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#ヨット食堂
orion3sta · 2 years
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2022/11/21 小雨の中、こたろうを連れて裏山まで朝のお散歩🐕 うちの銀杏も黄葉 数十年ぶりにヨット食堂で、タンメンと餃子を食べたけど、ラーメンは350円とリーズナブルな料金😚🍜 夜は、石岡市役所でシティプロモーション推進懇談会でしたが、行政主導ではなく市民と対話しながら、事業を進めていく姿勢に好感が持てます! 21時頃に恋瀬川沿いをこたろうと散歩してたら、霧が立ち込めてきました! #iPhone日記 #足尾山 #銀杏林 #朝靄 #田んぼ #ヨット食堂 #タンメン #餃子 #石岡市役所 #石岡市シティプロモーション推進懇談会 #こたろう🐶❤︎ #霧 https://www.instagram.com/p/ClPbNRYSZ4x/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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nakajimaster123 · 2 years
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⁡ 先日の晩酌は、⁡ ⁡ 美味しそうな #モッツァレラチーズ ⁡ ⁡ を買ってきて、⁡ ⁡ 行き付けの #ヨット食堂 真似て、⁡ ⁡ 柿と生ハムのカプレーゼと⁡ ⁡ 炙りシメサバ、空芯菜炒め、⁡ ⁡ 浪江焼きそばを作ってくれたので、⁡ ⁡ お供のお酒は、頂き物のイタリアワイン⁡ ⁡ #ベルサーノ #バローロ⁡ ⁡ #ニルヴァスコ #2010⁡ ⁡ をあけました🍷⁡ ⁡ ⁡ まだちょっと開いてないようなので⁡ (ワイン通ぶって🤣)⁡ ⁡ 半分でやめて、後々の楽しみにします🍷⁡ ⁡ ちょっと楽しみ~😃🎶⁡ ⁡ ⁡ ⁡ #晩酌 #おうちごはん #宅飲み⁡ #家飲み #イタリアワイン⁡ #barolo #nirvasco #bersano⁡ #barber #バーバー #ヘアサロン⁡ #理容 #美容 #床屋 #石岡⁡ #ダブルライセンス #ナカジマ⁡ #スキンフェード #フェード⁡ #濡れパン #お顔そりエステ⁡ ⁡ https://www.instagram.com/p/Ckku1omOBV_/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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shinakan · 2 years
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<TAGBoat日記⚓️>強化練習日💪 快晴で富士山も頭を出すほどの相模湾を最速7.5knotで、タック&ジャイブを繰り返しアンカーリングも練習しましたがまさかの『錨』が外れて海底に消えて行きました😓海って色々なアクシデントがあるので日々鍛錬が重要ですね⛵️精進します👨‍✈️そして反省会は三崎マリン2階の食堂🍴 #ヨット遊び https://www.instagram.com/p/Cgc3ETDhKB3/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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nabezo33 · 5 years
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「マタンゴ」。200321
(日本/1963年)。7人の男女が乗ってたヨットが難破して、たどり着いたるは、何やら異様な無人島。食べるものも乏しい極限状態の中で、しだいに反目しあいバラバラになっていく7人。飢えには勝てず、ついに禁断のキノコを口にしてしまって、さあどうなる……といった感じの特撮ホラー映画です。
島で見つけた難破船の船内の、カビだらけでいかにも気を病みそうな描写、独特の色使いが印象的。これが屋外に出て、キノコの森に入っていくと、妙にファンタジーぽく感じられてしまうのはご愛嬌か。怪物そのものより、ここはやはり、極限状態に置かれた7人の追い詰められた心理状態こそが見どころなのかも。しかしなあ、恐怖を前にして、たった7人でも足並み揃わんのよねえ、未知のウイルス相手に何千万人もの市民が巧く立ち回るなんて、やっぱし至難のワザと言えるかしら(おっとイカン、虚構の世界に遊ぶハズが、ついつい現実を想起してしまった)。
飢餓状態から、ついつい口にしてしまうキノコは、風月堂さんに元となるタネを用意してもらって作った、ホントに食べれるお菓子なんだとか。勝手に砂糖を足したりなんだりで、撮影の日を追ううちにどんどん美味しくなっていった……というエピソードにウケました。
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aikider · 5 years
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押井:少し前までは、その時代その時代ではやりがあって、それを若者がみんな使うわけじゃん。それをさらにオヤジがまねして使ったりもする。でも今はそれが細分化されているというよりは、共有したいという願望そのものがだんだんなくなってるという気がすごくするんだよ。
ーー 他人と共有したいと言う願望がなくなると、どうなるんでしょうか。
押井:それがなくなると「文化」自体が成立しなくなる。
ーー え?
押井:当たり前だよ、文化というのは「価値観の共有」のことだから。僕がいま漠然と危機感を持ってるのは「文化はもしかしてなくなるんじゃないか」ということ。必ずしも日本だけの現象とは思えないんだけど、日本がその先端を行ってることは間違いない。
ーー ちょっと怖いですね……。
押井:確かに日本は戦後、生まれ変わって「文化国家」になった。ただその文化が、高尚な文化ではなかった。アニメだったりアイドルだったりマンガだったりゲームだったりであって、残念ながら「芸術」ではなかった。まあ、それでもいいと思うんだけどさ。
ーー しかし、その「サブカルチャー」すら危うくなってきたと。
押井:そこで、じゃあ何が残るのかっていうと、いつもの話になっちゃうんだけど「快感原則」だけなんだよ。健康で長生きしたいという願望。テレビのCMとか、それこそYouTubeのCMだって、大半はダイエットとアンチエイジング。元気な老後。いつまでも若いおばあちゃん。
ーー 確かに多いですよね。
押井:ダイエットとアンチエイジングは二大テーマだよ。というか、それしか価値観がなくなりつつあるような気がする。元気で長生きして若々しくして……それが実現したとして、じゃあ何をするの?
ーー 手段が目的そのものになってますね。
押井:いや、本当に。単に90や100まで長生きしたいわけじゃないんだよね。元気でいたい、若々しいジジイババアになりたいわけだ。これって退廃そのものだよ(笑)。悪夢のような世界。
ーー 若々しい老人の世界ですか。
押井:何だそれ? 古代ローマよりひどいよ。ローマにはまだ「死ぬ文化」があったからね。「いかにして死ぬか」という価値観があった。今はそれすらないもん。死は敗北で、終わりで、ゼロ。「死んだ奴は負けた奴だ」ってさ。
ーー ということは、そういう人たちにとって「生き残ったら勝ち」なんでしょうか。
押井:それは「何かやってる奴」はそうだよ。政治家だったり表現者だったりとか、そういう人はやっぱり死んじゃったら終わり。生きてる奴だけがやり放題やるんだからね。でもそうじゃなくて国民レベル、人民レベル、大衆レベルで「若々しく長生きする」しかテーマがない、という状態が今の日本。それを考えると空恐ろしいなという気がするわけ。
ーー みんな「若々しく長生きする」ことがいいことのように思っているけど、実態は非常に空疎であると。
押井:これで「人生百年」とか言われたらどうしたらいいの? あとは年寄り同士で殺し合いでもやるしかないのか。
ーー 筒井康隆がそういう小説(「銀齢の果て」)を書いてましたね。
押井:あながちバカな妄想でもないかもよ。若々しい老人が若者を食いつぶしていく時代。「若い奴が年寄りに反感を持つ」というのは古典古代から続いたテーマだけど、現実はそんな生易しいもんじゃないぞというさ。だって年寄りが若い奴と同じことやろうとするんだもん。
ーーかつての若大将の加山雄三も、今やゲーマーおじいちゃんになって「バイオハザード」やって若者にウケるみたいな時代ですからね。
押井:そうそう。加山雄三ってヨット乗って大飯食ってギター弾いてさ、つい最近までコンサートやってたじゃん。いつまでも若く振る舞いたいという人たちのある種の象徴だよ。
思うんだけど、役者というのは「どう枯れるか」が最終的なテーマのはずなんだよ。外国の俳優なんかはそれがあるわけだよね。そしてそれに失敗した人間もいっぱいいる。ピーター・オトゥールとか、アラン・ドロンもそうだけどさ。イギリスの俳優とかは伝統があるからだけど、みんな枯れ方がうまいんだよね。老人役だったらイギリスに行って探せというぐらいでさ、「ゲーム・オブ・スローンズ」(米TV/11)なんて、たぶん7割ぐらいイギリスの俳優だよ。こないだも家で見てて奥さんとその話になったんだけど「やたらイギリスの俳優ばっかりだよね」って。それはファンタジーだから様になるという話なんだよね。ヤンキーじゃダメ。若い役はともかく、王様だ女王様だと言ったらもれなくイギリスの俳優だよ。
ーー「シェイクスピアやれる奴を連れてこい」みたいな。
押井:そう。堂々たる押し出しがあってさ、セリフも顔も三拍子そろってるわけだ。渋いし。そういう風に、役者というのは枯れることがテーマだったのに、最近は枯れないことがテーマになった。「あの人いつまでも若いわね」って。女優だったらまだわかるよ。端的に言うと、いま日本の実写の世界でじいさんやる役者がいないんだよ。もう払底しちゃった。
ーーうーん。
押井:今「じいさん役者」で誰がいるかって言われたら、いないんだよ。ばあさんはそこそこいる。元タカラジェンヌとかはものすごくかわいい、品のいいばあさんとかやれるからね。かっこいいジジイがいないの。昔はいっぱいいたんだよ。声優の世界だって同じ。ジジイ役を振るのは大変なんだから。いつもワカ(若林和弘)が嘆いてるからね。ジジイはいない、若い奴であふれ返ってる。
ーー映画監督は「死生観」の映画を撮るいかにして死ぬかの価値観がない、死生観がない、というお話ですが、それは言い換えると「じゃあどうしていま生きるのか?」「これからどう生きたいのか?」というテーマがなくて、ただただ「とにかく若く健康で生きたい」という手段の部分が目的になっているという話ですね。
押井:快感原則しかない。それは「文化の爛熟」と呼ぶんじゃなくて、単なる退廃だと言ってるわけ。文化の爛熟というのは、最終的には死生観にたどり着くはずなんだよ。いかにして死ぬかという。それが文明の最高レベルですよ。この話はわりと本質的な話なんだよね。映画監督は長くやってると必ず死生観をめぐる映画を撮るものなんですよ。例えば宮さん(宮崎駿)の「千と千尋の神隠し」(01)は死生観の映画。
ーーどの辺が「死生観」なんでしょうか。
押井:賽の河原みたいなエピソードがあったでしょ。小さな少女(千尋)が賽の河原を電車で渡って向こうに行くという話はゾクゾクしたよ。あそこだけ。あとはつまんない。あと高畑(勲)さんの「火垂るの墓」(88)。川のあるあの自然って、三途の川を渡るわけだよね。あの映画自体が死生観だよ。妹を見殺しにする話だからね。映画監督はみんなやるんだよ。鈴木清順も「ツィゴイネルワイゼン」(80)でやった。
ーー押井監督もやられたんですか。
押井:私もやった。「イノセンス」(04)だよ。あれは冥土の話だもん。あの世に行く一歩手前の話。だから幽霊と人形と動物しか出てこない。「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」(08)も死生観と言えばそうなんだけどさ。 サー(リドリー・スコット)ももちろんやってる。特に物語に関わってる人間は最終的にそっちにしか行けないの。やってないのはマイケル・ベイぐらいのもんだよ(笑)。
さすが押井守、説得力ある。文化を共有することがなくなって残ったのは快感原則だけ。健康長寿はあくまで手段に過ぎず、老後に何をするかが重要なのに、手段が目的になってしまっている。それは文化の爛熟ではなく退廃であると。
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quotarian · 5 years
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押井:そうそう。加山雄三ってヨット乗って大飯食ってギター弾いてさ、つい最近までコンサートやってたじゃん。いつまでも若く振る舞いたいという人たちのある種の象徴だよ。  思うんだけど、役者というのは「どう枯れるか」が最終的なテーマのはずなんだよ。外国の俳優なんかはそれがあるわけだよね。そしてそれに失敗した人間もいっぱいいる。ピーター・オトゥールとか、アラン・ドロンもそうだけどさ。イギリスの俳優とかは伝統があるからだけど、みんな枯れ方がうまいんだよね。老人役だったらイギリスに行って探せというぐらいでさ、「ゲーム・オブ・スローンズ」(米TV/11)なんて、たぶん7割ぐらいイギリスの俳優だよ。こないだも家で見てて奥さんとその話になったんだけど「やたらイギリスの俳優ばっかりだよね」って。それはファンタジーだから様になるという話なんだよね。ヤンキーじゃダメ。若い役はともかく、王様だ女王様だと言ったらもれなくイギリスの俳優だよ。 「シェイクスピアやれる奴を連れてこい」みたいな。 押井:そう。堂々たる押し出しがあってさ、セリフも顔も三拍子そろってるわけだ。渋いし。そういう風に、役者というのは枯れることがテーマだったのに、最近は枯れないことがテーマになった。「あの人いつまでも若いわね」って。女優だったらまだわかるよ。端的に言うと、いま日本の実写の世界でじいさんやる役者がいないんだよ。もう払底しちゃった。
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gesotoku · 5 years
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博多大吉:赤江さんが『たまむすび』を船にたとえて。「今回、瀧さんがいなくなったってことは、メインエンジンを失ったのと一緒のことなんですよ」って。赤江珠緒:そう、そう。その前の週の木曜日に、日本のヨットの世界的に有名な白石康次郎さんが来てくださって。博多大吉:うん。赤江珠緒:そのヨットの梶を握っているのは、「スキッパー」と言いますっていう。博多大吉:うん。赤江珠緒:番組にたとえると、「赤江はスキッパー」みたいなことを言ってたんで、船にたとえると、瀧さんっていう大きな動力源を失ってしまった、と。博多大吉:で、「この船は動かない」って言うから、話を聴きながらね、「じゃあ、僕と竹山と山ちゃんは何だと思ってるんだ?」と。赤江珠緒:うん。博多大吉:「エンジンじゃなければ、なんだ、浮き輪のつもりか?」と。赤江珠緒:はい、はい(笑)博多大吉:「デッキブラシだと思ってるのか?」と思いましたけど、「赤江さん、考え方おかしくないですか?」って言って。赤江珠緒:そうなんです。博多大吉:「船でたとえるなら、僕は風の力で進む帆船ですよ」と。赤江珠緒:うん。 博多大吉:「赤江さんはデッカイ帆で、我々はマストで。リスナーさんって支持率っていう風力でこの船は進めるべきだ」って言ったら、「それだとあんまり遠くまで行けないし」みたいな。よく分からない船の議論とかになって。赤江珠緒:いや、でもね、そこで私は先生に言われた言葉で凄く納得したのが、自分が梶を握ってるスキッパーのつもりでいたら、先生が「いや、赤江さん梶握ってないですから」って。博多大吉:そもそもね(笑)赤江珠緒:「アンタ、握ってねぇからな」って(笑)パートナーたちが握ったりしてて、動力源は、今、リスナーさんたちが動力源で、「アンタ、帆だから」って言われて。「え?布地?」みたいな(笑)博多大吉:いやいや(笑)赤江珠緒:「あんた、帆として張ってればいいんだから」って言ってくださって。博多大吉:「正々堂々とね、これからも笑顔でどんと構えてくれれば大丈夫ですよ」みたいなことを言ってて、正直言うとね、結構深刻だったの。赤江珠緒:たしかに、落ち込んでました。博多大吉:で、その後アベコ(プロデューサー)が来たけど、その時、「赤江さんがこう言ってるよ」なんて言えるわけもないし。いやぁ、どうしようかなって思って。赤江珠緒:うん。博多大吉:で、たまたまこの時期、華丸さんが舞台稽古に入ってて、漫才の仕事がなくなってたんで。スケジュールに余裕があるんで、「じゃあ、ちょっと話をしませんか?」って、そっから何回か会ってて。その内に一個が、この今回撮影された週なんですけど。赤江珠緒:うん。博多大吉:あれは報道通り、週に3回会ってたんです。赤江珠緒:そうですね。『たまむすび』終わりのちょっとだけ時間とれる時、喫茶店で会って話を聞いてくださったりもありました。博多大吉:なんで3回会ってたかって言うと、徐々に赤江さんの気力も回復してきたけど、はっきり言えば、この時期に瀧さんが保釈されるって情報が入ってきて。赤江珠緒:うん。博多大吉:だから、国に押収されたメインエンジンが戻ってくるぞ、みたいなニュースが入ってきて、僕はそれが凄く心配で。赤江珠緒:うん。博多大吉:というのも、大きなお世話かもしれないけど、瀧さんが出てきた時にね、もしめちゃくちゃやつれてて、頭真っ白とかになってて、僕らが知ってる瀧さんじゃない状態で出てきて、謝罪してるみたいなニュース映像を見たら、また「できない」って言い出すんじゃないかって思って。赤江珠緒:うん。博多大吉:だからこの週は、「会える時は会いませんか?」って、僕から誘わせてもらって、スケジュールが合ったから、会ってたんです、今週は。赤江珠緒:はい。博多大吉:その時の最後の日ですよね。あの時、ご飯を食べて公園に行った時なんですけど。赤江珠緒:そうなんです。
博多大吉、赤江珠緒と「週3回」と頻繁に会っていたのはピエール瀧の保釈映像でショックを受けないか心配していたためと告白 | 世界は数字で出来ている
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q-food · 6 years
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板垣竜太「フィールドワークを歴史化する ヴィンセント・ブラントの韓国村落調査(一九 六六年)をめぐって」
板垣竜太「フィールドワークを歴史化する ヴィンセント・ブラントの韓国村落調査(一九      六六年)をめぐって」 一 はじめに-本稿の背景と目的[p110-113] 米国の人類学者 ヴィンセント・ブラント(1924〜)『韓国の村落-農地と海のあいだ』 :1966年忠清南道の西海岸にある石浦(仮名)という村落において実施したフィールドワ  ークに基づく民族誌 ⇒本稿の目的は、彼によるフィールドワークがいかなる社会的背景のもとで、どのような  関係性のなかで、どのような手法で行われ、そのフィールド経験のどの部分が民族誌と  なっていったのか、その歴史的文脈ないし社会的位相の一端を明らかにすること  →フィールドワークの歴史化、あるいは社会史的資料としての批判的再活用
二 民族誌以前と以後-ブラント略歴[p114-119] ・1949年外交官試験に合格し、米国大使館のストラスブール支所に派遣される。 ・朝鮮戦争中だった1952年、韓国の臨時首都・釜山に派遣される。 * 食糧不足の実態調査と救援穀物の調達先の視察のため、威鏡北道出身の通訳とともに、ジープに乗って韓国の農村を回る。その過程で道ゆく韓国人を車に乗せ、タバコをあげてはいろいろインタビューもする。 ・1953年にソウルへ、1954年にはワシントンでの台湾デスクの部署で働き、1955年に東    京の米国大使館へ転勤。 ・1960年、官僚仕事を退屈に感じており、1年の休暇がほしいと大使館にかけあったもの  の、それが認められないことがわかるや辞職を願い出る。 ・1960年10月より妻(東京滞在時に釜山で出会い米国留学から帰ってきた鄭喜環と結婚) や友人らとともに大西洋横断のヨット旅行を敢行。 ・1961年にハーバード大学院に入学し、東アジア地域研究と社会人類学を専攻する。 ・1965年、コースワークを終え、韓国に渡り語学研修を受けたあと、1966年3月より石  浦へ移り住む。 ・1968年に博士論文提出 ・以後、ソウルの板子村(スラムないしバラック街)、民主化運動などを研究する。 *「私は米国政府のために冷戦の戦士からスタートして、最後は光州のカトリックによっ   てラディカルにされてしまった。」
三 民族誌の位置づけ 四 フィールドワークを歴史化する ・フィールドワークの方法 -インフォーマント  ・李先生:両班層に属し、村で唯一の国民学校教諭   *ブラントは、彼のサラン房(客間兼書斎)に住む。  ・金泰模:10代の若者で学歴としては、書堂と国民学校だけだったが「李先生」も認め       る人物 ⇒「李先生」は博識だが調和と協力の理想化された像で石浦を語りがちなため、争いごと・  泥棒・姦通などについてはよいインフォーマントではなく、逆に泰模はシステムの不公  正さ、貧困や土地なしの人々への差別を感じており、批判的視点から起きた出来事につ  いて説明をしてくれ、またスキャンダルについてもよく話してくれた。[p131]
-参与観察の導き手としての米国の文化的ヘゲモニー  ・自宅のサラン房でインスタントコーヒーやウィスキーを振舞いはじめると、村に喫茶   店がなかったこともあり、無料の飲み物を求めていろんな人がやってくることになっ   た。  ・大量の薬入り医療キッドを持ち込み、村人にしばしば治療行為を施す。 ⇒米国の文化的ヘゲモニーは、現地調査のなかでも作動していた。[p132-133]
-質問紙調査から垣間見える韓国60年代農村の社会性  ・博論に際してハードなデータも要求されていたため、収入、財産、負債、乳幼児死亡   率、相続、再婚・妾、養子などの個人情報を調べる調査票を配ったが、実際に得た調   査データをクロスチェックしてみたところ、多くの情報がでたらめだということがわ   かった。 →「李先生」の解説 古くからつらい経験をしてきた教訓から、村人は知らない人に対して口を閉ざすようになっている。とりわけ金銭や政治に関わることについてはそうだ。何千年ものあいだ韓国の農民は徴税官や警察その他の寄生官吏に抑圧され搾取されてきたから、秘密にすることを生き残る戦術として身につけており、外部の人には可能な限り軽く嘘をついて流すようになっている。[p134] ⇒植民地期や米軍政期を含めてさまざまな「調査」に曝されてきた民衆は、調査票を片手  にやってきた外部者に対して「こいつは何を聞きたいのか」「これで面倒なことに巻き込  めれないか」を気にかけるようになった。[p134]
・分断国家と米国の存在 -ソウル行きの船が故障して一時停止したときの経験 「もしこのまま流されたら、わたしらは北朝鮮の人にスパイ船と間違われて捕まるのではないか」と誰かが口にした。深刻なやりとりが続いた後、米国人が一緒に乗っていたらみんな撃たれるに違いないという話になった。二人の女性は、真剣な敵意をもって横目で私を見た。[p136]
-「密売」へ関与した経験  ・当時、村の人が現金収入を得るために豚を売ろうとしていた。だが正規のルートを使   うと、輸送、屠殺、卸売、検査、食肉証明などを経ねばならず、またその過程で中間   搾取を受けなければならなかった。そのため、その人は仁川の食堂の人々と直接交渉   し、金銭をそのまま受け取る戦略を取った。そのとき、夜間外出禁止令に基づく警察   による検挙を避けるために、ブラントを使用しようとした(当時、米国人であれば警   察は見逃してくれた)。 私が石浦の人々で敬服すべきことはいろいろあった。その一つは、かれらがシステムに打ち勝ち貧困を緩和させようと、乏しい資源を最大限活用しようとする際にみせる、頑強で、ユーモアあふれ、弾力性をもち想像力にとんだやり方だった。どんなものも無駄にはしなかった。この場合でいえば、あやしげな外国の人類学者の価値でさえもである。[p139]
・参与と共感[p139-140] -開発投資の「失敗」  ・石浦の行先を心配したブラントは、米国財団の韓国担当者を通して開発資金を引っ張   ってくる。  ・里長および有志からなる評議会で運営する開発基金を立ち上げる。 ⇒しかし、評議会によって選ばれた融資対象は、みな有志の親戚筋ばかりで、誰一人とし  て事業が成功に結びつかず、酒にひたって息子と喧嘩した挙句、息子が投資対象で船を  売り、べつの小舟を買って漁に出るケースまで表れた。 五 おわりに-今後の課題
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64itumowaratte · 7 years
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ーー嘘を、吐いた。  其処は極楽に似ていた。釈迦は、信頼の置ける弟子と大勢の動物達に見守られて極楽へ逝ったという。それはそれは大往生だったで在ろう。私自身が釈迦の様に成れるとは思わない。けれど、そんな思い込みをしてしまいそうな程の微睡みに浸る時間があった事を、私は今生忘れる事は不可能で在ろう。 ーーだから、吐いた。 「京急電鉄なら品川までが往復無料のプランになっております」  地元のJRで空の旅宿泊プランを案内してくれたお姉さんから聞いた情報によると、そういうプランを選んだらしい。  しかし、羽田空港に降り立ったのは二回目。一度目は、小学四年生くらい。人生初の空の旅に胸馳せていた気がするが、羽田空港に飛行機が降り立つターミナルが幾つもあると知ったのは、つい先日である。事を晒すと、事前知識が何もない、ということである。取り敢えず下だ下だと、エスカレーターをずんずん降りてみたが、正直よく分からない。これぞ我が道と足早に歩く人波の中で、内心ヨットで太平洋横断を決意したものの標識のない水平線が前にも後ろにも広がってしまい途方に暮れた冒険者の気分である。しかし、私の前には人が居たので、船頭されるように後ろをちょこちょこ付いて回り、なんとか、迷宮・羽田第一ターミナルから、船を出すことに成功した。  しかし、往復切符の受け取り方は分からず、帰りは夕方5時の便にしておいて良かった……まだ明るいよな、と、この時考えた事が裏目に出るとは思いも寄らぬ出来事に遭うことになろうとは、この時は予想だになかった。  結局、品川まで、なんて糸目は付けなくてよくなったので、私は乗り換えの出来る限り少ない方法で、待ち合わせ場所の清澄白河駅へのルートを辿った。  本来なら、小一時間程早く待ち合わせに着くように飛行機の便を選んでいたので、遅れることなんてないとタカをくくっていたのだが、二時間近く飛行場を、それはそれはご丁寧に正真正銘の迷子であったため、もう、それはそれは急いでいた。急いでいるのだが、モノレールの存在を知るのは、まだ、先の未来である。  画して、旅慣れしていないわけではなかったので、乗り換えでトチる事はなく待ち合わせギリギリに、私は清澄白河駅に降り立った。  これから会うのは、ヒポポタマス。以降、かばさん、と呼ぶことにする。  かばさんとは共通の小説投稿サイト。まだ、SNSという文化はあったのかも知れないが私達はそういうものではなく、時折開催されるチャットと5日に一度だけ投稿することが許される、制限付きの小説投稿サイトで掲示板のやり取りだけの関係から十年。約十年の歳月を経て、メル友からmixi、Skypeで通話、twitter、LINE。関係も、やり取りを交わす場所も変えながら、変化の中で十年越しに2.5次元から、三次元の世界で会う約束を取り付けた。 「もうすぐ着きます……と思います……」  その返事に言葉がないことは此処一年程は普通であった、が、目がグルグル渦巻く進撃の巨人のLINEスタンプが返ってきて。……まさに、私も目が回っています!! と心の中で叫んだ、のだが。まさか、彼、かばさんの方も、脳内がグルグルだったとは……。 「〜〜っ! 間に合った!」  服装を事前に聞いていた上、改札口付近で立ち止まっている人が彼だけだったので私は迷わず、かばさんの元へ駆け寄った。 「あゝ、初めまして……かばさん……」  私の視界は、かなり歪んでいた。疲労、も、あったと思うが、それ以上に安堵から来る脱力で、なんで私はブーツを履いたんだ!? という選択ミスと痛恨の迷子。 「少し休みますか?」 「嫌です。美術館行きたいです……」  正直、休みたかったけれど、もうお昼を回って14時近かった。 「お昼、食べましたか?」 「……いらないです」  普段、まったく、本当に全然私に話しかけない、かばさんが、物凄く質問してくれる。  他人より何百倍も単細胞であった私は、かばさんの言葉だけでお腹はいっぱいになりそうだった。 「荷物持ちますよ」 「重いのでいいです」 「いやいや〜女性に持たせるなんて出来ませんよ」 「全然大丈夫です自分の荷物です持てます!」 「そんなこと言って長旅で疲れてるんでしょう?」 「……じゃあ、あそこの看板まで」  渋々渡すと、空いた手をぶらぶらさせてくれたので、嬉しくなって握り返してみました。  けれど、すぐに離されてムッとしたら、指と指を絡めて握りなおされてしまい。歩いてるんです。すごく真っ直ぐな道です。でも、石畳みというか、すごく凸凹していて。かばさんは、此処にも彼処にもと、小鳥の銅像。本当にリアルなスズメのような銅像が、電柱や電線に可愛らしく優雅に佇んでいる在りようを事細かに、それはそれは楽しそうに話してくれています。でも、小鳥も見えてるし、可愛いし、素敵なんですけど、それより、握りなおした直後の 「恋人繋ぎって言うらしい、ですね」  その言葉が嬉しくて、手の感触を忘れぬように忘れぬようにと念じていて、けれど、恋人繋ぎって普通に手を繋ぐのよりずっと体温面積が狭くて、ゴツゴツしてるのはわかるんです。わかるんですけど、ゴツゴツなんです。男の人の手って。 「すみません、私だけ盛り上がってしまって……小鳥の銅像とか普通ですよね」 「あの、違い、ます」  上手く言えないし、小躍りしそうだし、最強に優しいし、……付けてください。 「コレ……付けてください」  私の手には2つの赤いミニカーがあり、中には大きさの違うリングが2つ。 「絶対に左手には付けないでくださいね!」渡す時私は声を荒げてそういいました。 「何故ですか?」 「叶わなくなったら困るからです。結婚してないのに左手にすると結婚できないジンクスがあるんです」  私は有りっ丈の困る!を伝え、かばさんは、しかしソレでも 「んー試し。試しで左も」  この左手にも付けようとしている男を見て、あゝ胸糞悪い。男なんてこんなもんだよな。あゝそうだよ、こんなもんだよ。ジンクスとかそんなのに縛られないで、クッソ嬉しそうにしやがって……なんで嬉しいんだろう。聞いたら答えてくれるかな、いや、気づいてないだけかもしれない。目頭が少し熱くなった。LINE、でなら、話せるのに。思いついた事をぽんぽん飛ばせるのに、現実の私はかばさんより無口で、……勇気がなかった。  石畳みだからキャリーバッグのローラーがゴロゴロといい音が鳴りすぎて、持ちます持ちますといいながら小走りになってしまったのも、いい思い出。 「手荷物お預かりしますよ」  目的の美術館である。外装もさることながら、内装もかなり素敵である。  紅葉もチラホラ、11月だったと思う。けれど、とても暖かくて、コートを用意していたのだが、最後まで着ることはなかった。 「コレ、ヨーッホッホホぉ〜の人に似てませんか?」  実は道すがら、本当にこの道であっているのだろうか?と、かばさんに尋問していたのである。訊けば、かばさんも清澄白河駅へ降り立ったのは初めてらしかった。長い長い石畳みの端整な商店街である。物珍しいものも確かに沢山並べられていた、が!!私は美術館、どうしても、東京都現代美術館でみたいもの、というか、入りたい迷路があった。 私は、ヨーッホッホホの人と言った後は殆ど無口になってしまったと思う。 人が立つと動き出す絵とミュージック、最先端の光のアート、歩くと小学校のグラウンドに降り立ったかのような気持ちになる音の道。 ほぼ、ほぼ、もう、寡黙であった。そんな自信がある。寡黙な私にかばさんは楽しくないんじゃないだろうか?と、心配していたという。 進む先でこっちは?こっちは?と、迷子にもなった。 それでも、私の入りたかった超立体繭型迷路!には、辿り着いた。 「別料金かかりますか?」 嬉々として話しかけた学芸員さんは、そのチケットなら不要です。 私は障害者である。障害者と付き添い、という形で、殆どの美術館に私は無料で入ることが出来るのだ。 そそくさとブーツを脱ぐと普段履きなれない靴で普段より多く歩いてしまったため、軽く血が滲んでいた。が! いいのである。今日、ここに来れてこの立体繭型迷路に入り込むことが目的であったのだ! 「行きますよ?」 手を差し伸べてくれるかばさんは、本当に、かばさんなのか?別人と会ってる可能性……?いや、しかし、私の知るかばさんはかなりの厨二病である。間違いない。ここに来るまで、駅からずっと、本当にずっと手を繋いでくれているのも、厨二であるが故、ラノベの主人公にでもなってくれているのだ。繭型迷路は人ひとりがやっと歩けるスペースに柔らかい半透明になるくらいの弾力がある布が体をすっぽり埋めるように構造されたトンネルである。足元の板は構造を変えるのに必要で、何度も曲がり角があった。かばさんと手を繋いで繭の中へ、床板はパズルのようになっていて、数字が書いてあった。ずんずん進んでいくかばさんに、ちょっと待って!「まってまってー!」手が引っ張られて繭を破りそうだった、少し足も吊っていた、そして小躍りしそうだった。 「145!」 言った言葉に、 「それ、私も言おうと思ってました。床のパズルの数ですよね?」 考えていたことが同じだった。共有できてよかった。私は心底そう思った。 かばさんは、美術館という所がどんなところか知らなかったらしい。 此処は東京都現代美術館。ここでは、この頃、個人映画撮影。というのもやっていた。五人くらいの人をランダムに集めて館内に、セットをいくつか用意されている中で一つの映像にしていく……私が急いだのはコレに参加したいがためだった。が、結局、間に合う��とはなく、ひたすら羨ましい〜〜と思いながら、ホームレスの小屋。みたいなセットでダブルピースをしてみせた。 「ええ、折角のセットでそれ選びますか?」 かばさんは、AVの見過ぎで、あそこのキッチンのセットで私が裸にエプロンでもすると思ったのだろうか? フッフッフッ、残念だったな!私は秘密基地っぽいのが好きなんだ!狭いところ上等! しかし、私がすっぽりおさまると私も〜〜と言って一緒に記念撮影してしまうのだから、本当に嬉しかった。 美術館を出ながら、ぐあ〜〜やばい。眠い疲れた。ゴッホの玉ねぎスープ食べたい。この頃、某スープ専門店では、ゴッホの玉ねぎスープという、お店でしか食べることができない。冷凍のパウチで販売されてない期間限定メニューがあった。そもそも、某スープ専門店のスープは、家で食べるより某スープ専門店のお店で出しているスープの味が最強に美味いのである。何を入れているのか分からないが、最強に美味いのである……。 出てすぐに、ベンチに座った。 やたら広い公園のベンチである。 空気が甘かった。 私が鈍感であったなら、どれ程良かったであろう。そう思いつつも、私は空気を、変えよう変えようとばかりに焦っていた。 「ジュース持ってきました」 空港の持ち物チェックで毎回エラーを出してしまうのだが、とりあえず、取り上げられなかった。カボスと粒みかんの、つぶらなカボス、というジュースを渡した。 ごくごくごく。 かばさんは凄い勢いで飲んでいる。 「喉乾いてたんですよね、ありがとうございます」 そうか、喉乾いてたんだ……。 「暑いですよね、11月なのに」 「先週は少し寒かったですよね」 かばさんは少しゴソゴソして、可愛らしい袋から、重厚な感じの箱を出した。 んん? 「何ですか?」 私が、んん?と思ったのには幾つか理由がある。先ず、コレは一度開けられたことのあるものだということ。多分、私に買った。というより、自分に?もしくは、他の人へ買ったんでは?と、思ったということ。と、あまりにも、高級そう、に、見えた。 開けたら増す増す 「コレは、い、い、頂いてもいいんでしょうか?」 万年筆だった。 かばさんが、泣きそうな顔をしていた。 「試し書き、してください」 紙を渡された。 あ、い、うえお。 「難しいですね」 本当に難しかった。 好きだと書けなかった。 アイシテル、なんて陳腐な言葉が浮かび、ーーあ、い、まで書いて、うえお。にしてしまった。 「その紙、欲しいですかーーって言ってもあげませんが」 私が試し書きした紙をササッとかばさんは取り上げて、今度は袋を突き出した。 水色の可愛い袋の中には、可愛くラッピングされたモフモフが入っていた。 洗顔とかの時に使うバンダナ?のモフモフバージョン。 「もう持ってるかも知れませんが」 その言葉にかぶりをふった。私は普段から化粧をしないし、顔を洗うのも正直好きじゃなかったからいつも前髪は濡れっぱなしだった。もっと言うなら、寝間着のうちに顔を洗わないと、胸元も腹部や肩まで濡らしてしまうほど、洗顔は苦手だった。 「ありがとうございます」 一生大事にする。そう、思った。 一生大事に、そのためには空気を変えなければならなかった。 いや、変えなくてもいいかも知れないけれど、変えようと、変えた方がいいと、私の頭と身体はちぐはぐで、身体はかばさんの手を握っていた。口ではーー 「今日で、最後です」 最初で最後です。 「我儘を両親に言いました。最初で最後にするから。東京へ行かせてくれ、と」 だから、最初で最後です。 かばさんの眼の中に溜まった水分の意味を知りたかった。 知りたい。と、思いつつも、もう最後にしようとする決意は揺らがなかった。 清澄白河駅までの道がわからない! 二人で迷子になりながら、手は繋がれたまま、東京タワーへ行った。 まさかーーとは思ったが、寿司トラが止まっており、私の地元名産のごまだしが、かなり高価な値段で振舞われていた。 ぼったくりだーーとは思ったが、一杯400円は、都会では普通らしかった。 他にも、やせうま、琉球……完全に地元食材を前にして、私は言葉も出なかった。 かばさんは何故かごまだしの瓶を買った。 「出来上がったものがほしかったんですけど……」 いやいや、エソか、アジか訊かれてる時点で瓶でしょ……とは思ったが、物凄く恥ずかしいことに、寿司トラの方々は殆ど顔見知りである。少し嘆きながら「……うどんを一杯ください」 あんた、都会に来てまで、ごまだし食うんかね? もう、そげんなら出て行かんでんいいやないけん。 とりあえず、去りたかった。 「どうぞ」 その言葉と共にかばさんは、ずずず〜〜とごまだしを啜ってしまった。 「実は、昨日の夜、徹夜で呑んでいて……ずずず、朝吐いて、ずずず、熱もあって」 なるほど、それで、汗が出ていたのか。多汗症、なのかと心配した。と思って、風邪をひいたら、ごまだし、を食べる私は少しホッとした。 そして、まだ食べたい!やせうまって何ですか?琉球って何ですか?というかばさんをひこずるようにして、東京タワー登って、夕飯食べたら帰りましょう。 実は風邪をひいていたのは、私もなのであった。 まあ、万年風邪をひいている状態なので、普段と変わらないと言えば変わらないのであるが、病院に祖父の見舞いに行けば結核菌を貰ってしまったり、船に乗っただけで、マイコプラズマウイルスを貰ってしまうことがあるので、旅先には体温計と解熱鎮痛剤、色々常備している。 風邪引き二人。 ぎゅうぎゅう詰めになりながら、東京タワーを登るエレベーターに並んだ。 私達は手を繋いでいる。 右手の薬指にはペアリング。 それでも付き合っている訳ではない。 お手洗いに並んだ。 ジャズシンガーだろうか?歌が聴こえた。切ない恋の歌だった。 「ソフトクリーム食べませんか?」 沢山味があったが、私は、ソフトクリームにあまりいい思い出がない。 「二人で一つにしませんか?」 先程のように食べてくれると助かる。 「バニラで」と、頼んだ。 少し予想はしていたものの、ストロベリーのイチゴ味のソフトクリームと、バニラのソフトクリームを持ってかばさんは現れた。 「ふ、ふたつ……」 「いやぁ、どうしてもベリー系には弱くて」 そうであった、かばさんは甘いものが好きなタイプの男性であった……。 食べ比べてもやはり、バニラが乳脂肪分が多いのか、はたまた、ホワイトチョコを混ぜているか……私の舌センサーが、甘いのはムリ!甘いのはムリ!と、嘆いていた。 東京タワーに登る途中のクレープ屋さんから、かばさんは甘い物を欲していた。 クレープ……。 結局、私は「太ってるけど、おやつは唐揚げ派なんです……」という、カミングアウトをし、かばさんは、頑張って?、二つのソフトクリームを食べあげてくれた……。胸焼けしないのかな。。 ちなみに、私の地元では、唐揚げに学割があるので、100円ちょっとでお腹一杯になるほどモリモリなお店が多い。某電気屋の唐揚げ屋さんは鶏皮タダというのが……。まあ、今はそんな時代ではないかもしれないが。 「下にさがりますか?」私の言葉に 「私もお手洗いへ行きたいので、ちょっと待って貰っていいですか?」とかばさん。 「いいですよー」 周りはカップルばかりであった。 夜景が明るくて、もう戻れない。みたいな歌詞の歌声が、戻れない、戻れない、戻らない。私の頭の中で水になりながら、マンホールの下、重厚な蓋で締め切られた地下水のように、静かに、ただ、静かに。思い出、に、変えようとしていた。 今、現在進行形であるにも関わらず。 「ひゃっ」 私は背中に熱を感じてビクついてしまった。振り返るとかばさんだったことに安堵した。 安堵したら、さっきのは何だか抱きしめられたのか、と、思った。と、言いそうになったが、やっぱり何も言えなかった。 ぎゅうぎゅう詰めのエレベーターの前にぎゅうぎゅう詰めで並んで、顔が物凄く近かった。 「あの、あの、化粧品が臭いかも知れなくて、煎餅みたいな匂いがするアイプチで、体臭とか、口とか」 沢山言い訳するのに、かばさんのこの厨二は、顔をどんどん近付けて、クッソ野郎ー!キスしたくなるから近づくんじゃねーよ!心の声は言葉になることはなかった。 とりあえず、迷子にも程がある迷子二人である。絶対に某スープ屋さんでゴッホの玉ねぎスープ食べたい!と言った私の言葉はとうとう叶うことが無かった。 池袋のヒカリエのデパ地下で迷い。迷いながら、某スープ屋さんの冷食パウチを購入。 「どうやって食べるんですか?」というかばさんの言葉に、ポットに突っ込むんです。と、普通に言ってしまった私、消えたい。 そして、池袋のロッカーでどこのロッカーを使ったか分からなくなり迷った我々、最強に迷子だった、な。 「どこに泊まるんですか?」 「三軒茶屋の近くのホテルっぽいです。三軒茶屋がどこか分かりませんが……」 「丁度帰りの駅なんで送りますよ」 「ありがとうございます……」 もう、デート終わりかぁ、てか、早く風呂入りたい、寝たい、疲れた。 「明日も、会えますか」 訊きながら、そう言えばかばさんは風邪だった、とか、思ったが 「もちろんです」 思いのほか、早く答えが返ってきた。LINEでは既読になるのも、待ち長いのに、今は話せば答えが返ってくる。幸せだなぁ。 電車に乗り込んで安堵していた。 思えば、今回の旅行はずっと電車は空き空きだし、石畳みの道も二人の空間で、東京に来て人が多いなぁ、と思ったのは、東京タワーくらいだった。 仄暗い空間の中で、周りには多勢の人がいるのに、私にはかばさんしか見えなかった。 子連れの妊婦さんであったと思う。 そんな人が乗って来たので席を譲ろうとすると、かばさんは「長旅で疲れているのに席を譲ろうとしてはいけません」肩を持たれて、動けなかった。 と、同時にマンホールの下の地下水に流し込んでしまいたかった、水が、蓋を抉じ開けようするがごとく込み上げてきた。 手はまだ握られている。 美術館前の公園のベンチで、かばさんの眼は確かに赤かった。 徹夜で呑んでいたからかも知れない。朝は吐いたと言っていた、風邪から来ているものかも知れない。 あの空気は、もう無い。 明日は、ミュージカルを観る予定にしている。12時からある。 お昼、どこに行こう。 最後にお茶を買った。ホテルへ入る前、手はほどいた。 かばさんは思いの外、大胆に、ホテルの中へ入っていった。チェックイン?そんなものはしてない。 カウンターの男性は一人。 私は見上げた。礼拝堂でイエスキリストの十字架を、祈るようにカウンターの男性を見上げた。 「あ、朝は混むので……」 タベナイデクダサイ、カタコトだった。 「ありがとうございます!」 部屋には寝間着が二つあった。歯ブラシも二つ。扉を閉じて一言。 「二人分払うことになるかと思いました」 「いえいえ、私はデリバリーなので」 もう、かばさんの思考回路がわからなかった。 並んで座ってみた。 少し近付いてみた。 交わす瞳だけで、何も言わなかった。かばさんも、何も言わなくなった。接吻を、私は、接吻をしてみた。 そこから先は、かばさんがリードする様になったので驚いた。驚いたまま、私は極楽へ行く。 息ができなくなるじゃ無いかというくらいかばさんから口付けの雨を受けた。 私は、こんな別れがあるのか。と、最後になるのに。私は女の子習慣だった。素股で終わりかぁ、汗だくのかばさんを見ながら、ーー好き。 すき、すき好き、あゝ、今いちばん近くにいるのに、上に体温を感じるのに、遠い。 明らかに泣いていた。 「すっき、ふっきつ、ふっ〜〜っ!」 ふぁっ!? 上でなぞられていたものが、ナカに入った。 ゴムは?女の子だよ?痛い、苦しい……たくさんある感情の中で、ーー嬉しい。 重いヒトツキだった。身体総てが持っていかれるような感覚だった。 ーーかばさんとの子どもが欲しい! 私は願った。 禁忌に近いと知りつつ願った。私の子は、私を受け入れてくれるだろうか。五体満足に産まれるだろうか。迫害をされないだろうか。かばさんは幸せになるだろうか。 極楽だった。 我が家は浄土真宗ではない。禅宗である。俗世間と離れ、俗物に興味を示さず、質素倹約を志す、禅宗である。 戒名とは、戒めの名前である。生きている内に戒めを護って生きたのであれば本名のままでもいい。 けれど、私にはかなりの戒名が必要で在ろう。そう思った。 嘘を、吐いた。 帰り際、12時から始まったミュージカルは4時半頃終わった。 帰りの飛行機は5時。 かばさんは最後まで見送ってくれた。モノレールに乗り、羽田空港はすぐだった。土産物なんて買う暇は無かった。 道が分からずに迷子ばかりになる二人だったのに、かばさんに迷いは無かった。 最期に赤いミニカー型の指ケースを返された。 「最期、だから」 他の人に渡して。 その言葉に涙が溢れた。 「ナマとか嫌だったのに」嫌じゃなかった。嬉しかった。女として、喜ばしい。 「ひどい!」酷くない。ーー女として、喜ばしい。 「セフレなんだ!」違う。ちがうちがう。 飛行場へ向かうモノレールで見た夕日は、雲は、エターナル。 「かばさんかばさん!エターナル!」 「なんですか? ソレ?」 「えー、SEなのに、∞に見えるじゃないですか!」 雲の形は∞だった。 「どうせ私はセフレなんだ」 ーーどうせ私はひとときの関係なんだ。 欲しかったのは、たぶん、美術館前で遮った言葉。 ∞。 ∞の愛が、ヒトトキでいい。 愛は言葉である。恋愛は���ただ、ただ、恥ずかしいものだ。 私は、嘘を、吐いた。 あの極楽へ行けた瞬間を、そんな時間があったことを私は、今生、忘れることは不可能である。
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lostsidech · 7 years
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1:Roughly always like this(後半)
 うす暗い部屋を不安定に照らし出す二種類の光がふっと消えた。
 目を開けると和装の少女は機嫌よさげににっこり笑ってみせた。
「受け渡し、発現速度、練度、競合限界。いつも通りじゃな。問題なし」
「意味あるのか、この確認作業? 俺に何かあったらお前には分かるだろ」
「即効性であればな? お主の中に潜在する罠、たとえば身体に仕掛けて徐々に発現を阻害するような術式であれば先に芽を摘める。十(とお)が十ではないにせよ少しでも役立つのなら損はないじゃろ」
 少女は流れるように喋りながら、床に敷いていた柔らかい布で、その上に載せられたガラスの球を取り上げる。両手に収まる程度の大きさのガラス玉には茫洋と漂う怪しい光が二筋ぶん込められている。それぞれ仄かな金色や紫くらいの色に朧に見えていて、しかし時間が経つごとに混ざって透明に溶けていく。
 協会式ペタルの可視化に関連するかもしれない。じっと観察する望夢の目の前で少女はガラス玉を布に包んでしまった。
「それにこうして貯蔵しておけばお主が突如失踪した際の保険にもなるしな」
「それが第一目的じゃねえの?」
 顔を上げてジト眼で指摘すると少女は怪しい鼻歌だけで答えなかった。まぁ、いいんだけど、とりあえず今後失踪する予定はないし。望夢は軽く溜息を吐き、畳の端を降りた。棚に挟まれた細長い「会長室」には奥の一角にのみ畳が敷かれている。
 スニーカーの紐を結んでいる間に隣を身軽な少女がすり抜けていく。
「せっかくじゃ、休んでいけ」
「気が休まらねえ……」
「それは礼儀上の遠慮と受け取るべきかの?」
 圧を感じる笑顔で混ぜっ返しながら、少女が部屋の隅の扉を開いた。眩しさにあてられるほどの明暗差をもって隣の「会長室」から光がなだれ込んでくる。念のため、隣が特別明るいのではなくここが暗すぎるだけ。
 表裏かかわらず「会長室」でくつろげる気がしないのと、まして望夢はここでいわば監視されている身なのだった。潜在的には一年と九か月、日参が始まってからは約二か月間。三月、超常異能者保護教育協会と異能秘匿派との衝突の引き金を引いて以来、望夢は毎日会長室に呼び出されて検診を受けている。秘匿派を誘く疑似餌としての役割は、正面衝突を済ませた時点で終わりというわけだ。
 遅効発現だとか色々言うが、どう考えても第一には自分が彼女を裏切ることが警戒されている。高瀬望夢の現在の立ち位置は一にも二にも彼女の異化力(ペタル)供給源である。
「連日お疲れ様です」
 会長室の机で我が物顔にコーヒーを淹れながら会釈してきたのは会長秘書である。どうも、とか適当に挨拶して視線を逃がす。綾織杏佳(あやおりきょうか)という仰々しい名前のこの会長秘書を望夢は微妙に避け続けていて、というのは自分についてどう思われているのかがよく分からないからだ。まともに話したことがないので下手すると「一度協会を逃げて次に会ったときは敵の先頭に立っていた子供」くらいの印象で止まっているかもしれない。今さら否定するのも気まずいし。
「そうだ、春(はる)姫(き)、」
 逃避半分に呼びかけてまだちょっと口がむずむずした。
「俺のペアのほうは?」
 奥の戸棚で上段に手を伸ばしていた少女が目をぱちくりして振り向いた。
「瑠(る)真(ま)がどうかしたか?」
 神名(かんな)春姫。似合うような似合わないような、かれこれ何年「神名」とだけ彼女を認識してきた望夢にはやや落ち着かない呼び名だ。
 それと、瑠真のほうも呼び捨て。気が付いたらこの状態だったので望夢のほうが呆れている。通例通り名だけでも都市伝説のように忌まれる『灯火』の生き残り、そういう知識が最初から抜けている彼女のほうが、面識一回で気軽に仲良くなってしまったというわけなのだった。
「俺はともかく、あっちには何もない?」
 不慣れを振り払って事務的に尋ねると、少女は重たそうな椅子の一つを棚の前に引っ張りながら杏佳を見た。杏佳は無言で肩を竦める。
「何かあると思うか。そもそもあやつが関わっていたこと自体大々的には広まっておらんのじゃぞ」
「……そうは思う」
「ならばまずは和んでおれ、お主が責任を感じるようなことは何もない」
 少女は言いながら棚の最上段の箱をようやく取り出した。浅緑色の紙に包まれた平たい箱。
 杏佳が半眼で突っ込んだ。
「それは御陵会長が取引先から受け取られたものですが」
「御陵(ごりょう)がなんじゃて? 妾の身代わりが受け取った菓子なら妾が受け取ったも同じよな」
 くっくっと性根の悪い笑い声を立てながら少女は椅子を飛び降りる。
「御陵氏も苦労なさいますね……」
「何を分かった顔で。妾は奴がほんの鼻たれ小僧の頃から世話を見ておるのじゃぞ」
 世間ではSEEPの三代目会長とされている老人を遠慮なく軽口に使いながら、春姫は小気味いい音を立てて包装紙を剥がしてしまった。
「ひぃ、ふぅ、みぃ……八」
 合点した顔をすると、何やら楽しげな足取りで菓子箱を放置して戸口に向かう。
「おい?」
 呼び止めると振り向いて「もののついでじゃ、もう一人おれば数が合うじゃろ」と笑う。望夢は思わず避けていると自認したばかりの綾織杏佳と目を合わせてから向き直った。
「俺、遠慮しなかったっけ」
「私も確認を取られた覚えはありません」
「堅いことを言うな。好意には甘えるものじゃぞ」
「あの、もう一人とは。人数合わせのためだけに誰を呼ぶ気ですか?」
「なんの、妾の繚乱式(りょうらんしき)を舐めるでない。局内を出歩いたと言うて騒ぎにならん程度の注目分散はお手の物じゃぞ」
「それ借り物であること忘れんなよ」
「分かっておる。恩に着るぞ」
 微妙に違う。無駄遣いを指摘したかった。それ以上突っ込む暇もなく少女は無駄に流麗に親指を立ててウィンクをし、軽やかな足取りで表の会長室を出て行った。後には脱力した望夢と綾織杏佳が二人で残される。もっとこう、他に色々やることないんだろうか裏の会長。
 脱力ついでに今さら応接用の高そうな椅子に行儀悪く逆さで腰を下ろすと、杏佳がちらとこちらを見やった。秘書の身で堂々と会長机に向かっている彼女も云々言える立場ではないような気もする。
「貴方には」
 杏佳が突然口を開いたので若干身を固くした。
「なんだよ」どう応じていいか迷った末必要以上に反抗的な口調になる。眼鏡の会長秘書がそれ自体を気にした様子はなかった。
「少々、驚かされています」
「……嫌味?」
「いいえ」
 我ながら図々しい顔で協会に居着いているなとは思っていたし、諦め半分で問い返していた。だが、杏佳は落ち着いた所作で首を横に振った。
「会長があんなに楽しそうな姿を、私はこの二か月に至るまで見たことがありません」
 望夢は眉をひそめた。話の流れが読めない。
「単純計算で十年のお付き合いですが、彼女は私と二人では気を許しません。一線を引いているのです。戯れているように見えても」
「あぁ……」
 分からないでもない。無害に微笑んでいても、彼女の表情の裏にはいつもなんらかの意図が見え隠れする。
「今も似たようなもんじゃないの?」
「言葉にしてしまえば同じかもしれませんね」
 相手の顔つきはどことなく寂しそうに見えた。寂しそう、という感覚が自分の中にあったことに望夢がちょっとびっくりする。
 会長秘書は微笑んで、
「やはり同年代の友人にしか引き出せない何かがあるのでしょうね」
「同年代って」
「外見と精神年齢が近いだけでも、まぁ」
 最後で釈然としなかった。いい話みたいな口ぶりだがやはり遠回しに罵られているのではなかろうか。外見はともかく精神年齢はどっちがどっちに似ていると言われたところで。
 ���夢はしばらく憮然と黙っていたが、やがて廊下で騒ぐ遠い声が聞こえてきたところで力を抜いた。ふと口元が緩んだことを自覚する。
「二か月前、って言ったよな」
 やはり外の物音に気付いた様子だった杏佳が望夢に注意を戻した。「はい」
「だったら、俺じゃないと思うよ」
 言うとほぼ同時に出入り口の扉が開いた。ほとんど体当たりのように駆け込んできたせいで閉まる扉が勢い余って反対側に行き過ぎる。息を切らしている新客の手を捕まえて春姫が悠々と胸を張った。
「ちょうど見かけたでな」
 迷子の猫を捕まえてきた、とでも言いたげな、自慢げな言いぐさだった。
「お菓子がある」
 新客の少女がひょこっと首を起こした。机の上に開かれている箱に興味を惹かれたらしい。望夢は首を振って歩き出した。
「俺、やっぱ帰る」
「あ、いたんだ、アンタ」
 菓子箱に気を取られていた少女の声音が一気に固くなる。こいつは平生観察力がないというかだいたい真正面以外には視野が狭い。
「阿呆、主の振る舞いを受けずに席を立つのは礼儀がなっとらんぞ」
「席についてないから」
 引き留めてくる春姫を適当にいなして振り返ると、過保護の会長秘書がこっちに口をぱくぱくさせて怒った顔をしていた。自分も文句を言っていたくせに結局付き合わせたいらしい。
 何か言いたいのかもしれないが、
「どうせ明日も来るだろ、俺は」
 瑠真と話してろよ。
 なんとなく、仲のいい女の子たちを邪魔したくない気持ちで後ろ手に扉を閉めた。自分が混ざる場所ではないと思った。
 ×××
 「よう分からんのう、お主ら仲良うなったのかと思えば」
「仲……は良くないんじゃないかな……」
 微妙な顔をする瑠真の右腕にくっついて納得いかなさげに揺れる扉を眺めていた春姫が、やがて気を取り直して動き始めた。
「杏佳は食べるじゃろ?」
                        「……まぁ、構いませんが……」
「そんな判子を押すだけの仕事など放っておけ。どうせ御陵から返事があるまで手が空くじゃろ」
 言いながら棚の一角から皿を取り出し、手ずから菓子を取り分け始める。瑠真は椅子の一つに勝手に腰を下ろすと机の上に脱力した頭を乗せた。
 ぱたぱたと動き回る少女の背中に呼びかける。
「春姫ぃ」
「なんじゃ」
 金色の両目が振り向く。変な感じがする、というのは分からないでもない。時間が経ってちょっとずつ客観視できてきた。
 なんでも知っている顔で黒幕ぶる少女にちょっと反骨心が湧いて、結局ぎゃふんと言わせたいつもりで友達みたいな名前呼びを始めたのだった。結果がこの通り、むしろ向こうがよく懐いた猫みたいな甘えぶり。ただし部屋まで呼ばれるときはご用心。たいがいろくでもない用事が最初にあるので。
「なんで呼んだの」
 柔らかい菓子の取り分けに悪戦苦闘していた少女がぴたりと動きを止めた。
 同じテーブルに近づいてきていた杏佳と少女が顔を見合わせる。
「もとよりお主ら両方に説明しようと思わんでもなかったのじゃが」
 すでに不穏な前置きが始まっている。瑠真は胡乱な視線を上げた。
「アイツに関係があるの?」
「ある……と言えばある。じゃがお主が第一人者かもしれぬな」
 眉根を寄せることになった。百個くらい爆弾設定を抱えていそうな望夢を差し置いて。
 目くばせがあった。
「杏佳、あれを出せ」
「はい」
 裏権力者たちが不穏なやり取りをした。杏佳が待っていたとばかりに席を立つと、ノートパソコンのケーブルを外してこちらのテーブルに運んでくる。瑠真は思わず顔を上げて姿勢を正す。
 お菓子の箱を押し退けてテーブルに鎮座したノートパソコンの画面をこちらに向け、杏佳がタッチパッドに指を滑らせて表示したのは、シンプルなテキストファイルだった。数字やアルファベットの並びで一瞬どこを見ていいのか目が滑る。
「これ……メール?」
「昨日受け取ったメールです。本部の問い合わせ用アドレスに放り込まれていたものですが、賢明な判断のもと何らかの脅迫文と受け取られた経緯で我々に回ってきました」
 杏佳の細い指がテキストにカーソルを合わせてスクロールする。日本語は最後にようやっと出てきた。
 瑠真の隣に静かに移動し、同じ画面を眺めていた春姫が、囁くようにタイトルを読み上げる。
「『くすりやにきをつけろ』」
「薬屋……?」
 音読によって奇怪な平仮名が頭の中で漢字に変換される。
 春姫は続けて本文を指さし、細い指先でなぞるように読み上げる。
「『彼らの占めていた場所はどう変わる? やがて気がつくだろう、彼らがすでに変容し、その手が矜持や解釈を失ったことに。気づいてからでは八方塞がり、三月の蜂火はやがて城の壁を取り巻く妖術となる、魔女は変化をもはや怖れない。ハイエナの目で迷うことなく城を見る。恰好の餌が子供たちの姿で出入りしているのだから。彼らを警戒せよ、真に仇為す者と目をつけろ。われわれは仲間としてこれを送り、断罪は甘んじて受け取ろうと思う。正しくこれが受け取るべき手に渡り、読まれることを願って記した。―匿名の友、魔女の敵より』」
「なんじゃこれ、ポエムか……?」
 中身が掴めなくて目が滑る。春姫はころころと笑いながら瑠真の悪口を半分肯定した。
「悪戯は実際絶えなくてな。自称世界の真理を悟った賢者だの、自称絶対平和のために資金を募る団体だの、我らがSEEPにはご執心でとんだ連絡がよう来るぞ」
「相手するの?」
「まさか。ワールドプレットも知らんで何が真理と平和じゃ」
 あっさり一般市民を切り捨てる春姫である。瑠真は頭の痛い裏側の話に辟易しつつ、
「それが私に何の関係があるの」
「まぁ待て。妾も常のくだらぬ遊びかとは思ったのじゃが、これに関してはやや内容が踏み込んでおる感を持ってな」
 春姫が数か所を指さすと、ご親切に杏佳がカーソルを合わせてマーカー色を引いた。
「『解釈』『妖術』『三月の蜂火』」
「……あ。三月って、もしかして」
「ご明察。少々解説が必要じゃの」
 春姫はくるりときびすを返し、お菓子の箱を開けた時の包み紙を裏向きにして広げた。ついでに手近な杏佳のポケットからペンを引っこ抜く(杏佳は慣れているようで反応しなかった)。
「この世界が複数の『解釈』を内包しておるという話は以前にしたな?」
「それが今言ってたの、ワールドプレットでしょ?」
「左様。協会は誰にでも理解可能、準備物不要、守備範囲全域の『開かれた』解釈を志向し、さし���たり八式カリキュラムに反映させておる」
 春姫は包み紙の真ん中にマルを書き、その中に「世界」と書き込んだ。続いて世界のマルに向かって矢印を引き、もう一つのマルを作って「協会式」と書き入れる。
「しかしお主も知っておるように、協会式に自らの解釈を吸収されることを拒み続ける潮流が、六〇年経った今でも絶えぬ」
「望夢のとことか」
「そうじゃな。まぁあそこは実質消えたと思って良いじゃろ」
 ものすごく雑な言い方で片付けている気がするが春姫がそう言うならそうなんだろう。春姫は世界のマルを半分に区切ると、協会式のマルがあるのと反対側を黒く塗りつぶして、その半分に向かってたくさんの矢印を書いた。なんとなく地球の公転と昼夜の図っぽい。
「このように、大まかに連中は協会が解釈する世界の反対側におる。ゆえに影になり人目は届かぬ。もののたとえじゃがな。ところがたまに例外がおる」
 協会の横にもう一つ、小さめのマルを作って、
「お主、ホムラグループと言ってわかるか?」
「えっ……なんか、聞いたことは……?」
「中学生だとあまり馴染はないかの。医療法人だと思ってよい、近年は医薬品を扱うところからの商社機能も強いが」
 杏佳が律儀にタブレットの画面を見せてくれたが、ヨットを模したマークや本社を見たところでピンとは来ない。どこにでもありそうな雰囲気の会社だが。
「実はそれも一種の解釈勢力じゃ。それも比較的大きな」
 春姫はぱちんとペンのキャップを閉めつつあっさりと種明かしをした。
「どういう……」
 眉を顰める瑠真の前を転がしてペンを返しつつ、
「気味が悪い存在じゃの。人心操作に長けた異能集団。自分らが表立って動いて波を起こすことはほぼないものの、何かが起こると必ず背後でかかわっておる。通説ではサンプルを取っておるらしい。何をするでもないのに血なまぐさい事件の実例ばかり集めて結局沈黙する、変態的な研究者の集まりじゃろ」
「待って。それが医療法人って?」
 嫌な予感を覚えて口を挟む瑠真に、杏佳が解説を加えた。
「ここで働いている方々のほとんどがそのような裏の姿など何も知らない一般の方々であることは協会によって確認済みです。会社はあくまで資金源であり隠れ蓑。妖術を用いた医療を行っているとは考えられません」
「じゃから妾らも、どこぞの秘匿派警察を名乗とった家も、一概に懲罰ができなんだ。躱すのが巧いのよな。『開放』以前から飛び回っとった羽虫の集まりが、『開放』後気づいたら名を名乗って、我らが協会体制に資金源を確保しよる。まァ妖術師という総称がよう似合うわ」
「『妖術』……」
 瑠真はもう一度メール画面を睨んだ。最初はただの妄言に見えた気取った文面が、徐々に文脈を為してくる。
「つまり、三月の騒動がそのホムラグループとかいうのにやっぱりサンプリングされてて、今度は協会を狙ってる……?」
「それだけで済めば良かったんじゃがな」
 春姫は乾いた口調で言った。
「何か変だと思わんか?」
「……」
「そう難しいことは聞いておらん。そうじゃな、たとえば、このメールの送り主は誰じゃ? 何を思ってこの文面で送ってきた?」
 反射的にメールアドレスに目が言ったが、匿名だけあり、ランダム生成と思しきフリーアドレスからは素性はほとんど伝わってこなかった。
「協会に味方をしたい……けど、素性も明かせない……」
「たとえば、グループに反発した社員の内部告発の類かもしれぬ。が、これで何が伝わるというのじゃ?」
「情報量が少なすぎます。この程度では親交を結びましょうという提案にもならない」
 杏佳が相槌を打った。そのあたりのことは知らないが、中身がよくわからないこと自体には異論がない。
「問い合わせに送って春姫たちにだけ届けたいってことは、確実に担当者が怪しむけど意味がわからない文面、ってことじゃないの?」
 自分の想像できる範囲だけでコメントすると、春姫が「それ」とでも言いたげに人差し指を突き付けてきた。
「つまり一種の暗号じゃな?」
「まぁ、そうなんじゃないの……」
「実はもう一段中身があった」
 杏佳がすかさずもう一つテキストを開いた。そこに並んでいた文字列を見て、瑠真の背筋が一瞬冷えた。
「『やつらが八月の女の子をつれてきた』」
 杏佳が淡々とその一文を読んだ。
「八月の女の子」
 嫌な予感がする。瑠真を呼びつけてわざわざこの話をするということは。
「なに、これそもそも?」
「まぁ、謎かけでもされているのかと思うてな。このメールは何という件名じゃ?」
「『くすりやにきをつけろ』……」
「タイトルどおり『く・す・り・や』の文字に『き』を付けて、もともとそれらの文字が『占めていた場所』にあたる文字数を順番に拾って読むとこれが出る」
 ふざけている話だが、それで文章が成立するならただの偶然ではないのではないか。もしこれが特定の誰かにだけ伝えたい内部告発のようなものだとしたら。
「美葉乃(みわの)……?」
 ずいぶん久しぶりに思える名前を口にした瞬間、視界がぶれて女の子の幻影が画面に重なるような気がした。七崎瑠真の取りこぼしの記録が。
「山代美葉乃さんは昨年八月、S県野古支局における研修修了会を最後に姿を消しています。しかも同日夜、彼女の姉にあたる山代華乃(かの)さんが故人となった。我々にとっても重大な出来事であり、八月というフレーズは彼女を想定するには順当な候補です」
 無機質な解説が淡々と鼓膜に入ってくる。ずきりと胸が痛んだタイミングが少し遅かった、説明を受け入れることがなんだか他人事みたいで自分を信じられなくなる。私はあの夏に残っているって決めたんじゃなかったのか。
「ましてや本文をそのまま読むなら三月の襲撃戦が触れられておる。もちろん前提として、そこにお主がおったことも、山代美葉乃がお主の友人であったことも、彼女の姉が高瀬家の間諜であったことも社会には知られておらん。表裏問わず。じゃがあの行方不明と、三月の事件、両方にホムラが関わっておるとすれば……」
 ゼロではない、と小声で呟いて、春姫は瑠真を見た。
「これをお主に伝えてどうしようというわけではない。少しでも足跡が見えたのなら伝えたかった。……望夢がそうせいと言うた。それだけじゃ」
 その声はどこか心配するみたいな響きを帯びていた。望夢が、というのはやや意識に引っかかった。���んの話だ。
 だがそのときの瑠真はすぐには他人に水を向けられなかった。必死で考えていたのだ。
 八月の夜、強い雨が降っていた。鮮明に覚えている。あのときから、雨が降るたびに思いを新たにするように努めてきたから。
 帰ってこなかった少女は何と言った。……あの子がホムラグループだかなんだかに関係があるとしたら、どうして協会からいなくなったと思う?
 あれが自分のせいだと思ったから瑠真は、己がどうあるべきかを決めたのだ。思い出せ。
 ×××
  中学一年生、八月。七崎瑠真は二年にわたる研修過程の修了証を受け取った。
一人前の超常師。それは証明のように見える、ぴかぴかした紙の筒だった。約束事は三つ。仕事の外では超常術を使わないこと。特別な力を使えることで、驕りたかぶって人を馬鹿にしないこと。それからもう一つ、当たり前の項目、人を傷つけるためにその力を使わないこと。
楽勝だと思った。いや正確には一つ目はすでに破りがちだったし、二つ目は実際にどういう心理なのか今一つ体得していなかったけれど。でもこれから七崎瑠真は一人前の超常師になるのだから、誇りと使命を以て約束の二つや三つ守り通すのは簡単なことだと思ったのだ。
想像できることは実現する。どこかヨーロッパの小説家かなにかが言った言葉が、おおむね講師たちがよく口にする協会の標語だった。
 暮らしていた小さな街には支局がひとつだけ。所属人数は研修生と認定超常師を合計して五人、それに指導官をはじめとする職員を足しても二十人に満たない。全員が顔見知りの窮屈な環境だったけれど、その中で特別にいつでも一緒にいるのは泣き虫の女の子だった。
「ねえ美葉乃、やっぱり春から東京行こう。本局のほうが大きいだけのことはあるよ。テレビ見た?」
 田畑の真ん中を走る一本道、白線の上でバランスを取りながら話しかけると、斜め後ろをついてきた友達は「うん」とあいまいな相槌を打った。
「ねえ、瑠真、わたし協会やめるかも」
「え」
 思わず振り返った拍子に足取りが崩れて白線を踏み外した。この線の上だけが海上に突き出ていて、あとは黒い海の底っていう設定だったのに。いや、そんなことはどうでもいい。
「あ……アンタ、協会で自分の不幸体質の謎を解くって」
「不幸体質なんかないって笑ったのは瑠真じゃない。このまま協会にいたって分からないよ」
「なんでいきなり諦めてるの? こないだの大人になんか吹き込まれた?」
 瑠真が立ち止まって通せんぼすると、車のすれ違いもできない細い道はあっという間に友達の足を止める。この何日か前に、瑠真は自分の知らない大人と話している美葉乃とすれ違っていた。それが誰なのか、美葉乃は一言も教えてくれなかった。
「いきなりじゃないよ、相談に乗ってもらって少しずつ分かったんじゃない。瑠真には関係ない、瑠真の知らないところでいろいろ考えてたの」
 最近の美葉乃はなんだか感情的になった。瑠真はぐうっと黙り込んだ。こんな攻撃的な子だっただろうか。ずうっと瑠真の手を握ってぴいぴい泣いていたくせに。いつの間に関係ないなんて言えるほど立派になったの?
 無性に腹が立ってきた。もらったばかりの修了証の筒を握りしめていた。
「あぁそう、じゃあもう私が守ってあげなくてもいいわけね」
 あのときの瑠真は、たぶんものすごく悪意に満ちていたと思う。白い線を踏み外してそのとき海の底にいたから、自分でも焦っていたのかもしれないけど。
 でも、その瑠真自身が理解できなくてびっくりしたくらい、美葉乃は奇妙な顔で笑った。全く同じ証書入れをお守りのように握りしめて、にっこりと笑った彼女の顔は冷たくて酷薄だったのだ。
「瑠真は何にも分かってないね」
 あのとき。
 他の誰かに言われたらそうしただろうに、逆上して彼女に掴みかからなかったのは、どうしてか。
 一つは、それでも守ってあげなきゃいけない友達だ、と思ったから。
 もらったばかりの修了証の、人を傷つける力を絶対に使わない、という重みも一つ。
 それから、きっと、これがいちばん大きかった。間をおかず瑠真の横をすり抜けて、勝手に去っていった彼女がどうしても、手を取って話して理解できる生き物には思えなかったから。
 彼女は、瑠真の知っている山代美葉乃だろうか?
 ぱたぱたぱた、と土埃だらけのアスファルトを蹴立てていく彼女の足音がいつまでも遠くならないような気がした。ずっと等距離で繰り返していた。むしろどんどん耳の内側に入っていって脳に張り付くように感じて、まだぱたぱた聞こえるな、と思ったそれはいつの間にか振り出した八月のスコールだった。
 すぐにざあっと雨脚が強くなり、慌てて支局に駆け戻った。知り合いの職員にタオルを借りた。ごわつく白い布を被りながら、真っ黒になった空を眺めた。美葉乃はどこだろう? ……あれ、私は今誰と話していたんだっけ。
 美葉乃は、確か、いじめられがちで、トラブル体質で、これってわたしの呪いだから、とか言っていて。協会にいたらその理由が分かるかもしれない、なんて意気込んだように呟く子で……人に食って掛かる子ではなかった。そうだった。それで良かった? ……想像できることは、それだけだろうか。
 美葉乃はそれなら、解けなかった謎の答えを探しに歩いているのだろうか……泳いでいる、のだろうか? 沈んでいる……のだろうか。この深海に沈んだみたいな世界の底を。
   翌日、町内の不穏な声とニュース番組のテロップに脅かされて山代美葉乃と姉と叔父叔母の家の戸を叩いたとき、その家には誰もいなかった。一つ屋根の下で暮らしていた女の子の一人が遺体で見つかったから。それは突然のことだった。とっくに調査に呼ばれていたのだ。
 半日立ったり座ったり、座り込んだまま舟をこいだりして待った。待っているうちに、山代家の叔父夫妻が帰ってきた。
 一緒にいたのは叔父夫妻だけだった。
『美葉乃は?』
『あなたのほうが知っているんじゃないの』
 知らなかった。何も分からないままだった。
 それ以上のことを何も聞く間がなく、残されたはずの山代家の叔父夫妻は、一両日のうちに地元を引き払った。「縁起が悪い」という理由で、野古という名前の故郷から山代の影は消えたのだった。
  ×××
  やましろ守、と春姫が呼ぶお守りがある。
 これは以前の依頼で見つけて以来、おそらく春姫が回収していたもので、望夢からぼそぼそ聞いた限りだと、美葉乃の姉が偽名で高瀬家に潜り込んでいたころに持っていた。おそらくあの雨の日に彼女が落っことしたお守りは、望夢や春姫に言わせると結構な「ほんもの」だったらしく、春姫のコントロールで瑠真も何度か守られたことがある。
「ヤマシロって何なの?」
「それが分かれば妾も苦労はせん。病の代と書いてあるからには厄除けに近いじゃろ」
 美葉乃は自分が不幸体質だと主張していた。もし力を持つお守りのようなものが、姉だけとはいえ代々受け継がれていたのなら、山代家には本当に何かしらの不幸、怨念、呪いのようなものがまとわりついていたのかもしれない。
 そのお守りが、今は瑠真の携行品になっている。
「お主が持っておるほうが順当じゃて」
 春姫は多くは言及しなかった。たぶん瑠真の安全云々の話をすると突っぱねられるのが分かっていたのだろう。ただ、あの姉妹の持ち物だから。だからこそ瑠真が持つべきだと、そういう口調で。
 だが、このお守りが春姫の手に入った経緯を知って以来、瑠真は一度としてお守りに力を注がなかった。
 連休明け木曜日。春姫の居室を後にして、物憂さを抱えて夕方の道を行く。この二ヶ月で知った色んなことが頭の中をぐるぐる回る。
 故人である華乃の遺品なら―そして、本当にこれを持つべきが美葉乃なのなら、瑠真が我が物顔で守られる資格はない。
 あのとき、何もわかっていないと笑われた表情の意味を、七崎瑠真は今も探している。 
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nakajimaster123 · 2 years
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⁡ 大好きな #町中華⁡ ⁡ #JR常磐線 #石岡駅前⁡ ⁡ #ヨット食堂 で⁡ ⁡ 食べ過ぎました🥢🈵😍⁡ ⁡ ⁡ ギョーザとモツ煮込みローマ風から始まり⁡ ⁡ 柿葡萄カプレーゼアイスクリーム添え、⁡ ⁡ 揚げ万願寺、ミックス焼きトンとつづき、⁡ ⁡ ちょっと休憩で、天津丼角煮ダレ。⁡ ⁡ ターサイ炒め、〆で博多焼きラーメン。⁡ ⁡ ヨット特製塩レモンサワーと共に⁡ ⁡ 大大満腹です。⁡ ⁡ いつも旨い料理をご馳走様です😋⁡ ⁡ ⁡ ⁡ #定食屋 #中華 #イタリアン⁡ #オリーブ油 #塩レモンサワー⁡ #barber #バーバー #ヘアサロン⁡ #理容 #美容 #床屋 #石岡⁡ #ダブルライセンス #ナカジマ⁡ #スキンフェード #フェード⁡ #濡れパン #お顔そりエステ⁡ ⁡ (ヨット食堂) https://www.instagram.com/p/CkPrSjMOsI-/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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hanaomusubi · 8 years
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とらいぽーらの新作帯留が届きました!ヨットの生地が閉じ込められています。可愛い〜♡他にもたくさん素敵なガラスカボションアクセサリーがありますよ。是非はこにわで実物をご覧になってくださいね〜。 第4回はこにわ〜和と人を結ぶ箱庭イベント 2017年3月4日(土)5日(日) 4日 11:30〜18:00 5日 10:00〜16:00 場所:むすび食堂(京都四条大宮) ランチ営業 11:30~14:30 はこにわブログ http://ameblo.jp/info-hakoniwa/ #はこにわ #はこにわ030405 #京都 #着物イベント #いちりん #ヒメノルミ #凛凛 #ち江す #ままめぞん #キモノココロ梅香 #むすび食堂 #着物 #きもの #kimono #陶器帯留 #まめるり #落雁アクセサリー #とらいぽーら #100人着付け #京都歴史町歩き #家紋研究家 #着物パーティー
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nakajimaster123 · 2 years
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⁡ 夏休暇の初日のランチは、⁡ ⁡ ここんとこ仕事も忙しいし、⁡ ⁡ 寝不足なのでパワーがつくもの⁡ ⁡ と考え、 #茨城県石岡市⁡ ⁡ #jr石岡駅前 の #町中華⁡ ⁡ #ヨット食堂 で #レバニラ定食⁡ ⁡ をいただきました🥢⁡ ⁡ ⁡ 一度素揚げしたレバーを⁡ ⁡ 甘辛く野菜と炒めた、町中華の定番⁡ ⁡ 間違いない旨さで、ご飯が進みます🍚⁡ ⁡ この甘辛い濃い味、⁡ ⁡ 今日の気分にピッタリでした😋⁡ ⁡ ⁡ ふと、レバニラとニラレバの違いは?⁡ ⁡ レバーが多めがレバニラ?⁡ ⁡ ニラ(野菜)が多めがニラレバ?⁡ ⁡ どうでもいいこと考えました😆⁡ ⁡ ⁡ これで猛暑日も乗り越えられます👍⁡ ⁡ ランチなのでビールが飲めないのが残念😁⁡ ⁡ ⁡ ⁡ #街中華 #定食屋 #中華料理屋⁡ #スタミナ #レバー #熱中症対策⁡ #ランチ #昼飯 #昼食⁡ #barber #バーバー #ヘアサロン⁡ #理容 #美容 #床屋 #石岡⁡ #ダブルライセンス #ナカジマ⁡ #スキンフェード #フェード⁡ #濡れパン #お顔そりエステ⁡ #スペインカール #ツイスパ ⁡ #スパイラル⁡ ⁡ (ヨット食堂) https://www.instagram.com/p/ChSNUMfL5wP/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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nakajimaster123 · 2 years
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⁡ メチャクチャ旨いよ~😋⁡ ⁡ ⁡ 電車で出掛けた時は、⁡ ⁡ 帰りに寄るのは、⁡ ⁡ #jr常磐線 #石岡駅前⁡ ⁡ #ヨット食堂⁡ ⁡ ⁡ 出足の定番の餃子はやめて、⁡ ⁡ こだわりポン酢の鳥タタキポン酢からスタート。⁡ ⁡ ほぼしゃぶりつく感じのアンコウ唐揚げ、⁡ ⁡ 塩味甘味のハーモニーのマンゴーカプレーゼ、⁡ ⁡ めんたいソーメン、イカ焼き炒めを食べ、⁡ ⁡ 最後は軽く、揚げたて龍蝦片(えびせん)。⁡ ⁡ ⁡ 町中華なのに、またしても⁡ ⁡ ラーメン、チャーハンには⁡ ⁡ たどり着けませんでした😂⁡ ⁡ ⁡ ⁡ #町中華 #街中華 #中華料理⁡ #中華屋 #定食屋⁡ #オリーブオイル #生ハム⁡ #こだわりの調味料⁡ #マスターがワイン好き⁡ #barber #バーバー #ヘアサロン⁡ #理容 #美容 #床屋 #散髪⁡ #石岡 #ダブルライセンス #ナカジマ⁡ #スキンフェード #フェード⁡ #濡れパン #お顔そりエステ⁡ ⁡ (ヨット食堂) https://www.instagram.com/p/CfswPo3uRfl/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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nakajimaster123 · 2 years
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⁡ 今月人間ドックが控えているのに、⁡ ⁡ #茨城県石岡市 #jr石岡駅前 の⁡ ⁡ #ヨット食堂 で飲んだくれちゃいました🥴⁡ ⁡ ☆苺のカプレーゼ(スペシャルバージョン)⁡ ☆ヤリイカ焼き炒めトマトソースSP⁡ ☆天津飯角煮ダレ⁡ ☆焼き餃子⁡ ☆モツ煮込みローマ風  etc⁡ (酔ってて写真無し料理多数😅)⁡ ⁡ いつでも大満足のヨット食堂。⁡ ⁡ これで肝臓の数値は❌決定ですね😆⁡ ⁡ ⁡ ⁡ #町中華 #街中華 #食堂⁡ #大満足 #ディナー #夕飯 #夕ごはん⁡ #barber #バーバー #ヘアサロン⁡ #理容 #美容 #床屋 #石岡⁡ #ダブルライセンス #ナカジマ⁡ #スキンフェード #フェード⁡ #濡れパン #お顔そりエステ⁡ ⁡ (ヨット食堂) https://www.instagram.com/p/CdNR8lGukpI/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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nakajimaster123 · 3 years
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⁡ 茨城県独自の緊急事態宣言がでましたが、⁡ ⁡ 宣言前の休日のディナーに、⁡ ⁡ #茨城県石岡市 #jr常磐線石岡駅前⁡ ⁡ #ヨット食堂 に久しぶりに行きました🌃🍴⁡ ⁡ ⁡ #桃のカプレーゼ⁡ 甘い果肉と生ハムに塩味、⁡ マスカルポーネチーズにタップリの⁡ スーパーエクストラバージンオリーブオイル⁡ ⁡ #よせ豆腐⁡ ヒマラヤ岩塩とオリーブオイルをかけて⁡ ⁡ #かつお刺身⁡ オリーブオイルわさび醤油⁡ ⁡ マス���ーがオリーブオイルにはまってて、⁡ ⁡ オリーブオイルづくしをいただきました😋⁡ ⁡ ⁡ でも、⁡ ⁡ ヨット食堂って「町の中華屋さん」だよねぇ~😆⁡ ⁡ でもどれもメチャクチャ旨いから、⁡ ⁡ どうでもいいか~😂⁡ ⁡ ⁡ めったにレギュラーメニューを⁡ ⁡ 食べたことないなぁ~😏⁡ ⁡ ⁡ #町の中華屋さん⁡ #休日のディナー⁡ #夕食⁡ #オリーブオイル⁡ #スーパーエクストラバージンオリーブオイル⁡ #ヒマラヤ岩塩⁡ #barber⁡ #バーバー⁡ #ヘアサロン⁡ #理容⁡ #美容⁡ #床屋⁡ #石岡⁡ #ダブルライセンス⁡ #ナカジマ⁡ #スキンフェード⁡ #お顔そりエステ⁡ ⁡ (ヨット食堂) https://www.instagram.com/p/CSL7R8ELgA4/?utm_medium=tumblr
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