Tumgik
#100km走った後にひと登り出来る脚を
acchali · 6 years
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200Miles
群馬県を中心に活動するサイクリングコミュニティCycleClub.jp(ccjp)は、関東圏から多くの参加者を集めるクラブライドを活動の中心に、前橋シクロクロスをはじめとしたイベントを何度も成功させ、自転車のまちを標榜する前橋市との信頼関係を築くなど、地元の自転車仲間という枠組みを超えた存在感を示している。そんな彼らが過去2年で2度クローズドで開催した200miles、320km/4300mUPというビッグライドのことは友人であり同じくRaphaアンバサダーを務めるccjpの中心人物の1人、Tkeyから話は聞いていた。僕は自身の最高距離も平坦基調で260km程度が一度あるぐらいで長距離走にも別段興味はなく、半笑いで彼に「自転車好っきゃな〜」と賛辞を送るに過ぎなかったのだけど。聞くところによると、満を持してということかはわからないが、その200milesをオープンなイベントとして開催するという。4人を1チームとして群馬県は前橋からスタートし、平坦を東へ栃木県小山市まで進んだところで北上、日光いろは坂・中禅寺湖を経て、国道日本3位の標高である金精峠の2024mをピークとし、群馬の沼田へ下り、中之条・東吾妻とアップダウンを繰り返し前橋へと戻ってくる320km、獲得標高4300mの道のり。朝3:30のスタートで、完走が認められるのは夜22:00まで。という話を聞いた頃には、なぜか僕も走る流れになっていた。長距離走が自分の関心外だったこともあり、特に走りたかった訳でも無いけど、なりゆきでそうなったら走らない理由は無い。運命が選んだんだ、と静かに受け入れた。走ることが決まったら、それはそれで楽しみだと感じていた。結局は「自転車好っきゃな〜」ということである。 そうこうして決まったチームは、Rapha Japanのヒロ、Onyourmark MAGAZINEのユフタ(もちろんこのライドも記事にしている)、RaphaCyclingClub(RCC)の東京チャプターを牽引する落合さん、そして僕という4人で、ヒロとユフタはCANYON Japanから新作のグラベルバイクGRAILを借り受けていて、オンロードでのインプレッションするという事になっていた。落合さんもまたCANYONライダーだという。チーム3人がCANYONで参加するのなら僕もということで、CANYON Japanのご厚意でハイエンドのカーボンディスクロードUltimate CF SLXを借り受けた。彼らが持つテストバイクのパーツを利用して市販のアッセンブルより軽く仕上げてもらったこのディスクロードは、油圧ディスクにeTapとまさに最先端の装備。僕のクロモリバイクとは対極の価値観で生まれたスーパースポーツは、ディスクブレーキで驚きの7kgちょうどという軽さで、このビッグライドを少しは楽にしてくれそうだった。結果として、このバイクは僕を強く支えてくれることになる。そうしてチーム全員がCANYONにまたがり、Raphaの新作カーゴビブショーツとテクニカルTシャツをチームキットとして身にまとい、プロモーション臭をそこはかとなく漂わせつつ、我らがCANYON//シャカヶ岳チームは準備万端で5月4日午前3時35分にスタートしたのだった。この時には知る由もないが、この日、北関東圏の一部を襲った異常気象は、ちょうどそこを走っていた僕たちを雨、雷、霰、雹、吹雪、氷点下の気温と、気まぐれに様々なカード(もちろん晴れも)でもって翻弄した。最初の試練はスタートしてたったの30分後に天気予報で伝えなかった雨として現れる。未だ明けぬ宵闇の中で弱まることのない雨脚は、徐々に僕たちを削っていくが、とにかく前へ前へとペダルを回していく。ジャケットを雨予報ではなかったけど2000mからのダウンヒルの防寒と万が一の雨に備えてお守り的にRaphaのClassic Rain Jacket IIをチョイスしたのは幸いだった。これもこの日、僕を強く支えてくれることになる。 別のチームと出会って抜いたり抜かれたり、トレインを組んだりして走り続けると、やがて空は白み始めるが、雨雲は厚くなり雷を呼び込み、真夏の夕立のように様相を変えた。最初の平坦路で長い休憩を取る予定は無かったが、雨宿りに入ったコンビニで足留めをくらってしまう。既に全身は水浴びをしたようにぐっしょりと濡れていて、靴にも水が溜まっているような状態だが、ジャケットのおかげで胴がドライなのはありがたい。しかしまだ平坦を70km程度しか走っていない。先はまだまだ長く、ダウンヒル向けの装備が既に濡れていて、窓の外はさながらスコール。これからの旅の困難さに眩暈を覚えていた僕の横で、仲間たちはインスタントラーメンを食べながら晴れたらすぐ乾くだろうと笑っていた。 雨脚が弱まってきたところでリスタート。小雨になったとはいえ雨が降っている状態で自転車を漕ぎ出すなんて、税金を支払いに金融機関に行くぐらいに完全なる億劫でしかないが、日光方面に向かうにつれ、雨は止み雲はちぎれ、太陽が控えめに顔を出してきた。しかし先程のスコールは相当な雨量を広範囲にもたらしたようで、どこまでも路面はウェット。水捌けの良くない路肩は浅い川のような状態。前走者や自身の跳ね上げる飛沫で、体感としては雨の中を走っているのと変わらず、タフな状況はまったく変わらない。既に僕の意識と身体は切り離され、ただペダルを回し続ける機械としての自己を認識することで、かろうじてこのストレスフルな状態に耐え、歩みを進めていたのだが、北へと進路をとる頃には徐々に登り勾配を感じることになる。前半の100kmに及ぶ平坦区間が終わろうとしていた。 日光のコンビニで休憩していた他チームの友人と談笑すると疲れも少しは和らぐが、135km地点のここからピークの金精峠まで50kmほど登り続けることになる。いよいよ山岳コースか、と静かに気合を入れて走り出したのだが、見上げると、僕たちの進む道の先には黒々とした雲がかかっている。山頂は全く見えない。誰も何も言わないが、あれはどうみても雨雲、むしろ今日これまで雨を降らせてきた雲よりもどす黒く、嫌な予感しかしないが、雨が降っていないとそこそこ暖かく、このあたりは例のスコールが降っていなかったようで路面も乾いており、久しぶりにストレスを感じずにペダルを回すことができるので、僕は意識的に無意識を操作して前方の暗雲を消し去ることにした。そうして淡々と登り続けると、すぐに日光東照宮を超え、いろは坂へとさしかかる。チームメイトは皆ジャケットを脱ぎTシャツ姿だ。思えば、この日ここだけがチーム4人が揃ってチームキットを見せることができたタイミングだった。とても短い時間だったが、かっこいいと思った。本当はずっとTシャツ姿でいるつもりだったんだけど。 連休中ということもあり、車もとても多いが、いろは坂は2車線の一方通行で交通量が多くても比較的登りやすい。とにかく負荷をかけずに淡々と。それなりにヒルクライム的な気持ちよさを感じていたところ、ふと顔に水滴がかかると、僕が操作した無意識はあるべき場所へと立ち戻り、残された意識はすぐさま状況を判断する。気づけば周りは真っ暗だ。見上げていたあの悪意すら感じる色の雲に飛び込んだ格好だ。すぐに雨脚は強くなる。せっかくなんとなく乾いてきたウェアやシューズがまた濡れるのかとうんざりしていると、早々に本降りになりそうで慌ててレインジャケットを着る。チームキットのTシャツはまたおあずけだ。 15分後、山頂あたりで雨脚は弱まった。他チームも山頂に設けられた駐車場で休憩をしている。苦しそうな顔、色んな感情が混ざった無表情、伏し目がちで立つ姿、様々に入り交じっているが、そこに笑顔はない。そりゃそうだ。気まぐれに降った、たった15分程度の強い雨でまた濡れ鼠にされ、残りは150km以上ある。あんな短時間に強く降るならせめて僕たちが居ないタイミングでやってくれという話で、ここでヘラヘラしてるヤツなんてネジが一本飛んだと表現されるような人間だ。幸い、チームメイトもそれなりに渋い表情をしているし、僕もそうだ。思いっきり渋い顔をしてやった。皆無言だが、その表情から様々な感情を吐露している。誰も口を開かない。ここで弱音を吐く意味が無いことは皆理解していたし、何を言おうが今ここにいるのは自分の判断で、天候なんて誰の所為でもない。誰も何も言えないから、一様に無言で、吐息で毒を吐き、表情で文句をたれる。それぐらいは許してくれ。 ここは頂上に見えるのだか、ここから下るわけではなく、標高1,250mあたりの中禅寺湖を横目に少しばかりの平坦を走り、いよいよ本日のピーク金精峠へと向かう。この後はコンビニ的なものはしばらくないと言うので、中禅寺湖のほとりにあった小さな商店で補給をすることにした。気まぐれな天気はここで晴れ間を見せ、雨の中でカップラーメンやおにぎりを食べるなんてバカバカしいことにはならなかったが、身体は冷えている。僕は身体の中から暖めるイメージでカップヌードルのカレーと豚キムチ丼を選択した。少しでも暖かいところへと日が当たるところで皆で座って食事をするが、弱音のようなものは出てこない。僕たちにとって暖かい食事と太陽というのは太古の昔からいつだってそういうものだ。 腹が満たされ、太陽に暖められると、なんとなく走り出そうという気持ちになるのだから不思議なものだ。さっきまで努めて渋い顔をしていたというのに、冗談なんか言って笑い合えるようにもなったりする。ここはちょうど半分ぐらいの地点。思ったよりも身体に疲労はなく、このまま天気が良ければと空を見上げるが、太陽は厚い雲の切れ目から顔を出しているだけであり、山岳というのもあってどうにも楽観的ではいられない。むしろ厚く複雑な形をした雲が浮かぶ空はもう一雨ぐらい持ってきそうに見えてしまう。それはまるで、お気に入りのシャツにいつの間にか付けてしまった染みのように、僕の心には気づいたら不安がこびり付いていて、指でなぞっては、もう取れないことを確認するような作業だ。そんなネガティブな気持ちと休憩明けの重い脚で中禅寺湖のほとりを進むのだが、路面は乾いておりストレスなくペダルを回すことができる。そうそう、これこれ。このまま後半戦を進めていこうよ、と心の染みに向かってつぶやいてみるが返事は聞こえない。高地の気温は低く、乾ききらず湿ったままの靴は足先を冷やす。香辛料をもってしても足先までは温まらないし、むしろ体温もいまいち上がらないが、いよいよ本日の最高点の金精峠へのヒルクライムがスタートする。分かれ道を右へ進路をとると、すぐに勾配が強くなった。ゴールを探し空を仰ぐように見上げるとただ真っ白な雲の中へと道は続いていくのだった。 ところで、さきほどから小さくヘルメットやカーボンフレームを叩く音がしていて、それは金精峠を登るにつれて降ってくる雹とも霰ともつかないものが僕を打ち付ける音だ。マイペースで登ろうと序盤でチームからあえて遅れたが、この天候に心はバキバキに折られている。サイコンが示すパワーの表示は150W程度だ。軽量級の僕とは言え、こんな省エネルギーで登れるわけはなく、その歩みは亀のように遅い。僕はふたたびペダルを回し続ける機械と成り果て、一切の感情を持たずに登り続ける。そうだ、僕がいま、こんな天候でこの峠を超えていることに意味なんてないし、ただWahooのサイクルコンピュータが塗ったルートをトレースしているだけで、むしろ僕はサイクルコンピュータの一部で、パワーメーターが示す値の通りに僕の脚が回っている。それは僕の脚が150Wの出力をしているのではない。パワーメーターが150Wと僕に指定しているのだ。電子機器に支配されたサイクリストはいつのまにかパワーメーターに乗っ取られ主従関係が逆転していることに気づかず、今日もこうしてディスプレイに示された値を視覚から入力し、それを自らの脚で出力しているだけに過ぎない。 という状況に至るまで感情を身体から切り離したところで、ピークの金精トンネルが見えてきた。チームメイトが雹とも霰ともつかないものから逃れるようにトンネルの入り口にいるのが見えると、感情が一気に戻ってくる。待たせてごめん。さっきまでパワーメーターに乗っ取られていたんだ、とは言わなかったが、お互いにこの苦しいヒルクライムをクリアしたことを称え合い顔が綻ぶ。やはり孤独はだめだ。仲間がいればパワーメーターに乗っ取られることなんてなかった。さぁ、このトンネルをくぐればあとは30kmにも及ぶダウンヒルで、ご褒美的に一気に210km地点まで気持ちよくワープできるのだ。この下りこそディスクロードの本領を発揮するところ。いつもより安全に気持ちよくダウンヒルを楽しめるだろう。そう思いリスタートした。前方のトンネルの出口が近づくにつれ、僕たちは違和感を覚えだす。色がおかしい、あまりにも白いのだ。その色に「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」��んて昭和初期の小説の冒頭が思い浮かぶが、彼は列車に乗っていたはずで、僕たちは自転車だ。このトンネルを抜けた先に美しい物語の始まりはなく、地獄のダウンヒルが待ち受けているだけだった。 トンネルの出口からその雪国とやらにつっこむと、完全に吹雪で気温はマイナス2度を指している。ニーウォーマーもなく、ペラペラのグローブはすぐに氷結した。少しでも体温が上がるかとペダルを回すが、膝に電気のような痺れが走ったので止めておいた。ここで選択を誤ると、とんでもない故障をしてしまいそうな気がする。指先も足先も痺れるような痛みがあるが、油圧ブレーキはこの極限状態でも優秀で、安全なスピードをキープすることができる。すぐに山小屋が見えてきたので退避する。もう限界だ、これ以上どうして下ればいいというのか。まだ山頂から3kmしか下っていない。時間にしても5分も経っていないと思う。ずぶ濡れの身体がガタガタと震え、手足の痺れと痛みが取れることがない。チームメイトが暖かいコーヒーを買ってきてくれ、山小屋の方がストーブを付けてくれたので、なんとか震えは収まってくる。 寒さ耐性というのは個人差があり、僕は昔から冬に痩せて夏に太る体質が示すように、寒さが苦手で暑さが得意である。こういう極限状態を経験するまでは寒さも暑さも趣味嗜好かと思っていたが、低体温症になった経験もあり、どうやらそういうことのようだ。以前にシクロクロスのレース会場で低体温症になり救護された時と比べると、レインジャケットを着ていることによって胴が濡れていないことで相当に冷えは軽減できているように思えた。先が見えない状況だが、いつまでもここに居るわけにはいかない。吹雪は収まりそうになく、標高が100m変わるごとに気温は0.6度変わるというので、今が1番辛いんだと言い聞かせ、山小屋のお土産物として売られていた群馬県のゆるキャラ、ぐんまちゃんが描かれた手袋を買い、チームメイトと吹雪の中に飛び出して凍りついた自転車にまたがり重力に任せて下り始めた。サバイバルの鉄則は現地調達だ。新しいグローブをゲットして少しは楽になるだろう。 山小屋で取った暖は一瞬で消え去り、地獄のようなダウンヒルが続く。子どもの頃に読んだ絵本のようなもので、様々な地獄出てくるお話があったのを覚えていて、その中に灼熱地獄はあったが、逆のものはなかった。これからは極寒地獄も追加するべきで、なぜならここは地獄のようだからだ。すでに知覚が鈍っていて痛みのディティールを感じることは出来ないが、身体のあらゆるところが痛い気がする。手足は先程まであった痺れを伴う痛みを感じなくなったが、それは感覚が無くなったということだろう。得意の無意識を発揮して、何も感じずに下るだけの機械になることが出来ればいいのだが、あまりにも僕はそこで人間だった。ここでパンクしたら死ぬだろうなと思った。ましてや落車なんか。5月の装備でマイナス2度の吹雪で走行不能になったら死ぬに決まっている。チームメイトの命だって危険に晒してしまう可能性もある。そんな人間的な考えばかり溢れてくるが、そのぶん意識は冴えてくる。感覚がなくても油圧ブレーキはしっかりと仕事をしてくれるので、危険を感じることはなく、パンクのリスクがありそうなところを避けたラインを取ることができた。自転車を借りて本当によかったと心の底から思った。心の底というのはこの深さにあるのかと自覚したほどに。これまでディスクロードに対して特に必要性を感じていなかったけど、とにかく安全でいるということに関しては圧倒的だった。5月に氷点下で吹雪のダウンヒルなんてあまりに極限状態であることは確かだが、それでも油圧ディスクブレーキがもたらす安全マージンはかなりのものだ。しかし身体は冷え切っている。もう限界だと何度も思ったが休めるところはなければ話にならない。ふと先にリフトが見えた。どうやらスキー場があって休憩できそうだ。ここまで10kmで約15分。永遠のように長かった。 ガタガタと震えて建物に逃げ込む。5月ということもあり暖房はあまり効いておらず、灯油のストーブみたいな暖を取るものもない。激しく震える身体と、おぼつかない手元で凍結したグローブと靴と靴下を脱ぎすてた。全身びしょ濡れだが、スキー場の食堂だけあって気兼ねなく座れる感じの椅子なのは助かった。暖かい飲み物や蕎麦をかきこむ。空腹ではなく、温度に飢えていた。なかなか回復しないが、それでもここにいれば大丈夫だと実感する。実際にここに入ってきた時よりも震えは小刻みになっているし、なんとなく、これから先のことを考えたりもする。今は約190km地点。残りは2,000mほどの獲得標高となるアップダウンを130kmほどとなる。そして、僕はふと「次、雨が降ったらもう帰るから」と口にした。何度も心は折れそうになったし、パワーメーターに意識を乗っ取られるなど実際に折れたこともあったかもしれないが、諦めた訳ではない。だけど固執はしていない。こんな連休の遊びのライド、いつでもリタイアすればいいと思っていたし、退路をつくるのも役割かなと、くらくらする頭で考えたはずだけど、チームメイトはそれでも果てしなくポジティブで、その時、僕たちは完走するんだなと思った。ほうぼうの体で吹雪から逃げ、低体温に震え、手も足も感覚なんて全くなくて、それでも僕はここでそう確信したんだった。この苦痛の先になにがあるかはわからないし、栄光なんて確実にない。だけど、こいつらと、このクソみたいな状況で前しか向かない連中と、やりきってみたくなったんだ。今日やろうとしたことすべて、ひとつのこらずだ。 ようやく回復したと感じる頃には1時間も経っていた。その頃には吹雪も止んでいて、なんて運のない日なんだろうと苦笑いする。なんとなく暖かくなった気がする下りを進むと、ほどなく雲は予めそうであったかと思わせるほどに、一片も残らずに消え去り、このライドではじめて見る晴天となる。さっきまで震えていたのが嘘のようだし、馬鹿みたいだ。いつも、いつだって意味のあるように見えるものは、あっけなく消え去って、結局は何も僕たちにもたらすことはない。でも、だけど僕たちはこんなにも青い空の下で、行き先なんてどうでも良くなるのかもしれないし、なるようにしかならないのかもしれないが、つまり自由だということなんだ。 群馬県の沼田まで降りきって久しぶりのコンビニで補給すると、参加者の連絡用のメッセンジャーにリタイアの連絡が飛び交い始める。そうか、そうだよな。だってあんな地獄で、そこに何を見出せるというのだろうか。いや、無い。そこにあったのは、ただ、この青空のように底抜けに明るいチームメイトのことばだけだった。もし君のチームにそれが無かったなら、残念だがそのリタイアは決まっていたことだったんだ。それは僕たちが生まれた年月日で、運命が予め決められているように語るほどに、なんら意味のあることではないし、そんなものは道化師か占い師に任せるしかないのだから。 コンビニの駐車場で大の字に横たわって感じる。太陽の暖かさを、その恵みを。僕の細胞に葉緑素があったとしたら、きっと光合成はこんな気分だろう。僕の肌を焼く陽光を、こんなに全身で待ち望んだことはなかった。靴下を雑巾のようにしぼり、レインジャケットを脱ぎ、僕は今日ここにまた生まれる。残りは110kmだ。もうなんの迷いもない。あの時に交わしたことばのとおりだ。だから、ここから先の全てを僕が引き受けよう。この先で何が起きても、その事実に誰の心が折れたとしても、僕の真実で、その事実を捻じ曲げよう。もう僕は無意識を操作したりはしない。さぁ共に進み登ろうぜ。リタイアした彼らを指差す腰抜けどもに、勇敢な彼らの証人となる為に、じき訪れる宵闇に向かって走りだそう。登りきった先に何も見えなくたっていい。 そうして僕たちは進みだした。それから、いくつもの苦しい登り坂があり、同じだけ下り坂があった。気づけばもう真っ暗だ。太陽が登る前に走り出し、果たしてその太陽は再び地平線に沈んだ。ひたすらに前を引くヒロの背中に僕たちのライトが光を落とす。彼が着るジレは、まるではためく旗のようで、そこにはあのロゴが見える。あぁ、そうだった。いつだってサドルの上で僕たちに多くのもの、それは、発見であり、学びであるし、多くの気づき、または苛立ち、諦め、哀しみ、喜び、畏れ、感動、妬み、あるいは愛情かもしれないし、おそらくこの世界のあらゆる感情だった。そして、僕にとってそれはいつだってRaphaという文字列の延長線上だった。光を追い抜いて消えてしまいそうなヒロの背中を追い続ける。やがて僕たちは街に降りていく。22時の制限時間に間に合うのかと考えたりもするのだが、僕にとってそんなことはもはや些細な事象に過ぎない。ただ太陽が動き、時間が過ぎただけで、それ以上でも、それ以下でもない。 見覚えのある前橋の街並みを走っていた。やっとここに帰ってきて、それは長い長い旅路の終わりだった。幸福を求めた少年が世界の素晴らしさに気づいたその時にスプーンの油をこぼしてしまったように、果たして僕たちはゴールした時に何かを見出すのだろうか。スタートして最初に曲がった交差点を逆に曲がる。みんなが待っていた。それもそのはずだ、僕たちは21時58分にゴールしたのだから。走行時間は18時間24分。チームメイトと肩を組み、皆で破顔する。ありがとう、ありがとう、こんなにもクソみたいな1日は人生で初めてだ。バカヤロウ、ファック!本当に最高だし、同時に最低でもあって、やはり全ての感情がここにはある。それを言語化なんて到底出来そうにもないし、チャレンジすることも愚かなことかもしれない。でも、こうして書き残そうと思ったんだった。もし君がスタートする時のために。どこか遠くへと乗り出すその日のために。その時、僕たちがどこにいるのかは、まだわからない。 10日ほど経って、未だに痺れが残る指先でこの文章を書いている。あれ以来、自転車には乗っていない。いま振り返ってもやはりこのライドの核心は氷点下の金精峠のダウンヒルだ。あまりにも不安定な天気はおそらく1時間早かったら、または遅かったら表情を変えていただろう。しかしあの日、多くのチームが地獄の時間にそこを下っていた。スキー場で会った他チームの友人もみな憔悴しきっていたのを覚えている。あらためていま、参加者の連絡用のメッセンジャーを見て、リタイアの文字が飛び交う様を見て、涙が出そうになった。わかる。ここでリタイアを決意する気持ちは痛いほどわかる。人の想いは良し悪しを問わずに伝播する。もし僕があの時、次に雨が降ったら、と言わずに、今すぐ帰る、と言っていたら。誰かひとりのその判断は諦めではないし、弱音でもない。あの日、あの時、あの場所であの状況なら至極真っ当なものだ。僕もそう言われると否定せず、もう辞めようか、と思ったかもしれない。だからこそ僕は、底なしにポジティブなチームメイトたちに本当に感謝し、尊敬する。僕はこの過酷な環境で、それでもここに立つことになった運命を信じ、その輪を回し続けるために、次に雨が降ったら、と話したとき、こう返してくれたことを。「じゃあ、もう雨が降らなかったら?」 結局、雨は降らなかったし、その光はいつだって眩しかった。
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hobohobobikenote · 5 years
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kattanリハビリライド
久々の100kmライドwithA末.
Stravaでログを追っていくと前回このくらい走ったのがいろは坂ライドでvelenoでのライドに至っては12月以来という...
Zwift効率いいし花粉症ひどいのでしゃーない.
朝8時くらいに自宅付近を出発して,9時半には雨沢峠の麓に到着.
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A末は山に弱いので頂上までの一人旅がスタート.
雨沢は5ヶ月ぶりくらいだったけどこんなに楽だったっけ...?
ローラー台でL4L5鍛えてたからだと思うけど,パワー値が常に300Wくらいで練習の成果を感じる.
県境越えてから下りで脚を休めて神社の前からもがいてゴール.
結果は去年の決戦仕様のベストタイムを10秒更新!
登りながらいいタイムと感じてたけどここまでとは...
ゴールしてすぐに引き返して後半の森を抜けたとこでA末を回収してダウンがてらのんびりペースで2km登る.
頂上で一息ついて再スタート,ペース合わせつつ今回のライドの目標であるkattanに11時頃着.
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なんか人多かったけどそれもパンが美味しい証拠なんだろうか.
1時間ほど昼食休憩して狛犬のファミマで水分補給やらトイレ休憩.
ここからは県境の坂道登って戸越までひたすら下る.
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途中寄ったトイレの近くのツツジがきれいだった.
戸越峠を登ろうとしたとき,ついにA末ダウン.
まあ100km走るの久々やし,もともと登り得意ではないししゃーないな...
前出て牽こうかと思ったけどそれでペース上がるわけでもないので後ろについて煽る.
後ろから見てると脚が窮屈そうなのでサドル高を上げてみればと助言して小休憩がてらポジション変更.
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少し楽になったらしいけど,結局途中から歩き出すほど辛かったみたい.
なんとか戸越クリアして平坦基調の尾張旭ルートで帰宅.
久々の100kmライドはTSS200くらいだったけどタイム更新は嬉しい.
GWにビワイチか何かで走れるといいねーとか話してたので楽しみムフフ.
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carguytimes · 6 years
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【試乗 新型メルセデス・ベンツA-Class】4代目Aクラスに搭載されるAI「MBUX」は好みを熟知し育っていく!?
昨年、ダイムラーの乗用車部門の年間販売台数は約242万台、そのうち、メルセデスベンツは約229万台で、対前年比9.9%の伸びだったといいます。 実はメルセデス、去年に限らずここ数年は年1割ペースの台数増をみせているわけですが、その原動力となっているのはやはりFF系モデルの台頭でしょう。ちなみに昨年の販売台数は62万台余と、全体の1/4以上を占めるほど。CLA&GLAクラスといった新基軸も堅調のようで、ライフ末期となったA&Bクラスをうまく支えているようです。 個人的には先代Aクラスまでのサンドイッチ構造プラットフォームにエンジニア面での尊さを感じるのですが、中国などの新興市場でもコンパクトカーの需要が伸びつつあるある現況からいえば、生産性と発展性が高く様々な車体形状にも対応しやすいMFAプラットフォームへの転換は大成功だったといえるかもしれません。 というわけで、FFファミリーの中核にいるAクラスが6年ぶりのフルモデルチェンジを受けて4代目となりました。 サイズは全長&ホイールベースがやや伸びて、このクラス=Cセグメントのベンチマークであるゴルフに対してはひと回り大きくなった印象です。これにより居住性や積載性を改善したわけですが、同時に取り組んだのはピラー形状や配置の工夫による視界特性の改善でして、これによって先代に比べるとひと回りルーミーで車両感覚の把握しやすいクルマになっています。加えて全幅が1800mmに収められたのは立体駐車場を多用する日本のユーザーにとっては有り難いことといえそうです。 新型Aクラスのアーキテクチャーは先代のMFA型の改良版となるもので、アルミやハイテン鋼などの材料置換による軽量高剛性化を進めた結果、静的な捻れ剛性は先代比30%の向上をみています。サスペンション形式は従来の前ストラット&後マルチリンクをリファイン。それに加えて新たに設計されたトーションビームを採用しています。これはベーシックグレード向けに廉価と堅牢さを両立するのはもちろん、バッテリーなど搭載物の増える電動化を見据えて省スペース化をはかっておきたいという思惑があるはずです。 今回試乗したモデルはA200とA250、ともにガソリンモデルとなりますが、搭載エンジンは異なります。A250は従来からのメルセデス製2L・4気筒を更にリファイン、そしてパワーアップしたかたちで224psを発揮、同時に7速DCTとの組み合わせで141g/kmの低燃費を実現します。ゴルフでいえばGTIに相当するFF系Aクラスのパフォーマンスリーダーです。 そしてA200の側にはメルセデスが業務提携関係にあるルノー日産と共同開発した新設計の1.3L・4気筒を搭載。最高出力は163psと、先代の1.6L・4気筒より11ps上乗せされています。メルセデスの4気筒モデルとしては初となる気筒休止システムを採用し��ガソリンエンジンながらGPF=パティキュレートフィルターを搭載するなど、先々の環境基準にも対応するスペックを備えたこのユニットは、ドイツ国内にあるメルセデスのプラントで組み立てられます。 Sクラスと同等バージョンのADAS機能を搭載するなど、新型Aクラスのトピックは電装関係に至るまで枚挙に暇がありませんが、中でも特筆すべきトピックはMBUXの採用でしょう。これはいってみればグーグルやアマゾンが提供するAIスピーカーのサービスを車載化したようなもので、「ヘイメルセデス!」という掛け声と共に訊ねたいことや頼みたいことをいえば、クラウド経由でメルセデス独自生成のAIが応えてくれるというもの。ナビの目的地設定などはもちろん、たとえばちょっと暑いというだけでエアコンの設定温度を1度下げてくれたり、音楽かけてといえばライブラリーから時間や天候などの要素を判断しておすすめの音源を引っ張り出してくれたりするものです。 更にMBUXはWeb上のユーザーサービスであるメルセデスミーコネクトと紐付けられているので、使い込むほどにユーザーの思考や嗜好を熟知したAIを、メルセデスミーコネクトを介して別の車両でも使用することが可能です。 それについてメルセデスの言及はありませんが、クルマの買い替えの際に再びメルセデスを選べば、恐らく自分に馴染んで友達のような感覚を抱くようになったAIを移行できるという、ある種の囲い込み的な効果も彼らは考えているのではと思います。つまりMBUXは今後メルセデスの大半のモデルに搭載されることになる、そしてユーザー層が最も若くデジタルとの親和性が高い客筋のAクラスに初搭載したと。推測とはいえ、そこからはメルセデスのしたたかさも透けてみえます。ちなみに日本仕様はこのMBUXの日本語化に時間を要していることもあり、今年末〜来年前半の導入が予定されている模様です。 走りにおいて特徴的なのは、快適性の向上でしょう。先代Aクラスはセグメントにおいても高レベルなダイナミクスを実現する一方で乗り心地が粗い、言い換えればスポーティ側に寄り過ぎている感がありました。モデルライフ中は段階的にそれを緩和してきたのですが、新型ではまず遮音を大きく見直し空力特性も徹底的に詰めた結果、静粛性が大幅に向上しています。これはベンチマークたるゴルフのみならず、自社銘柄でいえばCクラスをも上回ってしまうのではというほどの勢いです。 そして脚周りはいわゆる微小入力領域でのダンピングがしっとり効いており、中〜大入力では車体姿勢をきっちりフラットに保とうとする、かなりメルセデスらしい味付けになっています。内装の仕立ても先代からは大幅にジャンプアップしており、もしFFだのFRだのというところに拘りのないユーザーであれば、わざわざCクラスを選ぶ必要はないかもと思わせる上質さを感じさせてくれるといえるでしょう。もっとも、今回の試乗車はグレード構成の関係上、すべて後輪がマルチリンクだったことは付け加えておきます。 エンジンの特性は1.3Lの側は刺激はなくも低回転からきっちりトルクを発しつつ、こっちの期待値に対しては額面通りに仕事をこなしてくれる、まぁメルセデスらしいっちゃあらしい仕上がりです。但し音・振動に関して敢えて優劣をつけるなら、うんとスポーティに躾けられた2Lの方がむしろ洗練されていました。これは初出かリファインかの洗練度の違いもさることながら、エンジン本体の可変機構や補機類などの作動音も影響しているかもしれません。 備わるスポーティネスはそのままに、下剋上も辞さずの構えで一気に進化を遂げた新型Aクラス。この後に続くFF系ファミリーは従来の4モデルに加え、更にバリエーションが増えるという噂もあります。それらの基準点としてみても充分納得できる仕上がりをみるに、もはやメルセデスのプロダクトにおいては駆動方式云々を問うことさえ古いことなのかもしれません。 ◆主要諸元 【A200 7G-DCT】 エンジン:DOHC 直列4気筒 4バルブ・直噴ターボチャージャー トランスミッション:電子制御7速DCT 駆動方式:FF 総排気量:1332cc ボア×ストローク:72.2×81.4(mm)  圧縮比:10.6:1 最高出力:120kw/163hp/5500rpm 最大トルク:250Nm/1620rpm 全長×全幅×全高(mm):4419×1796×1440 ホイールベース:2729mm トレッド(F/R  mm):1567/1547 車両重量:1375kg タイヤサイズ:205/60R16 ホイールサイズ:6.5J-16 サスペンション(F/R):ストラット/トーションビーム ブレーキ(F/R):ベンチレーテッド/ディスク 0-100km/h加速:8.0秒 最高速度:225km/h 【A250】 エンジン:DOHC 直列4気筒 4バルブ・直噴ターボチャージャー トランスミッション:電子制御7速DCT 駆動方式:FF 総排気量:1991cc ボア×ストローク:83.0×92.0(mm)  圧縮比:10.5:1 最高出力:165kw/224hp/5500rpm 最大トルク:350Nm/1800rpm 全長×全幅×全高(mm):4419×1796×1445 ホイールベース:2729mm トレッド(F/R mm):1567/1567 車両重量:1455kg タイヤサイズ:205/55R17 ホイールサイズ:6.5J-17 サスペンション(F/R):ストラット/4リンク ブレーキ(F/R):ベンチレーテッド/ディスク 0-100km/h加速:6.2秒 最高速度:250km/h (渡辺 敏史) あわせて読みたい * 【新車】先代と併売される新型メルセデス・ベンツGクラスはビッグマイナーチェンジだった!? * 【新車試乗 新型メルセデス・ベンツG-Class G500/AMG G63】ほぼ40年越しのフルモデルチェンジでもGクラスが譲らなかったものは? * メルセデス・ベンツが「EQ S」など、2022年までに10車種のEVを投入へ * 初の直6搭載で今秋登場か? メルセデス・ベンツ GLE次期型、最終デザインを目撃 * メルセデス・ベンツの7人乗り新型SUVは「ベイビーGクラス」!? http://dlvr.it/QWR7XX
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biwakomaister-blog · 6 years
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本日の山トレは金糞岳周辺に雨雲が、掛かっていた為 ショートカットでした。 朝から市民検診の健康診断が、あったので朝の山トレが、できなかったので、夕方トレーニングで走る積もりでしたが駄目でした。 #山トレ #不完全燃焼 #スクワットマシマシ #米原高校坂 #霊仙岳 #ローザンベリー多和田 #継続は力なり #折れない心鋼の身体 #アラフィフからの挑戦 #坂の辛さがマシに #しんどい事は楽しい事 #目標は年内乗鞍制覇 #目標は常に高く #OAKLEY #KASK #SIDI #mongoose #Rogue2013 #Lamborghini #山の脚を平坦に生かす #100km走った後にひと登り出来る脚を (米原高校)
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nobuiwakiri · 7 years
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第2回みちのく津軽ジャーニーラン回顧録(後半)
~CP6小泊「津軽の像」
まずは、中の島の地域活性化センターで少し早めの夕食。メニューは、りんごカレー、しじみラーメン、メロン&フルーツポンチ。
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 夕食の写真を撮っておけば良かったと後悔。
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脚は売り切れたけど、胃腸と気持ちはまだまだ元気。ドリンクを取りに行くと、ビールらしきものを発見。ノンアルですかと聞いてみたら、もちろんお酒ですよ~との返事。飲もうか少し悩んだものの、ビールに合いそうなおつまみがなかったので今回は遠慮し、コーラにしました(笑)。この大会のエイドは全般的に充実していて、対応もフレンドリー&暖かかったです(感謝)。夕食後はドロップバックから保護クリームを取り出し、擦れそうな箇所に入念に塗ってひと安心。ここでザック(グレゴリーのルーファス8)に荷物を入れ替え、滞在時間は約15分。先に着いていたKさん、Sさまより先に出発~
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ザックには携帯用を含め沢山のポケットがあり、荷物が取り出しやすく、加重も分散されるので超快適。初めからこっちの方が良かったかも?しばらく走るとまた日本海に出て、海岸沿いを走る。どんよりとした曇りが最果て感を際立たせ、自然と津軽海峡冬景色を口ずさんでしまう。
旧小泊村(中泊町)に入ると久しぶりにちょっとした坂が二つあり、歩いているうちにKさん、Sさまに抜かれる。2人とも坂をちゃんと走っていて凄いな~と感心。事前に調べておいたとおり、次のチェックポイントまで何回も曲がらないといけないので、地図を見ながら慎重に進んで、最北点である津軽の像に到着し、Kさん、Sさまと合流。やっと折り返し地点です。遠かった~。あれれ?分岐点から10km弱走ったけど、誰ともすれ違っていない。ひょっとして先頭グループか?
累計走行距離112.6km(区間ペース9:38/km)。13時間7分で4位通過。
~CP7中泊町文化センター「パルナス」
津軽の像で写真を撮って、3人で走り出す。
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集団走は100㎞振り。話を聞くと2人とも北海道在住でびっくり。札幌在住のSさまは、野辺山、いわて銀河、サロマと連戦し、サブ10、サブ8.5、サブ8.5というツワモノ。そんなランナーと同じペースということは、結構頑張ってるじゃんと自分にエール。
暫くの間、来た道を折り返すので、KJCから一緒に参加した福ちゃん含め、数人の後続ランナーとすれ違いエール交換。
小銭が減ってきたので、気分転換も兼ねて商店前の自販機でドリンクを飲もうと千円札を入れるとアクシデント。千円札が戻ってこない。濡れた千円札が自販機の中に落ちてしまったらしい。お店の人に事情を話すと、ダイドーに自販機の場所だけ貸しているので返金はできないとの返。諦めて小銭でドリンクを買って飲んでいると、名前と連絡先を記入すれば、ダイドーから返金してもらえるとのこと。タイムロスはもったいないが、1分を争っているわけでもないので、名前と連絡先を残して出発(帰京後に電話があり、無事、現金書留でお金が返ってきました)。
そうこうしているうちに、徐々に暗くなり、気温も下がって蒸し暑さとはお別れ。20時過ぎからLEDライトを装着。違和感があって少し走りにくいけどしょうがない。車に轢かれないよう、道路右側を走り、車が来るとちょっとだけライトを照らし、頭を下げて自分の存在をアピール。お陰様で、最後まで危ないシーンはありませんでした。
緩やかだけど長~い上り坂で大腿四頭筋の張りが強くなり、走行時もチラホラキロ8分台が出だす始末。次のエイドまで28kmと距離があるので、途中唯一のコンビニで補給&給水。残ったミネラルウォーターで首、脚を冷やす。ここでもKさん、Sさまに追い付いてエール交換、そして抜かれる。
コンビニを過ぎると、殆ど建物がなく、ちょっとしたアップダウンのある区間が続き、走っても走っても距離が進まなくなる。ついには旧中里町(中泊町)に入ったところで爪が死に、ドリンクが減ってきて、少し焦り出す。この2年は大きなマメも出来なかったのに、爪が死んでしまうとは。雨やアップダウンもあり、100kmの感覚で選んだシューズは小さかったらしい。スパルタのシューズはサイズを一つ上げようと決める。
いつの間にか爪の痛みも治まって、250kmコースと合流。街灯が近づいて自販機を期待するけど無くて落ち込むこと数回。やっと自販機を見つけて、ドリンクを買い、ついでに脚も冷やして少し息を吹き返す。
ここで初見のランナーJさんとIさんに追い付き、話を聞くと、250km組で、去年は200㎞で2位&3位とのこと。Jさんは僕と同様、あしラボの小野寺さんにお世話になっていて、世間は狭いことを痛感。一緒に走っていると自然にペースが上がり、安定のキロ7分台に復帰。また、200㎞の部にはキロ5分台で走り続け2位を20km以上離しているぶっちぎりトップのランナーがいて、僕は4位で走っていることが判明。後で調べてみると、Sub7のタイムを持ち、大きな100km大会で複数の優勝経験もあるスーパーランナーでした。
次のエイドがなかなか見つからず、立ち止まって地図で調べるもよくわからず、また焦り出すが、ローソンが見えてきた。ポケットメモ作成時にローソンを認識していたけど、エイドのすぐ近くで寄らないだろうと記入を省いたことを思い出す。今の記憶力に鑑みれば書いておけば良かったと深く反省。ローソンを左折して第7CPに到着。
累計走行距離140.5km(区間ペース8:30/km)。17時間4分で4位通過。
~CP8金木町観光物産館  
2つ目の大エイド「パルナス」に着くと、200㎞のトップランナーは4時間くらい前に出て行ったとのこと。凄すぎ~
僕は夜食をいただく。メニューは、麻婆茄子、スープ、トマト、ご飯、メロン。まだちゃんと食べらる=走れる。
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ゆっくり休んで回復のはずが、体が固まって走れない。トボトボ歩いて自販機を見つけ、水を被ったらやっと走れるようになったものの、足底も悲鳴を上げはじめ、キロ8分台でなかなか前に進まない。エイドまでの残距離をカウントダウンして気を紛らせる。次のエイド���太宰治の生家でもある斜陽館の前なので、簡単に分かるだろうと油断してしまったのか、右折を忘れて、またもやオーバーラン。でも、奇跡的に後続ランナーから声を掛けてもらい、100mくらい戻って、第8CPに無事到着。
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(僕が走った時は真っ暗で良くわかりませんでした)
累計走行距離148.4km(区間ペース10:53/km)。18時間30分で3or4位?通過
  
~CP9道の駅つるた
エイドでは、先を走るKさん、Sさまが休憩中。Kさんは、保温シートを被っている。もう食べられず、走れそうにないのでリタイアかもと。Sさまも弱気の発言。僕の胃は元気なので、キッチリ3分間待ってカップヌードルや餅をいただいて、お先に出発。
前エイドと同様、しばらくは体が固まりトボトボ走り。日付が変わった頃、大腿四頭筋がパンパンになり、足底も体重を掛けるなと言っている。また一つ爪も死亡。体の声に素直に従い、ウォーキングに切り替え。
蛙の大合唱を聴きながら、ゴールまで全歩きも視野に入れつつ、2~3km早歩きしてみるが、キロ10分が切れない。ゴールまでフルの距離を切ったけど、8時間歩き続けるのも辛そうなので、午前1時26分、約20万歩進んだところで禁断のロキソニン投入を決断。また、Garmin935のバッテリーが残り僅かとなり、Garmin 920に交代。
そして、遂に五所川原市の市街地入り。街灯も明るくて、弘前市を出てから初めて市らしい街並みが続く。ここから先はコンビニが沢山あり、コース初めてのサークルKやセブンイレブンもあったので、無駄に梯子してしまい、コンビニ制覇&時間ロス!でも、道行く人に声を掛けてもらい、応援(呆れられ?)もいただいて、モチベーションはアップ。
車に轢かれないように気をつけたり、足の負担を極力減らそうと勾配のない通り道を選んだりと、気を張り続けていたこともあり、ゴールまで睡魔はゼロでした。
ロキソニンが効き始めキロ8分弱にペースアップし、鶴田町にある第9CPに到着。後で分かったことだけど、200㎞のぶっちぎりトップランナーは疲労骨折?でリタリアしていたので、この区間はトップで走っていたのかもしれない。
累計走行距離167.8km(区間ペース10:12/km)。21時間48分で1or2位?通過。
    
~藤崎町エイド
板柳町・藤崎町と畑の間の道をゆっくり淡々と走っていると段々と明るくなってくる。待ちに待った夜明けだ!LEDライトも仕舞って走りやすくなってきた。この辺りは一面のリンゴ畑。西方向に岩木山が見え始めたところで、初見のランナーOさん(優勝ランナー)に抜かれる。
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Oさんに抜かれた後、ちょっとだけ付いて行ったものの、走りが力強く、とても長続きしそうにないのでマイペースにスローダウン。また市街地に入って、ケッパレ!ランナーの看板もある藤崎町エイドに到着。
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  累計走行距離178.5km(区間ペース9:54/km)。23時間34分で2or3位?通過。
 ~CP10松の湯交流館
ここはリンゴジュース飲み放題で、2回お代わり。とっても美味しかった~。休憩していたOさんを抜いたものの、すぐに抜かれる。
残りはハーフマラソンの距離となった頃、ロキソニンが切れてしまい、歩き出す。早くゴールしてビールが飲みたくなって、想定外の2回目のロキソニン投入!
南下すればすぐゴールなんだけど、東方向に曲がって黒石に向かう。奥羽本線を超えたあたりで、Jさんが凄いスピードで僕を抜いていく。キロ4分くらい?あっという間に見えなくなる。このラストスパートは格好いい。僕もいつかはやってみたいな~と思いながらも、黒石市に向かう道は登りでペースは上がらず、また、コンビニに寄ってしまう。そうこうしている間に、趣たっぷりでゆっくり観光してみたいと思わせる黒石市街地に辿り着く。
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道に迷わないよう、黒石駅、伝統的建造物が残る中町こみせ通りを慎重に進んで第10 CPに到着。
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実際の天気は良かったです。
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 この建物の右奥がエイドでした。 
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早朝なのでまだ涼しいけど、青空が広がってきて、ピーカンになりそうな予感。
累計走行距離189.2km(区間ペース8:47/km)。25時間8分で2位通過。
 ~CP11田舎館村役場前
僕がエイドに着くと、休憩していたOさんがすぐに走り始める。ゴールまで残り10㎞なので、順位を意識していたのかも。この���イドでは黒石名物のつゆやきそばをいただく。
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焼きそばに和風だしをかけたもので、とっても美味。まだまだ胃腸は元気!
観光気分で街並みをゆっくり走り、市街地を抜けると最後の下り。四頭筋や足底の声を聴き、できるだけ体重がかからないよう、ゆっくり下った後、少しだけペースアップ。晴天で気温が上がり、暑さを感じる中、最後のCP・エイドに到着。
累計走行距離194km(区間ペース8:57/km)。25時間51分で2位通過。
 ~GOALさくら野百貨店
エイド付近の田舎館村役場が立派過ぎてびっくり。この役場は、感動ものの田んぼアートが見える展望台でも有名。田んぼアート鑑賞はゴール後の楽しみにとっておく皮算用で、田舎館村とはお別れ。
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 田舎館村役場です。 
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どうやって作るのか興味深々です。
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残り6キロで69分。27時間は切れそうだ。入賞も間違いないだろう。テンションが上がったのか?急に体が楽になり、走りもいい感じ。トイレによってすっきりした後は、キロ7分くらいで楽に走れる。店や建物が増え、遠くには高い建物も見えてきて、ゴールの弘前が近づいていることを実感。でも終わっちゃうのは少し寂しい~
平川に架かる境橋を渡ると残り2㎞。マイコース駒沢公園1周と同じ距離。弘前バイパスを超え、紳士服のAOKIを左折して少し進むと、遂に遂に遂にゴールのさくら野百貨店が見えてきた。誘導員に導かれ、チップでタイムを計測した後、ゴールテープを切り、長かったレースが幕を閉じる。
累計走行距離200km(区間ペース8:20/km)。26時間41分で2位でゴール。
 【ゴール後】
ゴールすると、2位ですよ~と言われびっくり。ぶっちぎりランナーがリタイアしたことを初めて知る。総合の部でのソロ入賞は初めてで、超うれしい~と心の中で叫ぶ。
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このレース。ゴール後は、さくら野百貨店内にある天然温泉リコルソ弘前で入浴、休憩ができる特典付き。素晴らしい。完走証の印刷に時間がかかりそうとのことで、後で受け取ることにして、荷物置き場にもなっている温泉の大広間に向かって歩き出す。
あれれ?走っている時は気付かなかったけど、足の爪だけでなく、足の裏もかなりやばいことになっていそう。
大広間に着くと、先にゴールしたランナーがビールを飲んでいる。美味しそう~入浴後にいただこうと決め、着替えを始める。
靴下を脱いだら絶句!とても人間の足とは思えないほど醜い。複数の爪が浮いていて、足の裏はマメだらけ&ふやけきっていて、皮がべろんべろん。甲や足首は大きく浮腫んでいる。残念ながら、田んぼアート鑑賞は無理そうだ。走り出して10年経つけど、こんなことは始めて。雨の200㎞は恐るべし。でも、こんな足でよく頑張ったな~と自画自賛。
足を見てからは、何故かびっこを引きながらお風呂に向かい、シャワーを浴びて、脚を冷やすため水風呂へ。全然冷えてなくてちょっとがっかり。脚に良くないことはわかっているけど、足を投げ出しながらゆっくり湯船につかり、あ~とおやじ叫びをしてしまう。大広間にもどって、ビールのロング缶をいただく。最高の味。しあわせ~。
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ゴール地点に戻り、完走証をいただいて、ミニ表彰式。豪華景品もゲットしました。
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完走率は52.1%でした。
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表彰台はありませんでした(ちょっと残念)。
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ランチの時間が近づくにつれ、ロキソニンが切れたのか、脚をあたためビールも飲んで血流が良くなり炎症が広がったのか、まともに歩けない。ちょっと前まで走っていたのに、今はトボトボ歩き。
ランチでラーメン店に向かうと、レース中は旺盛だった食欲はどこかに行ってしまい、ビールもパスして普通盛り。僕らしくない。
ランチ後はタクシーで弘前駅に向かい、お茶をして、バスで青森空港へ。もちろん座ったとたんに熟睡。
空港で荷物を預けると、「お客様、羽田空港ではタラップで階段を下りることになりますが、お一人で大丈夫でしょうか」と声を掛けられる。トボトボ歩きしていたのが目に留まったようだ。「多分大丈夫です」と返すが、内心はちょっと不安。
すごくゆっくりしか歩けないので、迷惑をかけないよう、機内には行列がなくなってから乗り込む。ほぼ満席なのに、隣の席が空いていて、スチュワーデスさんからは使い捨てのアイスパックのサービスが。JALのサービスに感動していると、17時になり、離陸開始。
走り終わったランナーの皆さん、お疲れ様。
まだ走っているランナーの皆さん、あと3時間です。完走目指してファイト~
運営スタッフの皆さん、暖かく心のこもった対応ありがとうございました。
みちのく津軽よさようなら!
そして、ダメージさえなければ、来週にでも再チャレンジしたいかも?
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すぐに熟睡し、気が付くともう羽田。手すりを使って、タラップを自力で降り、何とか自宅に辿り着く。業務繁忙期の合間を縫ってのレースで、翌日は出勤マストなので、夕食後はベッドに直行。
レース翌日、大きめの靴で紐を緩めて出勤するも足がパンパンに浮腫んでいて、きつい。何とかオフィスに着いたものの、足が痛くて大変。スポーツサンダルに履き替え、アイシングをしながら仕事しました。
結局、4日間、化膿止めを塗ってガーゼを当て、痛み&炎症止め目的でロキソニンを飲み、サンダル出勤して、役員室や会社の懇親会もサンダルで行きました。脚へのダメージも大きく、ポイント練習再開まで1か月弱。勝負レースのはずだった北海道マラソンはダメそうです。
 【所感】
超ウルトラがこんなに辛く長く、終盤に頑張ってもキロ8~10分になることは想定していませんでしたが、心に刻まれる楽しい思い出や反省点もいっぱいありました。当初はスパルタで超ウルトラは卒業と考えていたけれど、今は白紙になりました。ダメージが大きすぎる点は難点ですが、制限時間をたっぷり使って、ランナーとの交流も含めジャーニーランをもっと楽しんだり、コンディションを整えて記録に挑戦したり、色んな走り方がありそうです。スパルタ後は、伸びしろが少なくなってきたけど、狙えそうなうちにフル以下の距離で記録を狙うのか、より適性がありそうなウルトラの世界にもう少し飛び込んでみるのか、悩みそうです。
だらだら長い文章におつきあいいただき、ありがとうございました。
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dsp1220 · 8 years
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トレイルジャム キングオブトレイル
【トレイルジャム キングオブトレイル】
 結果:総合1位
   150分XCエンデューロ 1位
   トレイルランニング13km 1位
   30分XC 豪雨のため中止
 機材:車:CUBE GTC 29er 100mmHT
        F:SCHWALBE Racing Ralph 2.25 2.0atm × R:SCHWALBE Racing Ralph 2.1 2.0atm
補:150min ボトル1本(自家製ジェル:マルトデキストリン粉250ml、ソルティライチ500ml、クエン酸) 途中水ボトル1本、ようかん、ウィダーインゼリー
  トレラン ウィダーインゼリー2個
靴:Montrail カルドラド
 所感&レポート:
 偶然に偶然が重なり3代目キングオブトレイルになりました。(初代、2代目は小笠原崇裕選手)
 とてもアットホームな大会だったので来年も参加しようと思いました。もしかしたら招待選手として。。。笑
  今回の勝因は、完全に運でした。
 裏開催でCJ-1妙高、UTMF(国内最高峰のトレランレース)や翌日のIRCカップ、100kmマラソンなどなどで強い選手層が軒並み他大会に流れてくれていたり、大会参加者も競技内容のせいでキングの短縮版に流れたおかげでできたエアポケットに偶然滑り込むことができました。運動会のかけっこでクソ足遅い勢だった小学生時代の私が「僕より速いやつ全員こけろよ!」と念じていた願いが本当にかなった結果です。小学生だった自分に教えてやりたい。夢はかなう。
  今回も王滝120kmに続き、基本戦略は「温存」と「平常心」を大事にして走りました。
 150分エンデュランス
 コースレイアウトはスタートして、ぬかるんでグリップしない激坂を上り、折り返して土が重くて不安定なくだり、折り返してスピードを一気に奪われる芝生の登りー芝生の高速な下りー芝生の登り、溶岩と根っこでややテクニカルな下り、泥地とアスファルトを繰り返して一周という、テクニックはさほど必要ない(といってもわりと皆さん苦戦してた)が走り応えのあるコース。
  カテゴリ別整列のため先頭でスタートへ。なんと、キングオブトレイルには自分含めて4人しかエントリしていないという。しかもひとり女性。ここで最大の幸運を発揮した。キング・オガ様がいない。
 敵の素性はよくわからないが「のりでエントリーしました」という感じのおっちゃんと、TREK TOP FUELにハイドレーションを背負ったXCM慣れを感じる男性とFサスがSIDワールドカップという玄人感全開女性という夫婦らしき方だった。話を聞くと男女ペアはアドベンチャーレーサーであるという。後で調べてわかったことは、今夏参加したOMM BIKEで1100ポイントというぶっちぎり総合優勝を果たした日本を代表するオリエン競技者だった。そのとき我々は250点ほどでブービーという結果だった。因縁の戦いである。
  ホールショット争いもほどほどにバイクカテゴリのみのナカザワジム重由一選手が飛び出す。まああなた王滝120km僕より1時間速いですし。とりあえず重選手についていこうとしたが、下りでボトルをいきなり落として中身も半分以上失う。150分間ほぼ給水なしか。。。と絶望したが、拾ってとりあえず戦線復帰。
  ボトルを落としたことで逆に冷静になって、淡々と周回をこなして温存していこうと決意。下りもサイドカットの危険性がある最速ラインを捨ててでもパンクリスクの低いラインで進み、のぼりも息が上がらない限界��らいに抑える。ひたすら耐えの一手。
  トレラン時のエネルギーを摂取していく必要があったので、折を見てヨウカンを食べ続ける。レース間のインターバルがわずか1時間なのでMTBレース後に固形物を食うと腹痛のリスクを抱えるためこの判断は事前の計画通り。計画とひとつ違うのは準備した水分・ジェルを半分以上失っていること。エネルギー量についてはLT以下の運動では脂肪燃焼が支配的なので、備えは腹回りに充分以上あるから心配しなかったが、問題は水。誰誘っても来てくれなかったので単独参戦の自分はチーム員を頼ることもできない。
  さてどうするか。場内アナウンスで1位であることはわかるが、タイム差がわからない。順位落とす覚悟で下りるか、ラン捨て覚悟で走るのか。。。
  そこで強運を再び発揮する。「いざわー!いけー!」このレースの主催企業の方であり、誘ってくれたミカ姐さんが応援にやってきた。まさに渡りに船。天から降りてきた1本の蜘蛛の糸にすがらない手はない。「フィードお願いします!!」とボトル手渡したら察してくれたのか、次の周回には水入りのボトルを持った姐さんが。あれほど人が女神に思えた瞬間はない。輝いていた。あれはナギ様やでぇ。「行ってこい!」の言葉に背を押され、せめてバイクパートは1位死守を誓う。
  相当抑えて走っているつもりでも登りがきつく、足が徐々に削られていく。二時間経過時点にはかなり踏めなくなってきていたがとにかく焦らず、恐れず、うろたえず。淡々と周回を重ねて、ついに2位をラップした。これは勝てる。タイム差にして7分以上はなしたため、パンクトラブルがあっても乗り切れることを確信して、それでもなお慢心におぼれることなく、ペースもコース取りも堅守。
  そのまま無事に1位でガッツポーズ(グリコ)しながらゴール。これがやってみたかった。苦節8年、長かったぜ。みか姐さんに感謝を伝えたら、わざわざ水を入手に走ってくれたという。おれなんて水道水で充分なのに。。。すぐに着替えてランの準備。クエン酸やら糖類やらアミノ酸やら摂取してマッサージも怠らず。
  
  トレラン13km
 コースはまずゲレンデ上の芝生の坂を直登し、すべりまくる芝の下り、再び一気に芝を登ってゲレンデ頂上まで行って、そこからバームが連続するMTBダウンヒルコースを駆け下りて、再び芝の登りで頂上近くまでのぼり、再びバームとドロップオフや根っこが出まくるダウンヒルコースを下って平坦走って一周4.3km×3周。
  4人しかいないので、ここの順位で3位に入ってしまうと形勢は傾く。しかしトレランどころか、長距離ランニング競技の個人種目なんてADV除くと中学のマラソン大会以来である。完全な鬼門。仮面ライダーに挑むショッカーの気持ちである。
  夏ごろから江口さんに頭を下げランの稽古をしてもらったりして舗装路を普通に走ることはできるようになってきていたが、トレランは完全な我流。しかし私にできることといえば、「今できることを、淡々とするだけ」である。
  人間の歩行速度はおよそ4km/hといわれる。ならばレースは3時間はかかるか?ということで今回も補給は多めに持った。(気が小さい)。ウィダー二個と、うらカンポー(芍薬甘草湯)をもちスタート。MTBレースとうってかわってピリピリした緊張感。まるでロードレース。いつになっても慣れない。
  スタートと同時にトレラン勢が猛然と登り始める。マジかよ。こっちは2時間半も自転車こいでんだから、ちょっとは気を使えよ。その中にKOT2位の姿が。さらにすぐに3位にも抜かれて開始1分もたたぬ間に3位転落。それでもなお眼前にそびえる芝生の壁を見て、温存しか戦略を持たない自分は決意した。俺は歩く。
  焦るな、恐れるな、うろたえるな。トレランだけ参加の人たちと戦っても仕方ない。敵はKOTの人だけ。距離は長いのでいずれ捕まえられるはず。そういえば昔、われらが大正義であるジャスティスこと尾鷲さんに言われたことがある。「登りは斜度がきついところはゆるめて、斜度が緩んだら踏め」「平坦で休んでじゃねーぞ!」SDLきっての登り屋さんの言うことを信じよう。まだ先は長い。 
  腕振りだけはキッチリして、ひたすら歩いて登る。緩んだら走る。きつくなったら歩く。すると、すぐに一人は追い抜けた。さてあと一人。
  くだりに入ると世界が一変した(おおげさ)。まわりがやたら遅い。ゴボウぬきやでぇ。
  これも幸運だったのだろう。このダウンヒルコースは知り尽くしている。斜度、バームの位置、順番、ドロップオフの高さ、木の位置、根っこの出方。何度も何度もMTBで下った道だ。体の使い方もダウンヒルで培ったすべてが活きてくる。楽しい。(でもやっぱりMTBで下ったほうが楽しいだろうなあと思いながら)
  すぐにもう一人を捕まえるとあとは周回を重ねるのみだった。のぼりで貯めて、下りで出す。爽快。すごい綺麗なおねえさんが鬼のように登り速くて、下り意味わからないくらい遅くて、なんだかんだストーカーみたいになっていたが悪気はないので許してもらいたい。(最後はのぼりで決定的な差をつけられましたが)
  3周目にはいるころには、のぼりでヨタヨタ歩くのが精一杯で腕を振るのもしんどい。何もほしくなかったが次の30分XCにむけてジェルを胃に流し込む。最後の下りでもう脚が棒みたいになってきてはいたが、踏めるだけ踏んでいく。何度も後ろを振り返って視界に敵はなし。勝利を確信してさすがに浮き足立った。しかしここでこけては元も子もない。必死で慢心を押さえ込み集中して下る。平常心。慢心こそが最大の敵。それでもきっと相当な笑顔だったはず。島村さんばりの、笑顔です(武内P)
  本日二度目のガッツポーズ(グリコ)しながらゴール。まさかランでいけるとは思ってなかったので感動もひとしお。
  興奮冷め切らぬまま車に戻り最後のレースへ向けて調整。人生でこんなに脚が攣った経験はない。動くのもいやになるくらいの疲労と、雨に打たれ続けた寒さで寝袋に包まってがたがた震えながらクエン酸などなどを無理やり流し込む。つらい。車中で足つりに悶えながら雷鳴を聞く。
 「30分XCは悪天候のため中止します。表彰対象者は食堂へお集まりください!」
勝った。なんかよくわからんが勝った。
 SDLキャップと神戸のチームジャージを着て表彰台へのぼり、チャンピオンジャージに袖を通す。小笠原崇裕さんの後を継いで3代目キング伊澤の誕生である。ビッグネームが踊る割になんという棚ぼた勝利か。(時期的にはおはぎ)
 表彰後、一瞬だけ雲が切れて富士山が見えた。人生、不思議なこともあるもんだなと思った。
  不思議なことというとまさかそのまま車中泊(二泊目)して、翌日もふじてんでMTB仲間と本当にダウンヒルするとは思ってもみなかったが。。。笑
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nobuiwakiri · 7 years
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第2回みちのく津軽ジャーニーラン回顧録(前半)
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【出走のきっかけ、エントリー時の想定】
1月20日にスパルタスロンのエントリーに成功し、練習用に良いレースはないかと探していたところ、去年FBで投稿されていて気になっていた「みちのく津軽ジャーニーラン200km」を発見。
調べてみると、早朝スタート、累積標高1000mくらいと練習用にはいい感じ。更に、コースには、岩木山麓、白神の森、十三湖、小泊、金木町斜陽館、黒石市街地などがあり、観光ランとしてもグッド!ということで、2月1日0時に張り切ってエントリーしました。
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エントリー時は、サロマから3週間しかないものの、サロマは記録を狙わず、みちのく津軽ジャーニーランも初の徹夜走の練習で、たっぷり時間を使ってジャーニーランを満喫し、その6週間後の北海道マラソンを2017年の初勝負レースにするつもりでした。
  【出走前の想定外いろいろ】
しかしながら、制限時��36時間内で、スパルタスロンを確率的に完走するための格言として、
「100キロマラソンで10時間を切れれば、かなり少ない確率で完走できる。」
「9時間を切れれば、かなりの確率で完走できる。」
というのがあることを知って、サロマはSub9必達!という目標ができてしまいました。目標達成には暑くなければSub8.5ができるくらいの練習が必要でしょ、ということで練習計画を作り、着実に実行。本番では少し余力は残したつもりでしたが、雨風のレースでベストを16分更新する8時間26分で走ったダメージは少なくありませんでした。
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故障こそしなかったものの、レース2週間後の土曜日もjogで10kmくらい走ったところで、脚からもうやめたらと呟かれてしまい、DNSかもと思った時もありましたが、茂呂ちゃんのマッサージで回復し、翌日曜日はKJC例会でスピード練習を無事にこなすことができ、スタートに立つことにしました。レース3日前から、胃の保護目的で3食ともチーズを食べ、レースに備えました。 
事前に大会プログラムを読むと、想定外のことが3つありました。
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その1:ジャーニーランなので、給水・給食は全てエイドにしようと考えていたけれど、事前にコースを調べてみると、エイドはだいたい20㎞毎、コンビニは少なくて、55km毎・25km毎の区間もあり、残念ながらそれは無理。慌ててジェルを準備し、前半走行用のボトルポーチに、携帯などと一緒に入れてみると、ポーチがパンパン。また、ボトルに水を入れて収納してみると、結構重くて走りにくそう。でも、慣れる時間はない。
その2:更に、注意事項を読んでみると、「コースには誘導員がいないので、コースアウトしないように地図を読みながら慎重に進んでください。」との記載を発見。ここでも急遽、キョリ測にコースを入力したり、エイド、コンビニ、分岐点の場所を記載したポケットメモを作ったり。徹夜レース前の1週間は業務多忙もあり、完全に睡眠不足。事前準備の大切さを痛感しました。
その3:エントリー時は3位まで表彰と書かれていたので、狙う気は全くなかったけど、大会プログラムでは6位までに変わっていました。念のため、去年の6位のタイムを見てみると27時間17分。前半の関門が厳しいスパルタも意識して、前半の100kmは11時間くらいで走るつもりだったので、後半は16時間くらい、ペースは9:30/kmくらいで良いという計算になる。また、200kmを27時間で通過すると、あとはほぼ歩いてもスパルタの246kmを制限時間の36時間で完走できる。27時間を切るくらいで走ってみようか?そんな誘惑に駆られ、そして、ぼやっとした目標になってしまいました。
 【レース前日】
レース前日、7時40分発の飛行機に乗るため、5時に目覚まし時計をセットしたつもりが、午前と午後を間違ったらしく、時計は鳴らない。でも5時34分に起床。電車に乗る予定時刻の15分前でした。荷物は準備済だったので、コンタクトだけ付けて外に出たら、ちょうどタクシーがいて、信号待ちもなく、奇跡的に電車に間に合い、10時頃、弘前市に到着しました。
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途中、夜なべして作ったポケットメモを家に忘れたことに気づき、落ち込んだものの、すぐに機転を利かせて、妻からホテルにFaxしてもらい、100円ショップで防水用の整理パックも調達して、完全復旧。
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弘前市内は気温が33度くらいと暑すぎたので、コースの一部を下見する予定を変更し、鮨たむらで、特上にぎりを堪能。トロ、ぼたんえび、ウニ等々、絶品でした。
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ランチ後は、津軽藩ねぷた村で、ねぷたを見たり、太鼓を叩いたり、三味線の演奏を聴いたりして、受付前の時間を過ごしました。
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写真右下の太鼓を叩きましたが、凄い迫力でした。  
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受付会場の笹森記念体育館では、へ〇た〇ランナーばかりが大集合と思いきや、ちらほら美女ランナーやイケメンランナーもいて、特別な〇ん〇い感はありませんでした。受付後、16時から、冷房が無くサウナ状態の体育館で、90分の開会式・競技説明会。
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歩道、路側帯がない道路は進行方向右側を走行すること、過去に死亡事故もあったけど、右側を走っていれば轢かれなかったとの説明���けはちゃんと聞きました。17時30分からは、カーボパーティー形式の交流会。
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暑いので、カレー、筋子ごはん、から揚げ、焼きそば、生ビール、リンゴジュースなどをサクッといただき、落語や津軽三味線生演奏はパスして、ホテルに戻り、レースの準備を終え、リラックスナイトを飲んで、21時頃就寝しました。
【レース当日】
レース当日は3時頃起床。すぐに朝食を済ませ、のんびりしてからホテルを出ると弱めの雨。天気予報では、スタート後に雨が降り出すはずだったのに、段々、雨が強くなり、雷の音も聞こえ、スタート地点に着く頃には土砂降り~
気温は高くないものの、蒸し暑く、トイレに入ると大汗が…。
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でも、昨日の暑さに比べれば全然OKと気持ちを切り替えてスタートラインに立ちました。
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弘前駅前公園~CP1百沢スキー場
午前5時、強い雨が降る中、弘前駅前公園をスタート。序盤は、弘前の走友会の方が6:00/㎞強のペースで先導し、抜くと失格というルールです。市街地を、信号を守り、ゆっくり走って弘前公園に入り、有料ゾーンの弘前城の前も通って観光気分。でも雨が強く、早くもシューズがびちょびちょです。
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(去年のレースの写真。こんな感じで走り始めたかったです。)
岩木川を超えてしばらくすると、雨が落ち着き、早朝のガソリンスタンドで給水エイド&応援。元気をもらう。10kmを超え、岩木山麓の穏やかな登りに入ったところで1人のランナーが抜け出したので、僕も走友会の方を抜きマイ・ジョギングペース5:40-50/kmくらいにペースアップ。1人抜かれ3位か?少し登りがきつくなると、鳥居が見えだします。右折して県道を外れ、立派な鳥居をくぐり、石畳の道を走って荘厳さを醸し出している早朝の岩木山神社に到着。
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短時間で礼拝を済ませ、クロカンロードを急な登りは歩きながら進み、第1チェックポイント(CP)の百沢スキー場に到着です。300mくらい登ったけど、まだまだ余裕。当たり前か?
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スタッフの暖かさに、序盤から感動~  
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累計走行距離16.5km(区間ペース6:07/km)。1時間41分で1位通過。
   ~CP2くろもり館
第1CPで、速いね~1位だよと言われてびっくり。Garminを見ると距離は間違っておらず、ショートカットはしていないことがわかりひと安心。先頭ランナーは、道に迷ってしまったのかもしれません。CPでは時間を記録するのですが、筆記用具もマイペンが必要、ここだけは貸すので、コンビニで調達せよと言われまたびっくり。エイドでは、ランチパック、フルーツをいただき、500mlのOS-1を1本もらって、ボトルに充当していると、2人のランナーが追い付いてきました。 
コースアウトしないよう地図を見ながらゆっくり慎重に100mくらい下り、県道に戻るとまた登り。このあたりで、山に入る方は熊に注意とのアナウンス。ちょっとビビっていたら2人のランナーに抜かれ、徐々に視界から消えていったけど、僕はマイペースと気にしない。6kmで200mくらい登り、レース最高地点の嶽温泉に到着。趣のある鄙びた温泉街で、温泉に入ってみたいけど、レースなので後ろ髪をひかれながら通過します。
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ここから先の35kmは殆んど自販機もない区間で、すれ違う車もまばらに。トイレ休憩を済ませ、ちょっとしたアップダウンの後、6㎞で250mくらいの下り。ゆっくり走ったつもりだったものの、下りのペースは5:20-30/kmくらい。雨が降り出して、滑りやすかったこともあり、必要以上に脚を使ってしまったかも?下りきったと思ったら、コース最大の急坂(でも標高差は150mくらい?)が待ち受けている。雨脚が強まって、路面に雨の川もでき、シューズが濡れる。
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(去年のレースの写真です)
ドリンクが無くなってちょっとピンチ。ところどころ歩きも交えて、世界遺産・白神の森にある第2CPくろもり館に到着。
累計走行距離40km(区間ペース6:00/km)。4時間2分で3位通過?
 ~CP3道の駅わんど
「食べなきゃ走れない」ということで、エイドでは、おにぎり、パン、フルーツをしっかり取り、ドリンク補給、トイレ休憩も済ませてラン再開。
 土砂降りの中、1周2.2kmの白神の森クロカンコースへ。コース入口はふかふかで走りやすかったものの、ちょっと走るとコースはぐちゃぐちゃ&水溜まりだらけ。アップダウンもキツく、まともに走れない。天気が良ければ気持ちの良いコースなんだろうけど、とにかく転ばないように、歩きもたっぷり交えて、コース出口に辿り着く。
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レース中一番の土砂降りでした。 
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美味しい湧き水をたっぷり飲んで、顔も洗ってリフレッシュ。久しぶりにランナーとすれ違い、エールを交換して、県道へ。
坂道を下りながら、日本海沿いの鯵ヶ沢町を目指す。途中、1人に抜かれたものの、山間の棚田の景色を楽しみながら走る。
凄くきれいだな~と見とれていたら、お尻が痛みだした。まさかの人生初の尻擦れ。保護クリームを置いてある101.5kmのエイドまで我慢できるのか?不安を抱え、できるだけ水溜まりを避けながら淡々と走っていると、先行していたランナーが休憩しているのを発見。数十キロぶりの自販機でした。 
エール交換後、僕もコーラを購入。人生で一番美味しいコーラでした。お先に走り出すと、ついに日本海が見えてきました。海はどんよりとしていて、ちょっと寂しい感じだけど、景色は変わってモチベーションアップ。痛恨のミスに気付かず、鰺ヶ沢町にある第3CP道の駅わんどに到着。
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累計走行距離59.8km(区間ペース6:31/km)。6時間11分で3位通過。
~CP4亀ヶ岡遺跡
エイドでたっぷり補給し、トイレ休憩も済ませ走り出したものの、ポケットメモの記載より早く左折地点に着いてしまう。立ち止まって地図で確認してみると、痛恨のコースアウトが発覚。道の駅手前の道を斜め右に直進し、海岸沿いのエイドに寄るべきところ、右折して一本陸側の道路を走ってエイドに寄り陸側の道路に戻ってしまったらしい。そうだ、大会プログラムには、「コースアウト時は乗り物を利用しても良い」と書いてあったことを思い出す。JRの駅も近いのでタクシー?でもこの汗と匂いじゃ無理だよねーということでやむなく約1km来た道を戻ってコースに復帰。約2kmのロスでがっかり。
気を取り戻すべく、55㎞ぶりのコンビニでガリガリ君と胃腸保護対策のヨーグルトドリンクを購入してリフレッシュしたのも束の間、ボールペンを買うの忘れていたことに気づいて落ち込み、ランナーにも抜かれてしまう。このあたりから、大腿四頭筋に張りが出て、キロ6分台にペースダウン。
5㎞先、旧木造町(つがる市)のコンビニでボールペンをゲットしたのは良かったが、走りながらでは収納先がなかなか決まらない。一度、立ち止まると、すぐに良い収納場所が見つかる。急がば回れとはこのことか。
北上すると、急に晴れ出し、暑くなったので、帽子の後ろに日よけを装着。サングラスを付けると、鼻に微妙な違和感。調べてみると、ガーン!ノーズパッドがない。どこかに落としてしまったようだ。でも致命的ではない。ちょっとした違和感なので我慢するしかない。
自販機で水を買い、首、脇、脚にかけ、冷やしてリフレッシュ。晴れは1時間くらいと長続きせず助かりました。道路右側を走りながら、すれ違う車に挨拶をすると、トラックを中心に挨拶を返してくれたり、応援の声も。僕をよけるため走りにくいのに、優しいな~
土偶で有名な亀ヶ岡遺跡の第4CPを数十メートル通り過ぎたことに気づき、またもや逆走して、第4CP到着。歴史の教科書そのままの土偶の像も発見!
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累計走行距離79.3km(区間ペース7:20/km)。8時間34分で4位通過
~CP5十三湖・中の島ブリッジパーク
エイドでソーメンをいただく。
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お尻が痛いので、早く十三湖の大エイドに着きたいけど、無理は禁物とキロ7分弱のペースで安全走行のはずが、早くも脚が売り切れ始めた感じ。
ここで車に乗ったおばちゃんから声を掛けられる。「どこから走ってるんですか?」「弘前です。」「本当ですか?凄いですね~どこま���走るんですか?」「小泊で折り返して弘前まで戻って、合計200㎞なんです~」「私、小泊出身なんです。頑張ってくださいね~そう言えば朝もランナーがいましたよ~」「250㎞の部の人で、竜飛岬まで行くんです。」「ひぇ~」こんな会話を交わし、旧車力村(つがる市)にある9キロ先のサンクスではヨーグルトドリンクとウィダーマルチビタミンを補給するけど復活はせず、更にペースが落ちてくる。右側に十三湖が見え始めたものの、十三湖は大きく、景色はなかなか変わらない。
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やっと最果て感漂う旧市浦村(五所川原市)の市街地を抜け、大きな橋を渡ると、十三湖が視界いっぱいに広がり、右側に中の島発見。
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このあたりでGarmin計測は100km。少しだけペースアップし、ギリギリ11時間切り。木の歩道橋を渡り、
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大エイドに到着。 
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あ~やっとお尻に保護クリームが塗れるぞ~
残り半分だ!累計走行距離101.5km(区間ペース7:29/km)。11時間20分で4位通過。
 つづく
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