Tumgik
#煤払い
cozroom · 2 years
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煤払い
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みなさま良い年をお迎えください
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matsbox · 10 months
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herbiemikeadamski · 2 years
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. (^o^)/おはよー(^▽^)ゴザイマース(^_-)-☆. . . 12月28日(水) #大安(乙卯) 旧暦 12/6 月齢 4.7 年始から362日目(閏年では363日目)にあたり、年末まであと3日です。 . . 朝は希望に起き⤴️昼は努力に生き💪 夜を感謝に眠ろう😪💤夜が来ない 朝はありませんし、朝が来ない夜 はない💦睡眠は明日を迎える為の ☀️未来へのスタートです🏃‍♂💦 で��馴染みのRascalでございます😅. . 昨日、話したのでスウェットの紐とか が、片方がのめり込んで出て来 やしないって苛つく話で紐を新 たに付けるのに安全ピンやヘアピン を使ってやるぐらいしか知らない のですが、そんなのもありやし ないので、100均に調達に行き 探すのですが見つからなく店員 さんに聞くと「ひも通し」が良 いですよ✋って教えてくれまた。 . 生まれてこの方こんな便利なの があるなんて知らなんだ😅💦 ってか昔から、あったんですか ね⁉️うちの母親と来たら必ず ヘアピンを使ってやってましたが あれもコツがあって難しいので すわ途中で抜けちゃうと初めか らやり直し😅💦安全ピンが良 いと教えてくれた方が誰だか覚 えて居ないですがね🤣😆🤣 . 今日一日どなた様も💁‍♂お体ご自愛 なさって❤️お過ごし下さいませ🙋‍ モウ!頑張るしか✋はない! ガンバリマショウ\(^O^)/ ワーイ! ✨本日もご安全に参りましょう✌️ . . ■今日は何の日■. #官公庁御用納め.  官庁で、年末年始の休みの前のその年の最後の事務をとること。  1873(明治6)年から、官公庁は12月29日から1月3日までを休暇とすることが法律で定められており、28日が仕事納めとなります。  通常は12月28日ですが、土・日曜日の場合は直前の金曜日となります。 . . #大安(ダイアン). 「大安日(にち)」の略。 陰陽(おんよう)道で、旅行・結婚など万事によい日。 一切合切(イッサイガッサイ)が良いとされる日。  「大いに安し」の意味。 六曜の中で最も吉の日とされる。 何事においても吉、成功しないことはない日とされる。 六曜は、暦注の一つで、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の6種の曜がある。 . #神吉日(カミヨシニチ). 「かみよしび」ともいい、神社への参拝や、祭礼、先祖を祀るなどの祭事にいいとされています。 この日は神社への参拝や、お墓まいりに行くといい日です。 . #不成就日(フジョウジュビ). 選日の一つである。 何事も成就しない日とされ、結婚・開店・子供の命名・移転・契約・芸事始め・願い事など、事を起こすことが凶とされる。 市販の暦では他にも色々なことが凶となっていて、結局は全てのことが凶ということになる。 . #八専間日(ハッセンマビ). 干と支の性質が同じ組み合わせの多い期間のことですが、八専間日は八専の期間中に干と支の性質の組み合わせが同じでない日。 八専は凶日ですが、間日は凶日ではないとされています。 . #受死日(ジュシニチ、ジュシビ).  最悪の日とされており、お葬式は行っても良いのですが、それ以外は何をやっても悪い日。  で、この日に病気になると死に至るともいわれています。  「黒日(クロビ)」 暦注では「●」と記されることが多し。 . #地火日(ジカニチ). 暦注の一。 地に火の気があるので、土を掘ることや植樹などを忌む日。 . . #正月飾りの日. . #ディスクジョッキーの日(#DJの日). . #餅つきの日. . #煤払い(大掃除). . #納め不動. . #身体検査の日. . #シネマトグラフの日. . . #余部鉄橋列車転落事故.  1986(昭和61)年12月28日(日)先勝.午後1時25分頃. . . #幼子殉教者の記念日(チャイルドマス)(Childmas, Innocents' Day)(カトリック教会). . #女優、真屋順子さんの忌日。 . . ■本日の成句■. #笑いは人の薬(ワライハヒトノクスリ). 【解説】 人間の体の中には、免疫力や自己治療力を高めてくれる 「NK(ナチュラルキラー)細胞」というものがあり、笑う事で、このNK細胞が活性化するといわれています。 適度に笑うことは、心と体の健康のためには、いい薬となると云う事。 . . 1993(平成5)年12月28日(火)友引. #新川優愛 (#しんかわゆあ) 【女優、ファッションモデル、タレント、元グラビアアイドル】 〔埼玉県〕. . . (Saburou, Kumamoto-shi) https://www.instagram.com/p/Cmr89lPBJRgscCXLyq_vYoMw3XTh7_n-XlaM-Y0/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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mrtvnm666 · 10 months
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おはようございます
本日は大掃除の日ですね🧹☺️
12月13日が正月事始め、煤払い、松迎えの日とされていることちなんで、一年の積もり積もった汚れ等を落としてから新年を迎えてもらいたいとの願いから記念日に制定されております💖✨
#AIグラビア #AIイラスト #AI美女 #AIphoto #AIgirl #AI生成
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kennak · 5 months
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弁護士となってから三〇年以上を経過し、そのほとんどの期間を大学、大学院での教員生活も兼ねてきていて、講義の際に余裕があるときには、学生、院生相手に事件の話も交えることがある。その際には枕詞に、「弁護士も一年に一件程度は、こういう話のネタになるような事件に巡り遇うものなのだけど・・・。」と言いながら、時期、場所、内容で特定されないように注意しながら実際にあった話をする。  もちろん、些細なことから事件に隠された真実にたどり着いた自慢話もあるが、一般には自慢話よりは失敗談に人は興味を持つといわれていることから、ここではあえて私の経験の中の失敗談を述べさせていただきたい。  ある家で火災が起きて、そこに居住していた夫婦が建物中で折り重なるように倒れていて死亡が確認されたという事件があった。警察、消防による実況見分もなされ、家屋は全て内側から施錠されていて第三者が立ち入った形跡はなく、台所のゴミ箱付近から出火しており、夫婦で火災に巻き込まれて死亡したと考えられた。夫婦は近所の評判では、割と頻繁に喧嘩をしていたということでもあったというが、それ以上は捜査はなされず終結していた。  ところが、実はこの夫婦はそれぞれが先に別の配偶者と婚姻していたが離婚し、それぞれの子供が成人してから改めて婚姻したもので、夫婦の間には子供はいなかった。それぞれの子供同士には特に交流はなかった。  そして、その夫婦には、夫が死亡したときに妻が受取人となる保険があり、同時死亡であれば、そのまま保険金については妻が受取人にならず、夫の相続人である夫の子供が契約者の相続人として支払いを受けるところであった。ところが、それぞれの死体検案書を見た妻の子供の知��が多少法律をかじっている人物で、その人物から私に相談があった。  その人物の話によれば、夫の死体検案書の記載では夫の肺は煤を吸い込んでおらず綺麗なままであったのに、妻の死体検案書では妻の肺は煤を大量に吸い込んでいたという記載があり、そのことから、夫が火災が燃え広がる前に呼吸が停止し、妻が火災が燃え広がった後で呼吸が停止したと考えられる。そうすると夫の方が妻より先に死亡していたと考えることができ、そうであれば、夫の死亡直後にまだ生存していた妻がひとまず夫死亡によって発生した保険金受領権を相続し、その直後に妻が死亡したのでその保険金受領権を妻の子供が相続したのではないかというのが、その人物の見立てであった。  これは一つの合理的な結論となるのであり、私は妻の子供の代理人として、保険会社相手に保険金の支払いを求める訴訟を提起し、夫の子供には訴訟告知して、法廷で争うことになった。このような訴訟の場合、原告である妻の子供と訴訟被告知人で訴訟に参加した夫の子供が実質的に相対立する関係になり、被告である保険会社は、定められた保険金を訴訟で決着した受取人に支払えばいいので、形式的に訴訟に参加しているだけであった。  この訴訟では、同じ火災で死亡した二人のうち、一方の肺が煤で汚染されていて、他方の肺が煤で汚染されておらず綺麗であれば、その事実から死亡の先後関係が認められるのか、先後関係が立証不能で同時死亡になるのかが問題となり、原告と参加人が主張を戦わせたが、最終的に死亡した夫婦の司法解剖を行った鑑定医が証人として呼ばれることになった。  証人として申請するのにあたって、事前に鑑定医に「ご面倒をおかけしますが、出廷して頂けますでしょうか?」と連絡させて頂いたが、その際に鑑定医は、どういう訳か割と素っ気ない態度で応対し、「まあ呼ばれれば行きますが、訴訟なんてしない方がよかったのに。」と言っておられ、あまり訴訟には積極的ではない印象を受けていた。  証人尋問のなされた弁論期日には、半分高みの見物であった保険会社の代理人も被告代理人として出廷することになった。  私は、狭い空間で同じ場所に重なるように倒れていた二人の焼死者の一方の肺が煤で汚染されていて、他方の肺が煤で汚染されておらず綺麗であれば、一方は同じ室内に火が回る前に呼吸停止し、他方は火が回った後で呼吸していたのだから、先後関係は明確なのではないかと鑑定医に迫ったが、鑑定医は、そんなことは科学的に断言はできないというように、答えをはぐらかしていた印象があった。私自身は、裁判官の判断として、先後関係が最終的に認めてもらえればいいかなと考えていた。  鑑定医の尋問が主尋問、反対尋問、裁判官の補充尋問も含めて終了し、証拠調べはこれで終了かと思われたところで、突然証人席の鑑定医がおずおずと手を上げ、「ちょっと宜しいでしょうか?」と言いだし、誰もが「?」という感じで、鑑定医の話を聞き出したところで、法廷の雰囲気が一気に変わってしまった。  鑑定医が語り出したのは、肺が綺麗なまま死亡した夫を解剖した際に、頸骨が骨折していたことが認められており、頸骨の骨折は、首を締めた事実が強く疑われることになるということであった。  知っておられている方は知っておられているが、保険金受領権も相続権も、被保険者を殺害した者は欠格者になる。つまり、仮に先に夫が死亡したとしても、夫の死亡によって発生した保険金受領権は、妻が夫を殺害したと認定されれば、夫を殺害した妻は受領権を持たず、また代襲相続もできず、そうすると、妻の子には保険金請求権は認められないという結果になるということになってしまう。  後になって思えば、捜査の段階で殺人事件として捜査するということもあったのであろうが、家屋は全て内側から施錠されていて第三者が立ち入った形跡はなく、被疑者となるのは家族しかなく、その被疑者も死亡しており、あえて関係者に見たくもない事実を突きつけるのも宜しくないと考え、事件として事を荒立てないようにしたのではないかと思われる。  それを、弁護士が介入して事件にしてかき回した上で、表に出さないまま抑えておこうとした事実を結果として当事者に突きつけてしまったということになったのであった。  裁判所からは、同時死亡を前提とした和解の勧試があり、双方持ち帰って検討してくださいということであった。前記のような事実が明らかになった以上、同時死亡を前提とした和解は、当方にとっては御の字といっていい和解勧試ではあった。  後になって考えれば、鑑定医が「夫の方が先に死亡していた」と証言していれば、その死亡原因は火災以外に求めるしかなくなるわけで、そうなれば、このような和解の余地もなかったのかもしれなかった。  重要な情報を見過ごしてしまっていた私には、非常に気の進まない仕事が待っていた。  尋問の結果を踏まえて、当日の証人尋問には来なかった依頼者に事情を説明して、和解の諾否を検討してもらうのが弁護士の仕事になる。  もともと、証人尋問の前までに出てきていたが客観的な証拠関係で言えば、微妙であるとはいえ、同時死亡を前提とした場合と夫が先に死亡したことを前提とした場合の間あたりで和解ができるのではないかという予測は伝えていた。それまでの説明によれば、依頼者にとっては、同時死亡を前提とした配分での和解は当初全面敗訴と考えられていたラインであり、それを証人尋問の場にいなかった依頼者に理解してもらうのは、なかなか容易なことではなさそうであった(証人尋問に来てもらっていても、直ちに何が明らかになったかすぐには分からなかったとも思われたが。)。  当然のことであるが、当初の想定で言えば一番望ましくない結果で和解しようというのであるから、依頼者からは「なぜ?」と問われるわけで、その結果を受け入れるためには、その結果を納得していただく必要がある。  しかしその納得を得るためには、「あなたの実の親が争っている相手の親であるその配偶者を殺害した可能性が高いといわざるを得ない状況が明らかになった。」ということを説明して理解してもらわなければならない。  前もって証人尋問の結果の概要は説明していたが、さすがになかなかこのような事実は受け入れがたいところであり、かなり時間をかけ、明らかになった証拠の意味を説明し、その結果からどのような事実が合理的に推測されるかを、言葉を選びながら理解してもらった。もちろん、直ちにその事実は受け入れがたいところでもあったのであろうが、どのような判決になるのか、その判決の中で事実としてどのような認定が述べられる可能性が高いのか、控訴審でそれと異なった結論を導き出す可能性がどの程度あるのかを説明させていただき、不承不承ではあったが、和解への納得はいただいた。  和解成立で決着がついた後、一番年かさであった保険会社の代理人は、半ば興奮しながら「長年保険会社の代理人をやってきていますが、こんなケース見たことは初めてですよ。」と語っていたが、それを聞いていた私自身は、ぼんやりと、砂を噛むというのは、このような状態を指すのだなと漠然と思っていた。 (弁護士・同志社大学大学院司法研究科客員教授)
ある失敗(法苑196号) | 記事 | 新日本法規WEBサイト
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artadorkable · 1 month
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an old tamagachi cake keycahin that gained a soul after a couple of years and is now causing trouble. likes fashion, pulling pranks on humans,video games,animals,fruit milkshakes,fish,lattes,burgers,glitter,travaling,and bagels.dislikes people telling her what to do,winter,serious people,liars,weaklings,losing,thunderstorms,boardgames,being bored, and alarms.her body is stuck with more than one soul because the keyachains she gained souls with merge with her and ended up stuck in her body. She suffers from having many diffrent personality's.she never sleeps and enjoys stealing from people.is the last member of Bluebird's group. she bonds with Duchess out of the whole group. "The Tsukumogami Emaki describes how an object would become occupied by a spirit after one hundred years, so people would throw out old objects before they became a hundred years old, which was called the "susu-harai" (煤払い).[clarification needed] By doing this, they prevented objects from becoming tsukumogami, but according to the captions of this emaki, it's written that ones that are "a year from one hundred," in other words, objects that are "tsukumo" (ninety-nine) years old would become angered and become a yōkai by some means other than the mere passage of time, and then cause a ruckus.["
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satoshiimamura · 1 month
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魔霧の城 第1章
(一)
 晩秋の早朝。湖畔には、朝霧が立ち込めていた。
 周囲には誰もいない。車も通らず、民家も見えない。静寂しかない。
 その中を、追内翔は一人で歩いている。
 橙色に染めた髪は傷み切っており、天然パーマな故に、手入れされてない頭髪なのは一目でわかる。日焼けした顔も、百八十近い長身も、服の上からでもわかる体格の良さも全て潰す、陰鬱な雰囲気。
 彼は全身が倦怠感に覆われ、目覚めたばかりの朦朧とした意識で、目的地まで歩いていく。
 追内が向かった先には、枯れ草と野草に埋もれる切り株があった。その切り株の根元は煤けていて、燃えた跡が残っている。
 追内は切り株を一瞥すると、外套のポケットから結婚式の招待状を取り出した。
 その留め具にあったのは、色褪せたリボン。元はもう少し濃い紫色だったが、時間経過とともに色が落ち始めて、随分と淡い色になっていた。
 リボンを取り、中を見ればとっくに過ぎ去った日付と、綾文れいと金剛司紀の名前が記されていた。
 追内は指先が出た手袋を取らず、招待状の名前の部分をなぞる。何度も、何度もなぞる。
 なぞっていた指先にピリリとした痛みが走った。手入れもされていない彼の指は荒れに荒れており、血が滲んでいる。
 だが、追内は痛みを無視してなぞり続ける。
 側から見れば不審な動きしかしていない彼は、しかし脳裏で大切な幼馴染たちの三年前の葬儀を思い出していた。
 葬儀場で啜り泣きながら、金剛と綾文の両親たちが互いを慰め合っていた。
『息子だけでなく、義娘になったばかりのれいちゃんまで』
『あの子、司紀くんとせっかく一緒になれたのに、こんなことに』
 突然の訃報に誰もが呆然とした表情で、二つの遺影を眺めている。追内もまた力抜けたまま、椅子に座って写真を眺めていた。
『例の爆発事件で、遺体の損壊が激しすぎたらしいわ』
『それで火葬された状態で返されたの?』
『最後に顔を見ることさえできないなんて』
『警察はなんて?』
『犯行グループを全力突き止めるってテレビでは盛んに報道しているけど』
『もう見るのも辛いわ。何度も何度も、あの現場が流れてくるの。他にも亡くなった人がいるのでしょう』
『地下鉄なんて、あんな人が多い場所で……逃げられなかった人はさぞや辛かったでだろうに』
 弔問客の囁き声が、この場に二つの棺がない理由として広がっていく。
 どうして、なぜ、二人がこんなことにと続く言葉に、一番同意したいのは追内だ。
 楽しみにしていた幼馴染たちの結婚式、それまでとっておけと言われた涙。その幸せな未来は、二人の葬儀と別れの涙で塗り替えられた。
 包帯が巻かれた手を顔にあてて、追内は嗚咽を漏らす。嗚咽ではなく、むしろ叫びたいほどだったが、未だ彼の喉は回復していない。
『追内』
 学生時代の先輩であり、友人でもあった稲里豊が、追内の肩を慰めるように叩く。
『……悲しいな』
 絞り出した稲里の言葉は短く、そこに大きな悲哀だけが込められていた。彼は追内の手を外し、包帯の上からさする。
 稲里の横には、能面のように感情を削ぎ落とした後輩の迂音一が立っていた。
『……先輩、僕も悲しいです。先輩よりも付き合いの短かった僕ですら、こんなに悲しいんです。きっと先輩は、もっと悲しいんですよね』
 でも、と迂音は追内に告げる。
『だからといって、先輩が自責の念で傷ついていい訳じゃないですよ』
 迂音が顔を追内に近づける。能面のようだと表現した彼の目尻は、泣き腫らした痕がくっきりと残っていた。
『先輩、追内先輩……お願いですから、あの二人の後を追わないでください。これ以上、僕たちを悲しませないでください』
 懇願する後輩の視線から逃れるように、追内は稲里を見る。だが、稲里もまた追内の治らない手のひらを見つめていた。
『……だって、俺のせいなんだ。俺が前を走っていたから、二人は後にいた。俺が後にいれば、あの二人は助かったんだ』
『追内!』
 稲里が声を初めて荒げた。周囲が何事かと追内たちを見る。
『俺だけが助かった! 俺だけが……俺だけ』
 堰を切ったように追内は心情を吐露する。鬱屈した思いがぶちまけられる。
『なんでだよ、どうしてだよ、なんであの日だったんだ、どうして俺だけが生き延びて、あの二人が死ぬんだよ。だって、あの日に結婚式の招待状をもらったんだ。俺泣いて喜んで、楽しみにしてた。なのに、どうして? なぁ、どうしてなんだよ! 俺、あの二人を助けようとしたんだ。必死に、何を犠牲にしてもよかった、なのに、なのにッ』
 支離滅裂な、起承転結すらもない、追内の掠れた声による叫び。
 稲里は何度も『わかる、ああ、お前の気持ちは痛いほど分かる』と返す。迂音は『先輩。追内先輩、落ち着いて。先輩の傷、まだ治ってないんです』と宥める。
 痛ましいものを見るように弔問客の視線が三人に向けられていた。
 綾文と金剛の両親たちもまた少し近づく仕草をしたが、却って追内の混乱が悪化した過去を思い出し、留まる。
 なんで、どうしてと嘆く追内の声は徐々に小さくなっていったが、終ぞ言葉がなくなることはなかった。
 葬儀が終わるまでずっと、追内は自分を責め続けていた。
 以来、追内は漫然とした人生を送っている。
 脳内の時間旅行から帰ってきた追内は、招待状から目を離し。今度は切り株に注目する。
 未だ彼から自責の念は消えず、思い出すだけで息切れをする始末。死ぬことは許さないの身内たちの言葉から、自らを傷つけることだけはやめられた。ただ何もかもから逃げたくて、三年ほど誰とも繋がらず、音信不通状態で過ごしている。
「……三年てあっという間だよなぁ。全然、忘れられねえよ」
 ぽつりと零した独り言が、追内の意識を縛る。忘れられないと呟く度に、何度も何度も彼の脳内に反芻される悲劇が劣化することはない。
 いつの間にか風が強くなっていた。
 霧が風で動いていく。湖の表面が波立つ。周囲が見えなくなっていく。
 それが爆発事件のあった日を思い起こした。
 爆発音が響き、逃げ惑う人々を飲み込むように、地下鉄の駅構内を煙が覆っていく光景を思い出す。
 追内は未だ思い出にできない過去に、背筋がそわりとしたのを感じ取った。
 吐き出す呼吸がか細くなっていく。
 しかし、自分の呼吸だけが聞こえるはずの場でシュー、シューと何かが漏れ出るような音が、近くでし始めた。
 ギギギと錆びた金属が擦れ合う音もする。
 悲劇に浸ったままのぼんやりとした意識で、追内は音のする方に振り向いた。
「……あ」
 思わず声が出る。
 そこにいたのは、追内よりも小柄な女性だった。
 真っ赤なドレスで人形のように着飾られた金髪の女性が、背後におぞましい異形を従えて立っていた。
 追内は一歩、後ずさる。
 濃霧で細部は見えないが、���形は人型のようだった。女性と似たような構造の衣服を身に纏っていたようだが、それでも手足は長く、アンバランスで、顔がベールで隠されているとはいえ目があると思われる場所が煌々と光っている。
 ヒュー、ヒューと霧を吐き出しながら、ギギギと腕や足を覆う錆びた金属を引っ掻きながら、異形は女性の背後にいた。
 だが、女性は追内を見つめ、続けてその背後にあった切り株を見つめる。異形には一切の関心を払っていない。
 そして唐突に喋り出した。
「器が燃えたにも関わらず、力はその織紐に移っていたのですね」
 通りでここへ来られたわけです、と続く言葉とともに、彼女の指が追内が持っていた招待状のリボンを差す。
 追内は「何が」と尋ねるが、それへの答えは返されない。
 逆に女性は、さらに意味のわからないお願い事を口にした。
「一つ、あなたに頼みたいのです。彼に魔霧の件はしかたがなかったと伝えてください」
「なに、え? まぎり?」
「魔霧です」
 そこで女性は初めて微笑んだ。それは慈愛にも満ちたものでありながらも、諦観の色が色濃く乗っている。
「どれだけ人々が魔霧を崇めたとしても、あれはただの現象にすぎない。彼がどれほど後悔しても、力があろうが、努力を積み重ねようが、結末は変えられなかったのです。だから、しかたなかったとお伝えください」
 努力を積み重ねようが結末は変えられなかったの言葉に、追内の脳内に幼馴染を助けようと瓦礫をどけようとした光景が蘇り、怒りを抱く。
 あれを無意味だと他人に言われたくはなかった。
「ふざけるな! どうして、どうしてそんな言葉を俺が」
「あなただから��そ、彼に共感できるからです」
 互いの背景など欠片も知らないと言うのに、追内は自分勝手な苛立ちを女性にぶつけようとする。だが、女性は追内を遮り、まるで彼の立場をよく知っているかのように語りかけた。
「あの魔霧立ち込める場で、あなただけが彼を理解できたのだから」
 再度、彼女は「あなただけ」と強調する。
 一歩、追内が問い詰めようと足を前に出した時、霧が動き始める。たった一メートル先さえも分からないほどの濃霧。女性の姿が霧に埋もれ始める。
「どうか、どうか魔霧の城の終焉を責めないで」
 追内は何歩か前に出る。だが、先ほどまでいたはずの女性の姿はどこにもなかった。そして、あの奇妙な異形の姿もなく、再度静寂が戻る。
「なんだったんだ」
 呆然とした追内は、視界が開けると同時に、思考もまた澄んだような気がした。
(二)
 初夏特有の燦々と降り注ぐ太陽光と、未だ湿り気を含んではいない風が、追内の頭を撫でていた。
 東京、新宿の東口の広場。人々が集まるこの場所は、昼休憩の時間帯のため弁当を持つ人が多かった。もしくは、これから食事に向かおうとする人々か。
 その中でボストンバッグ一つを足元に置いて、彼は電話を掛けている。
「と、いうわけでえ、火事で家が無くなった俺に愛の手を」
 電話口の相手、追内の先輩で友人でもある稲里豊は深々とため息を吐く。
『追内……お前、お祓い行った方がいいんじゃないか』
「正直、行きたい。行きたいけど、まずは寝床が欲しいです」
 切実なんですよ、と続く追内の心情に、稲里もそれはそうだなと納得する。
『一時避難で俺の家に転がり込むのは、まぁ問題ないが』
 そこまで答えて、稲里は歯切れ悪く確認する。
『不仲の元凶である俺が言うのもどうかと思うが……その、ご実家の方は頼らないのか?』
「……それは」
 両親、特に父親とは長年連絡を取り合っていない追内にとって、その選択肢はないに等しい。だが、続く稲里の言葉は意外なものであった。
『お前と親父さんの件は知っているが、それでもお袋さんはお前の味方だろ? ご両親とも、あの二人の三回忌のときに心配されてたぞ』
 彼が告げるあの二人と言えば、五年前に亡くなった共通の友人である金剛司紀と綾文れいのことだった。
 稲里が二人の三回忌に参加するの自体は意外でも何でもなかったのだが、追内の両親と話していたのは驚きである。
「え、豊さん参加してたの? うちの親も? え、何それ知らない、いつの話?」
 混乱のあまり、最後には訳のわからない問いかけをしたが、稲里は『あのな』と呆れ混じりで説明する。
『音信不通で連絡先すら知らせないでどこかに行ってたお前に、どうやって知らせろと』
「えーと、豊さん経由とか」
『俺にすら二年前まで、まともに連絡入れずにいたくせに?』
「うっ」
 二年前に突然戻った追内。
 そんな彼を稲里は、音信不通時代に何をしていたのか問い詰めることはせず、粛々と受け入れた。しかし時間経過と共に、徐々に踏み込んだ話題を出すようになってきている。
『……なあ、追内。お前さ、いい加減に墓参りくらい行けよ』
 それは表面上は元に戻りつつある追内が、未だ金剛と綾文の二人に関係するもの全て――墓参りも法事も思い出の場所への話題すらも――から背を向けているのを知っているからだった。
『五年前の爆発事件で、あの二人を目の前で亡くしたお前の悲しみは、理解できる』
 でもな、と稲里は慰めの言葉を紡ぐ。
『お前はあの二人の代わりに一人の子供を救ったんだ。お前と金剛と綾文の三人がいたからこそ、子供は救われた』
 記憶の中で追内は、自分が二人の前を走っていたからだと責めている。
 だがあの日、追内は傷ついた子供を背負い先行し、金剛と綾文の二人はその子を守るために後ろを走ったのだった。
 結果、先行していた追内とその背にいた子供だけは、地下鉄通路の崩落に巻き込まれず、無事であった。
『お前はあの二人のご両親に顔向けできないと嘆くが、子供の命を救ったお前が責められる謂われはないんだ。お前のご両親も、まだ自分を許せてないのかと心配されてたんだぞ』
 三人で一つの命を救おうとし、結果二人が犠牲となった。これは、単純な足し算でも引き算でもない話である。
「でも……でもさ、子供を助けるだけなら俺じゃなくても」
『追内!』
 稲里からの強い呼びかけで、それ以上何かを言おうとした追内は黙った。
 それでも追内翔は幼馴染たちの死を受け入れきれない。あの日、爆発事件が起きた後の、もしもの行動を夢想してしまうのだ。
 その夢物語に囚われて三年間もの間自責の念に苛まれていたと思われる追内に気づいているからこそ、稲里は彼の言葉を否定する。
『とりあえず、今は俺の家に避難でも構わない。でも、いつかは問題と向き合え、逃げるな』
 いいな、と念押しされた追内は、嫌々ながらも了承する。
 そのまま電話が切られようとしたが、本題を思い出した稲里によって待ち合わせ時刻と場所が確認された。
「……豊さん、昔よりお節介になってるなぁ」
 つい独り言が零れた。
 スマホをしまい、五月晴れの空を見つめる。日差しが強く、手で影を作った。
 次に追内はジャケットの内ポケットにいれたままの結婚式の招待状に、布の上から触れる。もはや持ち続けることが癖になったそれは、変わりなくあった。
「俺なんかに世話焼いてると、婚期逃しそうなのに」
 追内も稲里も互いにいい歳であるから、その辺りの話題くらいは出てきておかしくない。だがお付き合いについて、あるいは結婚の話題の一つも稲里からは出てこない。
 再会してから女性の影も見えないので、本当にいないのだろう。しかし、結婚式直前の幼馴染たちを亡くして傷心している追内のことを慮って、わざと教えていない可能性もあった。
「豊さんのパートナーか……ちょっと審査はさせてもらうかもしれないけど、基本俺は祝うからね、うん」
 金剛と綾文が結ばれた際は無条件で祝福した追内だが、基本身内贔屓だ。なんだかんだで懐いている先輩の稲里の結婚相手には、少し辛口意見を言ってしまうかもしれない。でも、幸せになってくれるなら嬉しいのも事実だった。
 その時、メッセージの着信を知らせるメロディがスマホから流れる。
 なんだろうと彼が確認すれば、もう一人いる長い付き合いの後輩である、迂音一からだった。
「豊さん、はじめちゃんまで巻き込まないでよ」
 メッセージに記されたのは、稲里の仕事終わりまで迂音の持つ店で時間潰しをしたらどうか、という誘い。
 昼休憩真っ最中、しかもこの後は夕方の開店までの仕込みの時間だと思われるが、後々のことを考えると追内にはありがたい提案だ。
 肯定と感謝のメッセージを送り、駅へと向かう。
 燦々と降り注ぐ太陽光から逃れるように、追内は地下へと潜っていた。
 目的のホームへ向かう道中、追内がそのポスターを見つけたのは偶然だった。
 何かのキャンペーン中なのか、連続したスマホゲームのポスターが並んでいる。
 主要キャラクターたちと思われる絵と、その背後にキャラたちを襲おうとするモンスターたち。キャラの服装や背景からすると、スチームパンクもののようだ。だが、歯車や金メッキ、ドレスや古臭いスーツを彩るアイテムの中に、魔法らしきものが見え隠れしている。
 どう言う世界観なのだろう、と人の流れから離れてまじまじとポスターを眺める追内。とりあえずゲームタイトルを確認しよと視線をズラしたところで、気づいた。
「……魔霧の城」
 ゲームのタイトルを追内は口にする。
 二年前に出会った謎の女性。
 その女性が最後に告げたのは「魔霧の城の終焉を責めないで」だった。
 追内の中で、彼女の告げた「まぎり」が「魔霧」へと変換される。
 鮮明に覚えている、あの不可思議な一時。二年も前の出来事だというのに、未だ色褪せない記憶。
 なぜなら女性が告げた「あなただけが共感できる」の言葉に、ほんの少しだけ彼が救われたからだった。
 稲里も迂音も、追内の悲しみを理解できると慰めた。確かにそうだろう。彼らもまた、大切な友人を同時に失ったのだから。
 だが、追内の仄暗い心の中で、否定が先走る。
 あの日、目の前で通路が崩れ、分断され、無情にも二人が目の前でいなくなった恐怖を、虚無を、焦りを早々に理解できるのかと疑念が浮かぶ。
 共感など誰もできないだろう。
 理解などできないに違いない。
 けれど、追内のその孤独を理解できる人間がどこかにいるのだと、彼女の言葉で慰められた。だからこそ追内は、友人たちの前に戻れたのだった。
「なんで、そんな馬鹿な」
 その追内の思い出の中にしかないはずの、魔霧というキーワードが目の前にある。
 口をぽかんと開けた彼は、目だけで周囲を観察した。
 追内以外の通行人はポスターには目もくれずに通り過ぎていく。時折、プレイヤーと思われる人が写真を撮るために足を止めてもいた。が、それも人の多いここでは少数だった。
 日常にしか見えない光景。
 だが、何かがおかしいと焦燥感を募らせる。
 そして、さらに彼を混乱に陥れるポスターを見つけた。
「あの時の……異形」
 謎の女性の背後にいた、奇妙な形をした何か。
 主人公と思われる少年が振り上げた剣の先に佇むそれは、巨大で、アンバランスな体型の人らしき何かだった。
 赤黒いドレスを纏い、煌々と光る目をベールで隠し、金属で覆われ��両手は優雅にスカートの裾をつまみ上げている。赤い薔薇を足元に這わせ、同じくアンバランスな騎士を従えた何か。
 そのポスターに書かれた煽り文句は他のものに比べてシンプルだった。
――魔霧の女王、魔霧に呑まれた旧都の支配者
 早鐘のように追内の心臓が鼓動を細かく刻む。
 ポスターに掲示された検索ワードですぐさまアプリをダウンロードし始めた。
 屋外であるために遅々としたペースでしか進まないダウンロードバー。
 確か迂音の店には無料WiーFiがあったはずだと思い出した追内は、足早にホームへと駆けた。
 時刻は午後二時手前。追内は、到着のアナウンスと目的地の案内を確認した。次に来るのが、思ったよりも早い。
 一旦アプリのダウンロードを止めて、落ち着くために音楽でも聴こうとワイヤレスイヤホンを耳に着けて、再生ボタンを押した。
 徐々に緊張が溶け、心音がゆっくりになっていく。
 直後やってきた電車の通過音がホームに響く。
 風が轟音となって耳に流れる音楽を打ち消す。
 アナウンスが、がちゃがちゃと何かを伝えようとしている。
 電車の扉が開いて、追内は人の流れに乗って足を踏み出した……つもりだった。
「は?」
 電車内に足を踏み入れたところで違和感に気付く。
 誰一人乗っていない車両、ホームにいる誰一人その顔を向けない電車、電気一つ点かない薄暗い車内。
 ただ、それ以外は普通の電車だった。釣り広告に違和感はなく、座席は誰もいないだけで古びている。ゆらゆらと揺れるつり革は、先程まで誰かが握っていたように、いくつかが大きく揺れている。
「やばっ」
 追内が間違えたかと思って慌てて降りようとしたとき、無情にも電車の扉が閉まる。
 一人閉じ込められた彼は、誰も視線が合わない外へと顔を向けた。
――ザザッ
 イヤホンからノイズが聞こえ始めた。
「待って、待ってくれよ。おい、何が……なんで」
 焦る追内は大きな独り言を口にし、扉を何度も叩くが開くことはない。しかも通り過ぎるホームにいる人々の誰一人として、彼を――否、電車を認識できないでいるようだった。
――ザザッ
――ザッ
――ザザザッ
 不規則で、神経を逆撫でするようなノイズが続く。
 それが余計に追内の不安を加速させた。
「おい、なんだよ。何が起きてんだよ」
 電車は進む、進む、進み続ける。
 揺れる、傾く、車輪の音が響く。
 そのまま地上を走るのかと思われた電車は、なぜか地下へと入っていった。もちろん、追内が乗ったのは地下鉄ではない。ありえない場所から、ゆっくりと地面に沈んだのだった。だが妙な揺れも、異音もなく、地下特有の騒音が車内に轟く。
 乗った時に薄暗かった車内は、暗闇に支配された。
 窓の外は何も見えない。ただ、次の行き先を告げる車内の画面だけが煌々と光る。
 記された文字は、裏東京の三文字。前後にある駅名は文字化けしている。
 そこで、ようやく追内はスマホの存在を思い出した。どこに、何を、どう伝えればいいのかわからない。だが、とにかく助けを呼ぼうとホーム画面を開いた。しかし、無情にも圏外の表記が目に入る。
 ネットでお馴染みの怪異かよ、と舌打ちをした彼は、しかし奇妙なことに気づいた。
 先程ダウンロードしを中断したはずのアプリ「魔霧の城」が、更新し始めているのだ。確かに圏外であるはずなのに、進むはずのない更新バーとその下の数値が確かに動いている。
 再び、追内の胸が痛み出した気がした。
『……そ…………では……織……』
 直後、追内のイヤホンから低い、掠れた男の声が聞こえた。
 音楽ではない。誰かが電話のように喋っているのだ。ぼそぼそと、受話器の向こうで喋っている。
 先程までのイヤホンから聴こえる断続的なノイズが少なくなり、声が明瞭になっていく。
『共鳴、共感、なるほど転移先は呼ばれた結果か』
 その声の主は、大変歳をとった男であると分かった。感情の昂りを感じるものの掠れがひどく、荒い息遣いと、今にも咳き込みそうな声の出し方。
『では、私は扉の向こうへ渡った全てを集めよう』
 聞き取れたのは強い決意だった。今にも笑いだしそうなほどの、激しい喜びがありありとわかるだけの、高らかな宣言だ。
 追内は恐怖のあまり、ワイヤレスイヤホンを外した。その直後、彼は微かな息遣いにようやく気づく。
 ぎこちなく、ゆっくりと、本当は何も見たくないと言わんばかりに嫌々と追内は首を回す。
 真っ暗な車内。
 次の停車駅を知らせる車内テレビだけが光源の車両の陰影は僅かだ。
 だが、電車はどこかの駅を通り過ぎる。
 結果、煌々とホームを照らす照明の光が車内に差し込まれたので、追内はそれの姿をはっきりと見ることになった。
「……あ」
 悲鳴とは違う、何の意味もない音が追内の口から出た。
 それはおそらく人だ。
 金色の糸で複雑な紋様が刺繍された紺色のローブに包まれた誰かが、隣の車両との接続部近くに立っている。
 フードを深く被っていることで顔は見えないが、追内よりも少し低い身長と、袖から見える皺だらけの手。
 周囲に靄が立ち込める。密室のはずの車内で、謎の人物と追内の足元が靄に沈んでいく。
「そうして魔霧の終わり、つまり魔霧の城に終焉を与えよう」
 先程までイヤホンから聞こえてきていた掠れた男の声が、目の前の人物から発せられた。
 その瞬間、再び車内は暗闇に包まれる。
 駅を通過し切ったらしい。
 追内の眼球は暗反応に追いつかず、けれど構うものかと彼は謎の人物がいるのとは真逆の方向へと走り出した。
 走る、ぶつかる、扉を開けて、再び走り出す。
 誰もいない、荒い呼吸音は一つのみ。
 電車が揺れて、体勢が崩れる、咄嗟にどこかに掴もうとして掴み損ね、転ぶ。肩を思い切り打ちつけて、冷たい床の感触が頬に伝わった。
「――ッ」
 それでも追内は諦めずに立ち上がり、車内を走ろうとする。
 一瞬だけ背後を気にして、けれど何も見つけられずに前を向き直す。
 一両、二両、三両と通り抜けたとき、急激に電車のスピードが落ちたことに気づいた。
 そして再び、横から煌々とした光が叩き込まれる。
――ここは裏東京、裏東京。魔霧が満ちています、お気をつけて。
 流暢なアナウンスが流れ、電車は止まり、扉が開かれる。そしコンサートなどで使われるスモークのような、重い霧が車内に流れ込んできた。
 冷気が足元を撫でる。甘い匂いが充満する。
 むせかえるほどの匂いと湿気、そして喉を刺激する冷気に、追内は数秒だけ躊躇うも、その足をホームへと向けた。
――ご利用ありがとうございました。またのご利用ができますことをお祈りいたします。
 彼が降りたと同時に電車の扉が閉められる。
 そして不吉なアナウンスとともに、電車は去っていった。
 追内は周囲を見回す。
 等間隔で並ぶ柱、遠くに見える階段。
 誰もいないが、たびたび追内も訪れた東京駅の地下ホームによく似ている。似ているが違う。その決定的な違いは霧と奇妙な蔦だ。
 ホーム全体の床を覆い、膝下まで立ち込める霧。それらに隠れていたが柱や看板に何らかの蔦が絡み、毒々しい紫の葉が生い茂り、禍々しいほどの赤色の花が咲いていた。
「……なんなんだよ、これ。夢にしちゃ」
 リアルすぎる、と呟こうとした彼に「逃げて!」と女性の鋭い声が届く。
 直後、彼は誰かに抱えられて宙を舞った。
(三)
 追内の眼下に見えるのは、蔦が絡まる駅の備品たちと霧に覆われた駅のホーム。
 彼の腰を強く抱え込み、高く飛び上がった人物の顔は残念ながら見えない。
 霧が追内の視界の中心でうねり、その中から歪んだ剣先が追内に向かって競り上がった。
 ゆっくりと動いているように錯覚するが、それは彼が現状を理解できないからだ。
 剣先から、剣の刀身、そして柄と姿を表しながらも、その剣を持つ人物が現れてくる。
 それは全身を鎧に覆われた騎士だった。ぼろぼろになった臙脂色のマントを翻した騎士。���元を真紅の薔薇に寄生された、鈍色に光を反射させる鎧を纏った騎士。
 その姿は、あの魔霧の女王が率いていた騎士とよく似ていた。まるで絵から出てきたように、そっくりであった。
「……ッ」
 声が出る暇などなかった。
 剣を向けた騎士は、追内を追いかけて跳躍する。瞬きをする暇もなく、騎士が追内の目の前にくる。霧を蹴散らし、空気を切り裂き、重厚な鎧が一瞬で彼の前に踊り出た。
 だが、光の線が追内と騎士の間を通り抜ける。
 光の線は紐のように曲がり、剣に巻きついた。その直後、騎士はより上昇し、追内たちは降下していったのだが、離れてようやく何が起きたのか分かる。あの光の紐を巻きつけた剣を起点にして、追内を抱えた誰かが騎士を投げ離したのだ。
 騎士は勢いよく天井へとぶつかり、結果衝撃で空間全体が揺れた。
 勢いよく地面へと着陸した誰か。そのまま支えられていた腰を手放された追内は、べちゃりと床に落ちる。
 無様にも口の中に土煙が入ってしまった追内は、げほげほと吐き出しながら、彼を助けてくれた人物をようやく見た。
 そこに立っていたのは、美しく凛々しい異国の女性だった。
 真っ白な髪と真っ白な肌。細められた目は天井へと向けられており、口元は革製のマスクで覆われている。
 あの騎士ほどではないが胸部や腕、脛には金属製の防具で覆われていた。
 そして特徴的であったのは、手に持つ奇妙な模様の装飾がされた棒。片方からは例の光の紐が出ており、もう片方からは周囲の霧を吸い込む穴がある。パッと見る限りは鞭を彷彿とさせた。
「……えっと?」
 呆然としたまま、追内は異国の女性を見つめる。だが、女性は追内ではなく、ひたすらに天井を、あの騎士がいるはずの場所を険しい表情で睨みつけていた。
「大丈夫?」
 異国の女性ではない、少し甲高い少女の声が追内に掛けられる。
 いつの間にか彼の背後に、少女が立っていた。
 少女は追内に手を差し出す。疑いもなく彼は少女の手を取った。
 追内の身長からするとだいぶ下に見える、染めていないこげ茶の髪と、同じ色合いの目の彼女の顔つきは幼い。彼には少女が高校生くらいに見えた。
 その少女は、追内の目を真っ直ぐに見つめて、とんでもないことを喋り始める。
「あなたがヴァポレから派遣された応援ね。あたしは福来鈴花。あの子は、あたしの召喚キャラのフー」
「は?」
「手短に説明するわ。先日のレイド戦で打ち破った星見の賢者の空間で、女王たちの居場所に繋がる手がかりがないか調査してたの。だけど、なぜか女王の薔薇騎士がやってきて……知っての通り、あいつは魔霧の女王の最高戦力よ。今は撤退の隙を作って欲しいの」
 つらつらと告げられた内容は、追内には意味がわからない。
「星見の……賢者? 魔霧の女王て、あのポスターにあった」
 かろうじて知っている単語を口にすれば、少女――福来は怪訝な表情を浮かべた。
「何当たり前のこと言ってるのよ。時間がないわ。あなたの召喚戦士を早く出してちょうだい」
 さらに意味のわからない単語が出てくる。
「何のことだよ、つーか、魔霧の城のゲーム世界が……本当にあるのか?」
 追内の言動にようやく、福来は異常だと気づいたようだった。
 血の気が引いたように、少女の顔色が悪くなる。そのまま一、二歩後ずさった。
 福来の視線が追内から逸らされ、左右へと忙しなく動く。
「待って、どうやってあなたここに来たの? ここはヴァポレの通行証がないと入れない筈なのに」
 震える指先で掴んだ少女の手にあったのは、手のひらサイズのガラス玉に霧がこめられたものである。
 もちろん、追内に見覚えのあるものではなかった。
「し、知らない」
 慌てて追内は首を横に振る。そのまま、言葉がつっかえながらも、今に至る説明をした。
「普通に電車に乗ったら、えっと訳のわからないやつしか乗ってなくて、そいつから逃げるために降りたら、ここだったんだ」
 しどろもどろの、整合性もない説明だった。が、福来は一部が気になったようだった。
「訳のわからないやつ?」
「年寄りだった。それで」
 説明の途中でぱらりと、上から土塊が落ちてきた。
 はっとした福来が、フーと呼んだ異国の女性に顔を向ける。その直後、あの騎士が三人の上から勢いよく落ちてきた。
 今度は追内も自力で避けた。つもりだったが、少女と彼の頭上には光の紐で編み込まれたネットが貼られ、騎士の攻撃が阻められている。
「マスター! ご無事ですか」
 異国の女性――フーはぎりぎりと手に持つ棒を構え、騎士を睨みつけながらも福来の無事を確認する。
「大丈夫! あとごめん、この人ヴァポレの応援じゃなかったわ」
「では敵ですか?」
 女性の問いかけに、福来は一瞬追内を見て、再度フーへ向け直す。
「たぶん違う。巻き込まれただけの一般人よ」
 キリッとした眼差しで言い返す少女に、何か言いたいことがあるような顔をフーはした。が、目の前にいる敵のせいで余裕がないのだろう。
 ぶちぶちぶちと騎士によって光のネットが切られていく。
「マスター! ご指示を」
 フーの呼びかけに福来がスマホを構える。
 少女がスマホ画面の何かを押したところ、フーの周囲の霧が蠢き出した。
 霧は女性の周囲を取り囲み、狼の形の装甲となった。
 より巨大になったフーの鞭が唸る。先程までとは比べ物にならない威力と速さで、騎士の胴体を叩きつけた。
 次いでフーはその場から飛び出し、騎士へと追撃を放とうとする。だが、見切ったと言わんばかりに、騎士もまた素早く回避した。
 第二撃、第三撃は掠るばかりで、最初の攻撃ほどはダメージが与えられていないようだ。
「スキルを使ったけど、やっぱり決め手にはならない。薔薇騎士相手じゃ、フーの攻撃力だと僅かなダメージしか入らない」
 福来のスマホ画面に表示されていたのは、フーのステータスと、敵対する騎士の推測ステータス。
 彼女には相当な焦りがあるのだろう。冷や汗が流れ、顔色が悪い。
 ブツブツと独り言をこぼし、必死になって考えているのが見てとれた。
「このままじゃ、らちがあかない」
 そして福来は覚悟を決めたように、大声を出した。
「一か八かだけど、通行証を割るわ!」
 その宣言の意味は、追内には分からない。だが、フーには通じたようだった。
「しかし、それではマスターの御身が!」
 騎士を相手にするには、明らかな隙であった。それだけ動揺したのか、フーは騎士が繰り出す剣を避け損ね、脇腹にあった装甲を破壊される。
「ぎりぎりで耐えられるかもしれないでしょ。魔霧への耐性はある方よ。異形化しないかもしれない」
 もう隙を作るにはこれしかないの、と悲壮感まで背負った少女の様子に、追内はようやく口を挟んだ。
「異形化って、もしかして、あんな風になっちまうってことか?」
 追内が指さした先にいたのは薔薇騎士。明らかに胸元が薔薇に寄生された異形だった。
「なるかもしれないし、ならないかもしれない。賭けよ」
「待ってくれ、何か。何か他に手はないのか?」
 追内の中で五年前の出来事がフラッシュバックする。
 あれとは状況が違うが、目の前で人が死ぬかもしれないこの状態が、すでに彼は恐怖でしかなかった。
 追内の過去など知らない福来は、簡単に言い返す。
「あなたが助かるなら、それもいいわ。あなたも、ここに来られるからには召喚の資質があるのだろうけど、今戦力を持ってるのはあたしだけなの」
 だから、と続く少女の言葉を追内は無理矢理遮った。
「素質があるなら、俺がキャラクターを召喚する。ちょっと時間がかかるかもしれないけど」
「でも、この場を変えられるキャラが出るとは限らないでしょ」
 微かな希望を打ち砕くような福来の指摘に、追内はグッと息を詰まらせる。だが、戦闘の合間を縫ってフーが彼を後押しした。
「ですが、一度はやってみる価値があります。僅かとは言え、可能性を試してみるべきです」
「……わかった」
 渋々と頷いた福来に、追内はパッと笑みを浮かべる。そして彼はスマホを取りだした。
「じゃあ、召喚方法教えてくれない?」
 追内の質問に、福来は呆れた表情を浮かべるも親切に説明する。
「ゲームを起動して、オープニングが終われば最初の召喚画面よ。どうせ、あなたもここに来られたなら自動で召喚できるわ」
 追内のスマホにはいつの間にダウンロードとアップデートが完了したのかわからないゲーム「魔霧の城」のアイコンが鎮座している。
 タップし、ゲームを起動した。
 スマホの画面に文字が浮かび上がる。
 そしてマイクが起動したのが分かった。
 恐る恐る追内は画面に記された文章を読み上げる。
「集え魔霧に屠られし英雄 集え魔霧を憎みし英雄
 理不尽に対抗せよ 女王に叛逆せよ 英雄のなり損ないたち」
 その言葉に応じて、ゆっくりと霧が渦巻き、扉の形となっていく。
 扉の出現に騎士は動きを止め、剣を構えより警戒を顕にした。あまりにも隙がなさすぎて、フーもまた動きを止めざるを得ない。
 徐々に扉は実物となり、やがてゆっくりと開いていく。
 扉の向こうに誰かが立っていたが、その奥行きは全く分からない。
 暗闇だけが広がる場所で、誰かが一歩その足を動かした。
 カツンと床が鳴る。
 誰かがその音を聞いた直後に、リズミカルに、楽しそうに駆け出す。
 そして足音とは違う、何かを床に叩くような音も同時にした。
「その名を告げよ」
 最後の一文を読み上げた追内は、扉から現れた男をまじまじと見た。
 そこに立っていたのは、追内よりも若かった。
 日に焼けていない真っ白な肌。薄い唇、整った顔立ち。黒髪は長く後ろに結いでいて、顔に納められた切れ目の紫色はキラキラと輝いている。
 複雑な細工がなされた杖と、一目で高級品だとわかる織物で作られた衣服。
 立ち振る舞いは、年齢にそぐわないほどに堂々としており、いつだったかプレイしたゲームでみたような、高慢な貴族に見えた。
 男は周囲と自分の体を眺め、その次に追内を認識する。
「なるほど、お前が私の主か。なんとも間抜けな顔だ」
 男は堂々と追内を貶す。
 あまりにも滑らかに侮辱されたために、一瞬追内は何を言われたのか分からなかった。
 言い返す間もなく、今度は福来と、フーを男は認識する。特にフーをまじまじと、不躾に見た後に、彼は鼻先で彼女を笑った。
「銀狼の一族か。その装備と見目、王都派遣されたツェツェリの血族だな」
「……なぜ我が血族の装備を知っている」
 人を見下す男の態度に不快感と不信感を隠さないフー。だが、その感情すらどうでもよさそうな雰囲気で、男は理由を述べた。
「北の辺境まで詳細な噂は届いていたさ。面倒かつ意味のない政争に巻き込まれたと思ったがね」
 その説明に、フーは目を見開く。
「北の辺境……その紫の目となると、まさか貴殿は⁉︎」
 男の正体に気づいたフーは、真実を受け入れきれなかったのか。自らを落ち着かせるように、喉元を摩った。
 そして、遂に薔薇騎士に気づいた男は、ニンマリと笑う。
 うずうずと身体を揺らし、浮き足立ったように一歩一歩と距離を詰めた。
「久しいな、薔薇騎士! ああ、本当に久しぶりだ。こんな、こんな地獄のような魔霧に満ちた場所で出会えるなど、神に感謝してやってもいい!」
 傲慢な口調で、興奮を隠さないほどに早口に告げる。
 だが、騎士は手に持つ剣を男へ向けた。
 それが気に入らなかったのか。男は先程までの笑みをすぐさま消し、今度は無表情で杖を床に何度も叩きつける。
「なぜ剣を私に向ける? ああ、私のことを覚えていないのか。そんな鳥頭に誰がした」
 スッと彼の紫の目が細められ、騎士の胸元に寄生している薔薇に向けられた。
「なるほど、理性をなくす狂火の文様か。なんとまぁ、無粋な魔術を受けているんだか……女王陛下の薔薇騎士が聞いて呆れる」
 これではただの犬ではないか、とうんざりとした口調で男は告げた。その瞬間、侮蔑を感じ取った騎士が攻撃を仕掛ける。
 パチンと男は指を鳴らした。
 その直後に彼の背後の霧から、いくつもの長銃が列を成して現れる。
「放て!」
 男の号令に合わせていくつもの銃弾の雨が降り注いだ。
 騎士の立っていた場所の床が細かく砕けていく。
 霧だけではない土煙が周囲を覆う。
 ばちばちばちと響く振動と衝撃に、フーだけではなく、離れた場所にいたはずの福来や追内ですら耳を塞いだ。
 前列が放ち終わり、一糸乱れぬ動きで、次の小銃から弾丸が放たれる。
 一度、二度、三度、四度……と繰り返すこと十回の破裂音が響いたところで、男は手を挙げた。
 土煙が晴れた後でも、騎士は立っていた。だが、胸元にあった赤薔薇の花弁は砕け散り、その胸部は露出している。
 そこには黒と赤の薔薇を模した紋様が記されていた。
「狂火の文様は、女王陛下に賜ったものか。くだらん執着を捨てればよかったものを」
 男の変わらない温度に、騎士は怒りを顕にする。
――AAAAAAAAAAAAAAA
 雄叫びとともに騎士が剣を構え、振るう。
 先程までフーが相手にしていた速さとは桁違いになっている。
 それを男は杖を一度ついて地面から鎖を生やし、呆気なく止めた。
「この駄犬め。かつての主に二度も剣を向けるとは、躾がなってないな」
 傲慢とも言えそうな言葉遣いではあったが、男は圧倒的な力を持ってしてこの場に立っていた。
 先程までの絶体絶命のピンチから大逆転していることに、福来は信じられないようなものを見ている。
 対し追内は、自身のスマホ画面に出ている召喚したキャラクターのステータス画面を凝視していた。そこに記されていたのは、補助系スキルの説明。つまり、これだけの攻撃力を持ちながらも、この男の本領発揮は全く別の部分なのだ。
 ���くりと追内は唾を飲み込む。
 震える指で、スマホ画面に映し出されるスキル使用のボタンをタップした。
 パキンと何かが割れた。
 いや、違う。追内の背後で、霧からさまざまな金属の板が生み出され、複雑に重なり合い、奇妙な形の鎧となっていったのだ。
「――ヒッ」
 追内の側にいた福来が怯えとともに後ずさる。フーが騎士から離れ、追内と少女の間に立った。
「おや、それを使うのか」
 騎士を固定したまま、男は追内を見つめる。男の表情に浮かぶ感情は喜色へと変化しており、再び機嫌が直ったようだった。
「なるほど、思っていた以上に魔霧への耐性が高いようだな。これは幸運だ、ありがたい」
 パチンと金属の留め具が嵌められた音がした。
 スマホを持ったまま、追内が自分の足元を見ると、金属の拘束具が足に取り付けられていた。
 それを認識したが故に「あ?」と間抜けな声が追内の口から出る。
「大丈夫だ、主。これは散々、目の前にいるあの薔薇騎士で試したものだから、改良はしっかりしているさ。さぁ次は腕、そして顔だ」
 続く台詞に、握られていたスマホを男に取られ、拘束具が足につけられる。
 続けて、口元にも何かが取り付けられた。
 ガチガチに拘束されて、身動きができないままに視線が上がる。
 奇妙な器具が取り付けられた追内の姿は、一見すると蜘蛛と蟷螂が足されたキメラのようなものだった。
 腰から下は八本の金属の足が取り付けられており、重心を取るためか本来の彼の足が固定されて腹の位置にある。
 上半身は前屈みになっており、両手は巨大な鎌が取り付けられていた。
 そして顔につけられたのはペストマスクのような何か。
 ガラスのレンズがきらりと光り、その奥で本来の黒からエメラルドグリーンに染まってしまった追内の目が、覗いている。
 蜘蛛のような足のうち一本が動いた。
 関節部から蒸気のように霧が溢れ出る。
 追内が呼吸をするたびに、ペストマスクの嘴のような場所から白い煙が上っていた。
「思うがままに暴れてみるんだ、主。何も考えず、屠ればいい。魔霧の意思のままに、聞こえるままに」
 男の行けという言葉に従うかのように――マスターであるはずの追内を下僕のように操り、鎖で固定されていた女王の薔薇騎士へとけし掛ける。
 その直後に騎士を拘束していた鎖は解かれ、薔薇騎士の抱いた剣が真横に振られた。
 鼓膜を切り裂くような、不快な金属音がギギギと響く。
 フーと福来は、耳を塞いだ。
 だが、男は不快な表情すら浮かべずに、二体の戦いを眺める。
 薔薇騎士の剣が、追内の鎌とぶつかりあった。
 だが二本足である薔薇騎士は、八本の金属の足を持つ追内に比べればそのバランスが崩れやすい。
 戦闘慣れしているからこそ、力比べには持ち込まなかった。
 騎士は早々にその態勢を整えるために後退する。
 それを許そうとはせずに、力一杯、追内はつけられた足で地面を踏みしめた。
 石畳が砕け、破片が周囲に飛び散る。
 その圧は風となって霧を動かした。が、それでも薔薇騎士のマントの一部が地面に縫い留められるだけに終わる。
 対し薔薇騎士はこれまでの力任せの動きではなく、明確に一対一の、暴れるだけの戦闘から流れるような美しい剣技へと動きを変える。
 結果、あっさりと騎士はマントを切り裂いて脱出した。
 まだ余力があるのかと、内心で追内は舌打ちをする。もちろんその動きに素人の彼が追いつけるわけもない。
 足と腕を使っての防御一辺倒へと追い込まれる。
 騎士の剣は奇妙な鎧を貫くことはできなかったが、それでも手足の痺れを追内にもたらした。
 踏み込まれ、鎧の隙間から胸を貫かれそうになる追内。
 その動きを待っていたかのように、地面から生えた鎖が両者を固定した。
 追内も薔薇騎士も、突然の出来事に驚きが隠せない。
 戦闘を眺めることしかできなかった福来とフーもまた、呆然としたまま棒立ちしている。
「ご苦労、主」
 その中で、パチパチパチとやる気のない、ゆっくりとした拍手をしながらも、男は追内と騎士の側にやってきた。
「この駄犬の攻守は優れてすぎていた。私でさえ、先程の拘束でも近づけば切られただろう」
 カツカツと靴底で鳴らし、両者の間に立つ男。言動からするとどうも、この状況を狙っていたらしい。
 離している間に彼の手に握る杖が光り輝く。
「さて、その狂火の文様を失えば、少しは話が分かる犬になるだろう。さっさと目を覚ませ、ニール・ホルスター」
 ガンッと力一杯、杖が女王の薔薇騎士――ニール・ホルスターと呼ばれた異形の胸元にぶつけられる。
 バチバチと男の持つ杖と、文様の間に火花が散った。
――AAAAAAAAAAAAAAA
 騎士が叫ぶ。だが男は手加減することなく、火花を散らし続ける。やがて鎧に描かれていた黒と赤の薔薇の紋様が消え去った。
――AAAAAあああああああああああぁぁ。
 徐々に悲鳴の声が化け物じみた、人間とは到底思えないものから、確かに人間の声帯から発せられたものに変化していく。
――ああああぁぁぁぁ……あいつら、あいつらは許さない、許せない。
 そして叫びはやがて言葉となり、意味を込められ、最終的に呪詛となる。
「許してやるものか、魔術師ども!」
 頭を振った騎士、その鎧の頭部が砕ける。
 そこから現れたのは淡い金髪をポニーテールにした、青白い肌の男だった。だが、その顔の至る所に薔薇の根が蔓延り、葉と蕾が這っている。
 死人のように白い肌とは対照的にエメラルドグリーンの目だけが、爛々と生気を主張していた。
「なぜだ、なぜ貴様が魔術師どもの味方をする!」
 騎士の理性がようやく男の存在を認識した。
 すぐ側ににいる追内へは目を向けず、彼らを拘束し続ける謎の男に向かって呪詛を吐く。
「女王陛下への忠義はどうした、魔霧の辺境伯!」
 ようやく男の正体が分かった。
 しかし魔霧の辺境伯と呼ばれた男は、ニンマリと笑いながら躊躇なくその手に収めた杖でニールの顔を殴る。
 あまりの勢いに、目の前で見ていた追内はビクリと震える。
「おやおや、久しぶりに会ったというのに随分な態度だ。偉くなったものだな、ニール」
 殴られて呆然とした騎士は、未だ現状���飲み込めていない。
 遠くにいる女性二人も同様だ。
 だが、近くで全てを見ていた追内だけは、形だけでも口元を歪めていた男の目が、少しも笑っていなかったことに気づいたのだった。
 なおも男――魔霧の辺境伯は、薔薇の騎士――ニールの顔を殴り続ける。
「女王陛下を守る近衛騎士ともあろう者が、異形化とは笑えない。お前を推薦した私の立場もない。実に愚かだ」
「わ、私は」
 殴られ続けながらも、うわ言のように何かを言おうとしたニール。だが、魔霧の辺境伯は聞こうとはしない。
「言い訳などいらない。そんなものは何の意味もない」
 さらに殴り続ける男に、追内は躊躇いながらも「お、おい」と声を掛ける。
「何かね……この駄犬への躾を止めるほどの価値がある内容か?」
「その辺で終われよ。そんなに殴ってたら、死んじまう」
「死ぬ? 構わんだろう。これは女王陛下を守れなかった愚か者だ」
 あっさりと言い放った内容に、追内は食ってかかる。
「あんた、人の命をなんだと思ってんだ!」
 未だニールと同じく鎖で押さえつけられたままだが、それでも追内は持てる力で動き出そうと試みた。
 ギリギリと拘束していた鎖が引っ張られ、歪み始める。
 その様子を見た魔霧の辺境伯は、やれやれと肩を竦め、ぱちんと指を鳴らした。途端に、追内が身につけていた奇妙な鎧が霧となって消える。ついでに彼を拘束していた鎖もまた消え失せた。
 おわっと叫びながら、再び床に倒れた追内の上に、男はスマホを投げつけた。
「勘違いするな、主。これはもう人ではない。異形になっても理性を保てたのは賞賛するが、それが仇となったのだろう。憐れんだ女王陛下は、苦しまないようにこれに狂火の文様を授けた」
 慈悲を掛けるのなら殺すべきだったがな、と続く魔霧の辺境伯の言葉。彼の視線の先には、未だ呆然としていたニールがいる。
「じゃあ、なんで文様を消したんだ! 生かすつもりがないのなら、わざわざ消すことはなかったじゃないか」
 起き上がった追内の噛み付きに、男は目を少しだけ泳がした。
 しかしガチリと奥歯が鳴らされると、短くはっきりとした言い方で返す。
「自覚だ、罪の自覚」
 先程までのどこか飄々とした物言いではない。喜怒どころではない激情を内に秘めながらも、必死にそれを隠した声色。
「王都を守れなかった、女王陛下を守れなかった、馬鹿な男に罪を自覚させるためだ!」
 魔霧の辺境伯は、持っていた杖をさらに強く握り込んだ。そして高く腕を持ち上げる。
 未だ鎖で拘束されたままのニールは、ゆっくりと辺境伯へとその視線を向け直した。
 追内は再び男が手をあげようとしたのを止めようと動き出す。
 その直後、美しい歌唱が駅のホームに響いた。
 歌が聴こえた瞬間に、魔霧の辺境伯の動きが止まり、ニールの目に光が戻ったのを追内は見ていた。
「……へいか……陛下、女王陛下!」
 徐々に力強く言葉を発するニールは、力強く拘束している鎖を引きずり壊す。
 魔霧の辺境伯もまた、ニールの変化に気づいたのか。追内を連れて福来たちの元に撤退する。
「な、なに? 何が起きているの?」
 混乱する福良に、フーが緊張した面持ちで告げた。
「これは魔霧の女王の歌でしょう。あの方が薔薇騎士を呼んでいるのです」
「ラスボス登場ってこと?」
「……登場だけで終わってくれれば良いのですが」
 ちらりとフーは魔霧の辺境伯に視線を向ける。
 男はその紫の目をニールに向けたままだ。過度な緊張もしていなければ、呼吸が荒くもなっていない。
 彼は先程まで見えた激情を綺麗に隠し、胡乱な雰囲気を纏ったまま、自らが生み出した鎖が薔薇騎士に粉々にされていくのを眺めていた。
「陛下、今戻ります。ああ、悲しまないでください。苦しまないでください。いつだって、あなたの騎士は側におります」
 うっとりとしたニールは、自由になった両手両足を広げる。青白い肌が少しだけ色づいたようにも見えた。
「あなたの敵を、あなたの憂いを、あなたの悲しみをきっと無くしてみせます。ですが、ああ、ですが、今だけはあれらを置いて、あなたの側に戻りましょう」
 自らを抱きしめる薔薇騎士の姿が変わっていく。
「――ッ」
「――ヒ」
 福来と、それまで黙っていた追内は、その変化に息を呑む。
 騎士ニールの足から、薔薇の蔦が絡まり蜘蛛の足のように生えた。
 それは先程まで追内は身につけた金属の足と似たような形だった。が、追内のが取り付けられたものだったの対し、騎士の足元から寄生した薔薇が生えてくる光景は、グロテスクとしか言いようがない。
 そのまま薔薇騎士は四人を振り返ることなく、跳躍する。
 まさに蜘蛛と同じ動きだった。軽やかに、けれど簡単に土へ足をめり込ませながら、天井や壁を伝いどこかへ消える。
 薔薇騎士の姿が消えると、歌唱が遠のいていく。
 細く、美しい旋律を奏でた女性の声も聴こえなくなった頃、ようやく福来は終わったのだと思えた。
「マスター!」
 安堵のあまり、足から力が抜けたのか。しゃがみこんだ福来に焦ったフーが、彼女を抱え込んだ。
「大丈夫か? どこか怪我したとかないか?」
 追内も心配して、彼女の体をざっとではあるが観察する。見ている限りでは、擦り傷はあっても大きな怪我はなさそうだった。
「……大丈夫。あと、ありがと」
「何が?」
「一発逆転のキャラ召喚。ファインプレーだったわ」
「……ああ」
 そのことか、と追内は内心で思った。彼自身は、偶然でしかなく大した活躍とは思っていなかったのだが、福来は違ったらしい。
「単体で薔薇騎士に対抗できるとか、壊れ性能すぎるわよ。しかも召喚主への強化もできるなんて……でも、これで薔薇騎士攻略が楽になるわ」
 やったわね、と笑いながら告げる福来。だが、彼女のキャラであるフーは浮かない顔をする。
「マスター、油断しないでください」
「フー」
「確かに彼の戦力は魅力的です。ですが、あの魔霧の辺境伯という人物は魔霧研究の第一人者。翡翠の魔術師と並ぶ、いえ、あの魔術師よりも遥かに危険な研究者です」
「翡翠の魔術師って、鷹崎さんのことよね? あの人確か、王国の中でも魔霧研究の専門家だったって」
 つらつらと紡がれる女性二人の会話。
 その内容についていけない追内は、自らが召喚したキャラを改めて見た。
 魔霧の辺境伯と呼ばれた男は、三人の様子を気にするそぶりもなく、あの騎士が消えていった方向を眺めている。
 何か声をかけようと思った追内だが、どう声をかけていいのかも分からない。
 いや、そもそも彼の名前さえ知らないことに今更気づいた。召喚のときにも、スキル使用のときですら、スマホの画面に彼の名前は書かれていなかった気がする。
「あー、えっと、その」
 適当すぎる呼びかけをしながらも、追内は男の背後に近寄った。すると彼は振り向いて、主と呼ぶ。
「私に何の用だ?」
「その、あんたの名前って」
 ああ、と納得したような声が男から発せられた。
 男は身なりを軽く整えると、カツンと杖を床につける。改めて、その名前を告げようとしたのだが、ピクリと男の眉が顰められた。
 ホーム内で電車到着のメロディが鳴り響く。
 線路をガタガタと鳴らし、風で霧を吹き飛ばしながらも、四人の前に電車が到着した。
 ドアから複数人が武装して出てくる。だが、その最前線にいたのは、非武装の若い男だった。彼だけは木製の、宝石のような装飾をつけた杖を手にしている。
 武装した面々は福来とフーへと歩みを進め、若い男は丸メガネの位置をかちゃりと直しながらも、追内たちの方へ近づく。
 だが若い男は追内を通り過ぎ、魔霧の辺境伯と呼ばれた人物と相対する。
 髪の根本は白髪で、毛先は黒い。若いと評したが、もしかしたら歳はもっと上なのかもしれない。だが、肌艶の良さは若者のそれだった。
「……召喚されたのは貴公でしたか」
 丁寧な言葉使いではあるが、冷え冷えとした雰囲気をもっていた。その態度を当然と受け止めた魔霧の辺境伯は、せせら笑って挨拶をした。
「久しいな、翡翠の魔術師」
 辺境伯は片手を顎に置き、わざとらしく若い男を上から下まで眺める。
 上下ともにモノトーン調のシャツとズボン。羽織っている春物コートの前は開けられており、全体的にゆったりとした服装なのが見て取れる。
 辺境伯は現代服の男へ、嫌味を隠さずに問いかけた。
「ところで、そのふざけた姿はなんだ?」
 若い男は手に持つ杖を魔霧の辺境伯に向けて、言い返した。
「これが、この世界の服装なのですよ、デューリュ・ソン・ハルバッハ卿」
 辺境伯と魔術師の両者ともに、一触即発の空気を醸し出す。
 その様子に、名前が分かったのはいいが、また面倒な事態になったのだと追内は悟った。
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kotohiranomiya · 10 months
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今朝の煤払のあと、お昼から「御年木伐神事」を斎行いたしました。「年木」とは、年末に切り出しておく新春用の薪のことで、「節木」とも言います。 毎朝夕、神さまのご飯を炊く御炊舎の薪は、すべて境内の木を用いています。
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itocaci · 10 months
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online shop ”大雪” 〜 整う服
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こんばんは。
さて気がつくと暦はまた一つ進み、今日から”大雪”を迎えた。
平地でも雪が降り始めるとされる頃になる。
さて、街を歩くとイルミネーションに彩られ、あちこちでクリスマスツリーも飾られている。
もはやコンビニでもスーパーでもどこに行ってもクリスマス一色だ。
そして、そんなクリスマスが終わるとあっという間に年越しを迎える。
年末年始のあの慌ただしい雰囲気。
もしかするとクリスマスの翌日から大晦日までの街の喧騒が1年で最も好きな時期になる。
今年は残念ながら12/31までやることがあり、実家への帰省もできず、大阪で年を越す予定だが、皆さんはどこでどのような年越しを迎えるのだろうか。
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さて、そんな今年の終わりも控える頃。
この大雪の時期から正月を迎える準備が始まることはご存知だろうか。
12/13は「煤払い」をする日とされ、この日を「正月事始」なんて呼んだりする。
年末年始に向けて、イベントも多くなり、仕事でもプライベートでも何かと慌ただしくなる頃。
そんな忙しない季節だからこそ、装いでちょっと特別なものを身に付けたり、纏ったりすることで、気持ちを整えてみるのはいかがだろうか。
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今回はそんな思いを込めてアイテムをピックさせてもらった。
まあ、全てのアイテムが丁寧に作られて、そして何かしらのストーリーがあるのだけど、今回はこの時期にオススメしたいアイテムをピックさせてもらったので、もし良かったらご覧になってみてほしい。
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皆さんにとって今年はどんな1年になったのだろうか。
気持ちを整え、今年を振り返り、来たる2024年に向けて色々と準備もしていきたいですね。
なお、オンラインショップは下記からご覧いただける。
それでは次回もお楽しみに。
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sekasu2007 · 1 year
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明石家さんま、なにわ男子・西畑大吾と読売テレビ足立夏保アナのお泊り愛報道に「夢を与えたんだ、大阪ローカルアナに」
明石家さんま、なにわ男子・西畑大吾と読売テレビ足立夏保アナのお泊り愛報道に「夢を与えたんだ、大阪ローカルアナに」 #明石家さんま #西畑大吾 #足立夏保 #ヤンタン #yando #なにわ男子
2023年8月12日放送のMBSラジオのラジオ番組『ヤングタウン土曜日』にて、明石家さんまが、なにわ男子・西畑大吾と読売テレビ足立夏保アナのお泊り愛報道に「夢を与えたんだ、大阪ローカルアナに」などと語っていた。 リスナーメール:なにわ男子の西畑大吾君が、読売テレビの2年目の安達アナウンサーとのお泊まり愛が報道されています。大阪のアナウンサーと、スーパーアイドルとの熱愛は珍しいと話題になっています 『明石家電視台』アシスタントの山崎アナウンサーに、「煤払いDに狙われている場合じゃない」と、アドバイスをお願いします。 明石家さんま:アドバイスお願いします?あ、アナウンサーとスーパーアイドル。ジャニーズ系に勧め…(笑) 村上ショージ:ジャニーズじゃないよね(笑) 明石家さんま:煤払いは、ジャニーズじゃないよね(笑) 飯窪春菜:ふふ(���) 明石家さんま:社員にもいないな(笑) 村上ショージ:何系…
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herbiemikeadamski · 2 years
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. (^o^)/おはよー(^▽^)ゴザイマース(^_-)-☆. . . 12月13日(火) #赤口(庚子) 旧暦 11/20 月齢 19.2 年始から347日目(閏年では348日目)にあたり、年末まであと18日です。 . . 朝は希望に起き⤴️昼は努力に生き💪 夜を感謝に眠ろう😪💤夜が来ない 朝はありませんし、朝が来ない夜 はない💦睡眠は明日を迎える為の ☀️未来へのスタートです🏃‍♂💦 でお馴染みのRascalでございます😅. . 今年の漢字は「戦」いくさでした✋ う~ん確かにそれはって思ったが 私の予想は私的な事で「電」って のを思い付いたので😅💦電気やら 電動やらが目に付くなぁ~って思っ たからですけど💦甘かったです✋ . そういや、ボーナスとか出たんじゃ ないですかね❓私はフリーランスなんで 関係ないですけど💦毎月がボーナス❓ イヤイヤ、それはないです⤵️⤵️⤵️なんせ 30年も月給上がりませんから😅💦 それ話題にも出ないから禁句✖✖ . 💦(o゚д゚)マジスカ?\(__ )マジデスw . 今日一日どなた様も💁‍♂お体ご自愛 なさって❤️お過ごし下さいませ🙋‍ モウ!頑張るしか✋はない! ガンバリマショウ\(^O^)/ ワーイ! ✨本日もご安全に参りましょう✌️ . . ■今日は何の日■. #師走に遺産を考える日(#師走に相続を考える日).  大阪府大阪市に事務局を置き、相続税に関しての専門サイト「税理士のチカラ」を運営するスタックインベストメント株式会社が制定。  毎年この日に相続にまつわる川柳を募集し、難しくとっつきにくいイメージの相続について、より身近なものとして捉えてもらうことが目的。  年末年始に家族で話し合うきっかけにしたり、自分たちの相続について考える機会にして欲しいという願いが込められている。  日付は師走ということから12月、1と3で「遺(1)産(3)」と読む語呂合わせから12月13日としたもの。 . #赤口(シャッコウ・シャック). 「火の元や刃物に注意すべき日」と言われており、凶や死のイメージが付きまとうため、お祝いごと では次で紹介する「仏滅」より避けられることが多いです。  この日は午の刻(午前11時ごろから午後1時頃まで)のみ吉で、それ以外は1日大凶となります。 . #一粒万倍日(イチリュウマンバイビ).  選日の1つであり、単に万倍とも言われます。   一粒の籾(もみ)が万倍にも実る稲穂になるという意味である。 .  一粒万倍日は何事を始めるにも良い日とされ、特に仕事始め、開店、種まき、お金を出すことに吉であるとされる。  但し、借金をしたり人から物を借りたりすることは苦労の種が万倍になるので凶とされる。  また同じ意味合いで、借りを作る、失言をする、他人を攻撃する、浪費などもトラブルが倍増するので避けたほうがいいとされている。 . #神吉日(カミヨシニチ). 「かみよしび」ともいい、神社への参拝や、祭礼、先祖を祀るなどの祭事にいいとされています。 この日は神社への参拝や、お墓まいりに行くといい日です。 . . #油小路事件. 江戸時代末期(幕末)に起きた新選組と御陵衛士の抗争事件。 新選組最後の内部抗争にあたる。  御陵衛士の伊東甲子太郎、藤堂平助、服部武雄、毛内有之助が殺害されました。 . #大掃除の日. . #正月事始め(#煤払い#松迎え). . #Cyber Monday(#サイバーマンデー). . #くにのりたけるが絵に目覚めた日. . #胃に胃散の日. . #ビタミンの日. . #双子の日. . #美容室の日. . . #石井スポーツグループ登山の日(毎月13日). #お父さんの日(毎月13日). #王様の食パンの日(毎月13日). #一汁三菜の日(毎月13日). . . #聖ルチアの日・聖ルチア祭(スカンディナヴィア諸国、南欧). #セントルシアナショナルデー. #マルタ共和国記念日. . . ■今日のつぶやき■. #学問に王道なし(ガクモンニオウドウナシ). 【意味】 知識や知恵を簡単に手に入れることは出来ないと云う事。 . . 1972(昭和47)年12月13日(水)赤口. #ハンバーグ師匠 (はんばーぐししょう/#井戸田潤) 【ピン芸人・YouTuber/スピードワゴン】 〔愛知県小牧市〕. . . (Saburou, Kumamoto-shi) https://www.instagram.com/p/CmFRvtnSpEcjZts91epdKvf0D-5-c9bwToJuIw0/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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mmmmmmori · 1 year
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憧れの形
Twitterでみかけた「概念になったスープスが時折人の形に戻って人助けをする」話。スーパーマンと現代日本クロスオーバー ---------------------------------- 「お疲れ様です」 「お疲れ様」 そそくさと帰っていく後輩の背中を給湯室から見送り、空になった栄養ドリンクの瓶を捨てる。  彼女はよくやってくれている。  ここのところ残業続きで疲れているだろう、いつもの愛想のいい笑顔は消えていたけれどこうして私にまで挨拶をしてくれる。  残業代もまともに払わないこんな会社辞めてやりたいと思ったりもするだろうに。 辞められる自由さが、彼女にはまだ残されているだろうに。  ああ、だめだ。やっぱり少し疲れているのだ。迷った挙句安い栄養ドリンクにしたせいか、大して効きもしない。 窓のない給湯室の煤けた壁を睨んで、ため息を飲み込んで、緩んでいた蛇口を占め、携帯電話をとりだしたら、黒い画面に映り込んだ自分に目つき悪く睨まれた。  少し笑えた。  目指す先はあるのだ。具体的にこうだと言葉で示すことはできなくても、あのとき会ったあの人のようなことが、たった一度でもできたら。いつだってそうできる自分でありたいと思ってはいる。誰に話しても信じてはもらえないけれど、諦めずにそうあろうとすることをやめられないくらいには、それへの憧れやそこにある希望は強い。  その人に会ったのは、9才のときだった。
 私は小学生だった。  学校の裏の駐車場には砂利が敷き詰められていて、端に小さなウサギ小屋があった。  学校が随分しんとしていたのは、休日だったからか、授業中だったのか、その辺の記憶は定かではない。ともかく私は一人でウサギを眺めていた。ウサギはピクリともしなかった。気を引ける餌もなく、私は焦れて金網を揺らした。今となっては褒められたことではないと分かるが、当時は目的の正しい達成の仕方を吟味する力はなかったのだ。  結果的に、ウサギは少しだけ顔をあげ、私は手のひらに傷を負った。おそらく金網が歪むか外れるか錆びるかしていたのだろう。その辺りの記憶も不確かだ。或いは、原因を究明しようなんて思いもしなかったのかもしれない。  手のひらの痛みに、ウサギから興味がそれ、滲んだ血に眉をひそめた。  痛いというより不快だった。  傷ついていない方の手の指を唾液で湿らせ、滲んだ血を擦る。  唾液が沁みて痛い。血は拭き取れなかった。  駐車場の端に水道があるのは知っていて、手を洗おうと思ったときに思いついたのはその水道だった。  血の滲んだ手のひらを気にしながら、砂利の上を走った。細かい砂利は走る私の足をとろうと絡みつき、ざりざりと大袈裟な音を立てた。  ほんの少しの距離なのに、水道にたどり着くころには息が上がっていた。それでも、ともかくたどり着きはしたのだから、と気を取り直して蛇口に手を伸ばし、はっと気づいた。  台がない。  私は小柄で家でも学校でも水道を使うときは小さな台を使っていたのだ。私の他にもそういう児童はまだいたし、特段珍しいこととも不便だとも思ったことはなかった。  駐車場の端にあったその水道は、いつも学校で使うものと同様、蛇口を上向きにもでき、水を受ける槽は子どもの腰の高さにあわせてあって、水が跳ねを防ぐように槽は深い児童向けのものではあったけれど、私には大き過ぎた。  そして台がなかった。  ただやはり当時の私には目的の正しい達成の仕方を吟味する力はなかったのだ。台の代わりを探すこともしないで、むやみに背伸びして手を伸ばした。届く気配すらなかったけれど、他の方法を考えられなかった。今となっては馬鹿だなあと笑えるけれど、必死だった。  手を洗いたかった。水道はそこにあって、みえているそのカランをちょっとひねるだけで目的は達成できるのだ。簡単なことだと思っていた。簡単なこともできない事実を受け入れられなかったのかもしれない。もしくは、ウサギ小屋の金網を揺らしたことへの罪悪感がどこかにあって、誰かに助けを求めるのを恐れていたのかもしれない。  どれくらい手を伸ばしていただろう、ほんの数十秒だった気もするし、五分は経っていたような気もする。  きゅっと甲高い音がして、蛇口から水が流れ出した。  手をできるだけ伸ばそうと顔を逸らしていた私は、驚いて水道を見た。  そこに落ちる影を追いかけてもう一息顔をあげた。  するとそこにその人はいたのだ。  水道の上の縁のあたりに赤いブーツの先が見えた。それは縁には触れていなかった。つまり、浮いていた。  青い衣装に、赤いマント、胸のマーク。  後になって思う。あの砂利敷きの駐車場で足音をたてずに近づけるのは飛べる人だけだ。飛んで上からそっと手を差し伸べられる人だけだ。私がどうしても届かなかったそれを掴んで回している時、その人は逆さに浮いていたのか、それとも屈んだのか、膝は曲げていたのか伸ばしていたのか、腕は伸びていたのか曲がっていたのか、俯く視線は何処を見ていたのか、ちらりとも見なかったことを悔やむようになったのはさらに後になってからのことだ。  そのときはあっけにとられて見上げることしかできなかった。  すっと指さされて、血の滲んだ手のひらを思い出す。  その指をすうっと持ち上げて左側を指し示し、その人は少しだけ目を細めた。 「むこうに、雨ざらしの椅子がある。壊れてはいないから、台につかうといい」 頷けた自信はない。けれど言ってくれたことは理解できた。  軽く頷くような仕草を見せてから、その顔をふっと空に向け、そのまますうっと昇っていった。赤いブーツのつま先はすんなり空に溶けていった。  しばらく見上げていたような気もするし、見えなくなったその瞬間に首を戻したような気もする。ともかく、改めて水道に向き合った私は、動揺を押し隠して手を洗った。  細く出された水は傷口を刺激することなく、そっと血だけを洗い流してくれた。  父親に胸のマークを描いて示した。 「スーパーマンか、懐かしいなあ。今の子たちも知ってるんだね」
母親に水を出してもらったのだとこっそり伝えた。
「スーパーマンは大変な目にあっている人を助けてくれるの」 私のささいな怪我を助けるために現れる筈はないと、直接言わなかったのは親の優しさだったのだろう。 「みんな一度は会いたいと思ったことがあるんじゃない?」
「父さんも会ってみたいなあ」
「でも生きるか死ぬかの瀬戸際でないと、きっと。そんなことはないほうがいいと思うな」 信じてはもらえないが、ちょっとした話題提供にはなると気づいてしまったのはいつ頃だろう。  それから何度も私は声にした。ちいさいころ、怪我をして、でも水道に手が届かなくて困っていたら、スーパーマンが水を出してくれた、という事実を。  酒の肴に消費されることもあったし、その人への憧れのただの呼び水になることもあった。今の夫にも何度も話して聞かせているが信じてはいないだろう。それでも不思議とそのエピソードは磨耗せず汚れず私の中にあり続けた。  山さえも動かす力のある人が、ちょっと蛇口をひねる為だけに現れたという事実が、私をすこしいいものにしてくれた。  私が見る世界を少し綺麗なものにしてくれた。  あの姿にいまでも憧れる。そうありたいと願う。そうあるために何をすればいいのか未だよくわからないけれど、他人の怠惰を羨むよりも他人の努力に気づくようにありたい。  携帯電話の画面に映り込んだ自分はもう子どもではないけれど、疲れから目つきだってよくはないけれど、だからこそその憧れは強くなる。できないことはないのだ。できないことじゃない、自分にとっては些細なことだって誰かには重大事かもしれないと分かっているだけでいい。  と、手の中で電話が震える。向こうからかけてくるなんて珍しいと思いながら通話ボタンを押す。 『窓!』 「え?」 突然叫ばれて、つい電話を耳から離した。 『窓の外!見えるか!?』 それでも声が聞こえてくる。どうやら随分興奮しているらしい。 「外?」 『空だ!空!彼だよ!』 「彼?」 何を言っているのだろう、夫と私の共通の知人は多くはないし、その中に空から現れそうな人物なんていない。  彼と言うからには男性だろうか。 『空に、スーパーマンが』 ああ。  その言葉は驚くほどすんなりと私に馴染んだ。  空に、スーパーマンが。  見なくても思い描ける、赤と青の軌跡。  私が話して聞かせたあの日の穏やかな奇跡を、夫は信じていたのだろうか。 おわり
( 2014-12-09 privatter より 改稿あり)
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kachoushi · 2 years
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各地句会報
花鳥誌 令和5年3月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
………………………………………………………………
令和4年12月1日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
亡き母の言葉身に入む夕明り 喜代子 美人画を日毎見つめた古暦 都 湯豆腐や仕切向うの京言葉 同 榾の宿見知らぬ人と語らひし 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月3日 零の会 坊城俊樹選 特選句
愛妻は冬天に有り見得を切る 慶月 着ぶくれの肩に銀座ののしかかる 炳子 楽屋口より銀鼠のインバネス 要 懐手役者戻りし噂など 順子 木挽町の電線緩く短かき日 三郎 市松の歌舞伎のれんを出で嚏 慶月 団十郎の顔があちこち十二��� 和子 薔薇の紙袋の中の聖樹かな 同 ベントレーの真つ赤に負けてゐる聖樹 三郎
岡田順子選 特選句
寒椿真紅へと歌舞伎めく 三郎 昭和めくショール纏ひて三越へ 俊樹 着ぶくれの肩に銀座ののしかかる 炳子 楽屋口より銀鼠のインバネス 要 半世紀前の残像獅子の冬 炳子 緞帳の街を冬日の揺りおこす 三郎 楽屋口興行なくば石蕗明り 光子 聖夜待つ靴職人の鉄の音 はるか 木挽町の電線緩く短かき日 三郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月3日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
水鳥の水曳きどこも濡れてゐず 睦子 LEDのひんやり灯る夜業かな 同 あさきゆめみし水鳥に忽と日暮 美穂 裸婦像の目に郷国の冬の虹 かおり 水鳥の陸に上がれば幼なけれ 睦子 水鳥の言問ふやうに漂へり 朝子 日向ぼこ石となりたき日のありぬ 美穂 昇降機空まで行ける聖夜かな 愛 出逢ひとは別れの序章おでん酒 朝子 よきことの一つ蜜入り冬りんご 美穂 忘れたきことも掃き寄せ落葉焚く 孝子 女医の手の結婚指輪冬ぬくし 久美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月5日 花鳥さゞれ会 坊城俊樹選 特選句
じよんがらもよされも遠き虫の出湯 雪 枯るるもの枯るるにまかせゐる他は 同 裸木に巣箱が一つ傾ける 同 散りてなほ緋を極めたり櫨紅葉 笑 冬の蝶小さき花に身を委ね 同 綿虫の恋の信号飛び交はし 同 目に見えぬものが背押す街師走 かづを 新刊書表に並べ書肆師走 匠 長者町大名町も落葉降る 和子 正信偈声高々と十二月 清女 うつかりと仲直りするおでん酒 啓子 沈下橋今日も見えずに歳用意 天空
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月9日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
餌台に人を覗きて冬の禽 宇太郎 姉の忌の近し綿虫横を飛ぶ 和子 冬めくといふ風音の離れぬ日 同 かき混ぜて消ゆる泡みる夜の葛湯 栄子 菊に埋む引導なしの葬一つ 宇太郎 花石蕗や蜑の通ひ路九十九折 益恵 院殿の墓碑を囲みて霜柱 美智子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月9日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
大根を洗ひ干したる深庇 世詩明 白山の雪の白さを見え深め 同 筆太に妻の消息年賀状 同 戻られし神をねぎらふ注連飾 ただし 大いなる榊まつりし神迎 同 山眠る話時々ちぐはぐに 清女 幸不幸仏に委ね報恩講 同 初時雨韋駄天走りあちこちに 輝一 切り分けの聖菓較べる子供かな 誠 老い一人煙草を口に日向ぼこ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月10日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
大年のバックダンサー出番待つ 登美子 大銀杏黄葉や夜道光りたる 紀子 白山を見て暮らす日々障子貼る 登美子 母と吾と灯ひとつの根深汁 同 遥かにも雪の白山見ゆる橋 令子 年末や薪湯沸かして近所呼び みえこ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月10日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
言葉直ぐ固まつてゆく冬夜かな 秋尚 年惜しむ陽子の墓所に供華新た 幸風 一筋の日差しを纏ひ浮寝鳥 幸子 茶の花を飾る店主のハンバーグ 亜栄子 冬の夜機織るやうなものがたり ゆう子 多摩川の皺む波間に浮寝鳥 美枝子 それぞれは好みの椅子に冬の夜 ゆう子 折節に冬帝なごむ母の塔 幸風
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月12日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
蕪一個抜き来一人の夕厨 一枝 著ぶくれを拾ひ電車の満員に みす枝 越前の奥へ奥へと時雨降る 世詩明 時雨るるや村暗くなり小さくなる みす枝 生と死を考へながら柚子湯かな 信子 オブラート破れて苦き十二月 清女 煤払ひ古き薬を捨てにけり ただし 太平の色したたらす熟柿かな 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月12日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
お化粧の仕上げにマスクかけにけり 三無 湯ざめして婆ちやんいつも卵酒 和魚 「どうしました」マスクの医者の声やさし あき子 受け継ぎし神楽の面の儼乎たる 史空 御神酒吹き魂入れらるる神楽面 三無 神楽の音菜つ葉切る手はづませる ことこ マスクしても寡黙の人になり切れず 秋尚 鉦の音の早まる宵の里神楽 同 神楽面舞へば表情豊かなり 史空 母の手が湯ざめするよと襟押へ ことこ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月13日 萩花鳥句会
月の夜は銀の毬藻に浮寝鳥 祐子 七五三おんなの一生歩み出す 健雄 極月の破れ手帳の重さかな 俊文 故郷の煉物届きおでん鍋 ゆかり 思ひ出の中の障子を開ける朝 陽子 一人去り彼の人も去り山眠る 吉之 張り替へて色あせ目立つ障子骨 恒雄 影絵如障子に木々の写りゆく 美恵子
(順不同) ………………………………………………………………
令和4年12月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
残菊は残菊と云ふ色の香に 雪 穴無惨枯蟷螂となり切れず 同 煤払大仏様の膝の上に みす枝 雪起こし百貫玉の落つる音 同 師走来て一番のりの美容院 富子 雪囲ひ男結びの揃ひけり 真喜栄 一斗樽三つ仕込みて師走かな 玲子 道一筋孤高の山の雪化粧 嘉和 注連細く巻きて御幣に神宿る 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月16日 さきたま花鳥句会
黒煙を吐きて冬野へ陸蒸気 月惑 実南天御成座敷の窓明り 一馬 額縁門残る紅葉や泉岳寺 八草 終の地に老いて根を張る冬紅葉 裕章 散るやちる散るままなりし落葉道 紀花 結願の晴れ切る空や冬木の芽 とし江 店抜けて女将小走り酉の市 康子 取寄せし河豚ひとまづは仏壇に 静子 一人見る冬満月や奢侈極む 良江
(順不同) ………………………………………………………………
令和4年12月18日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
冬日向野良猫が来て完成す 千種 寒禽の古代広場の空に消ゆ 白陶 大枯木侘しや空の巣を抱き 圭魚 冬帝に眼見開く埴輪かな 三無 浮寝鳥にも攻防の濁り池 要 昃れば雪虫蒼く漂へる 炳子 群れてゐて己を尽くす野水仙 三無
栗林圭魚選 特選句
冬帝に眼見開く埴輪かな 三無 冬枯に錆朱のコート遠ざかる 要 日矢刻みつつ枯葉舞ふ小径かな 同 紅葉散る眩しき日矢を弾きつつ 三無 冬枯に詩吟朗々沁み渡る 要 浮寝鳥にも攻防の濁り池 同 昃れば雪虫蒼く漂へる 炳子 落葉ひとつひとつ大地へしじま足す 千種
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月21日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
ふり向けば虹もかかりて片時雨 笑子 日本海よりの潮風懸け大根 同 師走てふ町行く人も急ぎ足 啓子 山眠る小動物も夢の中 同 ゆつたりと領域守り浮寝鳥 千加江 惟みる中子師校歌能登小春 淳子 大焚火して棟梁の頰染めて 同 貫之の土佐日記なる波の花 同 アナウンス飛び交ふ案内駅師走 和子 極月や討入り語る講談師 泰俊
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月22日 鯖江花鳥俳句會 坊城俊樹選 特選句
越前の夜の更け行く菊膾 雪 帰り花ほどの身の上知るばかり 同 柏翠の調理師免許身に入みぬ 同 人の世にかくも爽やかなる別れ 同 猫じやらしてふ名全うして枯るる 同 近松忌男の持てる顔いくつ 同 シャッター通り歩く男の冬帽子 昭子 着膨れて隠しから出す小銭入 同 箱階段みしみしと鳴る日短 同 優男には近よらず雪女郎 同 み仏の膝に眠りし猫小春 ただし 彫り浅き千代女の句碑や風白し 同 荒るる潮崖を昇りて浪の花 みす枝 聞き上手相槌上手炬燵の間 同 追憶の母はつつましヒヤシンス 一涓
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月25日 月例会 坊城俊樹選 特選句
鯉はまだ水底に居て降誕祭 小鳥 片翳りして水鳥の消ゆる午後 炳子 羽根付けし少年少女クリスマス 順子 木枯や犬咥へたる赤きもの 和子 発声のなく群衆となる外套 光子 冬木の芽依代として時を待つ 三郎 寒禽の声やさしきは恋ならむ 昌文
岡田順子選 特選句
鯉はまだ水底に居て降誕祭 小鳥 青年は武道館へと冬木の芽 月惑 本殿の奥のひと揺れ年の果 三郎 零戦の真後ろに立ち懐手 小鳥 極月の鯉は黄金の鯉となり 俊樹 青といふ底なしの天なる寒さ 光子 繭白の提灯三列春用意 和子
栗林圭魚選 特選句
献木の葉も艶々と冬椿 佑天 鯉はまだ水底に居て降誕祭 小鳥 引つ掻きてみたき青空年つまる 順子 鴨の声幽かに聞きて九段坂 炳子 裸木の列柱なせる大鳥居 要 寒禽の鳴き交したる虚空かな 佑天 枯れ様をさらし尽くして濠の蓮 要
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年12月 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
仲直りしたくて蜜柑剥いてやる ひとみ 細胞の溶け出してゐる日向ぼこ 同 少年は狐火を見に行きしまま 同 手回しのミル短日の音重ね 由紀子 花枇杷や八十路麗し名妓の家 久美子 鉄瓶のきりりと据る冬の朝 さえこ 花枇杷に愛を求むる虫来る 美穂 さよならと赤きマフラー振り向かず 同 神鈴を打ちて寒濤迫りくる かおり 蕪村忌や立てる襟なき放浪者 勝利 追羽根の一人一人に違ふ空 朝子 宇宙船帰還するらし葱刻む 愛 日おもてに人見知りの子枇杷の花 睦古賀子 波の上の禅定なるや浮寝鳥 同 狼の魂いまも大和に伏せしまま 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月2日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
熟し柿落す一つを拾ひけり 世詩明 渡り鳥集合離散離れざる 同 松手入れ空の明るさ戻しけり 同 病室の窓にもトンボ見舞はれし 輝一 耳遠く遅れて笑ふ老いの秋 秋子 生きるとはすさまじきもの蟻の列 同 静かなる大和三山星月夜 誠 新涼の後ろ姿の理髪台 同 心中にたむける回向近松忌 やす香
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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hiroyukisuzuki · 2 years
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🦋年末年始のイベントご案内🦋 ☀️年末年始108回太陽礼拝☀️   🌏特別プログラム🌏   2022年の締めくくりに‼️   チャレンジ108回太陽礼拝☀️ ✳️12月10日(土曜日) 16:00〜18:30 ☀️2022.特別プログラム      チャレンジ108回太陽礼拝☀️ ✳️🎍2023.謹賀新年🎍  新しい年を迎え新たな気持ちで            スタートしょう💪 ☀️特別プログラムチャレンジ           108回太陽礼拝☀️ 🌅1月7日(土曜日) 16:00〜18:30 🉐年末は忙しくて参加出来ないけど…  年始なら行けそう〜🙌  勿論ですが‼️2回ともご参加🆗 ⚠️申し込みは前日までにお願いします。  ▪️男女問わずご参加可能です♪  ▪️お子様参加はご相談受付ます💕 【料金】1回¥2,500 税込になります。  スケジュール🗓チェック是非❣️          お願いします🤗  お問い合わせ、お待ちしてます♪ 1年間、本当に色々ありました。 当たり前が当たり前でない事etc… 改めて気づいた事、気づかされた事etc… 皆様はどんな年でしたでしょうか🥺 是非聞かせてください💕💕 🥰皆様と共にヨガで共有できる時間を   大切にしたいと思っております🥰 一緒に楽しくヨガしましょう🧘🏽‍♀️ 太陽礼拝108回の意味は、 インドの108の煩悩1つづつ消す由来があります。 今年1年のココロとカラダの煤払いをしましょう😊 太陽礼拝は立位のまま胸を開き前屈し12の決まったポーズを繰り返し行っていきます。 胸を交互に拡張して収縮させ呼吸を整えます。股関節や脊柱の柔軟性が増します。同じ動作を108回繰り返す事で生命のエネルギーを高め動きの瞑想のようになり、ココロもカラダもスッキリします❤️時間をかけて丁寧に動かして行きますので、初心者でも大丈夫🙆‍♀️ 安心してご参加ください。 途中疲れてたら、お休み頂いても大丈夫🙆‍♀️疲れがとれたら、又一緒に動いて行けばいいです。最初と最後ご一緒でも大丈夫🙆‍♀️勿論、太陽礼拝108回をやり切った達成感は、爽快感に満ち溢れてココロもカラダも浄化され、新たな年に向け前向きな気持ちになります☀️🥰 師走でお忙しいと思いますが、 是非皆様のご参加お待ちしております💖 ✅通常Lessonもよろしくお願いします 12月も元気に開催😊 毎週土曜日です‼️ (年内は24日土曜日が最後になります。) ご参加お待ちしてます💖 ☆ウィルス予防☆ 窓を開けて換気をしております。 羽織ものお持ち下さい🥰 スタジオ内、消毒、換気、除菌徹底しておりますが、レッスン前ヘルスチェックetc…ご協力お願い致します🙏 発熱、体調不良、倦怠感、喉の痛み等ある方は、ゆっくり休んでください🙏 ご参加くださる方❣️ Lesson前後、手洗いうがい、 マットの除菌消毒などの、協力お願い致します🙏 ⭐️是非参加したい方へ⭐️ 初心者だけど…身体硬いしなぁ〜 出来るかどうかetc…心配されてる方! ホットヨガは苦手💦💦常温ヨガなら👍 呼吸もしやすく楽に出来るかなぁ〜‼️ などなどお考えの方! 未経験の方も大歓迎です💖 難しいポーズは行いません。 是非気楽に参加してみて下さい🥰 【会場】 レンタルカルチャースタジオlinoty 横浜市都筑区仲町台1-2-26-2F 【最寄駅】 市営地下鉄/仲町台駅/徒歩1分 【参加費】1500円(税込) 当日受付時にお支払いください。 (クレジットカード不可) ✅特別プログラムレッスンは料金は異なりますのでご了承下さい。 ✅レッスン開始15分前には スタジオにお入りください😌 ⭐️持ち物⭐️ 汗拭きタオルと (バスタオル) お水/500ml以上 動きやすい服装 羽織り物 ✅無料マットはレンタルございますが、ご自身のマットを、お使い頂いても構いません🥰 ✅医師から運動禁止されている方、妊婦様はご参加頂けません。 ✅要予約 10名様(定員制限があります) 予約、質問等はDM〜お願いします🤲 #ヨガ #都筑区仲町台 #仲町台ヨガ #都筑区ヨガ #自主開催ヨガレッスン #毎週土曜日開催 #初心者向けヨガレッスン #平日オンラインレッスンやってます ‼️ #プライベートレッスン受付中‼️ #グループレッスン歓迎 ‼️ #初心者歓迎 #ヨガレッスン #苦手を好きに #気づきのヨガ #美容健康にも👍 #都筑区 #仲町台 #ヨガ #美容健康 #港北ニュータウン #市営地下鉄ブルーライン #仲町台駅徒歩1分 #ヨガ #ヨガ好きな人と繋がりたい #自分の時間を楽しむ🧚🏼‍♀️ #安心してご参加ください☘️ #ご参加お待ちしております♥️ @linoty.studio @yokoseastory.yoga こちらもよろしくお願いします😊 sea story I R: yoko suzuki (カルチャースタジオ Linoty - リノティ) https://www.instagram.com/p/Ckrgt3zyKy1/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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satoshiimamura · 1 year
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第6話「悪(はじまり)夢」
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 アンナ・グドリャナは夢をみる。
 彼女の憎悪の根源、彼女の立ち上がるための燃料であるそれ。多くの人々と出会い、別れ、そしていなくなった人々のために前をむき続け、後ろを振り向かない全ての元凶をみる。
「――ッ」
 アンナは声を出そうとして、出せなかった。上に瓦礫が乗った足が燃えるように熱い。煙が視界を曇らせる。
 炎が周囲を進行していく。瓦礫と化した列車の金属部分は燃えず、けれどぼろぼろになった座席には火が付いている。
 焦げ臭さと同時に鼻へ届く、肉が燃えていく匂い。先程まで助けを求めていた少女の声が聞こえなくなった。身近なところはなくなったが、悲鳴は遠くで響き続ける。
 奇怪な形――獅子の体に羽が生えながらも頭部は人間のそれだったり、あるいは極めて太い足で二足歩行しながらも痩せこけた腕がついた巨人だったり――をしたペティノスたちが、爆発音とともに先程まで列車に乗っていた少年少女を殺していく。
 逃げ惑う彼ら、彼女ら。倒れていく彼ら、彼女ら。悲鳴と懇願と恨言の合唱。それを動けないアンナは見続けていた。
「おい、大丈夫か⁉︎」
 未だ成長途中だと思わせる少年が、金色に輝く猫目をアンナに向ける。頬は煤けていて、爪は割れて血が滲んでいた。アンナと同じような制服に身を包み、同じピンバッジを胸元に留めていた彼は、必死に彼女へ声を掛ける。
「クソッ、足が動かせないのか。……でも、これさえ退ければ動けるよな?」
 必死にアンナの足の上にのし掛かる瓦礫をどかそうとする少年。彼は意識を保て、こっちを見ろ、死ぬんじゃない、と何度も言葉をかけ続ける。
 ただ待つことしかできない彼女は、足元に広がる灼熱が痛みとなり、そのおかげで何とか意識を保てていた。
「もう少しで」
 息切れしつつも、少年が最後の力を込めて瓦礫をどける。アンナの足からは、痛みが続くが重みはなくなった。
「肩を貸す、逃げるぞ」
 彼は震える腕を隠すこともできず、それでもアンナの腕をつかみ抱き起こす。その時、炎で鈍く輝く異形が彼らの前に舞い降りた。
 それは翼を持つものだった。
 それは翼に無数の目があった。
 それは少なくともアンナが知っているどのような動物にも似ても似つかぬ、ただの羽の塊であった。その塊の中央に、なんの感情も浮かべていない美しい人間の顔がある。銀色に輝く顔だけがあった。
 翼にある複数の目がギョロギョロと蠢き、そのうちの幾つかが少年とアンナに固定される。ヒッとアンナは息を飲んだ。ギリッと少年は歯を食い締めた。
 少なくとも少年だけは逃げられる状態であったが、それを彼は選ばずにアンナを強く抱きしめる。そして、彼は「ふざけるな」と小さな声で囁き、ペティノスを睨みつけた。
 彼の怒気にもアンナの恐怖にも何も感じないかのようにペティノスは翼を広げ二人へと近づこうとした。その時、上空を黄昏色に染まる機体が飛んだ。
 ペティノスは二人から視線を外し、機体――後にそれがイカロスと呼ばれるものだったと彼女らは知る――へと飛びかかる。それまで淡々と人々を殺害し続けた奇妙な造形をしたペティノスたちが、親の仇と言わんばかりに殺意を迸らせ、機体を追い続ける。
 十いや百にも達するほどの数のペティノスが、黄昏色のイカロスへ攻撃を仕掛けるが、空を飛ぶ機体はそれらを避けて、避けて、そうして多くの敵を薙ぎ払う。
「助かった……のか?」
 呆然としながら、少年とアンナは空を見上げた。
 黄昏色に染まった機体が、実は地上で燃え盛る炎の色に染まったのだと知ったのは、それよりも少し後の話だ。
 それでもアンナや少年にとって、現見空音とユエン・リエンツォの操縦する銀色のイカロスは、後に幻想の中で出会う最強の存在――大英雄に匹敵するほどの救世主だったのは言うまでもない。
 
「――」
「目が覚めたか」
 瞼を二、三回閉じて、開けてを繰り返すアンナは、ぼやけた天上の中央に少年の面影を残したアレクの姿を認める。
 上半身が裸の彼は心配そうにアンナの頬を撫でて「うなされていた」と言った。その際に彼が覗き込んだことでアンナの視界はアレクだけになる。柔らかいベッドの中で下着だけを身につけたアンナは、パートナーの手を両手で取り、大丈夫と口を動かす。彼女の声は悪夢の日から出ない。
「……あの日の夢か」
 まるでアンナのことなら全てを見通せると言わんばかりに、アレクが彼女を抱きしめながら耳元で囁いた。それに抱き返すことで答えを告げる。
「今回は、久々の犠牲が出そうだったしな。……���年毎年、律儀に思い出させてくれる」
 アレクの言葉に、アンナは彼を癒したいと願いながらも、優しく頭を撫でて、次に口付けた。あの悪夢から十年以上経っても、消えない傷が常に隣にあることを二人とも痛感している。
 ベッドの中で抱きしめ合いながら、互いの存在を確かめるアレクとアンナ。その中で、彼らのサポートAIであるローゲの声が届けられた。
「お二人とも、そろそろ時間です。準備をお願いします」
 声だけで全てを済ませるAIの気遣いに、仕方がないなとアレクは笑ってベッドから降りた。アンナも微笑みながらベッドから出ていく。
「行くか」
 アレクは手を出し、アンナはその手を取った。
 ファロス機関の待機所はそれなりに広い。広いが、無機質な印象を抱かれる。カラフルなベンチも、煌々と光る自販機や、昼夜問わず何かしらの番組が流れるテレビだってある。それでも、無機質なものだと誰もが口を揃えていた。
 待機所の中ではいくつものグループが何かを喋っている。互いにパイロットとオペレーターの制服を着て、時にジュースを飲んだり、カードゲームに興じていたりしていた。その誰もが顔色が悪いので、より一層待機所が無機質な印象になっていく。
 そこにたどり着いた制服に身を包んだアレクとアンナは、多くの室内にいた人々と挨拶をしながらも中央で待機していたナンバーズ四番のナーフ・レジオとユエン・リエンツォの元へ向かう。
「ご苦労だったな」
 アレクがナーフへ声を掛ける。それに無表情のままナーフが頷き、一枚の電子端末を彼に渡した。
「報告はこちらに。今回発生したペティノスは、これまで観測された形状と一致した。ただ攻撃範囲が広いタイプが増えている」
「損害は」
「一機撃墜されたが、パイロットは無事に保護されている。今は処置も終わり療養施設に運ばれたところだ。完治したところで、今後はカウンセリングを受けるだろう」
「そうか」
 それは何よりだ、と零したアレクの言葉に同調するかのように待機所にいる面々がホッと息を吐いた。その様子を見ていたユエンは呆れたように言う。
「ははぁ、今晩は二番の同期たちばかり……と思ったらそういうことですかぁ。毎年毎年、君ら律儀だねぇ。おいらはそんな気分になったことないよ」
 十年も眠れない夜が続くだなんてかわいそう、とユエン・リエンツォが口にするが、そこには似たような境遇であるはずの彼らへの多大な揶揄が含まれていた。
「そういうあんたも、この時期は多めに任務に入るじゃねぇか」
 言い返すつもりでアレクがユエンの任務の数について告げる。
「小生、そろそろ後進に引き継ぎたいところでありますが、現見が許してくれないんだわ。せっかく新しい二番が生まれたってのに、未だに信用できないんかね」
「ユエン、そんなことは」
 小馬鹿にするかのような言い回しの彼女に、ナーフは顔をしかめて制止する。だが、それを無視してさらにユエンは話を続けた。
「毎年毎年、この時期になると不安定なやつらが増えるからねぇ。早く悪夢世代のなんて無くした方がいいんじゃない? あの問題児たちも虎視眈々と上を狙ってるようだし。君ら夜勤多いから、下の子たち割と快眠タイプ多いじゃないか。噛み付く元気満々なんだから、そろそろ下克上くらいしでかすんじゃない?」
「余計なお世話だ」
 アレクがユエンにきつい口調で告げた。
「少しは羽目を外しなさいよ。同世代のスバル・シクソンの社交性を見習うべきじゃないか」
「あいつは、俺たちの中でも腑抜けたやつだ」
 今度はアレクをナーフが制止しようとしたが、それをユエンは止めた。
「ハッ! 笑わせるねぇ。あのスバル・シクソンの死後も、君らが彼の言葉を無視できてないの、我輩が知らないとでも?」
「……ユエンさんよぉ、今夜はやけに突っかかるな」
「なぁに、気が付いたんですわ。あの五番の坊やが、自力で立ちあがったのを見てね。悪夢世代の多くは救って欲しいわけじゃない。ともに地獄にいて欲しいだけ」
 その言葉にそれまで黙って聴いていたアンナは、ユエンを叩こうとする。が、呆気なく彼女はその手を避ける。そして、けらけらと何がおかしいのか侮辱を込めて「平々凡々、やることなすこと繰り返しで、飽きたよ」と彼女は言う。
「あんたがそれを言うのか。同期の誰一人助からず、現見さんが戻るまで誰も助けられずにいたあんたが、それを言うのか」
 アレクは怒りを滲ませて返す。
「あんたは地獄を見なかったのか。あの怒りも、嫌悪も感じなかったのか。俺たちが救われたいと本気で思わなかったとでも」
「その共感を求める言葉は、呪い以外の何者でもないだろうよ。少なくとも、スバル・シクソンは悪夢世代という共同体から旅立った」
 その結果が五番という地位だろう、と告げたユエン。彼女は、そこで口調を変えた。
「あいつの素晴らしく、そして恐ろしいところは、あの視野の広さだ。オペレーターとしての実力だけでなく、よく人間を見て、観察して、そして洞察力で持って最適解を出せるほどの頭の良さがあった。もしも倒れなかったら、間違いなく私たち四番を超えていっただろうし、二番の君たちも脅威を覚えたはずだ」
 滅多に人を褒めないユエンの賛辞に、隣にいたナーフが呆然とした表情を浮かべた。
「あの双子たちは、パイロットとしては私たちを超えているよ。恐怖でも、憎悪でもなく、君たちのような大義も掲げず、ただ互いへの競争心と闘争心だけでペティノスを撃破し続けている彼らの存在は、新しい時代が来たとファロス機関に知らしめた。スバル・シクソンはそれを敏感に感じ取り、そして彼らを導いている」
 その言葉にアレクは皮肉を込めて「違うだろ、過去形だ」と言い返す。だが、ユエンは首を横に振った。
「いいや、現在進行形だ。現に、あの坊やは次のオペレーターを見つけてきた。あの大英雄のプログラムを損傷できるほどの能力を持った新人を」
「まぐれだ」
「それが成り立たない存在なのは、お前たちだってよく知っているだろう」
 冷徹な指摘にあの勝負を見た誰もが口を紡ぐ。
 先日の裁定勝負のことを知らなかった幾人かが、話を知っている面々から小声で詳細を聞き、その顔を驚愕に染めた。嘘だろう、とこぼれ落ちた本音が全てを物語っていた。
 それらの反応を見たユエンは、最後の言葉を紡ぐ。
「時代は変わっていくんだ。否応にも、人間という種は未来を求める。その先が地獄でも構わない言わんばかりに、彼らは前へ行く。いつまでもその場に突っ立ってるだけじゃ、何も成せない」
「……説教か」
「吾輩ごときが、らしくないことを言ってるのは百も承知だ。が、毎年の恒例行事に嫌気が差したのも事実だよ。お前たち悪夢世代は、少しは外を見るべきだ」
 そこまで言って、ユエンは部屋から出ていく。ナーフがアレクたちを気にしながらも彼女の���を追って行った。
 沈黙が室内を満たした。誰も彼もが思い当たる節がある。誰だって今のままでいいとは思っていなかった。それでも悪夢世代と呼ばれる彼らは立ち上がり、アレクとアンナの元に集まる。
 彼らは顔色が悪く、常時寝不足のために隈がくっきりとしていることが多い。
 誰かがアレクの名前を呼んだ。
 誰かがアンナの名前を呼んだ。
 それに呼応するかのように、アレクとアンナは手を繋ぎ、同期たちを見る。
「みなさん、そんなに不安に思わないでください」
 唐突に落とされた言葉。ハッとしたアレクが、自分の腕につけていた端末を掲げれば、現れたのは彼ら二番のナビゲートAIであるローゲのホログラム。微笑みを浮かべ、頼りない印象を持たれそうなほど細いというのに、その口調だけは自信に満ちていた。
「あの臆病者の言葉を真に受けないでください。彼女が何を言ったところで、あなたたちが救われないのは事実でしょう」
 ローゲの指摘にアレクは視線を逸らせ、アンナは鋭く睨む。だが、かのAIはそれらを気にせず更に言葉を重ねる。
「悪夢をみない日はどれほどありましたか? 笑うたびに、願うたびに、望むたびに罪悪感に苛まれたのは幾日ありましたか? 空に恐怖を抱き、出撃するたびに死を思い、震える手を押さえつけ、太陽の下にいる違和感を抱えて生きていたあなたたちの心境を、あの人は本当に理解していると思いますか?」
 彼女の言葉は何の意味も持たない戯言ですよ、とローゲは告げる。
 静かに「そうだ」「ああ」「そうだったな」「あいつらは分からない」「そうよ」「あの悪夢をみたことがないから」「そうだわ」と同意する言葉が投げられた。
 アレクがそれらをまとめ上げる。
「そうだな。今夜もペティノスが現れるまで、話そう。どうやってやつらを殲滅するか。なに、夜は長い」
 誰もが救われなかった過去を糧に、怨敵を屠る夢想を口にした。敵を貪りたいという言葉ばかりが先行し、それよりも先の未来を願う言葉が出てこない歪さを誰一人自覚していなかった。
***
 ゆらめく炎を前にして、ゆらぎとイナ、そしてルナの三人は困惑していた。
 ここは都市ファロスの外れにある墓地であり、そして多くの戦争従事者たちの意識が眠る場所。つまり肉体の死を受け入れ、新しい精神の目覚め――擬似人格の起動を行う施設でもあるため、人々が『送り火の塔』と呼ぶ場所であった。
 擬似人格とは常に記録された行動記録から思考をコピーした存在だ。永遠の命の代わりに、永遠の知識と記憶の保管が行われるようになったのは、ペティノス襲来当時からだと言われる。地球全体を統括しているマザーコンピューターはその当時の人々の擬似人格から成り立っているのは、クーニャで教わる内容だ。
 しかし擬似人格は思考のコピーであって、本人そのものではないために、起動直後はたいてい死んだことを受け入れきれずにいる。
 擬似人格が擬似人格として、自分の存在と死を受け入れる期間がしばらく存在するのだが――特に都市ファロスはペティノスとの最前線に位置するため、その死者たちは多大な苦痛を伴って亡くなっている場合が多い――その際のフォローを行うのがこの施設の役割であった。
 また、擬似人格が安定した後に自分が電子の存在であり、データの取扱い方を覚えていった先に生まれるのがAIでもある。これは都市ファロスに来てからゆらぎたちも知ったことなのだが、エイト・エイトを筆頭に人間味のあふれるナビゲートAIたちは、その多くが対ペティノスで亡くなった歴代のイカロス搭乗者たちだった。そして、あれでも戦闘に影響がでないよう、感情にストッパーが課せられているらしい。
 そのAIへの進化や感情への制御機能がつけられるのも、『送り火の塔』があるからであった。
 そして『送り火の塔』の入り口、玄関ホールの中央に聳え立つのは、天井まで届く透明の筒の中に閉じ込められた巨大な青い炎だった。
 地下都市クーニャでは街の安全のために炎がない。火という存在をホログラムでしか知らない彼ら三人は、教科書に載っている触れてはいけない危ないものというだけの情報しか持っておらず、ただただ初めて見るそれに魅了されていた。
「おや、そのご様子ですと、初めて火を見たようですね」
 三人とは違う声が掛けられる。
 ふわふわとした淡い白金の髪を結いだ青年が、建物の奥から歩いてきた。彼の姿は白に統一されており、腰元に飾られた赤い紐飾りだけがアクセントになっている。彼はゆらぎたちの前にやってくると、同じように炎を見つめた。
「この火は、送り火の塔の象徴的存在でもあります。肉体の終焉をもたらすもの、あるいは精神の形の仮初の姿、人間が築いた文明の象徴であり、夜闇を照らす存在として、ここで燃え続けています」
 男の説明にイナが尋ねる。
「しかし、クーニャでは火は存在しなかった。人々を危険に晒すためのものとして……なのに何故ここでは」
「地下世界の安全のためでもあります。火は恐ろしいものですので、できる限り排除されたと聴いています。ですが……ここ都市ファロスでは、火は身近なものです。対ペティノス戦において、火を見ないことはないでしょう。燃やされるものも様々です」
 あなた方も、いずれ見ることになりますよ、と三人を見て男は微笑む。
「初めまして、新しく都市ファロスに来た人たちですね。私は自動人形『杏花』シリーズの一体、福来真宵といいます。ここの送り火の塔の管理人として稼働しておりますが、今日はどのようなご用件でしょうか」
 ゆるりと笑う線の細い青年は、どこをどうみても人間にしかみえないと言うのに、己を自動人形と告げた。
「自動人形? こんなにも人間みたいなのに?」
 その存在に、ゆらぎは戸惑いを覚える。感情的なAI、執念を込めて人間に似せられたプログラム、そして人間そっくりな機械と、ここまで人間以外の存在を立て続けに見てきたからこそ、いよいよこの都市は人間がこんなにも少ないのかと驚いていたのかもしれない。
「もしかして、ゆらっち自動人形見たことないんじゃない?」
 その戸惑いを感じ取ったルナが指摘する。それに対しイナも「そうか」と何かに気づいたようだった。
「獅子夜は始めからナンバーズ用宿舎にいたからな。僕ら学生寮の統括は自動人形だ。ナビゲートAIが与えられるのは正規操縦者になってからだし、それまでの日常生活のサポートは自動人形たちが行っているんだ」
 ここ都市ファロスでは珍しい存在ではない、と続くイナの説明にゆらぎはほっと詰めていた息を吐く。
「……そうなんだ」
「そうなんよ」
 ゆらっちは特殊だもんねぇ、と笑って慰めるルナの言葉に、イナもまた頷く。
「私のことを納得していただけましたか?」
 苦笑混じりに真宵が声を掛けてくる。ゆらぎは小さな声で「すみませんでした」と謝罪した。
「いえ、お話を聞く限り随分と珍しい立場のようです。都市ファロスに来たばかりでありながら、すでにナンバーズとは……まるで」
「まるで?」
 ルナの相槌に真宵はハッとしたように首を横に振る。その動きは滑らかで、やはり機械とは思えないほどに人間味があった。
「……いえ、何でもありません。それで、どのような用件でしょうか」
「あ、そやった。あんな、うちら大英雄について調べに来たんよ」
 ルナが告げた大英雄の言葉に、真宵の顔がこわばったのが、イナとゆらぎにも分かった。
「なぜ、来て間もないあなたたちが大英雄のことを」
 疑問と不審の感情が乗せられた視線を三人は向けられる。やはり、ここが正解なのだと全員が確信した。
 大英雄と呼ばれる存在について、三人が調べた限りわかったのは、あの銀色のイカロスに乗っていたパイロットとオペレーターであること。そして、空中楼閣攻略を人類史上初めて成し遂げ、三十年前の大敗のときに命を落とした存在であること。そこまでは、学園内の資料や右近、左近たちから聞き出せた。
 だが、とここで不可思議なことに気づく。彼ら大英雄の名前も、写真も、どのような人物であったか、どのような交友関係があったのか分からなかったのだ。
 ナンバーズ権限を使っても同様、セキュリティに引っ掛かり情報の開示ができないことが殆ど。他のナンバーズからの話――主にあの双子のパイロットからだが――では、三番のパイロット現見が嫌っているらしい、ユタカ長官が彼らの後輩であった、くらいの情報しかなかった。
 これは故意に情報が隠されていると感じ取った三人は、他に何とか情報を得られないかと手を尽くしたのだ。
 結果、ここ『送り火の塔』という存在を知ることになる。あの謎のAIが告げた、正攻法では情報に辿り着けないの言葉通り、ここの擬似人格に大英雄に関連した人がいるのではないかと三人は考えたのだ。
 丁度、右近と左近、彼の相棒のオペレーター、そして先日裁定勝負を仕掛けてきた兎成姉妹たちは、あの銀のイカロスについての調査があるということでファロス機関本部への呼び出しがあった。その隙を狙ってゆらぎたちは送り火の塔へとやってきたのだ。
「先日、彼――獅子夜ゆらぎが受けた裁定勝負のときに、仮想現実で銀のイカロスが現れました。なぜ現れたのかは謎ですが、それでも」
「大英雄と呼ばれる彼らをおれたちは……知りたいんです。あの電脳のコックピットにいた二人が、一体どんな人たちだったのか。執念染みたあのプログラムが」
 先日の銀のイカロス戦について説明するイナ。それを引き継ぎ、ゆらぎもまた、正直に気持ちを吐露する。その二人の説明に真宵は目を見開いた。
「……そんな、君たちはあれを――彼らを見たのですか? まさか、そんな日が来るなんて」
 驚きと戸惑いを隠しもせずに、視線を左右にゆらす真宵。
「見たのは獅子夜だけです。でも、あの銀のイカロスの中にいる人が正直どんな人だったのか、僕だって気になります」
「とっても優しそうな人やった、てゆらっちは言っとった。擬似人格は残らなかったってことやから、たぶん一から作り上げたんやろ? そんなにも遺したかったお人たちなんやろうな、てうちは感じる」
「お願いします、福来さん。おれたちに、大英雄のことを教えてもらえませんか? もしくは、大英雄を知っている擬似人格を」
「知ってどうするのですか?」
 それまでの揺らぎが嘘のように、真宵の声は冷たかった。いや、意識的に冷たくしているのだろう。
「大英雄を知ってどうするのですか。彼らは既に過去の人です。この戦局を変えるような存在ではありませんよ」
 その真宵の言葉に反論したのはイナだ。
「なぜ、そんなにも大英雄と呼ばれる人々が隠されるのですか。名前すら見つからず、功績だけが噂されるだけの存在にされて」
「彼らは罪を犯したのです」
 痛ましい罪です、と真宵は続ける。その言葉に、今度はゆらぎたちが戸惑う。
「大英雄が死んだことで、多くの人々が擬似人格を残さずに自殺しました。戦いへの絶望、未来への絶望、自分が立つべき場所を失った人々は、その命を手放しました。それは罪です。私は……あの光景を記録として知っています。あの地獄の底のような怨嗟を知っているのです」
 ですから、と彼は話を続ける。
「大英雄は隠されたのです。これ以上、彼らがいない現実を受け止められない人々を増やさないように」
 その説明に納得できなかったのはルナだ。
「おかしいやん。確かに人類が負けたことに絶望した人がいたかもしれへん。でも、それが大英雄のせいなん? 違うやろ、全部受け入れられなかった側の問題やねん。そんなんで、その人らが隠される理由にならへんわ」
 それに、と彼女は小さな声で尋ねる。
「名前まで隠して……おらん人のことを思い出すのも、罪なん?」
 ルナの言葉に真宵は複雑な表情を浮かべる。彼もまた必死に何かに耐えるようにして言葉を紡ごうとしていた。
「彼らは……海下涼と高城綾春は」
 大英雄の名前が出された時、第三者が現れた。
「珍しいな、自動人形のお前がそこまで口を滑らすなんて」
 低い大人の男の声だった。その声でハッとしたような表情をうかべる真宵は、何かを断ち切るかのように「なんでもないです」と言ったきり無言となった。
 一体誰が、と思ったゆらぎたちは、振り向いて固まる。そこにいたのは、随分とガタイのいい男と、無表情の美しい女性であったからだ。
「……アレク、それからアンナ。ああ、そんな時期でしたね。二人ともいつものですか?」
 男女の名前を真宵が呼ぶ。そして、簡略化した問い掛けを彼がすれば、やってきたばかりの二人は頷いた。その仕草に真宵は了承の意味で頷き返し「少し準備をしてきます」と告げてその場を離れる。
 置いていかれた三人に向かって、やってきた二人組が近づいた。
 男は筋肉質で、身長は百八十を超えていた。身体つきだけならばエイト・エイトと似たようなタイプだが、刈り上げた黒髪と金色の鋭い猫目が相まって、威圧感がある。
 対し女はゆらぎよりも少し大きい、ややまるみのある身体つきだった。もしかしたら全身を覆う服装なのでそう見えるだけかもしれない。ゆるく結われた白髪が腰を超えており、右目を隠すかのような髪型。出された紫色の目は丸く、無表情でありながらも美人だというのはよく分かった。
「……獅子夜ゆらぎだな」
 男がゆらぎを見て、その名前を当てる。ゆらぎもまた、この男女に見覚えがあった。
「そうです。ええと、あなたたちは」
「ああ、自己紹介がまだだったな。俺はアレク・リーベルト。ナンバーズの二番パイロットだ。こっちが、パートナーのアンナ・グドリャナだ」
 そこでアンナは両手を動かして何かを伝えようとした。
「よろしく、だとさ。……悪いが、アンナはこの都市ファロスに来るときの事故で、声が出せねぇんだ。耳は聞こえるから、挨拶は声で問題ない」
「そうですか。改めまして、五番のオペレーターになりました獅子夜ゆらぎです。こっちの二人はおれの友達の」
「イナ・イタライだ。オペレーター候補で、相棒予定がこちらの」
「早瀬ルナです。イナっちと組む予定のパイロット候補です」
 それぞれが挨拶すれば、アンナがおもしろそうに笑って何か手を動かした。
「あの?」
「ああ、お前たちが随分と礼儀正しいからあの馬鹿どもには苦労させられそうだな、とさ。俺も同意見だ」
 問題児どもに迷惑掛けられたら、さっさと他のナンバーズに言えよ、と続くアレクの言葉に、ゆらぎたちは曖昧な表情を浮かべる。その問題児たち以外に現状出会ってないのだ、彼らは。
 困った現実を知ってか知らぬか、いや興味もないのか、話が元に戻される。
「……真宵に大英雄のことを聞きにきたのか」
 唐突なアレクからの問いかけに、頷く三人。
「あいつがあそこまで大英雄の話をしないのは、仕方がないんだ。大敗の記録はあっても、記憶はない」
「え」
「自動人形は稼働年月に明確に決まっている。それで同一素体――あいつのは場合は杏花シリーズだな――に記録を書き込んで目覚めるんだが、真宵は不完全な起動だった。三十年前の大敗の記録はあるが、先代の感情は一切受け継がれず、目覚めたばかりの身で理不尽な現実と向き合うことになった」
 淡々と告げられる説明に当時を思い出したアンナはそっと目を逸ららす。彼女の肩をアレクが抱き寄せた。
「大英雄を失った地獄で目覚めたんだ。そこからずっと大英雄という存在を恨んでいる。俺たちもこの都市に来る洗礼で取り乱したが、それ以上だったよ、真宵は」
 その優しい目とともに吐き出される残酷な言葉に、ゆらぎはなんて言えばいいのか分からなかった。
「長いお付き合いなんね」
 代わりにルナが返せば、アンナが何か告げようとした。それをアレクが訳す。
「長いさ。あいつの起動と俺たちがファロスに来たのは一緒だった。同じ地獄を見たんだ。俺たちのことなんかさっさと割り切ればいいのに、あいつは律儀だ。だから、未だに大英雄のことを口にするのを躊躇う」
 そこまで説明されてしまえば、ゆらぎたちはこれ以上の追求を諦めるしかない。しかし、大英雄である二人の名前は分かったのだから、少しは収穫があったと言えるだろう。
「そう言えば、先程いつもの時期と」
 イナの疑問にアレクは「墓参りだよ」と返す。それにアンナも頷いた。
「誰のだ?」
「お前たちが尊い犠牲にならないように頑張った連中」
 その瞬間、ゆらぎたち三人は顔を硬らせた。
 自分たちが無事に都市ファロスへ到着していたから忘れかかっていたが、あの時列車の中で見た画像には、ペティノスの猛攻を受けたイカロスたちが確かにいたのだ。
「忘れるなよ……犠牲は常に出る」
 アレクの言葉に続くように、アンナもまた頷く。彼らはそれだけの犠牲を見続けたのか、とゆらぎが思った矢先に「かと言って、悪夢世代の俺たちのようにはなるなよ」と苦笑混じりに告げられる。
 聞き覚えのない単語に、ゆらぎだけでなくイナやルナも首を傾げた。その様子に、アンナが呆れた表情を浮かべ、何か伝えようとしている。
「呆れた、何も言ってないのかあいつらは、だと」
 ほぼそう言う意味だろうな、という予感が三人ともあったが、やはりそうだったらしい。
「あー、悪夢世代ってのは」
「十五年近く前の、ナンバーズ復活から犠牲を出しながらも生き残ったパイロットとオペレーターたちの世代のことですよ」
 唐突にアレクとアンナの前に小さなホログラムが現れた。病的に痩せた男で、顔は整っているが整いすぎている印象を抱く。真っ白な髪と真っ白な肌、そして全身を隠すかのような衣服。垂れ目でありながらも、その緑の目だけが爛々と生命を主張していた。
「ローゲ」
 アレクがホログラムの正体を告げる。
「初めまして、新しくやってきた地下世界の人類さん。俺はローゲ。この二人――二番のナビゲートAIです。以後お見知りおきを」
 にっこりと笑い、丁寧に会釈をしたローゲというAIはそのまま悪夢世代について大仰に説明する。
「まずは簡単な歴史です。三十年前の大敗の後、ファロス機関は一度壊滅しました。ですが、その際生き残った現司令官、ユタカ・マーティンとその仲間たちは大敗で重傷となった現見空音をサイボーグ化してパイロットへ復活させ、ファロス機関を蘇らせました」
 ゆらぎの脳裏に初めて会ったときのユタカの表情が思い出される。絶望的であった光景をあの人は直接見ていたのだ。
「この現見復活が大敗からおおよそ十年ほど経過しているのですが、その時の都市ファロスへやってくる新人の生存率はほぼゼロだったようです。現在四番のオペレーター、ユエン・リエンツォ以外の生存者はいません」
 ヒュッと息を呑んだのはルナだった。イナは表情も変えずに、ローゲの説明を聴き続ける。
「現見復活と何とか生き残れたオペレーターであるユエンの二人が初めて新人を助けられたのが、ここにいるアレクとアンナだったのです。……とはいえ、たった一体のイカロスでどうにかなるほど戦場は甘くないのですから、彼らの同期の半分以上は犠牲になりましたがね」
 苦々しい表情を隠しもせず、アレクがローゲの説明を引き継ぐ。
「……戦力が整い、完全に無傷で新人を輸送できたのは、お前の相棒の神楽右近たちの代からだ。それまでは、必ず犠牲が出ていた。その世代のことを」
「悪夢世代、と呼ぶのですよ」
 さらに被せるようにローゲが結論をつける。にっこりと先ほどと何ら変わらぬ笑みを浮かべて、彼はゆらぎたちを見つめていた。
「神楽右近さん、神楽左近さんの両者ともに、悪夢世代については知っていたはずですよ。なにせ、右近さんの前のオペレーターは悪夢世代の一人でしたから」
 前の人のことくらい教えてもいいでしょうに、と続くローゲの言葉に、ゆらぎは背筋が震える。
 彼が暮らす部屋は、かつての主の日用品が残されていた。いや、正確には適当な箱に詰め込まれて部屋の片隅に置かれていたのだが、それが誰だったのかを教えてもらったことはない。右近に尋ねてもはぐらかされるし、左近に尋ねたところで邪魔なら引き取るとだけ返された。それだけで彼らの持ち物ではないのは明白だ。だが、処分するには躊躇う何かがあったようだ。
「あの」
 ローゲに向かってゆらぎが質問しようとしたとき、真宵が「お待たせしました」と彼らの間に割って入る。
「準備ができましたよ」
「ああ、そうか。ローゲ、端末に戻れ」
 アレクの呼びかけに、すんなりとローゲはその場から消える。そして彼らは真宵がやってきた方向に歩き出そうとした。が、そこで何か思い出したのか、アレクがゆらぎに声を掛ける。
「そうだ、獅子夜。神楽右近に伝えておいてくれ。前を向いたんなら、いい加減に元相棒の墓参りくらいしろってな」
 それだけを告げて、アレクもアンナもあっさりと去っていった。
 呆然としたまま、ゆらぎはその場に立ち尽くす。
「少し話が途切れてしまいましたが、私は大英雄については」
 戻ってきた真宵は先程の話の続きをしようとしたが、それはイナもルナも首を横に振って止めた。いない間にアレクたちが何か言ったのを察したのか、真宵は「そうですか」と安堵の表情を浮かべる。
 話はそれで終わりになるはずだった。だが、
「あの……ナンバーズで五番のオペレーターだった方をご存知ですか?」
 ゆらぎが真宵に全く違う話を振った。
「亡くなった五番のオペレーター、ですか」
「おれの前に、神楽右近と組んでいた人です」
 その言葉で、ゆらぎのポジションが分かったのだろう。真宵は「ああ、あなたが新しい五番のオペレーターだったのですね」と納得の表情を浮かべる。
「確かに、五番の前オペレーターであるスバル・シクソンとは交流がありました。それに彼は自分の死後の擬似人格の起動に関して、遺言がありましたから」
 自殺や死ぬ直前に擬似人格を残さない意思表示がされた場合は、このデータが残らないのもゆらぎたちは知っていた。が、まさか起動にまで条件をつけられるとは思っていなかった。
 だが、それよりも先に彼が気になったのは。
「名前……スバル・シクソンと言うんですね」
「そこから、ですか」
「何度か聴いたかもしれませんが、直接教えられたことはおれにはありません」
「……スバル・シクソンはとても優れた人でした。それ以上は私からは告げられませんが、彼の擬似人格の起動には特別な条件が付けられています。未だこの条件は達成できていないため、私からあなたにスバル・シクソンの擬似人格へ対面させることはできません。申し訳ないのですが、故人の権利としてこれを破ることは、ここの管理を任されている自動人形の私には不可能です」
 もしも、擬似人格が起動したら是非お話してください、と真宵はゆらぎを慰める。
「新しいオペレーターのあなたと話せば、彼もより早くナビゲートAIになれると思いますが、まずは……神楽右近に来ていただかないと話が進まないですね」
 そう残念そうに告げる真宵に対し、ゆらぎは弱々しい声で「伝えておきます」と返した。
 そして彼は真宵から離れ、送り火の塔から出ていく。通り過ぎる際の弱々しさと、浮かべる複雑そうな表情に、イナとルナは不安を抱いた。
「獅子夜」
「ゆらっち」
 後を追った二人がゆらぎの名前を呼ぶ。そ���て、両者ともにとっさに手を伸ばした。友人たちの様子に気づいたゆらぎは伸ばされた手を握り、微笑む。
「大丈夫」
 優しい友人たちを安心させるように、ゆらぎはしかたがないんだと口にする。
「たぶん右近さんたちは、まだ前を向いただけなんだ。歩けるほど割り切ってはないし、未練がましく後ろが気になってしょうがないんだよ。きっと、それくらいに、スバル・シクソンという人が大きな存在だったんだ」
 そこまで言って、ゆらぎは深呼吸した。そして、今度は力強く宣言する。
「そんな人におれも会いたいよ。会って、話して、ついでに右近さんと左近さんの弱みを握れたら握りたい。できれば恥ずかしい話で」
 その真っ直ぐなゆらぎの思いに嘘偽りはなかった。
 途端にイナは吹き出し、ルナは声をあげて笑う。
「ええな、それ。ゆらっち、散々振り回されてるわけやし、うちもあのお二人の話気になるわぁ」
「それだったら僕も協力しよう」
 三人が三人ともあはははと笑い、握っていた手を話したと思えば肩を組んだ。
「獅子夜、無理はするな。お前は何も悪くない」
「そうそう、ゆらっちは正真正銘ナンバーズのオペレーターなんよ。どんだけ前のオペレーターがすごいお人でも、ゆらっちだってすごいんだからね」
 その優しい思いやりに、ゆらぎは二人を力強く抱きしめる。
「……うん、ありがとう……二人がいてくれて、本当によかったよ。おれは未熟だけど、確かにナンバーズの五番のオペレーターで、神楽右近の相棒なんだ。慢心もしないし、怯みもしない」
――おれは、イカロスであの人と一緒に飛ぶんだ
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iamringo · 4 years
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おはよう。 Good morning!
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