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#鴉片戦争
anamon-book · 4 months
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阿片戦争 岩波ホール創立30周年記念第1弾 エキプ・ド・シネマ第118回ロードショー EQUIPE DE CINEMA No.125 岩波ホール 監督:謝晋
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fujimoto-h · 5 years
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2019年の出来事と読んだ本と観た映画と年末と
 実際にはすでに年は明けてしまっているが、この記事に関してはまだ年末という体で。またあとでべつの記事に年末については書きます。  今年は『フィルムメーカーズ19 ギジェルモ・デル・トロ』(宮帯出版社)に『クリムゾン・ピーク』について書かせてもらったり、『文芸誌 反省しない犬』に短篇を書かせていただいたりと、私個人としてはわりと文章発表の機会が増えた。『白鴉』31号に載せた作品が外部合評でやたら高評価だったが、同人誌評でどうなることやら。  仕事の激務化が進んで読書量が53冊と計測史上最低記録を更新してしまった。昨年は66冊。韓国文学の割合が増したのと、岡和田晃氏に勧められていた山野浩一をようやく読めた。  映画の観賞回数は126回。昨年は116回。『フィルムメーカーズ』に書くのにデル・トロをあらためてまとめて何作か観たのも増えた要因か。わりと邦画ががんばっていた印象。ずっと観たいと思っていた『サタンタンゴ』の上映はまさに事件であった。  あと、ライムスターが結成30周年で全国47都道府県ツアーを行ない、そのうち、岡山、和歌山、滋賀、兵庫、京都、大阪、東京、と参加。白鴉の例会がなければ奈良も行っていただろう。東京ポッド許可局のイベントも楽しかった。  2月に大阪入管前抗議、9月に日韓連帯アクション0907に参加し、神戸と東大阪の在日朝鮮学生美術展へ足を運ぶなどもした。  疎遠になっていたmixiの知り合いとふたたび縁がつながるということがふたり分起き、思えばいちばん実人生に影響を与えているSNSはmixiだなあと。よくも悪くも。
2019年の本と映画の記録。2018年はこちら。
読了本53冊
ファン・ジョンウン『誰でもない』(晶文社) ファン・ジョンウン『野蛮なアリスさん』(河出書房新社) チョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』(河出書房新社) 姜英淑『ライティングクラブ』(現代企画室) 村田沙耶香『コンビニ人間』(文春文庫)
ハン・ガン『ギリシャ語の時間』(晶文社) イム・チョル『別れの谷──消えゆくこの地のすべての簡易駅へ』(三一書房) 石垣りん『表札など』(童話屋) 樺山三英『ドン・キホーテの消息』(幻戯書房) キム・スム『ひとり』(三一書房)
石垣りん『略歴』(花神社) ハン・ガン『少年が来る』(クオン) 草野理恵子『パリンプセスト』(土曜美術社) メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』(新潮文庫) パトリシア・ウォー『メタフィクション──自意識のフィクションの理論と実際』(泰流社)
チョン・スチャン『羞恥』(みすず書房) 古田徹也『言葉の魂の哲学』(講談社選書メチエ) ハン・ガン『すべての、白いものたちの』(河出書房新社) 野間秀樹『日本語とハングル』(文春新書) 黄英治『こわい、こわい』(三一書房)
キム・ヨンハ『殺人者の記憶法』(クオン) 廣野由美子『批評理論入門──『フランケンシュタイン』解剖講義』(中公新書) チェ・ウニョン『ショウコの微笑』(クオン) アラン・ロブ=グリエ『消しゴム』(光文社古典新訳文庫) レベッカ・ソルニ���ト『説教したがる男たち』(左右社)
松岡政則『あるくことば』(書肆侃侃房) 内藤千珠子『帝国と暗殺──ジェンダーからみる近代日本のメディア編成』(新曜社)2回目。 内藤千珠子『愛国的無関心──「見えない他者」と物語の暴力』(新曜社)2回目。 アラン・ロブ=グリエ『新しい小説のために──付 スナップ・ショット』(新潮社) 『カム』17号
サミュエル・ベケット『モロイ』(河出書房新社) 鈴木道彦『余白の声──文学・サルトル・在日』(閏月社) アントワーヌ・コンピニョン『文学をめぐる理論と常識』(岩波書店) 原佑介『禁じられた郷愁──小林勝の戦後文学と朝鮮』(新幹社) 林浩治『在日朝鮮人日本語文学論』(新幹社)
サミュエル・ベケット『伴侶』(書肆山田 りぶるどるしおる)通算7回目 林浩治『戦後非日文学論』(新幹社) 金時鐘/佐高信『「在日」を生きる──ある詩人の闘争史』(集英社新書) 『星座盤』vol.13 『骨踊り──向井豊昭小説選』(幻戯書房)
トーマス・ベルンハルト『凍』(河出書房新社) 『babel』3号 『白鴉』31号 サミュエル・ベケット『マロウン死す』(河出書房新社) チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『なにかが首のまわりに』(河出文庫)
山野浩一『殺人者の空──山野浩一傑作選II』(創元SF文庫) 山野浩一『鳥はいまどこを飛ぶか──山野浩一傑作選I』(創元SF文庫) 山野浩一『X電車で行こう』(ハヤカワ文庫) 山野浩一『ザ・クライム』(冬樹社) 『現代韓国短篇選(下)』(岩波書店)
北村紗衣『お砂糖とスパイスと爆発的な何か──不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門』(書肆侃侃房) 谷賢一『従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインがブルシーロフ攻勢の夜に弾丸の雨降り注ぐ哨戒塔 の上で辿り着いた最後の一行「──およそ語り得るものについては明��に語られ得る/しかし語り得ぬことについて人は沈黙せねばならない」という言葉により 何を殺し何を生きようと祈ったのか?という語り得ずただ示されるのみの事実にまつわる物語』(工作舎) ジャン・ジロドゥ『トロイ戦争は起こらない』(ハヤカワ演劇文庫) 馳平啓樹『かがやき』(水窓出版)
映画観賞回数126回
『審判』(ジョン・ウィリアムズ)シネ・ヌーヴォ 『ヨーロッパ横断特急』(アラン・ロブ=グリエ)テアトル梅田 『嘘をつく男』(アラン・ロブ=グリエ)テアトル梅田 『エデン、その後』(アラン・ロブ=グリエ)テアトル梅田 『快楽の漸進的横滑り』(アラン・ロブ=グリエ)テアトル梅田
『鈴木家の嘘』(野尻克己)塚口サンサン劇場 『ヴェノム』(ルーベン・フライシャー)塚口サンサン劇場 『囚われの美女』(アラン・ロブ=グリエ)テアトル梅田 『不滅の女』(アラン・ロブ=グリエ)テアトル梅田 『ハード・コア』(山下敦弘)塚口サンサン劇場
『リンダリンダリンダ』(山下敦弘)通算2回目。塚口サンサン劇場 『教誨師』(佐向大)塚口サンサン劇場 『ア・ゴースト・ストーリー』(デヴィッド・ロウリー)塚口サンサン劇場 『ギャングース』(入江悠)通算3回目。第七藝術劇場 『寝ても覚めても』(濱口竜介)シネ・ヌーヴォ
『きみの鳥はうたえる』(三宅唱)シネ・ヌーヴォ 『KICKS』(ジャスティン・ティッピング)塚口サンサン劇場 『銃』(武正晴)塚口サンサン劇場 『ヘレディタリー 継承』(アリ・アスター)塚口サンサン劇場 『メアリーの総て』(ハイファ・アル=マンスール)塚口サンサン劇場
『アリー──スター誕生』(ブラッドリー・クーパー)塚口サンサン劇場 『ボヘミアン・ラプソディ』(ブライアン・シンガー)塚口サンサン劇場 『クリムゾン・ピーク』(ギレルモ・デル・トロ)通算2回目。DVD 『デビルズ・バックボーン』(ギレルモ・デル・トロ)DVD 『MAMA』(アンディ・ムスキエティ)DVD
『サスペリアpart2』(ダリオ・アルジェント)DVD 『嵐電』(鈴木卓爾)阪急梅田ホール。第14回大阪アジアン映画祭オープニングセレモニー。 『フランケンシュタイン』 (ジェイムズ・ホエール)DVD 『金子文子と朴烈』(イ・ジュンイク)シネ・ヌーヴォ 『クリムゾン・ピーク』(ギレルモ・デル・トロ)通算3回目。Blu-ray
『いつか家族に』(ハ・ジョンウ)塚口サンサン劇場 『22年目の記憶』(イ・ヘジュン)塚口サンサン劇場 『バーニング』(イ・チャンドン)塚口サンサン劇場 『バーニング』(イ・チャンドン)2回目。塚口サンサン劇場 『ホイットニー── オールウェイズ・ラヴ・ユー』(ケヴィン・マクドナルド)塚口サンサン劇場
『クリード──炎の宿敵』(スティーブン・ケイプル・Jr.)塚口サンサン劇場 『バーニング』(イ・チャンドン)3回目。塚口サンサン劇場 『天才作家の妻──40年目の真実』(ビョルン・ルンゲ)塚口サンサン劇場 『ヴィクトリア女王──最期の秘密』(スティーブン・フリアーズ)塚口サンサン劇場 『未来を乗り換えた男』(クリスティアン・ペツォールト)塚口サンサン劇場
『フロントランナー』(ジェイソン・ライトマン)塚口サンサン劇場 『キャプテン・マーベル』(アンナ・ボーデン/ライアン・フレック)Movixあまがさき 『ちいさな独裁者』(ロベルト・シュヴェンケ)塚口サンサン劇場 『ギルティ』(グスタフ・モーラー)塚口サンサン劇場 『ファースト・マン』(デイミアン・チャゼル)塚口サンサン劇場
『女王陛下のお気に入り』(ヨルゴス・ランティモス)塚口サンサン劇場 『グリーンブック』(ピーター・ファレリー)塚口サンサン劇場 『幸福なラザロ』(アリーチェ・ロルバケル)シネ・リーブル梅田 『ペパーミント・キャンディー』(イ・チャンドン)シアターセブン 『オアシス』(イ・チャンドン)シアターセブン
『主戦場』(ミキ・デザキ)第七藝術劇場 『カメラを止めるな!』(上田慎一郎)11回目。塚口サンサン劇場 『カメラを止めるな!スピンオフ ハリウッド大作戦!』 (上田慎一郎)塚口サンサン劇場 『ROMA/ローマ』(アルフォンソ・キュアロン)塚口サンサン劇場 『ビール・ストリートの恋人たち』(バリー・ジェンキンス)塚口サンサン劇場
『運び屋』(クリント・イーストウッド)塚口サンサン劇場 『ブラック・クランズマン』 (スパイク・リー)塚口サンサン劇場 『記者たち』(ロブ・ライナー)塚口サンサン劇場 『ふたりの女王──メアリーとエリザベス』(ジョージー・ルーク)塚口サンサン劇場 『バイス』(アダム・マッケイ)塚口サンサン劇場
『ゴジラ──キング・オブ・モンスターズ』(マイケル・ドハティ)塚口サンサン劇場 『多十郎殉愛記』(中島貞夫)塚口サンサン劇場 『マイ・ブックショップ』(イザベル・コイシェ)塚口サンサン劇場 『ビューティフル・ボーイ』(フェリックス・ヴァン・フルーニンゲン)塚口サンサン劇場 『コンジアム』(チョン・ボムシク)塚口サンサン劇場
『パドマーワト──女神の誕生』(サンジャイ・リーラ・バンサーリー)塚口サンサン劇場 『オーヴァーロード』(ジュリアス・エイヴァリー)塚口サンサン劇場 『希望の灯り』(トーマス・ステューバー)塚口サンサン劇場 『ドント・ウォーリー』(ガス・ヴァン・サント)塚口サンサン劇場 『ジョーズ』(スティーヴン・スピルバーグ)塚口サンサン劇場
『アナと世界の終わり』(ジョン・マクフェール)塚口サンサン劇場 『愛がなんだ』(今泉力哉)塚口サンサン劇場 『アメリカン・アニマルズ』(バート・レイトン)塚口サンサン劇場 『スノー・ロワイヤル』(ハンス・ペテル・モランド)塚口サンサン劇場 『荒野にて』(アンドリュー・ヘイ)塚口サンサン劇場
『嵐電』(鈴木卓爾)2回目。塚口サンサン劇場 『そうして私たちはプールに金魚を、』(長久允)塚口サンサン劇場 『WE ARE LITTLE ZOMBIES』(長久允)塚口サンサン劇場 『東京裁判』(小林正樹)シネ・ヌーヴォ 『ハッピー・デス・デイ』(クリストファー・ランドン)塚口サンサン劇場
『ハッピー・デス・デイ2U』(クリストファー・ランドン)塚口サンサン劇場 『イメージの本』(ジャン=リュック・ゴダール)堂島リバーフォーラム 『僕たちは希望という名の列車に乗った』 (ラース・クラウメ)塚口サンサン劇場 『ダンスウィズミー』(矢口史靖)塚口サンサン劇場 『よこがお』(深田晃司)テアトル梅田
『新聞記者』(藤井道人)塚口サンサン劇場 『よこがお』(深田晃司)2回目。テアトル梅田 『サウダーヂ』(富田克也)シネ・ヌーヴォ 『RAP IN TONDO』(富田克也)シネ・ヌーヴォ 『ラップ・イン・プノンペン』(富田克也)シネ・ヌーヴォ
『海獣の子供』(渡辺歩)塚口サンサン劇場 『ドッグマン』(マッテオ・ガローネ)テアトル梅田 『サタンタンゴ』(タル・ベーラ)テアトル梅田 『神と共に──第1章:罪と罰』(キム・ヨンファ)塚口サンサン劇場 『神と共に──第2章:因と縁』(キム・ヨンファ)塚口サンサン劇場
『永遠に僕のもの』(ルイス・オルテガ)塚口サンサン劇場 『工作──黒金星と呼ばれた男』(ユン・ジョンビン)塚口サンサン劇場 『ひろしま』(関川秀雄)シネ・ヌーヴォ 『存在のない子供たち』(ナディーン・ラバキー)塚口サンサン劇場 『世界の果ての鼓動』(ヴィム・ヴェンダース)塚口サンサン劇場
『クリムト──エゴン・シーレとウィーン黄金時代』(ミシェル・マリー)塚口サンサン劇場 『ピータールー──マンチェスターの悲劇』 (マイク・リー)塚口サンサン劇場 『イングランド・イズ・ マイン──モリッシー、はじまりの物語』(マーク・ギル)塚口サンサン劇場 『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(箱田優子)テアトル梅田 『米軍が最も恐れた男カメジロー不屈の生涯』(佐古忠彦)塚口サンサン劇場
『やっぱり契約破棄していいですか?』(トム・エドモンズ)塚口サンサン劇場 『感染家族』(イ・ミンジェ)塚口サンサン劇場 『守護教師』(イム・ジンスン)塚口サンサン劇場 『ベルリン──天使の詩』(ヴィム・ヴェンダース)たぶん通算5回目ぐらい。塚口サンサン劇場 『ガリーボーイ』(ゾーヤー・アクタル)シネ・リーブル梅田
『よこがお』(深田晃司)3回目。塚口サンサン劇場 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(クエンティン・タランティーノ)塚口サンサン劇場 『ラスト・ムービースター』(アダム・リフキン)塚口サンサン劇場 『アス』(ジョーダン・ピール)塚口サンサン劇場 『ジョーカー』(トッド・フィリップス)OSシネマズミント神戸
『メランコリック』 (田中征爾)塚口サンサン劇場 『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(箱田優子)2回目。シネマート心斎橋 『ブラインドスポッティング』(カルロス・ロペス・エストラーダ)塚口サンサン劇場 『ひとよ』(白石和彌)MOVIXあまがさき 『第三夫人と髪飾り』(アッシュ・メイフェア)テアトル梅田
『ある精肉店のはなし』(纐纈あや)第七藝術劇場 『象は静かに座っている』(フー・ボー)シネマート心斎橋 『アイリッシュマン』(マーティン・スコセッシ)シネマート心斎橋 『家族を想うとき』(ケン・ローチ)シネ・リーブル梅田 『去年マリエンバートで』(アラン・レネ)十何年かぶり2回目。シネ・リーブル梅田
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(片渕須直)テアトル新宿
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toubi-zekkai · 4 years
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 夜間を通して降り続いた雨も朝には霧雨となり、昼を過ぎた頃には完全に止んでいたが空の上は未だに襞の陰影がふやけた牛の小腸のように見える灰白色の雲に覆われ、羽ばたいて横断する鳥たちの影を殊更黒く際立たせていた。
 鴉が虚空を頻繁に往復している。黒い翼を大きく広げて嘴に細長い枝を咥えた鴉の視線の先には鉄楓の巨木が聳えていた。  終日多くの車が行き交い排気ガスに淀んでいる幅広い十字路の一角で空の雲海にあとほんの僅かで届くかに見える鉄楓の巨木は夢と現実の狭間にぼんやりと仰ぎ見る白い石塔のように聳え、一枚の葉も付けずに剪定の鋸に随所両断されている太い枝の断面や剥き出しになっている白い骨のような形成層、更には根元を支えている鉄骨とその下を覆っている黒い布などがこの高い木を尚のこと硬く無機質な構造物のように見せていた。  あまりにも巨大な対象を目の前にしたとき、その対象を自分の手先の延長線上にある実存だとは感じられず、抽象的な観念としてしか捉えることが出来ないという傾向を男は持っていた。例えば、高層マンションの前に立つとき、それが現実に存在する物質、鉄や白い塗料で造り上げられた構造物だとは感じられず、言葉やイメージを組み合わせて作られた観念の構造物であり、時間と同じように在るといえば在るし無いと云えば無いというような曖昧な存在、観測者に存在の確実性を依存する想像の産物と見分けが付かないのだった。目を閉じてまた開いたとき、マンションが跡形もなく消えていてもさして驚かないだろうと男は予感するのが常だったが、それは男にとってマンションが消えることは頭の中に浮かんだ数字が瞬く間に消えるのと大差がないからであり、そのような想像的マンションの無数に穿たれた蜂の巣の穴のような窓の中に自分と同じ生身の生きた人間が存在しているとはどうしても思えず、マンションの玄関の入り口から突然人間が出て来たりすると男は眺めていた絵の中の人物が不意に画布から飛び出して来たかのように驚きまた奇妙な違和感を感じるのだった。  抽象的観念としてしか捉えることの出来ないのはしかし巨大な対象に限られたものではなく、太陽、空、街、人間、ありとあらゆるものが男にとっては観念的存在に映り、ときには鏡の前に映る自分の姿さえも想像の産物なのではないかという疑いを抱いた。巨大なものがひときわ観念的にみえるのはそれだけ自分の内的現実と遠い存在だからであり、多少の僅差はあれどありとあらゆるものは無限に遠い存在として男の目の前に置かれていた。現実からの乖離断絶を常に感じ、男が渇望しているものは唯一つその現実に触れることだけであったが、しかしそれこそ紛れもない現実にほかならなかった。  街というものは人間作り出した観念の産物であり、発達し発展していくほどに純観念的に進化していく、いわば観念の結晶化現象だと男は考えていた。結晶の街は硬質な鉄やコンクリートで形作られ、白や灰白色の塗料で塗り込められ、動きはすべて機械の正確な計算によって或いは機械のように優秀な人間にとって制御されている。そこから排除されていくものは、肉のように柔らかいものであり、黒や黒に近い色のものであり、不規則な動きをみせるもの、つまりは自然発生的な暴力、その延長線上にある死の影であった。死は芽を出す前にその予兆から摘み取られていた。駅の前には必ず交番があり、腰に拳銃を差した警官が座って、単身赴任の夫の帰りを待ち続ける窓辺の人妻のように来たるべき暴力の影に備えていたが、彼らの待ち望む暴力がやって来ることは稀であり、時折やっと道を尋ねに異国人がとぼとぼ歩いて来るぐらいであった。待ちわび兼ねて黒を白で押し包んだ車で警官は街に飛び出していくが、波一つ立たない静謐な街はさながら不毛海域のようであり彼らの漁船が魚を見つけて頭の上に乗せた赤いランプを光らせることはついになく、虚しく肩を落としてまた交番へと帰っていくのが大概であった。それも至極当然なことで、暴力の影は彼らが探しに出かける遥か前から根こそぎ刈り取られているのであり、早朝から籠の台車を引いて何人もの掃除夫が夜の残骸を掻き集め、ビルの会議の机の上では古い建物を取り壊し新たな建物をつくる計画が毎朝練られ、鴉や椋鳥は駆逐され、野良犬や野良猫は見つけしだい保健所に連れていかれ、近年になって街中に張り巡らされた監視カメラの出番を待つまでもなく行き交う人々の鋭い視線が絶えず光り、浮浪者を見掛けることも皆無であった。僅かに掻き集められた暴力は救急車の白さに包まれて郊外に城のように構えた病院の中へ、鉄格子の嵌められたバスに揺られて見たこともない丘の上の堀の中へ、或いは青い象のように大きな車に街外れの集積所へと運ばれると悉く燃やされて、その白い煙はこの街で一番空に近い白い煙突塔の先端から終日流されていた。  それではこの街に住む人間は現実感を男のように失っているかといえば、そうではなくこの街の人間の多くは現実感を絶えず摂取し、飼い豚のように肥えていた。ドクダミの草のように街にはラーメン屋を始めとしてありとあらゆる飲食店がはびこり香ばしい匂いを終日遠くまで漂わせ、スーパーやコンビニに行けば観念に加工され調理された動物や魚の死体が清潔に煌びやかに陳列されていた。ゲームセンターやパチンコ屋は朝からネオンとともに派手な音響を響かせ、デパートの中で或いはカフェの中で愉快な或いは物悲しい音楽は常に鳴り響いていた。道端には手入れの届いた植草や植木が整然と並び、その横をもはや狼の面影などまるでない調教された玩具のような子犬を引き攣れて白いワンピースを着た女が幸せそうに歩き、女の頭上にはビル群の直線に切り取られた多角形の空が浮かんでいる。太陽が沈んで観念の力が高まる夜になると、夜通し開いている賑やかな居酒屋や御洒落なバーで男たちは唾を飛ばしながら酒で観念を溶かし込み、それでも物足りない場合はラブホテルや風俗店に駆け込んで女の柔肌を通して現実の熱い感触を肌に染み込ませる。いや、多くの人間はそこまでしない、大概は自分の部屋のなかに引き篭もり、呪われた想像力と情報器具を駆使して現実感を安全に摂取する。ポップコーンを片手に一家惨殺事件の顛末を追い、外国で飢えて死んでいく子供たちを憐れみ、不倫が発覚して崩壊していく人生を嘲笑う。二次元の世界では更に顕著に、瞳だけが異様に大きい無垢な少女たちが魔法を駆使して殺し合い、痩せ細った女のような男たちが盛んに淫らな愛を交わし、ゲームの世界ではライフルや機関銃を撃ちまくり、女や子供関係なく殺して街中を血に染めることも出来たし、ポルノを見れば強姦など当たり前で、その画面の中ではどんな過酷な拷問でも女に科すことができたし、その逆ももちろん出来た。  暗い穴倉のなかで想像力は厄災のようにどこまでも広がり、それに見合う現実感を得るだけの技術を人間は獲得していた。現実感の蜜は観念の安全な鉄の檻に守られた飼い豚の口に絶えることなく流し込まれ、その中で豚たちは満たされ幸福に眠り込み、この街は穏やかな平和に包まれていた。  しかし、現実と現実感というものの間に絶対に越えることの出来ない隔たりがあることを男は知っていた。偽物はどれほど精巧に本物に似せて作ろうと偽物であり、完全に見える贋作は稚拙な偽物の絵よりもかえって本物の絵に対する越えられない一線を際立たせて男の前に突き付けていた。この街は綺麗であり秩序もあり尚且つあらゆる欲望を満たす物質に満ち溢れていたが、唯一つ美しさだけが欠けていた。美しさとは死と向き合う人間の意識だけが感じ取ることの出来る世界の現実そのものだった。  美しさとは単なる趣味の問題ではなく現実の世界そのものであったから、観念の檻から飛び出して現実に触れたい、つまりは本当の意味で生を生きたいと渇望する男にとっては切実を通り過ぎて人生で唯一の問題であった。美しくなければ現実ではないし、現実でなければ美しくはなく、現実とは想像が入り込む余地が一切ない美しさであり、美しさとは仮初の現実感を喪失させる現実そのものであった。  美意識を持たない飼い豚たちが造る街は当然のごとく美しくはなく、現実から遠くかけ離れた砂上の楼閣の中で安寧に暮らす飼い豚たちの醜い姿は街を彷徨う魂を持たないゾンビのように男の目には映っていた。  しかし男もまたゾンビの亜種であることには違いなかった。男は電車に乗る機会が多く、その日も開閉式ドアの前に立って空と蒼い山脈の彼方に憧憬の眼差しを注いでいたのだったが、空と蒼い山脈がビルの群れに掻き消されて不意に暗くなった硝子窓にうっすらと半透明な男の姿が映し出された。男はその朧げで亡霊のような自分の姿が鏡や写真に映り込んだ自分の姿よりもひどく自分の真実に似つかわしい姿に思え奇妙な納得と安心を覚えていたのだが同時にその亡霊の瞳の中には手摺に掴まってぼんやりと立っているゾンビ姿の自分が映り込んでいることにもまた気が付いたのだった。  ときおり電車が激しく揺れると、男は手摺から手を滑らして目の前の硝子窓に手を置いて身体を支えていたが、そのとき同時に亡霊も手を伸ばし男と亡霊の手はぴたりと綺麗に重なっていた。蒼白い亡霊の手の平は冷たく硬い観念の感触そのものであったが、一方亡霊の手の平は男の手の平に熱く柔らかな現実の感触を感じていたはずだった。  幾度となく訪れた鉄の揺り篭の激しい揺れは男のなかにひとつの思想を熟成させていった。それは亡霊へと至る道筋であり、自分の意識を身体から完全に切り離してあの硝子窓の内側に閉じ込める、つまりは自分を純粋に観念的存在にしなければならないということであった。なぜなら現実の完全な扉は純粋な観念的存在にのみ開かれているからであったが、それは過去に数多の宗教や哲学が説いてきた奥義であり、芸術家が懊悩の果てに一瞬垣間覗く彼岸の赤い花であり、赤い血を流して斃れゆく戦士の瞳に映る蒼い空であり、男が常に予感し惹かれつつも巧妙に卑怯に怠惰に避けてきた思想であるとともに、男が生まれる遥か前の大きな戦争で合理主義の前に敗れ去り廃れ切った神々の思想であって、透けた硝子窓越しに蟻塚のように広がる鉄とコンクリートに堅固された灰白色の街はそんな神々の累積した死体の上に築き上げられているのであった。
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acedia-gallina · 7 years
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ルベウス・アーベントロート  外見的には30-30代半ば  189cm  有閑貴族     【外見】 4枚の黒翼を持つ、やや痩身。外見年齢は30-30代半ば。 黒の布で右目を覆う。左手の中指に鮮紅のルビーの嵌った古いマーカサイトのリング。 堕天後にデキウスの闇を通じて右目の視神経の痛覚とつながれた月長石のピアス(両耳) かろうじて後ろで結わえることの出来る程度の長さの黒髪で、前髪は後ろへと撫で付けている。 光の加減で銀にも見える薄いブルーグレーの双眸で、目元だけの印象としてはかなり冷酷な感じ。 手足が長く、両手で剣を扱うためバランスよく左右に筋肉がついている。 二剣を振るう姿は舞踏に例えられたほど優雅だったらしく、現在も日常の挙措は端正。 【性格】 基本的に物静かで喜怒哀楽がはっきりとした表情の動きではないが、無愛想というわけでもなくよく観察すればそれなりに。 口調は慇懃、丁寧。かつては天使の中で有数の激情家だったが、今はその片鱗もなく物静か。 他者や物事に対する執着心が薄く、それゆえからくる冷淡かつ無関心に取れる言動が常だが無情というわけではない。 ごく少数の相手に横柄であり、些細な感情もぶつけるが、それを知る者は魔族であれ稀有。 【詳細設定】 右手の剣は「ラズワード」(雷撃)左手の剣は「アーリア」(火焔)。 普段は体内に持ち、戦闘時に具現化させるが、二羽の大鴉の姿を取ることもある。 剣に雷撃と火炎の魔法を帯びさせて使うが、基本的に人間の土地では身を護る為以外に使うことはない。 肉体の自己回復力はかなり高いが、神聖魔法に弱く、回復系の魔力はない。 美の存在を正義、善、信仰すべてを凌駕して愛でた為、熾天使であった主人と共に聖戦の折に堕天。 その罪ゆえ覆われた右目に映るものは、未来の衰え朽ちた姿として見える。 高位魔族(伯爵)ではあるが、魔族内での権力闘争などには疎く、社交も地味。 デキウスとは旧知で、気質的には真逆だが一種アウトロー的な部分と、当人たちすら不思議と認め合う部分があるらしく、奇妙な友情が成り立っている。
本宅(サンギナリア城)は魔界に構えているが、仕える主人の命を受けて人間界の各地をめぐることが多い。 人間界の拠点はシルヴェスの都・ナハトメレクの外れにある古い城館(アルマース城)。 身の回りの世話は全て傀儡(ドール)にさせている。 そのドールたちを統括するのはレジーナという少女。実はルベウスがきわめて芸術性の高い美しいエルフドールを購入し、魔力によって擬似生命を与えており、外見的にはまさに人形めいた美貌のヒトガタで肌も柔らかく温かい。 現状、本人もドールだと気づいておらず、ルベウスが戯れに与えた過去の記憶に疑いを持っていない。 元来の目的はダーティー(吸血鬼の第三種)の吸血鬼を狩るために作られたボディなので、汎用ドールよりもはるかに強靭で、素手で人間の頭蓋骨を容易に砕ける。 また、その器たる部分(術をかける前にはビスクに見える)にはダーティーの骨がすりつぶして練りこまれているので、魔族なみに負傷などにも強く、戦闘も可能。 本来心臓にあたる動力の魔石はルベウスの強力な魔術が封じられた握りこぶしほどのルビーで、汎用タイプのようなメンテはほとんど必要ない。それを取り出せば、全機能は停止する。 ルベウス当人は、主人の手足として世界を飛び回る傍ら、人間の生み出した芸術と長く変わらぬ宝石を淡白に愛で、各地の美術館・博物館のパトロンを務める。それが至高神に捧げられた芸術であれ、美しさを純粋に愛するので抵抗や反発はない。 普段の服装は殆ど黒に近いネイヴィーのジュストコールスタイルのロングコート、裾と袖部分には銀糸の刺繍。 アイボリーのシルクのシャツ、黒の細身のスラックス(ポケットから懐中時計の銀鎖)、ブーツ姿。
【詳細:背後設定】 旧五神の一人、シャリートの部下の一人。オディールの黒鳥城の管理をはじめ、政治的接待がらみは何でもこなす。 仕事は有能でかつ人当たりも良いが、プライヴェートは自分の興味意外は動かない、割と短気。 出自は古代種の竜が数百年のときを経て体内に育む宝石(ルビー)であり、竜の生命力、叡智そのものの結晶。それが竜の死後に残り、人間たちに信仰されて神としての力を得た。 主人によって聖界に引き上げられた聖族(天使)なので、いわゆる縁故採用。 魔貴族としての体裁を整えるためにそれなりの城を持つが、当人は生活の快適さには無頓着。 無類の書物好き。読書に耽るときは机よりも床に座り込んで、周囲に本を積み上げていくスタイル。 聖界時代より主人から下賜されていた香を愛用。染み付いているせいか、本人からも同様の微香がする。 毎年オディールで開かれる魔族の宴・ルーフェロの夜に出席する折、たとえ遠方で不在であっても、デキウスの身辺を整える。 オディール内で配達を請け負う妖魔の猫(通称:ねこみみさん)が誕生するきっかけで奔走させれた経緯あり。 【詳細:聖界時代】 表向き品行方正で有能だが、生粋の聖族ではないので「バレなきゃいい」的発想が多々あり、最終的にはそれが神を欺き、右目を呪われることにも繋がる。 髪の色、目の色は現在と同じ。ただし、肩甲骨下あたりまでの長髪だった。 翼の色は深紅、2対。階位は中級天使内の戦天使だった(能天使 エクスシアExsia) 剣は雪白の大鴉(アーリアとラズワード)で穢れを浄化する力もあった。 美術品や聖遺物をおさめる倉庫の��うな場所に居住、本に囲まれた寝台もない空間で生活していた(本人的には眠らない、快適さも頓着しないので問題がなかった) 【詳細:堕天後魔界時代】 堕天時に神に右目を傷つけられ呪いを受ける。彼がもっとも愛して執着した美しいものに対しての罰であり、右目に映るものは聖族以外は全て朽ちた姿で見える。 何度抉っても右目は神の呪いによって完璧に再生する。堕天後暫くは抉ることを止められなかったが、デキウスに穿たれたピアス(月長石)により、闇を通じで視神経とデキウスの痛覚を繋がれたので徐々に抉る衝動を抑えるようになる。 瘴気に侵されたデキウスの翼を素手で捥ぎ取り、以後全快まで面倒を見る。その時に主人から与えられていた辺境の城を本拠にして現在に至る。 城の名前はサンギナリア。同名の白い花が咲く絶壁の城である。
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hinagikutsushin · 6 years
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さようなら、またいつか。
 時は長月の夜。満月が頭上できらりと輝き、虫が合唱をし始める頃。山の奥底の小さな草庵に、私はいた。
 こぽぽぽ、と杯に注がれる酒の音。ふわっと漂う米の豊かな香りに、私は思わず口元を緩めた。今日の為に探したこの米焼酎は、以前から信尚がとても飲みたがっていたものだ。見つかってよかったと、心底そう思う。
 私は彼の家の縁側に座ったまま、少し障子を開けて、中の様子を見てみた。台所でおつまみを作っているであろう、深緑の着物を着流した彼の後ろ姿が目に入る。緩く縛ってある濡鴉色の長い髪は頭の上で揺れ、細く、少し骨の浮き出た腕と指は、手際良くおつまみを皿に盛り付けていく。
 視線を感じたのか、彼がこちらに向いた。無精髭の生えた角張った顔は、少し窶れたようにも見える。そのままじっと私が彼を見つめていると、信尚は黒真珠のような瞳を細めて困ったように笑い、大皿を片手にこちらに大股で歩いてきた。
「なんだ、開けちまったのか」
 彼は障子をスパンッと開け、私の隣にゆたりと座った。
「我慢出来なくて……」
「俺のための酒だったんじゃなかったけか?」
 によによと笑いながらこちらを見る彼に、私は少しムッとした。そりゃあ信尚の為に持ってきたようなものだが、その言い方は狡いという気持ちも込めて、私は彼をじぃーっと睨みつけた。信尚は勘弁してくれろ言わんばかりに両手を軽くあげた。
「こら、そんな顔するな」
「ノブタカがそうさせたんだよ」
「俺か」
 ノブタカは何が楽しいのか、普段は糸のようにきゅっと結んである口元をゆるゆると解き、くつくつと笑った。同時に私の頬がふわっと熱を帯びる。
「ほほほ、ほら、せっかく開けたんだから早く楽しまないと! 笑ってないで! ね!」
 盃を手に取って恥ずかしさを取っ払うかのように、慌てて早口で私がそうはやし立てると、信尚はわははと大きな声で笑い、自身の盃を取った。
「では、本日少々せっかちな裂の為に、」
「う、煩いわね……!」
「冗談だよ」
 仕切り直しだと言わんばかりに彼はゴホンとわざとらしく咳をし、盃を軽く持ち上げた。私も盃を掲げる。  
「「乾杯」」
 静かな森の中で、私たちの声が響いた。
  呑み始めて数刻が過ぎ、既に瓶は2本目に入った。酔いがまわったのか、私も彼もふわふわとした酔いの独特の雰囲気に身を任せ、取り留めもない事を話しては笑い合った。
「そういえば、俺達が会ったのって何時頃だったか……」
 突然、彼がポツリと呟いた。
「かなり前……よね?」
「そうだなぁ……」
 私は自身の金色の髪を少し指に絡めてそう答えると、彼は曖昧に唸った。
「多分ノブタカが武士を辞めてすぐじゃなかったかしら?」
「んー……ああ、思い出した。確か賊に襲われた時だったな……。そういやレツ、お前その時にゃもう天狐だったのに、何で犯されそうになってたんだ?」
 ぐっ、と私は喉の奥を鳴らした。出来れば思い出したくない、私にとっては黒歴史のような出来事だったのだ。
 私が言いにくそうに口をもごもごさせると、彼は無理していう必要は無いと、私の髪をなでた。
「でも、気になるんでしょう……?」
「まあ、な」
「そー、その……私、その時本当に成り立てだったし、国の長になる事への圧力に耐えられなくてがむしゃらに外に出たわけで……エット……結構いっぱいいっぱいで……」
 ぽつぽつと話す内容を聞いている彼の顔をちらっと見てみると、若干呆れが入ったような微妙な表情をしていた。
「おめー、もしかしてだが……幻術の使い方ど忘れしたのか」
「うっ」
 はいそうです仰る通りですええ!! と、私がはんばムキになってそう言い返すと、彼は口にしていた酒をぶっと吹いた。コイツ私のこと馬鹿にしてる……! わなわな���震えていると信尚は自分の口を拭い、ぽんぽんと私の肩を軽く叩いた。が、未だに笑いが止まらないのか、彼の肩が少し揺れている。
「わ、笑わないでよ!!」
「いや、まさか大戦時幻術使いで有名だったかの九尾が、賊に襲われかけ幻術の使い方忘れたとか……滑稽でしかないだろう」
 笑いが収まってきたのか、ふーっと深呼吸する信尚に、私はため息をついた。これだから言いたくなかったのに……。
 私は飲みかけの盃を覗き見た。風に水面が揺れている。少し年期の入ったこの盃は、私が数年前信尚の誕生日にあげたものだ。時が経ち、金箔が剥がれ、傷もつき、少しくすんだ所を見ると、私たちがどのくらい長い間共に過ごしたかが分かる。
 今思えば、本当にノブタカに会ってから色々なことが私の中で変わっていった。それは人間に対する見方であったり、自身の力の使い所であったり...内気で泣き虫だった私が活動的になったりと。お酒の飲み方を教えてくれたのも、確か信尚だったっけ……。
 お酒といえば、私が信尚に告白した時も、こんな夜中、お酒を飲んでいる時だった。出会ってから、幾年過ぎた去年の秋の頃だった筈……。
「……ツ、……レツ?」
「んあ、うん。何?」
「ぼーっとしてたもんで、もう酔ったのかと」
「失礼ね。まだまだいけるわよ、私」
 私が拳をぎゅっと握ると、そうかと彼は頷き、盃にある酒をぐっと飲み干した。こくりと動く喉仏と、随分と薄くなった首に思わず目を逸らした。
 彼は、弱くなってしまった。
 元々病気だったのだ。肺が侵される病だ。武士を辞めて山で人を寄せ付けぬよう1人暮らすのも、私と関係を結ぶことを拒もうとしたのも、全てこの病のせいだったのだ。私と恋仲になったその後も、その事実を知らせないために、私の前では元気なふりをしていた。
 私は、それを知らなかった。嫌、知ろうとしなかった。
 気づいてはいた。血の匂いや、体が軋む音から、彼はもう長くはないという事は、頭の奥底では理解していた。
 しかし、気付かないふりをしたのだ。
 きっと、現実を見たくなかったのかもしれない。
 だから、遅かった。
 彼が病気だという事実を認めたのは……つい、1ヶ月だ。
 私の目の前で喀血したのだ。赤い、生温い鮮血だった。
 その後、彼の様態は目に見えるように悪化していった。
 何度も何度も喀血を繰り返し、体はボロボロになって、以前は付いていた筋肉は消え、骨と皮だけが残り、皮膚は乾燥し、髪は枯れ草のようになってしまった。
 出来ることは全てした。有名な多種多様の薬も飲ませた。看病もした。でも―—全てが遅かった。
「……ノブタカ、」
 そっと、彼の肩に頭を乗せる。骨ばった肩が食いこんで、少し痛い。
「のぶ、たか」
 彼を呼ぶ私の声は弱々しい。最初はピンと立っていた自慢の金のキツネ耳は、だんだんと横に倒れ、元気をなくした。
 信尚が、ふっと息を吐いた。
 瞬間ふわりと彼の香りに包み込まれる。私の好きな、春の新風のような、暖かな香りだ。
 とくん、とくんと、微かながらに心音が聞こえる。
 ――あぁ、彼はまだ生きている。
「すまない」
「なに、が」
「俺は……お前に辛い思いをさせてしまう」
 自傷気味にそういう信尚に、私は首を振った。私が彼から得た幸せは、多大なものだったから。辛い思い出なんて、なかったと、そう言うように。
「ノブタカ、私……」
 私の気持ちを、伝えなきゃいけないのに、あぁ、どうして言葉が出てこないんだ、喉がつっかえてしまうんだ。言わなきゃ、言わなきゃいけないのに……!
「レツ……大丈夫、大丈夫だから」
 ぎゅっと、きつく抱き締められると同時に、私の中の何かが崩れた。溜池が崩壊し、濁流が外へ外へと勢いよく出ていく。
「のぶたかっ……!」
 どこにも行かないでほしい。ずっとずっと私のそばにいてほしい。種族なんてもうどうでもいい。ただ、そばにいてくれさえすればいい。信尚には絶対に言いたくなかった私の醜い願望が口から溢れ出た。そんなことが不可能であることは知っていた。だけど、彼が居なくなることに私は耐えられそうになかった。このまま出会わなければこんな苦しい思いはしなかったのに。
 ごめん、ごめんなさい。後悔しないという貴方との約束を、私は破ってしまった。
 押し寄せる後悔の念と、約束を破ってしまったという罪悪感に押しつぶされそうになる私を、ノブタカはただ抱き締めた。
「ノブタカ、あのね。私、一目惚れだったの」
「そうか」
「山賊に襲われた時、颯爽と現れて助けてくれたでしょう。最初は全く理解出来なかったの。なんで人間なんかが自分を助けてくれたんだろうって」
「あぁ」
「でも、それ以上に、貴方が気になってしょうがなかった」
 存分にノブタカの腕の中で泣いた私は、彼の胸に寄りかかりながらポツポツと胸のうちを語った。出会った時の衝撃から、その後の何十年を、ひとつひとつ噛みしめるように。
「あなたの前に、また姿を表したその時、あの時の狐かって……そう言ってくれたでしょう? あぁ、覚えててくれたんだって……嬉しくて……」
 ゆっくりと私の頭を撫でる手が心地よく、涙で焼けた目が、うとうとと、閉じていく。
「はじめはノブタカのこと、お父さんとか、お兄さんみたいな感じだと思ってたの。親愛だと思ってた。私は家族がいないから、愛されることにきっと飢えてたのかもしれない」
 昔の自分を脳裏に浮かべた。家族がいないという事だけで蔑まれ、外へ外へと追い出されたあの頃。私は自分を必要としてくれる人が欲しかった。それが戦争であれ、仲間であれ。
「最初は、ただ受け止めてくれる貴方に満足していたの。...でも、それだけじゃ足りなくて、告白した。種族なんてどうでもよかった。繋がりが、欲しかったのよ。人は私たち妖獣より早く逝くことは知ってたわ。貴方をきっと縛り付けてしまうということも……。それでも、後悔しないって……決めてたのに...だめね、私」
 自分を貶すかのように笑った私に、信尚の手が止まった。どうしたんだろうか、と顔を見ようと少し上を向こうとすると、ふっと、視界が暗くなる。彼の手が私の視界を遮ったのだ。
「だめじゃ、ない」
 耳の横で、低い掠れ声が響いた。
「レツ……俺も、実は一目惚れだったのやもしれん」
 思わずえっと声を漏らし、彼の方を振り向こうとしたが、目隠しのせいで前が見えない。
「最初は、薄っぺらい正義感でお前を救った。だが……お前をこの目で見た時、惹き込まれるような感覚がした。お前の、茜色の瞳に。最初は幻術にでも掛かったと思っていた。だが……すぐに、それは違うとわかった。……俺にも、この感情がよくわからなかったんだ。ただ、ずっとお前が大切で、守るべき存在であることは、確かだった」
 彼の言葉が、ひとつひとつ私の中に入ってきては、ゆったりと心を満たしていくのを感じた。体の力をゆっくり抜き、彼に自分の身を委ねた。
「だからな、告白された時……自分を必要としてくれたと感じて……嬉しかったんだ。だが、種族という大きな壁、そして何よりも俺のこの病気の事もあって……少々、後ろめたかった。最後はまぁ、折れたけど、な」
 くつくつと喉で笑いながら話す彼の声が寂しげに私の耳を鳴らす。
「俺も、後悔していることは沢山ある。病気のことを早く話すべきだったとか、もう少し、レツの気持ちを考えてあげるべきだったとか……いっその事、会わなければ、あの日助けなければこんなに辛い思いなんてしなかったと思った日もあった……だが、」
 ノブタカが喉を引くつかせた。生暖かい雫が、私の肩に落ちては、シミを作っていく。
「レツがいたからこそ、俺は今ここにいて、お前がいたからこそ、こんなにも心が満たされているんだということに……漸く、気がつけた」
私は、目を覆っていた彼の手を振り払い、思いっきり正面から抱きついた。消えてしまわないように、ぎゅっと、苦しいくらいに。
「あなた、馬鹿よ……」
「あぁ、知ってる」
「いつも、本当のことは言ってくれないし」
「そうだな」
「鈍いし」
「あぁ」
「女心をちっともわかってない」
「……」
「でも、でもね」
「私も、ノブタカがそばにいてくれたおかげで私がいて、心が満たされたんだって……私も、気づけたよ……」
 顔をあげ、彼の顔を見る。私の茜色の目からは、雪解けのように、ぽたぽたととめどなく雫が流れ落ち、彼の目からも雨のようにさめざめと涙が落ちていく。
 私たちは結局、似たもの同士だ。不器用で、バカで、鈍い……本当にどうしようもない人だ。
 だが、二人でその足りないところをお互い埋めてきたことを、今更気づくなんて...なんて遅いのだろうか。
 でも、それが私たちなのだろう。
「こんなに満ち足りているんだから、後悔なんてする必要なかったのよ」
 空が明るんできた頃、私達はそっと目を開けた。あの後、残った焼酎数瓶を勢いで飲み干し、信尚とそのまま寝落ちてしまった事を思い出す。
「最後の最後に、無理をしたなぁ……」
 ボキボキと体を鳴らし、信尚がぶすっと呟いた。
「いいのよ、これが最期なんだから」
 私は幾分かスッキリした顔で彼に微笑んだ。あぁ、今までの中で、1番気分がいい。
「お前、俺がつまみを作っている時に幻術掛けただろう」
「あ、やっぱりバレた?」
「そら、あんなに目を爛々とさせてたらすぐに分かるさ」
 何十年一緒にいると思ってるんだと言わんばかりに、大袈裟に肩をすくめるノブタカに 私はちろっと舌を出して笑い、でもいつもよりずっと体が楽でしょうと如何にも得意げに答えた。
 ゆっくり、しかし確かに日は昇っていく。木々の間から射す朝焼けの光が、私たちを黄金に照らし、森を緋く燃やした。そして濃紺から濃紅、東雲色から淡黄色へ移り変わる空の姿は、まるで必死に命を燃やすかのように光り輝く。その幻想的な光景に、私は目を奪われた。
 暫く、それに見とれていると、ノブタカが私を呼んだ。なぁに、と振り向く私を、優しく、包むように正面から抱きしめた。
 私の耳に微かに届く、とく、とく、と時を刻むかのように脈を打つ彼の心の臓。離れたくなくて、彼の胸に頭を擦り付けた。
「レツ、聴いてくれ」
 私が顔をあげ、こくりと頷くと、彼は私の頬に手を添え、額を合わせた。彼の温もり直に感じ、目を細める。
「この先、何があってもお前のそばに俺はい続けよう。お前が俺を望む限り、何十年、何百年……この世界が終わろうとも、永遠に、隣にいよう」
 彼の目がゆっくりと閉じていく。
「だからお前は安心して、前を向きなさい。ここで止まってはならない。お前は、まだ歩かねばならない」
 手から、温もりが、消えていく。
「生きろ、レツ―—愛してる」
 彼の頭が、私の肩にぽすりと落ちた。体の力は抜けきっており、完全にその身を私に委ねている。
 私はそっと彼を起こし、自分の膝の上に頭を乗せた。眠っているようにも見えるその顔は、微かな笑を浮かべ、幸せそうな表情をしていた。
「ほんと、ひどいひと」
 ぽつり、と私の口が開く。
 もう彼の美しい瞳を見ることも、低い声を聞くことも、温かい腕に抱かれることもない。
「いいにげするなんて……ひきょうよ、ばか」
 目の前が、ゆらゆらと揺れる。鼻の���がツンッとする。
 ノブタカの体に残った温もりを感じようとそっと抱きしめ、彼の薄い唇に、自分のそれを重ねた。
 「私も……愛してるわ、ノブタカ」
 私も、あなたのことをずっと待ってる。だから、早く帰っておいで。私の、愛しい人。
「師匠、今日は何をするのですか?」
「そうじゃのお……酒でも飲むか」
「レツ様、昨日も呑んだでしょう。いい加減にしてください」
「イヅキは辛辣よのう……ライ~」
「師匠、お酒はダメですよ」
 あれから千年と数百年がたった。私はライという弟子と、イヅキという養子をとり、その子らと家族のように過ごすようになった。空狐となった今では長の座をライに譲り、山奥で静かに暮らしている。
 この長い月日で、様々なことが変わっていった。
 戦争によって傷つけられた国の中枢機関をはじめ、あらゆる建築物が復元、そして新しい文化も生まれた。何しろ一番の大きな出来事は、人と獣人が共に道を歩むようになった事だろうか。差別が無くなったのは、本当に良いことである。
 そんな中一人でいる私に、彼女達含め国の者は、ノブタカのことは忘れ、そろそろ身を固めても良いのではと言う。だから、私は言うのだ。ーー彼であるからこそ、意味があると。
「ほんと、遅いのう」
 ノブタカは、未だ帰ってきていない。このままでは私が彼の元に行ってしまいそうだふと考えて、ぷっと吹き出した。
 すっと上を見上げる。青く透き通る空は澄み渡り、どこまでもどこまでも続いている。ふっと舞い上がる風が私の髪を揺らした。瞬間、感じる頬の温もり。
「ノブタカ……?」
「師匠、早く来てくださいな。朝にしましょう」
「レツ様、早く来ないと朝抜きです」
「あああわかった! 今行く!」
 私は急いで彼女達の元へ駆け出した。
彼は、常に私の傍にいる。
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abraxas174 · 6 years
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『最後に鴉がやってくる』イタロ・カルヴィーノ
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巻頭の一篇。もしこの世界がリセットできるものなら、こういうふうに始まるのかもしれない。そんなふうに思わされるほど、天上的で祝祭的な多幸感あふれる一幕劇。タイトルからして「ある日の午後、アダムが」なのだ。でも登場するのはアダムとイブではないし、舞台はエデンの園でもない。イタリア北西部のリグーリア。早朝には洋上にコルシカ島が見える、カルヴィーノ少年が育った土地。だから、人類が楽園を追放された後の話だ。
ある日の午後、新しい庭師がマリア=ヌンツィアータの前に現れる。半ズボンをはいた少年は長い髪にクロスにした布を巻いていた。名前はリベレーゾ。エスペラント語で「自由」という意味だ。長い髪をした少年の父は菜食主義者のアナキストで、少女はカラブリア人でカトリック。十五歳の少年と十四歳の少女の会話はいまひとつ噛み合わないが、少年は少女にプレゼントがしたい。
皿洗いをしているマリアに外に出てくるよう誘ったリベレーゾが「いいものあげる」と言って見せるのが蟇蛙。マリアが嫌がると、次々に手から現れるのが、ハナムグリ、カナヘビ、蛙、ヒメアシナシトカゲ、それに金魚。奥様に呼ばれて一度は奥に引っ込んだ後、調理場に戻ってきたマリアがお皿や片手鍋、クリスタル・グラスや盥の中に見つけたのは…。
楽園にいる間、ヒトと他の生き物に差はなかった。バベルの塔が建設されるまで、世に住む人たちは同じ言葉で話していた。そんなことを思い出させるマリアとリベレーゾのあどけない会話が続く。ベルガモットを育てるくらいしか仕事を知らないマリアと、父の見せてくれる世界を知るリベレーゾがまったく異なる世界に足を置きながら、次第に距離を詰めていくのが、ういういしく期待感に満ちて心躍る。
このドキドキワクワク感はどこから来るのだろうと考えて、作品の成立した時期に思い至った。イタリア解放後間もない頃に書かれている。パルチザンとして戦闘に加わっていたカルヴィーノにとって戦争が終わったことの喜びはいかほどだったろう。新しい世界への期待、希望といったものが、この作品の背景になっているのではないだろうか。名前も仕事も信じるものも全く異なる二人が、ある日の午後、出会う。その邂逅を小さな生き物たちが祝福する。邪魔する者など誰もいない二人だけの祝祭劇だ。
後に多様な手法を試すことになるイタロ・カルヴィーノの初期の短篇集。しかし、若書きという印象はまったくない。しっかりした観察にもとづいた自然描写といい、人間を見るときの冷静な視線といい、すでに一家を成している。パヴェーゼの勧めで長編を書くようになるまで、カルヴィーノは短編を書きたいと言っていたそうだ。よく切れるナイフで木の枝をスパッと切り落としたような切り口の鮮やかさが際立つ短編集である。
作家自身が短篇集を主題ごとに三つに分けている。「ひとつ目はレジスタンス(あるいは戦争や暴力)の物語。ふたつ目が終戦直後のピカレスクな物語。三つ目が、少年や動物の多く登場する、リヴィエラ(リグーリア海岸)の風景が顕著なもの」である。「ある日の午後、アダムが」は三つ目に属する。戦争を描いてもカルヴィーノの筆は極端に悲惨なものや醜いものばかりを描かない。対象から距離を置いた視点のとり方が絶妙で、救いようのない状況下でも人物たちは飄々とした軽みを負わされている。
喜劇的なタッチも特徴で、「犬のように眠る」や「十一月の願いごと」などの作品には、飢えや寒さを頭と体を使って何とかしのいで懸命に生きる人々の姿が軽妙に描かれている。リラとドルの交換で儲けようとアメリカ人水兵が集まる酒場に出向いた妻が男たちに囲まれて出てこられないのを救い出そうとして、夫が駆け回るドタバタ劇を疾走するような笑いで描き切った「ドルと年増の娼婦たち」がおかしい。
集中、印象が強いのはひとつめの戦争を描いたグループだろう。表題作は銃の腕を見込まれた少年が、パルチザンと行動を共にするうち、勝手に撃つなと言われたのが不服で銃を持ち出し単独行動をする話。少年は好奇心で獲物を決める。野兎や蝸牛のこともあれば、軍服の金ボタンや肩章のこともある。追いつめられたドイツ兵は、少年が頭上高く飛ぶ鴉を撃つ間に逃げようと「あそこに鴉がいるぞ!」と叫ぶが、少年の撃ったのは翼を広げた鷲(紋章)の方だった。戦争を少年のイノセンスで切って見せるところがカルヴィーノらしい。
一篇一篇味わいの異なる二十三篇。どれから読んでも、どこでやめても構わない。奇妙な味の話もあれば、底知れない怖ろしさを感じる話もある。短篇の良し悪しは、どこで終わるかという点にあると思っている。まだまだ山道が続くと思っていたら、突然足もとの道に先がないのを発見したような、ストンと切って落とされた結末の寄る辺なさを是非ご賞味あれ。
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uwasa-antena · 7 years
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イギリス「アヘン買えやw」中国「もう国やばいからやめて…」イギリス「反抗すんのかなら戦争やな」
1: 風吹けば名無し 2017/12/19(火) 21:54:56.99 ID:I9qeEDoO0 現代「日本は侵略者!w 慰安婦!w 謝罪!w」 http://ja.wikipedia.org/wiki/阿片戦争 阿片戦争(アヘンせんそう、中: 第一次鴉片戰爭、英: First Opium War)は、19世紀前半に清へのアヘン密輸販売で巨利を得ていたイギリスと、アヘンを禁止していた清の間で1840年から2年��にわたり行われた戦争である。 イギリスは、インドで栽培し製造したアヘンを、清に密輸して広く組織的に販売し収益を得ていたため、アヘンの流通販売や摂取を禁止していた清との間で戦争となり、イギリスの勝利に終わり、1842年に南京条約が締結され、イギリスへの香港の割譲他、清にとって不平等条約となった。 5: 風吹けば名無し 2017/12/19(火) 21:56:06.22…
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fujimoto-h · 5 years
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白鴉例会とライムスターと「マクガフィン」とウィトゲンシュタインと『かわいいウルフ』とはじめてのコミケと『かがやき』と
 昨年末28日に白鴉例会。1作のみ。  終了後、90年代Jpopの流れる串カツ屋で忘年会。なんかいろいろ話していたはずなのだが、あの店、帰るときにくぐると記憶が消える扉を使っているようだ。
 翌日、10時ごろより新幹線こだまにて上京。東京駅からそのまま新木場駅へ向かうとちょうどいい時間で、カレー食べてSTUDIO COASTへ。見るからにでかい会場で、集まっている人もなかなかの数。早めに荷物とダウンジャケットをロッカーにしまっていたら番号を呼ばれるまでにけっこう寒くなってきた。会場に入るとまあ広い。ドリンクもやたら行列ができていたので諦める。今年いちばんの後列だったけど、まあこれだけいるし仕方ない。あ、申し遅れましたがライムスターのライブです。そしてはじまると初っぱなからMighty Crownがゲストに加わっての「予定は未定で」。つまりは逆順リスト。ここから先も秋元才加のパートナーでおなじみのPUNPEEがゲストに来ての「Kids In The Park」や、F.O.Hがゲストに来ての「ウワサの真相」など、さすが東京はちがうなあと。そして同時にやはり、とある方向へ向けて期待は高まる。逆順リストがすべて終了して3人がいったん捌け、プロジェクターでこれまでのライブの様子をダイジェストで流しているのを眺める。動画が終わると3人が見憶えのある黒スーツで登場。会場が一気に盛りあがる。そして岡村靖幸が呼ばれ、「マクガフィン」。はじめて生で岡村靖幸を見るのだったが、なんかすごく楽しそうにうたっていて幸せな気分になった。楽しさのあまりMummyDのヴァースに聴き入って、自分が担当するサビのところをうたい忘れるという。そして曲の終了とともにすぐさま袖へと捌ける岡村靖幸。噂通りだ…と感動する。というかこれでいったん終わりか…。  終了後、新木場駅前のどさん子でラーメン。幼少のころ近所にあったどさん子はいまいちだったけど、ここのは美味かった。
 30日は雨の中、龍神社へ行ったり彷徨したり。谷賢一『従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインがブルシーロフ攻勢の夜に弾丸の雨降り注ぐ哨戒塔 の上で辿り着いた最後の一行「──およそ語り得るものについては明晰に語られ得る/しかし語り得ぬことについて人は沈黙せねばならない」という言葉により 何を殺し何を生きようと祈ったのか?という語り得ずただ示されるのみの事実にまつわる物語』(工作舎)を読んでいるうち、この舞台のいちばんのハイライトだろう、あの言葉の無限の可能性についてウィトゲンシュタインが気づく場面を読んで、『論理哲学論考』を読み返したくなるという単純さ。鬼界彰夫の本も読んでみたい。mixiからずっとネット知人としていろいろこちらが勝手に勉強させていただいている吉川浩満氏が出演されたというので文化系トークラジオというのを聴いていたら馳平啓樹『かがやき』が紹介されたり、多田尋子という書き手を知ったり。夜には映画納めとしてテアトル新宿へ『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を観に行く。リンさんやその周辺のエピソードが大幅に追加されるなどしてすずさんの人物造形の奥行きが増し、作品そのものの奥行きが増している。そして何回観てもいちばん来るのはあの時限爆弾であった。いやあ、どうか今回は不発で終わってくださいませんか、と何回観ても思う。というか何回観てたっけ。そして片渕須直×町山智浩対談を読んで、早くももう一度観たくなっている…。
 そして最終日の大晦日。なにもすることないしどうしようかとtwitterを眺めていると『かわいいウルフ』でおなじみの小澤氏がコミケに出店するというので、せっかくだし行ってみようと思い、行ってみた。ひさびさのゆりかもめ。生まれてはじめてのコミケ。東京ビッグサイト駅ではじめて降りてみたが、かなりの人出。コスプレしてる人も混じっていたりして、おかげで道に迷うことはなかったが、並んで手荷物検査受けて入場用のリストバンドを購入するまでに2時間はかかっていたと思う。この時点で東京文フリの比じゃないな、などと考える。リストバンドを買ってからもけっこう歩き、歩いているうちにもけっこう人がいる。コスプレイヤーの撮影会が行なわれているそばを通りつつ会場を目指す。やっとのことで辿りつくと、やたら広い。そして人口密度高い。控えめに言って東京文フリの1000倍はいるんじゃないか。どうにかブースを探し出し、小澤氏に挨拶。海響0号「情報技術」を買わせていただく。IT技術者の情熱やテクノロジーへの愛もまた「文学」であるにちがいない、という信条がこの冊子を創るきっかけとなったようだが、内容はたしかに面白い。これからまたじっくり読ませていただくつもり。小澤氏と名刺交換させていただいてブースを離れ、ちょっと偵察でもしようかと考えたが、もともと行列と人混みが嫌いな性分なので疲れ果てて撤収することに。ちなみにこの時点で『かわいいウルフ』は1冊しか売れておらず、まあ『白鴉』なんかはだいぶ絶望的だろうな。この人数で売れなかったら東京文フリで3冊しか売れなかったとき以上のダメージを受けることに…。  東京駅へ行って『多田尋子小説集 体温』(書肆汽水域)を求めに八重洲ブックセンターへ向かうも置いていず、検索したところ、駅を挟んで反対側にある丸善にあるというので急いで向かい、探し出して購入。読むのが楽しみ。  新幹線こだまで馳平啓樹『かがやき』(水窓出版)を読み、新大阪へ辿りついてからも読みつづけ、読了した。年内間に合った。いろんな書評で取りあげられているだけあって「かがやき」はよく書けているとは思うものの、「クチナシ」はいまいちうまくいってないのではないか、というかむしろよくこの状態で載せたなと思った。「クチナシ」以外の作品では学歴に対して不釣り合いだと見なされるような職業にやむなく就いている男性が主人公となっているところ「クチナシ」はそういった言及がないところから考えるとおそらくはその学歴などに見合った職業ということなのだろう。「クチナシ」以外の主人公の抱える鬱屈はおそらく自分の学歴とは不釣り合いな、もしくは不釣り合いだと思っている製造業に就き、機械の一部として働くことに抵抗を感じているように見受けられるが、「クチナシ」では主人公は自分の妻がある時期から子供ほしさに主人公を精液を出す機械として扱おうと医師と結託してくることに対して抵抗を覚えるようになる。この人工授精の問題が出てきてからはこの作品のテーマは男性性の危機と捉えることもできるのだが、そう捉えるには人工授精の問題が出てくるのが遅すぎるのもたしかだ。また、男性性の危機をテーマに据えたとすれば、隣人トラブルはまだしも、職場のエピソードはまったく機能しておらず、はたして筆者が男性性の危機をテーマにしていたのかどうかが疑わしい。とても中途半端なかたちで出されている作品であり、また、それだけに、筆者の持つ作家性のうち駄目な部分(変にプライドの高い主人公であるのはいいとして、客観性に欠けるため、ただただ嫌味な性格にしか読めない)が出てしまっているような気がしてならない。  帰宅後、とりあえず2019年のまとめだけを書いてアップ。そしてそのあとこの記事を書いている。
さいきん読み終えた本 北村紗衣『お砂糖とスパイスと爆発的な何か──不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門』(書肆侃侃房) 谷賢一『従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインがブルシーロフ攻勢の夜に弾丸の雨降り注ぐ哨戒塔 の上で辿り着いた最後の一行「──およそ語り得るものについては明晰に語られ得る/しかし語り得ぬことについて人は沈黙せねばならない」という言葉により 何を殺し何を生きようと祈ったのか?という語り得ずただ示されるのみの事実にまつわる物語』(工作舎) ジャン・ジロドゥ『トロイ戦争は起こらない』(ハヤカワ演劇文庫) 馳平啓樹『かがやき』(水窓出版)
さいきん観た映画 『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(片渕須直)テアトル新宿
さいきん行ったライブ RHYMESTER『KING OF STAGE Vol.14 47都道府県TOUR 2019』東京STUDIO COAST
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