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#シェフを呼んでくれたまえ礼を言いたい
cmbwnt · 3 months
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内田光子、自分の考えを語る
このスターピアニストは、創造性、パンデミック、ベートーヴェンを指揮しない理由などについて、率直で、時に緊張をはらんだインタビューに応じた。
内田光子は世界屈指のピアニストであり、そのクリスタルのようなタッチとモーツァルトとシューベルトの解釈で有名である。一流のコンサートホールや音楽祭で引っ張りだこだが、若手演奏家の指導者としても名高い。そのため、彼女はしばしば1,064ポンドのスタインウェイ・モデルDコンサート・グランド・ピアノと、そのための専属テクニシャンを連れて旅に出る。
彼女は日本で生まれ、12歳で父親が日本大使となったオーストリアに移住した。内田は日本で生まれ、12歳のときに父親が日本の大使となったオーストリアに渡った。この時点で(彼女のレコーディングの多くはスタンダードとされている)、彼女はほとんど宣伝の必要がない。しかし、ある日の午後、カリフォルニアのオハイ音楽祭について話すことに同意した。
マンハッタンのアッパー・イーストサイドにあるホテルのロビーで会ったとき、内田は特に忙しいコンサートの真っ最中だった。彼女の人生や音楽についての私の質問に、彼女は明らかに腹を立てていた。
キャリアのこの段階をどう見ているのかと尋ねると、彼女は単刀直入にこう答えた: 「自己分析はしない」。
しかし、彼女は75分間座り続け、世界についての率直な見解を述べ、創造性、新しい音楽、パンデミック、そしてなぜキーボードからベートーヴェンを指揮しないのかについて話し合った。(ベートーヴェンには "対立と衝突 "があることを指摘し、「演奏中に他者から私への対立を誘発したり煽ったりするのは難しい」と語った)。オーハイではソロ作品を演奏し、マーラー室内管弦楽団とモーツァルトのピアノ協奏曲を指揮する(「モーツァルトは会話的で、オペラです」)。
学者肌の内田は、私の音楽知識を試すのに余念がなく、何度もインタビューを中断して、ドイツ・ルネサンス、音楽著作権の発明、バッハの「マタイ受難曲」、シューベルトとウェーベルンの死についてクイズを出した。感心しない彼女は、私に1年間仕事を離れてフルタイムで音楽を勉強することを勧めた。
インタビューが終わろうとしたとき、ホテルの火災報知器が鳴り、内田は他に質問はないかと聞いてきた。私は時間を割いてくれたことに感謝し、彼女は、私が何を求めているのかわからないこともあったが、話し合いは楽しかったと言った。私は内田に、インタビューは常に予測できるものではないと言った。彼女は、パフォーマンスもそう変わらないと言った。
「私はそれを秋の紅葉と呼んでいます。「私たちは来ては去っていく。死んでしまえば、それで終わり。残るのは書かれたものだけ。
ネタが足りないかもしれないと心配した私は、後日、内田がラヴェルの練習をしているロンドンの自宅に電話をした。彼女はさらに45分間話してくれることになった。以下は、両者の会話からの抜粋である。
Q:キャリアのこの段階での自分の芸術性をどう見ていますか?
A:私の芸術性?何ですって?私は一日一日を大切に生きています。
Q:どういう意味ですか?
A:私が毎日へそ曲がりだとでも?失礼ですが、私はミュージシャンです。私はそんなに重要な人間でも何でもありません。ただ音楽を理解したい。それだけです。
Q: オーハイ・フェスティバルのどんなところに興奮していますか?
A: 興奮するからオハイに行くのだと思いますか?いや、マーラー室内管弦楽団を含む関係者のために、自分がやりたいと思う音楽があり、関連性があるから行くんだ。マーラー室内管弦楽団と私はつながっていると感じている。
初めてオハイに行ったときは、ピエール・ブーレーズと一緒に行った。オハイの起源、つまりアメリカの片田舎で誰かが新しい音楽祭を始めるという考え方は、エキサイティングなアイデアだと思う。でも、それ以外に何が私を興奮させるのか、私にはわかりません。
Q:あなたは当初、2021年にオーハイに出演する予定でしたが、パンデミック中にスケジュールが変更になりました。パンデミックは文化界をどのように変えたと思いますか?
A:「私の人生はこんなに素晴らしいはずだ」という利己的な願望が、パンデミックの間に当たり前になりました。だから人々は簡単に諦めてしまう。私は多くの分野でそれを目の当たりにしている。
日本の一流ホテルの多くは、私に言わせれば、迷走している。私が大好きだったレストランも、パンデミック中にシェフを解雇したため、味が変わってしまった。新しく雇われた人たちは、"気に入れば残る、気に入らなければ他に行く "と言うだろう。しかし、人生はそんなに単純ではない。努力しなければならない。
Q:パンデミック中に何か変化はありましたか?
A: 変わったと思うよ。でも自己分析はしていない。
Q:日常生活に変化はありましたか?
A:家にいることがとても幸せだった。旅に出ないのが好きなんだ。今回ばかりは時間を無駄にする余裕があった。素晴らしかったよ。
Q: 自由な時間は何をしていますか?
A:暇なときは家にいて、勉強したり音楽を演奏したりしています。考える時間が欲しいんだ。そして、呼吸をしたり、夢を見たりする必要がある。
Q: 夢を見る時間があるとき、人生や音楽について啓示を受けることはありますか?
A:人生で啓示を受けることはない。もしあったとしても、君には言わないよ。
Q: マーラー室内管弦楽団と仕事をする機会があったことも、オーハイに惹かれた理由のひとつだとおっしゃっていましたね。
A: チャンス、いいえ。チャンスはたくさんある。でも、彼らにとってはチャンスなんだ。彼らはオハイに行きたがっていた。私は彼らのために行くんだ。
オーハイには特別な雰囲気がある。コンサートが行われる公園の一角には古木がある。箱でもホールでもない、音楽が飛んでいくような開放的な空間で演奏するのが好きなんだ。それを嫌う人もいる。でも私は、ただ空気の中に消えていくような音を聴くのが好きなんだ。
Q: オーハイでは、モーツァルトの3つの協奏曲と幻想曲ニ短調、そしてシェーンベルクの「6つのピアノ小品」を演奏する予定ですね。
A: 理想的な世界では、シェーンベルクのピアノ協奏曲をマーラー室内管弦楽団と指揮者なしで演奏することも考えたかもしれません。でも、それには膨大なリハーサル時間が必要なんだ。人生がどのように機能しているのか教えてあげようか?多くのリハーサル時間が必要だから、誰もそんな余裕はない。この40人がリハーサルのためだけに1週間も10日間もホテルに泊まる費用を誰が払うのか?誰もいない。
Q: 世間はあなたと新しい音楽を結びつけることはあまりありません。
A: 昔、ある人に言われたんです。"内田さん、そんなに新しい曲を委嘱しないでしょう "って。私は、"あのバカが何をするのか、私に何がわかるというのだ "と言っただけです。一体どんな作品になるのかわからないというのは、とても危険なことです。だから、それを最初にやる人間でなくても全然構わない。でも、私はギオルギー・クルターグのような作曲家を尊敬している。彼ほど正直な人はいない。
Q: モーツァルトとのつながりをどのように表現しますか?
A: モーツァルトでは、たとえ悲しい瞬間があったとしても、彼は上を向いている。彼の世界は、走り回る人間の世界だ。そして極端なことを言えば、モーツァルトではすべての音符が子供であり、すべての音符が違う方向に進もうとしているのだと思う。それがモーツァルトの音楽の並外れた自由さだ: すべての音符がまるで小さな子供のように振る舞っているのです。
Q: シューベルトでは、対照的に、孤独感を表現していますね。
A: シューベルトは孤独な人物で、彼の音楽もまったく孤独です。彼の音楽は夢です。彼の人生には悲しみがあり、絶望的な状況です。絶望的な状況だ。彼はその憧れを決して失わなかった。それがシューベルトの絶対的な美しさなんだ。
Q: 人工知能が音楽に与える影響を心配していますか?
A: 創造性は人間の脳と魂で起こります。モーツァルトのような人の脳を知ることは衝撃的だったに違いない。そしてヨハン・セバスティアン・バッハは、すごい能力を持っていた!それは機械には不可能です。
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animekirbyserifu · 10 months
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デデデに魔獣を販売するナイトメア社の男。登場話数は76話(特別編を除く)。
1話 ・「我がホーリーナイトメア社の魔獣サイトにようこそ。」 ・「失礼ですがあなたはオクタコンの力をご存じない…。」 ・「カービィはどうやら…真(まこと)の星の戦士のようです…。」
2話 ・「ホーリーナイトメア社の魔獣配信サイトにようこそ。我が社は強くて残酷な魔獣を取り揃え…。敵がカービィと分かった今…このようにラインナッ��をグッと増強し…いかがです?」 ・「お喜びを…強力な魔獣を選びました。超重密度…つまり、とっても重い魔獣…。名づけて『ブロッキー』。では技をお見せいたしましょう(ボタンを押す)。」
3話 ・「では選り抜きの魔獣を…おっとその前に、これまでの魔獣配信料をホーリーナイトメア社にお支払いください。では、今回は割引なしで…。」 ・「これぞ最強のグラディエーター、昆虫魔獣『バグジー』。」
4話 ・「ようこそ、ホーリーナイトメア社の…。なんと、今申し込まれるとは…お客様の今日の運勢は三ツ星でらっしゃいますな…。今ならお得なのがございます。名前は『クラッコ』。」 ・「(デデデにクラッコの姿を見せろと言われて)それはご勘弁を。企業秘密でございまして…。姿は今回致しかねません。今回は直接宅配させていただきますので、どうかご了承を…。」 ・「その程度のリスクはご勘弁を。フフン…あいにくクーリングオフは1時間以内の契約となっておりまして…。」
5話 ・「御破算(ごはさん)で願いましてはー、890万デデンに利息がその倍ほどの1900万デデン。」 ・「そう申されましても、カービィめを退治するのは魔獣なしでは困難かと。(デデデの本を見て)ほぉ~植物学百科ですな。」
9話 ・「我がナイトメア社の魔獣配信サイトへようこそ。本日は陛下のために、特別な激安商品を用意しました。」 ・「その名もズバリ、『キッタリハッタリ』。どんな生き物も自由に切り張りできる。」 ・「それも解説ビデオとセットで、お値段何と3・9・8!(サンキュッパ)さらに、キッタリハッタリの武器2点もペアでサービス!」 ・「デデデが新しい魔獣を要求しています。」 ・「(ナイトメアの意見に対して)それは良いお考えで。」 ・「お前(ローラ)は空を飛ぶ以外取り柄のない役立たずだ。2つに分けて売り飛ばす!」
12話 ・「ようこそ、ホーリーナイトメア社の魔獣配信…(デデデに途中で遮られる)」 ・「あいにくですが、お客様は代金未払いの為、ご注文には応じられません。」 ・「払い込みを確認次第、直ちにご注文を承ります(モニターを切る)。」 ・「領収書は後程お送りします。」 ・「すみませんね~ンフフ。こうでもしないと中々(デデデに)代金を払って貰えないもんですから~。それでは~(モニターを切る)。」
13話 ・「ようこそ、ホーリーナイトメア社の魔獣…(デデデに途中で遮られる)」 ・「ご注文は?また宇宙最強の魔獣で?」 ・「しかし、陛下、料金を…。」 ・「安物でよろしければ、ご用立てしますが。」 ・「花火職人、魔獣『サスケ』でございます。」
14話 ・「東西東西(とざいとうざい)~。新年あけましておめでとうございます。本年もホーリーナイトメア社の恐ろしい魔獣をごひいきくださるよう、隅から隅までズズズイー!とおたの申し上げ奉(たてまつ)ります。」 ・「いえ、特別サービスはこれまで。」 ・「今年も困ったお客様。では、ニューイヤーということで、当社も奮発いたしませう(旧仮名遣い?)。」 ・「御覧の通り、枕です。」 ・「この枕をして寝たものは、夢を見るのです。とてもいや~な夢を。」 ・「やがて誰もが健全な精神を蝕まれます。そして陛下の敵、つまりカービィを憎むようになるでしょう。」 ・「デデデ大王は(ププビレッジの)住民たちに夢枕をすべて配り終わったようです。」
17話 ・「宝石の臭いの嗅ぎわけ名人、その名は…(アイムノーズマンクンクンクンクン)」 ・「御覧のように(宝石探しの)天才でして。」
19話 ・「どなたです?我がホーリーナイトメアサイトに不法侵入しているのは。」 ・「ほぅ…ポップスターに御用のある方なら、無料でパワーをお分けしましょう。」 ・「システム回線の特別使用料をいただきます。」
20話 ・「ま・さ・か、つまりその暑さを解消する魔獣をお望みというワケですな。」 ・「『アイスドラゴン』で。」
24話(次回予告のみで、彼本人は登場しない) ・「私どもホーリーナイトメア社にとって目の上のタンコブは銀河戦士団…。その中でも特に生意気なのが忍者の特殊部隊でございます。私どもはそこに目をつけました。強いものが裏切ってくれれば、あのカービィめを倒せるのではないかと…。ホホホホホ次をどうぞお楽しみに。」
26話 ・「地獄の炎から生まれた魔獣『チリドック』でございます。料金は少々お高くなっておりますが。」 ・「ホホホホホホ…アレは我が社とっておきの魔獣。危険すぎるので陛下もお命を大切に。」 ・「ホホホホホホ…カービィは必ず倒される。私も見物させていただきます。」 ・「カービィを倒せば安いもの…燃えれば燃えるほどチリドックは強くなります。」
27話 ・「ホーリーナイトメア社の魔獣サイトにようこそ。本日は…。」 ・「はて…こんなみすぼらしい花でなくても、魔獣なら他にもっと強力なのが。」 ・「森の王『ウィスピ―ウッズ』ですね。今回はヤツが狙いですか?(何故ウィスピーのことを知っているのかは不明)」
28話 ・「ご注文のプププランドを工業化する作業革命セットでございます。ホホホホホ…陛下の住むド田舎も、これで文明の光に照らされるでありましょう。」
29話 ・「ようこそ、本日は…。おや、今度は外食産業に乗り出すおつもりで?」 ・「なにやら張り切って御出でで、ならばこのシェフにお任せを。」 ・「料理魔獣『ムッシュ・ゴーン』です。」 ・「お戯れはさておき、まずは(ゴーンの料理を)お召し上がりを。」
30話 ・「守備はいかがですか?可愛さの余り、我が子をしつけできなくなった親は悪人を育てるようなもの…(ニヤリ)。もはやカービィは魔獣と戦えません。」
31話 ・「ようこそ、ホーリーナイトメア社の魔…(デデデに遮られる)その前に未払いの代金を…。」 ・「拡声魔獣『ウォーキー』です。」 ・「ウォーキー(マイク)を使えば、当然ながら声が大きくなります。つまり、カラオケパーティが開けます。」 ・「カービィでウォーキーに歌わせなさい(謎の命令口調)。ステージ代わりにその転送装置の上に立たせるのです。」 ・「この通り、台に乗った途端こちらへ転送してしまいます。」 ・「ウィナー(優勝者)には賞金とスイカを差し上げましょー!(前半部分は聞こえづらく、何言っているか分からない)」 ・「はーい皆様~!優勝者に贈られるのが、この…スイカー!」 ・「今だ、転送開始!(デリバリーシステムのボタンを押す)」 ・「(カービィの歌を聞いて)な、なんてすさまじい声だ!やめてくれ!死ぬ!送り返さねば…(再びデリバリーシステムのボタンを押す)。」
32話 ・「ようこそ、ホーリーナイトメア社…。歯医者?虫歯を治すあの?ご機嫌が悪いのは虫歯のせいでしょうか?では直ちに…。」 ・「デンタル魔獣「ハーデー」。悪い歯を見るや麻酔なしで治療いたします。お大事に~。」
33話 ・「それでは、これまで溜まった代金をお支払いいただけますか?ワタクシ共の企業グループのゴミ投棄会社にご協力いただければ代金割引~。あと10回ほど、捨て場所をください。」
34話 ・「よろしいですか?特急料金を加算させていただきますが?」 ・「ホホホホ…魔獣『モロコシン』、直ちにカービィをやっつけなさい!」
35話 ・「いかがでしょうか?超高性能ターボエンジン搭載のこのマシンは、レースカーをしのぐパワー…。さらに、オプションの仕掛けもたくさん…。この車はまさに走る魔獣と言っても過言ではございません。」
36話 ・「(望遠鏡を覗きながら)カービィはあの宇宙艇の操縦をマスターしたようです…。」
37話 ・「おやめください!デリバリーシステムは焼却炉ではありません!」
38話 ・「ご紹介します。パピー・ポッティの原作者「ローリンさん」でございます。」
39話 ・「はい、魔獣『ボウキャック』は間違いなく送信されております。そのボウキャックは大変小さな魔獣でございます。もしかするとお気づきにならなかったのでは?」
40話 ・「陛下、お気に召しましたか?我が社の魔獣てんこ盛りサービスは?この度新しく魔獣配信顧問に入社したモノの企画です。ご紹介します!新入社員の…。」 ・「そうおっしゃらず…どうぞごひいきに…。」 ・「魔獣共をもっとお送りしましょうか?ではまたのちほど…。」 ・「ナックルジョー…守備はいかがです?(ジョーに「最強魔獣を送れ」と言われて)最強魔獣?それはいけません。(ジョーの作戦を聞いて)ほぅ…そういう作戦だったと…おみそれしました。良いでしょう…。お前とマッシャーがタッグを組めば、最強中の最強。カービィもおしまいです。ホホホホホ…。」 ・「今回は、ナックルジョーめに一杯食わされました。申し訳ございません。」
41話 ・「ようこそ、ホーリーナイトメア社…(デデデに会話を遮られる)火を消す?そりゃまた…。」 ・「あらゆるものを凍らす冷凍魔獣『レイゾウ』でございます。」 ・「ご安心ください…妖星ゲラスは着実にプププランドに向かっております。これだけの規模ならば、さしものカービィも…。」
45話 ・「陛下、お呼びで?はぁ…では、これまでの料金の未払い分を…(払ってください)。はい、左様です。ワタクシ共も商売ですから…。」
46話 ・「ホホホホホホ…困った陛下ですね。あと少しでカービィめを落とすところでしたが、陛下のおかげでバレてしまい…。」 ・「この屋敷はいわば『カービィ捕まえ機』。カービィを我が社の誇るデリバリーシステムに乗せていただければ、直ちにこちら側に転送してしまいます。」 ・「ホホホホホホ…では陛下にオトリになっていただきます。」 ・「見破られました…急遽作戦を変更、魔獣を送らせてもらいます。ドクロ魔獣『ガボン』です!」
47話 ・「ようこそ、ホーリーナイトメア社の…。ワドルディの?」 ・「ホホホホホ…そういうことならうってつけの魔獣がございます。では…。最新のホームヘルパーロボでございます。何なりと用事をお申し付けください。」
48話 ・「いかがですか?観光業の方は?それなら、お任せを…。『ファイアゼリー』でございます。見ての通り火がエネルギー源です。火の熱を吸えば吸うほど、強くなる魔獣です。」 ・「ついでにカービィも倒せば一石二鳥!」 ・「審議の結果、プププランドは観光地に…ふさわしくないと烙印をおされました。」
49話 ・「本日はまたお急ぎのご様子で…。これは一体…。」 ・「結構なお話ですが、(アニメ放送の)お金は誰が…?」 ・「陛下、そろそろ完成ですね?テレビ放送に穴を開けると違約金をいただくことになります…。では9900億デデンいただきます。では約束通り放送を…。」 ・「陛下…初のアニメシリーズは完成しましたか?では時間通りに全宇宙に放送します。」 ・「陛下のアニメがあまりにもひどすぎて、視聴率が0.001%でした。損失は…900億デデン!直ちに請求書をお送りします。」 ・「タダ?そうですねぇ…。」
50話 ・「はい。それはもう、徹夜で作らせました。ただ今回は特注品…お値段が少々…。」 ・「はい。では…今後もご利用は計画的に…ホホホホホホ…。」 ・「今日はまた…お急ぎのご様子で。ホホ…それは当然です。人形と陛下はシンクロしてますから。陛下も動けば、人形も動きます。人形が動けば、陛下にも伝わる当たり前の仕掛けで…。」
51話 ・「これは…陛下。最強魔獣?なんでまた?それは大変…。直ちに手配をしたいところですが…何しろ、敵も味方も関係なく攻撃する非常に危険なヤツですので…丁寧にラッピングしませんと…。」
52話 ・「(デデデに対して)よくお気づきになられましたな…踊らされる阿呆より踊らす阿呆がよろしいようで…。もちろん!ではとっておきの商品を用意しましょう…。」
53話 ・「困った陛下ですね…こんなに魔獣を用意するのは、当社としても大変苦労しました…。」 ・「ホホホホホホ…レアものは5人だけで良いとおっしゃったのは陛下でございます。それでも売れるからと…。」
55話 ・「これはこれは…エスカルゴン閣下。はい、夕べお届けした魔獣が何か?」 ・「おや…陛下がマニュアル本をお忘れで…。危険な魔獣なのでぜひ読んでいただきませんと…(デデデの性格的にマニュアルがあっても読まない気がするが)。あの魔獣が身体に入ると、愛情あふれる性格になってしまうのです。」 ・「はい、何があっても(怒らない)…でもまさか陛下…(モニターの電源を切られる)。」
56話 ・「陛下…ご注文の高級ペット『スカーフィ』でございます。ホホホ…ペットは疲れた王者の癒しグッズ…ペットフードの方もお安くさせていただきました。」 ・「そして…ペットは常に主人の味方…。では…可愛がってやってくださいませ…。」 ・「勝手に増やしたペットの返品はご勘弁願います…。どうしても返すとおっしゃるのなら…買取料として1匹につき900デデンお支払いください。」
57話 ・「大変でございましたね、陛下…。これはお見舞いの果物でございます。」 ・「なるほど…それでしたら良いのがございます。はい…ですが凶暴ですので、くれぐれも正しくお使いください、では…。」
58話 ・「陛下のような遅れきった方が支配するような国では、致し方ないのでは…。」 ・「子供を静かにさせるには簡単なこと…学校をお創りになればよろしいかと…。ホホホホホホ…ホーリーナイトメア社の学校は、子供たちを閉じ込め、大人しいヒツジ(※このアニメのヒツジは凶暴です)のように飼い慣らす、究極の施設でございますよ。」 ・「我がホーリーナイトメア社の優れた『学校キット』が1つ売れ残っております(客が「最後の1つ」と言う言葉に弱いことを利用した狡猾な商売である)。」 ・「プププランドもこれで立派な文明国でございますね、ホホホホホホ…。」
59話 ・「お呼びでしょうか?カニ?あ!あのカニでございますか。大きさはいかほどで?では特急料金を加算させていただきます。」
60話 ・「これは陛下…。しかし…陛下…(未払い金が)。」 ・「と~んでもない…で、その侵入者というのは?」 ・「そうですか…では、特別サービスで超強力なのをお送りいたしましょう。」
61話 ・「これはようこそ…。(太ったデデデが)んなモノが(目に)入ったら大変ですが…(笑)。カービィではなく何故陛下がおデブに?」 ・「肥満はいけません…。では、お値段は張りますが、至急…ダイエットのインストラクターをお送りします。」 ・「インストラクターの『マッチョサン』!」 ・「(マイクカービィの歌に)も…もう耐えられません…。それでは陛下~!」
63話 ・「えー、暮れもおし迫り(年末という意味)、残すところあと僅かとなりましたようで…。この1年…デデデ陛下には、多大なるご愛顧いただきましてゆえ…心からの感謝を込めて、お歳暮を贈らせていただきます。つまらぬものですが、どうぞお納めを…。」 ・「(長ゼリフを指摘されて)ホホホホホホ…そういう皆様も長ゼリフ…硬いこと言わずにさっさとお受け取り下さい。」 ・「いやはや…これは参りました…。実は陛下には折り入ってお願いが…。」 ・「年の瀬といえば、大棚ざらえ…安さ爆発歳末商戦!我がホーリーナイトメア社も魔獣売り尽くしセールを企画しましたが…このご時世どこもかしこも不景気風が…。」 ・「田舎はともかく、世間ではそれはそれは冷たいのが吹きまくっているんでございます。おかげで我が社は大苦戦…。私もノルマを達成しませんと…クビ。」 ・「で、寛大なお心と莫大な資産をお持ちの陛下に、何か1つ魔獣でもお買い上げいただけないものかなぁ~と(若干オネエ口調)。」 ・「あの…お言葉ですがツケがあるのは陛下の方でございます(借金を見せる)。今年のツケは来年に延ばさぬ方が…。」 ・「(会社が潰れろと言われて)ホホホホホホ…またまたキツいご冗談…。」 ・「陛下…お風邪を召してないとは何より…ハーックション!」 ・「(バカは風邪をひかないと言われて)誰がそんなことを…。それは科学的事実…脳を使わないといろいろなところが鈍くなり、結果的に身体がバイ菌に近くなるから風邪をひきません!これを免疫と…(※本当は単に風邪をひいても気づかないのが理由です)。」 ・「陛下はまだうつってないんだって。今にひきます。」 ・「(デデデに対して)さ…寒い思いをすれば、ひけます…。」 ・「そう言われましても…風邪をひいても良いことなんてありません…。」 ・「はぁ…では…こんなものはいかがで…?『風邪ウィルス魔獣』でございます。しかしとてもお高いのでケチな陛下にはとても…。」 ・「(ウィルス魔獣の)お値段は大きさではありません…。小さくても破壊力は抜群です。」 ・「いえいえ…(ウィルス魔獣を飲み込むと風邪をひく)ということでございます。」 ・「陛下、それが風邪でございます。」 ・「大丈夫ですか、陛下?相当つらそうですが?ですからおやめくださいと申し上げたでしょう?」 ・「今さらそんな…私には(風邪を治すことは)できません。」 ・「私は…ちょ��と人にうつして…(治しました)。そうそう!昔から風邪は他人にうつすと治ると申しますゆえ…(※医学的に風邪を他人にうつして治ることはありえないため、彼は薬などで治した可能性が高い)。」 ・「陛下…うつすのならカービィがよろしゅーございます…。カービィは吸い込み系でございますゆえ、何度でも。ま、騙されたと思って…ここはひとつカービィに風邪をうつしてみては?楽になればめっけもの…。」 ・「おかえりなさいませ、陛下…。ではまず…我が社の新製品『マクロナイザー』を購入していただきます。」 ・「(マクロナイザーは)あらゆるものを小さくする装置…。お値段は…送料込み消費税込みでこの通り!(99000098デデン)では代金はクレジットで…。」 ・「マクロナイザーでカービィを小さくしてください。」 ・「(カービィを飲み込んだデデデに対して)今どこら辺にいるか分かりやすいですねぇ~。」 ・「はははは~、どうやら陛下の体内で(ウ��ルスが)培養された模様…。風邪ウイルス魔獣は増殖してます。」 ・「困りました…カービィがウィルス魔獣を吸い込んでくれれば良いんですがね…。」 ・「あぁダメ!クシャミは禁物です!」 ・「あ~、失敗です…。なんでカービィを出してしまいました?」 ・「それにつけてもこの歳末商戦…。我が社は倒産せずに済みました…。これも陛下の高価な魔獣一式をお買い上げいただいたおかげでございます…。」 ・「そんな…ホホホホホホ…それでは、良いお年を…。」
64話 ・「ホーリーナイトメア社より、新年のご挨拶を申し上げます…。我が社は貧しい皆様に気前よく無償援助する決意を…。」 ・「ホホホホホホホホ…フェアプレーで参りましょう…。はい!新春カービィクイズショーの始まり始まり~!」 ・「では第1の質問…カービィが最初に変身したのは次のどれでしょう?」 ・「正解は果たして…VTR…スタート!」 ・「(問題の解説)星の戦士カービィは…永い眠りから目覚めてプププランドにやってきました…。彼の宇宙艇が魔獣をキャッチしたからです。そして…悔しいことに魔獣をやっつけましたねぇ…。答えは…ファイアカービィ!」 ・「では第2問…カービィがコックカービィに始めて変身した相手はどんな魔獣だったでしょう?」 ・「思い出しましたね?続きを見てみましょう…。というワケで、魔獣はポポン!太陽の熱でフライにされました。」 ・「さて…第3問はビデオを見ながらです。前…ププビレッジに雪が降ったことがありました。さてこのとき…村を雪景色にしたステキな魔獣はなんだったでしょう?」 ・「正解は…アイスドラゴン!」 ・「おや…全員正解。ではついでにもうひとつ…。アイスドラゴンをやっつけたときカービィは何に変身したのでしょう~?」 ・「正解は…アイスカービィ!ホホホホホ…皆さん分かれましたねぇ~。正解は雪組と星組と月組!全問正解はフームとカービィの星組だけ!」 ・「では…おっとここでコマーシャル。」 ・「さて…いよいよ盛り上がってまいりました…。新春カービィクイズショー後半戦の…スタート!」 ・「プププランドを訪問した王女ローナ様を守ろうと…カービィが戦った魔獣は?」 ・「正解はスッシー!雪組と星組の勝ちー!」 ・「さぁどんどん行きますよー!突然デデデ城を襲った魔獣…チリドック!ヤツが狙った相手は誰?」 ・「チリドックが狙ったのはメタナイト卿でした!」 ・「トップは依然、フーム様の星組~!(様付けなのか呼び捨てなのか安定しない)」 ・「さて…次はますます難しい!カワサキと魔獣ムッシュ・ゴーンの激辛戦争を覚えてますねぇ~?このときカービィは何に変身したでしょうか?」 ・「おやおや~全員ファイアカービィ…良いんですね?」 ・「全員ハズレ!ついに星組も敗れましたねぇ~。メタナイト卿が言った通り、これはファイアカービィではありません。ほら、炎の帽子を被っておりませ~ん!」 ・「まあまあまあまあまあまあ…毎週早起きして番組をちゃんと観てれば分かるハズですよ?(じゃあ「それ以外のカービィ」の選択肢用意しとけよ…)」 ・「では…次は優しく…お優しい(?)デデデ陛下はお城をテーマパークにしたことがありました。このときカービィのしたことは何?(とか言いながらマイクカービィの歌を流してしまったため、問題として成立しなかった)」 ・「失礼…(マイクカービィの)このすさまじさを忘れておりました…。皆さんお加減は?」 ・「ホホホホホホ…では、気を取り直して…次!村を開けてのプププグランプリレース!ズバリ優勝したのは誰?」 ・「皆さん残念でした!全員ハズレ!正解は「村長夫妻」!レン村長とハナ夫人です…(屁理屈で正解を不正解にしたイジワル問題じゃん…)。」 ・「カービィには、仲良しのファイターの友達がいますね…。それは誰でしょう?」 ・「(デデデに対して)いやはや…こんなに優しい問題でも間違えるとは…。さて、カービィとナックルジョーは共に最強魔獣と戦いましたが…決め技は何?」 ・「決め技はライジングブレイクでした!またもや正解は星組だけ!答えられなかった宝組は減点10~。」 ・「ホホホホホホホ…では次~。占い師メーベルは妖星ゲラスがプププランドに衝突すると予言したことがあります。あ~それは不幸にも当たりました。ププビレッジの皆様は、哀れ難民となったのでありました~!」 ・「では問題!世界の滅亡を前にデデデ陛下は最後まで善いおこないを貫きました。それはホントか嘘か!」 ・「では、ご覧くださ~い!デデデ陛下は、皆が望んでいた子供の公園を作ったのでした。正解はデデデチームだけ!一発逆転の可能性が出てきました~!」 ・「では、新春カービィクイズショー最後の問題…。優勝者は…惑星[[ハワイ]]3泊4日の旅!」 ・「ププビレッジは大人しい動物に征服されたことがあります。」 ・「正解はデデデ陛下の宝組!ボーナスポイント100点で逆転優勝で~す!(1問しか正解していない花組は、100点もらっても逆転できないでしょ…)」 ・「お~や~バレてしまっては私も庇いきれません。では宝組の優勝は取り消し…陛下たちはビリと決定で~す!」 ・「ビリの組のお年玉は星の世界旅行!」
66話 ・「これは陛下…お金を払って(デデデの会話に遮られる)。」 ・「魔獣は切らしておりますが、勢力増強・滋養強壮・火山増強『ボルケーノン』なら。」
67話 ・「ようこそ陛下、今日はまたお元気そうで…。(デデデに文句を言われて)ご冗談を…。」 ・「では今度は教師でなく生徒をおつけしましょうか…。成績優秀なのを…(ただし魔獣としての成績)。」 ・「生徒の『グレ』、『ヨタ』、そして『バンチョー』でございます。では、ご検討を…。」
68話 ・「これはこれは陛下…。(出前のプロをよこせと言われて)ホホホホホ…またご冗談を…。はぁ…では適当に見繕います。」
72話 ・「お売りしたいのは山々ですが、ツケをお支払い頂けないと…。」 ・「これだけお支払い下されば済むのですが…(1170411246413708686デデン)。」 ・「は…?お金の作り方は簡単、モノを売れば良いのです。」 ・「ホホホホ…そうですねぇ…ではこんなマシンを売ってはいかがで…。」 ・「ホホホホ…ご心配なく。お金は自動的にワタクシ共の口座へ送金される仕組みでございます。請求額に達するまではお手を触れぬよう…。」
73話 ・「お、これはこれは陛下!ご機嫌うるわしゅう…。」 ・「(デデデに対して)イカなどいかがで…?(地味に今回の魔獣の伏線である)」 ・「はぁ…陛下まさか…!回転寿司をご存じない?」 ・「安心しました…(寿司を食べる)。こちらはランチタイム…私がいるのは今流行りのリボルビング寿司バー…。すなわち回転寿司におります。」 ・「近代的な都会ならば1ブロックごとに必ずやあるお店…。座っていれば寿司の乗った皿が回ってまいります。あとは好きなネタを選ぶだけ…洗練の極みと申せましょう…。」 ・「しかし…これは食事のためで魔獣ではありません…。」
74話 ・「花粉を食べて超花粉に変える花粉獣『モスガバー』をオススメします。」 ・「私共の魔獣ではないのでお届けできません。」 ・「で…ソイツをおびき寄せるためのアイテムをどうぞ。」 ・「怪物の仲良し妖精『ザ・ツインナッツ』でございます。」
75話 ・「しかし…恐竜は当に滅びたので、お売りできません。」 ・「仕方ありません…。では、専門家をお送りしましょう…ただし、特別料金で。」 ・「DNAの権威『ドクター・モロ』です!あとはよろしく~。」
77話 ・「はぁ?世界の名画?」 ・「しかし芸術作品はお高いですよ…?1つだけでも何億デデンも…。それより、お絵かき魔獣の方が…。」 ・「ではレンタルにいたしましょう…。ただし、傷つけずに3日以内にお返し下さるよう…。」 ・「芸術家の在庫はありませんが、魔獣なら…。」 ・「お絵かき魔獣『ペイントローラー』!ご注文通り何でも絵に描いてしまいます!」
78話 ・「これは陛下…おや違った…。エスカルゴン閣下?」 ・「閣下のためならなんなりと喜んで…ホホホホホホ。」 ・「(デデデに対して)私からご説明を…。」 ・「昨夜お届けしたロボの部品代をいただきます。」 ・「提供いたしました部品は、『超高性能形状記憶付き変幻自在ナノテク超合金メカ』で、それにより…。」 ・「ロボの背中に緑と赤のボタンがございますね?緑のボタンを押すと心を失います。」 ・「パワーアップしたロボは高速移動…さらに、あらゆる武器をこなす戦闘モードに変形し、どんな敵も一刀両断!」 ・「それはいけません!赤のボタンは決して押さぬように…。理由は言えませんが甚だ危険ゆえに押してはなりません、絶対に!」 ・「あれほどダメだと言いましたのに…。魔獣となったロボ2はもう誰にも止められません…ホホホホホホ。」
79話 ・「お止めになった方が…才能のないモノを無理に魔獣にするのは…。」 ・「でもタダというワケには…。」
80話 ・「そ…そう言われましても…。最高級品をバーゲンしろとの陛下のご要望はその…営利目的の企業としては大変難しく…。」 ・「そ…それはそうですが…あの…その…ちょっと失礼(パワップDを飲む)。」 ・「あ、これ!陛下がお住みになるド田舎では不要のモノでございます。」 ・「え?聞こえませんでした(聞こえないフリ)。」 ・「都会の悩みとは、ビジネスのストレスでございます。そんな我々に24時間頑張れるエネルギーとパワーを補給してくれるのが、この『パワップD』!」 ・「しかし…陛下は最高級の魔獣をっと…。」 ・「おや、エスカルゴン閣下。パワップDの効果はいかが?」 ・「しかし…閣下のご様子はとてもそのようには…。」 ・「では…逆効果ドリンクはいかが?」 ・「ホホホホホホ…体力減退ドリンクでございます。」 ・「体力減退ドリンク『[[パワダウンE]]』!」 ・「やりすぎ、働きすぎ、頑張り過ぎをおさえ、心地よい疲労と眠りに誘う、強力なドリンクでございます!では…。」 ・「陛下…これぞ魔獣『赤マムジ』でございます。」 ・「ホホホホホホ!今こそチャンスでございます!」 ・「あのカービィめも今は体力限界、肉体疲労、腰痛に偏頭痛、ここに魔獣を送りこめば、勝利は確実でございます…。」 ・「は!では行きなさい!魔獣赤マムジ!」
81話 ・「陛下…ゴミを送ってくるとはどういうことです?」 ・「(ゴミを処分しろと言われて)ご冗談を…。」 ・「これは陛下…。」 ・「それはこちらのセリフ…。陛下こそ、デリバリーシステムを悪用してきたではありませんか。」 ・「仕方なくゴミをお引き受けしましたが、陛下の出したゴミは捨て場を求めて宇宙をさまよいました…。」 ・「しかし、どの星でも受け入れを拒否されて、もう行き所がなくなったのです。」 ・「…というワケで、今までのゴミをすべて陛下にお返しさせていただくことに…。」 ・「お代はサービスさせていただきます。ゴミをよろしく~!」
82話 ・「ですから溜まったお代をお支払いいただければすぐに…。」 ・「それはさておき陛下…村では男の料理ブームだとか…。」 ・「ホホホホホ…連中の料理ブームを利用すれば、陛下のお買い物もスムーズにいくかと��。」 ・「連中にロボットを分けて買わせてはいかがで?ホホホホホ…。」
83話 ・「しかし…以前お送りした小学校のお代金をお支払いいただいておりません…。」 ・「お言葉ですが陛下…。」 ・「これは陛下…。」 ・「ホホホホホ…先生は要らないと申されましたが、学校と一緒にお送りしたはず…。」 ・「ワタクシ共のビジネスは魔獣配信サービス。ただチップは本当の魔獣ではない『契約魔獣』…。」 ・「なのに…カービィをやっつけていない…?」 ・「申し訳ありません…。すみやかに別の魔獣を送らせていただきます。」
85話 ・「これは陛下…うわ!オバケ!(日焼けしたデデデの顔を見て驚く)」 ・「言われてみれば…その奇怪なお顔はいったい?」 ・「に…日光浴!?お止めなさいませ…身分あるお方ならそんな野蛮でおぞましいことは決して…。」 ・「太陽光線には非常に危険な成分が含まれております…。」 ・「もちろん予防処置はございます。少々お値段は張りますが…陛下が販売元になれば儲かるかと…ホホホホホホ。」 ・「ホホホホホホ…やっとお気づきですか。では、特別大図解でご説明します。」 ・「太陽光線には危険な紫外線が含まれていると申し上げました。でも、高い空にはオゾン層というカバーがあり、大量の紫外線が地上に注がれるのを防いでおります。」 ・「いや、それが…。このオゾン層に穴…つまりオゾンホールが空いたら…(紫外線が地上に降り注ぎます)。」 ・「どうやらこれは…カービィやメタナイトの仕業と思われます。」 ・「これが、ヤツらの作った穴…。ホラ、紫外線がもろに地上に…。」 ・「(デデデ達は紫外線で)無論死にます。」 ・「これからは、昼はお休みになった方がよろしいようで…ホホホホホホ。」
86話 ・「(デデデに対して)ですから…ワタクシ共の専門は魔獣のデリバリーサービスゆえ、少々お時間が…。」 ・「今回はお急ぎ便でございますので、特別料金をいただきます…。では…。」
88話 ・「殻が割れた…?ではエスカルゴン閣下は単なるナメクジに退化されて?(カタツムリからナメクジの場合は、退化ではなく進化が正しいのだが)」 ・「分かりました…しかし特注品になりますからお値段も張りますし、少々お時間を頂戴いたします…。」 ・「おやおや…これはエスカルゴン閣下…。ホホホホホホホ…その殻、お似合いですこと。」 ・「大変お待たせいたしました…。閣下の新しい殻をお送り致します。」 ・「『超合金ヘビメタシェル甲殻機動スーツ』でございます。では、お楽しみを~。」
89話 ・「ホホホホホホ…視聴率0.001%。あの記録は未だ破られておりません。」 ・「えぇ!?まだ諦めてないので?しかし、アニメやコミケの専門家はマイノリティゆえ、簡単には…。」 ・「(デデデに対して)我が社は魔獣販売が本業で…。」 ・「人呼んで、ピギー、ボニー、スリーピーくんです。」 ・「彼らは魔獣ではありません。あくまでもアニメオタキングゆえ、契約書を正しくお読みください。」 ・「(アニメを)来週の朝7時半、ナイトメア・ネットワークで流しますゆえ、必ず…。」 ・「しかし、契約では放送できなかった場合、賠償金9億デデンを…(アニメ完成してから放送日決めろよ…)。」 ・「はぁ?オタキングたちが?」 ・「放送中止となると、賠償金を…。」 ・「マッチョー・マウスを始め、数々の傑作アニメで名高い『オワルト・デゼニー**』氏です!それでは…。」
90話 ・「ガスとビートは昔の仲間だそうで…良い勝負ですね。」 ・「ホホホホホ…これはいわば誘い水…。気分を煽って大掛かりなレースを開催してはいかが?」 ・「豪華な競技場が要りますが、ご心配なく…。スポンサーは我が社、陛下はタダ…。」 ・「レディース…アンドジェントルメン!これより史上最大のイベント『デデデス・レース』を開催いたします。」 ・「提供は、愛と信頼で魔獣を配信するホーリーナイトメア社…。実況を仕(つかまつ)りますは、このワタクシ…カスタマーサービスでございます!」 ・「(ブーイングされて)ホホホホホホ…まぁそうおっしゃらずに…。では、選手を紹介します…。」 ・「ボルン署長!レン村長!パブのサモ!星の戦士カービィ!そして、爆走ビート!」 ・「最後に元暴走族のビート打倒に燃えるガス!…おや?」 ・「登場したのはガスのマシン!でも乗っているのはオモチャ屋のガング…。これはどうしたことでしょう…ホホホホホホ。」 ・「各車!一斉にスタート!」 ・「しかし、実力の差は歴然!爆走ビートがあっという間にトップ!」 ・「爆走ビートは、早くも1周してカービィに迫る!これは面白いことになってまいりました~!」
91話 ・「カービィは命拾い~!でもすっかり遅れちゃいましたね~!ホホホホホホ…。」 ・「ボルンについでサモも脱落しました~!ビート圧倒的に強い!」 ・「ビートがやられた~!倒したのはあろうことか数十年も昔の伝説の親父ライダー!ステッペンウルフ~!」 ・「どこの誰かは知らないけれど、誰もがみんな知っている!ステッペンウルフのおじさんは~!」 ・「おやぁ~またまたカービィの勝ちですか?悔しいですねぇ。ではこれで実況を終わります!さよなら~!(エコーしながらモニターが崩れる)」
92話 ・「これは陛下…本日もご機嫌…うるわしくないようで。」 ・「ホホホホホホ…それはそうでしょう。この世で何が恐ろしいと言って、食いモノの恨みほど恐ろしいモノはありません…。」 ・「では…ワドルディの怒りを解く、腕の良い料理人をお届けしましょう…。」 ・「シェフ魔獣『モウ・タクサン』でございます!」
93話 ・「あ…これはこれは陛下。」 ・「(陛下がプレゼントなんて)また似合わないことを…。」 ・「それでは、少々お時間を…。」
94話 ・「あの~今日はご相談が…。」 ・「お恥ずかしい話ですが、実はワタクシ共の魔獣が逃げだして逃げ出してしまいました…。」 ・「ワタクシ共の魔獣養成学校は…花組(Mr.フロスティとヤバン)…星組(ジュキッドとウィスカース)…月組(ドゴンとポピーブロスJr.)…雪組(ホッドヘッドとポピーブロスSr.)の四班体勢でトップスターを目指し、しかも(?)厳しいレッスンの毎日なんです。」 ・「でも誘惑も多く、もしや陛下がハッキングしたのではと。」 ・「そちらに大柄な魔獣がお邪魔していないかと。」 ・「図体の割には憶病で、危険はございません。『ファンファン』と申します。」 ・「ようこそ…ホーリーナイトメア社の。」 ・「え?それはありがとうございます。ファンファンはどこに?」 ・「そういうワケには…。ではお詫びと言ってはなんですが…。魔獣『ファンファン』を手懐ける調教魔獣をお送りいたします。」 ・「調教魔獣『ヒッティー』です。それでは…。」
95話 ・「これはこれは親愛なる陛下…ご機嫌うる…(わしくなさそうですね)。」 ・「くやしいぞい?ワシぞい?負けたくないぞい?どうしてくれるぞい?」 ・「ホホホホホホ…さては『デビルフロッグ』でございますね?」 ・「おやおや…まさかお忘れになっておいでで…?ゲロ!ゲロ!」 ・「ホホホホホホ…どうやら、デビルフロッグに逃げられてしまったのですね。」 ・「そのもしかしたらでございますよ。」 ・「陛下、これぞ不幸中の幸い。デビルフロッグに取り憑かれたカービィは意思を支配され、悪行三昧の『デビルカービィ』になることでしょう。」 ・「ホホホホホホ…ついにカービィを葬り去るチャンス…。魔獣『��ビルフロッグ』の天敵、『ヘビーアナコンダー』がおります。」 ・「しかし、お値段もヘビー級…。超特急料金に手数料を加算し、さらに魔獣『デビルフロッグ』を合わせますと…合計9999万デデン!」 ・「ちょっとお時間を…。なにしろ魔獣『デビルフロッグ』は取り憑いたものの悪意を100万馬力にする、恐ろしいパラサイト系でございますゆえ…ホホホホホホ…。」
96話 ・「魔獣はいろいろございますが、もっとお高いのをご注文下されば…。」 ・「そうもしているのはワタクシ共…。代金は未だ頂いておりま…。」 ・「陛下はのんきなお方…。よもやアレをお忘れでは…?」 ・「ホホホホホホ…カービィめの乗り物にして、神秘の兵器…ワープスタ~。」 ・「ホホホホホホ…まだお分かりにならない(モニター越しに卵をぶつけられる)。」 ・「相変わらず、お気が短いお方…。ワープスターがなければ、カービィもさぞかし苦しむかと…。」 ・「これはワープスターをおびき寄せる手段…。陛下のお手を煩わせないための巨大円盤『デスタライヤー』でございます。」 ・「ホホホホホホ…ご心配なく。デスタライヤーは魔獣ではございませんゆえ、無料。」 ・「おや、簡単に撃墜ですねぇ。」 ・「なんですと?カブー?」 ・「カブーがここに?それを早く言って下されば…。では、ワープスターは修復され、蘇ってしまいます。」 ・「カブーはワープスターと星の戦士を守る、いわばシェルターだからです!」 ・「カブーは1人ではありません…。宇宙の至る所にあって、星の戦士を守っているのです。」 ・「カービィがプププランドに不時着したワケも分かりました。直ちにエアライドマシン…すなわち、別のワープスターで攻撃を。」 ・「では、紹介しましょう!まずは、例えるならF1マシンのスピードを誇る『フォーミュラスター』!」 ・「次なるは、チャージに時間がかかるものの、一度発進すりゃ最高速ダッシュの『ロケットスター』!」 ・「そして、地上付近では遅いが、空に舞い上がるやいなや華麗なるフライトを見せる『ウィングスター』!」 ・「そして、最後に控えしは悪魔の翼で空を飛ぶ、攻撃力はめっぽう強い『**デビルスター **』!」 ・「どれも個性ある、強力なるエアライドマシンでございます。」 ・「(ライダーが弱そうと言われて)確かに…今回重要なのは、ライダーたちではありません。」 ・「あくまでも乗り物であり、兵器でもある新しいワープスターが主役。」 ・「(カービィより強いのか聞かれて)それはこれからのお楽しみ、ホホホホホホ…。」
97話 ・「さて…そろそろ攻撃に。『フォーミュラスター』の素晴らしい性能をご覧あれ。」 ・「ロケットスターです。お待ちください…チャージが済めば目にも止まらぬ速さで…。」 ・「追い詰められると力を発揮する…流石は星の戦士、敵ながらアッパレでございます。」 ・「ホホホホホホ…ウィングライダーが乗りますのは、華麗なる『ウィングスター』!」 ・「いかがです?これがプロの腕…。」 ・「そう興奮なさらず…。まだシリーズは終わっていませんゆえ…。」 ・「『デビルスター』こそ、無敵中の無敵…(※ゲームだと耐久は弱いです)。」 ・「残念ながらワープスターの消滅は確認できません…。」
98話 ・「計算違いでカービィを倒せませんでした…。」 ・「魔獣デリバリーはしばらく中止させていただきます…。来たるべき決戦に備えて。」 ・「実は、ご相談が…。メタナイト卿にご注意なさいませ。ヤツは元星の戦士…。」 ・「しかし、(メタナイトは)陛下に隠れてなにやら作っております。情報を教えて下されば、こんなオモチャを差し上げます…。」 ・「我が社専用の携帯電話でございます。」 ・「ホホホホホホホ…カービィのオープニングテーマゆえ、どこで鳴っても怪しまれません(宿敵の曲が着メロでいいのか…)。」 ・「しかし、その携帯を使えば、いつでも私と連絡できます…。カメラ付きですので。」 ・「これは宇宙戦艦ハルバード…。もはや一刻の猶予もなりません。」 ・「ようこそ、ホーリーナイトメア社…。」 ・「(デリバリーシステムが壊れたのは)単なる誤爆です、お許しを。」 ・「取り換えには9000億デデンかかります…(流石にこれは壊しておいて言うセリフではない)。」 ・「では…あの戦艦ハルバードを破壊してください。」 ・「爆弾を放り込むだけで結構…。そうすれば、今後は魔獣を半額サービスさせていただきます。」
99話 ・「お知らせします…。約1光年前方にワープホールからの出現信号をキャッチいたしました。」 ・「メタナイトの戦艦、ハルバードがワープを終えて接近中と思われます。」 ・「では予定通り、第一次攻撃開始!」 ・「陛下、ご機嫌…。」 ・「おぉ~それは良かった。ハルバードの位置を探っていたところです。陛下のおかげで突き止められました!」 ・「お楽しみに…。これより戦艦ハルバードを木端微塵に破壊します…ホホホホホホホ(つまりデデデに死刑宣告)。」 ・「(デデデに対して)おやおや…そのためのケータイサービスで…。」 ・「(デデデに対して)今どこにおいでで?」 ・「この近くに来ていましたか…。デスタライヤー全機出動!デスタライヤー全機出動!」
100話 ・「ホホホホホホホ…陛下、ナイトメア大要塞にようこそ。」 ・「その件でしたら、このお方とお話しください…(ナイトメアを紹介する)。」 ・「ようこそ…指令室へ。」 ・「ホホホホホホ…世界観を守るためには、あしからず…。」 ・「さて…フーム様をいただきましょう…。」 ・「ホホホホホホ…もうじきカービィは片づくでしょう…。ご覧のように。」 ・「(レバニラ炒めを出せと言われて)そ、そんなローカル料理は…。しかもここは軍事施設…。」 ・「な…なんですかコイツは?(彼がカワサキを知らないのは不思議であるが)」 ・「いえいえ、ワタクシは結構…(口にレバニラ炒めを押し込まれる)。」 ・「こんなえげつない味は…。」
特別編 ・「(『カービィ☆マーチ』を聴きながら)星のカービィ…実に嫌なキャラでございます…。」 ・「(カービィのぬいぐるみを持ってきて)それどころか、最近はこーんな風に立体映像とかもして、愚かな客に人気とか…。」 ・「我がナイトメア社としましては、この辺で…(カービィを始末しなくては)。」 ・「これはこれはデデデ陛下にエスカルゴン閣下…。ではお詫びに最強の魔獣1憶デデンのところを…2億デデンにお割引…。」 ・「これぞ、甲殻魔獣『エビゾウ』でございます。」
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orihciok · 3 years
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美味さの極みに遭遇。#delicious #luroufan #シェフを呼んでくれたまえ礼を言いたい #summer #food #dinner #snapshot #tokyo #colorful #tbt #follow #instagood #instaphoto #instalike #happy #cute #art #love #photooftheday #beautiful #igers #photography #amazing #awesome #party #fashion #like4like #picture #photo #nature https://www.instagram.com/p/CRg3_ROB0X5/?utm_medium=tumblr
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xx86 · 4 years
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逆上する神様
仕事で泣いた事は無い。仕事に泣かされたり、職場で泣いた事はおびただしい程ある。
だけれど私は仕事中に泣いた事は一度も無い。商談中やプレゼン中に泣く人はあまりいないだろう。それと同じ理由で私も”仕事”をしている時は泣いた事が無かった。
それでも、ウェディングプランナーをしていたというと必ずと言っていいほど聞かれる事がある。お客様の結婚式で泣くのかと。答えはノーだ。なぜならそんな暇が無いから。
泣く暇があるなら私はゲストのカメラで写真を撮る。あいてるグラスが無いか、必要のないシルバーが出てないかチェックする。親御様のあいさつ回りについてビールを即座に交換するし、新婦のドレスが下がってきてないか、新郎が飲まされすぎてないか、指定曲は流れているのか、司会が呼ぶゲストの名前に誤りが無いか、そもそもオンタイムで進行は進んでいるのか、ゲストは、新郎新婦は楽しんでいるのか、もう目を走らせなければいけない事が無限にある。
私も人の心をもっているので、感動的な新婦様の手紙や、私宛にサプライズをしてもらった際泣いた事はある。それでも頭の芯は常に冷静だ。諳んじている次の進行の事を考えている。ここでサプライズがあったから次の歓談5分巻かなきゃ、とか。結婚式は秒単位で進んでいく。
とても涙もろい私がお客様の結婚式で泣いたのは、4年間の中でも数えられる程しかなかったし、もっと言えば式後どれだけ感謝の言葉を言われたり、手紙やプレゼントをもらっても心が動く事は無かった。そう言うと他業種の人には極悪人を見るような目で見られる。だってそうでしょう。私は私が出来る最大限のサービスをしたまでの事だ。休日に出勤してお客様と打ち合わせするのも、シェフと喧嘩するのも、日曜日の深夜に引出物会社の営業に電話をかけ続けるのも、美容スタッフに怒られて何度も頭を下げるのも、それが私を信頼して形の見えないものに400万円をお支払いいただいたお客様にとって、当たり前のサービスだと思っていたからしていた。ボランティアではなく仕事だからしたまでの事で、そんなお礼を言っていただくのは申し訳なかった。
いい結婚式でした、ありがとうございますと言っていただくのが当たり前なのだ。思い出はやり直しが出来ない。ゲスト全員の記憶を消して、時間を巻き戻して、もう一度結婚式をさせてあげたくても出来ないから。
素敵な仕事と言われれば嬉しいし、私もそう思う。只、大金が絡む一生一代のイベントを目前にした人は必ず素が出る。その素に救われる事もあれば、攻撃される事もある。如何せん結婚式の準備というのはストレスが溜まる。理不尽やワガママでプランナーがサンドバックにされるのなんて日常茶飯事だ。親御様からお叱りの電話が掛かってくる事も珍しくない。正直超怖い。人間の奥底というものが。
もちろん神様みたいに心の広く、優しいお客様もいるし、お言葉をいただいて当然というようなミスを仕出かした場合もある。だからすべてのお客様が対応注意、と思っていてやっていた。気が緩むと絶対ミスが起こる。
私達はボランティア団体でも無ければ、慈善事業をしている訳でもない。上級サービスを提供する営業であり、商売人だ。一流プランナーと言われる人に綺麗事を言う人はいない。ひとつの結婚式をつくりあげるのに、ざっと50人近くの人間が関わっていて、その50人のうちの1人が粗相やミスを仕出かした場合、責任を取るのはプランナーだ。最も逆もしかりなのでその点はウィンウィンなのだけど。私達は誰よりも綺麗な顔で笑い、誰よりも汚い泥を被る。ブライダル業界に夢をみて入ってきた新卒は、お客様の前でしか綺麗事を言わない先輩プランナーをみてショックを受ける事も良くある話だ。ただ同じ泥を被った事のない人間が、人の汚いところを何度も突き付けられて、泥にもがく人をどうこう言える権利なんてない、と私は思っている。綺麗事だけ言っているとあっという間に食われてしまう。あの業界で生き残るのはとてつもなく気が強いか、鋼のメンタルを持っているかどちらかだ。
このご時世、周りのウェデイングプランナー達は屍だ。絶望的な不況に喘いでいる。この流行り病で人の本質が分かると思った人はたくさんいる気がするけれど、その状態の人を常に相手しているのだから、よくもまあ立っているなと心の底から感心する。
花嫁サイドは花嫁サイドで色々あるのだと思う。ただ私は花嫁にはなった事がないから、どれだけ花嫁からの相談に乗ってきても、気持ちが分かるとは言えない。だけれど花嫁を花嫁にしてきた事はあるからこそ、プランナーを責められない。絶対に。朝から晩までほぼ休み無しで、結婚式に対する不安で泣き出す新婦や、大変な時に結婚式を挙げてあげるんだからもっとまけてくださいと見積を何回も出させる新郎や、こんな不況なのにキャンセル料をとるなんてお前の式場はどうなっているんだと怒鳴り散らかす親御様を、1人で対応し続けるプランナーを知っているから。
ただみんな平等に平和に幸せになる事は絶対サービス業ではない。お客様は神様。人間であるお客様を神様にするために、私は人間ではない何かに成り下がっている、とずっと思っていた。
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ichinichi-okure · 3 years
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2021.3.27sat_hiroshima
朝、夜中?3時起床。 パン屋の仕事を始めてかれこれ20年近くになるが、未だに早起きは苦手。もう得意になる事は無いのだろう。 ケイタイの目覚ましは、起床の30分前から5分刻みで掛けている。横で寝る妻や小学生になる子供たちも、真夜中に何度も鳴るアラーム音には慣れっこなのか、全く起きる素振りもない。
半年前まではパン屋航路の2階に住んでいたのでギリギリまで寝ていられたのに、今は通勤時間のために、貴重な5分の睡眠時間を取られている。その分早く寝ればいいのだが、最近は鋼の錬金術師を読み返してるから、早く寝るのは諦めている。 いつかパン屋を引退して時間が出来たら、名作と呼ばれる漫画を片っ端から読もうと、よく妻と話している。老眼になったら困るな。
考えようによっては良いこともある。 自転車の5分間、冷たい空気でぼんやりとしていた頭がだんだんとはっきりしてくる。 早朝から一緒に働くスタッフたちの顔を思い浮かべて、楽しく仕事するイメージを膨らませる。ニヤニヤしてる顔を、いつもすれ違う新聞配達のおばちゃんに見られても気にしない。
パン屋航路に着いたらスタッフたちとお互いに全力の笑顔でおはようを言う。夜中の3時半に。 おはようとお疲れさまをフルパワーの笑顔で言おう、というのを2ヶ月ほど前からみんなでやっていて、これビックリするほど良いのです。仕事中の連携がスムーズになって、お店に活気が出て、要らぬ遠慮が無くなる。楽しくて仕事中の私語が増えるのが難点だけど、最近は2番手のウラベ君がよく気付いて下の子に注意してくれるので、楽になった。ありがたい。
今日は、いつもより忙しい日だ。 4月から2号店のワイルドマンベーグルの店長として異動になるサトシが、引越しのため昨日でパン屋航路の勤務が最後だった。 春休みで、花見シーズンで、コロナもひと段落の週末、しまなみ海道を渡るサイクリングのお客さんもきっと多いだろう。生地もたっぷり仕込んであるのでやる事は盛り沢山。サトシが居ない初日で、しかも自分は9時からワイルドマンベーグル出勤。 クロワッサンのカットをして、ミキサーで生地を2種類回し、カレーパンを包餡してから、ウラベ君にあれこれと指示を出して慌ただしく店を出る。
世の中がコロナになってから、電車での移動は控え、広島市のワイルドマンベーグルへは車で行くようになった。パン屋航路のある尾道から広島市までは片道1時間半の運転。 移動中の読書が出来なくなったので、今は運転しながらもっぱら YouTubeでビジネス動画をラジオのように聴き流している。 聴こえてきた今日のテーマは「伝え方」だった。上手に伝えようとせず、ありのままの自分を伝えればいいんだ、と甲高い声のYouTuberが熱弁している。 おそらく小学生以来の日記に何書こうかとドキドキしていたから、少し救われた気分になった。
ワイルドマンベーグルは4年前に始めたベーグルの専門店で、週末ともなるとオープン前から列を成してお客さんが来てくれる。
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京都のカフェでパンを焼いていた頃、ベーグルが嫌いで、自分でも美味しいベーグルは焼けなかった。そんな時、衝撃的に美味しいベーグルに出会ったのがFlip up!というパン屋さん。シェフの宮本さんがたまたまカフェのお客さんで来てくれて、研修させてくださいとお願いすると、快く引き受けてくれた。 その時に教わったベーグルをベースにして、自分なりに作ったのがワイルドマンベーグル。もうね、宮本さんには一生頭が上がりません。本当に美味しいので一度食べてみてください。ベーグル嫌いが言うのだから間違いない。
ワイルドマンベーグルに着いたら、こちらでも全力の笑顔でおはようございます。
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みんな忙しく動き回ってるけど、笑顔が気持ちいい。 京都のオオヤさんから送ってもらった新しい豆をテイスティング。温かくなってきたので今週から水出しのアイスコーヒーも仕込んでいる。美味しいなぁ。
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お昼過ぎまで明日焼く分のベーグルの成形をして、昼ごはんを食べに外に出る。
店の近くにあるお気に入りのラーメン屋に足が向く。 去年のコロナ第一波の頃にはお客さんが少なくなっていたから、コーヒーチケットみたいに食券を10枚くらい買って(そんなの無いのだけど)、勝手に売上げに貢献できないかと、知り合いでもないのに本気で考えていた。失礼かもと思って言い出せなかったが、好きなお店が潰れなくて本当によかった。
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店から少し歩けば平和記念公園があり、ちょうど桜が見頃だ。あちらこちらでビニールシートを広げ宴会をやっている。やっぱり外国人は少ないな。 日差しがあったので木陰に空いてるベンチを見つけ横になる。 ふと小学4年生の社会見学で来た時、友達の弁当箱に鳩のフンが降ってきて大騒ぎしたなぁ、などと思い出しながら、しばしまどろむ。
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店に戻り、建物の管理会社の方と打ち合わせ。1月に法人成りしたので、ここのところ事務作業に時間を取られている。
14時ベーグル完売、16時頃には仕事もひと段落したのでスタッフみんなで終礼をする。 その日の反省や、よかった点、気付き、明日の作業や予約の確認など、1人ずつ発表して終了。 みんなの成長が感じられる、この時間がけっこう好きだな。
また車に乗り込み尾道へ。 スタッフたちが楽しそうに(きっとそうじゃない時もたくさんあると思うが、)仕事をしてくれて、そんな場所を自分が作れていることを嬉しいなと思う。20代の自分もそんな場所で働きたかったなとも思う。
明日は久しぶりに子供たちと一緒の休み。 8時までたっぷり寝て、近所の喫茶店にワッフルのモーニングを食べに行こう。
-プロフィール- 寺地秀平 42歳 尾道 パン屋とベーグル屋の店主 @panyakoro
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czrscr · 5 years
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こたえて、あわせて
 ──これってもしかして、女の子が俺の部屋に、初、訪問?  部屋の隅々まで掃除機をかけ終わった帆高の頭に、ようやくその事実が行き渡る。  もしかしたら小学生の頃には、数少ない島の子供且つ友人として女子の誰かが家に来たくらいはあるのかもしれないが、生憎そんなものは思春期的にノーカンである。  帆高と陽菜が再会して、初めて巡る週末。彼女と凪を自分のアパートへ遊びに来る様誘ったのは、むしろ当然の流れとしてお互いが認識していた。  言いたいこと。  聞きたいこと。  分け合いたい気持ちは、きっと抱えきれないほどあったけれど。  帆高は陽菜に、ひとつだけ、聞いて欲しいことがあった。
 帆高の目が改札の側を一通り見回す中。ふと視界の端で、風景に混ざっていない「誰か」が引っ掛かる。その場所をもう一度見やれば、案内板が設置されている柱の前で、探し人の陽菜がぽつりと立っていた。  内心、おや? と首を傾げつつ、彼女に届くだけの声で名前を呼ぶ。 「陽菜さん」 「あ、帆高!」  こちらに気付いた陽菜が小走りで駆け寄ってくる。 「今日はお世話になります」 「っていっても、うち引っ越したばっかだから何にもないんだよなあ……あんまりお構いできませんよ」 「大丈夫、そういう期待は帆高にしてないから」 「えっ」  これからほぼ丸一日を一緒に過ごすというのに、何だかあんまりな言い様な気がする。少々憮然としながらも、帆高は改めて陽菜の隣や背中を視線だけで覗き込む。 「あれ、センパイは?」 「今回はパス、ってさ。いっちょ前に遠慮してんの、あの子」  中学生ってむずかしいよねー、なんていたずら気に陽菜がぼやく。帆高の恋愛面におけるセンパイ・凪も、実の姉に掛かれば途端におませな子供へ早変わりらしい。  ふいに帆高の中で二年半前の姉弟が蘇る。  あの頃のふたりは、正しく世界にふたりぼっちで。たったひとりの味方であるお互いを傷つけない様に。離されない様に。不満も嘆きも飲み込みながら、世間の片隅で小さい肩身をひっそりと寄せ合っていたのだと、今では思う。  そんな姉弟も、この年月で随分と軽口を叩き合える様になったらしい。帆高は内心でそっと安堵する。 「じゃあ、今回はセンパイの好意に甘えましょうか」 「うん」  陽菜が持っていた紙袋を、さり気なく浚う。結構な重量感だ。気付いた彼女のお礼を受け取りながら、帆高と陽菜は出口へと歩き出す。 「まあとは言いつつ、俺も凪に会いたいし。次は三人で遊ぼうか」 「だね……そうだ、カラオケ行こうよ。夏美さんたちも誘ってさっ」 「いいね!」  せっかくのお出掛け日和である霧雨の中を、帆高と陽菜が向かうのは彼の住まいだ。レンガ状に組まれたコンクリートの上を、色とりどりのレインコートや雨傘が彩っている。帆高の大学周りは浸水の影響が殆ど無かったとはいえ、道路を我が物顔で往来していた車も今ではすっかり見掛けなくなってしまって久しい。  緩やかに、けれど確実に、東京は変化しているのだと実感するのはこんな時だ。  ふいに、少し前を歩いていた陽菜が振り返る。 「ねえ、ほだ……」 「か」の音に合わせて、彼女の顔がピントを合わせる様に帆高を見上げる。「ん?」「えっと、言いたかったことは違うんだけど」そう前措いて、陽菜はしみじみと呟いた。 「おっきくなったね、帆高」 「男は高校でも背が伸びるってホントだったよ。てっきり都市伝説だと思ってたのに」 「なぁに、それ」  あんまりにも陽菜が優しく笑うものだから、帆高の視線がつい彼女の頭からつま先までをうろうろと浚う。「陽菜さんは……」 「……どこ見てんのよっ?」 「どこも見てねえよっ!」  すれ違った主婦らしき女性の肩が竦み上がったので、慌ててふたりして謝罪混じりの会釈をする。「……すみません」  ふう、なんて一息吐いたタイミングで、思わずお互いの目を見つめ合う。先に吹き出したのは陽菜だった。 「……もう。何回目? このやりとり」 「さあ? でもなんか、今後も増える予感しかしないなあ」 「……帆高、やっぱイヤラシイ」 「さーせん」  ばちゃりと陽菜が勢いよく水たまりに足を突っ込んで、飛び跳ねる水しぶきを帆高が大げさに避けつつ。少し前を歩きだした彼女の後ろを、離れない程度に付いて行き。  やがてゆっくりとまた歩幅が揃って。帆高と陽菜は、雨粒を掻き分けて進んでいく。  駅から結構な距離があったはずなのに。  陽菜と歩く自宅までの道は、びっくりする程短かった。
「そうだ、改めまして、お気遣いありがとうございます」 「いえいえ、つまらないものですが」  前回とは逆の立ち位置で、帆高と陽菜は会釈し合う。  陽菜をとりあえず座布団にエスコートしたのち、帆高は紙袋の中を覗き込んだ。 「あ、鳥ラーメン」 「一人暮らしならインスタント系の方がいいかなと思って。あえて帆高が持ってきてくれたのと一緒にしてみたんだけど……」 「ありがとう……すっげー助かります」  気まずそうに苦笑する陽菜に、けれど帆高は万感の思いを込めて頭を下げた。これからバイト二つの掛け持ちが決まっている身としては、この上なく有り難い救援物資である。 「おお……レトルトカレーにパックごはん、ポテチまで」どうりで紙袋が重たかったわけだ。至れり尽くせりとはこのことか。 「陽菜さん……もしかして女神?」 「炭水化物の神様とかやだよ」  確かにラインナップが何だかガッツリしている。男子的にはアリなので問題は無い。  部屋のあちこちをふわふわと見回したのち。結局落ち着かなくなったらしい陽菜が、調理器具を取り出す帆高の横に並び立つ。 「そういえば……何であの時手土産が鳥ラーメンだったの? ポテチはともかくとして」 「えっとそれは……若気の至りというか」  馬鹿正直に「知恵袋で聞きました」とは、さすがにもう言えない。 「あ、これもしかして」 「うん、陽菜さんのマネ」  運よく陽菜の視線が流し台の上に鎮座するビン仕様の家庭菜園に止まってくれたので、帆高はほっとしつつそちらへ水を向けた。  以前陽菜の家で見掛けて以来、帆高も水耕栽培を活用させてもらっている。特にこの三年は雨続きで野菜も高騰していたので、手軽に節約出来るこの手法は大変有り難かった。  ──雨。そのきっかけに気付く心を、今だけは無視して。 「ありがとう、陽菜さん」 「お役に立てて何よりです」  心底嬉しそうに笑った陽菜が、途端に何かを思い付いた様に手を合わせる。「そうだ」 「ねえ、一緒に作ってもいい?」 「えっ、いいよいいよ、陽菜さんはゆっくりしてて!」  帆高は慌てて言い募るが、「お借りしまーす」と陽菜は流れる様な当たり前さで手を洗っていた。流し台だけに。 「ふたりで作った方が早いし、それにきっと楽しいよ」  ぱっぱと水を散らす陽菜の笑顔が、ずいと帆高の鼻先に寄せられる。しばらくうろうろと彼女の顔と冷蔵庫で視線を彷徨わせたのち、帆高は潔く白旗を挙げた。 「……じゃあ、お言葉に甘えまして。よろしくお願いします」 「こちらこそ、よろしくお願いします。帆高シェフ」 「シェフって何」一枚しか無いエプロンを陽菜に掛けてやりながら、ふと思いつく。 「そうだ。陽菜さんに教えて欲しい料理があるんだ」 「何?」 「ポテチチャーハン。あれ、俺の人生でいちばんおいしかったものパート2だから」 「それ、一番じゃないじゃん」  背中で結ばれていくちょうちょ結びを見やりながら、陽菜が首を小さく傾げる。 「パート1は何なの?」 「ハンバーガー。ビッグなやつ」  たっぷり一瞬の間を置いて。陽菜のか細い声が柔らかく帆高の耳朶をたたく。 「そっか」
 ふたりであーだこーだと言い合いながら作ったポテチチャーハン・改をメインとした昼食を綺麗に平らげ、簡単に洗い物を済ませ、腰を落ち着けたのち。  どちらからともなく、もしくは示し合わせた様に、帆高と陽菜はこれまでのことを話し始めた。  お互いに聞きたいこと、聞いて欲しいことは山ほどあった。  折り畳み式のローテーブルに置かれた麦茶がすっかり温くなってしまったことにも気付かないまま、話題は彼らの間で坂道を行くボールの様にあちこちへ飛び跳ね、転がっていく。 「ジャジャーン! 今回のデザートはなんとお菓子屋さんで買ったケーキです!」「わー、すごい! リ��チ! 帆高太っ腹!」なんて���り取りも合間に挟みながら、会えなかった──会わなかった時間を少しでも埋めたくて、帆高も陽菜もただひたすらに喋り続けていく。  追い立てられる様に。  重ねて。  重ねて。  ふいに、会話が途切れた瞬間。  まるでその時を待っていたかの様に、雨音が帆高と陽菜の耳に鋭く突き刺さる。  今日は霧雨で、普段よりもずっと柔らかく優しい音のはずなのに。その冷めた響きにこそ、打ちのめされて。不安を、曝け出されて。  窓を叩く、自分たちが選んだ世界に急き立てられるまま。  帆高は決心して、ローテーブルの上に乗せられた陽菜の手に、そっと自分の手を重ねた。 「……陽菜さん」 「……なあに?」 「聞いて欲しいことがあるんだ」  加速する鼓動に比例して、陽菜と触れ合っているのに帆高の手がどんどん冷たくなる。緊張が空気の中に浸透し出したのを彼女も悟った様だった。陽菜のつるりとした眉間に薄く筋が走る。それを認めて、少しだけ怖気つきながら。帆高はこわごわと口を開いた。 「会いたかった」  みっともなく声が掠れる。 「でも、それと同じくらい、会うのが怖かった」 「……」 「これから、ずっと……ずっと一緒にいたかった。だから会って、そこで終わりにならない様な言葉を……この三年間、考え続けてた」  頭を垂れた帆高の喉から、ワントーン低い音が陽菜との間で重く、響く。それは擦り切れる程、この二年半忘れることなく引きずり続けていた帆高と陽菜、『ふたり』の命題だ。  あの夏、帆高が犯した諸々の行動に真っ当な人間程眉を顰めた。そうだろう。彼自身、そういった人々の感性は至極当たり前で常識的だと納得している。自分が選んだものが何だったのか。その結果どうなったのか。後悔することは一度だってなかったけれど、考え、悩むことはあった。  だからこそ、帆高は周囲に対し自覚して「真っ当に」振る舞った。  あのひととの再会を、誰にも邪魔などされない様に。息をひそめて。ただ穏やかさだけを身にまとって。勤勉であれ。真面目であれ。「彼はもう大丈夫だ」とまともな世間から認められる自分に。選択した世界に、少しでも報いることが出来る自分に。  何よりも、誰よりも、  彼女に、胸を張って会える自分になりたかった。  そうやって有様を整えつつ、けれど再会に於ける一番の懸念は別にあった。  会わない、と決めたのはきっとお互いだ。  会えなかった時間の長さではなく、もう一度会った瞬間にすべてが決まるのだと。帆高も陽菜も判っていた。知らないふりなど出来ない程、予感していた。自覚があった。  世界の秘密を共有し、『この世界』を選んだ共犯者として。  ──帆高はさ、この雨が止んでほしいって思う?  ──うん  すれ違いは、もうあの一瞬でたくさんだった。  だから帆高は、この三年間必死に考え続けた。考え続けなければならなかった。彼女とずっと一緒にいる為に出来る、最初の一歩を。  プロポーズだってきっと目じゃない、とっておきの言葉を。 「……帆高のくせに考え過ぎ」  のろのろと面を上げれば、陽菜はただまっすぐにまっすぐに、帆高を見ていた。  随分後になって、ぽつりと陽菜が帆高にこぼしたことがある。「僕たちは、大丈夫だ」。その一言で、彼女は潔く心の在りかが定まったのだと。  ──このひととなら、生きていける。一緒に、生きてくれるって。  ──だから──
「帆高がいてくれるんでしょ。ずっと」  思わず首肯して。  もう一度、自分の意志を込めて目の前の彼女に頷く。  あの頃から変わらない陽菜への引力に、帆高は出会ってから一度だって逆らったことは無い。  今までも。  これからだって。  二度と離れ離れになんてならない様に。陽菜の手を、強く強く、包み込む。すると何を思ったのか、帆高の手のひらの下で彼女の手が跳ね上がる様にもがいた。その力に流されるまま後ろに倒れ込む。ひやり。フローリングの冷たさがうなじをくすぐる。  ぽかんと天井を見上げていると、陽菜も重力に従う様に体を横たえ、お互いの手のひらを重ね合わせながら、ゆっくりと帆高の指を締めつけた。  何てことない力だ。痛くもないし、弱くもない。けれど、細やかな神経がこすれ合うことで、陽菜のまるで赤ん坊の様な一途さ、無垢さが伝わって、帆高の心臓もまた緩やかに引き絞られる。  ──いとおしい、とはこの感覚なのだと、せつなに悟って。  きっと、明日も止まない雨が降り積もる世界の中。  今にもまた泣き出しそうな帆高が映る瞳を細めて。晴れ間をのぞかせた青空の様に、陽菜がわらう。 「だったら、大丈夫に決まってる」
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pontebocca · 5 years
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きょうも、たくさんの「おいしかったです」を頂いて、鼻の下を伸ばし気味のシェフです。チャオ〜〜 ・ 特別うれしかったのは、 「おいしかったです」の後に、 「ミ・ピアーチェ(Mi piace)」 と、言ってくれたお客様。 イタリア語で「好き」という意味。 そんなこたぁ初めて言われたけん、 一瞬固まりましたがなんとか意味を 思い出し、grazie!とお礼しました。 ・ おいしいの中にはきっと好きも 含まれているのだとおもいますが、 こうして好きも伝えてもらえると ものすごくうれしいですね。 自分も真似しようとおもったよ。 ぜひみなさんも積極的に 好きを伝えてくださいね。 ・ #italian #trattoria #pontebocca #イタリアン #ポンテボッカ #tokyo #yutenji #祐天寺 #mipiace #おいしい #好き 天草のものをたくさん使っているので、あなたを天草四郎さんと呼びますねと言われました。じゃあそれで、と答えたら笑っておられたw (トラットリア ポンテボッカ) https://www.instagram.com/p/B7u6FGjBhMo/?igshid=1pinwjsyc7h9s
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oivgbqiqfz358 · 5 years
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--深海人形-- 死後の娯楽
…御前も思うよな?!「人類滅べ!」って!(※前書き)
※Twitterの自アカウントより引用(※…一部、修正、若しくは、改変)。
[[MORE]]
…『青鯖みたいな』なぞより不愉快な顔しやがって……(※タイツマンへ)。
…藤木遊作も、天人天女パロで天人の一人として、背広組してるぞ(※…制服組、特に、無言の不審者とは非常に仲が悪い 菅野大尉とは出来るだけ、絶対に会いたくないくらいに距離を置く ※シェーンコップとキャゼルヌみたいな関係では決して無い ←※例え)。
(※生前は)タイツマン「…酒の味に注文をつける余裕がある内は、まだ大丈夫のようだな(※真顔)。』 ※…元ネタ:銀英伝(※…ヤン提督が査問会笑で居ないのに、イゼルローン要塞に帝国艦隊が攻めて来たぞ!…の所で、シェーンコップがコーヒーについて注文付ける奴に対する、いつものキャゼルヌ並反応)。
…遊作が居なくなった後、健康とか顧みず飲酒と言う堕落趣味を再開する草薙さん(※…煙草は、飲食業なので無理です)。
…と言うか、…酒はやって無いしな、あのホットドッグ屋(※……居酒屋でも無ぇし……)。
ホワイティ「…ウェイン同志〜!(※儲かりまっか〜?!)」ウェイン兄弟「…ホワイティ同志〜!!(※ボチボチでんな!)」
…遊作が、まだ、未成年の子だったから(※…一人の時は弟が長い間アレだし ガンガン煽ってたけど)、飲酒を一旦長期自粛してた草薙さん(※ーー対酒当歌 人生幾何 譬如朝露 去日苦多 〜〜中略〜〜 唯有杜康 ーー短歌行 作曹操孟徳)。
郭嘉奉孝「…アンチ乙!…短歌行は、孟徳が僕の為に作った詩だから!(※断言)」 方正孝直「…へー、そうなんだー(棒 ※…以上、天人天女パロネタ)。」
…了見くんの席ww空いてますよww(※…死んだら、天人天女パロで天人として採用 曹父子並予約 ※当然、上司は菅野大尉で…… ※御国次元と言う名の地獄)
…えっ、穂村?ww御前の席ねーからww(←※氏ね)
…人様の作品を、まるで、『気さくな友人同士での挨拶』のように上から目線で見下して来る奴に、最初から良い物語なぞ描けぬと思うがね(※…実際ワイが描けない)。
…試しに、遊戯王ARC-V、VRAINSを、ただ、「…自分が気に食わない(上から目線 」と言う理由で、偉そうに見下す物描きの作品でも読んでみろ。すぐに分かる(※…プロフェッショナルを、簡単に子供染みた理由で否定するのがアマチュアである)。
…もう、あそこ迄、下品で全く品の無い女の子と其んな服装を絵師運営一丸となって考え付いたり、絵と二次元娘にして世に送り出す才能なら、確かに、抜きん出てるよね、アバズレーン(※…これを褒めて居る事にしたければ、そうすれば良い)。
…ブルーエンジェルもブルーガールもブルーメイデンも品があるよね(アレのKAN-SENと比べて)。 …そうじゃ無ければ、兄貴とスペクターが……いや、あの人達は何があっても『財前葵が財前葵である限り』逃げないよな。愛が大和型の排水量より重い漢達である(※感動出来る結論)。
…こんな人達にも勝るとも劣らないように、私も、例のウェイン兄弟に対して、紀伊型並排水量の愛を捧げ続けた���と思います(※…因みに、紀伊型戦艦は起工する前に建造自体が無しになったので、実際の排水量:0tです)。
…良く考えたら(※…良く考えなくても)、一人の人間がどんなに変わり果てようとも、それでも、其の人を、変わらず、愛し続けるのは凄いぞ(※…ワイには、如何足掻いても無理)。
…文ストのキャラは皆、服装も中身もオシャレで上品だから、品性について考える上で参考になる(※…だが、アルの方はそうでも無い)。
…文詐欺は、『草野心平と言う名の人虎君(※…美少女じゃないけど、中国でも人気がある銀髪)擬き(※可也見た目が似てる)』が居る時点で…(※死)、
…他にも、文スト中也の帽子をそっくりそのまま同姓同名の別人に持って来たりとかな、文詐欺は凄ぇよ(褒めてる)。
〜節分〜 ウェイン兄弟「…鬼は外!鬼は外!鬼は外ォ!(無☆職☆王と互いに豆を弾幕の如く投げ付ける 」無☆職☆王「…鬼は外!鬼は外!鬼は外ォ!(…おい、福は内も言えよ)」 ※…其の様は、まるで敵機を撃墜せんとす対空火砲のようだと目撃者(←※…具体的に誰?)。
…天人天女の服って具体的な資料無ぇ〜〜(※…一応、ちゃんと調べるようにしとるで)。
…最近の深海人形、塾ネタをまとめた記事が人気らしいね。これ絶対ストーカー型閲覧者が居るだろ、キモッ!(※エゴサして来た)
…塾の虎丸?莫迦だから嫌い(※とっととくたばれ池沼野郎 しのぶさんのような満面の笑みで)
…塾の話してあげたのに……喜ば無いんですか?(※しのぶさん並上目遣い)
こいつ様「…あ、やっと死んでくださいました?良かった。(しのぶさん並)」>元嫁推しへ
…高次異層次元の音色、聞いた事ある?(※…そうだよ、高次の異層次元はすぐ君の隣にある)
…格ゲー視聴勢おばさんやらて占い師とは名ばかりの詐欺師で其の上偽善者おばさんみたいなおばさんには、ワイならないゾ〜!(※魂の後生にかけた誓い)
…まだ生きて居る穂村と死後の遊作(※天人天女パロ外伝作)。
…高次元&高密度弾幕(マニアック)シューティング!(※作ってみたい)。
…私は 『 #毒親デスノート 』しよ(※下衆顔)
…皆、死ねば良いし、殺されれば良いし、いざとなったら殺し合えば良い。拙作での鉄則です(※…拙作で嫁推しは、此の法則で動いています)。
…毒親を合法的に殺す為の研究(※たーのーしーいー)。
…『攻めをさりげなくブッ殺す食材をさりげなく食わせるBL(※愛情100%)』とか流行ってる筈なのに(※…何故、流行んないんだろうね?)。
… #旦那デスノート の本家サイトが酷過ぎて寧ろ爆笑(※…此のサイトのおばさん達、ガチの犯罪者が多いね笑)。
…信シェフ一読以来、『ナツメグを大量に食わす奴は最低(※…実際、作中でしてたのは毒殺と言うかガチの暗殺)』って学んだけど、こうも旦那を合法的に殺そうとするおばさん達が活用しとるとは……(※…因みに親も人間である限り殺せるよ!有難いね!!)。
…ストロングZEROさん(…と其れの製造元のサン⚪︎リーさんと其の類似品の他製造元 へ、父親と社会の屑共を効率的に殺してくれてありがとう…………(※←某デュエリスト蟹に見せたいつぶやき)。
…結局、「…御前それ、大東亜戦争で散った英霊達に同じ事言えんの?(※銃殺刑不可避 」案件(※莫迦は死んだ方が良い)があった(※報告)、
…逆に、最低過ぎて、心の中でwwって笑った(※…分かり易い、旦那より女の方が最低なパターン)。 ttps://danna-shine.com/note-103348
…福岡では、度々大虐殺が起こるから仕方無い(笑)
…何れだけ、嫁推しが死のうが、不幸になろうが、「…イエス・キリストを信じない輩なんて、如何死のうが関係無いし、どうでも良い(※イエス様を信じないし、弱いからそうなるのよ ※高嶺響並感)。……で、一蹴出来るから、…じゃけん、皆様で、イエス様を信じましょうね〜〜(※可也無理矢理な宣教)、
…だけど、キリストを信じてる嫁推しが死んだ場合も「…同胞よ、貴方が此処で死のうとも、主なる神は天の御国で貴方を祝福して下さるであろう(※黙祷)。」で終わるから、…強い!!(※確信)
…他には、靖国神社、阿弥陀様…と言う、別の『救済処置』が設けられて居る場合がある(※…本当に救済されるかは…?と教会は言う)。
…旦那を殺したい奥さんに、適当に自動小銃(※…なるべく軽くて反動が無い扱い易いの)を持たせて、「…殺して良いんだよ(※好きに殺して見て御覧)」…って言ったら、如何出るかが見たい(※…それから、さりげなく奥ゆかしく?背後から撃って殺すタイプも出て来るやろうしな)。
…多少以上の戦争、銃器耐性とグロ耐性付いたの、『時雨沢作品の御蔭(※…矢張り一番はキノの旅…)』…って言う、オタク(※割と居る)。
Q.脹相「…勝つには、如何すれば良い?(※…尚、此の場合、戦術的勝利では無く、戦略的なものとす)」A,…先ず、呪術高専内で殺し合いをさせれば良い(※同士撃ち誘発作戦が有効 ※……そして、補給は全て敵地での掠奪で賄うべし ※←重要)
…遊戯王ネタを投稿するよりも毒親デスノートネタを投稿するの方が楽しい(←※死ねこいつ様)。
…一般的に考えて、『遊戯王ネタ』より、『毒親デスノートネタ』の方が人気あるだろうし、需要あるだろうな……(※遠目)。
…SEVENS始まる前に死んでたらすまんな…御悔やみ申し上げてくれ……(※…そうじゃ無くても、普通に、御悔やみ申し上げてくれ…… …人としての礼儀でもあるから…)。
キャノンダンサーの彼奴「…呼んだ?(※…矢鱈、マニアックなネタ ※麒麟が来た)」
…狄の皆さんに、…又、会いたいですよね?(※…それから、会ってみたい人も居るよね?)
…露出が多かったり、扇情的過ぎたりする服は、基本、堪らなく耐えられ無い程恥ずかしくて着ない性格の子にさ、そう言うのを、敢えて着て貰いたい(※…だが、それを人は嫌がらせと言うのだ…… ※当たり前)……、
…で、…上(↑)の呟きで、ワイが想定してんのは、蟹とかタイツマンみたいな、苦痛慣れはしてるけど、快楽慣れはして無いような青年だけどな…!!(※爆弾投下)
…愛国の為に戦って居るけど、もうしんどいから御国の為に自殺するね(※大義語)。
…もう神は何処にも居ない。だが神居(カムイ)は居る(※カムイの末裔・キャッチコピー)。
…若くして死ぬ、喜びを(※鬼舞辻無余涅槃・キャッチコピー)。
……榊遊余涅槃(※神仏習合の趣)。
…100日後に死ぬ筈の鰐を、殺して鰐肉料理にして、其の皮をバックか財布にでもしてやる(※…此の私がして良いですか?)。
…100日後に死ぬ筈の鰐…、皆であの鰐を食肉にして、鰐肉料理を食べようね……(※…そして、皮を鰐皮製品にしてメルカ⚪︎でハンドメイド商品にして売りさばこうね…)、…鰐君…、…これで死に怯える事無く、安らかに(※全然安らかなどでは無い)あの世に行けて良かったね…(※最低のヒト科で並感)。
…札幌では、鰐肉の焼肉が出来る所があるらしい…(※付け焼き刃の知識)。
…鰐肉食べたい、鰐皮欲しい、私のようなヒト科の野蛮生物共が、徒党を組んででも、鰐を狩ろうとすると、『11匹の猫』ならぬ『nm匹の人類』になる(※…矢張り、見るからに、蛮族過ぎた…)、
…『鰐肉を食いたい』より『狩りがしたい(…そして、戦利品として皮が欲しい)』みたいな蛮族(※…確かに、ヒトと言うより鬼かもしれ無い)
…人類滅ぶべし、慈悲は要らない(※…以上の結論)。
Q.…でも、どうせ、ヒト科は地球史上最低最悪の生き物!地球をジワジワ悪魔のように殺す癌細胞!人類廃滅!人類滅ぶべし、慈悲は無い(忍殺)したいだけだろ?(※人間の取るに足りない屑から死んで行けば良い ※満面笑)A,…そうだよ(※迫真)。
…どうせ、100日後に死ぬ定めなのなら…今、此処で、殺してやるのが、せめてもの、慈悲…(※岩柱並)、
…動物、大好き(※…食べると美味しいから ※野蛮人並の理論)。
…世界!蛮族発見!(※…今も尚、キリが無い)
旧約は残酷だが偉大な書物であり、新約は慈悲深い偉大な御言葉である。
…キリストは人身御供を許さない。…だが、ユダヤ人にとっての神は違う。…だから、『燔祭(※ホロコースト 』と言う言葉がある(※タナハと新約の間)。
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pastasaikou1984 · 5 years
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先代の、レジェンドと呼ばれる遠藤秀明シェフから何代にも渡り引き継がれ、バトンを渡しあって本日まで走ってきたペペロッソ 1999年には、イタリア大統領から、外国における正統派イタリアンレストランの認定も授与された事もある歴史あるイタリア料理店です 私がバトンを受け取ったのは2015年6月の事 ご縁を得て三軒茶屋の地にやって参りました 三軒茶屋は、それまで駅前にあるバカでかいビッグエコーに一度行った事がある程度の未開の地でした 私の就任と同時に、スタッフを一新しスタートを切ったペペロッソ 今ではオープニングのスタッフはそれぞれの道を歩み出し、1人も残っていませんが、あの時を過ごした彼らは心友だと思っています そのうちの1人は、奥さんになりました 初年度の半年は、全くお客様が来ず悪戦苦闘、試行錯誤を繰り返す毎日 三軒茶屋の洗礼を受けました ビラも巻きました 呼び込みもしました 朝まで営業しました やれる事は全てやりました 泥臭くても一点が欲しかった 1年が過ぎた頃から、日々奮闘する我々の想いを共感してくださったお客様方のお力でようやくお店を維持できる兆しが見えてきました それでもトラブルは絶えません 飲食店の抱える最大の悩みであり、永遠のテーマでもあるスタッフ問題 30歳にて、駆け出しのシェフであった私は未熟でありました 35歳になろうとしている今でも未熟です シェフとは何なのか どうあるべきか そもそもどうあるべきかなんてあるのか 未だに明確な答えはわかりません 【料理人は一生勉強】 かつて師匠に言われた言葉をふと思い出しました 模索し続けた今日までの5年の日々 経営者とはなんなのか プレイヤーとはなんなのか 経営者であり、プレイヤーでもあることはなんなのか 答えは毎日探しています 【料理人は一生勉強=答え探しの毎日】 答えを毎日探す事は、毎日勉強すること 毎日違った考えを持つこと 不安が進化の原動力であること 歴史上の偉人達も同じような事を口にしている 昔の偉人達の言葉と、今の時代にもある変わらない感覚に直面した時に、嬉しさと同時に悲しさもくる そこまで近づけた嬉しさと、超えられていない悔しさ 今までに無いものを生み出せる事が当たり前に求められている昨今 刺激で満たされる感覚は、一過性であると考えている 持続可能性とは 本当の意味での進化とは 人類が進化しているのは、【技術】が先行しているように感じる かつての偉人達の言葉を上回ってこそ、そこに本質の進化があるんじゃないだろうか 現存する格言を上回る新しい"言葉"を生む行動こそが、物事の本質の到達点なんではないだろうか 到達点は1つではない イタリア郷土料理を知れば知るほど、イタリアの各地の格言にぶつかる そこをどう革新的な運動にしていくかが、伝統の存在する理由の1つだと思う 伝統とは、同じ輪廻で回り、その時に生きた人と今の時代に生きる人とを繋ぐ共通の価値観である 解釈とは、個の物事の到達点の表現の技法である 廃れるとは、解釈の質である 伝統を再解釈するとは、新しい格言を生み出すことに他ならない ここまでが、今の私の到達点です イタリア郷土料理を生業とする理由は人それぞれ 私はイタリア郷土料理を通して【言葉】を表現し続けます いつか格言となる日がくるまで 池ノ上のオープン前に、 パスタの世界大会発信のためにパリ凱旋 イタリアアドリア海側縦断をして参ります たくさんの新しい"言葉"を聞いてきます 11月、皆さんに池ノ上でお会いできる事を楽しみにしています 三軒茶屋ペペロッソ 総数約70万人の来客を支えた 34年間本当にお疲れ様でした 支えてくれたスタッフの皆様 本当にありがとうございました 私は、先代と、皆で築き上げた【ペペロッソ】を背をっていきます #ペペロッソ (ペペロッソ 三軒茶屋 イタリアン cucina italiana) https://www.instagram.com/p/B11xoe1l5bs/?igshid=1956iwe0db6rv
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thedevilsteardrop · 8 years
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scherzo
高級会員制ホテルでその青年は浮いていた。 アラビア系でもたぶんアーリア系でも無い…おそらくアジア系。肌は白いのに、ツクリモノのような質感の黒い髪と黒い目。華やかさよりも影のある、ミステリアスな魅力が印象的で、ひとりだけ頭の先からつま先まで黒っぽいから目を引かれた。 外気温は40度超だが、このリゾート地じゃ建物の中はガンガンに冷房が効いていてクソ程寒い。彼はこの場にはラフ過ぎるダルいカーディガンを無造作に羽織って、前開きの部分を両手に掴み胸元でたぐり寄せている。 腹筋を使って快活に笑う様子や、表情の作り方が影響する顔立ちの雰囲気から、ヨーロッパ暮らしが長そうだなぁと思った。 しかし不意に彼はその口元を、つっと片手で覆い隠したのだ。 歯を見せて笑うのを恥じらう、東洋人に見られる仕草だというやつ。あれが彼等の神秘性に含みを持たせる。妖しい、魔女のような…けれどその、青年の口元を覆った片手は 薄く、細く しなやかで、繊細な硝子細工を思わせる、とても美しい手だった。きっと舞降りた天使が差し伸べる救いの手は、ああいう姿をしている。 従業員と話しながら忙し気に歩きさって行った後ろ姿をつい目で追いかけてしまった。
青年との再会は同日の夜だった。まさか探すまでも無く会えるとは。 ホテル内のカフェ/バーが楽器の貸し出しなんかもやっていると聞いて、脚を運んだら、そこに居た。 ダルいカーディガン姿はなりをひそめて、体型に合った細身のボトムス、黒いシャツ。上着は脱いで襟元の開いたベストを着ている。相変わらずの全身黒ずくめだがシャツの袖を留めている銀色のカフスとアームバンドで夜会らしさが加わっていた。長めの前髪はそのままに、サイドの髪だけを横に撫で付け、黒いひとみは目元だけがちらちらと見え隠れする。 カウンターで酒を煽っているところからして、一応成人しているようだ。まだ夜に切り替わったばかりの時間帯だからか、客は彼しか居ない…と思ったら。 「ようこそ」 彼は酒を置いて立ち上がり、なんと私に手を差し伸べてきた。 あの美しい手を。 はっと凝視していたその手を取り、顔を上げれば、にこやかで慎ましい笑顔が待っていた。 「怜音です、本日の演奏を担当いたします。はじめまして」 「…アリソン・リウだ、よろしく。演奏だって?」 「ええ。あれを」 彼の仕草は勢いは無いのに大きく見える。孤を描いてホールの奥を示す揃えられた指先は、いとも簡単に視線を誘導する。 そこには一台のピアノ。 彼は、客では、無いらしい。 「貴方はピアニスト?」 「いいえ。バーのスタッフです。ホテル従業員ですよ」 「…」 カウンターで先程このレオンという青年に酒を出していた、もう一人のスタッフを盗み見る。 少々焦りを浮かべた表情。 こちらは私のことを知っているのか。まぁこんな、楽器を貸し出すカフェなどで働いていればそうだろう。ふむ、青年はこの店の経営におけるメインスタッフでは無い、と。けれど演奏もするし、楽器に触る…この、美しい手で。 「もしかして、楽器の管理はレオンがしている?」 「イェス。こちらこそもしかして、貴方はお食事やお酒より…楽器が目当て?」 「イェスだ。けれど食事も酒もいただくよ、楽器の前に」 「デザートにはセレナーデだね」 また、はははっと快活に声を上げて笑う。握りしめたままの手と逆の手が、口元へ添えられる。デザートにはセレナーデを…知っているということは、私のことに気付いているのではないか?と思ったが、どうやら彼が知っているのはその作品の方だけらしい。誰が編曲し演奏したかまでは興味が無いのか。本人に音楽家のつもりがなければこんなものか…。 「じゃあ、お客様のためにディナータイムの演奏を。貸し切りだから特等席だよ」 早くもくだけた口調になってきたレオンは、私の手を引いて鍵盤がよく見える席へ誘導した。 無邪気というか、同ホテル内とは思えないほど、他のレストランやトラットリアとこの店とでかなり空気が違うようだ。それともレオンだけがそうなのだろうか。一流、とかマナー、とかいうのは到底意識に無さそうな振る舞いは、従業員にしては不自然ではないだろうか。 現役ピアニストの顔を知らないことといい、1つの楽器を極めてる風にも見えないし、あまり演奏に期待はできないかな… 「ミスター、食前酒は?」 「シャンパンを」 「あ、フレッド俺にも、キールちょうだい」 オーダーを伺にきたバーテンダーに気安く呼びかけ、私とは違う酒を頼む。この態度。全く奔放なものだ。適当な食事を注文し終えると、彼は私の斜向かいの椅子へ腰掛けた。 「ミスター・リウは当ホテルのご利用は初めて?ここには来たことがないよね」 「初めてだよ。…アリー、で、いい」 「そう。アリーはどうしてここへ?」 「…演奏会があるんだ。けれど気乗りがしなくて、逃げてきた」 「ヒュー!逃避行?スリリングだね、面白い」 「そうかい」 演奏会、という言葉を出しても、食いつきもしない。英気を養うために劇場へ出掛けたり、そこで収録された音を聴いたりしないんだろうか?レオンはどちらかというと、逃げてきた、というワードにテンションを上げている気がする。 さっきのスタッフが酒を持ってくると、さっとレオンが手にとってこちらへ差出す。受け取って軽くかかげた。 「何に乾杯しよう」 「それは勿論、スリリングな逃避行の出逢いに乾杯」 リムを触れ合わせないようグラスをずらして相手に近付ける。細くシャープな私のグラスと、雫を模した彼のグラス。 あ、と 僅かに口をつけたまま、私は酒を呑む直前で静止した。 赤い蕾の色をたたえたボウルを包み込む白い指。 薄い5枚のガラス細工と丸みのあるグラス、その隙間から唇とカクテルの赤、双眸の黒。 魔女を思わせる精彩、天使のごとく繊細な手、ごくり、酒を呑込む咽は男性のそれ。 …ああクソ、息を詰めてしまっていた。 立ち上がるレオンが背を向けてようやくシャンパンを飲み下す。彼は、注文した食事が運ばれてきて私が食事を始めるまで、ピアノの椅子に座って待った。そうして間もなく、再度立ち上がり、ピアノに片手をついて、一礼する。 「どうぞ今宵の演奏をあなたの楽しみに」
そこからは、呼吸を忘れた。 音が違う。運指が違う。レオンのピアノは、素晴らしい。 聞いたことの無い曲で、見たことも無い弾き方だった。目を閉じ、身体を揺らし、叙情的に奏でられる民族調の曲。穏やかに色褪せた、雲一つない寂し気な青空を遠く舞う鳥が脳裏に浮かぶ。 その鳥の姿が次第にハッキリして 近付いて 空はひらけ雲が流れ落ちてくる、白い翼が羽ばたく、東洋から西洋へ…曲調が変化して。 耳だけでも頭の中を渦巻くほどの素描がなだれ込むのに、加えて美しい両手が鍵盤の上を舞う。視覚的な刺激。 彼自身は目を閉じているのに、その姿は目に焼付けなくては勿体ない…一方的に募る欲求。引込まれ、片恋に落ちる、存在感。 一曲聴き終え、レオンが鍵盤から指を離しても、私はちょっと惚けてしまっていた。全然期待してなかったのに! 「…アリー?食べないの?」 「君ね…」 この演奏を聴かされて暢気に咥内の雑音を立てられる無神経だったら音楽家やっていない。 ああだけど彼は音楽鑑賞客じゃなく飲み食いする客を相手にするホテル従業員だった、曲を聴かせるのがメインイベントと思っていない、なんてこった。 「素敵な演奏だったよ。こんな音の海の中、波を荒立てるような真似ができるわけないだろう。咀嚼音って結構うるさいんだぜ」 「ワオ…お褒めに預り光栄です、だけどここのシェフはとても腕がいいんだ。冷めたら勿体ないよ」 「今の曲はなんという曲なんだい?」 さっきからレオンの返答は欲しい返答からどっかしらズレているので、もうスルーしておいて話したいことを言い出してみる。 彼は一度ぱっちりと重たい瞬きをしてから、少し首を傾げて答えた。 「曲名は無いよ。即興だから」 「……それはそれは…毎回、即興で?」 「そう。俺、楽譜、読めないんだ。あまり既存の曲を聴いたりもしなくて。弾くのが好きなだけだから」 「なるほどね」 即興演奏はいわば、慣れだ。いつもやってる人間ならできるのは自然なことで、私もそうだ。アンコールやオマケのエチュードで披露して、気に入ったら譜面におとすこともある。しかしそれしかやらないというのは初めて会った。道理で私のことなど一切知らないわけだ。 それにしても音が良かったな…曲としての完成度も、形に残しておくべき出来映えだったのに。 「今のをもう一回弾くことはできるかい?」 「ええ?できないよ、ごめんね?うーん。アリーはどんな曲ならおいしいディナーを味わえるの?もっとムーディなやつがいいのかな。既存の曲も少しなら知ってるよ」 「オーケーオーケー、食べるから。いや、もう演奏は食事の後にしないか?一緒にやればいいだろ」 「そう?食事も?」 「食事も、演奏も。デザートなんだろう?」 「あはは、それじゃ、お言葉に甘えて」 一緒に楽しいディナーは好きだよ、と彼は屈託ない笑顔を見せる。 やれやれ、本当にあくまで演奏はBGMのつもりなんだな。演奏者の存在感をぼかすのには君のピアノは向いてないよ、と言ってしまいたい。確かにこれを聴きながら食事なんて最高に贅沢かもしれないが、食べものと音楽で主役が複数居てどっちを追えばいいのか混乱しそうじゃないか。私は探偵と怪盗がどっちも出てくるような話は苦手なタイプなんだ。 今度はレオンの座った場所は俺の真向かいだった。彼が腰掛けたら決まったことかのようにバーテンダーは澄ましてツマミを持ってきて並べる。甘いものもある。食事と同時に甘味だなんて、レオンは甘い味が好きなんだろう。 頬杖をついた片手がまた、彼の口元を覆った。 どうやら口元を手で触るのはレオンのクセらしい。いけないクセだな。 「アリーは何の楽器を?」 「ピアノだよ。でも何でも使うね」 「指揮者?」 「そう見える?」 「立ち姿がかっこいいから。ああでも、あまり詳しく答えないで。お客の詮索はオーナーに叱られるんだ」 この程度で詮索も何もない。このホテルの利用客は表舞台の有名人がほとんどだ。 「…レオンはほんとうにスタッフ?」 「なぁにその質問。そんなこと初めて訊かれた」 「ええ?今までのお客は君のことを気に留めなかったのかい?」 「…そんなことは、無いけれど」 いいよ、俺のことなら、なんでもきいて。 俺は正真正銘、ここのスタッフだよ。でも他の社員と対等じゃ無いんだ。アウトローみたいな感じ。ここに来た客はほとんど友達になる。だからアリーにも、期待、してる。 うっそり微笑む口元に三本、ナッツを摘んだ指が近付いて、ぱくり。 つられて同じものを取ろうとしたらその指先と触れ合った。別の生き物が彼を生かすために食物を運んでいる姿、そう見える。 「レオンは何の楽器を?」 「ピアノだよ。でも何でも使うね」 さっきの私とそっくり同じ返し、だが嘘ではないなとわかる。 「何でも…それはここに置いてある総ての?」 「そうだよ。触って、くちづけるのが一番だから」 「さっき言っていた、知っている既存の曲というやつで、好きなものは?」 「民族調の、管弦楽」 「故郷の曲かい?どこで知ったの?」 「この店に置いてあるから知りあっただけ…俺はたまたま自分の目に留まったものを見ているに過ぎない」 「…セレナーデ、あれはどう?」 「好きだよ。最近、見た、映画の曲」 「自分もああいうモノを作ってみたくはならない?」 「……そうか、あれも誰かが作っているんだものね」 「そこから!?」 思わず笑うどころか、空砲のような塊だけが咽を突いて出た。レオンはここで弾くことに甘んじてるわけですらない、そもそもが人間の表現するところで、それが社会に出るということを知らない、なんだってこんな、こんな…彼、何も考えていないのだ! 「あれを作ったひとを、アリーは知っているの?」 「…セレナーデは私の曲だよ、レオン」 ここにきてようやく、驚きに彼の目が見開かれ、黒く深淵をたたえたその両眼へヴァーミリオンの灯が入った。 「俺、あの曲、好きなんだ」 「そうか。嬉しいよ。…食事は、ここまでにしよう。ピアノをお借りしても?」 「イェス、勿論だよ!どうか今宵の出逢いを貴方の楽しみに」 子供みたいな無邪気さで私をエスコートするレオンの手。 なぜかそれが彼らしい、相応の仕草に思えて、くすぐったい気分になる。
結局夜通し楽器をいじり、一通り吹いて叩いて、シンセサイザを引っぱり出してピアノと連弾し、溢れかえった音と戯れて、この時期極端に早い夜明けの光がレオンのカフスを鋭く射るまで我を忘れてはしゃいでしまった。何曲か彼の即興曲を楽譜にする許可ももらって、その場でメモした。編曲して世に出すことを考えただけで胸が高鳴った。 年甲斐もなく。 誰も他の客が来ないな、と思ったら、私の正体に気付いていたスタッフがレオンも知らない間に店を貸し切ってくれていたそうだ。 「あはは、楽しかったね」 よく笑う。楽器を丁寧に拭いて、ケースにそっと仕舞っていく。 無垢な笑みだ、二つの天使が彼の双翼になって、切り離されたからだを横たえているのだ。 だがその天使は時に魔女へと姿を変える、 こんな風に。 「あとは俺が片付けとくよ。来てくれてありがとう、アリー。いい夜だった」 あっさりと手のひらを返し、突き放す。 「貴方の旅に幸運を」 そんな、そつない別れの言葉。 俺が自分の都合も忘れ、大人としての領分も忘れ、 スタッフが自分の仕事も二の次にして、この空間をレオンに明け渡していた。 ここは彼の音楽で満たされていた。一種のドラッグに漬けられてたんだ。 でも、本人はそんなこと気にもしないのか。 なんなんだよ、本当に。レオン、君は本当に何も考えてないんだね。楽しい夜で、素敵な音楽で客を喜ばせて、ワンナイト、友情ごっこで昂らせて、そして一気に現実へ追い出すのか。 ここまで踏み込んだ人間にとる態度じゃないよ。 丁寧でソツのない挨拶なんて。 「…レオンと私は、客とスタッフに逆戻りなのかい?」 寂しい気持ちを隠そうともせず、わざと思わせぶりに左手を取る。 私はレオンがどう反応するかわからなかった、だからわずかにでも機微を見落とさないようにと思ったのに、つい、その左手を見てしまう。 握った片手が かすかに、震えた。 途端、ぱっと私の手を掴みなおして、レオンはなんと私の手の甲へそっと口付けを落したのだ。 はっきり言おう、レオンはまだ若い美青年だが、私はいいトシしたオジサンである。 まさかまさか、だった。返した手のひらをさらにひっくり返された。 そうして彼は、そっと囁く。 「…俺は、アリーを知ってしまったから。だから、この先アリーの名前で曲を聴いては、貴方の心を思い描くでしょう。俺の音楽は、貴方が、貴方として奏でていた音楽を愛したことがあると、自覚してしまった、その瞬間から、俺だけのモノじゃなくなった」 言いながら、レオンは血の色が透けた赤い唇に指を這わせた。右手の指を。 その手に、指先に、既に心奪われてしまった私は、じっとその右手を見��めて…同時に、その指が撫でた彼の唇を見詰める。 緩んだようにふわりとした唇。さっき私に祝福を授けた赤色。隙だらけだ、柔らかそうで、薄くなく厚くなく、溶けそうな笑みを乗せている。思わず「キスしたら気持ちいいだろうな」と連想してしまい、首を背け視界から振り払う。 彼が周囲に及ぼす影響にここまで無頓着で居られるのは、表舞台に立っていないからだ。 そんなレオンの一面を恨めしく思う。 「…口元を隠すのは好い印象を��えないから、よした方がいいよ」 意趣返しにもならない小言を送ると「気を付けるね、」とまた笑う。 そういえば二人で演奏してる間、よく笑う彼は一度も手で口を覆わなかった。 楽器を持っていたからか?リードから口を離したばかりだったから? 「レイン」 「え?」 「名前。作曲者名には、レインって名前を使って」 そう言われて、はっと思い出した。 私の持っている、レオンの楽譜。これを、演奏会でお披露目する予定だったと。 「アリー。応援してるから」 もしまた疲れてしまったら、一緒にごはんを食べようね。 私は彼を抱き寄せた。友人のハグだった。別れのつもりはない、いつも、同じ神に守られている。 「行ってくるよ、レイン」
そのカフェ/バーにはその後も何度か訪ねたが、レインの姿は見かけなかった。オーナーの娘と結婚して、どこかで穏やかに暮らしてるらしい。 あの夜を新しい記憶で塗り替えるのも勿体なく、その場所は私にとって帰れない故郷の有様となった。それでもなぜかレインを思い出せば音楽は私に降りてきてくれる。 手元には彼の楽譜が残った。まるで忘れ形見のように。
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wwwsayohina · 5 years
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茶渡エイジ「古株姉妹のふたごごはん~クロッサムツルマキ編~」(WWWさよひな)
 紗夜と日菜は『クロッサムツルマキ』の玄関ホールにいた。  二人を先導するのは、待ち合わせ場所の鶯谷駅からここまで案内してくれた黒服の女性だ。 「氷川紗夜様。氷川日菜様。ようこそクロッサムツルマキへ。シェフに先立ちましてご来店の御礼を申し上げます」  黒服は重厚な両開きの木製扉の前で振り返り、うやうやしく一礼した。 「これからクロッサムツルマキでお食事いただく方全員に守っていただくルールを説明いたします。まずこの扉の中へ入られましたら、お料理の感想以外、私語は厳禁でお願いいたします。スマホは使用禁止です。お店の情報やお店に来たことをSNSに上げるのも絶対にやめてください。写真撮影はお料理を含め全てNGです」 「え~、喋っちゃダメなの? 写真もダメなの? おねーちゃんと食べてる写真SNSにアップしたかったのに~」  日菜が不満を漏らす。その手には写真を撮りまくるつもりだったスマホが握られていた。 「申し訳ございませんが、守れない場合クロッサムツルマキではお食事いただけません」 「日菜、わがままを言わないの。真にプロフェッショナルなお店は細かいところまでこだわるものなのよ」 「おねーちゃんが素直に従うなんて珍しいね」 「むしろそのくらい傲慢なルールがなければ拍子抜けだとさえ思っているわ。なぜならここに来るまでのお店が全て、これまでの人生で最も恐ろしいものの片鱗を垣間見るまでに、美味しかったから……全てはそう、美味しいお肉を食べるための助走……!」 「おねーちゃん、よだれ垂れてるよ?」 「垂れていないわ」  紗夜は口元を拭いながら言った。  二人が『クロッサムツルマキ』に来店した経緯は、Pastel*Palettesの特番による。  番組には「一万円でできるかな?」という、宝くじやスクラッチを買って擬似的に視聴者の射幸心を煽る人気企画があるのだが、そこで我らの日菜ちゃんがまさかの三億円を当ててしまったのだ。その当選金は契約上の決まりとして事務所のものになり当面のPastel*Palettesの活動資金になったのだが、特別報酬として日菜には普通なら無理な企画を一つだけ自由にできる権利が与えられた。  彼女の要求は「誕生日におねーちゃんとデート、番組が全面バックアップ」という予想通りの内容だったが、ただの双子姉妹デートでは番組にならない。そこで番組側が一計を案じた。クロッサムツルマキ系列店を一日で制覇するという無謀な特別企画である。  さて賢明な読者には『クロッサムツルマキ』を知らない人はいないと思われるが、言わずもがな、肉料理を愛し肉料理に愛された者のみが通うことを許される肉料理の名店である。  別名『肉のラスボス』。  なぜこの店がこれほど有名なのか。  それは天下の弦巻家グループが経営する飲食店であることもさることながら、完全会員制のこの店に入店を果たすために客がこなさなくてはならないタスクが尋常ではないからだ。  所在地が公開され誰でも入ることができる入門店に通うところからスタートし、そこへ足繁く通い店長と仲良くなり、お墨付きをもらえた者だけが次の中級店に通う資格を得られる。会員になっても店を訪れるには数カ月待ちは当たり前。そこでも何度も店に通って覚悟を試され、店長に認められることでさらに狭き門である上級店へ通うことができる。この店の予約も一年待ちが普通で、日本一予約が取れない焼肉店である。だがこれで終わりではない。  そこからさらに肉料理への愛と知識を認められた者のみが、ようやく業界最高峰の最上位店にたどり着ける。  ヒエラルキーの頂点に君臨する完全会員制の肉料理店。  それが『クロッサムツルマキ』である。  ここで食事ができる名誉に預かれた幸せ者は全国にも数えるほどしかいない。 「それではどうぞお入りください。──お客様、ご来店です!」  黒服のホストめいた慇懃(いんぎん)な動作で扉が開かれる。  クロッサムツルマキの深奥が二人を出迎える。  照明を落とした店内はまるでホテルのロビーのようだ。  古い邸宅を改装した店で、その外観からは想像もつかない高級な雰囲気が広がっている。  決してうるさくなく、なんか良い感じの内装に、なんか良い感じの植物に、なんか良い感じの絵画。全部本物で、全部一流の最高級品だと肌感覚で分かってしまう。  ずいぶんざっくりした描写で恐縮だが、庶民派代表の紗夜さんにはそういう上流階級の調度に興味がないし説明するスキルもないのだ。かわいいね。  とにかく予想以上に凄いレストランに、二人は目を輝かせた。 「おねーちゃん、見て! 滝! 家の中に滝があるよ! すっごーい!」 「ひ、日菜! 私語は厳禁って言われたばかりでしょう!」  紗夜は慌てて言うが、もはやルールを指摘する野暮な黒服はどこにも居なかった。  いるのはそう、一流のシェフと、可愛い双子のお客様だけ。  広い空間の東の一角を囲うようにカウンターテーブルがあり、その奥に銀色に光り輝く厨房が鎮座している。  あまりの物々しさに、あえて紗夜は見ないようにしていたのだが、厨房の中央に五人、ミッシェルを着た謎のシェフがいた。待ち構えていた。  全員、純白のコックスタイルに頭だけミッシェルの被り物で扮装している。  五人それぞれが肉料理のエキスパート。  だが真ん中に立つ一人はその中でも別格だ。  一人だけ服装の雰囲気が異なるミッシェルが、両手を広げ双子の視線をかっさらう。  そして吹き抜けの先まで通る大きな声で、はじまりを告げた。 「ようこそお越しくださいました! これより! お二人を至極の旅へとご招待いたします! 天上へと誘う熟成された肉のフルコースをご堪能ください! わたくし、本日お二人のおもてなしを担当させていただきますクロッサムツルマキのオーナーシェフ、『シェフ・M』と申します! どうぞよろしくお願いいたします!」  早口に言ってシェフ・Mは 「……奥沢さん? じゃないわよねさすがに。瀬田さんかしら?」 「『シェフ・M』です! どうぞお座りください!」  高らかにパンパン! と両手を激しく叩き鳴らす。 「それでは始めましょう! クロッサムツルマキ・シェフクルー、クッキング・スタート!」  シェフ・Mの合図でサポートの四人が厨房に散開する。  目にも留まらぬ速さと言っても過言ではないその行為の名は『調理』。  紗夜には詳しいことは分からないが、素人目にも派手な感じで、なんだかすごいことが起きているのだけは伝わる。 「あはは、面白~いっ。見て、クマがあんなにてきぱき動いてるよ!」 「異様すぎて恐怖すら感じるのだけど」  大胆な包丁さばき、燃え上がるフライパン、見たこともない機械による調理、まさにそれらはシェフのオーケストラ。  あれだけ派手に調理していたら、さぞ絢爛豪華な料理が出てくるに違いない。  高さ百センチ超えの肉盛り丼とか出てくるに違いない。  そう確信していた紗夜と日菜だったが。  二人の前にそっと差し出されたのは〈枡(ます)〉だった。  クロッサムツルマキのロゴが焼印された枡に、飾りの花が一輪挿しされている。  なに、これ?  紗夜は顔面いっぱいに「?」を浮かべてしまいそうになる。  日菜も頬をテーブルにつけるくらい近づけて、枡をためつすがめつしている。  二人の物問い顔をよそに、シェフ・Mは高らかにのたまった。 「まず最初にお召し上がりいただくのは、最高級レバーを丁寧にすり潰し、ガナッシュの代わりにパテを挟んだ『レバーのマカロン』です。完璧にマカロナージュされたレバーの舌触りと柔らかさに、お口の中の神経を集中して、どうか一口で食べきってください」  シェフ・Mには料理パートと解説パートがあるらしい。もちろん他の四人が調理の手を止めることはない。  肝心の食べる部分はと探せば、なるほどたしかに、枡の枠の上にちょこんと一口サイズの茶色いマカロンが載っていた。  マカロンゥ?  私たちは『肉』を食べにきたのだ。  七輪で焼けるタン塩、鉄板で焼かれるフィレステーキ……なのに、マカロンゥ?  紗夜と日菜は訝しみながらもそれぞれマカロンを手に掴んだ。  肉でできたマカロンなんて、生まれて初めて食べる。  でも所詮はマカロンでしょう? お子様の喜ぶお菓子じゃないのかしら?  まあせっかくだし、品定めの意味も込めて食べてあげようじゃないの。  一体、どんな味なのか。そもそもちゃんと美味しいんでしょうね。  一品目の前菜から意識レベル高すぎで味は大したこと無いなんでオチだったら怒るわよ?  疑いを隠しきれないまま、紗夜と日菜は、口の中にマカロンを押し込み、噛んだ。  舌と上歯列がマカロンの形を崩した瞬間、 「ン゛ッ……!」  紗夜の喉の奥から、バンドメンバーには絶対に聞かせられないやばい声がほとばしった。 「ッッッッッマ゛ァァ……!」  続けて日菜も、アイドルの声帯からは絶対に出ないような声を出して感情を爆発させた。  そして、涙目。  本当に涙を浮かべて、日菜は両手をわちゃわちゃさせながら紗夜に助けを求めた。 「おねーちゃん、おねーちゃん! 待って、ほんと待って、なにこれ! おねーちゃんっ! 美味しいってレベルじゃないよ! マカロンなのに、口の中で、ぶわって溢れて、ぐおおおって、肉って感じが広がって……るん♪って言うの忘れる!」 「ひ、日菜、落ち着くのよ。まずは深呼吸しなさい」 「すー、はー、すーっ。るるるんっ!って来たァ! 味に目覚めた気分だよ!」  シェフ・Mが感動で言葉を失う二人に感想を求める。 「お味はどうですか」  紗夜は「とても美味しいです」と伝えようとした。 「と」 「次はイチボのローストビーフを召し上がっていただきます!」  突如セリフを遮られた紗夜はびっくりして言葉を飲み込んでしまった。 「少しくらい言わせて……!」  紗夜の訴えが聞こえなかったか、それとも感想を聞く気がないだけか。  すぐさま石プレートに乗せられたイチボのローストビーフが二人の前にサーブされる。  ローストビーフはほんの二切れ。付け合せにインスタでしか見ないような名前も知らない植物が添えられている。  だがすでに不安はない。なぜならローストビーフが美味しいのは分かっている。  ローストビーフを箸で口まで持っていく。  紗夜は目を閉じた。舌の上に薄くスライスされた肉を乗せる。  鼻から抜けるように煌く黄金の風が吹くイメージで、まぶたの裏に肉の蒼輝宇宙すなわちユニバースが広がって、 「次は七〇日間熟成したシャトーブリアンを桃のソースで召し上がっていただきます!」 「まだ飲み込んでもいないのですが!」  もっとローストビーフの余韻に浸っていたいのに、このクマは鬼畜なのか?  でも食べなければ次の肉料理が食べられない。なんという贅沢なディレンマ。喉を滑り落ちていくローストビーフのあまりの美味しさと消えてなくなってしまうもったいなさに、紗夜も日菜も幸福感以上の悲しみを覚えてしまう。なんて罪深いローストビーフ。  しかしながら、進まねばならぬ。次の料理は、きっともっと美味しいのだ。  料理が進むほど、前の料理の味を踏み越えて美味く、前の料理の味を過去に置き去っていくほどに、美味しい。  そして今シェフ・Mは何と言ったのか。  シャトーブリアン。  魅惑の響きである。どこの部位かよく知らないけれど。  そしておそらくメインディッシュだ。否が応にも期待が高まる。 「おねーちゃん、シャトーブリアンって何?」  日菜が無邪気に尋ねる。  シェフ・Mが疾風のごとく答える。 「シャトーブリアンとは! 牛のヒレ肉! すなわちテンダーロインのうち! 最も厚みがある中央部で最も肉質の良い部分のことです!」 「おねーちゃんに聞きたかったのに~!」 「いいのよ日菜。肉のことは肉のプロに聞くべきだわ」  シェフ・Mは双子の会話には触れず続けた。 「さて、こちらのお料理についてですが、お二人に味わっていただくのは『笑顔』です!」 「急に弦巻さんの存在感が増した気がするのだけど」 「笑顔って食べられるんだっけ?」 「美味しい料理とは、笑顔を生むものです! 笑顔とは、平和です! 極端な話ですが、最高に美味しい料理とは、戦争さえ止める力を持っていると私は思うのです! 例えば、小さな例ですが喧嘩をしている子供に甘いお菓子を与えると一瞬でも諍いは止みますね? それと同じように、私の作った料理で、世界中の人とは言いません、目の前のあなた、そしてあなた、まずはお二人に笑顔になっていただきたいのです! 山梨県産の桃のソースを絡めてお召し上がりください!」  熟成シャトーブリアンのステーキが乗せられた皿が二人の前に並ぶ。  照りのある焼き色のステーキは、小柄な女性でも二口あれば食べられるほどの大きさだ。紗夜と日菜はナイフで半分に切り分け、添えられた桃のソースに角を浸して口に運ぶ。  味の感想は言うまい。必要もない。  染み渡る肉の味に、全身が弛緩する。  頬が緩み切って、自然に笑顔が生まれる。  姉妹で過ごした素敵な思い出が感動的なシーンによく合う往年の名曲に合わせて脳裏を流れ、紗夜はなんの衒(てら)いもなく感謝の言葉を紡いだ。 「日菜。今日は素敵な誕生日の企画をしてくれてありがとう……」 「うん。私もおねーちゃんが一緒に来てくれて、とっても嬉しかった……」  大きな波が去った後の海岸のように穏やかな心で、二人は微笑み合う。  最近仲良くなれてきたとはいえ、まだどこか遠慮があった二人。  しかし今ここに大願は成就され、世界平和は成し遂げられた。  お互いにお互いを思いやる気持ちの大きさ、純粋さは、もはや恋人を通り越して家族といえよう。あ、最初から家族でしたね。恋人でもなかった。 「さて、次は場所を移してのお食事の提供となります! クロッサムツルマキのフルコース後半戦にてございます! お二階へお上がりください!」  シェフ・Mがいつの間にか厨房から移動し、二人の後ろに回っていた。  驚く二人をよそに、シェフ・Mは先導して上階への階段を登っていく。  黒服に椅子を引かれた二人も後を追った。  通されたのは、真っ暗な部屋だった。  完全に何も見えないわけではなく、暗黒の空間に浮かぶように立体的に三角折りされたナプキンが天井の青色LEDダウンライトで妖しく照らされている。  およそレストランとは思えない空間に躊躇して足を止めていると、黒服の誘導で二人は並んで席につかされた。  瞬間、壁一面がプロジェクションマッピングで明るくなった。  眩しさに目を細める紗夜と日菜。  シェフ・Mが現れる。  クロッサムツルマキのコンセプトメッセージである「平和」「笑顔」「ハロー、ハッピーワールド!」を太いゴシック体で伝えてくる壁を背にして、シェフ・Mは次なるステージの開幕を告げる。 「笑顔、そして平和を、お二人には先ほどの料理で召し上がっていただきました。最後に提供させていただきますお料理は『愛』です!」 「『愛』……ごくり」  ここまでの積み重ねがなければ端的に気持ち悪いだけの言葉だが、ここまでの積み重ねがある分、一体どんな料理が出てくるのか、紗夜は説明できない感情を抱いて生唾を飲み込む。 「お二人に召し上がっていただくのは、牛ハラミのメンチカツ、海の香りを閉じ込めたサーロインの懐石風、そして最後の究極の一品、あわせて三品です。ですが、その前にある準備をしていただきます」 「え? きゃ……っ、何するんですか……!」  シェフ・Mの合図で黒服が何やら取り出すと、二人は突然目隠しをされた。  VRゴーグルだった。  暗い視野がVRの起動で明るくひらけ映像に変化する。  牛舎だろうか。  本物の生きた牛が飼育されている場所の映像だった。  いや……よく見れば、それは牛ではない。 「これは……ミッシェル……?」 「クマだ!」  二人は同時に声を上げる。  間違いない。ピンク熊のミッシェルが畜産農家で元気に育っている映像だ。  意識の外からシェフ・Mの声が響く。 「愛……それは単に他者を思いやるだけの気持ちではありません。言い換えれば、感謝、とでも言いましょうか。今私たちに糧を与えてくれる牛、自然、そしてこの地球そのものへの感謝。すなわち愛……」  紗夜の目の前では、ミッシェルが元気に干し草を食べている。 「クマって干し草も食べるんだね、おねーちゃん」 「ど、どうなのかしら……」  肉の匂いがする湯気が紗夜と日菜の鼻をくすぐった。  意識の外で料理が運ばれ、黒服の手によって口に運ばれる。 「あむ……もぐもぐ……」  紗夜の内面世界で、ミッシェルの愛くるしさと口の中いっぱいに広がるメンチカツの味が合体し、愛のベースが出来上がる。  続けて牡蠣の風味がほのかに漂うことで一風変わった味のアクセントになるサーロインが口に放り込まれる。海のように、広く、深く、それは包まれる愛だ。紗夜と日菜はほぼ同時にため息を漏らす。 「ふえぇ……」 「肉料理とは、地球からの最高の贈り物です。愛の世界が構築されてくのを感じてください! そして最後になります、一二〇日間熟成、塩麹で発酵させ旨味を凝縮した牛タンです! これが究極! わたくし、シェフ・Mが今この瞬間、自信と覚悟を持ってお出しできるクロッサムツルマキ最高の一品です! どうぞ目で見てお召し上がりください!」  VRゴーグルが外された。  テーブルの上に置かれた料理は、それは黒い皿に盛り付けられた厚めの牛タン。 「こ、これは……」  無論、ただの料理だ。  少し高いお皿に、品よく盛り付けられた、普通に美味しい肉料理だった。  しかし紗夜の目からは、驚くべきことに、ひとすじの涙がこぼれた。  日菜も同様だった。何の感情か分からない涙が、細いすじを描いて頬に流れていた。 「日菜……私、今、気持ちが溢れて、もう食べなくても、分かってしまうわ」 「だね……おねーちゃん。あたしも、なんかすごい不思議な気持ち……」  あれだけ饒舌だったシェフ・Mは何も言わず、ただ二人を見守っている。  箸で牛タンを持ち上げ、二人はゆっくりと口まで運ぶ。  ジューシーな肉汁の滴りが、二人の柔らかな唇を濡らす。  感謝。  圧倒的、感謝……。  肉体のくびきに縛られた味の感想なんてもはや意味をなさなかった。  二人は祈るように手を合わせる。 「ありがとう、牛さん。ありがとう、ミッシェル……」  食べ終えた二人はお互いの手を握った。 「ありがとう、日菜……。この地球に生まれてきてくれて」 「ありがとう、おねーちゃん……。あたしのおねーちゃんに生まれてくれて」  部屋の隅にいる番組ディレクターたちはどう編集しても番組にならないので困った顔を浮かべているが、紗夜と日菜には関係なかった。また一つ、姉妹の絆が深まったのだ。  続けざまにシェフ・Mが叫んだ。 「お味はいかがでしたか!」 「ええ、とても」 「以上を持ちまして、クロッサムツルマキのディナーを終了いたします!」 「味の感想くらい最後まで言わせてくれませんか!?」  紗夜はキレよくツッコんだ。  パスパレ特番として後日配信されたさよひな誕生日デート回は、紗夜と日菜が肉料理を食べているだけなのに異様な盛り上がりを見せ、過去最高の視聴者数となってSNSでトレンド入りした。さすがさよひな。  ところで結局、謎の料理人『シェフ・M』の正体が明かされることはなかった。  しかし彼(彼女?)は料理で勝負する職人だ。紗夜もギター職人として、かくありたいと思い、次のライブでミッシェルの被り物をしてステージに立つことを決めたのだった。  そして湊友希那に反対されて、その計画は不発に終わるのだった。かわいいね。
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名前:茶渡エイジ(SADO EIJI) TwitterID:@the_3rd_Age メッセージ:今年も無事にお祝いができて本当にうれしいです。
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yuzunofukushima · 6 years
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ラブレターのような弔辞
 弔辞というのは、人の死を悲しみ悼むもので、告別式は文字どおり別れを告げる場だと辞書には記されています。希林さんが重い病を抱えている以上、いつかはこの日が来るのだと覚悟はしていましたが、それでもやはりこんなに急にお別れを告げなければいけなくなるとは正直思っておらず、途方に暮れています。もう随分前に実の母は他界しておりますが、二度母を失ったような、いまはそんな悲しみの沼の中にいて、なかなかそこから抜け出せそうにありません。それだけ私にとってあなたの存在は特別だったのだと思います。
 希林さんと私が最初にお会いしたのは2007年のことですから、まだ10年ちょっとのお付き合いです。ですから私が語れるのは、あなたの人生の、そして役者としての長いキャリアの、最後の数ページに過ぎません。そんな私が弔辞を読むなどという大役を担う資格があるのか、本当に心許ない限りですが、それでも悩んだ末に、お引き受けすることにしました。
 いまこの弔辞を読んで頂いている橋爪功さんは、希林さんとは文学座の同期で、お互いを橋爪君、チャキと呼び合う、旧知の間柄です。一度、お二人に夫婦を演じて頂いたのですが、撮影の合間に、鹿児島で夕食をご一緒したときの、かけあい漫才のような言葉の応酬、カウンターに並んで座って天ぷらを食べながら、希林さんの大好きな、慰謝料や整形の話に笑い、その合間に演劇論が、そこだけは鋭く語られる、そこには50年を超える歳月をかけて培われた、お互いの人間性や芝居に対する尊敬が滲み出ていて、心の底からうらやましかった。いつか自分も、お二人とこんなやりとりが対等にできる関係になりたいと、そう思いました。その願いはとうとう、叶えられずじまいでしたが、それでもこうして私の書いた弔辞を橋爪さんに代読して頂くことで、少しだけ二人の間に割り込ませて頂いたような、そんなうれしい錯覚を覚えています。
 希林さんと私とはおよそ20歳の年齢差がありますが、二人の関係は失礼を承知で言うと、ウマが合ったということに尽きるのではないかと思います。そして何より、出会いのタイミングにご縁があった。2007年というのは、私が「歩いても歩いても」という、母をモデルにした映画の準備に入った年であり、希林さんはその前年に、盟友だった久世光彦さんをなくされていました。もし久世さんがご存命だったら、希林さんはともに作品を作る演出家として、私を選び、導いてくれただろうかと、時折、そんな考えが頭をよぎりました。久世さんがドラマ化しようとして実現できなかった、東京タワーの、オカンの役を、あなたが映画で演じられたという経緯を考えると、そこにはやはり、果たせなかった思いのようなものを、感じずにはいられないからです。もちろん、希林さんが私の背後に久世さんの姿を重ねるようなことは、ただの一度もありませんでしたが、私はあなたと久世さんの間に、確かに存在し、一度は断ち切られた縁の一部を受け継いだような、そんな気持ちでいたのです。
 なぜ希林さんが私のことをひいきにしてくれたのか、よくわかりませんでしたが、もしかすると、私がテレビ出身で、映画の世界になんら師匠や頼れる先輩を持っていなかったことが、その理由の一つだったのかも知れません。そんな孤児のような私を不憫に思い、気に掛けてくれた。だから映画が公開されるたびに、私本人ではなく、プロデューサーに電話をし、「じゃ、次も撮れるわね。よかった、よかった」と心配してくれた。出来の悪い息子を案じるこの電話は、最新作までずっと続きました。希林さんには、ずいぶん色んなものをごちそうになりました。あなたはお店に入ると、「コースを全部食べたいんだけど、量は半分にして」とシェフに指示されたり、お寿司屋で「どうでもいい、つなぎみたいなの要らないから、美味しいの半分だけ出して」と無理な注文をされました。そして森繁久弥さんや渥美清さん、久世光彦さんの思い出話を、その人たちの仕種や言い回しを上手に真似ながら、私に語って聴かせてくれました。独り占めにするのはもったいないくらいの、その貴重な話に耳を傾け、私はただただ、相づちをうつだけでした。あなたはお店を出ると、「いくらだったと思う?」と、また、いたずらっ子の言い方で笑いかけ、「安いでしょ? だから昼行くのよ。夜だと高くって」とそんなときに見せる、庶民的な顔もまた、とても魅力的でした。
 私にとってあなたとの時間は、それ自体、とても楽しいものでしたが、やはりどこか人生の中で、実の母と過ごせなかった息子としての時間と、その後悔を、何とか取り戻したい、やり直したいという、叶わぬ思いを、希林さんと過ごすことで埋めようとしていたのかも知れません。口にはしませんでしたが、そんな私の気持ちなど、観察眼の鋭い希林さんのことですから、はなからお見通しだったのでしょうね。希林さんに母を重ねて映画を作り、希林さんと食事に行き、話すことで、私は私の母への喪の作業を少しずつ進めることが出来たのでしょう。いま、その作業の途上で、私はもう一人の母を失い、再び喪の作業を始めることになってしまいました。
 さきほどウマが合ったと、生意気な言い方をさせて頂きましたが、それでも全ての価値観が一致したわけではありません。好きな脚本家として、向田邦子さんの名前を真っ先に挙げた時、あなたは珍しく顔をこわばらせ、「へぇー、どこが?」と私の顔を正面からのぞき込みました。この希林さんの「へぇー、どこが?」「へぇー、なんで?」という攻撃にあった時に、どれだけ説得力のある返し方ができるかどうかで、その人の評価が決まります。冷や汗をかきながら、向田脚本の魅力を語ったのですが、「あたしたちと仕事しなくなってからの作品ね」と、あなたの発したその一言は、安堵と寂しさの同居した、不思議な響きを持っていました。向田さんの気質に辟易としながらも、久世さんと一緒に、テレビで思い切り遊んだという自負と、その後、病を得た向田さんがシリアスなドラマやそして文章の世界に向かわれたことを、あなたがどう思われていたのかは、私なりに想像できるつもりでいます。流れて消えて後に残らないテレビやコマーシャルの潔さは、おそらく何者にも拘泥しないというあなたの粋な哲学と、それこそとてもウマが合ったのではないでしょうか。2005年にあなたが向田さんと同じ病を得て以降、後に残る映画に仕事の中心を移され、ちょい役で独特の印象を残すというスタンスから、主役も含め、作品を背負うような役を引き受けるようになったこと。そこにどのような心境の変化があったのかを、私は直接お聞きすることはしませんでしたが、私もあなたのその変化を追いかけるようにして、映画の仕事を依頼させて頂きました。しかし、もしかすると、私との出会いと作品作りは、あなたの足取りや振る舞いから、その魅力である、軽やかさを奪ってしまうのではないかと危惧した時もありました。でもそれはどうやら杞憂だったようです。テレビの連続ドラマはもう体力が持たないと言いながら、それでもワイドショーや花火大会の中継などに請われれば出続けた理由を尋ねた時、自分が芸能人として、今の時代に、どれだけ意味や価値があるのか、試してんのよ、とあなたは答えられた。そんなフットワークの軽さと雑味をあえて捨てようとしないあなたの姿勢は、テレビ出身の私にはもう一つの大きな魅力として映りました。だからこそ、あなたの訃報を伝えるニュースの中で、色んな人があなたのことを女優、大女優と呼ぶことに、居心地の悪さをちょっとだけ感じているのです。そのくくり方は、むしろその存在を矮小化してしまうのではないかとさえ思います。きっと希林さんも、そう感じているのではないですか。私は器用じゃないから、私はそんなに引き出しが多くない、これはあなたの役者としての自己評価で、仕事を断る時に、よく口にされました。海よりもまだ深くという映画の時も、一度受け取った脚本を持参して事務所を訪れ、抵抗する私の前で何度もこの言葉を繰り返し、「無理」「是非」「無理」と、机の上を、脚本と言葉が、1時間も行き来したこともありました。しかしそんな逡巡はいざ撮影が始まってしまうとみじんも感じさせず、役を必死で生きようとされる。控室で衣装に着替え団地の窓辺に正座をして、真剣に台詞を覚えようとしている、新人女優のようなあなたの姿が、今も目に着いて離れません。
 そんなあなたが、昨年の春に「万引き家族」への出演を依頼した時は、まだ脚本が出来上がっていなかったにもかかわらず、あっさりと引き受けてくれました。なかば断られることを覚悟していた私は、あなたの態度に安堵と同時に不可解さを感じていたのです。撮影が終わり3月30日に事務所を訪れたあなたから見せられたPETの画像は、がんの転移を示す、黒い小さな点が、全身の骨に広がっていました。寿命は年内がめどだと告げられており、「だから、あなたの作品に出るのは、��れでおしまい!」と、口にされた。そう遠くはないとわかってはいた、その日が、あっという間にすぐそこに来てしまい、言葉を失いました。私はあなたに死ぬ役を演じさせてしまったことを後悔しました。でももしかしたら、そのことはとっくにわかっていて、私はあなたと出会わせておきたい役者を共演者として選び、不謹慎にも、映画の中で先に、あなたへのお別れをしようとしたのかも知れません。希林さんも、そのつもりで、この役を引き受けたのではないですか? 是枝さんの映画はこれで最後、という宣言は昨年の12月、撮影が始まってすぐの時にあなたが取材に来た記者たちに既に語っていた言葉でしたから。
 映画は出来上がり、6月8日に公開されました。希林さんはそこで私たち2人の関係をキッパリと終わりにするつもりだったのでしょう。私の腕につかまりながら、杖をついて壇上にのぼったその日、あなたは別れ際、私にこう言いました。
 「もう、お婆さんのことは忘れて、あなたはあなたの時間を、若い人のために使いなさい……。私はもう、会わないからね!」
 そして本当に、その言葉通り、翌日からはいくら私がお茶にお誘いしても、かたくなに断られました。私はうろたえました。あなたほど、覚悟が出来ていなかったのです。骨折をされて入院された時も、会えないのを承知で、私はあなたの自宅のポストに手紙を投函しに行きました。手紙は、直接伝え損なった、あなたへの感謝の言葉を連ねた、独り善がりで、とても恥ずかしいものでした。そして、あなたはあっという間に旅立たれてしまった。
 その訃報にふれ、かけつけたお通夜の席で、3カ月ぶりに会ったあなたは、凜とした、穏やかな美しさに包まれていました。その姿を目にした時に、あなたが会おうとしなかったのは、私があなたを失うことを、そしてその悲しみを引きずりすぎないための、やさしさだったのだと、私はようやく気付いたのです。私は映画の中で、血のつながらない孫娘にさせたように、あなたの髪とおでこに、指先で触れました。そしてあなたが映画の中で口にした言葉を、柩の中のあなたにお返ししました。
 人が死ぬとは、その存在が、普遍化することだと考えています。私は母を失った後、母という存在をあらゆるものの中に、街ですれ違う、あかの他人の中に、発見できるようになりました。そう考えることで、悲しみを乗り越えようとしました。いま、妻であり、母であり、姉であり、祖母である、あなたを失ったご遺族の方々の悲しみは、計り知れないものがあると思います。でも、今回のお別れは、あなたという存在が、肉体を離れ、あなたが世界中に普遍化されたのだと、そう受け止められる日が残された人々に、いつか訪れることを心から願っています。
 個人的なことをもう一つだけ語ることをお許し下さい。希林さん、あなたが亡くなった9月15日は、私の母の命日でもあります。母と別れた日に、こうしてまた、母が出会わせてくれたあなたとお別れすることの巡り合わせというものが、私の寂しさをひときわ耐えがたいものにしています。母を失ってあなたと出会ったなどというこじつけは、正しくないかも知れない。けれど母を失ったことを、何とか作品にしようとしたからこそ、希林さんと出会えたことは間違いないのです。だから、あとに残された私は、あなたを失ったことを、その悲しみを、今回もまた同様に、何とかして別のものに、昇華しなくてはいけない。それが、人生のほんのひととき、ともに走らせて頂いた人間としての、責任なのだろうと思います。そうすることが、私のようなみなしごを拾い、そばに置いて、愛情を注いでくれたあなたへの、せめてもの恩返しだと思っています。
 旅立った背中を追いかけるように、柩の中のあなたに向かって、最後に語りかけた言葉を、もう一度だけ繰り返して、私のお別れの言葉を締めくくろうと思います。
 希林さん、私と、出会ってくれて、ありがとうございました。さようなら。
 2018年9月30日 是枝裕和
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kobutama-blog · 6 years
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花火の魔法
「よっ。ママさん、今日はサンキュー」
木製デッキチェアにシンジの愛犬みみと腰掛けるシンジの母親―レイジの言葉を借りれば、ママさん―のまえに、人差し指と中指だけのふざけた敬礼をしながら、ちょっと前かがみポーズでレイジがやってくる。
「あら、レイジくん、どうしたの? もう気分は平気?」
ママさんが気にするのも無理はない。つい先ほどまでレイジは真っ青な顔をして、口数が少なくなっていたのだから。
「やっ、ぜんぜん問題ないから。レイジ別にホラー映画みて気分が悪くなったわけじゃないから」
「そう? さっきやめろーって声が聞こえたけど」
小さく首をかしげるママさんの言葉に、レイジは意味もなく右足から左足に重心を置き換えた。
「ちがうのちがうの。あのね、誤解してほしくないんだけど。あれは、ほら、野外でホラー映画なんてみたことないわけじゃん。で、まあ? 初夏とは言っても夜はさむいわけじゃん。あいつらが寒いっていうから、レイジぴったりくっついてあげたわけ。そしたら、隣のシンジの前髪がふぅってレイジの顔をなでてびっくりしたって言うか」
段々と語尾は小さくなっていく。その様子に、ママさんは、「そうだったのね」と小さく笑った。
「あー、ママさん信じてないだろ」
「あらあら、そんなことないわよ」
わたわたと言い訳を続けるレイジから眼をそらして、ねー、みみちゃん、とシンジの愛犬をひざに抱き上げ、相槌をうたせた。
「おいレイジ。シンジのお母さんに迷惑かけてんじゃないだろうな」
月明かりをさえぎるように大きな影。ダイヤがレイジを小突くような勢いで、後ろから肩を組んだ。ママさんは首を眼一杯上に向け、ダイヤと目を合わす。
「大丈夫よ、ダイヤくん。レイジくんは、今日の報告をしてくれていたの。ほら、私さっき到着したばかりでしょう? だから、ね。それよりも、たくさん食べられた? お肉、足りた?」
「あ、平気っす。あざっす」
ぺこりと頭を下げる彼に、ママさんはほっとした顔になり、続けて横に立つレイジに、
「レイジくんは? ケーキ用意しておいたけど、食べた?」
と気を遣う。
「食った食った。どれもこれも旨かった。あれ、何処のケーキ?」
「今日のケーキはね、いつも水曜日に来てくれる山田シェフに頼んで作ってもらったの。山田さんはケーキが得意だから」
そういうと、ママさんはそっと芝生の上にみみを置く。みみは一目散にシンジとレオンのもとへぴょこぴょこ駆けていった。
「…やるな、山田」
「山田さん、だろ」
うなるレイジの言葉遣いをいつものように訂正して、ダイヤは
「野外で見る映画なんて、音響とかどうかなって思ってたけど、いいもんすね。さすがにスピーカーも良いの使ってるし、スクリーンも映画館並にでかいし」
おかげでレイジが怖がって大変でしたけど、と続けた。
「ふふふ。気に入ってくれたみたいでよかった。しんちゃ…シンジがね、みんなに楽しんでもらいたいけど、何か方法はないかって相談してきてくれたのよ。この頃は私に相談してくることも少なくなっちゃったから、うれしくて」
それを聞いて、レベルクロスの二人は顔を見合わせてにやにやし始めた。
「へええ。シンジが。ふぅん。レイジたちを喜ばそうとしていた、と」
だが、ママさんはそんな様子に気づいているのかいないのか、どこか遠くをみていた。
「しん…シンジはね、小さいときから大人の中で育ってきて、周りにいる子供といえば、妹ぐらいなものだったの。家では特に親しい学校のお友達の名前なんて聞いたことがなくてね。それが、IMSに入ってからは、レベクロちゃんたちの名前がなんども出てくるようになったのよ」
「いけ好かないとか言ってたんじゃないのぉ?」
レイジが、ちょっと右手の平を上にむけて、首をかしげる。
「そうね、最初は馬が合わないとか言っていたけど、だんだん、レオンくんが一緒になった頃からかしら、みんなの名前を心からの笑顔で呼ぶようになったの。ああ、年相応のお友達ができたんだなぁって」
「母様(かあさま)!」
そのとき、突然鋭い声がママさんの声を切り裂く。
「あら、しんちゃ…シンジ…!」
早足でこちらにむかってくるシンジ。その後ろをみみとレオンが慌てて続いた。
「母樣、余計なこと言わなくていいから。ね?」
「シンジくん、いま『かあちゃん、ゆるさへんで』みたいなむっちゃ怖い顔してましたよ」
やっと追いついたレオンが、シンジの後ろから首だけにゅっとのぞかせる。
「そんな顔してない、してないからね」
「しんちゃんが今日を楽しみにしてたこと、みんなに言っちゃいけないの?」
不安げにママさんの眉尻が下がって行く。逆にレオンの眉はパッと上がった。
「シンジくん、僕もです。今日のバーベキュー映画お泊まり会むっちゃ楽しみにしてました!」
いや、なげぇだろ名前と呟くダイヤにレオンは
「ダイヤさんだってお肉たのしみにしてたやないですか」
と、ツッコミを忘れない。
「それは否定しない。レイジも甘いものあるかなって言ってたな」
「まあな。そりゃママさんのお見立てだからな、期待するなって言うほうが無理」
「うれしいわ」
ニコニコとまるで少女のように笑う母親に、シンジはもう何も言い返せない。
「さっきシンジくんの部屋見してもらったんですけど、僕やダイヤさんたちの部屋が何個も入るくらい大きかったから、シンジくん広すぎてさみしいと思うんです。そやから今日はあそこにみんなで寝ましょう!」
レオンは良いことを思いついたとぴょんぴょん跳ねる。
「えー、レオンと一緒やだ。オマエ寝言うるさい」
「僕、うるさくないよ、レイジくん」
「レイジ、オマエどうせなんも気にせず寝るだろ」
「まあな、何人たりともレイジの安眠を妨害することはできないけどな」
「起こしてるのも気がつかないくらい毎日ぐっすり寝てるよな」
「明日の朝も頼むぞ、ダイヤ」
「へいへい」
「そんな意地悪なこと言ってると夜中にさっきの映画に出できた…」
「わーわー、きーこーえーなーいー」
客間はちゃんとある、と口を挟む隙もなく、シンジは置いてけぼりだ。
ママさんは楽しそうに少年たちを見つめていたが、やがてねえねえ、とじぃやの居る方を示す。
「ほら、花火の準備ができたみたいよ、遊んでいらっしゃいな」
はぁいと元気良く返事をするレオンを先頭に、全員が芝生の上を歩き出す。すぐにダイヤが、右腕をシンジの肩に、左腕をレイジの肩にまわす。自然と歩みが遅くなり少しレオンから遅れた。
「いい母親だな」
「そうかな。いつまでも僕を子ども扱いするけど」
ちょっと不貞腐れたようになってしまうのは、否定しているまさしく子供っぽさであると、シンジも自覚はしている。
「いいんじゃねぇの? 親の前でくらい甘えとけよ。俺たちはARPでいる時は子供でいられないだから。んで、ついでに親孝行もしておけ。ほら、あれだ」
いつのまにか戻ってきたレオンが、「あ、あれですね、ことわざ」と笑う。
「……『親孝行、したいときには親はなし』」
シンジの口から思わず溢れた正解は、レベルクロスの前では言うつもりのなかった言葉。
「それな」
「『石に布団は着せられず』ってな」
レイジも笑いながら続ける。まるでそれに意味なんてないかのように。
「石にお布団かけてあげてもええじゃないですか」
「レオン! オマエにはあとで教えてやるからっ」
重々承知していたはずの聞きなれたことわざは、レベルクロスから聞かされると、きゅっと鼻の奥が痛くなる感覚が襲ってくる。
「ほら。誘って来いよ」
点火前の花火を数本渡し、ダイヤはシンジの胸を拳で軽く叩く。
言葉なく頷くとシンジは母親のところへ走った。
「一緒にどう?」
「ママのことは気にしないで。お友達と遊んでらっしゃい?」
その言葉にシンジは少し彼らの方を見た。そこにはレオンが手を振り、レベルクロスが談笑している。
「彼らも、母様をよんでるから」
じゃあご一緒しちゃおうかなとは言ったものの、ママさんは遠慮がちに少し離れたところでそっと花火に火をつけた。
おいレイジこっち向けんな。
シンジくん、僕と線香花火競争しましょう。
そんな笑い声を聞きながら、二つ目の花火に火をつける。
いつのまにか少し後ろにじぃやが控えていた。
「大きく、立派になったわね」
「はい、奥様」
彼らみんながずっと一緒であるように。
魔法のステッキのように、手持ちの花火で、おおきくおおきく円を描き、彼ら全員をその中におさめた。
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team-ginga · 7 years
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卒業式とレストラン・キャラントキャトル
 昨日3月19日は私が勤めている大学の卒業式でした。
 われわれは卒業式には出席しません。卒業式の後���専修単位の学位授与式に出席します。
 仏文の学生を集めて全員に卒業証書を渡して簡単な挨拶というかスピーチをするのですが、私はこれがあまり好きではありません。晴れ着を着た学生たちを前にすると、自分が場違いに思えて仕方ないのです。
 夜は例年ならホテルで謝恩会が開かれるのですが、今年はそういうものはなく、私のゼミでは大阪・北浜のレストラン・キャラントキャトルで食事会を開きました。ホテルの宴会場より気楽だし、学生たちといろいろ話もできるし、美味しいものが食べられるしで、こちらの方がはるかにいいと思います。
 食べたものは以下の通りです。
アミューズ・グール:ハマグリのサフランソースと高菜(?)を詰めたプティシュー
前菜1:つぶ貝と竹ミョウガのピクルス、浅葱のクリーム
前菜2:葉わさびを纏ったボタン海老、フヌイユのサラダ
魚:クロダイのポワレ、アーモンド焦がしバターソース
肉:鹿、キジ、牛フィレから1つを選択。私はキジを選びました。日本のレストランでキジがメニューに入っているのは非常に珍しいと思います。
デザート:リンゴのロースト、チョコレートのテリーヌ、イチゴとホワイトチョコレートのクレームブリュレ、アイスクリームとシャーベットから1つを選択。私はリンゴのローストを選びました。
食後の飲み物とプティフール
 いつもながら洗練された料理で4,800円でこれなら安いと思いますが、やっぱり後少しインパクトが欲しい気がしました。
 学生たちは「パンが美味しかった」と言っていました。自家製パンだそうですが、それはちょっとレストランに対して失礼ではないかな?
 いつもいる顔なじみの女性給仕がいなかったせいもあるのでしょうか、給仕が食材に関する質問にちゃんと答えられなかったり、大きな声で呼んでも来てくれなかったり、店を出るときシェフは挨拶に来たのに、コートや傘を渡しに来なかったり、サービスに関しては少し残念なところがありましたが、学生たちが気を利かせて花束を用意してくれて、デザートの皿に「東浦先生、ありがとうございました」とチョコレートで書くよう手配してくれていたので、私は満足です。
 卒業生たちの前途に幸多かれと祈っています。
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asdaxx · 7 years
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ミッドナイト花を求めて
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