【コスチューム】覆面剣闘士
目次
▼【グラクロ】【コスチューム】覆面剣闘士の基本情報
▼【グラクロ】【コスチューム】覆面剣闘士のステータス
▼【グラクロ】【コスチューム】覆面剣闘士の着用可能キャラ
▼【グラクロ】【コスチューム】覆面剣闘士の評価
【コスチューム】覆面剣闘士の基本情報
部位
衣装
レアリティ
UR
入手方法
キャラ進化
価格
―
【コスチューム】覆面剣闘士のステータス
防御力+180
クリティカル耐性+4%
【コスチューム】覆面剣闘士の着用可能キャラ
【チャンピオン】グリアモール
【冒険家】グリアモール
【鉄壁の騎士】グリアモール
【聖戦の戦士】グリアモール
【コスチューム】覆面剣闘士の評価
グリアモールの進化衣装
チャンピオン、グリアモールをURに進化させると着用しているコスチューム。覆面とネーミングがついているだけあって、パッと見ただけではグリアモールとは分からないよう…
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166 名無しさん@涙目です。(庭) [US] sage ▼ New! 2024/07/15(月) 00:07:31.95 ID:VwcOuZtY0 [1回目]
>>157
健全とは何かって問題は置いといて、当時の大名行列はレンタル式になっていた。
井伊直弼が桜田門の変で襲われたのは正確には大名行列ではなく、あくまでも大老が自分の屋敷から江戸城に登城する
「通勤中」に襲われたんだが、それでも籠周りを固める護衛の中の半数ぐらいはレンタルの
「武士の格好をした行列の専門業者」だった。
まあコイツらは元々行列の中でも戦闘要員では無い荷物持ちの立場だから、襲撃犯側も抵抗戦力とは考えていなかっただろう。
しかし本来の井伊家の家臣達も当日冬が降っていた事を理由に刀がダメに成らないように布袋で覆って
スグには抜刀出来ない状態にしてしまっていた。
この中から結構な数がそのまま戦わずに井伊家の屋敷に逃げ帰ってしまっている。
面白いのは井伊直弼の護衛として臨時?に雇われていた剣客が2人?(いや1人は井伊家の正式な家来だったかも?)居て
コイツらは大善戦して襲撃者達を複数人返り討ちにしている。
ただ如何せん最初に襲撃の合図係のリーダー格の奴が
「襲撃開始の合図として自分が籠の中の井伊直弼を狙い撃つ。その銃声を合図として一斉に襲撃しろ」と命令していて、
その最初の銃撃が籠の中の井伊直弼に当たっていて、たとえ襲撃が失敗しても井伊直弼は助からなかっただろうと
研究されている。
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P5Rクリアしたよ〜感想
どうも、好ヲです。ゲームパスから出る寸前にペルソナ5ロイヤル、三学期までクリアしました!
間に合って良かった!
これでペルソナ5タクティカを迎えられます。
以下、長~い感想です。批判的な意見やネタバレもありますので、ご注意ください。
【絶対に直して欲しいところ】
これは新宿と海のイベントですね。何度でも言いますが、同性愛者を同意のない未成年を追いかける存在として描くのは紛れもない偏見の再生産だと思います。
実際に生活している同性愛者は社会的に不利な状況に置かれているので、創作物で偏見を増長させてもいいかどうか、アトラスとセガは真剣に考えてください。
レッテルや理不尽に苦しめられる主人公たちを鼓舞する物語において、現実社会でマイノリティに属する人々への偏見や嫌悪を再生産するのは筋が通らないのでは。
P5R海外版の時に「アトラスは問題を理解している」って海外の担当者が言ってましたが、日本版リマスターで該当部分に訂正や注釈が全く入らなかった事実がありますので、海外に良い顔してるだけで、性的マイノリティへの差別を根本的に止める気がないのではと私は懸念を抱いています。
日本でも当事者が生活していることを忘れないでください。
是非とも、今後の作品では差別表現をギャグとして使わない。差別表現がストーリーに必要な場合には、注釈やフォローをしっかりと行っていただきたいです。
悪事を描いても良いけど、それはきちんと悪い事として示さないと。ただの犯罪教唆や差別行為になってしまいます。
また差別や偏見は私を含め、誰もがいつでも行なってしまう可能性があるため、常に気をつけていかねばならないことです。
現在もゲーマーの集まりが人権を尊重してると言い切れないのは、インターネットを検索すれば直ぐに分かりますし。
【引っかかった点】
①冒頭の“この物語はフィクションである。
作中の如何なる人物、思想、事象も、全て紛れもなく、貴君の現実に存在する人物、思想、事象とは無関係だ。以上のことに同意した者にのみ、このゲームに参加する権利がある。”で、実際に同意するか否かの選択肢が出るわけなんですが……
ここにゲーム性いるか?
貴重な注釈部分じゃないですか。
ちなみに同意しないと“これから起こることは全て現実である……貴君は、そう認識するということだな?ならば残念だが、このゲームに参加させるわけにはいかぬな。お帰りいただこう”と言われてタイトル画面に戻されます。
同意するとゲームが始まるのですが、上記の通り同性愛者への差別表現はあるわ、地名や観光地はあるわ、パロディはあるわ、コラボ商品のじゃがりこ はあるわ、現実に即したクイズはあるわ で何がしたかったの感が凄かったですね。
ゲームの開始を止めるくらいの同意確認って、マルチプレイや個人情報の取り扱いに関しての注意喚起やプライバシーポリシーを公開するのが主じゃないですか。
注釈部分って、フィクションなのかノンフィクションかの明示、オートセーブの案内、明滅パターンによる身体への影響など、ゲームを遊ぶ上でプレイヤーに提供しなきゃいけない大事な情報を載せるとこじゃないですか。
ここにゲーム性いるか…?と、モヤモヤしてます。
②セクシャルハラスメント的な場面がちらほら存在する。
P4Gのような明確な覗きシーン(性犯罪)は無かったです!良かった!当たり前だけど!
ただ、お色気シーンがハラスメント的なのがチラホラ。
フタバ・パレスのアニメで汗だくの怪盗団女子の夏制服から下着が透けて見える……だけなら「プレイヤーへのサービスシーンね」でギリギリ済むんですけど、何で怪盗団男子メンバー全員にガン見させるかな。
しかもこれモルガナカーの狭い中、外は灼熱の砂漠で逃げ場無い状況ですからね。最後に女子が怒鳴って終わってますが、それでは誤魔化しきれない怖いシーンだと思います。
あとはシドウ・パレスの女好き旧華族に招待状もらうイベントかな。ターゲットがプールサイドに水着で居ると。水着を着て近付こう……ここまでなら作戦として分かるんですよ。
水着着るの女子だけ!俺たちは防御力高そうな怪盗服を着たまま、ちょっと後ろで成り行きを見守るだけ!周りの認知人間もバーテンダー以外は水着なのに!せめて着替える面倒臭さくらいは共有しようぜ!
セーフルームで竜司と会話したら「この作戦どうだった?」って聞かれたので「最悪だった」って答えたんですけど、「事前に(女子たちへ)土下座しといた」って返ってきます、が、
このセーフルーム会話、作戦を肯定する選択肢もあります。
サービスシーンを入れること自体に関しては自由なんですが、サービスシーンにハラスメント要素が含まれるのはマズイと思います。構図が不均衡過ぎねぇ?
ヤバい表現だって分かってやってるんならともかく、最後ギャグシーンに落とし込むからな……「面白いでしょう?」って言われても、抵抗できない状況や不均衡なサービスシーンを見せられたら「えっ、大丈夫なのこれ? アトラスは大丈夫だと思ってんだ、これ」って私は引いてました。
和やかな雰囲気で終わりたいんだったら、和やかなサービスシーンを作って!
なんかこう…同性愛者の表現やゲームの注釈部分もそうなんですけど、「ふざけてはいけない所でふざけている」のが引っかかりますね。
【良かった点】
①セーフルーム&待合室
ダンジョン内にセーブポイントあるの助かりますね!しかも、セーフルーム同士でファストトラベルできます。この機能とXBOXseriesX/Sのクイックレジューム(中断機能)を組み合わせれば実質どこでも中断できる!
欲を言えば、各セーフルームにベルベットルームの扉を付けてくれると助かります。メニュー開いて選択していくの面倒なんです。
②バトル画面のUI
各コマンドがボタン対応してるの、覚えたら即座に行動できるので良かったです。昨今のコントローラー、いっぱいボタンあるもんね。
操作しているキャラクターの周りを集中線の様に囲うのも、分かりやすいなぁ。P4Gだと何故か主人公と陽介を間違えてたので……
③音楽
大人っぽくて格好いい曲が多い。オタカラ獲りに行く時のと、三学期・パレスのI Believeが好きです。番外になりますが、スマブラスペシャルでの街探索アレンジも気に入ってます。
④通学時間や(川上先生コープMAXなら)探索後に行動できる
自分の人間パラメーター伸ばすの結構大変なんですけど、空き時間を読書に利用できるのが便利でした。放課後と夜の行動に影響しないのが有り難い。ちょっと仲間のコープはおろそかになりがちだったんですが、おかげさまでパーフェクトヒューマンに。
先生コープMAXでダンジョン後も行動できるの画期的…!その他も先生は時間を有効的に使うサポートを全力でしてくれるので、本当に助かりました!
MAX後もお金払いたかったな……教師と生徒間で個人的な金銭のやり取りがあるのはいかんけど、家事労働に正当な対価を払いたい……わざわざ来てもらってるし。
⑤戦闘中にメンバー切替(東郷さんコープ)
これも便利だった……!
今作、属性が増えたから魔法いっぱい持ってないと1MORE取りづらいんですよ。ジョーカーだけだと押し切れない(無属性相手だと手が足りなかったり)ので、助けてモナちゃん〜とか春先輩〜とか呼べて良かったですね。プリンパ→サイダインが強かった。
MAXになるとジョーカー以外のメンバー同士で交代できるので非常に助かりました!ありがとう東郷キングダム!
⑥瞬殺(竜司コープ)
これが無かったらメメントス最下層までやっていけなかった。ありがとう、もっちゃん(我が家での竜司のあだ名)
⑦ストーリーの根っこの部分
レッテルを貼られ隅に追いやられた若者達が不条理な社会や大人に反旗を翻す。このテーマで周辺だけの話に留まらず、政治までキチンと話を持っていったのは良かったです。
一方、より大物を狙っていく事で置いていかれる身近な理不尽に対してはメメントスで拾っていって、忘れない様にしたのも良い感じです。
後半、ヨシツネが敵で出てきたのは焦りました……八艘飛びあんなに厄介なんだ……って。
三学期では人の内面にガッツリ迫ったので、ペルソナらしさも見られました。
怪盗団による改心が“洗脳と同じなのでは”という危惧がゲーム側から提示されてるのも良いバランスだな、と。
決して表で堂々とできるアイドルではないし、裏取りを丁寧に行わないと大変な事になってしまう危うさは描けていたと思います。
三学期の終わりに“真っ当な方法”で状況を覆したのがちゃんと分かる作りでした。
カモシダ・パレスがしっかりグロテスクに作ってあるなど、性被害や体罰について割と頑張って取り扱ったと思います。
……なのに、実社会で不利な立場の同性愛者を偏見丸出しで登場させたり、怪盗団内でセクハラ描写を入れてるので全部吹き飛ぶっていう……!
【イラスト付き感想】
・モナちゃん……!いつでもどこでも一緒なの、凄い嬉しい。序盤は特に八十稲葉に帰りたくてしょうがなかったので。
ちょっと寂しい時とか、真上に乗って来てくれるのメチャクチャ良い……!ジョーカーは寝づらそうですが。
・春先輩の怪盗服大好きです!格好いい!武器も斧で重厚なの良いです。何気にマーク以来の両手斧使い?
・もっちゃんのゴッドハンドで ほとんどのボス敵を封じてきました。物理さえ効くなら何も怖くない。
・コープでアビリティ増えるのは有り難かったですね。しかし、コープMAXになる度に周囲にバレていく俺の正体……!済まない、皆。一番身バレしてるのリーダーだわ。
武見先生にはモルモット君と呼ばれていたのでPUIPUIしてました。
・ルブラン組がどんどん仲良くなってくの嬉しかったです。双葉ちゃんが可愛い妹で、モナちゃんはお兄さんだそうです。改めて見るとメガネ率が高いな!
【最後に】
ペルソナ5タクティカはシミュレーションRPGなんですよね……一応シヴィライゼーションやったことあるんですが、トライバングルとか難しそうだな……クリアできるか自信がないですが、楽しみに待とうと思います!
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2022/11/18 ポケモンスカーレット
シリーズ初のオープンワールド!!!
岩壁のヌシ
初バッジはレジェンドルート!
ガケガニの鳴き声クッソ不気味
ライド操作に慣れないうちの高低差激しいマップでのガケガニ捜索なかなか難しかった
ペパー登場時のなんだこの感じ悪いヤツ!??からの株の上がり方すごい
学校でのやりとりからあれ?いい人?→コライドンとのサンドイッチのくだり→絶対いい人じゃん……
片付けもいいよいいよ!オレやるよ!ってマジでお前…なんでそんな優しいんだ…
主人公が去ったあとの「もういいぞ、出てこい」
こんなん次気になっちゃうじゃん!!!
ボウルジム
1つめのジムは草!この記念写真システム今風だしカワイイな~
何より戦闘後に「記念撮影にも応じるぞ!」て言ってくれるのが、なんか、やっぱジムリってそういうタレント的なアレなんだ!て実感できてイイ
キマワリ集め、処理落ちすごくてフリーズしないかヒヤヒヤした
コルサさんいいキャラしてる
事前PVでも話題になってたけど、岩タイプのウソッキーを草テラスタルして「題して嘘からでた真!」はセンス爆発
剣盾よりは控えめだけど、テラスタルすると観客の声援入りBGMになるのアツいね
スター団 ほのお組🔥
↑ 握手でイテテーッ!てなってるの笑う 容赦ない
メロコさんのブーツ好き
乗ってるソレ(トラック)ポケモンなの普通にビビる
ネルケ初見、マジで気づかなかった
ちょっと老けめの新キャラ生徒だと思ってて主人公のツッコミで気づいた
潜鋼のヌシ
この塩のかけかたのやつ!懐かしいネットミーム
写真のパターン見るに、ぺパ先けっこうノリイイのがかわいい
ミミズズのデザインシュール
この辺でずっと欲しかったヨーギラスをゲットできた
鋼タイプがたくさんいるとこにはカヌチャン系あんまいないの笑う(天敵)
セルクルジム
あらあら~~系のお姉さん たまらんかわいい
カエデさんの帽子の、虫の触覚みたいになってる柄が最高にカワイイ
虫タイプ×パティシエは新しくていいなあ
パティスリームクロジで買い物できないのは致命的バグだろ
大空のヌシ
オトシドリ、コウノトリがモチーフっぽいのに見た目と設定怖すぎ(高いとこから物を落とすのが好き)
大岩が転がり落ちてくる山をズンズン登る主人公肝が据わり過ぎている
でもライドポケモンも持ってなさそうなペパーが同じとこまでたどり着いてるのももっとすごい
土震のヌシ
砂漠を乗り越え、対イダイナキバ!
これまでは新ポケの巨大化、て感じあったけどコイツだけは異質な感じする
ドンファンが元な気はするけど、ネーミングといいどういう存在なんだろう
マフィティフが少しずつ元気になる描写毎回涙腺にクる
カラフジム
流行りの撮影方法やってみたかったハイダイさんキャワ
ないんだいないんだい!なんてかけがいがないんだい!
今作イチ好きなセリフかも
このデザイン、セリフ回しで手持ちにヘイラッシャがいないのどうかしてる
ニコッ
チャンプルジム
食堂がバトルコートになるの流石に笑った お客さんは!??!?
レモン添え焼きおにぎり普通にウマそう~~~~!
アオキさん一番苦戦したかも
社会人お得意の技、出してもよろしいでしょうか!?「からげんき」
全社会人がウケたのではないだろうか
今作のジムリって基本みんな兼業なんだな~
ナッペ山ジム
性別不明とウワサのグルーシャ氏
ケガによるスノーボーダーからの挫折でジムリって結構今までにない設定の重さ
アルクジラかわい~~~
バトル中のセリフになかなかトゲあるけど、最後の「寒いの嫌じゃなかったらまたおいで^^」だけで覆す感じ すごい
氷ジムリは終盤感あるな~
フリッジジム
ライム!ライム!ライム!
今作のジムリの中でキャラ、デザインともに一番好きかも
ラッパーのゴースト使いってだけでもうイイ
戦闘前のモーションが最高にカッコいい
DJ BOCHI キュートが過ぎる
ダブルバトルここだけなの勿体ないな~~
偽竜のヌシ
シャリタツお前喋れるのか…
本体のヘイラッシャがやられてシャリタツが「オレモヌシー!」て出てくるのアツくて草
そのまま逃げて、別のヘイラッシャに乗り換えてもいいだろうに…
ラストヌシだけあってなかなか苦戦した
ここのぺパ先ほんと泣く…
元気になってくれ、それだけでいいから…的なセリフがもう
そしてVSペパー
普通に強くて今作初敗北した
バトル苦手ちゃん………????
あんなに弱ってたマフィティフが元気にテラスタルしてるのマジで泣く
VSヌシ戦で頼もしい味方だったシェルダーとかリククラゲが進化して敵として出てくるのもマジで泣く
ヌシ戦のたびにその場で捕まえてたのを、ここまで大事に育ててきたのかな…とか考えて更に泣く
オーリムにエリアゼロにくるよう言われるものの
ぺパ先「エリアゼロは危険だから、2人で行くのは…バトルの得意なヤツと機械に強いヤツがいたらなあ~~~」
ネモとボタン過ぎる!!!
これって先に他2ルートクリアしてたらセリフ違うのかな
スター団 フェアリー組✨
ぼっちゃん!
一部オタクに刺さりそうなキャラだ
やっぱスター団って、いじめられっ子がいじめっ子に抵抗すべく立ち上がったんだ
ビビったいじめられっ子が一斉に学校を辞めたことで逆にスター団がいじめたんでは…?な噂に繋がったと
ウ~ンなんとも
カシオペア=ボタン=マジボスなんだろうなあ
解散してほしいわけじゃないけど、みんなに退学にはなってほしくないから、創始者自らスターダスト大作戦を立ち上げたと思うと…
ボタン…
ハッコウジム
ノリノリの主人公カワイイ
陰キャ殺しのジムテスト
おはこんハロチャオ、絶妙に「配信者」っぽい挨拶…
オタクっぽくもありつつミームに寄り過ぎず、絶妙なセリフ回しに関心した
ナンジャモ、年いくつくらいなんだろ…(邪推)
校長ヒマなのか???
スター団 どく組
裁縫得意なオタクでござったか、シュウメイ殿
回想シーンで見れるシュウメイ殿の素顔、麗しい~~~
なんか、BGMやら衣装やらなんやらで学生なりにお互い協力して楽しくスター団やってんだ、と思うと、解散させるのがより一層心苦しくなっちゃうな…
スター団 あく組
ピーニャ、見た目とあくタイプ使いってので結構荒れたキャラのイメージだったんだけどわりと柔和な感じでびっくりした
元生徒会長で、ルールがうざすぎていじめられたと…せつねえ…
戦闘後の、「それってアカデミーで習ったの?」「……アカデミーって楽しい?」に胸がギュッとなった…
根は真面目な子で、ほんとはアカデミー普通に通いたいんだろうな…クッ……
スター団 かくとう組✊
ビワ姐絶対いい子じゃん
かわいくてバトル強くて運動もできて人気者だったビワをいじめたヤツが、次のターゲットになっちゃってその子すらスター団に引き入れたと
懐深すぎる いじめっ子を許すな
回想でもビワの素顔は出さないの大変good
持ってるボールがヒールボールなのも大変good…
解散してほしくない、けど退学にはならないでほしい…!の葛藤マジボス…
戦闘BGMかっこ良すぎ
手持ちブイズなのかわえ~~!
ラストの、団長全員のバラバラの「お疲れさまでスター!」で泣いた
特にメロコの満面の笑みよ…………………
ベイクジム
リップさん美しいのにワードがクソ古くてダサいの好き
ヒバナ先生との幼少期のアレソレもう少し詳しく教えてください
ベイクタウンのこのタイル!!!!
初代のアイコン好き~~~~~~~~~~
四天王戦
リーグ前にいる、ソウブレイズ持ちの妙に強いオッサン
面接官チリちゃん!
質問を深読みし過ぎて一回普通に落ちた
四天王戦、みんな見知った顔なのと、四天王同士の会話がわりとあるのでわりかしのほほんとしていた
これも好きだけど、過去作の四天王の「得体の知れなさ」も強者感あって好きだったな~
ハッサクさんは教師と兼任、アオキさんはジムリの兼任、でパルデアの人材不足を感じてしまう
ポピーちゃんカワヨ
チリちゃん、ボール投げのモーション、バトル後セリフふくめ一切「実は女性らしい一面…」みたいな描写なくてサイコーだった
じめん使いなのもシブくて良い…
オモダカさんの謎の人外感好き
キラフロル似合うな~~~~
テラスタル時の「光あれ キラフロル」かっこいい
そこそこ苦戦した
駄々っ子ネモカワイイ…………
ここのバトル前後のセリフから伝わる、自分と対等に戦えるライバルに出会えて本当に嬉しいんだろうなあ…感にグッとくる…
バトル前の「ここにいる誰より、わたしが楽しみなんだよ?」的なセリフすごく良い
主人公が引っ越してくるまでの、誰と戦っても圧勝、手ごたえが無くて虚無…みたいな日々のネモを想像してしまうと更に…ウッ……
よかったね………😢
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悠花の一生
幼少~青年期(0~15歳)
水仙郷にて
悠花(中央)・水蔡(悠花の右隣)・柳禅(右の大人)
情勢
環内は将軍三日月の施策により鎖国状態にあったが、開国派は水面下で外国勢力蓬莱(ほうらい)との国交、ひいては開国を目論んでいた。
概要
環内大老の女と蓬莱の女の隠し子として生まれる。
当時は鎖国体制が敷かれていたため、悠花の存在は大老にとって禁忌となるものだった。
大老���悠花の存在を隠すため、身柄を橋玄(きょうげん)の孤児院「水仙郷」に移す。
水仙郷は開国派の管理下にあり、鎖国体制を敷く公儀を転覆することを目的とした暗殺者の養成を行っていた。
暗殺者は正体を隠すため全て身寄りのない孤児が使われた。素性を隠すその性質が大老にとって都合が良かったのである。
当時の剣士達は剣筋を見るだけでその流派を特定する目を持っていたため、孤児たちは剣術において基礎以外の訓練は受けず暗殺に駆り出されていた。実戦で生き残るほかないのである。
しかしながら、そんな水仙郷にも名もなき極意があった。相手の刹那の体勢から取りうる全ての剣筋を瞬時に全て予測し、不可避の一閃を放つというものである。
水仙郷の院長、柳禅(りゅうぜん)が達した境地だが、その極意を会得する暗殺者は後の悠花が現れるまで存在しなかった。
悠花の変化
悠花は他人と真に分かり合おうと、友になろうとすることはなかった。接する人間は暗殺対象か、いつ死んでしまうか分からない孤児達のみだったからである。
しかしながら、悠花と同じく長い間生き残ってきた女がいた。水蔡(すいさい)といった。いつしか悠花は水蔡にだけは徐々に心を開いていった。
青年期(15歳)
蓬仙
情勢
開国派の開国への熱気が高まり、将軍三日月の直属護衛にして環内で最も高い剣力を持つと言われた蓬仙の暗殺を企てる。
概要
蓬仙の暗殺には、悠花、水蔡を含む水仙郷きっての剣力を持つ5人の剣士が選ばれた。
このとき悠花と水蔡は15歳、その他はいずれも年長者であった。
蓬仙は強く、水蔡を含む3名が死亡、1名が再起不能、残りは悠花だけとなった。
その時、悠花は名もなき極意の境地に達し、蓬仙を斬った。
その後悠花は水仙郷を去り、傭兵業で生計を立てることとなる。
悠花の変化
水蔡を失ったことで水仙郷に居場所としての在り方を見出せなくなった。
あてもない流浪の民となることを決意し、水仙郷を去る。
傭兵(無所属→公儀)時代(17~25歳)
星希
情勢
将軍三日月は何者かに暗殺され、開国に比較的肯定的な楊絹(ようけん)が新たな将軍となった。その裏に水仙郷の暗躍があったかは定かではない。
しかしながら、環内には攘夷派勢力も根強く存在していた。攘夷派勢力は尊天攘夷なる、環内の天子の名のもとに攘夷を掲げていた。本来、将軍楊絹と天子の関係は良好で、これは尊天攘夷派の暴走ともいえる。
開国肯定派の公儀と尊天攘夷派の関係は徐々に水面下の冷戦状態から顕在化した熾烈な闘争へと変貌していく。
概要
悠花は傭兵として各地を転々として人斬りの仕事をしていた。公儀お抱えの流派を潰すこともあれば、攘夷志士を斬ることもあった。
途中、水仙郷の剣士を名乗る希良(きら)の襲撃を受ける。希良は悠花と同様名もなき極意を会得した自負があり、悠花に挑戦したのである。希良の初手の斬撃には確かに高い剣力をうかがわせた。しかし悠花は金にならない人斬りはしないと、これを相手にしなかった。
番頭の星希(せいらぎ)はかつて蓬仙を斬った悠花を公儀お抱えの剣士として雇いたいと考え、その居所を追っていた。
ある日、星希は南界の旅籠にて、1人の剣士が5人の尊天攘夷派志士を斬ったという情報を入手した。調査したところ、それは紛れもなく悠花の手によるものだった。この時悠花は公儀お抱えの流派蒼天流に助っ人に入っていて、その流派が事件のあった旅籠を襲うことは星希の知るところでもあった。
星希は蒼天流を経由して悠花の居所を掴み、悠花に公儀直属の剣士として雇われてくれないかと打診した。悠花はそれを承諾した。
悠花の変化
誰を斬るかはもはや重要ではなくなっていた。情勢にも興味が無かった。ただ人を斬り金を得るということが悠花にとって唯一の生きる道だった。
傭兵(公儀)時代(25~30歳)
悠花(左)・閃蘭(右)
情勢
公儀と尊天攘夷派の闘争は熾烈さを増していた。両陣営が様々な流派を取り込み武力の増強を図るようになり、それは流派間の闘争にも発展した。
尊天攘夷派は特に高い剣力を持つ無伝流(むてんりゅう)を取り込んだことで、公儀は対応に追われた。
環内の天子はこの情勢を憂いていた。将軍楊絹と密書のやり取りを行い、この闘争を鎮静化させる打開策を模索していたが、難航していた。
環内との国交を望む蓬莱は、尊天攘夷派を鎮圧できない公儀に対し徐々に懐疑的になっていき、環内内部での解決を断念、ひいては公儀の力を頼らず自身の武力介入を模索し始める。
概要
悠花は星希のもとであらゆる尊天攘夷派が抱える流派を打ち崩していった。
星希からの推薦で、悠花は尊天攘夷派の取り締まりを目的とした公儀内に設置され星希が管理役を担う組織桜花(おうか)組へ副局長として参入する。
局長の閃蘭(せんらん)は高い剣力を持つ剣士だが、情勢について語ることのできる知力と組員の人心を掌握するカリスマ性を兼ね備えていた。
途中、悠花は蓬莱からの使者彩(さい)と出会い、彩は尊天攘夷派の武力構成を把握するため、悠花と行動を共にする。
悠花に対抗心を燃やす希良は、悠花の敵対勢力に加担することで悠花が決闘を受け入れると考え、尊天攘夷派に身を寄せ、悠花を襲った。お互いが名もなき極意をぶつける形となり、勝ったのは悠花だった。希良は自身に流れる血を憎んだ。希良は環内の女と外国勢力崑崙(こんろん)の女との合いの子で、当時は混血は珍しかったこともあり、混血であることに技の多寡を左右する要因を見出していたのである。
悠花の変化
閃蘭が情勢に高い関心を持っていることを理解できなかった。しかしながら、閃蘭には剣力だけでは為せない生き様の在り様を感じさせた。
初めてふと将来のことを考えた。加齢で衰えた体で、自身は剣の道を突き進み続けることができるだろうか。進み続けられなかったら、自分は何者なのか。
斬り合っていれば長くは生きてはいないだろう、そう思って将来を考えることをやめた。
一抹の胸の��かえを残して。
傭兵(公儀→翠花)時代(30~32歳)
楊絹
情勢
桜花組は外国勢力中つ国の宝梁幇(ほうりょうほう)を筆頭にいくつかの同盟関係を結び、尊天攘夷派の無伝流の撃破に成功する。しかしながら、これには公儀側にも多くの犠牲を払う結果となった。
これを皮きりに、蓬莱は本格的に直接的な武力介入を開始する。外国勢力中つ国が無伝流の撃破に関与していたことが、蓬莱側としては開国交渉において先を越されたように受け取られたのである。蓬莱の標的は尊天攘夷派の中心にいる(ということなっている)天子の命である。
概要
無伝流撃破の一報は将軍楊絹の耳にも入るところとなった。このとき、楊絹は悠花がかつて大老が残した混血の隠し子ではないかと思い至る。
楊絹は大老がかつて混血の子を水仙郷に隠したことを知っていた。悠花が水仙郷出身であると星希から伝えられ、年齢的にも辻褄が合う悠花がかつての大老の娘ではないかと考えたのである。楊絹は悠花に謁見の場を用意したいと申し出る。
楊絹の眼前の悠花の顔には大老の面影があった。楊絹は悠花に彼女の出自について知る限りのことを話す。その上で、楊絹は悠花に天子の護衛を依頼する。
楊絹は蓬莱が天子の命を狙っていることを認知しており、情勢的には敵対関係にあるとされる天子であっても、その身を案じ高い剣力を持つ護衛を天子のもとに送り込みたかったのである。
悠花は天子親衛隊翠花(すいか)の一員となる。天子側についた後でも、蓬莱からの使者彩とは裏で親交があった。
悠花の変化
自身の出自を楊絹から聞いた悠花は、徐々に情勢に対して関心を向けるようになる。
自分が生まれた当時の情勢が違っていたら、剣の道とはまた違う人生を歩んでいたかもしれない。今とは違う自分がいたかもしれない。
自分にとってより良き世界とは何なのか。そんなことをふと考えるようになった。
これまで多くの命を奪ってきた。そんなことを考える資格があるのかもわからなかった。
「私は天子の敵ではない。攘夷志士が、憎い。」そんなことを漏らした楊絹の苦渋に満ちた表情が頭から離れなかった。
傭兵(翠花)時代(32~35歳)
天子
情勢
蓬莱が天子の命を標的に動き出したことに、公儀側では反発の声が上がっていた。元々公儀の敵は天子ではなく、あくまで攘夷志士達である。開国肯定派である中でも蓬莱を敵視する者とそうでない者とで分裂の危機にあった。
将軍楊絹は蓬莱の暴走の抑止に追われ、公儀で勃発する内紛に対応しきれないでいた。
尊天攘夷派の中でも、一部開国に肯定的な姿勢を示す勢力とそうでない勢力の分裂が生まれつつあった。蓬莱の先進的な武力を前に、国力の増強のために国を開くべきという考え方が生まれたのである。
概要
翠花の一員となった悠花は蓬莱の暗殺者の討伐に追われていた。暗殺者の情報の多くは秘密裏に彩から提供されたものだった。
翠花とは別に尊天攘夷派が暗殺者の情報を独自に掴み、同一の暗殺者の対応に悠花と攘夷志士がかち合うことも多々あった。一度、希良とともに暗殺者を討つことがあった。希良の剣力は以前に増して高まっているように見えた。悠花はなぜ希良が自分に対抗心を燃やすのか問いかけたが、希良は答えなかった。
悠花は多くの暗殺者を屠った功績が天子の目に留まり、天子との謁見を果たす。悠花はその場で天子は今の情勢をどう見ているのか問うた。天子の答えは次のようなものだった。
公儀、攘夷志士、全てはこれ天子の子である。開国する、しないの声明を出すことはすなわちどちらかを切り捨てることになる。世の移ろいに対して天子が口を開くことはない。ただし、公儀が天子の敵とみなされるのは、これは本意とするところではない。蓬莱は非常に危険な勢力である。環内が蓬莱の言いなりになることは到底認められない。しかしそれは全諸外国に向けた鎖国体制を特段支持するというものではない。
悠花の変化
誰を斬ればいいかわからなくなっていた。暗殺者をいくら斬ったところで、情勢は何も変わらない。
私にとって世界がどうあるべきなのか、悠花は頭を悩ませた。
私は本当はどう生きたかったのか。それが悠花にとって世界がどうあるべきなのかの答えに繋がる。しかし、剣の道しか知らない悠花はその「どう生きたかったか」が分からないでいた。
血に汚れた両の手が、そんな思考を余計曇らせてもいた。
傭兵(翠花)時代(35~36歳)
悠花(左)・彩(右)
情勢
将軍楊絹は政権を天子に返上する決断を下す。公儀内の内紛の激化を避けるためには、両者に共通する「公儀は天子の敵ではない」という姿勢を貫き通すことである。
加えて、開国派の公儀が天子を担ぎ上げつつ実権を握ることで、蓬莱が天子を標的とすることを抑止する狙いもあった。
しかしながら、尊天派は政権の重鎮を公儀の人間が占めることに納得していなかった。天子が実質的な政治実権を持つ新政府樹立の動きが高まった。
尊天派の中で「攘夷」と呼べる勢力は少数派になっていた。多くの攘夷志士達は開国肯定派に転向していたのである。争点は攘夷ではなく天子の政府における実権にあった。
概要
蓬莱からの暗殺者がその後現れることはなかった。悠花にとっては人生で初めて、長らく人を斬らない時間を過ごすことになる。
試しに書などを嗜もうとしてみたが、長続きはしなかった。気付けば剣を握り呼吸を整えているのである。
悠花の変化
未だ情勢は新政府樹立を目論む尊天派による戦火が消え去ってはいないが、徐々に剣士の世は終わりに近づいていると感じていた。
悠花は人を斬らない時間を通して、自身が剣の道でしか生きていけないことを思い知る。 人斬りとして生きてきた。私に許されるのは結局のところ剣士として生涯を終えることである。
悠花は戦火を求めて、翠花を離れることを考えるようになる。
晩年(旧公儀派勢力)(37歳)
希良
情勢
尊天派は政府の本営芳流閣(ほうりゅうかく)に攻め込むが、楊絹はこれに抵抗せず開城し、尊天派による新政府への引き渡しを行う。
楊絹はもはやこれ以上環内の内紛で血を流すことは蓬莱に付け入る隙を与えることになると考えていたのである。
しかしながら、少数の旧公儀派の残党はこれに反発し、新政府軍との抗争が勃発する。
旧公儀派の残党は新政府軍に環内の北側北角(ほっかく)まで追いやられ、六条院(ろくじょういん)に籠城するがやがて全滅する。
概要
旧公儀派の残党にはかつての桜花組も含まれていた。悠花は旧公儀派勢力に参入を申し出るが、閃蘭は一度はこれを拒否する。
閃蘭はこの戦いの勝機は薄く、もはや矜持の問題と考えており、悠花に無駄死にさせるのは忍びないと考えていた。
しかし、悠花が死に場所を探していることを理解すると、これを受け入れた。
剣士としての死を覚悟した悠花の剣の技は、その生涯で随一の冴えを見せていた。悠花の剣は四方からの銃弾や矢を弾いた。名もなき極意は更なる発展を見せ、元々瞬間的な精神統一であったものが持続的なものになり、更に発せられる斬撃は一閃から二の太刀三の太刀と続くものとなっていた。かつての蓬仙と比肩し得る剣力に至ったのである。
新政府軍がこれに対抗し得る剣士として選んだのは希良であった。それは希良が新政府軍内部で確固たる信頼を築いた証でもあった。ただし、希良にとってその信頼とは自身が混血であることを隠してきたことを前提とするものであると認識していた。
悠花はなぜ希良が自分に対抗心を燃やすのか問いかけた。
希良はかつて蓬仙と闘った5人のうち、再起不能となった1人の娘であった。希良には悠花が蓬仙を斬った功績を母から奪ったように映っていたのである。
両者は共に名もなき極意を応酬し、打ち勝ったのは悠花だった。
自身が混血であることに忸怩たる思いを希良が呟いた。
新政府軍は、希良が混血であることに一時の動揺を見せた。
沈黙の中、悠花は自身も蓬莱との混血であることを希良に告げた。
「私を斬るためなら、お前の体に恥ずべき血など流れていない。」
沈黙が走っていた新政府軍の中の一人が、希良を鼓舞した。それは新政府軍全体へと広がっていった。
蓬莱からの使者彩は、このとき悠花の死と時代の変わり目を予感した。
希良は悠花の言葉を聞くと、呼吸を整えもう一度名もなき極意を発動させた。その一閃は悠花の体を貫いた。
彩が悠花の死を見届け、後に橋玄(水仙郷の所在地)に葬った。近くには水蔡の墓があった。
悠花の変化
悠花の剣の道が終わりを迎えたと同時に、希良の剣の道も終わりを迎えた。
悠花の死に際に、彩は何か思い残すことはないかと問いかけた。
ふとよぎったのは、希良の今後の人生である。
希良は剣の道以外の道を歩むことができるだろうか。これからの世界で生きていけるだろうか。
血に汚れた両の手を携えて、己を信じて生きていけるだろうか。
そんなことを一瞬考えたが、それは希良自身の領分だろう。
「ねぇよそんなもん。早く寝かせてくれ。」
そう言い残すと、悠花は息を引き取った。
<完結>
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サイレントマジョリティー
これこそがこの世で最も美しいものであり、我々はこれがリリースされただけでも充分に満足すべきだろう。純粋に美学的水準に達した、絶対的にかけがえのないもの……。すなわち、ここに現れるのが、かけがえのない潜勢力としての社会主義であり、何がしのスパイこそがマルチチュードの別の側面であり、同時にサイレントマジョリティー(ニクソン)たる大衆であることが明らかになる(既成事実の発生)。インターナショナリズムとその実現。機械によって阻害されし者である兵士。「剣を持つものは、剣に倒れる……」。「しかし……」と彼はいった。「他のもの、そうではないもの……」と彼はいった。「……我々にはローレライがある」。いわゆるネタバレである。孤独を抱えた主人公が文字通り発生したのだ。語のないところに、物はなく、赤ちゃんには兵士よりもはっきりと力への意志が見られる。
渋谷で真珠湾について語るというのは文字通り現行の文明の極限に達することなので、日本人はおろか、世界中の誰も、この表現的達成を切実な意味で越えることは簡単にできないだろう。すなわち呆気にとられるかもしれないが、情報端末のソフトウェアで作成された電子音の使用こそが、このアーティストの人間的達成なのだ。それは文字通りの英断であり、快挙である。嗚呼!Homo sapiens!賢い人間よ!そこには闘争や戦いがある!!作り手はここにおいてあらゆるレベルの保守主義をこれ以上なく、クリティカルに批判しており、尊厳と良心が勝利を欲しいままにしている。「ソニーは、そして、彼女らは、真珠湾攻撃を知らない……」。鉄道網が全世界を覆い、すでに2020年時点で、全世界の四輪車の保有台数は15億3,526万台となっても、それでも我々は、歩いている。歩きながら、歌を、音楽を、聴いているではないか。そして、<それ>こそが、サイレントマジョリティー、および、そう、ルイス・ウルフソンの足跡に他ならないのだ。教科書への記述もうなずける。サイレントマジョリティーの足跡こそが歴史に名を残すべきだ。
参考文献:ジル・ドゥルーズ「批評と臨床」、アントニオ・ネグリ、マイケル・ハート「<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性」
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ロバート•エルドリッジ博士の論考です
【ロバート・D・エルドリッヂ】戦時中の最大の人道的行為―無名の日本人ボーイスカウト兵士の物語
公開日:2020年10月2日 更新日:2020年10月2日
悲惨な大戦の中でも、現場では多くの人道的行為があった―ボーイスカウトの「絆」が戦中・戦後に渡って実現した物語。
【ロバート・D・エルドリッヂ】戦時中の最大の人道的行為―無名の日本人ボーイスカウト兵士の物語
大戦中も生きていた―ボーイスカウトの「絆」
今から75年以上前、第2次世界大戦中に日本軍と米軍が戦った島の1つで、日本兵が負傷したアメリカの兵士に出くわした。
意識を失っていたアメリカ人が気がついた時、彼の上に日本兵がいて、喉を狙った長いライフルの先に銃剣を突きつけているのを見た。彼はパニックになるどころか、冷静に自分の運命を受け入れ再び気を失った。
彼は無意識のうちに、3本指のボーイスカウト式に敬礼した。その日本兵も若い頃ボーイスカウトでも活動していたので、驚いた。
このことを思い出した無名の日本人の兵士は、彼を殺さないことにした。その代わり、彼は走り書きしたメモをアメリカ兵のために残し、彼の傷口に包帯を巻いたことと、彼の無事を祈っていることを伝えた。
アメリカ人が目を覚ましたとき、彼は誰も周りにいないことに気づいた。彼はメモを見つけ、それをポケットにしまった。
その後まもなく、彼は米軍に発見され、治療を受けるために連行された。回復中、彼はメモを思い出し、医療関係者に自分が持っていた紙を見せてくれるように頼んだ。それを読んで、彼は自分の命が助かった理由をようやく理解した。
ユタ州ソルトレイク市に送還された兵士は、何が起こったかを父親に話した。感謝した父親は、その30年前の1910年に設立されたボーイスカウトアメリカ(BSA)連盟にその事実を知らせた。
それから数年後の1952年4月中旬、同市で開催されたBSAの第7地区の年次総会では、BSAの代表が集まったスカウトたちとリーダーたちにこの話を伝えた。彼の発言は、BSAの雑誌、成人指導者向けの公式刊行物である『スカウト』、若者向けの公式刊行物である『ボーイズ・ライフ』に紹介され、地元の新聞にも取り上げられた。
同年5月末、BSAの副地域幹部であったC.M.フィネル博士が、平和条約締結後の日本のスカウト運動の再編成を支援するために日本に派遣された。フィネル博士は5月29日に到着し、約4カ月滞在。その間、日本の47都道府県のうち約半分の23を視察し、アメリカより約10年後の1922年に結成されたボーイスカウト日本連盟や活動についても100回以上の会合を支部やメンバーたちと持った。
フィンネル博士は、来日した際、日本兵が見せた「兄弟愛」の話をした。この話はたちまち日本の全国ニュースとなり、その日本人兵士の捜索が行われた。残念ながら、戦死したと考えられている。
その後、1910年代に世界的なボーイスカウト運動に日本を巻き込むことに成功した元兵士の久留島武彦氏が1954年に日本ボーイスカウト連盟の会長に就任し、無名の2人のボーイスカウト兵士の物語を記念して記念碑を建てるための募金活動を開始した。10円募金運動が始まり、最終的には資金を集めて、2人の交流を描いたレリーフとテキストプレート、敬礼するボーイスカウトの像を制作した。
この記念碑は、横浜市の「こどもの国公園」内で募金を集めて20万円(当時)で建てられた。
ボーイスカウトの絆が記念碑を実現
この公園自体は、1965年のこどもの日(5月5日)に、後に1989年から2019年まで天皇陛下に就任された昭仁親王と美智子妃の1959年の結婚の儀を記念して、国民から寄せられた資金を使って開園されたものである。
興味深いことに、240エーカーの敷地は当時、在日米軍の管理下にあり、米側は土地の返還に消極的だった。1961年3月、久留島氏はロバート・W・バーンズ米第5空軍司令官に協力を求めた。バーンズ中将は、この問題は日米合同委員会施設小委員会で議論されていることを説明した。
話し合いの中で、2人は自分たちがどちらもスカウトであり、以前カリフォルニアで開かれた同じスカウト・ジャンボリーに実際に参加していたことを知る。久留島氏はこの縁を利用して、バーンズ氏にさらに尽力してくれるよう頼んだ。2人はボーイスカウトの敬礼をして別れを告げた。その年の夏、バーンズはアメリカに帰国。残念ながら、彼は公園の開園を見ることが叶わず、1964年9月に亡くなった。
開園から1年後の1966年5月5日には、約2,500人の日米のスカウトが集まり、記念碑の除幕式が行われました。今でこそ森に覆われたこの場所に、多くの人が集まったとは考えにくいが、当時はもっと広く感じる場所であったに違いない。
数段の階段を上ると、まず、記念碑の前に3本指で敬礼する制服姿の少年の像がある。真正面には、1950年代後半に著名な彫刻家の横江嘉純氏が設計し、山内春造氏が鋳造した高さ1.7メートル、幅2.2メートルの美しい浮き彫りの像がある。右側には、日本語のみの文字が書かれたプレートがある(日本語を読めない外国人が興味を持って訪れたりした場合には残念なことだが)。
本文は、戦場とその後のエピソードを30行以下に簡潔に要約しており、次のように書かれている。
「第2次大戦中、激戦の南洋諸島のある島でのお話。重傷を負った1人の米兵が倒れていました。そこへ剣付きの銃を持った日本兵が通りかかります。気付いた米兵は『あっ、殺される』と思った瞬間、気を失ってしまいました。しばらくして目覚めた米兵。もう日本兵はいません。そばに落ちていた白い紙切れに気付き、何気なくポケットに入れます。そのまま野戦救護所に担ぎ込まれ、一命を取り留めました。その時拾った紙切れに、こんなことが書かれていました。
『君を刺そうとした時、君はぼくに3指の礼をした。ぼくもボーイスカウトだった。ボーイスカウトは兄弟だ。君もぼくも兄弟だ。それに戦闘力を失ったものを殺すことは許されない。傷には包帯をしておいたよ。グッドラック』
戦後、この米兵は米国のボーイスカウト連盟本部を訪ね、この話を伝えました。1952年、米国のスカウト本部の役員が来日した際、この話を日本側に伝えました。米兵は本名を明かしていません。日本兵は戦死したようです。無名のスカウト戦士の間のできごとです。この無名の日本兵の行動こそ日本の武士道精神、スカウト精神の結晶です」
受け継がれる日本の「人道」
昨年8月にこの記念館の存在を、ジャーナリストでノンフィクション作家の門田隆将氏と陸上自衛隊の幹部やそのサポーターたちと夕食した際、知って以来、一度は行ってみたいと思っていた。兵庫県の自宅から東京へは頻繁に出かけるが、不便な場所だと聞いていたので、公園への行き来や見学に何時間もかかるのではないかと心配していた。結局、時間の制約で断念することが何度かあった。最近になって、関東への出張の時、ようやく時間に余裕が出てきたと感じ、ある日曜日の早朝に出発した。
実際、立地は思ったほど不便ではなく、JR横浜線の長津田駅で乗り換え、「こどもの国駅」から少し歩くとアクセスできる。公園の入り口に到着して案内所で道を尋ねると、記念碑への道順を教えてくれた。離れた場所にあるので、公園の中で見つけるのは少し難しい。しかし、それを見る価値は大いにあった。人類に対して希望を持たせ、そして日米関係の個人的な側面への信頼を回復するのに役立ったからだ。
その日、記念碑への小道を上るまで、他に来訪者がいなかったようだった。理由は、とても暑かったからのか、その存在をあまり知らなかったのか、わからない。しかし、私が登った後、若い家族連れが記念碑の前にいるアメリカ人に興味津々で、レリーフを見たり、碑文を読んだり、物語や教訓を考えたりして時間を過ごしていた。
島の戦場でアメリカ人の兄弟分を愛情を込めて生き延びさせた、あの偉大で人道的な日本のスカウトについて、彼らの子どもたちに話してくれることを願っている。
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第35話 『旧き世に禍いあれ (3) - “猟犬の追尾"』 Catastrophe in the past chapter 3 - “Tracking hounds”
その黒い犬は、長い舌を口からだらしなく垂らしていた。太く曲がりくねったそれは、舌というよりも針のように尖っている。
褐色の闘犬に似た四肢を持っているが、頭の部分は妙にぼやけて見える。形がなく、いくつかの鋭い触手のようなシルエットのひとつが、長い舌のように見えてうねっていた。
その全体的に鋭利なシルエットは、狩猟犬を連想させた。
「何だこいつは……」
ゴットフリートの声だったのか、自分の声だったのか、それともふたりの声か。臭気と混乱で、フィリップには判断が出来なかった。
猟犬、なのだろうか。4つ足の黒い影はその太い四肢で地面にしっかりと立ち、周囲の様子を探っているように見えた。その異様な姿は生理的な嫌悪感が込み上げてくるものだったが、目を逸らすことができずにいた。こいつは一体何者なのか? どこから来た? 何故ここに? 仮にこいつが猟犬なのだとしたら、一体何を狩るためのものなのか。 何一つわからないにも関わらず、なぜか「こいつの狙いは自分だ」という説明不能な確信が強まっていく。
猟犬はゴットフリートには見向きもせず、フィリップの位置を見定めると、迷わず飛び掛かって来た。
やはりこちらに来たか、と心中で考える間もなく猟犬の舌先は首元まで迫っていた。先程受けたゴットフリートの攻撃より速い。
フィリップは即座に短距離のテレポートを行う。吐き気が込み上げるが、避ける方法は、フィリップの持つ術ではこれしかない。連続して転移を行って、魔力を使い過ぎた。
空間のブレが収まり視界が明瞭になった瞬間、フィリップは激しい痛みに苦痛の声を上げる。
「なっ!?」
確かに転移は成功したはずだった。
痛む左腕を見れば、注射針のような舌が刺さっている。
猟犬が傍らに突き立った最初とは別の盾から這い出てきている。長い舌は盾から半身だけを乗り出した猟犬の胴体から繋がっている。
フィリップはそれを引き抜こうと腕を振り回すが、抜けない。
攻撃をかわすために数歩距離を取って転移したのに、転移先の足元ですでに待ち構えていたかのような……。
猟犬は両足で地面をしっかりと捉え、頭部を振るってフィリップを引っ張る。
ゴットフリートは離れたところから、目と口を開けて呆然とその様子を見ている。
(まさか……こいつも短距離転移したのか?)
猟犬の下肢は傍の盾の影から伸びているように見えた。斜めに地面に突き刺さった盾の影から、隠れていた下肢の先が這い出してくる。
テレポートしたため、ゴットフリートとフィリップの間にはかなりの距離がある。
この距離をただ跳躍してきたとは思えない。この一瞬でそんな動きをしていたら、正確に左腕を狙う事もできそうにないし、その勢いでそのままフィリップに体当たりした方が早いだろう。人型ではない魔物で、転移術を使えるものはほとんどいないはずだ。覇王の軍勢の中でも、そんなやつは見たことがなかった。
転移でなければ説明がつかない。
(追尾するように転移して、土の地面と盾の間の空間から這い出てきた……? そんな、まさか……)
フィリップが振りほどけず、まごついている間に、舌を突き刺された左腕の変化がはじまった。
舌が刺さった周囲から、どんどんと左腕がしなびはじめたのだ。
「く、クソ……ッ!」
信じ���れないことの連続でパニックになりかけたが、フィリップはぐっと奥歯を噛みしめて正気を保つ。
ベルトのホルダーからナイフを取り出し、その舌を思い切り切り払った。舌は容易に切れ落ち、断面から暗い青灰色の液体がぼたぼたと垂れ落ちた。
すかさず後ずさって距離を取る。舌を切り落とされて喘いでいるように見えた猟犬は、今度は距離を保ったまま、すぐにこちらに飛んでくる様子はない。刺された左腕は、もう原型をとどめていなかった。
(腕が……なくなった……!?)
舌が抜けた後も左腕は、ミイラのように乾燥しながらどんどん細くなっていく。
ミイラというには、元の骨を無視した縮み方だった。水気を失いカラカラに乾いた野菜カスのようになっているが、内側の骨まで同様に萎縮したとしか説明がつかない。
痛みはない。すでに左腕の感覚は全くなくなっていた。かえってそれが異様に恐ろしく、フィリップは額に噴き出した冷や汗を袖で拭った。
あの舌はなんだ? 一体、何が起きた? 何かを吸われたのか? あの猟犬はどうやって足元に移動してきた? 左腕は諦めるしかないか? ぐるぐると脳をたくさんの言葉が駆け巡る。
(逃げろ……)
本能が叫ぶ。その通りだ。
逃げるしかない。ゴットフリートでさえ手に負えないのに、突然現れた襲撃者は、それ以上に危険な存在だった。この場に留まって状況を解決する術など、自分は何も持ってはいない。
じり、とフィリップがさらに後じさると、猟犬がそれを見て体を低くした。
再び、先ほど感じた刺激臭が強くなる。
ぼうっと青黒い煙が、あちこちに落ちている遺品の盾や剣、鎧といった角のあるものから幾筋も立ち上る。それぞれが凝って、どれもが同じように猟犬と同じ形状を取り始めた。左腕を奪ったはじめの一頭よりはいずれも小さいものの、やはり姿はそっくりで、姿を成すや、すべてがフィリップに敵意を向けて周囲を取り囲み始める。
(何だこれは……)
フィリップは頭の中で今まで読んだすべての文献や図録の記憶をひっくり返す。こんな怪物は、見たことも聞いたこともない。神話の類にもこのような存在が示唆された試しもなかった。
とにかく、とにかく逃げなければ。だが、どうやって?
すっかりと左腕は、押さえた右手で隠せるほど小さくなってしまった。
フィリップが駆け出す。同時に猟犬たちが地を蹴る軽い足音が響く。
「――……どうやら、てめえの飼い猟犬じゃなさそうだな」
低く太い声。
絶体絶命か。これほどの生物を前にして、さらにゴットフリートまで相手にする事など、不可能だ。
だが、ゴットフリートは、フィリップを追撃しようとする猟犬たちのいる方に剣の切っ先を突きつけて、がははと無遠慮に笑った。非常に愉快そうにその瞳の奥に紅蓮の炎が立ち上る。
「魔術師なんかよりも、数段面白そうじゃねえか! 猟犬!」
咆哮に近い怒号を上げ、剣を振りかざした。
その剣圧は風を切り裂く音を伴い、猟犬に襲い掛かる。離れたところにいたフィリップまで風圧が迫るほどの力強さ。
ゴットフリートの剣先は猟犬の一頭を切り裂く。それをはじまりにいくつもの猟犬を切り飛ばして、はじめに現れた個体に向かって行く。
猟犬たちはフィリップを追う邪魔をされて、すぐさま別方向に跳ねた。
ゴットフリートはその動きを読んでいたように、振り下ろした剣を真横に一閃する。
切っ先がかかりそうになるも、猟犬が避ける方が紙一重で早い。
大股に踏み込み、ゴットフリートが今度は大きく剣を突き出す。
小型の猟犬が何体も切り裂かれ、霧のように消える。逃げ惑う猟犬たちは、最大の個体を守るようにゴットフリートを取り巻く。群れの鼻先は、すでにその全てがフィリップから逸れてゴットフリートに向けられていた。
一閃、二閃、迫る取り巻きの小型を次々なぎ倒し、首を落とされた小型の胴を蹴り飛ばして、大型の猟犬の腹部に強かに打ち込む。大型はその衝撃によろめき、間髪入れずゴットフリートは蹴り抜いた足を踏み込み、大剣の先が轟音を立てて唸る。
「おらぁ!!」
怒号。
最後に残った猟犬は、すんでのところで体勢を整え、身を翻してゴットフリートに飛び掛かる。ゴットフリートは構わず迫る猟犬の頭部目掛けて大剣を振り抜いた。
一瞬の、そして突然の静寂。猟犬がいない。すっかり気配までなくなった。息遣いすらも。
歴戦の猛者であるゴットフリートでさえ、大剣が命中する直前に突然姿を消した猟犬を目で追うことはできなかった。
「ああ? 犬っころめ! どこに行きやがったぁ!」
夜の雪山に、野太い声が響く。
ゴットフリートは消えた猟犬たちを探すために、見開いた眼で周囲を見渡す。そこには、膝をついたフィリップとゴットフリートの姿しかない。
けれど、ゴットフリートは警戒を解かない。手応えがなかった。これで退く相手ではないと彼は���解していたし、フィリップも同様に理解していた。
「ふんっ」
気合を入れなおし、ゴットフリートは柄を握る手に力を込めた。どこから飛び出してきても、一振りで仕留める。その巨躯と同じほどの丈の剣を、それだけの速さで振るえる者は、トラエに彼を置いて他にはいない。
辺りを窺っているゴットフリートの背後から、突然現れた大型が飛びかかる。ゴットフリートは殺気のみからその出現を察知し、反転して剣を振り抜く。
反応されることを予期してか、猟犬は剣先の手前で空を蹴って退き、振り抜かれた剣先をやり過ごしてから再び地を蹴ってゴットフリートに向かって飛ぶ。
それに応じ、振り抜いた剣の勢いに任せて回転、跳躍し、飛来する猟犬に自ら飛び込んで二撃目を狙う。
満月の空に、飛び掛かる猟犬と剣を構えた英雄の影が浮かび上がる。
「これで決まりだ!」
猟犬の尖った舌と、ゴットフリートの剣先が交差する。
猟犬は何も貫くことなく着地した。
さきほどまでゴットフリートが立っていた場所に、そっくりと足の跡があるだけだった。
突然、目の前から獲物がいなくなり、墓石の影から小型の仲間たちもそろそろと出てきた。全頭が戸惑ったかのように辺りを見渡し歩き回る。
本来の獲物であった筈のフィリップも、邪魔をしてきたゴットフリートの姿もなかった。
今度は雪の上に、奇妙な猟犬たちだけが取り残されていた。
周囲をしばらくうろついたあと、鼻をクンクンを動かす。
静かに、一頭が墓石の影に消えていく。
また一頭、また一頭とその後に続き、やがて全ての猟犬が、戦場から姿を消した。
残されたのは、戦死者たちを覆う雪だけだった。
猟犬の頭をたたき割るために剣を振るったその刹那、世界が光に包まれた。
直後に、体の重心がブレた感覚に襲われ、ゴットフリートは反射的に目をつぶった。
1秒と経たずに体の重心が元の位置に戻り、目を開ける。
猟犬はいなかった。
まるで夢だったかのように、自分ひとり、小汚い部屋の中心に立っていた。
肩当てには、剣圧で舞い上げて浴びた雪が、まだ薄く積もっていた。剣先にも、あの薄気味悪い生き物の返り血がこびりついたままだ。
「……ったく、興が冷めるぜ」
満月の照らす雪の斜面ではなく、見慣れた兵舎の中だ。誰かが置き忘れたであろうシャツで剣の血を軽く拭い、鞘に戻す。兵舎は狭すぎる。抜身の剣を手に歩けるほどの幅もない。
久々に、心の底の方から沸き立つような敵と相対した興奮は、まだ体の底にくすぶっていた。
「やってらんねえな!」
ゴットフリートは、転がっていた誰かの飲み残しの木製ジョッキを蹴り飛ばした。ジョッキは棚に当たり、耳障りな音を立てる。何もかもが苛立たしく、やり場のないフラストレーションがゴットフリートの内に燻っていた。
「助けたつもりかよ、あの野郎め……俺は勝ってたッ」
兜を小脇に抱えてバリバリと頭を掻いて、フンと大きな鼻息を吐いた。
また酒保にでも行くか、今日の分はもう飲んだけど若ぇ奴の分をふんだくるか、などと考えながら歩きはじめたゴットフリートは、異変に気が付いた。
「んだぁ? うるせえなぁ」
遠くから音がする。建物の外か。すぐにそれが何か、感づき、目を見開く。
この音を、ゴットフリートは知っている。身近でずっと聞き続け、その中を走り抜けてきた。
戦の気配。命を奪い合う者たちが放つ、独特の気配。ゴットフリートが生きる場所だ。魔術師、猟犬。次々降って湧いた獲物を前におあずけを食らって行き場をなくした”飢え”が、再び首をもたげた。
にやりと口角を上げて、ゴットフリートは胸を張った。
「仕事の時間か」
扉を蹴破り開けて飛び出す足取りは、子供のように無邪気だった。
(自分がしたことは、本当に許されることなのだろうか……)
スヴェンは何度も何度も繰り返した疑問に、自ら押しつぶされそうになっていた。
とんでもない過ちを犯したのではないだろうか。
真実は追い求めてきた。時空を遡行するという研究の真相に魅せられた心はまだ輝きを失っていない。
だが、それはあくまで自分の手で引き寄せたかった奇跡のはずだ。自らが完成してこそ意味を持った奇跡だったのではないか。
それでも、自分の人生で成し遂げられないというのなら、せめて知りたいと願ってしまった。
スヴェンは泣きたいような叫びたいような、複雑な心を噛みしめた。
ぶんぶんと首を振る。
「これでいいのだ……吾輩が自分で決めたことだ……」
そう思いながらも、机の上の本を開くことは出来なかった。
フィリップから、警備の情報と引き換えに得た本。
真実を目にしてしまえば、知る前には戻れない。
(未来からもたらされた知識……)
本来は今、ここには存在しないはずの知識を、自分が詳らかにしてしまってもよいのか。自分のためだけに使うのであれば、問題はないと言えるのか。意図せず自身のものとして世界に放り出されてしまわないか。自問する言葉はいくらでも心の底から浮かび上がってくる。
「……しばらく何か違う本でも読もう……」
再び窓の外を見ると、兵士たちが駆け出し、叫び合う声がした。敵襲……? 今、敵襲と言っていなかったか? 背中を汗が伝う。
窓の外に身を乗り出して、メガネを押し上げる。目を細め必死で夜闇を見た。
斜面を敵がやってくる。しかし、何か妙だ。あの集団はどうしたことか、どいつもこいつも大きく頭を左右に振り、各々が方方によろめき歩いて、統率が取れていないように見える。雪に足を取られ倒れる、しかしその横から、また別の兵士が立ち上がる。そうして、起き上がった者が列に加わり、数が見る間に増えていっている。ラウニやソルデの進軍にしては、不自然過ぎる集団だ。
「あれは……?」
深いため息を漏らし、背後の物音にスヴェンは振り向いた。
室内に、フィリップが立ち尽くしていた。昼間に姿を消した時とは打って変わってげっそりと痩せこけた印象で、左肩を押さえている。
「おお……」
「ここはもう危険だ」
フィリップは微かに震えた声でスヴェンに告げた。
「何が起きてるんだ?」
「襲われた。ゴットフリートに出くわして、その後どこからか猟犬のようなものが現れた」
「ゴットフリートと?!」
スヴェンは思い出した。ゴットフリートは酒を飲んでは城外を機嫌よく散歩することがある。そんなに頻繁ではないので失念していが、まさか、今日に当たるとは……。伝えなかった事に対する罪悪感がほんの一瞬だけ芽生えたが、すぐにそれは顔を隠した。
スヴェンを見つめて、フィリップは右手を離した。その下には、あるべきものがない。
「腕、が……」
切断されているわけでもない。ただ、不自然なほど委縮し、形を変えていた。
恐ろしくて息を飲む。
「分からない。猟犬に刺されたあとで、こうなった」
スヴェンは目を白黒させて、カチャカチャとメガネを直した。
「刺されたんだ。あの長い舌で……肘の上の辺りをやられたと思ったら、腕がこうなった」
「し、知らない!そんなおかしな犬がこの雪山に出るなんて聞いた事がない!私は知らなかった事だぞ!? ご、ゴットフリートの事だって…!」
スヴェンは必死に、大げさな身振り手振りで弁明した。
フィリップは探るようにスヴェンを見ていたが、やがて息を吐いて項垂れた。
「……ゴットフリートの方に猟犬の注意が向いて、その隙に長距離転移の準備が出来た。今頃、ゴットフリートも城塞のどこかに移せたと思う」
「なんてことだ……今、外が大変なことになっているようだ。君が何かしたわけではないのか?」
スヴェンのどこか切羽詰まった様子に、フィリップは首を傾げた。それを見て、スヴェンは腕を突き出して、研究室の窓の外を指差した。
フィリップは、山の斜面から兵士たちの屍体が起き上がる光景を目にした。
そして、慄いた。
遠くから音がする。うめき声が重なり合い、波のように城塞に押し寄せている。
「これ、は……」
「信じられないだろうが、ここから見る限りでは、斜面の戦死者が起き上がっているように見える。そうとしか思えん。雪の下から出てきて、城塞に向かってくる……お前がやったんじゃなかろうな?」
「……屍体が、起き上がった……? それは…」
スヴェンは不服そうにメガネを押し上げた。
「死体が起き上がって、この城を攻めてきている」
スヴェンの言葉を聞きながら、フィリップも窓の外に身を乗り出した。
信じられない。
さきほどまでフィリップは、ゴットフリートとあの猟犬と共に斜面にいた。猟犬に襲われ、命からがら城塞まで転移してきた。
しかし……、斜面からやってきているものは、猟犬ではない。先程雪の下から掘り出した兵士の屍体と同じ防具を着込んでいることが、月明かりに照らされて垣間見える。
「外で何があった? 一体何が起きている!? 未来から来たのなら、この城塞の歴史は知っているのだろう? 何があったのだ、あれはなんなんだ、このあと何が起きる!?」
「そんな…… 知らない、こんな事、僕は…」
城内では悲鳴まで上がり始めている。
フィリップは真っ直ぐと城塞に向かう屍者の群れを見る。ひとつひとつ小さな点に見えるが、それが幾千も動き始める。
ありえない。
だが、フィリップは屍者がひとりでに動くことがある前例を知っている。
世界の秩序が崩壊した日から、覇王の呪いを受けた屍者たちが立ち上がり、人々を襲い始めた。フィリップとグレーテルは、その屍体たちとこれまで戦ってきたのだ。
全てが始まったあの日の情景によく似ている。
ただ、ありえない。フィリップが知っている歴史では、この時期は人間同士の小競り合いこそあったが、まだ覇王は目覚めていなかったはずだ。屍者たちも、まだ起き上がってきてはいなかったはずだ。
だから、今こうして屍者がひとりでに動くなんてことは起こりえない。
「どうして……」
フィリップは言葉を飲み込んだ。
間違いない――あれは覇王の呪いを受けた者達だ。始めこそふらつきながら斜面を這い上がってきてた屍者たちの動きは見る間に活性化されていき、兵士たちの数倍も速く、そして生身の人間では考えられない力強さで兵士たちを易易となぎ倒す。兵士たちは木の葉のように簡単に弾き飛ばされていく。ただの屍者操作、ゾンビの類でできる芸当ではない。Buriedbornesの術を受けた者だけに見られる、人間を超えた動き。
屍者には感情がない、痛覚もない。限界を超えて動き、破壊され動けなくなるまで何度でも立ち上がる。
人間は疲弊する。今までの戦場とはかけ離れている事態に混乱している。倒れても何度でも起き上がる怪物に対して抱かれる感情は、恐怖でしかない。訳も分からず、城の者達は圧倒的な力を持った屍者たちに蹂躙されていく。悲鳴がブラストフォート城塞を支配している。
これは、あの日と同じではないか。
忘れることのできないあの日に。
「フィリップ、何が起きているんだ!」
「僕には分からない、何も知らない」
狼狽し、迫るスヴェンを突き放した。よろめき驚いて目を見開いたスヴェンに、フィリップは胸が痛んだ。まだ何も確信はないが、他に理由が考えられない。これは覇王の呪いだ。フィリップたちが立ち向かっている困難とあまりにも酷似している。
まさか、自分がここに来たことで、自分が受けている呪いをこの時代に広めてしまったのではないか?
それをどう伝えれば良い?また伝えたところで、何ができる?
「……ん? 何か臭わないか?」
スヴェンが怪訝そうに声を上げた。
フィリップは、心臓の鼓動が跳ねるのを感じた。
この臭いを、フィリップは一度嗅いでいる。
咄嗟に周囲を見渡して、机の角から青黒い煙が細く漏れ始めたのを見つける。
(いけない……! あの猟犬がくる!)
フィリップは確信した。これ以上、この時代にいることはできない。
全ての謎に、この場で答えを出す時間はもうない。閉鎖時空間を開く呪文の詠唱を始める。
「フィリップ!」
発生させた時空の”扉”に、自ら飛び込んだ。
「これから何が起こるかだけでも…!」
スヴェンの悲痛な叫び声がこだましたが、最後まで耳にする事はできなかった。
――何かを考えている暇もなかった。
フィリップには、スヴェンを置き去りにし、現在へ逃げ帰る以外の選択肢はなかった。
~つづく~
原作: ohNussy
著作: 森きいこ
※今回のショートストーリーはohNussyが作成したプロットを元に代筆していただく形を取っております。ご了承ください。
旧き世に禍いあれ(4) - “悔恨”
「ショートストーリー」は、Buriedbornesの本編で語られる事のない物語を補完するためのゲーム外コンテンツです。「ショートストーリー」で、よりBuriedbornesの世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
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女神たちに注がれた期待は「あの日」打ち砕かれた。1989年6月4日の天安門事件。その日、広場には2人の女神がいた。1人は正面の毛沢東肖像と向き合うように建てられた「自由と民主の女神」の像。高さ約9メートル、ニューヨークの「自由の女神」を模倣した白い塑像は広場に突入した軍車両につぶされて崩壊した。もう1人は当時23歳、北京師範大学院生の柴玲さん。学生リーダーとしてウアルカイシ氏、王丹氏とともに民主化を担う女性闘士としてスポットを浴びた。追悼集会やイベントに女神のオブジェが登場したり、柴さんらかつての指導者たちがマイクを握って訴える姿を映像で覚えている人もいるかもしれない。民主化のシンボルのその後。事件から30年を振り返った。
(共同通信=柴田友明)
筆者が柴玲さんと会ったのは事件から7年後の1996年3月だった。台湾で初めて行われた「総統選挙」視察のために台北を訪れた柴さんに取材を申し込んだ。日本のメディアとしては初の単独インタビューだったと思う。
事件後、フランスに亡命。米国に渡り実業界を歩み始めた柴さんに聞きたかったのは①中国当局が差し向けた追っ手をやり過ごし、どうやって国外脱出できたのか。「逃避行」の様子②中国の民主化運動に対する彼女のビジョンだった。
前年95年に柴さんと行動を共にした活動家の封従徳氏(柴さんと結婚、その後離婚)が香港誌に2人を助けたのは大陸内の仏教徒たちだったと証言している。「彼らは西側の民主主義について賛成していなかったが、仏教の教え・精神から逃亡を助けてくれた。(海外では)自分を充実するように。もし再び帰国して再び困難な目にあったときは、またわれわれが助けます」と同誌に語っている。
そういった直近の報道もあり、筆者は当時の状況について尋ねた。柴さんはしばらく沈黙した後に口を開いた。「多くの人の助けを借りて、私たちは救われました。それは事実です。でもそのことを少しでも語れば、(命の恩人たちに)大変な迷惑がかかります」。真剣なまなざしだった。
彼女は民主化運動については饒舌だった。時代背景もあったのだろう。台湾の総統選を「独立」への機運と考える中国が近海で軍事訓練を強行。一方で、民主的な選挙を支持する米国は空母「インディペンデンス」などを中心とする空母打撃群を展開。軍事的な緊張の中で、民主化を進める台湾への共感が彼女にあったように思える。
「暴力のない平和的な革命だ」「(中国の軍事行動は)逆効果だった。圧力は投票率を押し上げ、李登輝総統を有利にした。中国は既に時代が変わり、高圧的なやり方(民意の抑圧)が通用しないことを知るべきだ」「鄧小平は民意を反映し『改革開放』の旗印を掲げて登場したが、結局、政治は独裁化した。私たちの狙いは(内外の連帯で)後継指導者の江沢民(中国国家主席)に独裁の道を歩ませないようにすることだ。江沢民は選択次第で、中国の李登輝になれるのだから」。23年前の自身のインタビュー記事をあらためて目を通すと、彼女は大陸で果たせなかった民主化への「夢」を語ってくれたように思える。
事件から20年後の2009年6月。柴さんは中国指導部に対して声明を発した。「報道の自由や地方の自由選挙の導入などの政治改革」「(中国の民主活動家)劉暁波氏の即時釈放」だった。翌年、劉暁波氏のノーベル平和賞が決まった。中国で基本的人権の確立のために非暴力的な手段で闘ってきたことが受賞理由だ。中国当局は、「国家政権転覆扇動罪」で服役中の劉氏の授賞式出席を許さず、各国に出席を見送るように働きかけるなど「過剰」な対応をしたことはまだ記憶に新しい。
授賞式が行われたノルウェー・オスロにはかつての柴さんら天安門のリーダーたちが集まった。共同通信記事(2010年12月8日、10日)によると、柴さんは米ボストンでコンピューターソフト会社を経営しながら、中国の女性の権利向上を目指す活動と紹介。「感動的なセレモニーだった。劉暁波氏は物理的にはいなかったが、魂は会場にいたと思う」「授賞式の成功へ向けて内外の活動家が密接に連携していることが示せた」と語っている。
「天安門事件」の記憶自体が風化する中、柴玲さんの名前を聞いて当時の学生リーダーだと思い出す人はもう多くはないが、事件30年の節目に彼女をテーマに本稿を書いた。中国留学経験のある筆者にとって事件の犠牲者は同世代の人でもある。
× × ×
中国出身の作家楊逸さんの小説「時が滲む朝」は事件当時の学生たちの青春群像をモチーフに描き、2008年に芥川賞を受賞。ルポライター安田峰俊氏のノンフィクション「八九六四 『天安門事件』は再び起きるか」は現場にいた60人以上の人の証言をまとめた作品で今年5月、大宅壮一ノンフィクション賞に決まった。歴史に刻まれた事実はどういうかたちであれ、今後も伝えられていくであろう。
【天安門事件】中国で1989年4月に死去した改革派指導者、胡耀邦元共産党総書記の追悼を機に起きた学生や市民の民主化要求運動を当局が武力で弾圧した事件。当局は死者数を319人としているが、正確な数は不明。党内の保守派主導で北京に戒厳令が出され、軍が6月3日夜に制圧を開始、4日未明に中心部の天安門広場に突入し鎮圧した。学生たちに理解を示した趙紫陽党総書記(当時)は事件後失脚。当局は事件を「政治風波(騒ぎ)」と位置付け、弾圧を正当化している。
【日本政府の反応】菅義偉官房長官は6月3日の記者会見で、4日に発生から30年を迎える1989年6月の中国の天安門事件を「軍の実力行使による衝突の結果」と表現し、当時の中国対応を批判した。ただ「武力弾圧」や、米国が用いた「虐殺」などの表現使用は控え、日米間の温度差をにじませた。対日姿勢に軟化の兆しを見せる習近平指導部に対し、一定程度配慮した形だ。外務省によると、菅氏の発言は、事件直後の89年6月5日に当時の塩川正十郎官房長官が発表した談話に沿った内容。日本がこの問題を棚上げにしていないことを、内外に明らかにする狙いがある。日中関係の大幅改善を目指す安倍晋三首相としては、今月下旬に来日する習近平国家主席に対し、人権問題への取り組みをどのように促すかが課題になる。
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2021年の記録
2021年の記録です。
◆お芝居・イベント
3/19 『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』完成披露上映イベント@TOHOシネマズ日比谷
4/3 「Rejet Fes.2021 TRY!」昼@立川ステージガーデン
4/3 「Rejet Fes.2021 TRY!」夜@立川ステージガーデン
4/4 『ネオロマンス♥フェスタ 遙か二十年《鬼》祭』 昼 @神奈川県民ホール大ホール
4/4 『ネオロマンス♥フェスタ 遙か二十年《鬼》祭』 夜 @神奈川県民ホール大ホール
5/29 『ネオロマンス・ダンディズムLIVE ~この愛の歌を君に~』昼@KT Zepp Yokohama
5/29 『ネオロマンス・ダンディズムLIVE ~この愛の歌を君に~』夜@KT Zepp Yokohama
9/4 『リョーマ!prince of tennis 新生劇場版テニスの王子様』舞台挨拶12:40回@TOHOシネマズ日比谷
11/23 『召喚IP!~社畜とヴァンプ~』 昼 @カルッツかわさき
11/23 『召喚IP!~社畜とヴァンプ~』 夜 @カルッツかわさき
12/2 『眠れぬ夜のライブストーリー』ゲスト@紀伊國屋ホール
◆配信
1/27 ツイキャス『置鮎龍太郎の道2021 #ぺらゆる32』
3/14 『夢100 6周年プリンスパレード』配信昼
3/14 『夢100 6周年プリンスパレード』配信夜
5/29 『ネオロマンス・ダンディズムLIVE ~この愛の歌を君に~』昼
5/29 『ネオロマンス・ダンディズムLIVE ~この愛の歌を君に~』夜
5/31 テニチャ
6/2 ツイキャス 『ぺらゆるR』
6/12 『ときめきメモリアル Girl's Side DAYS 2021』昼
6/16 ツイキャス『置鮎龍太郎のゆるとーく』
6/30 ツイキャス『置鮎龍太郎のゆるとーく』
7/11 『スーパーロボット大戦 鋼の超感謝祭2021』配信
7/14 ツイキャス『置鮎龍太郎のゆるとーく』
7/28 ツイキャス『置鮎龍太郎のゆるとーく』
8/11 ツイキャス『置鮎龍太郎のゆるとーく』
8/21 ヘロQ・DVD発売記念ツイキャス 配信『バレタアトノハナシ』
8/26 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』
9/9 ツイキャス配信『置鮎龍太郎のゆるとーく』
9/15 ニコ生『古谷徹のハッピーガチャVol.3 キュンキュンデートの秋編』ゲスト
9/17 『聖闘士星矢RC一周年記念生放送』配信
9/18 ニコ生『置鮎龍太郎のくじメイト特番~ツンデレクール編~#01』
9/19 『TALES OF READING LIVE -ONLINE- テイルズ オブ デスティニー』
9/25 ニコ生 『置鮎龍太郎のくじメイト特番~ツンデレクール編~#2』
10/10 『テニプリ 20th Anniversary Event -Future-』
10/13 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』
10/20 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』
10/28 新ディズニープラス スタート記念!ディズニーっコらぢおウィーク『マーベル特番』
11/1 『燈の守り人』明治開国編 第一夜
11/2 『燈の守り人』明治開国編 第二夜
11/23 『召喚IP!~社畜とヴァンプ~』夜
11/27 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』
12/3 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』
12/8 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』
12/18 『JUMP FESTA'22 ジャンプスーパーステージ「新テニスの王子様」』配信
12/18 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』
12/21 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』
12/25 『BLEACH Brave Souls “卍解” 生放送X’masスペシャル2021!!』配信
12/26 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』
12/30 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』
◆ほか
1/29 (TV)『Mr.都市伝説 関暁夫のゾクッとする怪感話』
6/5 (映画)『劇場版Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット後編』挨拶付き上映
6/13 (映画)『劇場版Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット後編』
6/20 (TV)『青天を衝け』
7/18 (TV)『青天を衝け』
9/11 (映画)『リョーマ!』応援上映
9/17 (映画)『リョーマ!』応援上映
9/27 (TV)ネプリーグ
◆ドラマCD
『ストレンジ・プラス』2、『忍たま』、『Clock over ORQUESTA』など。聞いたの以外に、『新・オフィス遊佐浩二』、『朗読喫茶噺の籠』、『遙かなる時空の中で4~橿原宮炎上~』などあれこれ積んでます。
◆ゲーム
(ソシャゲ)『テニスの王子様 Rising Beat』、『Fate/Grand Order』、『ラングリッサーモバイル』、『剣が刻』、『夢王国と眠れる100人の王子様』、『刀剣乱舞』、『聖闘士星矢 ライジングコスモ』、『Sdorica』
(PS4)『無双OROCHI 3 Ultimate』、『新サクラ大戦』、『キャッスルヴァニア 〜暁月の円舞曲〜』
(Switch)『ポケモンスナップ』
◆アニメ・ラジオ・など
『ゴジラSP』、「荒野のスノー」(Love, Death and Robots S2E4 "Snow"吹替)、『忍たま乱太郎』、『名探偵コナン』、『しろくまカフェ』、『ジャングルはいつもハレのちグゥ』、『スラムダンク』、『新テニスの王子様オン・ザ・レイディオ』、日本ラグビー応援TV『ONEラグビー』
◆キャラソン
10曲くらい増えました
今年も、チケットは取っていたのに中止になってしまったイベントがありました。8/15に川口で開催予定だった『おじさんだけで遊びたい!』。それから、第三波まっただ中+下北沢の狭い小劇場という条件に、さすがに諦めたのが1月の『タチヨミ』。売れ残ってるチケットを買っておいて行かないという、闇のクラウドファンディングみたいなことをしました。そうでもしないと気持ちのもってきどころがなくて。逆に、感染の波の間を縫って、クロケスタのポップアップストアとコラボカフェと、ガンダムカフェには行けました。
印象に残っているのは『ダンディズム』です。新装Zepp、柿落としからのコロナ禍、初の有観客。本来なら、ただの建築物であった空間に、観客が入り、ホールとして呼吸を始める、特別で、お祝いのはずの日。なのに、席はひと席あけ、マスク着用、発声禁止。100%じゃない…いや、あの日はあれが100%だったんですが、限られた100%だった。あの日にあの空間の観客であることを、光栄に思うと同時に、もどかしさもとても強く感じました。私にできることは客席で観客をしていることだけだけど、それでは足りなすぎた。
『リジェフェス』も印象に残っています。久々のペンライト系のイベント。ステージに出てきて、カラフルな光に彩られた観客席という光景を目にした、ある声優さんの表情。トークによれば、そのかたはコロナ以降初めての観客の入ったイベントだったそうなんですが、それを聞かなくてもわかるくらいに、心が動いてるのが見えた。声優という職業の人たち、特にイベント出演中も活動の内であるような声優さんたちがライブ・イベントがほぼ全滅した時期に何を思われていたのか、もちろん私には知るよしもないんですが、「その場に集う」ということの大きさを感じました。
ふだんだったらーーつまり「コロナ前」だったら、『リジェフェス』の感想はきっとこうです。置鮎さんが縁に声をあてているところを初めて見た。イラストがあって、言葉があって、置鮎さんの声がある。どこにも「縁」という存在はいないのに、それでもあの短いライブ朗読の時間、縁が「いる」と思ったーー私もそこにいた。「ゲームで聞くのと同じ声だ」という同一性の確認とは根底から異なる、キャラの実在。それはこれまでのキャラという存在(とその成立のメカニズム)についての認識が覆されるような体験だった。
そういうことが意味をもたなくなったとはまったく思ってないんです。アニメ、ゲーム、キャラ、演技、その仕組み、成果、みんな面白いと思うし、すごいと思います。少しずつ少しずつでも理解していくのは楽しい。ただ、いままで考えなくて済んでいた、いろんな前提のようなものがいちどに消えて、また手探りで集めて、積み直しているような感じがします。同じイベントであっても、かつてイベントという名前で呼ばれていたものをもう一度作り直した何かのように思えるときも。「そうだった、こんな感じだった」という感覚のあとに、「戻ってきた」が続くのか、「でも…」が続くのか。別のフレーズが続くのか。「またこれをできるんだ」かもしれないし、「これじゃない気がする」かもしれない。あの感覚を言い表してくれる言葉が見つかる前に、違和感のほうがなくなるのかも。どうなんでしょうね。
こうして今年の置鮎さん活動(どういう呼称だ)を書き出してみても、正直、どう思ったらいいのかわからないところがあります。行けなかったライブ・イベントは、感染リスクの高さを考慮してパスした『タチヨミ』と、チケットを取るのを完全に忘れていた『テニプリ』記念イベント。配信では、ヘロQのライブ配信2作品を見ていません。好みに合わないので。なので、『タチヨミ』以外は、自分の側に理由があって見ていないわけです。でも、それは私が東京近郊に済んでいて、体が健康で、そして今年もかなりの時期を在宅で過ごしていたから。もし私が地方に住んでいたり、自分や家族の健康に条件があったり、週5で出勤して不特定多数の人に接する仕事をしていたら、つまり生活上の感染する・させるリスクが違ったら、ぜんぜんちがうリストになってたわけですよね。だから、職や収入のことを無視してさえ、これはとても特権的なリスト。でも同時に、私のような人間すら参加を控えていたら、企画が、コンテンツが、業界が、本当に力を失ってしまう。会場に行きたいし、行くことはできるし、行けば楽しかったけど、どこかで絶対に自由じゃなかった。常に選択だったし、リスクのことを考えてた。そんな一年でした。
現地参加以外での行動の変化としては、「現地参加したのに配信も買う」というのをふつうにやるようになりました。リストで現地・配信に重複があるのはそのせいです。配信のあるイベント、よかったイベントだけですが。ちょろい。
散財でいうと忘れてはならないのはくじメイトですね。ボイスなどが当たるオンラインの抽選です。楽しかったな。おみくじみたいに毎日引いたりして。サインは、ニコ生配信にゲストで出演された緑川さんとのダブルサインの色紙が当たってました。開封したときは何が書いてあるのか真剣にわかりませんでしたが。自分の部屋に、置鮎さんと緑川さんがサインをされた、自分の本名入りの色紙があるかと思うと、なんだか面白くてときどき笑っちゃいます。なんでこんなことに。もちろん私がくじを引いたからなんですが。なんでこんなことに。本名を呼ばれるボイスのほうは、親しげな演技+本名のコンボから生まれる距離感のなさが苦手で無理でした。宝の持ち腐れとはまさにこのこと。
あとは、『テニプリ』記念イベントのアフタートークの小野坂さんの言動があまりにひどかったのでtwitterで批判したら、マシュマロ(という名前の匿名メッセージ送信サービスのメッセージ)がめっち��きました。中身は、ほとんどが賛成、たまに反論という感じ。いろんな意見を聞かせてもらえたので、届いたマシュマロにはすべて感謝しているんですが、声優さんにどはまりして4年、いろんなことが起きるものです。
そう、置鮎さんにはまって4年です。せいぜい数ヶ月はまって飽きるのかと思いきや、1年程度はまって収まるのかと思いきや、パンデミックのあおりでそれどころではなくなるのかと思いきや、4年!なんと。そのうち2年がコロナ期間なことに、それなりに深い恨みを抱えています。どこにももってきようのない恨みを。上に書いたように、そんなことを恨んでいられる時点でなんにも恨む必要なんてない時代なんですが。にしてもコロナ許すまじ。
振り返れば4年ということもあり、今回もあれを…そもそもなぜこのコーナー(コーナー???)が書かれることになるのかいまだに意味不明だと思っていますが、いちおうこの一年の記録として書いておきますと、置鮎さんとの距離感が自分の中でちょっと変わったかな~と思ってます。「慣れた」?かなあ。
たとえば、置鮎さんがされてる配信で、私はいまだに毎回表示名を変えていて(最初は思うところあってそうしていたのですが今は完全に飽きてます)、置鮎さんは毎回私のtwitterのアカウント名前を呼ぶとか。しかも、私は最近twitterのアカウント名を以前とは別のものにしていることが多いので、もはや「旧」アカウント名。SNSで、名前を変えても、前の名前のときに知り合った人は前の名前で呼び続ける現象ってあるじゃないですか。ほぼあれを、どはまりした声優さんとやっている。なんで?
あるいは、置鮎さんのエゴサの対象範囲にいることに疲れて、置鮎さんのアカウントをブロックしたり。ブロックするほうもするほうですが、そもそもなんでそんなことが必要に?と考えるなら、そもそもあの頻繁で継続的なエゴサはいったい?冷静に考えて、「置鮎さんだから許されてるけど別の人だったらやばい」って感じじゃないですか??(それなのになぜ置鮎さんだと面白くなってしまうのか…)
上に「意味不明」と書きましたが、たぶん納得いってなかったんだと思うんですよね。なんというか、完全に自分のペースじゃなかったので。確かに置鮎さんは面白いし、かわいいし、リプライをいただいたらめっちゃテンション上がります。これでも人間なので、物理的に舞い上がるのはちょっと無理ですけど、気持ちは舞い上がります。元気がないときはほんとーーに効きます。それは今でも変わらない。でも疲れるときもある。光が強すぎるときが。
で、そこまで含めて慣れてきた。twitter上で置鮎さんに私を私と認識されてることとか、twitter上じゃなくても顔を覚えられてることとか、受け入れるのにだいぶ時間がかかったんですけど、いまは平気。いや平気ではないんですが(平気なわけがあるかーーー!!!)、平気ではないことまで含めて平気に。なった?あらためて書くとやっぱり平気ではないかもしれませんね…。なんだろう、「慣れた」…「受け入れた」…悟りを開いた??
私は私で、置鮎さんは置鮎さんで、私は置鮎さんにどはまりして、あとはときに起きることが起きる、ことがある。なんか、人間と人間のコミュニケーションなんだからそりゃそうだろうというような、だからなんでここにそのコミュニケーションがあることになってるのよというような、いっそ運命のような。不思議ですね。ひらたく言うとわけわかんないですね。
でも、先のわからない、わけのわからないこの一年で、置鮎さんはハッピーなびっくり箱みたいで、私のこの一年に置鮎さんの存在…置鮎さんにどはまりしたという状況があってよかったなと思います。
去年と同じフレーズを書きます。どうか来年は、みなさんにとって良い一年でありますように。
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Scrap Days
古い紙特有の匂いがする。埃っぽいなと呟いて、ここに居るぞと主張する。ばさばさと音を立てて落ちて来る紙の資料の向こう側で、「あいよ」と聞き慣れた声がした。資料探しを手伝いに行ったまま戻らぬ相棒を捜して踏み入れた芸術家どもの魔の巣窟は、徹夜続きのアルコールの匂いと僅かに珈琲の匂いと交じって煙草の煙と、妙に甘い匂いがした。声、らしきものは先程返事をしたもののみで、後は唸り声ばかりが響いている。踏み入れてはならない場所に来てしまったような気がしても、何時だって後の祭りだった。そもそも、ここカルデアでは珍しくもない光景でもある。ぱっと思いつくだけでも、数多の国から色んな時代の者達が集まっているのだ。文化のサラダボウルだと言うと、エジソン辺りが合衆国の建国について一言申して来そうな気もするが、安心して欲しい。発電マニアどもはエレナ女史の付き添いで『ちょっと』遠出している。何事もマハトマのお導き、大丈夫だ問題ない。
「友よ、」と声が聞こえた。意味のある音だ。視線を向ければ、平常からしてすでに色の白い名探偵中の名探偵が、迷探偵面をして視線を空に彷徨わせていた。考えるまでもなく、何処かに中身が旅立っているようだと頷く。探偵が座るこの部屋で一番高そうな革張りの赤いソファは、何をひっくり返したものやら濡れたような染みの痕がある。すぐ横の丸い猫脚のテーブルの上には、「 absinthe 」とラベルの張られた謎の瓶が幾つも空になって転がっていて、猫脚ににゃあとも鳴かない童話作家が頭を預けて低い声で唸っている。寝心地が悪いのだろう。そう言えば静かだなと辺りを見回せば、劇作家は据わった目つきで種火はもう食べさせないで欲しいとぶつぶつと呟いており、心持ち腹が膨れているような気もした。いつものメンバーだなと安堵したところで、ここでは見慣れぬ音楽家の二人が無言でダイスを転がしてカードを出しあっており、やれ「産地チェック」だとか小さい声で呟いている。唯一正気らしい復讐者、いいや、影のどうしようもない相棒はこてりと首を傾げていつの間にか目の前に立っており、「どうかしたのか共犯者よ」とそう言いながら卒倒した。末期だ、とてつもなく世紀末だ。なんぞかの合同の死がどうとか食堂でこのメンバーが会合をしていたのは知っていたが、謀反でも起こすつもりか。いやいや、と首を横に振る。そこでもう一つ。
「ロビン!」
素直に名前を呼んで助けてくれと主張を最大限にする。早く連れ去って欲しかった。だってここは、とっても教育に悪い現場だ。
「いや、まあ、なんです?締め切り前だから助けて欲しい、時給が出るってんでして。このご時世何かと入用でしょ、お互い。いざって時の貯蓄みたいなもんですよ。」
彼の言い分はこうである。別に悪くないし、仲間との交流を深めるのは今までの彼を思えばいいことだろうと頷いた。ロビンはそんな、……カルデアのマスターを前にして、盛大にため息をつきたいのを堪えた。朴念仁とは言うまい。気の使い方は人それぞれだ。好意に鈍感でなければ、発狂しかねない程パーソナルスペースを侵されているのにこの子供は指摘しない。できようもないのであろうが。今だって、個室に二人きりという環境がどうのとマスターである子供を思って、「保護者」と主張する何名かに視線をすれ違いざまに向けられた。マスターの部屋に誰かがスタンバイしているのはいつものことだ、と誰もが理解している筈だと言うのに。そもそも、保護者と主張している何名かというか正直なところ、ロビンにとって源の大将は頭の痛い種の一つではあった。アジア人の見た目が幼いということを抜きにしても、マスターである子供は生前のロビンよりは明らかに年下だった。懐かれるのは気分は悪くなかったし、距離を縮めれば時々甘えるような言動をするのが良かった。そういう趣味を持ち合わせているわけではないのだと言い切れるが、初めてありがとうとはにかんでくれた時は一瞬息を飲んだものだ。だって、ちっとも、この子供は心から笑うということをしなかったから。
以来、ロビンは保護者ではないが傍に居る。駄目そうだなと判断すれば手を伸ばすし、まだ頑張れそうだと思えばただただ見守っている。騎士中の騎士である円卓の面々に、「忠義あふれる行いだ」などと評された時は本気で喧嘩になりかけたが、特にマスターに報告はしてはいない。だって、ロビンは騎士にはなれない。柄でもないというのもあったが、主義に合わないのだ。何処にでも居て、ただ学校に通い、どうということもなく過ごせる筈だった子供。だから誰かが守らなくては、勿論、別にロビンは自分がそうでなければいけないとは思っていない。顔を隠して、影のように付き従う復讐者のような相棒にもなれない。何もかもが中途半端な立場で、でもそれでも英霊だから。幸いただの人間に負けるようなことは在り得ない。いつかいつもの日常が戻る時、その日に備えておくのだ。抜け駆けだとは誰にも言わせるつもりはない。これは正当な報酬なのだから。
「時間延長料金は貰うつもりですけどね。」
きょとりと瞬いた子供にロビンは笑いかけて、アンタにとっても悪い話じゃないぜと囁いたのだ。
ごう、と風が吹く。白い大地に雪が降り注ぎ、果ては見えない。今どこに居るのかと問おうとして、口を閉ざした。思考が明瞭になる。懐かしい瞬間は程遠い。次の氷雪の大地へと向かう筈だった一行が、不意に妙な隙間に迷い込んでから数日。時間経過はまったくない謎の領域で、本来であれば夏だった筈の日々を過ごしている。――ルルハワってなんだっけ、妙なワードが過ったが忘れた。忘れることにした。あまつ、NYに行きたいかあと声が聞こえた気もしたが、全くの幻聴であろう。
「先輩、良いお知らせと悪いお知らせがあります。どちらからお聞きになりたいですか。」
洋画でよくある台詞って、使ってみたいけど現実に使おうと思うと使えるタイミング全くないよね、なんて会話をしたのが五分前だった。頷いていた探偵に、思わず二度見をしたがこれも気のせいだろう。だと言うのに、愛すべき後輩は天然を惜しみなく発揮させ、結果的に場の空気を和ませることに成功していた。これを奇蹟と言わずして何と言おうか、そんなムニエルの叫び声も気のせいだろう。なんだっけ、これ、いつかの惨状に似ているなと立夏は思ったがなかったことにした。シリアスな状況が続かないのは仕方のないことで、空腹すら存在しないこのただ白い景色が続く退屈な時間は、精神的にひたすら摩耗するからなのだった。何の肉を使ったか当てよう、所長のお手製料理コンテストはすでに行った。マシュのましゅましゅコントは可愛かった。ダヴィンチちゃんのうんちくトークはもうマニアックなのでやめて欲しい。様々な要求があったが、ムニエル氏のお悩み相談コーナーは異常に盛り上がった。スタッフの探偵と接する時の会話のテンポが難しい、年頃であるマシュと立夏の情操教育上に正しい行動とはだの、割と平和じゃないかなと立夏が遠い目をしたくらいには時間が経過している、筈である。曖昧な時間が、焦燥感へと変わる。その瞬間はすぐそこだとわかっているのに、何も出来ずにいた。
「……良いお知らせは、特異点を発見したことです。悪いお知らせも特異点を発見したことです。」
つまりどういうことだってばよ、と立��は瞬いた。うっかり忍者のような物言いをしたなと思ったものの、誰も同じ国の出身者がいなかった為にそのネタは通じなかった。唯一、ムニエル氏だけが口元をにまにまとさせていた。
「つまりだね、立夏くん。特異点が見つかったんだ。この何もない筈の氷雪の大地の上に、突如として現れたんだよ。」
ドクターみたいな物言いをしたダヴィンチが、咳払いをした。意識をしたのかもしれない。立夏は小さくはにかんで、こくりと頷いた。後にすることはわかっている。特異点があるならば調査をする必要があった。何か不測の事態が発生していることは確かだったから。
そうして氷雪の大地に踏み入れた途端、立夏の足は緑に覆われた大地に辿り着いたのだ。あっという間だった。まるで目隠しをされていたかのように、そこに在った。ぶあ、と生々しい生き物の気配が襲い掛かる。情報量は急に多くなり、立夏は一瞬眩暈を覚える。でも、懐かしいと感じた。何故だろうと首を傾げた横に、ダヴィンチが降り立つ。上を見上げ青い空を、周りを見回し木々の木漏れ日を、耳を澄ませて鳥のさえずりを。「なんて、うつくしい」と幼い声でダヴィンチが言った。立夏は頷き、思い切り息を吐き出して、続けて胸いっぱいに吸い込んだ。冷たくない、温かな空気だ。マシュが恐る恐る降り立ち、探偵ことホームズは眩しそうに目を細めた。探索はいつも通り、二人で。何かあるかわからないと言う割に、ダヴィンチは危険性は低いと思うよと確信をもった様子で言い切る。ホームズは「成程、」と妙に嬉しそうに笑うのだ。
「常々、思っていたのだがね。会いたい、と言葉にしない理由を。成程、確かに願うまでもなかったわけだ。」
きょとりとする立夏に、ホームズは「さあ、行ってくるといい。懐かしい旧友に会えるだろう」と満面の笑みで言う。立夏は逆に警戒心を高めてしまいながら、マシュの手を強く握った。おや、と眉を跳ねあげたホームズは、今の言葉の何処に警戒心を高める理由があったのかということについて、すぐにダヴィンチに視線で訴えた。ところが全く伝わらず、ダヴィンチはお土産を楽しみにしていると手を大きく振ったのだった。
歩いて、歩く。踏みしめる大地の上に足跡が残る。雪に埋もれてすぐには消えない。振り返れば帰る場所へと通じる道筋はすぐにわかった。迷いそうでいて、迷わない程度にわかりやすく誰かが踏みしめたような小道があって。恐らくこの森の何処かに森の主が居るのだろうと容易に察せられた。特異点と言うからには敵も居るだろうと思ったのに、二人の行く手には何も遮るものがない。あるのはただ木々と、諸動物の気配と。人里を離れて、迷い込んだ森。そんな気分にさせられながら、立夏は歩みを進める。こんな風な場所を皆と歩いたなと思いながら、懐かしむ余裕すらでてきた。野営をすることはないだろうが、あまり遠くへは行かない様にしようかと手を繋いだマシュを振り返る。
「先輩、パンでもちぎって歩けばよかったですね。」
誰かに捨てられたわけでもないのにマシュがそう言って、立夏は食べる方が建設的じゃないかなと肩を竦めた。色気より食い気だからと言い訳をしてみて、マシュをちらりと見て。マシュはそれでも先輩と一緒なら、と笑うのだった。森の木々は時折かさりと音を立て、二人はその度に足を止めた。でも、その度に正体までは掴めずに、必死に気配だけを辿った。まるでわざと残されているような痕跡、歩いていた足が途中から走り出して、無我夢中に。アプリコット色の髪が揺れたのが見えたら、もう駄目だった。
白衣が、翻って。困ったように笑って。樹皮に縦に割れ目の走る、赤い小さな果実を無数につけた一際背の高い木の下で。その人は申し訳なさそうに、そこに居るのだ。
「「ドクター!」」
声が揃った。繋いでいた手もそのままに走って、押し倒さんばかりでしがみつく。誰なのかも、本人なのかもわからないまま、感じ慣れた気配ただそれだけに縋りつく。涙腺が緩んだ。頬を勝手に伝うものは止められずに、恋しくて寂しくて、手を伸ばしても届かなかったその人の名前を呼ぶ。ロマニ、ロマン、永遠に消えてしまった人。助けられなかった二人。後悔はいつだって尽きない。その中でも前所長とドクターだけは、二人に焼き付いているのだ。半ば呪いのように。
「……申し訳ないけど、先に言っておくよ。ボクはロマンその人ではないんだ。生前、ダヴィンチちゃんからのお願いで、ボクはボクのAIを造っていてね。だからこれは、ボクの代替品と言うか……データの集合体でしかない。この体は確かに人間によく似たものだけれど、年を取ることはない。あ、でもボク達が旅をした日々のこと、これまで二人がここに至るまでのこと。全部把握はしているよ。何せ、これはボクの我儘でもあるんだ。形がどうであれ、ボクは君達のつくる未来が見たかった。」
両腕は二人の背に回り、疑似的な回路で体温が点った手の平が二人の背を撫でる。撫でて、それだけでは足りなくて。頭やら頬を撫でて、触感を確かめるように。「柔らかいな、女の子だもんね」と言えば、マシュに無言で睨まれたりもして。
「オリジナルのボクは、立夏くんとマシュのことをとても愛していた。データの集合体であるボクにあるこの感情を本当だと信じてくれるなら、ボクだって二人のことが大好きだ。……そういうわけで、」
少しだけ間をおいてロマニは言うのだ。
「戦闘に役立てるかと言うと全くなんだけれどね。ああ、本来のボクよりはその辺はマシになってるけれど。……―――なにより、おかえりって言えるんだ。また、キミ達に。」
また零れて来る涙を拭って、マシュが縋り付く勢いでしがみつく。何処へも行かないでもう二度と、なんて言葉を言わなくてもきっと伝わっている。偽物かかどうかなんて判断するまでもなかった。二人にはわかっていたから。
帰り道すがらにロマニを挟んで手を繋いで歩く。両手に花だと立夏が言うと、「確かに若い子を連れて歩くのは、気分はいいな。」などと神妙な態度でロマニは頷く。積もる話もあったが、いつものようなやり取りが何よりも。立夏が楽しそうに話して、マシュがロマニにほんの少し甘えた素振りをして、ロマニが困ったように笑って。何時だって、ここにダヴィンチが居て、メンバーは入れ替わっていったりもした。でも、ロマニが居なければやっぱり駄目なのだ。おかえりの声がないと言うだけで、踏みしめる足は心細くなる。もう大丈夫歩いて行けると思っていたのに、こんな風にされてはもう駄目なのだ。優しさに飢えていたわけではない。新所長や、スタッフ、ホームズもダヴィンチだって。こんな状況であっても、尽きぬものだ。人の優しさ、温かさ。触れ合って、例え壊してしまう世界の向こう側であっても。もしかしたら狡いのかもしれないと立夏が言うと、マシュが不安そうにロマニを見上げた。ロマニはやっぱり困ってしまったように笑って、
「というか、ボクそのものはボーナス支給みたいなものなんだ。そもそもの発端は君達もよく知る彼のお願いからで、ダヴィンチちゃんとボクは相応の対価と引き換えに実現したに過ぎない。それでも有り余る資源はこうして今目の前にあるわけなんだけど、……よく考えてごらん。森、目隠し、そして、――イチイの木。」
今の今まで歩いて来た方向を振り返り、ロマニは嬉しそうに口にする。
「サーヴァントには好かれていないってデータがあったけれど、記録を読む限りではそうではないと思うんだ。少なくとも、『認められていた』ってね。何よりボクはあの彼にそう願われたことが、何よりも嬉しい。」
好かれているとは思わなかったのだと語る口調は楽しそうでもあって、訝し気に見上げるマシュの手を揺らして、ロマニはまあまあ、と宥める。歩いて、歩いて、その内に森の終わりが見えてきて。またふわり、と幻影のように森が消えそうになったところで、ロマニが二人の手をやんわり解いて振り返り叫んだ。
「ロビンくーーーーーーーーーーーーーん!やっぱり二人に黙って置くのはかなり無理があると思うんだ!大体使い切れないリソースを廃棄するのはもったいない。限りある資源こそ有効に使うべきだ。肉体のあるロビンくんなら、戦力としても護衛役として十分な筈だろう?!」
ぶっと噴き出したのは立夏で、マシュはぱちぱちとしきりに瞬いている。一方、叫び声の木霊する森はゆる��ると消えて行き。やがてぽつんと緑色のマントを纏う人影へと姿を変えた。あの森そのものが彼の宝具だったとは、まさか思いもよるまい。立夏は何か逸話に大幅な変更でもあったのかと首をひねるが、勢いよくフードをとったロビンは舌打ち交じりに言い放つ。
「仕様変更でも何でもねえっての。こちとら、持ってるところからせっせとバイトをして隙間産業しながら溜め込んだんだ。聖杯?上限迎えてるってのに、人に捻じ込んで来たのは何処の何方でしたでしょーか。」
じと、と見つめる視線に立夏は何と無く気恥ずかしくなり、ロマニの後ろの隠れた。何だかビミョーなお年頃のような反応をされ、ロビンは閉口する。今それか、今になってそれかと内心で突っ込みつつ、ロビンにしては積極的に歩み寄って襟首をつかんで引きずり出せば、合わせる顔がないと来たものだ。ぼそぼそと語る言葉を繋ぎ合わせれば、もう会えないと思っていたから、だの、いつかまた会えたらいいとは思っていた、だのと。
「立夏くん、そこは素直に会いたかったでいいと思うんだ。データから見ても、こういうのはリリカルな展開を経てメイ・キングなだけにメイキングラブになると思うんだ。」
ロビンがついロマニの肩を軽く小突いた。流石に今のはなかったな、とお互いに視線を交わしたところで、マシュが咳払いをし、
「つまり……、どういうことなんでしょうか。ロビンさんは、あのカルデアに居たロビンさんなんですか?」
「まあ、なんです。宝石剣をちょいとレンタルしましてね。出所については聞かないでくださいよ。面白くもない苦労話が付録につくだけだ。――あー、そもそもあの宝石剣ってのは平行世界の」
「ロビン、もっとわかりやすく。」
立夏がかみ砕いてくれと言うと、そうでしたね、とロビンは立夏の頭を撫でる。こういう時、孔明大先生が居たらなとロビンは思うのだが、居ないものは仕方あるまい。
「宝石剣で平行世界からマジックパワーを集めたよってところですかね……」
「雑だね。ロビンくん。」
ロマニに雑などと言われると、ロビンも思うところはある。思うところはあるが、突っ込みを返したところで泥沼になるのが目に見えていた。まじっくぱわあ、とぼやいた立夏はじーとロビンを見上げている。
「そんなに熱心に見つめたところで、ハンサム顔があるだけですよ。」
「クラスがキャスターになったってこと?」
「違うな???」
「でもドルイドの関係なら、キャスターわんちゃん。」
「どこぞの御子様でもあるまいに、木を燃やすなんて真似しませんよ。一面焼け野原にでもなっちまったら、隠れる場所なくなるでしょうが。」
「あー、成程。そういう流れでなしなんだ。」
「いやまあ、どっかの誰かが新たな逸話でも発見したなら在り得ない、とは言い切れないけどな。…………、この話今必要だったか?」
「あんまり。」
「ですよね。」
成程と頷いている立夏の調子が相変わらずマイペースだなと思いながら、ロビンはふっと視線を逸らす。すると目に入ったのがにやにやしているロマニと、したり顔のマシュなのだから手におえない。まだそう言うんじゃないと主張したところで、もう手遅れだろう。ダヴィンチが顔を覗かせているのが遠くに見えるし、ここから待ち受ける盛大な言い訳と、新所長への御目通りと。これからのことを思えば、決して容易い日々ではあるまい。でも、立夏はそこに居て、守りたい者とその日々は此処にあるから。
かくて、愛と希望の日々はまだ続き、旅はまだまだ終わりそうにもない。ロビンは冷たい曇り空を見上げ、肩を竦めて。仕方なさそうな素振りで笑って返して、いつもと変わらない素振りでそこに居るのだ。
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ひとみに映る影シーズン2 第五話「大妖怪合戦」
☆プロトタイプ版☆
こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。
最低限の確認作業しかしていないため、
誤字脱字誤植誤用等々あしからずご了承下さい。
尚、正式書籍版はシーズン2終了時にリリース予定です。
(シーズン2あらすじ)
私はファッションモデルの紅一美。
旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!?
霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった!
実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ……
なんて言っている場合じゃない。
諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ!
憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
☆キャラソン企画第五弾 後女津親子「KAZUSA」はこちら!☆
དང་པོ་
河童信者に手を引かれ、私達は表に出る。小学校は休み時間にも関わらず、校庭に子供達が一人もいない。代わりに何故か、島の屈強そうな男達が待ち構えていた。
「いたぞ! 救済を!」「救済を!」
「え、何……わあぁっ何を!?」
島民達は異様な目つきで青木さんを襲撃! 青木さんは咄嗟に振り払い逃走。しかし校外からどんどん島民が押し寄せる。人一倍大柄な彼も、多勢に組み付かれれば為す術もないだろう!
「助けて! とと、止まってください!!」
「「救済を……救済を……!」」
ゾンビのようにうわ言を呟きながら青木さんを追う島民達。見た限り明確な悪霊はいないようだけど、昨晩の一件然り。彼らが何らかの理由で正気を失っている可能性は高い! このままでは捕まってしまう……その時タナカDが佳奈さんにカメラを預け、荒れ狂う島民達と青木さんの間に入った!
「志多田さん、紅さん、先に行って下さい! ここは僕が食い止めゴハアァ!!」
タナカDに漁師風島民のチョークタックルが炸裂!
「タナカDーっ!」
「と……ともかく行け! 音はカメラマイクでいいから、ばっちり心霊収めてきて下さいよッ……!」
「い、行きましょう! ともかく大師が大変なんです!!」
河童信者に急かされ、私と佳奈さんは月蔵小学校を離れた。傾斜が急な亡目坂を息絶えだえに駆け上がると、案内された先は再び御戌神社。嫌な予感が募る。牛久大師は……いた。大散減を封印していた祠にだらりと寄りかかり、足を投げ出して座っている。しかも、祠の護符が剥がされている!
「んあー……まぁま、まぁまぁ……」
牛久大師は赤子のように指を咥え、私を見るなりママと呼び始めた。
「う……牛久大師?」
「この通りなのです。大師は除霊のために祠の御札を剥がして、そうしたら……き、急に赤ちゃんに……」
河童信者は指先が震えている。大師は四つん這いで私ににじり寄った。
「え、あの……」
「エヘヘ、まんまー! ぱいぱい! ぱいぱいチュッチュ!!」
大師が口をすぼめて更ににじり寄る。息が臭い。大師のひん剥いた唇の裏側にはビッシリと毛穴ような細孔が空いていて、その一粒一粒にキャビアみたいな黒い汚れが詰まっている。その余りにも気色悪い裏唇が大師の顔の皮を裏返すように広がっていき……って、これはまさか!
「ヒィィィッ! 寄るな、化け物!!」
私は咄嗟に牛久大師を蹴り飛ばしてしまった。今のは御戌神社や倶利伽羅と同じ、金剛の者に見える穢れた幻視!? という事は、大師は既に……
「……ふっふっふっふ。かーっぱっぱっぱっぱっぱ!!」
突然大師は赤子の振りを止め、すくっと立ち上がった。その顔は既に平常時に戻っている。
「ドッキリ大成功ー! 河童の家でーす!」
「かーっぱっぱ!」「かっぱっぱっぱ!」
先程まで俯いていた河童信者も、堰を切ったように笑い出す。
「いやぁパッパッパ。一度でいいから、紅一美君を騙してみたかったのだ! 本気で心配してくれたかね?」
「かっぱっぱ!!」「かっぱっぱっぱぁーっ!!」
私が絶句していると、河童の家は殊更大きく笑い声を上げた。けどよく見ると、目が怯えている? 更には何故か地面に倒れたまま動かない信者や、声がかすれて笑う事すらままならない信者もいるようだ。すると大師はピタリと笑顔を止め、その笑っていない信者を睨んだ。
「……おん? なんだお前、どうした。面白くないか?」
大師と目が合った信者はビクリと後ずさり、泣きそうな声で笑おうと努力する。
「かかッ……かっぱ……かぱぱ……」
「面、白、く、ないのか???」
大師は更に高圧的に声を荒らげた。
「お前は普段きちんと勤行してるのか? 笑顔に勝る力無し。教祖の俺が面白い事を言ったら笑う。教義以前に人として当たり前のマナーだろ、エエッ!?」
「ひゃいぁ!! そそ、そ、その通りです! メッチャおもろかったです!!」
「面白かったんなら笑えよ!! はぁ、空気悪くしやがって」
すると大師は信者を指さし、「バーン」と銃を撃つ真似をする。
「ひいっ……え?」
「『ひいっ……え?』じゃねえだろ? 人が『バーン』っつったら傷口を抑えて『なんじゃカパあぁぁ!?』。常識だろ!?」
「あっあっ、すいません、すいません……」
「わかったか」
「はい」
「本当にわかったか? もっかい撃つぞ!」
「はい!」
「ほら【バーン】!」
「なんじゃッ……エッ……え……!?」
信者は大師が期待するリアクションを取らず、口から一筋の血を垂らして倒れた。数秒後、彼の腹部から血溜まりが静かに広がっていく。他の信者達は顔面蒼白、一方佳奈さんは何が起きたか理解できず唖然としている。彼は……牛久大師の脳力、声による衝撃波で実際に『銃殺』されたんだ。
「ああもう、下手糞」
「……うわああぁぁ!」「助けてくれーーっ!!」
信者達は蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。すると大師は深くため息をつき、
「はあぁぁぁ……そこは笑う所だろうが……【カーッパッパァ】!!!」
再び特殊な声を発した。すると祠から大量の散減がワサワサと吹き出し、信者達を襲撃する!
「ボゴゴボーーッ!」「やめ、やめて大師、やめアバーーッ!」
信者達は散減に体を食い荒らされ、口に汚染母乳を注ぎこまれ、まさに虫に寄生された動物のようにもんどり打つ!
「どうだ、これが笑顔の力よ。かっぱっぱ!」
「牛久舎登大師! 封印を解いて、どうなるかわかってるんですか!?」
私は大師を睨みつける。すると大師は首をぐるりと傾け、私に醜悪な笑みを浮かべた。
「ん? 除霊を依頼された俺が札を剥がすのに何の問題がある? 最も、俺は最初(ハナ)からそうするつもりで千里が島に来たのだ」
「何ですって!?」
「コンペに参加する前から、千里が島には大散減という怪物がいると聞いていた……もし俺がそいつを除霊できれば、河童の家は全国、いや世界規模に拡大する! そう思っていたのだがな。封印を解いてみたら、少しだけ気が変わったよ……」
大師は祠を愛おしそうに撫で回す。
「大散減は俺を攻撃するどころか、法力を授けてくれた。この俺の特殊脳力『ホーミー』の音圧は更に強力になり、もはや信者の助けなどなくとも声で他人を殺せるほどにだ!」
信者達は絶望的な顔で大師を見ている。この男、どうやら大散減に縁を食われたようだ。怪物の悪縁に操られているとも気付かず、与えられた力に陶酔してしまったのだろう。
「もう除霊なんかやめだ、やめ。俺は大散減を河童総本山に連れて帰り、生き神として君臨してやる! だがその前に、お前と一戦交えてみたかったのだ……ワヤン不動よ!」
「!」
彼は再び私を『ワヤン不動』と呼んだ。しかもよりによって、佳奈さんの目の前で。
「え、一美ちゃん……牛久大師と知り合いなの……?」
「いいえ……い、一体、何の話ですか?」
「とぼけるな、紅一美君! 知っているぞ、お前の正体はワヤン不動。背中に影でできた漆黒の炎を纏い、脚まで届く長い腕で燃え盛る龍の剣を振るう半人半仏の影人間(シャドーパーソン)だ! 当然そこいらの霊能者とは比べ物にならない猛者だろう。しかも大いなる神仏に楯突く悪霊の眷属だと聞くが」
「和尚様を愚弄するな!」
あっ、しまった!
「一美ちゃん……?」
もう、全てを明かすしかないのか……私はついに、プルパに手をかけた。しかしその時、佳奈さんが私の腕を掴む。
「わかった、一美ちゃん逃げよう。今この人に関わっちゃダメ! 河童信者も苦しそうだし、きっと祠のせいで錯乱してるんだよ!」
「佳奈さん……」
佳奈さんは私を連れて鳥居に走った。けど鳥居周辺には何匹もの散減が待ち構えている!
「かぁーっぱっぱ、何も知らぬカラキシ小娘め! その女の本性を見よ!」
このままでは散減に襲われるか正体がばれるかの二択。それなら私の取るべき行動は、決まりきっている!
「佳奈さん、止まって!」
私は佳奈さんを抱き止め、足元から二人分の影を持ち上げた! 念力で光の屈折を強め、影表面の明暗コントラストを極限まで高めてから……一気に放出する!
「マバーッ!」「ンマウゥーッ!」
今は昨晩とは打って変わって快晴。強烈な光と影の熱エネルギーを浴びた散減はたちまち集団炎上! けど、これでついに……
「かーっぱぱぱ!! ワヤン不動、正体暴いたり! さあ、これで心置き無く戦え「どうやら間に合ったようですね」
その時、鳥居の外から牛久大師の言葉を遮る声。そして、ぽん、ぽこぽん、と小気味よい小太鼓のような音。
「誰だ!?」
ぽんぽこ、ぽんぽこ、ぽん……それは化け狸の腹鼓。鳥居をくぐり現れた後女津親子は、私達と牛久大師の間に立ちはだかった!
「『ラスタな狸』が知らせてくれたんですよ。牛久舎登大師が大散減に取り憑かれて錯乱し、したたびさんに難癖をつけているとね。だが、この方々には指一本触れさせない」
「約束通り、手柄は奪わせてもらったよ。ぽんぽこぽーん!」
万狸ちゃんが私にウインクし、斉二さんはお腹をぽんと叩いてみせる。
「ええい、退け雑魚め! お前などに興味は【なあぁいッ】!!」
大師の声が響くと、祠がズルリと傾き倒れた。そこから今までで最大級のおぞましい瘴気が上がり、大師を飲み込んでいく!
「クアァーーッパッパッパァ! 力が……力がみなぎってくるくるクルクルグゥルゥゥゥアアアアア!!!!」
バキン、ボキン! ���師の胸部から肋骨が一本ずつ飛び出し、毛の生えた大脚に成長していく!
「な……なっ……!?」
それは霊感のない者にも見える物理的光景だ。佳奈さんは初めて目の当たりにした心霊現象に、ただただ腰を抜かす。しかし後女津親子は怯まない!
「逃げて下さい、と言いたいところですが……この島に、私の背中よりも安全な場所はなさそうだ」
གཉིས་པ་
斉一さんはトレードマークである狸マントの裾から、琵琶に似た弦楽器を取り出した。同時に彼の臀部には超自然の尻尾が生え、万狸ちゃんと斉二さんも臨戦態勢に入る。病院で加賀繍さんのおばさまを守っている斉三さんは不在だ。一方ついさっきまで牛久大師だった怪獣は、毛むくじゃらの細長い八本足に八つの顔。頂上にそびえる胴体は河童の名残の禿頭。巨大ザトウムシ、大散減だ!
【【退け、雑魚が! 化け狸なんぞに興味はない! クァーッパッパァアア!!!】】
縦横五メートル級の巨体から放たれる衝撃音! 同時に斉一さんもシャラランと弦楽器を鳴らす。すると弦の音色は爆音に呑み込まれる事無く神秘的に響き、私達の周囲のみ衝撃を打ち消した!
【何ィ!?】
「その言葉、そのままお返し致します。河童なんぞに負けたら妖怪の沽券に関わるのでね」
【貴様アァァ!!】
チャン、チャン、チャン、チャン……爪弾かれる根色で気枯地が浄化されていくように、彼の周囲の景色が色鮮やかになっていく。よく見るとその不思議な弦は、斉一さんの尻尾から伸びる極彩色の糸が張られていた。レゲエめいたリズムに合わせて万狸ちゃんがぽんぽこと腹鼓を打ち、斉二さんは尻尾から糸を周囲の木々や屋根に伝わせる。
【ウヌゥゥゥーッ!】
大散減は斉一さんに足払いを仕掛けた。砂利が撒き上がり、すわ斉一さんの��ントがフワリと浮く……と思いきや、ドロン! 次の瞬間、私達の目の前では狸妖怪と化した斉一さんが、涼しい顔のまま弦をかき鳴らし続けている。幽体離脱で物理攻撃無効!
「どこ見てんだ、ノロマ!」
大散減の遥か後方、後女津斉一の肉体を回しているのは斉二さんだ! 木々に伝わせた糸を掴み、ターザンの如くサッサと飛び移っていく。そのスピードとテクニックは斉一さんや斉三さんには無い、彼だけの力のようだ。大散減は癇癪を起こしたように突進、しかし追いつけない! すると一方、腹鼓を打っていた万狸ちゃんが大散減に牙を剥く!
「準備オッケー。ぽーん、ぽっこ……どぉーーーん!!」
ドコドコドコドコドコドォン!!!! 張り巡らされた糸の上で器用に身を翻した万狸ちゃんは、無数の茶釜に妖怪変化し大散減に降り注ぐ! 恐竜も泣いて絶滅する大破壊隕石群、ブンブクメテオバーストだ!!
【ドワーーーッ!!!】
大散減はギャグ漫画的なリアクションと共に吹っ飛んだ! 樹齢百年はあろう立派な椎木に叩きつけられ、足が一本メコリとへし折れる。その傷口から穢れた縁母乳が噴出すると、大散減はグルグルと身を回転し飛沫を撒き散らした! 椎木枯死!
「ッうおぁ!」
飛び石が当たって墜落した斉二さんの後頭部に穢れ母乳がかかる。付着部位はまるで硫酸のように焼け、鼻につく激臭を放つ。
「斉二さん!」
「イテテ、マントがなかったら禿げるところだった」
【なんだとッ!? 貴様ァ! 河童ヘアを愚弄するなアアァ!】
再び起き上がる大散減。また何か音波攻撃を仕掛けようとしている!?
「おい斉一、まだか!」
「まだ……いや、行っちまうか」
ジャカジャランッ!! 弦楽器が一際強いストロークで奏でられると、御戌神社が極彩色に包まれた! 草花は季節感を無視して咲き乱れ、虫や動物が飛び出し、あらゆる動物霊やエクトプラズムが宙を舞う。斉一さんは側転しながら本体に戻り、万狸ちゃんも次の妖怪変化に先駆けて腹鼓を強打する!
「縁亡き哀れな怪物よ、とくと見ろ。この気枯地で生ける命の縁を!」
ジャカン!! ザワワワワ、ピィーッギャァギャァーッ! 弦の一弾きで森羅万象が後女津親子に味方し、花鳥風月が大散減を襲う! 千里が島の全ての命を踊らせる狸囃子、これが地相鑑定士の戦い方だ!
【【しゃらくせェェェェェエエエ!!】】
キイィィーーーーィィン! 耳をつんざく超音波! 満ち満ちていた動植物はパタパタと倒れ、霊魂達は分解霧散! 再び気枯た世界で、大散減の一足がニタリと笑い顔を上げると……目の前には依然として生い茂る竹藪の群青、そして大鎌に化けた万狸ちゃん!
「竹の生命力なめんなあああぁぁ!!!」
大鎌万狸ちゃんは竹藪をスパンスパンとぶった斬り、妖力で大散減に投げつける。竹伐狸(たけきりだぬき)の竹槍千本ノックだ!
【ドヘェーーー!!】
針山にされた大散減は昭和のコメディ番組のようにひっくり返る! シャンパン栓が抜かれるように足が三本吹き飛び、穢れ母乳の噴水が宙に螺旋を描いた!
「一美ちゃん、一瞬パパ頼んでいい?」
万狸ちゃんに声をかけられると、斉一さんが再び私達の前に戻ってきた。目で合図し合い、私は影を伸ばして斉一さんの肉体に重ねる。念力を送りこんで彼に半憑依すると同時に、斉一さんは化け狸になって飛び出した。
【【何が縁だクソが! 雑魚はさっさと死んで分解霧散して強者の養分になればいい、最後に笑うのは俺だけでいいんだよ! 弱肉強食、それ以外の余計な縁はいらねぇだろうがああァーーッ!!!】】
大散減は残った四本足で立ち上がろうとするが、何故かその場から動けない。よく見ると、大散減の足元に河童信者達がしがみついている!
「大師、もうやめてくれ!」
「私達の好きだった貴方は、こんなつまらない怪物じゃなかった!」
「やってくれ、狸さん。みんなの笑顔の為にやってくれーーーッ!!」
【やめろ、お前ら……死に損ないが!!】
大散減はかつての仲間達を振り飛ばした。この怪物にもはや人間との縁は微塵も残っていないんだ!
「大散減、許さない!」
ドォンッ! 心臓に響くような強い腹鼓を合図に、万狸ちゃんに斉一さんと斉二さんが合体する。すると全ての霊魂や動植物を取り込むような竜巻が起こり、やがて巨大な生命力の塊を形成した。あれは日本最大級の狸妖怪変化、大(おっ)かむろだ!
「どおおぉぉぉおおん!!!」
大かむろが大散減目掛けて垂直落下! 衝撃で地が揺れ、草花が舞い、カラフルな光の糸が空を染める!!
【【やめろーーっ! 俺の身体が……力がァァァーーーッ!!!】】
質量とエーテル体の塊にのしかかられた大散減はブチブチと音を立て全身崩壊! 残った足が一本、二本と次々に潰れていく。
【【【ズコオオォォォォーーーーー!!!!】】】
極彩色の嵐が炸裂し、私は爆風から佳奈さんを庇うように抱きしめる。轟音と光が収まって顔を上げると、そこには元通りに分かれた後女津親子、血や汚れにまみれた河童信者、そして幾つもの命が佇んでいた。
གསུམ་པ་
「一美ちゃーーん!」
戦いを終えた万狸ちゃんが私に飛びついた。支えきれず、尻餅をつく。
「きゃっ!」
「ねえねえ、見た? 私の妖術凄かったでしょ!?」
「こら、万狸! 紅さんに今そんな事したら……」
斉一さんがちらっと佳奈さんに視線を向けた。万狸ちゃんは慌てて私から離れ、「はわわぁ! 危ない危ない~」と可愛く腹鼓を叩いた。私も横を見ると、幸い佳奈さんは目を閉じて何か考えているようだった。
「佳奈さん?」
「……そうだよ、怪物は『五十尺』……気をつけて、大散減まだ死んでないかも!」
「え!?」
その時、ズガガガガガ! 地面が激しく揺れだす。後女津親子は三人背中合わせになり周囲を警戒。佳奈さんがバランスを崩して転倒しそうになる。抱きとめて辺りを見渡すと、祠と反対側の手洗い場に煙突のように巨大な柱が天高く突き上がった! 柱は元牛久大師だったご遺体をかっさらって飲み込む。咀嚼しながらぐにゃりと曲がり、その先端には目のない顔。まさか、これは……
「大散減の……足!」
「ちょっと待って下さい。志多田さん……『大散減は五十尺』と仰いましたか!?」
斉一さんが血相を変えて聞く。言われてみれば、青木さんもそんな事を言っていた気がする。
「あの、こんな時にすいません。五十尺ってどれくらいなんですか?」
「「十五メートルだよ!!」」
「どえええぇぇ!?」
恥ずかしい事に知らないのは私とタナカDだけだったようだ。にわかには信じ難いけど、体長十五メートルの怪物大散減は、地中にずっと潜んでいたんだ! その寸法によると、牛久大師が取り込んでいた力は大散減の足一本程度にも満たない事になる。ところが、大師を飲み込んだ大散減の足はそのまま動かなくなった。
「あ……あれ?」
万狸ちゃんは恐る恐る足に近付き観察する。
「……消化不良かな。封印するなら今がチャンスみたい」
斉一さんと斉二さんは尻尾の糸の残量を確認する。ところがさっきの戦闘で殆ど使い果たしてしまっていたようた。
「参ったな……これじゃ仮止めの結界すら張れないぞ」
「斉三さんを呼んでくるよ、パパ。ちょっと待ってて!」
万狸ちゃんが亡目坂へ向かう。すると突然斉一さんが呼び止めた。
「止まれ、万狸!」
「え?」
ボタッ。振り向いた万狸ちゃんの背後で何かが落下した。見るとそれは……まだ赤い血に濡れた人骨。それも肋骨だ!
「ンマアアアァァゥゥゥ!!!」
「ち、散減!?」
肋骨は金切り声を上げ散減に変化! 万狸ちゃんが慌てて飛び退くも、散減は彼女を一瞥もせず大散減のもとへ向かう。そしてまだ穢れていない母乳を口角から零しながら、自ら大散減の口の中へ飛びこんでいった。
「一美ちゃん、狸おじさん、あれ!」
佳奈さんが上空を指す。見上げるとそこには、宙に浮かぶ謎の獣。チベタンマスティフを彷彿とさせる超大型犬で、毛並みはガス火のように青白く輝いている。ライオンに似たたてがみがあり、額には星型の中央に一本線を引いたような記号の霊符。首には首輪めいて注連縄が巻かれていて、そこに幾つか人間の頭蓋骨があしらわれている。目は白目がなく、代わりにまるで皆既日蝕のような光輪が黒い眼孔内で燦然と輝く。その獣が鮮血滴る肋骨を幾つも溢れるほど口に咥え、グルグルと唸っているんだ。私と佳奈さんの脳裏に、同じ歌が思い浮かぶ。
「誰かが絵筆を落としたら……」
「お空で見下ろす二つの目……月と太陽……」
今ようやく、あの民謡の全ての意味が明らかになった。一本線を足した星型の記号、そして大散減に危害を加えると現れる、日蝕の目を持つ獣。そうだ。千里が島にいる怪物は散減だけじゃない。江戸時代に縁を失い邪神となった哀れな少年、徳川徳松……御戌神!
「ガォォォ!!」
御戌神が吠え、肋骨をガラガラと落とした。肋骨が散減になると同時に御戌神も垂直降下し万狸ちゃんを狙う!
「万狸!」
すかさず斉二さんが残り僅かな糸を伸ばし、近くの椎木の幹に空中ブランコをかけ万狸ちゃんを救出。但しこれで、後女津親子の妖力残量が尽きてしまった。一方御戌神は、今度は斉一さんを狙い走りだす! 一目散に逃走しても、巨犬に人間が追いつけるわけもなし。斉一さんは呆気なく押し倒されてしまった。
「うわあぁ!」
「パパ!!」
斉一さんを羽交い締めにした御戌神は大口を開く! 今まさに肋骨を食いちぎろうとした、その時……御戌神の視界を突如闇が覆う!
「グァ!?」
御戌神は両目を抑えてよろめく。その隙に斉一さんは脱出。佳奈さんが驚愕した顔で私を見る……。
「斉一さん、斉二さん、万狸ちゃん。今までお気遣い頂いたのに、すみません……でももう、緊急事態だから」
私の影は右手部分でスッパリと切れている。御戌神に目くらましをするために、切り取って投げたんだ。
「じゃ、じゃあ一美ちゃんって、本当に……」
「グルアァァ!!」
佳奈さんが言いかけた途中、私は影を介して静電気のような痛みを受ける。御戌神は自力で目の影を剥がしたようだ。それが出来るという事は、彼も私と同じような力を持っているのか?
「……大師の言ったことは、三分の一ぐらい本当です」
御戌神が私に牙を剥く! 私はさっき大師の前でやった時と同じように、影表面の光の屈折率を上げる。表面は銀色の光沢を帯び、瞬く間に鏡のようになる。
「ガルル……!」
この『影鏡』で御戌神を取り囲み撹乱しつつ、ひとまず佳奈さん達から離れる。けど御戌神はすぐに追ってくるだろう。
「ワヤンの力は影の炎。魂を燃やして、悪霊を焼くんです」
逃げながら木や物の影を私の姿に整形、『タルパ』という法力で最低限動き回れるだけの自立した魂を与える。
「けど、その力は本当に許してはいけない、滅ぼさなきゃいけない相手にしか使いません。だぶか私には、そうでもしなきゃいけない敵がいるって事です」
ヴァンッと電流のような音がして、御戌神が影鏡を突破した。私は既に自分にも影を纏い、傍目には影分身と見分けがつかなくなっている。けど御戌神は一切迷いなく、私目掛けて走ってきた。
「霊感がある事、黙っていてすみませんでした。けど私に僅かでも力がある事が公になったら、きっと余計な災いを招いてしまう」
それは想定内だ。走ってくる御戌神の前に影分身達が立ちはだかり、全員同時自爆! 無論それは神様にとって微々たるダメージ。でも隙を作るには十分な火力だ。御戌神の背後を取り、『影踏み』で完全に身動きを封じる!
「佳奈さんは特に、巻き込みたくなかったんです……きゃっ!?」
突然御戌神が激しく発光し、影踏みの術をかき消した。影と心身を繋いでいた私も後方に吹き飛ばされる。ドラマや舞台出演で鍛えたアクションで何とか受身を取るも、顔を上げると既に御戌神は目の前!
「……え?」
私はこの時初めてちゃんと目が合った御戌神に、一瞬だけ子犬のように切なげな表情を見た。この戌……いや、この人は、まさか……
「ガルルル!」
「くっ」
牙を剥かれて慌てて影を持ち上げ、気休めにもならないバリアを張る。ところが御戌神は意外にも、そんな脆弱なバリアにぶち当たって停止してしまった。私の方には殆ど負荷がかかっていない。よく見ると御戌神とバリアの間にもう一層、光の壁のようなものがあるのが見える。やっぱり彼は私と同じ……いや、逆。光にまつわる力を持っているようだ。
「あなた、ひょっとして……本当は戦いたくないんですか?」
「!」
一瞬私の話に気を取られた御戌神は、光の壁に押し戻されて後ずさった。日蝕の瞳をよく見ると、月部分に覆われた裏側で太陽の瞳孔が物言いたげに燻っている。
「やっぱり、大散減の悪縁に操られているだけなんですね」
私も彼と戦いたくない。だからまだプルパは鞄の中だ。代わりに首にかけていたお守り、キョンジャクのペンダントを取った。御戌神は自らの光に苦しむように、唸りながら地面を転がり回る。
「グルル……ゥウウウ、ガオォォ!!」
光を振り払い、御戌神は再び私に突進! 私も御戌神目掛けてキョンジャクを投げる。ペンダントヘッドからエクトプラズム環が膨張し、投げ縄のように御戌神を捕らえた!
「ギャウッ!」
御戌神はキョンジャ���に縛られ転倒、ジタバタともがく。しかし数秒のうちに、憑き物が取れたように大人しくなった。これは気が乱れてしまった魂を正常に戻す、私にキョンジャクをくれた友達の霊能力によるものだ。隣にしゃがんで背中を撫でると、御戌神の目は日蝕が終わるように輝きを増していく。そこからゆっくりと、煤色に濁った涙が一筋流れた。
「ごめんなさい、苦しいですよね。ちょっと大散減を封印してくるので、このまま少し我慢できますか?」
御戌神は「クゥン」と弱々しく鳴き、微かに頷いた。私は御戌神の傍を離れ、地面から突き出た大散減の足に向かう。
「ひ、一美ちゃん!」
突然佳奈さんが叫ぶ。次の瞬間、背後でパシュン! と破裂音が鳴った。何事かと思い振り向くと、御戌神を拘束していたキョンジャクが割れている。御戌神は黒い煙に纏わりつかれ、息苦しそうに体をよじりながら宙に浮き始めた。
「カッ……ガァ……!」
御戌神の顔色がみるみる紅潮し、足をバタつかせて苦悶する。救出に戻ろうと踵を返すと、御戌神を包む黒煙がみるみる人型に固まっていき……
「躾が足りなかったか? 生贄は生贄の所業を全うしなければならんぞ」
そこには黒い煙の本体が、人間の皮膚から顔と局部だけくり抜いた肉襦袢を着て立っていた。それを見た瞬間、血中にタールが循環するような不快感が私の全身を巡った。
「え、ひょっとしてまた何か出てきたの!?」
「……佳奈さん、斉一さんと一緒に逃げて下さい。噂をすれば、何とやらです」
佳奈さんに見えないのも無理はない。厳密にはその肉襦袢は、死体そのものじゃなくて故人から奪い取った霊力でできている。亡布録(なぶろく)、金剛有明団の冒涜的エーテル法具。
「噂をすればってまさか、一美ちゃんが『絶対に滅ぼさなきゃいけない相手』がそこに……っ!?」
圧。悪いが佳奈さんは視線で黙らせた。これからこの神社は、灼熱地獄と化すのだから。
「い、行こう、志多田さん!」
斉一さん達は佳奈さんや数人の生き残った河童信者を率いて神社から退散した。これで境内に残ったのは、私と御戌神と黒煙のみ。しかし……
「……どうして黒人なんだ?」
私は黒煙に問いかけた。
「ん?」
「どうして肉襦袢の人種が変わったのかと聞いているんだ。二十二年前、お前はアジア人だっただろう。前の死体はどうした」
「……随分と昔の話をするな、裏切り者の巫女よ。貴様はファッションモデルになったと聞くが、二十年以上一度もコーディネートを変えた事がないのかね?」
煙はさも当然といった反応を返す。この調子なら、こいつは服を買い換える感覚で何人もの肉体��魂を利用していたに違いない。私の、和尚様も。この男が……悪霊の分際で自らを『如来』と名乗り、これまで数え切れない悪行を犯してきた外道野郎が!
「金剛愛輪珠如来(こんごうあいわずにょらい)ィィィーーーッ!!!!」
オム・アムリトドバヴァ・フム・パット! 駆け出しながら心中に真言が響き渡り、私はついに鞄からプルパを取り出す! 憤怒相を湛える馬頭観音が熱を持ち、ヴァンと電磁波を発し炎上! 暗黒の影炎が倶利伽羅龍王を貫く刃渡り四十センチのグルカナイフに変化。完成、倶利伽羅龍王剣!
「私は神影不動明王。憤怒の炎で全てを影に還す……ワヤン不動だ!」
今度こそ、本気の神影繰り(ワヤン・クリ)が始まる。
བཞི་པ་
殺意煮えくり返る憤怒の化身は周囲の散減を手当り次第龍王剣で焼却! 引火に引火が重なり肥大化した影の炎を愛輪珠に叩き込む!
「一生日の当たらない体にしてやる!!」
「愚かな」
愛輪珠は業火を片手で易々と受け止め、くり抜かれた顔面から黒煙を吐出。たちまち周囲の空気が穢れに包まれ、炎が弱まって……いく前に愛輪珠周辺の一帯を焼き尽くす!
「ぐわあぁぁ、やめろ、ギャアアァアガーーーッ!!!」
猛り狂う業火に晒され龍王剣が激痛に叫んだ! しかし宿敵を前にした暴走特急は草の根一本残さない!
「かぁーーっはっはっはァ! ここで会ったがお前の運の尽きよ。滅べ、ほおぉろべえええぇーーーっ!!!」
殺意、憎悪、義憤ンンンンッ! しかし燃え盛る炎の中、
「まるで癇癪を起こした子供だ」
愛輪珠は平然と棒立ちしている。
「どの口が言うか、外道よ! お前が犯してきた罪の数々を鑑みれば癇癪すら生ぬるい。切り刻んだ上で煙も出ないほど焼却してくれようぞおぉぉ!!」
炎をたなびかせ、愛輪珠を何度も叩き斬る! しかし愛輪珠は身動ぎ一つせず、私の攻撃を硬化した煙で防いでしまう。だから何だ、一回で斬れないなら千回斬ればいい! 人生最大の宿敵を何度も斬撃できるなんて、こんなに愉快な事が他にあるだろうか!?
「かぁーはははは! もっと防げ、もっとその煙を浪費するがいい! かぁーはっはっはァ!!」
「やれやれ、そんなにこの私と戯れたいか」
ゴォッ! 顔の無い亡布録から煙が吹き出す。漆黒に燃えていた視界が一瞬にして濁った灰色で染まった。私はたちまち息が出来なくなる。
「ぐ、ァッ……」
酸欠か。これで炎が弱まるかと思ったか? 私の炎は影、酸素など不要だ!
「造作なし!」
意地の再炎上! だぶか島もろとも焼き尽くしてやる……
「ん?」
シュゴオォォン、ドカカカカァン!! 炎が突然黄土色に変わり、化学反応のように爆ぜた!
「な……カハッ……」
「そのような稚拙な戦い方しか知らずに、よく金剛の楽園に楯突こうと思ったな。哀れな裏切り者の眷族よ」
「だ、黙れ……くあううぅっ!」
炎とはまるで異なる、染みるような激痛が私の体内外を撫で上げる。地面に叩きつけられ、影がビリビリと痙攣した。かくなる上は、更なる火力で黄土色の炎を上書きしないと……
「っ!? ……がああぁぁーーっ!!」
迂闊だった。新たな炎も汚染されている!
「ようやく大人しくなったか」
愛輪珠が歩み寄り、瀕死の私の頭に恋人のようにぽんぽんと触れる。
「やめろ……やめろおぉ……!」
全身で行き場のない憤怒が渦巻く。
「巫女よ。お前は我々金剛を邪道だとのたまうが、我々金剛の民が自らの手で殺生を犯した事はないぞ」
「ほざけ……自分の手を汚さなければ殺生ではないだと……? だからお前達は邪道なんだ……!」
煮えくり返った血液が、この身に炎を蘇らせる。
「何の罪もない衆生に試練と称して呪いをかけ、頼んでもいないのに霊能力を与え……そうしてお前達が造り出した怪物は、娑婆で幾つもの命を奪う。幾つもの人生を狂わせる! これを邪道と言わずして何と言えようか、卑怯者!」
「それは誤解だ。我々は衆生の為に、来たる金剛の楽園を築き上げ……」
「それが邪道だと言っているんだ!」
心から溢れた憤怒はタールのような影になって噴出する! 汚染によって動かなくなった体が再び立ち上がる!
「そこで倒れている河童信者達を見ろ。彼らは牛久大師を敬愛していた。大師が大散減に魅了されたのは、確かに自己責任だったかもしれない。だがそもそも、お前達があんな怪獣を生み出していなければこんな事にはならなかった。徳川家の少年が祟り神になる事だってなかった!!」
思い返せば思い返すほど、影はグラグラと湧き出る!
「かつてお前に法具を植え付けられた少年は大量殺人鬼になり、村を一つ壊滅させた。お前に試練を課せられた少女は、生まれた時から何度も命の危機に晒され続けた。それに……それに、私の和尚様は……」
「和尚? ……ああ。あの……」
再点火完了! 影は歪に穢れを孕んだまま、火柱となり愛輪珠を封印する! たとえ我が身が消し炭になろうと、こいつだけは滅ぼさなければならないんだ! くたばれ! くたばれえええぇぇぇえええ!!!
「……あの邪尊(じゃそん)教徒の若造か」
「え?」
一瞬何を言われたか理解できないまま、気がつくと私は黄土色の爆風に吹き飛ばされていた。影と内臓が煙になって体から離脱する感覚。無限に溢れる悔恨で心が塗り固められる感覚。それはどこか懐かしく、まるで何百年も前から続く業のように思えた。
「ぐあっ!!」
私は壊れかけの御戌塚に叩きつけられる。耳の中に全身が砕ける音が響いた。
「ほら見ろ、殺生に『手を汚さなかった』だろう? それにしてもその顔は、奴から何も聞かされていないようだな」
「かっ……ぁ……」
黙れ。これ以上和尚様を愚弄するな。そう言いたかったのに、もはや声は出ない。それでも冷めやらぬ怒りで、さっきまで自分の体だった抜け殻がモソモソと蠢くのみ。
「あの男は……金剛観世音菩薩はな……」
言うな。やめろ。そんなはずはないんだ。だから……
「……チベットの邪神、ドマル・イダムを崇拝する邪教の信者だ」
嘘だ。……うそだ。
「あっ……」
「これは金剛の法具だ。返して貰うぞ」
愛輪珠に龍王剣を奪われた。次第に薄れていく僅かな影と意識の中、愛輪珠が気絶した御戌神を掴んで去っていく姿を懸命に目で追う。すると視野角外から……誰かが……
「一美ちゃん、一美ちゃーん!」
「ダメだ志多田さん、危険すぎる!」
佳奈さん……斉二……さん……
「ん? 無知なる衆生が何故ここに……? どれ、一つ金剛の法力を施してやろうか」
逃……げ……
「ヒッ……いぎっ……うぷ……」
「成人がこれを飲み込むのは痛かろう。だが衆生よ、これでそなたも金剛の巫女になれるのだ」
や…………ろ…………
「その子を離せ、悪霊……ぐッ!? がああぁぁああああッ!!!!」
「げほ、オエッ……え……? ラスタな、狸さん……?」
………………
「畜生霊による邪魔が入ったか。衆生の法力が中途半端になってしまった、これではこの娘に金剛の有明は訪れん」
「嘘でしょ……私を、かばってくれたの……!?」
「それにしてもこの狸、いい毛皮だな。ここで着替えていこう」
「な、何するの!? やめてよ! やめてえぇーーーっ!!」
………………もう、ダメだ……。
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D&D イニストラードセッティング セッションその5 レポートその15
「フレッド、左を頼む!」
「……わかった」
兄弟はそれぞれ左右に分かれてエルドラージの群れに斬り込んだ。フューゴは大型のドローンの群れを斧で薙ぎ払い、フレッドは変異した人間の頭を踏みつけながら触手や腕を切り落としていく。
掬い上げるような一撃でドローンを叩き割ったフューゴが、横から別のドローンに突撃されて体勢を崩す。
「クソッ!」
斧でバランスをとって立て直すが、その一瞬の隙にさらに別のドローンが触手を伸ばした。その紫色の皮膚が触れた瞬間、フューゴの頭の中に歪んだ精神の奔流が流れ込むのを感じた。
「――うあああ、あああ、わ、われは、えええええむむらああああああ」
自我が溶け行く感覚で、目の前の光景が虹色に瞬く。巨大な存在の一つになり、目の前の小さな生命を喰らうことだけを考えろ。我らがエムラクール。我こそがエムラクール。全ては我に回帰していく。全ては永劫なる無へと。我はエムラクール。我は――
「フューゴ!!」
何か巨大なものに接続されていた意識が切断され、元の肉体へと弾き飛ばされる。一瞬ふらつき、フューゴは自分の置かれた戦場に視線を戻した。トーベエが二刀を我武者羅に振り回してドローンを切り捨てる。致命的な攻撃だけは避けているが、しかし棘のように突き出された触手や足がその身体に血を流させる。
フューゴは再び斧を振り上げてドローンに斬りかかる。トーベエに絡まる一体を引きはがし、その足を切り裂く。さらに、二人の上から炎の弾丸が降り注いだ。トライアとグリムが呪文を詠唱し、絶え間なく雷や炎の斉射を繰り出していく。彼らの姿はその瞬間は、優勢に見えた。
太陽を覆うように翼を広げた天使のまがい物が、波のように蠢くドローンの上を飛んでいくまでは。それは声ならぬ声を上げ、赤く光る瞳でフューゴを見た。
その瞬間、再びフューゴの意識が何者かによって浸食され、身体の自由が利かなくなった。それと同時に紫色に脈打つブリセラの腕が槍のように伸び、フューゴの肩を貫いた。
「―――――!!!!!」
呼吸することも、悲鳴を上げることもできない。触手が身体の中でうねり、腕と身体を分離させようとする。
「っらぁ!」
刀が紫色の腕に傷をつけると、それはたやすく引き抜かれた。片方の頭がぐにゃりとトーベエを向く。視線が交差した瞬間にトーベエもまた精神に何かが入り込むのを感じた。ブリセラが腕を振り上げるのが見えた。精神と肉体の両方をバラバラに動かさねばどちらかが死ぬと分かっているが、そのどちらも言うことを聞こうとしなかった。ならば刺し違えてでも、と思った瞬間、空中から飛来した雷がブリセラの翼を焼き焦がす。
「見ろトライア、こっちを向いたぞ」
「さっきのを喰らったら僕ら死んじゃいますよ!?」
「そのときはそのときだ。覚悟を決めろ」
トライアとグリムは魔術書から燃えるような光を迸らせながら、再び詠唱を始める。
「二人とも下がれ、少しでも前線の援護を!」
変異体を鎚で潰し、聖印を掲げながらアーロンが前に出る。彼もまた、トーベエの二刀にかかる祝福の術を維持しながら戦い続けている。
風を切って絶望が飛来した。虚ろに燃える瞳がアーロンとトライアを捕らえた。聖印に阻まれたか、アーロンは意識を保った。だがトライアは意識を掻き乱され、その場に倒れ伏した。
グリムは戦場を見渡した。フレッドが躍るように敵を切り刻むが、まるで砂糖に群がる蟻の群れのようにとめどない。狂った人間たちの波は本物の海のように終わりが見えなかった。もしかしたら、と錬金術師は別の巻物を引き抜いた。師匠モーダミアの持ち物から失敬したそれを紐解き、魔力を込める。もはや大地から引き出せる魔力はもうなく、己の中に残ったわずかな残滓を集中させていった。
「生けるすべてを永久なる休息へ誘え、《睡眠》!」
薄い靄がフレッドの周りの狂える異形を覆っていく。ブリセラの羽ばたきで靄が晴れると、そこには折り重なって眠る怪物たちの姿があった。フレッドは空中で回転して音もなく着地。バネが飛び出すように素早く、アーロンと切り結ぶブリセラの背後へと到達��た。
「フューゴ、ここは俺に任せろ! フレッドたちを助けてくれ!」
トーベエはドローンを切り払い、フューゴの背に声をかける。
「――死ぬなよ」
後ろを振り返ることなく、フューゴはブリセラへと突進した。
振り回される斧がブリセラの下半身から伸びた触手を切り落とす。フレッドが斧の柄に乗り、さらに跳躍して翼に刃を振り下ろす。ブリセラと視線が合えば身体が石のように固まり、触手が剣の壁のように襲い掛かる。アーロンのハンマーがそれを叩き、何本かはそらすことができるものの、一歩間違えば致命傷という場所を綱渡りですり抜けていく。
グリムは戦闘から離れ、魔術書の残りを漁った。恐らくこれが、最後の魔法になる。
無限に続くかと思われた打ち合いの中、変化は突然に現れた。天に浮かぶ月に、見たこともない文様が輝いていた。塔の上にジェイスとタミヨウ、そしてもう一人、緑の服を纏った魔術師が立って魔力を放っていた。
トライアは巨大な魔力の流れを感じ、天を見上げた。その瞬間、彼の視界を塞ぐように燃え立つ瞳と目が合った。
「しまっ……!」
明らかにブリセラの動きは遅くなっていた。だが、その腕の一撃は容易くトライアの命を奪ってしまうだろう。
「トライア!」
青いローブの錬金術師が、トライアの前に滑り込んだ。グリムの手には、開かれた魔術書が赤い光を放っていた。
「燃えろ!」
グリムが付き出した掌から炎が迸る。それは迫りくる腕を焼き焦がし、黒い炭に変わる。
視界の中で、エムラクールの山のような身体が再び空中へと浮かんでいく。それは輝く月に吸い込まれるように、急速に小さくなっていくように見えた。
歪んだ天使が驚愕と恐怖の混じった声を上げる。そこへ、アーロンの鎚が、フレッドの短剣が、フューゴの斧が叩きつけられた。
翼が裂け、腕が斬り飛ぶ。銀の血が流れる両の眼窩に、光り輝く魂が映った。それは大きな白い翼を広げ、歪み切った姉妹のなれの果てを悲しげに見つめた。魔力そのものの腕を伸ばし、歪んだ肉体に残った魂を解いていく。エムラクールの一部となっていた肉体がゆっくりと落下し、二人の天使の魂だけがそれのてのひらに収まった。
偉大なる魂は翼をはためかせると、まだそれが地上に存在したころと同じように、姉妹の魂をあるべき場所へと導いていった。
ブリセラが落下し、動かなくなる。皆倒れて、一歩も動くことができない状態だった。エルドラージの不気味な死体の上に横たわるトーベエの視界の中で、エムラクールが月に飲み込まれていくのが見えた。
「やったのか…」
そうして目を閉じた瞬間、その場に爆発が巻き起こった。
エムラクールを銀の月に封じ込めたことで、謎の石によって歪められていたマナの力線が元に戻った。ネファリアにダムのように集められていたマナが噴出し、その到達地点であったスレイベンで爆発を起こしたのだ。
ネファリアのいつもの酒場で、フレッドとフューゴの兄弟は杯をあおって、残った酒を呑みほした。
「じゃあ、俺たちはもう行く」
「……ヘンリー領主どのが心配だからな」
入口で待つマービン爺さんに声をかけ、二人は酒場のドアに手をかけた。
「アーロン、トライア! またどこかで!」
「アーロンさん、私たちも行きましょうか。まだまだ、イニストラードには希望が必要です。それに、吸血鬼の連中がサリア様を狙ってくるか分かったもんじゃないですからね」
二人も立ち上がり、荷物を背負った。
真新しい銀の鎧を整えて、アーロンとトライアはケッシグの森の中を進んでいた。
「ウルリッチ! どこだ!」
アーロンの声が森の中に響く。
「騒がしいな。喰われに来たのでもない限り、その声は腹の中にしまっておけ」
狼の群れとともに、白髪の大男が姿を現した。
「新しい寝床の調子はどうかと思ったんだが、その様子なら心配はないな」
「お前たちさえこなければな」
ウルリッチは懐から何かを取り出すと、アーロンに投げてよこした。それは戦いによって傷つき見るも無残な姿になった、シガルダの聖印であった。恐らく幾度となく、持ち主の命を救ったのだろう。
アーロンが顔を上げると、狼たちの姿は風のように消え去っていた。
強い風が吹きつける甲板に、トーベエは顔を出した。はるか空には雲が渦を巻いている。エメラルド色の海には小舟が浮かび、霊気駆動のプロペラが回転して船を前へと進ませていた。
遠くに見える街には高い塔が並び、青い水のようなものを溜めこんだ不思議な建物が宝石のように輝いていた。
「珍しい恰好だね、旅の人。商人かなにかかね?」
同じ飛空艇の甲板にいた、平服のドワーフが話しかけてくる。
「俺はサムライ。武芸者だ。ちょいと、人探しをしているんだ」
ひたすらに太陽が照りつける砂漠を、一人の錬金術師が彷徨っていた。遠くに都市と思われる影と、そこから伸びる河川。
「川へ行かないと干からびてしまう。命あっての研究だからな……」
都市の方を見ながら、足は川へと向かう。人の姿が見えない。まるで死者の世界のようだ。あるいは本当にそうなのかもしれない。
都市の影の中に、二本の歪んだ塔のようなものが見えた。グリムにはそれがなんなのか皆目見当もつかなかったが、何かとても不吉で邪悪なもののように見えた。
不気味なスカーブが引く大八車には、さらに禍々しい歪んだ死体が山と積まれている。スカーブの横ではゲラルフとギサが何やら陰湿な罵り合いをしていた。わずかに生き残った聖戦士たちは鎧を脱いで、瓦礫をどけたり人々の治療をしたりと忙しく走り回っている。
守護者を失った世界は今、自らの力で立ち上がろうともがき、その一歩を踏み出したところだ。
(了)
DMの視点から:
おわったあああああ!!おつかれさまでしたー!!!!完!!!!じゃねええ!!!!!次はあなたがダンジョンマスター!!!!なんか聞きたいことがあったらツイッターでいいから聞いて!答えるから!!!!
さて、今回のシナリオは大元のストーリーにある程度沿う流れになりましたが、もっと小規模な冒険を遊んでも面白いですよ。フリーインフリーアウトのキャンペーンも久々に試しましたが、なかなかうまく行ったのではないかと思います。参加回数にバラつきがでそうな場合にはDMGに載っている「セッションごとにレベルアップする」形式が足並を揃えやすくていいんじゃないかなーという意見もあったので、次回はそれで。
そうそう、ブリセラのデータは「スペクテイター」をいじったものを使用しました。大天使のデータはギセラ、ブルーナ、シガルダは「デーヴァ」、アヴァシンは「プラネター」ってことなので、そのまま使ったら3レベルパーティなんぞ鼻息で吹き飛びますからね。
このあとですが、長いキャンペーンはちょっとの間お休みとなり、その間に色々またコンテンツの用意をいたします。モチベーションアップのため、このキャンペーンや各種翻訳、記事についてのご意見ご感想もお待ちしております。最後に、参加してくれたみなさん、読んでくれたみなさん、ありがとうございました! また次の冒険で!
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三寸の愛惜
「そういや、膝丸の方が大きかったんだね」
「何の話だ?」
雑談がてら、執務室の主が話を振る。本日の出陣成果を伝えに来ていた膝丸は、突然のそれに首を傾けた。
「身長だよ、しんちょー」
「身長……この体の寸法のことか」
「そうそう」
つい先日のこと。源氏の重宝二振りの軽装を仕立てることになった際、渡された仕様書には彼らの身長も記載されていた。
当本丸の審神者──細(ささめ)は、その際に知った数字を「たしかねー」なんて頭の中から引っ張り出す。
「髭切が百七十八センチで、膝丸は百七十九センチ」
わずかに、空気がぴんと張り詰めた心地がした。
「膝丸のがちょっとだけ高いみたいでさー」一旦構わず、緩く続けながら、細は渡された電子報告書に目を通す。
総出陣回数、戦闘回数、回収資源、負傷男士、エトセトラエトセトラ。問題はなかったか、項目ひとつひとつを確認する最中。
──ん? と思ったタイミングで、意識外から声が掛かった。
「主よ」
「んー?」
「このこと……兄者にだけは言わないでくれないか」
「え」
硬い声音に思わず手許から顔を上げれば、真剣な色を湛えた瞳と目が合った。
「このことって……身長?」
問えば、膝丸は静かに首肯する。
「何で? 別に髭切は気にしなさそーだけど」
むしろ弟に一センチ負けたところで悔しがる様なタマか、あの兄刀。なんて審神者からすれば思うのだが。
「……それでも、頼む」
この通りだ、と目の前の弟刀が深く頭を垂れる、そのせつな。長い前髪から窺えたかんばせは、哀れな程に真っ青だった。
いっそ怯えている様な素振りすら見せる膝丸に、内心心配を寄せつつ。細は面を上げさせるべく、彼の肩を軽く叩いた。
「まあ……別にナイショにしてて困るようなことでもないし。オッケー、ここだけのヒミツにしとく」
強張っていた肩から、ふっと力が抜ける。
「かたじけない。恩に着る」
「別にこんなことで着なくていいっての」
真面目な様子の膝丸に、細はひらひらと掌を振って。
「ところで膝丸、百回も出陣したの?」
「……何と?」
──なんてやりとりの一週間後。
一月前に実施された健康診断──刀ならばメンテナンスでは? と思わないでもない──の結果を各々の端末へ転送したのち。まずは初期刀の加州清光から診断内容を確認していた細は、添付資料にさっと顔を青ざめた。
そこに記載されていたのは、現在顕現が確認されている男士全員の身長一覧。髭切と膝丸に至っては、もちろん前後で載っている。
思わず執務室を飛び出し、どたどたと廊下を走り、すれ違った刀からお小言をもらいつつ。細は源氏の重宝の部屋までたどり着くと、
「髭切! 私! いる!?」
「いるよー」
「失礼!」
勢いよく襖を開け放った。
胡坐を掻いてくつろいでいた髭切の側、備えられたちゃぶ台の上には端末が乗っている。開かれていたファイルは、察しの通りだ。
あちゃあと細は顔を覆った。
「……見た?」
「先程送られてきた健康診断の結果かい? 今見終わったところだよ」
「身長一覧も?」
「身長一覧? ……ああ、添付されていたものも一通り見たけれど」
「何か困ることだったかい?」特に思うところも無さそうな髭切がやんわりと尋ねてくる。
「困ると言うか……ねえ、髭切は自分と膝丸の身長どう思った?」
「どう思った、とは?」
さっぱり要領を得ていない様子に、細は一瞬だけ逡巡したのち、いっそ告げてみることにした。頼んできた時の膝丸の様子が、どうにも気になっていたからだ。身内に委ねるべきかと判断して、徐に口を開く。「実はね」
「膝丸から、髭切には言わないでくれって頼まれてたんだよね。身長のこと」
「ふーん?」
気の抜けた返事をしつつ、ちゃんと考え込んでいたらしい。少しの間の後、ふいに髭切が「……ああ」と声をこぼした。どうやら彼の中では腑に落ちた様である。
「え、何? なんか思い当たった?」
「うん、まあ」
「そっかー……」
何か当てがあるのであれば、後は本刃たちに任せた方がいいだろう、とは思いつつ。不可抗力とはいえ、秘密にし切れなった罪悪感がじくじくと細の良心をつつく。
「うーん……やっぱ膝丸に謝った方がいいかんじ?」
「大丈夫大丈夫。主は気にしなくてもいいよ」
しょぼくれておいてなんだが。如何にも、という人好きのする笑みを寄越す髭切に、細は思わず半眼になる。
「……ほんとぉ?」
「本当本当」
適当にも程がある相槌に、益々不安になるけれど。
いっそ軽い調子で、髭切は大事なことを口にする。
「弟だけは斬ったりしないって」
「そりゃそうでしょ」
何を当たり前のことを。いっそ呆れた様子で眉をしかめる細に、兄刀は大仰に頷いた。
「��よねえ」
──のち、しばらくして。
『髭切』が持つ数ある名のひとつ『友切』の名付けの由来を知った細は、ひっそりと頭を抱えたとか。
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第34話 『旧き世に禍いあれ (2) - “ブラストフォート城塞"』 Catastrophe in the past chapter 2 - “Blastfort Citadel”
ブラストフォート城塞を見渡せば、『城』という華やかな言葉の印象とは遠い、石造りの堅牢な風貌は砦のそれと言っていいだろう。
スヴェンはこの建造物も元は修道院だったと噂では聞いていた。ただ、城塞に研究所を設けた時には既に砦として使われていて、実際のところどうだったかは、皆目見当がつかない。むしろ験を担いだ誰かの作り話ではないかと考えていた。作り変えられた施設にしては、礼拝堂だったと見られる建物もなく、険しい斜面をわざわざ切り出して作られた来歴の割には、この地に作られた由来すら記録に残されていないのも疑念の余地がある点だった。
城塞と名を冠しながらも、城壁の内側に市街はない。居並ぶのは兵舎や倉庫、そして厩舎などの背の低い軍用の建物で、全てが同じように暗い色をしていた。
はぁと深い息を吐く。その息は白く、スヴェンは体をぶるりと震わせた。外套の襟を直し、足を早める。
短い秋は瞬く間に過ぎ去り、もうすっかりと冬だ。視界に入る山岳はすっかりと白い雪に閉ざされている。ブラストフォートは年中気温が低く、1年の半分以上は雪に覆われている。
この城塞は、トラエ、ラウニとソルデの三国間で起きた紛争の中心地となった。三国の国境線が交わる丁度中央地点で、思惑も戦線もぶつかり合った。互いの国へ進攻するに際しても、ここを通らず他二国に兵站を送るにはどうあってもリスクの高い迂回が生じる関係で、攻めるも守るも、話はまずこの城塞を手中にしてから、という事情もあった。この要塞を抑えた国が勝つと信じられ、激しい争奪戦が目下進行している。
トラエがこの城塞を維持し続けられているのは、”軍神”ゴットフリートのおかげだ。不敗を誇るゴットフリートは、皇帝の厚い信望を受け、ブラストフォート城塞に陣を敷いた。ここを確実に堅持し続けることが、即ち勝利を意味する。武勲で比肩する者のいないゴットフリートが此度の采配を受けたのも、当然の帰結であり、疑いを示す者もいなかった。
対するラウニやソルデもそれを理解していたからこそ、戦火はさらに激しくなって行った。トラエ無双の英雄が、史上最も堅牢を誇る城を守護している。つまり、ここを打ち崩したもの、あるいは守り抜いたものが、この戦争を制するに等しい。この三国戦争の顛末を決定づける、天下分け目の決戦地の様相を呈していった。
ゴットフリートは戦場で一度もその膝を地面についたことはなかった。スヴェンが城に派遣されて3年、ブラストフォート城塞は今もトラエ帝国領のままだ。各地で名を馳せたどんな名だたる英雄が攻めてこようとも、この城塞を越えた者は未だかつていなかった。
(砦としての適切なつくりと、それを最大限に生かす武将……。理屈で言うは容易いが、それがこうして揃い立つと、これほどまでに守り抜けるものなのか)
スヴェンは眼鏡のブリッジを押し上げて、先を急ぐ。その手は幾冊もの分厚い魔術書があった。
激戦地とはいえ、兵糧が乏しくなるこの季節には大きな動きも見られなくなる。天候によってはなお一層、双方ともに大人しいものだ。攻めあぐねた敵軍に二面三面と包囲されながらも、ブラストフォート城塞はまるで平時のように静まり返っていた。
(ああ……どうしてうまく行かないのだ……)
城塞の中にある研究室の扉を開ける。
真っ暗な部屋を、たったひとつのランタンが照らしていた。本来はもっと採光がいい窓があったのだが、スヴェン自身が本棚で潰してしまっていた。外光は観測を伴う実験に不向きだ。
城塞の中の、私の城。眼鏡を再度押し上げて、ふふと短く笑う。
「次はうまくやってみせる……この書こそ本物だ、今度こそ……吾輩が見つけるのだ」
ぶつぶつと言葉を口の中で繰り返しながら、長い執務机の上に置かれていた書類や本を床にすべて落とし、新しい本を置いた。
本棚やコートハンガーにかけられた外套、並んだ靴などは嫌と言うほど規則正しく、寸分のずれもないように置かれているというのに、余程気が高ぶっているのか、今は床に落ちた本たちを気にして直すそぶりもない。
大きな椅子に腰かけて、その本を開いてページを手繰り始めた。
世界を知るということに限りはあるのだろうか。スヴェンは幼い頃からずっと考えていた。世界を知るためにありとあらゆる本を読み解き、特例を受けて最高学府に進級したときも、当然のこと、以外には特に何も思わなかった。神童と呼ばれ、世界の知識を見る間に吸収し、未知の研究に邁進し、知性で遥かに劣る両親とは縁を切り、知こそが価値とする者達とこそ縁を深め、生きてきた。
――この世界は、一個の生命だ。
そう悟ったのはいつのころだろう。それからスヴェンの関心は世界の表層を辿ることではなく、世界の成り立ちの根源を掴むことに移った。
この感覚までも理解し共有できる者はさすがにいなかったが、スヴェンは気にすることはなかった。目的と到達点は明確だったからだ。
世界が生まれた瞬間を見る。つまり、過去へ遡行しその瞬間を観測することが出来れば、世界が生命であり、巨大な有機体であり、何がどうやってそれを作り出したのかを証明できるのではないか、と考えた。菌類はそれぞれの菌根で膨大な情報網を作り上げることで知られている。ならば世界は? 世界と世界を構成する生命や物質との関係も、似たものではないのか?
夢を見ていると言われた。気が狂ったとも。けれど、スヴェンは時間を移動することに執着し、トラエ皇帝はスヴェンの情熱に理解を示した。思えばこんな突拍子もない目的に意義を見出す皇帝というのもまた、妙ではあるとは思った。皇帝にもまた、過去に遡行する事で成し遂げたい、”過去に戻ってでもやり直したい何か”が、心中にあったのかもしれないが、それを聞き出す術をスヴェンは持たないし、スヴェン自身興味もなかった。少なくとも、時間遡行がもたらしうる皇家の安定、全ての危険を排し、あるいは時を超えて未来の悲劇を食い止め続けて、皇家そのものを永遠に君臨させる、という”表向きの”理由――そのために、皇帝はスヴェンを支援することを決定し、臣君達も、やや半信半疑ではありながらも、それを支持した。
「これだ」
今日も皇帝に頼んでいた奇書が届けられた。
スヴェンはブリッジを押し上げ、眼鏡の位置を直す。正常な観測のためには、眼球とレンズの距離は常に1.5cmを保たねばならない。立ち上がろうとして自分が先程叩き落した本を見やり、露骨に眉をしかめる。頭の中を整理し終えて一息ついたら、急に普段の几帳面さが顔を出した。手早くそれらを元あった場所へそそくさと戻して、室内を完璧に揃え、部屋の中心に立った。
「まず、魔石を用意して……」
木箱に詰めてある魔石を取り出し、机に置く。魔石は貴重な資源である。研究には大量の魔石が不可欠だった。魔石なしには、相当な魔力量を消耗する実験を繰り返し行うことは出来ない。ブラストフォートは戦地だ。当然、魔術師部隊が使うために魔石も大量に集められていたが、落城までには湯水のごとく消費されていた魔石も、入城し防衛に転じてからは、ゴットフリートを中心とした白兵戦主体の迎撃戦において、これらが投入される機会も乏しく、結果余剰が出ていた。山と積まれた荷物を運び出すにも、労力がかかる。それならば、国内にいる魔石を必要とする人員が、逆にブラストフォートまで来れば良い。研究をする場所としては些か物騒な地ではあったが、自由にできる大量の魔石が得られる機会には代えがたかった。スヴェンは二つ返事で前線まで足を運んだ。研究には様々な代償がつきものだ。それを理解してくれる後ろ盾を得たスヴェンは、他の誰よりも恵まれていると言えるだろう。
取り上げたいくつかの魔石の中から、更に質の良いものを選ぶ。一番大きいものはナリだけで中身は薄く、魔力自体は少ないようだ。ページをたぐる仕草に似た動作で、一粒ずつ指を触れては次の石に触れ、研ぎ澄ませた感覚で内容量を確認していく。最後に触れた人差し指ほどの魔石が最も密度が高く、多くの魔力を秘めていた。
「よし……よし……まずは一時間前に戻る……そうだ……」
長い間研究し、様々な方法を用いたが、まだ成功させたことがない。
スヴェンも焦り始めていた。戦火は年を追って激しさを増している。今は冬期で戦線が膠着しているが、雪が溶ける頃にはまた激化される。2国がこの城塞を攻め、帝国は防戦し続ける。魔石の余剰が出ているのも今だけだ。魔石の消費量も年々増え続け、そうなればいつ自分に回してもらえる分が枯渇するとも知れない。そう考えれば、時間は限られている事になる。一度でも成功させられれば、魔石を消耗する前の時間に何度でも戻って、ほぼ無限の実験を繰り返し、術式完成を確実なものにすることが出来る。それが理想であり、今の目標だ。勿論この方法は戻る人間の肉体時間の経過は加味されておらず、スヴェン本人の寿命の解決という課題が残ってはいるが、禁術に手を出せば、その辺りは時間遡行に比べれば造作もないだろうと見当がついていた。
本のページを睨むように再度読み上げようとした時、パチン、と何かが弾ける音がした。ふぅっと風が頬を撫でる。
音がした方向を振り向いて、スヴェンは動けなくなった。
空間に大きな渦が現れたのだ。
その渦に向かって風が吹き込んでいる。
「おお!」
未知なる光景に弾んだ声を上げる。
まず渦から出てきたのは、手だった。男の両の手が伸び、時空の切れ目をこじ開けて、その姿を現した。これから始めようとしていた実験によって、数分か数時間の未来から自分が戻ってきたのではないか。どうやら、今実験している術式は成功したのではないか。歓喜に身が打ち震える。
単純な転移魔術など、スヴェンも何度も見たことがあるし、日常的に行使している。周辺空間に生じた歪の性質や姿の現れ方から、今目の前で行われているものは、通常のそれとは質が異なることは一目で判断できる。それは”理論上、時間遡行が成功すればこのような形で転移が成されるだろう”と想定した結果そのものだった。
「スヴェン博士か?」
渦から現れた男に尋ねられ、スヴェンは驚いて身を竦めた。
男は自分の身なりに気が付いたのか、ゴーグルの中の目を丸めて、被っていたマスクを外した。城塞の戦士たちよりも重装備だが、防寒具として見ても、防具として見ても、異様な姿をしていた。それはむしろ、ガスや毒に汚染された領域に立ち入る者が使う防護服に似ていた。
男は軽く会釈した。
「僕はフィリップ。スヴェン博士で間違いありませんか?」
「いかにも、吾輩はスヴェンだが……」
答えながら、興奮で何度もメガネを押し上げる。
「僕は未来から来た」
「おお、やはり! では、未来では時間移動の方法が確立されたのか! 素晴らしい! 素晴らしい!!」
スヴェンは無邪気に飛び跳ねた。
悲願だ。
奇跡が目の前で起きたのだ。経緯こそまだ判然としないが、宿願が果たされたのだ。
「その方法が知りたいか?」
「ああ、無論だ。吾輩にとって、生涯をかけた研究の成果だ!」
「僕の生きる時代にはその技術は確立している」
身の内から湧きあがる感動に震える。長い時間をかけた研究が実を結ぶのだ。喜ばない人間がいようものか。
スヴェンはズレたメガネを何度も押し上げ、唇をペロリと舐めた。
「未来では、あなたの完成させた基礎を発展させ、実際に過去に飛ぶことが出来るようになった」
「そうか……そうか……! それで」
「研究資料はある。それを渡してもいい」
フィリップと名乗った男は荷物からひとつの本を取り出して見せた。スヴェンは手を伸ばしたが、ぴたりと手を止める。
「……吾輩は、基礎を完成させた……?」
「ああ、そうだ」
「つまりは吾輩が術式を確立させたわけではないのだな」
基礎を完成させた研究者が自分だとして、その先、実際に技術転用することは別の次元の話になるはずだ。魔術、火薬、物理……この世の全ての技術はそうして生み出��れてきた。小さな研究の成果を種として多くの科学者が取り組み、発展的に理論を大成させていく。芽吹いたものを育てひとつの大樹とするにはそれだけの手間と時間と閃きが必要になる。
今までもスヴェンは『時間遡行の第一発見者』『行使者』となるために、寝食を忘れ、周囲から気味悪がられるほど、研究に必死で取り組んできた。
それでも時間が足りないと感じていた。その肌感覚は間違いではなかったのだ。
目の前に提示された本は確かにスヴェンを求めた結果に導くだろう。
だが、同時に自身の敗北を決定づけるのだ。己の力量だけではここには辿り着けなかったのだと、認めることとなる。
フィリップは静かに逡巡するスヴェンを見ていたが、やがて、微笑みながら頷いた。
「これは’’真実’だ。研究者としての矜持はさておき、”真実”を知りたくはないか?」
スヴェンはハッとして顔を上げた。
真実。
私は何のためにここまで進み続けてきたのか。
彼が言っていることが正しく、自身で術式を完成することがなかったとしても、それは過程に過ぎない。私が目指していたものは、あくまで”真実”ではないのか?
「もしも、それをいただくと言ったら? 何が望みだ?」
心のどこかで、素直にそれを受け取る事に呵責が生じていたのだろう。だから、それを受け取る事を、無意識に合理化したがっていたのかもしれない。未来から来た男に対価を返すことで、”真実”を受け取ってしまう自分に理由を与えようとしていた。
予見した通りにスヴェンの瞳に灯った貪欲な光を見出して、フィリップはにやりと笑った。
「城塞内の警備情報をいただこう」
「警備の? 何故だ?」
「知らない方がいい。あなたには関係のないことだ」
「……そもそもお前は、何のためにここにいるのだ?」
「知れば、来たるべき未来のことも伝えねばならなくなる。必要以上に過去を変える事は避けたい……ただ、必要なものがあるとだけ。それを持ち帰る事だけなら、この時代の歴史には影響しない、それは保証しても良い」
まるで台本があるかのように、フィリップは淀みなくスヴェンに語り掛ける。
未来から来た。それは間違いないだろう。スヴェンが口外もしていなかったはずの、仮説段階の転移の様子そのものが目前に展開したことで、疑う気持ちなど寸分もなくなっていた。受け取った資料に目を通せば、そこからもまたフィリップが未来から来た事が真実であるという証拠を得る事もできるだろう。ただ、もう一声、フィリップが信頼に値するという、自身が”真実”を受け取る事に感じる呵責を打ち消すだけの理由を求めたかった。
「受け入れたいのは山々だが、警備情報をとなると難しい。未来から来た事が仮に真実でも、君がトラエ以外の人間であったならば、私の立場からすれば利敵行為に与しかねない事になる。理解してくれるか」
スヴェンはこう言い放ちながら、内心で自嘲した。スヴェンは、フィリップがトラエの人間である事を証明してくれる事を期待していた。彼があらかじめ私の呵責を砕く準備までした上でここに来ていると、察しが付いていた。その上でこんな事を方便にするのは、戯曲を棒読みする姿を見透かされるようで、歯がゆかった。
フィリップは答えをやはり用意していたようで、間髪入れずに分厚い上着のポケットから、ひとつのネックレスを取り出した。金色のネックレスは傷がつき、古いものだった。スヴェンはその取り出す様を見ながら、やはり見透かされていたのだと、思わず赤面した。
「開けてみてくれ」
スヴェンはおずおずと受け取り、開いた。そして息を飲む。
「これは……!」
「一緒に映っているいる赤ん坊が僕だ」
一目見て分かった。写真に写った男は、ゴットフリートだ。城塞の食堂で目にした、岩でも噛み砕きそうな厚い顎、豹を思わせる眼光、右頬と左こめかみに負った特徴的な傷跡。スヴェンの知るゴットフリートよりもかなり年を重ね、白髪や白髭を蓄えた風貌で笑っていた。
――未来だ……。
スヴェンは、ごくりと息を飲んだ。
「あのゴットフリートが、人の親、果ては老人か……。戦場で死ぬような者ではないとは、思っていたが」
「祖父は一族の誇りだ」
「……分かった。警備情報を渡そう。だが、本当に面倒事は起こさないのか……?」
「表立っては何も起きないから、安心していただきたい。この時代には捨て置かれたものを、持ち帰るだけだ」
スヴェンには、その言葉の意味まではわからなかった。
その後の逡巡を見越したように、ゆっくりと研究書をスヴェンに差し出す。
「戻れる先は魔力の量に左右される。魔力を1点に集中すればいい。杖を使えばいいだろう」
「お……おお……」
「この本に詳しくまとめられている。運命は、未来は変わらない」
「本当に?」
「あなたが、あなたのために使うだけに留めれば、自ずとそうなるだろう」
答えないスヴェンの胸に、ドンと本が叩きつけられる。
その感触に、スヴェンの理性はぐらりとふらついた。
月が高く上ったのを見上げて、フィリップはゆっくりと山岳の斜面を進んだ。姿勢を低くし、音を立てないように。
(……不安はあったが、狙ったタイミングに戻れたな……)
グレーテルと徹底的に城塞の歴史を調べた。
激しい攻防戦から間がなく、その後しばらく戦闘がない、天候が落ち着いている時期。かつ、当日の天気が晴天で満月であること。
いくら協力を得ることが出来て警備の状況が把握できていても、誰もいないはずの山の斜面で灯りを用いて、遠目にでも見つかる危険を冒すことは避けるべきだ。暦を遡り、目途をつけたのが今日この日だった。
斜面には雪が積もっている。この積雪から数日、戦線に動きはなかったと記録されている。束の間の平和。だが、その直前には、この斜面で、たくさんの人と人が殺し合ったのだ。静寂に包まれた雪景色の中、あちこちに矢が突き刺さったまま放置されていた。戦闘の跡だ。
左右を見渡してから、フィリップは一番近くの雪を掻いた。そこにも矢が刺さっている。
(……矢先の雪がほのかに赤い)
山岳地の雪らしく、水を含まないさらさらとした雪で、払えば埋もれたものが簡単に姿を現す。
「……あった」
雪の下には、傷の少ない兵士が眠るように倒れていた。
念のため体を検めるが、四肢も無事で、背中に矢を受けた痕があるだけだ。専門外だが、転がした下の赤黒い土の色から察するに、死因は失血だろう。
こんなに状態のいい屍体を見たのは、いつぶりか。
ここはまさに、フィリップにとって宝の山だ。
見渡す限り、無数の屍体が隠されている。先日攻め入ってきたが退路を断たれ、殲滅の憂き目にあったラウニの一個師団がこの斜面に眠っている。
ざっと見積もっても数千から万を超すだろう。 この雪の下にある屍体さえあれば、それらは全て、二人が未来で戦うための手足となる。計り知れないほどの戦力だ。
グレーテルも転送を待っているだろう。と言っても、未来で待つ彼女の方からしたら、突然数千の屍体が目前に現れるような形になるのかもしれないが。
兵士を完全に雪の上に横たえてから、フィリップは術式を展開した。過去に遡行することに比べ、未来に送ることは難しくはない。状態が劣化しない静止した時空間に屍体を閉じ込める。そして、ある特定の時期に来たら、閉じた時空間から屍体を現実に表出させるように仕込んでおく。川の流れを下るように、時の流れに逆らわずに未来へ向かうのであれば、身を任せるだけで良い。逆に、流れに逆らって上流に向かおうとするには、莫大なエネルギーを要する。それが、時間遡行研究者たちがたどり着いた、ひとつの答えであった。
遺体はぼぉっと青白い光に包まれて、ふっと消えた。
成功だ。
こうして閉じ込めた屍体全てが、グレーテルの元で姿を現すだろう。彼女も状態のよさとその数に感動するはずだ。周囲を見渡し、笑みが溢れる。
屍体の数は多ければ多いだけいい。フィリップは近くの雪中を再び探り始めた。
「ん? なんだぁ?」
突然降ってきた声に、フィリップはぴたりと動きを止めた。
振り向けば、豪奢な装備に身を包む屈強そうな男が、首を傾げながらこちらを見ていた。ありえない。
「――……巡回はいないはずじゃ……」
スヴェンから得た警備資料は棚から即座に取り出されたものであって、あの場で嘘を取り繕うためにあらかじめ用意できるようなものではなかったはずだ。
だからこそ、その内容を信じたフィリップは夜を待って行動を開始したのだ。
「巡回なんざしてねえさ。散歩してただけだ」
男は野太い声で言った。
「しっかし、誰だ、お前は。さっき屍体を掘り返してたよな?」
「……何のことだ」
「おいおい、しらばっくれても無駄だ。見てたぞ。目の前から消えたんだからな」
失敗した。
頭の中で思考が急回転を始める。どうやってこの場を切り抜ける? 取り繕うか、命を奪い口を封じるか、逃げるか?
「転送魔法か? それで屍体を運んで何しようってんだ」
「それは……」
なにかうまい口実はないか、言葉を手繰ろうとするフィリップを待たずに、男は叫んだ。
「戦場泥棒は重罪だぜ!」
雪をギュッと踏みしめる音を立てて、男はフィリップに飛び掛かる。
やるしかないか。
咄嗟に、重力歪曲《グラビティプレス》の術式を展開する。
跳躍し上向いた兜の中の顔を、月明かりがはっきりと照らす。豹のような眼光がこちらを見据えていた。一瞬、フィリップの胸中に幼い日が去来した。
(――……ゴットフリート爺さん!)
逃げなければならない。話も通じない。殺してはいけない。
月明りを背に大きな影が落ちる。
フィリップは咄嗟に術式を変じて、空間移動《テレポート》に切り替えた。短い距離であればすぐに展開して移れる。
鈍い音を立てて、ゴットフリートが鞘から引き抜いた剣が雪に突き刺さる。さきほどまでフィリップが立っていた雪の跡は、衝撃で爆ぜて消え失せる。そのまま、目線を数歩先のフィリップに向ける。
「はっ、やっぱり転移か。ラウニの連中は知ったこっちゃねぇが、ここには俺の隊の奴も幾人か眠ってんだ…」
雪から剣を振り上げるように引き抜き、巻き上げられた細かい雪がまるで煙幕のように広がる。視界が真っ白に染まる。
フィリップは咄嗟に腕で顔を庇ったが、視界に影が過る。
(まずい!)
二度目の転送が一瞬遅れ、避け切れなかった。ゴットフリートの剣先は肩から胸にかけて切り裂く。傷は浅いが痛みによろめく。
雪の影から突きを繰り出したゴットフリートは、目をぎらりと輝かせる。
「魔術師相手は滅多にやれねえんだ。面白えな……!」
まともにやり合ったら、殺される。
運が悪すぎる。
本気でやり合ったところで、ゴットフリートに勝てるわけもない。仮に勝てたとしても、祖父である彼を今この場で殺したら、未来から来た自分は一体どうなる? 前例がなく、全く予想がつかない。年老いてからも人の話を全く聞かなかったあの男が、戦場跡をうろつく怪しい男が語る”理由”なぞ、おとなしく聞いてくれるはずもない。殺さずに無力化出来るような術も持ち合わせてはいない。
なんとかやり過ごして、逃げるしかない。
再度テレポートをしようと身構えたフィリップに向かって、ゴットフリートが大きく踏み出そうとして、ぴたりと止まった。
「……なんだ? 臭ぇな……」
眉をぐっと止せ険しい表情で辺りを見渡す。
確かに何か匂いがする。嗅いだことのない匂いだ。
「屍体の臭いでもないな……なんの臭いだ……?」
唐突に、その匂いが一層強くなった。
屍体は確かに掘り返した。けれども、この気温で、雪の下にあった兵士の体は腐敗するはずがない。凍てつき、匂いもなかったはずだ。
腐ったような、けれどももっと酷く脳を直接刺激するような……嗅いだことのないほど異臭。
「……うっ」
胸が悪くなる。
ゴットフリートも片手で鼻を抑えながら、周囲を見渡した。
ふたりの視点が1点にとまった。打ち捨てられた盾だ。放り出されて地面に突き立ったままのそれが、奇妙な黒い靄に包まれている。
「おい、小僧、お前の術か、ありゃあ?」
ゆらゆらと噴き出ていた黒い煙の密度が増す。
フィリップは自分の背中が粟立つのを感じた。
あれは、だめだ。
理由はわからない。ただ、本能が叫ぶ。けれど、足が竦んで動かない。
盾を包んでいた煙は次第に細くなり、盾と地面が成す角から勢いよく噴き出した。そして、その煙が見たこともない不気味な黒い猟犬の姿を取った。
~つづく~
原作: ohNussy
著作: 森きいこ
※今回のショートストーリーはohNussyが作成したプロットを元に代筆していただく形を取っております。ご了承ください。
旧き世に禍いあれ(3) - “猟犬の追尾”
「ショートストーリー」は、Buriedbornesの本編で語られる事のない物語を補完するためのゲーム外コンテンツです。「ショートストーリー」で、よりBuriedbornesの世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
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