルで拭い、あなたを起こそうと努力しました。
あなたは謝罪ともうめき声ともつかない声を上げながら、なんとか自ら起き上がりました。そしてゲロまみれのブラウスを脱ぎ、部屋に戻るとベッドに倒れ込み、そのまま寝てしまったのです。
 
私はあなたのあまりの痴態に怒り呆れましたが、翌日着るものがないとかわいそうだと思い、トイレに放置されたあなたのブラウスのゲロを拭って浴室に干しました。
また、バスルームの床面もゲロまみれだったので、シャワーで洗い流すなどして部屋に戻ると、あなたはいびきをかいて寝ていました。
 
部屋はツインで、シングルベッドが2つありました。前日まで私が寝ていたベッドはあなたに占領され、もう1つのベッドは、ベッドメイキングを壊さないままパッキング前の衣類などを並べていました。
私が全ての仕事を終えても、あなたは相変わらずいびきをかいて眠りこけていたので、私は荷物置き場にしていたベッドの、わずかに空いたスペースに身を横たえました。
下着姿でミネラルウォーターをごくごく。そして――
部屋に入ってどのくらい時間が経ったのか。
 
私がまどろんでいると、あなたが突然起き出して、トイレに行きました。ほどなくトイレが流れる音がして、下着姿のあなたが戻ってきました。
「喉が渇いたのですが、飲み物をもらってもいいですか?」と言って、あなたがホテルの冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、自分でキャップをひねって開けて直接飲みました。
下着姿であることを全く気にしていないのには少し驚きましたが、外国生活が長いせいかなと類推したのを覚えています。
 
そして、ペットボトルの水を何度かごくごくと飲んだあなたは、私が横たわっているベッドに近寄ってきて、ペットボトルをベッドサイドのテーブルに置くと、急に床に跪いて、部屋中に吐き散らかしたことについて謝り始めました。
面食らった私は、ひとまずいままであなたが寝ていたベッドに戻るよう促しました。
 
ここから先、何が起きたかは、敢えて触れないこととします。あなたの行動や態度を詳述することは、あなたを傷つけることになるからです。
はっきり言えるのは、私はあの日、あなたに薬物を飲ませたり、いやがるあなたを部屋に連れ込んだりしなかったのと同様に、部屋のなかでもあなたの意思に反する行動は一切していないということです。
もし、あなたが覚えていることがあり、自分で差し支えないと考えるなら遠慮なく言って下さい。
誰も証明できない「密室」での出来事
もうひとつ強調したいのは、トイレから戻ったあとのあなたは、立ち居振る舞いもしゃべり方も正常で、すっかり酔いから醒めたように見えたということです。
それまでに複数回にわたって大量に嘔吐したあと熟睡したので、それで楽になったのかなと思いました。その後しばらくして、あなたはまた眠りに落ちました。
要するに、あなたは「朝まで意識がなかった」のでは決してなく、未明の時間に自ら起き、大人の女性として行動し、そしてまた眠ったのです。
 
あなたはこのことを覚えていないのかもしれない。あるいは覚えていたが忘れてしまったのかもしれない。あるいは覚えているのに黙っているのかもしれない。
それは私にはわからない。密室での出来事ですから、誰も証言してくれる人はいない。
 
しかし、1つだけ客観的な事実を示すことができます。私は一時帰国の期間中、1度もホテルの冷蔵庫の飲み物を消費していません。室内のミニバーの飲料はどれも高価で、好みのものもなかったので、飲み物はコンビニで買って持ち込んでいました。
だから、7日間の滞在で、唯一の冷蔵庫の出費こそが、あなたが飲んだミネラルウォーターだったのです。
 
このことは、ホテルの領収書によって簡単に証明できます。あなたは、未明に自分で起きて、トイレに行ったあと、自ら冷蔵庫を開け、自分の力でペットボトルのふたを開け、飲んだ。
これはあなたの「朝まで全く意識がなかった」という主張とは完全に矛盾します。
 
その後、あなたが被害届を出して、私は警察の聴取に全面的に協力しました。そのなかで、深夜のあなたの覚醒と再睡眠について何度も質問されました。
ペットボトルのことも含め、私は覚えていることを繰り返し詳細に話しました。おそらく捜査員は私から聞いたことを踏まえてあなたに確認し、その答えを踏まえてまた私に聞き直すということを繰り返したのでしょう。
何回か聴取が繰り返されたあと、捜査員は私にこう言いました。
「あなたの供述は何度聞いても詳細で矛盾がない。他方、詩織さんは朝まで記憶がなかったと言っている。双方の主張は一見矛盾しているようだが、2人ともウソをついていない可能性が1つある。それは『ブラックアウト』だ」
 
英語でブラックアウトと言えば、真っ先に浮かぶのは停電です。しかし、捜査員の言うブラックアウトは違いました。アルコールの影響で、記憶の一部または全部が欠落してしまう現象のことをいうらしい。
たしかに、酒を飲みすぎてどうやって家に帰ったか覚えていないという話は珍しいものではありません。自力で歩き、自分でカギを開け、部屋まで辿り着いて寝たが、ただその経過の記憶だけがすっぽりと抜け落ちている。
 
それでも、最初に捜査員にブラックアウトの可能性を指摘された時には、私はにわかには信じられませんでした。
というのは、トイレから戻って再び眠るまでのあなたの行動は所作も会話も全く正常で、のちに記憶を失うような泥酔した状態とは到底思えなかったからです。そのことも捜査員に指摘しました。
 
しかし、医学的に「アルコール性健忘」といわれるこの現象は、アルコールの過剰摂取によって、脳内で記憶を司る「海馬」という組織の機能だけが低下することによって起きるため、傍から見ると当人の行動は、まったく酔っていないように見えるといいます。
普通に歩き、しゃべり、飲食をしているが、その状況を記憶として脳に保存することだけができない。もし当夜、そういう状況にあったのであれば、「朝まで記憶がなかった」とあなたが主張したとしても、辻褄が合うのです。
(つづく)
(初出:月刊『Hanada』2017年12月号)
【独占手記】私を訴えた伊藤詩織さんへ「後編」
③詩織氏特有の性質――「盗撮されたに違いない」
捜査員が示した可能性は、簡単に言えば「飲みすぎて記憶が飛んでしまった」という、酒飲みにとってはよくあるありふれた話です。
しかし、しかしです。私と同じく、あなたも捜査員からブラックアウトの可能性について説明を受けたはずだ。そして、あなたは記憶がないからこそ、「ブラックアウトではなかった」と断言することは絶対にできない。
 
しかも、あの夜は人生で初めて自分の酒量の限度を超えて飲んでしまったのだから、なおさらです。
それまでの人生でアルコール性健忘の経験がなかったからといって、その現象が自分には絶対に起こりえないと断定するのは、少し独り善がりが過ぎませんか? 
そして、「自分が飲みすぎたはずはない」という無理な論理を補強するために、根拠もないのに「デートレイプドラッグ」などという違法薬物の話を思いついたのではありませんか?
 
そこで、私が指摘せざるを得ないのが、あなた特有の思考傾向です。
たとえば、あなたは朝起きてテーブルの上に私のパソコンがあるのを見て、咄嗟に「盗撮されたに違いない」と思ったと述べていますね。そしてそれが、警察が強制捜査に着手するきっかけになったとも言っています。
 
私のような仕事をしている人間は、例外なくパソコンを使っている。部屋にパソコンがあるからといって、自分が盗撮されたと思い込むというのは、あまり普通の思考回路ではない。
実際、そのパソコンは警察に提出され、盗撮映像など一切出てきませんでした。当たり前です。私は盗撮などしていないからです。
 
それから、あなたは「独自調査の結果、得られた新しい証拠を検察審査会に提出した」とも述べました。そこで例示したのがタクシー運転手の証言でした。しかし警察は、そのタクシー運転手から早い段階で聴取を行っていました。
その証言に基づいて、私は捜査員から何度も質問されている。そのことはあなたも知っている。その証言も踏まえた捜査が行われ、検察官は不起訴という判断を下したのです。
「自分は酒に強いから薬物を盛られたに違いない」
「ブラックアウトは、自分には起こり得ない」
「パソコンがあるなら盗撮されたに違いない」
「自分は初めて聞いたから、新証拠だ」
 
あなたの思考パターンには、まず強い自意識があって、自分を被害者、私を悪意ある犯罪者と思い込むことによって、全ての事象をそのストーリーにはめ込もうとしているのではないか。
その結果、冷静な判断ができなくなり、結果として事実ではないことや根拠のないことを、自ら信じ込んでしまっているのではないか。そう考えざるを得ないのです。
④あとから作られた「魂の殺人」――「レイプは魂の殺人です」
ここまでは、「~に違いない」というあなた特有の思考パターンから、私を犯罪者と思い込むに至った流れを類推しました。
 
しかしこれから述べることは、アルコールという外的要因によって起きた、いわば不可抗力的なものではありません。事後、あなたの心の内部で時間の経過とともに深まっていった、不可解な「後付けの被害者意識」についてです。
 
あなたは記者会見で、「私はレイプされました」 「内側から殺されました」 「レイプは魂の殺人です」と、非常にエモーショナルに訴えた。
しかし、その激しい怒りと憎悪は、最初から一貫したものではなかったことを証明します。それは、事後のあなたの行動と発言を精査することによって、はっきりと浮かび上がります。
 
あなたは「給水タンクに寄りかかってから朝まで意識がなかった」という前提の下で、自分がレイプされたと朝の段階で確信し、口論の末に逃げるように部屋を出たと主張している。
しかし、あなたの翌朝の行動は、明らかにあなたの主張と矛盾しています。まずは翌朝のあなたの様子について、私の覚えている限り記述します。
 
1度未明に起きたあと、再び眠りに落ちたあなたは、朝になってもう1度起きた。そして、私とごく普通の会話をし、ごく普通にホテルの部屋を出ていった。途中、1回だけ英語で少し大きな声を出しました。
「I fucked without contraceptives.」(避妊しないでやっちゃったわ)
 
急に英語で大声を出し、しかもfucked というあまり上品でない単語を使ったので、私は違和感を覚えましたが、あなたがすぐに日本語に戻ったので、特に気にしませんでした。
日本語の会話は、通常の音量で平穏な口調で、その日の予定や今後の連絡の取り方など、差し障りのない雑談でした。「口論の末逃げ帰った」というあなたの主張は、事実とかけ離れています。
なぜ「レイプ犯」のTシャツを着て帰ったのか?
しかし、もしあなたが朝の段階で私にレイプされたと思っていたのであれば、絶対にしないはずの行動をし、絶対にしたはずの行動をしていない。
まず、絶対にしないはずの行動について説明しましょう。
 
朝起きてトイレから戻ってきたあなたは、浴室に干されていたブラウスを手に、
「ブラウスが少し生乾きなんだけど、Tシャツみたいなものをお借りできませんか」
 
あなたのブラウスは化繊の薄手のもので、朝までに相当程度乾いていたため、濡れて着用できない状況ではないように見えました。
しかし、私としては別に断る理由もなかったので、パッキング途中のスーツケースを指し、
「そのなかの、好きなものを選んで着ていっていいですよ」
と言いましたね。
あなたはスーツケースから、私のTシャツのうちの1つを選び、その場で素肌に身に着けました。覚えていないとは言わせません。
レイプの被害に遭ったと思っている女性が、まさにレイプされた翌朝、レイプ犯のTシャツを地肌に進んで身に着けるようなことがあるのでしょうか?
 
私はこのTシャツの末についても、捜査員に伝えました。そして、できれば返してほしいとお願いした。
しかし捜査員は、
「いまはまだ捜査の途中だから、物品の返却についてはもう少しあとで考えましょう」
と言われました。
結局、私はそのTシャツを未だに返してもらっていません。そのTシャツの存在を認めると、自分の主張の辻褄が合わなくなるからですか?
あなたは記者会見で、自分が受けたと主張する「被害」について、「レイプという行為は私を内側から殺しました。レイプは魂の殺人です」とまで表現しました。
そこまで言うのであれば、いまのあなたは、私のTシャツを素肌に身に着けることなど、おぞましくて決してできないでしょう。
 
それならば、「あの朝のあなた」と「いまのあなた」の感情は、全く種類が異なっていることは明らかです。すなわち、あなたの強い被害者意識は最初からあったのではなく、あとから時間をかけて醸成されたものだということになります。
「レイプ犯」に送った「お疲れ様です」メールの謎
そしてもう1つ。「薬物を盛られてレイプの被害に遭った」と思っている人ならば、絶対にしたはずの行動をあなたはしなかった。それは病院での検査内容にかかわることです。
あなたは、ホテルを出て数時間後に婦人科に行ったと証言しているが、そこでどんな検査を受けましたか? 
妊娠していないかどうかだけを検査し、ピルをもらったと言っている。ホテルの部屋での、英語の独り言の内容と符合します。
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akerumade · 7 years
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「石破4条件」は新設阻止ありきで作成-獣医師連盟活動報告より…同団体から石破茂氏へ献金100万円
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写真引用元
漆ちゃん 6:35 - 2017年5月28日 TBS時事放談、玉木さんと石破さんの妙な組み合わせ。 (https://twitter.com/urushicchi/status/868581492863062016)
*
新設の条件は、現実的に参入困難な文言に
もりちゃん (@mollichane)
獣医師会と石破茂の間に何らかの関係があった可能性は高い。 その場合「石破4条件とは何だったのか」を徹底的に検証する必要がある。なぜ玉木議員はあそこまで4条件にこだわったのかという点も。場合によっては玉木議員も失禁するほどの影響力を与えてた可能性もある。 (https://twitter.com/mollichane/status/884775352647561216)
これか。きっちり石破の名前が出てる。つまりこれは 【獣医学部の新設阻止の為に石破4条件を作った】と言う証拠。 こうなると石破と玉木の関係性にも疑義が生まれる (https://twitter.com/mollichane/status/885012524625776640)
日本獣医師会雑誌 第68巻 第11号 [Vol.68 No.11 (2015)] 平成27年11月20日発行 (http://nichiju.lin.gr.jp/mag/06811/index.html) │ └ 平成27年度 第4回 日本獣医師会理事会〔会議報告〕  (http://nichiju.lin.gr.jp/mag/06811/a2.pdf)…4/4P
 平成27年度第4回理事会の議事概要  日 時:平成27年9月10日(木)14:00~17:00
(前略)
【連絡事項】 1 当面の主要会議等の開催計画に関する件 境専務理事から,当面の関係会議等の開催日程について説明がなされた.
2 そ の 他 日本獣医師政治連盟の活動報告 北村委員長から,日本獣医師政治��盟は,6月22日の役員改選以降,北村委員長,鳥海副委員長,篠原幹事長,境会計責任者という布陣で発足したことが報告された.
(中略)
なお,昨日,藏内会長とともに石破茂地方創生大臣と2時間にわたり意見交換をする機会を得た.その際,大臣から今回の成長戦略における大学,学部の新設の条件については,大変苦慮したが,練りに練って誰がどのような形でも現実的に参入は困難という文言にした旨お聞きした.
(後略)
~~~
※補足 「2 そ の 他」で語られている内容は、「北村委員長から」成されたものと読めるので、ここで石破地方創生相と意見交換したのは、蔵内勇夫(日本獣医師会)会長と北村直人(日本獣医師政治連盟)委員長と思われる。
*
石破氏、玉木氏と同じく獣医師連盟より献金あり
2010年 鳩山政権、愛媛と今治市による      特区での獣医師養成大・新設提案を「検討」に引き上げ (http://plaza.umin.ac.jp/~vetedu/files/2013kyouryoku10-01.pdf)
玉木雄一郎 2010年 父一将氏より1,000万円借入 (http://www.pref.kagawa.jp/somugakuji/kenpo/2012index/2012/0612senkankokuji41.pdf) 2012年 獣医師政治連盟(山根義久委員長)から100万円の献金 (http://openpolitics.or.jp/pdf/370301/2012.pdf[5/15p])
石破茂 2012年 獣医師政治連盟(山根義久委員長)から100万円の献金 (http://openpolitics.or.jp/pdf/310103/2012.pdf) 15/43p
*
関連
「石破4条件」の挙証責任は申請側ではなく文科省にある
【加計学園】獣医学部の認可のための4条件の挙証責任について 事実を整える 2017-07-10 (http://www.jijitsu.net/entry/2017/07/10/190000)
特区提案の進捗状況と玉木氏の動向(時系列) 民主鳩山内閣「検討」へ引き上げ~「献金」受領~「新設阻止」発言~「特区決定」~「ご意向文書」 (http://akerumade.tumblr.com/post/160808944246/)
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xf-2 · 4 years
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もう1ヵ月以上遅れている
安倍首相は28日に記者会見し、「緊急経済対策の策定と、その実行のための補正予算案の編成を、このあと指示する。今まさにスピードが求められており、10日程度のうちに取りまとめて速やかに国会に提出したい」と述べ、今後10日程度でリーマンショックのときを上回る規模の緊急経済対策を策定し、新年度の補正予算案を編成する考えを示した。
筆者の結論を言おう。これまでの本コラムを読んでもらえればわかると思うが、「あまりに遅すぎで、シャビー(みすぼらしい)」だ。
まず「遅すぎ」からいこう。28日に記者会見が行われたのは、27日に2020年度予算が成立したからだ。この段階で、財務省の手順に従ってしまっており、「遅すぎる」のだ。
筆者はこれまでの本コラムでも、3月中の2020年度予算の「修正」を主張してきた。2020年度予算を成立させてから「補正」で対応すると、1ヵ月以上も遅れるのだ。
また、中身に関わる話でもあるが、安倍首相は、現金給付の規模や対象について「リーマンショックの時の経験や効果などを考えれば、ターゲットをある程度おいて、思い切った給付を行っていくべきだと考えている」と述べ、すべての国民に一律の現金給付には慎重な考えを示した。
これは、所得制限したうえで現金給付をするつもりなのだろう。今回のような大きな経済危機の時には、何よりスピードが優先される。なので先進国では、まず現金給付をする。具体的には、筆者が本コラムで書いてきたような政府振出小切手を国民に配るというやり方だ。
所得制限とは、通常は配布前に所得制限をかけて行うものだ。具体的には、所得に応じて給付金を配布するという方法になる。しかし、実際に行うにはかなりの時間を要する。そこで、政府振出小切手を一律に配布するという方法がとられる。この方式は、アメリカなら2週間程度で実施可能だ。
やっぱり財務省が障害か
「高額所得者に対しても一律に給付金を出せば批判される」と、財務省は国会議員を脅す。実際に、今回もそのようなことがあったようだ。しかし、その脅しは簡単に切り返すことができる。
というのは、アメリカでも同じであるが、税法の非課税措置を手当しなければ(つまり何もしなければ)、給付金は税法上「一時所得」に該当するため、高額所得者は限界税率が高く、それなりの調整がなされるのだ。
こうした危機に所得制限を示唆するとは、日本の国会議員はコロっと財務省に騙されてしまったようだ。
ついでに言っておくが、日本の現金給付は政府振出小切手を使っていないので、とても2週間ではできない。
リーマンショック時に給付された定額給付金は、いわゆる地方事務である。地方自治体から国民に、定額給付金の「申請書」が送られる。国民はそれに銀行口座などを記載し、本人確認書類などとともに地方自治体に「申請」する。受け取った地方自治体は、本人確認をして、銀行口座に振り込む。この間、1、2ヵ月を要する。
一方、政府振出小切手では、本人のところに小切手が届く。本人はそれに署名して、銀行に持ち込む。銀行が本人確認して現金が付与される。この方式のほうが簡便なので、2週間くらいで実施できる。
官邸が財務省にやられている
次に、対策そのものの規模も情けないほどシャビーだ。一応、「リーマンショックの際を上回る規模」というが、これは事業規模の話だ。リーマンショック時に政府が56兆円の事業規模で対策したのは事実だが、真水ベースだと15兆円程度だった。
経済対策には、大別すれば(1)公共事業、(2)減税・給付金、(3)融資・保証がある。「真水」とは、(1)のうち用地取得費(事業費の2割程度)を除いた部分、(2)は全額、(3)は含めないで、(1)(2)を合算したものを指すことが多い。
実際の政策としては、(2)でも消費に回らないと短期的にはGDP創出につながらないし、(3)がないと企業倒産に繋がり、雇用の喪失を通じてGDPへの悪影響が出る。
その意味では、全ての政策が相まって重要なのだが、「真水」の考え方は、「マクロ経済政策による有効需要増のGDPに対する比率」で表すことができる。そのため、経済ショックで需給ギャップがGDPの一定割合に生じた際、どの程度まで穴埋めできるかが簡単にわかるので、景気の先行きを占う上で有効である。
実は、筆者は、2010年1月5日から本コラムを書いている。最初の原稿「なぜ日本経済だけが一人負けなのか」(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/60)では、リーマンショックのGDPギャップとその埋め方を、日米英独で国際比較している。その中で、「日本は財政政策も金融政策も酷い」と論じている。
安倍政権になって、少しは民主党政権より経済運営がまともになったが、ここにきて、メッキがはげている。自民党内の一部はまともであるが、今の安倍政権は官邸が機能していない。このため、財務省にやられている。さすがの安倍首相も、パワーが失われているようだ。
「真水」でないと意味がない理由
その結果、今回の経済対策も事業費ベースでは50兆円を超えるが、真水ベースではシャビーな案になっている。GDPに影響を与える真水ベースだと、せいぜい20兆円���もいわれる。これではGDPのわずか4%である。アメリカでは2兆ドルベースの経済対策で与野党が一致しており、これがGDPの10%に達することと比べると、日本はシャビーと言わざるを得ない。
なぜ「真水」が重要なのかと言えば、先に紹介した本コラムの第1回にも書いたように、今回のような経済ショックがあると、有効需要が失われGDPが低下するが、それはGDPと失業率の関係を示すオークンの法則からわかるように、「雇用の喪失」を意味するからだ。
どこの先進国でも、雇用の確保はマクロ経済政策のイロハである。経済ショックが各国のGDPに与える悪影響も均一ではなく、またそれが失業に与える悪影響も同じではない。しかし、雇用の確保という観点からみれば、経済ショックに対する各国のマクロ政策には自ずと相場観が出てくる。そうした議論のためには、「真水」の考え方で経済対策を見たほうが適切だ。
「真水」をシャビーにするのは、財務省の意向だ。彼らがその言い訳に使うのが、財政事情である。本コラムでは、日本の財政事情は悪くないと何度も繰り返してきた。
特に、今回のような経済危機においては、先進国では同時に金融緩和も行われる。それは、財政問題を起こさないためでもある。
実は、「経済対策を国債発行で賄い、それと同時に金融緩和する」というのは、発行した国債を中央銀行が購入することを意味する。そうなると、国債の利払いは中央銀行になされるが、それは納付金として政府の収入になるので、実質的な利払い負担がなくなるのだ。
このことは、前回のコラムにも書いた。しかし、実際の政治の現場では、政治家は財務省のいいなりになってしまう。どうしてなのか。
「ポスト安倍」との絡み
それには、自民党の党内力学が働いているようだ。ポスト安倍で、財務省に近い岸田文雄氏が図抜けているということだ。
岸田氏の派閥は宏池会だ。宏池会は、大蔵官僚から首相まで登りつめた池田勇人氏を創設者とする自民党内の伝統派閥で、官僚出身議員が多く、財務省の影響を強く受けている。
麻生太郎財務大臣は、宏池会ではないが、宏池会に近いとされている。もちろん財務大臣なので、財務省の伝統的な手法をそのまま実施しようとしている。
消費減税や小切手案は、財務省が最も嫌う政策であり、岸田氏や麻生財務相も否定的なので、現段階で実施は政治的に無理なのだ。
筆者もある宏池会系の議員や記者から、「あなたの言う消費減税や政府小切手などの政策は経済的には正しいが、財務省が否定するので政治的には採用されない」と言われたこともある。
それにしても、28日の記者会見で、消費減税について質問した記者はたった1人。新聞社が軽減税率の恩恵を受けていて、消費減税に反対しているから質問できないのではないだろうかと思ったくらい、残念だ。
このままで自民党は大丈夫なのだろうか。先週末に行われた共同通信の世論調査では、「望ましい景気対策」として、現金給付32.6%、商品券給付17.8%、消費減税43.4%となっている。意外と世論はよく見ているのかもしれず、ポスト安倍は国民と財務省の板挟みで苦しむかもしれない。
その他の対策もおかしい
いずれにしても、今の安倍政権はちょっとおかしい。筆者が強くそう思うのは、経済対策だけではない。
ひとつは新型インフルエンザ対策特別措置法の運用だ。これは民主党政権時代の法律を改正したもので、3月13日公布、14日施行だった。
筆者が驚いたのは、14日施行なのに、この法律にもとづいてすぐに政府対策本部を立ち上げなかったことだ。すでに首相官邸には新型コロナウイルス感染症対策本部があったので、それをそっくり移行させればよかったはずだ。政府対策本部が発足したのは、なんと27日だった。
緊急事態宣言がまだ出されていないのも奇妙だ。
特措法改正時の3月10日、筆者はあるネット番組で「ヒゲの隊長」こと佐藤正久参院議員と対談したが、一刻も早く緊急事態宣言を出すべきとの意見で一致した。
その時はまだ、今日の事態を必ずしも正しく予測していたわけでないが、各都道府県知事が強制措置をとるべき時になれば法的根拠を確保できるし、とるべきでなければやらなければいいだけだからだ。他国では軒並み緊急事態宣言やそれに準ずる状況であり、いまさら日本が緊急事態宣言を出しても特に問題にはならないので、やらない選択肢はなかった。
しかしながら、いまだに宣言はなされていない。政府は「ギリギリの状況だ」と言う。特措法は医療崩壊を防ぐためのものなので、それほど「ギリギリ」なら緊急事態宣言を政府が行い、各都道府県知事に、対策の法的根拠と実施権限を与えておくべきだ。
小池百合子東京都知事が「ロックダウン」などと言っているが、法的根拠なしで行うのは危うい。
もはや終息のメドは立たない
その小池都知事も、もっと前に都民へ強く注意喚起をしておくべきだった。これは、3月19日の政府専門家会合で示されたデータだ。
「感染源が未知の患者数の推移」であるが、これを見ると、東京と大阪で急激に増加しており、危ないと読める。実際、吉村洋文大阪府知事は、3月20〜22日の3連休前に兵庫・大阪間の往来自粛を呼びかけている。
そのときの根拠として、吉村知事はTwitterで厚労省から説明を受けたことを明かしている(https://twitter.com/hiroyoshimura/status/1240892069507256320)。
厚労省から受けたこの提案を重視し、方針を決定した。単なる有識者やコメンテーターが作成したものじゃない。国がこの書類を持って大阪府と兵庫県にわざわざ説明に来て提案された。重要な事実と判断して外に出した。多くのコメンテーターはこんな数字なる訳ないと思うだろうが、僕は無視できない。
大阪府が厚労省から説明を受けているのであれば、東京都も同じであるはずだ。しかし小池都知事は、3月20〜22日の3連休前には何もしなかった。いくら東京五輪の延期に手間を取られていたとしても、これは重大なミスである。
因果関係はわからないが、結果として、感染者数は急激に増加している。下図は、これまで筆者が示してきた患者数推移予測の図を更新したものだ。従来の政策が有効であるとの前提で立てた先週までの予測は範囲内におさまっていたものの、今では大きく外れており、終息のメドは立たなくなっている。まったく違うフェーズに入っていると言わざるを得ない。
筆者はいろいろな場で「いつまでにこの騒ぎは収まるか」と聞かれて、「東京と大阪が大丈夫なら○○までに」などと答えてきたが、その前提が崩れたいま、当面確たることは言いにくくなった。
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書くことから随分離れてきた。気づけば夏季休暇が終わろうとしている。
同じような日を何日も繰り返すようになってからが夏休みの本領発揮だと思っているが、短い今年の休みもそれがあった。
以下、この休み中最も多く繰り返されたスケジュール。
朝赤子に起こされ、ねむねむしながらしばらく過ごし、午前中涼しいうちに散歩し、赤子が寝てつかの間の休息を得る。その貴重な時間をどうでもいいインターネットでつぶし、そろそろやるべきことを…と思う頃に赤子が目覚める。
昼下がりになり赤子がお腹を空かせた三人分の食事を準備し、赤子の後にわれわれが入れ替わり立ち替わり食事する。その後のミルクで寝ないか期待するがまあ寝ない。無気力にテレビを眺めつつスマホをいじりつつ赤子と過ごしていたら夕方になり、夕涼みに出かける。
散歩の最中は容赦なく大人同士の会話をしてしまう。近所のいい感じの一軒家を眺めつつ、やっぱ家ほしいよなーと毎回言う。花や犬猫鳥とすれ違えば赤子に見せる。赤子は不思議そうな顔を浮かべる。触りたそうに手を伸ばすときは触れてしまわないようさりげなく身を遠ざける。そうこうしている内に気づいたら赤子は寝てしまう。ラッキーこのまま朝まで熟睡してくれと思うものの大抵は家に着いてだっこ紐から下ろすと目覚める。目覚めているうちに宵闇が来るとこわくて不安げな声を上げてしがみついてくる(かわいい)。
赤子が目覚めて一緒に風呂に入れればいいが大抵コトンと寝てしまう。おかげであせもが出てしまった。
赤子が寝てからがやっと大人の自由時間。しかし赤子の昼寝中と同じく、大抵はスマホを見てどうでもいい時間を過ごしている内に寝る時間になる。この休みにも随分Kindleで漫画を買ってしまった。
だいたい22時半から24時ごろ寝る。翌日また赤子に起こされる。
記録してみると、どうしようもなく怠惰で繰り返されたと思っていた数日も、赤子にとってもわれわれにとっても今しかない時間だったと気づいた。そう考えると悪くないじゃん。
今年の夏季休暇中の記録
8日 赤子に5時過ぎに起こされる。赤子を耳鼻科に連れて行く予定だったが、朝起きたら左手中指から親指とその間の手の甲に痺れがあったので急きょ赤子を保育園に預けてあおば通沿いの神経内科へ。すごく心配する夫に内心そんな大げさなと思っていた。スタバのドライブスルーでコールドブリューコーヒーとツナのマフィンを買う。スタバのフードってやたらと高いんだよな、と馬鹿にしていたがあっためてもらったマフィンをかじるとウーマと声が出た。コーヒーは言わずもがな美味い。
痺れって言ってもねえ、圧迫するような変な寝方したせい?先生にばかにされない?行ったふりして帰っちゃおっかなとも思っていたが、時間が経っても引かなかったのでだんだん怖くなった。
神経内科の先生は今まで出会ったお医者さんのなかでも最も真摯な方だった。丁寧な接し方をされるだけで何か回復するものがあったし、適当に接しようとしていた自分が恥ずかしくなった。色々検査をしたが異常はなく、即日結果が出ないものは二週間後聞きにくるよう言われる。
そのあと採血のせいか気持ち悪くなり適当に入ったそば屋がめちゃめちゃ美味しかったり、それでもだるさが抜けないのでドトールでモンブランと黒糖ラテを飲んだ。
手の痺れは数日続いたが、16日現在ではほぼ治っている。夜は恒例のLINE通話でペストを読む会。
9日 上記のような典型的な日を過ごす。三人で歩いてツルハドラッグに買い物に行くが、帰りは暑すぎてみんな無言になってしまった。
去年は夫とふたりで立町の美味しい朝食を食べに行ったことを思い出す。
10日 お茶のお稽古
11日 蔵王初日 赤子が初の旅館に大はしゃぎ。赤子に見せよう!と勇んで観に行ったヤギに本人はさして興味がなさそうだった。快晴。危険な暑さ。牛乳が美味しかった。宿に着いて三人で初めて貸切温泉に入る。危険な湯加減だったので容赦なく水を注ぐ。後に入る人の為にもあれは良かったと思う。旅館の美味しい夕飯を赤子の世話をしつつ夫と入れ替わり立ち代わり食べる。まるでトライアスロンだった。
12日 蔵王2日目 ブルーベリー狩りは終わっていたし刈田岳山頂は霧で何も見えなかった。山頂食堂で買った玉こんにゃくとあったかいずんだオレが美味しかった。蕎麦屋で信じられないくらい待たされて帰る時間になる。たまご舎のシュークリームとクロワッサンを買う。赤子にはたまごボーロ。
13日 風邪っぽく微熱っぽく具合が悪い。あまり覚えていないので体調不良以外は上記の典型的な日。
14日 あまり記憶がない。恐らく典型的な日。
15日 昼前まで典型的な日だったが、夫の提案で急きょ秋保にドライブ。秋保ビレッジでジェラートを食べる。赤子にあげたら見たことない表情をしていた。梅干しを食べたみたいな顔(冷たさに驚き)から美味しそうな顔に変化するのが面白かった。その後初めて行ったライライキョウがとても良かった。川辺育ちとしては川の匂いを嗅ぐだけでちょっと元気が出た。宵ごろ急に思い立って髪を切りに。21時からペストを読む会。
16日 ほぼ上記の典型的な日。夕涼みには行かなかった。休みが終わるが怖くて具合が悪くなりそうに。レインちゃんのブログを見ていたら、全部同じみたいに見える日常も書き残せばそれぞれに彩りが乗るのでは?そもそも最近全く書いていないから自分のなかの整理がつかなくて全部同じに見えるのでは?という気がしてくる。赤子と心を通わせて遊べて嬉しい。ほんとはスマホやテレビを見がちになるんじゃなくていつもこうであるべきなのに。赤子が寝てからこれを書く。一時間以上かかったが、そんなに時間をかけてやるべき事でもなかったような、やっぱり残せて良かったような。明日まで夏季休暇(たぶん)。
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seiyudanshithemovie · 5 years
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 大絶賛公開中の「劇場版 声優男子ですが・・・? ~これからの声優人生の話をしよう~」。番組開始から5年間を共に過ごしたおなじみの声優男子メンバーたち(上村祐翔、梅原裕一郎、河本啓佑、小林裕介、白井悠介、本城雄太郎、山本和臣)が、時に屈託なく笑い合い、時に真剣に語り合うその姿に、ハンカチ無しには見られない、と見た人々からはもっぱらの評判だ。
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(劇中でも印象的な焚火を囲みながら話すワンシーン)
 そんな中、我々スタッフには悩むべき懸念点があった。レギュラーメンバーの中で唯一、キャンプロケに白井悠介さんが参加できなかったことである。「7人の絆を確かめにいく」とか大見得を切ってるのに、なんと肝心のロケに7人揃っていないのだ。
 本気?大丈夫?
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(本作のポスター画像 / お気付きの方もいるかもしれないが、白井さんが合成である)
 もちろんごの議論は社内でも繰り返し行われ、テレビ電話で参加する?いっそ公開やめる?などの話合いが二転三転四転・・・。最終的には「白井さんの良さを最大限、いやそれ以上に発揮できる内容に作り上げよう」ということで、6人を優しく見守りながら、大事な場面で彼らに一石を投じる役、名付けて”ストーリーテラー”と呼ばれる現在の形に落ち着いた。 お茶目な笑顔から迫力のある演技、素の部分も含め、存分にご活躍頂くことができたと考えている。
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(収録風景 / 演技力が光る白井さん)
 とはいえ、やっぱりなんだかちょっと引っかかる。皆と同じ空間を過ごす、せめてその疑似体験だけでもしてもらう方法はないだろうか。そこで番組スタッフは考えた。
 「そうだ、ロケ地の空気を持って帰って、白井さんに渡そう。」
 
 
 そう、決意した。
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 (オリジナルの瓶を用意してみる)
 そういうわけで、番組スタッフが空気収集のため、メインのロケ地であるキャンプ場と鍾乳洞を収録以来約半年ぶりに訪れてきた。本記事は、都会で日々仕事に追われる白井さんに、収録の思い出がほのかに香るロケ地の美味しい空気を届けるまでを追う、感動のドキュメントとなっている。
<メインのロケ地・キャンプ場「コモリバ」へ>
 まず、スタッフが訪れたのはメインのロケ地である、「ときたま秘密基地 COMORIVER」だ。ここは埼玉の比企郡にある非常におしゃれなキャンプ場で、グランピングやBBQなどがとても気軽に楽しめる素敵な場所だ。
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(コモリバさんのテント)
 コモリバさんのおすすめポイントのひとつは、都内からでも割と気軽に電車で行けることである。とはいえ、2時間ほどはかかる。乗っている間に、どんどん電車と駅が小さくなっていく。ビルが消え、緑が生い茂る風景が車窓を流れていく。お客さんの数も面白いくらい減っていく。たった少し東京から離れるだけでこんなに違うのか、そんな感慨にふけりながらローカル線に揺られる。天気もよく、もう小旅行気分だ。
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(最後に乗った八高線 / ドアはボタンを押さないと開かないので注意)
 最寄駅のひとつ「明覚」駅に到着。無人駅だ。 キャンプ場までは徒歩30分。うーん、タクシー呼ぶかな、そんなスタッフの前に現れたのは「乗合タクシー」。聞けばなんと、500円でときがわ町内、どこへでも行ってくれるらしい。近くへ行くらしい人と乗り合わせ、キャンプ場へ。とっても便利。
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(乗合タクシー /  ちなみに1本道なので、まあ、歩けなくもない)
 10分ほどで到着!久々に訪れたキャンプ場は、なんだか懐かしいような、毎日見ていたような。お店の人に挨拶をしてから、いざ空気の収集へ向かう。
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(コモリバさんのメインの建物)
 まずはテント横のベンチで。
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  キャンプ場全体の空気をつかまえた。次は川の近くへ移動。
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 木漏れ日が本当に美しい。せせらぎの音まで届けられそうだ。 
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 いったん蓋!
 そしてあのラジオを聞いた、テントの横でもゲット。
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 空気、重ねた!
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  はい、すぐ蓋! 
 テントにあしらわれている旗を見ると、収録のことを思い出す。6人の笑い声が聞こえてくるようだなあ。こんな感じでいいかな。一番いい感じの場所の空気はゲットできたと思う。
 ちなみにポスターを撮影したあたりはここ。撮影当時は本当に暑かった。
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(実は去年10月の大型台風19号で、河原が氾濫してしまったそうです。景色が少し変わってしまったかも、とスタッフさんがおっしゃっていましたが、相変��らず綺麗で静かな場所でした。改めましてお見舞い申し上げます。)
 もちろんこの方、ヤギのヘルマさん(本名)にもご挨拶。
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(ご休憩中のヘルマさん)
 ヘルマさんは劇場版にも出演してくれた、コモリバさんに住んでいるヤギさんだ。雰囲気がどことなく白井さんに似ていることもあり(白いし)、彼得意の形態模写の最終形態なのでは・・・?なんて他メンバーがふざけて「白井悠介」と名付けるシーンが本編に出てくる。そんなわけで本編では実際にヘルマさんが登場するたびに、白井さんが声をあてている。ある意味分身のような存在だ。
 もはや劇場版に欠かせない存在のヘルマさんにも丁重に「このキャンプ場の空気、あなたの中の人に持っていきますね」とお伝えした。すると、わかった、よろしく頼むね、そう言い残すかのように立ち去って行かれた。
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 (お時間頂戴しました・・・ありがとうございます・・・)
 コモリバさんにはカフェが併設されていて、おいしいランチも頂ける。近くに住んでる人は、ランチ利用だけでも訪れるそう。この日は名物のカレーを食べた。スパイスを自分で調合できて、とてもとてもおいしい。
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(奥に見える小瓶たちがスパイス)
 というわけで、コモリバさんでの空気収集は達成!帰り道はまた乗合タクシーに乗って、明覚の駅へ。電車はあまり来ないので駅で30分ほど待ちぼうけ。
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(明覚駅 / 天気がよかったのでぼうっと座っているのも心地よい)
 次に乗り換えた駅でも30分待ちぼうけ。そのまま1時間ほど電車に揺られ、池袋の駅へ。まさかのルミネ池袋の目の前の改札に出て感動。皆さん、コモリバさんへ行った帰りは。劇場版を見に行けということです。
 白井さんに何かできないか、と始めた企画だが、なんだか力いっぱい楽しんでしまった。コモリバさんも含めときがわ町一帯がのどかで素敵な場所なので、ぜひ訪れてみてほしい。
<過酷すぎる鍾乳洞編>
 逆に、大岳鍾乳洞への道のりは本当にきつかった。電車を乗り継いてまずは「武蔵五日市駅」へ。
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(武蔵五日市駅)
 ここからさらにバスに乗って鍾乳洞まで向かう(33個もバス停を通り過ぎた)。ぐんぐんと、躊躇なく山の中に向かっていく。
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(車窓からの1枚)
 なんとか「大岳鍾乳洞入口」に到着!
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 ただ、ここで間違ってはいけない。鍾乳洞自体はまだ先なのである。あくまで鍾乳洞へ向かう険しい山道への入口なのだ。とりあえずいったん空気をゲット。
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(ハートの瓶はちょっとテイストを間違えたかもしれない)
   そこから山道を登る。澄んだ空気が気持ちいい。小川もあった!ここでもちょっとだけ。
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  10分くらい登っただろうか。少し疲れてきた。普段机でじっとしているサラリーマンには正直かなり厳しい傾斜。気分転換にたまに空気をいれてみる。
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 まだか?結構歩いたぞ、と思ったら。あと500Mも…?
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   結局30分くらいかけて、鍾乳洞の受付に到着。この真冬(訪問時は2月初旬)に汗だくである。
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(写真を撮れる顔はめパネルコーナーなど、色々ある)
 さて。お目当ての鍾乳洞。入口はこんな感じだ。
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(注意書きの標識にもあるように、ここまで本当に来られた方は、くれぐれも頭上にはお気を付け下さい)
  ちょっと暗くて怖いかもしれない。鍾乳洞の内部から流れ出る空気で、この時点で気温がかなり低い。 勇気を出して進む。すると温度計がしっかり置いてある。
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 寒!3度って。でも空気自体は澄んでいてとても綺麗な気がするので、ここでもゲット。中には25個ポイントがあるので、①から順に制覇していく。写真だと伝わりにくいが、実は場所によっては天井までの高さが50cmほどしかない。結構ハードだ。そもそも基本的に天井が低い。ちゃんと周り切った声優男子メンバー、改めて偉すぎ。
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 14個目。だいぶ進んできた!
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(ここを含め、すべてのポイントに名前がついている)
  ふむ、パラダイスか・・・。もちろん白井さんに届けたいので空気をゲット。道のりはまだまだ続く。照明がきちんとついているが薄暗いので、ひとりだとやっぱり怖い。とはいえ歩みは止められない。がんがん進む。順調にクリアしていき、ラストの25個目のポイントに到着!
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 これで終わりだ!最後まで回りきった!結局1時間くらいかかってしまった。だが、その分達成感でいっぱいである。最後に出口で空気を詰める。
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 出口は外からの明かりが入り込んで、なんだか神秘的な雰囲気に。
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 外に出ると、鍾乳洞内が本当に寒かった気温差で、暖かい・・・。なんだか空気もきらきらと光り輝いて見える。これは自信を持って白井さんに届けたい。万感の思いで、ついに蓋をしめた。
白井さん、待っていてください。
  <ロケ地の空気です> 
 いざ、当日。初日舞台挨拶開始前に少しだけお時間を頂いて、白井さんに空気だけでも味わってほしい、というスタッフの想いを説明すると、とても真剣に聞いてくれた。
白井さん「え、わざわざロケ地まで・・・?すごいですね。ありがとうございます」
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(遠かったって聞いてますよ、大変でしたね、とねぎらってくれる白井さん)
 スタッフの想いも伝わったところで、早速あけてもらうことに。
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 スタッフ「どうぞ、こちらです。まず鍾乳洞の空気です。どうですか?」
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白井さん「そうですね・・・ふむ。あ!心なしか冷たいような。寒かったんですか?」
スタッフ「そうです、寒かったです。伝わりますか?」
白井さん「わかります。それ、この瓶の中からすごく感じます。寒くて、ちょっと厳しい。まさに声優人生的な感じが。ということは、やっぱり僕が意図した通り、6人には山あり谷ありの道のりを味わってもらえたに違いないですね」
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(劇中ではメンバーに鍾乳洞に挑戦するよう指示した白井さん。狙い通りになったことを改めて確信し、満足気な表情に)
スタッフ「続いてはキャンプロケの・・・」
白井さん「この瓶ですね。へー!さわやかな感じですね!こんなに素敵な空気の中、アウトドアを皆で。いいですね。川のせせらぎや、6人のざわめきまで遠くに感じますよ」
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(もう一方の瓶も開封し、6人を想像して笑みがこぼれる白井さん)
スタッフ「少しでも他のロケ地の雰囲気、届いたでしょうか」
白井さん「そうですね、正直ここまで満喫できるなんて。さわやかな川べりの雰囲気、それに緑の感じが伝わってきました。やっぱり本物は違いますね。」
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(空気から感じたことを身振りも交えて伝えてくれる白井さん)
スタッフ「次回は、絶対に白井さんも行きましょう」
白井さん「ぜひそうしたいです。このメンバーだとたぶん僕が一番アウトドア派なんじゃないですか?リベンジするときは僕が皆のこと引っ張っていきますよ。 これからも7人で他にも色んなチャレンジ、していきたいですね」
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(番組の未来のことも見据えながら話す白井さん)
 最後は少しだけ真剣な表情になって、そんなことを語ってくれた。次回は絶対にみんなでロケしましょう。なんでもやりたいこと、リクエストしてください。全力で叶えます。
 もちろん劇場版の本編も見所満点なので、ぜひ映画館へ見に行ってほしい。映画館の大画面と音響は、これまでのテレビとはまた全然違った魅力があるはず。劇場でお待ちしております。
 そんなわけで、白井さんへロケ地の空気を届ける企画、これにて完!おわり!
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  最後に、真面目にやることに耐えられず途中でちょっとにやついちゃった白井さんのオフショット。
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本当におわり!ここまで読んで頂きありがとうございました。
<「劇場版 声優男子ですが・・・?」絶賛公開中!>
上映場所や時間はこちらから▼
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=seiyudanshi
特設サイト▼
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=seiyudanshi
公式twitter▼
https://twitter.com/seiyu_danshi
<ロケ地への詳細>
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◉ときたま秘密基地 COMORIVER https://comoriver.com
◉玉川温泉 https://tamagawa-onsen.com
◉大岳鍾乳洞 https://city.akiruno.tokyo.jp/0000001132.html
◉ふれあいの里 たまがわ https://town.tokigawa.lg.jp/forms/info/info.aspx?info_id=11566
◉風布にじます釣堀センター https://nijimasuya.com
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sorairono-neko · 4 years
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ちゃんとして
 長谷津でのあの楽しい日々、親密な時間にくらべれば、別々に暮らすサンクトペテルブルクでの毎日はつまらないものにちがいない。ヴィクトルはそう考えていた。せっかく故郷に勇利を連れてきたというのに、同居というふうにできなかった自分を、彼はふがいないと思った。まったくあきれる。しかし一方で、自身の意見を押し通してしまうどうしようもない勇利をいとおしくも感じていた。これが勝生勇利のふしぎなところなのだ。身勝手なのに魅せられ、惹きつけられてしまうのである。これは自分に問題があるのか、それとも勇利になのかと迷うところだ。何にせよ、勇利は魅力的で、ヴィクトルは彼のきめたことを信じていた。 「一週間だよ」  出発前、ヴィクトルは勇利に丁寧に説明した。 「一週間で戻るから」 「一週間だね」  勇利はものわかりよくうなずいた。 「ごめんね、勇利。きみのスケートをちゃんと見たいのに」 「仕事なんだから仕方ないよ」 「おまえのコーチという立場も仕事だ」 「ぼくは大丈夫だよ」  ヴィクトルは黙っていた。 「なに? 行かないでって泣いてすがって欲しいの?」 「ああ、そうだ。置いていくなんてひどいとなじって欲しい」 「ヴィクトル……」  勇利は笑いだし、ヴィクトルと額を合わせて目をのぞきこんだ。 「ちゃんとして」 「わかったよ」  それでヴィクトルは、一週間ほどモスクワへ行っていたのだけれど、本当につまらない、いやになるような仕事だった。特別苦しめられたわけではない。彼は、勇利がいなければ全部取るに足りないと感じるのである。一週間経って、ようやく勇利のところへ戻れると思ったときはこころからほっとした。勇利に会いたくてたまらなかったので、家へは帰らず、スーツ姿のままリンクへ行った。勇利はちょうどすべっているところで、ヴィクトルはすぐにでも抱きしめたかったけれど、彼のスケートを見るのもすばらしく幸福でうれしく、うっとりとなったので、リンクサイドからまぶたをほそめて夢中でみつめていた。  ひととおり練習が終わり、ヤコフに何か声をかけられたのにうなずくと、勇利は、まっすぐヴィクトルのほうへやってきた。すべっている最中から気がついていたらしい。 「勇利!」  ヴィクトルはおおげさなほどはしゃいで両手をひろげ、フェンス越しに身を乗り出し、勇利を抱擁しようとした。しかし勇利はその腕を拒絶し、ヴィクトルをにらんで抗議した。 「もう、ヴィクトル、ちゃんとして」 「だから、ちゃんと勇利を抱きしめようと……」 「そうじゃない。いまは練習中なんだよ。みんなに示しがつかなくなるようなことはやめてって言ってるんだよ」 「勇利は一週間ぶりに俺に会えてうれしくないのか?」 「それとこれとは話が別です」  まったく勇利は冷静だ。ヴィクトルはつまらなかったけれど、すこしおもしろくもあった。勇利が内心では大喜びしており、うれしくてたまらないと感じていることはわかっていた。だって彼の瞳は星のようにきらきらと輝いているし、口元も我慢できないというようにほころんでいるし、何より、目つきがとろけて、ヴィクトル大好き、貴方しか見えない、と訴えているのだ。それなのにこんな態度でいられるのがふしぎだし、一生懸命気持ちをおさえて、公共の場では落ち着いていようとしているのを見ると、どうしようもなくかわいいと思えた。  勇利はリンクから上がると、靴を履き替え、更衣室へ行った。ヴィクトルもついていき、扉が閉まると、うずうずしながら彼の前に立った。 「もう抱きしめていいかい?」  ヴィクトルは声をはずませて尋ねた。勇利はちらとヴィクトルを見ると、頬を赤くして拗ねたような顔をし、それからちいさくうなずいた。ヴィクトルはさっと勇利を引き寄せ、夢中で抱きしめて頬をすり寄せた。 「勇利、会いたかった」 「うん……」 「勇利は?」 「うん……」  勇利はヴィクトルの背に手をまわし、まぶたを閉ざしてじっとしていた。ヴィクトルは彼の感激したような、それでいて物静かな表情を見て、かわいいな、とまた思った。 「キスしていい?」 「だめ」  勇利が目をひらいてヴィクトルをにらんだ。 「そういうのはちゃんとして」 「わかったよ……」  ヴィクトルが溜息をついてしぶしぶうなずくと、勇利はちょっと考え、「おでこならいいよ」と言った。ヴィクトルははしゃいで彼の額にちゅっとキスした。 「それにしても、ヴィクトル……」 「なんだい?」  ヴィクトルは勇利を見るだけでもうれしかったので、熱心に彼をみつめていた。ああ、よく一週間もこの子を見ずにいられたものだと、ヴィクトルは自分に感心し、同時にあきれた。 「仕事が終わったら、家に帰ってゆっくりやすんでって言ったでしょ」 「そうだったかな」 「もう、すぐに忘れる……」  勇利がぶつぶつ言った。べつに忘れていたわけではない。そのとおりにするつもりがなかっただけだ。 「いますぐ帰って」 「勇利、信じられない。どうしてそんなつめたいことが言えるんだ?」 「疲れてるみたいだよ」  勇利がヴィクトルの顔をじっと見た。それは確かにそのとおりだった。いくら陽気でなんでも楽しむたちのヴィクトルでも、めんどうな仕事というものはいやだし、気疲れもする。 「やすんで。寝て」 「勇利といたい」 「ヴィクトル、ちゃんとして」  ヴィクトルはまた溜息をついた。 「わかったよ……」  勇利はヴィクトルから離れると、自分のロッカーを開けてごそごそと荷物を探り、すぐにヴィクトルのほうを向いた。勇利が何か渡そうとしたので、ヴィクトルは手を差し出した。てのひらにのせられたのは鍵だった。 「さきに帰ってて」 「……勇利の部屋?」 「そうだよ」 「…………」 「貸すだけだよ。ぼくのだから、ちゃんと返して」  ヴィクトルは感激してものが言えなくなった。勇利の部屋の鍵……それを勇利が自分から渡してくれた……。あまりにうれしくて、本当に口が利けなかった。愛する相手の鍵を受け取るというのは、なんとすてきで幸福なことなのか。 「なんなの? ヴィクトルがぼくといたいって言うから渡してるのに……」  黙りこんだヴィクトルをどう思ったのか、勇利は気恥ずかしそうに、拗ねた様子を見せた。 「ぼくの部屋がいやなら、べつに……」 「いやじゃない!」  勇利が鍵を取り返そうとしたので、ヴィクトルはさっと手を握りこみ、勢いよく首を振った。 「ぜんぜんいやじゃない!」 「ちょっと……声が大きい……」 「いやじゃないよ、勇利! うれしいよ!」 「大きいって言ってるでしょ」  勇利はヴィクトルに後ろを向かせると、背中に手を当てて更衣室から押し出した。 「早く帰って。ゆっくり寝て。おなかすいてるなら、うちにあるものはなに食べてもいいから」 「勇利、そんなふうに俺を追い出して……」  これでいったんお別れしなければならないのはさびしかったけれど、勇利の家に帰れるのはたまらなくうれしかったので、ヴィクトルは押されるままに更衣室をあとにし、廊下を歩いて、クラブから出た。 「ほら、帰って。どんどん帰って。よく寝て。本当に顔色よくないよ」 「勇利は俺と一緒にいたくないのか?」  ヴィクトルはおもしろがって尋ねた。 「いいから、もう……、ちゃんとして」  ヴィクトルが勇利のほうを向くと、彼はちょっとためらってうつむき、それから赤い顔を上げてささやくように言った。 「終わったら走って帰るから……」 「…………」 「だからほんとに……ちゃんとしてて」  愛する勇利がたまらなくかわいらしく、ヴィクトルは魂がふるえるほどだったので、彼の言うとおり、「ちゃんとする」とこころに誓った。  勇利の部屋には何度か来たことがあるけれど、それほどひんぱんではない。しかし、どこに何があるかはだいたいわかっていた。とりあえずシャワーを使わせてもらおうと浴室へ行くと、そこには新しいジャージの上下と下着が置いてあり、サイズもぴったりヴィクトルのものだった。ヴィクトルはそれだけで胸がうずくほど勇利をいとおしく感じ、いますぐクラブへ戻って抱きしめたいと思った。だが、そうすると勇利の「ちゃんとして」に反するので我慢して、おとなしくシャワーを浴び、彼が支度してくれた衣服を身につけた。それだけでほっとしたし、気持ちがくつろぎ、楽になった。  空腹だったので、ヴィクトルは次に台所へ行った。冷蔵庫を開けると豚の生姜焼きがあって、ほ��にもおひたしやサラダが入っていた。鍋にはみそ汁と煮豆がつくってあり、白いごはんが炊いてあった。どう見ても残り物ではない。ゆうべの勇利の夕食ではあるのだろうけれど、ひとりぶん多めにつくったという感じである。ヴィクトルは胸に手を当てて目を閉じ、感激にしばらくじっとしていた。  あたためられるものはあたためて、ひとりで食事をした。美味しかった。ヴィクトルはひとくちひとくちを噛みしめた。ここ数日で食べたどの料理よりも、この味がいいと思った。いや──いままで食べたどの料理よりも……。勇利、好きだ。結婚しよう。 「何も俺は、食事や着替えが用意されるからおまえと結婚したいわけじゃないんだ。俺だってつくるぞ。ちゃんとする。勇利に食べてもらいたい。勇利はきっと、『ヴィクトルでも料理するんだ』と言うだろうな。いままではしなかったがね。これは薄味で美味しい。なんていうんだったかな? オシタシ……オヒタシ……。そうそう、俺は洗濯が得意だ。家のことも立派にできるぞ。このあいだ、やってみたら、取り入れた衣服が皺だらけだったけど、あれはどういうことだろうな」  ヴィクトルはまんぷくになると、使った食器を洗い、洗面所へ行った。そこには新しい歯ブラシが出してあって、ヴィクトルのためというのがあきらかだった。ヴィクトルはまた感激して胸に手を当て、その歯ブラシで歯をみがいた。勇利のところの歯磨き粉の味を初めて知った。勇利はこういうのが好きなのか。  すっきりさっぱりし、腹がみちたりると、急激な眠気を感じた。ヴィクトルは勇利のベッドへ行き、ふとんにもぐりこんだ。勇利の匂いがした。ベッドは自分のものよりかたいし、狭いし、快適ではないはずなのに、いままででいちばんやすらかな眠りにつけそうな気がした。勇利はいつもここで寝てるんだな、と思ったときには、もう寝息をたてていた。  目がさめたのは物音がしたからで、それは騒々しくはなく、生活的な、ここちよい、いつまでも聞いていたいような音だった。ヴィクトルはうっすらとまぶたをひらいて、音のするほうに顔を向けた。台所に勇利がいて、何かを刻んだり、鍋をのぞいたり、調味料を振りかけたり、食材をまぜ合わせたりしていた。よい匂いがし、空腹を感じて、いまがもう夜であることをヴィクトルは知った。まだすこし眠かったので、彼はうとうとし続けたけれど、そのあいだじゅう、勇利のたてるすてきな音を聞いていた。 「……ヴィクトル」  やがて勇利がそばへ来て、ベッドに浅く腰掛け、ヴィクトルの顔をのぞきこんだ。 「まだ眠い? ごはんできたけど……」 「ああ……」  ヴィクトルはうっとりした目つきで勇利を見上げ、静かに吐息をついた。 「起きるよ……」 「眠いなら寝てていいよ。そんなに遅い時間じゃない」 「勇利がキスしてくれたらぱっと目がさめるんだが……」 「まだ寝ぼけてるみたいだね」  勇利が立っていってしまったので、ヴィクトルは身体を起こして髪をかき上げた。洗面所へ行き、顔を洗って戻ってくると、ちいさな食卓に夕食が並んで湯気をたてていた。夕飯は肉じゃがだった。ヴィクトルは胸に手を当てた。 「何してるの?」 「感激してる」 「座って」 「…………」 「ヴィクトル、ちゃんとして」 「ちゃんとしてるさ……」  ちゃんと感激しているのだ。勇利は何もわかっていない。 「イタダキマス」 「ちょっと甘めかなあと思うんだけど……」 「生姜焼きも美味しかった。俺のためにつくってくれたのかい?」  勇利はヴィクトルをちらと見ただけで答えなかった。ああ、かわいい。 「勇利、これ、フクースナだよ」 「甘いよ。次は気をつける」  次。次があるのか。もちろんそうだ。俺と勇利だからな……。 「俺も勇利に料理を食べてもらいたいよ」 「ヴィクトルでも料理するんだ」  ヴィクトルが笑いだすと、勇利はきょとんとして、「なんで笑うの?」とふしぎそうに尋ねた。 「いや、なんでもないんだ……。勇利、歯磨き粉、あれ、勇利の好きな味なのかい?」 「なに?」 「歯磨き粉だよ」 「安いから買ったやつ」 「…………」  ヴィクトルはますます可笑しくなってさらに笑ってしまった。勇利は「なんなの」とぱちぱち瞬いた。 「モスクワ、楽しかった?」 「楽しいわけないだろう」 「そうなの?」 「ずっと勇利のプログラムのことを考えていた。振り付けとか、衣装とか」 「ヴィクトル……ちゃんとして……」 「してるさ……」  勇利はくすくす笑った。ヴィクトルは彼にすこし顔を近づけた。 「勇利はどうしてた?」 「ぼくはちゃんとしてたよ。ヴィクトルとちがって」 「俺だってちゃんとしてる」 「ヴィクトルが鬼みたいなメニュー残していくから、それをやって……あと動画撮った」 「もらってない」 「帰ってきたら見せようと思ってたんだよ」 「ヴィクトル、愛してる、仕事つまらないだろうけどがんばって、っていう動画も受け取ってない」 「そんなの撮ってません」  勇利は疑わしそうに、「本当にそんなのが欲しいの?」と尋ねた。 「欲しいさ……」 「変なの」 「勇利、着替えも用意してくれたんだね。このジャージ、ダサいけどうれしかったよ」 「着なくてもいいんだよ」  勇利がヴィクトルをにらんだ。 「着なかったら裸だ。勇利、俺が裸でいると怒るじゃないか」 「ちゃんとしないからだよ」 「どっちなんだ?」  ヴィクトルは可笑しくてたまらなかった。幸福だった。今夜はこのままずっと一緒にいたい。そう言ったら彼はなんと答えるだろう? ちゃんとして、とまた叱られるだろうか。  勇利はにんじんとごはんを口に入れると、もぐもぐと行儀よく咀嚼して、ごくんとのみこんだ。それからヴィクトルをじっと見て、ちいさな声で尋ねた。 「……帰っちゃう?」 「…………」  ヴィクトルは胸を押さえてうつむいた。感激どころではなかった。ただでさえまだここにいたいのに、そんな目で、そんなことを言われたら……。 「……帰るわけないだろ」 「そう」 「勇利、一緒にお風呂に入ろう」 「入らない」  勢いこんで言ったヴィクトルに、勇利はつめたかった。照れてるんだな、とヴィクトルは思った。それにしても肉じゃがが美味しい。フクースナだ。この青菜の煮浸しも……。夢中で食べていると、ふと視線を感じて顔を上げた。勇利が星のように輝くうつくしい瞳でヴィクトルをみつめていた。ヴィクトルはどきっとした。 「……なんだい?」 「ううん、べつに」 「べつにっていう目つきじゃないよ」 「ヴィクトルがいるなあ、と思って」 「え?」 「帰ってきたんだなあ、と思って」  ヴィクトルははしゃいで身を乗り出した。 「会えてうれしい?」 「うん」  勇利はにこっと笑って青菜を口に入れた。ヴィクトルはもう倒れそうだった。勇利、なんでそういうことを言うんだ……抱き寄せてキスできるときに言ってくれ……いまそうしたら、「ちゃんとして」って怒るんだろ? 「……勇利。やっぱり一緒にお風呂に入るぞ」 「えぇ……」 「えぇ、じゃない。ちゃんとしてくれ」 「何を?」  無邪気に問い返されて、ヴィクトルは何も言えなくなってしまった。俺はなんなんだ、と思った。  結局勇利とお風呂に入れないのかと思っていたら、食事のあと、彼はヴィクトルと一緒に脱衣所にやってきて、服を脱ぎ始めた。 「勇利……」 「なに? 一緒に入るんでしょ?」 「…………」  ヴィクトルは勇利を抱いて湯船につかり、勇利はヴィクトルの胸にもたれて、あたたまっているあいだ、「ヴィクトル・ニキフォロフの過去プログラムの意外性と進化する技術の融合」について語ってくれた。おもしろかった。ヴィクトルが勇利の髪を洗ってやっているあいだも、彼はずっと話していた。 「勇利、目と口を閉じて。流すよ」 「あ、うん」  もう一度湯船につかると、勇利は「あ」と気がついたように言った。 「ぼくがヴィクトルをねぎらうべきだった……髪を洗ってあげればよかった」 「もう洗ったよ」 「もう、そういうのちゃんと言ってよ……」  勇利はそれで決心したらしく、風呂から上がると、ベッドの上に膝立ちになり、ドライヤーを持って自分のすぐ前を示した。 「座って」 「乾かしてくれるのかい?」  勇利は黙ってうなずいた。ヴィクトルは大喜びで、うきうきしながら彼の前に座った。勇利がドライヤーを動かしながら、左手をかるく頭部に添えてさらりと髪を乾かしていった。ヴィクトルは勇利の手つきがひどくここちよく、たまらない気持ちになったので、何度も彼を振り返って、あどけない、おとなしやかな顔を見た。そのたびに勇利は笑ってヴィクトルの頭を前に向かせた。 「ヴィクトル、こっちを見ないで」 「見ちゃうんだよ。自然と。俺の意思じゃないんだ。しかしある意味では俺の意思なんだ」 「ヴィクトル」 「勇利、キスしていいかい?」 「ヴィクトル、ちゃんとして」 「ちゃんとしよう。ちゃんとキスしよう」 「ヴィクトル、ちゃんとして」 「……わかった」  ヴィクトルはしぶしぶ前を向いた。ドライヤーの音にまぎれて、勇利の鼻歌が聞こえた。気のせいかと思ったけれど、耳を澄ませたところ、どうやら本当のようだ。それはヴィクトルのプログラム曲で、勇利はよい気持ちそうにその旋律をふんわりと歌いながら、とても楽しそうだった。ヴィクトルはやっぱりキスしたかったけれど、振り返ったら勇利が歌いやめてしまうのがわかっていたので我慢した。ちゃんとしよう……。 「はい、できた」 「勇利の髪は俺が乾かす」 「いいよ、もう、ほとんど乾いたし」 「だめだ」  ヴィクトルが黒髪をふわふわと乾かしているあいだ、勇利はヴィクトルとはちがって、一度も振り返らなかった。しかし鼻歌は続いていて、さっきはフリースケーティングの曲だったのが、ショートプログラムに変わっていた。  ヴィクトルがドライヤーをとめると、勇利が「よし、できあがり」と言った。ヴィクトルは可笑しくて笑ってしまった。 「なに?」 「いや……」 「じゃあ寝よ」 「え? もう寝るの?」  ヴィクトルは表情で不服を訴えた。勇利はぱちりと瞬いた。 「まだ眠くない?」 「…………」 「じゃあヴィクトルは何がしたいの?」 「何って……」  結局、早々に眠ることになった。まったく健全で健康だ。明日は休みなのに、と思った。まあ、明日休みだからいいか、とも思った。 「眠るときに何か着ているのは落ち着かない。勇利が支度してくれたのがうれしくて、昼間はこのジャージを着てたけどね」 「それは、夜は脱いで寝たいっていう意味?」 「そうだ」 「だめ」  勇利はすばやく却下したけれど、ヴィクトルは聞こえないふりをして、平然と衣服を脱ぎ始めた。 「ちょっとヴィクトル」 「やっぱり何かにへだてられて寝るっていうのは窮屈だよ。勇利も脱いでみたら? このよさがわかる」 「ヴィクトル、服を着て」 「下着は脱がないよ。それでいいだろ?」 「ヴィクトル」 「勇利のベッドってかたいよね。いいマットレスを買ってあげよう」 「ヴィクトル!」  勇利はジャージを拾い上げ、ヴィクトルの胸に押し���けて厳しく言った。 「ちゃんとしてよ!」  怒る勇利がたまらなくかわいかった。 「ちゃんとしてるよ」 「どこが!?」 「ちゃんとしてる。すごくしてる。ちゃんと勇利と一緒にいる時間をかみしめて、幸福を感じてる」 「ぼくが言ってるのはそういうことじゃないんだよ!」  勇利が激怒しているので、ヴィクトルはついさっき脱いだものを、もう一度、しぶしぶ身に着けた。仕方がない。愛する勇利のためだ。 「あかり消すよ。ヴィクトル、ベッドに入って」 「俺が消すよ」 「だめ。暗くなると見えないから、ヴィクトルはベッドにつまずく」 「大丈夫さ」 「大丈夫じゃない。わかってるんだよ」 「なぜ?」 「ぼくが最初の数日そうだったから」  ヴィクトルが笑っているあいだに勇利はあかりを消し、ベッドに戻ってきた。つまずいたりはしなかった。リモコンで消せる電灯を買ってあげたいとヴィクトルは思った。しかし、壁際でスイッチを押して、見事な勘で戻ってき、するりとベッドに入る勇利はたまらなくかわゆい。  勇利は、彼のほうに身体を横にしているヴィクトルの胸におさまった。どうやら背を向けているようだ。こっちを向いて抱きついてくれればいいのにとヴィクトルは思った。抱き寄せたら怒られるだろうか? ちゃんとして、ちゃんと寝て、と言われるかもしれない。ヴィクトルはちゃんとしているのだ。いつだってちゃんとしている。誠実に、こころから勇利を愛している。 「ヴィクトル……」  勇利がつぶやき、ヴィクトルの手にそっとふれた。ヴィクトルはどきっとした。その手つきのひそやかなこと。ひかえめなこと。それでいて愛を感じさせること。そういうことをすると襲うぞ、とヴィクトルは思った。 「ちゃんとして……」  勇利は吐息まじりにぽつんと言った。何を? と考える同時に、彼はヴィクトルの腕をみずからの身体に巻きつけるようにし、抱きしめられるかたちに整えた。ちゃんとこうして……。  ヴィクトルの頭に血が上った。 「……こ、こうかい?」 「ちがうよ。だめ。右手はこう。左手はここ……」  勇利はヴィクトルの手を、自分がいちばん落ち着くらしい位置にきちんとあてがった。ヴィクトルはたまらなくうれしかったけれど、かえって緊張してしまって、ぎくしゃくと勇利のしなやかな身体を抱いた。 「ヴィクトル、あのね……」 「わかってる。わかってるよ。ちゃんとする。ちゃんとするさ……」 「いいんだよ。手の位置はいいの。これで。でも、ちゃんとして……」 「何を?」  勇利の優しい匂いがした。なめらかな、安心する、穏やかであたたかい匂いだった。ヴィクトルに愛を与える、ゆたかな、愛情深い匂いだ。ヴィクトルはそれでますますのぼせ上がってしまった。 「こう? こうかい? もしかして息がくすぐったい? 勇利……」 「ちがうんだよ。息はいいから。それでいいから。このままでいいの。ただ、ヴィクトル……」  勇利は清楚な声で、甘えるように言った。 「ちゃんと、ぎゅってして……」  その声は、青い闇の中から、まっすぐヴィクトルの耳に届いた。ヴィクトルは驚き、夢中になり、勇利をぎゅうっと抱きしめた。 「こうかい……?」 「……強すぎるよ」  勇利はくすっと笑ったけれど、やめて欲しいとは言わなかった。ヴィクトルは彼の首筋にくちびるを押しつけ、彼の好きな手の位置でしっかりと抱いた。 「……おやすみ、ヴィクトル」  勇利が眠そうにつぶやいた。ヴィクトルは彼の耳にキスし、低い声で、熱心にささやいた。 「明日になったら、ベッドの中で、別の意味で『ちゃんとする』よ……」  勇利が笑いだした。 「ヴィクトルは、ちゃんとえっちだね」 「明日は衣服を脱いでベッドに入っても怒らないだろ?」
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