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#光を纏う舟
sakura-zakki · 10 months
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読書の記録
たゆたえども沈まず 原田マハ
画家、フィンセント・ファン・ゴッホに纏わるお話。
フィクションではありますが、ゴッホについて、ゴッホの生きた時代について、絵画は美術館で観るものになっている私にとってなじみのない画商について、日本人でも実物を目にする機会の少ない浮世絵について、色々勉強になりました。
絵についての表現が素晴らしく、ゴッホの作品、浮世絵の作品について、想像力を掻き立てられ、実物を観たくなりました。
【メモ】
✏この街をセーヌが流れている。その流れは決して止まることはない。どんなに苦しいことがあっても、もがいても、あがいても……この川に捨てれば、全部、流されていく。そうして、空っぽになった自分は、この川に浮かぶ舟になればいい。-あるとき、そう心に決めた。
✏嵐になぶられ、高波が荒れ狂っても、やがて風雨が過ぎれば、いつもの通りおだやかで、光まぶしい川面に戻る。  だから、あなたは舟になって、嵐が過ぎるのを待てばいい。たゆたえども、決して沈まずに。
✏風が彼の友だちだった。風に誘われ、村道をどこまでも歩いていった。オリーブの木々は灰色がかった銀色の葉を風に舞う蝶の群れのように震わせ、畑道では目の覚めるようなアイリスの一群が迎えてくれた。この世界すべてが、画家、フィンセント・ファン・ゴッホの味方だった。
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kotobatoki-arai · 29 days
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Invisible奇候
 窓の外は総てたわいない挿話である。熾火が時を経て蛍を遺し鮮明に刻印する思考濃度を確かめる。足を止めたときに憑かれる、いつか。術はまるでひどくおかしいのか、空穂舟はびしょうへと降下するんだって。あからさまで逆さまにしても芝居じみ、おちつかず、微睡み……類似を手繰らせ、急ぎお躾る。〈鉄条網のさきで〉ぐるりとみわたせば花托は煤けたようで拡がってゆく。ただ己の呼吸に縛られカラダをひきづってその場所へ、そのものへむかって、いつまでもなにもできずにいる  拒絶するものでしょう/これらすべては  知っていたか 〝Invisible〟  そのままの意味さ/ごらん。セピアの杜だ  ビニールの淡い色彩を持つ差傘の賑わいだけ延ばして、何処かを浮かべ帯を引く。万物故に大柄のあとにして痺れ、窄んだ水母は輝き出る、そして逃げ腰の風紋。大通りに面したテラス席に座りこみ、しばし往来に視線を預ける。死神の名をこうしてもって想像します  引っ詰める髪を雑に解いて、落日と点滅する生命ひとつずらして、口にした敗は悪びれずに。あなたは普段 壊れやすい一礼をして、未練がましい手首ばかりがわぁと泣き顔を踏む。幸せを願えずどこか不幸をさずけてしまう所があります  ~かたしなぢ仄かやあい聲や、左右によろねくこどしかできづ~ 祖は頷く波風の欠けた姿勢のみ曝し、廃線に沿って正す。頬染める夏模様ばかりが一雨きそうで。ならそうだね 入道雲を垂らした必然。――単純なわたしとは/きっぱり/ある点まで起き上がり、ようやっと続けられるあわい世界で胸に手を当て、気づけばもじょもじょしていた  荒んだ庭を眺めているのはまたあした。うん、この愁い開放の夢も、くねるものながら ザラザラとひらかれたこの翠雨よ。こんな具合 じゃ、結び、置き手紙を奏して 風鈴の訛りに隷シタガい給え。なんて実にひとつの玲瓏をいただく背景はさ 宵の花火まですこし休めると横になり、淡い雫を映してしまうよ  あまり綴られた糸は今にも千切れそうで、切なさを不意に思いだすから弱々しく惚けていて 既にしゃぶりついた白紙の静寂なり。まだ投げかけた気配がないから結局、のろのろと拙い否か応か。あぁ萬畫のような素形だと遠くを看做ミナし、ふくよかな私すら消し去るのでした。 オシマイ。なんて葬するより鮮明な首を切る?  もうすぐこれが手を握るの。だからぎゅっとよかったね、 コレが視野調和の習慣  そこまでの道のりと憶病で柔らかい棘であり、歪んだ小花が微動だにせずに、一冊の手記を携え喫茶店を訪ねたのか。その所為? と口を挟み、どこへでも翔けることが叶うようであった。とはいえ屁理屈は訪れ藍色の海のみなそこを現した、水葬に浮いている擬声と愛されることに、一斉にひぐらしと暗示して、なら。初夏はいま錆色の空に似つかわしくない香炉ひとつが与える情感であった。ほらほら、視覚は主張であり空虚とは気晴らしで。ね? いいでしょう  綺麗事はそれっきりだ。みぎわのにおいと猛言と 熱と肺腑にしみる浮雲を しぃと破片と造り込んでは、その上は短くて堪らなく愛おしい、怯えた仕草も表立つ。虚ろ目で流れ落ちる間隔 無作為に「そうかもしれないなあ」と見守るかたち。空は夜に溶け透明な動脈に従う、足は翼を持つらしい。ほぉ満ちていた、押し当てられたような痛みを伴って。然し、急がなければいけない『伝達』とはこう漂っている。均等にして微笑んでいるとき永久トワ  ――遺体を骨にする。  そう反復するのでした/くりかえし/おちつかないツクリである種は訝しむ策も蒸した柵もない。よって庭は傷ひとつない、それなら芽吹いた先にある一本道の、単にせせらぎが無垢な幾千の防波堤は。ほんとうだ、干渉を嫌い凪と破れ、黄昏に折り重なるばかり。 それでいうことなら―― 月が綺麗ですね (〝奥行の足りない暗渠に冷たく狭まるモノ〟) 雨がやみませんね。 じゃあ「どうすればいいですか。」 ぜいぜい喉を鳴らしながら、 まさに喰みだした彼岸への問いかけにすぎない (まるでつつがない、ふちでおわりはじまる プラネタリウムだろ。あの時刻表ではひかりは呼びかけに答えることなく、跳ねる硝子でのびた魚、鋭利な白樺と、雲雀の幸福はながいあいだ寝冷えしていた)  彼方はどうせひとりで眠る。再会と出発までわずかに割る。どうせ古い果肉だと思った。 ――毒があるのかも痴れない。厭に瑞々しいから/じっと眺めていて。または身を委ねて。もう!! おなじように溢した星あかりは照らされた。薄い肩を震わせ ややこしいので特別だと枯れぬ、嘘ッ……  熱い息を吐く/穏やかな寝顔の柔らかい死に包まれて挟んであり (今を、探している 誰そ彼のワタシハ 神様ではない)  悲鳴をこらえる/もっとも影がなく聞えたらしく流れ星を数えている  玄に歪んだ雲行きが溺れ向こう側が暗い (未成品の手紙を吐き戻す(  恋に熱に雨音がこもり  )死より腐蝕したひかりが旗色に切れて  )今やの飾りを打ち消すささやかな網膜が  港を認識する  、雷鳴を 掻き、毮る仕草  机上の蝋燭は強く揺らめき、闇を待つ。そう!   疎ましい箱庭除法。喉に絡む湿原を捉え深めるんだ  果たして不自由ならいっぺん尋ねる。おもいのほか、身なり背が高く奇数のランプの影はヒマワリひとり湛える境界なのだと、かこつけていった。いつも/とは/ほんとう/に目の前にぶら下がると。得るだけの季節と空間を憶えたのだ  これら揃えたこの腕はおごそかな事を興せ。たとえば星砂糖を数個入れ、ひたひたの珈琲をこぼしてみる、この口に含んで暫く呆けることは旅路への支度をすることと同じ。PCを閉じ席を立つ/けれど瞑ったまま、つまびらかにかるく押されて緑と光に透かす mama いつかのナデシコを少々足してね。あれら全てちいさく纏めつつ、車窓だけを摘み取る御者がいるらしいが。そうであったのならまるで、さし貫かれ 涙ぐんでむせて、咳き込むとひとみは光と宿していたとも射えるんだよ  つっかけの散らばる玄関などを通り抜け、腥温い風が障る。ただ受け入れた球体の彬しさは熱病の狂気におもう。それはちかちかとみれば、そこには しぶしぶ、どうしようと荒れ放題の皐月のツラがあり。いまやわらかで花を埋イける。指先が咲くからだ  まるで蝕まれる/亘りと 遮る物。閉じこもり悶々する筵そのまま 虚ろな手はない、意思の下に改めるからだばかり(いつも過去を窺え またも未来を奮う 今がまとまらず達する それはがっかりして丸まってしまうからだ。)  私はまなうらにある理想からはひじょうに、詳細は掴めないけど、空論を取り違えた屍は/口から勢いだけ流転させる心臓と蝶形のディテールを/鼓動は横たえた野アザミに押さえ/団居では白くとんで透き通る雨だれがぽろぽろ/つらぬくとともに殺されても好い。 ――時期、宵だとおもっていて  この一幕に手をかける・祈り・かがむ。それだけの縊れたゼロからやり直し、ときに流され 私はくらんでいた。まっしろな帆の尾を騒がせ胸から口許までの腐りや楔を用い、根は腐り繕うこともできず、ありがたくも引導を渡す  栓で結ってもなにも塞がらない、まほう  あのときの理由もなく傀儡もいばら その法楽  なにかわざわざ睨み付け、秘すれば花 そもそも光芒  ためいき ばらばらに髪を梳き、扇と流し込んだ水面はいつか澄みきるの だけど はかない/激しい/はなやかな。タマシイは内向きの銀河だろ  だけどこの瞳に焼き付いた奥ゆかしさを。気がつくだろ皆、遠くの尾根をこさえるあいだ。納棺師はあおいあおいそらにしろく、しろいくもを濯ぎ、すこしずつ紬いでそらに流していく彼方とは、   芙蓉――縮んだ襤褸だよと、 そよ吹いて根も葉もない偽善者だと所詮茶化すもの  だから、さぁ 2024/05/26
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karasutosagi · 7 months
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みたされたすべてが真直ぐだった
 弧を描いて塞ぐ   白地に光を無駄に注ぎ褪せるまで。  新天地から口移しで  呂律を絡ませ捌いている。なにも  なにもかも、嘘つきだから   あやとりしながら手拍子して  作為的な二枚舌で覆いかぶせるように  責め立ててしまえるのだ  艷とも違うゲストハウスの差し込むあかりは寸刻。まどべをとおくならべる女の単調な日々は、未来が見えるもの。果実は、蕃茄とも苹果とも違う平織りにのせられ臈長けた曲線を絹と背く。ほつしたようみぞをさらせる、その火花がどうした。茎と華が半ばにうかがえるが、風を纏っていたかどうかゆくさきを偲ばせる。  まだ時間はルーズなまま、の知らないことを、重なるすべてが雪崩を起こす前に、盗撮を施した、夢から褪めた古書を開く。  巻紙を焦がし蝋燭を吹き消し今朝を串刺しにした廃墟で、私達には兄妹にはならない、異郷のメロディーを耳に敷いた、指で包容する。  凹んだ空き缶に吸い殻を寝かせ、烟った督促状が現実に引き戻して、また明日のことをおもった。満月も見えないのに明るすぎる未来に幸福と逝くさきの区別がつかなくなるが、思案に下るだけで腑に落ちず胸に手を当てただけで何故か痛むから、  腐りきったあとでやはり命を感じられた、その華華は今々と、糸と針を回している。  やはり、塒  聞こえてきたアナグラムのやがては昏く。真夏の大輪をなんと示そうか、闇雲に鉱泉が、いつの日にか身を投げ出した。  廃道なんだよ、この袋小路に目を凝らせば、蜉蝣が踊っている。  月下美人の蕾をもう何日も眺めている。閉じ込めた鳥籠に吹き込むことのない雨ざらしが錆び塗れ沈みている、滑稽な風采こそ、雄大で有形に憶えてる。  ため息のカタチは様々にある。  星がまた、いない いない。一律には梅雨 細字の秒端、ほど、見晴らしのいい好感だけが、または梢の折れた新緑と設けれる。サンプルでもアンプルでも、一匙 見捨てたのか。つちくれにこさえた是等コラージュだが、大理石の暖炉にでも掲げて置いておくことにする。  揺り籠から墓場までと書かれた名前が独り歩きした、うろうろと螺旋を描いて、そして、それだけの集合知が娯楽街から病棟まで、ウミユリとつらなく。  減速した残響が 残り香がそれで採光窓を明けて  何処か結わえた海路の、その昔日を流れていった  そうだな、森を抜ければ橋が架かる。万彩の虚空が地を侵している。胸の内だろうこんなの。けれど連日のうつせみが焦がしている。ステロタイプの仮面が陳腐なストーリーを微笑いながら見やるときに。バターとパンと質素なスープを前に、モニターにうつされたポップカルチャーと転覆する泥舟をおおった。  ――すべて同じ靑昊だ  2023-08-18
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kachoushi · 8 months
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各地句会報
花鳥誌 令和6年2月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年11月1日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
星の出るいつも見る山鳥渡る 世詩明 人の世や女に生まれて木の葉髪 同 九頭竜の風のひらめき秋桜 ただし 太陽をのせて冬木の眠りけり 同 生死また十一月の風の音 同 朝湯して菊の香に上ぐ正信偈 清女 懸崖の赤き菊花の流れ落つ 誠
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月2日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
秋空の深き水色限りなし 喜代子 故里は豊作とやら草紅葉 由季子 菊花展我等夫婦は無口なり 同 しぐれ来る老舗ののれん擦り切れて 都 狛犬の阿吽語らず冬に入る 同 謎々のすつきり解けた小春の日 同 杣山の織火となりぬ紅葉山 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月4日 零の会 坊城俊樹選 特選句
綿虫と彼女が指せばそれらしく 瑠璃 梵鐘のはらわたに闇暮の秋 緋路 逝く秋をくづれゝば積み古書店主 順子 綿虫や浄土の風が抜けるとき はるか 太き棘許してをりぬ秋薔薇 和子 弥陀仏の慈顔半眼草の花 昌文 綿虫のうすむらさきや九品仏 小鳥 参道で拾ふ木の実を投げ捨てる 久 綿虫は仏の日溜りにいつも 順子 香煙はとほく菩提樹の実は土に 小鳥
岡田順子選 特選句
腰かける丸太と秋を惜しみけり 光子 九品の印契結ぶや冬近し 眞理子 古に大根洗ひし九品仏 風頭 綿虫や浄土の風が抜けるとき はるか 奪衣婆の知る猿酒の在り処 光子 神無月ならば阿弥陀も金ぴかに 俊樹 蚤の市に売る秋風と鳥籠と 和子 下品仏とて金秋の色溢れ 俊樹 綿虫と彼女が指せばそれらしく 瑠璃 梵鐘のはらわたに闇暮の秋 緋路
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月4日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
ありきたりの秋思の襞を畳みをり かおり 秋日入む落剝しるき四郎像 たかし 返り花ままよと棄つる文の束 美穂 凩や客のまばらな湖西線 久美子 凩のやうな漢とすれ違ふ 睦子 小鳥来る小さなことには目をつむり 光子 流れ星キトラの星は朽ちてゆき 修二 凩に雲や斜めにほどかれて かおり 人肌を知らぬ男のぬくめ酒 たかし 老人が老人負うて秋の暮 朝子 冬の日や吾が影長く汝に触れて 同 身に入むや妣の財布の一セント 久美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月10日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
秋思消ゆ「亀山蠟燭」点せば 悦子 この町へ一途に滾り冬夕焼 都 新蕎麦を打つ店主にも代替はり 佐代子 添ふ風に方位はあらず狂ひ花 悦子 HCU記号音満つ夜の長し 宇太郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月11日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
トランペット響く多摩川冬に入る 美枝子 竹林の風音乾き神の留守 秋尚 公園の隣りに棲みて落葉掃く 亜栄子 句碑の辺の風弄ぶ式部の実 同 新のりの茶漬に香る酒の締め 同 歩を伸ばす小春日和や夫の癒え 百合子 朔風や見下ろす街の鈍色に 秋尚 ぽつぽつと咲き茶の花の垣低き 同 リハビリの靴新調し落葉ふむ 多美女 濡れそぼつ桜落葉の華やぎぬ 文英 露凝りて句碑に雫の朝かな 幸風 大寺の庭きりもなや木の葉散る 美枝子 山寺の風の落葉を坐して聞き 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月13日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
風除の日だまりちよっと立ち話 和魚 風除の分厚き樹林影高き 秋尚 揚げと煮し切り干やさし里の味 あき子 薄日さす暗闇坂に帰り花 史空 渦状の切干甘き桜島 貴薫 切干や日の甘さ溜め縮みたる 三無 風除けをせねばと今日も一日過ぎ 怜 切干や少し甘めに味継がれ 秋尚
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月13日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
確かむる一点一画秋灯下 昭子 幽玄な美女の小面紅葉映ゆ 時江 釣り糸の浮きは沈みし日向ぼこ 三四郎 六地蔵一体づつにある秋思 英美子 赤い靴なかに団栗二つ三つ 三四郎 着飾りて姉妹三人千歳飴 ただし 正装で背中に眠る七五三 みす枝 雪吊の神の恐れぬ高さまで 世詩明 七五三五人姉妹の薄化粧 ただし トランペット音を休めば息白し 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月14日 萩花鳥会
夜鴨鳴く門川住居六十年 祐子 捨てられて案山子初めて天を知る 健雄 ゴルフ玉直ぐも曲るも秋日向 俊文 山茶花や現役もまた楽しかり ゆかり 舟一艘ただぼんやりと霧の中 恒雄 献茶式津和野城下や朝時雨 美惠子
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令和5年11月14日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
秋の暮百均で買ふ髪飾 令子 虫食ひの跡そのままに紅葉かな 紀子 背の丸き鏡の我やうそ寒し 同 小春日や杖つく母を見んとする 令子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月15日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
小春日や日々好日と思ひたり 世詩明 禅林を通り来る風秋深し 啓子 何事も無き一日や神の旅 同 炉開きの一花一輪定位置に 泰俊 一本の池に煌めく櫨紅葉 同 三猿を掲ぐ日光冬日濃し 同 立冬こそ自己を晒せと橋の上 数幸 小六月笏谷石は饒舌に 同 如何にせん蟷螂は枯れ僧恙 雪 猫じやらしもて驚かしてみたき人 同 一匹の枯蟷螂に法の庭 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月17日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
小鳥来る赤き実に又白き実に 雪 幽霊の出るトンネルを抜け花野 同 おばあちやん子で育ちしと生身魂 同 見に入みぬ八卦見くれし一瞥に やす香 時雨るるやのつぺらぼうの石仏 同 近松忌逝きし句友の幾人ぞ 同 季は移り美しき言葉白秋忌 一涓 菅公の一首の如く山紅葉 同 落葉踏み歩幅小さくなる二人 同 冬ざれや真紅の句帳持ちて立つ 昭子 今日の朝寒む寒む小僧来たりけり やすえ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月17日 さきたま花鳥句会
からつぽの空に熟柿は朱を灯し 月惑 白壁の色変へてゆく初時雨 八草 六切の白菜余すひとり鍋 裕章 一切の雲を掃き出し冬立ちぬ 紀花 小春日や草履寄せ��る躙口 孝江 柿を剥く母似の叔母のうしろ影 ふゆ子 いわし雲よせ来る波の鹿島灘 ふじ穂 鵙たける庵に細き煙たつ 康子 雲切れて稜線きりり冬日和 恵美子 水鳥の羽音に湖の明けにけり 良江
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令和5年11月18日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
紫のさしも衰へ実紫 雪 蟷螂の静かに枯るる法の庭 同 二人居て又一人言時雨の夜 清女 母と子の唄の聞こゆる柚子湯かな みす枝 還りゆく地をねんごろに冬耕す 真栄 帰省子を見送る兄は窓叩く 世詩明 人に無く芒にありし帰り花 同 香水の口よりとどめさす言葉 かづを 時雨をり故山の景を暗めつつ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月19日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
浮寝鳥日陰に夢の深からむ 久子 呪術にも使へさうなる冬木かな 久 無敵なる尻振り進む鴨の陣 軽象 冬日和弥生も今も児ら走る 同 冬蝶の古代植物へと消えぬ 慶月 谿の日を薄く集める花八手 斉 冬天へ白樫動かざる晴れ間 慶月 青空へ枝先細き大枯木 秋尚 旋回す鳶の瞳に冬の海 久 冬の蜂おのが影這ふばかりなり 千種 水かげろうふ木陰に遊ぶ小春かな 斉
栗林圭魚選 特選句
竹藪の一画伐られ烏瓜 千種 遠富士をくっきり嵌めて冬の晴 秋尚 白樫の落葉急かせる風のこゑ 幸風 切り株に鋸の香遺る冬日和 久子 四阿にそそぐ光りや枯れ芙蓉 幸風 白樫の木洩れ日吸ひて石蕗咲けり 三無 小春の日熊鈴つけしリュック負ひ 同 青空へ枝先細き大枯木 秋尚 寒禽の忙しく鳴ける雑木林 貴薫 草の葉を休み休みの冬の蝶 秋尚 逞しく子等のサッカー石蕗咲けり 亜栄子 甘やかな香放ち桂紅葉散る 貴薫 あづまやの天井揺らぐ池の秋 れい
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月26日 月例会 坊城俊樹選 特選句
薄き日を余さず纏ふ花八手 昌文 耳たぶに冬の真珠のあたたかく 和子 黒松の肌の亀甲冬ざるる 要 雪吊をおくるみとして老松は 緋路 冬空を縫ふジェットコースターの弧 月惑 ペチカ燃ゆフランス人形ほほそめる て津子 上手に嘘つかれてしまふ裘 政江 嘘つつむやうに小さく手に咳を 和子 手袋に言葉のかたち作りけり 順子
岡田順子選 特選句
池一枚裁ち切つてゆく鴨の水尾 緋路 黒松の肌の亀甲冬ざるる 要 自惚の冬の紅葉は水境へ 光子 玄冬の塒を巻きぬジェットコースター 同 光圀の松は過保護に菰巻きぬ 同 ペチカ燃ゆフランス人形ほほそめる て津子 雪吊を一の松より仕上げをり 佑天 不老水涸れをり茶屋に売る団子 要 遊園地もの食ふ匂ひある時雨 俊樹
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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bailonglee · 11 months
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月刊「ムー」三上編集長講演会 木村秋則氏登場! 青森県立三沢航空科学館 2023「ムー的青森ミステリーファイルⅥ」
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イトカワ星か!!✨
この話は、凄い!!!✨
今日も、またプレアデスのUFOに、出会ったw🤣
光り方が特徴的。
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Mergeする大切さって、あらゆる事象を、ブレイクスルーします。
そんな発想は、Gentoo Linuxが顕著なんですが、[Linuxの良い所]、[BSDの良い所]、これをmergeさせたOSです。
だからインストールも、emergeって命令です。
ムー三上編集長がかつて語った、月の話がある。
月の表面は、レアメタルがむき出しになってるゆえ、引力の関係で常に月は同じ面を見せる。
レアメタルは星ではコアに有るはずが、何故に表面にむき出しか?
それはかつて、何らかの惑星が急接近し過ぎて、月は破壊しかかった。
で、コアが飛び出し、中の水が地球🌏へ降り注いだ。
故に、月は空洞である。
そして惑星急接近により、地球の体積が増加、重力が増して、恐竜は絶滅した…
ってのが、三上編集長の話。
木村さんは、惑星イトカワに関して言及していた。
地球の文明の未成熟さを、アブダクトの時に指摘された。
宇宙の元素は252あるのに、地球はせいぜい、120くらいしか知らないと。
木村さんは、わざわざ専門家に問い合わせた。
実際、知られている元素は120程度、マテリアルとして活用されているのは、25程度らしい。
イトカワに関して、木村さんは語る。
太陽系の惑星配列で、地球と火星の間だけ、不自然に離れている。
2003年に認識されたイトカワをそこに配置すれば、配列は綺麗にバランスが取れる。
木村さんは宇宙人との話と総合して、イトカワはかつて地球のような惑星で、文明のシンギュラリティで失敗、爆発してしまったのではないかと。
そして生き残りの残党が、地球人ではないかと。
だから、ダーウィンの進化論は、間違いであると。
なるほど…
三上編集長、木村秋則さんの話をMergeすると、急接近したのはイトカワの可能性���かなく、爆発したのはイトカワ、地球は体積増加、重力増量…
イトカワは、地球と火星の間なわけだから、高い文明であれば、火星、地球両方に避難したはず。
地球由来では無い可能性の人種に、[アーリア人]がいる。
まあ、ヒットラーの支配の中心はまさに、それ。
アーリア人を称え、アーリア人の世界にして、ユダヤ人を根絶やしにしたかった。
ヒットラー以前は、インドがある。
国名はバーラトに変わる。
南インドはドラヴィダ人が居たが、いきなりアーリア人が侵入してきた。
アーリア人は南インドから北上し、ニューデリーなどの北へ更に移動した。
この北上の過程で、アーリア人はヨーガや智慧を地元民から学び、ヴェーダとして編纂した。
色々なヨーガや、ウパニシャッド、アーリア人は編集やら、取り纏めが大好きだからねw🤣
クラシックは、そもそも地元の舞踏曲をベートーヴェンやらバッハやら、あの辺りが、纏めていったらしい。
木村さんの、コンピューターの話も興味深い。
メキシコUFO墜落から5年後、初めてこの世にコンピューターが生まれた。
勿論、ジョン・フォン・ノイマンを中心とした、AT&Tベル研究所だ。
木村さんは、コンピューターは宇宙人の知識を横取りしたんじゃないかと発言されていたが、まさにその通りだと思うw🤣
ノイマン型コンピューター、そしてUnix、C言語、全てAT&Tからしか生まれてないのは、あまりに不自然だし、2進数や番地のコンセプト、アセンブリとCompiler、それをノイマンたちがゼロから生み出したとは、考えづらい…w🤣
いきなり発想が飛躍し過ぎたのが、コンピューターだし、それまで地球の文明を担っていた、滑車、歯車、バネが、コンピューターにより、全てヴァーチャルな偽物と置き換えられたのが、近年のシンギュラリティだと思う。
何れにせよ、楽しい動画だわw🤣✨✨✨🐧
惑星イトカワ。
3年前覚醒した時、アゼキエル(エゼキエル)星人が地球にいる事を知った。
彼らは、変幻自在、アメーバみたいに、どんな姿にもなれる。
だから、芸能関係の世界に、幾ばくか潜んでいる、そんな話を天使たちから聞いた。
色んな星の宇宙人、オリオン星人、アンドロメダ星人、トカゲ座星人、いずれも星は存在してるが、アゼキエルという星は有るのかわからなかった。
聖書にエゼキエル書があるから、人名かと思っていたが、そんな星らしい。
そして、アゼキエルは、惑星イトカワ人なのかな?、という推測も立つ。
私の瞑想での話、実証すべきファクターが乏しいが、一つの仮説である。
宇宙に住む生命体は、進化すると、食べない、つまりプラーナ呼吸、トーラスエネルギー循環、そして、ヨーガの最高グルは、巨大化したり、原子サイズまで小さくなるという。
木村さんの言う、宇宙船に3万人の搭乗者、それはそんな理由で、話は合致する、つまり人間の進化したもんは、大きくも小さくも、なれる。。
ウルトラセブン、円谷プロ、まさにウルトラセブンそのまんまだよなw
アーリア人。
待てよ…
エイリアンという発音、アーリア人、そっくりやんかw🤣✨🐧
だとすればだ、南インドから侵入したアーリア人は、北上していった話、南インドにエイリアン来て北上した話って事じゃないのかな?
ノアは方舟で難を逃れたが、惑星イトカワから来たエイリアンは、爆発した自分の星から逃れ、レムリアの一部だった南インドに上陸して、アーリア人の侵攻へと至るとかさ。
時系列的にも、地理学的にも、かなり理にかなってはいるんだよな。。
まあ、仮説よ。
しかしながら、量子物理学も仮説、理論物理学、つまり仮説ありき、実証だから、これを書く価値はあるかもね🙂✨🐧
仮説。
アーリア人とは、惑星イトカワ由来の宇宙人。
ゲルマン人とは、火星由来の宇宙人。
いずれの星も、破綻して、地球🌏に来た。
とかさ。
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yuupsychedelic · 1 year
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詩集『わたし専科』
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詩集『わたし専科』目次
1.「忘れて(Prologue)」 2.「碧空が憎い」 3.「100回目のサヨナラ」 4.「永訣のキス」 5.「死にたくなった夜はわたしが抱きしめるから」 6.「片道切符のジャーニーマン」 7.「冷たい微笑」 8.「ふたりと煙草」 9.「いとしのキャフェ」 10.「サヨナラ世界」 11.「ねえ、わたしを見て?」 12.「人生でいちばん倖せな日(Encore)」
1.「忘れて(Prologue)」
この蒼き日に 紅く染まらないまま 消えていけることを倖せに感じる
思えば 取るに足らない人生だった
誰とでも代替できる 誰にだって当てはめられる 私の人生はそんなもの
好かれるよりも 嫌われるよりも 空気であることが最も悲しい
それを理解してくれたのは もうこの世を去った貴女だけだった
貴女がいなくなって 私の存在を肯定する人が消滅し 何も出来なくなった
意志薄弱な私を 愛してくれてありがとう
そして ごめんなさい
私のものはどう始末してくれたっていい いっそのこと 存在自体を忘れてほしい
私がいない方が倖せになれるから 所詮私は諍いを生むだけのバグに過ぎないのだから
生まれてきたこと 生きていたこと 私自体を記憶から抹消してほしい
さよなら 貴女に逢いにいってきます
2.碧空が憎い
こんなにも空が晴れ渡っているのに わたしはベッドに横たわり 明日も明後日もないのに 生きようとしなきゃいけないんだろう
心がどんどん壊れてく 音も映像もないけれど 身体が崩れてく気がして 何かを始めようと思い立った日は
わたしの記念日 碧空を憎ましく思った日
川で水切りをして遊ぶ子どもを見て かつてはわたしもあんな日があったと 目を細めて思い出す
何度も断られているうちに どうでも良くなっていく 誰にも必要とされない悔しさは 誰もわからなくていい
わたしが壊れた日 碧空を憎ましく思った日
旅をしたいなら 旅をすればいい
わたしにはそんな勇気もなく 小舟を河に浮かべ 微笑んでいる
社会が移ろう様を見て 生きる自信を失う この古ぼけた幻には 明るい未来はない
わたしの記念日 碧空を憎ましく思った日
わたしの記念日 碧空に這いつくばろうと決めた日
3.100回目のサヨナラ
何をするにしたって 不器用すぎて 周りに迷惑をかけてきた
いつしか季節は流れ 大人になったけど わたしは今も生きてるだけ
やりたいことはない 風に流されたまま そんな声を夜空にぶつけても 誰も答えはしない
生まれてきて、ごめん。 何もできなくて、ごめん。 やさしくなれなくて、ごめん。 何もできなくて、ごめん。
自分さえも信じられず あなたを傷つけ 愛すらも手放しそうだ
恋も夢も失い 大人になったけど 誰のためにこれから生きるのか
やりたいことはない 時に身を任せる そんなわたしの声など 誰も聞きはしない
愛せなくて、ごめん。 何もできなくて、ごめん。 夢中になれなくて、ごめん。 何も出来なくて、ごめん。
死にたくても死にきれない 生きたくても生ききれない 中途半端なわたしに 誰かトドメを刺してほしい
生まれてきて、ごめん。 何もできなくて、ごめん。 やさしくなれなくて、ごめん。 何もできなくて、ごめん。
生きていて、ごめん。 ネガティヴで、ごめん。 強くなれなくて、ごめん。 夢叶えられ��くて、ごめん。
蒼い空に問いかける 何故生きるのか そして…… 100回目のサヨナラ
4.永訣のキス
貴方が嫌いになったわけじゃない むしろ好きなんだ それでも別れを決めたのは これ以上迷惑をかけたくないから
いつも切り出すのは私 付き合った時も別れる時も それでも貴方は微笑みを浮かべて 私の答えを受け入れてくれた
貴方が愛しすぎるほどに好きでした 最後に身体を重ね合う 二人の心は震えていました
貴女と何かあったわけじゃない むしろ平穏だった 突然別れを告げられて 僕は部屋に静かに佇んでいた
そして最後の夜が終わり 荷物を纏めて貴女は出ていく 突然のわりに心が落ち着きすぎて 僕は不思議な胸騒ぎを感じた
貴女が愛しすぎるほどに好きでした 最後に目を合わせた時 二人の心は濁っていました
大阪メトロにスーツケースを抱えて ひとりの女が涙を隠しながら 佇んでいる光景は 側から見ると滑稽だっただろう それでも私は消えるしかなかった
貴方を想って 立ち去ることしか頭になかった
ふたり分の歯ブラシに ふたり分の食器 これから始まる暮らしを夢見て 揃えたモノたちを段ボールに片付けていく 最初は受け入れようとした運命も 時が経つほどに悲しみに染まり始めた
貴女を想って 受け入れることしかできなかった
あんなに愛し合った仲なのに 最後は呆気なく 別れ際に重ねた唇は 涙で微かに濡れていた
永訣を告げるキス 余韻が褪せないまま 携帯電話からの通知音 貴女からのさよならが聞こえる
愛しすぎるほどに好きだった人 一言でも言ってくれたら良かったのに そんなに僕は頼りなかったですか?
5.死にたくなった夜は私が抱きしめるから
もう帰らないと決めた日 僕はフェンスを飛び越えた 遮蔽物のない摩天楼はあまりにも美しく 過去の僕がいかに濁っていたかを知る
この世界にやっとサヨナラが言えるんだ 不思議な高揚感が胸に宿る 叶えたかった夢も頑張りたかった未来も 今の僕にはどうだっていい 来世はほんの少しでも幸せになれと 後手で誰かにピースした
ふっと息を深く吸う さあ、もう後悔はないぞ。
あなたの姿を見た時 これは「止めなきゃいけない」と感じた あの儚さは今日という日を予言していたのか 屋上のドアを抉じ開けた
どうして何も言ってくれなかったんだ 怒りと哀しみが心を支配する あんなに格好良くて優しかった人が なぜ今自らの命を絶たなければならないのか 私は全力であなたを抱きしめた 嫌われたっていいの
まだ生きてほしい たとえ、私のわがままだとしても。
その気配は君しかいない 君のぬくもりを感じた瞬間に悟った 僕は死ぬ勇気すらないのか もはや摩天楼に身を投げようと思えなくなった
用意周到な計画のはずだったのに 過去の記憶が嵐のように脳裏に浮かぶ いつだって僕は自分自身で決めてきたのに こんな時に限って君に邪魔されなければいけないのか それでも涙が止まらないのは何故だろう まだ未練が残っているなんて信じたくはないんだ
強い力で抱きしめている君の腕を離す はやく、僕を自由にさせてくれ。
あなたの腕が私の身体を離れていく 諦めという名の現世への未練を断ち切るように 私は生きる理由にすらなれなかったんだね 大地を離れた恋人の背中を追いかける
好きと伝えなかったのがいけなかったのかな いまの私は後悔への処方箋を持ち合わせていない いつかのあなたがこう言っていたことを思い出したんだ 「嫌われるよりも忘れられる方が怖い」って 私なんかが生まれるんじゃなかった 恋人すらも大切にできない人に生きる資格なんかないよ
遥か地上で鮮血に染まったアスファルト あなたが死にたい夜は、私がどこへ行っても抱きしめるから。
6.片道切符のジャーニーマン
僕は旅に出ると決めた もうこの家には戻らない すべてを整理して旅を始めた
見慣れた街ともおさらばだ しみったれた役人や腐った上司とも会わなくていい こんなに楽な気持ちは久々である
普通電車に乗り込んだ 後先を考えずに行く旅は心地よく 周囲の景色が色づいて見えた
好きなひとに裏切られ 大切なひとは逃げていく 僕には何も残されていない だから旅に出るんだ 風の調べに乗せて 明日を捜すための旅へ……
君を一生愛すると決めた あの夜が未だに忘れられない でも君はもうここにいない
親友だと思ってた奴に恋人を盗まれた 太陽すら投げ打ってでも守り抜くつもりだったのに 君は奴に容易く心を売り渡してしまった
次の分岐はサイコロで決めてしまおう どこへ行ったって結末は同じ 僕に明るい未来などない
今日輝く太陽が君なら 昨日の月が僕だ もう死んだも同然なのさ だから旅に出るんだ 風の調べに乗せて 自由になるための旅へ……
好きに生きたかったよ やりたいことをやりたかったよ 僕は僕を嫌いになり 君は君を好きになる サヨナラを告げる前に 君を投げ捨ててしまえる勇気があったなら
好きなひとに裏切られ 大切なひとは逃げていく 僕には何も残されていない だから旅に出るんだ 風の調べに乗せて 明日を捜すための旅へ……
死場所を捜すための旅は 生まれた頃から始まってた 優しさに塗り固められた嘘が 僕を静かに殺してく 掠れていく声に気も留めず 今日を決めつけて死んでいこう
7.冷たい微笑
心の中のマグマ 心に絡むドグマ 殺しながら 泣きじゃくる
ひとりが好きなのに 人肌が恋しくて ふいに連絡したくなったのは 私から別れた元彼
電話に表示された名前 ボタンだけは押せず 真っ暗な部屋の真ん中で 静かに嗚咽する
SNSを開けば 私よりも悲惨な人がいる そんな人を見るたびに 心が少し楽になった
そして嘲笑う 安酒を飲みながら
この哀しさは誰にもわからぬだろう わかってほしいとも思わない
生きてるだけの私 死んでくだけの私 真っ赤なドレスは埃を被り 憂鬱に溺れる
病院には行けない 誰にも相談できない 頼れる人もいない 仕事もできない
何のために生きるのか もはやわからない
朝日が登り 月が満ちて 微睡むうちに夜明けは来る
まだ立てるはずなのに 心が追いつかない 身体に巻きつく大蛇の幻想
眠ることさえも取り憑かれて 満足にできない
貴方にサヨナラさえ言えたなら もう未練もなく逝けるのに 後悔に囚われたまま 動かなくなった時計のように固まる
誰のせいでもなく 私のせい すべては私が決めたこと いつか夢を見た残骸
何も残らない 誰かの声が聞こえるまで漂う 今日に怯えながら この星に身を委ねて
8.ふたりと煙草
あんなに吸わないと決めていたのに ゴロワーズを燻らせると あの日に戻れる気がしてさ つい止められなかったの 彼女が呟く
僕らには未来などなかった 少しずつ暖めてきたはずの関係 彼女が隣に連れていた男を見た時 すべてが壊れていく音がした 僕は“じゃない方”で
大学を卒業して 落ち着いた恋愛ができると信じていた だけど…… そこにあったのは残酷な現実で まさか彼女が浮気をしていたなんて
必死に否定すればするほど 僕の気持ちは離れていく そんなことすらもわからずに訴える彼女 恋人とすら呼びたくなくて あの夜を境に締め出してしまった
一年でいちばん雨が降った夜 僕は不安感を胸に眠っていた 最初は訴えるような叫び声が聞こえたけれど 次第に聞こえなくなったことに安堵した 彼女はどこかへ消えたんだと信じたかった
翌朝にゴミを捨てに行こうとした時 彼女は泥だらけで眠っていた 僕は他人のフリをしようとした でも最後の最後でボロボロになった姿が哀しくて つい家に上げてしまったんだ
あれから一年の月日が流れた 彼女は今も何も語らないまま ベッドで一言を唱え続けている あの日がすべてを変えてしまったんだと 後悔しても遅過ぎて
僕らには未来などなかった 少しずつ暖めてきたはずの関係 彼女が隣に連れていた男を見た時 すべてが壊れていく音がした 僕は“じゃない方”で
必死に否定すればするほど 僕の気持ちは離れていく そんなことすらもわからずに訴える彼女 恋人とすら呼びたくなくて あの夜を境に締め出してしまった
それでも彼女を愛していたんだ あんな目に遭うべきじゃなかったんだ 夜の静寂に眠る彼女を見る度に 募り続ける罪悪感の波を いつまでも背負い続けていく
抜け殻のようになった恋人 壊れてしまった関係 どこにも行き場を失った人生 カップラーメンとゴロワーズを肴に 僕たちは今日を生きている
裸足のままで 今日を死んでいこう ふたりのままで 明日を死んでいこう 眠ったままで……
9.いとしのキャフェ
いとしのCaféで佇む男性は かつて私の恋人でした
180cmを超える長身と細い体型は Bespokeのスーツと靴が あまりに馴染みすぎて 思わず恋に堕ちてしまったのです
遠くで見るとマカロンのよう でも近づけばアイスキャンデー そんな恋も今は良き思い出
いとしのCaféに通う女性は かつて私の親友でした
結婚してから会わなくなったけれど CHANELの鞄とワンピースが あまりに似合いすぎて 今も勝手に憧れているのです
あなたは財閥育ちだという 本当は自由が欲しかったのよね そんな日々も輝ける青春
いとしのCaféを営む紳士は かつて私の父親でした
私には気付かないかもしれない Comandanteのコーヒーミルを使う姿が あまりに似合いすぎて やっと幸せになれたのだと安堵しました
言葉を交わすわけでもないのに 繋がりあった気がする瞬間 そんな日々が穏やかな愛
わたしが生きる場所 金曜日午後三時 いつもの席で珈琲を飲む
10.ねえ、わたしを見て?
ねえ、わたしの目を見て?
お願いだから 最後くらい わたしをちゃんと見てよ
出逢った頃からそう 心ここに在らずで 何処かをぼんやりと見つめてる
そんな貴方に惹かれてしまった
最初の夜から 最後の朝まで 聞いても言ってくれなかった
いつか友達から聞いた 忘れられない人がいること 恋人にすら話せないの?
ねえ、わたしの目を見て?
あなたに聞きたいの 本当に好きだったのか わたしが恋人で良かったのか
もういなくなるよ? 二度と逢えないかもしれないよ? それでも言わないの?
ドアを開けても彼は無言のまま サヨナラすらも言わない そっと彼の連絡先を削除した
ねえ、わたしの目を見て?
最後まで見てくれなかったよね うつろな瞳で見つめるだけ そんなに忘れられない人って誰なの
ねえ、わたしは悲しいよ?
碧空が皮肉だ 最期まで愛されなかった 何も本音で喋ってくれなかった
それなのに碧空は綺麗で 時々垣間見る本音を拾い集めたら 誰にも見えない流れ星のように美しい
そんな貴方に惹かれてしまった
いつかまた逢えるなら ふたりで飲みに行こうよ その時は本音で……
ねえ、一度くらいは目を見て?
11.サヨナラ世界
隣で眠る貴方を傍目に 麻縄を首に巻く いつか来ると信じた日が 今日であることに慄き そっと微笑む
素晴らしい日々だった あなたと出逢って 愛おしい存在だった あなたと暮らして
貴方にとって私は どんな存在でしたか?
これから生まれ変わると伝えたら きっと優���い言葉をかけてくれるし 抱きしめてくれるでしょう でも私には不要です
私は幸せになっちゃいけないんです 幸せと感じちゃいけないんです 最高の日に逝かなきゃいけないんです
それが宿命だと信じて 今の幸せを閉じ込めると決めた日 すべてが完璧だと思っていたけれども 貴方の直感だけが誤算だった そっと解かれる麻縄
肢体が吊り下げられていく 巻きつくのは全身に縄 身体にじっくりと染み込む感触 あの世へ歩いていけたらいいのに 何度も身体に焼きつく鞭の音 これこそが私の望んでいた世界なのだ
生きるとは切なさ 死ぬとは喜び 一度はそう信じた私にとって 麻縄由来の傷は勲章のようなもの 今日も私は舞台に立つ
12.人生でいちばん倖せな日(Encore)
今日は人生最高に倖せな日だ 明日のことをもう考えなくていい すべて終わったのだから
かつて白鳥が空を飛んだ 人も空を飛ぶ夢を見た もう当たり前になったけれども 最初は偉業として讃えられた
いつだって最初に孵化させた者が勝者で 二番目は歴史の裏���に記された敗者に過ぎない
家族が困らないくらいの金は残した 妻も子供も健やかに生きられる 私は人生の目的を成し遂げた もう朽ちるしかない
大人になること 老人に生まれ変わること 私はそれを受け入れたくはない だから自らの手で終止符を打つと決めた
自分勝手と罵りたいなら罵ればいい 蔑みたければ蔑めばいい
もう私が知ることはないし そんなことを言われる謂れもない 新しい世界には響きすらしないだろう
倖せとは 喜びとは 生きるとは 死ぬとは
考えることが仕事だった私も 今日くらいは考えることをやめようと思う 遺された君たちも どうか考え過ぎないでほしい
明日が来ないことへの歓喜を そっと噛み締めてから溶けゆく小石(私という存在)
詩集『わたし専科』クレジット
プロデューサー / 作:坂岡 優 コ・プロデューサー:Sakura Ogawa
原案:Sakura Ogawa(No.2,3,4,5,7,11) 共同執筆:星雲凛(No.1.8.12)
デザイン・編集:坂岡 優 制作スタジオ:Yuu Sakaoka Studio
Very very very thanks to my friend, my family, and all my fan!!
2023.8.31 坂岡 優
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enakuroda · 2 years
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燒翅譚/黑田依直
遠き夢で視し街の邊にきみが呼ぶ 紅い靴がまだ見つからないと
少女おそらく紫苑の転生 舞台から逃げて暗転、Deusは凍る
きみの背中に降る雨滴の靑色にひらく羽から冬は始まる
天使はむしろ聲といふ傳へ 寒月のたゆたひの眼の色のうすべに
てのひらに揚羽蝶纏はせわが戀は夕紅のいろ、血の月の色
夢が生む絹を纏ひて海へゆく かたへのきみは生者だらうか
傷ついた腦髄ふかく鐘は鳴る ここには教會も葬儀もないが
「一切は夢、われらは月の光芒の殘滓」貘はけふも嘯き
眠りこむ世界に蝶と蛾は舞つて目覺めにわれの血潮捧げむ
火の夜の口膣は濡れて 天秤の片邊の咎の芽吹き美し
穏やかに燃える市街 アンドレア、美しく刻を凍りつかせて
墮つるそのまなかひの滅紫 終焉は鐘のごとくに世に響けり
囀る鳥たちといふ初夏の嘘 エデンはふかき紫に燃ゆる
大空が黑紅に滿つ日われらすでに燃ゆる地を視るアダムなりきか
水面に映る星々 失寵の街に光る髪、わがジュスティーヌ
遠近法狂ひて燃ゆる街 生は永久に消えぬ火 滅びの日まで
天使消え人ら朽ちゆく火の夜に鐘は響ゐて千年が經つ
水漬く街、燃ゆる大空 屍には花の滅紫をひとつ與えよ
洪水の街 ふかく搖るる汝の髪はしづくとなりてアンスリウムに
空はすべて汝の眼に注がれ水底に沈みし都市は花とたゆたふ
燃ゆる舟が天に還りゆく日を待てり 少女らは水の底ひに唄ふ
水底の少女は祈る 花、伽藍、世界とくづれ空の靑さへ
落馬す騎士のまなかひの空、花瓣、歌、九重の衣の地獄のとびら
アケロンの畔に臥せる蒼貌の星より墮ちし天使の雙子
神が手を走らせし跡 黑馬が驅くる地に紫壇美しく燃えゆく
白樺の立つ原野にて問ひかける天使の腐爛 Noli Me Tangere.
花、伽藍、海原、こころ、刻、翼、この月の夜に燃え墮つるもの
きみの眼が光の中で閉じてゆく まだ見ぬ天にも夜はあらむか
また雨が、地上を汚す靑き火が降る 君の言葉と灰を流して
歌人の玉野勇希さんが主催された同人誌『ユーフォリクス Ver.1.5』に掲載された、僕の連作になります。物語としての連作の実験でもあります。
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flowercoffeebb · 4 years
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EDBFL+ #25-2 KANSUKE AKAIKE @kansukeminamiizu with Kweli surfboards 『AUREORA 〜光を纏う舟〜』 20210211-23 ーーーーーーーーーー Last 2 days✌️ ーーーーー (うしろの作品) - DAZZLING(Twin fish/ 5'3") ※ 感染症対策、展示物の規模を考慮し、期間中はテイクアウトのみの対応となります . [ KANSUKE AKAIKE ] シルクスクリーンや印刷コラージュなどプリントメディアによる表現を研究、量産性の中に一つ一つ微妙な違いが出るステンシル技法をコミュニケーション手段として作品を制作する。 [ Kweli surfboards ] 木の板で波に乗る。原始的で、自然と一体化する感覚。化学的な素材を最小限に サーフィン、木、ものづくり。好きだから作り続け、木のあらゆる可能性を探求してゆく。 ーーーーー #thanxalways #edbfl+ #25 #2 #kansukeakaike #kwelisurfboards #woodsurfbords #aureora #光を纏う舟 #minamiizu #dazzling #specialtycoffee #coffee #flowertea #singleo #coffeecounty #kinto #mamigashi #hototogisu #flowercoffeebb #everydaybeautiful #shonan #chigasaki #yuzostreet ーーーーーーーーーー ー ー ▫️Beans for FILTER COFFEE [Single O] - COLOMBIA COE #3 EL PARAISO Gesha ←Special✨ - COLOMBIA LAS PLAYAS D ←残りわずか - COLOMBIA NATURAL SELECTION B ←再入荷 [Coffee County] - HONDURAS FINCA LOS PINOS D ←Special✨ - HONDURAS FINCA PINO DE ORO D/B [FLOWER COFFEE] Something D: ドリンク提供, B: 豆販売 ※豆販売は、店頭でドリンクを飲んでいただいている方に限ります ーーーーー ー ー ▫️SHOP INFO. FLOWER COFFEE / BREW BAR 神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-7-23 雄三通り 0467-37-6618 10:00-19:00(エスプレッソドリンクL.O. 18:45) . ※店舗休予定 2月: 24日 . ※緊急事態宣言発令期間中は生活地域を跨いだ来店は推奨していません、また状況に応じてテイクアウトのみの対応となるタイミングがございます(コーヒー豆の販売を強化します 通信販売なども併せ、ご自宅でのコーヒー時間を是非お楽しみください) . ※お車の方は近隣駐車場(参考: 三井リパーク 東海岸北1丁目/東海岸南2丁目/東海岸南1丁目 ¥200-/h)をご利用ください (FLOWER COFFEE / BREW BAR) https://www.instagram.com/p/CLlQezdj98X/?igshid=tj72z30795ze
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asoufuyu · 3 years
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少年の為の小さな海
 緑、飛ぶ虹彩。刺すやうに。見る。
 ソラスは立ち尽くしていた。港。船着き場に船は一艘も無い。海は白ばんで、たおやかに息をしている。
 少年と呼ばれる時間は幾ほどだろうか。13歳。新浜中等学校の二年、夏、七月。未だ、ソラスはただ少年でしか無く、青色だった。
 爪が伸びている事に気づく。僕は生きて居るやうだ。気持ち悪い。
 齧り、爪など剥ぐこゝろ。生など、嗚呼なんと醜い!コンクリートに仰向けて、空に堕ちる。堕落したいんだ、神様。
 「カモメ飛ぶ日に 太陽がーーサ、」
歌いかけて止める。相応しく無いから。
 僕には、聲など。こんなかすれた、大人に変わってゆく汚い音など。
 楽譜が好きだ。音符や記号はとても美しく、黒もシャープに其処に居る。ピアノを追うと、気持ちが少しはましに成る。
 ボー。
 舟が来た。ちいさな漁船。赤錆びて、もう魚を採る為には使われていないようだった。
「あい、坊っちゃんよ、こんな良い日に。」
これも又赤錆びた顔の男が言った。
「ーー乗せて、くれる?」
ソラスの弱い聲。緑の眸が海に映るやう。
 トビウオが見たい。あの銀の背びれ!光を受けて、綺麗だな。今日は、それだけ。
「乗りな、ほら、」
男が逞しい左手を伸ばす。ソラスはそれを避け、這い上がるように舟の先に座り込んだ。
 舟は海へ戻る。還る?海へ還る?良いな。そんな風に、死にたひな。
 少年の白いシャツと躰は、ゆらゆらと運ばれて行く。波は気紛れで、言う事を聞��ない。赤錆びの男ですら。
 自分が痩せすぎて居る事に気づく。肩の骨、肘、手首。どれも骨のかたちが見え、不健康極まり無ひ。まあ、良いか。どうせ死ぬのだし。はは。
 舟は150メートルほど沖へ出た。ソラスは縁に頬杖をつき、海面を眺める。
 青とも白とも、グレイとも言えない色。余り素敵では無い。潰れた空き缶が泳ぐ。
「あ、!」
トビウオだった。それも群れの、瞬間飛び上がってキラメキ直ぐに落ちた。
 あの背びれが、銀の尾が、僕にも有ったなら!飛べるのに、屹度、きっと。
 天へ。
 昇るやうに落ちてゆく事。
 生と、死。
 総てだよ、それが全部ぜんぶだ、僕には何も無い、光も愛する人も無い、肉体は穢い、助けてくれ僕を僕の名を一息に!
「ッっは、あ、はあ、あ、」
急に息が苦しくなる事がある。手首に刻んだ十字を見る、青いインクを入れたのに、未だ赤く腫れていて、あゝ僕には救済は来なひのだ、フランダースのやうには、無理だ、さふいう命だから。御免なさい。
 背をずらすやうに、ゆっくりと、頭から海へ落ちてゆく。水が入って来る。苦しひ。嬉しひな。僕は、ねえ僕はーー
「おい!お、」
男の声はもう聞こえない。僕は遠いところに居る、海の中、漂い、魚達に纏わりつかれ、泳ぐとも無く、沈むしずむ鎮む。
 おしまい。此れが僕の、死。中々綺麗だと思うんだけれど。
 独りにして呉れ。静かの海へ、還ったんだから。サア。僕の名前は?空、そらのやうな名前だった、誰にも呼ばれず仕舞いだったな、可哀想に、あ、ソラス。変な響きだ、滑稽だ、サアカスよりも道化だ、僕は哀しひ少年だった、サヨナラさよなら世界なんて奴、良かった。ふふ。
 もう呼吸をしないソラスは、魚に啄まれ肉と骨の欠片ばかり水に浮ひて、汚くてきれい、弔いをしやう!盛大に、さあ!鐘を鳴らすんだ。黄金色の、あの鐘だよ。
 じゃあ、ね。手紙を書くかも知れないよ。そのときは又。インク切れだけれどね。
 ーーーー。し、ン。さああ、ザア。
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minaide · 4 years
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光なのか、闇なのか、色を纏っているのかいないのか・・・
すべてさだかではない空虚な深みに、雲が一つ。
離れ雲、とでもよぼうか。
燃えたぎる遠い西の涯からとどく
残照の片隅におびき出され、
悄然と浮かんでいるような・・・
やがて、あそこに、私も
吸い込まれていくのだろうか・・・
見上げる私のまわりから人が去り、音も消えた。
立ち尽くす足元から揺らぎがきて、
まるでファンタジーを生きる少女になったような、
不可思議な感覚・・・
ふと、記憶の底で歌が灯った。
浮くように見えておれども綿虫の
透翅(すきばね)必死に上下運動す
河野裕子歌集 “葦舟”より
この本を手にしたのはいつ頃だったろう。
十年余り前のことか?
長年癌と闘いながら柔らかい感性に
包みこんだ愛情豊かな世界を詠み続け、
四十代なかば(?)に早逝した歌人の、最後の歌集だ。
大空から眺めれば、綿虫も私も大した違いはない。
目を凝らせばやっと見えるほどの、
綿のごときものを吐き出し、
たちまち溶けいるようにして消える・・・・
小さきものたちよ。
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kanasmusings · 5 years
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[Kanji/Romaji/English Lyrics] TsukiSta - Tsukino Empire Main Theme
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I’ve fallen back into TsukiSta what with me working on Kurenai Enishi so, I decided to go ahead and translate the main theme for Tsukino Empire~! 
Thank you to @rubymikun for sharing this with us~! Please don’t ask her for them as per her request!
※ Please don’t re-post the romaji and English translations without permission. Instead of reposting, please just like/reblog instead ^^
Full lyrics under the cut, enjoy~!
[Tsukino Empire – Unleash Your Mind -]
KANJI:
  征け 征け 光と共に
飛べ 拓け 時空を越えて
最果てへと
 壊れかけた 小さな希望も
此の心に 鎮め合える
今輝く幼い光を
宙に 掲げれば
 戦う君の夢 願いは
世界を変えてゆける
飛び変え ただ強く
翼を広げ 風に乗って 向え
 命を纏い 征け
 闇を誘う パンドラ
弱き者は 引き裂かれ
滅びゆく 最期のとき
箱舟に 祈り捧ぐ
 哀しみを震わせて 歎きさえ忘れても
歓びを導いて 残された友と
 蒼き感星を離れて
宙眠る 勇士よ
揺れる月の影に
光をかざし 散った
 仲間たちの思いは刻まれ
指先へと 其の血流れ
今 輝く 無限の絆を込めて
絶望を砕け
 戦う君の夢 願いは
世界を変えてゆける
飛び変えただ強く
翼を広げ 風に乗って 向え
 戦う君の為 此の手で
暗闇を切り裂いて
さあ 立ち上がれ 牙を剥け
僅かな希望が胸に在る限り
 すべてを懸けて 征け
光と飛べ 心を解き放て
ROMAJI:
  yuke yuke hikari to tomo ni
tobe hirake jikuu wo koete
saihate he to
 koware kaketa chiisana kibou mo
kono kokoro ni shizumeaeru
ima kagayaku osanai hikari wo
sora ni kakagereba
 tatakau kimi no yume negai wa
sekai wo kaete yukeru
tobikae tada tsuyoku
Tsubasa wo hiroge kaze ni note mukae
 inochi wo matoi yuke
 yami wo izanau Pandora
yowakimono wa hikisakare
horobiyuku saigo no toki
hakobune ni inori sasagu
 kanashimi wo furuwasete nageki sae wasuretemo
yorokobi wo michibiite nokosareta tomo to
 aoki hoshi wo hanarete
sora ni nemuru yuushi yo
yureru tsuki no kage ni
hikari wo kazashi chitta
 nakama tachi no omoi wa kizamare
yubisaki he to sono chi nagare
ima kagayaku mugen no kizuna wo komete
zetsubou wo kudake
 tatakau kimi no yume negai wa
sekai wo kaete yukeru
tobikae tada tsuyoku
Tsubasa wo hiroge kaze ni note mukae
 tatakau kimi no tame kono te de
kurayami wo kirisaite
saa tachiagare kiba wo muke
wazuka na kibou ga mune ni aru kagiri
 subete wo kakete yuke
hikari to tobe kokoro wo tokihanate
ENGLISH:
  Go forth, go forth. Together with the light.
Fly, open it. Go over time and space.
Until we reach the farthest ends.
 Even the small hope that was broken
continues to control this heart.
Right now, if the sparkling and budding light,
continues to float then…
 The wish that you had as you fought in your dreams
will surely change the world.
It flies about and just strongly
spreads its wings, it rides the wind, and goes forth.
 Follow its life and go forth.
 A Pandora that invites the darkness.
Those who are weak should stay back from it.
Until the time we perish,
continue to offer prayer to our arks.
 Let your sorrow tremble, to the point that it should forget even this tragedy.
It will guide happiness together with our friends left behind.
 Separated from our blue star.
Oh, to the brave warrior that sleeps under the sky.
Light falls and scatters
from the swaying shadows of the moon.
 We etch into our minds the memories of our friends
As blood continues to fall from these fingertips.
Right now, together with the brightness of our infinite bonds,
we can overcome grief.
 The wish that you had as you fought in your dreams
will surely change the world.
It flies about and just strongly
spreads its wings, it rides the wind, and goes forth.
 For the sake of you who continues to fight, these hands
will cut through the darkness.
Now, stand up, bare your fangs.
As long as there’s a momentary fragment of hope left in us.
 We’ll offer everything we have and go forth.
We’ll fly with the light, we’ll release our hearts.
※ Please don’t re-post the romaji and English translations without permission. Instead of reposting, please just like/reblog instead ^^
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tieslog · 5 years
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Twitterでは政治的なことを中心的に発信しているのでTumblrでは宗教的な内容をメインにやっていくかな、と思い開設してからかなり時間が経ってしまいました。
私は今宗教の派閥でいうとキリスト教信者にカテゴライズされているのだと思いますが、しかし私がキリスト教を本当の意味で知ることができたのはRAPTblogを読んでからなのでした。
幼少期に通っていた保育園には教会が建っていたので礼拝に参加したことが無いわけでは無いのですが、しかし知識としてもキリスト教に関しての情報はサッパリでした。クリスマスの聖劇なるものや、紙粘土で作るノアの方舟に乗せる動物のオブジェ、イースター…一応世にいうキリスト教の信者っぽい行事を経験してきてはいるものの、自分の中にキリスト教徒である自覚が生まれたことはありませんでした。皆無でしたね。年末には神社に初詣に行ってましたし、参加するお葬式はどれも仏教でした。
有名大学の殆どがキリスト教の精神云々を謳ってたりしますが、バイトなどで出会った私立女子大生も大学で行われるクリスマスの行事に参加していたりはするものの、別に自称クリスチャンではなかったですしね。どこもそんなものではないでしょうか。
でもこれは別に不思議なことではなかったわけです。その辺はRAPTさんの書かれた一般記事に載っている日本や世界の宗教事情についてを読まれればご理解いただけると思われます。しかし逐一リンクを貼り付けたいような、貴方の目についた気になる記事から読んでほしいから貼りたくないような、片っ端から読んで欲しいような。
RAPTさんのblogには一般記事と有料記事があります。有料記事は月々¥800になりますが、自動引き落としではないので月ごとに購入希望を申し込むところから始まります。購入するとpasswordが送られて来ますので、読みたい記事の「記事を購読」ボタンを押して入力するのです…が…貴方のお使いになられている機種によっては弾かれてしまうことがあります…
そういうときは、ブラウザの検索窓に表示されたURLの「http://~」の部分に「s」を足して「https://~」にしてからpassword入力するとログインできます。
有料記事の内容を読んでいない方にざっくり私が説明することになるとすれば、こう言います。
有料記事に書かれている内容は神様からのラブレターです。神様から人類へのドストレートな愛の言葉がノンストップでお送りされています。
神様からの言葉を「御言葉」と言います。御言葉は「神様が選んだ中心人物」を通して人類に宣布されます。ちなみに今の時代の中心人物がRAPTさんという方です。
有料記事に書かれている内容には、よくわかる霊界の仕組みや、人類を成長させるための戒めの言葉や、これから起こることに関する預言も含まれていて、盛り沢山です。神様から預かる言葉で「預言」と書かれます。
RAPTさんの名前をネットでググると、さゆふらっととかいうYouTuberのアンチ動画が出てきたりして、どこにも所属していないRAPTさんをカルト呼ばわりしているのが見えると思うんですけど、しかし、さゆふらっとという人は自称幸福の科学信者ですからね。幸福の科学ってあれですよね?エル・カンターレ云々の胡散臭い本や映画を世に出して信者に売りつけている、実の息子と喧嘩真っ最中の、のっぺりした不気味な指導者がいる…あの…カルトはそちらでは?というか、あなたが他人をカルトって言っちゃうの…?みたいな。
なんかもうツッコミが追いつかないから放置でいいんじゃないでしょうか。変なアンチなど気にせず、RAPTさんの丁寧で美しい、よく調べられ纏められた良い文章をじっくり読むことに時間を使うほうが有意義だと思いますし、おすすめです。最近外気の温度も下がり秋も近付いたことですし、読書の秋ということで聖書も並行して読んでみたらいいと思います。
あ、RAPTさんのblogの内容を踏襲して書かれたKAWATAさんのblogも必見です。最近めちゃくちゃさに拍車がかかっている安倍政権における疑問がほぼ全て氷解しますので、KAWATAとNANAのRAPT理論と合わせておすすめします。とってもわかりやすいですし、元気になれます。
ところで以前、有料記事の中で主が、「私があなた方の命を買い取ったのだ」と言われたことがありました。
我々人類はつまり、人生まるごとお買い上げされた…ということは、私の人生は私のものではないということになります。
私が人間として肉をもってこの地に産まれる前に、すでに、私は主にお買い上げいただいていたわけですから、今までに頂いたすべての物や、身のまわりで起きたすべての事は、主が用意されたもの、ということになるわけです。なるほどですね。
御言葉を聞いていると、「ああ、あのとき起きた事にはそういった意味が隠されていたんだな」と気付かされることが多々あるわけですが、それはつまり、その出来事の意味性について、主は主で事前に用意された張本人だから既に知っておられたけど、神様を知らなかった私の方は知らなかった。
霊が先で肉が後だと神様は以前おっしゃっていました。神様は霊だから先に知っていて、肉の私は後で知ることになったわけです。
霊的に生きることで起こることの中に、スピードを上げて生きられるようになるというものがあるのですが、それはすなわち、神様との考えのタイムラグが段々無くなっていくということで、それが神様との意思疎通とまでなる…というわけですね。
神様の考えで生きること、それが神様との意思疎通というわけです。神様が、意思を持った神様が、今もリアルタイムで生きている。
霊は波長の世界である、とRAPTさんを通して神様はおっしゃいました。
考えの世界、考えの世界が霊界。なんだか不思議だけれども、現実にも似たようなものはありますよね。そう、インターネットです。
神様もよく御言葉のなかで人間の脳をコンピュータに、考えをプログラムに例えています。正しい考え、正しいプログラムで動かなければ人生に不具合が起きると教えてくださっています。
神様のプログラムで私が動くとき初めて、私は神様に買い取られた者としてあるべき姿になったと言える。私が神様の考えで生きることができたときに、やっと、神様が私を買い取られた事実が成り立つ。私が神様の願う通りに、御心通りに生きることができたなら、私が神様のものとなれた事実を立証することができるようになるのでしょう。
聖書でも神様は行いを重視しています。
聖書の最後の方のページにある黙示録の中に「彼らの額には、御名がしるされている」という表現があるのですが、
ヨハネの黙示録(22-1~7)
御使はまた、水晶のように輝いているいのちの水の川をわたしに見せてくれた。この川は、神と小羊との御座から出て、 都の大通りの中央を流れている。川の両側にはいのちの木があって、十二種の実を結び、その実は毎月みのり、その木の葉は諸国民をいやす。 のろわるべきものは、もはや何ひとつない。神と小羊との御座は都の中にあり、その僕たちは彼を礼拝し、 御顔を仰ぎ見るのである。彼らの額には、御名がしるされている。 夜は、もはやない。あかりも太陽の光も、いらない。主なる神が彼らを照し、そして、彼らは世々限りなく支配する。彼はまた、わたしに言った、「これらの言葉は信ずべきであり、まことである。預言者たちのたましいの神なる主は、すぐにも起るべきことをその僕たちに示そうとして、御使をつかわされたのである。 見よ、わたしは、すぐに来る。この書の預言の言葉を守る者は、さいわいである」。
額にしるしがある。ということは、その人の脳に神様の考えが入っているということ。
その神様の考えは、その脳に神様の考えをインプットされた人自身が、神様の願う行動を行うことで、ようやく顕になるんですね。
だからRAPTさんが神様のしるしを受けた方であることがわかるわけですね。
KAWATAさんが、NANAさんが、神様のしるしを受けた方々であることがわかるわけです。
彼らこそが、神様から遣わされた人たちであるということが、わかるわけです。
今回の画像は以前、神様を認識してから初めて頂いた住まいのイラストです。
神様には初めての家族団欒というものまで頂いていますので、本当に頭が上がりません。このブログでは日々の生活で起きたこととか、暮らしの工夫なんかもログとしてアップできたらいいな、とも考えています。よしなにどうぞ。
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utautain-suzuri · 2 years
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初土の種 8月
祈りを捧げる時、その姿勢はその心に従う形をとるでしょう。そして、多くは瞳を閉じるかと思います。 心を静めて目蓋の裏で、何を憶いますか。 そこに現れる像は、あなたの感じうる光によって見えます。 8月はピンホールカメラを用いました。 黒い筒の中、小さな穴から入る光を感光紙に当てて撮る写真です。 その時期や天候の紫外線量によって、日光を当てる時間は変化します。
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7月と同じ場所の景色ですが、少し角度が異なります。  8月の川には光が流されます。お盆の灯籠流しです。それは送り火となり、この世を訪れた魂を導きます。 写真には記憶の内であるように、うっすらとした青で山と川が映っています。お盆では山や川に、行事の場としてスポットライトが当たります。それは、御霊の還る所だから。日本人にとって、山や川の先は異界でした。京都の五山の送り火では、山に灯が点されますね。 写真にある山の名前には「八」の字が入ります。この辺りの竹は電球の開発に一役担い、一時は海彼の地を照らす事もありました。この地の竹ではありませんが、数字をかくのには竹ペンを用いました。また、この数字(文字)を用いる地にも「八」の字がつきます。 印刷は再びコンビニプリントなのですが、レーザー印刷という手法です。筒状の感光体(ドラム)にレーザーを当て、着色する粉(トナー)を付け、それを熱しながら圧して紙に転写する事で印刷します。
追憶の「光景」には何が浮かぶでしょうか。
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お盆のある旧暦7月、つまり新暦8月の朔日は地獄の釜が開くとされ「釜蓋朔日」、「地獄の口開け」と呼ばれ、そこから一ヶ月間お盆の行事がなされます。 地域によって差異があるものの、13日には精霊迎えをしてもてなします。16日に送りとして送り火を焚いたり、川に灯籠を流したり、海に精霊舟を浮かべたりします。これらが行事の中核と言えます。水施餓鬼と言って、専用の卒塔婆を川に流していた地域もあるようです。 今では川に物を流してはなりませんが、もてなしに用いたものも古くは纏めて川に流す、もしくは燃やしていました。これは浄める為です。
古事記でイザナギ命が黄泉の国から帰ってきた際、「吾(あ)はいなしこめしこめき。穢(きたな)き国に到りてありけり。故、吾は御身の禊せむ。(厭な酷く穢れに満ちた所に行って、私は穢れてしまった。身を清めよう。)」といって禊祓をしました。身を浄めるとあらゆる神々が生まれ、三貴子も生まれました。水辺は穢れがついた身を清浄にする場です。清い事は神道において重要な意味を持ちます。 また、古い遺跡では側溝や河川跡から祭祀に用いたと考えられる土製の馬や墨書人面土器、木製の人形、斎串等が出土しています。紙製になりましたが、人形を流して身を清める行いは現代にも続いていますね。
愛知県海部郡蟹江町の須成祭では神葭(みよし)神事が行われます。これは穢れを葭に託して川に流す行事です。河岸の葭を刈って御神体として祀り、川に流すのですが、現代では定められた池に7日間浮かべる方式のようです。その後70日間再び祀られ、燃やされます。これに類する形態の祭は周辺地域などで多数見られます。葭には疫神を封じ込めてある為、葭を川に流していた頃には流れ着いた地では祟りを恐れて祠を建てて祀りました。然し、これが海に出ると様子が変わります。海に面する地では潮路より寄り来るものを福の神として扱う事があり、神葭神事においてもそれを祝ったり模したりして喜び迎えます。忌避されたものが一端流されて清められると尊いものへと変じます。
また、神葭神事のような神事を川で行う地では、川に入り沐浴をすれば病気にならないとする地、逆に川を聖域として入る事を禁ずる地があります。 魂は穢れと清浄を往来します。川にこそ、そういった場面があるのです。
宵闇の中、川面や山に浮かぶ灯に案内されて、盆に訪れた魂が迷わず帰りますように。そして、此岸で営みをする各々の魂が清まる事を願います。
 
目次 8月(制作)
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kachoushi · 1 year
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各地句会報
花鳥誌 令和5年8月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年5月1日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
葉桜に声まで染まるかと思ふ 雪 葉桜の懐深く観世音 同 葉桜を大天蓋に観世音 同 ふと思ふ椿に匂ひ有りとせば 同 葉桜の濃きに始まる暮色かな 泰俊 葉桜の蔭をゆらして風の音 同 老鶯を聞きつつ巡りゐる故山 かづを 四脚門潜ればそこは花浄土 和子 緑陰を句帳手にして一佳人 清女 卯波寄すランプの宿にかもめ飛ぶ 啓子 蝶二つもつれもつれて若葉風 笑 雪解川見え隠れして沈下橋 天
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月6日 零の会 坊城俊樹選 特選句
五月闇喫茶「乱歩」は準備中 要 だんだんに行こか戻ろか日傘 和子 錻力屋のゆがむ硝子戸白日傘 昌文 空になる途中の空の鯉幟 和子 ラムネ玉胸にこもれる昭和の音 悠紀子 だんだんは夏へ昭和へ下る坂 慶月 だんだん坂麦藁帽子買ひ迷ふ 瑠璃 白シャツのブリキ光らせ道具売る 小鳥 蟻も入れず築地塀の木戸なれば 順子 夕焼はあのアコーディオンで歌ふのか きみよ 谷中銀座の夕焼を待ちて老ゆ 同
岡田順子選 特選句
築地塀崩れながらに若葉光 光子 日傘まづは畳んで谷中路地 和子 ざわめく葉夏の赤子の泣き声を 瑠璃 築地塀さざ波のごと夏めきて 風頭 カフェーの窓私の日傘動くかな 和子 二階より声かけらるる薄暑かな 光子 下闇に下男無言の飯を食ふ 和子 覚えある街角閑かなる立夏 秋尚 谷中銀座の夕焼を待ちて老ゆ きみよ 誰がために頰を染めしや蛇苺 昌文 青嵐売らるる鸚鵡叫びたり きみよ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月6日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
カルデラに世帯一万春ともし たかし 大いなる大地を画布に聖五月 朝子 渚恋ひ騒ぐ厨の浅蜊かな たかし しやぼん玉母の笑顔を包みけり 朝子 乙姫の使者の亀ならきつと鳴く たかし 風に鳴るふらここ風の嗚咽とも 睦子 桜貝拾ひ乙女となりし人 久美子 風船の子の手離れて父の空 朝子 夕牡丹ゆつくりと息ととのふる 美穂 はつなつへ父の書棚を開きけり かおり 鷹鳩と化して能古行き渡航路 修二 風光るクレーンは未来建設中 睦子 人去りて月が客なる花筏 孝子 束ね髪茅花流しの端につづく 愛 悔恨深し鞦韆を漕ぎ出せず 睦子 ひとすぢの道に薔薇の香あることも 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月8日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
戦争は遠くて近しチューリップ 信子 霾や廃屋多き街となり 三四郎 長長と系図ひろげて柏餅 昭子 鞦韆を揺らし母待つ子等の夕 三四郎 代掻くや越の富士山崩しつつ みす枝 氷菓子あれが青春かもしれぬ 昭子 モナリザの如く微妙に山笑ふ 信子 風なくば立ちて眠るや鯉幟 三四郎 観音の瓔珞めいて若葉雨 時江 春といふ名をもつ妻の春日傘 三四郎 もつれては蝶の行く先定まらず 英美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月9日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
金環の眼や神々し鯉幟 実加 テンガロンハットの老夫麦の秋 登美子 筍を運ぶ人夫の太き腕 あけみ 緩やかに青芝を踏み引退馬 登美子 赤き薔薇今咲き誇り絵画展 紀子 自らの影追ひ歩く初夏の昼 裕子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月9日 萩花鳥会
マンションの窓辺で泳ぐ鯉幟 祐子 兜より多産な鯉を子供の日 健雄 山頂に吹き上がるかな春の息 俊文 新緑やバッキンガムの戴冠式 ゆかり 仰向けのベッドに届く風五月 陽子 この日から五類に移行コロナあけ 恒雄 武者人形剣振り回すミニ剣士 美惠子
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令和5年5月10日 立待俳句会 坊城俊樹選 特選句
囀や高鳴く木々の夜明けかな 世詩明 すがりたき女心や花薔薇 同 仏舞面の内側春の闇 ただし 菖蒲湯に老の身沈め合ひにけり 同 うららかや親子三代仏舞 同 花筏寄りつ放れつ沈みけり 輝一 花冷や母手造りのちやんちやんこ 同 機音を聞きつ筍育つなり 洋子 客を呼ぶ鹿みな仏風薫る 同 渓若葉上へ上へと釣師かな 誠 子供の日硬貨握りて駄菓子屋へ 同 白無垢はそよ風薫る境内へ 幸只 春雨は水琴窟に託す朝 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月11日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
里山を大きく見せる若葉かな 喜代子 父母座す永代寺も夏に入る 由季子 三国町祭提灯掛かる頃 同 難解やピカソ、ゲルニカ五月闇 都
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月12日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
ホーエンヤ口上述べて祭舟 史子 暮の春どちの館の椅子机 すみ子 声潜めメーデーの歌通り過ぎ 益恵 手擦れ繰る季寄卯の花腐しかな 美智子 鳥帰る曇天を突き斜張橋 宇太郎 海光も包まん枇杷の袋掛 栄子 葉桜や仏の夫の笑みくれし 悦子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月13日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
菖蒲湯の香を纏ひつつ床に就く 多美女 風低く吹きたる社の陰祭 ゆう子 やはらかき色にほぐるる萩若葉 秋尚 すと立てし漢の小指祭笛 三無 深みゆく葉桜の下人憩ふ 和代 朴若葉明るき影を高く積み 秋尚 メモになき穴子丼提げ夫帰る 美枝子 祭笛天を招いて始まれり 幸子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月14日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
植物園脇に馴染みの姫女苑 聰 近づきて見失ひたる山法師 秋尚 母の日の記憶を遠く置き去りに 同 崩れかけたる芍薬の雨細き 同 若葉して柔らかくなる樹々の声 三無 葉桜となりし川辺へ風連れて 秋尚 白映えて幼稚園児の更衣 迪子 くれよんを初めて持つた子供の日 聰
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月17日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
一人逝き村軽くなる麦の秋 世詩明 水琴窟蔵す町屋の軒菖蒲 千代子 三国沖藍深めつつ卯波来る 笑子 母の日や母の草履の小さくて 同 カーネーション戦火の子らに百万本 同 遠ざかる思ひ出ばかり花は葉に 啓子 麦秋の響き合ふごと揺れてをり 千加江 あの世へもカーネーションを届けたし 同 紫陽花やコンペイトウと言ふ可憐 同 人ひとり見えぬ麦秋熟れにうれ 昭子 永き日の噂に尾鰭背鰭つき 清女 更衣命の先があるものと 希子 春愁や逢ひたくなしと云ふは嘘 雪 風知草風の心を風に聞く 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月17日 さきたま花鳥句会
鯉幟あえかな風も見逃さず 月惑 土間で輪に岩魚の骨酒郷の友 八草 背に茜萌黄の茶摘む白き指 裕章 薫風や鐘楼の梵字踊りたる 紀花 潦消えたるあとや夏の蝶 孝江 初夏の日差しじわじわ背中這ふ ふゆ子 水音のして河骨の沼明り ふじ穂 なづな咲く太古の塚の低きこと 康子 竹の子の十二単衣を脱ぎ始め みのり 薔薇園に入ればたちまち香立つ 彩香
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月21日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
野阜に薫風そよぐ母の塔 幸風 突つ伏せる蝶昂然と翅を立て 圭魚 夏めきて観音膝をゆるく曲げ 三無 谷戸深き路傍の石の苔の花 久子 捩花の気まま右巻き左巻き 炳子 人の世を鎮めて森を滴れる 幸子 水音は水を濁さず蜻蛉生る 千種 夏蝶のたはむれ城主墓に罅 慶月 薫風やボールを投げてほしき犬 久
栗林圭魚選 特選句
要害の渓やえご散るばかりなり 千種 恙少し残り見上ぐる桐の花 炳子 十薬の八重に迷へる蟻小さき 秋尚 野いばらの花伸ぶ先に年尾句碑 慶月 忍冬の花の香りの岐れ道 炳子 水音は水を濁さず蜻蛉生る 千種 谷戸闇し帽子にとまる夏の蝶 久子 日曜の子は父を呼び草いきれ 久 ぽとぽとと音立てて落つ柿の花 秋尚 黒南風や甲冑光る団子虫 千種
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月28日 月例会 坊城俊樹選 特選句
二度廻る梓渕さんかも黒揚羽 秋尚 夏めきぬ膝に一筋擦過傷 炳子 茶席へと鳥獣戯画の帯涼し 要 万緑を黒靴下の鎮魂す 順子 美しき黴を持ちたる石畳 みもざ 霊もまた老ゆるものかな桜の実 光子 薄き汗白き項の思��中 昌文 黒服の女日傘を弄ぶ 緋路
岡田順子選 特選句
夏草や禁裏を抜ける風の色 月惑 白きもの真つ白にして夏来る 緋路 女こぐ音のきしみや貸しボート 眞理子 蛇もまた神慮なる青まとひけり 光子 風見鶏椎の花の香強すぎる 要 霊もまた老ゆるものかな桜の実 光子 白扇を開き茶室を出る女 佑天 緑陰に点るテーブルクロスかな 緋路 黒服の女日傘を弄ぶ 同 二度廻る梓渕さんかも黒揚羽 秋尚
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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kiyomune0115 · 3 years
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#フォロワーさんのイメージで同人誌のタイトルロゴをつくる
製氷皿にほたるのひかり/路木さん(@rrrokio)
スタート地点は、雄弁、理路整然、動かぬ美学。マス目状のものが視覚イメージとしては強くて、製氷皿はそこから来ました。あと、お書きになった過去作のタイトルが「限られたものの中の自由」を思わせるものが多く、そこに、ちいさな立方体のくぼみに光を当てると、こぼれ出すように光る、柔らかい光の広がりを当てました。
In bocca al lupo!/椿さん(@tubaki2891)
「イン・ボッカ・アッ・ルーポ」。オオカミの口の中へ!、という、物騒なイタリアの慣用句で、グッドラック的な(それにしてはだいぶん危険な香りがしますが)やつです。ボスってイタリア似合うと思うんですけど……魔法の呪文っぽくてイケてると思うんですけど……とりあえず、ことわざで押しきる攻手は緩めませんでした(時折違うの混ぜてるけど)💪
追い風は追い抜いてこそ/けいさん(@txm87)
後押ししてくれる風に身を任せるというよりは、それをも凌ぐ強さでぐんぐん加速する、魅力的な生命力のイメージ。向かい風や、それに耐える疲労など、望まぬものとは無関係な、自由な競争の世界に身を置いてくれ〜という気持ちもモリモリ込めました。ヒロアカのイメージもちょっぴり(ホークスの羽根とかロディの飛行機とか)。
くしけずり、ささめき、/たしさん(@tashi_usk)
お人柄や新刊などから、「やわらかく愛を伝える仕草」をタイトルに使おう、と思ったのがスタート地点です。「髪を櫛で丁寧にとかす・小声で囁く」といった仕草をそれぞれ一動詞にし、連用形(次の動作に繋がる表現)で並べてみました。過去出版されたタイトルから、ひらがなの使用率が比較的高めな印象があったので、表記はそれに倣っています。
ストローフィルムの指輪/ぼろさん(@boroioi)
格言をはじめとした短文タイトルにするか、お人柄や好きなものをベースにするか、ロゴに詰め込みたい情報が過多で、楽しく難儀させて頂きました……ネイルから始めようと思ったのですが、前小説で書いたので、少し思考の範囲を広げ、手に。祈るような切なさが詰まった恋の所作がお好きかなと思い、冗談が飛び交うファミレスで結んだ手遊びの指輪をつけてもらいました。
サイレント・レター/minamiさん(@373_sosaku)
「know」の「k」をはじめとする、綴りには必要なのに、発音されない音のこと。minamiさんを思い浮かべた時必ず浮かぶ「音」と「必然」のキーワードから、パッと浮かんだのがこの言葉でした。動詞に繋げる・音引きをアにしてレトロ演出……等々、しばらく色々弄ったのですが、小賢しい気がしたので、一単語勝負に出ています。
花雷は彼方/積木さん(@784Imk)
イベントが開催される際に鳴る、色の見えない花火のことを、花雷と言うそうです。近くで聴く人は、物事のはじまりに胸を高鳴らせ、遠くで聴く人は、音の出所がわからない。確かにあるのに、見えないからズレる――治角名の師匠・積木さんから学んだことは全部つめました(採点をお願いします!)。
日当良好、式場隣接/ポンスケさん(@m4bdc)
急転直下する展開の鬼才なので、「次のコマでオチます!」みたいな雰囲気が出したくて。柔らかいお人柄や絵柄に合わせ、ひらがなに開こうかと思ったのですが、それだとスピード感が出ないので、漢字のままにしています。音数をめでたい八・八で揃え、テンポだけは死守しました。
春のしっぽのおしごと/はるみさん(@harumirococo)
以前クサクサしていた時に慰めてくださった優しさと、アイコン。それから、ナツノさんと季節で揃いのものにしよう、という三観点からスタートを切りました。感情を、まるっとしたしっぽの小刻みな動きで伝える、可愛さのあるユーモアでまとめたつもりです。ラグラス草のイメージでも。
初夏タマゴサンド/ナツノさん(@atkt071)
季節は夏としても、ナツノさんにギラギラしたエネルギッシュな印象はないので、初夏の若々しさに焦点を絞りました。はるみさんと同じく元気をくださった方なので、ビタミンカラーで攻めることにし(その節はありがとうございました!)、夏の定番の食べ物は除外しつつ、シンプルで美味しく、目に鮮やかなサンドイッチをチョイスしました。
無重力パズル/🧀さん(@unchoskk)
何もないところに論理と知識で文字を並べてデザインをする、その行いが、ジグソーパズルみたいだな、と出だしで思い、固定された平面に収まらない途方もなさだとか、ままならなさを、無重力空間のイメージと繋ぎ合わせました。花と音楽の面から攻めた「エアプランツ・ワルツ」と最後まで迷い続け、こちらに。
cloud number NINE/みちるさん(@nemui_tori_888)
とびきりしあわせ、の意。大きな目を潤ませ、口の端をきゅっと持ち上げて、すごく幸せそうに笑う侑北をお描きになる方なので、絵に似つかわしいタイトルにしよう、と思った次第です。「9番目の雲に乗れ」の方が勢いがあっていいかなとも思ったのですが、線を重ねる絵柄に合わせたとき、シンプルな細フォントの方がいいかなと思い、英語表記にしています。
末黒の芒/もいさん(@10moukai)
害虫の除去等のために焼いた堤や畦の中から、青々と萌え出したススキのことを言う、早春の季語です。陳情令、ミリしらなんですけれども、黒と白の衣服を纏った美しい男性が一対でいるイメージがありまして、黒と緑、生と死の対比鮮やかな言葉を当てました。春聯(中国の正月、一対の柱にめでたい語を書いた赤い札を貼ること)とかなり迷いましたが、漢字ほど見た目が雅ではないので、ボツにしています。
七月七日、アルタイル行き/はなさん(@87ch__)
ロゴ、遊び過ぎで、この通りに読めないものを作ってしまってごめんなさい。旧暦七夕のころ、上弦の半月は、ヴェガとの間に流れる天の川をゆったりと動くのだそうで、その月の形から「舟」を連想するという発想は、万葉の昔から存在したそうです。作品等から、自然の美しさを愛していらっしゃるイメージを受けたので。
アンフラマンスの駆け引き/poneさん(@mmscrg)
「poneさんは和語とカタカナ語の組み合わせがお好き!」という私の解釈に基づき、ロゴを作ろうと腕捲りしていたところ、TLで、にゃんにゃんにゃんの日の北さんのにゃんを見かけ、お色気要素が偶発的に取り入れられることとなりました。アンフラマンスはM・デュシャンの造語で、現実と非現実の境界の薄さを指すそうです。均衡が崩れる手前の危うさ、背徳感がありませんか……?
The BALL is in YOUR COURT!/ウレシノさん(@ureniji)
あなたが決断する番、という意味の慣用句。明るくハッキリした色使いや、他者の作品などに対するラリーのような反応の瞬発力など、球技ゲームに似つかわしい雰囲気をお持ちの印象があったので、この言い回しで!と、スパンと決まりました。稲荷崎オールキャラの賑やかさで彩られた本向きかな、と勝手に妄想しています。
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yuupsychedelic · 4 years
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作品集「GIFT 2020」
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作品集「GIFT 2020」 1.孤独な海 2.Baby, My Loneliness 3.空想交響詩α / β / θ(大いなる挑戦 / 暗黒卿への逆襲 / 愛の勇者たち) 4.茜色の伝説 5.僕のクリスマスプレゼント
1.孤独な海
水滴がぽつりと零れる 雨音はぽろりと溢れる
夜の静寂(しじま)に怯え 沈黙した子供みたく 安らぎを求めて 誰もが暗闇に背を向ける
遥か彼方に未来があるなら なぜ僕らはまだ答えを知らない? 理想 現実 幻想 失望 ロゴスの源流
華やかに艶やかに 厳かにしなやかに
細胞に刻まれた 愛の痕は何処へ? 未知なる海へ舟を漕ぐんだ 僕らは孤独な旅人
波の滴は満ちて 月が踊り出す 君はペシミスト(星はペシミスト) 誰もが絶望するその時
自由な夜の夢よ  僕らを抱きしめろ 希望の鐘が鳴ろうとも  二度と目覚めはしない 夢想 瞑想 妄想 失想 ロゴスの誘惑
密やかに心地良く 穏やかに優しく
遺伝子に囁いた 時の印は何処?
宿命と闘い 明日を掴み取れ
未知なる海へ船を漕ぐんだ 僕らは孤独な旅人
2.Baby, My Loneliness
大好きだった人に彼氏が出来たと知った それから僕は付き合っていた彼女と別れた もう自分の想いを誤魔化すのはこりごりだと 正直に打ち明けたら意外とすんなり頷いてくれた
前の彼女は幼い頃からの友達で 悩み事があれば真っ先に相談する関係だった いつか僕が声なき中傷に怯えてた頃 そっと手を差し伸べてくれた親友だった
でも恋とは違うよな 好きにはなれなかったんだ だけど好きになれなくても 本当は恋人と別れたくはなかった
「恋人ができました」……なんて呟いてみたかった SNSで匂わせる恋人達に憧れた そんな季節はとっくに過ぎて 夢を諦めた 孤独色のコートを身に纏うのは好みなんかじゃない 本音を隠したいから
ちゃらんぽらんなあいつに彼女が出来たと知った あれから何年か経って髪は伸び放題 もう自分の本音を誤魔化すのはこりごりだ 誠実に明け暮れて誰かの顔色を伺うばかりじゃ駄目だよ
あの頃の友達から届いた招待状 数年前に夫婦別姓が実現して結婚式がやけに増えた くたびれたスーツを着ていくわけにもいかなくて 身の丈に合わないタキシードを友に仕立ててもらった
でも何か違うよな 好きにはなれなかったんだ これまで愛した恋人は いつも本当のロマンスじゃなかった
「僕たち結婚します」……なんて呟いてみたかった SNSで歓喜する恋人達に憧れた こんな素直はとっくに消えて 恋を諦めた 孤独色のコートを身に纏うのは好みなんかじゃない 隠したいのは破れた恋の痕
今年もきっと聖夜は一人で過ごすだろう それを世間は孤独だなんて嘲笑するけれども 一人だって意外と悪くはないもんだ うるさい友やつまらない話に付き合わなくていい
……だけど本当は淋しくて
「愛せなくてもいいんだ」……やっと気付いた 誰かを愛することがすべてじゃない こんな想いはいつ振りだろう 心が軽くなった セピア色の思い出に拍手を捧げよう 幸せは心の中にある
My Baby, My Loneliness Love the life you live. Live the life you love……
My Baby, My Loneliness Love the life you live. Live the life you love……
My Baby, My Loneliness Love the life you live. Live the life you love……
3.空想交響詩α:大いなる挑戦
みんなと同じように まっすぐ前を向いて生きろ はみ出すことはいけない 私の言葉に従え
人間のエゴイズム 大人の姿をした子供 だけど反抗する僕らも いずれはああなってしまうのか 憂鬱……
挑戦することを恐れるな 風に抗うことを怖がるな 始発点も踏み出さずに 不安な顔をしてはいけない
けれど挑戦するのが正義だと 勘違いする奴らもいるんだ 人は誰もが二十の顔を持つ
黄金の宮殿に集う 死んだ顔の挑戦者たちが宴を開く
靴下の長さはこうしろ 髪型は肩にかからぬように 誰かが決めた答えを 絶対的だと盲信する
子羊のマインド 負け犬根性は染み付く だけど反抗する僕らも いつかは同じ姿の自分に気付くのか 憂鬱……
失敗することを恐れるな 時代に抗うことを怖がるな 石ころに阻まれるかもわからないのに 踏み出す一歩に遠慮いらない
けれど挑戦するのが正義だと 勘違いする奴らもいるんだ 人は誰もが二十の顔を持つ
戦色の広場に集う 死んだ雲の青空に真偽を問うなら
銀箔の雨が降る 汚れた心を流すため 自惚れた球体の星で生まれた僕らは いつどこで生まれ…… どこへ向かうのだろう?
挑戦することを恐れるな 風に抗うことを怖がるな 始発点も踏み出さずに 不安な顔をしてはいけない
失敗することを恐れるな 時代に抗うことを怖がるな 石ころに阻まれるかもわからないのに 踏み出す一歩に遠慮いらない
けれど挑戦するのが正義だと 勘違いする奴らもいるんだ 人は誰もが二十の顔を持っている
歓喜の歌を共に唄えるその日まで 闘いは終わらない
さあ想うがままに翔け
4.空想交響詩β:暗黒卿の逆襲
青空を突然闇が覆い尽くし 無限に広がる城は現れた そして闇に支配された民たちに 綺麗事は響きはしないさ 数千年前に光に打ちのめされた奴らの 最初で最後の逆襲
限界を越えて日々の生活を送る 声なき者が連帯した時 愛なきプロパガンダは空虚な夢さ 時代の波に押し潰されていく
人はすべてを失くした日に気付く あの日々が僕らには良かったと だけど変わり始めた歯車は戻らない 狂ったままでもまっすぐ進み続けるしかないんだ
宇宙規模の闘いが始まる 武器を持って 最後の夢を離さんと 愛する者に最初のキスをしよう 次はいつ逢えるかわからないから
暗黒卿の逆襲 燃え滾る Space Wars(宇宙戦争)
悲しい時には涙を流せ! 辛い時には力に代えろ! 指揮官の言葉が廃墟に響く 僕らは無言で剣を振りかざす
常識なんてもう関係ないさ 愛する君を守ればそれでいいさ 知性なんてもう何処かへ捨ててきた 僕らは野獣のように勝利だけを目指す戦士だ
宇宙規模の闘いが始まる 武器を持って 最後の夢を離さんと 愛する者に最初のキスをしよう 次はいつ逢えるかわからないから
暗黒卿の逆襲 先が見えない Space Wars(宇宙戦争)
週に一度の停戦日に 通信で愛を囁き合う 仲間たちのラブソングを聞く 何度声をかけても返事がないまま 僕の彼女は何処へ消えた?
宇宙規模の闘いを終わらせる 愛を懸けて 最後の夢を離さんと 愛する人のためにとっておきの一撃を 君は僕の手で必ず守り抜く
銀河越えて安らぎを掴むため 命懸けて この宇宙戦艦で走るよ 愛する人の生存信じて最後の闘い 君は必ず生きていると信じて
暗黒卿の逆襲 ダークサイドとの決戦 夜明けは見えた Space Wars(宇宙戦争)
5.空想交響詩θ:愛の勇者たち
闘いは終わった 君と久々に会った 抱きしめた時のぬくもりは あの頃と少しも変わらなかった
闘いの果てに 君を懐かしむ日々 再会の日の歓びに勝るものは 人生のどこを探してもないだろう
見つめ合うよりも ただ傍にいることが 今は倖せだと感じられる これだけが収穫
何のために僕は闘い続けたのか 君に出逢うためか この星を護り抜くためか
言われるがまま武器を取り 見知らぬ人を斬る日々
そうだ…… 我らが勇者
憎しみは終わった 昨日までの敵同士 同じ食を楽しむ 本当に僕らは戦士だったのだろうか
剣をぶつけ合うよりも ただ語り合うことが 今は倖せだと感じられる これだけが収穫
何のために君は闘い続けたのか 愛を学ぶためか この夢を護り抜くためか
誰かのために武器を取り 見知らぬ人を撃つ日々 そうだ…… 我らが勇者
何のために僕らは闘い続けたのか 傷跡を見るたび 罪悪感に駆られる
愛する人を護るのが大義だと信じてた この星のために闘う それが正義だと信じてた あの頃の純朴な僕らを還して 愛のために闘う僕の想いを返して 本当なら友に剣を向けたくはなかった 本音は闘いなど終わってほしかった
嗚呼 僕はなんてことをしてしまったのだろう さすらう過去に懺悔の日々が続くよ 血みどろの兵士を見て ふと現実に帰った 安らかに眠る友を見て 呼び戻されたのさ
さあ僕らは共に生きていくんだ さあ僕らは友と生きていくんだ さあ僕らは今日を生きていくんだ
New Genesis…… New Generation…… Continue出来るのは今だけ
6.茜色の伝説
卒業してから もう数年が経った 街で君を見たとき 誰かわからずにごめん
カフェで話せば すぐに思い出した 少し雰囲気は変わったけど 心はそのまま
実は君が好きだったんだと ふいに打ち明けた なぜか君は真実を知っていて 静かに笑顔を見せた
まさか再び逢えるなんて思いもしなかったよ 揺らぐ心に気づいた時 僕は何も言えず 遠ざかる背中を見送るだけだった 恋心に気付いた君は何にも変わらないまま
意味深な笑顔 ずっとそのままでいてね
あの日に逢ってから 十年の時が流れた 恋に結ばれた僕は 二度目の同窓会
また君に逢ったとき 何かがときめいた この日も何も変わらぬまま 話は弾んでいく
思い出話で終わらせていいのか 心は揺れ動き やっぱり想いを伝えられず 夜は静かに終わった
いつか伝えようと想いを仕舞い込んだ そうだ既婚者なんだもの 愛すべき人がいる 遠ざかる背中を見送るだけだった 歳を重ねた僕らは何にも変わらないまま
爽やかな笑顔 ずっとそのままでいてね
家族との冬休み いつもの街で男と歩く君にすれ違った 手を繋ぐ相手はおそらく恋人だろう それで何だか安心した もう苦悩しなくていいんだ ぎゅっと妻の手を握りしめた
まさか再び逢えるなんて思いもしなかったよ 揺らぐ心に気づいた時 僕は何も言えず
このまま終われたら何て幸せなことか 言い聞かせていたその時 ふたりの何かが動いた
遠くにいる君へ僕は愛を叫んだ まるでやまびこのように君の声がした だけどそこまでだった 沈黙が返ってくる その後妻に問いただされた 僕は何も言えなかった
あの頃の気持ち ずっとそのままでいてね
7.僕のクリスマスプレゼント
いろいろあったよね たくさん笑ったよね
何もなかった人も 何かあった人も 今夜はシャンパン飲み交わして 共に乾杯しよう
聖夜が更ける頃 この街に雪が降る 「一年に一度の魔法ね」 君はそっと呟く
ベッドでさすらう君が 僕は世界一好きだよ いつも言ってるじゃないか 君を愛してる
ありきたりな言葉 ふたり重ね合うだけで 幸せな気持ちになれるんだもの それが聖夜の奇跡
ときめきのStardust 安らかにHolly Night!!
いろいろ話したよね たくさん泣いたよね
時に喧嘩した夜も 死ぬほど笑った朝も 明日のプレゼントを信じて 一緒に夜を過ごそう
希望の夜明けだね 約束の鐘が鳴る 「今年はどんなプレゼントかな」 君は眠そうに囁く
どんな時も君が 僕は世界一好きだよ 毎日言ってるじゃないか 君を愛してる
ありきたりじゃない 今年学んだのは ふたりで幸せの価値捜すこと それは傍にいること
ときめきのStardust 安らかにHoly Night!!
伝えたいことがある 君と結婚したい どんな幸せも困難も 共に抱きしめよう ふたり愛の河を渡ろう これが僕からのプレゼント
いつまでも君が 宇宙で一番好きだよ いつも言ってるじゃないか 君を愛してる
ありきたりな言葉 ふたり重ね合うだけで 幸せな気持ちになれるんだもの それが聖夜の奇跡
ありきたりじゃない 今年学んだのは ふたりで幸せの価値捜すこと それは傍にいること
ときめきのStardust 安らかにHoly Night!!
【Bonus】YOKOHAMA GOLDEN ERA ‘00
グラウンドを見るたびに あの頃を思い出す オーシャン・ノワールは懐かしさを 僕らに教えてくれた
いつの間にか離れたスタジアム 二十年ぶりに戻れば ずっと待っていたとばかりに 大人になった僕を優しく抱きしめる
パチョレックのツーベース ポンセのホームラン ロバート・ローズのタイムリー ブラッグスのハッスルプレイ
僕らが愛した横浜が 今もそこにある カクテル光線の先には 子どもたちの憧れ
ありがとうこの街 いつまでもベイスターズ
詩集「GIFT 2020」Staff Credit
All Produced / Written by 坂岡 優 Special Thanks to My Family, my friends and all my fans!!
2020.12.25 坂岡 優
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