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#刺身4点盛り
bontebok0 · 2 years
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さらに【夢庵 東村山駅前店】に吸い込まれて、『大海老天重膳』と、『刺身4点盛り』を食べました😋 ⭐️⭐️星ふたつでした🎉 #さらに #夢庵 #東村山駅前店 #大海老天重膳 #刺身4点盛り https://www.instagram.com/p/Cpp9u3yBfY1/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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hirotonagano · 1 year
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記録20230910
記録。
2023年9月10日@福岡国際センター
福岡県マーチングバンド・バトントワーリングフェスティバル マーチング福岡県予選を終えて
◎所感
大会としては6月の九州カラーガードコンテストぶり。 おおきな本番と言っても、国際センターなら申し分ない規模の大会だった。
久しぶりに2団体、3団体と関わらせてもらった大会で、学生の頃の全国大会や九州大会を思い出すような、 慌てつつも楽しい1日だった。 高校の部も全団体見れたし。
本番を見てても眠くなったり、いまいち集中できなかったりしたあの頃よりも少し大人になったなと感じつつ。 考えながら観るようになっている(正しくは、観る視点、考える視点や切り口がこの数年で爆発的に増えている)自分には少しびっくりもしている。
着実なものを観る角度の変化や増加によって、間違いなく自分はあの頃より強くなっている、という確信と 自分の視野(というより、創作という一種のオペレーションのうちとすると術野)の狭さを再確認した1日でした。
◎高校生
有言実行、の一言に尽きる。
技術指導は然ることながら、本当の役割は生徒のみんなにしっかり熱量の持ち方とか、 情操教育の部分を担うことだと思っている(立場や状況によってこのあたりは変わる)ので、このあたりはきちんと果たしたい。
今回に限っては、とにかく自分たちの置かれた現状を知ること。 結果は良かったにしても、どう捉えるかをきちんと会話しないと意味がない。 練習にしても、衣装にしても、楽器の扱いにしても、大会の会場に出たときに周りの団体や自分のチームの現状がどうその目に写ったのかが大切。
自分たちの現状が相対化されて、人の目に晒された時に起こる、ある種のハレーションが成長痛みたいなもので、真っ当に起きてほしいハレーションであることはもう言うまでもない。
とにかく、はやくメンバーと会話がしたい、と願うばかり。
やると言ったらやるよみんなで。 ここまでの結果は結果なので。次行こうぜみんな
◎Flare Colorguard
みんなのおかげで9年目。グッドパフォーマンスだったと思います。
みんなの姿は隣で見ている高校生達にとって間違いなく未来であり希望なので… という話を散々繰り返しながら、4人で安い焼肉を食べました。
観てるお客さんの顔がほころぶ様子は、観ててグッときた。 フロアの3人も楽しそうでなにより。
ここからは少し俯瞰して考えた話だけど 視点の違う、フロアと客席のインタラクティブなコミュニケーションをきちんと生んでいたな、と。 ただの拍手、ただの手拍子、と捉えてしまえばそれまでで。
そもそもの話になってしまうけど、今回本番はカラーガードチームの出演がFlareだけ。 普段やっていることの相対化、という目的も意味もなく、少し違う切り口できちんと見ておこう、ということは最初から実は決めていた。
フロアに立つ彼女たちがどう思うか、ももちろん大切なことなんだけど、 カラーガードチームの出演が1団体、という、お客さんの比較対象がプレイヤー自身や高校生の団体、にどうしても寄ってしまう状況の中で相対化された時 周りで見ている高校生や観客のレスポンスがどう変化するのか、が気になっていた。
もちろん、かなり長く続いてきた大会なので、ある程度客層や属性、いつもの盛り上がり具合、のようなものは前提にある中で。 コロナのような状況を経た変化も感じられるだろう、と踏んで本番を眺めていた。
最終的に昨日のパフォーマンスを経て感じたのは、次はこのインタラクティブなコミュニケーションの総量を増やすことよりも、より深くしていくことを考えたいなと。
退場まで拍手もらったのは昨日出演していた全団体で彼女達3人だけでした。誇らしい。
本当にありがとう。
◎UNIÖN
ドラムチームのドリルを書く、なんてもちろん初めて。 本当にみんなありがとう。 立場上、ここまでの時間でクリエイトとしてもっとできることあったな、と反省は残しつつ、というなんとも不思議な時間だった。
決して他意はなく、メンバーみんなの やりたいこと、かっこいいと思うもの、練習したいこと、見せたいもの、大切にしたいものがはっきりとしているチームの中で、自分の役割や切り口を見出すまでに少し時間がかかってしまったな、と。
みんなのカッコ良さ、やってる事の難しさ、楽しさ、熱量を、もっともっと見てる人に伝わるように、丁寧に翻訳すること。 視覚化することを通して、ある種のキュレーションのような(ただの一般化とはちがう意味で)役割を担うこと。 これは、あくまで目の前にしか素材がないことの裏返しでもあるし、決して言葉を交わすだけではなく 場に落ちている空気感とか、みんなの表情、音の状態と練度みたいなまるっとまとめて現場のコミュニケーションを通してしか汲み取れないものでもあるということ。
このあたりをきちんと認識、理解できることがスタートラインな気がしています。 みんながやりたい事と状況を理解しながら、丁寧にコーディネートしていくこと、といえばかなり解像度は落ちるんだけども、つまりは多分そういうこと。
また、新しい層に届ける、よりも今浅く刺さってる人にもっと深くUNIÖNが突き刺さるように、が先立って大事なことだと感じた日でもあった。 自分の練度もみんなのスキルや熱量にしっかり同期させて、楽しく過ごしたいな。
うにファンもっと増やすぞ!
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takahashicleaning · 1 year
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TEDにて
クリスタリナ・ゲオルギエバ:パンデミック後の世界経済を立て直すには?
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
コロナウイルスのパンデミックにより、世界経済は、大きな損害を受けました。
それを再び立て直すには、資金を最も必要としている国々にこそ、資金が届くようにしなければならない。そして、突発的な打撃からの回復力を備えた金融システムを再建しなければならない。
と国際通貨基金(IMF)の専務理事であるクリスタリナ・ゲオルギエバは言います(素晴らしい女性です)
そして、世界を回復と再生へと導くための大規模な景気対策の内幕を垣間見せてくれ、また、各国が、この「大変容」を抜けるまでに、さらに、パワーを付けておくには、どうすればよいのかを話します
この対話映像は、TEDの代表であるクリス・アンダーソンと時事問題のキュレーターであるホイットニー・ペニントン・ロジャースが司会を務め、2020年5月18日に録画されたものです。
国際通貨基金(IMF)は、新型コロナウイルスのパンデミック以前では、日本には、消費税増税と緊縮財政を一貫して主張していましたので、パンデミック以後に大転換を主張し、大規模な資金の供給で財政立て直しを行おうとしています。
(クリス)この役職に就いたのは、昨年の後半のことでしたね。それから、たった4か月で COVIDが到来しました。新しい役職に就いたばかりでとんだ歓迎を受けましたね。どう受け止めていますか?
(クリスタリナ)そうですね。行動することで気力を得ています。国際通貨基金では、この危機に見舞われた第1日目から前のめりで持てる力を尽くして、各国にライフラインを提供しており、人々や企業を支えています。すでに、90件以上もの支援要請を受けて 56の国々に緊急融資を提供しています。
(クリス)あなたは、このパンデミックを他に類を見ない危機だと言われています。どのような意味で「他に類を見ない」のでしょう?
(クリスタリナ) まさに文字通りです。まず、かつて例のないことに私たちはウイルスと闘い、人命を救うために意識的に経済に打撃を加えることに甘んじています。
企業には、生産活動を行わないように指示し、消費者には外出して消費をしないように指示しています。
国際通貨基金では、これを「大封鎖」と呼んでいます。
次に、かつて例のないことに物事が非常に急速に変化をし、実質的に世界中の誰もが影響を受けています。1月にはダボスを訪れ、3%を上限とする「芳しくない成長」について話しましたが、4月の春季会合では、すでに3%減でした。
1月には、160の国々で1人当たりの年間所得にプラス成長があると見込みました。今や170の国々で1人当たりの年間所得にマイナス成長が見られます。これを「大逆行」と 呼んでいます。大きな痛手です。
3つ目は不確実性です。私たちは常に不確実性の中で生きていますね。しかし、この状況では、新型コロナウイルスという不確実性を政策立案者らは組み込まねばなりません。国際通貨基金では、疫学的予測と従来のマクロ経済モデルを組み合わせて、不確実性の中を見通そうとしています。
さらに付け加えたいのですが、願わくば、峠を越えて回復に向かう頃には、是非ともこれに新しい名を付けて「大変容」と呼びたいと思います。世界をより良い場所にするものです。
(クリス)後で、そのお話を伺うのが楽しみです。しかし、危機に対応している今まさにこの瞬間に少なくとも豊かな国々で主要なツールとして、用いられているのは大規模な景気対策ですね。
何兆ドルもの規模です。これは賢い対策なのでしょうか?
(クリスタリナ)それは必然です。
国際通貨基金は、実は各国にこう伝えています「どうか支出をしてほしい。できるだけ多く支出してほしい」と。
現在もそうです。
付け加えるなら「領収書は取っておくこと。市民や納税者への説明責任は果たしなさい」ということです。
資金投入が必要である理由。
約9兆ドルもの財政支援が必要な理由は、経済が停滞しているときには何らかの支援がなければ、金融政策による刺激がなければ、数々の企業は盛大に倒産することになり、人々は失業することになり、経済に傷跡を残すことになるからです。
峠を越えたときに、この傷跡により、回復がずっと困難になります。
ですから賢い対策だと言えます。
また、主要経済の中央銀行が協調して動いていることが一助になり、金融政策による刺激は素早く効果を生んでいます。
このやり方なら、人々はこの非常に困難な時期を乗り切ることができるでしょう。
(クリス)ですが、効果はいつまで?
ある意味では「紙幣の乱発」とも言われています。
政府は国債をどんどん発行していますが、いつかは返済せねばなりません。
経済学で言うところのミンスキー・モーメントですね。
しばらく好況が続いて誰もがこう信じるんです。
この列車は走り続けるだろう。景気は循環するのだと。政府には、これだけ資金があるのだからと。
でも、どこかの時点では崩壊しませんか?ミンスキー・モーメントに近づきつつあるのでは?
「メアリー・ポピンズ」のマイケルが2ペンス硬貨をつかんで取り付け騒ぎが起こるような?現在の国際金融システムには、あなたが憂えるようなストレスがかかっていますか?これ以上の余裕はないのではと思われませんか?
(クリスタリナ)もちろん、これは永続はしません!
まず、私は科学者を信頼しています。
ブレイクスルーが訪れることでしょう。
また、ビジネスの世界においてもソーシャルディスタンスや感染拡大を防ぐための小規模な方策に慣れてくるでしょう。
医療システムにも、非常に大規模な資金投入がなされ、病院が助けを求める人々を実際に治療できるようになっています。
もちろん、この状況が、非常に長期化するならば憂慮します。
現時点2020年において、私たちの予測では、徐々に経済活動が再開されるだろうと考えています。
すでに多くの国々で起こっていることです。来年の2021年には、部分的な回復が見込まれます。残念ながら完全な回復ではありませんが、状況は良くなっているでしょう。
ここで役に立つのは、私自身は取り立てて好まないことではありますが、建設的だと思っていることです。
それは金利を非常に低くすること!マイナス金利もありえます。
そうすることで金融政策と流動性枠の導入が、何年間も維持されうるのです。
現時点2020年では、金利を上げる方向への回復の兆しは見えません。
より長い間、金利を低くとどめることは、この状況下にあっては役に立つでしょう。
(クリス)2008年の金融危機は、危うく金融システムそのものを崩壊させるところでした。
崩壊させたという見方もできます。多くの人の予測では、今回の状況は経済全体にずっとひどい影響を及ぼすと考えられています。
2008年の出来事で学んだ事柄で今のところ役立つことはあったでしょうか?
(クリスタリナ)世界が得た教訓は、金融システムは、よく吟味されねばならず、打撃に耐えうるだけの強さが必要だということです。
現在2020年、その教訓は、大きく役立っています。
銀行システムは、回復力を持ち、ストレステストにて、銀行以外の金融機関であっても問題を抱えることなく、どこまで耐えられるかにより注意を払っています。
こう申し上げましょう。世界を見渡してみると当時の最も重要な教訓は「打撃から立ち直る力をつけよ」でした。
それを実行した者は、よりうまく対応できています。
実行しなかった者が、より苦労を強いられているのです。
国際通貨基金で私たちが願っているのは、この危機を抜け出す頃には回復力の必要性という教訓が銀行システムにとどまらず、広く普及することです。
そうすれば、危機に対応できる考え方を持って今後、打撃を受けやすくなることを避けられない世界に備えられます。気候変動や地球全体の社会経済活動の密集度を考えると打撃は避けられませんから。
(クリス)あなたの役職では、発展途上国の国々の状況に特に注意を向けていますね。そういった国々は、非常に困難な状況に直面しているように見えます。
多くの国々がドル建てで大きな負債を抱えています。現在の危機にあって、そういった国々の通貨はドルに対して安くなりつつあり、求められる資金投入を行うことがほぼ不可能になっています。
豊かな国々が行っているような景気対策の自国通貨での資金注入ですね。どうやら、それしか手はないようですが、非常に危険な悪循環のように思えます。
この悪循環を断ち切る方法はありますか?
(クリスタリナ)そうですね。まず区別したいのは、強い基盤をすでに築いた国々です。
この危機にあって私たちの元には、様々なデータが入ってきています。多くはありませんが、予想外の良い驚きもあります。
そういった例が見られるのは、強い緩衝策や強い基盤を持つ国々であり、景気の良い時には、統制を強めてきた国々です。
ただ、確かに、新興市場や発展途上国の多くが複数の困難に直面しています。コロナウイルスの感染拡大に打撃を受け、多くの国では医療システムも脆弱です。
また、この危機に突入する前からの負債も多く抱えており、それによって、より困難な状況を強いられています(日本は、減税が良いのですが、偶然にも消費税増税で数年間の補正予算分を確保できました)
さらに、多くの国々は、第一次産品の輸出国です。第一次産品価格。
例えば、原油価格は、大きく値下がりしており、その打撃も受けています。多くの国々が送金に依存していますが、送金額は2~3割ほど減っています。
また、多くの国々が、観光産業に大きく依存しており、観光産業は最も大きな打撃を受けている産業のひとつでしょう。
ですから、これらの国々にはひどく辛い状況です。とはいえ、だからこそ当機関のようなものが設置されているわけです。IMFや世界銀行。地域の開発金融機関などは、この度の危機に直面して密接に協力しています。
IMFは幸いなことに、2008~2009年の金融危機の教訓から財政力を強化した状態で金融のセーフティネットの中核に構えておけるよう努めています。
当時、貸し付けできた金額の4倍の資金を貸し付け可能です。
2,500億ドルから1兆ドルに増やしたのです。もちろん、こうした資金を最も支援を必要としている国に展開しています。
なお、金融危機2008では、マイケル・メトカルフェも言うように、「特別資金引出権(SDR)」は、2008年に行われた緊急対策で、一国だけで行われたのではなく、驚くほど足並みの揃った協調の下に国際通貨基金(IMF)を構成する188ヶ国が各国通貨で総額2500億ドル相当を「特別資金引出権(SDR)」を用いて世界中の準備通貨を潤沢にする目的で増刷してます。
実践したことは、もう1つあります。
世界銀行の総裁であるデイビッド・マルパスと共に、最貧国のために、それらの国の二国間債権者に対して負債の支払い猶予を求めました。人々は「世界銀行とIMFは協力しない」と考えがちですが、この点においては、3月下旬に協同で要請をして、4月中旬には、G20各国が、この支払い猶予に同意したのです。
素晴らしいことです。主要10か国や中国。そして、湾岸諸国が、一斉に、最貧国の経済が停滞している時は、負債の支払いを求め、苦しめるべきではないと同意したのです。
(クリス)発展途上国の中には、ロックダウン政策を過剰に行っているところもあり得るでしょうか?すでに、市民の大多数が、生き延びるのに苦労している中で、家から出るなと命ずるのは死の宣告にも等しいのでは?
(クリスタリナ)そうですね。クリス。各国のリーダーと話す中で、非常に心が痛んだのは、彼らが直視することを迫られる決断が、人々がウイルスのせいで死ぬか!飢えにより死ぬか!という選択だというものです。
彼らにとっては、非常に葛藤を孕んだ状況です。自国の経済の大部分が形式に拠らないもので、人々が、日々その日暮らしをしている状況では、先進国で行っているようなロックダウンが適さないこともあります。
そんな国でも可能な範囲でのソーシャルディスタンスをとてもよくやっていると思います。
アフリカの多くの国では、非常に早い段階で予防措置を取り入れました。なぜか?皮肉にも、エボラの流行や以前の危機的状況から衛生について学びできることは、すべて行うという姿勢なのです。是非とも強調したいのは、こうした国々との団結がいかに重要かということです。
こうした国々にとって必要な時に、IMFが手を差し伸べるのはとても重要です。実際にそうしています。
(ホイットニー・ペニントン・ロジャース) ありがとうございます。素晴らしいお話ですね。コミュニティからの質問が届いています。
最初の質問は、ビル・エルカスさんから。先程、言及されたことについての質問で景気対策に関わるものです「それほど大規模な景気対策の資金注入ゆえにインフレが起こる見通しはどうですか?」
(クリスタリナ)現時点2020年では、先進国におけるインフレの心配はしていません!
大部分の新興市場を持つ国々でも同様です。ハイパーインフレが心配されるのは、元々の基盤が弱い国々であり、外貨へのアクセスのない国々です。
こうした国々にとって、危機に対応する唯一の方法は、IMFの支援か、中央銀行が、もっと紙幣を発行するかのいずれかです。
両方を並行して行うこともあります。
先進国でのインフレを心配していないのは、なぜかと言うとそうした国々は十分な金の準備に支えられた自国の通貨を持っており、短期流動性枠を設定しているからです。
しかし、それと同時に需要の大きな拡大が起こらないので、物価が高騰しています。
こうした国々にとっては、少なくとも見通しうる限りの将来においては・・・
例えば、変動相場制なので第二次世界大戦後のように、ハイパーインフレにはならないでしょう。
消費者は、そこまで積極的に消費を行わないので、需要はそこまで高くなく、また、こうした国々の社会システムは、政策の選択において大変成熟が見られる社会システムです。
より貧しい国では、市場へのアクセスもなく、容易に外貨に兌換可能な通貨を持たず、切羽詰まるあまりにどうにか十分な通貨を流通させねばならなくなって・・・
ハイパーインフレが起こることもあるでしょう。非常に極端な例はジンバブエです。他にもそのような国があるのではと憂慮しています。
このような理由から、こうした国々とは、早い段階で関わろうと努力しているのです。
また、負債を多く抱えた国々もそうです。国ごとに負債を立て直して、切迫した状態を生み出さないよう対応する必要もあるかもしれません。
(ホイットニー)なるほど。
もうひとつ質問を投げかけたいと思います。キース・ヤマシタさんから、この変化にどうやって参画すれば良いかについてです「あなたは、マクロ経済対策と資金提供をされています。庶民として、私たちは再生と回復にどうやって役立てるでしょう?」
(クリスタリナ)私たち全員にとって、非常に重要なのは、危機に瀕している時にこそ、団結が必要だという考えを持つことではないでしょうか?「皆、同じ状況にあって一緒に乗り越えるんだ」と声に出してそう伝えてほしいです。
私は、長い間。危機対応に携わり、そこで学んだことのひとつは大多数の人々が、前向きで心根の良い人たちだ!ということです。頼れる人たちです。悪意に満ちた怖い人たちは、少数でありながら声が大きいのです!
日常では声を荒げないような心根の良い人たちに声を上げてほしいですね「皆、同じ状況にあって、一緒に乗り越えるんだ」という空気を広げてほしいと思います。
(クリスタリナ)言わせてください。皆の力が必要です!様々な経験や知識や素質が必要なのです。男性も女性も協力すべきです。決断を下す際に様々な視点を組み込めるのは、素晴らしいことです。そうすれば、よりよい決断を下せる可能性が高くなります。ですから、お互いが必要です。
(クリス)では、IMFの役割についてお話しくださいますか?特に、この状況から回復を試みるにあたっての役割です。今後、前へ進んでいくうえで、IMFは具体的に何ができるでしょう?
(クリスタリナ) IMF独自の役割が3つあります。
これらは、どれも危機的状況においてとても重要なことです。
1つ目は、現在の状況とそこからどう進めばよいかについての適切な原因分析です。申し上げておきたいのは、今回の状況については、最初の数週間で、193の国々について、IMFの言うところの「政策トラッカー」をまとめました。
各国がどんな行動を起こしており、互いから何を学べるかを示すことでより効果的な判断ができるようにするものです。
さらに、今、まさにその目的のために責任の伴った経済活動の再開に向けた行動を追加しているところです。
IMFといえば、金融における緊急対応者です。最後の砦です。この途方もないほどの打撃に際して、非常に大規模な財政力で対応しています。
2つ目に、あまり知られていないのは、IMFには複数の手段があることです。
緊急財政支援については、今回、2倍に増やしています。無条件にです。
求めているのは、たった1点なんです。医師や看護師。病院に資金を回して、最も弱い立場にある人々と経済的に脆弱な部分を守ること。
これだけが条件なんです。
3つ目に、IMFが行っているのは 良い政策を実施できる余力を持てるよう支援することです。
金融危機の後でも、多くの国々が、適切な負債管理や適切な財務管理���透明性と説明責任を保って、国家財政の運営を改善できるようにしました。
ですから、IMFはこれと言って大規模な機関ではなく、3,000人規模の機関ですが、専門性が高く大変熱心に仕事をしています。「全員総出で」という表現がまさに当てはまります。デジタルですけどね。最近では総力を挙げるのもデジタル上です。
(クリス)これは世界的な危機です。
多くの人が憂えているのは、2008年当時とも違って、当時は国際協力も多く行われた印象がありましたが、やや不安なことに、今回は国際協力が、あまり起こっていないのでは?
現状を乗り切るために、国際協力がどれほど重要かについて不安はありませんか。
(クリスタリナ)私の権限と私の責任の範囲で、私が第一にすべきことは加盟国を団結させることです。ほぼ全世界の国々が、加盟しており、189か国が加盟しています。これまでのところは、加盟国の対応に 非常に���銘を受けています。
今春、私が提示したのは、危機に際して、IMFの役割を拡大するための数々の政策をまとめた強力なパッケージでした。
要請したものは、すべて緊急融資を2倍にするという要請も受け入れられました。
興味深いことに、条件付き貸し付けも3倍にするよう要請しました。
なぜなら、まさにウイルスの影響を一番受けるのは、弱った身体であるように、危機の影響を一番受けるのは、弱い経済だからです。
そこで、条件付き貸し付けを3倍にするよう要請し、たった1か月の間に実現されました。
債務免除のための資金についても実現されました。
ここで申し上げたいのは、世界をひとつにまとめるための方法に注力すべきだということです。
行動するのは、それからです。すべての物事が、本来のあり方ではないと不平を言うよりも国際社会に対する責務を果たすべきです。
(クリス)その通りですね。それに、IMFは、主要加盟国の財政に支えられていますよね。
(クリスタリナ)ええ。
(クリス)1兆ドルもの資金を必要としている国々に利用可能にするとおっしゃいましたが、色々と読んだところでは、その資金は、特別引出権というものがあるということですね。
加盟国から通貨を引き出すということですが、これまでにアメリカから資金調達を阻むような反発は受けませんでしたか?
(クリスタリナ)1兆ドルというのは、IMFの分担額と経済の発展した豊かな国々から資金を移動させる権限によるものです。
非常な低金利。または、ゼロ金利で発展途上にある市場に貸し付けます。
この1兆ドルについてあまり気づかれていませんが、興味深いのは、アメリカの2兆ドルの景気対策予算には、IMFの支援も含まれていたのです!
特別引出権は、全加盟国の同意をまだ得られていないものです。
2009年の金融危機で実施され、流動性枠を設定し、皆に行き渡るようにしました。
私を含め、多くの人々が、私自身、G20でお話ししましたが、今、実施すべきだという声が多くあります。
支持されるのには理由があり気まぐれではありません。
特別引出権の問題は、これを実施すると全加盟国に行き渡ることです。
日本を含む先進国の国々が、新たな割り当ての62%を手にします。
中には、それを問題視して「もっと対象をしぼる方法はないか!必要とする国々だけに届く方法はないか」という人もいます。
とはいっても、すべてが議題に上っているわけです。危機的状況が進むにつれて、もっと行動することももっと加盟国の協力も必要になります。
(クリス)ホイットニー。
(ホイットニー)ちょうど今のお話に関連する質問が届いています。ヤヴニカ・カーナさんの質問です「大変容において、回復力があると判明するのは、指導者が高い支持を誇る国か!財政システムの健全な国のどちらでしょう?」
(クリスタリナ)どちらも重要な点です。
強力な基盤を持っている国々は、もちろん基盤の弱い国々よりもこの危機的状況の中で受ける影響は少ないでしょう。リーダーシップも重要です。行動を起こすべく、国を動かす力は重要です。
私の考えでは、この状況が収束したときに勝者となるのは、現在の危機を機会でもあると捉えた人たちでしょう。デジタル化への変革が、大きな機会であることに間違いありません。
独占禁止法強化、基本的人権を尊重することが前提ですが、オンライン教育。オンライン政府。電子決済。電子商取引などに移行し、デジタルの力で中小企業を消費者と結びつけた者が勝者となるでしょう!
重要なので、もう一度言います。
独占禁止法強化、基本的人権を尊重すること。
2つ目に、私が願っているのは、この事態が収束する頃には、二酸化炭素排出量が減り、気候変動に耐えうる経済になっていることです。そのような方向に行動する人々は、世界全体にとってのリスクを減らすことになるでしょう。
気候変動という危機について、近ごろはあまり話題に上りませんが、危機がなくなったわけではありません。パンデミックに嫌気が差しているなら、気候変動危機にもなってほしくないはずです。それから、未来の経済について、いかに公平なものにできるかと考えている国々もそうです。
言い換えると、この危機以前に不公平さが高まりつつありました。パンデミックについて、研究してきた同僚は、非常に辛辣な教訓を与えてくれています。
パンデミックの後。H1N1インフルエンザやSARSやジカ熱の流行の後には、不平等が高まるのです。
この危機の後でも、不平等が高まるのを私たちは許すのか?私が思うに、この危機にある何千万人もの人々は、よりシンプルかつ、より公平で、より公正で、より持続可能な世界に暮らしたいと考えているはずです(警察機関の防犯カメラのプライバシーの侵害無しで、警察機関の職権濫用無しで、監視悪用無しで、マスメディアへの情報の無断横流し行為無しで)
(クリス)ふむ。
(クリスタリナ)それこそが勝者です。
(ホイットニー)そうですね。もうひとつ質問をしてから、クリスとのお話に戻っていただきたいのですが、サラ・ルグハイマーさんからの質問です。
質問はこうです「このパンデミックから、2~10年が経った世界でどんな前向きな変化が見られると お考えですか?」
(クリスタリナ)すでに少し言及しました。まず、期待しているのは、財政政策が、回復へと向かわせてくれること。環境にやさしい回復であり、なおかつ、公正な回復を目指すものになることです。これは、政策立案者たちの手中にあることで実現可能です。
2つ目に、私が願っているのは、国土の広さにもよるが、ネットを介した働き方について、この危機から学んだことを取り入れることです。私の率いIMFでは、現在、進めているやり方を持続させるだけで、二酸化炭素排出量を大幅に削減できますし、そうするつもりです。
必ずや将来、実現されてほしいと思うのは、今回の危機で不可欠だと分かった。2点にもっと注意を向けることです。
万人が、何らかの形で医療を受けられること。
つまり、強力な医療システムです(日本は、国民皆保険があります)
そして、強力な社会的セーフティネット。打撃を受けたときに自動的に事態を沈静化してくれるようなものです。
基本的人権を尊重することも。
さらには、このように実践する方が安く上がるのです。
各人の負担する費用はより少なくて済みます。
また、法人ではなく個人に投資するという考えが行き渡ってほしい。
今、私たちは悲惨な悲劇を目にしており、命が次々に失われています。
法人ではなく個人に投資こそが、できうる最良の投資なんです。
(クリス)ふむ。
(ホイットニー)その通りですね。
(クリス)ホイットニー。それでは後ほど、クリスタリナ。とても、あなたの活気溢れるお話には、とても元気づけられます。活力をもって事に当たっておられますね。この事態に直面している人々の多くは、IMFのトップの口からそのような言葉が強調されるとは思っていなかったでしょう。
「気候変動危機を解決しよう。不平等と不正を正そう」などとは、この瞬間。この危機を乗り切ることで、大変容へとつながると心から思っていますか?あなたはその立場にあるから、前向きなことを言うのだと思う人もいるでしょう。この事態を脱して前進する道が本当に見えていますか?
また、どれくらいの時間を念頭に置いているのでしょう?
(クリスタリナ)私自身が経験してきた変化から学んだことは、ソビエト型の計画経済から市場経済への変化と言うことですが、辛く、長く、痛みを伴うもので、一筋縄ではいかない道だ!ということです。
一気に、ここから目的地まで到達するような奇跡は期待していません。
しかし、心から思っているのは、今、私たちは歴史的転換点にあり!人々は自国の指導者たちから安全と安心を求めており、軋轢によって分断されていない社会システムを求めているということです!
これは何も珍しいことではありません。ですから、クリス。逆にあなたにお聞きしたいのですが、
戦争の後では、世界がひとつにまとまって、より良い世界を築こうとしますよね。
パンデミックもそうなりうるのでは?それでも、その正しい道を進めるようにする義務があるのです。
(合成の誤謬について)
合成の誤謬とは、ミクロの視点では正しいことでも、それが、合成されたマクロ(集計量)の世界では、必ずしも意図しない結果が生じること。物理学では、相転移みたいな現象です。性質が変わってしまうということ。
ミクロのメカニズムが個人同士の経済における仕組みであるのに対して、マクロのメカニズムは、国家間や経済全体の循環における仕組みだからである。
例えば、家計の貯蓄などがよく登場するが悪い例えです。前提条件が、所得が一定の場合!!所得が一定じゃない増加する場合は?これは、論じていませんので参考になりません!!(法人が提供する製品やサービスの価格も一定の場合も前提条件です)
1930年代のアメリカ経済が金融危機2008と似たような状態に陥った時、ケインズは、「倹約のパラドックス」というケインズ経済学の法則を発見しています。
それは、ポール・A・サミュエルソン(1915-2009)が、近代経済学の教科書「経済学」の冒頭で「個人を富裕にする貯金は、経済全体を貧困にする!(所得が一定の場合)」というわかりやすい言葉で表現しました。しかし、庶民の所得が増加し、貯蓄が投資、消費に回る場合には、「倹約のパラドックス」は生じません。
その後、この「倹約のパラドックス」は、アメリカの経済学者・ケネス・J・アロー(1921- )が「合成の誤謬」を数学的論理に基づいて「個人個人がそれぞれ合理的選択をしても、社会システム全体は合理的選択をするとは限らない」を検証してみせた。 要するに、部分最適ではなく、全体最適させていくということ。
つまり、新産業でイノベーションが起きるとゲーム理論でいうところのプラスサムになるから既存の産業との 戦争に発展しないため共存関係を構築できるメリットがあります。デフレスパイラルも予防できる?人間の限界を超えてることが前提だけど
しかし、独占禁止法を軽視してるわけではありませんので、既存産業の戦争を避けるため新産業だけの限定で限界を超えてください!ということに集約していきます。
なお、金融危機2008では、マイケル・メトカルフェも言うように、「特別資金引出権(SDR)」は、2008年に行われた緊急対策で、一国だけで行われたのではなく、驚くほど足並みの揃った協調の下に国際通貨基金(IMF)を構成する188ヶ国が各国通貨で総額2500億ドル相当を「特別資金引出権(SDR)」を用いて世界中の準備通貨を潤沢にする目的で増刷してます。
このアイデアの根本は、元FRB議長であったベンバーナンキの書籍「大恐慌論」です。この研究がなければ、誰一人として、変動相場制での当時の状況を改善し解決できなかったと言われています。
それ以前では、固定相場制でのマーシャルプランが有名です。
続いて、トリクルダウンと新自由主義
インターネットの情報爆発により隠れていた価値観も言葉となり爆発していくことになった。
しかし、法定通貨の方が、その価値、概念に対する通貨量拡大として価格で応じることができず、圧倒的に通貨量が足りない状況が生まれていたのが、2010年代の問題点のひとつでした。
リーマンショックの後に、新自由主義が誤りであることが、ピケティやサンデルによって指摘され、当時のFRBバーナンキ議長が、通貨供給量を大幅に増やした対策により、ベースマネーの金融、銀行間の相互不信を解消して収束した。
それでも、まだ足りないが、適正水準に収まったことで、さらに価値も増幅され、マネーストックの財政政策から再分配、事前分配を大規模に行い、さらなる通貨供給量が重要となっている現在の日本国内。
例えば
Googleがしようとしてた事は、まだ新産業として、基礎研究から発展できない機械学習の先端の成果をすべて持ち込んだ社会実験に近いこと。
シュンペーターの創造的破壊は、一定数の創造の基礎を蓄積後に、未来を高密度なアイデアで練り上げてから破壊をするのが本質です。
こうして、憎しみの連鎖や混乱を最小限にする。
アルビン・トフラーの言うように、法人と行政府とのスピードの違いが縮まらないのは、構造上の違いであって、それを補うためにプラスサムな連携するということが、必要になってくることを説いています。
三権分立が、規制のないGAFAMを非政府部門としてMMT(現代貨幣理論)からプラスサムに連携したらどこで均衡するのか?という社会実験も兼ねています。
このような前提で、あらゆるインターネット企業が、創業時、貢献するためコンセプトの中心であったものが、今では、悪性に変質して違う目的に成り下がっています。
再分配、事前分配の強化がスッポリ抜けてる欠点があり、ここに明かしたくないイノベーションの余地があります!!
2021年には、新自由主義のような弱肉強食では自然とトリクルダウンは生じないことは明らかになる。
確かに、トリクルダウンは発生しないが、法律で人工的に同じ効果は、貨幣の再分配、事前分配という形にできる可能性は高い。
再分配や事前分配をケムにまく「金持ちを貧乏にしても、貧乏人は金持ちにならない」「価値を生み出している人を罰するつもりがないのであれば税に差をつけないほうがいい」(サッチャー)
とあるが、新自由主義は誤りで、ピケティやサンデルによると違うみたいだ。
(個人的なアイデア)
さらに・・・
勝手に警察が拡大解釈してしまうと・・・
こんな恐ろしいことが・・・
日本の警察は、2020年3月から防犯カメラやSNSの画像を顔認証システムで本人の許可なく照合していた!
憲法に完全違反!即刻停止措置をみんなで要求せよ。
日本の警察の悪用が酷いので、EUに合わせてストーカーアルゴリズムを規制しろ!
2021年に、EU、警察への初のAI規制案!公共空間の顔認証「原則禁止」
EUのAI規制は、リスクを四段階に分類制限!
前提として、公人、有名人、俳優、著名人は知名度と言う概念での優越的地位の乱用を防止するため徹底追跡可能にしておくこと。
禁止項目は、行動や人格的特性に基づき警察や政府が弱者個人の信頼性をスコア化や法執行を目的とする公共空間での顔認識を含む生体認証。
人間の行動、意���決定、または意見を有害な方向へ操るために設計されたAIシステム(ダークパターン設計のUIなど)も禁止対象にしている。
禁止対象の根拠は「人工知能が、特別に有害な新たな操作的、中毒的、社会統制的、および、無差別な監視プラクティスを生みかねないことは、一般に認知されるべきことである」
「これらのプラクティスは、人間の尊厳、自由、民主主義、法の支配、そして、基本的人権の尊重を重視する基準と矛盾しており、禁止されるべきである」
具体的には、人とやり取りをする目的で使用されるAIシステム(ボイスAI、チャットボットなど)
さらには、画像、オーディオ、または動画コンテンツを生成または操作する目的で使用されるAIシステム(ディープフェイク)について「透明性確保のための調和的な規定」を提案している。
高リスク項目は、法人の採用活動での利用など違反は刑事罰の罰金を売上高にかける。
など。他、多数で警察の規制を強化しています。
人間自体を、追跡すると基本的人権からプライバシーの侵害やセキュリティ上の問題から絶対に不可能です!!
これは、基本的人権がないと権力者が悪逆非道の限りを尽くしてしまうことは、先の第二次大戦で白日の元にさらされたのは、記憶に新しいことです。
マンハッタン計画、ヒットラーのテクノロジー、拷問、奴隷や人体実験など、権力者の思うままに任せるとこうなるという真の男女平等弱肉強食の究極が白日の元にさらされ、戦争の負の遺産に。
基本的人権がないがしろにされたことを教訓に、人権に対して厳しく権力者を監視したり、カントの思想などを源流にした国際連合を創設します。他にもあります。
参考として、フランスの哲学者であり啓蒙思想家のモンテスキュー。
法の原理として、三権分立論を提唱。フランス革命(立憲君主制とは異なり王様は処刑されました)の理念やアメリカ独立の思想に大きな影響を与え、現代においても、言葉の定義を決めつつも、再解釈されながら議論されています。
また、ジョン・ロックの「統治二論」を基礎において修正を加え、権力分立、法の規範、奴隷制度の廃止や市民的自由の保持などの提案もしています。現代では権力分立のアイデアは「トリレンマ」「ゲーム理論の均衡状態」に似ています。概念を数値化できるかもしれません。
権限が分離されていても、各権力を実行する人間が、同一人物であれば権力分立は意味をなさない。
そのため、権力の分離の一つの要素として兼職の禁止が挙げられるが、その他、法律上、日本ではどうなのか?権力者を縛るための日本国憲法側には書いてない。
モンテスキューの「法の精神」からのバランス上、法律側なのか不明。
立法と行政の関係においては、アメリカ型の限定的な独裁である大統領制において、相互の抑制均衡を重視し、厳格な分立をとるのに対し、イギリス、日本などの議院内閣制は、相互の協働関係を重んじるため、ゆるい権力分立にとどまる。
アメリカ型の限定的な独裁である大統領制は、立法権と行政権を厳格に独立させるもので、行政権をつかさどる大統領選挙と立法権をつかさどる議員選挙を、別々に選出する政治制度となっている。
通常の「プロトコル」の定義は、独占禁止法の優越的地位の乱用、基本的人権の尊重に深く関わってきます。
通信に特化した通信プロトコルとは違います。言葉に特化した言葉プロトコル。またの名を、言論の自由ともいわれますがこれとも異なります。
基本的人権がないと科学者やエンジニア(ここでは、サイエンスプロトコルと定義します)はどうなるかは、歴史が証明している!独占独裁君主に口封じに形を変えつつ処刑される!確実に!これでも人権に無関係といえますか?だから、マスメディアも含めた権力者を厳しくファクトチェックし説明責任、透明性を高めて監視しないといけない。
今回、未知のウイルス。新型コロナウイルス2020では、様々な概念が重なり合うため、均衡点を決断できるのは、人間の倫理観が最も重要!人間の概念を数値化できないストーカー人工知能では、不可能!と判明した。
複数概念をざっくりと瞬時に数値化できるのは、人間の倫理観だ。
そして、サンデルやマルクスガブリエルも言うように、哲学の善悪を判別し、格差原理、功利主義も考慮した善性側に相対的にでかい影響力を持たせるため、弱者側の視点で、XAI(説明可能なAI)、インターネット、マスメディアができるだけ透明な議論をしてコンピューターのアルゴリズムをファクトチェックする必要があります。
<おすすめサイト>
ケイド・クロックフォード:顔認証による大衆監視について知る必要のあること!
日本経済と世界経済(KindleBook)現代貨幣理論(MMT)の欠点も克服しています!- 東京都北区神谷高橋クリーニング
新型コロナウイルス2020からの記録2021
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siteymnk · 1 year
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「ユーモアは最強の武器である」ジェニファー・アーカー著を読了。 スタンフォード大学ビジネススクールの教授で、行動心理学の専門家による「ユーモア」の効能について、ユーモアを盛り込みつつ書かれた解説書。 正直、書いてあることは個人的になんとなく感じ取っていたことばかりだし、ユーモアの実践例があまりにアメリカンジョークだったりするので、新しい発見はあまりなかったのだが、敢えて気付きをあげるとしたら「ユーモアは誰でも身につけることができること」だろうか。 職場で、特に管理職になってからは、意識的に(この本で言うところの)ユーモアを場の空気に引用しようと心掛けてはいた気がする。その正体をこの本では「面白いことを言う」のではなく、「場への適切さ」や「軽やかな思考」を促すツールとしての役割、と記述していて、正しい整理の仕方だなと思った。 振り返ってみると、とにかく場の空気を柔らかくするための様々な手段を講じて来たなと思う。意識的ではあったものの、理屈だって意味や意義を考えては来なかったので、この本を読んで自然習得していた何かが体系だって解説されたようなスッキリ感を得ることができた。
以下、ざっくりまとめ。
ユーモアの5つのメリット: ・ストレス解消~幸せホルモン分泌 ・心理的安定を促進~自分の客観視&自己肯定感 ・コミュニケーション能力の向上~社交性アップ・好印象 ・創造性を刺激~脳を活性化 ・自信の向上~周囲からの反応
ユーモアがもたらす4つの影響力: ・パワー~地位が高く知性が優れている人という印象を与える ・つながり~地位が高く知性が優れている人という印象を与える ・創造力~見落としていた関連性に気づきやすい ・レジリエンス~コルチゾールが減少してストレスレベルが低下
ユーモアに対する4つの思い込み: ・ビジネスは真面目であるべきという思い込み~生産性&創造性 ・ウケないという思い込み~場への適切さが大事 ・面白くなくちゃいけないという思い込み~視点を変える&軽やかな思考 ・生まれつきの才能という思い込み~努力や練習で磨ける
上手にユーモアを発揮できる人って(特に日本では、なのだろうか?)本当に少ない気がする。仕事の場でユーモアなんて必要ないという人、場に即さないユーモアを発揮する人、ユーモアの目的を逸脱している人、などなどなど。ずっと前から、仕事上で最も苦手な人は「意味もなく偉そうな人」なのだが、その理由はこの本のユーモア効能の対極にあるからなんだろうな、という事も思った。
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4komasusume · 2 years
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契約と秘密の中で育まれる信頼――雪尾ゆき『この契約は恋まで届きますか?』
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〔14ページ〕
 可愛いのはあなたの方です!
 雪尾ゆき『この契約は恋まで届きますか?』は契約関係がテーマのラブコメ4コマだ。主人公の野田くんと八千代さんは同じ会社勤めだが特に接点のなかった二人。ある日、野田くんが家事代行サービスを頼んだら、来たのはなぜか八千代さんだった。野田くんは会社のマドンナである八千代さんの手料理に惚れ、また八千代さんは野田くんの隠れた趣味であるぬいぐるみ手芸の作品を見てSNSでの憧れのフォロー相手だと気づく。
 八千代さんは普段は女性の家にしかヘルプしていないとのことだが、お互いの求めるものの一致を見てひとつの提案をする――契約関係。個人的な家事代行と手芸レッスンの交換だ。恋人じゃないのか、と野田くんはズッコケるが、八千代さんの可愛さにメロメロで契約締結。かくして微妙な距離の関係が始まる。
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この契約は恋まで届きますか? 1巻 (まんがタイムコミックス)
posted with AmaQuick at 2023.02.03
雪尾ゆき(著), 芳文社 (2023-01-07)
Amazon.co.jpで詳細を見る
» 連載誌(まんがタイム)
» ウェブ連載(pixivコミック)
» 試し読み(まんがタイムWeb)
 この作品の魅力は何と言っても八千代さんのキャラだろう。切れ長の目にクールなたたずまいでテキパキと家事をこなすだけでなく、会社での総務担当の能力を活かして二人の間の契約書もお手のもの。家事代行をしている理由を積極的に話すことはなく、契約の中にも会社では二人の関係を秘密にするという「機密事項」を盛り込んでいる。
 そして彼女のキャラが二つの差異を生んでラブコメを駆動する。ひとつは業務的な八千代さんと浮かれた野田くんの気持ちの差。もうひとつは、八千代さん自身のミステリアスな雰囲気と、時々見せる心を許しているような言動や仕草のギャップだ。
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〔16ページ〕
 個人契約の初日。「通い妻」と鼻の下を伸ばす野田くんの気持ち��どつゆ知らず、契約書の存在を思い出させる八千代さん。釘刺し力の高さがハンパないぜ。でもエプロンとポニーテールの組合せにデレるのは仕方がないことなんだよな。
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〔17ページ〕
 しかし八千代さんの方も憧れの人に手芸を教えてもらえるチャンスに内心ワクワクしているのだ。もちろんその憧れは恋心ではなく技術的な意味なのだけど、野田くんは結果的に多少なりとも心開いた彼女と過ごすことができる。彼にとってこの契約は役得でもあるのだ。
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〔18ページ〕
 そんな八千代さんは手芸も頑張ってこなそうとするが上達はスローペースの模様。二人は契約上は「どちらかが終了を希望」するまでの仲だけど、この様子ならすぐに終わることはなさそう。こうしてドライな紙切れで結ばれたはずの関係はお互いにウェットさを含みながら進んでいくのである。
   ◇
 一緒の時間が増えれば二人しか知らないことも増えていく。契約の存在をまわりに内緒にしているならなおさらのこと。そして秘密の共有は心の距離を無意識のうちに近づけるものだ。
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〔47ページ〕
 実はニンジンが苦手なことを知る。デキる姿とのギャップが可愛い。
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〔50ページ〕
 ボクシングジムで鍛えてる姿を見る。家事や事務だけじゃない一面がカッコいい。
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〔91ページ〕
 そして手芸イベントのお手伝いでは可愛いらしいお弁当を作ってきてくれる。慣れないことでも頑張ってくれる姿が最高だ。そしてこれらの出来事は会社の人たちは誰も知らない。いわば二人だけの世界なのだ。
 さて、八千代さんには大きな謎が二つある。ひとつは、なぜ手芸を学びたいと思っているのか。もうひとつは、なぜ副業のように家事代行をしているのか、だ。そしてこれらは単行本1巻の終盤で明かされ、またはほのめかされる。それが彼女の妹の存在だ。詳しくはこの記事では伏せておくが、八千代さんとその妹にはちょっとした事情がある。
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〔98ページ〕
 ここで重要なポイントは、その事情があってもなお、彼女は野田くんに妹の存在と、妹のために何かを作りたいと思っていることを打ち明けている点だろう。そこには野田くんに対する信頼が垣間見える。この契約は機密事項とはいえ、大切なことを明かすためにはそれなりに勇気が必要なもの。重ねてきた日々が二人を今はここまで届かせてきたのだ。
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〔111ページ〕
 そして首尾良くいったあとのやりとりがこれ。普段はクールな八千代さんが感謝とともにこんな笑顔を見せてくれるなら、今はそれだけで十分なんだよな――そう、今はまだ。関係を性急に進展させようとしない野田くんは言うなればヘタレだが、それは誠実さの裏返しでもあるように思うのだ。
   ◇
 二人は恋人ではなく契約で結ばれた関係、それは確かにそうだ。でも恋人というものだって契約書はないけどお互いを恋人と見なす約束を交わした関係だろう。いずれにせよ、その関係をより良く進めるために大事なことは約束事それ自体ではなく、お互いの信頼だ。『この契約は恋まで届きますか?』は契約と秘密を道具立てにして、その中で育まれる信頼を描いている。これがもどかしい関係の中にも確かな温かさを生んでいるのだ。
(すいーとポテト)
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純粋硬派柱ULtiMaTePureEgrosburst04 虚構締化とB(バグ)の家族達      [必ず全員がこれの更に羽織るようなハードモード本体やサブボディを持っている]
知&力&心:★×105〜9999グラハム数オーバー(潜在能力の1/4000までしか基本的には引き出せない)
個性「数学 音楽 情報 料理 研究 裁縫 時間 基礎 隠密 軌跡 飛翔 推理 自信 水泳 統合 安定 反魂 皇帝 青春 健康 芸術 総合 夜目 第六感 無限のツボ押鍼灸 適応大代謝 自己マッサージ スローフード ラグナロクノヴァスタイル エンパス ツンドラ ローザミスティカ 守護睡眠ドッペルゲンガー 自由設定 念能力:本体流動 アルティメットフォーム ブラスターコントローラー プロポーション ワンフォーオール 視界360度 NEWイデアウォーリン チャイニーズべエルフラワーファウンテンサイド グラビティカスタム ジョーカー(ワイルドの素養) ハーミットパープル 女神化 自由性転換 最上級筋質 唾液分泌量(超過多) 女の子の良い匂い 運動でかくSweetyな汗 自然超回復 不老不死 全褐色&全ベージュ脂肪細胞 リーダーシップ ロングスリーパー 無意識の動体視力 アルカリイオーラン化 アミノ酸オーシャンズプール ファイナルストーリーダイブ ライアーズアート コミュニケーション フリーコスチュームプレイヤー ゲシュタルト崩壊付与 安眠ラベンダーバスラボ 天然色の流桜 透明色の波紋疾走(インビジブルジャミングオーバードライブ) ビッグクランチ(アビリティコスト極大) とってもとっても不思議な卵(強くてニューピューバティー)」
ドライヴモード「ファイナルグロウ(総合力指数➡︎88000)<<ホーリーエンジン(総合力指数➡︎105%:精液&母乳 全消費時間➡︎約45分)<<♾<<💞マザーアビリティメモリーMk2」
装備「講義用VRコンタクトレンズ ノースリーブTシャツ(紺) スパッツ付きショートパンツスポーツウェア(ブラック) 25デニールストッキング(ブラウン) 全格闘術のコレクションDISC(幽波紋:アビリティコスト大) ヴァイオリン オーブン手袋:MKUTO(耐熱ミトン・黒)orリメイクベオウルフor不思議な指無し手袋 天使の翼 へッドホン ペンダント 相棒ニャンコ 筆記ペン類5種 スマホ (ベレッタPX4ストーム ハンドガンの弾20発 閃光手榴弾×1 ベネリM4スーペル90 カリーナ・アン 濃紺水筒ケース) (紫電龍・絶界舞雷斬刀 アーミーサバイバルナイフ 刺身包丁orライトセーバーブルーorナナメブレードor機械剣・ネプテューヌ) Zガンダム4号機(ゼータキュアノス) ユニコーンガンダム ペルフェクティビリティ用 エリク・ブランケ専用ザクⅠ エリク・ブランケ専用高機動型ゲルググ イフリートナハト サイコ・ガンダムMk-II レースアップフロントコンバットブーツ B2ステルス爆撃機 プライベートヘリコプター スーパーカーラベンダー 次世代新幹線 プライベートジェット機 宇宙ロケット ブラックボックス ツアラーバイク リニアイスノーボード アメジストラファルドゥスウィムスーツ スーパーダイヤモンドラゴンスカイソーダ SF乳酸自動歯ブラシ 宇宙服 ペンギンスーツor招き猫ベル 『並行学習培養槽』 ネプギアンダム ラウレアアコアコア・ブラジャー(紫) マリーローズの衣装&チューブトップ(零〜月蝕の仮面〜) 自由作成等」 拠点「地球連邦軍戦略帝都&無制限刺激莫有宇宙」💎
冒険用ポケモンパーティ➡︎①スカイベリー(ラティアス) ②ツンドラマナ(マナフィ) ③ラスピジェム(エムリット) ④βオーシャン(ラティオス) ⑤ネバーホロウ(フロストロトム) ⑥アルマスβ4(グレイシア) ⑦エンペルトR(エンペルト) ⑧ラヴィハーツ(マホイップ) ⑨REarth(レジギガス)💖 ⑩プラネテュヌ(ギラティナ)💖 (11)Quick💙(チェリム) (12)カナダレイン(カイオーガ) (13)にゃジラーチ(ジラーチ) (14)うたひめユリ(ラプラス) (15)コンビニャア(イエッサン♂) (16)あねクロノス(マホイップ) (17)ラステイシャ(ニャオニクス) (18)ヴァイオリン(ミライドン)  (19)シャオガール(カプ・テテフ)💖 (20)STREAM(ミロカロス) (21)ジャンヌエナ(カプ・テテフ) (22)エンパスβ4(アルセウス) (23)ツンデレノワ(クレセリア)💖 (24)デウスマキナ(ラプラス)💖 (25)プライベート(ケルディオ) (26)ジャミンログ(日食ネクロズマ)💖 (27)ベニマーフラ(アブリボン)💖 (28)オレスパーダ(コライドン) (29)あきんどヌシ(ゲッコウガ)💖 (30)たこやきボス(ルギア)💖 (31)きめつのいば(オーガポン) (32)うおべいヌシ(レシラム) (33)コスプレイヤ(エルフーン)💖 (34)プリンセソナ(サーナイト)💖 (35)あかみねDJ(ブリムオン)💖 (36)キュテリナビ(デカヌチャン)💖 (37)コーディネル(ソウブレイズ)💖 (38)ネオロゼッタ(ブラッキー)💖 (39)あわじうナギ(ラティアス)💖 (40)あまきょほう(カイオーガ)💖 (41)ファリテミス(ゼルネアス)💖 (42)エターなるみ(ホワイトキュレム)💖 (43)ぱえりあるじ(ルナアーラ)💖 (44)ヴァルギスプ(ハバタクカミ) (45)シンデュアリ(グレイシア)💖 (46)ぬれがらずき(ウネルミナモ) (47)プレイデアル(ズガドーン)💖 (48)カレ〜おごち(リザードン)💖 (49)おじょうのみ(イエッサン♀) (50)なべぶぎょう(バクフーン)💖 (51)うつしよめな(チリーン) (52)ラズベリちご(ラムパルド)💖 (53)レプリカント(ミミッキュ)💖 (54)おうなぎるぜ(シャリタツ:そった姿)💖 愛玩コンテスト専用ポケモン➡︎①ちぎれるニク(チェリンボ)
超右脳 超速度 本質 全能 勇気 教養 ポテンシャルが優れている 戦闘スタイル「ラグナロクノヴァスタイル」 真最強無敵 無限成長型 干渉禁止種 本当に完善なる者 永遠の正統派処女童貞サドビッチ 真巫女 真勇者 指圧師 人生の初心者向けと侮るなかれ 羞恥心の涙 純愛の絶対神 チャンピオンアイドル 終焉レベル龍 いつでも熟睡でき健康、等  男性人口:女性人口は3:7 老廃物「体内で全消滅」 排泄物「炭酸ラムネ 茹で卵」💤
大好物「リッチ海老カツバーガー蟹チリソース(モスバーガー) ウインタークラブ(ピザーラ) 地中海風パエリア(ビバパエリア) 海鮮キムチ鍋 さっぱりおろし天つゆねぎだこ 天麩羅薬味全種類家族盛りうどん(丸亀製麺???) 喜多方ラーメン 安積食堂 ココア」💙
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1.腹ペコの僕にとって、海老しんじょう様は金塊を越える宝の山🎵(o^♢^o)⤴️醤油派だけど指で数えられる程食卓に登るのはレア 作るのは手間が掛かるけど。それでも愛らしい
https://href.li/?https://www.google.co.jp/amp/s/chefgohan.gnavi.co.jp/amp/detail/4385/
2.白身魚とキノコのホイル焼きはとにかく旨い、さっぱりめにオリジナルを加えたけどジューシーさは健全のままで臭みなんて何処にもない❗️( ´∀`)❗️ キノコの味は優しく、出来上がってからポン酢をかけるのが推奨
https://www.eatpick.com/recipe/group-detail/39
3.この時代の袋麺様はまだまだ本気を出しちゃいないぜ、だがメンマにネギや海苔、味付け卵を入れる寄せ鍋にするだけで本場を味わった気分になれる。科学的な意味では完全なる無敵さ(締めの炭酸ドリンクも忘れるな❗️❗️❗️)⤵️
https://href.li/?https://m.youtube.com/watch?v=qwWIUVmTBdg
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kitaorio · 2 years
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たまご
 始発までまだ時間がある。  箱の中は外の静けさを無視し四打ちの音に満たされ、いつになく盛り上がっていた。  今日のメインであるDJがCDをリリースし、そのリリースパーティーとしてのイベントなのだが、今いる客の中でそのCDを聞いてきているのはほぼ皆無である。ほとんどは週末の夜になにか踊れるイベントはないかとフライヤーやネットでイベントを集めた中で一番盛り上がりそうなここを選んだ奴らだ。俺もその一人で、特に誰と待ち合わせるまでもなく、週末の夜にスパイスをふるような気分でここに来ていた。  地下にあるそのクラブはフロアが吹き抜けになっており、フロアから見て二階になるバーカウンターからDJブースを見下ろせるようになっている。俺は氷がとけだらしなく伸びてしまった酒を片手にフロアの喧噪をながめ、たまに下で踊ったりしていた。  そんなに広くはないフロアの正面にブロックを白いペンキを塗りたくって作られているDJブースがあり、フロアはここ以外にはほとんど照明がなく、その両サイドに天井まで届くようなスピーカーがある。天井を見上げるとミラーボールがあり、曲の盛り上がりに合わせ放射されるレーザーの明かりが乱反射しフロアに不規則な流星群を描いていた。背丈以上の高さのスピーカーの前で音の波間をただようクラゲのように揺れていると、音圧で服と腹に同じリズムが刻まれる。170bpm以上のテンポで刻まれているビニルの振動は時として早すぎてついていけないぐらい。音は止まる事がなく次から次へと疾走し、体は音圧の津波に流され、いつまでも留まる事のない浮遊感、焦燥感に似たそれでいていらだちのない多幸感に包まれる。時間の概念は融けだし目前で起きている事は終わりのないリズムの濁流こそがすべてで、溶け込んでしまった肉体を低音で揺さぶれる事で感じるだけなのである。思考は肉体と一緒に形をなくし、ウイスキーに落としたインクの一滴になる。盛り上がりの中にある混沌とした調和、フロアに響く新譜とスタンダード、未知の旋律、既知のリズム、シンセベースの連符、サイン波の歪み、潮溜まりに追い込まれるようなタメ、スモークの香り、泡立つリバーブ、湖底に揺らぐ絢爛、浮上の嬌声、踊、跳、音、乱、美、響、光、煙、幸、輝、悦、快、!。  音の中でおぼれている間はなにも考えず、ただただ体が動くままに動いている。ふと、今までの炭酸が何もしないのにパチパチと弾けるような高揚感が静まり、いつもの面々の一人にもまだ遭遇できないでいる漠然とした孤立感に、なんとなくの身の置き所のなさを感じていた。営業終了までしぶとく踊りつつけているつもりだったのだが、何となく腹も減ったので、どうする当てもなく夜明け前の街に出て漂よう事にした。  夜道は街頭で明るく、闇夜という言葉がこの世から消滅してしまうのではないかといらぬ心配をしながら、シャッターの閉じた駅まで歩き、適当な店が見つからず、駅周辺を足の向くままさまよっていた。  この時間に営業している店は、飲むか食べるか、もしくは色気のある店ぐらいだ。  今は腹が減っているだけであり、パーティーで手持ちぶささをごまかすのにいつも以上にタバコに火をつけていたせいか舌に苦い皮膜が張っているような感じがしている。こういう味のわからない時はできるだけ安くジャンクな食べ物で腹をごまかそうと思った。この時間に安くジャンクでというと、ラーメンとドンブリものに落ち着く。ただ何となくの食欲に選択するのも馬鹿馬鹿しい話なので、安い方を選び駅から少し離れた所にあった牛丼屋に入る。  街頭の明かりに慣らされた目には、牛丼屋の中の刺々しいほどに純白の蛍光灯の明かりは、なにやら消毒液を思わせるような体に障る清潔感を感じ、せっかくクラブでまとってきた夜の不健康が流されてしまうような気がした。  牛丼と生卵を頼み、渋皮のように舌にまとわりつくニコチンを水で流していると頼んだものが出される。  俺が食べようとした直前ぐらいからか耳障りな音が聞こえてくる。  入口から見てコの字型のカウンターの出入り口すぐに座ったのだが、奥の方から泥を混ぜてるような、高い所から粥を落としているような、ベチャベチャとした音を立てて食っている爺がいる。何を考えているのか知らないが、そいつは周りを見回しながら、そして見回した先の奴と目が合うとそいつに向かい見せつけるように大口を開けてわざとらしく口を動かしている。しつけのなってない犬だってもう少し静かに食べるのにもかかわらず、どういう環境で生きていたら��のような食べ方ができるのか不思議なぐらいだ。  内心ムカムカしながら箸を付けようとした時、その爺がこっちに口の中のものを見せるように大口を開けながら、その店で一番安い食べ物である牛丼を掻き込んでいた。  まばらに黒いのが混じるぼさぼさ頭、毛玉だらけのセーターに歯はほとんどが抜けていて、目元は野卑という言葉の似合う人にケンカを売るような好戦的で濁った視線。骸骨に皮を張っただけに見える肉のない顔についた口は、必要以上に大きく開かれているせいもあって上の前歯が3本、下の前歯が4本ぐらいだろうか、タバコやけをしているのか茶色い濁った色素が染みつき杭みたいになっているのが目に入った。  火傷跡みたいにヒリヒリとした嫌な感情が立ち上がり、運ばれてきた膳の中にあった生卵を反射的にぶつけてやろうかと思ったが、握った所で辞めた。  そのかわりに俺はほぼ呪詛に近い感覚で、死ねばいいと思いつつにらみつけていた。  卵じゃ煮え立つ感情には弱いので、湯飲みをぶつけてやろうか、それともしょう油瓶をぶつけてやろうかと思いながら、自分も箸を動かしていた。  だいたい、あの年にもなってまともに飯を食えない奴に生きている理由があるのだろうか、少なくとも人の目に触れる所に出してはいけない、どこか洞穴にでも押し込んで、一日に一回握り飯でも放り込んでおくぐらいで充分じゃないか、といらだちを増幅させ、ガンをつけ続ける自分を正当化し続けた。向こうもこっちをにらんでいる。ここは目がそらした方が負けなのである。  ほとんど獣のケンカみたいな状態で、何か動きがあったら投げつけてやろうと七味唐辛子の瓶を視界に入れながら、爺にガンをつけつつ丼を掻き込んでいた。  俺の丼の中はあと二口ぐらいだろうか、爺の方が目をそらした。腹の中に沸いていたヘドロみたいなむかつきは少しは引いたのだが、残ったのは情けない野良犬のいがみ合いのようなケンカの勝利だけであった。丼の底に小島のように固まっている牛肉のかけらとご飯の固まりを一気に掻き込んだ所で玉子の存在に気付いた。爺にむかついていたばかりに追加した玉子を丼に落とすのを忘れていた。食べて丼を置いたら勢いよく出て行こうかと考えていた所に気がつき、そこ置いていっても良かったのだが、卵を忘れていた自分に気が抜けそのままもって出る事にした。  店員に気付かれないよう、そしてできるだけさりげなく、上着のポケットに玉子を移す。  始発にはまだ時間があり、駅も開く気配がない。駅周辺をただようチリの気分になりながらのろのろと歩いていた。  上着のポケットにつっこんだ右手には卵がにぎられている。  店で出された時よりも手のぬくもりで暖められ、カルシウムのざらつきに包まれた、ずしりとした下ぶくれの珠が手の中にある。  クラブの中でふらふらしていた時とは違い、牛丼屋の中でざらついてしまった気持ちのやりどころの��い嗜虐心を、手中の卵にぶつけた。手の内で転がるそれは、紛れもなく卵なのだが、そっと力を込めると指先の肉を受け止め、中身を守ろうとする殻の抵抗に遭う。割れてしまうと上着が台無しになるなと思いつつも、右手はポケットの中に閉じこもり、卵にじんわりと圧を与えては離すという蹂躙を繰り返していた。指先の乱暴は駅前の一区画をさまよい、気を取り直して飲もうと探しているスツールに座して少しの酒をすすれる店がことごとく営業を終わらせているのをみてまわるまで続いた。次の区画にうつる頃には指先の暴行は肉による緩やかな締め付けから爪での直接的な加害に変わっていた。爪も殻も肉の中で作られ、その中を守るためのものだ。爪がざらついた表面をなぞる。手のひらで転がしていた時には工芸品を思わせるようななめらかな表面に感じたのだが、爪の先でつぶさに観察してみると、コンクリートを思わせる引っかかりを見つける事ができる。下ぶくれ部分の緩やかな面を人差し指の先で一通りひっかき、その曲面すべてを爪がなぞると、ポケットの中でごそごそひっくり返し反対側のとがった部分を爪でなぞる。指を頂点目指してはわせている時のグイッというラインの持ち上がり方と、頂から下りる時の直滑降のスピード感が気持ちよく、何度となく人差し指が登り降りを繰り返した。そのうち頂点に加害をはじめた。ガリガリと引っ掻く音がするのではないかと思えるほど、しかし殻が割れないほどに加減をしながら、目では判らなくとも顕微鏡でつぶさに観察したら見えるのではないかと思うるような傷は付いているだろうと、微細な世界へ思いをはせながら爪を押し当て動かし続ける。孵化する可能性のない白色レグホンの卵への継続的な暴力は終わる事はなく、酒とスツールを求め駅周辺をただよう間に、ついには打撃を加えるようになった。親指と薬指とでしっかりと押さえ、人差し指の先でノックするようにたたく。指先に伝わる殻のガードは、割れないでいて服が汚れないで済む事の安心と、なかなか割れない殻に対して冷淡に見つめるような気持ちとが入り交じり、飲み屋を求めてさまよっているだけにもかかわらず、ジャケットのポケットの中で行っている事に対し、熱湯と氷の両方が混じる事がなくよどみ続けるような壊したい衝動とそうしたくない迷いがぐるぐると入り交じっていた。  結局入れる店が見つからず、ポケットの中に入れた卵を指先でつつきつつコンビニで買った酒をあおり、ざらついた感情を溶かしながら始発までの時間を過ごしていた。駅前に戻ると地下鉄の入口の近くで丸まって寝ているサラリーマンらしきスーツの男がいた。地下鉄の入口は始発が出るまではその門戸を閉ざし、雨が降ろうが風が吹こうが始発待ちの客を優しく向かい入れる事はなく、やっと開いたとしてもベンチは冷たく、構内でゆっくりくつろげるような所もあるわけではなく、ただただ地上と電車の途中をつなぐ通路として、モグラやミミズが入ってこれないようにコンクリートで四方を固めているだけである。  始発にはまだ待たなければならない。  俺は卵をどうしたものかと思いながら、冷たい夜風が避けられる所はないかと探していた。風よけになりそうなスキマを見つけては入ってみて居心地を試してみるのだが、どこも完全には風から守ってはくれない。唯一風がなさそうな所はスーツ姿の男がビジネスバッグを抱えるようにして丸まっている。  その男は器用に寝ていて、ビジネスバッグを抱え、体に新聞紙をかけているつもりでいるのだが、寝ぼけながらも新聞紙を深くかぶろうとしたのだろうか、丸まっている体の中心にバッグやら新聞やらが集まり、まるで巣を守る動物のようになっている。  寒空の下で寝ていられるのを感心する一方で、俺の頭の中では妙案が浮かんでいた。  この男を立派な親鳥にさせてやろう。  近くの公衆便所に行きトイレットペーパーをこぶし大ぐらい取り、それを細かく裂いた。そして新聞とバッグを抱えて寝ている男の中心に、鳥がそうするように卵の安住の場所を作ってやるのである。  起きないようにゆっくりと、けれども気付かれるのもつまらないので素早く、男の側に近づいた。ビルとビルのスキマである男の仮宿はちょうど街頭の明かりが直接目に入らないような所であり、俺が近づいた事でかろうじて男の体を照らしていた明かりも全く入り込まなくなってしまった。ほぼ暗闇の中、男が抱えてる新聞とカバンの上にトイレットペーパーの羽を広げるなければならない。  俺は男の前に近づいた体勢のまま、できるだけ物音を立てないよう、そしてすぐに逃げられるように前屈をするような姿で作業していた。試行錯誤する余裕はなく、一発勝負である。手のひらの上でトイレットペーパーの巣を作り、置くのではなく、ギリギリの所まで降ろしてから落とすようにして新聞とカバンの土台の上に巣を作った。少し斜めになってしまったが成功である。いよいよ卵を置き完成させる。できるだけ巣の中心に、卵が心地よいであろうポジションに安置できるよう、細心の注意を払いながら巣の中に卵を置く。トイレットペーパーで作った羽の中、人差し指と親指に運ばれゆっくりと卵は沈み込む。巣にすっかりと沈み込んだのを感じると、だめ押しでぐらつかないように人差し指でそっと押し込んだ。  そのとき、男のいびきが止まる。  俺もそれに合わせ、一瞬の硬直で男にあわせる。秒針が少し進むぐらいでしかないが、男が目を覚ましてしまうとせっかくの妙案が台無しになってしまう。俺は自分を電信柱だと思いこみ、男に気配を感じさせず目を覚ますきっかけを与えないようにした。  再び男が寝息を立て始めると、俺は体の硬直を説き卵に異変がないかを人差し指で触れる事で確認した。  無事に卵が巣の中にたたずんでいるのを確認すると、近づいた時と同じようにゆっくりと素早くそこから遠のいた。  街灯の明かりが戻り、男の体の中心には卵が鎮座している。  巣作りをし終わり、煙草をくわえながら“親鳥”を見ていると地下鉄のシャッターが開いた。地下へと続く階段は白々と色気のない照明で照らされていた。のろのろと階段を降りながらあの男、目を覚ましたらどんな顔をするのだろう。そう思うと今まで俺の気持ちの底に横たわっていた砂地に落ちた氷のような暗い感情が熔けたような気になり笑いがこみ上げ、くしゃみをするような短い咳払いみたいな笑い声がでてしまった。  長く続く地下鉄の階段に俺の笑い声の破片が少しだけ響き、あとは俺の足音だけになった。
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「次室士官心得」 (練習艦隊作成、昭和14年5月) 第1 艦内生活一般心得 1、次室士官は、一艦の軍規・風紀の根源たることを自覚し、青年の特徴元気と熱、純  真さを忘れずに大いにやれ。 2、士官としての品位を常に保ち、高潔なる自己の修養はもちろん、厳正なる態度・動  作に心掛け、功利打算を脱却して清廉潔白なる気品を養うことは、武人のもっとも  大切なる修業なり。 3 宏量大度、精神爽快なるべし。狭量は軍隊の一致を破り、陰欝は士気を沮喪せし  む。忙しい艦務の中に伸び伸びした気分を忘れるな。細心なるはもちろん必要なる  も、「コセコセ」することは禁物なり。 4 礼儀正しく、敬礼は厳格にせよ。次室士官は「自分は海軍士官の最下位で、何に  も知らぬのである」と心得、譲る心がけが必要だ。親しき仲にも礼儀を守り、上の   人の顔を立てよ。よからあしかれ、とにかく「ケプガン(次室士官室の長)を立てよ。 5 旺盛なる責任観念の中に常に生きよ。これは士官としての最大要素の一つだ。命令を下し、もしくはこれを伝達す  る場合はは、必ずその遂行を見届け、ここに初めてその責任を果したるものと心得べし。 5 犠牲的精神を発揮せよ、大いに縁の下の力持ちとなれ。 6 次室士官時代はこれからが本当の勉強時代、一人前になり、わがことなれりと思うは大の間違いなり。 7、次室士官時代はこれからが本当の勉強時代、一人前にをり、わがことなれりと思うは大の間違いなり。公私を誤  りたるくそ勉強は、われらの欲せざるところなれども、学術方面に技術方面に、修練しなければならぬところ多し。  いそがしく艦務に追われてこれをないがしろにするときは、悔いを釆すときあり。忙しいあいだにこそ、緊張裡に修  業はできるものなり。寸暇の利用につとむべし。   つねに研究問題を持て。平素において、つねに一個の研究問題を自分にて定め、これにたいし成果の捕捉につと  め、一纏めとなりたるところにてこれを記しおき、ひとつひとつ種々の問題にたいしてかくのごとくしおき、後となり   てふたたびこれにつきて研究し、気づきたることを追加訂正し、保存しおく習慣をつくれば、物事にたいする思考力  の養成となるのみならず、思わざる参考資料をつくり得るものなり。 8、少し艦務に習熟し、己が力量に自信を持つころとなると、先輩の思慮円熟をるが、かえって愚と見ゆるとき来るこ  とあるべし、これすなわち、慢心の危機にのぞみたるなり。この慢心を断絶せず、増長に任じ人を侮り、自ら軽ん   ずるときは、技術・学芸ともに退歩し、ついには陋劣の小人たるに終わるべし。 9、おずおずしていては、何もできない。図々しいのも不可なるも、さりとて、おずおずするのはなお見苦しい。信ずる  ところをはきはき行なって行くのは、われわれにとり、もっとも必要である。 10、何事にも骨惜L誤をしてはならない。乗艦当時はさほどでもないが、少し馴れて来ると、とかく骨惜しみをするよう  になる。当直にも、分隊事務にも、骨惜しみをしてはならない。いかなるときでも、進んでやる心がけか必要だ。身  体を汚すのを忌避するようでは、もうおしまいである。 11、青年士官は、バネ仕掛けのように、働かなくてはならない。上官に呼ばれたときには、すぐ駆け足で近づき、敬  礼、命を受け終わらば一礼し、ただちにその実行に着手するごとくあるべし。 12、上官の命は、気持よく笑顔をもって受け、即刻実行せよ。いかなる困難があろうと、せっかくの上陸ができなか   ろうと、命を果たし、「や、御苦労」と言われたときの愉快きはなんと言えぬ。 13、不関旗(他船と行動をともにせず、または、行動をともにできないことを意味する信号旗。転じてそっぽを向くこと  をいう)を揚げるな。一生懸命にやったことについて、きびしく叱られたり、平常からわだかまりがあったりして、不  関旗を揚げるというようなことが間々ありがちだが、これれは慎むべきことだ。自惚があまり強過ぎるからである。  不平を言う前に已れをかえりみよ。わが慢心増長の鼻を挫け、叱られるうちが花だ。叱って下さる人もなくなった   ら、もう見放されたのだ。叱られたなら、無条件に有難いと思って間違いはない。どうでも良いと思うなら、だれが  余計な憎まれ口を叩かんやである。意見があったら、陰で「ぷつぷつ」いわずに、順序をへて意見具申をなせ。こ  れが用いらるるといなとは別問題。用いられなくとも、不平をいわず、命令には絶対服従すべきことはいうまでもな  し。 14、昼間は諸作業の監督巡視、事務は夜間に行なうくらいにすべし。事務のいそがしいときでも、午前午後かならず  1回は、受け特ちの部を巡視すべし。 15、「事件即決」の「モツトー」をもって、物事の処理に心がくべし。「明日やろう」と思うていると、結局、何もやらずに  沢山の仕事を残し、仕事に追われるようになる。要するに、仕事を「リード」せよ。 16、なすべき仕事をたくさん背負いながら、いそがしい、いそがしいといわず片づければ、案外、容易にできるもので   ある。 17、物事は入念にやれ。委任されたる仕事を「ラフ」(ぞんぎい〕にやるのは、その人を侮辱するものである。ついに    は信用を失い、人が仕事をまかせぬようになる。また、青年士官の仕事は、むずかしくて出来ないというようなも   のはない。努力してやれば、たいていのことはできる。 18、「シーマンライク」(船乗りらしい)の修養を必要とす。動作は「スマート」なれ。1分1秒の差が、結果に大影響を    あたえること多し。 19、海軍は、頭の鋭敏な人を要するとともに、忠実にして努力精励の人を望む。一般海軍常識に通ずることが肝要、   かかることは一朝一夕にはできぬ。常々から心がけおけ。 20 要領がよいという言葉もよく聞くが、あまりよい言葉ではない。人前で働き、陰でずべる類いの人に対する尊称    である。吾人はまして裏表があってはならぬ。つねに正々堂々とやらねばならぬ。 21、毎日各室に回覧する書類(板挟み)は、かならず目を通し捺印せよ。行動作業や当直や人事に関するもので、    直接必要なる事項が沢山ある。必要なことは手帖に抜き書きしておけ。これをよく見ておらぬために、当直勤務   を間違っていたり、大切な書類の提出期目を誤ったりすることがある。 22、手帖、「パイプ」は、つねに持っておれ。これを自分にもっとも便利よきごとく工夫するとよい。 23、上官に提出する書類は、かならず自分で直接差し出すようにせよ。上官の机の上に放置し、はなはだしいのは   従兵をして持参させるような不心得のものが間々ある。これは上官に対し失礼であるばかりでなく、場合により   ては質問されるかも知れず、訂正きれるかも知れぬ。この点、疎にしてはならない。 24、提出書類は早目に完成して提出せよ。提出期口ぎりぎり一ぱい、あるいは催促さるごときは恥であり、また間違   いを生ずるもとである。艦長・副長・分隊長らの捺印を乞うとき、無断で捺印してはいけない。また、捺印を乞う    事項について質問されても、まごつかぬよう準備調査して行くことが必要。捺印を乞うべき場所を開いておくか、   または紙を挾むかして分かりやすく準備し、「艦長、何に御印をいただきます」と申し出て、もし艦長から、「捺して   行け」と言われたときは、自分で捺して、「御印をいただきました」ととどけて引き下がる。印箱の蓋を開け放しに   して出ることのないように、小さいことだが注意しなければならぬ。 25、軍艦旗の揚げ降ろしには、かならず上甲板に出て拝せよ。 26、何につけても、分相応ということを忘れるな。次室士官は次室士官として、候補生は候補生として。少尉、中尉、   各分あり。 27、煙草盆の折り椅子には腰をおろすな。次室士官は腰かけである。 28、煙草盆のところで腰かけているとき、上官が来られたならば立って敬礼せよ。 29、機動艇はもちろん、汽車、電車の中、講話場において、上級者が来られたならば、ただちに立って席を譲れ。知   らぬ顔しているのはもっとも不可。 30、出入港の際は、かならず受け持ちの場所におるようにせよ。出港用意の号音に驚いて飛び出すようでは心がけ   が悪い。 31、諸整列があらかじめ分かっているとき、次室士官は、下士官兵より先にその場所にあるごとくせ。 32、何か変わったことが起こったとき、あるいは何となく変わったことが起こったらしいと思われるときは、昼夜を問わ   ず第1番に飛び出してみよ。 33、艦内で種々の競技が行なわれたり、または演芸会など催される際、士官はなるべく出て見ること。下士官兵が    一生懸命にやっているときに、士官は勝手に遊んでおるというようなことでは面白くない。 34、短艇に乗るときは、上の人より遅れぬように、早くから乗っておること。もし遅れて乗るような場合には、「失礼い   たしました」と上の人に断わらねばならぬ。自分の用意が遅れて定期(軍艦と陸上の間を往復し、定時にそれら   を発着する汽艇のこと)を待たすごときは、もってのほである。かかるときは断然やめて次ぎを待つべし。    短艇より上がる場合には、上長を先にするこというまでもなし。同じ次室士官内でも、先任者を先にせよ。 35、舷門は一艦の玄開口なり。その出入りに際しては、服装をととのえ、番兵の職権を尊重せよ。雨天でないとき、   雨衣や引回しを着たまま出入りしたり、答礼を欠くもの往々あり、注意せよ。 第2 次室の生活について 1、我をはるな。自分の主張が間遠っていると気づけば、片意地をはらす、あっさりとあらためよ。  我をはる人が1人でもおると、次室の空気は破壊される。 2、朝起きたならば、ただちに挨拶せよ。これが室内に明るき空気を漂わす第一誘因だ。3、次室  にはそれぞれ特有の気風かある。よきも悪きもある。悪い点のみ見て、憤慨してのみいては   ならない。神様の集まりではないから、悪い点もあるであろう。かかるときは、確固たる信念と決心をもって自己を修め、自然に同僚を善化せよ。 4、上下の区別を、はっきりとせよ、親しき仲にも礼儀をまもれ。自分のことばかり考え、他人のことをかえりみないよ  うな精神は、団体生活には禁物。自分の仕事をよくやると同時に、他人の仕事にも理解を持ち便宜をあたえよ。 5、同じ「クラス」のものが、3人も4人も同じ艦に乗り組んだならば、その中の先任者を立てよ。「クラス」のものが、次  室内で党をつくるのはよろしくない。全員の和衷協力はもっとも肝要なり。利己主義は唾棄すべし。 6、健康にはとくに留意し、若気にまかせての不摂生は禁物。健全なる身体なくては、充分をる御奉公で出来ず。忠  孝の道にそむく。 7、当直割りのことで文句をいうな。定められた通り、どしどしやれ。病気等で困っている人のためには、進んで当直を  代わってやるぺきだ。 8、食事に関して、人に不愉快な感じを抱かしむるごとき言語を慎め。たとえば、人が黙って食事をしておるとき、調理  がまずいといって割烹を呼びつけ、責めるがごときは遠慮せよ。また、会話などには、精練きれた話題を選べ。 9、次室内に、1人しかめ面をして、ふてくされているものがあると、次室全体に暗い影ができる。1人愉快で朗らかな  人がいると、次室内が明るくなる。 10、病気に羅ったときは、すぐ先任者に知らせておけ。休業になったら(病気という程度ではないが(身体の具合い   が悪いので、その作業を休むこと)先任者にとどけるとともに、分隊長にとどけ、副長にお願いして、職務に関する  ことは、他の次室士官に頼んでおけ。 11、次室内のごとく多数の人がいるところでは、どうしても乱雑になりがちである。重要な書類が見えなくなったとか  帽子がないとかいってわめきたてることのないように、つねに心がけなければならぬ。自分がやり放しにして、従  兵を怒鳴ったり、他人に不愉快の思いをきせることは慎むべきである。 12、暑いとき、公室内で仕事をするのに、上衣をとるくらいは差し支えないが、シャツまで脱いで裸になるごときは、   はをはだしき不作法である。 13、食事のときは、かならず軍装を着すべし。事業服のまま食卓についてはならぬ。いそがしいときには、上衣だけ  でも軍装に着換えて食卓につくことになっている。 14、次室士官はいそがしいので一律にはいかないが、原則としては、一同が食卓について次室長(ケプガソ)がはじ  めて箸をとるべきものである。食卓について、従兵が自分のところへ先に給仕しても、先任の人から給仕せしむる  ごとく命すべきだ。古参の人が待っているのに、自分からはじめるのは礼儀でない。 15、入浴も先任順をまもること。水泳とか武技など行をったときは別だが、その他の場合は遠慮すべきものだ。 16 古参の人が、「ソファー」に寝転んでいるのを見て、それを真似してはいけない。休むときても、腰をかけたまま、  居眠りをするぐらいの程度にするがよい。 17、次室内における言語においても気品を失うな。他の人に不快な念を生ぜしむべき行為、風態をなさず、また下士  官兵考課表等に関することを軽々しく口にするな。ふしだらなことも、人秘に関することも、従兵を介して兵員室に  伝わりがちのものである。士官の威信もなにも、あったものでない。 18、趣味として碁や将棋は悪くないが、これに熱中すると、とかく、尻が重くなりやすい。趣味と公務は、はっきり区別  をつけて、けっして公務を疎にするようなことがあってはならぬ。 19、お互いに、他の立場を考えてやれ。自分のいそがしい最中に、仕事のない人が寝ているのを見ると、非難した   いような感情が起こるものだが、度量を宏く持って、それぞれの人の立場に理解と同情を持つことが肝要。 20、従兵は従僕にあらず。当直、その他の教練作業にも出て、士官の食事の給仕や、身辺の世話までするのであ   るからということを、よく承知しておらねばならぬ。あまり無理な用事は、言いつけないようにせよ。自分の身辺の  ことは、なるべく自分で処理せよ、従兵が手助けしてくれたら、その分だけ公務に精励すべきである。釣床を釣っ  てくれ、食事の給仕をしてくれるのを有難いと思うのは束の間、生徒・候補生時代のことを忘れてしまって、傲然と  従兵を呼んで、ちょっと新聞をとるにも、自分のものを探すにもこれを使うごときは、わがみずからの品位を下げゆ  く所以である。また、従兵を「ボーイ」と呼ぶな。21、夜遅くまで、酒を飲んで騒いだり、大声で従兵を怒鳴ったりす  ることは慎め。 21、課業時のほかに、かならず出て行くべきものに、銃器手入れ、武器手入れに、受け持ち短艇の揚げ卸しがある 第3 転勤より着任まで 1、転勤命令に接したならば、なるべく早く赴任せよ。1日も早く新勤務につくことが肝   要。退艦したならば、ただちに最短距離をもって赴任せよ、道草を食うな。 2、「立つ鳥は後を濁さず」仕事は全部片づけておき、申し継ぎは万遺漏なくやれ。申し  継ぐべき後任者の来ないときは、明細に中し継ぎを記註しおき、これを確実に託し   おけ。 3、退艦の際は、適宜のとき、司令官に伺候し、艦長・副長以下各室をまわり挨拶せよ4、新たに着任すべき艦の役務、所在、主要職員の名は、前もって心得おけ。 5、退艦・着任は、普通の場合、通常礼装なり。 6、荷物は早目に発送し、着任してもなお荷物が到着せぬ、というようなことのないようにせよ。手荷物として送れば、早目に着く。 7、着任せば、ただちに荷物の整理をなせ。 8、着任すべき艦の名を記入したる名刺を、あらかじめ数枚用意しおき、着任予定日時を艦長に打電しおくがよい。 9、着任すべき艦の所在に赴任したるとき、その艦がおらぬとき、たとえば急に出動した後に赴任したようなと時は、  所在鎮守府、要港部等に出頭して、その指示を受けよ。さらにまた、その地より他に旅行するを要するときは、証  明書をもらって行け。 10、着任したならば、当直将校に名刺を差し出し、「ただいま着任いたしました」ととどけること。当(副)将校は副長に   副長は艦長のところに案内して下さるのが普通である。副長から艦長のところへつれて行かれ、それから次室  長が案内して各室に挨拶に行く。艦の都合のよいとき、乗員一同に対して、副長から紹介される。艦内配置は、   副長、あるいは艦長から申し渡される。 11、各室を一巡したならば、着物を着換えて、ひとわたり艦内を巡って艦内の大体を大体を見よ。 12、配置の申し継ぎは、実地にあたって、納得の行くごとく確実綿密に行なえ。いったん、引き継いだ以上、全責任  は自己に移るのだ。とくに人事の取り扱いは、引き継いだ当時が一番危険、ひと通り当たってみることが肝要だ。  なかんずく叙勲の計算は、なるべく早くやっておけ。 13、着任した日はもちろんのこと、1週間は、毎夜巡検に随行するごとく心得よ。乗艦早々から、「上陸をお願い致し  ます」などは、もってのほかである。 14、転勤せば、なるべく早く、前艦の艦長、副長、機関長、分隊長およびそれぞれ各室に、乗艦中の御厚意を謝す   る礼状を出すことを忘れてはならぬ。 第4 乗艦後ただちになすべき事項 1、ただちに部署・内規を借り受け、熟読して速やかに艦内一般に通暁せよ。 2、総員起床前より上甲板に出で、他の副直将校の艦務遂行ぶりを見学せよ。2、3日、当直ぶりを注意して見てお   れば、その艦の当直勤務の大要は分かる。しかして、練習艦隊にて修得せるところを基礎とし、その艦にもっとも  適合せる当直をなすことができる。 3、艦内旅行は、なるぺく速やかに、寸暇を利用して乗艦後すぐになせ。 4、乗艦して1ヵ月が経過したならば、隅々まで知悉し、分離員はもちろん、他分隊といえども、主たる下士官の氏名  は、承知するごとく心がけよ。 第5上陸について 1、上陸は控え目にせよ。吾人が艦内にあるということが、職責を尽くすということの大部である。職務を捨ておいて   上陸することは、もってのほかである。状況により、一律にはいえぬが、分隊長がおられぬときは、分隊士が残る  ようにせよ。 2、上陸するのがあたかも権利であるかのように、「副長、上陸します」というべきでない。「副長、上陸をお願いしま   す」といえ。 3、若いときには、上陸するよりも艦内の方が面白い、というようにならなけれぱならない。また、上陸するときは、自  分の仕事を終わって、さっぱりした気分で、のびのびと大いに浩然の気を養え。 4、上陸は、別科後よりお願いし、最終定期にて帰艦するようにせよ。出港前夜は、かならず艦内にて寝るようにせよ。上陸する場合には、副長と己れの従属する士官の許可をえ、同室者に願い、当直将校にお願いして行くのが慣例  である。この場合、「上陸をお願い致します」というのが普通、同僚に対しては単に、「願います」という。この「願い  ます」という言葉は、簡にして意味深長、なかなか重宝なものである。すなわち、この場合には、上陸を願うのと、  上陸後の留守中のことをよろしく頼む、という両様の意味をふくんでいる。用意のよい人は、さらに関係ある准士   官、あるいは分隊先任下士官に知らせて出て行く。帰艦したならば、出る時と同様にとどければよい。たたし、夜   遅く帰艦して、上官の寝てしまった後は、この限りでない。士宮室にある札を裏返すようになっている艦では、か   ならず自分でこれを返すことを忘れぬごとく注意せよ。 6、病気等で休んでいたとき、癒ったからとてすぐ上陸するごときは、分別がたらぬ。休んだ後なら、仕事もたまってお  ろう、遠慮ということが大切だ。 7、休暇から帰ったとき、帰艦の旨をとどけたら、第1に留守中の自分の仕事および艦内の状況にひと通り目を通せ。  着物を着換え、受け持ちの場所を回って見て、不左中の書類をひと通り目を通す心がけが必要である。 8、休暇をいただくとき、その前後に日曜、または公暇日をつけて、規定時日以上に休暇するというがごときは、もっと  も青年士官らしくない。 9、職務の前には、上陸も休暇もない、というのが士官たる態度である。転勤した場合、前所轄から休暇の移牒があ  ることがあるけれども、新所轄の職務の関係ではいただけないことが多い。副長から、移牒休暇で帰れといわる   れば、いただいてもよいけれども、自分から申し出るごときことは、けっしてあってはならぬ。 第6部下指導について 1、つねに至誠を基礎とし、熱と意気をもって国家保護の大任を担当する干城の築造者たることを心がけよ。「功は部下に譲り、部下の過ちは  自から負うは、西郷南洲翁が教えしところなり。「先憂後楽」とは味わうべき言であって、部下統御の機微なる心理も、かかるところにある統御者たるわれわれ士官は、つねにこの心がけが必要である。石炭  積みなど苦しい作業のときには、士官は最後に帰るようつとめ、寒い  ときに海水を浴びながら作業したる者には、風呂や衛生酒を世話してやれ。部下につとめて接近して下情に通せよ。しかし、部下を狎れしむるは、もっとも不可、注意すべきである。 2、何事も「ショート・サーキット」(短絡という英語から転じて、経由すべきところを省略して、命令を下し、または報告する海軍用語)を慎め。い  ちじは便利の上うたが、非常なる悪結果を齋らす。たとえば、分隊士を抜きにして分隊長が、直接先任下士官に命じたとしたら、分隊士たる者いかなる感を生ずるか。これは一例だか、かならず順序をへて命  を受け、または下すということが必要なり。 3、「率先躬行」部下を率い、次室士官は部下の模範たることが必要だ。物事をなすにもつねに衆に先じ、難事と見ば、 真っ先にこれに当たり、けっして人後におくれざる覚悟あるべし。また、自分ができないからといって、部下に強制  しないのはよくない。部下の機嫌をとるがごときは絶対禁物である。 4、兵員の悪きところあらば、その場で遠慮なく叱咤せよ。温情主義は絶対禁物。しかし、叱責するときは、場所と相  手とを見でなせ。正直小心の若い兵員を厳酷な言葉で叱りつけるとか、また、下士官を兵員の前で叱責するなど  は、百害あって一利なしと知れ。 5、世の中は、なんでも「ワソグランス」(一目見)で評価してはならぬ。だれにも長所あり、短所あり。長所さえ見てい  れば、どんな人でも悪く見えない。また、これだけの雅量が必要である。 6、部下を持っても、そうである。まずその箆所を探すに先だち、長所を見出すにつとめることが肝要。賞を先にし罰を  後にするは、古来の名訓なり。分隊事務は、部下統御の根底である。叙勲、善行章(海軍の兵籍に人ってから3  年間、品行方正・勤務精励な兵にたいし善行章一線があたえられ、その後、3年ごとに同様一線あてをくわえる。  勇敢な行為などがあった場合、特別善行章が付与される)等はとくに慎重にやれ。また、一身上のことまで、立ち  入って面倒を見てやるように心がけよ。分隊員の入院患者は、ときどき見舞ってやるという親切が必要だ。 第7 その他一般 1、服装は端正なれ。汚れ作業を行なう場合のほかは、とくに清潔端正なるものを用いよ。帽子がまがっていたり、「  カラー」が不揃いのまま飛び出していたり、靴下がだらりと下がっていたり、いちじるしく雛の寄った服を着けている  と、いかにもだらしなく見える。その人の人格を疑いたくなる。 2、靴下をつけずに靴を穿いたり、「ズボン」の後の「ビジヨウ」がつけてなかったり、あるいはだらりとしていたり、下着  をつけず素肌に夏服・事業服をつけたりするな。 3 平服をつくるもの一概に非難すべきではいが、必要なる制服が充分に整っておらぬのに平服などつくるのは本末  顛倒である。制服その他、御奉公に必要をる服装属具等なにひとつ欠くるところなく揃えてなお余裕あらば、平服  をつくるという程度にせよ。平服をつくるならば、落ちついて上品な上等のものを選べ。無闇に派手な、流行の尖   端でもいきそうな服を着ている青年士官を見ると、歯の浮くような気がする。「ネクタイ」や帽子、靴、「ワイシャツ」  「カラー」「カフス」の釦まで、各人の好みによることではあろうが、まず上品で調和を得るをもって第1とすべきであ  る。 4、靴下もあまりケパケパしいのは下品である。服と靴とに調和する色合いのものを用いよ。縞の靴下等は、なるべく  はかぬこと、事業服に縞の靴下等はもってのほかだ。 5、いちばん目立って見えるのは、「カラー」と「カフス」の汚れである、注意せよ。また、「カフス」の下から、シャツの   出ているのもおかしいものである。 6、羅針艦橋の右舷階梯は、副長以上の使用さるべきものなり。艦橋に上がったら、敬礼を忘れるな。 7 陸上において飲食するときは、かならず一流のところに入れ。どこの軍港においても、士官の出入りするところと、  下士官兵の出入りするところは確然たる区別がある。もし、2流以下のところに出入りして飲食、または酒の上で  上官たるの態度を失し、体面を汚すようなことがあったら、一般士官の体面に関する重大をることだ。 8、クラスのためには、全力を尽くし一致団結せよ。 9、汽車は2等(戦前には1、2、3等の区分があった)に乗れ。金銭に対しては恬淡なれ。節約はもちろんだが、吝薔  に陥らぬよう注意肝心。 10、常に慎独を「モットー」として、進みたきものである。是非弁別の判断に迷い、自分を忘却せるかのごとき振舞い  は、吾人の組せざるところである。
hiramayoihi.com/Yh_ronbun_dainiji_seinenshikankyouikugen.htm
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fantasybrade · 4 years
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目が覚めたので朝の運動的にオープンワールドについての雑記2を
前回の記事に付け足して言うべきこと何点かある
Morrowindにおけるメニュー画面…メニュー画面は本シリーズにおいて「ジャーナル」と呼ばれる ジャーナル、つまり日記だが、Morrowindにおいてジャーナルは本の体を保つという記述があった。Oblivionでも本っぽい見た目のジャーナルになっていたが、これは最新作Skyrimにはない特徴 Skyrimのジャーナルは基本的に他のゲームの「メニュー画面」と同じで、謎のUIが画面に出現し、星座を眺めてスキルポイントを割り振ったり、世界を上空からドローン視点で眺めることができる。この変更には良しと悪しがある
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良しな点として、ジャーナル機能は死ぬほど見にくい ありえん Morrowindは未プレイなのでゲームカタログに記述されている情報を鵜呑みにするなら、体裁が完全に日記(ジャーナル)なので、どのページに何の情報が描かれているかを覚えておく必要があるとのこと 論外だろう、こんなもの Oblivionでは多少改善されてはいたようだが、アイテムが五十音順に並ぶことの弊害や、マップそのものの見づらさなど上げればきりがない不具合があった。いくらなんでもオープンワールドを冒険する人間の日記をメニュー画面にするというのは無理があったのではないかと思う 
それともう一つ、「日記」という体裁はそもそもプレイヤーと相性が悪い それはプレイヤーの日記ではないため、キャラクターが抱えている自我を垣間見てしまうことになる その日記がいかに平易な文章を心がけていたとしても、日記とは殆ど主観そのものであり、プレイヤー・プレイヤーキャラクター間の距離を確実に遠ざける この方式を辞めるというのも納得がいく 誰かが書いたジャーナル(日記)より、メニュー画面の方がいい意味でゲーム的だと思う
悪しな点はもちろん見た目と雰囲気 正直これにつきる Oblivion内でメニュー画面を開くと何か物と物が擦れあったような効果音が鳴り、羊皮紙的なサムシングが画面に広がり、なんか雰囲気がある マップなどそれが顕著だ マップはなあ、紙でなければならんのだ ことタムリエルにおいては! スカイリムのマップは、誰がどう見たってGoogle Earthだ タムリエルにGoogle Earthはない!
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というまあどうでもよいことは置いておいて、次に付け足すべき点として、前回の記事は「Skyrimを前作と比較して自由度が失われているというもう何年も前にみんなで話して終わったやつ」でしかないが、しかしそれは悪いことではない(という何年も前にみんなで話して終わったやつ) という話をしたい
そもそもがSkyrimはそういう方向性なのだという話 前記事におけるパーサーナックスの台詞引用を見ても分かる通りベセスダはこの事にかなり自覚的に見える Oblivionにおいて、主人公は何者にでもなれた 何者かと何者かを並行してロールプレイすることさえできる自由さだった 何かになりたくなければならなくてよいという、それはもはや現実じゃん 
ここで着目したいのは、2作の舞台だ The elder scrollsシリーズというのは「ムンダス」というゲーム全体が表象しているここではないどこかの宇宙にある、「ニルン」という星を舞台にしたゲームシリーズで、そこには広大な大地と海が存在する 「タムリエル」という広大な大陸を中心に展開していたこのシリーズは、その規模の大きさとゲームの描画レベルを釣り合わせるため、一つ一つのゲームで描く範囲を「地域」に分けることにした
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タムリエルには「ヴァレンウッド」「エルスウェア」「ブラックマーシュ」「モロウウィンド」「スカイリム」「シロディール」みたいな感じで地域ごとに名前で区分けされており(あと何個かあった気がする)、それぞれの地方を舞台にゲームが展開する 「Oblivion」はシロディール、「Skyrim」はスカイリム といった感じ
Skyrimに比べ、Oblivionはプレイヤーキャラクターの透明さにやけに注力されている 彼だけが後のシリーズにおいてどうなったかを確認できる術がなく、後作であるSkyrimでなんとなく曖昧なヒントを与えられるだけで、確定的な証拠はない。彼は最後まで何者でもなく、何の血も引いておらず、何の神でもない これは昔のJRPGなどではあまりなかった設定であると思われる 彼はどうがんばっても「何か先天的に特殊な存在」にはなれない(それも一種の不自由か?)
「Morrowind」の主人公はメインクエストのプレイ中に自身が神であることに気づくことになり、「Skyrim」の主人公は序盤からドラゴンの力を持った勇者であると気づくことになる Skyrimの主人公ドヴァキンはめちゃくちゃ「主人公」している 
少々前回の記事と内容が被ってしまった。ようはSkyrimの主人公とOblivionの主人公がキャラクターとして抱えている濃度の差の話だ 以下に改めて書く
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・Oblivionの主人公…囚人。メインクエストを終え、シロディールの勇者と呼ばれることとなる。しかし皇帝の血は途絶え、世に混乱が訪れることとなった。DLCシナリオをクリアすることで、狂気のデイドラ王シェオゴラスを倒し、シェオゴラスのもう一つの人格ジャガラグに「そう…お前という人間…人間…?王…いや、神…うーん…あー…、さらばだ…シェオゴラスよ…」みたいなわけのわからん事を言われる(曖昧さここに極まるといった台詞だ デイドラの王はそもそも不死であるし、第4紀に現れるシェオゴラスは何故か未だグレイマーチに悩まされている そもそも何を持ってシェオゴラスをシェオゴラスたらしめているのかというような問題になりかねない危うい台詞でもある)
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・Skyrimの主人公…冤罪で帝国に処刑される直前であったが、神話・伝説の存在とされていた「ドラゴン」の襲来に乗じて刑を免れる。自身が「声の力」を持ち、ドラゴンを殺しうる者「ドラゴンボーン」であると知り、悪のドラゴン「アルドゥイン」を倒すためあれこれした後、ソブンガルデという異世界でかつて神話の時代にドラゴンを滅ぼした勇者たちと共にアルドゥインを倒すことに成功する。付け加えて、彼は神話の時代の壁画に書き残されていた「アルドゥインが再び現れる時、最後のドラゴンボーンが現れる」という感じの記述に従うならば最後のドラゴンボーンであり、本編終了後のDLCクエスト「Dragonborn」にて、「最初のドラゴンボーン」と戦うこととなる
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(最初のドラゴンボーン・ミラーク。彼の設定もまた面白い)
おかしいだろ Skyrimの主人公、主人公すぎる そんなことある?これに更に付け加えて言うならば、Skyrimの主人公がアルドゥインを倒すために使う特殊なアーティファクト「星霜の書」は、無理に読もうとすると目が焼け死ぬという人智を遥かに超えた宝具的サムシングで、原文では「Elder scroll」である う、嘘やろ?これもう、お前が主人公じゃん シリーズタイトルを回収するな TESシリーズの主人公のクセにタイトル回収するんじゃあないよ
Oblivionがありとあらゆるところで明示的な言及を避け続けているのに対して、Skyrimはとんでもないほどにドヴァキンに物語が付随している 
めちゃくちゃ前説が長くなってしまった。この、なんというべきか、主人公度の差というべきか、プレイヤーキャラクターとしての透明度の違いは、誤解を恐れずに言うなら「土地柄」が出ているような気がする という話だ
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Oblivionの舞台であるシロディールは、タムリエルの中心に位置し、帝国が支配する四季あふれる豊かな土地だ 高低差のない広い平野が広がっていて、そこに様々な植物があり、人が住み、生きているという感じの… 時間軸としては、皇帝が何世代にも渡って守り続けてきたオブリビオン(魔界的な何か)へ通じる扉が開かれる直前に始まる物語でもある 
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Skyrimの舞台であるスカイリムは、タムリエル北部に位置する雪国地域で、そこには「冬」しかない 山は険しく、生活に困窮する村もある 時間軸としては、帝国軍と反乱軍の争いに決着が付いた直後、伝説として語られていた「ドラゴン」が現れる直前から始まる物語だ(因みに、この”山”はオープンワールドとして問題を孕んでいるという意見が友人から何度か出たことがある 山によってマップが区分けされているせいで、物理的にシームレスな移動が可能なオープンワールドであるにも関わらず”シームレスではない”という意見だ わからないこともない そういう土地だから仕方ない気もする)
ここに、地域性、土地柄がある。雪に覆われた地というのはそれ自体が持つ物語性を有していて、彼らは「スカイリムの子ら」という自意識を持っていて、一人ひとりがそういった物語を濃淡様々に抱えている。そして何より「ドラゴン」は古来よりRPGの世界が驚異として描いてきた最強の物語だ Oblivionに出てくる敵はまあ適当に言えば悪魔みたいな感じで、神話的な意味合いを持っているといえるが、神話は現実との距離が遠い。RPGの世界において、神話より「伝説」の方が聞き馴染みがあり慣れ親しんできたという感覚、わかるだろうか つまり、シロディールの平坦な大地へ赴き冒険する主人公に対して、スカイリムの子を自称する雪国の冒険者は、抱えている物語が大きくて当たり前なのだ(これはちょっと日本人の感覚すぎる話だろうか)
Oblivion、Skyrim共にどんな種族の誰にでもなれるわけだが、どちらも「一般的に選ばれる”人間”に最も近い種族」というのがある Oblivionでは「インペリアル」という、帝国の人間であり、彼らはメチャクチャ普通の人間の見た目をしている 対してSkyrimを起動しだれもが最初に選ぶことになる種族は「ノルド」と呼ばれる、筋肉質で髭を蓄えたたくましい雪の男である
「ノルド」はスカイリム地方に住む多くの人間の事を指す。彼らノルドには種族としての物語がとても色濃く残っている。ノルドとして生まれた者は北の大地を踏みしめ生き、膝に矢を受けて死ぬ。死することで「ソブンガルデ」と呼ばれるノルド専用の天国に行くことができるという信仰があり、これって実在していて…ソブンガルデは実在する。ノルド達は口々にこの世界の名前を叫ぶ。「勝利か、ソブンガルデかだ!」彼らは他の種族と全く違う価値観の元に生きている。根本的に死への恐れの種類が違う。恐れを知らず生き、恐れを知らず逝った。更に彼らの信仰する神「タロス」は、かつて「タイバー・セプティム」というタムリエル全土を支配した最上の皇帝であり、伝承ではノルドとされている。インペリアルが創り上げた八太神信仰を、ノルドは九太神信仰へと変えた
Skyrimのラスボス戦の舞台はソブンガルデであり、プレイヤーがノルドではない、例えばアルゴニアンやカジートである場合、特別にソブンガルデに入れてもらえることになる。が、なんだかとっても変な感じがする 例えば君がエルフとしてソブンガルデに招待されたとしよう。生粋のエルフRPをしている君は、そもそもショールを悪魔とする思想を持っているはずで、ソブンガルデに赴くことそれ自体宗教的にマズいのではと悩む羽目になる…だが、大方のプレイヤーがエルフ系の種族を選ぶのは決まって2周目3周目だ。何故なら、トレイラーを見てスカイリムへの冒険に憧れ購入したプレイヤーはもはやその時点でノルドであり、ドラゴンを打ち倒すノルドの勇者になるべくしてゲームを起動しているのだから
1周目で早速ダークエルフプレイなどをしている多くの異端プレイヤーにマイノリティ宣言をして本当に申し訳ないと思っているが、実際そうだ スカイリムといえばノルド ノルドといえばソブンガルデ、ソブンガルデといえばタロス これはもう否定しようがない このように、Skyrimはその地方を選んだ時点で、物語を有してしまっている。The elder scrollsシリーズが描いたのは世界であり、神話であり、そして人であり、人にとって物語は隣人であり、友人であり、恋人でもあり、子であり親である
ようはSkyrimの主人公は主人公になるべくして産まれた主人公だ ラスト・ドラゴンボーン 勇者
ここにまだ更に付け加えて言おう スカイリムにおける独自システムでもありこのゲームの要となる、ドラゴンボーンの特殊な力「シャウト」は、ドラゴンを殺すことでその力を蓄え、スカイリムの各地の遺跡でドラゴン文字を解読することによりその種類を増やすスキルだ シャウトを扱える人間は少なく、元を辿るとシャウトはドラゴンの力でもある。ドラゴンはシャウト…つまり「声」を力に変える生き物だ
この、「声/シャウト」というのがそもそも生き物が持つあまりに身近な力だ 歓喜するとき、驚愕するとき、悲嘆するとき、皆叫ぶ その「叫び」に物理的な力を齎すというフィクションは、なんなら「魔法」なんかよりよっぽど物語している。 スカイリムをまっとうにプレイした君なら、シャウトでドラゴンを従え、シャウトで空を晴らし、シャウトで敵を吹き飛ばすことが可能なはず
こんなに長く語ればもう分かるだろう The elder scrollsシリーズが5作目を迎えた10年前、Skyrimをその舞台とすると決めたその瞬間から、ドヴァーキンは主人公だった Oblivionに対し方向性を変えるのは当たり前だ 日本でTESシリーズの知名度が爆上がりしたのは間違いなくSkyrimの功績だが、それはオープンワールドゲームとしての完成度が高かったからとか、日本人にまだ馴染みやすいゲームシステムだったからだとか、そういうことではない、敵がドラゴンであり、お前がドヴァーキンになれるからこそ、日本人にもバカ受けした ロトの勇者や、ソルジャークラス1stになっていた君は、ドヴァーキンにもなれた
https://www.youtube.com/watch?v=qJnnPh44Rlo&has_verified=1&ab_channel=BethesdaSoftworks
見ろこのクソ地味なトレイラーを 盛り上がりもクソもない なんかよくわからんポリゴンの世界があって、なんかよくわからん人がいて、なんかよくわからんまま終わる!このゲームの主人公が主人公で���るわけがない しかしそれ故にあなたは何にでもなれた
https://www.youtube.com/watch?v=JSRtYpNRoN0&has_verified=1&ab_channel=BethesdaSoftworks
なんだこのトレイラーは、俺はノルドなのか 俺はノルドだ スカイリムの子だ 俺はかつて小学生の時に読んだドラゴンスレイヤーアカデミーを思い出す ドラゴンを殺し世界を救うため、この世に産まれたという使命をうっかり思い出してしまう 雪…雪!雪だ 雪は白いから好きだ 叫びを上げドラゴンを殺しドラゴンの力を奪う しかしそれ故にあなたはドラゴンボーンにしかなれない お前がアルゴニアンであろうとハイエルフであろうと関係ない お前はドラゴンボーンだ ひとたびお前がドラゴンを殺せば、その魂を吸収してしまうだろう それは確定事実だ 2011年の11月11日からお前はドラゴンボーンだった
まとめると、OblivionとSkyrimは同じく広い世界を自由に探検できるゲームであるという前提の元、物語とプレイヤーの距離感を変えることでゲームの目指す方向性を分けている。別にどちらのゲームも、メインクエストをやってもやらなくてもいいし、何をしてもいいのは事実として、物理的にそうだ ただ、オープンワールドでありノンリニアを名乗るゲームにおけるメインクエストというのは、「やってもやらなくてもいい」という事実に関係なく、ゲームの自由度に縛りをかける。最近のIGNの記事にもあったが、オープンワールドと物語は決定的な矛盾を孕んでいる あなたはドラゴンが世界を滅ぼそうとしている時になんの目的もなくパンを盗んだりできるが、「可能」であれば「自由」であるわけではないだろう それとこれとは話が別だ メインのストーリーに背を向けることができるかどうかは、そのストーリーが持つ主人公との関係性によってプレイヤーに大きく委ねられる。倫理観や使命感のRPとのズレ。ゲームにそんなものは必要ないと言うならテトリスでもやってろハゲ 
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(テトリスおもしろいよね)
Oblivionは限りなく主人公を透明にすることで、シロディールというファンタジー世界の地域を限りなく自由に探検することができる。それも、何者として探検するか、というところに至るまでの自由だ 暗殺者にも、戦士にも、魔法使いにもなれる なったら、何がしたい? 
Skyrimは主人公を極度に不透明にすることで、スカイリムの子として雪の国を救う勇者「ドラゴンボーン」になれる。これはめちゃくちゃJRPGっぽいが、それはそれとして、世界を救わない選択も可能だし、世界を救った後にのんびり観光してもいい。暗殺者にも、戦士にも、魔法使いにもなれる。が、君はドラゴンボーンであり、この世界が好きだからこそ、世界を救う。
ようはプレイヤーとプレイヤーキャラクターの距離の違いでもある プレイヤーはこの世にいくらでもいて、それぞれがたくさんの人生の合間にこの世界に顔を覗かせる。その時あなたが、あなたとして世界を冒険したいのか、誰かに自己を投影して冒険したいのか、というのは好みによるところだろう(一応言っておくが、Oblivionでも真剣にメインクエストに向き合い皇帝にアミュレットを託された人間としてシロディールを救う勇者になりきることもできるし、Skyrimでメインクエストを放置して一介の凡人として何者かになろうとすることも全然できる ようはゲームが持つ雰囲気が、どういったゲームプレイをオススメしてくるのかというかなり曖昧な話だ、これは)
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(これはニコニコ大百科のドラゴンボーンの記事の項目の一つ ここの記述はものすごく良くて、Skyrimの主人公も”フリーダム”だ ただ、この通りのゲームプレイをしていると、こういった「おかしさ」「面白さ」が発生してしまうというのは誰でも理解できよう)
どちらも稀代の名作であり、本当に面白く本当に良いゲームだ どっちも好き Oblivionの自由は真に現実が自由であるということを思い起こさせる良さがある 緑あふれるシロディールの地は綺麗で、あの時代のポリゴンは私が最もノスタルジックになれる Skyrimの雪は高知に住む私の雪への憧れを刺激する ドラゴンボーンとなってアルドゥインを倒すメインクエストは、盛り上がりに欠けるところはままあるが、そもそも物語が持つ熱量が濃くて良い
続くThe elder scrolls:Ⅵはどちらの方向に傾くのか、どっちでもいいが、スカイリムで「誰か」になるのを十分楽しみ満足した節があるので、次はOblivionの方向性だと嬉しいな 何より、Skyrimの方向性のゲームは世に溢れている そうだ そもそもその話をしようとこういった記事群を書き始めたんだった うっかり好きなゲームを語るだけの記事になってしまった
余談ではあるが、ここで気になるのは「Oblivion」というタイトルだ シリーズのタイトルを並べてみると「Arena」「Daggerfall」「Morrowind」「Oblivion」「Skyrim」となるが、この内、Arenaは大陸全土の揶揄表現で、Daggerfallは都市の名で、Morrowind、Skyrimは地域の名だ しかしOblivionという名前はそもそも異界の呼称で、ムンダス(宇宙)を覆うように存在するデイドラの住まう魔界のことだ 素直にシロディールをタイトルに起用していない理由などがどこかに記載されているかはわからない(ここまで読んで何度もあなた方が訝しんだ通り、これらの記事はまともな調査も行わず適当を並べ立てているだけでなんの論理性もない雑文だということは改めて説明するまでもない) Oblivionというのはそもそも英語で「忘却」や「無意識」という言葉だ 造語でないタイトルはArenaとOblivionだけで、果たして何か面白い意味をこじつけることはできないかとうんうんうなってみたが、うーん無理そう
以前の記事で「ダークソウル」と「GTA」について語るという旨のメモを残したが、「GTA」に関してはそもそもプレイするモチベーションがないのでやめる ダクソは実はもう買ってあり、難易度にへこたれてプレイしきれていないだけなので、今度時間を取ってクリアした後、書く 他にも、以前書いたような「メタルギアソリッド2とボクと魔王」の話を改めて書きたい まあこれらは一旦置いておいて、次は「魔女と百騎兵」の話をする 現在は仕事に追われていて(まんがタイムきららMAXにて連載中の「ぬるめた」という私の漫画の1巻が2021年1月27日、つまり明日発売だ そして来年4月からは、ぬるめたと同時進行で「青騎士」という角川の新雑誌にて全く別の漫画を開始する予定でもある)ゲームがプレイできていないため、「ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団」をプレイしていない 
これを近いうちプレイした後、この「魔女」のシリーズについてメモを残す 今までも何度かしたことがあるような気もするが、「魔女」のシリーズが行った「プレイヤーとプレイヤーキャラクターの距離感」の取り方は完全に今までで類を見ない全く新しい奇抜な発想であり、面白すぎる SkyrimやOblivionにおけるプレイヤーとプレイヤーキャラクターの距離感についての話、物語とプレイヤーの距離の話、こういった話で我々が常に無視し続けている問題がある。それは、「Oblivionをプレイしたプレイヤーの中には、”後に”Skyrimをプレイするプレイヤーもいれば、しないプレイヤーもいるし、”以前”Morrowindをプレイしたことがある人もいれば、したことのないプレイヤーもいるし、”先に”Skyrim”をプレイしてからOblivionをプレイし始めた人もいれば、そうではないプレイヤーもいる」という、かなり「えッそんなの考慮するわけないじゃん」問題である。そう、プレイヤーはゲームのシリーズをプレイする時、そのゲームがシリーズ最初にプレイしたゲームではない可能性があるのだ しかも、これまでにプレイしてきたシリーズの順番さえ、わからないのだ もしあなたがOblivionをプレイしたことがあって、Skyrimをこれからプレイしようとするとある若者であったとしよう、なぜ、Skyrimの主人公はOblivionの記憶を持っていないんだ?Skyrimの主人公はあなたなのに? という、どうしようもない問題が立ちはだかっていたのだ これはTESシリーズにおいても無視されている問題だ、プレイヤーの持つシリーズ世界の記憶。ようはどうしようもなさすぎるが故に誰も目を向けていない問題だったのだ
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だが、「魔女」シリーズはそこに解答を出している…というメチャクチャ面白い話です おわり つかれた
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t82475 · 5 years
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多華乃の彼氏2
1. 7月、J大オープンキャンパス。 見学に来た高校生で賑わうキャンパスではいろいろなクラブやサークルが新入部員勧誘活動に励んでいる。 それは我がイリュージョン同好会も同じだった。 「あの前でいこう」「どっちでやる?」 「そうだな、大人が多いからヒンズーで」「了解」 部長のイサオが指差したのは、生協棟の張り出しテラス。 10卓ほどの丸テーブル席に高校生と保護者たちが座っていた。 イサオに続いて台車を押すのは小柄な大塚正道くん、紙袋を担ぐのは大柄な小谷真幸くん。 私は二人のことを密かに大マサ小マサコンビと呼んでいる。 大塚くんは多少マジックの経験があるけれど、イリュージョンは二人とも同好会に入ってから始めたとのこと。 大塚くんの台車に載せているのはヒンズーバスケットとサーベル(剣)一式。 小谷くんの紙袋はギロチンの道具だから今回は使わない。 「はい皆さん、こんにちは!! イリュージョン同好会ですっ」 「出張イリュージョンやりまーすっ」 「見ていってください!!」 何だ何だと高校生とその親たちが集まった。 イサオが台車の前に立つ。 大塚くんと小谷くんは観客が近づき過ぎないように両側に立って台車を守る。 イサオが台車を覆っていた布を外してヒンズーバスケットを見せた。 「はいっ、ここにあるのは小さなバスケット!」 イサオはバスケットの中に足を入れて立った。 「このように中は空っぽです」 イサオが外に出ると、大マサ小マサコンビが白布を広げてバスケットを隠した。 数秒後、布を外すと・・。 「おぉーっ」観客から声が上がった。 バスケットの口から人の手が片方出ていた。 色白の肌に細い指。若い女性の手である。 「何と、バスケットの中に美女が出現しました!」 顔が見えなくても美女と宣言するのはお約束。 イサオが美女の指を摘んで上に導いた。 滑らかな腕が肩の近くまで伸びた。 ノースリーブの赤い衣装もちらりと見える。 と、そのとき大塚くんが近づいて手を伸ばすと、美女の脇の下をしゅるりと撫でた。 「きゃあんっ」 可愛い悲鳴が聞こえ、美女の腕はバスケットの中に引っ込んだ。 観客が笑う。 イサオはすました顔で、バスケットの口に蓋を乗せた。 蓋は楕円形の円板で、周囲に6個の小穴、中央にも大きな穴が空いている。 真ん中の穴から美女の手が再び出てきて指をひらひら動かした。 大塚くんと小谷くんが左右からサーベルを正面に差し出して交差させる。 イサオはバスケットの後方に立つと別のサーベルを水平にかざし、その中央を美女の手に握らせた。 サーベルはバスケットから出た手によって真上に差し上げられた形になる。 3人は一人ずつ順にサーベルを蓋の小穴に刺し始めた。 ずぶ。 バスケットの側面の穴からサーベルの先端が顔を出す。 美女の手はサーベルを差し上げたまま動かない。 ずぶ。ずぶ。 合計6本のサーベルがバスケットを貫通した。 台車ごとぐるりと回して、観客にバスケットが完全に貫かれていることを見せる。 イサオが美女の手に握られていたサーベルを取った。 美女の手がバスケットの中に消える。 その直後、イサオは蓋の穴に真上からサーベルを刺した。 ほんの1秒、いや0.5秒も経っていない。 美女の手が隠れたその穴をめがけてサーベルが突き刺されたのだ。 「きゃ」 口を覆って叫んだのは観客の女子高生だった。 イサオはサーベルを底に突き当たるまで刺して一度抜き、再び刺してぐりぐり捻る。 手を離してもサーベルは垂直に突き立ったままだった。 やがて3人はサーベルをすべて引き抜いた。 大塚くんと小谷くんが再び白布を広げてバスケットを隠し、イサオが布の下に手を入れて蓋を取り外した。 「はいっ、・・ワン、ツー、スリー!!」 白布がさっと払われると、そこには美女が立っていた。 「わーっ」ぱちぱちぱち。 歓声と拍手が起こる。 美女は髪をアップにして、ノースリーブの真っ赤なチャイナドレスを纏っていた。 にこやかに両手を広げてポーズ。 ふ~っ、暑い!! バスケットから登場した私は片手で額の汗を拭って笑った。 ・・それにしても脇の下をくすぐるなんて段取りになかったわ。 弱点なのに。 おかげで声出しちゃったじゃない。恥ずかしいー。 後で男の子たちをとっちめなきゃ。 2. 前の年に設立したばかりのイリュージョン同好会は、私、後藤多華乃を入れてわずか4名の小所帯だ。 2年生ばかりで1年生はゼロだから、来年は絶対に新入生を確保したい。 そのためにオープンキャンパスで宣伝しようと決めた。 もちろん活動しているのはウチだけでなく他のサークルも同じだから、ここは少しでも目立たないとダメだ。 皆で考えた作戦はモバイルイリュージョン。 機材を台車に載せて移動して、人の集まる場所があればどこでもイリュージョンをする。 ネタはギロチンかヒンズーバスケット。 女の子の多いグループなら、一人をギロチンにかけてあげる。受けが良ければ続けてヒンズー。 大人が多かったり男の子だけのグループなら最初からヒンズーを見せる。 私は最初からヒンズーのバスケットに隠れている。 もしギロチンだけで終わったらバスケットに入ったままになるけどね。 「暑そうだね。大丈夫?」大マサ小マサの二人が心配して聞いてくれた。 平気よ、これくらい。 答えようとしたら、先にイサオに言われてしまった。 「平気さ、後藤さんなら」 3. 「すみませーん!」 ビラを配り終えて撤収しようとすると、グレーのセーラー服を着た女子高生が追いかけてきた。 「あの、あたしアネモネ女学院の出水っていいます!」 「すげー、」「超お嬢様学校じゃねーか」 大塚くんと小谷くんがつぶやく。 そうだわ、アネモネといえば高偏差値の進学校。 賢いだけじゃなくて、綺麗な子ばかりって評判の女子高よね。 目の前の彼女も大きな瞳がくりんとしてて、かなりの美少女。 大マサ小マサコンビが色めき立つのも分かるわね。 隣を見るとイサオは目をぱちぱちさせているだけだった。 ホント、こんな可愛い子を前にして反応が乏しいんだから。 「さっきのイリュージョン見ましたっ。凄かったです!」 「あら、ありがとう」 「あたしの知ってるヒンズーとは全然違ってましたっ。腕を出したままサーベルを刺すなんて、もう、びっくりですー」 「キミ、ヒンズーなんて専門用語を知ってるの?」小谷くんが聞いた。 「はい、あたし高校でマジック研究会なんです」 「へぇ。じゃあイリュージョンも?」大塚くんも聞く。 「やってますっ。ぜんぜんスゴくないですけどー」 「高校生の部活でイリュージョンやってるところは少ないんだよ」 「お金持ちの学校は違うなぁ」 「あはは、学校はお金持ちでもクラブは貧乏なんですよー」 「・・キミ、名前は何だっけ」 今まで黙っていたイサオが聞いた。 「あ、出水ですっ。出水仁衣那」 「出水さん。来年、入学したらイリュージョン同好会に入ってくれるかい?」 「あ、それは分かんないですぅ」 「?」 「あたし、第一志望はT大なんで 」 「T大!? すごーいっ。じゃ���ウチは第二志望?」 「いいえ、第二はW大で。J大は何ていうか、滑り止め? あはははっ」 「・・」 4. その夜。イサオのアパート。 「あぁ」「痛い?」 「ううん、ぜんぜん」 イサオは私の胸に回した縄を背中で絞った。 上半身全体がきゅっと締め付けられて拘束感がアップした。 気持ちいい♥ 「もっときつく縛られてもいいな」 「うーん、でも僕らはまだ初心者だから」 この慎重居士め。彼らしいといえば彼らしいけれど。 イサオに縛ってもらうようになって半年。 緊縛の教習本やネットの情報、お金があるときには縛り方の講習会で教わったりしている。 彼の部屋に来ると、お布団やクッションが縄や紐で縛られているのを見るようになった。 よく生ハムっていうけど、クッションを縛ったらまさにハム。 いずれ私も生ハムになるのかしら。楽しみだわ。 私はTシャツ一枚とショートパンツで縛られている。 Tシャツの下はノーブラ。 ブラを着けないのは別に彼が喜ぶからじゃなくて、その方が気持ちいいから。 本当は裸になって素肌に直接縄を受けたい。 でもイサオは私が肌を出し過ぎると縄が擦れたときに危ないと文句を言う。 じゃどんな恰好がいいのかと聴いたら、長袖のジャージだって。 いい加減にしろって怒って、この恰好で折り合った。 上半身を縛られた後は両足に縄を掛けてもらう。 左右の足首を合わせて縛り、後は上に向けて一周巻いては下の縄に掛けて折り返し、また一周巻いては下の縄に掛ける。 ネットで知った梯子縛りという縄の掛け方。 “縛る” より “編む” と言った方が近いかも。 4メートルの縄を全部使って太ももの上まで編んだら、上端の一か所で縄を留める。 たったそれだけで足首から太ももまで締まった縄は緩まない。 「寝かせるよ」「うん・・」 全身の自由がなくなったら、そのまま彼のベッドに転がしてもらう。 ゆっくり膝を折ると、下半身全体を縄がきゅるきゅると締め上げた。 イイわ。すごくイイ。 「はぁ・・ん」 乳首がつんと立ち、私はしばらく幸福感に浸る。 「いい顔するね」 「とろけそうよ」 「本当に縛られるのが好きなんだな、タカノは」 「知ってる? 知的な女にはマゾヒストが多いのよ」 「はいはい」 そうだ。 私はごろりと転がってうつ伏せになった。 「ね、前髪を掴んでくれない?」「どうす���の?」 「引き上げるの、後ろにぐいっと」 「こう?」 彼の手が前頭部の髪を掴んだ。 そのまま持ち上げられる。 「ん、もっと強く・・っ」 顎が浮いて、首が反った。 「ああっ、もっと、お願い」 上半身が逆海老に反り上がった。 ああ、この感じ。 髪を掴んで弄ばれる。何て素敵な女の子の虐め方。 「離すよ」「駄目、もっと。・・もっと私を弄んで」 どれくらい過ぎただろう。 髪を掴む力が突然緩んで、私はどすんと顔面からベッドに落ちた。 「ここまでにしよう。髪が抜けちゃうよ」 「はぁ、はぁ・・。ありがと♥ しばらく浸らせて」 イサオは笑って離れると、横のキッチンの椅子に腰を下ろした。 私はベッドに転がったまま脱力する。 動けない、何もできない。 何の自由もないのに、この開放感はどうしてかしら? 私、世界一幸福な女だわ。 イサオがコーヒーを淹れ始めた。 こぽこぽとお湯の沸く音。香ばしい匂い。 いちいち豆を挽いてドリップするのが彼の流儀だ。 イサオはいつも私を縛ったままコーヒーを楽しむ。 感謝してね。 こんな美女を緊縛放置してコーヒータイムなんて贅沢、他所じゃできないわよ(と思う)。 時間が過ぎる。 彼に見られながら過ぎる時間。 「落ち着いた?」 「ええ、ありがとう」 「髪の毛を掴まれるのが好きなんだ」 「好きよ。弄ばれる感じが最高だわ」 「そろそろ縄を解くよ。タカノにもコーヒー煎れてあげる」 「あら、もう?」 「タカノは自分から解いてって絶対に言わないね」 「言わないわよ、そんなもったいないこと」 「もし僕が君を縛ったままどこかに行ったらどうするつもり?」 「そうね、縛られたままでいるわ。もし私が死んで遺体がぐずぐずに腐ったとしても恨まないわよ」 「ごめん、僕の負け」 イサオは縄を緩め、私はおとなしく従った。 両手が自由になると抱きつく。 渾身の力を込めて最低5分はしがみついて離れない。 それからようやくキス。 私が満足するまで我慢してね。 我ながら身勝手なM女だわ。 「・・そう言えばさ、問い合わせてみたんだ」 コーヒーを飲み始めたところで、イサオが縄を片付けながら言った。 「え、何の話?」 「ほら、出水さんが言ってた」 「ああ、人間くす玉?」 「うん、いつでも見学OKだって。来週あたり、京都に行ってみようと思う」 5. そう。あれは昼間、仁衣那ちゃんをキャンパスのカフェに誘ったときのこと。 明るく笑う彼女は華があってイリュージョン同好会に入ってくれたらきっと人気者になると思った。 その仁衣那ちゃんが私を見て、センパイはくす玉にも入れそうですねーと言ったのだった。 「くす玉って?」 「知らないですか? 人間くす玉。これくらいのくす玉から女の子が飛び出すんですよー」 「これくらいって、50センチくらい?」 「はいっ、ウチの学校じゃチアリーディングで使ってますよ」 「出水さん、その人間くす玉について詳しく教えてくれる?」 イサオが聞いた。 イリュージョン同好会を始めるにあたりイサオはできるだけオリジナルのネタをやりたいと考えていた。 市販のイリュージョンは高くて手が出ないし、美女役の女子部員も私一人しかいない。 だからアイデアで勝負。 イサオは人間くす玉に興味を持ったようだ。 仁衣那ちゃんがチア部の友人を通して調べてくれた。 人間くす玉は京都にあるイベント会社の製品だった。 イサオはその会社に連絡をとって見学に行くことにした。 写真や動画でも分かるのに、わざわざ見に行くのは何故? 「この目で見たいんだ、直径50センチに女性を入れるところを。イリュージョンに使えるかどうかは分からないけどね」 「私を人間くす玉にしたいの?」 「したい。タカノをくす玉に詰めたい」 彼の私を見る目が、いつもと違っていた。 本気だと思った。 「いいわよ、イサオのやりたいことをやって。何でも付き合ってあげる」 「ありがとう」 それにしても “詰める” なんてモノみたいね。 イサオの言い方にほんの少しだけぞくりとした。 6. 深夜の駅前で声をかけられた。 「後藤っ、後藤じゃねぇか?」 背の高い色黒の男性。 「長田くん?」 「久しぶりだなー」 やな奴に会っちゃったなぁ。 長田峻(おさだしゅん)は高2のとき付き合ってた男の子だ。 何につけても強引で、女を支配したがる男。 こういうのに惹かれた私がバカだったんだけど。 「今、帰りかい?」 「うん、バイト帰り」 「後藤は何してるんだ?」 「二丁目の蛸四郎。お勧めはオムソバよ」 「バイトのことじゃねーよ。どっか学校とか行ってるのかって聞いてるのっ」 「一応、大学生だけど」 「おー、遊んでるんじゃねーのか」 ねーよ。あんたとは違うの。 「そんな怖い顔しないでくれよ。・・で、どこの大学」 「言わない」「いーじゃねーか。教えて減るもんじゃなし」 「・・J大」 「おー、すげーじゃん」 長田はそう言って笑った。 粗忽なくせに笑うと爽やかに見えるのがシャクだ。 まあ、こいつがイケメンなのは否定しない。 「バイト済んだならヒマだろ? どっか飲みに行こうぜ」 「約束があるの」 「男か?」「うん」 約束があると言ったのは嘘だった。 イサオは京都に出かけている。 「おめーのことだから股開いて誘ったんだろ? ま、俺もそうやって誘惑されたクチだけどなー」 「失礼ねっ。そんなのじゃないわ!」 ホントに失礼なヤツ。私は背を向けて歩き出した。 「おーい後藤、怒るなよ」 後ろで長田の声がする。 ついてこられたら困ると思ったけど、それはないようだ。 「また遊ぼうぜー」 私は黙って歩み去った。 ・・大学の名前、教えたのはマズかったかなぁ。 7. イサオは京都で3日過ごして帰ってきた。 大学で顔を合わせたら、お土産と言ってペナントをくれた。 二等辺三角形の布地に大文字山と五重の塔。金色の筆文字で『京都』。 こんなもん、どないせぇっちゅーのよ。 「くす玉の見学でしよ? 3日も何してたの?」 「わざわざ見にくる学生は珍しいみたいで、面白がっていろいろ教えてくれた」 「何を?」 「んー、それは内緒」 イサオが内緒って言うときは、何か考えているときだ。 オリジナルのイリュージョンのアイデアか、それとも全然別の新しいことか。 「じゃあ京都に行って正解だったのね」「うん」 「よかったっ。・・今日、イサオん家(ち)に行ってもいい?」 今夜はバイトもないし、ベッドでしっとり♥、ね? 「ごめん、帰ってすぐ作業始めちゃって、足の踏み場もないんだ」 「何やってるの?」 「だから、内緒」 「え~っ?」 「完成したらタカノを呼ぶからさ」 8. イリュージョン同好会に大きな荷物が届いた。 それは直径50センチで中身はがらんどう、真っ二つに割れた球体だった。 「もしかして人間くす玉!?」 「うん、壊れたのを処分するって言うから、欲しいって言ったら譲ってくれた。送料向こう持ちで」 すごいっ。 タダでくれるのもすごいけど、クレクレしたイサオもすごい。 「で、どうするのこれ」 「んー、どうしようかなぁ」 「決めてないの?」 大塚くんと小谷くんも寄って、皆でくす玉を調べた。 それは硬いプラスチックの球体だった。 左右に別れた球体は本当なら蝶番(ちょうつがい)で繋がっていて開いたり閉じたりできるはずだけど、これは壊れてばらばらの半球だった。 試しに私が入ってみる。 片方の半球にお尻を入れ、もう一方の半球を被せようとしたら肩が収まらなかった。 肩をすぼめて身を縮めても、自分の膝が邪魔で屈めない。 足首をクロスさせて胡座を組み、開いた膝の間に上半身を押し込んだ。 「OK、押さえてちょうだい」 むぎゅう。背中が強く押された。 後頭部が突っかかる。顎を引いて限界まで小さくなった。 ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ。 きり、きり、きり。 全身の骨と筋肉が圧縮されて私はくす玉の中に収まった。 ・・ぐ、ぐるし。 うめきそうになった。 手も足も、身体のどの部分も動かせなかった。 あらゆる方向から力がかかって私を押し潰そうとしていた。 密閉感、圧迫感が凄まじい。何より耐え難いほどの息苦しさ。 身体の柔らかさには自信があったけど、これは無理だわ。 男の子たちも交代で挑戦してもらう。 一番小柄な大塚くんでも中に入るのは無理だった。 「やっぱり後藤さんだけだね、入れるのは」 「私でも厳しいわ。子供用じゃないの? これ」 「子供用なんてあるの?」 「んー、一応身長160センチ以下の女性用ってことになってるけど」イサオが言う。 160? どんな軟体女よ。 「後藤さんって身長いくつ?」「154」 「おー、余裕じゃん」「もっと小さくても入れるね」 大マサ小マサコンビがはしゃいでいる。 「やめてよ、無理だってば」 「いっそサーベル刺したら、ダンボールイリュージョン以上の衝撃じゃね?」 「もう、そんなことされたら本当に死んじゃうじゃわよ」 助けを求めてイサオを見ると、実に面白そうに笑っていた。 タメだ。こいつ、私をくす玉に入れて本当に剣刺しそう。 9. イサオが部屋に来てもいいって許してくれたのは翌々週になってからだった。 いったい京都で何を教わってきたのか白状してもらいますからねっ。 二人並んで大学の正門を出るところで、見覚えのある男がいた。 「へっへっへっ、会えたぞぉ。後藤」 「長田くん! あんた、どうしてここに」 「だって後藤、J大だって言ったじゃん」 ・・言った。 「ここでずっと待ってたの?」 「まぁね、たった二日で会えたんたから、俺たち相性いいんだよ」 そうだった。こいつ、蛇みたいにしつこい奴だった。 「えっと、こちらの人は?」イサオが聞いた。 「あ、彼は高校のときの友達で長田くん」 「へぇ~、これがお前の今の男?」 長田は私達の正面に立って、イサオをじろじろ見た。 「サえない彼氏だねぇ。こんな奴さっさと別れて俺とヨリを戻そうぜ」 「いやよ!」 「何なら縛ってやるぜ。俺、縄師になったんだ」 「なわし~!?」 「おうさ。後藤、お前ドエムだったろ。セックスの前に必ず尻叩かれて喜んでたじゃねーか」 あわわ。 「本当?」イサオが聞いた。 「俺が嘘つくかよ。尻だけじゃねーぞ、首絞めてくれって頼むんだぞ、こいつは。・・悪いことは言わねぇよ、あんたみたいな普通の男の手に負える女じゃねぇ」 長田がずけずけ言ったことは本当だった。 私はお尻が真っ赤になるまで叩いてもらって興奮していた。 気絶寸前まで首を絞められ、快感で下着をびしょびしょにしていた。 「そうだったのか。ごめん、気がつかなくて」 イサオは突然謝った。 「緊縛だけじゃなかったんだね。スパンキングに首絞め、他に希望があったら教えてくれる」 こんなときに何を言うのよ。 「何言ってるんだ? あんた」長田も不思議そうな顔をして聞く。 「まぁいいや。行こうぜ後藤。さっそく縛ってやっから」 「イヤよ、行かないっ」 「あの、長田さんとやら」イサオがのんびり言った。 「この人を縛るって、どこへ行かれるつもりですか?」 「どこって別に決めてねーよ。ホテルでも、カラオケでも、何なら駅の便所でもいいぜ、へっへっへっ」 「よかったら僕のアパートに来て緊縛を見せてくれませんか? たまたま、麻とアクリルのロープ、木綿ロープもありますけど」 「おおっ、そうか?」 やっぱり長田、ちょっと足りない。 普通の家にそんなにロープがある訳ないでしょ。 「後藤さんもいいかな? この人に縛られてみるのは」 タカノって言わずに後藤さんと呼ぶイサオ。 「イサ、酒井くんがそれでいいのなら」 10. イサオの部屋に入って驚いた。 四隅に木の柱。柱と柱の間に渡された金属パイプの梁(はり)。 その下に今まで通り机やベッド、衣装掛けなどが置かれている。 以前通った縛り方教室にあった設備と似ていた。 「吊り床?」 「仕上げるのに5日かかったよ」「うわぁ♥」 これはマゾの血が騒ぐわ。 長田はこれが何か理解していないようだ。 「何だよこれ、邪魔だなぁ」 とりあえずコーラと冷茶を飲んで落ち着く。 長田はビールを欲しがったけど、アルコールは置いてないと言って出さなかった。。 私は髪を括ってTシャツとショートパンツに着替えてきた。 もちろんシャツの下にはブラを着けている。 「後藤、おめぇ太ったなー」 「気安くおめぇって言うな。それに私の身体を煩く言ったら縛らせてあげないから」 「縄を選んで下さい、長田さん」 「おおっ」 長田はイサオが見せたダンボール箱から赤い綿ロープを取った。 「女を縛るならやっぱり赤だろ」 綿ロープでよかった。 硬い縄を使われてみみず腫れなんてできたら嫌だもの。 そう思って箱をのぞいたら色は様々だけと全部綿ロープだった。 イサオがウインクする。さすがイサオ♥ 11. 長田が私を縛り始めた。 「へっへっへっ」 両手を後ろで合わさせると、手首から肘にかけてぐるぐる縄を巻いた。 最後に一回蝶々結び。 何この生ぬるい縛りは。 ベッドにうつ伏せに寝かされて、足首を縛り、縄の反対側を手首に繋いで縛られた。 「知ってるか? ホッグタイっていうんだぜ」 そう言うと私の頬をぺちぺち叩いた。 「顔は触らないでっ」 「へっ、嬉しいくせに」 この顔が嬉しそうに見える? 手首の縄が緩くて解けそうだった。 いっそ自分で抜けてやろうかしら。 イサオを横目で見たら “我慢して” という風に首を振られた。 「いやぁ、すご��ですねぇ」「そうかい?」 「誰かに習って覚えたんですか?」 「まあね、」 イサオが持ち上げると長田は得意気に答えた。 「ダチがプロでね。スジがいいってホめられてんだ」 その友達、絶対にプロじゃない。 「どーだい? 後藤。ドMなお前には俺みたいな男が似合ってるんだ」 「・・あんたねぇ、自分で縄師って言うから、多少はまともに縛れるのかと思ったら」 「何だよその言い方。こっちの男の方がデキるって言うのかよ」 「イサオ、やってちょうだい」 「キレるのが早いよ、タカノ。この人の縄をもっと見たかったのに」 「どうせイサオも縛って見せるつもりなんでしょ。もう我慢できないわ、こんなユルユルの縛りっ」 「ゆ、ゆるゆるぅ!?」長田は初めて驚いた顔をした。 「分かった。じゃあ、きつめの縄で縛る」 「あんた、ホントに縛れるのか!?」 「まあ一応。縛り始めて1年の初心者ですけど」 12. イサオは長田が縛った縄を解いた。 「休憩いる?」 「いらないわ。早く始めてちょうだい」「分かった」 イサオは麻縄を手にした。 私を床に立たせると、両手を後ろに捻り上げた。 手首の交わる位置は今までなかったくらいに高い。 その手首と上腕に縄が巻きつく。 ものすごい拘束感だった。ぴくりとも動けない。 こんな緊縛、初めて。 「イサオ、いつもと違う」 「京都で勉強してきたんだ」 イサオはそう言うと、吊り床の両端に縄を2本掛けて背中に繋いだ。 右足首に別の縄が縛りつけられる。 「はんっ!」 一気に引き上げられた。 体重の大半が右足首と背中に掛かって、床についた左の踵が浮いた。 「膝を曲げないて」 「ん」 太ももと膝の筋がぴんと伸びた。 「うん、綺麗だ」 このボーズは、I字バランス。 私、緊縛でI字バランスをやってるんだ。 とても安定していた。 縄に身を預けていれば倒れる気がしなかった。
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太ももの内側をすっと撫で上げられた。 ひっ! 思わず身震いしたら「動かないで」と言われた。 「タカノは僕ら男のための見せモノだ。いいね?」 「あ、うん」 「ウンじゃない。ハイって応えなさい」 「はい!」 きゅうぅ~ん。 私はイサオに支配されている。私はイサオのモノ。 「うん、色っぽいね」 「すげぇ・・」長田のつぶやきが聞こえた。 もう長田なんてどうでもよかった。 イサオが私を見てる。イサオになら何されてもいい。 「タカノのことだから、もっと責めて欲しいんだろうね」 責めて欲しい。 「逆さ吊りにされたり」 されたい。 「首を絞められたり、鞭で打たれたり」 されたい。 「怖いくらいのマゾだね、タカノは」 そう、マゾだわ。 縄で縛られて苛められるのが大好きなマゾよ。 「悪いけど僕はまだ初心者だから、これ以上難しい緊縛はできない。その替わり、」 ? 「口を開けて」 縄を3本合わせて噛まされて、首の後ろで括られた。 吊り上げられた右の脛に縄を巻いて縛り、猿轡の縄と連結された。 余り縄を丁寧に束縛りに巻いて留められた。 これで私の右足と頭は互いに固定された。 髪をぐいと掴まれた。 「こうやって弄ばれるが好きなんだよね」 「!!」 髪を掴んだ手を前後左右に激しく揺すられた。 「んっ、んん~っ!!」 頭と、猿轡に連結された右足と、そして身体全体がぐらぐら揺れた。 何の抵抗もできない。 ぞくぞくした。何て惨めなんだろう。 命じられた通り両足の膝が曲がらないように注意して、イサオのために頑張った。 私はイサオに支配されている。私はイサオのモノ。
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「し、師匠と呼ばせて下さい!!」 長田がイサオに向かって叫んだ。 13. 11月、学園祭。 去年は同好会ができたばかりで、借りてきたジグザグと胴体貫通サーベルをするのが精一杯だった。 今年はオリジナルのイリュージョンをやる。 会場は学生会館の小ホール。 小さいけど舞台袖や後の幕など一通りの設備が整っていてイリュージョンするのに都合がいい。 「師匠ー!!」 幕が開いてイサオが登場すると客席から声援が飛んだ。 長田だ。 すっかりイサオのファンになって、同好会の発表にまで来るようになったのだ。 緊縛の趣味は秘密だから誰にも言わないでと頼んであるから、そのことは口にしない。 でもイサオのことを師匠と呼ぶのは変わらないから、大マサ小マサコンビからはマジックの師匠だと思われている。 客席にはもう一人知った顔がいる。出水仁衣那ちゃんだった。 彼女は第一志望をJ大に変えて、早期推薦に見事合格。 イリュージョン同好会に入りたかったからと嬉しいことを言ってくれたけど、本当はT大やW大を目指すには偏差値が足りなかったらしい。 事情はともかく、彼女は来年からの強力な戦力だ。 この際、仁衣那ちゃん目当ての男の子も同好会に入ってくれたら嬉しい。 14. 「行くよ」「うん!」 小谷くんが声を掛けて私はバスケットの中から返事した。 最初の演目はヒンズーバスケット。 オープンキャンパスのときと同じだけどバージョンアップした自信作だ。 袖から大塚くんと小谷くんの大小コンビがバスケットを持って現れた。 バスケットは台車ではなく二人が向かい合って手で持って運んでいる。 ぱちぱちと控えめな拍手が聞こえた。 二人はバスケットを空中でくるりと回して上下逆にした。 ゆさゆさ振って中から何もこぼれないことを示した。 元の向きに戻して床に置く。 イサオが中に足を入れて立って見せた。 これでバスケットは完全に空だと示したことになる。 大塚くんと小谷くんは再びバスケットを持ち上げて、もう一度下向きにした。 後ろに立ったイサオがバスケットの底をトンと叩く。 下を向いたバスケットの口から片足が下りてきた。 爪先にペディキュアを塗った女の素足だ。 「えっ?」客席から驚きの声。 オープンキャンパスのときは美女の手だったけど、今度は美女の足だ。 美女の足はにょきにょきと太ももまで生えて、床に爪先をつけた。 拍手の中、大マサ小マサコンビは再びバスケットを回して上向きにした。 美女の足はバスケットの口から真上に向かってぴんと伸びている。 このバスケットはオープンキャパスて使ったのと同じものだ。 ただしイサオが魔改造して内側に金属のフレームとグリップを張った。 中でグリップを握って踏ん張れば、たとえ逆さで振り回されても落っこちたりはしない。 フレームを張った分多少狭くなったけど、それくらいは余裕で入っていられる。 やがてイサオは真ん中に穴の開いた蓋でバスケットの口を覆い、穴から美女の足が出るようにした。 周囲の小穴に銀色のサーベルが刺し込まれた。 1本、2本、・・全部で6本のサーベルが美女の身体を突き抜けてバスケットの反対側の穴から突き出る。 美女の足は何事もなかったように伸びていた。 ときおり足指だけがぴくぴく動いて、生きた人間の足であることをアピールしている。 大きな白布で全体を隠し、隙間からサーベルと蓋を抜き取った。 「はいっ、・・ワン、ツー、スリー!!」 布がむくむくと持ち上がる。 その下から登場したのは真っ赤なチャイナドレスの私だ。 サイドのスリットから左足を惜しげもなく出して、Y字バランスのポーズをとる。 わー! ぱちぱちぱち。 さらに左足を引き寄せてI字バランス。 揺らぎもせずに静止して微笑んでみせる。 「すごい!」「タカノさーん、素敵~♥」「エロいぞっ、後藤ー!!」 エロいは余計よ。 私は客席で喜んでいる長田を少しだけ睨んでもう一度微笑んだ。 15. 二番目の演目は大マサ小マサコンビによる美女の空中浮遊。 宙に浮かぶのは客席の女性だ。 大塚くんと小谷くんが手を取ったのは・・、出水仁衣那ちゃんだった。 「えーっ、あたしですか!?」 大げさに驚きながらステージに上がる仁衣那ちゃん。 もちろん彼女にはショーの前に了解をもらっている。 客席の女性に出てもらう場合、いきなり頼んで断られたら困るから事前に根回しするのが常識だ。 「貴女は何もしないで寝てるだけでいいのよ」 「フレームサスですか? 喜んで! ・・ただ、」 「ただ?」 「あたし今日ミニスカートなんですよね」 「心配ないわ、ちゃんとシーツで隠してあげるから」 「なら大丈夫ですね。そうだっ、浮いてる間ちょっとポーズしてもいいですか?」 「いいわよ、でも “仕込” って思われない程度にね」 「うふふ、了解です♥」 そんな訳でステージに上がった仁衣那ちゃんはテーブルに横たえられて目を閉じた。 広げたシーツを掛ける。 胸から下を覆って左右の腕と胴の間に挟み、下半身は膝の下まで覆う。 背の高い小谷くんが後ろに立って、掌を仁衣那ちゃんに向けて魔法のパワーを送った。 シーツに覆われた仁衣那ちゃんがゆっくり浮かび上がる。 大塚くんがテーブルを横に外した。 仁衣那ちゃんは宙に浮いたままだ。 大きなリングを出して仁衣那ちゃんの身体を通してみせる。 これぞお約束の空中浮遊。 と、仁衣那ちゃんが目を閉じたまま頭を後ろに反らせた。 胸の前で両手を猫のように振った。 ああ、これが彼女の言ってた “ちょっとポーズ” ね。可愛いわよ。 ほぉ~っ、ぱちぱちぱちっ。客席からも拍手が起こる。 仁衣那ちゃんの口許に笑みが浮かんだ。 片方の膝を引き寄せて上に挙げた。そのまま足先を真上に向ける。 ちょっとやり過ぎじゃない? 仁衣那ちゃん。 そんなに足上げたらミニスカートの中が。 仁衣那ちゃんは構わず反対の膝も引き寄せて、身体を反らせた。 おお~っ!! 今度は大きな拍手が鳴り響いた。 膝まで隠していたシーツがずるずるっと開き、スカートの中から下着のショーツがプリント柄まではっきり見えた。 それはまるでイサオみたいに無表情に立ち尽くす〇〇モンの柄だった。 16. ショーは小休憩に入る。 「すみません~、ちょっとノリ過ぎちゃったみたいで」 幕裏に仁衣那ちゃんが来て謝った。 「仁衣那ちゃんが平気ならいいんだけど」 「パンチラくらい何でもありません」 「それならよかったわ。客席はほとんど男性だし、いいモノ見れて盛り上がったみたいよ」 あれはパンチラというよりパンモロと呼ぶべき代物だったけど。 「うふ、部活の発表会に水着で出たこともあるんですよ」 「女子高なのに?」「女子高だからです」 私たちは笑い合った。 仁衣那ちゃん、いい子だわ。ノセたら何でもやってくれそう。 「じゃ来年のイリュージョンはビキニでデビューしてもらおうかしら?」 「その前にあたし、先輩のビキニが見たいです」 「言うわねー」 よーし。私は心の中で頷いた。 迷ってたけど今の仁衣那ちゃんのセリフで決心がついたわ。 イサオの驚く顔が楽しみね。 17. ショーを再開する。 ステージには高さ1メートルの演台がひとつ。 この演台はホールの元々の設備だ。 チャイナドレスの私が大塚くんと小谷くんに担がれて登場した。 そのまま演台の上に立ってポーズをとる。 イサオが直径50センチの半球を持ってきて私の足元に置いた。 これはあのくす玉の片割れだ。 私はゆらゆら揺れる半球の中にお尻を入れて座ってみせた。 両手を膝の前で合わせ、��を前に倒して小さくなった。 くす玉は壊れているからもう一つの半球を被せられることはない。 その代わりに使うのはビニール袋だった。 イサオたちは燃えるゴミの日に使う青い大きなビニール袋を私の上から被せ、半球の周囲にガムテープで貼った。 そしてビニール袋の底をハサミで切って開いた。 抜けた穴から私が手を出して振ってみせる。 そこに今度は大塚くんたちが紙吹雪を注ぎ込んだ。 頭の上までいっぱいになっても、周囲の隙間まで押し込んで詰めた。 ビニール袋が膨らんで私の姿が見えなくなったら、イサオが袋の口をホチキスで止めて塞いだ。 大塚くんと小谷くんは演台の後ろから私の入った半球を下ろして手前の床に置いた。 替わりに演台の上にはイサオが立った。 彼が両手に持ったのはボーリングのボールだ。 その直下1.5メートルの床では私と紙吹雪の入った半球が揺れている。 まさか。 観客が不安になった瞬間、イサオはボールを半球の上に落とした。 どしん!! ビニール袋が破れて紙吹雪が舞い散った。 そこへさらにイサオ自身が飛び降りた。 再び舞い上がる紙吹雪。 チャイナドレスの美女はどうなったのだろう? 大塚くんと小谷くんが半球を持ち逆さにして振ってみせる。 半球の中は空っぽだった。 驚く観客。 その直後、イサオが客席の後方を指差した。 皆が振り返る。 ホールの入口で私が手を振っていた。 衣装は赤いチャイナドレスから赤いマイクロビキニのランジェリーに替わっていた。 ステージに上がると膝をついてイサオの腰に手を添えた。 盛大な拍手が響いた。 後藤ー! センパーイ!! 長田と仁衣那ちゃんも喝采を送ってくれている。 「その格好は何」イサオが小声で聞いた。 「驚いた?」「驚くよ」 「走りながらチャイナを脱いだの。セクシーでしょ? ほらTバックよ」 「・・」 「黙ってないで美女を抱き上げてくれない?」 「・・」 「何もしてくれないなら小谷くんに抱っこしてもらおかなぁ」 「本当にもう、この美女は」 イサオはようやく私の腰に腕を回すとお姫さま抱っこしてくれた。 私は観客に向かって投げキッスをしながら、できるだけ妖しく微笑んでみせた。 18. イサオのアパート。 学園祭のショーから1ヶ月が過ぎていた。 私はスポーツブラとショーツで縛られている。 イサオはようやくここまで肌を出して縛られるのを認めてくれたのだった。 「最近、長田氏は来ないね」イサオが縄を手繰り寄せながら言った。 「ああ、アイツ」私は答える。 「縛り方教室に行き始めたらしいわ。そこでパートナーになってくれそうな彼女を見つけたって」 「そうか。タカノもやっと解放されるのかな」 「そう願いたいわね。イサオは他の男の子が私を縛っても平気だったの?」 長田はイサオにコーチしてもらうと称して、この部屋に来ては私を練習台に緊縛の真似事をしていた。 あの無神経男が私を縛るときだけは緊張して縄を遣っていたのが面白かったけど、それも終わるだろう。 新しい彼女に相当熱を上げているようだから。 「タカノが縛られても僕は気にしてなかったよ」 「本当?」 「僕みたいな緊縛の初心者が教えるなんて、おかしいとは思ってたけどね」 「ねぇ、そろそろ初心者って強調するのは止めたら?」 彼は私の指を縛っている。 背中で手のひらを合わせて緊縛する後ろ合掌縛り。 手首を合わせて縛るだけでも動けないのに、合わせた指の一本一本に縄を絡めて固めてくれている。 ものすごく気持ちいい。 こんな縛り方、どうして初心者ができるのよ。 「僕は永久に初心者だと思うことにしてるよ。タカノに絶対にケガさせないためにもね」 「嬉しいわ。ありがとう」 「タカノこそ、もう初心者じゃないよね」 「私はイサオに身を任せてるだけよ」 「こんなポーズで、よくべらべら喋れるものだと思うよ」 私は180度の前後開脚をして上半身を前にぺたりと倒していた。 顔の前には自分の右の膝があって、その膝と首を纏めて縛られている。 その上で、イサオは前屈した私の背中に跨がって座り、後ろ合掌縛りの指に縄を巻いてくれていた。 これは体操などで行う股割りの柔軟訓練と同じで、普通の人なら拷問そのものだ。 私は自分からお願いしてイサオに座ってもらっていた。 彼の体重を受けて全身がみしみし撓む感覚。 癖になりそうなくらいに被虐的だわ。 「どう? か弱い女の子の上に座るなんて滅多にできないでしよ?」 「どこがか弱いの。嬉しそうに」イサオは呆れたように言った。 「苦しそうにして欲しい?」 「少しはね」 そうか。ちょっとやってみようかしら。 くぅっ、はぁ~。 眉を寄せて辛そうな表情をしてみせる。 「ヨガってるようにしか見えないよ」 「もう、イサオ!!」 19. しばらくして縄を解いて解放された。 「今日は早いのね」 「実はもう一つやりたいことがあるんだ」 「いいわよ。イサオになら何をされても」 私は自分の腕についた縄目をそっと撫でながら言う。 今までも縄の痕は残っていたんだけど、この頃、細かい縄目が鮮やかに刻まれるようになって嬉しい。 たぶん彼の技術が向上して縄が緩みにくくなったんだ。 イサオは京都で緊縛の指導も受けてきたらしい。 どうしてただのイベント会社が縛り方まで教えてくれるのか不思議だけど、彼が緊縛の腕を上げたのは確かだ。 私は彼に縛られる度に縄の痕を刻印される。 これは私が彼に従属した証。撫でているだけで幸せになる。 縄痕を撮ってこっそりSNSに投稿してるのはイサオには秘密だ。 「どうしたの? 腕が痺れた?」 イサオに真顔で聞かれてしまった。 「大丈夫よ、何ともないわ。・・それより、やりたいことって何?」 「ああ、それは」 イサオは押し入れから大きな球体を出してきた。 「くす玉!?」 「うん、ヒンジを付けてみた」 二つの半球が繋がって開閉できるようになっていた。 「紐を引いたらピンが外れてバネで開くんだ。吊り床から懸垂できるようにフックもつけてみた。中身を吊下(ちょうか)する機構はないから、タカノはそのまま落下することになるな。まあ、下はベッドとクッションだから落ちても危険はないよ」 私は黙ってくす玉を見つめる。 以前この中に入って蓋をされたときのこと思い出した。 あの、圧倒的な狭さ、息苦しさ。 嫌だな、と思った。 さっきまでの高揚感が嘘のように消えるのを感じる。 「あれ、急に静かになったね。タカノって閉所恐怖症だっけ」 「バカね、そんなことないわよ。でも私に入れるかしら」 「入れるさ。イリュージョンのときも入っただろう?」 「あのときは蓋をしなかったもの」 そうだ。学園祭で私が消えて移動したイリュージョン。 あのときはくす玉の半球に私が入ってビニール袋を被せただけだった。 その後、演台から床に下ろすとき、演台の後ろに隠してあったもう一つの半球と交換するのは簡単だった。 私は自分でビニール袋を破って背景の黒幕に抜けたのだった。 分かってしまえば美女の瞬間移動なんて大して難しいマジックじゃない。 でも二つの半球を金具で繋いじゃったら、この先イリュージョンはどうするんだろう? あれは半球が二つあるからできたネタだ。 「もうくす玉のイリュージョンはしないの?」 「うん、このくす玉は僕の部屋でタカノ専用にするつもり」 「せっかく新しいネタを考えたのに」 「また考えるさ。今、僕にとっては大切なのは、ここに君を詰めること」 イサオはベッドの上にくす玉を開いて置いた。 「さ、入って♥」 「楽しそうね」 「楽しいよ。ずっと夢見てきたことか叶うんだから」 「私を詰めてどうするつもり?」 「何もしないよ。ただ放置するだけさ。コーヒーくらい飲むかな」 「放置、ってどれくらい」 「うーん、、とりあえずタカノが意識を無くすまで」 「!!」 「嘘だよ。様子を見て適当に解放してあげるさ」 イサオはにやっと笑った。 「怖いから許して下さいって謝れば、放置は止めるけど?」 「そ、そんなことしないわよっ」 イサオはにやりと笑った。 「ほんの5分10分でもタカノにとっては何時間に思えるかもしれないね。想像するだけで僕は嬉しくて仕方ないよ」 うー、このサディストめ。 「何時間も放っておかれたら、私、気が狂って死んじゃうかも」 「あれ? そのまま死んで遺体がぐずぐずに腐っても恨まないって言ったのは誰だっけ?」 あぁ、駄目。もう勝てない。 「ごめんなさい、私の負け。生かすも殺すも好きにしてちょうだい」 20. イサオが滑車のロープをがらがら引くとくす玉が浮き上がった。 私は身を屈めて顔を膝の間に埋めている。 前に試したから今度は平気かなと少しだけ期待したけど、そんなことは全然なかった。 限界まで小さくなって、そのまま固められた感覚。 指一本も動かせない。息が詰まりそうな恐怖。 私、本当に閉所恐怖症になったのかしら? 「どんな気分?」くす玉の外からイサオが聞いた。 辛いわ。答えようとしたら「んんー」としか喋れなかった。 「そう、悪くないんだね」 違うわよっ。また「んんっ、んーっ」と声を出す。 「何を言ってるのか分からないよ。・・まあいいか」 このヤローっ。 ・・はぁ~。 無意識に深呼吸しようとしたらできなかった。 胸が苦しい。 「ん? んんっ?」 「タカノ、息が苦しい?」 苦しい。酸素が足りない。 「京都で言われたんだ。50センチ級のくす玉は呼吸するのも楽じゃない。声を出して会話するのも無理だって」 判ってるなら助けて。 「大丈夫。その中はちゃんと空気が通ってるよ。パニックにならずに自分を保っていれば窒息しない」 自分を保つのね! 自分を保つのね!? 「慌てずに、意識して浅めの呼吸を繰り返すように」 浅め、浅めの呼吸。 「吸って。吐いて。・・吸って。吐いて」 すぅ、はぁ。・・すぅ、はぁ。 「そのまま続るんだ。怖くない怖くない」 すぅ、はぁ。・・すぅ、はぁ。 短い呼吸を繰り返して続けた。 大丈夫、私は落ち着いてる。パニックになんかならない。 「よしよし。いい子だ」 いい子は余計よ。でもほめてくれて嬉しい。 それからどれぐらい放置されたのだろう。 眺めながらコーヒーを飲むと言ってたくせに、イサオはずっと横について励ましてくれた。 心が落ち着いて不安な気持ちはなくなった。 小さな球体に密閉されて1ミリも動けないけれど、私は彼に守られている。 私はイサオのモノ。 私の心も身体も、命も、すべてイサオのモノ。 21. とろとろ、うずうず。 しばらく大人しくしていた下半身が疼き始めた。 困ったわ。もどかしくなってきちゃった。 まともに深呼吸もできないのに、うっかり発情して身悶えなんてしたら地獄よね。 そうだ、浅い呼吸、浅い呼吸。 ・・すぅ、はぁ。・・すぅ、はぁ。 「・・ん、あ♥、・・ん、あ♥」 「いい声だよ」 声が混じったみたい。イサオに聞かれちゃった。 「さすがタカノだ。いい具合に熟成つつあるようだね」 もう。熟成だなんて、人をステーキみたいに。 女の子のステーキ。 ・・きゅんっ。 ああっ、私のバカ! こんなことで感じちゃって、どーするのよ!! 大きなお皿に私が全裸で横たわる光景が浮かんだ。 後ろにはイサオがナイフとフォークを手にして構えている。 私は顔を赤らめて肩で息をしている。半開きの口。悩ましげな喘ぎ声。 何よ、このエロエロな女は。 妄���の私は片方の手で乳房を押さえ、反対の手を股間にやった。 やだ、オナニー!? イサオはにやっと笑って私の肌にナイフとフォークをあてがった。 背景に浮かび上がる『食用女体』『A5ランク霜降り肉』の文字。 ひぇーっ。 自分の守備範囲が広いのは認めるけど、カニバリズム!? しかも食べられる方~!! 普段の私なら鼻で笑うような妄想だった。 でも今は違った。 小さく押し固められた私には妄想がすべてだった。 私はお肉。食肉。霜降り肉。 苦しんで、切なくなって、濡れて、また苦しんで、発情して。 イサオが考えた熟成サイクル。 自分勝手でわがままなM女が熟成して柔らかいステーキになる。 ・・どきん、どきんっ。 心臓の鼓動が跳ね上がった。 全身の筋肉に力が入り、あらゆる器官が酸素を求めた。 苦しい。このままじゃ本当に窒息する。 彼のフォークが下腹部に突き当てられた。ナイフが陰部の裂け目にあてがわれる。 あーん、この変態タカノ!! バカバカバカ~!!! 頭の片隅で冷静な私が叫んでいたけど、もう止められなかった。 「んぁ、んんんっ、ん、ん、ん!!!」 「タカノ! 落ち着いてっ」 「んんっ!!(いいわっ!!)、んんんんーっ♥(私を食べてーっ♥)」 「今開けるからっ」 妄想の中で彼のナイフが前後に動いた。 それは狙いすましたように私の股間の一番敏感な突起を擦った。 !!!! くす玉が開いて私は空中に放り出され、下に落ちるまでのほんの短い間に絶頂に達した。
~ 登場人物紹介 ~ 後藤多華乃(ごとうたかの): 20才。大学2年。J大イリュージョン同好会の紅一点。閉所恐怖症? 酒井功(さかいいさお): 19才。大学2年。イリュージョン同好会会長。多華乃の彼氏。 大塚正道(おおつかまさみち): 19才。大学2年。イリュージョン同好会大マサ小マサコンビの小さい方。 小谷真幸(こたにまさき): 20才。大学2年。イリュージョン同好会大マサ小マサコンビの大きい方。 出水仁衣那(でみずにいな��: 18才。オープンキャンパスで見学に来た高校3年生。 長田峻(おさだしゅん): 20才。多華乃が高校時代につき合っていた男。 前回 からまたまた間が開いて申し訳ありません。 多華乃さん大学2年生のお話です。 功くんのイリュージョン同好会は活動を開始しました。 メンバーの少ないのが悩みでしたが、仁衣那ちゃんという有力新人をゲットしてまずは安心というところです。 本話では多華乃さんを小さな空間に閉じ込めたくなって、久しぶりに人間くす玉を取り上げました。 とはいっても功くんが京都のイベント会社wwでクレクレしてきたくす玉は壊れていて、本来の用途には使われません。 多華乃さんは少し閉所恐怖症の気があったようですが、今回の経験できっと突き抜けられたことでしょうww。 イリュージョンのネタは、ヒンズーバスケットとフレームサスペンション、それにくす玉の半球を使った美女の瞬間移動です。 J大イリュージョン同好会は低予算のアイディア勝負を旨としているので、よくあるネタでもひと工夫してみました。 多華乃さんが箱などの中から手足を出してから登場する演出もこのときから確立したようです。 大塚くん小谷くんに凸凹コンビ。体験イリュージョン のときから「大マサ小マサ」の呼び方だけは決めていたのですが、今回ようやくセリフ付きで出してあげることができました。 功くんはいよいよ変態的な器用さを発揮し始めました。 この先もこの才能を同好会のネタ作りや多華乃さんの拘束に役立てていくことでしょう。 それではまた。 引き続き年に数回の投稿ペースになると思いますが、お許し下さい。 ありがとうございました。
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インターネットからの脱出
2018/4/25発行 ZINE"霊界通信 2018 S/S Issue"収録 by gandi
Escape from the Internet
ぼくが初めてインターネットに触れたのは15年ほど前のことだ。ちょうど21世紀になりたてくらいの頃だろうか。当時出来たての情報カリキュラムの授業での出来事だ。少し起動に時間のかかる箱型の機械のスイッチを入れると、テレビ型のモニターの向こう側から世界中のあらゆる情報が飛び込んでくる。その斬新さに、ぼくは舌を巻いた。しかもその情報がすべて生々しい。なにかがテレビとは明らかに違う。 ぼくはテレビが嫌いな子供だった。今でこそ落ち着いてきたものだが、当時のテレビの演出はとにかく過剰で、ギラギラした悪趣味なセットの前で空疎な会話をする芸能人たちの姿にはとにかくウンザリするばかりだった。人の車を壁にぶつけて壊して喜ぶようなノリにも全くついていけなかったし、ディレクターの指示で拉致同然に、突然半年間も海外を旅させるような嗜好にも「こんなことが許されるのか」と子供ながらに怒りを覚えた(たとえそれが口裏合わせ済みのことだったとしてもだ)。そしてそれらの行動に何一つ意味はない。彼らの行動原理は「ノリ」だけで、洞察に基づいたものがない。徹底的に空疎なのだ。 空疎なテレビの世界の中でも、群を抜いて空疎だったのはひな壇の芸人たちだった。彼らは空疎さという一点において洗練されつくしていた。「なんでやねん」と投げられる言葉に、タイミングよく再生される乾いた観客の笑い声。「なんでやねん」。彼らが本当にそう思っているのか、かなり疑わしかった。「なんでだよ?」でもその「なぜ」を正面切って考えようとする人間は、そこには一人もいないように見えた。 (※もっとも、その空疎さこそなんでも重苦しく考えたがる彼らの前の世代への意図的反抗なのだと分かったのは、ずっと後になってからの話だ) しかしインターネットは違った。誰もが手作りの簡素なホームページを作り、それぞれが勝手なことを論じていた。そこには「なんでやねん」というツッコミを入れる人間はいない。それゆえ誇大妄想としか思えないことを100ページ以上に渡って、延々と書き連ねているような人も少なくなかった。誇大妄想。 テレビだったら芸人の「なんでやねん!」の一言でかき消されたに違いない。しかし人の誇大妄想の中には、社会を抜本的に変革してしまうような考えがしばしば含まれている。たとえば革命家。革命家は周囲の冷笑を意に介さず、空気も読まずに延々と妄想を深め続ける。すると次第に感化される賛同者が出てくる。保守派からすれば狂人に思えない賛同者たちが。 息苦しい日々の中で、ぼくはインターネットに光を見出した。 ぼくはテレビと同じくらい学校の雰囲気というものが嫌いだったが、それは教室がテレビの相似形のように見えたからだ。 端っこの席で、目立たないが誰も思いつかないようなことを考えているヤツの考えは、いつだって声がデカくてノリがすべての野球部の声にかき消される。その身も蓋もない事実に、ぼくはホトホトウンザリしていた。この構造はずっと変わらないに違いない。きっと大学でもそう。社会に出てもそう。死ぬまでそう。いつか全部叩き壊す。そうでなければ刺し違える。そんな風に自分に何度も言い聞かせなければ、グレてしまっていただろう一少年に、インターネットはこっそりナイフを渡してくれたのだ。ぼくは友人たちへ 「テレビよりインターネットの方が全然面白いぞ」と触れ回った。友人たちは興奮するぼくの話を、肯定するでも否定するでもなく聴いてくれた。インターネットが面白いということは少しずつ広まり始めていた。 率直に言って、ぼくはインターネットの「世界中の情報がリアルタイムで入ってくる」という側面は、そこまで重要ではないのではないかと思う。それは既存のメディアでも出来ていたことなのだ。インターネットの本当にクリティカルな点は「人間の生々しい声が、誰にも検閲されないまま聞ける/言える」という点にある。それも平等にだ。どんなに虐げられていた者にも、数千円のスマートフォンさえあれば平等にその機会はやってくる。
誰がジャンクな記事を量産しているのか
だから生々しい声が聞こえなくなったら、そこでぼくのインターネットへの関心は尽きる。聞いたこともないような考えや、社会によって巧妙に隠された呼び声を聞くために、ぼくらは本を読みネットを見る。決して誰かが仕込んだ一般論を聞くためじゃない。ぼくは「失敗しない生き方をするための十の方法」なんて記事を見かけるたびにいつもウンザリしているが、こういう記事は一体誰が書いているのだろう?全く失敗しなかった人だろうか。それとも派手に失敗した人だろうか。 あまりに不思議に思って周囲にこぼしていたら、知人の大学生が書いていた。同級生やサークルの仲間も結構な割合でやっているという。 バイト感覚で家計の足しにしているのだそうだ。 1文字0.1円。2000文字程度の記事を10個仕上げて2000円貰うんです、と彼は言う。プロのライターが最低1文字3円からということを踏まえると信じられない値崩れだ(もっとも最近はプロの現場でも1文字1円というケースが珍しくなくなったが)。 そんな金額ならスーパーでレジ打ちした方がずっと効率がいいように思えるのだが、仲間内のパーティに出席できたり、就活のときネットメディアに関わっていたことが有利に働いたりと、色々とメリットはあるらしい。「ちょっとした承認欲求や仲間内で意識の高さを演出するために、」 場合によっては損得度外視で引き受けることもあるという。 しっかり見ていれば分かることだが、中には高校生が書いているケースもある。記事の最後に「この記事を書いた人」というツイッターリンクが付いていて、そこに行くと高校生だということが分かる。 なるほどこれらの記事は(誰もがうすうす気づいてはいるだろうが)プロではなく文章の素人がタダ同然で書いているものなのだ。インターネットの記事が人に見てもらえるようにするには、内容よりもグーグルのロボットから高い評価を受けるためだけにとにかくコストを抑え、量産することが大事だ。そして言うまでもないことだが1文字0.1円では、一つ一つの記事に真剣に向き合う時間はない。 必然的にすでにインターネットに載っている文章をコピー&ペーストし、適当にリライトするという作業になる。もちろん直接取材や、図書館に行って原典を確認するなんてことはあり得ない(つまり、何かのきっかけで一度間違った情報がインターネットに掲載されると、永遠に誤情報がコピーされ続けるということになる)。著者は自分の考えを述べようにも、記事が問題としている内容に、真剣に向き合って考えているヒマはない。そもそも書かせている側が、著者に対して端から何も期待していないのだ。 こうした記事が、毎日数千、数万とインターネット上にアップされている。多くの場合は記事と見せかけた広告で、そうでなければ広告収入のために書かれたテキストだ。記事の書き方はこう。「ランキング形式のまとめ記事にしてください。まず1位と2位に、定番のA社とB社のアイスクリームを挙げます。そして3位くらいにクライアントさんのこの新作アイスクリームをランクインさせてください。1位だと広告だって思われてしまうので、3位くらいがよいでしょう。4位以降は適当でいいです」。もちろん、ぼくは必ずしも広告が悪いと言っているわけではない。問題は企業が、あたかも主流的意見であるかのような記事もどきを、ジャンクのように量産することにある。 ぼくらは日々これらの量産されたジャンク記事に囲まれて生活している。好もうと好まざろうと、スマートフォンにニュースアプリやツイッターをインストールしている限り、絶対に目にすることになる。グーグルで何かを検索しても、個人のサイトやブログにたどり着くケースは今や稀だ。インターネットの笑ってしまうような(しかしひょっとすると社会を揺るがすかもしれない)誇大妄想は、十年の月日をかけて、当たり障りのない一般論を装った、どこかの企業広告へとすり替えられたのだ。 こうしたゴミのような広告の山から逃れたい人はひょっとするとインスタグラムのような、社会性とあまり関係のないメディアだけを見るようになるのかもしれない。インスタグラムはアカウントのジャンク化を恐れて、拡散機能をあえて弱めにするなどの対策をしているようだ。だが言ってしまえば、それは騒がしい広告記事から耳を塞いだだけのことで、決して生々しい声を取り戻したというわけではない。 そしてこうしたジャンクな記事は、恐らくあと五年もしないうちに人工知能が書くことになるだろう。人工知能なら、もっとうまくやるに違いない。ビッグデータから得た集合的無意識──当たり障りのない一般論や、何かのきっかけでセレブが発言した、流行の考え方──を、それらしい言葉でまとめて無限に生産するのだ。しかしそれは、あの、テレビや雑誌といった旧メディアが作っていた空疎な時間と、一体何が違うというのか。
メリークリスマス!と言えないアメリカ
ジャンクな記事が生まれる要因は他にもある。世界的なポリティカル・コレクトネスの流行だ。ポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)とは「 政治的・社会的に公正・公平・中立的で、なおかつ差別・偏見が含まれていない言葉や用語のこと(Wikipedia)」とある。 ポリティカル・コレクトネスの観点からすると、たとえば「看護婦」という言い回しは男性がその職業につけないイメージを与える可能性があるので間違っており、男女ともにイメージすることができる「看護士」と言い換えるべきということになる。同様に「保母」は「保育士」とすべきだし、「肌色」は人種的配慮に欠けるので「ペールオレンジ」に言い換えるべきとするのがポリティカル・コレクトネスの考え方だ。 この考え方は確かにある程度まで間違っていないように思えるのだが、少し考えると行き過ぎは文化を破壊しかねないということが安易に想像つく。例えば「メリークリスマス」という言葉は、宗教的配慮に欠けるという観点からすでにアメリカでは 「ハッピーホリデイズ」と言い換えられている。 クリスマス飾りににキリスト像やマリア像などを持ち込むのもご法度だ。十字架なんて問題外。宗教色を一切葬り去らねば、イスラム教徒や仏教徒に失礼じゃないか、というわけだ。そのうちクリスマスに赤色を使うのもNGになるかもしれない。赤はキリストの血を表すからだ。 しかしそのようなものを果たしてぼくらはクリスマスと言えるのだろうか。これは「政治的な正しさ」を盾にした、キリスト教文化への破壊行為ではないのだろうか。なぜポリティカル・コレクトネスの人たちはこんなに偏屈な考え方をするのだろう?これではまるでポリティカル・コレクトネス原理主義だ。ポリティカル・コレクトネス教以外のあらゆる宗教は絶対に認めないという原理主義的一神教だ。 たとえあなたが仏教徒だっとしても、笑顔で「メリークリスマス!」と言えばよいではないか。実際日本人はずっとそうだったのだ。キリスト教の人たちが宗教的に大事にしている行事ならば、わざわざそれに目くじらを立てることはない。むしろ「楽しそうだからぼくらも参加させてほしいのだが、仏教徒なんだけど構わないかね?」と言うのが本当の寛容ではないだろうか。それとも一神教徒の人たちには、そういう考え方は難しいのだろうか。 しかしポリティカル・コレクトネスの人々はそうは考えない。頑固に公の場でメリークリスマス!ということを許さない。「そんなに偏狭な態度をとっていれば、かえって息苦しい社会になってしまわないだろうか」「むしろ反動が起こって事態はよっぽど悪くならないだろうか」などと考えていたら、案の定バックラッシュがやってきた。2016年のアメリカ大統領選の時にドナルド・トランプ現大統領が「自分が大統領になったら再びメリークリスマスと言えるようにする」と公約したのだ。大統領選の結果はご覧の通りだ。トランプ大統領は、メリークリスマス!すら堂々と言えなくなってしまった息苦しい社会に不満を持つ人たちの支持を得て当選したのだ。 言うまでもなく、本来あらゆる文化的伝統行事は民族性や宗教性と密接に関わりあっているのであって、そこから宗教色を徹底して排除しようとすれば、ただの無味乾燥で無秩序な騒ぎになってしまう。宗教や民族にまつわる文化的行事が、現代的価値観からすれば理不尽としか言いようのないものを含んでいるのは当然のことだ。伝統行事は、むしろ常にその時代の価値観と全面的には折り合わなかったからこそ、時代が変わったからといって廃止されることはなく、時代を超えてずっと尊敬され続けてきたのだ。それを現代人の価値観にそぐわないからと言って安易に排除をしようとするのは、今の時代の価値観が未来永劫続くと考える現代人の傲慢であり、次の世代への想像力の欠如ではないだろうか。 日本よりはるかに多民族・多文化社会であるアメリカでポリティカル・コレクトネスの考え方が発展したということはある程度理解できなくもない。あまりに価値観が多様過ぎて、「寛容」や「思いやり」でカバーできる範囲をとっくに超えているのだ。ある人々にとって帽子を被ることが礼装であり、またある人々にとって帽子を脱ぐことが礼装である社会では、ポリティカル・コレクトネスがなければ一方的に少数派が追いやられるばかりなのかもしれない。だが、日本は全く状況が違う。常に周囲と価値観を合わせたがり、少数派になることを恐れがちな日本人は、アメリカとは性格が逆で、少数派が自ら少数派であることを捨て、自発的に多数派になりたがる傾向がある。そのような価値観だから世界的にも類をみない寡民族・寡文化社会になってしまったのだ。 有り体に言えば、我々の社会は空気を読むことが大好きだということだ。互いに周囲の顔色を見回して、自分が人とズレてはいないか、誰かが変わった考え方をしていないか、絶えず監視し続ける。今のインターネットは、テレビのような旧メディアと変わらない。これはもはや「ムラ」社会だ。特異な考え方は、誇大妄想が広がる前に「ツッコミ」をして「修正」する。これをポリティカル・コレクトネスの考え方が加勢する。今時の言葉で言えば「炎上」というのかもしれない。そして最後には「まとめ」として「総括」されるのだ(なるほど「総括」とはどこかで聞いたような言葉だ!)。 「炎上」は一見、正しい意見が間違った意見を修正する、社会の自己浄化作用のように見えなくもない。しかしその一方で、特異な発想の芽を潰していると言える。この調子だとそのうちわざと「ボケ」る者が出てきて、毎度お約束のように「炎上」させるようになるかもしれない。人と違うことが怖い私たちは、そうやって永遠に続く終わりのない日常に「お祭り」というリズムを作るのだ。やがて「ボケ」と「ツッコミ」は、「なんでやねん!」(=なぜなのか)という言葉本来の意味を失い、次第に儀礼化していくことだろう。その裏で、本当に特異な考えをする人の声はどんどん見えなくなっていく。社会は変化することなく終わらない日常となり、まるであのバラエティ番組のように、空虚な戯れが延々と続いていくのだ。
本物の共産主義社会が到来する
更に悪いことに、こうしたインターネットの記事たちは各ユーザーに合わせ最適化され、そのユーザーが関心を持っていそうなことばかりをサジェストするように出来ている。例えばあなたがあるニュースアプリでLGBTについての記事を読んだとしよう。そのアプリは次からLGBTについての話題で一杯になるのだ。するとあなたは思う。「今、社会はLGBTに相当な関心を持っているに違いない」。こうしてそれぞれが勝手に「北朝鮮問題が」「仮想通貨が」「アイドルが」「ネコ画像が」社会的関心事の中心であると考え始めるのだ。自分でフォローする人を選べるSNSはもっとひどい。「反安倍政権の世論が盛り上がっている」ように見える人と「安倍政権の高支持率が続いている」ように見える人のタイムラインは永遠に交わることがない。一体なんでこんなことが起こるのだろう。 本来、インターネットというプラットフォームは、「インターネットエクスプローラー」という名前が示す通り、欲しい情報を自分から「探検」することによって手に得るというツールだった。インターネット全体の記事が少ないときは、確かにそれで機能していた。欲しい情報に達するためには色んなページを回らなければならなかったし、必ずしも耳に聞こえのよくない情報も触れなければならなかったからだ。まさにそれは山あり谷ありの探検のようだった。今はどうだろう?ネットには異常な量の記事が溢れかえっている。ぼくらはそれを、到底すべて読み切ることはできない。こんな状況では、誰も冒険などしたがらないだろう。探さなくても、自分にとって気持ちのいい(都合のいい)当たり障りのない情報にすぐ触れることが出来るのだから。 こうした理由から、インターネットの記事が爆発的に増加することに反比例して、ぼくらが新しい世界に触れる体力は日に日に減っていっているように思われる。誰も好き好んで不都合な意見を聞きに行ったりはしない。大量の記事が出回ってあれもこれも読まなければならない中で、誰かの言葉と真剣に向き合う時間も多くはないだろう。ぼくらは気付かぬうちに少しずつ心の体力を奪われているのであって、自分を肯定してくれる安全・安心な言葉だけを聞き続けるようになっている。 そしてそんな世界すらももうすぐ終わる。もうすぐ人工知能がぼくらを真綿にくるんで、いびつな現実を視界から追いやってくれるに違いないからだ。近い将来、ぼくらは全く違う価値観の人と話して不愉快になることも、ほとんどなくなるだろう。アルゴリズムが話の合わなそうなフォロワーを、初めからミュートしておいてくれるからだ。イラストや音楽の才能のなさに思い悩むこともない。内輪のコミュニティの住人、いわゆる「界隈」と呼ばれる人々が、あなたを先生、先生とどこまでもチヤホヤしてくれるからだ(もっともそのアカウントの「中の人」が本物の人間であるという保証はどこにもないのだが)。当然恋人ができないと思い悩む必要もない。本物の人間よりずっと美しいホログラムと恋愛をするのは、今や普通のことだからだ。しかもその恋人は、あなたの過去の発言をデータベース化しているから、絶対にあなたの嫌がることを言わず、あなたが喜ぶことしかしないのだ。 さらに言おう。恐らく近い将来、人間は一切の仕事もする必要がなくなる。人工知能が自己発展する農場や工場を作り、自動運転カーで勝手に出荷してくれるからだ(驚くべきことに、アメリカのGM社はすでにこのシステムを運用し始めているという)。レジも無人だからバイトもいらない。経営も人工知能がビッグデータに基づいてやるのが一番効率的だ。 機械に職を奪われ、失業率は上がるのに生産力も上がり続けるから、先進諸国はベーシックインカム導入を余儀なくされるだろう。なんのことはない、共産主義社会の到来だ。それも前世紀の不完全な共産主義ではなく、マルクスが予見した本物の共産主義だ。ほとんどのことを機械に任せ、人はクリエイティブな仕事、もとい「趣味」しかしなくなるのだ。そのクリエイティブな「趣味」だって、本当に行われるのかどうか随分怪しいように思える。全てが満たされた世界で、クリエイションをしようと思う人間なんて本当にいるのだろうか。 まるで夢物語だが、そういう世界は必ず来る。それも数十年以内に。その世界では人間にどこまでも優しくて都合の良いコンピューターという名の天使が、寿命が来るまでぼくらを甘やかし続けるのだ──まるで真綿で首を絞めるように。そんな世界では、特異な意見も、ラディカルな発想も必要ない。誰一人不満がないので、そもそも社会が変革する必要がない。 怒りも悲しみもなく、誰一人傷つかない世界。そこで天使のような、あるいは幽霊のようなホログラムが、残り少なくなった人間たちに奉仕している。人間は恋愛対象に何かと面倒な同じ人間よりも人工知能を選ぶようになり、人口もどんどん減ってゆくだろう。
"BLACK IS BEAUTIFUL."
建築家であるぼくの父はもう80を超えているのだが、生まれつきの難聴で、ぼくが幼いころから話がなかなか通じなかった。どのくらい聞こえないかというと、ちょうど携帯電話の着信音が聞こえない、というくらいだ。大きな声で向き合って話すと半分くらい伝わる。ハッキリ言うと、身体障害者だ。 しかし父は一度も自分を障害者だと認めなかった。確実に貰えるはずの障害手帳も障害年金も、絶対に受け取らなかった。破産して、収入がゼロになり、家族の食い扶持を繋げなくなった時でさえだ。「なに、誰だってハンディキャップの一つや二つあるんだ、それをいちいち騒ぎ立てるなんてみっともないことだ」それが父の口癖だった。そして父は自分を「ツンボ」であると自称していた。「ツンボ」は差別用語だからやめなさい、といくら母が言っても「ツンボがツンボで何が悪い!」と絶対に聞かないのだ。 父の発言は無茶苦茶だ。第一、本当に障碍で苦しんでいる人に対するシンパシーがない。それに「ツンボ」なんて言ったら、ポリティカル・コレクトネスの人々からは避難轟々だろう。 だが、一方で父は障碍者に対して全く差別的ではなかった。車椅子で困っている人がいれば助けたし、その一方で車椅子でも態度が悪ければその場で怒鳴り合いの大喧嘩していた。外国人に対してもそうだ。父には中国人の友達がたくさんいた。酒が入れば毎回、歴史問題の議論で怒鳴り合いになるくせに、ずっと仲良しだった。二、三か月すると、何事もなかったかのようにまた飲んでいるのだ(そうしてまた喧嘩になるのだが)。 父は女性に対しての考え方も、世代から考えれば相当リベラルだった。あれだけ父権的なくせに、結婚当初、父が食べるまで食事に手をつけようとしなかった母に対して「そんな下らないこと今すぐやめろ」���叱りつけたのだという。家族の風呂に入る順番についてもそうだ。ぼくが生まれてからはいつも父と母は喧嘩ばかりしていたが、よく考えれば父と母はずっと対等だった。父はいつだって対等な喧嘩相手が欲しかったのかもしれない。 当時はわからなかったが、父が「ツンボ」を自称していた理由が、今ならなんとなく分かるような気がする。父はきっと「ツンボ」を忌避するのではなく、自分が「ツンボ」を格好いいものにしてやる、と考えたのではないだろうか。 この考え方はマルコムXの言う「 Black is beautiful. 」に似ている。かの有名なアメリカ黒人公民権運動の活動家だ。マルコムは、黒人は白人と平等、とは言わなかった。そうではなくて「"黒"こそ美しい」と言ったのだ。 話によると、幼いころは「ツンボ」のことで相当ひどくイジメられたらしい。しかし父は社会に同情を買うような態度を取りたいとは思わなかった。思うに父は「ツンボ」である自分が圧倒的に凄い建築を作ることによって「ひょっとしてツンボだったからこそ、この人はすごい建築家になれたのではないか?」と、人に思わせるような、価値観の転倒を引き起こそうと企んだのではないだろうか。 ポリティカル・コレクトネスの人たちにとっては「ツンボ」は永遠に良くないものであって、忌避されることはあっても、凄いものとして日の目をみることは未来永劫ない。果たしてそれで問題は本当に解決したと言えるのだろうか。「ツンボ」な自分を「ツンボ」と断言する父のやり方は、テレビではもちろん流せないし、インターネットだったら炎上間違いなしだ。けれどもぼくは、ハッキリ言ってテレビよりも、今のインターネットよりも、父のやり方は圧倒的に「クールなやり方だ」と感じてしまう。
インターネットからの脱出
しかしこのような「クールなやり方」は決してインターネットでは出来ないだろう。 ぼくらは薄々気づき始めているが、インターネットにはそのシステム自体に欠陥がある。リンクシステムが、情報のシェアを容易にしすぎたため、一人ひとりが考えることを放棄し始めたのだ。このような社会では父やマルコムXのような革命家気質の強力な個人はお呼びではない。むしろ自分では考えず、薄い情報をまき散らし続けるような人間(インフルエンサー)が影響力を持つ。集団主義の時代だ。多数派はポリティカル・コレクトネス一神教を盾に、他のあらゆるマイノリティが、自分の力で立ち上がろうとする膝を折ろうとする。「『黒は美しい』なんて言わなくていいの、黒も白もなく、みんな平等なの」と。それは「ブラックの血が流れていることに誇りを持つな」と言っているに等しいということに、彼らは気づかない。その考えは、ぼくには、すべての人間を根無し草にしようとしているようにすら思える。そうしてこのように作られた一見当たり障りのない「正論」が、「拡散」機能によって無限に増殖してゆくのだ。 抵抗する方法がある。全てのリンクを一度切ってしまえばいい。インターネットには「罪」もあるが、それ以上の「功」がある。インターネットは個人の発信したいという欲望を爆発させ、流通経路を用意し、個人が本をつくるハードルを劇的に下げた。だったらもう一度紙の本にすればいい。紙の本にはRTもシェアもない。ただ、一対一の読者と書き手がいるだけだ。書き手は読者に差し迫ってくる。逃げ場はどこにもない。RTして他人に共感を求めることはできない。目の前の相手と一対一で対峙するしかない。もしも読んでいて、本当に思うところがあるならば、自分で、自分なりのやり方で発信するしかない。やり方は文章でも動画でも音楽でもなんでもいい、ただ自分だけの力で、やり遂げるしかない。 ぼくはアナタと一対一で話したいのだ。隣の誰かに「ねーどう思う?」なんて聞いてほしくない。ぼくは今、他ならぬアナタと話しているのだ。(了)
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yasumarudashi · 6 years
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【本日のレシピ】
「鶏の照り焼き やすまる風」
作り方
1.  “やすまるだし”のティーバッグを破り、鶏もも肉の両面に中身をしっかりすり込んでおく。しょうゆ、酒、みりん、砂糖は合わせておく。 2.  フライパンを熱し、もも肉を皮目側から焼いていく。焼き色がついたら、ひっくり返して弱火にする。合わせ調味料をふりかけ、落し蓋をして全体に火が通るまでしっかり焼く。 3.   肉をひっくり返し、全体にまんべんなくタレが行き渡るようにする。肉を箸で刺して透明な肉汁が出てきたら焼き上がり。 4.    適当な大きさに切り、好みの野菜と共に盛り付けて召し上がれ。
材料
2人前
    鶏もも肉・・・2枚     しょうゆ・・・大さじ8     酒・・・大さじ4     みりん・・・大さじ4     砂糖・・・大さじ2     “やすまるだし”・・・1包
おはようございます。今日は寒い寒い朝でしたね。もう布団から出る時、自分との闘いでした(朝から頑張って勝ってまいりました)こんな寒くてしかも雨模様の日はご飯をがっつりと、しかも少し濃い目のお味のを食べてみたいと思いまして、当方の大好きな「鶏の照り焼き」をセレクトさせて頂きました。 皮目は”ぱりっ”中身は”じゅわ~”が理想ですよね。
フライパンは十分に温めて、油は敷きません(鶏から油が一杯出ます)焼く前に皮目をちくちくとフォークなどで何度が突っついて脂を出しやすくして下さい。焼きながら、皮目をぎゅうううううっ!と押しつけてタレを全体に絡めて下さいね(途中に出る余分な油や水分はマメにキッチンペーパーで取りましょう)焼く時間は3~4分かけてじっくりと。こんがりと皮目全体に焦げ目がつくまで中火で焼きましょう。ひっくり返してもこの要領で。焼き時間は焼き色を見て調整して下さい。(あえて時間を計るなら2~3分)火加減は常に中火です。タレを煮詰めないように気をつけて下さいね。
鶏の照り焼きは冷めてもおいしいですし、ボリュームも満点。横に野菜(茹でたジャガイモなど)を添えるともうそれだけでお腹一杯になりますね。コツをつかんでおいしい照り焼きを食べて下さい☝️
意外な組み合わせに見えますが、鶏の照り焼きなどの下味にも「和風万能だし やすまる」は大活躍します。一生懸命タレを絡めても「あれ?もう一味足りなくない?」と思うのは悲しいですよね。お肉の下味があると味が劇的に変わります。弊社のおだし「和風万能だし やすまる」を是非使ってみて下さいね。
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やすまるだしって使った事ないし、美味しいかどうか不安と思われる方にはご新規様限定でお得なセットをご用意中です。税込み、送料込でのお値段です。
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nemosynth · 6 years
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遠近法の次は魚眼レンズ
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24 年前に書いた文。じつは、北朝鮮から帰国当初に勢いで書いた文章。いま読むとこっぱずかしいが、記録なのでここに。 ------------------------------------------- 遠近法の次は魚眼レンズ  ベルリンの壁も見た。すでにソ連ではゴルバチョフがグラスノスチを進めていたとはいえ、共産体制は崩壊せずそのままに軟着陸するかに思えた。よもや壁が崩壊するどころか、私の目の黒いうちは絶対に崩れまいと思った。ナチスという求心力を失い、豊かさの中に我を見失った西側。我を見失うまいと、強大なイデオロギーの壁の向こう側に自らを封じ込めた東側。壁をめぐらせるだけで、周囲との差異が際立って見える。壁を用いるのは、自我を保つ古典的な手段。ヒステリックに自由を叫ぶ壁の落書きは、だが壁の向こうがわで展開する狂信的な体制礼讃と、奇妙なシンメトリーを成していた。  むしろ、なじみある土地から浮遊させられ、自己を相対化されたおびただしい数の難民こそが、二十世紀の真の主役ではないか。  それは両ドイツを訪れた時に私を圧倒した膨大な心象の、小さな結晶のひとつだった。私がそれを見たのは、十代最後のまぶしい夏のことであった。  帰国した日本も、そうとう不自然に歪んでいた。  樹木が巨木に育つには、何百年とかかる。どうやら、自分が植えた樹が大きくなるのを、己の目で見たい、と思ってはいけないものらしい。それは自分の死後、成し遂げられる。同様に、私たちの世代では完了し得ないことでも、5世代後に日の目を見るのかもしれない。未来を事前に知ることがかなわぬ以上、展開も見通しもないまま、じっと耐えるのも必要なキャリアであろう。  だが、日本では誰もが性急に答に、すぐ飛びつこうとしていた。  ワールドニュースが簡単に手に入り、すぐにも世界を知ったつもりになってしまう国。受け売りは受け売りを超えることが出来ないと言うのに、やたらと評論ばかりが多い国。言葉も所詮は道具にすぎないというのに、かっこいい言葉に捕われている国。 「自分の言葉で喋れ」 と言われてみたところで、今度は自分の言葉で喋ると称して、自分になじみある言葉でばかり解釈してしまい、本質を見失う。しかも、言葉さえ知っていれば他を批判するのは簡単だというのに、人は他を批判したがるばかりか、批判の対象も玉虫色の言葉の影に隠れ、自在に趣旨を変化させて逃げ切ろうとする。  それもビジネスの一つの手段だというならよいが、それはビジネスマンの口から聞ける言葉であって、評論家の賢い口から出てきても不毛なだけ。  しかし、地球はまだまだ広い。  就職してから3年ないし4年毎に、精神的危機が訪れるという。それは、それまでの教育制度のおかげで、入学と卒業という、天から与えられる転機のサイクルに慣らされてしまっているからではないか。結局、自分の問題意識すら、自力でつかめない私たち。私たちの行動が、所詮、この国独特の教育体制によって刻印された様式美でしかないなら、個性を尊重した教育なんて存在するわけがない。せいぜい、自分で新しい様式美を構築するぐらいか。 「次の問いに答えなさい」 という質問ばかり与えられているうちに、いつのまにか我々は、宇宙のすべてに答があると思い込むようになり、性急に答に飛びつくようになった。答が不明瞭に思える時は、いらいらするようになった。こうして、全てを形に起こさないと満足しない現代人ばかりが、社会を動かすようになった。  無形の、あいまいなものを嫌がるようにしつけられ、気づかぬうちに己の思考自身が既に様式美となったのが、私たち共通一次世代。選択肢が無ければ答えすら思いつかない。形が無くては満足に思考することすら不可能。形無くして生きて行けないのなら、せめて自分を規定している形がどんなかたちをしているのか把握しておきたい。  何故なら、自分が自分である必然性は、どこにもないから。  無論、自分に生まれてしまった以上、自分を生きるしかないのも事実。だが、その真の意味を解している人間が、どれほどいることだろう。  様式美の中では視界も限られてしまう。曖昧模糊に見える大衆の中、紛れ込んでしまった自己の小ささ。でも消費に励めば、高嶺の自己実現も手に届きそう。流行という多数派閥にうずもれる安心と、複製がたくさん出回るというのに商品化された自己実現による差異化への試み。この二律背反を無批判で享受する私たち。  自己実現にはげむのは、決して悪いことではない。いや、むしろぐうたらな私より数倍も崇高な行動だ。  しかし、曖昧模糊とした大衆の中では、確固たる尺度がないから、己の分を知ることが出来ない。しかも近代科学のおかげで、答えを性急に求めたがるようしつけられ、確固たる尺度もないままでいることに神経が耐えられない。尺度がないと不安に駆り立てられ、尺度がないのを良い事に、ある者は言葉をたくさん仕入れ、検証される心配のない仮想領域ばかり語る評論家になることで、台頭しようとする。ある者は真面目に人生と期待に真っ正面から取り組み、取り組んだものの、自分の達成を測ることが出来ないが故に際限もない自己実現を迫られ、疲れ果ててしまう。  きっと相手は疲れ果てているだろうと察するからこそ、私は黙してしまう。  達成への強迫にまで肥大化してしまった自己実現至上主義。これを打破するには、どうしたらよいのか。自己実現の自己表現への転化も、一つの方法には違いない。オタクどもが、まさにそうだ。  私にあるのは、インプリンティングされた枠組みであり文脈であり、それをどこまで異化して眺めることができるかという分析力であり、自己を相対化してでもその分析をいとわない意志であり、ためらっている場合ではないという状況認識であり、自己を束縛する枠組みと付き合うことを考えることである。  さらに私には理解の種を蒔く努力と、発芽するまで待つ忍耐が加わる。そして時として全てを、めんどうだ、と言って放り投げてしまう。ついつい答を求めてしまうからいけないのだ。  だが世界には答が立派に用意されている国家が、今もなお存在する。  世界には奇跡のような版図が、今もなお、たくさん存在している。  そして私には、イデオロギーが生んだ分断国家を、もうひとつ、見る機会に恵まれた。  15万人が入るというスタジアムに案内された。  東京ドームもはだしで逃げ出すスタジアムの一角には、これまた十メートル四方以上もある巨大な故金日成主席の肖像画が掲げられていた。その真下で、やっと見分けられるくらい小さく見える一人の男性が、一生懸命に両手で旗を振っていた。彼の旗の一振りが合図となり、5万人の学生が繰り広げるマスゲームが、そのパターンが、一斉に変化する。場内には金日成の息子、金正日将軍を高らかにたたえる歌が、巨大なスピーカー群も割れんばかりの大音量となって轟き、響き渡っていた。  初日に見たマスゲームには、子供のように目がくらんだ。15万人のどよめきは、関西大震災の地鳴りと、そっくりだった。それにもまして15万人の完璧な静寂は、身震いが止まらない無気味さだった。まさしく天変地異に等しいスペクタクル。壮大な無形文化財。   だが、三日目ともなると、人間を愚弄した演出の数々に、私達は憤りのあまり言葉もなかった。ただ、軍隊のようにデジタルな割り切りのはっきりした直線的で明解な動きだけでなく、波動を多用したアナログなたおやかな曲線美も演出するあたり、共産主義も90年代に入ったということなのだろうか、などと、かろうじて理性で考えることができた。それほどまでに、マスゲームは衝撃的で異質な演出であった。寒気がするほどすばらしい完成度だったが、一人でできる踊りは、一つもなかった。  演じるの中には幼い小学生の姿もあった。1万人の小学生たちが、一糸乱れぬ国家的シュプレヒコールを展開する。  あなたがいなければ私たちもなく  あなたがいなければ古里もない  金・正・日! 金・正・日! 金・正・日! 万歳! 万歳! 万歳!  そして死せる前主席、金日成を懐かしむ一万人の小学生たちが右手を挙げて敬礼し、一斉に、無気味なほどそろったタイミングで、一斉に号泣する。その声が、ただ、霞のように、飛蚊の雲の音のように、スタジアムを満たすばかり。しかも、泣きじゃくりながらも、彼らの手足はきっちりそろって行進しているのだ。  むごたらしいまでの完成度の高さ。  虚飾を排したデザイン。しかも巨大な建築ばかり。どれもこれも刑務所のような外観をした、偉大な建築の数々。鮮烈な配色を嫌うのはまだしも、そこは全てが統制された殺風景。センスもダサい。広告は一切なく、その代わりこうこうと夜も電飾で輝く政治的プロパガンダの数々。半島は一つ。偉大なる指導者・金正日将軍、万歳! 偉大なる首領金日成主席、万歳! 栄光の朝鮮労働党、万歳! 我々は絶世の偉人、金日成主席の革命戦士だ! 我々は金日成主席の人間爆弾になろう!  金日成が死去してまだ一年たらず、その巨大な肖像画は国のあちこちで共和国人民たちを見まもる。  色あせた北朝鮮では、どんなラフな格好をしていても日本人は派手。そして人民たちは、根深いひとみしりによって、絶対に目をあわせようとは、しない。  だが、住んでみたいとは絶対に思わないにしろ、言われているほど、北朝鮮は異国でもなかった。  たとえ黙り込むにしても素朴な人々の反応。裏を読むことを全くしない、すなおな田舎の心理。恐らく最近まで、東京でもこうだったはずだ。私たちが子供のころの東京や京都。今の日本でも、外国人に対して慣れていなくて構えてしまう人々はたくさんいるだろう。意外にも両国は共通項が多い。  かつてタイでみかけたのは、はにかむ上目遣いの視線だった。水気を含んでしっとりとした空気もあいまって、それはとても東洋的なセクシーさをたたえていた。北朝鮮は少し違い、乾き切った大陸の荒野そのままに、表情も荒涼としていた。それは紛れも無く偏狭で過敏な郷土愛に満ちた、ひとみしりの視線。彼らは無口でぶっきらぼうだが、物心つく前に離ればなれになって忘れ去られたままの兄弟に出会った気になったのも事実。それは帰国子女の私が、それだけ、ひとみしりする日本人に肉迫して来たと言う、個人的に感慨深い事実でもあったのだが。  しかし偏狭で繊細な郷土愛は、時に凶暴な警戒心にも転化しうる。監視され尾行され警告まで受けるのは、何度経験しても、みぞおちが堅くしめつけられる。旅を終え帰国してきた直後、我々は自由世界に帰還できたという気のゆるみから、名古屋市内の道端にへたばってしまった。ツアー・バッジを外した時の解放感は、仕事から帰宅してネクタイをはずしスーツから私服に着替えたときの気分にもまさるというのが、自分でも笑えた。  今回��、たまたま無事に帰ってこれた。だが次回、同じことをしたら、果たして帰って来れるかは未知数。最後には帰ってこれても、彼らが我々を交流することなく観光旅行を続けさせてくれるかは、未知数。生命の危険と言うだけでなく、たとえ彼らが言うところの「帝国主義陣営」の抗議により釈放してくれたとしても、そもそも釈放されなければならない事態に陥ること自体、一観光客にとってどれほどシビアな状況か。シンガポールでは、フィリピン人のメイドが故国とは違う法律によって処刑された。北朝鮮刑法でのスパイ罪は、最低7年の強制労働と修正教化である。修正教化! 皇民化教育の再来、いや仕返しか、パロディか。あとで無事帰国できたとしても、あまりに大きな代償。今を思えば朝8時にホテルを出発し、夜10時以降にホテルに帰ると言うハード・スケジュールも、早朝から夜間に至るまで我々を管理しておきたいという意図があってのことではないか。単独行動を起こす時間を、極限まで無くしてしまいたいという狙いではないのか。郷土愛は、時に凶暴な警戒心に転化する。  それにしても彼らがお膳立てしてくれたコースは、往々にして哀しくさせた。古都、開城(ケソン)の遺跡展示がつまらなかったのは、単に展示が貧相であったというだけではない。安らかに眠るはずの遺跡をたたき起こし、今なお血気盛んな共産主義の偉大な歴史背景として演出する意図に満ちているからだ。封建支配に叛旗をひるがえす農民一揆の展示に力を注ぐあたり、どこまで思想は皮肉なものなのか。抗日英雄たちの霊廟も同様、抗日戦争は素直に受け止めるにせよ、それが個人崇拝に至るなら、興ざめである。  忘れた兄弟にめぐりあえた気分にしてくれる、偏狭で繊細な郷土愛のまなざし。だがそれは、時に相手が自分よりすぐれているか劣っているかでしか判断しない。  ただ、帰国したその時、かすかだが確固たる疎外感を感じたのも事実。何を体験したか、そのシビアさは実際に行った人間でないと分からない、というだけではない。  警告するにしても目をそらすにしても、彼らは我々が眼前にいることを、はっきり認めていた。帰国直後、名古屋の道端でへたばっていた我々を見ようともしない日本人の群れの中、我々は背景の景色の一部品でしかなかった。せいぜい、その他大勢。曖昧模糊とした大衆。  私たちは、監視され VIP 待遇まがいの特別警戒を食らうことに、あまりにも慣れてしまって、人から視線を浴びない事には自我を保てなくなってしまったのだろうか。寂しいような、しかしこれが、あるべき姿でもあるという実感なのか。  そして全体主義が海をはさんで隣接しているのも意識せず、眼前に我々が存在している実感も認めさせてくれぬまま、日本はどこへ行こうとしているのか?  尾行される緊張にみなぎった行動と、背後に広がるプロパガンダ。  出発前の私は正直言って興味本位だった。地球最後のワンダーランド。目の前に、現実に展開するスペクタクル。国家権力の壮大なパロディ。北朝鮮が半世紀も続いたのは驚異だが、大日本帝国とて四分の三世紀も続いたことを考えると、それは歴史の隙間としてあり得る数字なのかも知れない。哀しいのは、それがちょうど1世代まるごと飲み込む時間であること、その中で生まれ死する世代がいるということ、他を知らずに。  しかし大日本帝国には、大正デモクラシーというリベラルな一コマもあった。極端な管理社会は極端な自由放任同様、絶対に長続きし得ない。それは判断を放棄した社会であり、そもそも純粋な体制などあり得ない。北朝鮮は国家のパロディとしか思えなかった。  だが、それは北朝鮮を理解する入口でしかなかった。決して悪くない入口ではあったが、いつまでもそこにとどまることは、できなかった。  めくるめく圧政の中、極めてまじめに生きる素朴な人たちがいたからである。  姿勢正しい人々の、礼儀正しく、まっすぐな視線。なにごともけじめを大切にする礼節厚い人々。「一人の一生で終わる生物学的生命より、世代を越えて伝わる政治的生命に自己を捧げる」などと心底ほこらしげに語って聞かせる人々。暖衣飽食の人生よりも、歴史に名を残すことを重んじる気高い人々。曇りなき自己の純粋さを尊ぶ人々。管理することで初めて得られる安心。  恐らくは儒教精神に根ざしているであろう、それら感覚や価値観は、だが日本人にとっても少なからず馴染みあるはずであり、時に基本的なしつけだったりもする。欧米にもマスゲームはあり、軍隊式マーチングバンドが盛んであり、何よりも軍では自己犠牲が叩き込まれる。集合美、組織美は、東洋の特権ではない。そして管理は生活の保障を生む手段であり、それ自体は善し悪しではない。手段の一つに過ぎないはずの管理という言葉が日本では嫌がられるのは、非本質的な管理が多いからだ。  根底の発想はまるで異質に思えても、その上に立脚し構築し見せてくれる演出は、実に念入り。一挙手一投足にいたるまでが、彼らの高い理想と純粋な使命感に裏打ちされている。そして機械に頼らず生身の人間を大量に現場へ投入する人海戦術。この彼らの誇る究極のテクノロジーを駆使することで、むごたらしいまでに高い完成度をめざす。しかし、身の毛もよだつほどむごい向上心と全体主義が、じつは日本の高度成長期の滅私奉公会社人間と比べ、いかほどの違いがあるのだろう。街中をひるがえるイデオロギッシュなプロパガンダと、日本の吊り広告の中で物質文明の享楽に溺れる決まり文句の洪水と、いかほどの違いがあるのだろう。北朝鮮と日本とは、同じものの両極にいるに過ぎない。  マスゲームに参加した学生たちが退場するとき軒並み号泣するのは、演出によるものとはいえ、あながちこの社会で育った者なら、涙腺が金日成に感じるようにできているのかもしれない。  小学生たちは罪ない声で指導者たちを賛美しながら、一生懸命に踊りを踊ってくれる。褒めてあげれば、ほんとうに嬉しそうな顔をする。完全無欠の表情をつくってくれる優等生もいれば、本心から恥ずかしそうに嬉しい顔をする正直な子もいる。この年代なら、誰だって認められたいものだ。ネタがネタだっただけで、大人が嬉しがることを素直に実践する彼らに、罪も曇りもなかった。私たち観光客に授業参観させてくれたばかりか、雨をもろともせずに濡れながら純真に手を振って観光バスを追いかけて見送ってくれた小学校の子供たちの笑顔に、なんの罪も曇りもなかった。  その笑顔がこころを刺して痛かった。思わず泣けてきた。  それは私がなし得た、数少ない共感であった。彼らと私との、ダークだがれっきとした他者理解の成功例であった。北朝鮮と日本は、同じものの両極にいるのだ。  だがそれはダークだった。何も外の世界を知らず一生をまっとうできれば幸せという意見もあったが、それは、自分の価値観と使命感とを一点の曇りもなく疑わず猛烈に働きつづけ過労死するサラリーマンの一生を幸せというのと、同じかもしれない。そもそも、人民はそこまで意識できるよう教育されているのか。純粋な気持ちで子供たちが歌うのは、大政翼賛の歌。降りしきる雨に濡れながら私たちの観光バスを追いかけてくれた子供たちの背後には、校長先生だという太った中年女性が、部下に雨傘をささげさせ、かっぷくある手ぶら姿で微笑んでいた。北朝鮮では、すべてがパロディには違いなかった。しかしそれは、私たちの日常を実感として再検討させてくれる、極めてシリアスで重いパロディでもあった。  その明快さから、とかく遠近法こそが真実に忠実な画法とされがちだが、注意深ければ、視野は自分の眼を中心とする球面上に展開していることが分かるはず。だが、球面上に広がる視野を平坦な紙の上に転写すれば、それは見なれない像を結ぶ。  象徴的なまでに、すべてが単一の消失点へ収束する遠近法の技法、一点投射法。極めて単純明快、かつ熟練すれば複雑で柔らかな像を描くこともできる。だが、どこまで卓越しつづけても、遠近法は魚眼レンズのように発想の転換を迫ることはない。この国の数々の偉大なる建築を可能にせしめた一点投射法、その中心には、つねに金さん親子が燦然と輝いていたのだろう。だが、中米の先住民は世界最大のピラミッドを石で建設したが、ついぞ車輪を思いつかなかった。  人が意外な忘れものをしがちな存在なら、私たちもまた。  理解は、だがそこまでだった。桁外れの人みしりの向こうは熱烈な郷土愛で満ちていて、いったん心が融けると猛烈な勢いでお国自慢が始まる。出生にコンプレックスを持った田舎者が急に自信を持ち出したような、お国自慢。程度の問題かも知れないが、さすがに、かくも自尊心高く排他的な感情の奔流に、私はついていけなかった。吐露させることが理解への遠くて近い道と分かっていても、それは一方的に行われるコミュニケーションにさらされる苦痛であり、さらに偏狭な感覚から解放されたいという欲求との戦い。  アイデンティティーの名の下に、許されてしまっている我がままなヘゲモニー。南朝鮮との違いにヒステリックなまでにこだわる北韓。そんなに声を高くしないでも、北朝鮮は充分にユニークな国。共産主義(彼らは独自性を出そうとし金日成主義と呼ぶが)国家という名の儒教国家なんて、いまどきここにしかない。だのに自他の違いを徹底的に強調した舌の根も乾かぬうちに、今度は同じ民族だ、自主統一に向けて南北は一致団結しようと言い出す矛盾。  自他の差異は、じつはささやかなものでしかなく、ただそのわずかな差異すら人間には満足に乗り越えて相互理解できないばかりか、たとえ相互理解できる状況であっても、わずかな差異がありさえすれば、それは人間にとってこだわりがいのあるある差異なのか。それは、なじみある分析の筈だったか文化相対論を突き詰めたとき、今までに出会ったどの普遍論よりも広大な海原が姿を表わしたという点で、再発見に等しかった。  相対論は小気味良い思考道具であり、普遍論は桁外れに大きい。  彼らに国を憂うことが許されているのだろうか? それを私が憂うことは、主体を重んじる人々にとって、おせっかいな内政干渉になるのか? EU のように誰もが国境を自由に横断できるようになれば、なにもいま統一を急ぐこともないのか? だが、日本人である私が、他国の行く末を口にして良いのだろうか?  派遣に留まらない働きを発揮して下さった現地人ガイドさんには、是非とも訪日いただき、きれいなところもきたないところも、ぜんぶ案内してさしあげたい。何のトラブルもなく行き来できる日が、ほんとうに早く来てほしい。  しかし、ひとみしりは危険な警戒意識をも生み出す。たびたび尾行され、一時はフィルムまで没収された前科者の我々は、果たして再入国させてもらえるのだろうか。あるいは無事帰国させてもらえるのだろうか。その答は風の中。 '95年5月
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migeru82 · 2 years
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水戸・いわき旅行 9月8日-9日
弟が3枚余らせていた青春18切符を使い切るため、1泊で福島へ出かけた。当初は双葉町のあたりまで行って原発周辺を見学してくるつもりだったが、前日ほぼ一睡もできず体力に不安があり、そもそも車もないので断念。それは近々車が使えるときに行きたいと思っている。
ぎりぎり間に合う時間に家を出るも、パスモの残額不足という痛恨のミスで予定の電車を逃し、なぜか弟のみ乗車。なんとも言えない残念な気持ちで、北千住にて追いつき、その後水戸で合流。ここで原発は諦め、水戸、いわき旅行のプランに変更。
水戸は、弘道館、水戸城跡、偕楽園(好文亭)、徳川ミュージアムの順で回った。弘道館は、足利学校、咸宜園(日田)、閑谷学校(備前)と並んで、近世日本の教育遺産群ということになっているようだ。水戸学についてほとんど何も知らずに行ったが、徳川光圀の前期水戸学(『大日本史』)から、徳川斉昭の後期水戸学(尊王攘夷)への流れを知り、俄然水戸学に関心が湧いた。それにしても、大阪の適塾もそうだが、開国前後の教育機関に感じられる当時のエネルギーには毎度感銘を受ける。
斉昭の方針として、文武一致を強く掲げているらしかったのが印象的だった。慶喜の教育でも、武術、弓術などが重視されたらしい。見学しながら考えた与太話だが、思うにこの文武一致というのには何か健康的で、近代日本の「捻れ」以前という感じがする。開国から終戦にいたる7、80年のなかで日本の武は最終的に粉々に砕かれた。「ペンは剣よりも強し」から「日本の強みは技術と知能のみ」まで、文武の乖離ないし文への偏重は、近代日本の捩れのひとつのあらわれのように思える。
偕楽園内にある好文亭で気持ちいい風を受けながら、しかし時間を気にしつつおやつ。美術館、歴史博物館など複数あったなか、残りの時間で行けるのはひとつだけ。選んだ場所は徳川ミュージアム、だったのだが、これが酷かった。水戸黄門の印籠がある! しかし、以上。で、入館料は破格の1800円である。徳川ミュージアムというくらいだから、歴史博物館的な役割も兼ねていて色々勉強できるのかと思ったが、それはなかった。代わりに最近流行っているらしい日本刀アニメとのコラボでやたら刀とキャラクターが飾ってある。おまけに、最後は職員の方が先にいなくなり(笑) 出ようとすると門が閉まっていた。呼んでも誰も出てこないので、仕方なく塀を飛び越え駅へ。まあ、いい思い出にはなった。
その後はいわきへ移動し、8時ごろ到着。夕飯は旬という魚料理屋。お酒やいわきの地酒だという又兵衛。料理は、ホウボウ、マコガレイ、カツオ、アイナメの刺身4点盛り、海鮮サラダ(ホウボウ)、タコの唐揚げ、どんこの煮付けメヒカリの唐揚げ、お茶漬け、など。全体的になんとなく魚が北っぽい。中でも印象的だったのはどんこで、若干グロテスクな見た目のあの魚がこんなに美味しくなるとは! かなり濃い目の色で出てきて煮方がよく、脂も乗っていた。あと、福島は鰹をいわゆるたたきにせず、皮をひいて刺身で出すっぽい。
翌日、いわきは、いわき市立美術館と白水阿弥陀堂の順で回る。美術館はアーノルド・ローベルの特別展で、これがすこぶる良かった。編集者が鉛筆を入れた原稿が数多く展示されており、言葉数の少ない絵本の文章が散文というよりも「詩」として扱われていることがわかる。言葉数を微調整し、語彙を多少でも平易にしようとしたり。英語圏の校正の入れ方も含めて、色々と興味深かった。Toad and Frogについては別投稿で。常設展は、20世紀後半〜21世紀の作品が20点ほど。素材か技術か、というコンセプト。
昼食は目に入ったところに決め、悩みに悩んだ末に鰹定食を頼むも、失敗。
白水阿弥陀堂は、平安末期の1160年、徳姫という人物によって亡き夫のために建立された御堂で、目の前には浄土庭園がある。周囲を山に囲まれ、お椀状の地形が全体として蓮に見立てられているらしい、という解説を読んだときはなるほどと膝を打った。それにしても建立の経緯がなかなかで、その後平安時代における(というかもはやそれに限らず)「恋」とは......という深淵な問いが芽生えしばし熟考。
見学後はいわきまで戻らず、その一個手前の駅まで歩いて戻り、唯一あった喫茶店(?)でアフォガードを食べ、旅の締めとする。横浜まで戻ったのが9時ごろ。うどんを夕食にして、10時ごろ帰宅。
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4komasusume · 4 years
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トレカのディテールが醸し出す趣味人の熱狂――もみのさと『TCGirls』
   すいーとポテトです。巣ごもり生活が続く中、3月頃から「MTGアリーナ」をプレイしています。MTG自体は『テンペスト』の頃から断続的にやっていて、アリーナも昨年に登録していたところ、ここにきてドカンとハマりましたね。
 さて、今日はトレーディングカードゲームを題材にした4コマ作品、もみのさと『TCGirls』を紹介します。単行本完結が2018年と少し前の作品ですが、紹介したくなったときが紹介しどき、ということで。
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TCGirls 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
posted with AmaQuick at 2020.10.03
もみのさと(著), 芳文社 (2017-05-27)
Amazon.co.jpで詳細を見る
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TCGirls 2巻 (まんがタイムKRコミックス)
posted with AmaQuick at 2020.10.03
もみのさと(著), 芳文社 (2018-07-26)
Amazon.co.jpで詳細を見る
トレカショップのトレカな日常
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〔1巻19ページ〕
『TCGirls』はトレカショップ「Aster」を舞台に、店員さんやお客さんのトレカな日常を描いた作品です。主人公の小柴アンはトレカ好きが高じてAsterでバイトを始めた高校生。店員としての自覚よりもファン心が前に出がちだけど、そのファン心がお仕事に生かされる場面がちょくちょくあります。
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〔1巻12ページ〕
 例えばカードの丁寧な扱い。インデックス付きのセパレーターでひと手間かけた整頓が自然にできるアン、メチャクチャ偉い……! 指の腹で端を持つ、という普段無意識にやっている行為がこのように言語化されているところに、作者のトレカに対する解像度の高さも伺えます。
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〔2巻38ページ〕
 イベントの企画をすることもあります。自身のお気に入りのカードが大会での使用を禁止されたことを機に「禁止カード感謝祭」を発案。どう見ても私情やんけ……と思ったら共感するお客さんがたくさんいて、結果的にイベントは大盛況で終わります。アン自身がファンだから、ファンのツボをしっかりと分かってるんだよな。また、さりげなくつぶやかれている「お店のパック3つ以上購入」にも現実のショップイベントの参加費らしさがあり、こういった細かいところにもリアルさを感じます。
 お話はこのアンを主軸に、彼女を含めて5人のキャラによって進んでいきます。
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〔1巻105ページ〕
 葉波(はなみ)シオンはAsterの店長さん。アンと同じ高校に通う先輩でもあり、また作中に登場する人気トレカ「ダーク・オブ・ヘヴン」のメーカーの社長令嬢でもあります。トレカはゲームプレイよりもイラストを楽しむ勢で、それゆえにショップの運営に悪戦苦闘することも。アンの奔放さには苦労しつつ、アンに一番助けられてるキャラとも言えそうです。
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〔1巻13ページ〕
 御厨(みくりや)メイはAsterの常連さん。小さい子ながらも大きな大会での優勝経験があるガチ勢で、しかもレアカードの開封ゲット運も強い、というTCGの申し子です。カードを保護するスリーブは漢字一文字というこだわりも。中二的な言動にはショップのお客さんやアンも結構ノリノリでついてきたりします。
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〔1巻52ページ〕
 大泉マナはAsterの店員でシオンの友人。ゲームセンターに設置されてるカードゲームの有名プレイヤーでもあります。常識人としての一面を持ちながらも、カードゲームにハマったきっかけがプレイヤーの手の動きに「運命を感じてしまった」から、という手フェチさん。おっこの人、見た目とは裏腹になかなか業が深いぞ。
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〔1巻63ページ〕
 そして鵜池(うのいけ)ニイナはアンの同級生。TCGは好きだけど引っ込み思案で環境にも恵まれなかった彼女は、アンとの交流をきっかけに対人プレイの楽しさを知っていきます。強くはないけど大丈夫、「大切なのはカードに対する“愛”!!」(メイ談)だから……。
トレカ「あるある」ネタ満載
 趣味もの作品の王道を行くように、『TCGirls』にはトレカ「あるある」ネタが満載です。いくつか見ていきましょう。
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〔1巻11ページ〕
 二人が思い浮かべるトレカイラストの差。シオンはリアル系が、アンは可愛い系がお好きな様子。他にもロボ系や既存IP系など、今やいろんな傾向のトレカがありますよねえ。
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〔1巻30ページ〕
 シングルカードの価格。可愛い顔して諭吉をみるみる減らしていくからな。「アド」がアドバンテージの略だと注釈なしで使われているあたり、TCGプレイヤーを狙い撃ちしていることが伺えます。
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〔1巻80ページ〕
 勉強のときもトレカのことは忘れない。その記憶力を他のものに使えばいいのに、ってことじゃないんだよ、好きなものだからこそ覚えられるんだよ……!
個別トレカの細かなネタも
 一般的なトレカあるあるに加えて、現実世界に存在する個別トレカの細かなネタに踏み込むこともあります。MTGプレイヤーのポテトが分かったMTGネタをいくつか挙げてみます。
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〔2巻102ページ〕
 超高額カードたち。絵柄を見るに、左から順に《Black Lotus》《Mox Sapphire》《Ancestral Recall》っぽい。版や状態によってはこのコマに書かれている値段よりも高くなるところが恐ろしいところ。
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〔2巻39ページ〕
「禁止カード感謝祭」にカードキャラのコスプレをして集まったお客さんたち。2コマ目の左にいる猫っぽい着ぐるみが、実際に禁止カードになった《守護フェリダー》に似てるんですよね。スタンダードで禁止されたのが2017年4月28日で、この話の掲載号が『まんがタイムきららMAX 2017年10月号』(8月発売)。ネタ出しから掲載までのリードタイムを考えると、かなりタイムリーに時事ネタを取り入れていたように見えます。
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〔2巻74ページ〕
 暗記を話題にしたコマで《暗記 // 記憶》のパロディ。いかにも意味ありげな構図なので「何かのパロディかな?」とは薄々気づけると思うけど、具体的なTCGやカード名までは言われないと分からない可能性があるでしょこれ。自分も最初は全く分からなかったです。でもひとたび分かると「なるほど!」と思えるネタでもあります。
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〔2巻8ページ〕
 そしてこれはMTGの「カラー・ホイール」! 五角形の頂点の位置こそ回転しているものの、ちゃんと白→青→黒→赤→緑→白の順序で循環しています。しかも小ネタとして用いるだけでなく、色のフレイバーを踏まえたキャラクター紹介としても機能しているのが面白いところ。アンが赤なの、自由と情熱のキャラとしてハチャメチャ正しいんだよな。
 こうして日常模様から細かなネタまで見ていくと、トレカのディテールが随所に丁寧に盛り込まれていることが分かります。その丁寧さこそが本作の魅力の源だと思うんですよね。趣味もの作品って多少なりとも「分かる人には面白い」的な内輪感が出てしまいがちだと思うんですが、『TCGirls』はあえてその内輪の方向に突き抜けてTCGプレイヤーにぶっ刺さる作品になっている。そして分からない人にも、ディテールの集合によって醸し出される奥深さや凄み、あるいはTCGという趣味にハマる人たちの熱狂が感じられるものになっている。この腹のくくりっぷりがむしろ趣味に対して誠実で、娯楽と言うものを真正面から描いていて、ああ、いいなあ、と思うのでありました。
(すいーとポテト)
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nbt7001 · 2 years
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海と山の幸 個室居酒屋 たまて箱 船橋店
海と山の幸 個室居酒屋 たまて箱 船橋店 ■住所
〒273-0005 千葉県船橋市本町4丁目5−26 船福ビル 4F
■電話番号
050-5488-6317
■店舗紹介文
"【JR船橋駅南口 徒歩1分】和食と個室の居酒屋 牛タンしゃぶしゃぶやカニ料理など、新鮮なお肉と魚介類を駆使した和食。 2名様~個室利用可♪牛や馬の炙り肉寿司も登場。 国産の厳選素材・全国の銘酒が揃う個室居酒屋。 ●扉で仕切られた和の完全個室● 2名様から50名様以上まで、幅広い人数に対応可能◎ 少人数個室 和の個室空間。プライベートなお食事、ご宴会に。 ゆっくりとお家感覚でお過ごしいただける個室席をご用意しています。 リラックスできるその居心地の良さは当店No.1♪ 女子会やデート、友人の誕生日会など等、おかげ様で多くのプライベートなお集りに選ばれています。 ■宴会のプラスオプションで日本酒や焼酎も飲み放題に♪ 『獺祭』『浦霞』など全国の銘酒が揃います◎ ◆海と山の幸を駆使したご宴会コース◆ 満足度No.1!炙り寿司・蟹グラタン・刺身3点など8品『厳選 海山の幸コース』3980円 ズワイ蟹爪・炙り寿司・蟹グラタンなど全8品『厳選ご宴会コース』4500円 ◆新登場!蟹料理のご宴会◆ 接待や会食に♪ 時期ごとに仕入れ元を替え、より新鮮な蟹をご提供。 茹で・蟹刺し・蟹天ぷら・焼きカニグラタン...など様々な形でお楽しみ頂けるズワイガニが新しい当店の名物です。 【蟹の宴会】 漁港直送で仕入れるズワイガニ・タラバガニを中心に、様々な蟹料理を楽しめるコースが登場! ズワイガニの水炊き・蟹グラタン・蟹天ぷらなど全8品『蟹の彩りコース』6000円 蟹しゃぶ・焼きタラバガニ・蟹旬魚5点盛りなど全9品『蟹の贅沢コース』8000円 【国産の食材を使った創作料理】 海の幸『刺身盛合せ』『ズワイ蟹爪』 山の幸『国産牛タンしゃぶしゃぶ』『和牛・鴨肉の炙り肉寿司』"
■ホームページ https://www.hotpepper.jp/strJ001249338/
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