Tumgik
#じゃがほっこり九州甘口しょうゆ味
bearbench-tokaido · 6 months
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三篇 上 その四
かごかきは、困った様子で、 「しかし、他に方法がないのだし。 これなら、眠くなっても、ふんどしのおかげで、落ちることもない。 いやでも、これで、乗っていきなされ。」 と、気の毒そうに言う。 北八もその言いようにおかしくなってきて、これも話の種と乗って行けば、それをみた弥次郎兵衛が、 「ハハハ、白いふんどしで、かごの胴中をくくったところは、まるで、お侍の屋敷での葬式みたいだ。」 その言いように、北八は、 「ええい、いまいましい。そんなことを言うな。」 弥次郎兵衛は、かまわず、 「いやまてよ、葬式だとかごの中には、仏が乗っていてものを言うはずがねえ。 でも、今は、ペラペラしゃべっているから、こりゃ、さしずめ、世に聞こえた罪人ってとこか。」 それを聞いて、北八は、 「ええい、なおいまいましい。もういい。降りて行こう。」 と、ここでかごをおりて、ここまでの金を払った。
さて、二人は、山道をたどって行くが、雨が激しくなってきたので、坂道を滑る様に歩いて、ようやくに中山の宿場に着いた。
この中山の宿場は、白い餅で水飴を包んだ、子育飴の餅が名物である。 弥次郎兵衛と北八は、酒飲みで甘いものは苦手ときてるから、やっとのことで、一つ二つ食っているうちに、雨がさらに強くなっってきた。
ここもとの 名物ながら われわれは 降りだす雨の もちあましたり
などと、弥次郎兵衛が一首詠む。 さて、他にも、この中山には、伝説の無間山の観音寺の鐘があったのだが、今は、その寺の名だけ残っていてないのだという。
この寺に むげんのかねも つきなくし 借金とりに 嘘をつくのみ
それよりこの坂をくだって、日坂の宿場についたのだが、雨はさらに激しさを増してきて、今はもう一歩も進めない状態になった。 あたりの見分けもつかないほど降る雨に、二人も閉口して、とある旅館の軒下で、雨やどりすることにした。
弥次郎兵衛は、 「まったく、いまいましい。はでにふるもんだ。」 それに答えて、北八、 「花屋が、看板の代わりに植える柳の木じゃあるめえし、いつまでも軒下に立ってもいられない。 しかたがない。 弥次さん、大井川は越したんだし、この宿場に宿を取ろうじゃねえか。」 弥次郎兵衛は、首を振り振り、 「ふざけるない。今何時だと思ってるんだ。まだ昼飯時だろう。 今から泊まってどうするんだ。」 その様子を聞いていた旅館の婆が 「この雨じゃ、身動き取れませんで。お泊りなさい。」 と、声をかけてきた。
北八、その声に振り向いて、 「いや、こりゃ泊りたくなった。弥次さん、見ろ。 この宿には、もう女性客が、大勢泊っているようだ。」 弥次郎兵衛は、眉間にしわを寄せて、北八の言う方をふりむいたが、急に顔をほころばせて、 「おや、確かに大勢いる。」 それに覆いかぶせるようぬに、 「さあさあ、お前さんがた、泊りなさい。」 と、いう婆の声が聞こえる。 「そうだな、この雨だ。そのほうがいい。」 と、弥次郎兵衛は、先ほどとは打って変わって、ニコニコしながら、北八を促すと、さっさとこの宿に入っていった。 この宿で二人は足を洗って、すぐに奥の次の間に通り、弥次郎兵衛が、 「これこれ、女中さん、白湯があれば一杯くんな。」 と、問い掛ける。 「はいはい、ただいま、持ってきましょう。」 と、すぐに白湯を持ってくる。
弥次郎兵衛は、 「よしよし。北八、昨日の薬をだしてくれ。」 と、北八に、 「腹痛が痛いのか。くだらない冗談でも聞かしてやろう。」 と、くだらないことを言っている北八に、弥次郎兵衛は、腹をさすりながら、 「ええい、馬鹿なことをいわないで、早くくれ。」 「そりゃ、ガスが溜まっただけだ。豆でも、食やなおるわ。」 と、なおも洒落ているので、弥次郎兵衛は、いらいらしながら、 「ええい、そんなことはどうでもいい。早く薬を出してくれ。」 「わかった。わかった。さてと、田町の反魂丹はどこだったか。 ああ、あった、ほれ、手を出しな。」 と、北八が、ようやく弥次郎兵衛に渡す。
ところで、この反魂丹とは、下痢、腹痛、暑気あたりなどに効果のある、その当時の家庭常備薬で、その頃の旅人は、たいてい持っていた。
弥次郎兵衛は、北八から引っ手繰るように受け取った。 「どれ、二つも飲めば効くだろう。」 と、クスリをよく確かめもせずにガリガリと口に入れてかみ砕くと、 「なんだ。こりゃ、胡椒だ。ああ、辛い辛い。」 この胡椒も、その当時は健康薬として、旅人が持ち歩いていた。
北八は、笑って、 「ハハハ、それは、胡椒だったか。 どれどれ、えーと、ああ、ここに錦袋円がある。それこれだ。」 弥次郎兵衛は、 「錦袋円か。これならいいだろう。」 と、錦袋円の包紙をあけて、薬を口に放り込む。 この錦袋円も万病に利くという家庭薬で、包のなかにブリキ製の小さな観音が入れてあった。
弥次郎兵衛は、顔をしかめて、 「ガリガリ、ガリガリ、ああまた何か変なものを食わしやがった。ペッペッ。」 北八は、 「どれ見せな。いやこれは観音様だ。」 「ほんとだ。観音様の頭を、かみ砕いてしまった。ハハハ。」 と、弥次郎兵衛は、慌てていたので、観音様まで飲み込もうとしていたのだ。
そこへ、女中がやってきって、言った。 「御膳をあげましょう。」 「五膳。いや、三膳も食べればたくさんだ。」 弥次郎兵衛は、 「また、こいつは、減らず口を叩く。 まったくやかましい男だ。黙ってしゃべれ。」 と言うと、北八は、鼻で笑う。 この間に膳も出て、いろいろ洒落冗談をいいながら、飯を食べはじめた。
弥次郎兵衛は、先ほどから気になってしかたがなかった事を、今、思い出したという風に女中に聞いてみた。 「ちょっと聞くんだが、奥の客人は女ばかりみたいだが、ありゃなんだね。」 女中は、ニコニコしながら答える。 「みんな、巫子でございますよ。」 「巫子ってことは、人の霊魂を呪術や神がかりで呼び出す霊媒ってことか。」 弥次郎兵衛が、さらに聞くと、女中は、肯いている。 それを聞いて、弥次郎兵衛と北八は、顔を見合わせにんまりしている。 女中が、奥の客人は巫子だというのを聞いて、北八は、 「そりゃいい。ぜひ、誰かの霊をだして貰いたいもんだ。」 弥次郎兵衛も興味津々で、 「俺もそうしたいが、もう時間が遅かろう。 四時をまわると、霊が寄り付かないと聞いた事がある。」 と、言うと、女中は、少し首をかしげて言う。 「お客さん、まだ、二時を少しまわったところですよ。」 弥次郎兵衛は、 「そそ、そんなら聞いてみてくんな。 俺の死んだかみさんを呼んでもらおう。」 と、ひざをのりだす。 「おお、『おつぼ』の事か。こりゃ懐かしい。」 北八も、うれしそうに答える。(発端の章、参照)
「それじゃ、今聞いてきましょう。」 と、女中が立っていくと、この間に食事もすみ、帰ってきた女中が、巫子が承知した、というので、弥次郎兵衛と北八の二人は、奥の座敷へ入っていった。 すると、そこにいる巫子は、口寄せ(交霊)の道具の箱を持ち出して、その中から、商売道具の弓矢などを取り出し、姿勢をただしている。 すると万事心得たこの旅館の女中が、水をくんで持ってきた。 弥次郎兵衛は、『おつぼ』と『おふつ』(発端の章、参照)の事を思い出しながら、巫子の言うように、そこにある葉に水をつけて振ると、巫子は、まず神下ろしを始めた。
巫子が何やらしゃべり出した。 「そもそも謹み敬って申し奉るは、上に梵天帝釈、四大天王、下界にいたれば閣魔法王、五道の冥官、我が朝は神国の始め、天神七代、地神五代の御神、伊勢は神明天照皇大神宮、外宮には四十末社、内宮には八十末社、雨の宮風の宮、月読日読の御命、北に別宮鏡の社、天の岩戸大日如来、朝熊岳福智慧円満虚空蔵、そのほか日本六十余州、総じて神の政所、出雲の国の大社、神の数が九万八千七社の御神、仏の数が一万四千三の霊場、冥道を驚かし、ここに請じ奉る。」 「はあ恐れ有りや。 このときに、此の此の方の諸精霊、代々の仏たち、弓と矢のつがいの親、一郎どのより三郎どの、番も変われ、水も変われ、変わらぬ物は五尺の弓、一打ち打てば寺々の仏壇に響く納受。」 何やら難しい呪文ともお経ともつかないものを二人は神妙に聞いている。 「やれやれ、懐かしい。よく水を向けて下さった。 お前の妻が出てくるところだが、娑婆にいたとき精進が嫌いで、肴は骨まで食やった報い、今は牛鬼になって、地獄の門番をしていらるるゆえ暇がない。それでわしが出ましたぞや。」
さて、その代理の霊は誰の霊か、弥次郎兵衛が質問する。 「おめえ誰だ。わからねえ」 それに、巫子に付いた母の霊がこたえる。 「ああ、私は、お前さんの唐の鏡じゃ、子宝どのよ。」 北八それをきいて、 「唐の鏡ってことは、弥次さん、お前のお袋さまじゃねえか。」 弥次郎兵衛も納得して、 「ははん、おふくろか。そなたにゃ用はない。」 と、がっくりきた様子で答える。
つづく。
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thyele · 1 year
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2023年6月6日
あってりめん こうじ 安中原市店 - 磯部/ラーメン | 食べログ https://s.tabelog.com/gunma/A1005/A100503/10011863/
BuzzFeed Japanさん「【たまらん】ずっと抱きしめたくなる可愛さ!ニトリで見つけた「ちいかわクッション」まるで一緒に住んでるみたいだよ! ニトリの「ちいかわの抱き枕 」がめっちゃかわいい!なめらかな肌触りが心地いいの♡まるで一緒に住んでるみたいな気分!」 https://twitter.com/BuzzFeedJapan/status/1665554292323876865
Susumu Hirasawaさん「ウチの映像スタッフ永田が映画「温泉シャーク」のプロデューサーやってるよ。 温泉好き、シャーク好きのみんなは応援してね。」 https://twitter.com/hirasawa/status/1665689938782744579
草ッターwwwwwさん「うつ病になってしまい羽根を抜くようになってしまったオウムを助けるため、オウムと毎日一緒に踊って治療した飼い主さん。6ヶ月後には無事にふさふさに戻って、うつ病も良くなったらしいww スゴすぎるwwwww」 https://twitter.com/kusatta_www/status/1665924261310238720
NHKニュースさん「大雨の影響で住宅や店舗が浸水する被害が出た和歌山 海南市 ボランティアが被災地に入り家財道具の運び出しなどの支援が始まっています 海南市社会福祉協議会によると、ボランティア派遣の要請がこれまでに55件あるということです #nhk_video」 https://twitter.com/nhk_news/status/1665615537001381889
マイナンバー「家族口座」は13万件 河野太郎大臣が公表 [岸田政権]:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASR6756DKR67UTFK00K.html
関東甲信で梅雨入り 梅雨入り早々に警報級の大雨恐れ 九州~東海は非常に激しい雨(気象予報士 石榑 亜紀子 2023年06月08日) - 日本気象協会 tenki.jp https://tenki.jp/forecaster/gureweather/2023/06/08/23614.html
トム・クルーズ、7月に25回目の来日決定!『ミッション:インポッシブル』最新作日本版ポスター到着 | cinemacafe.net https://www.cinemacafe.net/article/2023/06/08/85646.html
【訃報】“ボサノバの女王”アストラッド・ジルベルトさん、逝く https://news.tv-asahi.co.jp/news_geinou/articles/hot_20230607_140.html requiescat in pace
「モバイルPASMO」などで障害 チャージや新規発行がしづらい状況に - ITmedia NEWS https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2306/08/news120.html
富士急ハイランド、12年ぶりの新作バイクライド型コースター「ZOKKON(ぞっこん)」 - トラベル Watch https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1506841.html
ダイアン津田、若き日の“結婚式ショット”がすっごい細い 17年連れ添った妻「この頃には戻れない…」(1/2 ページ) - ねとらぼ https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2306/07/news130.html
toki/Lucifer's undergroundさん「今年の夏スケジュールです! 去年に続きご縁があり、地元愛媛松山でやらせてもらえることになりました! 楽しみ! https://t.co/cTwWs2QRLT」https://twitter.com/saikororemix/status/1665991421260881920
LIZA🩸IX🪓さん「🩸INKのDanのcoffee☕ 飲んでみたんですが 香り豊かで 味は諄くなく砂糖とミルク足して 飲んだのにスッキリ美味しく 頂けました😍✨ ☕は甘めが好きな私でも 味に大満足でした🙌🏻🙌🏻 https://t.co/8XFFK8HFtB」https://twitter.com/310_odas/status/1666064777922359297
LIZA🩸IX🪓さん「そんなオーストラリアパース出身のPendulum エレクトロミュージックバンド ちょこっとご紹介👇👇 彼等がタッグを組み新曲が 6月2日にドロップされました https://t.co/TvrsAfEQAr」https://twitter.com/310_odas/status/1666050760180891649
橙【S】さん「◆ PhobiaのVo.KISUIがソロ活動開始 ◆ 今回のプロジェクトに、 SのDAIもコーラスとして参加決定‼️ 全力でコーラスパート歌います🤟 ↓↓要チェック↓↓」https://twitter.com/S_bonds_d/status/1666075315960188931
MIYABI the Drummerさん「叩いてみた動画を公開しました! リクエストを頂いた #GARGOYLE(#ガーゴイル)の 「完全な毒を要求する」です! シンプルで簡単に叩けそうに思えますが、こういう曲ほどノリを合わせるのが難しいですね。 動画はコチラ https://t.co/ASYHZ6Ll7T ご視聴頂けますと幸いです! https://t.co/e27cOIgmvC」https://twitter.com/MS16_Masahiro/status/1665306148252286976
MIYABI the Drummerさん「AION(アイオン) 「KILLING LAND」における S・A・Bさんのドラミングの凄さ を公開しました! https://t.co/mloFc8zbtB S・A・Bさんのドラミングの凄さをより深く知っていただく一助になれば幸いです。 https://t.co/tDKizTdwgX」https://twitter.com/MS16_Masahiro/status/1665200451640504320
MIYABI the Drummerさん「叩いてみた動画を公開しました! #AION(#アイオン)の 「KILLING LAND」です! めちゃくちゃ苦労しました。 この曲をご存知ないドラマーにも観て頂きたいです。 随所で《わけ分からん》ってなると思います(笑) 動画はコチラ https://t.co/I6mFXeSLgZ ご視聴頂けますと幸いです!」https://twitter.com/MS16_Masahiro/status/1662769432840794112
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「こんにちわ❗️ 昨日の雨と一転 すっかり晴れてますな😁 時間を見つけて簡単なアルバムの全曲紹介動画を作ろうと思います✌️✨ 6/16吉祥寺SHUFFLE 何卒よろしくお願いします😊 本日も皆さま良き一日を✨ https://t.co/7VQJzld690」https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1666285329949822976
杉本善徳(Waive)さん「お!」https://twitter.com/ys1126/status/1666449611307794438
Ryuichi Kawamura officialさん「『配信ライブ・リハーサル2』 #アメブロ https://t.co/7zAV6N7AKJ」https://twitter.com/RyuichiKawamur2/status/1665972645391912960
seekさん「今週日曜日。 水槽のたゆたう。 昨日のリハーサル音源を確認中。 ゲストピアノ西山小雨さんとのセッション。 ピアノアレンジめちゃくちゃかっこいい。。 弾き語りを始めてから、初の試み。 LOFT HEAVENのグランドピアノで是非聴いてもらいたい。 https://t.co/dfCgWENOZk https://t.co/EU7Idq0sJh」https://twitter.com/seek_bonshisya/status/1665974530681233408
gibkiy gibkiy gibkiyさん「【かっこいいステッカーの作り方講座】 6月6日から登場するニューステッカーはお買い上げ頂いた皆さんの手で完成して頂く画期的なシステムを導入しております。 aie先生の解説動画をご覧頂き、ご自宅でぜひチャレンジしてください!9月、12月はそれぞれカラーが違いますのでそちらもお楽しみに! https://t.co/lyFlZtGP9v」https://twitter.com/gibkiy_official/status/1665985972893544448
lucy+peter=esolagoto / 中村真悟さん「「何故もっと早くから取り掛からなかったんだ」と思う事が多々あるんですが(周りからもそう思われそう)、いざ振り返ってみるとそもそもその「早く取り掛かれる余裕」が皆無なんですよね。笑 常に全力疾走。 でも、なんやかや課題は成せているので寧ろ自分を褒めてやるべきだと思える様になりました。」https://twitter.com/lucy_peter/status/1665987966597234691
高橋 浩一郎(Kaiki)さん「博多は、シングルコレクションかな 解散からやってない曲がたくさんあるかも 246の渋谷の地下通路思い出すよ。」https://twitter.com/STakahashi0823/status/1666003093279100928
楽天チケットさん「♰666♰ |◤6/6 楽天ポイント6倍キャンペーン開始◢| 6/6(火)~6/11(日)の6日間、「HYDE LIVE 2023」のチケットをご購入いただいた方は楽天ポイント6倍! 待望のワンマンライブをお見逃しなく!! チケット購入はこちらから(完売の公演もございます) https://t.co/gCrb4N4khT https://t.co/QTDJJjnhWW」https://twitter.com/RakutenTicket/status/1665871176332365824
ポルトマン takashiさん「20230606 カリヤンナイト 「まちかどライブ」 尾張のウオトラで出演します 今日もPhobiaと一緒に 雨の野外ステージにあがります。 #ポルトマン https://t.co/sPCPBpqrJ5」https://twitter.com/poltman_takashi/status/1665999296813232128
【Phobia】 KISUIさん「@poltman_takashi 頑張ってね👍」https://twitter.com/KISUIxxx/status/1666004398739427329
ポルトマン takashiさん「@KISUIxxx ありがとうございます✨」https://twitter.com/poltman_takashi/status/1666007004333346816
Hydeさん「[STAFF] #HYDE の今年第一弾となる新曲「TAKING THEM DOWN」(「P真・北斗無双第4章」タイアップ楽曲)がツアー前日となる6/16(金)に配信リリース決定!! そして目の下にタイトルのタトゥがデザインされたジャケットも公開! よく見ると瞳に何かが、、?? 予約・購入は↓ https://t.co/tbjR2GLuXl… https://t.co/wwNnjmOoZy」https://twitter.com/HydeOfficial_/status/1666007060969029632
Hydeさん「[STAFF] 「#HYDELIVE2023 」のツアーファイナルとなる追加公演「HYDE LIVE 2023 Presented by Rakuten NFT」の開催が決定! 幕張メッセ イベントホール9/9(土),10(日)開場 15:30 / 開演 17:06 ※ チケットには撮り下ろしのHYDEオリジナルNFTが付きます 詳しくは↓ https://t.co/MUeNHwEvbL #HYDE… https://t.co/xkctRZgCfA」https://twitter.com/HydeOfficial_/status/1666007160592150530
Hydeさん「[STAFF] 東京・大阪・名古屋で「HYDEPARK 2023」の開催が決定! VRゴーグルを使用した各エリアのライヴ映像上映や衣装展示など盛りだくさんの内容となります! [日時 / 会場] 6/19(月) Zepp Haneda(TOKYO) 7/7(金) Zepp Osaka Bayside 7/21(金) Zepp Nagoya 詳しくは↓ https://t.co/vnRa2cmNoT… https://t.co/iqnvFSM7sK」https://twitter.com/HydeOfficial_/status/1666007326917271552
Hydeさん「[STAFF] 6/18(日)にZepp Haneda(TOKYO)で開催される1階男性限定、2階席女性限定のBEAUTY & THE BEAST公演にて、新曲のMVシューティングが決定しました。 ライヴ中の収録だけでなく、終演後にも撮影を実施!お時間がある方は是非終演後のMVシューティングにもご参加ください! #HYDE #HYDELIVE2023…」https://twitter.com/HydeOfficial_/status/1666007405476593664
RYUICHI KAWAMURA INFOさん「【e+ Streaming+ Ryuichi Kawamura Live2023「Home」#32 “Complete Album VIII 深愛〜only one〜”】 日時:2023年6月8日(木)開演19:00 ※アーカイブ視聴は6/12(月)まで ※ライブ音源の中から3曲をもれなくプレゼント!! https://t.co/WPswj10i0a https://t.co/EL3VuluUnZ」https://twitter.com/RYUICHIinfo/status/1666011793473544192
RYUICHI KAWAMURA INFOさん「【e+ Streaming+ Ryuichi Kawamura Live2023「Home」#33 “Complete Album IX〜Close to you〜”】 6月9日(金)開演19:00 ※アーカイブ視聴は6/13(火)まで ※ライブ音源の中から3曲をもれなくプレゼント!! https://t.co/0yGOVPzYdd https://t.co/kkTpSKqiJS」https://twitter.com/RYUICHIinfo/status/1666011966736048129
音楽ナタリーさん「HYDEがツアー開幕前日に新曲リリース、幕張メッセ追加公演&「HYDEPARK」開催も発表 https://t.co/5UAPQm0TdM #HYDE https://t.co/C14hymdfU2」https://twitter.com/natalie_mu/status/1666007094569631745
舜6/16NEiN吉祥寺さん「とりあえず詳細待ちなものも含めて決まっているスケジュールをお知らせします↓ 6/16 NEiN吉祥寺シャッフル 7/29 NEiN吉祥寺クレッシェンド 8/13 覇叉羅 博多ロゴス 8/29 NEiN池袋エッジ 9/24舜セッション参加予定 都内某所 よろしくお願いします🙇‍♂️🎸✨ https://t.co/BG522WeoWC」https://twitter.com/shun_thefuzzbox/status/1666012919136677888
seekさん「Leetspeak monsters リートスピークモンスターズ D13さん/Vo&Rap @lsmD13 Yo’shmeerさん/Gt&chorus @yoshmeer_gt Euskyssさん/Ba @leet_bass DieWolfさん/Dr @LSM_drums 〈好きな曲〉 Trick or Treat https://t.co/DzhLylArVC 徹底したモンスターの世界観と楽曲 2021年ハロウィンぶりの再演 https://t.co/ROm5rc6VaF」https://twitter.com/seek_bonshisya/status/1666013529286262784
seekさん「Kra ケラ 景夕さん/Vo @kra_keiyu 結良さん/Ba @yuhra_grooving 刻さん/support Gt @toki_1019 宏崇さん/support Dr @hirotaka_sun 〈好きな曲〉 もし明日晴れたなら 空中ブランコ 少年と空 好きな曲山程あるけどYouTubeに上がっている中から 不思議な世界からの招待状 https://t.co/ngJB6V589r https://t.co/h0eJTTasMx」https://twitter.com/seek_bonshisya/status/1666009389063610369
seekさん「今週土曜日開催🦉 MIMIZUQ presents MARBLE CAGE 6月10日(土)渋谷REX OPEN/START 17:00 / 17:30 ADV¥5,000 D代別¥600 MIMIZUQ / Kra / Leetspeak monsters チケット発売中 https://t.co/Lg8qSUGXU0 2バンドをご紹介 →続く https://t.co/pEgOJqpWVJ」https://twitter.com/seek_bonshisya/status/1666004595410350082
RYUICHI KAWAMURA INFOさん「【Tourbillon Live 2023 20years Since Time Began】 8月5日(土) 開演18:00 8月25日(金) 開演18:30 Zepp Haneda(Tokyo) イープラス プレオーダー1次受付本日6/6(火)23:00まで! https://t.co/dQmOrpaKlS https://t.co/K6LhnwXIIn」https://twitter.com/RYUICHIinfo/status/1666014852853432320
☕️ふなもと健祐🥁さん「「聞き届ける」って『要望や希望を受け容れる』って意味だから日本語間違えてますね ほげー。。」https://twitter.com/funamoch1/status/1666016358398853122
EDGE Ikebukuroさん「6/6(TUE) 『GATE OF CHAOS』 【出演】 emmurée / マクラカ壊死 / NightingeiL / dieS ●開場 18:30 / 開演 19:00 ●当日券:¥5,000(Drink別) ●クローク:開場後より行います。」https://twitter.com/EdgeIkebukuro/status/1665963144605466625
邪悪四弦LINAさん「6/3 NEiN池袋手刀 台風の影響で東京に辿り着けないかもと覚悟をしてましたが無事LIVEが出来た事がホンマ嬉しかった。遅れて会場着いた時メンバーが暖かく迎えてくれたのも嬉しかったなぁ。 みんな愛してる(°_°) あとバグプロRYO、ストラップ貸してくれてありがとね(°_°) https://t.co/ldBflMbdMb」https://twitter.com/L_ch_vazm/status/1666017762790227970
アプレゲール編集部さん「【別冊 MIMIZUQ 5th anniversary book】6月17日@渋谷PLEASURE PLEASUREにて販売します! A5判、52ページ、価格2,000円です。パーソナルインタビューに加え、アルバム全曲の歌詞を特製コラージュを添えて掲載。会場と通販それぞれ異なる特典付き。通販方法などは改めてご案内します。お楽しみに!」https://twitter.com/info_a_g/status/1663513651960246272
中島卓偉さん「先月は急性気管支炎の為に配信をキャンセルさせていただきました。ご迷惑おかけしました。今月は2回配信させてください。 19日、28日、20時から生配信で歌いまくります! #中島卓偉」https://twitter.com/takuinakajima/status/1666036911113392129
KING OFFICIALさん「【出演時間のご案内】 2023.6.19(月) 青山RizM RizM presents 獅子音 Vol,11~Acoustic Bar~ KINGRYO/AC/DM/Uken/涼木聡(Yeti)/他 OPEN18:00 / START18:30 入場チケット 前売¥3,000 / 当日¥4,000 (D代別) KING RYO 20:30〜   ■入場チケット受付中 https://t.co/5QaHdPSLfI https://t.co/q1DldzsrwA」https://twitter.com/KINGOFFICIAL114/status/1666046048522113025
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yoghurt-freak · 1 year
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小岩井 生乳だけで作った脂肪0ヨーグルト
3/7リニューアル🎉
小岩井乳業さんの無脂肪ヨーグルトが「酸味が減っておいしさアップ!」されたそう💓
リニューアル前からだいぶ酸味控えめやった気もするけども、さらなる境地に!?
スペック
一般的な無脂肪ヨーグルトはよそから仕入れた脱脂粉乳を水に溶いて作られることが多いんやけど、小岩井さんのは生乳が原料。
商品名に「生乳だけで作った」とあるように、自社で生乳を脱脂して、さらに濃縮してから長時間発酵。
生乳のフレッシュな味わいを生かしつつカロリーを抑えられる贅沢な製法🐮💕
前発酵やから質感のなめらかさも魅力のシリーズ。
生きて腸まで届くアシドフィルス菌配合で、販売地域は北海道〜九州。
リニューアルポイント
乳酸菌を見直し、発酵・撹拌条件を調整。
お乳のコク・甘み・ボリューム感は保ちつつも酸味を抑えることで、以前よりもなめらかでクリーミーな味わいになったとのこと。
36名を対象としたお客様アンケートでは77%が「酸味が弱い」と評価📊
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧ 開封 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧
おや!
小岩井さんやのに蓋裏に全然ドリップが溜まってない😳✨
凝固してる系?
でも前発酵って書いてあるしなぁ。
離水もあって小岩井さんらしからぬビジュアル。
スプーンですくってみると、固まってるわけじゃないけど粘りがあるタイプやった💕
脂肪0のヨーグルトって、物足りなさをカバーするために粘りが出る乳酸菌を使ってらっしゃるメーカーさんが多めな印象。
香りはかなり弱めで、酸味感なし。
きめ細かくて美しいなぁ。
小岩井さんの三角パケは、ヨーグルトがトロトロやから角から注げますよってことなんやけど、これはちょっとスプーンでかき混ぜてからじゃないと綺麗に注げへんかも。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧ 頂きます🙏 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧
ふぁーっと軽く溶けていってめちゃうま😭💕
淡雪みたいな繊細さと優しいミルクの味わい。
たしかにほとんど酸味がないねんけど、でも完全にゼロじゃなくほんのーーーりと爽やかさもあって気持ちいい😊
見た目には粘りがあったけど食べてみるとほぼ感じず。
小岩井さんならではの口溶けの良さでかなり感動する。
脂肪0でもこんなにお乳の味わいを楽しめるんやなぁ🥹💕
これは脂肪0ヨーグルトの概念が変わる。
カロリー抑えたい人だけじゃなく、普通にヨーグルトとしておすすめ!!
============================ 無脂乳固形分 12.8% 乳脂肪分 0.4% ————————————————— 栄養成分(100gあたり) エネルギー 45kcal たんぱく質 4.7g 脂質 0.0g 炭水化物 6.5g 食塩相当量 0.11g カルシウム 150mg ※全量は400g ————————————————— 原材料名 生乳(国産) ————————————————— 希望小売価格 310円(税別) 購入価格 238円(税別) ————————————————— 製造者 小岩井乳業株式会社 ============================
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2020年6月29日のレビュー
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小岩井 生乳だけで作った 脂肪0 ヨーグルト
オレンジはちみつ食べてたら懐かしくなってきて、小岩井さんの三角容器のヨーグルト一式購入。
いつもならベーシックなものから着手するねんけど、今回はあえて脂肪0→生乳100→グルメファンの順で、だんだん脂質多くなるように食べてく🤤💕
ということでまずは脂肪0。
よくある脂肪0のヨーグルトって脱脂粉乳から作られてたりするねんけど、なんとこれは生乳から脂肪を取り除いて作られた新鮮なもの!
しかも脂肪を取り除いた後に濃縮もされてて、無脂乳固形分12.8%😳
脂肪がなくなった分、たんぱく質や乳糖、ミネラルが強化されてて旨味や甘味が強くなってる模様。
これもアシドフィルス菌使用とのこと。
ところでこれ、いつリニューアルされたんやろう??
長らく食べれてなかったけど、2015年は「小岩井 生乳ヨーグルト クリーミー 脂肪0」って名前やった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧ 開封 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧
三角のコーナーからトロトロと流れ落ちる独特の柔らかさ。 うっとりするぐらいマットで滑らかな質感✨
香りはほんのり爽やかな感じ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧ 頂きます🙏 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧
おおお、たしかに旨味と甘味がしっかりしてる😍
脂肪0のあっさり感もあるのに、なぜかすごく旨いっていう、すごくアンバランスでドキドキする味💓
優しい酸味がほんっの少しだけあるのもいいな。
でもやっぱ飲むようにパクパク食べちゃう。 気をつけないと💦
満足感を得るため、ゆっくり、ゆっくり…
============================ 無脂乳固形分 12.8% 乳脂肪分 0.4% ————————————————— 栄養成分(100gあたり) エネルギー 47kcal たんぱく質 4.7g 脂質 0g 炭水化物 7.0g 食塩相当量 0.12g カルシウム 150mg ※全量は400g ————————————————— 原材料名 生乳(国産) ————————————————— 購入価格 198円(税別) ============================
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tsuntsun1221ts · 2 years
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2022.12 高千穂峰
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山頂には日本神話に所縁のある天逆鉾
九州の百名山ハントの旅の中で、この高千穂峰だけ百名山ではないが日本神話に所縁のある山で、特に山頂に刺さっている天逆鉾(坂本龍馬が新婚旅行の際に抜いたとか)が有名な山。また一千年以上も前の霧島神宮の社殿跡があったりと、とにかく歴史がすごい山なので登ってみた。
高千穂河原へ向かうバスはホテルの目の前に停車する。まずバスはえびの高原へ向かい、その後折り返して高千穂河原へ向かう。最初から最後まで乗っていると(ずっと座れて楽ではあるが)余計にお金がかかってしまうので、途中のバス停で一旦下車し、バスが戻ってきたら再び乗る。
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高千穂河原は駐車場は割と広い。平日の火曜日なのでガラガラ。風がびゅうびゅう吹く音が聞こえて上の方は風強そう。
【コースタイム】高千穂河原(0935)→御鉢(1015)→脊門丘(1030)→高千穂峰(1050-1130)→脊門丘(1145)→御鉢(1155)→高千穂河原(1225)
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まずは高千穂河原から10分もしないところにある2代目霧島神宮の社殿跡へ。940-950年にこの場所に造られ、1234-1235年の噴火で消失するまであったとのこと。しめ縄に囲まれた中に松の苗木が植えられている。
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2代目神宮跡のすぐ近くに登山道がある。
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始めは緩やかな傾斜。
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その先が森林限界となるが、傾斜がややキツく、溶岩だと思うが赤茶けたゴツゴツとした道が見えてくる。これはお鉢の方までずっと続く。
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溶岩の道のようで、赤いボコボコした岩が無数にある。このあたりから山頂までの間はずっと冷たい風が非常に強く吹く。雪は積もっていないものの、雪山のようなハードシェルなどの装備がないとかなり寒い。
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登山開始から約40分で御鉢に到着。御鉢の大きさは直径550m、深さ200mとのことで韓国岳の半分らしいが、それでも実際見るとかなり巨大。
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御鉢は時計周りのみ登山道が設置されている。反時計の方は通過できるかわからないが、韓国岳ほど断崖絶壁ではないし、万が一なにかあってもまぁ助かりはするだろう。御鉢からは高千穂峰の山頂が頭をのぞかせている。結構遠くに見えるようで、意外とそんなに距離はない。
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お鉢を反対側まで回りきると少し下って鞍部(脊門丘)に着く。その後山頂まで最後の登り。
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脊門丘には1代目霧島神宮の社殿跡がある。造られたのが540年と言われ、なんと今から約1500年も前のこと。そして788年の噴火で消失し、最初に見てきた2代目の場所に移転したとのこと。歴史とかあまり興味がない人間だけど、こうして大昔の歴史の片鱗を目の当たりにするとさすがに感動する。
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そこから山頂まではザレた急な登りとなっている。特に下山時は滑りやすかった。
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登山口から1時間半で山頂に到着。有名な天逆鉾が鎮座している。
この高千穂峰は日本神話における伝説の山で、天照大御神の孫である瓊々杵命(ニニギノミコト)が天孫降臨の際に降りてきた場所とされる。その際に所持してきたというのがこの天逆鉾である(もちろん伝説なので本物とは限らない)。由来は不明だが一説によると奈良時代にはすでに存在していたらしく、現在鎮座しているのは見えている部分は噴火の影響で折れてしまいレプリカであるが、地中に埋まっている柄の部分は当時の本物のままらしい。
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山頂は広いが自分以外に2人だけ。ちょうと同じくらいの目線の高さに雲が浮いている。
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先程通過してきたお鉢。手前には霧島温泉郷、奥には国分などの街が見える。
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韓国岳方面は山頂にガスがかかっており、晴れているのはこの高千穂峰のみ。また新燃岳の火口は高千穂峰からは見ることができず、ウサギの耳(双耳峰みたいな岩)だけが見える。
景色は素晴らしくずっと見て居られる。この日の山頂は5℃くらいで風が強いが日差しもあって、風をしのげればむしろ暖かいくらい。
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こちらは高千穂河原とは反対側の別の登山口からのルート(天孫降臨ルート?)。聞いた話によると、こちらは標高差が900mくらいとのことで、九州本土の山のあらゆるルートの中で最も高低差がある・・・らしい。山頂で会った方はトレーニングのためこちらのルートをよく使っているとのこと(74歳)。6年後の80歳のときは剱岳登るつもりと言っていた。
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個人が設置した避難小屋だが、現在は管理する人がおらず無人となっている。
40分休憩し下山する。景色もいいしもっと長くいたかったが、下山して昼食食べてバスに乗ることを考えるとそろそろ下山したほうが���い時間。
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1代目社殿跡の脊門丘まで。ザレて滑りいやすく危ない。この時間くらいになると他の登山者が続々と登ってきた。今日は天気良く、韓国岳登る予定だった人も山頂ガスっているからこっちに流れてきたのだろうか。絶好の高千穂峰登山日和。
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お鉢を通過中。登るときは気が付かなかったが、赤茶と黒の2色のクレヨンで描いたような目立つ地層が見える。
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いやーすごい良かった。さよなら高千穂峰。
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ゴツゴツした溶岩の道はガッチリ固い部分を歩けば問題ないが、そうでないとザレているので滑りやすい。ここでほら貝吹きながら登ってくる人とすれ違ったが、話によると月に2回くらい出没するらしい。錫杖みたいなのも持っていた。有名な人?
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山頂から1時間で駐車場に到着。朝よりかは車が増えているがそれでも4割くらいか。
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駐車場のとこにある茶屋で長崎牛そば(1000円)。注文してから打ち始めるので注文してから15分くらいかかる。待っている間隣のビジターセンターの映像見てこいとのことで、ブラブラしてきた。初めて調理機(ノンフライヤー?)で焼いた焼き芋の味見をまかされたが、皮はパリパリ中はホクホクですごく甘くて上手に焼けていた。とても温かい女将さんで、バスに乗って帰るとき店先から手振ってたし。
翌日は開聞岳に登るために指宿(いぶすき)へ向かう。開聞周辺は宿はほとんどなく、その手前で一番栄えているのが指宿だった。ちなみに難読すぎてしばらく覚えられなかった。バスに乗って霧島いわさきホテルで下車、そこで国分行きのバスに乗り換え。国分駅から指宿まで列車で約2時間。なお指宿駅はICカード使えず、遅いと駅員もいなくなってしまうので注意。
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指宿の民宿「千成荘」はちゃんとした夕食つきで一泊7000円という破格。指宿周辺で採れたと思われるきびなごの天ぷらや魚の刺し身、から揚げ2種と、豚しゃぶと、ほんとにこの値段でいいのか!?小さいが一応温泉もある。塩化物泉ということだがしょっぱく、成分は海水のようなものと思われる。
高千穂峰は霧島連山に属しており二百名山であるが、道中・山頂からの景色は韓国岳に全く劣らず、歴史も非常に深い。一方、韓国岳は百名山だがおそらく標高が高いからという理由だと思うが、個人的には高千穂峰の方も十分に百名山に値する。高千穂河原からだと往復にもそんなに時間はかからないから手頃でもあるし、最高の山だな。新燃岳が噴火する前までは韓国岳~新燃岳~高千穂峰という縦走もできたらしいが、とても惜しい。
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joemotofuji · 2 years
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Recently enjoyed (2022/11~12)
人生初の遠征で舞台を見たり映像作品を見ながらぬくぬく過ごしたり、三次元の推しができると休日や有給の使い方に幅が出て大変ハッピーだなあと思いながら過ごしていました。中村倫也さんに感謝……🙏
リアタイで追わなかったドラマを「面白い」と思うのって結構稀なのかも。素敵な作品をご紹介(というか布教して)いただけて大変幸せです。いつもありがとうございます。
仮面ライダーBLACKSUN(Amazon Prime)
夏の砂の上(劇場観賞)
サイレント・トーキョー(Netflix)
臨床犯罪学者 火村英生の推理(Hulu)
書けないッ!?〜脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活〜(Netflix)
ルードヴィヒ Beethoven The Piano(劇場観賞)
すずめの戸締り(AEON Cinema)
恋人はアンバー(TOHO)
ハリー・ポッターシリーズ(Blu-ray)
自転車屋さんの高橋くん(Netflix:DC版)
チーム・バチスタの栄光(Hulu)
ウェディング・ハイ!(Blu-ray)
今期ドラマ各種(前回から更新あり)
仮面ライダーBLACKSUN(Amazon Prime) 初めて仮面ライダーを完走しました!7話のトラウマがすごすぎて全編通して視聴した後の脱力感がすごかったです🤣完全に中村倫也さん目当てで見たので、眉間にシワ寄りがち作画爆良信彦が画面に出るたびにキンブレ振ってる気持ちでした。(二次元オタクの頃はペンラと呼んでいた気がするのですがペンラとキンブレって何が違うんだろ?) 仮面ライダーザダイナーの初期シーズン(?)にも行き、一人でもりもりご飯食べました。オリバースペシャル、めちゃめちゃ好みの薄味でした🤤あの一杯にお米何合入ってたんだろう…?山籠りの摂取カロリーって大事なんだなあ。
夏の砂の上(劇場観賞) 主人公宅の一室で基本的に物語が進行する、私の好きな舞台演劇でした…!前回の感想まとめで「10の秘密」について書きつつ山田杏奈さんの出演作を調べる過程で知り、ちょうど一般販売が開始した翌々日あたりだったのでローチケ覗いてみたら運良く一枚取れ、有給の夜にいそいそ見に行ってきました。 今回の山田さんは親の前では「普通」に年頃の良い子でありつつ上手に隠れて煙草を吸ったりもする、学年に1、2人はいた感じの女の子の役でした。可愛かった……………実物、かわいかった…………… 達観しているようで幼いような、非常に丁寧に言葉を選ぶようでドキッとするようなことを平気で言ってしまうような、作中の彼女は高卒で19歳前後だったでしょうか🤔アンバランスさが非常に魅力的でした。 たまたま私が鑑賞した回が上演後に脚本家の松田正隆さんと世田谷パブリックシアター芸術監督白井晃さんのポストトークを拝聴できる回で貴重かつ大変興味深いお話を伺うことができました🙏と言いつつ、お二人がこの座談会がほぼ初対面&初会話、ということでノってきた頃に時間となってしまって残念でした…!😂松田さんの脚本の九州弁は実在しない言葉で…というくだりのあたりで「劇場というのは不思議な場所。そこが東京の世田谷でも長崎っぽくなるし、博多にもなる」というようなお話をされていたのがぼんやり印象に残っています。
サイレント・トーキョー(Netflix) 友人に激推しされて見ました。ハチ公前の爆発シーン、どこまでCGなのかわかりませんでした…!あのちゃんが出ててあのちゃんだ〜!て思った数分後に口あんぐり…🤣佐藤浩一さんの他のお芝居を64と楽園しか知らなかったので、やっぱりこういう雰囲気すごいな〜と思いつつ見ていました。 映画パンフも縁あってお譲り頂き、焼き鳥のくだりやメガネの小道具の話を読みながら本編の緊迫感と中村さんのゆる〜いエピの温度差にニコニコが止まりませんでした……☺️
臨床犯罪学者 火村英生の推理(Hulu) これも友人に激推しされて見ました。続編は〜〜〜!! タイトルからはわからないシャーロックホームズのオマージュ、痺れました。モリアーティポジションにアイリーン・アドラー置くのいいですよね……美……美食探偵の構図も好きでした…… あと関東の漁村に生まれ育った者は京都に無条件の憧れがあるので舞台が京都なのがずっと幸せでした…
書けないッ!?〜脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活〜(Netflix) 2話まで見たのでメモだけ!生田斗真さん目当てで見始め、ドラマ制作の裏ではこんなことがあるのか〜いやないでしょ〜…………………ないよね?と思いながら見ていました🤣プロジェクト立ち上げ時の要件定義に甘いところがあると仕様変更が永遠に終わらんのだよな〜と思いつつ見ていました。脚本って請負じゃなくて準委任だったりしないのかな……
ルードヴィヒ Beethoven The Piano(劇場観賞) これは記事別立てまとめをちまちま書いています。衝撃でした。 中村倫也さんの所属するTop Coatのファンクラブ先行で初日とんでもない前方の席をご用意いただいてしまい、ほぼ真下で天井のピアノが崩壊するのを見、歓喜のバラを浴びたので本当に衝撃がすごかった…………
すずめの戸締り(AEON Cinema) ジブリも新海誠監督も、音フェチ御用達ですよね…(着眼そこ?) ヒトのことわりから外れた人外の純愛(当初それがヒトの尺度では愛にならず拒絶され、それでも己の存在自体を賭けてヒトに寄り添う努力をする)だったり親を探す子供だったり、個人的に二次元と三次元どちらでも刺さる要素全部入ってて号泣しました。 ダイジンを追って北上していくすずめの旅路、それだけで別の映画になりそうなのに前後編に分けたりせず一本にまとめた脚本、すごすぎる。。。 朝活で土曜の7時から張り切って映画館に赴き、1日腫れた目で過ごしました…あんな泣くとは…
恋人はアンバー(TOHO) 「同性愛が合法化されてわずか数年後のアイルランドの片田舎」という設定ではありつつ、政治・宗教・思想などの大きな部分ではなく主人公二人のパーソナルな視点・経験・未来についてを深く丁寧に描いた作品だった、と感じました。素直に感情移入したり一緒に傷ついたりしながら見ていました… セクシュアリティにかかわらず一人の人間として人格というか考え方や好みそのもの等「自分」を構成する様々なもののいずれかを否定されたりからかわれたりした経験はおそらく誰にでもあり、エディとアンバーの経験してきた様々な傷だったり愛だったりを高校卒業までの時間で丁寧に追っていて素敵でした。 細かい描写で言うと卒業後ロンドンに住むと言って自室の天井に路線図を貼ってどこなら交通の便が良さそうか考えて着実に貯金もしてるアンバーの現実的な行動力と、自分を否定し続けながらもどうにか「普通」に生きようと筋トレや自主練や父とマンツーマンの訓練に励むエディの現実的な行動力の対比も刺さりました。
ハリー・ポッターシリーズ(Blu-ray) 2023年1月に舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」を見に行くので、本当は実家から全巻持ってきて読み返したかったのですが時間がなかったので円盤で映画だけでももう一回…!と思って見返しました。相変わらず4巻の「Harry, did you put your name into the goblet of fire」の原作との描写の差で笑いました。
自転車屋さんの高橋くん(Netflix:DC版) こちらも友人におすすめいただいて。かわいかったーーー!!😭✨8話くらいまでしか見ていないので最終話見たらまた書きます。ドラマ中では多分描写されてないのですが、高橋くんが視力が悪いとのことで距離の近さがかわい〜〜! あと長井短さん、JRのポスターのイメージしかなかったので今回びっくりしました🤣そういえば「書けないッ」にもご出演でしたね…
チーム・バチスタの栄光(Hulu) シーズン1やっと見終わりました!2の方を激推しされてたので同時並行でみようかと思ったのですが完全に混ざるのでやめました。城田優〜〜😭田口先生のおうちで豚しゃぶした後自分から同僚を食事に誘ったりして変化が見え始めた矢先に物語がぐんと前に進んで何もかもあれよあれよ……だったので泣きました。
ウェディング・ハイ!(Blu-ray) おすすめしていただいた際にAmazonでたまたま豪華版の在庫があったので勢いでポチったまま棚で大事にあたためていたのをやっと見ました。お、お、面白かった…!!!😭✨この作品を見て「こんな映画・物語を作りたい!こんなテンポが良くて幸せになれる物語を書きたい!」て作家を志した人がいるんじゃないかと思うくらい……早く見ればよかった…! 中村さん推し仲間と見ていたというのもあるのかもしれませんが本当に久しぶりに声を上げて笑いながら見ていました。高橋克実さんのスピーチが大成功に終わるシーンまではどんな映画か全くわからなかったので「あ〜〜〜😭😭😭」とハラハラしっぱなしだったのですが、結果的に��員の努力がなんらかで報われハッピーになれる物語だったので愛しくてたまりませんでした……バカリズムさん、すごい……
今期ドラマ各種 1話だけ見てその続きを録画したままのものがちらほら…面白いドラマばかりでハッピーな四半期でした。最終回まで見たのを感想記録。
ファーストペンギン! ドラマは数話ためて一気見するスタイルが主なのに気づいたらリアタイになっていました。面白かった…!実話の方も調べます…
アトムの童 こちらも気づいたらほぼリアタイになっていました。松下洸平さんをMIU404→最愛→やんごとなき→と見て今回だったので実直な青年役似合うな〜と思いつつ、オダギリジョーの怪しい社長最高すぎてニヤニヤしながら見てました。
城塚翡翠倒叙作品集 前回のRecently enjoyedでも瞭然、はわわ><の翡翠ちゃんにまんまと騙された私なのでその後も大盛り上がりで見てました🤣可愛かった〜
クロサギ 塾の子におすすめされて一気に追いました。山下智久さん版クロサギを知らない+原作未読の民なのに申し訳ないくらい楽しみました。猫〜〜!
君の花になる なる〜〜〜!!😭なる幸せになって〜〜〜!!😭気づいたら箱推しになってました。ひえ〜〜ん。Saucy dogとBacknumber目当てで録画した音楽番組に8LOOMが出演していて当たり前のように歌って踊られててひっくり返りました。ドラマ始まる前にTBSストア見てグッズ各種見て「ん〜ハマるかわからんしな…」と思って購入を見送った過去の私!🫵懸命な判断です。一回買ってたらそのまま全部買ってライブ追って破産してました。
あと何か仕事の合間に見ていた気がするのですが11月中盤から予想外に激動だったためあまり覚えていないという🤣2023年はまず何か見た日に手帳に作品名だけでもメモするようにします。
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sugabucks · 2 years
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九州みやげ、じゃがほっこり #じゃがほっこり #じゃがほっこり五島灘の塩味 #じゃがほっこり九州甘口しょうゆ味 #お土産 #九州みやげ #ご当地カルビー https://www.instagram.com/p/Cgi9uHTPL_k/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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kurihara-yumeko · 4 years
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【小説】氷解 -another- (上)
 誰かを傷つけた後は、自分も傷を負う。
 殴った後にその手が痛むように、それは代償として、必ず負うことになる。一方的に相手を痛めつけるなんて芸当はできない。そんな勝手は許されないのだ。傷つけた分は、傷つかなくてはいけない。たとえその痛みが、平等ではないにしても。
 傷つけるとわかっていて手を下した時は、なおさら性質の悪い傷が残る。その音が聞こえてきそうなほどに心が軋んだのを感じたり、予想通り、耐え切れなくなった涙が溢れ落ちていくのを見たりするのは、そんな風に誰かを傷つけるのは、堪える。
 いつだってそうだ。特に、怒りに任せて部下を怒鳴りつけてしまった後は。
「やっぱり、ここにいたのか」
 窓辺に腰かけ、眼下に広がる灰色の街を見下ろしていると、そんな声と共に、缶コーヒーが現れた。手に取ったそれは温かく、俺は咥えていた煙草を口元から離す。
「貝塚……」
 目線を上げて顔を見やると、その男は自分の煙草に火を点けるところだった。
「お疲れさん。さっきはすげぇカミナリ落としてたなぁ。聞こえてたぞ、こっちのブースにまで」
 貝塚はそう言って、わざとらしく笑って見せる。俺は思わず、大きな溜め息をついた。
「……一週間前に、会議の資料を作るように頼んだんだよ。今日の、重要な会議に使うやつを。それが昨日になっても出来上がってこなくて、ギリギリになってやっと持って来たと思ったら、印刷はめちゃくちゃで、おまけに、数字は一年前のデータだった」
「高倉さんかぁ。可愛いし愛想もいいんだけど、仕事がいまいちなんだよねぇ」
「資料を全部作り直すには時間がなかった。そのまま使うしかないと断念したが、数字が間違ってるんじゃ、先方だってこちらを信用できないだろう。だから耐え切れず、高倉を責めちまった。『重要な会議だって言ってあったのに、どうしてこんな』ってな」
 重要な会議の資料なんて、部下に任せず自分ひとりで作成すればよかった。もっとこまめに資料作りの進捗を確認しておけばよかった。前日のうちに残業させてでも資料を完成させて、修正する時間を今日に残しておくべきだった。
 そんな後悔が、喫煙室に紫煙となって立ち込める。
「……そしたら、あいつ、なんて返事をしたと思う?」
 貝塚は煙草を咥え���ままで返事をしなかった。俺は続けて言う。
「『だって、私にとっては重要なことじゃないですし』、だとよ」
「……それで、高倉さんのことを思いっきり怒鳴りつけちゃったってことか」
 そう言う貝塚の口元は笑っていたが、その目は少しも俺のことを馬鹿にしてなどいなかった。
「あんな怒鳴られたら、高倉さん、泣いちゃったんじゃない?」
「……泣いてたよ」
 俺は力なくそう答える。
 さっき見た光景が、まぶたの裏から焼き付いて離れない。高倉はまるで子供のように、大粒の涙を零して泣いていた。私は悪くない、とでも言うように、俺のことを睨んでいた。ぽろぽろ、ぽろぽろと泣きながら、本当は文句を言いたいのであろう唇から、絞り出すように「すみませんでした」とだけ言って、それでも眼光は鋭かった。俺を非難する目だった。
「可愛い女の子を泣かせちゃったら、そりゃあ、後味悪いよねぇ」
 貝塚の苦笑に、同情の色を感じ取る。
 所属する部署も役職も異なるが同い年の貝塚は、社内で気兼ねなく話せる同僚のひとりだ。ライターを貸してやったのがきっかけで、喫煙室で言葉を交わす仲になった。
「まぁ、そんなに落ち込まないで。縞本だけが悪い訳じゃないだろ」
「……そうだな」
 どうやら、俺を励ましに来たつもりらしい。それをありがたいと感じる反面、隣の部署のやつに気を遣わせるほど部下を怒鳴りつけるなんて、と、また後悔が生まれる。放って置くとどこまでも、俺の内側から後悔ばかりが滲み出てくるような気がする。
「高倉さんの方には、井荻さんが行ってくれたから、大丈夫だと思うよ」
 缶コーヒーのプルタブを開け、一口飲もうとしたところだった。俺は思わず、動きを止めていた。
「井荻が……?」
「ちょうど定時だったから。更衣室で高倉さんと一緒になるだろうと思って、残業しないでもう帰るように伝えたんだ。あのふたり、大学時代の先輩と後輩なんだろう?」
「ああ…………」
 井荻。
 井荻沙織。
 俺は、あの澄んだ瞳に見つめられると、なんて呼べばいいのかわからない、複雑な感情を抱かずにはいられない。
 だが貝塚からその話を聞いて、多少、安堵できた。あいつが高倉の面倒を見てくれるなら、安心だ。
「そういえば高倉さん、春までに辞めちゃうんだって?」
 コーヒーを飲んでひと息ついていると、貝塚が思い出したようにそう言った。
「そうらしい。俺も次長からそう聞いた」
「高倉さん、辞めるってことを直接次長に伝えたのか。直属の上司は縞本なのに、それを飛び越して」
「『もうあんな人の下で働きたくないです』だとさ」
「ははは、そりゃあ確かに、縞本に直接は言えないよなぁ」
 貝塚は煙を吐き出しながら、朗らかに笑った。それから妙に意地の悪い笑みを浮かべると、声を落としてささやくように言う。
「高倉さんが辞めるんだったら、うちの課の井荻さん、そっちに異動させちゃおうか?」
「余計なことしなくていいぞ」
 コーヒーをあおる。缶コーヒーは、飲めないほど不味くもなければ、また飲みたいと思わせるような美味さもない。
「ああ、そうか。縞本も、春で異動なんだっけ」
「九州にな」
「大出世じゃないか」
「正直、あまり嬉しくはないな」
「寂しくなるね」
「……そうだな」
 貝塚が灰皿に煙草をこすりつけ、口から最後の紫煙を吐いた。俺はすっかり短くなった煙草を灰皿の中へと落とす。
 吹きつける風に、ガラスが小さく揺れる音がした。窓の外は曇天で、今にも雪がちらつきそうな、重たい雲で埋め尽くされている。風が強いのだろう、雲の流れが速い。
 すっかり暗くなった街を行く人々は、皆黒っぽい装いに見えた。春の訪れなど、微塵も感じさせない景色。
 だが、春は必ずやって来る。そしてその時、俺はもうここにはいない。
「コーヒー、ありがとな」
 礼を言うと、貝塚は目を伏せたまま片手を挙げて俺に応えた。もう一本吸ってから仕事に戻るつもりらしい、次の煙草を咥えていた。俺は喫煙室を出て、三階の営業部フロアに戻るため、階段に向かって歩き出す。
「――正直、もうあんな人の下で働くことに耐えられないっていうか」
 廊下を歩いていたら、そんな声が聞こえた。ちょうど、女子更衣室の前だった。
「縞本さんって、正直、人の心がわからないんだと思うんですよね。……あ、」
 更衣室の扉が開くと同時に、声の主は口をつぐむ。見れば、高倉志保だった。制服から着替え、今から帰社するところのようだ。まだ泣いていたのか、その目は赤く、潤んでいる。
 高倉は俺の顔を見て咄嗟に、もうひとりいた女子社員の後ろへと隠れた。そのもうひとりは、井荻沙織だった。
 ふたりは、今日俺が叱責したことについて、話をしていたのだろう。俺は思わず、足を止めていた。高倉は井荻の陰で動かないまま、こちらを見ようとしない。何か言葉を発しようともしない。
 俺は彼女にとって、顔も見たくない相手なのかもしれない。口にした言葉が俺を非難する内容であっても、それを即座に謝罪する気にもならないのかもしれない。上司の陰口を叩くのは良くないことかもしれないが、それは恐らく、高倉の本心であるに違いない。
 こんな人間の下で働きたくないと、そう言って泣く彼女を否定するのは、間違っている。退職を決め、次長にそう告げた彼女の感情は、本物だ。それをあれこれ言うのは間違いだ。少なくとも俺に、そんな権限はない。
 だがこの苛立ちは、どこへ向かわせればいいのだろうか。
 俺は小さく息を吸い、波立つ自分の感情を抑制する。
「井荻、」
「あ、はい」
 呼ばれた井荻は一瞬、きょとんとした表情をしたが、すぐに返事をした。
「今日、行くのか?」
「はい。行きます」
 どこに、と言わなくても、井荻はそう返事をした。ちゃんと通じたようだ。
「あっそ」
 高倉のいる前で、それ以上の長話をする気にはなれなかった。俺は再び歩き始める。階段を登り、定時を過ぎたがまだ半数近い社員が残っている営業部フロアへと足を踏み入れる。
 俺の机の上には、まだやらなければいけない仕事が積んであった。目の前の書類に集中しろ。自分にそう言い聞かせる。とりあえずは、今日の会議の大失態の後処理だ。どうやって先方の信頼を回復するか。まずは、それから考えよう。
「……人の心がわからない、か」
 仕事に取りかかろうと思っているにも関わらず、先程の高倉の言葉をつい反芻してしまう。誰かからそう言われたのは、これが初めてという訳ではなかった。思い出す。土下座して、額を畳にこすりつけて頭を下げていても、罵声を浴びせられ続けたあの日のこと。
 ――あなたは自分のことが、図々しいとは思わないんですか。私たちの心なんて、あなたにはわからないんでしょうね。
 そんな風に言ったあの人の言葉を、今でもときどき、夢に見る。その言葉は後悔となって、感情を掻き乱し、俺のことを痛めつける。
 俺は誰の心もわからない。わかりようがない。たとえばそれは、上司に叱責された部下の、責任を逃れたいという甘い言い訳であり、あるいは、息子の自殺を止めることができないでいた、ふがいない親である自分たちへの怒りであり、もしくは、素直に感情を口にすることができなかった、恋人に対しての猜疑心だ。
 俺はそういった誰かの感情を、わからないままでいる。わからないから他者を傷つけ、そうして、俺自身も傷を負ってきた。傷つけたのと同じ数だけ、痛みを感じた。
 そしてそんな俺の心も、誰にも理解などされない。
 だが、わかってなんてくれなくていい。共感も同情も、必要とは感じない。ありふれた安易な言葉で癒されたいと思うほど、俺はまだ堕ちてはいない。
「……わからなくって、結構だ」
 そう、独り言をつぶやいたら、やっと仕事に取りかかる気になった。
 今の俺にはすべきことがあり、それは誰かの傷を癒すことではない。
 たとえそれが、自分自身の傷なのだとしても。
    人間が自殺するきっかけなんて、ほんの些細なことにすぎないということを、俺は知っているはずだった。
 ある年の、気が滅入るような雨と湿度の高い日々が終わらないでいた七月の初め、前職の会社で働いていた俺は、この春に入社した新入社員のひとりが自殺をしたという報告を部長から受けた。自殺した井荻公介は、俺が初めて受け持った部下のひとりだった。
 その報告を受けた時、「一体、どうして」という疑問が湧き、そして同時に、その疑問を掻き消すかのように、「人が死ぬ理由は、大層なものとは限らないよな」と思う自分がいた。
 井荻公介が自殺した理由を、俺は知らなかった。だが、彼が時折、暗い顔をして机に座っているのを見たことはあった。かと言って、死を覚悟して思い詰めているという風にも見えなかった。俺と話をする時はいつだって朗らかであったし、冗談を言って周囲を笑わせることだってあった。時間の空いた時や飲み会の席では世間話をすることもあったが、プライベートなことを深く聞いたことはなく、たとえばまだ独身だった彼に恋人がいるのかとか、両親や家族と上手くやっているのか、そういったことは知らなかった。
 だから部長から、「縞本、最近、井荻くんに何か異変とかなかったか?」と尋ねられた時、正直に、「少し沈んだ様子の時もありましたが、深刻そうな様子ではありませんでした」と答えた。
 その時、部長が妙に神妙な顔つきになり、「そうか……」と、独り言のようにつぶやいて深く頷いていたことに、俺は違和感を覚えたが、部長の様子が何を危惧しているのかはわからなかった。後になってから思い返してみると、恐らく部長は、この時すでに、この先に起こり得るであろう未来を予想していたに違いなかった。
 井荻公介が自ら命を絶ったということはショックではあったが、それはどこか、俺の手が及ばない、遠くの出来事であるようにも感じられた。実際、その後の俺にできたことは、彼が受け持っていた仕事を整理し、他の部下たちに割り振ることだけだった。
 仕事を片付けているうちは、彼がすでにこの世にいないという事実は実感できなかった。それは葬儀に参列している時だけは別であったが、結局、社内の自分の机に座っている間は、井荻公介は病欠で長期休養しているのと変わらない気持ちでいた。彼が突然の不在となって混乱したのは最初の一週間程度で、それを過ぎてしまえばいつも通り、机に積まれていく書類を右から左へと処理していくだけだった。
 その状況が一変したのは、彼の両親が、彼の遺書を手に会社を訪ねて来た時で、そしてその時初めて、井荻公介が「上司からパワーハラスメントを受けていることが苦痛でたまらない」ということを理由に、自らの手で命を絶つと、そう書き残していたことを知った。
 俺を含め、井荻公介と同じ課に所属する社員たちは、常務と役員が待つ会議室にひとりずつ呼び出され、面談を受けた。二週間にも及んだ聞き取り調査の結果、井荻公介に嫌がらせをしていたのは課長であったということが判明し、これには多くの社員がそう証言したことによって、ほぼ確定だと判断された。
 確かに、入社直後から、課長と井荻公介は折り合いが悪かった。それは恐らく、ふたりの性格が真っ向から正反対であったということと、自身の学歴を鼻にかけている節があった課長より、さらに有名な大学を井荻公介が卒業していたということが、そもそもの原因であるように思われた。
 俺は何度か、課長が井荻公介を指導しているところに居合わせ、時に過剰なのではないかと思うほど叱責をされている時、間に入ってそれを止めたことがあった。仲裁に入ると、課長はそれ以上彼を叱ることはしなかったが、「そ��そも、井荻がこんな体たらくなのは、直属の上司であるお前がしっかりしないからだ」と、怒りの矛先を俺へと向けた。
「井荻には、俺からよく言って聞かせますので」と頭を下げても、俺に対する課長の文句はすぐには止まなかった。十五分以上にわたる説教から解放され、自分の席へと戻った時、隣の席の井荻は少しほっとしたような顔をしていた。課長にはわからないように、声を出さないまま「ありがとうございます」と井荻の口元が動いた時、俺は小さく苦笑して、「別に、気にすんなよ」と声をかけたものだ。
 そうやって気にかけてはいたが、結局のところ、井荻公介は俺の目が届かないところで課長から嫌味を言われ、嫌がらせをされ、日々少しずつその心に傷を負っていっていたのだった。
 同じ課の社員たちは、自らの上司を糾弾することを恐れ、「これは同じ課の人から聞いた話なんですが……」などという前置きを挟み、あたかもそれが、直接自分が見たり聞いたりしたのではないとしながらも、課長がどんな回りくどい手を使って優秀な新入社員をいたぶっていたのかを話した。それは、まるでクラスの悪ガキが考えつきそうないかにも幼稚なものから、思わず耳を疑いたくなるようなものまであったが、結局のところ、課長からパワーハラスメントが行われていたことには違いないと、役員たちには判断された。
 そこで、ひとつの問題が持ち上がった。いけ好かないこの課長は、社長の遠い親戚筋に当たる人物だった。そういった後ろ盾があるにも関わらず、いつまでも課長のまま昇進しないのは、それだけこの課長が無能であるということの何よりの証明であったのだが、役員たちはこの課長を庇うことを決断したらしかった。課長が新入社員にパワーハラスメントをして自殺にまで追い込んだという事実は、会社の信頼の大きな損失に繋がり、ただでさえ低迷している直近の売上額がさらに低下するのは避けられない。そう考えた役員たちは、俺に貧乏くじを引かせた。
 井荻公介に対するパワーハラスメントは存在しなかった。だが、直属の上司である俺には、監督不行き届きなところがあった。
 結局、社内では「そういうこと」として処理がされた。
 俺はその責任を負い、退職勧告の処分を受けた。それはつまり、俺が井荻を死に追いやったのだと、そういう解釈になってもおかしくはない結果だった。
 その話を部長から告げられた時、いつも頼れる上司であったはずの部長が、なんとも悲痛な面持ちでうつむいていたことを、まるで昨日のことのように思い出せる。
「役員たちには抗議したんだが……。すまんな、縞本。俺の力不足だ」
「いえ……。井荻のことをもっとちゃんと見てやれなかった、俺にも責任がありますから……」
「すまんな……本当に、すまん」
「部長、もういいですよ」
「すまん…………」
 部長はこのことがよっぽど後ろめたかったのだろう、「知人に会社を経営している人がいて、その人にお前のことを雇ってもらえないか、なんとか頼み込んでやるから」と、次の就職口の世話までしてくれた。俺の処分も、懲戒解雇にならずに勧告で済んだのは、この人の尽力があったからだった。
 途端に、俺の両肩に、井荻公介の死は重くのしかかってきた。不思議な話だが、その重量を知って初めて俺は、井荻の死を実感として受け止めることができたのだった。つまりそれは、取り返しのつかない、拭い去ることのできない現実で、それは過去のものではなく、未来にまで影響を及ぼす絶対的な事実だった。
 井荻公介の両親のもとへ、謝罪のために訪ねた頃、長かった梅雨はようやく明け、代わりに俺は、容赦のない日射しに焼かれ続けていた。
 週末の昼下がりに訪れた井荻家は、外の熱気などまるで嘘のように、空気は重く凍てついていて、それは最愛の息子を突然失った両親の、怒りと悲しみが入り混じって吐き出される冷気だった。
 異様とも思えるほどの存在感を放つ真新しい仏壇が置かれた和室で、俺は井荻公介の遺影と並んで座ったその両親の前、自分が彼の直属の上司であることと、社内にパワーハラスメントの事実はなかったということを伝えた。
 その途端、ふたりは激昂し、俺のことを非難した。
「そんな言葉は嘘だ、公介は上司からのパワーハラスメントを苦に自殺したのだ」、と。
「公介は、私たちの最愛の息子は、あなたのせいで死んだのだ」、と。
「あなたが、殺したのだ」、と。
 そうだ。俺の言葉は、真っ赤な嘘だ。井荻公介を苦しめていたパワーハラスメントは実際にあった。だが苦しめていたのは俺じゃない。課長だ。俺は以前から、あの課長が気に食わなかった。俺だけじゃない。社内で課長を好いている人間なんて、恐らくいない。皆、表立って声や顔に出さないだけで、あの人のことを嫌っている。なのに、誰も口出しできなかった。だから井荻公介は死んだ。俺が、俺たちが殺したのも同然だ。見ていたのに。聞いていたのに。誰も止めなかった。誰も助けなかった。だから、井荻公介は。自らの手で、命を――。
「沙織、そこで何をしているの」
 井荻公介の母親がそう言った声で、俺は思わず、下げ続けていた頭を上げそうになった。目線だけ動かして仰ぎ見る。
 和室の入り口に、ひとりの少女が立っていた。黙ったまま、こちらをじっと見ている。高校の制服を着て、エナメルのスポーツバッグを肩から提げていた。日焼けした額に、汗で前髪が張り付いている。今日は土曜日だから、学校は休みなんじゃないのか。部活動の練習でもあって、その帰りなのだろうか。
「帰ってきたら、ただいまって言いなさいって、いつも言ってるでしょう」
 少女は俺と目が合っても、挨拶の言葉を発しないどころか、会釈のひとつもしなかった。ただ、何かを探ろうとしているような深い瞳で、俺のことを見つめていた。その仕草は、死んだ井荻公介に似ていた。それからやっと、井荻には妹がひとりいるらしいことを思い出し、この少女こそが、その妹なのだとわかった。
「もういい、二階へ行っていなさい」
 父親がそう言うと、少女は返事もしないまま、俺からふっと目線を逸らして、廊下の向こうへと歩いて行った。やがて、階段を登って行く音が聞こえてくる。
「……すみません。今のが、娘の沙織です」
 どこか落胆したような声音で、父親がそう言った。
「以前から、あまりおしゃべりな子ではなかったのですが、公介が亡くなってからは、口数がほとんど……」
 肩を落として言う父親の姿は憔悴しきっていた。ついさっき、「出て行ってくれ。もう二度と、この家の敷居を跨がないでくれ」と、菓子折りの箱を投げつけてきたのが嘘のようだ。
 だがそれは、そのひと時だけだった。父親はそう口にしたことで、息子が死んだのは、今目の前にいるこの男のせいだということを思い出したようだ。ぷつぷつと汗が噴き出していくかのように、俺への非難が始まっていく。
 俺はふたりの前で頭を下げ続けた。何を言われても、会社から言われた通りのことを、言われたように繰り返した。パワーハラスメントはありませんでした。そういった事実は確認できませんでした。
 井荻の両親はそれを否定し続けた。嘘つき、嘘つき。人殺し人殺し人殺し。息子を返して。私たちの息子を返して。
「あなたは自分のことが、図々しいとは思わないんですか。私たちの心なんて、あなたにはわからないんでしょうね」
 母親が吐き捨てるようにそう言って、それから、わっと泣き出した。今日何度目かになる嗚咽を漏らしながら、不明瞭な声で息子の名を呼ぶ。
 呼ばれた息子は遺影の中で、穏やかな笑みを浮かべている。その笑みは、もうこの先、絶えることがない。彼はずっと微笑んだままだ。実際の井荻公介は、もう二度と笑うことも、母親に返事をすることもできないのに。
「もう、お引き取りください」
 父親が、耐えかねたようにそう告げた。
「あなたが来ることは、公介の供養にはなりませんから。もう、結構です」
 窓の向こうから、蝉の鳴き声がする。母親はおいおいと泣き崩れている。俺が持参した菓子折りの箱が、ひしゃげて畳に落ちている。蛍光灯の点いていない、昼間でも薄暗い部屋で、仏壇の蝋燭の火がゆらゆらと揺れる。
 ああ。
 俺はこんな光景を、以前にも見たことがあった。
 真奈が死んだのも、こんな暑い日のことだったっけ。
 あんな風に遺影の中で、ただ静かに笑っていたっけか。
 ※『氷解 -another-』(下) (https://kurihara-yumeko.tumblr.com/post/634221127908098048/) へと続く
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sorairono-neko · 5 years
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Growing up love
 中四国九州大会から戻ると、ヴィクトルは勇利に、カツ丼を食べてよいと笑顔でゆるした。勇利はうれしそうにうなずき、ヴィクトルと並んで座り、カツ丼を口へ運んだ。 「食べるの、久しぶり」  勇利の瞳はきらきらと輝いていた。 「温泉オンアイスのあと、半年近く我慢したね」  ヴィクトルがからかった。 「俺の目を盗んでこっそり食べたりもしなかったんだろうね」 「『試合に勝ってもいないのに』なんて言われたら食べられないよ」  勇利は拗ねたように言い、それからかすかにほほえんだ。 「……それに、もうカツ丼は、ヴィクトルと一緒にしか食べないってきめたから」 「…………」  ヴィクトルはすっかりうれしくなり、勇利の肩をぐっと抱いて、「勇利、今回の試合、よかったよ!」と褒めた。 「ちょっとヴィクトル、食べてるときに……」 「ジャンプはぜんぜんきまらないし、フリーなんて後半やたらと疲れてるし、いきなり壁に激突するし、俺の言うことまったく聞かないし、全体的にどうかと思うけど、とにかくよかったよ!」 「それ、ちっともよくないんじゃないの?」 「いや、よかった!」  ヴィクトルはビールを飲みながら言い張った。 「課題だらけだったが、それはつまり、未来を感じる、将来性があるプログラムだと証明できたということだからね! あのめちゃめちゃな演技であれだけ点数を出せるとわかったのは大きな収穫だ」 「なんか、あんまり褒められてる気がしないけど……でもヴィクトルの機嫌がいいことはわかったよ」  勇利はこくこくとうなずき、「あの、食べにくいんで」とヴィクトルの腕を肩から外した。ヴィクトルはふてくされ��。勇利はつめたい。しかし、うれしそうにカツ丼を味わう横顔を見ていると、すぐに頬がゆるんできた。これからも勇利にカツ丼を食べさせてやりたいと思った。それに──もっと、勇利を喜ばせることをしてやりたい。何かないだろうか? 勝ってカツ丼をヴィクトルと食べる、というのは勇利自身の目標だ。ほかにヴィクトルも、何か、勇利に褒美のようなものをあげたい。 「勇利、俺にしてもらいたいことはないかい?」  ヴィクトルは声をはずませて尋ねた。 「え? とくにないよ」  勇利はあっさり答えた。 「何かあるだろ!」  ヴィクトルは迫った。 「ないって」 「いや、あるはずだ」 「その自信は何なの? ないよ」 「なんでないんだ? 勇利は俺のことが好きなんだろ?」 「そうだけど……、でもしてもらいたいことはもう全部してもらってるよ。コーチも、こうして一緒にカツ丼食べるのも」 「それ以外でだよ! そんなのは当たり前のことじゃないか」 「いや、ぼくにとってはぜんぜん当たり前じゃないんだけど……」 「もっとないのか? なんでもしてもらえるんだよ? 俺にだよ?」 「うーん……だからぼくはコーチしてもらえるだけで……」 「日常的なことでだよ」 「えー……、じゃあ、ぼくの好きなプログラムすべってもらいたい」 「そんなのはだめだ!」  ヴィクトルは断固として言い張った。 「スケートから離れるんだ! それ以外のところで親睦を深めよう」 「意味わかんないんだけど……。何なの。なんでもいいって言ったくせに……」 「勇利、きみは俺のファンだ。俺にしてもらいたいことでスケートだなんて、そんなの何もおもしろくない。普通のことじゃないか」 「あの、そういうところにまで意外性を求めないで欲しいな。だいたい、そんな制限をするなら、それってもう『なんでも』じゃないよ。ヴィクトルはぼくにご褒美をくれるってことでしょ? だったら変な条件つけないで、ぼくのありのままの希望を……」 「何かないのか?」 「聞いてる?」  勇利は溜息をついた。 「本当にないよ……。ぼくは昔からヴィクトルが好きだけど、一緒にすべりたいとか、スケートの話ができたらなとか、そういう夢ばかり持ってたんだから。いまヴィクトルはぼくのコーチだし、同じ屋根の下に住んでるし、スケートをみてもらってるし、衣装まで借りてるし、ぼくの望みは全部かなってるんだよ」 「つまらない」  ヴィクトルはビールを飲み干した。 「もっと欲はないのか? 俺に対して貪欲さを示してくれ!」 「ヴィクトル、酔ってるの?」 「俺は勇利にご褒美をあげたいんだよ!」  ヴィクトルは勇利に顔を近づけた。 「声が大きいよ」 「俺のこの奉仕欲をどうすればいいんだ?」 「すでにぼくの望みじゃなくてヴィクトルの望みになってるけど……」 「勇利、本当に俺が好きなのか?」  ヴィクトルは疑わしそうに勇利を見やった。 「好きならもっといろいろあるんじゃないの?」 「なんでぼく言いがかりつけられてるの?」 「どうも勇利の愛情は信用できないな……」 「酔っ払いがからんでくる」 「俺を好きなら……」  そう言いさして、ヴィクトルはふと気がついた。そうだ。勇利はヴィクトルのことが好きなのだ。だったら──。 「勇利!」 「なに? だから声が大きいって……」 「一日だけ、おまえの恋人になってやろう!」  ヴィクトルは目を輝かせて宣言した。勇利はぱちりと瞬いた。 「そうだ。そうしよう。それが今回の優勝のご褒美だ。いい考えだ!」 「…………」 「次のやすみは──明後日だね。その日だけ俺は勇利の恋人か……よし、がんばってみるか!」  いっそはしゃいでさえいるヴィクトルを、勇利はどこかあきれたような目つきで見ていた。 「あの……��んばらなくていいんだけど……」 「なぜ? 勇利は俺が好きだ���?」 「恋人とかはないって……、ぼく、言ったよね?」 「わかってるよ。俺は俺でいてもらいたいんだろ? だったら俺の提案には応じてしかるべきだ!」 「何なの?」 「楽しみだな……腕が鳴る」  ヴィクトルはうんうんと力強くうなずいた。 「勇利と恋人……いいね!」 「何がいいのかさっぱりわからない」 「明後日、勇利は俺の恋人だ!」  ヴィクトルは勇利の額をつんと押して片目を閉じたが、勇利はとくにうれしそうではなく、「まあ、それでヴィクトルの気が済むならいいけど……」という態度だった。 「恋人って何するの?」  その日がやってきて、ヴィクトルが勇利の部屋を意気揚々とおとなうと、勇利がまず言ったことがそれだった。ぜんぜん恋人らしくないな、とヴィクトルは思った。勇利は子どもだからな……。 「そうか。勇利は恋人いたことなかったんだな──痛い痛い!」  さりげなく腰のあたりをつねられ、ヴィクトルは悲鳴を上げた。勇利がヴィクトルをにらみつけている。いまのはよくなかった。勇利はこういう話題が嫌いなのだ。学んだはずなのに、つい口に出してしまった。 「そうだよ。いたことありません」  勇利はつんとそっぽを向いた。 「だからヴィクトルが教えてよ。山ほどいらしたんでしょうから!」 「山ほど?」 「恋人って何するの」 「そうだな、それは──」  得意になって語ろうとして、ヴィクトルは、何を言えばよいのかわからなくなった。恋人とは何なのか。どういうことをするものなのか。一般論ならいくらでも言える。しかし、勇利に対して語れる言葉が──ない。 「どうしたの?」  なぜだろう? ヴィクトルは首をかしげた。彼は世界一もてる男なのだ。いくらでも話せるはずである。恋人のあり方だって──。 「ヴィクトル?」 「あ、いや……」  表面的な、上すべりするような説明しか思い浮かんでこない。これはどうしたことだろう。ヴィクトルは困った。そうだ、一般論でもよいではないか。当たり障りのないことだって、べつに……。  しかし、それは勇利に言うべきことではない気がする。 「……やっぱり、まずはデートだね」  ヴィクトルは苦し紛れにそう言った。勇利がうなずく。 「まあそうだよね。デートってどんなことをするもの?」 「それは……」  食事をして、お酒を飲んで、それで? ヴィクトルは口ごもった。勇利は無邪気な瞳でヴィクトルをみつめている。彼は、ヴィクトルがいつまでも何も言わないので、かすかに眉根を寄せた。 「ヴィクトル、ぼくと恋人がいやなら無理しなくてもいいんだよ。そもそもぼくが頼んだことじゃないし……」 「いや、ちがうんだ! そういうことじゃないんだ。俺は今日を楽しみにしてたんだ!」 「そうなの?」  そうだ。楽しみにしていた。なのになぜ具体的なことが言えないのだろう? 勇利と恋人だ、デートだ、ということしか考えていなかった。 「デート、するの?」 「する」 「ヴィクトルがしたいならそれでいいけど……」  ベッドに腰掛けていた勇利が立ち上がった。 「じゃあ、出掛ける?」 「その服で?」  勇利はそのまま陸上訓練に行くようなかるい服装である。 「変?」 「いや、変じゃないが……」 「ダサいの? ぼくこういうのしか持ってないから、もっとかっこいいのとか言われても困るんだけど」 「…………」  ヴィクトルも急いで腰���上げた。 「行こう」 「え?」 「行こう。それでいいよ」 「そう?」  ふたりで駅へ向かいながら、ヴィクトルは焦っていた。どうしよう。何をすればよいのかわからない。勇利とデート。どんなことをすればいい? 「どこ行くの?」 「そうだね……」  何も思い浮かばなかった。行きたいところがないというより、勇利をどうすれば楽しませてあげられるのか、それがわからないのだ。 「ロシアと日本じゃデートの形式もちがうのかな」  勇利が何気なく言った。 「ロシアにあって日本にないものってなに?」  勇利の言葉からひらめいて、ヴィクトルはどうにか会話をつないだ。 「日本ではデートというとどういうことをするんだい?」  恋人がいなくても、一般的な知識は勇利にもあるだろう。勇利は口元に手を当てた。 「うーん……。映画かな?」 「映画か……」 「あとはまあ、遊園地とかかなあ……。それはもっと若い人たちが行くのかな。ぼくもよくわからなくて」  映画。遊園地。悪くはないが、勇利はそういうことを体験したがっているようには見えない。 「それから、買い物? かな……?」 「買い物……」  勇利はヴィクトルの服装をちらと見た。 「ヴィクトルはいつもかっこいい服着てるよね。気軽そうなのでも生地がいいから洗濯に困るって真利姉ちゃんが言ってたよ。高いんだろうね。どこで買ってるの?」 「勇利、服を買いに行こうか」  ヴィクトルはようやく思いついて提案した。 「え?」 「勇利のそのダサい服、どうにかしてあげる」 「あのさ……うれしくないんだけど……。ぼくはこういうのでいいんだよ。楽だし」 「いいから!」  ヴィクトルが強引に話を進めると、勇利はくすっと笑い、「まあヴィクトルらしいけど」と言った。ヴィクトルはほっとした。  ヴィクトルは勇利に、きちんとしたブランドものを着せたかったが、勇利はこのあたりにそんな店はないし、そういうものは自分に必要ないときっぱり断った。 「せいぜい、ショッピングセンターの専門店くらいがいいんじゃないかな」  それでヴィクトルは仕方なくそこへ勇利を連れていった。そもそも、ブランド店があったとしても、いきなりそんな服を勇利に贈ってよいかどうか、よくわからなかった。今日は恋人なのだからいいと思うのだが、しかし、つまり明日はヴィクトルと勇利は恋人ではないのである。そんな関係の相手から服をもらって勇利がどう思うか、ヴィクトルは気になった。普段の自分と勇利はそういうことのできる仲だろうか?  ヴィクトルは、勇利に似合う服を精いっぱい探そうと、あちこちの店をまわった。勇利は「もうさっきのでいいよ」「どれも同じに見える」「いい加減疲れたんだけど」と終始乗り気ではなかった。 「勇利、きみは今日俺と恋人で、これはデートなんだぞ!」 「デートってこんなに大変なものなの?」  慣れないことに、勇利はかなり疲労しているようだった。ヴィクトルはこれならと思うものを選び、勇利に買ってやろうとした。しかし勇利はいらないと断った。 「何を言ってるんだ。勇利に贈るためにこうしていろいろ探したのに」 「見るだけの買い物でもいいじゃない」 「そんなのはだめだ。意味がないじゃないか」 「そんなことないよ」  勇利はほほえんだ。 「ヴィクトルがぼくに、こういうのが似合う、こっちのほうがいい、って一生懸命になってくれてるのを見ているだけで、ぼく、おもしろかったよ」 「でも勇利は『もういいから』って言ってたよ」 「そうだけど、おもしろかったことはおもしろかったんだよ。そうやって自分のやりたいことをやりたいようにやるヴィクトルっていいなと思って。ぼくのためっていうのもわかったしね。だから買ってくれなくてもいいよ。楽しかったから。それよりぼくおなかすいたな」  それで仕方なく、ヴィクトルは食事をすることにした。だが、何を食べようかというところでまたつまずいた。勇利はどういうものを食べたいだろう? 彼の好物はカツ丼だが、それはもう昨日済ませた。どんな店へ連れていけば勇利は喜ぶだろう。中華? フランス料理? イタリアン? 和食? 「……何が食べたい?」  ヴィクトルはゆっくりと尋ねた。 「なんでも」  勇利は答えた。 「目に入った店でいいよ」 「デートだよ。そういうわけにはいかない」 「なんで?」  勇利は不思議そうに言った。 「デートってそういうものなの? めんどうなんだね。あ、そこにおそば屋さんがあるよ。ぼくあそこでいい」 「勇利……」  ヴィクトルは勇利と素朴なそばを食べながら、果たしてこれは本当にデートなのだろうかと思い惑った。自分たちはちゃんと「恋人」ができているだろうか? よくわからない。 「このあとどうする?」  勇利が時刻を確かめた。 「映画でも見る?」 「いや……」 「そういうの好きじゃない?」 「好きじゃないというわけではないけど」 「ほかには、うーん、デートの定番と言えば、夜景とか……」  勇利はガラス越しにおもてを見た。まだ明るい。 「まあ、明日も朝から練習あるし、夕飯までには帰りたいから、それは無理か」 「そんなに早く帰るのか?」 「え、遅くなるつもりなの?」  勇利がきょとんとした。 「何するの?」 「何って……」 「朝起きられないと困るよ」 「……それはそうだけど」 「夜景はだめだね。じゃあ、えっと、あとは海かな?」  そば屋を出ると、ふたりはのんびりと海へ向かった。手の甲と甲がふれあったとき、ヴィクトルは思いきって手をつないでみた。勇利はちょっと瞬いたが、ほほえんで、「恋人だからね」と言った。海では並んで座り、たわいないことを話した。どうしてもスケートの話題になってしまう。恋人っぽい話をしよう、とヴィクトルが言うと、それってどんなの、と勇利が尋ねた。 「うーん……」 「ヴィクトルは、ぼくとじゃそんなの無理だって」  勇利はくすくす笑っている。そうではないのだ。勇利を恋人として見られないからできないのではない。ヴィクトルにも、どうすればよいのかわからないのである。こんなことになるなんて考えてもみなかった。あんなに楽しみだっ���のに。  何もできないまま時間は過ぎ、勇利が「どこかでお茶でも飲もうよ」と言ったので和風の店に入った。勇利は「あんみつが食べたい」と希望した。 「でもぼくひとつを全部食べるのはよくないから、ヴィクトルが頼んで、すこしだけちょうだい」  あんみつは甘くて不思議な味だった。それを食べながら緑茶を飲むと美味しかった。勇利もにこにこしていた。だがヴィクトルは、終始、これでよいのだろうか、こんなデートは正しいのだろうかと思い悩んだ。  勇利に「ご褒美」をあげたかったのに。勇利は楽しんでいるだろうか? 勇利に「一日恋人になってあげる」と言ったときの高揚はすっかり消え、ヴィクトルにはいま、戸惑いばかりがあった。 「そろそろ帰ろうよ」  勇利が言った。 「もう?」 「いまから帰ったらちょうど暗くなるよ」  ふたりは電車に揺られて帰った。座っているあいだ、手はつなぎあっていたが、言葉はほとんど交わさなかった。勇利の言う通り、駅から出ると、あたりはすでに青から黒へと移り変わるところで、ほのかな残光も消えそうだった。 「今日はありがとう。楽しかったよ」  勇利が礼を述べた。本当だろうか? だって何もできなかった。これが恋人か、つまんないの、と勇利は思ったのではないだろうか。 「ごめん」  ヴィクトルが謝ると、勇利は不思議そうにヴィクトルを見上げた。 「何が?」 「デートってつまらないと思ったんじゃないかと思って」 「え、なんで? ぜんぜん」  勇利は笑った。 「初めてしたけど……、こんな感じなんだーって思った。楽しかったって言ったでしょ」 「本当に楽しかったのかい?」 「ヴィクトルは楽しくなかったの?」  ヴィクトルは黙りこんだ。楽しくないわけがない。勇利といるとヴィクトルは安心していられるし、愉快だし、彼が何を言い出すのかというわくわくした気持ちも感じる。しかし、勇利を楽しませてあげられているか、ということばかりが今日は気になった。 「ショッピングセンターと海と、簡単な食事とあんみつだ」  ヴィクトルは指折り数えた。 「いいじゃん」 「いいかな?」 「いいよ」  勇利はほほえんだ。 「デートって、どこに行くかじゃなくて、誰とするかじゃないかなって思う」  ヴィクトルははっとした。 「どんなにすてきなところでも、どうでもいい相手とじゃつまらないし、近所の公園でもコンビニでも、大事なひととなら楽しいよ」  橋へ差しかかった。勇利は愛情深い微笑をヴィクトルのほうへ向けた。 「ぼくはヴィクトルとなら、どこだって楽しいよ」  ヴィクトルはものが言えなかった。 「今日はいろんなところへ連れていってくれてありがとう。うれしかったよ」 「──勇利」  ヴィクトルは足を止めた。彼は勇利の手を握りしめ、明るく笑って提案した。 「ねえ勇利。今日だけじゃなく、ずっと恋人になろうか!」 「え?」  勇利がきょとんとした。 「そうだ。そうしよう。そしてまたふたりでどこかへ行こう。勇利も楽しかったんだろ? いいよね。ね、勇利!」 「…………」 「恋人になるともっと楽しいぞ!」  ヴィクトルの頭の中には、勇利を一層楽しませて、喜ばせなければ、ということしかなかった。勇利は、今日がすてきな日だったと言ってくれる。しかし、ヴィクトルは、自分は何もできなかったという気持ちでいっぱいだった。勇利に笑ってもらいたい。何か、何か──勇利のためにもっと。 「……やめとく」  勇利は優しく言った。 「……どうして?」 「べつにヴィクトルとなら恋人とかそうじゃないとか、関係ないよ」 「わかってるよ。勇利は俺に俺でいてもらいたいんだろ? 恋人になっても俺は俺じゃないか。ね!」 「ねえ、ヴィクトル」  勇利はやわらかい声でささやいた。 「ぼくはね、ヴィクトルのことが好きなんだ」  勇利の黒い大きな瞳が、きらりと輝いてヴィクトルを射竦めた。鋭い視線でもないのに、ヴィクトルはどきっとして動けなかった。 「だったら……」  勇利は笑って、ゆっくりとかぶりを振った。 「ぼくはもっと、真剣にヴィクトルのこと、愛してるよ」 「…………」  ヴィクトルのくちびるがふるえた。 「ヴィクトルが思うより、ずっと本気だよ」  何も言えなかった。このときヴィクトルは、勇利にキスがしたいと思った。今日は恋人なのだから、それくらいしてもよいはずだ。  勇利はもう一度にこっと笑った。 「帰ろ」  勇利がヴィクトルの手を引いた。ヴィクトルは押し黙って歩き出した。勇利は夜空を見上げた。 「一日だけヴィクトルの恋人だった日、だね」  そうつぶやき、彼は楽しそうにほほえんだ。  キスは、できなかった。  あの恋人としての一日は──あのデートは何だったのだろうと、ヴィクトルはそののちも、ときおり思い出しては考えた。自分はどうしてあんなに勇利に「恋人」という「ご褒美」をあげることが楽しかったのか。あの日、どうして洗練されたエスコートができなかったのか。どうしてあんなにも思い悩んでしまったのか。どうして──どうして勇利にこれからも恋人でいようと提案したのか。そして──なぜ、断られたことで、あんなにも──あんなにも──。  時が経ち、勇利を知るにつれ愛は深まった。愛が深まることで、ヴィクトルはあの日の答えを──理屈を説き明かすことができた。結局、「恋人」なんていう縛り方に意味はないのだとわかり、勇利が断ったのは、彼のほうが早くそれを理解していたからなのだとわきまえた。あのころのヴィクトルは未熟だった。勇利は愛を「愛のようなもの」としか認識していなかったが、それでも、十年以上もつちかってきたヴィクトルへの濃密な思慕は、人を愛さずに生きてきたヴィクトルよりもずっと成熟していた。  グランプリファイナルが終わり、勇利と別れたいま、ヴィクトルは無性に彼に会いたかった。いまなら勇利を、すてきなデートに連れ出せるのにと思った。あんなに不安定な、頼りないデートなどではなく──自信を持って。あの日のデートを勇利が「楽しかった」と喜んだ理由がいまならわかる。ヴィクトルだって、いまならあのデートを楽しむことができる。あのときのデートが「不安定」で「頼りなかった」のは、ヴィクトルが原因だ。ヴィクトルの気持ちが……。  バルセロナで、勇利とデートをした。あれはヴィクトルの中では正真正銘の「デート」だった。しかし勇利は、ただ思い出づくりのためにあの日を過ごしたのだろう。もう別れるのだからと。最後にせめてと……。もちろんこれはヴィクトルの想像だ。勇利としてはちがう思いかもしれない。しかし、少なくとも彼は、ヴィクトルと同じ気持ちではなかった。もう一度勇利を連れ出したい。いまなら──いまなら……。  呼び鈴が鳴った。ソファに横たわっていたヴィクトルはゆっくりと起き上がり、気の進まない様子で玄関まで行った。 「どなた?」 「あ、あの……」  ヴィクトルははっとした。彼は急いで鍵を外し、扉を押しのけるようにしてひらいた。 「あ……」  勇利がうれしそうな顔をして立っていた。 「ヴィクトル……」 「勇利……」  本物だろうか? 信じられなかった。ヴィクトルはぼうぜんとした。 「あ、あの、ぼく、ヴィクトルのロシアナショナルの演技を見て……」  勇利の頬が紅潮した。 「会いたくなって……いても立ってもいられなくて……」 「勇利」  ヴィクトルは夢中で勇利を抱きしめた。勇利がヴィクトルの背中に手をまわし、「来てもよかった?」とささやいた。ヴィクトルは無言で幾度もうなずいた。 「すぐ──明日には帰らなくちゃいけないんだ。でも、ヴィクトルに直接、すてきだったって言いたくて。それで……」 「今日はいられるのかい?」 「うん。ヴィクトル、復帰戦でいきなり優勝しちゃうんだからすごいね。でもぼくは信じてたよ。ねえヴィクトル、ぼく、ヴィクトルに『ご褒美』あげたいんだけど、どうかな?」  ヴィクトルは驚き、勇利の瞳をのぞきこんだ。勇利はいたずらっぽく笑っていた。 「今日一日デートしてあげる。どう?」 「勇利……」  ヴィクトルは勇利のかばんを室内に投げこむと、勇利の手を取り、「行こう!」と外へ連れ出した。  まず、自分の行きつけの服屋へ足を運び、勇利の服を買った。もちろん彼に着せたいブランドものだった。それから時々散歩する、好きな道へ行き、そこを手をつないで歩いた。そのあと、勇利が空腹だというのでお気に入りのレストランで食事をした。店を出ると、川のほとりに腰を下ろして身を寄せあい、何時間も語りあった。ヴィクトルはずっとはしゃぎきっていた。気持ちが完全に高揚していた。何をしたいのか、どうするのが自分にとってよいのか、そして何よりも、勇利がどんなことで喜ぶのか──彼はもうすべて承知していた。  お茶を飲み、ヴィクトルの好みの店で夕食をしたためたあと、橋を渡った。橋の途中でヴィクトルは振り返り、勇利を抱きしめてキスした。 「俺も勇利のこと、真剣に、本気で愛してるよ」  勇利はきららかに目を輝かせてうなずいた。もう「恋人になろう」なんていう言葉は必要なかった。ふたりにはお互いの愛情も気持ちもわかっていた。 「あのとき勇利、俺が簡単に言うから、本当は怒ってたかい?」 「ううん。ヴィクトルらしいなって思った」  一日だけ恋人になった日と、したことはほとんど同じだった。ちがったのは、ヴィクトルが強引に勇利の服を買ったこと、勇利にキスをしたこと、夕食まで食べて帰ったこと、そして……。 「何もしないよ。でも、そうしたいんだ」 「いいよ」  ふたりはその夜、服を脱ぎ、裸身になってただ抱きあって眠った。勇利の肌はあたたかく、微笑は優しく、吐息は甘やかで、ヴィクトルは勇利のことを今夜いちばん深く知ったと思った。 「勇利が次にここへ来たら……」  ヴィクトルはささやいた。 「『何か』は、するよ」 「うん」  勇利は笑いながらうなずいた。 「して」  彼のやすらかな微笑を、ヴィクトルはうれしくなってみつめた。 「楽しみ……」  勇利はそう言った。  翌日、ヴィクトルは勇利を空港まで見送りに行った。ふたりは手を握りあい、みつめあった。 「ヴィクトル、ありがとう。デート、楽しかった」 「俺も。最高のご褒美だったよ」 「またしようね」 「……しよう」 「ロシアまで、デートしに来たんだね、ぼく」  勇利は明るく笑った。 「来てよかった」  ふたりは別れ際、抱きあってくちづけを交わし、いとおしさを瞳で伝えあった。一日だけ恋人だった日よりも、もうずっと、彼らは愛しあっていたのだ。
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yoghurt-freak · 2 years
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熊本育ち 生ヨーグルト
4/1、らくのうマザーズさんの「熊本育ち」シリーズがリニューアル🎉
サンプル贈っていただきました、いつもありがとうございます🥺💕
リニ���ーアルポイント
プラカップから、環境負荷の少ない紙カップへ。
内容量は80gから100gへ🙌
フレーバーは以下3種。
生ヨーグルト
デコポン&ヨーグルト
ハニーローザと白桃&ヨーグルト
熊本育ちシリーズ
阿蘇山麓産の生乳&生クリームを原料に、5種の乳酸菌で1日以上かけてじっくり低温発酵。
乳酸菌が粘り物質をたくさん出してくれて、独特の質感に🤍
さらに一晩寝かせることでなめらかさとコクをUPさせてから充填するという、手間暇かかったシリーズ。
完成までに実に3日もかかるそう😳💦
乳酸菌の内訳は以下の通り。
サーモフィルス菌
ブルガリクス菌
クレモリス菌
ビフィズス菌
パラカゼイ菌
販売は九州域内で、今のところお取り寄せはなし。
スペック
「生ヨーグルト」っていい名前🤤💕
プレーン加糖タイプで、生乳80%。
青い牛柄が可愛い🐄
側面の説明も手書きっぽい感じでめちゃめちゃキュート。
ガラッと印象変わったなぁ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧ 開封 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧
おおおおおおおーーー🤍
きめ細かすぎて目の焦点が合わんぐらい!!
一切かき混ぜてない状態でトロットロの液状。
これが蓋にほとんど付いてないのに感動👏
スプーンですくうとツーっと細く糸のように垂れ落ちる。
こんな優しそうな見た目をしておきながら、やや酸味の利いた香りというギャップ❤️
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧ 頂きます🙏 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧
おいしい😭💕
このトロトロが舌に密着っ💕
濃厚なミルクを感じたかと思うと、あっという間に消えてゆく❄️
ミルキー極まりない味わいと、ヨーグルトらしい酸味のコントラストに拍手👏
かなーり重めのコクなんやけど後味はスッキリ。
このミタミタ感、他では出会えんミルキーさ、たまらんなぁ🤍🤍🤍
一見スイーツ系かと思いきや、甘すぎず深めの発酵味で攻めてらっしゃるのも最高!
ハイセンスヨーグルト。
前は80gでちょっと寂しかったんやけど、100gになってくれて嬉しい🥺
スプーン使わず、カップに口をつけて飲むように食べるのおすすめ。
口ん中にたくさん注ぎ込んだ時のムニュッと感が…🙈💕💕💕
============================ 無脂乳固形分 9.4% 乳脂肪分 3.5% ————————————————— 栄養成分(1個100gあたり) エネルギー 95kcal たんぱく質 3.5g 脂質 3.6g 炭水化物 12.2g 食塩相当量 0.1g ————————————————— 原材料名 牛乳(熊本県産)、砂糖、乳製品 ————————————————— 希望小売価格 120円(税別) ————————————————— 製造者 熊本県酪農業協同組合連合会 熊本工場 ============================
中身
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mutsumihirose · 2 years
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4/24(日) 三鷹おんがくのじかん (東京)
2022/4/24(日)三鷹おんがくのじかん
料金は自由となります。
https://ongakunojikan.com/2022/04/24.html
open/start 12:30/13:00
humming pipoo/ヨガポテト/手塚桃子/鈴木健太
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ライブ後記
二日間の初東京ライブが終わりました。1日目の試聴室の公演詳細ページにライブ前期を載せたので、後記は2日目のこちらに載せることにします。
それと、食べたご飯がどんなふうに美味しかったかは、また別の機会にしっかり書きたいなと思ってます!だからあえて美味しかったとしか表現していないグルメたちが沢山登場しますが悪しからず。
...............
 初めての遠征ライブ、せっかくなので1日前乗りして思いっきり東京を満喫した。行きたいところはたくさんあったし、ほとんど知らない街は歩いているだけでも興味が尽きなかった。例えば、東京の電車は運賃を1円単位で刻んでくる、とか。前来た時もへえと思った覚えがあるけど、そもそも久しぶりに来た東京だったので、改札を通って初めて思い出した。
 気付いたことの中でも特に大きな発見だったのは、「東京は大阪よりも緑が多い」ということ。東京は日本の首都で大都会なのに、街中にやたら緑がある。歩いても歩いてもどこかしらに緑が揺れている。一緒に泊まってくれた大阪出身東京在住の友達も激しく同意してくれたので、たぶん本当にそうなのだと思う。限られたスペースにも緑を植える心の余裕こそが東京マインドなんだなと思った。
 22日の朝にバスタ新宿に到着してから、新宿~代々木~渋谷区~北沢とそこそこの距離を一人で歩いて移動し、前乗り日の総歩行距離は約19キロ。我ながら元気だなあと思う。そう、私はかなり元気なんです。
 めいいっぱい歩いた分おいしいものもたらふく食べた。大学最初の夏に初めて東京に旅行した時に訪れて、お料理の美味しさとお店の洗練具合に衝撃を受けた場所、PATHのクロワッサン(5年振り)、フィナンシェ、そしてコーヒー。YeYeちゃんに東京のおすすめスポットをきいたら教えてくれた(というかそういえば一度ショートブレッドを分けてもらったことがあり、美味しいお菓子屋さんであることは知っていた)、sunday bake shopのチョコレートブラウニーとクッキー、衝撃の安さに惹かれて入った喫茶せざんぬの焼うどんとメンチボール定食(750円!)、前からずっと気になっていたMY PICNICのドーナツ、など。
 沢山歩いたとはいえ、目くるめく小麦三昧にさすがにお腹が苦しくなってしまう。午後9時を過ぎても、どう考えても美味しいご飯を美味しく食べれるコンディションではなかったので、晩御飯は仕事終わりに合流した友達と宿泊先のホステルで適当に済ませた。さけるチーズとあたりめ、そして昼間買ったクッキー。この、sunday bake shopのクランベリーカルダモンクッキーが抜群においしかった。なので少ない晩餐ながらも満足度上々。 
 銭湯でゆっくり湯船につかり、早めに就寝。
 23日朝、神保町試聴室でのライブ当日。ライブまで時間があったので浅草寺に行ったり周辺を散策した。
 浅草寺でお神籤を弾いたら大吉が出て嬉しかった。この上なく良いことしか書かれていなかったので晴れ晴れとした気分。お寺の前の観光街で売られていたおもちゃの犬がずっとけなげに鳴いているのを見て切ない気持ちになった。電池付き1890円とそこそこ安かったので連れて帰りたい気持ちが一瞬ぶわっと湧きあがったけど、冷静に考えてスーツケースにスペースがないしたぶん一時の気の迷いなのでやめた。
 写楽というたい焼き屋さんで手焼きのたい焼きを食べた。行ってみたかったお店に実際に行ってみて、おいしい!と思えるのはすごく嬉しいことだなと思う。お店の前で友達とたい焼きをかじっていると、法被姿のきれいなお姉さんが現れた。地元の人かなーと思っていたら、お店の人が「きょうこちゃんだよ」と教えてくれた。でもキョウコちゃんと言われても誰かわからないので首をかしげていたら「きょうこちゃんだよ。あの、はまぐちきょうこ」ともう一度お店の人が言った。
はまぐち、きょうこ?浜口、京子?浜口京子?あの?
 まさかの遭遇に友達とあたふたしていると、「写真撮ってもらいいなよ。いい子だから撮ってくれるよ」とお店のおじさんが笑った。実際、恐る恐るお願いしてみると二つ返事で浜口さんは写真を撮ってくださった。いい人だなあと思った。去っていく後姿を見ながら、友達と「めっちゃきれいやったな」と言い合った。
 それから、なんとなくタイ料理の気分だったので、近くのタイ料理屋を探し当て、歩いて行った。しかし着いてみるとまさかの定休日。仕方がないので行きしなにあった洋食屋さんでポークソテーの定食を食べた。美味しかった。タイ料理を食べたかった気持ちなんてすぐに忘れてしまったほどだった。隣のテーブルに座っていた男子大学生二人組がばりばりの関西弁で話していた。話を聞いている限り慶應生らしかった。東京っぽいなと思いつつ、どこの出身か気になった。大阪か、奈良か、京都か、兵庫か、和歌山か。なんとなく大阪か京都っぽいなと思ったけど、違うかもしれない。
 他に行きたいところもなかったし、ライブ前に活動しすぎると疲れそうだったので、そのあとは大人しく宿に戻った。残っていたクッキーをちょっと食べたりした。衣装を着て行こうか持って行こうかちょっと迷った結果、荷物が増えるのは面倒だという結論に至り、部屋から着て行った。
 地下鉄浅草駅から乗って九段下駅で降り、歩く。途中のセブンイレブンで揚げ鳥を買ったら、なぜかななチキもくれた。もうちょっとで時間になっちゃうので、サービスです、と言われた。コンビニでサービスとかあるんや、ありなんや、と思った。大阪では聞いたことがないけど、東京はあるんだろうか。いや、大吉効果かもしれない。
 ライブ終わり、見に来てくれていた例の友達とロイヤルホストに入った。遠征先でチェーン店というのはちょっと無粋な気もしたけど、時間も時間でまだ営業しているお店を探す方が億劫だったし、大前提としてロイホはどこでも美味しいので、入った。年末に神戸のロイホに行った時に初めて食べたカシミールカレーがかなり美味しかったことを思い出し、また食べようかなとも思ったけど、結局「国産豚と彩り野菜の黒酢ソース&雑穀ご飯」と「オニオングラタンスープ」にした。前者はお初にお目にかかるご飯で、後者はいつも食べる一品。パフェにも心惹かれたけど、翌日のライブ終わりにもし時間が許せば、絶対に資生堂パーラーに行こうと心に決めていたので我慢した。相変わらずロイホの料理は美味しくて、無難に大満足だった。チェーン店にはチェーン店特有の安心感がある。
 宿に戻ってすぐ、疲れた体を奮い立たせて銭湯に向かった。前日とは別の、ちょっと大きめの銭湯。結構混んでいて、みんな夜遅くまで頑張ってはるんやなあと思った。湯上りにガリガリ君温州みかん味を食べた。食べるたびに思うけど、ガリガリ君は求めているよりも甘く、量が多い。
 24日、おんがくのじかんでのライブ当日。なぜかグロテスクで猟奇的なSF風の夢で目覚める。最悪の起床。まだしばらく時間があったので二段ベッドの上でごろごろしていると、突然大学の履修登録をミスしたことに気が付いてしまった。前期の単位がゼロになる可能性が浮上。絶望感に駆られる。留年するかもしれないという憂鬱な気分で出発。朝ごはんは残っていたクッキーの最後の1枚。ご飯どころの心地ではなかった。
 新宿へ向かう電車の中で、実は履修ミスなんてしていなかったことに気付く。つまり、勘違い。心からの安堵と共に謎のパワーが湧いてくる。いい風吹いてるんちゃう、これ。やっぱり大吉は伊達じゃないわ。俄然やる気が漲ってくる。朝騒いでごめん、いけてたわ、と友達に連絡を入れる。しばらくしてから、ほんまやで!よかったな!と返信が来た。
 三鷹市は地図で見る限り、宿泊していた浅草からはかなり距離がある。遠いな、と思っていたけど実際に電車の時間を確認してみると意外にすぐ着きそうで拍子抜けした。東京は電車が速いし、イメージより小さくて近い。交通が発達しているだけかもしれないけど。
 三鷹駅に到着。いつもドラムをたたいてくださっているsenoo rickyさんにおすすめされていた三鷹ラーメンに行ってみようかと思うも、満腹では歌えない質なので泣く泣く断念。駅に入っていたパン屋さんでカヌレとパリ・クロワッサンなるものを買う。
 おんがくのじかんに到着してすぐ、そのはす向かい10メートル先くらいにフレッシュネスバーガーを見つけた。さっき買ったパンのことをすっかり忘れて、フレッシュネスに吸い込まれてしまう。クラシックアボガドバーガーとポテトSを注文。すぐに運ばれてくる。やっぱりフレッシュネスは美味しい。普段はアボガドバーガ―なんて頼まないけど、なぜかこの日は即決だった。東京に来てチャレンジ精神が旺盛になっていたのかもしれない。アボガドが思ったよりたっぷり入っていておいしかった。モスとかフレッシュネスはやっぱりおいしい。でもマクドも好き。あれはもう好きとか嫌いとかではない。
 お腹がいっぱいになって満足したので、気��をいれておんがくのじかんに向かった。
 ライブ終わり、アドレナリンと達成感でふわふわしながら電車に乗る。新宿に到着、友達と合流して資生堂パーラーへ急ぐ。さすが銀座、と言いたくなるような高級感あふれる雰囲気の建物。5年前に初めて来たとき、かなり緊張したのを思い出した。案内されるがままにエスカレーターで3階へ上がり、360度どこから見ても上品で格好いい紳士に導かれ、真ん中のテーブルにつく。メニューの冊子の重厚さにそれだけでどきどきしてしまった。色々と迷った結果プリン・アラモード・パフェにする。
 しばらくして運ばれてきたパフェは気品と愛らしさを兼ね備え、何とも堂々とした佇まい。バニラとキャラメルの層が発するオーラは完全に金色で、その中で色とりどりのフルーツがごく自然に輝いている。こんなのなんてことない、ごく普通の日常ですわ、とでも言いたげな苺やメロンやオレンジの定位置感。根っからの江戸っ子ってこんな感じかもな。どうだろう。イメージが先行しすぎているかもしれない。強いていうなら私はなにわっ子(by rickyさん)で、そんな私からすると江戸っ子と呼ばれる人たちは、さっぱりと気前がよくて度胸もある、いかした都会人、という印象。
 大事に、丁寧に、きらきらのパフェをいただき、その後は銭湯へ。帰りのバスまで時間があったので月島まで行くことにした。この最後の銭湯は今回浸かった3つの湯船の中で一番お湯が熱かった。地元のおばあちゃんたちに話しかけてもらい、しばしおしゃべり。きっちり髪を乾かしてから外へ出た。
 バスタ新宿に向かうにはまだ絶妙に早く、暇つぶしに近くのマクドナルドに入った。すっきり白ブドウとポテトsを購入後、壁に貼ってあったポスターに誘惑され、ベーコンポテトパイも買った。友達と二人、やっぱりマクドのパイはアップルパイが一番おいしいという結論にたどり着く。どうでもいい話と3日間の感謝を伝えて解散。
 一人新宿へ向かう。
 日曜の夜のバスターミナルには人が溢れていて、改めて東京って首都なんだなあと思った。バスの行き先を見ながら、仙台までバスで行ける距離なんだとしみじみ関東と関西が全然違う場所であることも再確認。しばらくするとバスが来たので、首枕と耳栓、アイマスクを手荷物に移して搭乗した。席は6列目のAで窓側。行きのバスで掴んだ、夜行バスでよく眠るコツみたいなものをゆっくりと頭の中でシュミレーションし直していたら、東京に来てから初めて、大阪が恋しくなってきた。バスが出発してしばらくは起きていたけど、気が付いたら眠っていた。草津と京都で一瞬目が覚めた他は殆ど熟睡。しっかり目が覚めた頃にはもう梅田だった。新幹線は確かに速いけど、バスだって別に速くないわけではないかもな、と今回の遠征を経て考えた。
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asukl · 4 years
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みんなでわいわい楽しめる鍋料理と九州の焼酎☆博多料理と旨い酒
どうもアスクルです🎵
 
先日、中野にある居酒屋さんに飲みに行きました🍺その居酒屋さんは、『博多料理と旨い酒』という名前のお店で、友人三人で飲みましたがとにかく盛り上がりました😂今回は九州出身の向山雄治さんと、同じく九州出身の船越さやかさん、よく一緒に飲んでいる新海沙織さんとアスクルで行きました🍀
きっかけは最近寒い日が続いているので、みんなで温かいものを食べられるお店ということで鍋料理となりましたが、意外と鍋の美味しいお店ってないものです😅そんなときに、向山さんから中野に美味しい鍋のお店があると教えてもらい行くことになりました👍向山さんは学生の頃に九州の美味いものを多数巡ったグルメな方で、九州と言えば美味しい食べ物が多く、鍋と言えばモツ鍋が有名なのでめちゃめちゃ期待していきました🍲
実際、オススメされた理由がはっきりと分かるほど美味しかったです😋『博多料理と旨い酒』はもつ鍋の専門店で、スタンダードな��油から少し変わったトマト味噌など、4種類の鍋がありました🎶折角なので、簡単に紹介していきます🌟
 
醤油
国産牛モツを使ったスタンダードな鍋で、人気の高い自慢の逸品🌟ぷりっぷりのモツにあっさりとしているスープが最高です😁
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参照元:https://kushiyaki-murayama-nakano.owst.jp/
 
トマト味噌
少し変わったトマト味噌は、濃いめの味噌にトマトの酸味が加わることで、味噌の深い甘味とトマトのさわやかな酸味が楽しめる新感覚のモツ鍋になります🌟〆にチーズリゾットにするととても美味しそうです🧀
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参照元:https://kushiyaki-murayama-nakano.owst.jp/ 
 
豚骨味噌
豚骨ベースの出しに味噌が入っていて、マイルドな感じでモツの旨味が堪能できます🌟トッピングの明太子を途中でいれるとアクセントになっていいです🍀
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参照元:https://kushiyaki-murayama-nakano.owst.jp/  
 
シビレ辛麻辣
ピリ辛な旨味とモツがマッチして、食べ始めたら止まらなくなります🌟お餅や山芋を追加して辛さを調整するといいです☺️スパイスは調整してくれるそうなので、少なめにしてあとから追加しても良いかもです🎶
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参照元:https://kushiyaki-murayama-nakano.owst.jp/
  
お店に行ったらモツ鍋は絶対に外せませんが、それ以外にも焼き鳥や馬刺しなど食指が動く料理がたくさんあります🍗そして、料理とセットで頼みたい焼酎も数多く、有名なものからあまり知られていないものまであります🍶
 
その中でも鍋にあう有名な焼酎で言えば、マイルドで甘めな口当たりで後切れがいい黒霧島や香りが甘くてどっしりとした味わいの赤兎馬はモツと相性が良くて箸も進みます👍個人的には、獺祭焼酎が好きですが日本酒に近いため、お酒が苦手な方は少なめにした方がいいです😅
 
 
ここで、ちょっとした豆知識ですが、日本酒の方が苦手という人は多いですが、アルコール度数的には焼酎の方が高いのです🍶では、なぜ日本酒の方が酔いやすいのでしょうか❓これは、日本酒と焼酎の製法の違いと飲み方の違いが原因となります👨‍🎓
日本酒と焼酎の製法の違いは、ざっくり言うと蒸留しているか蒸留していないかになります🌟蒸留している方が焼酎で、蒸留していない方が日本酒です🍀蒸留とはアルコールを気化させてから分離して再度液体に戻すことで、発酵に使う余計なものを取り除いて純粋なアルコールのみを抽出する作業となります☺️
そのため、焼酎の方がアルコール度数が高くなっています😄だから、焼酎は余計なものが入っていないため飲んだ後に分解しやすく、体に残りにくくなっているので酔いにくいのです👍逆にいうなら、日本酒は複数のお酒をちゃんぽんしているのと同じと感じであるので、アルコールを分解しにくいため次の日も残ってしまい、酔いやすいと思われています😂
もう一つの理由である飲み方は、日本酒は清酒と熱燗のどちらもそのまま日本酒を飲むのに対して、焼酎は水割りやロックなど割って飲むことになります🌟そのため、実際のアルコール度数よりは低くなっているため酔いにくくなります👍特に、日本酒はすっきりしていて飲みやすいですが、焼酎は最初はきついため氷がとけるまでゆっくり楽しみながら飲む人が多いので酔いにくいのだと思います🍀もし、日本酒とストレートの焼酎を同じペースで飲んだら、圧倒的に焼酎の方が酔いやすくなってしまいます😭
  
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話を戻しますが、今回飲みに行った博多料理と旨い酒はとても料理もお酒も美味しかったので、話もめちゃめちゃ盛り上がりました😁とても気に入ったので、レジにあったパンフレットを持ち帰りましたが、他にもラーメン屋さんや『酔っ手羽』という居酒屋のチェーン店を展開しています🍜その大元が株式会社プロジェクトMと面白い名前でしたが、沿革を見たらほぼ毎年新しい店舗を出店しているすごい会社でした🤩
企業理念が『今日も生きていることに感謝して、すべてのことにありがとう』という理念で、お客さんに喜んでもらえるように笑顔で楽しい場を作ることを大切にしているそうです🌟実際に、多くのお店を出店していることを考えると、本当にお客さんに喜んでもらっていることが分かります🍀
 
今回、一緒に飲みに行った向山さんも会社を経営していますが、感謝をとても大事にしていると聞いていたことがあります😆向山さんは、感謝が当たり前になってはいけないから、常に誰に対しても相手が期待する以上のものを提供することを心がけているそうです🌟お店を紹介してもらったこともそうですが、相手のことを考えて喜ばれることをしている方なので、格好良いですし本当にすごいと思っています😄
 
何でもそうですが、当たり前以上のものを提供することはすごいことです🌟飲みに行くなら美味しさ以上にもこだわりを持っているお店で、気の合う仲間とわいわい騒ぐのが楽しいですね🎵『博多料理と旨い酒』はまた来たいと思いました👍折角なので、次は『酔っ手羽』にも友人たちと飲みに行こうと思います😆
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geniusbeach · 7 years
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海南島記
一日目
海南の空は螺鈿色に湿っていた。私が海口(ハイコウ)に到着したのは夕暮れ時で、それは街が最も騒がしくなる時間帯であった。空港から延びる道路にはわずかの隙間も空けずに車が並び、クラクションがひっきりなしに鳴らされる。私が乗る車も同様、運転手がそれに負けじと鳴らす、詰める、怒鳴る。その横を、日本で言う「原付」型の電動自転車が列をなして通り過ぎ、屋台では店番の女が電話に向かって何事か喚き散らす。笠を被って自転車に乗る果物売り、地べたに座り込む男たち、商店の前で遊ぶ子ら、通りを行き交う人々、その生活のすべてが喧騒に満ちていた。ただ、亜熱帯特有のねっとりとした甘ったるい空気と、何とも言えない暖色の空がそれらを包み込むことで、雑多な街にも不思議な円みがあった。
渋滞とともにのろのろと市街中心部へ移動し、ホテルにチェックインする。その後レストランで夕食だ。円卓でイノブタ、ハト、ガチョウ、アヒル、空心菜、牡蠣、麺など様々な中華料理を食べた。アヒルが一番うまかった。小ぶりな茶碗に入った白飯は日本のものと大差なかったが、箸は先が尖っておらず、さながら細い木の棒のようだった。たらふく食べた後はしばし町をぶらついた。ぎらつくネオンが私の目を刺す。やはり中国だ。見慣れない漢字が多く、一部は読めるが発音ができない。サービスセンターを意味する「服務中心」など、簡単なものだけわかった。まるでパラレルワールドに迷い込んだかのような感覚に陥る。幹線道路沿いを歩いていったが、ほとんどの店が夜遅くまで開いていた。というより、商売っ気がなく売れないので、起きている間中開けているというべきか。店内の黄色がかった薄暗さは、ちょうどそこで働く人の肌の色に似ていた。なんとなく遠い昔を思わせるような、谷崎潤一郎が言うところの「玉(ぎょく)」の色だろう���。その前を電動自転車が歩道も車道も関係なく我が物顔で走り回る。さらに逆走もする。無音なので普通に危ない。そういえば昼間には子供が三人乗りしていた。もちろんバイクも走ってはいるが、それに比べて数が少ない。この電動自転車の普及のせいで、島民の肥満化も問題になっているとか。
ホテルに戻った。ナントカ大酒店という名前だ。中国のホテルは飲食屋でもないのに「飯店」とか「酒店」とかいう。食事は「菜」というそうだ。部屋はかなり広かった。バスルームも綺麗だ。そのぶん値段も高いが。煙草を吸ってから、中に置いてあった「椰树」という名のかすかに甘いミネラルウォーターを口に含み、バスローブにくるまって寝た。
二日目
ホテルの朝食はバイキング形式だった。色々食べたが、フォーのような麺が一番気に入った。言えばその場で茹でてくれる。パクチーやピーナッツ、味噌、細切り肉を入れて食べるのだが、うまいので2回もおかわりした。この日は会合に陪席してから、レクチャーの記録写真撮影を行った。同行者、というよりも随行させていただいている方々とともに壇上で紹介されたのは想定外で、分不相応の扱いに緊張をする。昼飯を済ませ、会議を継続。仕事を終え、地域の様子を見に行く。巨大なアパートの共用部分で麻雀やおしゃべりに興じる老人たち。なかなか活気があった。しばらく歩き、萬緑園という緑地公園へ。民主・富強・文明・和谐・自由……というスローガンが書かれた看板や文字のモニュメントを道中のあちこちで見かけた。主張が強い。道には、おそらく春節用に建てられた大きなオブジェが打ち捨てられていた。赤地に黄色い文字。読めそうで読めない。張りぼてがむき出しになっている。そこには何か私を強く惹きつけるものがあった。置いてけぼりになるのも構わず、しばらくじっと眺めていた。そしてふと周りを見渡せば、街中の色んなものが赤かった。共産主義社会を肌で感じた午後だ。
夕食を取るため、小さな島に渡る。めちゃくちゃに広いレストランだった。歓迎会などというやさしい表現で済めばよかったのだが、やはり例によって白酒の洗礼を受けることに。乾杯の発声と同時に全員のショットグラスが空になる。一瞬、咽��が焼けるように熱くなるが、後味に不思議な爽やかさがある。乾杯はこれで終わりではない。今度は全員の席を回り、向こうは歓迎の挨拶代わりに、こちらは謝意を込めて一杯また一杯と飲み干す。そして、隣り合った人々とはこれを気の済むまで繰り返し、会話の折々に煙草を勧め合うのだ。私は下戸なのでこの儀式にはほとほと参ったが、なんとか六~七杯で勘弁してもらい、青島啤酒に切り替えて難を逃れた(逃れてない)。そうして一息入れようと、もらった煙草に火を付けた。フィルターには「珍品」と書かれていた。
ちなみに、こちらでは食事の初め、各々の小皿に醤油を注ぎ、輪切りの唐辛子、パクチー、刻んだニンニクを入れ、金柑のような小さい柑橘類を搾って好みの調味料をつくる。味の足りないものはそれで補うのだ。ウズラのまる茹でやら海藻入りのすっぱいスープやら、ヤギ、豚、鶏、特産のピーナッツ等が出てきた。全部うまかったが、酒を飲んで以降は味もヘッタクレもなかった。赤くなった私の顔を見て、皆はしきりにスープを飲めと言った。帰りのことは良く覚えていない。とにかく酔っていた。日本人には酒が飲めない人が多いらしいね?と聞かれ、それは私だと返す。白酒はきついが花のような香りがしたと言うと褒められた。ホテルに戻って「中華」という煙草を買い、部屋で吸った。うまくはないが、旅行中はこれで足りるだろう。腹が膨れて苦しかったが、落ち着くために茶を一杯飲んで寝た。
旅について思う。自分をポケットに入れて旅に出る。旅する身体には普段とは違った意識が宿る。というのも、見知らぬ土地を歩く時、 人は積極的に自身の位置を探ることで、次なる一歩、それもその場において適切な一歩を踏まねばならないからだ。個人的な目的を設定し、それを達成するために地図を広げ、標識を読み、道を尋ね、馴染みのない言語文化に全身を投じて彷徨う。それはまだ見ぬ自分への巡礼なのだ。……
三日目
朝に海南島の田舎、澄萬(チェンマイ)に移動。昼から飲むことに。横に座った男がやたらと酒を勧めてきたが、聞けば現地の医者だという。飲めないという言い訳はなぜか通じない。野郎ばかりの狭くむさくるしい部屋で豚とヤギの鍋をつついた。あまりに大量の肉。山ほどパクチーを食べ、ビールも飲んだ。途中、福山(フーシャン)珈琲に立ち寄ってブレイク。コンデンスミルクを大量に入れて飲むのが東南アジア流だ。少々粉っぽく、八ツ橋のような味がした。亜熱帯気候の海南は日中ずっと暑いので、昼休みが2時間半ほどもあるらしい。そのせいか、福山珈琲館にいた客はしばしの休憩でくつろいでいると言うよりも、椅子の上にグダーっと伸びてひたすらダラダラしている印象を受けた。
ここの環境は良い意味で適当で大らかだ。どこでもタバコが吸えたり、店員がお釣りをちょろまかしたり、交通警官が飲酒運転を黙認していたり、原付が歩道を走っていたり、日本で生活している自分からするとありえないことが多い。しかし、人々は皆楽しそうで、私自身も日本のように気疲れすることは少なかったように思う。なんというか、町中に散らばった漢字の看板も相まって、そこには古き良き時代という言葉がぴったりな気がした。人々と同じように、ほんの少しだけ歩く速度をゆるめるだけで、普段とは違った景色や時間の流れを味わえることに気づく。せかせかした日々を送る私たちだが、ふと立ち止まって空を見上げたり、仕事中でも遠くの緑を眺めたりしてみるといいのかもしれない。忙しくとも気持ちだけはゆっくりいこう。
次の目的地までの移動中トイレに立ち寄ったが、小便器の前にはこう書かれていた。「向前一小歩 文明一大歩」。世界中どこでもメッセージは同じなのだ。ちなみにこちらのトイレでは紙を流してはいけないことになっている。簡単に詰まるからだ。使用済みのものは目の前のくずかごに入れる。紙がない場合、シャワーヘッドが壁にかかっていることがあるが、言わずもがなそれで洗えという意味だ。そして、紙もシャワーもない場合は、単に絶望だ。一度そういうトイレに遭遇したが、同行者からティッシュをもらって助かった。日頃からカミに感謝しよう。
昼過ぎに、福山近くの黄竹村へ。家々の扉には旧正月の名残で倒福がかかっていた。家の前でおしゃべりをする高齢の女性たち。子供もおり、のどかな雰囲気だった。しばしの滞在の後、海南島の最高峰である五指山近くの町へ向かう。午後四時。運転手が中華ポップをガンガンかけながら飛ばすので車内からは悲鳴に近い声が上がったそうだが、私は心地よく眠っていたので知らない。目を覚ますと山道に入るところだった。道幅が狭くなるものの、相変わらず運転は荒い。と、右前方の道端で巨大なタンクローリーが横倒しになっているのが見えた。崖がごっそりとえぐれており、デペイズマンかと思うほどすごい絵だった。警察はまだおらず、運転手と見られる男が乗員とともに困り果てた顔をしていた。これは大事故だ。と思う間もなく、私たちはビュンと通り過ぎた。運転手はあまり驚いていなかった。きっと日常茶飯なのだろう。私たちは無事に山を越えられるだろうか。
日が暮れてきた。相変わらずくねくねとした山道だが、車同士が容赦ないスピードですれ違う。出発から二時間が経とうとしていた。さっきから少し車のスピードが落ちてきたように思う。安全運転にシフトチェンジしたのかと安心するも、何か変な音がすると運転手が言い出す。確かに坂続きで馬力がなくなってきているようだ。そうこうするうちにヘッドライトの先だけが道となり、不安を抱えたまま夜へと乗り入れる。なんとかなるだろうと思っていたものの、いよいよ異音が大きくなる。そうして急カーブに差し掛かったところで、車は静かに止まった。一度降りて様子を見るのかと思いきや、最初の悪い予感が的中する。どうやら故障したようだ。同乗者がすぐに助けを呼んでくれたが、町からは相当な距離がある。途方にくれた。とりあえずあたりの木の枝を折って車の周辺に置くことで停止表示板の代わりにし、安全確保のため路肩に避難する。蚊がぶんぶんとうるさい。聞けば、ここらへんの蚊は昔マラリアを持っていたらしい。今ではもう終息したそうだが、やはり気は抜けない。手を振り回したり、煙草を吸って身体に吹きかけたり、タイガーバームを塗ったりした。そんな絶望的状況から約一時間半後に救援車が到着。なんとか闇のジャングルから脱することができたが、運転手はレッカーを待たねばならない。後から聞けば、彼が帰着できたのは午前零時を超えてからだったそうだ。
さて、私たちが五指山麓の町に着いたころには午後九時を回っていた。出発してからざっと五時間以上かかったことになる。ホテルにチェックインして部屋のカードキーを受け取ったが、錠の反応がなかった。フロントで入れない旨を伝えようとしたが、スタッフは困った顔をしている。仕方なく紙とペンで偽中国語筆談を試みようとしたところ、英語の通じるスタッフが一人いたのでなんとか解決できた。こちらではほとんど英語が通じない上に、たいてい中国人と勘違いされるせいで怪訝な顔をされる。海外からの観光客が少ないせいか。
レストランで遅い夕食を取る。ここでもやはり白酒だ。終わることのない乾杯に、謝謝!と杯で応える。もうどうにでもなれといった感じだ。だがやはり途中で青島に変え、限界がきたので最後には茶を飲んでいた。薬酒のような茶色い酒も飲んだが、口に合わなかった。料理は、薄いオムレツ、ヤギ、鶏、菜心、ピーナッツなどが出た。炒め物を口にした時、ゴリッという音がしたので出してみると、それは鶏の頭だった。くちばしも付いている。トサカだけ噛みちぎって食べた。脂っぽい。食べられるものは何でも食べるんだなと思った。こちらに来てからは毎食、食べきれないほどの量で料理が出てくる。残すのは嫌なので無理にでも詰め込もうとしたが胃袋には限界というものがある。食後にしゃっくりが止まらなくなった私に、同行者は、これはもてなしの表現であり中国の文化であると教えてくれた。また、皆食事中に煙草を吸い、互いに勧め合っていたが、それも慣習であることを知った。灰皿がない席では、吸い殻は床に捨てていた。相手方のうち一人が酔いつぶれたので、助っ人にホテルまで送ってもらった。べろべろになりながらも、貰った煙草に火を点け、人間の生について考えた。
四日目
朝、ホテル近くの市場を見に行く。果物を売っていたり、路上で占いをしていたりと、活気がある。道では放し飼いにされた犬がじゃれあっていた。檳榔売りもいて、歩道にこびりついた血のような赤い点々はそれが吐き捨てられた跡だった。町を出発し、五指山中へ。五指山市は中国で唯一の貧困都市で、特に山間部の村が貧しいということを聞く。途中で車を降りると、山頂が雲に隠れているのが見えた。少数民族である黎族(リー族)の村へ赴く。同行者が、土地の名物だという竹筒入りの炊き込みご飯を村人から買っていた。熱帯植物の生い茂る山道を進む。家々の扉には未だ福(倒れていない福)の赤い紙が掛かっている。途中、飯屋に立ち寄りイノブタと菜心を食べる。村は最近観光開発が進んだことで、麓と展望台をバスがひっきりなしに往復しており、ラフティング等のアトラクション施設もあった。鶏は放し飼いにされていて至る所にいたが、人の姿はほとんどなかった。仕事のために山を降りているのだろうか。家の前には農具が散らばっていたり、材木や乾物、ぼろぼろのトラックが置かれていたりする。乱雑ではあるが、今の日本が忘れてしまった、アジアの穏やかな昼間があった。
山を降り、昨夜と同じレストランで夕食。白酒はそこそこにして、後はビールで勘弁してもらえた。こちらの熟鮓を食べさせてもらう。少々クセはあるが、日本のものと似ている。日本酒があればいいのにと思った。豚のしゃぶしゃぶのようなものと海藻入りのスープを食べる。スープは酸っぱく、辛い。しかしトムヤムクンとはまた違う。味わったことのない味。料理は全体的に油が多く、それでコクを出しているといった印象だ。日本でいうダシの代わりだろうか。食後、オーナーのトウさんが身振り手振りで電話番号を教えろと言ってきた。また連絡するから、とのこと。連絡をくれたとしてもどうやってコミュニケーションを取れば良いのかわからなかったが、なんとなく面白かったので、番号を名刺に書いて交換した。トウさんは人の良さそうな兄ちゃんで、たぶん同い年くらいだ。奥さんも子供もいて、手伝い半分世話半分で店内をうろうろしていた。
腹ごなしに町をぶらつく。最初に比べ、黄色い街灯やネオンも心地良くなった。明日で最後かと思うと少し寂しい。カバン一つで来たが、叶うなら滞在を延長したいと思った。名残惜しさを噛み締めつつ、橋から川を眺める。紫、赤、白、黄の灯りが水面に反射し、サイケデリックに揺らめいていた。
五日目
朝、昨日買った竹筒入りのご飯と鳥の足の唐揚げを食べる。うまい。五指山からまたも五時間かけて海口へ戻り、海口の旧市街を見に行く。石畳が敷いてあり、ヨーロッパの古い都市を思わせる町並みに驚く。ここは文革でも破壊を免れたそうだ。洋風の建物を良く見ると、その壁に書かれた文字が全て中国語なので不思議な印象を受ける。中洋折衷だ。なぜか道端のいろんな場所にココナッツが置いてあった。特産超市(スーパー)には民芸品とともにドリアンが並んでいた。資料館で町のジオラマや歴史年表を見た後、昼飯に豚の内臓入りの麺を食べた。地元ではポピュラーな料理だ。こちらに来てから食べ過ぎのせいで顔がむくんだ。体重も2kg増えた。しかし飯がうまいのだから仕方ない。好き嫌いが少なくて良かったと思う。
海南の気温は2月でも30℃近くあったが、この日は雨が降り10℃台まで冷え込んだ。私はシャツにジャケットを羽織って終日過ごしたが、町ではダウンを着た人をよく見かけた。どうやら、一年中春のような気候のせいで海南人は寒さにかなり敏感なようだ。滞在初日、厚手の服を売っているお店の前を通りがかった時には、こんなもの一体誰が買うんだと思っていたが、案外需要があるもんだなとそこで納得した次第だ。
さて、もう日本に帰らねばならない。海口の空港で土産を買った。真空パック入りのサラダチキンのような鳩肉と鶏足の揚げ物だ。店員に英語で値段を聞くとなぜか爆笑された。無言でレジに表示された数字を指差す。別の店で煙草も買ったが、無愛想なジェスチャーで釣りがないと言われた。面倒なのでいらないと答える。行きと同じく広州経由の便に乗る。海南よ、さようなら。飛行機の中で、萬緑園に放置されていた、夢の跡のような春節の残骸を思い出した。
後記
この旅行記は、平成29年2月20日~24日の出来事を、約一年の期間を経てから綴ったものである。旅の主な目的は仕事であったため、内容には多少のフィクションも含まれている。
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koshikundaisuki · 5 years
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腐女子でバスツアーに行った話
事の始まりは薫子さんからのラインだった。
何やら概要をまとめた画像の後、「来るよね?」と私の意思がすでに決まっているかのようなメッセージが届いたのだ。
薫子さんに「来るよね?」と言われれば私は「行きます」としか返せないが、念のため概要に目を通す。
『腐女子バス旅行~続きは地獄でどうぞ~』
一泊二日、人数は未定。
参加条件をクリアしているし、何よりこんな楽しそうなこと逃したら一生後悔するだろう。
二つ返事で「行く行く!!」となったわけだが、冷静に考えるとバスツアーを組むってなに?
「バスツアー」と聞いて何を思い浮か��るだろうか。一般的にはクラブ●ーリズムのような乗り合いバスツアーをイメージするのではないだろうか。あるいはオタクであらせられる皆様であれば、推しと(同担オタクと)行く例のああいったイベントを思われるかもしれない。
薫子さんは断固として言った。「バスは貸し切りで行く」
バスを個人で貸し切りにしようと言い出した人間を、私は彼女の他に知らない。
探せばいるのかもしれないが、少なくとも私の周りにこんなアグレッシヴなオタクはいなかった。
不安を抱く私をよそに、薫子さんは秒でライングループを組み、その中に次々と仲間を放り込んでいく。続々と増えゆくオタク達。まるで伝説の漁師を見ているようだった。
その間にも彼女は旅行会社に連絡して見積もりを取り、宿と日程が決まるとメンバーの名前やジャンル、人見知り度やアレルギーなどを聴取し、部屋と座席表を組んだ。
地雷や人見知りを配慮した完璧な表だった。
前日、「おじさん(平夜のこと)、このメンツで人見知り優勝だから寝る部屋選んでいいよ」と希望を聞いてくれたときは大層感激した。
大人の人見知りなんぞは本人の問題であり、それを他人に何とかして欲しいなどというのは甘えなのだ。自力で何とかしろ。
と、他人に対しては強気で言う癖に私はどこまでも自己中であり、かつこのバスツアー、何とはじめましての人が大半を占めていたので「ふえぇ、やっぱり怖いよぉ」とベソをかいていた私はこの盛大な配慮には頭が下がるのだった。
さて当日、増えたり減ったりして最終的に21人になったバスツアー。行き先は群馬県・水上町。以前バンジージャンプやキャニオニングをしに行ったことがあった。どんなところかと言われると……まあ自然が豊かないいところだったよ。
待ち合わせは朝7時45分、新宿。もうすでにバスは来ていた。もっこりたけのこ観光バス。夕凪事務所様。何かの暗喩か?
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聞いていた話では座席が新幹線のボックス席のように回るということだったが、席が動くのは後部座席だけであった。コの字に設置された後部座席はロケバスのようだったし、最後尾センターにドッカと座る薫子さんを見るとベルベットルーム(P4)のようにも見えた。
私は酔いやすいため、バスの前の方にしてもらっていた。
配給された酔い止めを飲み、席に着く。隣はむぎさん(赤このの民。顔がとても小さく、ついこの前まで住居不定だった。この日は保険証がなかったので一番お金が入っているというクレカを持参)(顔に似合わずやることがワイルドすぎる)。
おやつを持参していた私達はおやつ交換をしながら銘々旅を楽しむことにした。
デカいマーブルチョコと、ハッピーターン。むぎさんはじゃがりこと純露、そして「奉天(ほうてん)」というお菓子を取り出した。
奉天をご存じだろうか。おこしのような、かりんとうのような物を飴で包み、輪切りにした素朴な和菓子だ。私はこのときはじめて名前を知った。
「ババ菓子なんだけど…」と照れくさそうにはにかむむぎさん。じゃがりこはともかく純露と奉天を前に「そんなことないよ」とは言えなかったが、こんなに可愛い顔をしてババ菓子を求めるむぎさんのギャップがたまらんかったので私はにっこりした。
なんとむぎさんは奉天を求め、スーパーを数店はしごしたのだという。
「でもなかったから九州で買ってきた」
「きゅ、九州まで!?これは噛まずに舐めるんですか」
「噛まなかったら奉天の良さがわかんないよ!!!!(突然の力強い声)」
「ひぇっ、噛みます」
そのうち車内では薫子さん指導の下、いかれたメンバー紹介が行われた。
1薫子さん:主催。ボブの綺麗な顔の男に狂わされがち。後先考えずに行動する。ジャンルはHQ、ホラー等
2夕凪さん:事務所社長。おちんちんの擬人化。酔っ払って死にかけたことがある。ちなみに平夜とはじめて会った夜も血まみれだった。ジャンルはHQ、2.5等
3あゆみさん:心やさしき戦闘民族。ショートケーキを爆発させた前科有り。平夜のことをいつも無自覚に傷つけるのはこの人です。ジャンルはLDH
4ちはやさん:スピードラーニングのプロ。はじめて付き合った彼氏は地元のヤンキー。ジャンルはアイナナ、A3!
5えむさん:事務所の敏腕マネージャー。いつも幹事とかしてくださる。授乳が大好きな社畜。ジャンルはアイナナ、A3
6ゆずきさん:コミュ強のギャル。すぐに童貞を惑わす。目が悪いので何も見えていない。ジャンルはHQ、アイナナ
7平夜:僕。ジャンルはHQ、群サイ
8Hさん:中央線をアイするサブカルオタク。ブロッコリー農家で働いていた過去がある。ジャンルはHQ、コナン、刀剣
9こと沙さん:兵庫のかわいこちゃん。たぶんコミュ強。顔が可愛いんだよなぁ。本当に可愛かった。ジャンルはHQ
10かほさん:浪花のナンパ師。すぐ可愛いねって声かける。フットワークが軽い。褒めの天才。ジャンルは弱ペダ、A3!、WJ
11むぎさん:こうしくんを惑わす傾国の美女。ジャンルはHQ、2.5
12シュウさん:セルフネイルの達人。すぐにえむさんの彼氏面をする。腕が自撮り棒より長い。ジャンルはHQ、グラブル、あんすた
13叶えるさん:めちゃくちゃ色が白い。長谷部とじいやの感動物語がある。ジャンルは刀剣
14ぐぐさん:ショタペドおじさん。次回のハイステに推しがでる。生きよ…。ジャンルはHQ、刀剣
15:山村さん:飲酒オタク。ジャンルは日本酒。そばアレルギーだと思っていたが違った。ジャンルはヒプマイ、韓ドル
16アネさん:調子にのるとすぐ酔っ払う。「あたしは大丈夫やねん」全然大丈夫じゃない。ジャンルは群サイ、ヒプマイ
17つゆみさん:すっとこどっこい。ドラミングしてたら胸元のビジューが飛んだ。ジャンルはピプマイ
18さまたさん:高学歴のポンコツ。ハンドクリームと間違えてコチュジャンを塗る。ジャンルはLDH、政治
19よねさん:おっとりとした口調で包丁を振りかざす かわいそうな社畜。ジャンルは韓ドル、コナン
20はるさん:フットワーク激軽オタク。狂ってしまい、100回くらい入国している。ジャンルはうたプリ、刀剣
21差さん:ストイックFBI。何やらせてもできる。施設の壁をよじ登って怒られた。ジャンルはコナン
コナンジャンルは三人いるが「混ぜるな危険なので」とアナウンスが入り、車内はざわつき、緊張感が走ったが、結論から言うとみんな理性のある大人達だったので何も起きていない。
むぎさんはこうしくん(でふぉめすがぬいを指す)を抱っこしたりしきりに可愛がってくれ、挙げ句「うちに来る?」と美しく微笑んで誘惑してみせるので恐ろしかった。
平夜「い、いかないよ…!こうしくんは僕のうちのコなんだから…」
むぎ「え?でもこうしくんは来たいって言ってるよ?ね、こうしくん」
(頷くこうしくん)
平夜「言ってないでしょ…!こうしくんは地元と変わらない自然豊かな環境(平夜の家)で暮らすのが一番いいんだ…」
むぎ「でもこうしくんは●●市より港区がいいよね?」
(頷くこうしくん)
平夜「!? ぼ、僕の家の裏にはベリー園があるよこうしくん!」
むぎ「こうしくんはベリー園より叙々苑のが好きだよね?」
(頷くこうしくん)
平夜「はわわ…」
最後の方は本当にむぎさんにメロメロになっているように見えるこうしくんを「そりゃ私だって●●市より港区に住みたいしベリー園より叙々苑で焼き肉を食べたい。なんなら私の方がお前よりむぎさん家のコになりたいんだからな!」と睨み付けるのだった…。
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⬆️むぎさんに奉天をもらってご満悦のこうしくん
さて、最初の目的地は「たくみの里」だ。名前が最高にいいと思わんか。心なしか空気も澄んでいるように感じた。確認はしてないがパワースポットだったのだと思う。
ここではうどん作りが体験できるそうだ。
早朝から行動している私達はこの時点で極限まで腹が空いており、「もう売ってるやつ食わしてくれりゃそれでいい」という声もあちこちで聞こえた。
小屋の中に入る。学校の陶芸室のような空間であった。無骨な木の机が6台配置されており、そのうちの一つでカップルらしきうら若き男女が一足先にうどんを作っていた。
私は即座に「可哀想…!」と叫びそうになった。彼らがどれほどの仲なのかは想像するしかないが、オタクの大群に周り囲まれても自分達だけの世界に浸っていられるようなタイプの強カプにはとても見えなかった。
何ならうどん打ってる姿はそんなに楽しそうにも見えなかったし「ねぇこれどっちが計画したの?」と問いただしたくなるくらいには二人とも“無”の表情を浮かべていた。
一方バス空間から解放されし我らは己の自由を叫ぶかのように、与えられたボウルの中の粉に水をぶち込み、一斉に手を伸ばしてタネをまとめた。
ぽろぽろしかった粉はやがて一つの大きな団子となり、おばちゃんの手によってビニールに詰められた。
「一人50回踏んでちょうだいね」
各所ではじまる軽快なステップ。思い描いていたうどんづくりがはじまる。水の配合を間違えられて作り直しを強いられるチームも在れば、うどんを踏みながらドラミングを披露するチームも在った。もしかしてこのチーム同じチームか?全貌は把握できていない。何しろ21人いるのだ。これは弊社の社員人数より多い。つまりこのバスツアー、社員旅行より規模がでかいのである。
私達のチームは各々が50回を踏んだ後「もっと踏みたい」ときゃっきゃしながらもう50回くらい余計に踏んだ。それらは台の上において丸く伸ばされるのだがこれがなかなか難しい。うどんは弾力があり、のし棒を転がしてもすぐに戻ってくるのだ。うどんに帰巣本能があることを初めて知った。
うどんはその後斬首刑に使われそうな感じの包丁で等間隔(が理想)に切られ、「あとは私達に任せな!」というようなニュアンスのことをおばちゃんに言われて作業が終了した。
作業場の横には飲食スペースがあり、こちらで打ち立てのうどんを食べさせてくれるようだ。販売している普通のうどんもこちらで食べるようで、私達の他にも多くの客がうどんをすすっている。先ほどまで一緒だったカップルも入れ替わるようにうどんを食べ終え、退室した。虚無なカップルに幸あれ。
うどんには天ぷらがつけられるそうで、かぼちゃ、まいたけ、なす、山菜?(興味がない食材だったので忘れた)から選べる。エビやイカが食べたかったが山の中なので諦めてかぼちゃにした。まいたけと迷ったが、かぼちゃにした。後から他のおともだちが食べている大きなまいたけの天ぷらを見て選択ミスをしたことに気付いたが後の祭りである。
さてうどんはザルに乗り、大変美しく涼しげな姿で運ばれてきた。歓喜の声をあげながら一口。
「……最後に追加したあの50回が利いてるのかな?」「踏みすぎたね」「歯ごたえすっげ」
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思った食感とは異なっていたが、空腹に加え、自分達の手と足でつくりあげたうどんだ。おいしいおいしいとあっという間に食べきった。天ぷらも美味であった。中にはこれから川遊びをするのにビールを煽る姿もちらほらと見受けられた。
すぐに「うどん粉に何か他の粉混ぜました?」とおばちゃん達を疑いたくなるほどの睡魔に襲われ、少しだけ仮眠を取ってから店を出た。
次の目的地へ向かうべく、一同は再びたけのこ観光バスに乗り込むのだった……。
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sorairono-neko · 5 years
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きみの過去がどうしても
 勇利のことは、深くではないけれどなんとなく知っていて、自分のファンだということもわかっていた。声をかけたのは、グランプリファイナルで最下位になり、落ちこんでいるのではないかと気遣ったからだ。喜んでくれると思ったのに、傷ついた顔をしてどこかへ行ってしまったから気になっていた。自分の何が悪かったのかわからなかった。だから、バンケットでは最初から彼に注目していて、できればもうすこし言葉を交わせればいいなとなんとなく考えていた。何かきっかけがあれば、と思っていたのに、勇利はあっという間に酔っ払って、ふらふらしながらヴィクトルに近づいてきた。そのあとのことは、スケーターたちのあいだで語り草になっている通りだ。  ヴィクトルは楽しかった。ダンスバトルも、あんなにまじめそうに見えた選手のうちとけた態度もよかった。最後に「うちに来て」と誘って、「びーまいこーち」と言ってくれたのがいちばんすてきだった。コーチになりたいとか、その可能性を明確に考慮したとかそういうことより、ただ、「貴方が必要です」と求められたことが、このうえなくうれしかった。ヴィクトルはすっかり舞い上がり、人にべたべたとくっつかれるのなんて好きではないのに、そしてそういう気配のある者のあしらい方なんて心得ているのに、勇利を振り払うことができなかった。かえって自分のほうから彼の腰に手をまわし、にこにこ笑っていたくらいだ。 「ヴィクトル……」  勇利はとろんとした目でヴィクトルをみつめた。 「なんだい?」 「ヴィクトルもさあ……、そんな澄ました顔してないで……」  勇利はヴィクトルのネクタイをほどき始めた。他人にそんなことをされたのは初めてだ。ヴィクトルはびっくりして、ますます胸がどきどきしてしまった。 「もっと、楽しんだほうがいいよ!」  勇利はほどいたネクタイを、自分がしているのと同じようにヴィクトルの頭に巻きつけ、丁寧に結んで、「似合う似合う」とはしゃいだ。 「そうかい? 似合うかい?」 「うん!」  ヴィクトルは勇利と手を取りあい、そのあとも浮かれ騒いで、恥知らずなバンケットを経験した。連盟の人間たちが眉をひそめているのはわかっていたが、まったく気にならなかった。ヴィクトルは飲んだ以上に酔い、これまでになかったほど声を上げて笑った。 「部屋に戻らなきゃ」 「うん」  勇利はこっくりうなずいた。 「ヴィクトル酔っ払って心配だから、ぼくが送っていってあげる」  ヴィクトルは目をまるくした。ヴィクトルの何倍も勇利のほうが酔っていた。でも、断る手なんてない。 「ありがとう。よろしく頼むよ!」  クリストフの冷やかすような視線を受けながら、ヴィクトルは勇利と互いにもたれあうようにして会場をあとにした。勇利はおぼつかない足取りながらも、ちゃんと目的がわかっているらしく、まっすぐエレベータへ向かった。確信を持ってボタンを押している。この子、俺が何階に宿泊してるか知ってるのか? ヴィクトルはランプの灯っている階数を見てみた。自分とは関係のない階だった。 「こっちこっち」  勇利が廊下を奥へと歩んでゆく。ヴィクトルはおもしろかったので黙ってついていった。扉の前で、勇利は無造作につかんでいた上着のポケットを探り、それからスラックスのポケットを探り、もう一度上着のポケットを調べた。 「あったあった」  カードキーを出して開錠するのをヴィクトルは眺めていた。 「ここは?」 「ぼくの部屋」  酔っていても自分の部屋はおぼえているらしい。ヴィクトルは感心した。勇利について中へ入ると、並んでベッドに座り、からかった。 「俺を送ってくれるんじゃなかったのかい?」 「えぇ?」  勇利は心外そうに眉を上げた。 「だから送ってんじゃん……」  酔っ払いに理屈は通用しない。 「どうもありがとう」 「どういたしまして!」  返事をするなり、勇利はヴィクトルに抱きついてきた。何の前ぶれもなかったのでヴィクトルはかなり驚いた。どうも行動の読めない子だな、と思うとますます楽しくなった。 「お礼は?」  勇利がささやいた。 「お礼?」 「部屋まで送ってあげたお礼」 「…………」  勇利がちらと上目遣いでヴィクトルを見た。ヴィクトルは、なんて目つきをする子なんだろうと思った。 「……何が欲しい?」  自分も、なんて質問をしているんだろうと思った。でも、何を言われても困らない気がした。こんなに愉快な気分にさせてくれたのだから、どんなことでもしてやりたかった。 「えぇ……」  しかし勇利は不満そうに口をとがらせた。 「ヴィクトルなら、ぼくの欲しいもの、言わなくてもわかると思ったのに……」  そのときヴィクトルは、自分がとんでもない役立たずのように思えた。言われなければわからないなんて、とあきれられたと感じたのだ。  ヴィクトルは勇利を抱き寄せ、そのままぱたんと後ろに倒れた。勇利はこわがるでもなく、「わあ、びっくり!」と言ってはしゃいだ。 「ユーリ……」  ヴィクトルはささやき、じっと勇利をみつめたが、勇利はまだ頭に残っていたネクタイを子どもみたいなしぐさでほどいて、それを投げやった。ヴィクトルのはもうポケットにおさまっている。 「ふう……」  勇利は息をつき、それからシャツのボタンを外し始めた。 「あっつ……」  途中までやると、めんどうになったのか、彼はそれをやめてしまった。そして手を投げ出し、じっとヴィクトルの目をみつめた。 「ユーリ」  ヴィクトルはみだれたシャツを合わせてやった。 「男の前で簡単に服を脱ぐんじゃない」 「脱いでないよ」 「脱いだのと同じだ。女性の前でもまずいけどね。とくに男はだめだ。きみのような子はなおさら」 「…………」  勇利の目はこわいくらいに澄んでいた。こんなにうつくしい黒目は見たことがない。どこか神秘的で、みずみずしく、表面は濡れており、奥のほうにはひみつが隠されているようだった。  勇利はほほえんだ。 「ヴィクトルは、何もしないでしょ?」 「…………」 「ね……?」  何かしろと言っているのか、信用しきっているのか。ヴィクトルは迷った。これは難題だ。  ヴィクトルは黙って勇利の髪を梳いた。勇利は気持ちよさそうに目をほそめた。ふたりの手は、ゆるくつながっていた。  このまま部屋を出ていくべきだとわかっていた。しかしヴィクトルはぐずぐずとその場にとどまり、ベッドの上で勇利と身を寄せあっていた。これからどうなるのか、見当もつかなかった。 「ヴィクトル……」  勇利がささやくように呼んだ。ヴィクトルはどきどきしながら勇利を見ていた。勇利はかすかに微笑した。彼は──。  彼は目を閉じると、すぐにすやすやと眠ってしまった。  その夜のことは、あとで思い出してもまったく自分は無能だったと気恥ずかしくなる。子どものような対処しかできなかった。しかし、いくら考えても、どうするのが正解だったのかまったくわからない。  そのときの勇利はセクシーだった。ダンスのときから、どこかこころを揺さぶる色気を持っていると思ってはいたけれど、ふたりきりになってからはさらに色っぽかった。ヴィクトルは、まじめでしとやかそうに見えるけれど、それなりに経験を積んだ、夜の楽しみ方を知っている子なのだろうと考えた。表向きは優等生ぶっているのだ。もしかしたら彼は、何もせずに去ったヴィクトルを意気地なしだと笑っているかもしれない。その夜のことは、なんとなく甘い苦みを残してヴィクトルの胸に刻みつけられた。  勇利のことは忘れられそうになかった。けれど、魔法はすぐにとけるだろうと思った。あの夜の楽しさは、あの夜だけのものなのだ。永遠ではない。ヴィクトルはまた現実に立ち向かわなければならないし、勇利も自分の世界へ戻るだろう。たまにちょっと思い出して、すてきな気分になれればいい。次に試合で会ったら、前よりはすこしは親しく言葉を交わせるかもしれない。あの夜は最高だったけれど、結局ヴィクトルはひとりで、ヴィクトル自身望むつもりなどない通り、それが改善される見込みはなかった。  だが、その考えはまちがいだった。勇利はもう一度、今度は離れた場所から、ヴィクトルに魔法をかけようとしたのだ。このほどは、きらびやかな照明も、明るい雰囲気も、酔いから生じた陽気さも、何もなかった。勇利はただ、真剣に、熱烈に、いちずに、ヴィクトルのプログラムを演じて見せたのだ。  ヴィクトルはもう、完全に魔法にかかってしまった。  再会した勇利はちっとも親密さがなくて、会場の出口でヴィクトルを無視したときの彼に近かった。しかしヴィクトルは気にしなかった。そんなことはどうでもよかった。勇利は不思議で、おもしろく、魅力的だった。だから「エロス」というプログラムを与えたのだ。バンケットのときから感じていた彼の官能的な部分を引き出してみたかった。いままでは楚々としたプログラムばかりやっていたようだが、勇利なら必ずできると思った。あの夜、あんなふうにヴィクトルを誘惑し、ときめかせた勇利なら、最高のプログラムにしてくれる。ヴィクトルは楽しみにしていた。  ところが勇利は、エロスの解釈に苦労しているようだった。ヴィクトルは意外だった。すぐに完成させるのは無理でも、彼なら、かたちにするくらいはたやすいものだと思っていた。あのとき、あれほどのセクシーさを見せた勇利なのだ。そう期待してもおかしくはないだろう。なのに勇利は、こんなことを言ってヴィクトルを驚かせた。 「カツ丼がぼくのエロスだ!」  もう、なんと言えばよいのかわからなかった。なんだこの子、と思った。いい子ぶっているのだろうか? ユーリというまだ十五歳の子どもがいるから気を遣っているのかもしれない。けれどよくよく観察してみると、勇利は本気でカツ丼がエロスだと考えているようだった。  おもしろい。勇利独特だ。そういうのは好きだ。だがあのとき、ヴィクトルを色っぽく誘った勇利はどこへ行ってしまったのだろう? ヴィクトルは戸惑った。しかしすぐに、簡単にそういう部分を見せるような子ではないのかもしれないと考えた。勇利は性愛をふりまいて見せつけるような性質ではない。それは彼のこれまでの経歴を見てもわかる。試合のときにぱっと花ひらき、ヴィクトルを惹きつけるのかもしれない。そう思った。  初めて試合で勇利が「エロス」を踊ったとき、確かにそれまでにはなかった色気をヴィクトルは感じた。最高にいいと興奮した。清楚で初々しい、可憐さをはらんだなまめかしさ。対極にあるものが混在していて、見事に調和を保っており、さらにその配合具合が絶妙で、勇利にこのプログラムを与えたことはまちがっていなかったとヴィクトルは確信した。  しかし、あとで落ち着いて考えてみると、自分が想像していたものと���すこしちがうという気がした。勇利はあまりに上品すぎた。あの夜の勇利は……もっと……。  もちろん、バンケットの夜の勇利が下品だったというわけではない。彼はあのときもあどけなく、素直そうで、きよらかだった。ただ──。  勇利の「エロス」からは「経験」が感じられない。  そう思えた。  あの夜、ヴィクトルは確かに、勇利はそれなりのことを体験しているのだろうと思った。それくらい色っぽかったし、強い誘惑にひっぱられた。だが勇利の踊った「エロス」はこのうえなく清廉で、直接的な官能はなく、想像力によってそれを補わせるようなプログラムだった。いったいどういうことなのだろう? ヴィクトルは、正式に勇利のコーチに就任したその夜から、長いあいだ悩むことになった。  勇利は本当は未経験なのではないだろうか? 何も知らないからこそのみずみずしさとあわい清潔感が、確かに勇利のあの演技にはあった。しかしそれならばバンケットの夜のことはどう解釈するのだと、それがヴィクトルを惑わせた。勇利は恋人はいないという。昔の恋人については何も教えてもらえなかった。まさか二十三歳という年齢までなにごともないなんて、そんなはずはないだろう。勇利は見た感じはぱっとしないけれど、実際うつくしいし、彼の魅力は、見る者が見さえすればすぐにわかるものだ。男性にせよ女性にせよ、いままで恋人がいなかっただなんて考えられない。  しかしそう結論づけると、ヴィクトルの胸はなんだか重く、もやのようなものに占領されるのだった。勇利はヴィクトルの恋人ではないし、勇利に対してそういう感情を持っているつもりもないし、彼の誘惑と演技をすてきだと思っただけで、それ以上の気持ちはないのだ。だが、その「誘惑」の仕方を勇利が誰かとの経験によって学び、そしてヴィクトルに対して実行したのかと思うと、どこかすっきりしない、腹立たしいこころもちになるのだった。  とくに調査するつもりではなく、自然と出た言葉だったのだけれど、「恋人に愛されたことを思い出して」と言ったら、勇利はひどく怒ってヴィクトルをにらみつけた。「恋人がいたことはない」とはっきり宣言されたことはないが、その可能性もあるし、勇利のそぶりがそんな感じだと思い「恋人がいたことはなかったんだな」と言ったら、彼は恥じたような落ちこんだ表情をした。それからヴィクトルは勇利に無視されるようになってしまった。  ……どういうことなのだろう。ヴィクトルはますます混乱した。勇利には恋人がいたのか、いなかったのか。勇利は未経験なのか、経験済みなのか。まったくわからなかった。普段に「エロス」の指導をしていても、勇利に悪いところは見当たらない。かえってどんどんよくなってゆくようである。しかしそれは、性的な香りが増しつつあるということではなく、むしろ性はきよらかさに昇華され、逆説的に官能的になっているという感じだった。試合のときにこそそういったことの真価があらわれるものだが、勇利は中四国九州大会では、ジャンプに集中しすぎるあまり、「エロス」の要素は表現しきれなかった。  わからない……。ヴィクトルのこころの秩序はどんどんみだれていった。勇利の過去が気になって仕方なかった。しかし、彼と長く過ごすにつれ、その初々しい反応、子どもっぽい愛らしさ、素直でけがれのない瞳などから、やはり勇利は誰とも付き合ったことがないのでは、というほうへ気持ちが傾いていった。あの夜は──バンケットの夜は、あこがれのヴィクトルと踊ったり話したりしたせいで、きっといつもより高揚していたのだ。それで偶然にあんな色気が生じたのかもしれない。あの夜をヴィクトルが特別に思いすぎて、実際以上に勇利がセクシーだったと思いこんでいるとも考えられる。  だが、いずれにせよ、勇利が上品で綺麗であることは確かであり、彼はますますヴィクトルを惹きつけ、新しい可能性を思いつかせた。ヴィクトルはもう、ほとんど彼に夢中になっていた。頭の中は勇利のことでいっぱいで、勇利に教えること、勇利に表現してもらいたいこと、勇利を向上させるには、勇利と楽しく過ごすには、とそんなことばかりだった。  勇利にもっといい演技をさせてやりたい。どうすればそうできるだろう? 何を教えればいい? フリースケーティングのテーマは愛だという。それは勇利のこころにしか存在しない、彼だけの感情だ。しかしヴィクトルが愛を伝え、それをひとつの経験としてたくわえさせることはできる。それに、「エロス」ならもっとわかりやすく──。  勇利が未経験だというのなら、ヴィクトルが性を教えてやるのはどうだろう? 「いや、そんなことはだめだ」  ヴィクトルはすぐさまそれは認められないと判断したが、なぜだめなのかよくわからなかった。教育のひとはしとしてならよいのではないだろうか。演技をするうえで大切なことである。とてもよい手段のように思われる。  ヴィクトルはその方法について、かなり真剣に検討した。勇利にとっていやなことではないか? 彼がかえってやりづらくなることはないか? いまの気品高い彼が失われてしまうのではないか? とにかくヴィクトルは勇利を心配した。  やってみる価値はある。変わった勇利を見てみたい。そしてヴィクトルは──ヴィクトルは自分の手で勇利を変えてみたかった。 「勇利……」  さまざまな視点からその問題について熟考し、ある日とうとうヴィクトルは、それを提案してみることにした。 「なに?」  ヴィクトルの部屋のベッドに座った勇利は、何を言われるのかなど想像もしていない様子で、純粋そうにヴィクトルのことをじっと見た。 「あのね……」  なんと切り出そう。どう言えば勇利がほほえんで同意してくれる? ヴィクトルは必死に考えた。しかし、何も思い浮かばなかった。勇利にとってのエロスは、という問いの答えに、勇利は「カツ丼」という風変わりな答えを示した。ヴィクトルにとってのエロスは、ということを勇利に教えたい。だが、そういうふうにそのまま口に出すのはいかにも無粋だ。もっと情緒的に……勇利がうっとりするように……頬を染めて気恥ずかしそうにうなずくように……そんな言い方がしたい。 「どうしたの?」  真剣に考え、黙りこんでいるヴィクトルを、勇利が心配そうにみつめた。 「何か悩みごと?」 「いや……」  ヴィクトルはますます何も言えなくなった。どうすれば勇利を口説き落とせるのかさっぱりわからない。そもそもそんなことをしてもよいのか? これはまちがいなのではないだろうか? 「勇利は、『エロス』についてどう思う?」  ひとまずヴィクトルは尋ねてみた。 「えっと、それはプログラム全体ってこと?」  勇利は無邪気に問い返した。 「ああ、まあ……そうだ」 「うーん、わりと完成に近づいてるんじゃないかと思う……。こないだの試合では演技がおろそかになってるって怒られたけど」  勇利はいたずらっぽくヴィクトルを見た。その笑みがかわいらしくて、ヴィクトルはなんとも言えない気持ちになった。 「技術的には悪くないと思うんだけど……クワドサルコウもきまるようになってきたし……。ただ、情緒面については出たとこ勝負みたいな、試合にならないとわからないみたいなところはあるかな。こういうこと言ってちゃいけないんだけどね」 「それはつまり、入りこんでしまわないとエロスの表現ができないということだね」 「そう……、そうかもしれないね」  勇利はうなずき、それから不安そうにヴィクトルをみつめた。 「……だめ?」 「…………」 「やっぱり普段から、たとえば練習からでもできるようじゃなきゃいけないのかな。ヴィクトルは最初にぼくに見せてくれたときからすごかったし……」  勇利は憂鬱そうにつぶやいた。 「ぼくにはまだ早すぎたのかな……」  ヴィクトルは、やはり勇利は未経験なのだと思った。そうでなければこんなことは言わないだろう。 「勇利」 「あ」  ヴィクトルは、自分が何をしたのかよくわからなかった。気がつくと勇利がベッドにあおのいており、ヴィクトルは彼にのしかかるように両手をついて、黒い瞳を見下ろしていた。 「ヴィクトル……?」  勇利がゆっくりと瞬いた。ヴィクトルはここに来ても、まだ何と言えばよいのかわかっていなかった。いまから勇利に──エロスを教えたいのだけれど、どう誘えばよいのか……。 「なに……?」  勇利がわずかに首をかたげ、顔を斜めにした。彼はなんとも甘美で悩殺的な目つきでヴィクトルをみつめ、ほのかにほほえんでささやいた。 「何するの……?」  そのつやめいたまなざしに、ヴィクトルはどきっとした。そして同時に、自分の認識をあやぶんだ。勇利は本当に未経験なのだろうか? 何も知らない子どもが、こんなに色っぽい目遣いをするだろうか? こんなふうに押し倒されて、かえって誘うような微笑を浮かべられるだろうか?  ヴィクトルは慌てて身体を起こし、「なんでもないんだ」とつぶやいた。 「なんでもない……?」 「なんでもないよ。突然ごめん」 「なんだ……」  勇利はみずからのくちびるにふれて目をそらした。 「何もしないの……?」  ヴィクトルはほとんどとりみだしてしまった。勇利のことがまたわからなくなった。その気になれば、彼は「エロス」など簡単にすべりこなしてみせるのではないかという気がした。 「知らないよ」  中国大会でクリストフと一緒に朝食をとったとき、彼は可笑しそうに、冷やかすようにヴィクトルを見た。 「勇利の性体験の有無なんて」 「そんなこと言ってないだろう」  ヴィクトルはさりげなくレストランの店内に視線を走らせた。勇利はピチットたちと食事をしているはずだ。同じ店にいたら大変である。 「勇利に恋人がいたことはあるのかと訊いただけだ」 「だけど、処女かどうかを知りたいわけでしょ」 「気になってるのはそれだけじゃない」  ヴィクトルはむっとして言った。 「俺をセックスしか頭にない男だと思わないでくれ」 「でもヴィクトル、『エロス』の演技の参考にって言ったじゃない」 「それは……そうだが、でも、たとえセックスをしていなくても、恋人という存在がそういったことに大きく影響……」 「まあなんでもいいけどね」  クリストフはにやにや笑っている。 「勇利に訊けばいいじゃない」 「下手なことを言うと怒られるんだ」 「あはは、ヴィクトル・ニキフォロフが怒られるのをおそれて自分の知りたいことも訊けないなんてね」 「信頼関係というものがある」 「ヴィクトル・ニキフォロフがねえ……」 「俺で遊んでいないで教えてくれないか」 「まったく、せっかちだな。俺の知る限りではないね。でも俺だってひんぱんに勇利と連絡を取りあう仲じゃないんだよ。そういうことはピチットのほうがよく知ってるんじゃないかな」 「彼か……」 「訊きづらい? 勇利の友達だもんね。ピチットは勇利の味方だ。友達の新しい彼氏が、友達の過去について尋ねてきたとき、全部を正直に伝えるとは限らない」 「その物言いは誤解を与える」 「でもそういうことなんでしょ」 「クリス、俺は……」 「好きな子の過去が知りたくて仕方ないなんて、ヴィクトルも案外かわいいところがあるんだね」 「そういうことじゃない」  ヴィクトルはクリストフをにらんだ。 「そういうことじゃないと思ってるのはヴィクトルだけかも」  クリストフはおもしろがっている。 「いいじゃない、べつに。勇利が誰と付き合ってたって。いまはヴィクトルひとすじなんだからさ」 「そういうことじゃなくて……」 「そういうことじゃない、そういうことじゃないって、ヴィクトル、本当に『そういうことじゃない』のか、じっくり検討してみたら?」 「クリス、いい加減に……」 「ああそうだ」  クリストフが手を打った。ヴィクトルは彼から有益な助言は得られないと踏んだので、もうあまり真剣に聞いていなかった。 「勇利の過去ね……、一度バンケットで、男と仲睦まじく消えたことがあるよ」 「なんだって」  ヴィクトルは「真剣に聞く気もない」という態度をかなぐり捨て、テーブルに身を乗り出してクリストフにつめよった。 「誰とだ」 「こわい顔だなあ。そうにらまないでよ。俺じゃないよ」 「誰なんだ」 「すっごく仲よさそうでさ……、一緒に踊ったり、その男に抱きついたり、勇利も相当楽しそうだったよ」 「クリス」 「そのあと、ふたりで寄り添って会場を出ていってね……、あれはどっちかの部屋に行ったんだろうな。そこで何があったかは知らないけど、まあたぶん寝てるだろうね。相手の男は手が早そうだったし。もうこの子かわいい! って思ってるのがびんびん伝わってきたよ」  ヴィクトルは頭がぐらぐらした。やはりあったのだ。勇利にもそういうことが。それが初体験だったのだろうか? それで──そんなふうに性愛を知ったから──ヴィクトルのことも──ときおり見せるあの色っぽさも──。 「相手は誰なんだ」  ヴィクトルは低く、鋭く尋ねた。 「ヴィクトル・ニキフォロフ」  クリストフは楽しそうに答えた。ヴィクトルは目をまるくした。 「俺が知ってるのはそれくらいだよ。ヴィクトル、あの夜、勇利を抱かなかったの? それとも抱いたからそんなに気にしてるの?」  気にしているわけじゃない、とヴィクトルは思った。気���しているわけじゃない。気にしているわけじゃない……。  ヴィクトルは中国大会のショートプログラムの演技前、「もう俺を誘惑しなくても勇利自身の魅力で戦える」と言った。その通り、勇利は、彼の持つ淑女のような清純、だからこそほの見える官能で会場じゅうを魅了した。ヴィクトルも例外ではなかった。とりこだった。勇利はどんどん綺麗に、魅惑的になってゆく。もし勇利が過去に誰かと性を経験しているのだとしたら、それもいまの勇利の輝きの源となっているのだ。ヴィクトルは勇利のすべてを気に入っているので、過去をも愛せるはずだった。しかし、どうしても気になってしまう。何かあるのならそれが知りたい……。  何があろうと、確かに、勇利はいま、「ヴィクトルひとすじ」なのに。何をそんなにこわがっているのだろう?  勇利はうつくしく、初々しく、可憐で、若ざかりだった。誰もが彼にとらわれる。ヴィクトルも彼に惹きつけられて、スケートシューズにキスするほどになってしまった。ヴィクトルのネクタイをひっぱり、ひそやかにささやいた勇利を思い出す。ああいうことを別の男にしていたらと思うと我慢がならない。いや──いいのだ。そのころ、ヴィクトルは勇利と知り合っていなかった。過去など関係ない。いまは──いまも──ヴィクトルと勇利は特別な間柄ではないけれど……。  もう辛抱ができなかった。正しい答えが返ってくるかどうかはともかく、ヴィクトルは耐えきれず、四大陸選手権のおり、ピチットに、勇利の過去について尋ねてしまった。ピチットは目をまるくした。 「勇利に恋人? いたことないけど」 「本当に?」 「うん。勇利はずっとスケートが恋人だったからね。勇利にとってのスケートって、つまり……」  ヴィクトルは、そうか、勇利は誰のことも知らないのか、とひどく安堵した。しかし同時に、では時に、驚くほど色っぽい顔をするのはなぜだろうと考えた。恋人はいなくても経験はしているのかもしれない。デトロイトの若者たちがどれほど開放的かヴィクトルは知らないが、勇利は人気があっただろう。心楽しい誘いに応じて、若さにまかせた何かが起こったかもしれない。  何があろうと、勇利の魅力は損なわれないし、ヴィクトルの愛もうすれない。しかし、勇利の透明な純真を勝ち取ったのは誰だろうと思うと、ヴィクトルは言い知れぬ苦痛をおぼえた。 「勇利はヴィクトルに操を立てていたからね」  ピチットが陽気に言った。  ピチットが「勇利に恋人がいたことはない」と宣言したことで、ヴィクトルはかえって苦しくなってしまった。真実に近づけば近づいたぶんだけ、余計な想像力が働いてしまう。最初の勇利とのふれあいを思い出す。勇利はヴィクトルに抱きついてきて……ふたりで部屋へ戻って……シャツを脱ごうとした。それに長谷津では、ヴィクトルに押し倒されて「何もしないの?」と向こう見ずにも尋ねた。しとやかな口ぶりで……。 「ヴィクトル、世界選手権、ぼく勝てるかな」  ベッドに腰を下ろした勇利は、ナショナルジャージをたたみながら、考えこむようにつぶやいた。 「勝てるさ」  ヴィクトルは答えた。 「でも、ヴィクトル・ニキフォロフが出場するよ」  勇利は思慮深そうな目をして口元に手を当てた。 「今回もいまひとつだったから、ショートも、フリップを跳んでもいい得点を出さないとね……」  彼は真剣に言った。 「また演技のほうがおろそかになってるね……。中四国九州大会で言われたことが、いまになってぶり返してきたんだ。でも考えすぎると、エロスって何なのかわからなくなるよ。最初はヴィクトルを誘惑すればいいと思ってたけど……」  ヴィクトルは勇利の隣に座り、彼の肩を引き寄せた。勇利があどけない顔を上げた。 「なに……?」  ヴィクトルは、いつかのように勇利をベッドに押し倒し、彼の両側に手をついて見下ろした。勇利も、あのときと同じことを言った。 「何するの……?」 「勇利。俺はね……、勇利がエロスをわからないというのなら、俺が教えてあげようと思ったことがあるんだ」  勇利は緩慢に瞬いた。彼はちょっと考え、頬を赤くし、困ったように言った。 「それ……、どういう意味……?」 「わかるだろ。色男を誘惑できるおまえなんだから」 「…………」 「いまも思っている。もし勇利がそうしたいなら……俺が教えることで変われるなら……」  勇利は黙りこんだ。ヴィクトルはこれまでにないほど胸が高鳴っているのを感じた。そして、なんてへたくそな誘い文句だろうと思った。勇利は確かに町一番の美女になれたが、ヴィクトルのほうは色男にはなれそうもない。  勇利は目を伏せ、身体を転がし、ヴィクトルの腕のあいだでそっぽを向いて口をとがらせた。 「やだ……」  ヴィクトルは息をついた。胸が痛く、せつなく、苦しかった。デトロイトの若者とは気軽に寝ることができても、俺とはそうできないのか、と思うとつらかった。 「エロスを教えるためだなんて……そんなのはいやだ……」  勇利はちいさく言った。 「もっと、ちゃんと……、ちゃんとしてくれるんじゃなきゃ、やだ……」  ヴィクトルは目をみひらいた。何か言おうとして、声が喉にからまり、言えなかった。もう一度話そうとし、出た声はかすれていた。 「……それ、どういう意味だい?」 「わかるでしょ……」  勇利はまっかになって拗ねた。 「ほとんど口を利いたこともないのに、ぼくに操を立てさせるくらいのヴィクトルなんだから……」  ヴィクトルの胸に、どうしようもない歓喜と幸福がひろがった。 「勇利、いままで、そういう経験、ないのかい?」 「ないよ……あると思ってたの……?」  勇利が非難するようにヴィクトルをにらんだ。 「だって勇利は最初から俺を誘惑するのが上手かった」 「何を言ってるのかわからない」 「色っぽかったんだよ。それなりに経験があるんだと思った」 「そんなの知らない。ヴィクトルが勝手に勘違いしたんじゃない……。もしヴィクトルがそう感じたのなら……」  勇利は首だけをヴィクトルのほうへ向け、ネクタイをひっぱってヴィクトルを引き寄せ、耳元にささやいた。 「そんなの、相手がヴィクトルだからにきまってるでしょ……」  ──これだ。この手管だ。誰にもまねできない、ひそやかで魅惑的な声、目つき、吐息……。すべてに「貴方だけ」という特別な感情がこめられている。この子は生涯俺しか愛さないのではないかという危険な期待をさせるいちずさがある。本当に勇利が、ヴィクトルだからこそこんなそぶりになっていたのだとしたら──。 「勇利」  ヴィクトルはネクタイを握る勇利の手を取り、ベッドに押しつけてあおのかせた。そして強引なほどの態度でくちびるを奪った。勇利の膝からナショナルジャージがすべり落ちる。勇利は押さえられていないほうの腕を伸ばし、ヴィクトルの首筋を引き寄せた。 「……エロスの教えなんかいらない」  勇利は真剣な目をしてささやいた。 「ヴィクトルを教えて」  ヴィクトルの鼓動が激しく打った。 「ぼくが貴方を知りたいのは、ショートでいい点を獲りたいからじゃないよ」  世界選手権のあと、ヴィクトルと勇利とクリストフ、ピチットの四人で食事をした。クリストフたちは、ヴィクトルがあまりにぴったりと勇利に寄り添い、優しく語りかけ、愛情いっぱいに大切にしているので、そろってそれを指摘し、からかった。ヴィクトルは平気だった。 「いいだろう、愛しあってるんだから……」  とりすまして言うヴィクトルをクリストフが冷やかした。 「ずいぶん余裕だね。勇利に恋人がいたことはあるのかって心配そうに訊いてきた男とは思えない」 「おい……」  ヴィクトルはまじめな顔になった。勇利が目をまるくし、ピチットが笑い出した。 「クリスにも訊いてたんだ? それ、僕も訊かれた」 「待ってくれ……」  暴露されてしまった。ヴィクトルはきまりの悪い思いをしながら隣の勇利をうかがった。勇利はきょとんとしていたが、そのうち可笑しそうに口元をほころばせ、「変なの」と感想を述べた。 「どう考えてもぼくに恋人なんかいないじゃない」 「そんなことわからないだろう。勇利は魅力的だしかわいい。俺が心配するのは当たり前だ」 「ぼくに訊けばいいのに」 「勇利はそういう話題のとき俺に怒ったし、ノーコメントだとか言って話してくれなかった」 「ああそうか。そういえばそうだね」  勇利は気軽にうなずいた。しかしすぐにヴィクトルの耳元にくちびるを寄せ、甘くささやいた。 「でも、すこし考えればわかりそうなものじゃない……? ぼくは子どものころからヴィクトルのことしか愛してなかったって、ヴィクトル、知ってるでしょ……?」  ヴィクトルは目のふちを赤くし、めまいをこらえて額に手を当てた。これだ。これがいけないのだ。 「……わかるだろう?」  ヴィクトルはクリストフとピチットに訴えた。 「初めて親しく言葉を交わしたとき、勇利はこうやって俺を誘惑したんだ。過去に何か経験してるんじゃないかと勘ぐりたくなるじゃないか」 「なるほど、処女のすることじゃない」とクリストフはくすくす笑った。勇利が「その言い方どうかと思う」と抗議するのを聞き流して、ピチットも笑顔で、「それは勇利が悪いね」と同意した。 「なんで?」  勇利は承服できかねるといった様子だ。彼は言った。 「何年も前、会ってもいないのにひと目でぼくをとりこにしたヴィクトルのほうが悪いじゃん」 「責任はとるよ」  ヴィクトルは真剣に誓った。 「……そりゃあね」  勇利は頬を赤くした。どぎまぎとうつむいてつぶやく。 「ぼくにあんなことしておいて……あとは知らない、なんて言われたら困っちゃうよ……」  クリストフとピチットが笑い出した。ヴィクトルはテーブルにつっぷした。またそうやって……。そういう誘惑もあるのか、と思った。色っぽいだけではなく、淑女のように清楚に、純真に、無垢に口説き文句を言うわけだ……。  勝生勇利。おそろしい魔性である。
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qmiman · 5 years
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少年行/南条範夫 読後感想
南条範夫作、少年行。amazonで頼んだら即届いたので即読んだ。取り敢えず今まさに読み終えた時点で思うことをメモしてく。
※これからこの本読む人がいたらこの記事は危険なので読まないでね。ほぼ全部ネタバレです。気をつけて。いきなり結末の話をしてます。
結末を読んだ直後の感想
くさかくんが明倫館を一時期出、九州遍歴を経て元々優秀な頭に学識を得て、身体も大人びて、以前に漂わせていた甘くロマンティックな美ではなく、完全なる美…をしんさくの預かり知らぬ所で得ていたことや、くさかの旅により長らく彼に邂逅出来なかったしんさくの期待が、再会出来た時のくさかの印象とは反れていたかどうかとか、そういうこれこれは全く原因でなく、
しんさくが、作中における「二つの関門」(ぶっちゃけて言えば大人の階段)を抜けることによって内面が変化して、
冒頭から激しい表現で喩えられるくさかへの執着じみた恋慕、めちゃくちゃピュアで、見てて恥ずかしいけどめっっっちゃ可愛くて願わくばずっと見ていたかったその想いを完全に失う。というその〜、ラストでした。
そのラストで終わっていて、その後になんの補填の文も単語もないと言うことは、これはしんさくの成長の物語である。
とのまあ帯からそうとは書いてあったけども、そうした筆者の自明な宣言を更に裏付ける証拠でもあった、のだけど。
その、もう個人的に少しでもこの話の結末を晋助と朧とで重ねたら自カプ推し兼ハピエン仲良し大好き女の自分は野垂れ死ぬような結末であることは否定できなかっ…た。それとは別に、前々の章を読んでく最中に(晋助だったらここまで好きな男に向かってねちねち気恥ずかしい妄想に取り憑かれて蒼く痩せ細ったりはしないし、朧もこんな常軌を逸した美の骨頂なわけ無いし、朧の顔はちょっと強面で怖いくらいが一番愛らしいんだぞば〜〜か!!朧ちゃんカワイイ〜!!Kiss…)とも薄々思っていたので、
3分の1くらい読んだあたりからちゃんと全くの別物として読み進めてはいたんだけど、あのラストは完全に「しんさくとくさかの色恋の可能性が松下村塾という背景を以て完全に消え失せる」ものだったので、もう、完全にその一文で今は打ちのめされてしまっていて、ゴベ〜〜〜〜、、という感じでした。
しんさくがどんな理由でくさかへの純粋で青臭い愛を失っていったのか、渇望の衰えゆくその様をもう全部南条範夫御大にじっくり読まされてしまったんだよね…。二人の自然消滅(それすら未遂かも、語られていたのはしんさくの中で堂々巡りしてたただの葛藤だったし)、その全ての理由、理由の発端。何がたかすぎしんさくの身に起きたのか、それは具体的にすべてこういうことじゃ。ホッホッホ。
てそんなこと言われてもおめ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…、、ゆる、さ、許す、けど。
だってハピエンBLだと勝手に期待して読んでしまっていたのは自分だし、それより以前に、許す許さないで判断すべきじゃない。
文体は軽くて読みやすかった。かなり瀟洒でロマンチストな表現がしんさくの喘ぎ藻掻くシーンに数多く見られ、どうやらフランス文学?の研究に南条範夫は力を入れていたらしいと、少し口コミサイトを覗いたりしたら書かれていたので、はあなるほどなと思う。
軽いけど凝っててなんとなく華麗にペイントされた飛行船みたいな雰囲気でした。気球の方が相応しいかも。
綺麗なガワが尋常じゃなく熱された精神エネルギーを内側に溜めてぱんぱんに膨張して、夢見心地で雲には届かない高さの空を飛んでいる感じです。
心情の緻密な描写が読みやすかったのは読み手の快適さで評価した時にはとても有難いものだと知った。
以下、なんとなく思ったこと箇条書き。結論とは考察の終わりだと思うので、尻切れ蜻蛉でおしまいにします。
人に理解されなくなっていいのだと強く自負していて、しかしくさかへの恋心に気づいてからはくさかがいい、くさかがすべてだ。と信じきってたしんさくが、関門を抜けていく先で、周布だったかな。そうした語りあうに相応しいと思える人を、くさかではない人に見つけてしまっていくシーンが凄く、身に沁みて痛かった。あんなに大人になりたくなかったしんさくが、よりにもよって大人と対等に会話をしていた。あんなに稚拙で狭くて、深い海の底の龍宮城みたいにきらきらしていたしんさくの世界が、横に横に広がっていくのが悲しかった。行かないで。
数少ない、しんさくが少しだけ心を開いていた同門の男児の中に子に病気を患う宗助という子がいたのだけど、彼もくさかが好きな男児たちのうちの一人で。しんさくからくさかの噂を聞くと、疲れ果てたその子の目がなまめかしさを孕んだ生の兆しを取り戻すという記述があり、も〜〜めちゃくちゃエモかった。くさかを想ってくる苦しむしんさくの姿の次にこの目で見たいと思ってしまった。でも宗助は死んじゃうんだよね。病の痛みに耐えかねて、劇薬をいっぱい飲んで。
やっぱり美少年くさかくん見てえ〜〜よ〜〜〜〜〜!!!!くさかくんの膝枕。くさかくんの膝枕。いいな。とてもいい匂いがするらしい。ある夏祭りの日に、しんさくは気分を悪くしてしまい、偶然その場で会ったくさかくんはそんな提案をみずからしてきて、それに甘んじたしんさくはこの瞬間の喜びに没頭する最中、知らず知らずのうちにくさかの袴の腰紐を握りしめていたらしく、妹達に呼ばれて起き上がったのと一緒にしゅるりと帯を引っ張ってほどいてしまうのだった……………、……、…………………、…、、事案です しかししんさくのくさかへの想いはハイパーピュアらしく、きっとそれを夜のおかずにはしていない(強い。しんさくめっちゃ好き。)
しんさくに嫌われたくなくて、悩んで悩んで、結局犬ころみたいに従ってしまう、忠三郎…おまえ…かわいいな…??
もう少しもやもや考えて、自分の糧にして、本棚にいれとくかな〜。面白かったのは事実!こんなに早く一冊を読み終えることってそうそうないです。
【追記/しんさくと晋助】
↑でもう少し考えて…、と言ったばかりなんだけど、実は読んだその晩、絶えずこの本のことで頭がいっぱいになってしまって、今むちゃくちゃねむい。
ただ今も思い出すに、あのしんさくのその後には、もうぎらぎらしたものを感じられなくて。
例えばあのラストから史実通り、攘夷志士達の活躍劇が開かれるとしても、そこに立って刀を振るうしんさくは自分の理想の高杉晋助像ではなく(何一緒だと思ってんだって感じはあるけども、自分でも。)、ただの成熟した大人でしかない気がして。
勉強や軍略、政治戦略の作戦に内密に立ち会うことで、しんさくはそれらの方に惹かれていき、くさかから興味を薄れさせていく要素のひとつとそれらはなっているのだけど、
高杉晋助に垣間見るような、愚直な愛するものに対する犠牲も強さをほとんど彼から得られず、私はどうしようかと思う。
少年行の、くさかへの愛=しんさくの強さではなくなっていく様と、高杉晋助が大人になっても、先生に見限られたと思っていても、耐えず想いを寄せ救う為に維新の乱世を駆け抜けていく仕組みは全く一致しなくて…、
そうしてここまで書いて、ようやくどうしてこんなに悲しいのかというもやもやが解けたのだった。
さらに考察の続き
 しんさくがくさかに感じていた恋心は、しんさくが女体に感じる欲望とは異なるもの。
 作中に、成熟の段階にある自分の肢体を眺めてしんさくがナルシシズムに耽るシーンがある。その時彼の頭の中にくさかの全裸のイメージが一瞬だけ眼前に降りてくるのだが、しんさくは一度体を重ねた歳上の女、みねの体を見たときのように肉欲を覚えることはなく、それどころかかぶりを振るようにする。くさかとの妄想に至るときはしんさくはもはや手癖になっている自慰を行わない。彼を想うだけで幸せになったのだ。  
彼がくさかを狂おしいほど愛していたのは、もう簡単に言っちゃうが、子供だったからだ。思春期の幼さがくさかという非現実的な美少年、決して女ではない、まだ女の体を知らないしんさくや、明倫館の生徒にとって、女よりも身近で、女よりも崇高なものとして、くさかに近づいていたから。
しんさくはその上で更に、くさかに求めていたものがあるから。 しんさくがくさかに求めていたのは、彼が物心ついた時から見る、胎児の時の夢の激しい苦しみから脱する為の手助けだ。でもいつの間にかしんさくは、その夢を見なくなってしまうんだよね。そこらへんの記述をあまり覚えてない。
  本人に当時そんな気持ちは全くなかっただろうが、二つの関門を抜ける為にくさかをしんさくは使ったし、くさかを見て何も思わなくなってしまったしんさくならそれを真っ向から否定はしないような気がする。大人の男と同じように忘れたふりをしてそっぽを向くだろうし、もっと年を取ればそれすら忘れてしまうだろうか。
 そして、くさかしゅうさぶろうとは、一体何だったのか。 ただの、美しい美しい少年だ。
美しいだけで明倫館の中で彷徨う男児達の不安の拠り所となり、安らぎを与え、しかし誰もが彼に手出しはしなかった。結局くさかは、男児達が大人になっていく最中に存在を利用され消費されていたのだ。とは思うものの、誰も彼の寝込みを襲わなかったり、腰の手拭いを交換し合う契を交わさなかったのは、やはり彼を性的に捉える者がおらず、美しさの象徴、偶像として崇めていたからだと思う。くさかは皆に熱狂的に愛されながらも、その男児達とは運命を完全に分け隔てられていたのでは。  
秀三郎は玄瑞と改名したが、明倫館の誰からも容認されはしなかった。男児達が元服をし青年の姿に成り行き、明倫館の中にいたその他の美しい少年が男の姿に変わっていっても、しんさくと再会したくさかは美を失うことはなく、寧ろその容貌に美だけを集めつくしていた。
 史実によると彼は24で死ぬ。それまでに彼がしんさくや明倫館の男児達のように、自分勝手に、またどうしようもない一過性の不安を受け止めてもらう為に誰かに縋ったり、しんさくがくさかにしたように、くさかは誰かを狂おしく愛することは無かったかもしれない。
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