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#手羽元と切干大根の煮物
torinosuke · 2 years
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頂いたゴーヤ、茄子、ピーマン、胡瓜、梅干し、切干大根と、見切品コーナーでゲットした6枚で50円の厚揚げ、3パック40円納豆、卵と4本90円の手羽元で晩ごはん。 春雨サラダはお惣菜見切品で50円ほどだったのに胡瓜とらっきょうを追加してかさまし。 ゴーヤのワタは苦いって言われてるけど、全然苦くないのでスープや味噌汁に入れたら美味しいので、ぜひしてもらいたいです!! #おうちごはん #いたたきもの #いただきもので生きています #夏野菜 #sdgs #ゴーヤの酢の物 #厚揚げと夏野菜の味噌炒め #ゴーヤのわた #ゴーヤのわたスープ #かきたま汁 #手羽元のさっぱり煮 #手羽元と切干大根の煮物 #切干大根の煮物 #梅干し #梅の炊き込みご飯 #春雨サラダ https://www.instagram.com/p/Cg_puWRv1ho/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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elle-p · 5 months
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Persona 3 Club Book Pawlonia Mall people pages scan and transcription.
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ポロニアンモールの人々
People of Pauloownian mogol
月光館学園に隣接する巨大ショッピングエリアのポロニアンモールは、買い物と娯楽の一大スポット。タルタロス探索の準備のためだけでなく東の間の息抜きにもふさわしい。
黒沢巡查 辰巳東交番
港区の辰巳東交番を守る地域課の巡査。かつては敏腕のエリート巡査として知られていたが、正義感のあまりに10年前の桐条研究所事故の真相に深入りし、出世の道を外れた。
だがそのときの捜査によって真相に警察機構の手に負えない、人外のモノの存在を感じ、以降は独断で関係者と接触し、事件解決のサポートを行なうようになる。
なお巌戸台地区に配属されたときの最初の担当案件は、真田兄妹の入寮していた孤児院火災事故の再捜査だった。結局この事故もとくに人為的な点は見当たらずに決着しているが、そのときに現在の真田との関 係がつくられた。
基本的に非番はなく、昼は交番での勤務と武器の横流し販売、夜は担当地区一帯のパトロールと、とにかく黙々と働く男。毎週月曜日にご機嫌で値引きしてくれるのは、勤務明けに彼女とのデートが待ってい るから······かもしれない。
話しかけるのを躊躇させる強面の巡査。見かけによらず港区の平和を心から願い、特別課外活動部員への武器提供を請け負っている。
寡黙な平和
の守り手
眞宵堂店主 眞宵堂
隠棲の美人
科学者
断片的ではあるが港区で起こる事件のカラクりを知る数少ない人物。黒沢巡査とは桐条がらみで知り合い、頻繁に情報交換をする仲。
趣味で集めた骨董品を売る、凄みのきいた笑みが魅力的な女性。
学生時代から考古学を専攻していたのが縁で、桐条鴻悦が存命のころ、非公式計画の中核であった「エルゴノミクス研究所」の研究所員として、岳羽詠一朗の下で研究の一端に関わっていた。おもな研究は、過去のシャドウ関連の記述や痕跡を考古学的見地から分析・解析するもの。中心研究から一歩引いたところにいたことが、早期に研究 の問題を知ることとなり、事故の起こる数年前には研究所を去っている。しかし研究の真相を知りながら、その事実から身を引いたことに呵責を感じていて、桐条の膝元の土地を去れずにいる。そんな自分の迷いを自嘲し、店の名前を「眞宵」堂と名づけた。
上司であり師弟関係にもあった詠一朗には、妻子ある相手と知りながら道ならぬ感情を抱いていた時期があり、彼がすべての罪を負わされる形で世間的な決着がついていることも、彼女の桐条への複雑な感情をを助長しているようだ。
青ひげ店主 青ひげ薬局
欧米型ドラッグストアがこの国に根を下ろして十数年、今やすっかり市民権を獲得した中、昔ながらの対面販売式「薬局」としてがんばる、青ひげ薬局の店主。洗練された雰囲気を全面に押し出す新興のショッピングエリア・ポロニアンモールの一等地にて、このスタイルを貫く心意気はさすが。顧客は若者はもちろん、仕事帰りのサラリーマンや、いろいろ不具合に悩むお年寄りまで、幅広い年代をカバーしている。
仕事柄幅広い医薬品を扱ってはいるが、なにを置いても養生がいちばんという、東洋医学に基づいた主張をもっている。その証拠に料理の相談を持ちかけると、医食同源の秘蔵のハブの干物を熱心に勧められたという、部員からの報告あり。
店主渾身の青汁スムージーは販売1年目には罰ゲームのネタにされるという不幸な歴史を持つが、本人はその味わいと健康的な価値とに自身を持っている様子。
家庭の医学の体現煮
立派なひげをたくわえた恰幅のいい店主。豪快な人柄と取扱商品の怪しさにただの薬屋ではない気配がただよう。
ヤリ手の女性記者 ポロニアンモールほか
ペンを武器に三流ゴシップ誌で戦う女性記者。全国的に広がりつつある謎の社会現象の真相に、たったひとりで挑んでいる。その行動力と洞察力で、無気力症患者の発生のメカニズムにいち早く着目したほか、月の満ち欠けと無気力症患者の増減や、無気力症拡大と桐条グループ関係者たちの動向との関係をかぎつけるなど、本来桐条の関係者にしか知り得ない真相に徐々に迫りつつある。そのため上司や「さるところ」から圧力をかけられることも多数あり。それが彼女の自由報道への情熱に一層拍車をかけているようだ。年末に向かって無気力症が猛威を振るうようになっても、さらにそこに謎を解く鍵を見出す、恐るべきバイタリティの持ち主。
無気力症におちいったタクシー運転手の間近でも冷静に状況を分析。報道に携わる者の鑑。
記者eyes
事件の気配をいち早く見分ける千里眼!!
記者brain
巧妙に隠された真相を見抜く冴えた頭脳!!
記者heart
おばさんと呼ぶと無反応になる乙女心!!
記者suit
体を張った取材に耐える丈夫な素材!!
記者hand
記事を書きなぐる武器!ペンだこは勲章!!
記者pumps
走っても足を痛めない低めのヒール!!
●図解!デキる雑誌記者!!
●女性記者の真実への軌跡
老いてますます盛んな老人 噴水広場
日がな一日、噴水のそばに腰を下ろして遠くを見つめるお爺ちゃん。多少弱々しく見える現在からは想像もつかないが、若いころは結構な女泣かせだったらしく、会うたびに盛んに「若いころにはギャルと遊べ」と力説される。このところ、かつての友だちがひとり、 またひとりと冥土に旅立ち、寂しさを隠し切れない様子。ポロニアンモールを訪れて無事な姿を確認するたび、「元気でよかった」を胸をなで下ろさずにはいられない、噴水広場のシンボル的存在になっている。
影人間が増え出す時期以外は一年を通してこのベンチで過ぎ去った時間を思い返している。
聞かせて!おじいちゃんの武勇伝
ビー・ブルー・ヴィーの店員 ビー・ブルー・ヴィー
感度の高いアイテムで、月高生をはじめとした地域の女子高生に人気のアクセサリーショップの、カリスマ店員。彼女の提案する小物使いは、必ずといっていいほど10代女子のハートをがっちりつかむ。見た目の派手さに反して、気さくな人柄と丁寧な応対で、相手の目線で接客する態度が好感度高し。自然と恋愛相談を受けることも多くなり、客同士の人間関係や恋の成り行きにはちょっと詳しいようだ。信条は「おサイフに優しい値段でセレブ感のあるオシャレ」。
クレーンゲームの月高生 ゲームパニック前
齢17にして初めてクレーンゲームを知り、世間から10年以上遅れてやってきた、景品釣りのスリルと興奮に盛り上がり中の男子生徒。友だちの誘いもむげにして、熱心に攻略方法を研究しており、影人間が徘徊を始める時期以外は、青春の貴重な時間と多くない小遣いを、その娯楽に費やしてポロニアンモールで過ごしている。かつて一世を風靡したこのゲーム、最盛期には亀や伊勢海老まで景品になっていたのは本当の話。
買い物途中の主婦 噴水広場
夕方の買い物の途中で油を売っている主婦ふたり組。日々成長する子どものしつけと教育問題に頭を悩ませている。家事と買い物で疲れたと言ってはたびたびお茶に繰り出しているらしく、ポロニアンモールや巌戸台商店街の飲食店には、月高生以上に詳しい。
●髪を結った主婦
高校2年生の年頃の娘を抱える母親。勉強そっちのけでオシャレに凝り始めた娘にあきれ顔。
●髪の短い主婦
中学3年生の息子を持つ母親。月高を目指しているが不穏な事件続きで躊躇気味。
Syuhu's COMMU
高2の娘 ← シャガールばっかり行って!← 髪を結った主婦 買い物友だち
髪の短い主婦
ご近所さん? 購買のおばちゃん
→ 目指せ月高!→ 中3の息子
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32j · 10 months
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2023/07/10
今日も朝から快晴、国に帰ってきたので安心しているのもあり少しゆっくり起きる。朝から田舎の教会に行ったり、国を横断していろいろ寄りつつ帰る予定、荷物も重い市疲れも溜まっているのでちょっとだるいが、宿に朝飯がついているとのことだったので食堂に行ってみるとバイキングだった。これは、と思って2食分くらい食べる、ミューズリやらハムやらチーズやら、という感じだがこれは大満足。時間もぼちぼちなのでそそくさとチェックアウトして、駅に向かうバスに乗る。山の方に向かう列車のターミナルでもあるようだ、しかし普通の国鉄に乗って、1時間くらい、バスに乗り換える駅に着く。バスターミナルがわりに大きくて、集成材のハニカムでできた屋根が印象的だった。バスがちょっと遅れてきたが一路山の集落へ向かう、途中見覚えのあるシルエットの山が谷の向こうに見える、と思って調べたらマッターホルンだった。シンボリズムがある。集落に着いたらこれがなかなか印象的な集落で、この間野外博物館で見たような伝統的な建物がたくさん残っている。教会を早速みる、なかなか力強いが異様に綺麗、ちゃんと補修されているのか、最近メンテナンスされたのか。地形をうまく使った断面配置で、造形はなかなか厳しい。バスの時間が微妙で、谷の下にある道のバスに乗ることにしていて、近くに石灰岩の特徴的な地形があるので小一時間のハイキング、と考えていたが、20分くらい行ったところで道がないことがわかり、行けるところまで行ったものの結局行き止まり、獣道みたいなものは続いていたが、チャレンジしてろくなことがなさそうだったのでもとの集落に戻り、バスを待つことに。ところが時間を見間違えていて、バス停で1時間の待機、レストランにでも入ろうかと思ったが作業することはたくさんあるのでやめる。バスが来るまでダラダラしていたらあんまり何も進まなかった。しかし元の予定していたバスでも次の目的地の到着は20分ほどしか変わらないのでまあ大丈夫か、と思い、バスに乗って駅に戻る。疲れが溜まっていてしばし寝てしまう。鉄道を乗り継いで首都へ、すこし郊外にある集合住宅作品へ、実際行ってみると草木が茂っていて外観はもはや分からず、しかしなかなか良質な公共住宅だった。デザイン的にはあまりじっくり見られなかったが図面で見たほうがわかるな、と思いそそくさと次の目的地にいくことに、もう暑さで限界に近く、次の街に行ってもさっさと目的の建物に行ってもう次に行こうかな、という感じになってしまう。逆光で写真も撮りづらい、ところで信号待ちの時いいカメラだね、と声をかけてきたお爺ちゃんがいた、普通に対応して緊張感が欠けていることに気づく、大丈夫だったが。駅に向かって、このまますぐ列車に乗れば次の目的地に直接行けるのがある、がしかし駅の逆側に湖があってそちらも面白そうだったので、せっかくの一日券だからと思い、ビールを買ってゆっくり次の列車で行くことに。浜辺まで歩いてみるとこれがまた大変でうんざりし、結局着いたらビーチが有料だった。入場せず時間と時間だったので駅に戻ることに、調べたらバスがすぐ近くに来るタイミングだったので急いで乗って駅に無事つく、隣の都市に向かう列車で、その街にもみたいものはあったが、その郊外にもう一つ見たいものがあり、どちらを先にしようかと思っていたが、ちょうど乗っているのが遅れていて郊外行きの列車がすぐくるタイミングになったので先に回ることに、全くの郊外の町、という感じの駅で降りて、畑の中を歩いて目的のガソリンスタンドを見に行く、もう汗だくだし完全に疲れ切っていて、高速の向かいに回ろうかとも考えていたのだけど柵越しに見られたので満足して帰る、さっき乗り換えた駅に戻り、最後の目的地のビルへ。これがほとんどどうでも良かった、インテリアを見ると違うのかもしれないが。少し神殿っぽい構成とプロポーション。駅に戻ってICに乗って帰宅、中央駅までほとんど寝てしまう。スーパーで少し買い出ししたい、と思って急いで閉店間際のスーパーに駆け込むもあまり目ぼしいのがなく、トルコのヨーグルトドリンクと割引のパンを買う、トラムで家に帰る。帰ると意外と綺麗で、洗濯機が使われていたので先にシャワーと夕飯をとることに、手羽先をなんとなく雑にスパイス煮込みにした。パンはレーズンパンだと思って買ったらチョコパンだった、2個入りだったので明日の朝に一つ残す。ダラダラしているとルームメイトも帰ってきて、世間話と郵便ポストの鍵の相談など。洗濯機が空くタイミングでもう深夜になっていたがなんとか洗濯を回す、ダラダラと荷解きをして、洗濯終わり、乾燥機を待つ元気もないし使われていたので一晩干すことに。明日は夜行なので乾くといいが、1時過ぎに寝る。
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cyunley · 2 years
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今日の晩ごはん! 手羽元の唐揚げビールがよぅ進む😋🍺 自家製らっきょうが完成した😊10~15日程漬けるらしーんやけど試しに食べてみたら しっかり漬かってたのでタッパーに詰めた😁 2.6Lのタッパー2個半できてんけど🤣🤣🤣 まぁ日持ちすると思うし毎日5個づつくらい食べたら 2ヶ月くらいでなくなるかな??? #手羽元の唐揚げ #切り干し大根の煮物 #胡瓜とワカメの酢の物 #博多明太子と胡瓜の漬物 #自家製らっきょう #いちご #サッポロゴールドスター #家呑み #おうちごはん #おうちごはん部 #おうちごはんlover #今日の晩ごはん #TodaysDinner #晩ごはん記録 #献立記録 #てづくりごはん #てづくりごはん365 #cooking #cook365 #タベリー #フーディーテーブル #クッキングラム #キッチングラム #夫婦ごはん #ふたりごはん #豊かな食卓 #cyuley作ディナー #cyuley ウィル・スミスの平手打ち事件、アカデミーの会員資格の維持停止か除名か… アレはアカンやろ、ロックの言葉の暴力も 勿論許される事ではないけどだからって 生放送で暴力と放送禁止のF用語とか… アカデミーの品位を下げる云々の前に ウィル・スミスの品格も激落ちやろ🥺 暴力では何も解決せんし世界的に有名な スーパースターで大の大人やねんから… 話し合いでの解決はできたハズ。 時間が経ち冷静になってロック氏に Instagramで謝罪文を投稿してたけど… カッと感情的になってしもたんやろな😫 ウィル・スミス好きやっただけにあの事件は 私もショックやったし少し見る目も変わってしもた🥲 ドツボにハメられたとか家族殺されたとかなら 暴力ふるったとしても気持ちわかるし そーなるのも当然かな?とも思うけど… 短気は損気やな😵‍💫ロック氏も頭悪すぎるわ😩 なう(2022/03/31 20:22:59) https://www.instagram.com/p/CbxDIbePUk4/?utm_medium=tumblr
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myonbl · 3 years
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2021年10月17日(日)
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三重県紀北町・奥川ファームから隔週に届く畑無農薬野菜・平飼い有精卵・特別栽培玄米、おまけの手打十割蕎麦も定番メニューとなった。今回も葉物はないがみかんがどっさり、それに地鶏1羽分。早速モモをオーブンで焼いてみたが・・・いかんなぁ、ワインと一緒でないと味が分からない。まだ午前11時なんだけど・・・。
4時30分起床。
日誌書く。
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温玉蕎麦+ヨーグルト+豆乳。
洗濯1回。
ツレアイは午前8時に電話切り替え、やっと休日モードに入る。
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奥川ファームから定期便、地鶏があったので早速モモをオーブンで焼く。ちと、塩を効かせすぎた。
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キム監督のメルマガは何時も迷惑メールフォルダに入ってしまうので、気づくのが遅くなってしまった。<プロジェクトさくらもと>、心ばかりの支援をする。
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週末恒例2色スパゲッティ、タマネギ+ウィンナー/キャベツ+タマゴ。安いAlpacaでも十分に美味しい。
録画番組視聴。
刑事コロンボ (5)「ホリスター将軍のコレクション」
海兵隊の英雄だったホリスターは、退役して建設会社を経営し、元部下のダットン大佐と組んで不正な利益を得ていた。だが特別監査が行われることになり、ダットンが秘密を漏らすのでは?と恐れたホリスターは、海辺の自宅で彼を射殺する。その場面をボートから目撃したヘレンという女性が警察に通報し、コロンボが捜査を始める。だが殺人の痕跡はどこにもなかった。
これはよく覚えている。
西大路花屋町・セントラルスクエアまで買物、テーブルタップを購入。
自分の作業スペースを1階に移動したので、2階のツレアイのスペース含めてあれこれ微調整。
購入依頼FF専用ゲームマシンとなっていたiPad mini、今日からはちゃんと入力デバイスとして使用することを決意。まずは、噂のスクリブルを試す。メモ・アプリで手書きするが、その認識力の高さに驚く。これは使えるなぁ。
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4人揃って早めの夕飯、大皿が続いていたので銘々皿に変更する。白菜と豚バラ肉のクタクタ煮/地鶏のロースト/切り干し大根のシャキシャキ煮/スナップエンドウ+ブロッコリー+トマト。息子たちはスパークリングワイン、私は例によって🍶+🍷。
録画番組視聴。
日本の話芸 追悼・柳家小三治 落語「千早ふる」
10月7日に亡くなった人間国宝、柳家小三治さんの落語「千早ふる」をお送りします▽633回東京落語会(2012年3月16日 東京・虎の門 ニッショーホールで収録)【あらすじ】知ったかぶりの横丁の先生。金さんに、百人一首の在原業平の歌「千早振る神代もきかず竜田川からくれないに水くぐるとは」は、どういう意味なのかと聞かれて、困ったあげく…
東日本大震災の翌年の収録、テンポが良い!
入浴。
22時就寝。
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1階を仕事場にしたので、2階のリビングとの行き来、それだけでも結構な歩数になるね。水分は1,600ml。
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harinezutaka · 3 years
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一年前日記35 (2020年8月26日~9月1日)
8月26日 10時チェックアウトの設定でだらだら。やらなきゃなという気持ちがクリアになった。いい感じ。また立て直して行こう。お昼からリモートで打ち合わせ。スマホがよくわからないひともいたので、家の電話も使いながらなんとか全員参加できた。初めての試み。打ち合わせや会議はどんどんなくなってしまえばいいと思う。さよたんていの本を読んでいると、シトルーナとの共通点について書きたくなったので文章にまとめてみた。ちょっと熱くなってしまった。夜、買い物へ。昨日、夫が義実家からもらってきた紫蘇がかなり野性味あふれる味だったのでサムギョプサルっぽいものを食べたくなる。夜ご飯、サムギョプサル、イチジクの白和え。北欧暮らしの道具店で買い物をしていたものが届く。夫の誕生日プレゼントにフラワーベース。私はリップと靴下を買った。フラワーベース、好きそうとビビッときて衝動買いだったが喜んでくれていたみたいでよかった。
8月27日 午前中、鍼へ。元気になると調子に乗ってしまう話をすると、「元気なときぐらい調子に乗らないとね」と言われた。少し体調が悪いぐらいの精神状態で身体は元気でいられたらいいのになと思う。心と体を分けすぎなのかな。帰りに初めての一人カラオケをした。土用が明けたらやりたかったことのひとつ。ひとりの人も多くて、全然大丈夫だった。歌い疲れたら、本を読んだり。楽しかったです。夕方、水道管から変な音がしだしたと思うと、下の人がやってきて水漏れしてるとのこと。うちは水は使っていなかったので、給水関係かなと思っていたのだが、念のためと思って元栓を締めると何と音が静まった。業者の人に見てもらうと、やっぱりうちだったみたい。時間も遅いので、修理は明日になるとのこと。水が使えないので、お互いそれぞれの実家にいくことにした。夜ご飯は、スペアリブとまくわうりのスープ。
8月28日 朝から工事。家にいないといけないので、仕事は私が休んだ。「今日中に直すからね」と、どんどん職人さんが来てなおしてくれた。お昼に団地の職員の人も来てくれて、謝って帰られた。うちももっと早く元栓を閉めてあげられたらよかったんだけど。下の人の対応や補償が大変だろうな。もう古いのでどこがいつ今回のようになってもおかしくないみたい。水道管クライシスだ。安倍総理が体調不良を原因に辞任することに決まった。潰瘍性大腸炎って大変な病気だな。できることなら心身ともに健康な人がリーダーになって欲しいが、そんな人はおそらく政治家になりたくないと思う。夜ご飯、オクラとコーンのグラタン、ベーコンと蓮根の酸っぱい炒め物、トマトともずくとモロヘイヤのスープ。
8月29日 特に予定のない土曜日。朝、散歩する。今日も工事があるのかなと思っていたけど、今日はないみたい。壁のペンキを塗るって言ってたような気もするが、それはまたあとでの話なのか。お昼は高山なおみさんのレシピの煮干しとゴーヤのチャーハン。毎年、ゴーヤの季節の定番。大好きなレシピ。夕方買い物へ。初マイカゴでの買い物。「これに入れてください」というタイミングが難しい。夜ご飯は、手羽元の酸っぱ煮、なすの味噌炒め、きゅうりの梅和え。夜、ファッジと郵便局がコラボしたラジオがあった。40分、コーヒーの入れ方やキリンジのライブを聴きながら手紙を書くというもの。寝室に小さな机とランプをもって、過ごした。これがなかなかよかった。手紙は3通かけた。
8月30日 日曜日。今日中にやらないといけないはずのことがあるのに、ほかのことばかりやっている夫についイライラしてしまう。課題の分離、課題の分離、あなたは困ってもわたしは困らないんだぞーと頭のなかで唱えた。頭がうまく働かないモードになってきたので、全部ログを取ることにする。やるべきことを決めておいてサクサクとやっていくようにすれば動ける。Kちゃんとお昼を食べに行く。一人ずつ仕切りのあるラーメン屋さん。中で並べないようになっていて、順番がきたらLINEで呼び出してくれるシステム。車の中で20分ほど待った。そのあと、お茶をした。一人暮らしをしようかなと言っていた。いいないいな。私はまたなんか偉そうなことを言っていた気がする。何か近ごろ表面を撫でているようなコミュニケーションじゃ満足できなくなっている。でもそれは、お互いの掘りたい気持ちが同じでないと。嫌な気持ちになったかもしれないな。次は自分からは誘わないようにして待ってみよう。誘うと彼女は嫌でも会おうと言ってくれるから。夫は明日が誕生日だったので、ケーキを買って帰った。夜ご飯は、肉味噌炒めのレタス包み、キムチとえのきのスープ。肉味噌にひじきと豆の煮物も加えたら美味しかった。
8月31日 夫は少しやる気になっていてさくさく動き出した。私もさくさく動こう。やることリストを片付けていく。本も読んだ。夫が夜勤(今は時短になっているので22時まで)の日は、お昼ご飯が一日のメインになる。ハッシュドビーフとサラダ。たくさんできたので、晩ご飯もこの残りを食べた。もうすぐ満月なので、今のうちに欲しいものを買ったり、図書館の本の予約をしたりした。満月から新月の間は、なるべく物を増やさずはしゃがず月とともに身軽になっていけたらいいなと思っている。今日が誕生日の友人にメールしたときに、共通の友人が入院していることを知る。子どもも小さいので家族も大変だろう。早く良くなって欲しいけど、ゆっくり休むことが必要なんだとも思う。
9月1日 仕事の日。何となく憂鬱だったことが前に進められた感触があった。後輩がワープロを知らないと言うので「ワープロが出てくる小説、読む?」と言って『キッチン』を貸そうとしたけど「本読まないんで」と断られた。そっか。帰りに朔日餅を受け取りに。受け取り場所で少し並んで、来月の予約をする人はして、ある程度の人数ごとに店員さんに連れられて店内へという流れ。9月の朔日餅は小さなおはぎ。6個入りだったので、実家に持っていって、ひとつずつ食べてもらい私もひとつ食べた。上品な甘さで美味しいし、思ったより小ぶりだったのでペロリと食べられた。一年に何度かの楽しみにして何年かかけてコンプリートできたらいいな。夜ご飯は実家で。ハンバーグ、モロヘイヤのスープなどを作った。冷蔵庫を見ると今日もぎっしり。豆腐もたくさん入っている。何があるかメモしてから買い物に行けばいいのになあと思う。そういうのは習慣なんだろうな。日々のモヤモヤを放置しておかないことは気持ちよく暮らしていく上での筋トレやストレッチだ。どんどんシンプルにしていかないとなと思う。自分から目を逸らさないようにしないとと思って、物理的に鏡を見る時間を増やすことにしてみた。今は少し恥ずかしいが、大切なことだと思う。
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753mic · 4 years
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雨の1日☔ 少し作りすぎました。 . 手羽元のさっぱり煮チキンカツ/唐揚げゆず風味/牛肉と厚揚げのすき焼き風煮(春菊入り)/ミートボール/ささみときゅうりの中華和え/スパサラ/味玉/具だくさんきんぴらごぼう/小松菜のナムル/切干大根とにんじんの煮物/きのこマリネ/卵焼き/小松菜とさつま揚げのさっと煮 . #レシピ #簡単レシピ #作り置きレシピ #献立 #時短ごはん #作り置き #常備菜 #おかず #つくりおき #つくおき #料理 #cooking #instafood #staub #ストウブ #iwaki #おうちごはん #instacook #instahomemade #homecooking #cookingram #food #cooking https://www.instagram.com/p/B8nZid9gsoA/?igshid=n3x0am7yko8l
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kkagneta2 · 4 years
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ボツ2
おっぱい、大食い。最後まで書いたけど胸糞なのでここに途中まで投稿してお蔵入り予定。
時: 午前8時05分
所: ○○中学正門前
身長: 標準的。155センチ程度。
衣服: 〇〇中学指定の制服。黒のセーラー。リボンの色より二年生と断定。
年齢: 中学二年生なので14、5。
持ち物: 右手に〇〇中学指定の鞄。左手にスマホを所持。
同行者: 友人1名。興味無しのため略。
背格好: やや細身か。冬服のため殆ど見えなかったが、スカートから覗く脚、そして周りの生徒と見比べるに、肩や腕も細いと思われる。腰回りもほっそりとしていると感じた。正確には引き締まっていると言うべきか。
顔: いと凛々し。小顔。頬は真白く、唇には薄い色付き。笑うと凄まじく整った歯が見え隠れする。この時髪をかき上げ血の色の鮮やかな耳が露出する。
髪: ボブ系統。ほぼストレートだが肩のあたりで丸くなる。色は黒、艶あり。
胸: 推定バスト98センチ、推定アンダーバスト62センチのK カップ。立ち止まることは無かったが、姿勢が良いのでほぼ正確かと思われる。しっかりとブラジャーに支えられていて、それほど揺れず。体格的に胸元が突出している印象を受ける。隣の友人と比べるとなお顕著である。制服のサイズがあっておらず、リボンが上を向き、裾が胸のために浮いていた。そのため、始終胸下に手を当てていた。揺れないのもそのせいであろう。制服と言えば、胸を無理に押し込んだかのように皺が伸び、脇下の縫い目が傷んでおり、肩甲骨の辺りにはブラジャーのホックが浮き出ている。されば制服は入学時に購入したものと思われ、胸は彼女が入学してから大きくなった可能性が大である。元来彼女のような肉体には脂肪が付きづらいはずなのだが、一年と半年を以てK カップにまで成長を遂げたところを見ると、期待はまずまずと言ったところか。要経過観察。名前は○○。胸ポケットに入れてあったボールペンが落ちたので拾ってあげたところ、「ありがとうございます」と丁寧にお辞儀をされる。
  時: 午前10時28分
所: 〇〇駅構内
身長: 高い。170センチ強
衣服: 薄く色味がかった白、つまりクリーム色のファー付きコート。内には簡素なグリーンのニットを羽織る。首元に赤のマフラー。
年齢: 22、3。休み期間中の大学生かと思われる。
持ち物: キャリーバッグ。手提げのバッグ。
同行者: 友人2名。先輩1名。何れも女性。貧。
背格好: 体格が良いと言った他には特に無し。腕も見えず、脚も見えず、首も見えず。肩幅の広さ、腰つきの良さから水泳を営んでいると推定される。
顔: その背に似合わず童顔。人懐っこい。マフラーに顔を埋め、視線を下げ、常に同行者に向かって微笑む。愛嬌よし。
髪: ショート。これより水泳を営んでいると断定。色は茶、染め上げてはいるがつやつやと輝く。
胸: 推定バスト129センチ、推定アンダーバスト75センチのR カップ。冬である上に、胸元が目立たないよう全身を地味に作っており、某コーヒーショップにてコートを取っても、無地のニットのために膨らみが分かりづらかった。さらに、胸の落ち具合から小さく見せるブラジャーを着用しているかもしれない。そのため、推定カップはR カップより3、4カップは大きい可能性がある。コートを取った際、胸元が一層膨らんだように感じられた。机の上に胸が乗って、本人は気にしていないか、もしくは気づいていなかったが、柔らかさは至高のようである。他の男性客の腕が肩にぶつかって、驚いた際に胸で食べかけのドーナツを落とす。以降会話は彼女の胸に話題が移ったらしく、左右に居た友人二名が所構わず触れるようになり、両手を使って片胸片胸を突っついたり、揺らしたりして遊ぶ。「机まで揺れる」と言う声が聞こえてくる。「ちょっとやめてよ」と言いつつ顔は相変わらず微笑むでいる。しばらくして四人とも席を立って、地下鉄筋の方へ消えていく。童顔ゆえに顔より大きい胸は驚くに値するが、体格からして胸元に自然に収まっているのを見ると、やはりなるべくしてなったとしか思えず。
  時: 午後00時14分
所: 〇〇市〇〇にあるスーパー前
身長: 低い。150センチに満たない。
衣服: 所謂マタニティウェア。ゆったりとした紺のワンピースに濃い灰色のポンチョ。
年齢: 26、7
持ち物: 買い物袋。ベビーカー。
同行者: ベビーカーの中に赤ん坊が一人。女の子である。
背格好: 小柄。寸胴で、かつ脚も長くはあらず、そして手足が細く、脂肪が程よくついている。つまりは未成熟な体つき。身長以上に小さく見える。
顔: かなりの童顔。着るものが着るものであれば高校生にも見える。可愛いがやつれていて、目の下に隈あり。子供が可愛くて仕方ないのか、そちらを見ては微笑む。
髪: セミロングを後ろで一束。中々の癖毛であるかと思われるが、目のやつれ具合からして、もしかしたら本当はもっと綺麗なのかもしれない。髪色は黒。可愛らし。
胸: 推定バスト110センチ、推定アンダーバスト58センチのQ カップ。体格が小柄であるのでQ カップよりもずっと大きく見える。というより迫力がある。私が訪れた時は買い物袋をベビーカーに吊っている最中であった。ほどなくして赤ん坊が泣き出したので、胸に抱えてあやしたが、赤ん坊は泣き止まず。片胸と赤ん坊の大きさはほぼ同じくらいであっただろう。また、胸と赤ん坊とで腕は目一杯伸ばされていた。胸に抱いて「よしよし」と揺らすのはしばらく続いたが、赤ん坊が泣き止むことはなかった。そこで、座る場所を求めて公園へと向かおうと、一度ベビーカーへと戻そうとしたのであるが、一度胸に食らいついた赤ん坊は離さない。「さっきも飲んだじゃない」とため息をついて片手で危なっかしくベビーカーを引こうとする。「押しましょうか」と接近してみたところ、意外にもあっさりと「よろしくおねがいします」と言って、私にベビーカーを預けた。中には玩具が数種類あった。道から離れた日差しの良いベンチに腰掛け、ケープを取り出して肩にかけ、赤ん坊をその中へ入れる。それでもしばらくは駄々をこねていたであったが、母親が甘い声をかけているうちに大人しくなった。私が「お腹が空いてたんですね」と笑うと、「困ったことに、食いしん坊なんです。女の子なのに」と笑い返して赤ん坊をあやす。話を聞いていると、母親の母乳でなければ我慢がならないと言う。授乳が終わってケープを外した時、子供はすやすやと眠りについていた。「胸が大きくなりすぎて、上手く抱っこできなかったんです。大変助かりました。ありがとうございます」と分かれたが、その言葉を考えるに、妊娠してから一気に胸が大きくなったのであろう。授乳期を終えたときの反動が恐ろしい。むしろベビーカーの中に居た赤ん坊の方に興味を唆られる。
  時: 午後01時47分
所: 〇〇市市営の図書館。某書架。
身長: 標準的。158センチ程度。
衣服: 白のブラウスにブラウンのカーディガン。
年齢: 30前後か。
持ち物: 白のタブレット
同行者: 無し
背格好: 小太りである。全体的に肉がふっくらとついている。けれども目を煩わすような太り方ではない。豊かである。ただし、著しく尻が大きい。
顔: 目尻は美しいが、柔らかな頬に愛嬌があって、どちらかと言えば可愛らしい方の顔立ち。鼻がやや低く、口元はリップクリームで赤々と照りを帯びている。色白とは言えな��が、光の加減かと思われる。眼鏡をかけており、リムの色は大人しい赤。非常によく似合う。
髪: ストレートなミディアムヘア。髪色は黒であるが、不思議なことに眼鏡の赤色とよく合い、前髪の垂れかかるのが美しい。
備考: 司書である。
胸: 推定バスト128センチ、推定アンダーバスト81センチのO カップ。本日の夜のお供にと本を物色中に、書架にて本を正していた。胸が喉の下辺りから流麗な曲線を描いて20センチほど突き出ているばかりでなく、縦にも大きく膨れており、体積としてはP カップ、Q カップ相当かもしれない。頭一つ分背が低いので上からも望めたのであるが、カーディガンで見え隠れする上部のボタンが取れかけていた。本を取る度に胸が突っかかって煩わしいのか、肩を揺すって胸の位置を直す。本棚に胸が当たるのは当然で、文庫本などはその上に乗せる。一つの書架を片付け終わった辺りで、適当に思いついたジャンルを訪ねて接近すると、如何にも人の良さそうな顔で案内をしてくれた。脚を踏み出す度に甲高い音が鳴るのは、恐らくブラジャーのせいかと思われる。歩き方が大胆で胸が揺れるのである。途中、階段を下りなければならないところでは、一層音が大きくなって、臍のあたりで抱えていた本を胸に押し付けて誤魔化していた。そのため、ブラジャーのストラップがズレたかと見え、書棚の方へ目を向けている隙に、大胆にも胸を持ち上げて直していた。なまめかしい人ではあるが、年が年なので望みは無い。
  時: 午後02時22分
所: 〇〇小学校校庭
身長: 140センチ前後か
衣服: 体操服
年齢: 10、11歳
持ち物: 特に無し
同行者: 友人数名
背格好: ほっそりとしなやかである。幼い。腕も脚もまだ少女特有の肉が付いている。今日見た中で最も昔の「彼女」に似ている体つきであったが、この女子児童は単に骨格が華奢なだけで、痩せ細った体ではない。健康的である。脚が長く、短足な男子の隣に立つと、股下が彼の腰と同位置に来る。
顔: あどけなさは言うまでもないが、目元口元共に上品。笑う時もクスクスと擽るような、品の良い笑い方をする。眼鏡はテンプルに赤色が混じった、基本色黒のアンダーリム。そのせいで甚だ可愛らしく見えるが、本来は甚く聡い顔立ちをしているかと推定される。が、全般的に可愛らしい。
髪: 腰まで届く黒髪。ほぼストレートだが若干の癖あり。また、若干茶色がかっているように見えた。髪の質がかなり良く、時折肩にかかったのを払う度に、雪のように舞う。
胸: 推定バスト81センチ、推定アンダーバスト48センチのI カップ。体育の授業中のことである。男子は球技を、女子はマラソンでもやらされていたのか、校庭を走っていた。身体自体は小柄であるから胸はそう大きくはないのだが、無邪気に走るから激しく揺れる。揺れるごとに体操服が捲れ上がって腹部が見えそうである。明らかに胸元だけサイズが合っていない。何度か裾を直しながら走った後、耐えかねて胸元を押さえつけていたのであるが、いよいよ先生の元へ駆け寄って校舎内へ入った。そして出てきてから再び走り初めたけれども、その後の胸の揺れは一層激しくなっていた。ブラジャーに何かあったのだろうと思われる。顔には余裕がありながら、走る速さがこれまでとは段違いに遅く、これまで一緒に走ってきた友人に追い抜かれる。結局、彼女は胸を抑えながら、周回遅れで走りを終えた。しかし可哀想なことに、息を整えていると友人に後ろから手で掬われて、そのまま揉みしだかれる。小学生の手には余る大きさである。寄せあげて、掬い上げて、体操服をしわくちゃにしながら堪能する。私にはそう見えただけで、実際にはじゃれついていただけであろうが、指が深く沈み込んでいる様は男子児童の視線を寄せるのに足る。なされるがままにされていた彼女は、そのうちに顔を真っ赤にして何かを言いつつ手をはたき落とし「今はダメ」と言い、以降はすっかり両腕を胸元で組んで、猫背になって拗ねてしまった。この生徒は要観察である。下校時に再び見えてみれば、制服下の胸はブラジャーは着けていないながら見事な球形を為している。先程の光景から張りも柔らかさも極上のものと想像される。名前は○○。名札の色から小学5年生だと断定。ここ一ヶ月の中で最も期待すべき逸材。
  時: 午後05時03分
所: 〇〇市〇〇町〇〇にある某コンビニ
身長: やや高い。163センチほど。
衣服: ○○の制服。
年齢: 17歳
持ち物: 特に書くべきにあらず
同行者: 無し
背格好: 標準的だがやや痩せ型。恐らくは着痩せするタイプである。一見してただの女子高生の体であるが、肩、腰つきともに十分な量の肉量がある。その代わり腕は細い。右手に絆創膏。
顔: あどけない。非常に可愛らしい顔。人柄の良さが顔と表情に出ていると言ったところ。眉は優しく、目はぱっちり。常に口が緩んで、白い頬に赤みが差す。が、どこか儚げである。分厚くない唇と優しい目が原因か。
髪: 後ろに一束したミディアムヘア。一種の清潔さを表すと共に、若干の田舎臭さあり。後ろ髪をまとめて一束にしているので、うなじから首元へかけての白い肌が露出。これが殊に綺麗であった。
備考: 高校生アルバイター
胸: 推定バスト118センチ、推定アンダーバスト68センチのP カップ。服が腰元で閉じられているので、高さ24センチほどの見事な山が形成されている。そのため余計に大きく感じられる。手を前で組む癖があるのか胸が二の腕によって盛り上がって、さらに大きく見える。レジ打ちを担当していた。面倒くさい支払い方法を聞いて接近。レジにて紙を用いて説明してくれるのであるが、胸元が邪魔で始終押さえつけながらでの説明となり、体を斜めにしての説明となり、終いには胸の先での説明となる。ブラジャーの跡あり。よほどカップが分厚いのか胸と下着との境目がはっきりと浮き出ている。この大きさでこのタイプのブラジャーは、1メーカーの1ブランドしかないため、懐かしさに浸る。大体分かりました、では後日よろしくおねがいしますと言うと、にこやかにありがとうございましたと言う。腕の細さと胸の大きさとが全くもって合っていない。腰つきとは大方合っている。顔があどけないところから、胸に関しては期待して良いのではないだろうか? それを知るには彼女の中学時代、ひいては小学時代を知る必要があるが、そこまで熱心に入れ込めるほど、魅力的ではない。
   本日も予が真に求むる者居らず、―――と最後に付け足した日記帳を、俺は俺が恐れを抱くまでに叫び声を上げながら床へと叩きつけ、足で幾度も踏みつけ、拾って壁に殴りつけ、力の限り二つに引き裂いて、背表紙だけになったそれをゴミ箱へ投げつけた。八畳の部屋の隅にある机の下に蹲り、自分の頭をその柱に打ちつけ、顎を気絶寸前まで殴り、彼女の残した下着、―――ブラジャーに顔を埋めて髪を掻き毟る。手元に残りたる最後の一枚の匂いに全身の力を抜かされて、一時は平静を取り戻すが、真暗な部屋に散乱した日記帳の残骸が肌へと触れるや、彼女の匂いは途端に、内蔵という内蔵を酸で溶かすが如く、血管という血管に煮えたぎった湯を巡らせるが如く、俺の体を蝕んでくる。衝動的にブラジャーから手を離して、壁に頭を、時折本当に気絶するまで、何度も何度も何度も打ちつけ、忌々しい日記帳を踏みしめて、机の上に置いてあるナイフを手にとる。以前は右足の脹脛(ふくらはぎ)を数え始めて26回切りつけた。今日はどこを虐めようかなどと考えていると、彼女の残したブラジャーが目につく。一転して俺のこころは、天にのぼるかのようにうっとりと、くもをただよっているかのようにふわふわと、あたたかく、はれやかになっていく。―――
―――あゝ、いいきもちだ。彼女にはさまれたときもこのような感じであった。俺の体は彼女の巨大な胸が作り出す谷間の中でもみくちゃにされ、手足さえ動かせないまま、顔だけが彼女の目を見据える。ガリガリに痩せ細って頬骨が浮き出てはいるが、元来が美しい顔立ちであるから、俺の目の前には確かにいつもと変わらない彼女が居る。我儘で、可愛くて、薄幸で、目立ちたがり屋で、その癖恥ずかしがり屋で、内気で、卑屈で、でも負けん気が強くて、甘えん坊で、癇癪持ちで、いつもいつもいつも俺の手を煩わせる。冷え切った手で俺の頬を撫でても、少しも気持ちよくは無い、この胸、この胸の谷間が冬の夜に丁度良いのだ。この熱い位に火照った肉の塊が、俺を天に昇らせるかの如き高揚感を與えるのだ。
だがそれは後年の事。床に広がったブラジャーを拾って、ベッド脇のランプの燈を点けて、ぶらぶらと下へと垂れるカップの布をじっくりと眺める。華奢で肉のつかない彼女のブラジャーだったのだから、サイドボーンからサイドボーンまでの距離は30センチ程もあれば良く、カップの幅も中指より少し長い程度の長さしかない。が、その深さと広さはそこらで見かけるブラジャーとは一線を画す。手を入れれば腕が消え、頭を入れればもう一つ分は余裕がある。記念すべき「初ブラ」だった。
それが何たることか! 今日、いや昨日、いや一昨日、いやこの一ヶ月、いやこの一年間、いや彼女が居なくなってから実に6年もの間、このブラジャーが合う女性には出会うどころか、見かけることも出来ないではないか。細ければサイズが足りず、サイズが足りればぶくぶくと肥え、年増の乳房では張りが足らず、ならばと小学生の後を付け回してはお巡りに声をかけられ、近所中の中高にて要注意人物の名をほしいままにし、飽きる迄北から南の女という女を見ても、彼女のような体格美貌の持ち主は居なかった。風俗嬢へすら肩入れをし、ネットで調子に乗る女どもにも媚びへつらった。
恭しくブラジャーを箱へと収めて床に散らばりたる日記帳の屑を見るや、またしても怒りの感情が迸ってくる。今日は左太腿の上をざっくりとやってやろうか。紙屑をさらに歯で引きちぎり、喉に流し込みながらそう思ったけれども、指を切る程度に留め、代わりに床を突き抜ける位力を入れて、硬い板の上に差す。今日書いた文面はその上にあった。
「なんで、なんで俺はあんなことを、……」
気がつけば奇声を上げつつ髪の毛を毟り取っていた。時計を見れば午後11時28分。点けっぱなしにしておいたパソコンの画面にはbroadcasting soon! という文字が浮かび上がって居る。忘れた訳では無かったが、その英単語二文字を見るだけで、怒りも何も今日の女どもも忘れ、急に血の巡りが頭から下半身へと下り、呼吸が激しくなる。まるで彼女を前にした時のようである。急いで駆けつけて音量を最大限まで上げて、画面に食い入ると、直にパッとある部屋が映し出され、俺の呼吸はさらに激しくなった。
部屋はここと同じ八畳ほど、ベッドが一台、机が一つ、………のみ。
机の上にはありきたりな文房具と、食器類が一式、それに錠剤がいくつか。ベッドの上には質の良さそうな寝具、端に一枚のショーツ、その横に犬用のリードが一つ。これはこれから現れる者が、謂わばご主人さまに可愛がられるために着けている首輪につながっているのである。そしてその横に、あゝ、彼女がまだ傍に居ればぜひこの手で着けて差し上げたい巨大なブラジャーが一つ、………。ダブルベッドをたった一枚で埋め尽くすほど大きく、分厚く、ストラップは太く、今は見えないが12段のホックがあり、2週間前から着けているらしいけれどもカップは痛み、刺繍は掠れ、ストラップは撚れ、もう何ヶ月も着たかのようである。
しばらく見えているのはそれだけだったが、程なくしてブラジャーが画面外へ消えて行き、ショーツが消えて行きして、ついに放送主が現れる。病的なまでに痩せ細って骨の浮き出る肩、肘、手首、足首、膝、太腿、それに反して美しくしなやかな指が見える。顔は残念ながら白い仮面で見えないが、見えたところで一瞬である。すぐさま画面の殆どは、中央に縦線の入った肌色の物体に埋められるのだから。その肌色の物体は彼女の胸元から生え、大きく前へ、横へと広��りながら腰元を覆い、開けっ広げになった脚の間を通って、床へとゆるやかにの垂れており、ベッドに腰掛けた主の、脚の一部分と、肩と、首を除いて、体の殆どを隠してしまっている。床に垂れた部分は、部分というにはおかしなくらい床に広がる。浮き出た静脈は仄かに青々として、見る者によっては不快を感ずるだろう。
言うまでもなく、女性の乳房である。主は何も言わずにただそこに佇むのみで、何も行動をしない。仮面を着けた顔も、たまに意外と艶のある黒髪が揺れるだけで動かないのであるが、極稀に乳房を抑える仕草をして、愛おしそうに撫でることがある。けれどもそれは本当に極稀で、一回の配信につき一���の頻度でしかなく、殆どの場合は、一時間もしたらベッドに倒れ込んで寝てしまうのである。
この配信を見つけてからというもの、俺の日中の行動は、その寝姿を見るための暇つぶしでしか無い。彼女そっくりな体つきに、彼女そっくりな胸の大きさ、―――しかもこちらの方が大きいかもしれない上に、彼女そっくりな寝相、………見れば見るほど彼女に似て来て、また奇声を発しそうになる。無言で、手元にあった本の背表紙で頭を打ちつけて落ち着きを取り戻し、画面を見ると、ゴロンとベッドから落ちてしまったその女の姿。彼女もよくやった寝相の悪さに、途端懐かしさが込み上げて来て、
「あゝ、こら、叶(かなえ)、寝るんだったらベッドの上で寝ないと、……。手伝ってやるからさっさと起きなさい」
と頬を叩いたつもりだが、空を切るのみで、消息不明となっている者の名前を呼んだだけ、羨ましさと虚しさが募ってしまった。
   幼馴染の叶が居なくなってから早6年、片時も忘れた事はないのであるが、隣に住んでいながら出会いは意外と遅いものであった。当時俺は11歳の小学5年生、物凄く寒かったのを思えば冬から春前であったろうか、俺の家は閑静な住宅街の中に突如として現れる豪邸で、建物よりも庭に意匠を凝らしたいという父上の意思で、洋館が一つと離れが一つ庭に面する形で建てられ、俺はその離れを子供部屋として与えられていた。球状の天井を持つその部屋は、本当に子供のために閉ざされた世界かのようだった。庭の垣根が高く、木に埋もれる形で建っているのであるから、内は兎も角、外からだとそもそも離れがあることすら分からない。音も完全に防音されていて、車が通りかかるのすら、微妙な振動でようやく分かるくらい外界から切り離されているのである。いつも学校から帰ると、俺はその部屋で母上と共に話をしたり、ごっこ遊びをしたり、宿題をしたりする。食事もそこで取って、風呂には本館の方へ向かう必要はあるけれども、学校に居る7、8時間を除けば一日の殆どをそこで過ごしていた。だから、近隣の様子なぞ目については居なかったし、そもそも父上から関わるなというお達しがあったのだから、あえて触れるわけにはいかない。学校も、近くにある公立校へは通わずに、ずっと私立の学校へ入れられたのだから、関わろうにも、友人と言える者も知り合いと言える者も、誰も居ないのである。
そんな生活の中でも、よく離れの2階にある窓から顔を突き出して、燦々と輝く陽に照らされて輝く街並みを眺めたものだった。今はすっかりしなくなってしまったけれども、木々の合間合間から見える街並みは殊に美しい。一家の住んでいる住宅街というのが、高台に建っているので、街並みとは言ってもずっと遠くまで、―――遥かその先にある海までも見えるのである。
そう、やっぱり冬のことだ、あのしっとりとした美しさは夏や秋には無い。いつもどおり、俺はうっとりと椅子に凭れかかって街並みを眺めていたのであるが、ふとした瞬間から、女の子の声で、
「ねぇ、ねぇ、ねぇってば」
と誰かを呼びかける声がしきりに聞こえてきていたのだけれども、それが少し遠くから聞こえてくるものだから、まさか自分が呼ばれているとは思わず、無視していると、
「ねぇ!」
と一層激しい声が聞こえてくる。下を見てみると、同年代らしい女の子が、彼女の家の敷地内からこちらを不満そうに見つめてきている。
「僕ですか?」
「そう! 君!」
と満面の笑みを浮かべる。
この女の子が叶であることは言及する必要も無いかと思うが、なんと見窄らしい子だっただろう! 着ている物と言えば、姉のお下がりのよれよれになった召し物であったし、足元には汚らしいサンダルを履いていたし、髪は何らの手入れもされていなかったし、いや、そんな彼女の姿よりも、その家の古さ、ボロさ、貧しさは余りにも憐れである。流石に木造建築では無いものの、築20年や30年は越えていそうな家の壁は、すっかりと黒ずんで蜘蛛の巣が蔓延っており、屋根は黒いのが傷んで白くトゲトゲとしているし、庭? にある物干し竿は弓なりに曲がってしまっていて、痛みに傷んだ服やタオルが干されている。全体的に暗くて、不衛生で、手に触れるのも汚らわしい。広さ大きさは普通の一軒家程度だけれども、物がごちゃごちゃと置かれて居るのでかなり狭苦しく感じられ、俺は父上がどうして近隣の者と関わるなと言ったのか、なんとなく理解したのだった。目が合った上に、反応してしまったからには相手をしなくちゃいけないか、でも、できるだけ早く切り上げて本の続きでも読もう。―――俺は一瞬そう思ったが、ようようそう思えば思うほど、彼女に興味を抱いてしまい、小っ恥ずかしい感情がしきりに俺の心を唆していた。
それは一目惚れにも近い感情だっただろうと思う。というもの、その時の叶の外見は、着ているものが着ているものだけに見窄らしく見えただけで、顔立ちは悪くないどころかクラスに居る女子どもなぞよりずっと可愛いかった。いや、俺がそう感じただけで、実際は同じくらいかもしれないが、普段お嬢様と言うべき女の子に囲まれていた俺にとっては、ああいう儚い趣のある顔は、一種の新鮮さがあって、非常に魅力的に見える。どこか卑屈で、どこか苦心があって、しかしそれを押し隠すが如く笑う、………そういう健気な感じが俺の心を打ったと思って良い。また、体つきも普段見るお嬢様たちとは大きく変わっていた。彼女たちは美味しいものを美味しく頂いて、線の細い中にもふっくらとした柔らかさがあるのだが、叶はそうではない。栄養失調からの病気じみた痩せ方をしていて、ただ線が細いだけ、ただ貧相なだけで、腕や脚などは子供の俺が叩いても折れそうなほどに肉が付いておらず、手や足先は、肌が白いがために骨がそのまま見えているかのようである。兎に角貧相である。が、彼女にはただ一点、不自然なほど脂肪が蓄えられた箇所があった。
それはもちろん胸部である。叶は姉から譲り受けた服を着ているがために、袖や裾はだいぶ余らしていたのであるが、胸元だけはピンと張って、乳房と乳房の間には皺が出来ていて、むしろサイズが足りないように見える。恐らく裾を無理やり下に引っ張って、胸を押し込めたのか、下はダボダボと垂れているけれども、胸の上は変にきっちりしている。体の前で手をもじもじさせつつ、楽しげに体を揺らすので、胸があっちへ行ったり、こっちへ行ったりする。俺は最初、胸に詰め物をしているのであろうかと思われた。そう言えば、一昨日くらいにクラスの女子が、私の姉さんはこんなの! と言いつつ、体操服の胸元にソフトボールを入れてはしゃいでいたが、その姿がちょうどこの時の叶くらいであったから、自然にやっぱりこの年の女子は大きな胸に憧れるものなのだと納得したのである。だが、叶の胸は変に柔らかそうに見える。いや、それだけでなく、ソフトボールを入れたぐらいでは脇のあたりが空虚になって、はっきりと入れ物だと心づくが、彼女の体に描かれる、首元から始まって脇を通り、へその上部で終りを迎える曲線は、ひどく滑らかである。手が当たればそこを中心に丸く凹み、屈んで裾を払おうとすれば重そうに下で揺れる。
俺が女性の乳房なるものに目を奪われた初めての瞬間である。
それは物心ついた少年の心には余りにも蠱惑的だった。余りにも蠱惑的過ぎて、俺の体には背中をバットで殴られたような衝撃が走り、手が震え、肩が強張り、妙に臀部の辺りに力が入る。頭の中は真っ白で、少しずつ顔と耳たぶが赤くなっていくのが分かる。途端に彼女の胸から目が離せなくなり、じっと見るのはダメだと思って視線を上げると、さっきとは打って変わって潤いのある目がこちらを見てきている。微笑んでくる。その瞬間、徐々に赤くなって行っていた顔に、血が一気に上る感覚がし、また視線を下げると、そこにはこれまで見たことがない程の大きさの胸。胸。胸。………あゝ、なんと魅力的だったことか。
「こんにちは」
「うん、こんにちは。今日は寒いね」
彼女に挨拶されたので、俺はなんとか声を出したのだった。
「私は全然。むしろあったかいくらい」
「元気だなぁ」
「君が元気ないだけじゃないの」
「熱は無いんだけどね」
「ふふ」
と彼女は笑って、
「君どのクラスの子?」
「いや、たぶん知らないと思う。この辺の学校には通ってないから」
「どおりで学校じゃ、見ないと思った。何年生なの?」
彼女がこの時、俺を年下だと思っていたことは笑止。実際には同い年である。
「へぇ、あっちの学校はどうなの?」
「どうもこうもないよ。たぶん雰囲気なんかは変わんないと思う」
「そうなんだ」
と、そこでトラックが道端を通ったために、会話が区切れてしまって、早くも別れの雰囲気となった。
「ねぇ」
先に声をかけたのは彼女だった。
「うん?」
「またお話してくれない?」
少年はしばし悩んだ。近くの者とは関わるなと言う父上の言葉が頭にちらついて、それが殆ど彼女の家庭とは関わるなとの意味であることに、今更ながら気がついたのであったが、目の前に居る少女が目をうるませて、希望も無さげに手をもじもじと弄っているのを見ると、彼女の学校での扱われ方が目に見えてしまって仕方がなかった。そっと目を外すと、隣に住んでいなければ、多分一生関わること無く一生を終えるであろう貧しい家が目に飛び込んできて、だとすれば、良い育ちはしていないに違いはあるまい。だが、今言葉を交わした感じからすれば、意外にも言葉遣いはぞんざいではなく、笑い方もおっとりとしている。それに何より、自分がここまで心臓の鼓動がうるさいと思ったことはないのである。少年の心はこの時、「またお話したい」などというレベルではなく、彼女に近づきたい気持ちでいっぱいであった。近づいて、もっともっとお話をして、その体に触れて、夜のひと時をこのメルヘンチックな我が部屋で過ごせたら、どんなに素敵だろう。この窓から夜景を見て、手を取って、顔を突き合わして、行く行くは唇を重ねる、………あゝ、この部屋だけじゃない、綺麗に見繕って、二人で遊びに行くのも良い、いや、もはや二人きりでその場に居るだけでも僕の心は満足しそうだ。………実際にはこんなに沢山ことを考えた訳ではなかったけれども、しかしそういうことが、父上の言いつけから少年をすっかり遮断してしまった。つまりは、彼女の言葉に頷いたのである。
「もちろん。こうやって顔だしてたら、また話しかけてよ」
「ふふ、ありがとう。またね」
「またね。―――」
これが俺と叶の馴れ初めなのだが、それから俺たちは休みの日になると、窓を通じて10分20分もしない会話を楽しんだ。尤もそれは俺が父上と母上を怖がって、勉強しなくちゃいけないだとか、習い事があるとか、そういう理由をつけて早々に切り上げるからではあるけれども、もし何の後ろめたさも無かったら日が暮れても喋りあったに違いない。
「えー、……もう? 私はもっとお話してたい!」
「ごめんね。明日もこうやって外を眺めてあげるからさ」
その言葉に嘘はなく、俺は休日になれば、堪えきれない楽しみから朝食を終え、両親を煙に巻くや窓から顔を突き出していた。すると叶はいつも直ぐに家から出てきて、
「おはよう」
と痩せ細った顔に笑みを浮かべる。彼女もまた、楽しみで楽しみで仕方ないと言った風采なのである。
「おはよう。今日はいつにもまして早いね」
「ふふ」
会話の内容はありきたりなこと、―――例えば学校のこと、家のこと(彼女はあまり話したがらなかったが)、近くにある店のこと、近くにある交番がどうのこうのということ、近くにある家のおばさんが変人なことなど、強いて言えば、近所の人たちに関する話題が多かった。というのも、この住宅街に住んでいながら、今まで何も知らなかったので、俺の方からよく聞いたのが理由ではあるけれども、話に関係ないから述べる必要はあるまい。
それよりも、あんまり叶が早く出てくるので、いつのことだったか、聞いてみたことがあった。すると、彼女は心底意地の悪い笑顔で、
「私の部屋から丸見えなんだもん。そんなに楽しみ?」
と言うので、無性に恥ずかしさが込み上げてきたのは覚えている。どう返したのか忘れたが、その後の彼女の笑う様子が、強烈に頭に残ってい���のを考慮すれば、さらに恥ずかしい言い訳を放ったのは確かである。………
そんなある日のことであった。確か、叶と出会って一ヶ月経った日だったように思う。何でも学校が春の休み期間に入ったために、俺達は毎日顔を合わせていたのであるから多分そうで、非常に小っ恥ずかしい日々を送っていたのであるが、この日は俺しか俺の家には居ないのであった。それも朝一から深夜まで、何故だったのかは忘れてしまったが、両親も居なければ、ハウスキーパーも、確実に居ないのである。然れば初恋に目の暗んだ少年が悪巧みをするのも当然であろう。つまり俺はこの日、叶をこのメルヘンチックな離れに招待しようとしていたのである。
一種の期待を胸に抱きながら、いつもどおり窓から顔を突き出して、今や見慣れてしまった貧しい家の壁に視線を沿わせては、深呼吸で荒れそうになる息を整えようとする。一見、「いつもどおり」の光景だけれども、この時の俺はどうしても、初めての彼女をデートに誘うような心地よい緊張感ではない、恐ろしい罪悪感で押しつぶされそうだった。別に子供が同級生の女の子を連れてくることなど、親からしたら微笑ましい以外何者でもないかもしれない。が、これから呼ぶのは、父上が関わるなと言った、隣家の貧しい娘なのであるから、どうしても後々バレた時の事を考えると、喉が渇いて仕方ないのである。―――出来れば叶が今日に限って出てきてくれなければ、なんて思っても、それはそれで淋しくて死ぬ。まぁ、期待と緊張と罪悪感でいっぱいいっぱいだった少年の頭では、上手い具合に言い訳を考えることすら出来なかったのである。
「おはよう」
そうこうするうちに、いつの間にか外に出てきていた叶が声をかけてきた。一ヶ月のうちに、さらに胸が大きくなったのか、お下がりの服の袖はさらに長くなり、………というのは、服のサイズを大きくしないと胸が入らないからで、その肝心の胸の膨らみは今やバレーボール大に近くなりつつある。
で、俺は焦ることは何もないのに、挨拶を返すこともせずに誘うことにしたのであった。
「ねぇ」
「うん?」
「きょ、今日、僕の家にはだ、だれも居ないんだけど、………」
「え? うん、そうなの」
それから俺が叶を誘う言葉を出したのは、しばらくしてのことだったが、兎に角俺は彼女を頷かせて門の前まで来させることに成功して、庭を駆けている時に鳴った呼び鈴にギョッとしつつ、正門を開けると、さっきまでその気になっていた顔が、妙に神妙なので聞いてみると、
「なんか急に入って良いのか分からなくなっちゃった」
ともじもじしながら言う。それは引け目を感じると言うべき恥であることは言うまでもないが、一度勢いづいた少年にはそれが分からず、不思議な顔をするだけであった。それよりも少年は歓喜の渦に心臓を打たせており、今日という今日を記憶に焼き付けようと必死になっていた。というのは、普段遠目から見下ろすだけであった少女が目の前に現れたからではあるけれども、その少女の姿というのが、想像よりもずっと可愛いような気がしただけでなく、意外と背丈がひょろ高いことや、意外と服は小綺麗に整えてあることや、手も脚も、痩せ細った中にも一種の妖艶さが滲み出ていることなど、様々な発見をしたからであった。特に、胸元の膨らみにはただただ威圧されるばかり。大きさは想像通りだったものの、いざ目の前に来られると迫力が段違い。試しに顔を近づけてこっそりと大きさを比べて見ると、自分の頭よりも大きいような感じがし、隣に並んでみると、彼女の胸元にはこんな大きな乳房が生えているのかと驚かれる。
「ちょっと、どうしたの」
と言われてハッとなって、叶の手を引きながら広大な庭を歩き始めたが、少年の目はやはり一歩一歩ふるふると揺れる彼女の乳房に釘付けであった。
庭の様子は今後必要ないから述べないが、一方はお坊ちゃん、一方は女中にもならない卑しい少女が手を取り合いながら、花々の芽の萌ゆる庭園を歩く様子は、或いは美しさがあるかもしれない。
離れについて、「や、やっぱり私帰るね」と言い出す叶を無理に押し込んで、鍵をかけると、一気に体中の力が抜けて行くような気がした。何となく庭を歩いているうちは、誰かに見られているかのようで、気が気でなかったのに、今となっては何と簡単なことだったであろう。とうとう成功した、成功してしまったのである、叶を一目見た瞬間に思い描いていた夢が、一つ叶ったのみならず、この心の底から沸き起こる高揚感はなんだろうか。期待? それとも単に興奮しているだけ? いや、恐らくは彼女が隣に居ること、手を触れようとすれば触れられる位置に居ること、つまり、彼女に近づいたという事実が、嬉しくて嬉しくて仕方がないのだ。そしてそれが、自分の住処で起こっている、………俺は多分この時気持ち悪いくらいに笑っていたように思ふ。頭は冷静に叶をもてなしているつもりでも、行動の一つ一つに抜けている箇所が、どうしても出てしまって、土足のまま上がろうとしたり、段差に足をひっかけて転けそうになったり、お茶を溢しそうになったり、最初からひどい有り様であったが、彼女は引け目を感じながらも笑って、
「ほんとにどうしたの、熱でも出てるんじゃ、………」
と心配さえもしてきて、その優しさもまた、俺には嬉しくて仕方がなくって、ますます惚けてしまったように思われる。が、それが出たのは昼前のことだったろう、あの時俺は、目の前ある叶の乳房が大きく重たく膨れ上がっているのに対し、それを支える身体が余り痩せすぎている、それもただ単に痩せているのではなくて、こうして間近で見てみると、骨格からして華奢であるので、身長はどっこいどっこいでも(―――当時の俺は背が低かったのである)、どこか小さく感じられるし、そのために、余計に体と胸元の膨らみとが釣り合っていない上に、胸が重いのか、ふらふらとして上半身が風で煽られているかの如く触れる時がある、それが緊張��体が強張っている今でも起こるので、段々と心配になってきて、
「す、すごい部屋、………」
ときちんと正座をしながら目を輝かす彼女が、今にも倒れてしまいそうに思われたのだった。しかし惚けた少年の頭では、ああ言えば失礼だろうか、こう言えば婉曲的に尋ねられるだろうか、などと言ったことは考えられない。ただ、この眼の前に居るかぁいい少女が、かぁいくってしょうがない。あれ? 叶ってこんなにかぁいかっただろうか? と、彼女の一挙一動がなんだか魅力的に見えて来て、手の甲を掻くのすらもかぁいくって、言葉が詰まり、今や何とか頭に浮き出てきた単語を並べるのみ、彼女を一人部屋に残して外で気持ちを落ち着けようにも、今ここに叶が居るのだと思えばすぐさま頬が燃え上がってくる。再び部屋に入れば入ればで、自分の思い描いていたのよりかぁいい少女が、きちんと正座をしながらも、未だに目をキラキラとさせ、口をぽかんと開けて部屋中を眺めている。そんなだから、一層少年の頭は惚けてしまった。同時に、胸の前で、乳房を押しつぶしながらしっかりと握られている両の手が目について、その細さ、そのか弱さに惹き込まれて無遠慮に、
「ねぇ、前々から気になってたんだけど、どうしてそんなに細いの? どうしてそんなに痩せてるの?」
と、彼女の正面に座りながら聞いた。
「あっ、うっ、……」
「ん? だって手とか僕が握っても折れそうだし」
「え、えとね?」
「うん」
「その、食べては居るんですけれど、………」
叶はここに来てからすっかり敬語である。
「食べても食べても、全然身につかなくって、………その、おっぱいだけが大きくなってしまってるの。だから、こんなにガリガリ。骨も脆いそう。………あはは、なんだか骸骨みたいだね」
「全然笑い事じゃないんだけど」
「うん、ありがとう。それだけでも嬉しいな」
とにっこりするので、
「もう」
とにっこりとして返すと、叶はすっかり普段の無邪気な顔に戻った。
「あ、でね、もちろんお母さんも心配してくれて、お金が無いのに、私のためにたくさんご飯を作ってくれててね、―――」
「たくさんって、どのくらい?」
「えっと、………」
と言葉に詰まるので、
「まぁ、別に笑わないからさ。言ってごらん?」
とたしなめた。すると返ってきた言葉は、俺の想像を軽く飛び越していたのだった。
毎日微妙に違うから昨日のだけと、はにかんだ叶の昨夜の夕食は、米を4合、味噌汁が鍋一杯、豆腐を3丁肉豆腐、その肉も牛肉1キロ、半分を肉豆腐へ、半分を焼いて、野菜はキャベツとレタスと半々に、鶏胸肉2枚、パスタ500グラム、………を食した後に寒天のデザートを丼に一杯、食パンを2斤、牛乳一リットルで流し込んだ、と、ご飯中は喉が乾いて仕方がないと言って、水もペットボトルで2本計4リットル飲んだ、いつもこれくらいだが、それでも食欲が収まらない時は、さらにご飯を何合か炊いて卵粥として食べるのだと言う。
笑わないとは言ったけれども、流石に苦笑も出来ずに唖然とするばかりで、俺は、スポーツ選手でも食べきれない食い物が、一体全体、目の前で顔を覆って恥ずかしがる少女のどこに入って、どこに消えたのか、想像をたくましくすることしか出来なかったが、そうしているうちに、今日の朝はねと、朝食までおっしゃる。それもまた米が4合に、やっぱり味噌汁を鍋一杯。そして、知り合いが店を構えているとか何とかでくれる蕎麦を、両手で二束、大鍋で茹でてざる蕎麦に、インスタントラーメンを2人前、水を2リットル。言い忘れてけどご飯は大きなおにぎりとして、中に色々と具材を入れて食うと言って、最後に、デザートとは言い難いが、デザートとしてシリアルを、やっぱり牛乳1リットルかけて食べる。その後パンがあればあるだけ食べる。水も何リットルか飲む。で、大体食事の時間は1時間半から2時間くらいで終わるけれども、お腹が空いていたら30分でもこれだけの量は平らげられるらしい。
「いやいやいやいや、………えっ?」
俺のそんな反応も当然であろう。ところで以上の事を言った本人は、言っちゃった、恥ずかしい、と言ったきり黙って俯いているが、益々見窄らしく、小さく見え、やはり可哀想でならなかった。
ポーン、と鳴って、時計が12時を示した。叶の告白から随分時間が経ったように思っていたら、もうそんな時間である。空腹を訴えかけている腹には悪いが、今ここで食事の話題を振れば恐ろしい結果になるかもしれない、一応自分の昼食は、父上が予め出前を取ってくれたのが、さっき届いたからあるし、母上が夕食もと、下拵えだけして行った料理の数々があるので、それを二人で分けて、一緒に食べる予定ではあったのだが、しかし先の話が本当だとすれば、とても量が足りない。だが、恐ろしい物は逆に見たくなるのが、人間の常である。俺は、叶がご飯を食べている様を見たくてたまらなかった。普段、外食は両親に連れられてのものだったけれども、幸い街を歩けばいくらでも食事処にはありつける。日本食屋に、寿司屋に、洋食屋に、喫茶店に、中華料理屋に、蕎麦屋饂飩屋鰻屋カレー屋、果ては創作料理屋まであるから、彼女をそこに連れて行ってみてはどうか。もちろん一軒と言わずに何軒も訪れて、彼女が満足するまでたくさんご飯を食べさせてあげてみてはどうだろうか? 俺はそんなことを思って、心の内で嫌な笑みを浮かべていたのであったが、偶然か必然か、その思いつきは叶の願いにぴったり沿うのであった。
「あはは、………やっぱり引いた?」
と叶がもじもじしながら言う。
「若干だけど、驚いただけだよ」
「ほんとに?」
「ほんとほんと」
「じゃ、じゃあ、もう一つ打ち明けるんだけどね、………あ、本当に引かないでよ」
「大丈夫だって、言ってごらん?」
と言って顔を緩めると、叶は一つ深呼吸してから、もじもじさせている手を見つめながら口を開くのであった。
「えとね、私、………実はそれだけ食べても全然たりなくて、ずっとお腹が空いてるの」
「今も?」
「今も。ほら、―――」
叶が服の裾をめくり上げると、そこにはべっこりと凹んでいる腹が丸見えになる。
「すっかり元通りになっちゃった。君と会うために外に出た時は、まだぼっこりしてたんだけど、………��
「お昼は?」
「え?」
「お昼。お昼ごはん。どうするの?」
「我慢かなぁ。いつもお昼ごはんは給食だから、全然平気だよ!」
この時、図らずも俺の画策と、彼女の願い、というよりは欲望が、同じ方向を向いたことに歓喜したのは言うまでもない。俺はこの後のことをあまり覚えていないが、遠慮する叶に向かって、
「ご飯一緒に食べよう!!」
と無理やり立たせて、取ってあった出前を彼女の目の前に差し出したのは、微かに記憶に残っている。彼女はそれをぺろりと平らげた。口に入れる量、噛むスピード、飲み込む速度、どれもが尋常ではなく、するすると彼女の胃袋の中へと消えていった。母上が下ごしらえして行った料理もまた、子供では食べきれないほどあったが、5分とかからなかった。こちらは食べにくいものばかりであったけれども、叶は水を大量に飲みつつ、喉へと流し込んで行く。それがテレビでよく見る大食い自慢のそれとは違って、コクコクと可愛らしく飲むものだから、俺はうっとりとして彼女の様子を見つめていた。食べ終わってから、俺は彼女の腹部に触れさせてもらった。その腹は、3人前、4人前の量の食事が入ったとは思えないほど平たく、ぐるぐると唸って、今まさに消化中だと思うと、またもや俺の背中はバットで殴られたかのような衝撃に見舞われてしまった。ちょうど、叶の乳房に目を奪われた時と同じような衝撃である。思わず耳を叶のヘソの辺りに押し付けて、たった今食べ物だったものが排泄物になろうとしている音を聞く。ゴロゴロと、血管を通る血のような音だった。
「まだ食べられる?」
「もちろん!」
叶は元気よく答えた。俺は彼女がケチャップで赤くなってしまった口を、手渡されたナプキンで綺麗に拭き終わるのを待って、
「じゃあ、行こうか」
と、財布と上着を取りながら聞いた。
「どこへ?」
「今日はお腹いっぱいになるまで食べさせてあげるよ」
俺の昼食夕食を軽く平らげた彼女は、今更遅いというのに遠慮をするのであった。「いや、私、もうお腹いっぱいで」とか、「お金持ってない」とか、「別にいいって、いいってば」とか、終いには「ごめん、ごめんなさい」と言って泣き出しそうにもなったり、なんとかなだめて離れから飛び出ても、動こうとしなかったり、自分の家に入ろうとする。「だ、大丈夫! 嘘! 嘘だから! 忘れて! もう食べられないから!」など、矛盾に満ちた言葉を放っていたのは覚えている。俺はそれをなんとかなだめて、気持ちが先行してしまって不機嫌になりつつも、最終的には弱々しい彼女の腰を抱きかかえるようにして引っ張って行った。
「ごめんね、ごめんね。ちょっとでいいからね。私よりも君がたくさん食べてね」
と食べることには堪忍したらしい叶が、物悲しそうにしたのは、確か家からまっすぐ歩いて、3つめの交差点を曲がって、広めの県道を西に沿ってしばらく行った所にある小綺麗な中華料理屋だっただろう。前にも述べたが、俺はこの日のことをあまり詳しく憶えていないのである。何故この中華料理屋に訪れたかと言えば、ようやく落ち着いた叶に何が食べたい? と聞くと、渋々、春巻きが食べたいとの答えが返ってきたからであるのだが、この店は昔も今も量が多いとの文句が聞こえてくる名店で、俺はよく、父上が天津飯一つすら苦しんで食べていたのを思い出すのである。とまぁ、そんな店であるのだから、そんな店にありがちな、所謂デカ盛りメニューなるものがあって、例えば丼物、―――麻婆丼だったり、炒飯だったり、それこそ天津飯だったり、そういうのはだいたい揃ってるし、酢豚とか、八宝菜の定食メニューもそれ専用の器すらあったりする。そしてそれを30分以内に食べきったら無料なので、これならお金を気にする彼女も安心してくれるだろうと、少年は考えた訳であったが、いざ入ってみて、奥の席へ通されて、
「この春巻きを10人前と、デカ盛りメニューの麻婆丼一つと、それと僕は、………エビチリ定食をご飯少なめでください!」
と注文すると、
「ぼ、僕? 冗談で言ってる?」
と、まず俺を見、そして叶を見して怪訝な顔をするのであった。
「冗談じゃないよ。ねぇ?」
と叶を見るが、彼女は静かに俯いている。
「ま、そういうことだから、お金は出すんだから、早く! 早く!」
「でもね、これはとっても量が多いんだよ?」
「うん、知ってる。だけど叶ちゃんが全部食べてくれるから、平気だよ」
「え、えぇ、………? この子が? 嘘おっしゃい」
そういう押し問答は10分乃至15分は続いたのであったが、とうとう店側が折れる形で、俺達の前には山になった春巻きと、山になった麻婆丼と、それ比べればすずめの涙程のエビチリが、テーブルの上に現れたのであった。俺も驚いたし、店員も驚いたし、何より他の客の驚きようと言ったら無い。奥の席だったから、人気はあまりないものの、写真を撮る者、頑張れよと冷やかしてくる者、わざわざ席を変わってくる者も居れば、自分たちも負けじとデカ盛りメニューを頼む者も居る。彼らの興味は殆どテーブルの上に置かれた理不尽な量の料理と、それに向かう華奢な少女であったが、妙に俺は良い気になって、ピースして写真に写ったり、冷やかして来た者を煽ったりして、相手をしたものだった。本当に、あの時の俺は、自分が一時の有名人になったかのような心持ちで、サインでも握手でもしてやろうかと思った。いや、そんなことよりも、もっと写真に撮って、もっと騒ぎ立てて、もっと人を集めてくれという気持ちであった。有頂天と言っても良い状態だった。が、ふと叶の方を見てみると矢張り俯いたままでいる。―――あゝ、こんなに騒がしかったら美味しいものも美味しくは無いだろうな、早く食べないと冷えてしまう、それに、自分もお腹が空いて仕方がない、そろそろ追っ払おうかしらん。叶の様子にいくらか冷静になった俺はそう思ったのであった。
「ごめんね、彼女、恥ずかしがり屋だから、ほら、あっち行ってて」
そう言うと、店主のハラハラした視線だけはどうすることも出来なかったが、皆次第に散り散りになった。叶もまた、周りに人が居なくなって安心したのか、顔を上げる。
「騒がしかったね」
「うん」
「まったく、野次馬はいつもこうだよ」
「うん」
「足りなかったら、もう一つ頼むことにしようか」
「あ、あの、………」
「うん?」
「いただきます」
この時の彼女の心境は、後になって聞いたことがある。たった一言、ああいう状況に慣れていなかったせいで、食べて良いのか分からなかった、と。実際には、中華店へ入る前から匂いに釣られて腹が減って死にそうになっていたところに、いざ目の前に好物の春巻きと、こってりとした匂いを漂わせている麻婆丼が現れて、遠慮も恥も何もかも忘れて食らいつきたかったのだそうである。事実、麻婆丼は物凄い勢いで彼女の口の中へと消えていった。
ところで麻婆丼は、後で聞けば10人分の具材を使っているのだと言う。重さで言えば8.7キロ、米は5合6合はつぎ込んで、女性の店員では持ち運べないので、男が抱えなければならない。時たま米の分量を誤って、餡のマーボーが指定分乗り切らない時があって、そういう時は乗り切らなかった餡だけ別の器に盛って出す。かつて挑戦した者はたくさんいるが、無事にただで食べられたのはこれまで1人か2人くらい、それも大柄な男ばかりで、女性はまだだと言う。
そんな麻婆丼が、11歳の、それも痩せ細った体つきの少女の口の中へ消えていくのである。休むこと無く蓮華を動かし、時折春巻きを箸に取っては、殆ど一口で飲み込むが如く胃の中へ流し込み、真剣ながらも幸せの滲み出た顔をしながら、水をグイグイ飲む。見れば、心配で様子を見に来ていた店主は、いつの間にか厨房に引っ込んで呆れ顔をしている。叶はそれにも気が付かずに黙々と口を動かして、喉が微かに動いたかと思ったら、蓮華を丼の中に差し込んで、幸せそうな顔で頬張る。あれよあれよという間にもう半分である。こういうのは後半になればなるほど勢いが落ちるものだのに、叶の食べるスピードは落ちないどころか、ますます早くなっていく。やがて蓮華では一口一口の大きさが物足りないと感じたのか、一緒に付いてきたスプーンで上から米もろとも抉って食べる。叶は普段から綺麗に食べることを心がけていて、大口を開けて食い物を口へ運んだとしても、それが決して醜くなく、逆に、実に美味そうで食欲が掻き立てられる。優雅で、美しい食べ方は、彼女が言うには、体の動かし方が重要なのだと、かつて教えてもらったことがある。気がついた時には、もう普通の麻婆丼と殆ど変わらない分量になっていた。一個もらうつもりだった春巻きは、………もう無かった。
俺は、叶の料理を食べている姿をついに見ることが出来て、ただただ感激だった。先程は恐ろしい勢いで食べたと言っても、量は大食いの者ならば簡単に平らげる程度しか無かったのである。それが今や10人前の巨大な麻婆丼を前にして、淡々と頬張っていき、残るは殆ど一口のみになっている。彼女はここに来てようやくペースが落ちたのだが、その顔つき、その手付き、その姿勢からして、腹が一杯になったのではなくて、あれほどあった麻婆丼がとうとうここまで無くなったので、急に名残惜しくなったのであろう。その証拠に、一口一口、よく噛み締めて食べている。俺は、またもや背中をバットで殴られたかのような衝撃に身を震わせてしまい、その様子をじっくりと穴が空くほどに見つめていたのであったが、汗もかかずに平然と、最後の豆腐に口をつける彼女を見て、とうとう食欲がさっぱり無くなってしまった。代わりに無性に苛立つような、体の内側が燃えるような、そんな堪えきれない欲が体の中心から沸き起こってきて、今までそんなに気にしてなかった、―――実際は気にしないようにしていた胸元の膨らみが、途端に何かを唆しているように思えて、もっともっと叶の食事風景を見ていたくなった。
「ごちそうさまでした」
と、声がしたので見てみると、澄ました顔で水を飲んでいらっしゃる。俺は慌てて、店主がテーブルの上に乗せて行ったタイマーを止めて時間を見てみた。
「16分39秒」
「えっ? 食べ終わった?」
「ほんまに?」
「本当に一人で食べたんだろうか。………」
気がつけば観客たちがぞろぞろと戻ってきていた。彼らの様子は、もうあんまりくだくだしくなるから書かないが、俺はまたしても注目を浴びている彼女を見て、ただならぬ喜びを感じたということは、一言申し上げておく必要がある。少年は輪の中心に居る少女の手を取るに飽き足らず、その体に抱きついて(―――何と柔らかかったことか!)、
「やったね叶ちゃん。やっぱり出来るじゃないか」
と歓声を放ち、
「ほら、ほら、この子はデカ盛りを16分で食べきったんだぞ。男ならそれくらいできなきゃ」
と、まるで我が手柄のように、奮闘中の大学生らしき男性客に言うのであった。俺の感性はまたしても有頂天に上り詰めて、多幸感で身がふわふわと浮いていた。隣で叶がはにかんで居るのを見ては、優越感で酔っ払ってしまいそうだった、いや、酔いに酔って、―――彼女の隣に居るのは僕なんだぞ。少年はそう叫んだつもりであるのだが、実際には心の中で叫んだだけなようである。俺がこの日の記憶をおぼろげにしか覚えていないのは、そんな感情に身も心も流されていたからなのである。………
騒ぎが収まってから、俺は半分近く残っていたエビチリを叶にあげた。もちろんぺろりと平らげた訳なのだが、しかしその後余りにも平然としてデザートの杏仁豆腐を食べているので、ひょっとしたら、………というよりは、やっぱりそうなんだなと思って、
「もしかしてさ、もう一回くらいいける余裕ある?」
「あ、………もちろん」
もちろんの部分は小声で言うのであった。そして小声のままその後に続けて、今体験した感じで言うと、もう一回あのデカ盛りを食べるどころか、さらにもう一回くらいは多分入ると思う。なんて言っても、まだ空腹感が拭えない。実のことを言えば、あれだけ店主が期待させてくるから楽しみだったのだけれども、いざ出てきてみれば、美味しかったものの、いつも食べてる分量より少なかったから、拍子抜けしてしまった、30分という時間制限も、頑張った��さっきの麻婆丼2つ分でも達成できると思う。いや、たぶん余裕だと思う、出来ることならもう一回挑戦してみたいが、あの騒ぎを起こされた後だとやる気は起きないかなと言う。少年は彼女の食欲が未だに失せないことに、感謝さえしそうであった。なぜかと言って、この日の俺の願望は、彼女の食事姿を眺めること、そして、街にある食事処をはしごして、彼女が満足するまでたくさんご飯を食べさせてあげること、―――この2つだったのである。しかし、前者は達成したからと言って、それが満足に値するかどうかは別な問題であって、既に願望が「彼女の食事姿を飽きるまで眺めること」となっていた当時の俺には、元々の望みなどどうでもよく、叶がお腹いっぱいになっちゃったなどと言う心配の方が、先に頭に上っていた。が、今の彼女の言葉を聞くに、彼女はまだまだ満足していない。腹で言えば、三分ほどしか胃袋を満たしていない。となれば、第二の願望である「彼女が満足するまでたくさんご飯を食べさせてあげること」を達成していない。然れば、僕が叶の食事風景を飽きるまで眺めるために���、そして叶が満腹を感じるまでに食事を取る��めにも、今日はこのまま延々と飯屋という飯屋を巡ってやろうではないか。そして、あのメルヘンチックな子供部屋で、二人で夜景を眺めようではないか。………斯くして三度、俺の願望と叶の欲とは一致してしまったのであった。
結局叶は、春巻きをもう一度10人前注文して幸せそうな顔で味わい、その間に俺は会計を済ましたのであったが、あっぱれと未だに称賛し続けている店主の計らいで杏仁豆腐分だけで済んでしまった。本当にあの体にあの量が入ってるとは信じられんとおっしゃっていたが、全くその通りであるので、店を出てから叶に断ってお腹に手を触れさせてもらったところ、ちょうど横隔膜の下辺りから股上までぽっこりと、あるところでは突き出ているようにして膨らんでいる。ここに8.7キロの麻婆丼と、春巻き20人前が入っているのである。ついでに水何リットルと、申し訳程度の定食が入っている。そう思うと、愛おしくなって手が勝手に動き初めてしまいそうになったけれども、人通りの多い道であるから、少年は軽く触れただけで、再び少女の手を引いて、街中を練り歩き出した。
それから家に帰るまでの出来事は、先の中華料理屋とだいたい似ているので詳しくは書かないが、何を食べたかぐらいは書いておこう。次に向かった店は近くにあったかつれつ屋で、ここで彼女は再びデカ盛りのカツ丼4.3キロを、今度は初めてと言うべき味に舌鼓をうちながらゆっくりと、しかしそれでも半額になる25分を6分24秒下回るペースで平らげ、次はカレーが食べたくなったと言って、1つ2つ角を曲がってよく知らないインドカレー屋に入り、ご飯を5回おかわり、ナンを10枚食べる。おぉ、すごいねぇ、とインド人が片言の日本語で歓声を上げるので、叶はどう反応していいのか分からずに、むず痒そうな顔を浮かべていた。で、次はラーメン屋が目についたので、特盛のチャーシュー麺と特盛の豚骨、そして追加で餃子を頼んで、伸びたらいけない、伸びたらいけないと念仏のように唱えながら、汁まで飲み干す。この時既に、一体何キロの料理が彼女の腹に入っていたのか、考えるだけでも恐ろしいので数えはしないが、店を出た時に少々フラフラとするから心配してみたところ、
「いや、体が重いだけで、お腹はまだ大丈夫」
という答えが返ってくる。事実、その移動ついでにドーナツを10個買うと、うち9個は叶の胃袋へ、うち1個は俺の胃袋へと収まった。そして今度は洋食屋に行きたいとご所望であったから、先の中華料理屋の向かい側にある何とか言う店に入って、ナポリタン、―――のデカ盛りを頼んで無料となる19分17秒で完食す。とまあ、こんな感じで店をはしごした訳であったが、その洋食屋を後にしてようやく、ちょっと苦しくなってきたと言い出したので、シメとして喫茶店のジャンボパフェを食べることにした。彼女にしてみれば、どれだけ苦しくても甘いものだけはいくらでも腹に入れられるのだそうで、その言葉通り、パフェに乗っていたアイスが溶けるまでにバケツのような器は空になっていた。そして、喫茶店を出た時、叶は急に俺の体に凭れかかってきたのであった。
「あ、あ、………苦しい、………これがお腹一杯って感覚なんだね」
と、俺の背中に手を回してすっかり抱きついてくる。うっとりとして、今が幸せの絶頂であるような顔をこちらに向けたり、道の向かい側に向けたりする。人目もはばからず、今にもキスしそうで、その実ゴロンと寝転がってしまうのではないかと思われる身のこなし。心ここにあらずと言ったような様子。………彼女は今言った量の料理を食べて初めて、満腹感を感じられたのであった。―――あゝ、とうとう僕の願望と叶ちゃんとの欲望が、叶い、そして満たされたしまったのだ。見よ見よこの満足そうな顔を。ここまで幸せそうな顔を浮かべている者を皆は知っているか。―――少年も嬉しさに涙さえ出てくるのを感じながら、抱きついてくる少女のお腹に手を触れさせた。妊娠どころか人が一人入っているかのようにパンパンに張って、元の病的なまでに窪んでいた腹はもうどこにもなかった。胸元だけではなく、腹部にある布地もはちきれそうになっていた。思えばここに全てが詰まっているのである。今日食べた何十キロという食べ物が、………そう考えれば本来の彼女の体重の半分近くが、この腹に収まって、今まさに消化されているのである。少年と少女はついに唇を重ねるや、そっとお腹に耳をつけてその音を聞いてみると、じゅるじゅると時々水っぽい音を立てながら、しかしグウウウ、………! と言った音が、この往来の激しい道沿いにおいても聞こえてきて、この可愛らしい少女からこんな生々しい、胎児が聞くような音を立てているとは! 途端に、股間の辺りから妙な、濁流を決壊寸前の堤防で堰き止めているかのような、耐え難い感覚がして、少年は咄嗟に彼女から身を引いた。今度の今度は背中をバットで殴られたような衝撃ではなく、内側からぷくぷくと太って破裂してしまいそうな、死を感じるほどのねっとりとした何かだった。そしてそれは何故か叶の体、―――特に異様に膨らんだ胸元と腹を見るだけでも沸き起こってくるのであった。少年は恐怖で怯えきってしまった。この得体の知れない感覚が怖くて仕方なかった。目の前でふらふらとしている少女から逃げたくもなった。が、無情なことに、その少女はうっとりと近づいてきて、少年の体にすがりつくので、彼は逃げようにも逃げられず、為されるがままに、その痩せきってはいるけれども上半身の異様に膨れた体を抱いてやって、少女の希望ゆえにお腹を両手で支えながら帰路につくのであった。
「お母さんに何言われるか分からないから、楽になるまで遊んで」
離れに戻ってから、叶はそう言って俺の体に寄りかかってきた。道沿いでしてきた時はまだ遠慮があったらしく、俺はすっかり重くなった彼女の体を支えきれずにベッドに倒れてしまい、じっと見つめる格好になったのであるが、そのうちに堪えきれなくなって、どちらからともなく、
「あははは」
「あははは」
と笑い出した。
「ねぇねぇ」
「うん?」
「さっきキスしてきたでしょ」
「………うん」
俺はこっ恥ずかしくなって、素っ気なく答えた。
「もう一度しない?」
「………うん」
今度はしっかりと叶の顔を見つめながら答えた。
これで俺たちは二度目の接吻をした訳であるが、俺の手はその後、自然に彼女の胸に行った。この時、叶の方がベッドに大きく寝そべっていたので、俺の方が彼女より頭一つ下がった位置にあり、目の前で上下する乳房が気になったのかもしれない。俺の手が触れた時、彼女はピクリと体を震わせただけで、その熱っぽい顔はじっとこちらを向けていた。嫌がっている様子が見えないとなれば、少年は図に乗って、両手を突き出して乳房に触れるのであったが、それでも少女は何も言わない。思えば、少年が恋する少女の胸に手をかけた初めての時であった。やわらかく、あたたかく、頭ぐらい大きく、手を突っ込めばいくらでもズブズブと沈み込んでいき、寄せれば盛り上がり、揉めば指が飲み込まれ、掬い上げれば重く、少年はいつまででも触っていられそうな感じがした。と、その時気がついたことに、着ている物の感触として、女性にはあって然るべき重要な衣服の感覚が無いのである。
「ぶ、ぶ、ぶ、ぶらは、………?」
と少年は何度もどもりながら聞いた。
「高くって買えないの。………それに、おっぱいが大きすぎて店に行っても売ってないの。………」
と少女は儚げな表情を、赤らめた顔に浮かべる。
それきり、言葉は無かった。少年も少女も、大人にしか許されざる行為に、罪悪感と背徳感を感じて何も言い出せないのである。少年の方は、父上の言いつけに背くばかりか、この部屋に連れ込んで淫らな行為に及んでいるがため、少女の方は、相手が自分の手に届かない物持ちの息子であることから、果たしてこんなことをして良いのかと迷っているところに、突然の出来事舞い込んできたため。しかし両者とも、気が高揚して、場の雰囲気もそういうものでないから、止めるに止められない。そして、どうしてその行動を取ったのか分からないが、少年は少女に跨って下半身を曝け出し、少女もまた裾を捲って肩まで曝け出した。玉のような肌をしながらも、はちきれんばかりになったお腹に、少年はまず驚いた。驚いてグルグルと唸るそれを撫で擦り、次に仰向けになっているのにしっかりと上を向く、丸い乳房に目を奪われた。生で触った彼女の乳房は、服を通して触るよりも、何十倍も心地が良かった。少年は、少女の腹を押しつぶさないように、腰を浮かしながら、曝け出した物を乳房と乳房が作る谷間の間に据えた。と、同時に少女が頷いた。右手で左の乳房を取り、左手で右の乳房を取り、間に己の物を入れて、すっぽりと挟み込み、少年は腰を前後に振り始めた。―――少年が射精を憶えた初めての時であった。
叶の腹がほぼ元通りに収まったのは、日も暮れかかった頃であったろうか、彼女を無事家まで送って行き、すっかり寂しくなった部屋で、俺はその日を終えたのであるが、それからというもの、お話をするという日課は無くなって、代わりに、休みの日になると叶を引き連れて、街にある食事処を次々に訪れては大量に注文し、訪れてはテーブルを一杯にし、訪れては客を呼び寄せる。その度に彼女は幸せそうな顔を浮かべて料理を平らげ、満足そうな顔を浮かべて店を後にし、日の最後は必ずその体を俺に凭れさせる。彼女にとって嬉しかったのは、そうやっていくら食っても俺の懐が傷まないことで、というのは、だいたいどこの店にもデカ盛りを制限時間内に食べられれば無料になるとか、半額になるとか、そんなキャンペーンをやっているのだけれども、叶はその半分の時間で完食してしまうのである。「頑張ったら、別に2倍にしても時間内に食べられるよ」と言って、見事に成し遂げたこともあった。その店には以降出入り禁止になってしまったけれども、痛いのはそれくらいで、俺は俺の願望を、叶は叶の欲望を満たす日々を送ったのであった。
だが、叶を初めて連れて行ってから一ヶ月ほど経った時の事、父上に呼ばれて書斎へと向かうと、いつもは朗らかな父上が、パソコンの前で真剣な表情で睨んで来ていらっしゃった。俺は咄嗟に叶との行動が知れたのだなと感づいて、心臓をドキドキと打たせていると、
「まぁ、別に怒りはしないから、隣に来てくれ」
とおっしゃるので、すぐ傍にあった椅子に腰掛けて、父上が真剣に見ていたであろうパソコンの画面を見てみた。そこには家中に配置されている監視カメラの映像が映し出されていたのであったが、その映像をよく見てみると、若い少年と少女が手を繋いで庭を渡る様子と、端に俺が叶を連れ込んだ日の日付と時間が刻銘に刻まれているのである。俺は頭が真白になって、どういい訳をしたらいいのか、どうやれば許して頂けるのか、―――そういう言葉ばかりが浮かんで結局何も考えられなかったが、兎に角、叶と会っていたことが父上にバレた、それだけははっきりと分かった。
「この映像に思い当たる節はないか?」
無いと言っても、そこに写っている少年の顔は俺であるし、後ろ姿も俺であるし、背丈も俺であるし、況や叶をや。言い訳をしたところで、事実は事実である上に、父上に向かってこれ以上見苦しい姿を見せたくなかったし、嘘を言うなんて事は俺には出来ないので、正直に告白することにした。もちろん、彼女に一杯物を食べさせてたなんて言うべきではないから、ただ一言会っていたとだけ伝えることにした。
「��む、正直でよいよい。そんなとこだろう。いや、それにしても、いきなり自分の部屋に連れ込むとは」
と、一転して朗らかになったので、急に恥ずかしくなってきて、キュッと縮こまったのであった。
ところで俺がこの監視カメラを甘く見ていたのには、少しばかり理由がある。1つには、庭は木が生い茂っていて見通しが悪いこと、そしてもう1つには、子供部屋として使っている離れには設置していないこと、だから俺はあの日の朝、部屋にさえ連れ込んだらこちらのものと思っていたのであったが、それ以上の理由として、父上がその防犯カメラの映像をあまりチェックし給はないことが挙げられる。父上は抑止力としてカメラを設置していらっしゃるだけで、その映像を見ることは月に一回あるかないか、それもたまに半年間もすっぽ抜かすこともあれば、チェックをするのも適当に何日かを選んで、早送りをして見るだけというずさんさがあった。俺はしばしばその様子を眺める機会があったのだが、いまいち鮮明でない画面であるがゆえに、もはや人が居るかどうかが辛うじて分かる程度であった。だから、俺はあの時、叶を部屋に連れ込んだとしても、見つかるはずは無いと高をくくっていたのである。
で、子供が一人で家の中で何をしているのか気になった父上が、ひょんなことから防犯カメラの映像を、ぼんやり眺めていると、何者かと共に離れにまで入っていく事を確認し、それが何とも見窄らしい格好をした少女であるから、2、3回繰り返して見ているうちに、隣家の貧家の娘であることに気がついたのであろう。
俺はそれから、また真剣な顔つきになった父上に、たんまりと諭されてしまった。この住宅街は、その大半が一般庶民の暮らしている家で埋められているのであるが、とある一画にだけは物騒な人(に売られる)が住んでいる。不幸なことにこの家を建てる時に、上手い土地が無かったために、ある一つの家を挟んで、そこと向かい合わせになってしまった。それならば、せめて家の裏にして、木で生け垣を作って完璧に仲を隔ててしまおうと思って、お前の部屋からも分かる通り、風景は見えるようにだけしたのである。もちろん、それなら別に他の所に住めば良いではないかと思うかもしれないが、しかしこの地は俺が子供時代に何年か過ごしたことがある土地であって、そして、お前のお母さんの生まれ育った土地である。つまりは夫婦の思い出の地であって、(言葉を濁しながら、)つまりは俺もお前と同じ穴の狢であるから、近所に住む女の子を一人や二人呼んだところで何も言いはしない。が、裏にある地区だけはダメだ。別にそういう地区ではないが、何しろ物騒な噂ばかり聞く。で、彼女の家はそんな地区と我々とのちょうど境目に建っていて、一番可哀想な境遇を経ているのであるが、向こうから色々と入れ知恵されていると人はよく言う。もし問題が起これば面倒事になるかもしれないし、お前に怪我でもあったら良くない。実際、昔お前のお母さんの友人が、あの地区にいる人といざこざを起こした時に、上辺だけは丸く済んだけれども、その後に復讐として連れ去られそうになったことがあった。彼らは放っておくとどこまで非情なことをするのか分からない。だからあの言いつけはお前を心配してのことだったのだ。そもそも、俺はお前にはもっとふさわしい女性とお付き合いしてほしい。ほら、一人二人くらい学校で仲良くなった子は居るだろう。いたらぜひ言ってくれと、最終的には学校生活の話をするのであったが、父上は諭している途中ずっと真面目であった。俺はそれをふんふんと頷きながら、その実父上がそういうことを話てくれることが嬉しくて、内容はあまり耳に入ってなかった。ただ叶が可哀想なんだなと思うくらいで、始まった父上の詰りに、すっかり考えを逸らされてしまったのであったのだが、
「しかし、可愛い子だな。あんな家に住ませておくのがもったいない。転校して会えなくなる前に、分かれの挨拶くらいは許してやるから、やっておけよ」
と、突然父上が衝撃的な事を言ってのけるので、
「え? 転校?」
と聞き返してしまった。全く、転校するなどとは俺には初耳で、椅子の上でぽかんと口を開けたまま固まってしまった。
「もう少ししたら、気晴らしに別荘の方で何年か過ごすからな、―――あゝ、そうそう本当に何年間かだぞ、一週間などではなくて。だからそのつもりでな」
俺はぽかんと口を開けたまま固まってしまった。
それからは急に頭がぼんやりとしてしまって、引っ越しまでどう過ごしたのか憶えて居ない。ただ、最後に叶に会ったことだけは憶えていて、彼女は泣いていたように思う。ようやく自分が満足する量の食事を隔週ではあるけれども、取っている彼女の体つきは、微かに肉付きがよくなっているのだが矢張りガリガリに痩せ細っていた。逆に、胸元だけは一層膨らみ始めていて、その大きさはバレーボールよりも大きかった。俺は木陰に入って、最後にもう一度触らせてもらった。もうこれが最後だと思うと、お腹にも耳を当てた。朝食後直ぐに出てきたというその腹からは、矢張りゴロゴロと中で何かが蠢く音が聞こえてきた。そして泣いて泣いて仕方がない彼女と最後のキスをして、また会う約束を交わして、蕾を付け始めた桜の花を、雲の下にてあわれに見ながら袂を分かった。
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2ttf · 12 years
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airinhishou · 2 years
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今日はオフ 外は雪がチラつき 寒い寒い(^◇^;)💦 突然 「電気屋行こう」 「はあ?」 大型家電製品の店舗を四軒ハシゴ 突然「テレビ買う📺」 「はあ?」… 四店舗で見比べて、戻ってテレビ買ったらしい😅 うちのおっさんを誰か注意して下さい←切実 帰宅してからの 昨日1キロ入りの手羽元を半分 下処理して、大根と頂き物の干し椎茸なんぞと煮物(短時間なのにしみしみ ホロホロに出来上がり‼️砂糖を極力控える) 半分を醤油ニンニクオーブン焼き そして、うちの1番大きなお皿にはみ出し気味のでっかい鶏もも焼き(焼くの大変) トマトスライス🍅 🅰️ママからコストコで買ってきた〜って、でっかい冷凍ブロッコリーをベーコン🥓しめじ 柚乃香さんの柚子胡椒とマヨネーズを合わせて炒めたヤツ 玉葱と塩昆布胡麻油を掛けた納豆 椎茸の出し汁で白菜としめじのお汁なんぞ 短時間でサクサク出来た\(^o^)/ では…頂きます🙏 #dinner#夕御飯#晩御飯#休日の食卓#鶏料理#鶏ばっかり喰らうウチのおっさんを誰か注意して下さい#鶏ばっかり料理させられるあたしの身にもなりやがれて下さい#寒い#早く春になればいいのに#いただきます🙏 #柚乃香#柚子胡椒 https://www.instagram.com/p/CaMaeUdl6Si/?utm_medium=tumblr
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tsuntsun1221ts · 3 years
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2020.11 宮之浦岳(2日目)
1日目の続き
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宮之浦岳山頂より全周、訳あって2日連続で登った
まわりは4時くらいから起きて出発の準備をしており、そのときに目が覚めてしまったがシェラフの中でゴロゴロしていた。5時に起き上がったときには、小屋の半分くらいの人たちはすでに出発していた。たぶん荒川登山口へ向かうんだろうけど、バスが10時の次は15時?と、すごい間が空いてしまうから早く出ないといけないんだろう(この日に飛行機や船で帰るのかもしれない)。けどこの時間はまだ真っ暗で、1時間くらい歩いた先にある縄文杉も全然見えないんじゃないかな。
自分は荒川登山口ではなく白谷雲水峡へ抜けるので7時くらいに出発すれば問題ないし、みんな出てしまった小屋の中で一人だけゆっくりしている。
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7時になり小屋を出発したところ、とんでもない晴天・・・え、このまま下山しちやっていいのか!?屋久島に来てこれだけの天気は滅多にないんじゃないかな、少なくとも自分が今後訪れるかもしれない中でこんな快晴は無いと思ったほうがいい・・・ということで、昨日は若干消化不良であった宮之浦岳からの最高の景色を求め、予定を変更してもう一度登ることを決心!!昨日ガスった山頂で、これが屋久島らしいじゃないかと自分自身を説得させたのだが、5年くらい前学生の時に来た時にもまさしくこれくらいの晴天の日を逃しており、再びそのチャンスが来たわけだ、なんという島の神のお取り計らい。
昨日は山頂から山小屋まで下るのに1時間くらいだったので、登り2時間と想定、下山も併せて本来の予定+3時間の追加となる。北アルプスで鍛えられた体を今使わないでどうする。必要ない装備は小屋内にデポし、飲み物と上着と行動食をザックに残して出発、かなり身軽さを感じる。
荷物を全て背負ったまま昨日入山した淀川登山口へ下山することも考えたが、あちらの最寄バス停は1日2便しかバスが来ず到着してもかなり待たされることと、やっぱ屋久島に来て縄文杉を見ないのはモグリですよ!
【コースタイム】 新高塚小屋(0720)→第2展望台(0745)→平石岩屋(0805)→平石(0815)→宮之浦岳(0840-0900)→焼野三叉路(0910)→平石(0920)→平石岩屋(0925)→第1展望台(0955)→新高塚小屋(1010)→縄文杉(1100-1120)→大王杉(1140)→ウィルソン株(1200)→大株歩道入口(1215)→楠川分れ(1255)→太鼓岩(1345-1355)→白谷雲水峡(1500)
約8時間とかなりハードに見えるが、大部分はハイキング的な要素で占められている。
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昨日はガスって山頂ほとんど見えなかったのに今日は凄いな、期待できる!
昨日はこの道を通過したのがお昼近かったので溶けてしまっていたんだろうが、さすがに九州とはいえ標高が1500m以上では夜から朝にかけて氷点下となり、道がツルツルに凍っていて凄く滑るところが何ヶ所かあった。何度も転びそうになり危うく怪我をするところだった。
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途中の道は昨日の分の方に書いてあるので省く。新高塚小屋から山頂までは予想よりも早い1時間半くらいで到着。山頂には自分を含めて3人。
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いや、これはもうヤバい。屋久島は洋上のアルプスと言われているが、360°海で囲まれており、見えるべくものは全て見える、100パーセント。5年の歳月を経て屋久島の神々に受け入れられたかのよう。
写真中央には富士山に似た鹿児島県の百名山 開聞岳と、その少し右には桜島(写真では見えづらい)。そのまた右には横に幅広く大隅半島。
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手前は永田岳と、その奥にはお隣 口永良部島。
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眼下には先程歩いてきた道と平石岩屋の巨岩群がみえる(中央左)。写真中央から右にかけては屋久島原始林。右上の海には細長く種子島が見える。
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左上には3つほど島が見えているが、奄美諸島の口之島、中之島、諏訪之瀬島だろうか?
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鬼界カルデラは大昔、九州南部の縄文人を絶滅させたことで有名な火山の跡で今は海底に沈んでいるが、それの外輪山である硫黄島(写真中央)と竹島(右、見えづらい)。
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淀川登山口方面。
どの方向を見渡しても町が見えず、逆にいうと屋久島のどの町からも宮之浦岳を臨むことはできない。このような山は奥岳と呼ばれている。
山頂ではちょっと早めの昼食をとり20分滞在。この後は白谷雲水峡まで長時間の歩行(白谷雲水峡まで14km)が待っているので、快晴の下でとても惜しいのだが下山する。本当に、登り返してきてよかった、この選択は間違っていなかった。計画に3時間の工程が急遽加わるというのは流石に躊躇したが、自分の体力・実力を熟知し実行可能であると判断した上であり、登山歴5年目くらいにしていろんな意味で成長したと言えるだろう。
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昨日は山頂がずっと雲で覆われていた永田岳がばっちし、どこを見てもすばらしい景色。けどね、なにか物足りなさを感じるんだよね。そう不思議なことに、ガスがかかっていたほうが屋久島らしいという感じがするのであった。(贅沢な要望だな!)もちろん年間降水量が非常に多い屋久島で、これだけの晴天の下で山頂を踏めたことは大変感謝している。
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昨日も(今朝も)通った下山ルート。中央手前の白い空間が平石、左奥の巨岩群が平石岩屋、海には大隅半島(左)と種子島(右)。贅沢ー!
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第1展望台より。昨日はここを通過した際は天気が悪くなりつつあったので景色が見えず、一体何が見える展望台なのか全くわからなかったが、なるほど、宮之浦岳が見えるわけですな。ここまで山頂から約1時間。あとは森に突入するので道中の説明は省く。
山頂から新高塚小屋までは約1時間。荷物が軽かったので昨日より少し早い到着。デポっていた荷物を回収し、3時間遅れで本日の予定に戻る。
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新高塚小屋から縄文杉までは森の中を約1時間歩くが、その前に縄文杉のすぐ近くにある高塚小屋の見学。自分が泊まった小屋は「新高塚小屋」で、こちらは名前に「新」と付いていない方の小屋なのだが、こちらのほうが多分新しい。しかもなんとこの小屋、個人の方の寄贈である。
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3階構造となっており、定員は20名くらいと新高塚小屋の半分くらいか。テン場が無さそうなのと、トイレが1つしか無い(?)という違いがある。
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高塚小屋から10分で縄文杉に到着。これ以上近づけないのでその大きさがいまいち実感がわかないのだが。
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こちらの看板に大きさの比較がわかりやすく描かれている。
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幹の直径はこの展望デッキとほぼ同じくらいという巨大なもの。ちなみに2017年にデッキが新調されたらしい。たしかにきれいかも。仙人のような奇抜な格好のガイドさんが周りにいる人たち10人くらいで手繋いで輪になろうということで(縄文杉の幹周り16mは大人10人が手をつないだくらいの太さ)、たまたまその場にいた自分も人数に入っていたらしく、全く知らない人と手をつないで輪になった。縄文杉の巨大さが大変よく実感できるのと、その様子を写真で是非撮りたかったが両手がふさがっていたから残念。
縄文杉について少しうんちくを。
ガイドの話を盗み聞きしていたが、遺伝子検査の結果3000年以上であることは確かであるが、7300年前に鬼界カルデラが噴火したときは火砕流でここも焼け野原となっていたので、それ以降に生まれただろうと、すなわち3000~7300歳。なお、落ちた枝を調べてみたら1000歳だったとのこと。樹齢1000年以上の杉を屋久杉と呼ぶが、枝だけで屋久杉級って・・・。
別の杉の切り株が縄文杉の近くで発見され、江戸時代に伐られた株であることがわかったらしい。けれどその近くにある巨大な縄文杉の存在に当時の人も気づかないわけがなく、江戸時代から地元の木こりたちには縄文杉の存在が知られていたと思われる。しかしなぜ縄文杉は木材として伐られることなく残っていたのか、一説によると、形が歪なので木材として売り物にならないとされていたかららしいが、ガイドさんの個人的な想像というか願望としては、やはり島の御神木として残されたのではないか、とのことである。自分もこっちの説がいいなー。
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新しい展望デッキも��てられており、縄文杉とほぼ同じ高さで横から見ることができる。
20分くらい休憩し縄文杉を後にする。今日は宮之浦岳に登り直したことで3時間も工程が追加されているから、帰りの最終バスには間に合わせないと。
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ここから先は学生時代も通ったことがある懐かしの道。相変わらず道が整備されていてハイキング気分。歩きやすく、帰りのバスまでに余裕をもって到着しておきたいので自然と速歩きになる。自分が縄文杉に到着した時刻は、ちょうど荒川登山口から登ってきた第一陣の人たちが到着した時刻と重なっていたらしく、自分は早々に下山したため、これから登ってくる人たちとのすれ違いが多かった。といっても、全部で100人くらいか?道が狭いのですれ違う度に下山者である自分が登山者を通すために一時停止(登り優先がマナー)。この回数がかなり多かった。
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とはいえ縄文杉から40分でウィルソン株に到着。高校生くらいの女の子3人組と少しお話して心がさらに癒やされました(グヘヘ)。
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ウィルソン株の中からハートに見える位置がよくわからなかったので、女の子たちに教えてもらった(本当は知っていた)。てか、冷静に考えてみればこの株の太さもすごいよな。屋久杉の大きさを一番実感できる場所ではないかと思う。
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縄文杉から約1時間で登山道入り口である大株歩道入り口に到着。荒川登山口へ下山する人はここから延々とトロッコ軌道となる。
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前後には誰一人として歩いていない。みんなまだ縄文杉の方向にいるだろうし、この時間から入山する人もまずいない。聞こえるのは軌道の上に敷かれた木道を歩く自分の足音だけ。とても気持ちがいい。ただ、退屈といえば退屈なのである。せめて動物が出てくれれば気が紛れるのだが、今日は遭遇しなかった。
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40分ほどトロッコ軌道を歩くと楠川分れに到着。白谷雲水峡へ向かう場合はこの分岐点で再び山道に入る。
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楠川分れから太鼓岩までは延々と上り坂、傾斜は普通だがこの荷物ですでに何時間も歩いてきた身としては辛い。標高が低いせいか気温が高い15℃くらい?今回初めて汗が出てきた。
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途中ですごい岩があった。登山道の真上を屋根のような岩が7mくらい張り出している。しかもその岩の上には普通サイズの杉が生えている。撮影スポットらしく、登山客が岩を持ち上げているポーズで写真を撮られていた。太鼓岩のすぐ近くにあったのだが、前回来たときはここまで足を伸ばさなかったので初めてこの岩の存在を知った。
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楠川分れから約1時間登り続け、最後のピークである太鼓岩に到着。とりあえす無心で登っていたらあっという間だった、トロッコ軌道から来るとこんなに近いのか(前来たときは白谷雲水峡から)。ご覧の通り柵などは設置されておらず、他人にザックを当てて転落するなんてことがないようデポったほうがよい(昔ガイドが客のザックに押されて転落して大怪我したことがあるんだと)。
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相変わらず素晴らしい天気で、むしろちょっと逆光気味。写真奥の方から安房川?に沿って歩き、写真中央辺りで右手前に向かって登ってきた。縄文杉は写真右の山の中にあるらしい。
写真最右上端に朝登ってきた宮之浦岳山頂が写っている。左上端にピッと立っているのが天柱石で、あとでネットで調べてみると凄い形をしている。
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天柱石は大忠岳の山頂に立っているらしく、���クスギランドから片道2時間くらいで登れるらしい。種子島から発射されるロケットをあそこから見ることができるらしい。
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宮之浦岳。その左にこれまた大きそうな岩が立っているのが翁岳かな。
太鼓岩では10分くらい休憩、本日初めて座った。岩の上で昼寝したいくらい景色も天気も素晴らしい。
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白谷雲水峡へ向けて下山する。基本的に足元に水が流れているか湿っている。縄文杉同様に、こちらもガイドを連れている登山者が結構いる。途中に奉公杉コースという、プラス2kmくらい追加していろんな杉が見れるルートがあるのだが、さすがに疲れたので今回は直帰。
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くぐり杉
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白谷雲水峡は屋久島で1番好きな場所かもしれない。足元に水が流れる音が優しい、しっとり湿った空気、深い森、苔・・・とても心が落ち着く。
対して縄文杉へのコースはなんか殺伐としている感じ。早朝の登山バスで一斉に登山開始する登山客の殺気立つ空気、荒々しい川、太古の杉達。同じ島の同じ森の中なのに、だいぶ異なる自然の側面である。
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水・緑・太陽の日差し。ほんと自然に癒やされるー。
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白谷雲水峡に到着、活動開始から7時間半かかった。全体的に道が整備されていたとはいえ、テント泊装備を背負っての山行お疲れ様でした。屋久島の神々よ感謝申し上げます。おかげさまで最終のバスの1時間以上前に到着した。
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白谷雲水峡から宮之浦の町まではバス。途中の道からは宮之浦の町を見下ろすことができる。
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本日は「やくすぎ荘」に宿泊。1万円(Go To割引で6500円+2000円の商品券付)で夕食と翌日の朝食が出てくる。
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夕食に出てきたのは・・・でた~!屋久島名物トビウオの姿揚げ。頭からシッポまで全部かじれる。外食するよりも、ちゃんとした宿で朝も夜も出してもらった方が全体のコスパいいな。
宿の目の前に地元のスーパーがあり、お疲れ会の夜食を購入。酒はもちろん屋久島で有名な三岳(焼酎)、屋久島産のタルメ。魚コーナーの店員さんにタルメって何ですか?て聞いたら …わからないですって言われて、まあこっちの人はタルメはタルメでしかないのね、目鯛のことらしい。
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翌日はお土産を買って帰るだけ。朝から風がかなり強く雨がパラついており、台風の接近を思わせるかのよう。案の定海はかなり荒れており、沖に出たらなんと3mの波。帰りも鹿児島までは高速船なわけだが、とにかくすごい動揺で前後左右全てに大きく揺れる。そこまで大きい船ではないのでかなり煽られている。エチケット袋もってトイレに向かう人が5人くらいいたし、さすがに自分も気持ち悪かったな。まぁ帰りの羽田行きの飛行機のこともあるし、出航してくれただけマシだが。���児島に近づくと波は穏やかになり安定してきた。
13時くらいに鹿児島港に到着。昼食は「ラーメン小金太」の 豚骨入りラーメン(豚骨ラーメンではない)。 名前のとおり骨付きの大きなチャーシューが入っており、その骨が軟骨よりも柔らかくて全部かじることができる。・・・煮込んだだけでこんなに柔らかくなるの?薬品に漬けてるわけじゃないよね笑
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鹿児島空港では滑走路の先に韓国岳やら高千穂峰やら新燃岳がそびえ立っているのが見える。もちろん上空からも見ることができた。あちらも百名山なのでいつか登ることになるだろう。
近年まれに見る、素晴らしい旅だった。文句の一つもつけようがない。今回ほどまでを望まなくとも、やはり数年に一度は訪れたい場所である。いくら本州の山々を登っても、(北アルプスの山々でさえも)屋久島の自然の威厳を超えるところはなかった。コロナ禍ということもあり比較的人が空いていたのかもしれない、こんな屋久島は二度とないのだろう。おそらく何度かこの記事を見返す度に、屋久島の自然から勇気と元気をもらうことだろう。 屋久島は今回で2回めだけど、また着たいなと毎回思わせてくる。ここまで自然からエネルギーを貰える場所は無い。飛行機は2ヶ月くらい前までに予約すればかなり安くとれるし、鹿児島~屋久島間も船で乗り継ぐよりはラクだからやっぱ飛行機がいいな(酔わないし)。
屋久島のいろいろ
下山して宿へ向かって道を歩いているとき、地元の小学生や中学生とすれ違ったんだけど、みんな「こんにちは」と挨拶してくる。すごい文化だ。
宮之浦岳山頂には登山には明らかに場違いの服装の人が一人いた。舐めているならまだしも、登山とはどういうものなのか何も知らないんだろうから注意のしようも無い。宮之浦岳をあの格好で登れたのは幸運にも天気が良かったからで、とにかく雨が多いこの山では低体温症になっても不思議ではなく、いかに危険な行為なのかわかってほしいんだけど。多分、縄文杉とセットで軽い気持ちで来てしまうんだろう。そんな軽い気持ちで登ってしまう人ほど、ちゃんと装備を整えて本格的に登山始めてしまえばもっと楽しめるのに、と毎回思うのである。
タクシーのうんちゃんの話によると、屋久島のガイドは島民よりも、むしろどこからか来た外部の人間が多く、シーズンを終えて仕事が少なくなってくなると自分たちの故郷へ帰っていくから、稼いだお金が島に落ちていかないのだとか。実は縄文杉のデッキでガイドの人たちが「今年はいつ戻るのか」みたいな話をしているのが聞こえ、あぁこのことかと。法律に違反しているわけではないし特に悪いことはしていないんだけど、考えさせられる。
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abcboiler · 3 years
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【黒バス】やさしい国で待ちあわせ
2014/02/11発行オフ本web再録
■1■
リアカーを壊した。緑間と二人で壊した。
それもまあ仕方のないことで、この三年間、毎日使い続けていたそれは大分傷んでいて、何処かに寄付するにはぼろぼろ過ぎた。木目は至るところが節くれだって、慣れていないと服を引っ掛けて怪我してしまうし、車輪は少し歪んで、気を付けないといつも進行方向から左にずれてしまった。チェーンも錆びて、ぎいぎい音がしていたし、サドルの布はちょっと破けていた。 俺たちの愛車は満身創痍で、真ちゃんはいつも、リアカーの左角の節くれと、登ってすぐの歪んだ板に触れないようにそうっと乗っていた。俺はいつもハンドルを右側に傾けて運転していた。直した先からパンクするし、毎日油をさしても固まった錆は取れなくなって、着実に増えていた。 だから、壊したのだ。俺と真ちゃんで、卒業式の日に。いつも停めていた、学校の駐輪場の隅で。胸に花を刺して、卒業証書が入って歪んだ鞄を地面に置いて、砂に膝をついて、季節はずれの汗をかきながら、俺たちは黙って作業をした。真っ赤な夕暮れの中、二人で、ネジを外してボルトを取って、板を分解して、壊したのだ。俺たちのリアカーを。思い出を、鉄と銅と板に分解して粗大ゴミのシールを貼って捨てた。次の日の朝には回収される予定だった。駐輪場からは体育館の屋根だけが見えた。そうしてそこまでやってから、俺たちは歩いて駅まで向かって電車で帰った。 だって、まあ、仕方がないことなのだ。 俺も真ちゃんも、行く大学が違って、その方向も違って、お互いに別のアパートを借りて、四月から新しい生活を始めようとしていたのだから。俺が真ちゃんを迎えに行ったってどうしようもない。行き先の違うバスに乗ったって目的地には着かないのだ。そうなってしまうと、リアカーなんて場所を取って邪魔なだけだった。誰かに讓るにしても修理代金が高くついて新しく買った方がマシなレベルだったし、そもそも何処に寄付すればいいのかもわからなかった。 いいや、本当は、俺たち以外の誰かがこれを使うのが嫌だったのかもしれない。
「真ちゃん家だったら置いとけるんじゃねえの」 「置いてはおけるかもしれないが、俺もお前もいなくなる以上、誰も手入れをしなくなる。そうしたら後は本当に朽ち果てるだけなのだよ。修理もきかなくなるだろう」 「そうだよなあ」 「ああ」 「じゃ、壊そっか」 「ああ」
解体するとも、分解するとも、捨てるとも言えなかった。壊すという乱暴な言葉が最もふさわしいと思った。毎日毎日油をさして、毎日毎日真ちゃんが「今日もよろしく頼む」と声をかけて、パンクしたら直して、板が割れたら直して、雨が降ったらビニールシートでくるんで、落書きされたらペンキで塗って、そうやって三年間過ごしてきたこいつを、俺たちは壊す。 だって、仕方がないだろう。俺たちは大人になってしまったんだから。 こうして俺は真ちゃんを迎えに行く口実を失って、真ちゃんは俺に会う口実を失ったのだった。いいや、会う口実なんてのはいくらでもある。映画を見たい、新しい甘味が食べたい、なんだっていい。なんだっていいけれど、それは一般人の話であって、こと緑間真太郎にとって、それは必ずしも誰かが必要なものではないのだった。そして必ずしも必要でない場合、あいつは決して声をかけない。例え内心で寂しいと思っていたとしても、あいつは一人で祭りに出かけるだろう。 意地っ張りで我が儘で、懐に入れた人間には存外甘いあいつは、理由が無ければ他人に頼ろうとはしないのだ。人は一人でも、案外生きていけるものである。そもそも中学の頃は、あんな奇妙な乗り物が無くても一人で何処にでも行ってなんでも手に入れていた男だ。リアカーが無くなった今、あいつは俺を呼びつけないだろう。あれは、緑間真太郎なりのサインだった。不器用なあいつの、唯一の、俺を呼んでいい理由。 だから、俺たちには新しい口実が必要だった。いいや、俺たちだなんてずるい言い方はよそう。俺には口実が必要だった。 何せ、俺は、この緑間真太郎のことが好きだったので。 真ちゃんが俺のことを好きかどうかは知らない。多分好きだろう。俺の好きと同じ形をしているかどうかは知ったこっちゃないが、まあ、ほぼ同じ形で好きだろう。 でもそんなことよりも大切なことは、俺たちはそれを一つも口に出さなかったということなのだ。あれを壊している間中、ずっと。思い出を壊している間、ずっと。 だから俺も黙り続けている。黙ったまま、探している。まだ。
■2■
「真ちゃんホント忙しそうだね」 「まあな。取れるだけの講義を取った。ほぼ毎日一限から五限まであるのだよ」 「うっわ、信じらんねえ。勉強の鬼かよ。鬼真ちゃん。オニシン」 「全く語呂が良くないし何も洒落になっていないと思うが」
そう言いながらサラダを口に運ぶ真ちゃんの頬は、入学式から一ヶ月、少しこけたような気もするけれど、顔色は悪くない。心配していたが、きちんと食事は取っているらしい。今だって、サラダにスープ、ステーキを頼んで黙々と食べている。
「体調管理にも人事を尽くすのだよってか?」 「当たり前だ。自分で入れた講義を自分の不調で欠席するなど愚かしいだろう。初めの週に、きちんと栄養バランスを考えた献立を作った。後はそれ通りに食べれば問題ない」 「すげえ。そんな食事管理SF映画の中でしか見たこと無かったわ」
窓の外は真っ暗で、車が路面を走るザアアという音がする。なんだか雨の音に似ているような気もするが気のせいだろう。時計の針は八時を指していて、夕飯を食べるには、まあ、少し遅いくらいの時間。
「仕方がないだろう、講義があるのだから」 「ですよね」 「それでも今日は早い方なのだよ」
一ヶ月ぶりに再会する真ちゃんはいつもと同じ調子で、ひと月前と何も変わらないように見える。だけど実際は、俺の知らない所で俺の知らない講義を受けて、知識を吸収して、誰かと会話して、段々と新しく生まれ変わっているのだ。
「真ちゃん、友達できた?」 「……挨拶をする程度の顔見知りなら」 「多分それもう相手は友達だと思ってるって」 「そんなものなのか」 「そんなものですね」
飯に誘われたりしないの? と聞けば、真ちゃんは黙って頷く。俺の聞き方も悪かったが、これで頷かれても、誘われているんだか誘われていないんだかわからない。多分、誘われているんだろう。ゆっくりと口の中の肉を咀嚼して飲み込んで、水を一口飲んで真ちゃんは答えた。
「講義の終わりに、飯でも行かないかと言われたことはあるが、俺はその後も講義があったからな。最終講義が終わった後はさっさと帰っているし」 「じゃあ真ちゃん一ヶ月ぼっち飯?」 「昼は一緒に食べている奴もいる」
そんな当たり前の返事にちょっと傷つくくらいなら聞かなきゃいいのに、愚かな高尾和成くん。いやいや、マジで一ヶ月独りで飯食ってる方が心配だろ。健全な社会的人間性を持ち合わせていてくれて何よりだ。何よりなんだけれど、俺はこいつの母ちゃんでは無いのに、こんな心配をしてどうする。何にもならない。
「かわいい女の子はいた?」 「どうだろうな。いつも一番後ろの席に座るから顔は見えん」
心配すべきは、こいつが誰かと結ばれること。なんて、別に、付き合ってる訳でも無いのに、こんな心配してどうすんの。どうにもならない。何にもならない。世の中はそんなことばっかりだ。何をどう心配したって、それは全部見当違い。俺は母ちゃんでも無ければかわいい恋人でもなく、ひとりの友達。ひとりの相棒。
「お前の方はどうなんだ」 「俺? ううーん、俺んとこも女子の割合すくねえからなんともなあ。あ、でも若干みゆみゆ似の子いた」 「宮地先輩に紹介したらどうだ」 「え、真ちゃんがそんなこと言うなんてどうしたの」 「先輩の大学の教授が客員講師として来ているんだが、学部的に先輩が講義を取っている可能性がある。話でも聞けないかと」 「真ちゃんって、案外目的のためなら手段を選ばないよなあ」
真ちゃんはしっかり焼いてもらった肉を口に運ぶ。俺も自分の肉にフォークをぶすり。レアなそれからしたたる赤い肉汁。口の中で思いっきり噛み切ってごくりと飲み込む。生きている味がする。
「真ちゃん、次いつ会えんのさ」 「……そうだな、一通り落ち着いたし、来週の木曜なら問題ないのだよ」 「木曜な。オッケー。六時とか平気?」 「ああ」 「んー、どうすっかな。久々にストバスでもやる?」 「そうだな」
ぶすり。刺さったフォーク。それを持つ左手に、もうテーピングは存在しない。目を細めてみれば、そこに白い幻影が見えるような気もする。真ちゃんはバスケをやめた。悪いことじゃない。俺たちのバスケは、あの日の粗大ゴミの一つとしてどこか遠くで燃やされたのだろう。悪いことじゃない。ちゃんと、俺たち自身が選んだのだから。全てを失ったと悲壮感に浸るほど子供ではなかった。
     ◇
「いや、お前、ホント、ねえわ、マジで……」 「お前は少し鈍ったんじゃないか」 「そりゃ鈍るわ! 昔みてえな練習してねえんだから! お前はなんでそんなキレッキレなんだよ! 人事尽くして自主練しまくってんのかよもしかして!」 「いや、多少の筋トレはしていたが俺もここまでちゃんと動くのは久しぶりだ。元々の地力の差じゃないのか。単純に」 「単純にズバッとひでえこと言うよなお前」
コートに寝そべれば街灯に邪魔されて少し暗く星が見える。たかだか一時間くらい動いただけなのに、荒い呼吸がなかなか止まらなくて俺は苦笑した。一ヶ月でここまで衰えるとは、いやはや時間の流れとは無情だ。これを元に戻すには三ヶ月はかかるだろう。いつだって、壊す方が簡単なのだ。
「そんなこと言って、真ちゃんもまだ息整ってない癖に」 「……お前もだろう」 「ははっ、俺たち二人ともこうやっておっさんになってくんかな!」 「俺は絶対にお前よりも格好良いおっさんになってみせるのだよ」 「ええ、なんだそれ」
たるんだ腹など許さないからな、と俺に指を指してきたって、そんなの俺の知ったこっちゃない。許さないも何もお前の話だし、多分お前は太るよりはやせ細っていくタイプだから筋肉落ちないように気をつけろよ、と言おうと思って面倒になって取り敢えず笑った。母ちゃんじゃ、ねえんだから。うん? はいはい、きっとお前は、なかなかにダンディでイカしたナイスミドルになるに決まってるよ。
「あー! でも真ちゃんが練習してねえなら、俺が真ちゃん抜ける可能性も出てきたな! ぜってー次は抜く。めっちゃ練習する」 「ぐ、人が講義を受けている間に成長しようというのか」 「ふふん、ずるいってか? ずるくないよなあ、俺は人事を尽くすだけだからなあ。ずるいなんて言えねえよなあ。どうだ真ちゃん、自分の信念に邪魔されて文句言えない気持ちは。うん?」 「お前……底意地が悪い、いやそれは前からだったか」 「あん? お前に尽くし続けた高尾ちゃんのどこが底意地が悪いって?」 「どこの誰が尽くし続けたというのだよ。なんだかんだ自分の意見は押し通してきた癖に。俺の我が儘の影に隠れてやりたい放題していただろう」 「おお? それこそ聞き捨てならねえな? 我が儘の影に隠れてたんじゃねえよ、お前の我が儘がでかすぎて俺のが霞んでただけだっつの。お前の自己責任。オッケー?」 「我が儘を言っていたことは認めるんだな」 「いやいや、滅相もございません」 「どっちなのだよ!」
夜のコートで、体ばっかりでかくなった男が二人、真剣に言い争っている。あまりにも馬鹿馬鹿しくて子供みたいな内容を、わざと真剣な調子で言い合う。ああ、なんだか視界が眩しいのは、星のせいか、街灯のせいか、自販機の明かりだろうか。なんだか酷く目にしみて瞼を閉じた。おい、寝るな! なんて真ちゃんの怒った声。寝るわけねえだろ。お前がいるのに。お前がいたら俺はいつだって目かっぴらいて起きてるよ。今は閉じてるけど。はは、閉じちゃってるけど。
「おい、高尾、……高尾? なんだ、死んだのか」 「お亡くなりになった高尾くんに一言」 「高尾……、実は俺はお前のことを……」 「高尾くんのことを?」 「超ド級の変人がいると言って、大学の奴との話の繋ぎに、適当にあることないこと喋ったのだよ……」 「いや、待って待って待って真ちゃん! 何それ! ちょっと待ておい!」
流石に聞き捨てならなくて飛び起きたら、真ちゃんは真顔で俺の顔を見て頷いた。いや、その頷きは何なわけ。何を示してるわけ。全然わかんねえから。
「死人に口無し、バレなくてなによりだ」 「最低じゃねえか!」
叫ぶだけ叫んで、やりとりのあまりの下らなさに溜息をついた。何よりも下らないのは、真ちゃんが大学でも俺の話題を出してることに喜んでる俺自身である。滑稽な独占欲に苦笑いを零していたら、真ちゃんからボールが飛んできてギリギリのところで俺はそれを受け取る。びりびりと、手のひらがしびれる感触。こいつ、本気でぶん投げてきやがった。赤くなった俺の手はまだまめだらけで、皮も分厚くなっているけれど、これも後数ヶ月もしたら普通の手になっているのかもしれない。
「というか、お前は何故そこまで鈍っているのだよ。お前の方が暇なら、今日の時点でここまでへばっていないんじゃないか」 「暇とか言うなって! まあそりゃお前とはちげえけど、俺だってバイトとかめっちゃ入ってんだって。家賃は親に払ってもらってっから、生活費は自分で稼がねえと」 「ああ、なるほど、そうか、それがあったな」 「お前は? それこそ講義で忙しくてバイトなんかしてる暇ねえんじゃねえの?」 「親の脛をかじっている」 「めっちゃ堂々と言ったなおい!」
笑いながら全力で投げたボールは、俺の希望通りこいつの手のひらの中に収まって、そのままゴールリングへ向けて発射された。俺の知っている、俺の憧れたままの高度と軌道。それが変わらないことに安堵しつつ、ボールは勢いよくネットを揺らして落ちる。地面がごうんごうんと跳ねる音。このシュートだって、いつかは終わる。
「事実なのだから仕方がないだろう。家賃光熱費水道代食費学費その他もろもろ全て親持ちだ。そもそも、ラッキーアイテムであれだけ金を使わせていた俺が今更この程度のことで罪悪感を覚えると思うのか?」 「やべえ、どうしよう、言ってることはどこまでも格好悪いのにここまで堂々とされるとそんなことないように聞こえ……聞こえねえな」 「やはり駄目か」 「駄目だったなあ」
少し笑いながら真ちゃんはボールを拾う。かがんだ時に僅かに揺れた上半身と、グレーのセーターが何故か目に焼き付いた。その服の下の筋肉も、段々と衰えていくし、二度とあの派手なユニフォームを着ることもない。そんな当たり前のことを、俺はゆっくりゆっくり飲み込んでいく。別に、悲しいわけではないのだ。少し寂しくはあるけれど。そうだ、寂しいのだ。大人になっていくことが。俺たちが、大学生になって、卒業して、就職して、もしかしたら結婚したりして、子供ができたりとか、して。そういう変化をこれからも続けていく。
「うちの大学は成績優秀者になれば賞金がもらえるのだよ。一年間にかかる金額と比べれば雀の涙のようなものだがな。それは親に渡すつもりだ」 「もう取れることは確定なのね」 「当たり前だ。人事を尽くしているのだから。」
例えば、一人暮らしをするようになって、洗濯だとか料理だとかを少しずつ覚え始めた。電気をつけっぱなしにしたり、蛇口をしっかり締めないで母さんに怒られた理由がようやくわかるようになった。お金のこととか、現実とか、ちゃんと見始めた。悪くないなあ、と思う。あの駆け抜けた日々に比べると少しばかり穏やかすぎて、太陽の光もあまり眩しくないけれど、変わりに柔らかくなったように思うのだ。
「成長してから恩返しということで先行投資してもらうしかないからな、金額の問題ではなく担保のようなものなのだよ。将来性の保証だ」 「お前さ、なんか照れ隠しが生々しくなってねえ?」
パスされたボールを投げ返す。真ちゃんはそれをシュートせずにもう一度俺にパスしてきた。別に俺はシュートなんか撃たねえのに。もう一回真ちゃんにパスしたらまた返ってきて、奇妙なキャッチボールが延々と続く。ぼんやり数えて十二回目で俺はでかいくしゃみをした。背筋からぞわぞわと、這い登るような冷気。
「うあー、さぶ。汗ひくとめっちゃ寒いな。つか、五月ってこんな寒かったっけか」 「五月は寒いだろう」 「五月は寒いか」
寒いっけ、と首を傾げる俺の顔面めがけてジャージが飛んでくる。真ちゃんのではなく、俺のだ。勝手に鞄から出されたらしいが腹も立たない。帰り支度を始めるこいつもジャージを羽織る。お前だって寒かった癖に、先に俺に渡しちゃうんだからなあ、そういうとこ、好きなんだよなあ。好きなんです。あーあ、好きなんだよ、ほんと。
「おい、聞いてるのか」 「へ? あー、ごめんごめん、何?」 「全く聞いていなかったのか。ボケすぎだ」 「ごめんって。で?」 「風邪を引かれても困るから、俺の家に寄っていけ」 「あ?」
耳に届いた言葉が信じられなくて俺は思わず自分の頭を殴りつけそうになった。そこまで驚くことでも無いのにこんだけ動揺が隠せないのは、やっぱり、俺がコイツのことを好きだからなんだろう。好きな奴の、一人暮らしの家に上がり込む、なんてのは、どうしたってそういう意味にしか取れないのだ。勿論真ちゃんにその気が無いことはわかっているけれど。だけど、わかるだろうか、一人暮らしの家だぞ、生活の何もかもが部屋に閉じ込められた、まず間違いなくこいつの匂いで満ちている部屋。
「お前、何回聞き逃せば気が済むんだ」 「いや、聞こえてた聞こえてた! 聞こえてたけどさ! え、いいの」 「構わん。ここから俺の家は近い」
そりゃ、お前の家に近いストバスのコート探したからな。俺のアパートからは遠いのだ。お前の家。俺が三年間迎えに行った、あのだだっ広い門扉がある豪邸とは別の、お前が一人で暮らしてる家。
「おい、どうした、来ないのか」 「いつ誰がそんなこと言ったよ。行く。超行く。真ちゃんのお部屋大訪問」 「そうか。エロ本はまだ買ってないから探しても無いぞ」 「……真ちゃんもなかなかに、俺が言うことわかってきたよね」
     ◇
「……おい、ちょっと待て、待ちなさい、親の脛かじり太郎」 「なんだ、さっ���宣言しただろう」 「限度があるだろ! 何だよこの部屋! 部屋じゃねえよ家だよ! どう見ても一人暮らしには広すぎるだろ! 普通六畳一間だろうが! なんだこれ!」 「俺の家だが」
入口がオートロックの門だった時点で嫌な予感はしていたが、大的中も大的中、ドアを開けたら玄関と靴箱があり、そこから廊下が伸びていた。バス、トイレ別だ。というか、部屋までの通路に台所が無い時点で戦慄した。大学に入ってから他の奴の家にも幾度かお邪魔したが、部屋までの短い通路の片側に風呂トイレ、片側に狭い台所と洗濯機置き場、ドアを開ければ六畳間、この鉄則を外れる奴なんていなかったのだ。
「いやー、これはない、マジでない、かじるどころじゃねえ。しゃぶってやがる」 「まあ、富裕層だからな」 「やめろ……聞きたくない……こんな露骨な格差はやめろ……」
風呂に入れと投げ渡されたバスタオル。真っ白で、まだほとんど使われていないそれに遠慮する気にもなれなかった。保温機能で自動で沸かしてくれるバスタブでも俺はもう驚かない。腹いせに、シャンプーとリンスの位置を逆にしたことくらいは許されてもいいだろう。思い切り鼻歌を歌っても近所に文句は言われないんだし。 風呂を上がってみれば、真ちゃんが真剣な顔で洗濯機を回していた。説明書が壁に貼られている。若干首を傾げてセーターのタグを見ていたこいつは、マークの意味がわからなかったらしく携帯電話で調べ始めた。堅実な奴である。
「ちょっとくらいならソフトサイクルで問題ねえと思うけど」 「馬鹿なことを言うな。これだけ細かくラベル分けされているのだから消費者はそれに従うべきなのだよ。ふむ、これは手洗い不可」 「いちいちクリーニング出すわけ? 金がもったいな……いや、俺は何も言わねえ。言ったら言っただけ傷つきそうな気がする。何も言わねえ」 「ドライヤーを使うならそこの引き出しだ。暇ならリビングにいろ。茶は勝手に出せ」 「へいへい」
短い俺の髪は、水気を取れば自然に乾く。面倒くさいからとリビングに向かえばきちんと整理整頓された部屋。プリントも教科書も整然と並び、出しっぱなしの衣類なんて物は無い。思いのほか完璧な一人暮らしをしているこいつに少し驚く。生活力なんて皆無かと思っていたのだが、壁に貼られた手書きのメモを見て納得した。こいつ、毎朝のルーティンワーク完璧に決めてやがる。月曜日、五時、起床、ストレッチ、五時五十分、着替え(引き出し下段)、六時、テレビ兼朝食(チャンネルは六)……目眩がしてくる。多分、中学の時も高校の時も、こうやって自分の動きを決めて行ったんだろう。所々に訂正の箇所があるのは、それじゃうまくいかなかったからか。そういえばあいつはこの前会った時、「一通り落ち着いた」とか言っていた。それはこういうことだったのか。
「何を間抜けな顔を晒している」 「うお、真ちゃん終わったの。いやー、これすげえな。機械かよ」 「人事を尽くすためには必要なことだ」 「いやー、お前の人事に対する執念こんな形で見ることになるとは思わなかったわ。隣に貼ってあんの食事の献立?」 「そうだが」 「……真ちゃん、これってさ、今日の、食事の献立?」 「そうだな」 「……明日の食事の献立は?」 「これだな」 「…………明後日の食事の献立は?」 「これだな」 「まさかとは思うけど、真ちゃん、毎日これ食ってんの……?」 「完璧なバランスだろう」 「お前は! 融通きかなさすぎだろ!」
思わず怒鳴りつければ、何故俺が叱られなければならないのだよという顔で見られる。いや、おかしいのはお前。絶対にお前。誰かこいつに常識を教えてやってくれ。 俺の目の前にある紙には、朝から晩まで、食べ物とどこでそれを売っているかの表がある。ほぼ調理が入っていないのは、自分じゃ作れないと判断したからだろうか。数えてみれば三十品目丁度。それぞれの栄養素もきっちり取れている。それにしたっておかしいだろう、朝、煮干(松の家)、白米、漬物(西武スーパー)、牛乳(二五〇ミリリットル)って、いや、栄養は取れるかもしれねえけど、こいつは三百六十五日同じもんを食べ続けるつもりなのか。嘘だろ。絶対に楽しくない。
「この前お前と食事をした時は計算が面倒だったのだよ。翌日に足りない分は全て追加したからなんとかなったが」 「なんともなってねえからそれ。なんで翌日繰越制度になってんだよ。一ヶ月間焼肉しか食わなかったから次の一ヶ月は野菜しか食いませんってことじゃねえか」 「そうだな、それではカルシウムもタンパク質も足りない」 「ちげえよ! 何にも伝わってねえよ!」
誰か、この超ド級の馬鹿をどうにかしてほしい。お前は頭が良いはずじゃなかったのか。俺にはこいつの思考が手に取るようにわかる。わかってしまう。大学生になったからには勉学に励まねばならない、そのためには心身ともに健康でなくてはいけない、健康な体は健康な食事から、完璧な献立を作らねば。完璧な献立なのだから毎日それで完璧だ。終了。殴りたい。
「そうは言ってもな、毎日別の献立を考えるのは流石に負担が大きすぎるのだよ。できなくは無いが、俺は料理が苦手だから作れるメニューも限られる。その中でどうにかしようとすれば、今度は学業の妨げになるだろう。本末転倒だ」 「なんで俺が説得されてんだろうな。お前の発言だけ聞いてるとお前が正しく聞こえるから不思議だわ。あのな真ちゃん、アウト」
頭が痛いのは長風呂をしてしまったせいだろうか。久々にちゃんと広い風呂入って、ちょっとテンション上がっちゃったもんな、確かに。俺のアパートの風呂は狭くてろくに入れたもんじゃないし。ああ、それとも髪を乾かさなかったせいだろうか。風邪ひいたかな。いいや、違う、この目の前の男が全てである。
「っつーか、真ちゃん、今日はどうするつもりだったわけ。俺、お前と夕飯まで食うつもりだったし、まともな夕飯出てくると思ってなかったから外行く気満々だった」 「さりげなく人を馬鹿にするのはやめろ。俺だって外に出るつもりではいた」 「で、それで足りなかった分は明日に追加されるわけ」 「まあ、そうだな」
壁にかかったカレンダーを見る。先週の木曜と、今週の木曜にだけそっけなく印がついている。俺と会ったからだ。俺と会う日だからだ。そしてこいつは金曜日、俺との食事で足りなかった分を一人で追加して食ってるんだろう。どうせこいつのことだから、カルシウムが足りなければ牛乳を必要なだけ追加、タンパク質が足りなければ豆腐を足りないだけ追加、とかそんな大雑把なことをしているに違いないのだ。それはなんだか、酷く腹がたった。一人でそんな素っ気ない、機械みたいな食事をしているこいつにも、それの負担になっているのであろう俺のことも。
「……真ちゃん、来週どっか空いてる?」 「……木曜日なら」 「また?」 「木曜だけは授業が三限で終わるのだよ」 「ああ、なるほど」
さて、俺のこの感情のどこまでが純粋なもので、どこまでが邪なものだったのかは俺にもわからない。俺はもしかしたら母ちゃんのようにこいつのことを心配していたのかもしれないし、恋人気取りでこいつのことを独占したかったのかもしれない。両方かもしれないし、もしかしたら全然関係なくて、俺はただ、何にも考えていない馬鹿野郎だったのかもしれない。
「じゃあ、俺毎週木曜は夕飯作りに来るから」 「はあ?」 「栄養バランス完璧な献立だったら良いんだろ? 任せろって、少なくともお前よりは作れるから」 「いや、別にだからといって何故お前が」 「良いじゃん。お前木曜以外空いてないんなら俺どうせしょっちゅう遊��に誘うし。そのたんびにお前が飯の計算しなおすのも面倒くさいだろ。 だったら俺が作っちゃうのが手っ取り早くね。別にお前が他の用事入れる時はこねえからさ」 畳み掛けるように言う俺の勢いに押されたのか、真ちゃんは、いや、だとか、それは、だとかもごもごと言っている。きっぱりさっぱりしているこいつには珍しい狼狽具合だ。自分でも無茶苦茶なことを言っている自覚はある。だけど俺は全然引く気が無い。多分真ちゃんも、そのことに気がついたのだろう。
「……お前が、いいなら」
渋々と頷いたこいつに俺は笑った。自分があまりに馬鹿らしすぎて笑ったのだ。だけど、俺は、何度も訂正された跡がある木曜日のルーティンワークを見て、何もせずになんていられなかった。そうだよなあ、二週連続でお前の予定変わったら、それは別の何かを考えるよな。来週も俺が誘うかもしれないし、誘わないかもしれないし、そしたらお前はきっと、別の日課を組み立てなくちゃいけなかった。 最終的にクエスチョンマークだけが残されて、『保留』とそっけなく書いてあるそれは、俺がお前の毎日に組み込まれるためのスペースだった。お前は自分じゃ言わないけれど、ちゃんと俺はわかっているのだ。お前からの、新しいサインに。 そうやって、形の無い不安に脅かされていた俺は、入学して一ヶ月と一週目に、驚く程スムーズに、新しい口実を手に入れたのだった。
     ◇
「真ちゃん、最近とみに忙しそうね」 「試験が近いからな。お前だってそうだろう」
七月の頭、室内には既に冷房がかかっている。俺の部屋にもついてはいるが、効きが恐ろしく悪く音だけうるさく、よっぽど扇風機の方が役立っているのが現状だ。大学生の試験期間というのは講義を取っていれば取っているほど過酷になるもので、楽できる奴はいくらでも楽ができる。真ちゃんの忙しさといったらない。試験だけで二十個近いと聞いて頭を抱えた。国立受験だって十科目だっていうのに。
「お前んとこほど過酷じゃねえわ。レポートも多いし」 「レポートの方がかかる時間は多くないか?」 「俺んとこでね、レポートってのは、『なんでもいいから取り敢えず出せば単位はくれてやるから文字数埋めて出せ馬鹿野郎』って意味なわけ」 「凄い意味の込め方だな」
俺が作ったキャベツのホタテ煮を、眼鏡を薄く曇らせながら食べている真ちゃんの顔は呆れている。大根は鷹の爪を入れて煮たから少し辛い味付けだが、これくらいならどうということはないらしい。まあ、こいつは甘党であるというだけで、辛いのが滅茶苦茶苦手というわけではないからあまり心配はしていなかったが。
「生姜焼きはあんま漬けれなかったからよう改良だなー、これは」 「別に、普通にうまいが」 「お前ってすげーおぼっちゃまなんだか庶民舌なんだかよくわかんねえな」 「味の違いはわかるが、どれがうまくてどれがまずいのかはよくわからん」 「おしるこにはメーカーから何からこだわるくせに……」 「おしるこは食事ではないからな」 「じゃあなんなんだよ。飲み物っていうオチだったら来週の夕飯納豆入れる」
生命の源なのだよ、と嘯くこいつの冷蔵庫にはお気に入りのおしるこが大量に常備されている。おしるこばっかだ。あれだけ食事の管理をきっちりやっていた癖に、最も糖分が高く体に悪そうなおしるこに関して、こいつは一切の制限を設けていなかった。ちゃっかりしすぎだ。俺は人一倍脳みそを使うから糖分はいくらあっても足りないのだよ、と堂々とのたまった時は流石に腹が立ってこいつのおしるこを全部捨てた。いや、捨てるのでは勿体無いので俺が全部飲んだわけだが、俺は甘ったるいものがあまり好きではないのでまあ捨てたのと同じようなものだろう。お陰様でその日は胃もたれに悩まされるわ、真ちゃんは落ち込むわで双方ともに撃沈だ。
「……で、今日も泊まっていくのか」 「おー、真ちゃんさえよければ」 「構わん」 「明日の朝ごはん、卵焼きと目玉焼きとスクランブルエッグと温泉卵どれがいい」 「卵以外の選択肢は無いんだな」
こいつは静かに箸を置いて、両手を合わせて御馳走様でした、と頭を下げた。こういうところが、お育ちが良いというのだ。初めてこれを見た時に爆笑したら、お前は「お粗末さまでした」と言わなければならないだろうと激怒された。凄く理不尽な気がする。気がするけれど、まあ別に嫌なわけではないので、俺も今では笑いながらお粗末さまでした、と言う。先に風呂入ってよ、俺片付けてるから、と言えばこいつはたいした抵抗も無く頷いてリビングから消えた。
うーん、どうしてこうなったんだろう。
リビングは相変わらず綺麗に整理整頓されている。けれど、よく見ればラックの中には真ちゃんが全く興味が無いであろう雑誌やCDが並んでいるし、洗面所には歯ブラシが二つある。真ちゃんが翌日着るものを入れていた箪笥は今じゃ俺の着替え置き場だ。そういえばこいつは、洗濯は出来ても畳むのが苦手だったらしく全て広げたまましまわれていた。そのせいで余分なスペースを取りすぎていたから、畳んでしまえば俺の服が入るスペースが出来上がったわけだけれど。ガチャガチャと音をたてて皿を流しに運ぶ。これだって全部、二つ組み。 スポンジでガシガシと皿を洗う。俺が毎週木曜日に飯を作りに来るようになってすぐに判明したのは、飯を食べた後、俺の家まで戻るのがとてもとても面倒くさいということだった。そもそも俺も真ちゃんも、毎日通うのは厳しいくらいの距離に大学があるから大学に近いところに一人暮らしを始めたのであって、その方向は全く違うのであって、何が言いたいかと言うと、真ちゃんの家から俺のアパートまではゆうに二時間はかかる。飯食った後に少し喋って帰ったのでは、簡単に日付をまたぐ。まあ仕方無いと思っていたのだが、それに気がついた真ちゃんが泊まっていけと言ってから、その好意に甘えて、ずるずる。今では木曜は必ず泊まって、金曜の朝飯まで作って帰っていくのが常である。金曜が三限からでよかった、ほんと。真ちゃんは一限からあるので一緒に家を出れば遅刻することもない。そして洗剤が足りなくなってきている。今度来るときに買ってこよう。 皿を洗う時に、思いっきり泡立てるのが好きだ。真っ白な泡がぶくぶくと膨れ上がって皿を飲み込んでいく姿が好きだ。それをざあっと熱いお湯で流す瞬間が好きだ。黙って黙々と洗っていると、言わなくていい、だけどつい言いそうになる余計な言葉が全て一緒に流れていくような気がする。 ええい、消えてしまえ、消えてしまえ。幸福の間にうもれてしまえ。
     ◇
「はー、いいお湯でした! やっぱ浴槽広いといいなー! 俺のアパートと段違い」 「そんなに狭いのか」 「俺が体操座りしてぎっちりって感じだから、真ちゃんは多分はみ出ちゃうんじゃねえかな。はみだしんちゃん」 「語呂は良いが、ご当地キャラクターのように言うのはやめろ」
そんなにご当地キャラっぽくもねえと思うけど、まあなんてことない軽口の一つだと俺は特に返事もしない。テレビをつければよくわからないバラエティ番組で、アイドルが笑顔を振りまいていた。これ、もしかして宮地さんに見ておけって言われたやつじゃなかったっけ、と思えば録画ボタンが点滅しているので安心する。
「……しまった、撮り忘れたのだよ、これ」 「え? 今録画ボタン点滅してんじゃん」 「それは別の番組だ。UFOの謎を追え、古代人が遺す壁画と星の導きという……」 「なんでそんなの撮ってんだよ! どうせナスカの地上絵オチとかだよそんなん!」 「わからないだろう! お前は撮っていないのか!」 「俺の家にHDDなんて高級なモンありません!」 「お前の家、か」
興味があるな、と真ちゃんは笑った。そう、俺は真ちゃんの部屋に入り浸っているが、真ちゃんが俺の家にきたことは一度も無いのだ。そりゃあそうだろう。快適さが段違いだし、そもそも。
「俺の家来てもどうしようもねえからなあ。お前毎日一限あるし、俺ん家からお前の大学まで多分二時間、下手したら三時間かかるだろ。昼間に来るっつっても毎日五限まであるんじゃな」 「木曜は三限までなのだよ」 「知ってますー。木曜だけっておかしいだろ。はーあ、俺もよりによって木曜は四限まであるしな」 「そうなのか?」 「あれ、知らなかったっけ」
俺は土曜日曜月曜の週休三日体制で、金曜以外は一限から入れて三限終わりという楽々な時間割を組んであるのだが、木曜だけは四限まであるのだ。そのせいで、唯一真ちゃんとしっかり会える曜日なのに若干のタイムロスが生じてしまう結果になっている。確かに、いつも俺が真ちゃんの家に授業が終わり次第突撃しているから、俺の時間割なんて真ちゃんは知ったこっちゃないのだった。そんなに驚くことでも無いと思うが、真ちゃんはぽかんとした顔で俺のことを見つめている。それよりも、テレビに写ってるアイドル見て宮地さんへの言い訳考えといた方が良いと思うんだけど。
「じゃあ、一時間半、お前は俺を待たせているんだな」 「え、ええ? そういうことになっちゃうわけ? いやまあ確かに言いようによってはそうかもしんねえけど、そもそも木曜以外空いてねえのお前の都合だからね」 「だが実際そうだろう」 「んー、えー、んー、俺が頑張って大学から遠い遠い真ちゃん家まで移動してることとかへの考慮は」 「移動時間を考慮しないで一時間半だろう。講義一つ分なのだから」 「あー、そりゃ、おっしゃる通りです、絶対おかしいけど」 そうだろう、と真ちゃんが満足げに笑うので俺はもうそれでいいか、という気になる。はいはい、俺が一時間半も待たせてますよ真ちゃんのこと。一時間半も俺のこと待ってくれるなんて、真ちゃんもよっぽど俺のことが好きなんだね。マジで。 なんて言えるはずもなく、俺は空中で目に見えない皿を洗う。新しい踊りか? とか聞いてくるお前は何もわかっちゃいない。
■3■
『今から向かうわ』
夏休みは長かったがあっという間だった。多分これから先、色んなことにこういう感想を抱くんだろうなあと思う。大学生活は長かったがあっという間だった。人生は長かったがあっという間だった。そんな風に。 いつも通り真ちゃんに連絡をして、携帯をズボンのポケットに滑り込ませた数分後、低い振動が伝わってくる。取り出して画面を見てみたら、浮かび上がっている名前はたった今俺が連絡したその人で、はてと首を傾げた。今まで電話がかかってきたことなんて無かったのに。
「おー、真ちゃんどったの。今日はやめとく?」 『制限時間は二時間だ』 「はあ? え? 真ちゃん? どうしたの」
俺はアメリカの諜報機関でもないのに、何故いきなりこんな勝負をしかけられているのかさっぱりわからない。しかも相手は真ちゃんで、まずもって何の制限時間なのかもわからないのだ。わからないことづくしで立ち止まる俺に、真ちゃんは一方的に話し続ける。その声が若干楽しそうな気がするのは気のせいだろうか。
『俺のことを一時間半も待たせているのだから、お前の方もそれ相応の時間でもってして探すべきだ。質問には答えてやる』 「いやいやいや、わけわかんねえから。ちょ、どういうこと」 『毎週俺はお前を一時間半待っているのだろう? 腹立たしいからお前も一時間半かけて俺を探せ』 「いや、それお前さっきと言ってることほとんど変わらねえから。ぜんっぜんその理論理解できねえから、え、ちょ、どうしたのマジで」 『質問は終わりか?』 「いや、んなわけねえだろ! 始まったばっかだよ! お前どこにいんの!」 『その質問に答えられる筈が無いだろう』 「あー、めんどくせえなあ!」
ちょっと待って欲しい。状況を整理させて欲しい。どうやら俺は真ちゃんに何がしかの勝負……勝負と言っていいのかこれは? まあいい、何かを挑まれているらしい。制限時間は二時間で、俺はその間に真ちゃんを見つけなくてはいけない、らしい。ダメだ全く訳がわからない。
「制限時間二時間ってなんなんだよ」 『ずっと待っているわけにもずっと探すわけにもいかないだろう』 「一時間半じゃねえんだ」 『移動時間があるからな』
確実に楽しんでいる。そのことを確信して俺は無意識に苦笑いを浮かべた。そういえば、移動時間はお前が俺を待っている時間には含めない、そんな話しましたね。ってことは、つまり、どういうことだ? 俺は真ちゃんを探さないといけない。まず、真ちゃんが講義終わってから出発してるんだから、真ちゃんの大学から一時間半圏内なことは間違いない。そんでもって、俺の移動時間が三十分確保されてるってのはつまりどういうことだ? 一時間半は探す時間だっつってたんだから、三十分が移動時間で別枠なわけだ。でも探すのも移動すんのも結局は同じようなもんだよな? 探しながら移動してんだから、そういうことになるよな? ってことは単純に、一時間半じゃ間に合わない位置に真ちゃんがいるってことか。取り敢えず俺の大学から一時間半以上二時間圏内、真ちゃんの大学から一時間半圏内。合ってるか? 合ってんのか、これ。いやもう合ってなかったら仕方無い。それにしたって範囲広すぎだろ。
「どこにいんのか聞いちゃ駄目って、何なら聞いていいんだよ。近くにあるものは?」 『ふむ、まあそれは良しとしよう。デパートがある。駅の真ん前だな』 「その駅って何線が入ってんの」 『それは答えられないな。だがメトロ含めて八本乗り入れがある』 「あー、そこそこでかい駅なんだな……」
こうなった真ちゃんを俺が止めることなんて不可能だ。別に真ちゃん家を知ってるんだからそこで待ってりゃいい話なんだが、そんなことしたらこいつは暫く口をきいてくれないだろう。下手したら年単位、一生とかにもなりかねない。仕方がない、お前が見つけて欲しいってんなら探してやろう。見つけて欲しくないと言われるより百倍マシだ。我ながら無理やりなポジティブ思考に涙が出そう。
「で、真ちゃんはそこの駅にいるの?」 『いや、外はまだ暑いから駅近くの喫茶店で大福を食べている』 「満喫しすぎだ馬鹿野郎!」
とは言っても腹が立つものは腹が立つので思わず通話をぶった切った。満足げに沈黙する携帯を操作しつつ、取り敢えず駅に向かう。良い子は歩きながら携帯いじっちゃいけません。悪い子でごめんね。恨むならあの奇想天外馬鹿野郎を恨んでくれ。あまり時間も無いので、真ちゃんがいる範囲内でそこそこでかい駅を適当にピックアップする。実はあんまり無い。その中で路線が八本入っている駅は一つしか無かった。駅の東口に和菓子屋と大きなデパートがある。俺の大学から一時間四十五分。まず間違いなくここだろう。これで違ったらもう知らん。 案外あっさりわかるものだと拍子抜けしながら、そういえば路線の合計数を教えてきたのは真ちゃんだったと思い出した。なるほど、やっぱり、見つけて欲しくないわけでは無いらしい。なんでこんなことをやり始めたのかさっぱりわからないが、俺との木曜日が嫌になったわけではない、ということだけでも良かったと思おう。そしてもしも、この真ちゃんの気まぐれが来週からも続くのだったら、それはどんどん難易度を増していくのだろうということも容易に想像できた。嘘だろ。
     ◇
「いや、マジ真ちゃん、今回ばかりは駄目かと思ったぜ……」 「実際駄目だったのだがな。二十七秒遅刻だ」 「二十七秒で済んだのがすげえよ! 駅まではともかく、そっからのヒントが『信号が沢山ある所を左にまっすぐ』って、知るか!」 「他に言い様が無かったのだから仕方ないだろう」 「お前、まさかとは思うけど、俺を待ってる間暇だからってふらふら歩いてたらよくわかんないとこ出て迷子になってただけじゃねえだろうな」 「迷子ではない。携帯で調べれば帰り道はすぐにわかったからな。ただ現在地がわからなくなっただけだ」 「人はそれを迷子って言うかな!」
俺の真ちゃん探しの回数も片手を優に超えた頃から難易度を増してきた。駅前集合だった初回が懐かしい。最終的に猛ダッシュをしてたどり着いた公園で、真ちゃんは優雅におしるこをすすっていた。住宅地の隙間に無理やり作られた狭い公園内には子供の影すらなく、どこかから飛ばされてきたらしい花の種が芽を出して好き勝手咲いている。入口で荒い息を吐きながら緑間の名前を呼ぶ俺に、真ちゃんは少し驚いたような顔をしていた。わからないだろうと思う場所に呼び寄せるんじゃない、全く。 真ちゃんは俺の恨めしい顔にもどこふく風で、ブランコの板に脚をかける。頭をぶつけるんじゃないかと思ったが、案外大きめに作られていたらしく、真ちゃんを乗せてブランコはぎいぎいと揺れ始めた。すぐに息が整った俺も、なんとなくそれにならってブランコに乗る。ぎいぎいと、鎖と板が軋む音がする。
「あー、なんか懐かしいな」 「そうだな」 「ブランコなんて何年ぶりだろ。はは、めっちゃ軋む音してるけど大丈夫かこれ」 「大丈夫だろう」 「大丈夫か」 「リアカーだって、大丈夫だったのだから」
まさか今ここでその話をされるとは思っていなかった俺は、驚いて真ちゃんの方へ振り返る。夕日に照らされて目も頬も髪も真っ赤だ。ぎいぎいと、ブランコが鳴る。鉄と木の音。俺たちのリアカーの音。俺たちが壊して捨てたもの。
「懐かしいな」 「……そーだな」
それ以外、何も言えずに黙る俺に真ちゃんは笑った。仕方がなく笑ったというよりは、楽しそうに笑った。そのまましばらくぎいぎいと、懐かしい音を鳴らす。
「来週は、三限が休講なのだよ」
真ちゃんがそう言い出したのは、その日、俺が真ちゃんの家に行って夕飯を作って風呂に入って布団を敷いて寝る間際だった。俺のためにいつの間にか買われていた布団はまだまだ新しかったけれど、ところどころに小さな毛玉が見えた。俺はその言葉の意味を、もうちょっと深く考えても良かったかもしれない。
     ◇
『制限時間は三時間だ』 「マジかよ……」
毎週木曜に恒例になった電話をかければ、少しひび割れた真ちゃんの声が俺の耳に届く。三時間、今までで最長記録だ。休講になったって、あれはつまりそういう宣言だったのか。俺はあの時に気がついても良かった。迂闊だったとしか言えない。あいつが二限終わりになるということは、一コマ分多く待たせるのと一緒だ。ということは、その分あいつの移動時間も追加される。
「ちょっと真ちゃん、多めにヒント頂戴……」 『ヒントは無しだ』 「はあ?! いや、馬鹿言うなよ、無理だって!」 『俺が行きたい場所にいる』
それ以上何か言う前に通話が切られた。いくらなんでも理不尽すぎる。制限時間は三時間、真ちゃんの大学から三時間以内、俺の大学からも三時間以内。範囲が広すぎる。今時、三時間もあればたいていの場所には行けてしまうというのに。 真ちゃんは、もう俺に、見つけて欲しく無いのだろうか。 過ぎったその考えに背筋が震えた。理不尽なことを言われた怒りよりも、恐怖の方が先に立った。慌ててリダイヤルする。電源を切られていたらおしまいだと思ったが、どうやらそれは杞憂だったらしく、十五コール目で真ちゃんは出た。
『なんだ高尾。これ以上のヒントは無しだぞ』 「真ちゃん、真ちゃんはさ、もう俺に会いたくないわけ」 『誰がそんなことを言った』 「いや、あんな無茶ぶりされたら誰だってそう思うだろ」 『ヒントはもう言ってやっただろう。あとは自分で考えろ』
ぶちりと切れた二回目の通話。どうやら嫌われたわけではないらしく、かと言ってこれ以上の情報をくれる様子もない。嘆いていても何も変わらないなら、しらみつぶしに探す以外方法は無さそうだった。
「ヒントはもう言ったって……真ちゃんが行きたい場所?」
いや、知るかよ、と思う。素直に思う。あの気まぐれ大魔神の考えが完璧に読めたことなんて一度も無い。あいつが今どこに行きたいかなんてわからない。宇宙とか言い出したっておかしくない奴だ。宇宙に行ってUFOがいるかどうか確かめるのだよ、とか言い出しかねない奴である。三時間じゃ宇宙に行けないけど。行けないけどな。 思わず調べてみたら、宇宙の謎展とかいうのが近くでやっていた。可能性はゼロじゃない。そういえば、この前���レビを見ていた時に見かけた甘味屋に目を輝かせていた。あれはどこだったか。木村さんのとこの野菜が久々に食べたいとも言っていた。久しぶりにラッキーアイテムを探すか、とか言っていたのはなんでだっけ。 ああ、本当に、知るかよ、わっかんねえよ、お前が行きたい場所なんて、思いつきすぎてどうしようもない。
     ◇
「あー、ここもハズレ、か……」
どこに行っても姿が見えず、最後の望みを託して来たのは、懐かしの母校、秀徳高校だ。体育館からは、まだボールが跳ねる音がする。俺たちの一つ下の代は、それなりに癖があるけれど良い奴らだった。IH優勝は逃したが、WCはきっと優勝する。優勝できる。そう信じられるだけの奴らだ。そこに、俺と真ちゃんはもういないけれど。真ちゃんは朝から晩まで勉強三昧だし、俺はそんな真ちゃんを追いかけてこんな不毛な鬼ごっこをしてる。情けないと、去年の俺は呆れるだろうか。そんなことをする暇があるなら練習しろ、走りこめ、一分一秒も無駄にするな、そんなことを、言うかもしれない。今の俺は三限終わりでそっからバイトをして、サークルに顔を出したりして、週に一回真ちゃんを追いかける生活だ。悪くない。全然、悪くない。 駐輪場の方まで足を伸ばしてみたけれど、やっぱりそこに俺の求める緑の影はいなかった。そうだよなあ。だってここは、もう過去の場所だ。いつだって全力で走り抜けるお前が、今更ここに戻ろうなんて、言うはずがなかった。俺じゃあるまいし。
「秀徳―――――っ、ファイッファイッファイッ……」
遠くから聞こえてくる運動部の声出し。俺は今、あんな声が出るだろうか。出ないかもしれない。わからない。 だけど俺は、少しだけわかるようになったのだ。俺たちが練習をしている間、職員室では先生たちが必死になって俺たちの将来とか進路を考えていて、馬鹿にしてた鈍臭い先生だって俺たちが体育館使えるようにいつだって申請書作ってくれてて、スポーツ用品店じゃおっちゃんがいつも営業時間少し過ぎても店を開けてくれてた。家に帰ったらあったかいごはんがあった。俺が帰る丁度のタイミングで妹ちゃんは風呂からあがってて、俺はいつだってすぐに風呂に入れた。風呂から出たその瞬間に肉が焼けてた。あったかい食べ物は全部あったかいままだった。朝おきて引き出し開けたら、そこには絶対に選択済みの下着とTシャツと靴下があった。何にもしなくても部屋の床に埃なんて溜まってなかった。俺が今必死になってやってること、真ちゃんが必死になって作ってるルーティンワーク、そんなものが当たり前に俺たちの周りにあった。
「タイムアップ、かー……」
携帯を開けば、電話をしてから三時間と十五分。俺は初めて、真ちゃんを見つけられなかった。けれど、見つけられなかったと電話をするのもためらわれて、「悪い、無理だった」と一言メールをしたためて送信する。冷静に考えれば俺が悪いことなんて一つもないような気がするけれど、まあ、気持ちの問題だ。見つけられなかったのは、確かなんだし。
「帰るか、ね」
今から真ちゃんの家に向かうこともできたけれど、それはきっとルール違反だろう。俺は自分のアパートへ帰るべく、駅へと向かう。夕日はもう沈んでしまった。背中から、まだ、後輩たちの叫び声が聞こえてくる。 悪くない、全然悪くない。 大人になるのは寂しいことだと、あの時の俺は信じていた。リアカーを壊して、思い出を捨てて、バスケをやめて、学校の友達ともほとんど連絡を取らなくなって、生きるのに必要なことだけ手に入れていくのはとても寂しいことだと思っていた。だから未練がましく、あの日、ポケットを膨らませていたのだ。 ただ、そう、実際生活してみれば、案外そんなこともない。沢山のものを捨てて見つけた世界は、思っていたより優しかった。沢山のものを捨てたから、それまで俺がいた世界が、とても優しいものだったのだと気がつけたのかもしれないけれど、もしそうなのだとしたら、それは本当、悪いもんじゃなかった。真ちゃんは、いないけど。
     ◇
「遅かったな」 「……へ? うそ、真ちゃん?」 「待たせすぎだ。六時間だぞ」
玄関、いや、玄関なんて大層なもんじゃない、アパートの狭い門に寄り掛かるようにして真ちゃんは立っていた。錆びついて低い門は、もうとっくに鍵が馬鹿になっていて、ろくに閉まりもしない。郵便受けだって錆びているからぎこぎこと音がする。 まあ、今時、どうでもいいチラシくらいしか郵便受けには入らないのだからあまり不自由はしていないのだけれど。って、違う、違う、そんなことを考えている場合じゃない。意味がわからない。真ちゃんがいる。
「なん、で、こんなところにいるの……」 「なんでも何も、俺が行きたい場所に行くと言っただろう」
まさか六時間待たされるとは思わなかったがな、と真ちゃんは呆れたような溜息をつく。六時間って、お前、まさか六時間ここに立ちっぱなしだったわけ。不審者として通報されててもおかしくない。いや、そんな通報してくれるような甲斐性のある住人は多分この近辺にはいないのだけれど。っていうか、そうじゃない、そうじゃないだろ。きりがないからって制限時間作ったのお前だろ。なんでずっと待ってんだよ。
「お前、一体全体どこまで行っていたのだよ。もう来ないかと思ったぞ」 「いや、それはこっちの台詞っていうか、まさか俺の家とは思わないじゃん……」 「何故。俺はずっと言っていたはずだが。むしろお前はどこを探していたのだよ」 「そりゃ、いっぱいだよ」 「いっぱいか」 「うん、いっぱいあった」 「そうか」
いっぱいあったなら仕方がない、許してやろう、とふんぞり返る姿勢があまりにも偉そうなので俺は笑ってしまう。別に何が面白いというわけでもないのだけれど笑ってしまう。真ちゃんと一緒にいると、とてもどうでもいいことでだって笑ってしまうのだから仕方がない。そんな俺を見て、真ちゃんも小さく笑う。
「それで?」 「へ? それでって、なに?」 「時間に間に合わなかったのだから罰ゲームを受ける覚悟はできてるんだろうな」 「それで、にどんだけ意味がこめられてんだよ」
どうぞどうぞ、なんなりと。やっぱり俺はそんなに悪くないと思うのだが、六時間外で待っていてくれた相手に対してそんなこと言えるはずもないし思わない。おしるこ何百本おごりでも許そうと思って諦めた。惚れた弱みというやつです。投げやりになった俺の様子に、真ちゃんはにやりと楽しそうに笑って一言。
「お前の家に泊めろ」
     ◇
「狭いな」 「ずっとそう宣言してんじゃん」 「風呂場も狭い、台所も狭い、部屋も狭い、のに物は多い」 「わりーかよ」 「悪くない」
ただでさえでかい部屋に規格外のサイズの奴が入ってきたら、それはもう狭いなんてもんじゃなかった。極小だ。人形の部屋だ。座る場所を探した真ちゃんは見つけられなかったのか、勝手に俺のベッドの上に陣取った。わざとなのかなんなのか、いいけどね、いいですけど。一日中閉じきっていた部屋はもう夏を過ぎても蒸していて、堪えきれずに窓を開け放した。がらがらと、網戸が今にも外れそうになりながら開いていく。車輪が錆びついているのかそもそも設計的に立てつけが悪いのか、三回に一回は外れて俺を悩ませるこいつは、今回は綺麗に開いてくれた。
「ま、別に景色もよくねえけど」 「道路が見えるな」 「道路しかねえだろ」 「向かいの家も見える」 「道路沿いだからな」 「……あそこに」
俺につられて窓から身を乗り出した真ちゃんが下を指さす。そこには庭というのもおこがましい、アパートの僅かな隙間に雑草が茂っている。誰も手入れをしないから、好き放題に伸びきって、今じゃススキが揺れている。
「あそこにあるのは、お前の自転車か」 「そうだよ」
そう、そこは庭というのもおこがましい、アパートの共同駐輪場だ。駐輪場というにもおこがましいのだが、しかし実際駐輪場として機能している以上それ以外の言いようはないだろう。引っ越しをするにあたって、新しく買い替えても良かったのだけれど、ついそのまま持ってきてしまった俺の愛車。
「懐かしいな」
そう言って真ちゃんは笑う。真ちゃんは、いつからこんなに笑うようになったのだろう。そこに俺が関係していると思うのは自惚れかもしれないが、関係ないと言い切るのもまた自惚れだ。きっと、俺は関係があった。だけど、それだけじゃなくて、俺の知らない真ちゃんの生活の色んなものがきっと関係あるんだろう。
「お前、あれ、今でも乗っているのか」 「そりゃ乗りますよ。普通に乗りますよ。なんならあれで大学に行くし、スーパーだって行きますよ。お前の晩飯の材料買ってますよ」 「ああ、そうだ、夕飯、お前こんな狭い家で作れるのか」 「それは流石に馬鹿にしすぎだろ! 言っとくけど週の六日間はここで過ごしてんだからな! 俺!」 「そうだった」
お前が働いて、家賃も光熱費も水道代も食費も払って住んでいる部屋だった、と真ちゃんは笑う。何故だか誇らしそうに笑うので、家賃は親持ちだけどな、という俺の声はなんだか拗ねたように響いてしまった。それでもこいつは、立派なものだと繰り返す。俺よりももっと大変な奴なんて沢山いるから居心地が悪いことこの上ない。
「で、エロ本はどこにあるんだ」 「お前ほんっと楽しそうね」 「当たり前だ。ずっと来たかったんだから」
楽しそうに引き出しを開けるが、残念、そこには俺の下着があるだけだ。母さん直伝の下着の畳み方は、なかなか皺になりにくくてこれが主婦の知恵かと俺は感心している。まあ、真ちゃんの家の服の畳み方も、今じゃこれなんだけど。俺が教えたから。 見当違いな引き出しを次々に開けていくこいつは遠慮を知らないのかなんなのか、もっともポピュラーなベッド下にもないことを悟って残念そうな顔をした。甘い真ちゃん、一人暮らしでエロ本を隠す必要がどこにある。普通に本棚にほかの雑誌と一緒に並んでいるのだがこいつは気が付く様子がない。教えるつもりもない。
「真ちゃん、諦めろって」 「諦めろ、ということは、ないわけではないのだろう? ならば人事を尽くすのだよ��� 「へいへい、人事を尽くしたいのはわかったけど、後でな」 「む」 「夕飯にしよう」
飯にしよう。完璧な食事をしよう。お前がいればそれだけで俺は腹いっぱいに幸せだけれど、腹が空かないわけじゃないんだから。
     ◇
「狭かった」
風呂上がりの真ちゃんの第一声がそれだった。そう文句を言っている割に顔は満足げなのだから腹立たしい。洗濯しすぎてくったくたになったタオルで髪を拭くこいつに、ドライヤーなんてねえからな、と声をかければ構わないと返事が返ってきた。嘘つけ。お前髪の毛乾かさねえと次の日めちゃくちゃ絡まるくせに。このねこッ毛野郎。
「真ちゃんさー、なんでこんなことしたわけ」 「別に」 「しんちゃーん」 「……お前の家に行く口実を、探していただけなのだよ」
不機嫌そうに顔をしかめながら真ちゃんは、俺にタオルを投げつける。ぼふりと顔に湿ったタオルの感触。俺の家に来る、口実。俺の家に。真ちゃんがずっと探していたもの。それは、多分、俺が探していたものと、そっくり一緒だった。
「……別に、いつ来ても良かったのに」 「お前は、嫌そうだったじゃないか」 「ああ、それは、お前がここまで来るの面倒だろうって思ってたんだって、それに」 「それに?」 「あれ見つかんの恥ずかしかったから」
俺が指さした先の戸棚には錆びたボルト。あの日の俺の膨らんだポケットの中身。しばらく首をかしげていた真ちゃんは思い当たったのか驚いた顔を向けた。
「リアカーのか」 「リアカーと、自転車の連結部分の、かな」
女々しいったらありゃしない。だけど俺はどうしても、全部捨てることができなくて、こんなものを大事に抱え込んでいる。あの日こっそり、一つだけポケットに忍ばせたそれをまだ大切にしている。
「笑う?」 「笑わない、が」 「が?」 「ずるくないか」 「へ?」 「俺だって欲しかったのだよ」
ふて腐れたような顔で文句を言う真ちゃんの、内容があまりにも予想外すぎて俺は間抜けな顔をしてしまう。何それ、真ちゃん、欲しかったの。そんなの欲しがってんの、俺だけかと思ってたのに。そんなの大切にしたいの、俺だけかと思ってたのに。
「……そういえば、今日、お前探して秀徳まで行ったんだけど」 「はあ?! お前抜け駆けばかりか。そこまでお前がずるい奴だとは思わなかった。何故俺を連れて行かないのだよ。後輩どもはどうしてた。相変わらず生意気だったか」
いや、いきなり行っても邪魔かと思って話はしてねえけど、ていうかお前探すのに必死でその余裕はなかったけど、なんだよお前。なんだよそれ。お前、そんなそぶり全然見せなかったくせに。毎日毎日忙しくて、前だけ向くのに必死ですって顔してやがったのに、そんなの、お前こそずるくねえか。
「真ちゃんってさ」 「なんだ」 「案外あまちゃんだよなあ」
俺の言葉に一気に不機嫌になった真ちゃんの機嫌を取るのは大変だった。どうせ俺は親の脛をかじった世間知らずのお坊ちゃんなのだよと愚痴愚痴ぶーたれるので、どうやら大学でも言われたらしい。まあ否定はできないがそこが真ちゃんの良い所というかチャームポイントなのだから俺としてはそのままで一向に構わないのだが。
「お前のことも言ったら馬鹿にされた」 「へ? 俺のこと?」 「お前が家に来て飯を作っていく話をしたら、通い妻かなんかかよ、そいつもかわいそうだなとかなんとか、他にも色々」 「あー、うん、まあ、そんなもんだろーな……」
むしろ気持ち悪がられなかっただけ僥倖だと思うのだが、その回答はお気に召さなかったらしい。別に俺が通えと言ったわけじゃないのに、というのはその通り。
「だから俺も通うのだよ」 「いやその発想はおかしい」
堂々と告げた内容はあまりにも頓珍漢だ。っていうかこの狭い家には何もない。テレビだってろくに映らないし録画はできないし、クーラーは効かないし多分暖房だって効かないだろう。布団だって敷けないし、風呂だって手足を伸ばせない。
「それがどうした」 「真ちゃん、衣食住の充実って言葉があってな」 「どうでもいい。ここにはお前がいるんだろう」
だったらそれでいい、とこいつは言う。その言葉の意味をわかっているんだろうか。どうせ、わかっちゃいないくせに、馬鹿な奴。本当に、馬鹿な、大馬鹿野郎。
「お前がいればいい」
わかっちゃ、いないのは、俺の方だったんだろうか。
「すっげー熱烈なプロポーズね」 「本当のことなんだから仕方がないだろう。諦めろ高尾、お前のために俺の木曜は全て空けてあるのだよ。言っておくが、他の奴にここまでする気はない」
知っている。知っているとも。お前が、必要な時にしか人に頼らないことくらい。必要がなければ、誰かに連絡なんてしないことくらい。お前の毎日のルーティンに組み込まれることの意味くらい、俺はとっくにわかっていたのだ。
「それなんだけどさ、真ちゃん」
良かったら、金曜の午前も空けてほしいなと、そう告げたら真ちゃんは首を傾げた。後期授業は考慮しよう、とわからないまま頷く真ちゃんを抱きしめて、そのままベッドに倒れこむ。あたたかい。ごつい。でかい。好きだ。あーあ、好きなんです。さっき食った夕飯の食器は、まだ流しに放置したままだ。だけど今日くらい、いいだろう。
「真ちゃん、ちょー好き、残念ながら、マジで好き」 「残念ながら俺もだな」
笑っちまう。俺の家は本当に狭いから、くっつく口実なんていくらでもあるんだ。
     ◇
「おーい、真ちゃん、十時だぜ。起きねえと、三限間に合わねえんじゃねえの」 「腰が痛い……」 「真ちゃんが魅力的だったからつい」 「お隣さんが凄い壁を殴っていたような気がするのだよ……もうしばらくお前の家には来ない……、というかお前、俺が金曜三限からにして以来調子に乗ってるだろう」 「ごめん」 「否定しないのか!」 「事実は否定できねえから……」
朝食を差し出せば、真ちゃんは億劫そうにベッドの上でそれを受け取ってそのまま食べる。まあ随分だらしなくなったことで。まあ、相変わらず栄養バランスにはうるさいのだけれど。一日二日乱れるくらいは何も言わなくなった。俺の腹がたるんだらお前のせいだからなと、せっせと俺の飯を食っている。いいことだ。
「あー、また一週間真ちゃんに会えねえのかよー、ちくしょー」 「仕方ないだろう。学業をおろそかにするわけにはいかん。日々の予習復習、自主学習もろもろ、他のことを加えれば遊んでいる暇などないのだよ。 「そりゃそうかもしれねえけど! 土曜にも講義入ってて日曜が実験で潰れてってホントねえから! お前それ部活ぐらい拘束時間なげえだろ!」 「やりがいがあるな」 「その顔滅茶苦茶腹立つわ」
俺の部屋の引き出しから、こいつの服を取り出してぶん投げる。ベッドの上に散ったそれを適当に身に着け始めるこいつは余裕の表情だ。本当に、腹立たしい。
「へいへい、その間に俺はバイトにサークルにバスケに忙しくさせていただきます。へへ、この前ついに真ちゃんのこと抜きましたし? エース様の座が俺に渡る日も近いんじゃねえの? エース高尾の誕生だぜ」 「まだ一回だろう。調子に乗るなよ」 「悔しいなら悔しいって言っても良いんだぜ、真ちゃん」 「次はぶちのめす」
おっかねえなあと肩をすくめる間に真ちゃんは支度を終える。俺も支度が終わって戸締りをする。火の元、水道、窓。完璧だ。真ちゃんと一緒に家を出て、チャリで駅まで送っていく。俺の大学へは遠回りだけど構わない。最近真ちゃんは、二人乗りを覚えた。滅多にやろうとしないけど。俺も真ちゃんも寝坊した時、ダメもとで提案したら了承したのだ。あの緑間真太郎が、悪くなったものである。それは多分俺のせいで、そして俺以外のせいでもある。そんなもんだ。悪くない。
「で? 俺の家にはしばらく来ないわけ? じゃあ次はどこ行くの?」 「そうだな」
変わることが怖かった。失うことが怖かった。だけど案外世界はそのままで、真ちゃんは変わらずに俺の隣を悠々と歩く。リアカーにひかれていた時と変わらずに、堂々と、傲岸不遜に、楽しそうに歩く。俺はゆっくり自転車をこいでいる。
「お前がいれば、どこでもいい」
色んなことを捨てました。沢山の粗大ごみを出しました。大切なものも捨てました。だけど実は、こっそりちょっと、取っておきました。悪い大人でごめんなさい。だけど世界は、案外こんな俺たちを許してくれたりしてるのだ。お前がいればそれでいい。お前がいるからここでいい。お前がいるからここがいい。次はどこでお前に会おう。どこでもいい、この寂しくて厳しくて優しい世界。次はどこでお前に会おう。
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■外食
サブウェイ
1. サブウェイで注文の際、「野菜多め」ではなく「野菜上限」と言えば無料で基準量の1.5~2倍野菜を増量してくれる 2. サンドイッチのサブウェイは、パン抜きができる。サラダが出てくる 3. 抹茶ラテやチャイティーラテには、実はお湯が半分入っている。すべてミルクにする呪文「オールミルク」と言えば濃厚になる
スターバックスコーヒー
4. ドリンクを購入するとき、自分のタンブラーやマグカップを持っていくと20円値引きしてくれる。スタバ製じゃなくても値引きしてくれる 5. スタバでタンブラーを購入すると無料券がついてくる。どんなに高いカスタマイズでも可能
ミスタードーナツ
6. レシートに載っているバーコードを読み取ってアンケートに答える(回答時間2分くらい)と、ドーナツ半額クーポンが必ずもらえる。ドーナツ100円セールをやっている時には定価の半額になるので70円くらいでドーナツが買える
すき家
7. 牛丼キングという裏メニューがある。ゴハン2.5倍、肉6倍で1080円 ココ壱番屋で、ルーを無料でかけてもらえる裏技もオススメ
サイゼリア
8. ミラノ風ドリアはよく焼きにできる。チーズがこんがりしてておいしい 9. 裏メニューとして一本数千円の高級ワインが置いてある 10. キッズメニューには間違い探しゲームがついているが、大人でも解けないほど難しすぎる 11. 半熟卵のぺペロンチーノに粉チーズをかけ、混ぜて食べるとカルボナーラ風に。カルボナーラを注文するより130円安い
餃子の王将
12. 王将の裏技は以前いろいろ紹介したが、餃子の王将の隠しメニューにエビチリ天津飯というのもある
IKEA
13. レストランは開店30分前から開いていて、ホットドリンク(コーヒーか紅茶)を無料でもらえる 14. IKEAのレストランでは、離乳食がタダ(IKEAだけでなく離乳食をもらえる店は多い) 世界の山ちゃん
15. 世界の山ちゃんでは手羽先の天ぷらという裏メニューがある。手羽先の骨をとって天ぷらにしてくれる
サーティワンアイスクリーム
16. 年に7回(1, 3, 5, 7, 8, 10, 12月)ある31日と3月1日はダブルコーン・ダブルカップが31%OFFになる 17. 新しいフレーバーや気になるフレーバーがスプーンで試食できる(公式サイト) モスバーガー
18. モスバーガーでは、頼めばケチャップやマヨネーズを無料で増やしてもらえる 寿司
19. 安い寿司屋でも高い寿司屋でもサーモンの品質はそれほど変わらないので高い寿司屋ではサーモンを食べるのはもったいない
■食材
20. 二日酔いを予防したい場合は、アルコールを飲む30分前にキムチかヨーグルトを食べると良い。腸内の乳酸菌が豊富だと翌日に持ち越さない 21. わさびの辛さで鼻がツーンとするとき、コーラを飲むと辛くなくなる 22. ヨーグルトの水は栄養のカタマリでホエーという物体。捨てずに食べた方がよい 23. 100mlあたり糖類0.5g未満であれば無糖、2.5g未満が微糖・低糖。無糖といってもちょっとは糖類が入っている
野菜
24. きゅうりは世界一栄養のない野菜としてギネスブックに認定されている 25. 50度のお湯にしなびたレタスを半分に切り、2~3分浸けるとシャキシャキに戻る 26. トマトは生で食べるよりもオリーブオイル等で熱して食べたほうがリコピンを吸収しやすい 27. おいしいサツマイモは皮の所に蜜が黒く固まっている 28. 貧血にはホウレン草だが、ホウレン草に含まれる鉄分の吸収率は低い。魚介類やレバーのほうが良い
果物
29. バナナを50度のお湯で5分間温め、1時間室温に置くと超甘いバナナになる 30. すっぱいミカンを40℃のお湯の中に約10分間ひたすと甘くなる 31. キウイフルーツは毛のついた皮ごと食べたほうが良い。皮には実の約2倍栄養素が含まれている。モサモサして食べにくいけど薄切りにしたりジュースにしよう 保存
32. シジミは冷凍すると長期保存もできて栄養価がアップする 33. 砂糖が入っている容器に食パンを一切れ入れるだけで砂糖が固まらない 34. 固まった塩や砂糖は電子レンジで2~3分チンすると元通りサラサラになる 35. レタスの芯は手でくりぬける。芯を取っておくと長持ちする 36. 桃をアルミホイルに包んで冷蔵保存すると、長持ちする 37. タマネギはネットに入れて風通しの良い日陰に保管すると長持ちする
自炊
38. 大根おろしの汁を炊飯器に入れると、大根の酵素(アミラーゼ)でデンプンが分解されお米がおいしく炊ける 39. ハチミツにもアミラーゼが含まれていて、ハチミツでお米がおいしく炊ける。米2合に対してスプーン1杯が適量 40. 米を研いだあと、氷を入れて15分放置した米を炊くとウマい。米の吸水速度が遅くなり、粘り気が出る 41. カップ麺の容器に卵を1つ入れ、お湯を内側の線まで入れフタして7分待つと温泉卵ができる 42. 安い味噌1:ヨーグルト4の分量で混ぜ一晩寝かせると、高級味噌と変わらない味になる 43. 小イワシの刺身はビニールバンドでカンタンに作ることができる(動画)。ショウガ醤油で食べるとおいしい 44. サラダチキンは、沸騰したお湯の中に鶏むね肉と生姜、塩を投入、火を消して冷めるまで放置するだけ。この調理法ならむね肉がパサパサせず、しっとりしてて柔らかくなる 45. 水の代わりに酢を大さじ1.5杯ほど入れると焼きそばが焦げ付かない 46. 天ぷらをサクッと揚げるには材料の卵の代わりにマヨネーズを大さじ1入れる 47. 冷凍庫の温度を弱にすると、溶けにくく、透明に近い氷ができる 48. 缶詰を平らなコンクリートに強くこすり付けた後、側面を押すとウソみたいに簡単に開く(動画) 49. ペットボトルの飲み口に入る量がパスタ一人分の量(約100g) 50. 炊飯器でお米を炊くときに湯呑み茶碗にお米と多めのお水を入れて一緒に炊くとおかゆと普通のご飯が一緒にできる
日常生活
51. 朝や深夜にガソリンを入れると、同じ金額でも少しだけ多く入れられる。液体は温度によって、容積が変わるので温度が低いほど容積が小さくなるから 52. 固定電話をかける時、電話番号の後に#を押すといつもの半分の時間で繋がる 53. エレベーターで階数を押し間違えたとき、ボタンをダブルクリックするとキャンセルできることがある
郵便
54. くじ付き年賀状等書き損じたハガキは、手数料5円払えば新しいハガキや切手に交換してもらえる 55. ゆうぱっくは切手で支払いができる 56. 年賀状を元旦に届けたい場合は、12月25日までに投かんする必要があるが、30・31日でも、ポストではなく主要郵便局(渋谷郵便局や新宿郵便局など)に預ければ届く場合もある
公共交通
57. 高速バスのVIPライナーは東京⇔大阪(名古屋)500円のキャンペーンを不定期開催している 58. JR東海ツアーズのぷらっとこだまは新幹線チケットを金券ショップで買うより安く買える 59. 電車の遅延でもらえる振替乗車券は電車だけでなく路線バスも利用できる 60. えきねっとを使えば通常一か月前からの新幹線指定席予約が一か月とさらに一週間前に事前予約できる。年末年始の座席争奪戦で席が取れる確率が上がる
■衛生
姿勢
61. 正座するときには足の親指を上下に重ね、数分ごとに下になる親指を入れ替えると足がシビれにくい 62. それでも足がシビれた時は、ふくらはぎをクロスして約1分体重をかけるとシビれが取れやすい 63. 履いている靴を脱いでつま先の下に置く。かかとは床につけたまま、つま先が靴の上に上がった状態にすると長時間椅子に座ってもお尻が痛くならない 64. 電車の中で、利き腕を後ろ、足の角度は60°くらいで進行方向に向かって斜めに立つとフラつきにくい
健康
65. 喉が渇いたら犬歯を舐めると唾液が多く分泌される 66. 10秒間その場ダッシュすると空腹感がおさまる 67. カフェインは効きはじめるのは摂取20分後から。コーヒーを飲んだ直後には20分の昼寝をすると良い 68. あせもが出来たら、ゴーヤを煮だしてお風呂に入れて入るとあせもがなくなる 69. イソジンでうがいをすると口内細菌が減り口内炎が早く治る 70. 筋トレはテレビを見ながらやると効果が薄れてしまう 71. テレビを見ながら・お風呂に浸かりながらの「ながら歯磨き」は、知らず知らずのうちに歯磨きへの意識が薄れて磨き残しの原因となる 72. 足裏のアーチがつぶれてしまう開帳足は、親指を外側に向かって砂を掘るイメージで動かすと改善される 73. 風呂上がりに冷水を浴びると、湯冷めしない。全身が難しい場合は、膝から下だけや両腕だけでも効果アリ 74. 耳の中に小指を強く入れて1分待つとしゃっくりが治る。耳の中の迷走神経が刺激されるから
衣服
75. 仰向けに寝た状態でズボンを履くと太って履けなくなったズボンを簡単に履ける 76. 靴ひもは、軽く蝶々結びをしたあと水を数滴、結び目に垂らしてから強く結ぶとほどけにくくなる 77. 靴を買うのは夕方が良い。夕方には足がむくみサイズが大きくなっていることがある 78. 冬場重宝するヒートテックだが、汗をかく時に使うと逆効果。寒くなる(登山など) 79. Yシャツはハンガーにかけて干さず、すその方を上にしてさかさまに干すとシワになりにくい
美容
80. 穴が開いたりしてストッキングが伝線しそうなとき、穴のところにマニキュアのトップコートを塗ると伝線が広がらない 81. シャンプーよりリンスを先にすると、髪にボリュームが出る 82. マニキュアを早く乾かすやり方。 塗る約30分前から冷凍庫で冷やしたマニキュアを塗ると、いつもの約半分の時間で乾かせる 83. ほとんどのパウダーファンデーションには紫外線を散乱させる成分が含まれており、日焼け止めを大量に塗るよりも効果的。海水浴に行くときにもファンデーションを塗ろう 84. 洗顔フォームを泡立てるとき、ベビーオイルを数滴加えて洗うとしっとりする 85. 無印良品のメガネ拭きは洗顔にも使える。メガネ拭きを濡らして洗顔料を泡立て、顔の表面を撫でるように洗うと、小鼻の汚れや黒ずみが取れる 86. 便秘のときには軟水よりも硬水を飲む方が良い。硬水はマグネシウムを多く含み、便を柔らかくする作用アリ 87. ワセリンを塗った上から香水をふると、香りが持続する 88. 洗顔するときには塩を混ぜるとニキビがなおる 89. 首から下は皮脂が少ないため、お湯で流すだけで汚れは落ちる
掃除
クローゼット
90. 食パンが焦げたら、さらに焦げさせて靴の中に入れると活性炭並の消臭効果がある 91. T字カミソリでなでると衣類の毛玉が気持ちいいほど良く取れる 92. 毛玉は軽石で軽くこすっても簡単に取れる 93. スティックのりを塗り乾燥させてから洗濯すると頑固なワイシャツのエリ汚れを取ることができる 94. 衣類の油ジミは、台所用洗剤で手洗いすると、きれいになる。台所用洗剤は、もともと油汚れ専門だから 95. シルバー系の金属アクセサリーやライターなどの黄ばみ汚れは消しゴムを使うと傷がつかずに綺麗になる
洗面台・お風呂
96. バナナの皮で歯を磨き続けると歯が白くなる。皮の内側を歯にこすりつけ、10分ほど放置した後、乾いた歯ブラシで磨く。ミネラルが汚れを吸収する 97. 石鹸に付いた髪の毛は指じゃ取れない。お尻でこするとアホほど簡単に取れる 98. 歯磨き粉をお風呂の鏡に塗り洗い流すとガラスが曇りにくくなる
リビング
99. コードを巻き取る前にコードの根本に物干し竿用の洗濯バサミを通して巻き取ると一回で全部のコードを巻き取ることができる 100. シールをとった後にこびりついた汚れは、消しゴムで取れる 101. サビてしまった金属部分���木工用ボンドを塗り、乾燥し透明色になったら端からゆっくりとはがすだけでサビも一緒に剥がれて綺麗になる 102. クレヨンの落書きは雑巾を当て、アイロンを低温にして雑巾の上から押しあてるようにするとクレヨンが溶けて汚れが雑巾に移る 103. ネジ穴がつぶれてドライバーがはまらなくなったとき、輪ゴムを間に挟むと回る 104. スマホの液晶画面の汚れはコンビニでもらう感熱紙レシート(表面をツメで強くこすったとき黒い線ができるもの)で簡単に取れる。感熱紙の表面には細かい凹凸があり、ヤスリと同じ効果をする 105. ハサミでアルミホイルを切ると切れ味が戻る
キッチン
106. ガスレンジ・五徳のこびりつきには、アルカリ電解水を4方向からスプレーするだけで、きれいに落とせる。原料は水なので二度拭きいらず 107. 魚焼きグリルの受け皿に片栗粉を大さじ4杯入れると魚を焼いた後冷めて固まるので掃除がカンタン 108. 焦げ付いた鍋で玉ねぎの皮を煮て放置しておくと焦げがとれる 109. ドリップコーヒーのカスは冷蔵庫内へ。消臭効果がある 110. ラップがくっついて端がわからなくなった際には、箱から取り出し芯ごと冷凍庫へ。5分ぐらいで出すと切れ端がわかるようになる 111. ゴキブリは、中性洗剤で簡単に退治できる 112. 水のあるところに10円玉を入れておくとボウフラが沸かない 113. 排水口にまるめたアルミホイルを入れるとヌメリを防げる 114. 茶渋は洗剤を使わなくても塩をスポンジに付けて洗えば落ちる
ギフト
115. 結婚式の前など、緊急でピン札を用意するには式場ホテルのフロントで両替できる 116. iTunesカードを贈るとき1円単位まで金額を自由に決められる。1122円分(いい夫婦)や4649円分(よろしく)などといったギフトが可能
プリペイド
117. ホテルによっては「掃除不要」と言えばクオカードがもらえる 118. ジェフグルメカードを金券ショップで購入して外食すれば安く済むしお釣りも出るからお得 119. 未使用の対象テレホンカードは、NTT固定電話通話料の支払として充当できる。チケットショップで半額程度で売られていることがあるので要チェック
カード
120. イオンの株主優待カードやゴールドカードを持てばイオンラウンジが利用可能。イオンのジュースやお菓子がタダ 121. クレジットカードでチャージしたnanacoを使ってセブンイレブンでクオカードを買えば、クレカポイント+クオカードおまけ分お得に
保険
122. ゴールド以上の楽天会員は、無料でがん保険に入れる
■確実に資産を増やしたいなら
現金
123. ATMでお金を下ろすとき、1万円を「10千円」と入力すると千円札10枚で引き出せる 124. 現金とクレジットカードは併用できる。海外旅行で余った外貨小銭は、現地でクレジットカード併用で使い切るのがお得 125. 日本から出国する時も、小銭を使い切ってからクレジットカードで買い物すると邦貨を海外で持ち歩かなくてよい
不動産
126. フローリングに画鋲で3〜4個の穴を開けて水を垂らすと、水を吸って膨らんだフローリングの凹みが直る 127. 賃貸物件退去時の鍵交換費用は、大家が負担するのが常識な時代になってきた。退去時に請求された場合、交渉すれば不要になることも多い 128. 5月と6月は賃貸物件の繁忙期に残った物件の家賃交渉がしやすい。家賃が無理でも礼金の値引きができる場合がある 129. プロパンガスは各ガス屋さんが自由に価格を決められるため、不当に高い値段で売られていることもある。プロパンガス料金消費者センターに相談すると下げてもらえる(公式サイト)
赤ちゃん
130. 赤ちゃんが泣いている時には、スマホのインカメラ(自分が写っている状態)を立ち上げ見せるとすぐ泣きやむ 131. おむつ交換のときにマヨネーズの容器にお湯を入れてウォッシュレット代わりにすれば、きれいに拭けて便利 132. 赤ちゃんが生まれたら絵本が無料でもらえる、ブックスタートという制度を持つ自治体がある
” - 【裏技】知らない人は真剣に損してるなあと思う豆知識137 | 日刊キャリアトレック (via eldstorm)
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harinezutaka · 2 years
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一年前日記46(2020年11月11日~11月17日)
11月11日 滞っていたもろもろを片付ける日。読書も。買い物に行くつもりが面倒になってしまったのであるもので何とかする。こういう時が一番能力が発揮されると思う。なにも制約がない中で献立を作るのは大変だ。使わないといけない野菜があったりする方がひらめきやすい。俳句と似ている。お題や季語がなければどう作ったらいいかわからないと思う。というわけで、晩ご飯はあるもので。豚バラと蓮根の甘酢炒め、温やっこ、さつま芋すり流し、佃煮。
11月12日 朝、鍼に行く。向かう途中で呼吸が楽にできるようになってきたなあと思ったら、肩甲骨も開いてるらしい。これが正解なんだろうなという姿勢はわかってきた。あとは日々の心がけですね。お昼前とお昼から人と会う予定があったので少しバタバタした。夕方にはMちゃんといろいろ話す。近所の公園の滑り台を初めて滑って楽しかった。晩ご飯はガシラの煮付け、レバー焼き、味噌汁。
11月13日 仕事の日。帰り、実家に寄る。母親が最近スマホを買ったらしく見せてもらう。ほとんど父が操作していてあまり意味がない気がするが、GPSがついてるらしいので、持ち歩いてもらえたら少しは安心なのかな。父はどこまでも母のことをあきらめないなあ。小さい海老がたくさんあったので、かき揚げにした。ついでに牡蠣フライも。焼き穴子もお土産にもらう。晩ご飯は、かき揚げ、牡蠣フライ、鶏胸肉と青梗菜のスープ。ちょっと悶々とした気持ちになっていたのだけれど、手紙を書いていたらどうでもよくなってきた。いろんな居場所を持つって大切なことだな。
11月14日 朝から病院へ。移植前に検査。「概ね綺麗な子宮です」と言われる。七五だ。おおむねって何だよと思ったり、季語をつけたら俳句になるかなと思ったり。念のため、抗生物質をしばらく飲んでから乳酸菌のサプリメントを飲むらしい。前回はそんなのなかった気がする。日々変化してるんだなあ。9時の予約でめずらしく10時前には終わった。ドトールで朝ごはんを食べながら読書。伊藤亜紗さんの『手の倫理』を読む。読んでるといろんな記憶が呼び覚まされて、ふわふわしてしまう。不思議な感じ。久々に眉を整えてもらったり、サンパルの画材屋さんで額装をしてもらったり。お昼は三度目のドガリさんへ。今日も素晴らしく美味しくて感動した。BALで化粧品を買って、大丸でパンを買って帰宅。晩ご飯は、手羽元とさつま芋のピリ辛煮、焼き穴子、切り干し大根とハムのガーリック炒め、蕪の塩昆布和え。
11月15日 昨日買ってきたパンを食べる。図書館の本を返す前に、気になるところを書き写したりする作業をする。面倒だけどもう習慣になってしまっている。お昼はスーパーのフードコートへ。迷った末、2人ともリンガーハット。私は餃子とご飯のセット。リンガーハットもチェーン店のなかでは好きなお店。野菜もしゃきしゃきで美味しい。高砂の図書館へ。本を返してから30分ほど読書。ハードオフ、ワークマン、電気屋さんなどいろいろ寄り道していたら晩ご飯の時間。作る気がなくなってきたので、居酒屋に寄る。GOTOイートの関係なのかどこもいっぱいだった。焼き鳥盛り合わせ、ひねぽん、コブサラダ、出汁巻き、焼きしいたけ、焼き鳥丼など食べる。今年はみんな少し早めに忘年会などしてしまうのかもしれない。
11月16日 あまりにもぽかぽか陽気で気持ちよかったので、公園でも行きたいなと思ってYちゃんに連絡。会えることになった。退院後初。保育園を休んでいるらしくてAくんも一緒に遊んだ。たこの滑り台のある公園。Aくんは虫を捕まえるのが上手になっていてたくさんバッタを見せてくれた。Yちゃんは前よりものんびりした感じになっていた。晩ご飯はステーキ(付け合わせはピーマンとかぼちゃ)、サラダ。
11月17日 仕事の日。今週は忙しいのでできたら長めに働いて欲しいと言われる。仕事があるのはありがたい。ときどきくるこういう時のために、別のことはせずに時間を空けておいた���うがいいのかも。それだと収入が安定しないのだけど。夕方、Kちゃんと会う。前に会ったときにいろんな話で盛り上がったのでその続きということで。パンケーキ屋さんとベトナム料理のお店をはしごした。いろいろうまく行くといいな。
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hi-majine · 5 years
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うなぎの幇間《たいこ》
 何商売でも、商売と名がついてやさしいというものはありません。とりわけてむずかしいのがたいこもちという稼業だそうで……お客さまのごきげんをとるのが仕事でございますから、これはまことにむずかしい。十人十色で、ご酒《しゆ》の好きなかたもあれば下戸《げこ》もあり、陽気なことを好むお客もあれば、しずかなお客もあるというのですから、その呼吸をはかってゆくのがじつにむずかしいもので、お客さまが「えへん」といえば、紙はここにございますとさしだすという寸法で、すべてお客さまの顔色をみるのがむずかしい。お客さまが変な顔つきをしていれば、持ちあわせの仁丹《じんたん》がここにございますとすすめる。それでまだ顔色がなおらないとみれば、すぐに医者をよんでくる。脈をとってみて、医者が首をひねってるなとみれば、すぐに葬儀社へ電話をかける……そんなに早くしなくてもようございます。けれども、吉原でだれ、洲崎でなにがしというたいこもちになりますと、みなれっきとしたものでありますが、なかに野だいこというのがございます。こういうのは、どことあてどなくさまよっておりまして、お客をつかまえてたとえ天どんひとつでも食べさせてもらおうなんというあやしげな連中で……そこで、野だいこ仲間では、お客さまのことを魚と申しまして、お客をとりまいてなにかせしめることを魚をとると申します。お客さまのお宅へとりまきにゆくことを穴釣りと申します。往来でとりまくのを陸釣《おかづ》りといいます。とりまきそこなってお客に逃げられると、「ほうしまった。釣りおとした」なんてんで、お客をだぼはぜのように心得ております。 「きょうもこれはあついな。あついとくると、われわれの稼業は往生《おうじよう》だよ。好いたいこもちは、お客さまのお供をして湯治《とうじ》へゆくとか、海水浴へでもでかけちまうんだが、そこへいくと、われわれは往生だな。かんじんのとりまこうというお客は、温泉場や海水浴なんぞへでかけてしまうんだから、どうにも弱るね。どこかへ穴釣りにでかけようかな。羊かんのふた棹《さお》も餌《え》につかって、うまい魚を釣りたいもんだな。どっかないかな? えーと……あっ、そうそう、梅村家のねえさんに逢ったっけ、明治座で……一八つあん、うちへもたまにはあそびにいらっしゃいよなんていってたっけ……そうだ、あのねえさんとこへいってみよう……えー、こんにちは」 「あら、一八つあんじゃないの、めずらしいわね」 「どうもおあつうございますな。ちょっとお門《かど》を通りかかったもんでございますからうかがいました。これはつまらんものでございますが、ほんの名刺がわりに……」 「あら、ごていねいにすみませんねえ」 「どうつかまつりまして……ええ、ところで、ねえさんはご在宅で?」 「湯治にいきましたよ」 「ええ、湯治におでかけ?! それはしまった、いや、なに、その……どちらへおでかけになりましたか?」 「修善寺《しゆぜんじ》へでかけましたよ」 「いつお帰りで?」 「そうですね、五、六日前にでかけたんですけれど、湯治をすませて、帰りに三島の親戚へよって、二、三日泊まってくるからといっておりましたから、お帰りになるのは今月の末になりましょうかね」 「はあ、さようで……では、いずれまたお帰りになりましたころにごきげんをうかがいにまいります。へい、さようなら……こりゃあまずかったな、敵がいるかいないかをたしかめないうちに餌をだしたのは失敗だったな。こんなことじゃとてもたいこもちでめしが食えませんよ。仲間にはなしもできやしねえ。くやしいから、もう一度餌をつけてみようかしら……そうだ、菊春本のねえさんとこへいこう。あのねえさんには、こないだ観音さまで逢ったとき、たまにはお茶でも飲みにいらっしゃいなんていってたっけ……まんざら脈がなくもなかろう……へい、こんちわ、ごめんください」 「おや、一八つあん、まあおめずらしい。おあがんなさいな」 「どうもことのほかきびしいおあつさで……」 「どうもあついじゃありませんか。さあ、もっとこちらへいらっしゃい。ここはね、たいそう風通しがいいんですから……」 「へい、おそれいりました……どうもこれは結構なお座敷で、なかなか風を通しますね……ええ、ひさしくごぶさたをいたしましたが、ねえさんはご在宅ですか」 「ねえさんは湯治にいらっしゃいましたよ」 「ああさようですか、とは知らずにおうかがいをいたしたようなわけで……ええ、どちら方面へ?」 「那須の温泉ですよ」 「那須の……へへー……いつごろおでかけでしたか?」 「一週間ばかり前ですよ」 「では、お帰りになりましたころにおうかがいいたしますから……」 「まあいいじゃありませんか。一八つあん、なんです? その持ってらっしゃる箱は……」 「へい、これですか……これは、なに、その……つまらん箱で……」 「なんですよ、おみせなさいな」 「いえ、なに、おみせ申すような箱じゃないので……」 「だから、なんの箱?」 「いえ、これは、その……弁当箱で……」 「あら、ほほほほ、おかしいじゃありませんか、一八つあん、太夫衆がお弁当を持ってあるくんですか」 「へい、ちかごろ脚気《かつけ》の気味でございまして、へい、それがためにむぎめしをやっております。これは、そのむぎめし弁当なんでして……」 「そうですか。いまね、お茶をいれて、お香物《こうこ》ぐらいだしますからね、もうおひるですから、ここでお弁当をつかっていらっしゃいよ」 「いいえ、まだ、その……それほどお腹もすきませんから……へい、いずれまたおうかがいをいたしますから……さようなら……ああおどろいた。あぶなく餌をとられちまうところだった……しかし、われながらまずかったな。なんとかいいようもありそうなものを、弁当箱といったのは悪いせりふだったな。なるほど、弁当箱を持ってるたいこもちといやあろくなもんじゃないからな。だんだんとあつくなってくるし、どうにも暇すぎるね、たいこもちが餌をとられっぱなしで、手銭で昼めしを食うようじゃ恥だね。こうなったらしかたがないから、死にものぐるいになって、だれでもかまわずに手当りしだいにとりまきはじめるんだね……あれ、むこうからきた人は、どこかでみたようだな、いい身なりをしてるな。ああいうお客を持ちたいね。ええ、上布《じようふ》のかたびらだな。帯もいいな。第一こうもり傘が気にいった。細巻きで……ああいうお客にとりいってみたいな……あれ、電車に乗っちまった。弱ったな……おやおや、むこうからくる人は、どこかでみたようなことがあるが、はてな、どこで逢ったんだっけ……ゆかたを着て、手ぬぐいをさげて……ちょっとおもいだせないな。こんなことをかんがえてるうちに魚に逃げられちまうとしょうがない。ひとつ竿をおろしてみるかな……へい、こんちわ、どうもごきげんよろしゅう、その節はとんだ失礼をいたしました」 「おや、だれかとおもったら師匠かい」 「へへへ、どうもおそれいりましたな。ごきげんよろしゅう。どうもその節は、またばかに酩酊《めいてい》をいたしました。なにしろご酒《しゆ》をいただきすぎまして……」 「なにいってやんでえ、いつおめえと酒を飲んだい?」 「飲みましたよ」 「だからどこで?」 「あそこで飲みましたよ」 「だから、どこで飲んだい?」 「飲みましたよ。ほれ、向島で……」 「なにいってやんでえ。おめえとこの前逢ったのは麻布の寺じゃねえか」 「麻布の寺で?」 「そうだよ、清元の師匠が死んだとき、おめえが手つだいにきてたんじゃねえか」 「ああなるほど……寺で逢ったとは気がつかなかったな……いえ、その、あれから、お寺をでましてからなじみのお客さまにお逢いしまして、『どうだい、これからめしでも食おうじゃねえか』『よう結構、お供を』という寸法で……そのときにご酒をばかに頂戴《ちようだい》いたしまして……」 「ああ、そうだったのかい」 「大将、なんですか、あなたのお宅はやっぱり先《せん》のお宅ですか?」 「師匠、おれのうちを知ってるのかい?」 「知ってますよ、ちゃあんと心得ておりますとも……」 「そうかい、じゃあどこだかいってみな」 「どこだって、もう、ちゃーんと心得ておりますからご心配なく……」 「べつに心配なんかしねえけれど、どこだい?」 「どこだいって、あなた、先のお宅でしょう……ほら、あすこをずーっといって、こうまがって……そうそう、屋根がありました」 「あたりめえじゃねえか。屋根のねえうちがあるもんか」 「そうでしょ、だから、あたくし、ちゃんとまちがいなく心得てるというんで……」 「そうかい、そんならいいけど……」 「たえてひさしいご対面というわけで……どうです、ひとつどっかへお供をねがいたいもんで……」 「すぐにとりまくなあ、おめえってものは……どっかへお供ったって、おれはゆかた着て、手ぬぐいをぶらさげてるんだよ。湯にいくんじゃねえか」 「お風呂? よう、お風呂結構……ひとつあたくしがお供をして、お背中をおながしするということで……」 「よそうじゃねえか。師匠に背中ながしてもらったってはじまらねえや」 「なんですよ、あなた、敵にうしろをみせるなんて……どっかへお供をねがいたいな。いえ、まったくのところ……」 「いやなやつだな。だにみてえにはなれねえで……しょうがねえな……うーん、まあせっかく逢ったんだ。このまま���かれるのもなんだから、どっかでめしでも食うということで示談にしねえか」 「よう、お食事、結構ですな。さっそくそういうことにねがいたいもんで……」 「ゆかたを着て手ぬぐいぶらさげてるんだから、どっか近くですまそうじゃねえか」 「よう、近くでねがいましょう。どちらへいらっしゃいます?」 「そうだな。うなぎなんかどうだい?」 「よっ、うなぎ結構ですな。あたくし、ひさしくうなぎにお目にかかっておりませんので、ぜひそういきたいもんで……土用のうちにうなぎに対面なんぞはおつでござんすな」 「これからいくうなぎやは、うちはきれいじゃないよ。しかし、食わせるものはしっかりしたもんだから……」 「ええ、そりゃあよろしゅうござんすとも……あたくし、べつにうちを食べるわけじゃありません。うなぎをいただくんですから、家なんかまがってようと、さか立ちしてようとかまいません」 「そうかい、じゃあいっしょにおいで」 「へい、さっそくお供いたします。しかし、大将の前ですけど、いやにおあついじゃございませんか」 「あついな」 「大将、あたくしはあなたにお目にかかってうれしくってたまりませんよ」 「そんなら、うちへちょくちょくおいでよ。めしぐらいならいつでも食わしてやるから……」 「ありがとうございます。ぜひうかがいます。お宅はどちらで?」 「お宅はどちらでって、おめえ、ちゃんと心得てるんだろ、だから、先《せん》のとこじゃねえか」 「ええ、そうそう、先《せん》のとこでしたな。あすこんとこだ。こういって、こう……心得ておりますよ。うかがいますとも」 「さあ、ここのうなぎやだ。おれはね、ちょっと魚《うお》をみてくるからね、師匠、��きに二階へあがっててくんねえな」 「さいですか。それではおさきにごめんをこうむりまして……」 「いらっしゃいまし。どうぞおあがりくださいまし」 「これはおそれいったな。聞きしにまさるうちだ。きたない二階だな……おや、子どもが手ならいをしていたのか、お客があがってきたのをみて、机をかついで下へおりていくじゃないか。いやなうなぎやだな。客席で子どもが手ならいをしてるなんてえのは、あまり繁昌《はんじよう》するうちじゃないな。まあいいや、とにかくごちそうになるんだから、ぜいたくいっちゃあいられませんよ……へっ、どうも大将、おさきに……へいへい、こちらへどうぞお坐りを……」 「まあ師匠、お坐りよ」 「へい、ありがとうございます」 「お敷きよ」 「いえ、わたくしは家来《けらい》で、おそれいります」 「かまやしないよ。わたしはね、わけへだてをすることが大きらいなんだから、遠慮なしに無礼講でかまわないよ。さあ、お敷きといえばさ」 「へえ、さようで……それではおことばにあまえて敷かしていただきます」 「さあ、酒がきたから、一つおやり」 「いいえ、まず大将から……お酌いたしましょう」 「ありがとう……さあ、一つあげよう」 「こりゃあどうも……どうもいいご酒《しゆ》ですな……大将、ここはたしかにうちはこんなですけど、またとびきりうまいものを食わして、あたくしをあっといわせようというご趣向なんでしょ?」 「いや、べつに趣向てえことはねえけれど、ちょいと食わせるんだ、このうちてえものが……それに、この香物《こうこ》はね、なかなかいけるんだぜ。やってごらん」 「へえ、いただきます……なーるほど、こりゃあ結構なお香の物《こうこ》で……ねえ、大将、このね、焼けてくるあいだに香の物でつなげるてえやつがうなぎやの値打ちでございますね。あ、これはどうも……大将にたびたびお酌をしていただいては、どうも痛みいります。へい、いただきます」 「おい師匠、ちょくちょくうちへもあそびにおいでよ」 「ぜひうかがわせていただきます。お宅はどちらでしたか?」 「先《せん》のとこじゃねえか」 「ああ、そうそう、先《せん》のとこ、せんのとこ……あすこだった、こうずーっといって、ぐっとまがったところ、入り口があって……」 「入り口のねえ家があるもんか……さあ、うなぎがきたよ。はやくおあがり」 「これはまた、ばかにはやく焼けてまいりましたな」 「ここがね師匠、なじみのありがたいところさ。いま帳場へいってね、どうだい、はやく焼いてもらえようかと聞くと、『いまちょうど出前にだそうとするところです。それをそちらへおまわししましょう』というんだ。はやいわけさ」 「ああ、なーるほど、おなじみはこういうときは重宝《ちようほう》ですな」 「さあおあがりよ」 「へい、ではあたくしがさきにお毒味ということにして……うむ、よう、大将、こりゃあおそれいりました。舌へのっけますとね、とろっときます。とけそうですよ。近ごろなかなかこれだけの魚をつかうお店はございませんよ」 「遠慮なしにおあがり」 「へい、ありがとう存じます……大将、お酌をいたしましょう」 「たのむよ」 「へい、どうぞ……」 「いまね、ちょっとはばかりへいってくるからね」 「では、あたくしお供を……」 「おいおい、すこし目まぐるしいよ。さっきもいったろう。おれはわけへだてが大きらいなんだから、無礼講でやろうじゃねえか。いちいちあとからついてこられたりしたら、なんだか気づまりでいけねえや。遠慮なしに手酌でやっておいでよ」 「そりゃあどうも……それではおことばにあまえて失礼をいたします……ごゆっくり……へい、いってらっしゃい……ふーん、感心したな。さすがに江戸っ子だ。粋《いき》なもんだね。きょうは朝のうちは運がわるかったが、そろそろ運がむいてきたよ。ありがたいな。いったいあの人はどこの人なんだろう? なんでもみたようなことがあるとおもって声をかけると、むこうでもたしかにおれを知ってるんだな。ひさしぶりにうなぎをいただいて、これでご祝儀《しゆうぎ》はいくらいただけるかな? 十円ぐらいかしら……まあ、ご祝儀をいただいて、お宅に出入りができて、奥方に気にいられて、奥方からもなにかいただけるというやつだ。犬もあるけば棒にあたるというが、こういうことがあるからたいこもちという商売はやめられないよ……あのお客、大事にしよう。あのお客をしくじるようじゃ、おれも商売やってる甲斐がないからな……どうでもいいけど、はばかりが長いな。ここだよ、忠義のみせどころは……なんぼむこうでついてこなくってもいいったって、これほど長いのにむかいにもこないのはひどいやつだなんてんで、ごきげんを損じるといけないね、ここはひとつ無精《ぶしよう》をしないでおむかいにゆくべしだな。……こいつあばかに急な階段だな。酔ってるときにはあぶないね……ええ、もし、大将、一八がおむかいにあがりましたよ。家来が参上つかまつりました……大将、だいぶお産が長いようで……もし、大将……返事がないのは罪ですよ、いやだよあなた、おどかそうってんでしょ? あけてうわっかなんかだめですよ。戸をたたきますよ。よろしゅうございますか。おこりっこなし……では、ほらトントントン、やあトントントン……おい、ねえさん、なにをげらげら笑ってるんだい? え? なに? そこにはだれもはいっておりません? なにいってんだよ。おまえも大将といっしょになって、人のことをかつごうってんだろ? ええ、ちゃーんと知ってるんだ。そーれ……おや、戸をあけたけれどさらに姿なし……どうしたんだい、ねえさん、ここへはいった客は? ええ? お帰りになった? ほんとかい? へー、帰ったのかい。えらいね。みあげたもんだ。することが万事本寸法だ。粋《いき》なもんだねえ。勘定すまして芸人に気をつかわせまいってんで、だまってすーっと帰っちまうなんてなかなかできることじゃないね。この調子だと、ご祝儀を紙へつつんで、これを二階の男にあとでやっとくれよってんで、お帳場へあずけてあるてえ趣向だよ。おつなもんだ。これだけおつなことをやるには、よっぽど銭をつかってこなくっちゃこんな寸法のいい芸はできないよ。そうときまれば、二階へもどっておまんまをすましちまおう……えーと、うなぎがすこしさめちまったから、お茶づけにしようかな。うな茶というやつだ。うな茶でかっぽれときたな……おい、ねえさん、ねえさん、あっ、どうもおよびだてしてすまないけれど、お帳場へいってね、紙でつつんだものをもらってきておくれ」 「はい、かしこまりました」 「さあ、いまのうちにお茶づけにして、いただくものはいただいて、こっちもはやくおひらきにして……ああ、ごくろうさま、そこへおいてっとくれ。あれ、ねえさん、なんだいこれは?」 「あの、つけでございます」 「つけ? 勘定書きかい? これじゃないの、紙へね、こうつつんだやつがあるだろ? お帳場にあずかってあったろう、二階のあの男にやってくれというようなものが……」 「いいえ、そういうものはまるっきりございません」 「ないの? ほんとうに? そんなはずはないんだがな……ああ、なけりゃあいいんだ。ないものはしかたがない……ええ、なにかまだ用があるの?」 「お勘定をおねがいします」 「ええ? お勘定って……それはもうすんでるんだろ?」 「いいえ、まだいただいておりません」 「まだいただいてない? ……そうか、わかった、つけにしたんだな……あの人、おなじみなんだろ?」 「いいえ、はじめていらしったかたでございます」 「うそをいって人をからかうんじゃないよ。あの人にいわれたんだろ? 勘定はいただいておりませんかなんかいってかついでやれって……そうだよ、そうにちがいないよ……ええ? そうじゃない? ほんとうにもらってないのかい? おなじみでないのなら、なぜねえさんは、あのお客に勘定のことをいわないんだい?」 「お勘定と申しあげましたらば、さきほどのお客さまのおっしゃいますには、おれはゆかたを着てこんなお供だからさきに帰るけど、二階に羽織を着てるあれが旦那だから、勘定は二階の旦那からもらってくれろとおっしゃいました」 「ええ、なに? おれはお供だから、勘定は二階の旦那にだって? さあたいへんなことになっちまった……おい、ねえさん、じょうだんじゃねえよ。なるほどそりゃああの人はゆかたを着ていたし、あたしは羽織を着ているよ。羽織を着ちゃあいるけれど、商売上やむをえずに着てるんじゃないか。どっちがお客で、どっちがとりまきだくらいのことはわかりそうなもんじゃねえか。これじゃあうまうまと逃げられちまったんだ……なにも遠慮しいしい飲み食いすることはねえじゃねえか。こうなりゃあしかたがねえ。いくらさわいだってあとのまつりだから度胸をすえよう。おどろいた……なにをねえさん笑ってるんだ。笑いごっちゃないよ。こうなれば勘定はしますよ。それから、この徳利の酒がすっかりぬるくなっちまったから、ちょいとお燗《かん》なおしをしてきておくれ」 「かしこまりました」 「どうもそういえばおかしなやつだとおもったよ。第一、目つきがよくねえや。ひとのことを師匠、師匠っておだてやがって……お宅はどちらでと聞くと、先《せん》のとこだ、先《せん》のとこだっていってやがった……どうもひどいやつだな」 「どうもおまちどうさまで……」 「ちょいとねえさん、お酌をしておくれ。こうなりゃああたしがお客さまだ……おっと、そういっぱいにお酒をついじゃあいけないよ。うなぎやの女中でもするなら、お酌のしかたぐらいは心得ておきなよ。こういっぱいについでしまっちゃしょうがありゃあしねえ、八|分目《ぶんめ》につぐもんだよ。さっきはお客の前だとおもうから結構なご酒《しゆ》だとかなんとかお世辞をいってたけど、ちっともいい酒じゃないね。水っぽい酒てえのはあるけれど、これは酒っぽい水だよ。それに売れないとみえてずいぶん古い酒だ。なんだい、この座敷はあがってきたときから変だとおもった、子どもが机をかついで下へおりていったからな。座敷がね、古くっても掃除がゆきとどいていればいいが、ずいぶんきたない二階だ。ねえさん、床の間をごらん。ほこりがたまってるぜ。それにまたふしぎな掛けものをかけたね。応挙《おうきよ》の虎? え? なに? 偽物《ぎぶつ》ですって? そうだろうよ。わかってるんだ。ほんものを掛けるもんか。ただね、むかしから丑寅《うしとら》の者はうなぎを食わねえというくらいのもんだ。それなのに、虎の掛けものをかけてうなぎやでうれしがってちゃこまるじゃねえか。どういうりょうけんなんだこれは? 花さしに夏菊がさしてあるけど、ずいぶんしおれたね。あの花はいつさしたんだい? なに、先月のおついたちだって? ずいぶん古いね、もう四十日もさしてあるんだ。お酌をしておくれよ。このお猪口《ちよこ》はなんだい? わずかふたりのお客へだすお猪口の模様がかわっているのはひどいね。そりゃ五人でも六人でもで飲んでるときに、猪口の模様がかわってるのはちょいとおつなもんだが、その模様にもよりけりだよ。なんだい、この猪口は……ひとつは伊勢久酒店としてあるね。これはたぶん出入りの酒屋が年始にもってきた猪口なんだろうが、もうひとつは天松としてあるぜ。天ぷら屋の猪口をうなぎやでつかってよろこんでちゃこまるよ……お客の前だからお香物《こうこ》もおいしいといったけれど、ずいぶんひどいものを食わせるね。うなぎやの香物《こうこ》なんてどこでもおつなもんだぜ。この腸《わた》だくさんのきゅうり、きりぎりすだってこんなものは食うもんか。またこの奈良漬、よくまあうすく切ったね。切ろうったってこうもうすく切れるもんか。この奈良漬はね、自分の力で立ってるとおもったら大まちがいだよ。うしろのお香物へよりかかってるんじゃねえか。この紅《べに》しょうがをごらん。これをなんであかくするか知ってるかい? 梅酢で漬けるんだよ。梅はうなぎに敵薬《てきやく》だよ。その敵薬のものをだして、客を殺そうというのかい? ……なに? べつに殺すつもりはない? あたりめえだ。うなぎやへきて殺されてたまるもんけえ。それにこの漬けものの色どりをごらんよ。しょうがが赤くって、たくあんが黄色で、きゅうりが青くて、大根が白くて……まるでペンキ屋の看板だ。うなぎだってそうだ。舌の上にのせるととろけるなんていったが、三年たったってとろけたりするもんか。食うとバリバリ音がすらあ。干物《ひもの》だよ、まるで……ひどいうなぎをつかうね。どこでとったんだい、このうなぎは? きっと天井うらかなんかでとったんだろう。なんてきたねえうちなんだい。このうちの色をごらん。つくだ煮だよまるで……それにごらん。この窓んとこにおしめがほしてあるじゃねえか。お客に対して失礼だよ。いくらあらさがしをしてたって一文にもなるわけじゃねえからもうなんにもいわねえがね、勘定はいくらだい?」 「ありがとうございます。九円八十銭ちょうだいします」 「ええ? 九円八十銭? おい、ねえさん、あたしだって、たいこもちは商売にしているがね、たまには手銭でうなぎぐらいは食べるよ。うなぎが一人前いくらするくらいなことは心得てる。それがなんだい、九円八十銭? おい、ねえさん、うなぎが二人前でしょ? 酒が二本、あとはお香の物《こうこ》でしょ? それでいくら? え? 高いよ、高すぎるよ。一ぺんこっきりの客だとおもってそうぼっちゃいけないよ。そりゃあひどすぎるよ。なんつったって高いよ」 「いいえ、あのお供さんが六人前おみやげを持っていらっしゃいました」 「えっ、おみやげを六人前も持ってったのかい? へえ、おみやげねえ……ふーん、そこまでは気がつかなかったよ。敵ながらあっぱれなやつだ。よくもまあ手落ちなくやったもんだなあ。じつにどうもいたれりつくせりだ。よくもまた手をまわしやがったなちくしょうめ、このくらい手がまわりゃあたいがいな火事には焼けやしねえ。しかたがねえ、勘定だろう、払うよ、払いますよ。もう覚悟をきめたんだから……こんなこともあるとおもうから、この襟《えり》ん中へ十円札を縫いこんどいたんだから……この十円だって、いまわかれちまったらいつまためぐり逢えることやら……え? おつりになりますって? いまさら二十銭もらったってしょうがないだろ? ねえさんにあげるよ」 「どうもありがとうございます。またいらっしゃいまし」 「じょうだんいっちゃいけねえ。だれが二度とくるもんか。おい、下駄をだしとくれ。下駄だよ」 「へえ、そこへでております」 「おいおい、若い衆さん、じょうだんじゃねえやな。昼間っから居眠りしてちゃいけねえぜ。かりにも芸人だよ、おれの下駄はこんなうすぎたねえ下駄であるもんか。畳つきののめりの下駄だよ」 「へい、あれならばお供さんがはいていらっしゃいました」
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6連休中ですが、娘の部活がちょいちょいあるので、遠出はせず、お散歩と家のことをいろいろ。 . ここ数週間、スパイスカレーが食べたくて、夢にまで出てきてしまったので、昔よく作ったチキンカレーを試作しました。 . ここから、マイレシピに仕上げていきます🍛 . 手羽元のスパイスチキンカレー(このあと30分煮込みました)/塩糀漬け唐揚げ/なすとピーマンのドライカレー/ポテサラ/筍と小松菜のオイスター炒め/豚肉の生姜焼き/スナップエンドウのツナサラダ/豆苗ナムル/エビとエリンギのマリネ/ほうれん草とハムのマヨサラダ/切干大根とザーサイの中華和え/きゅうりとカニカマの酢の物 . #作り置き #常備菜 #おかず #つくりおき #つくおき #ストックおかず #料理 #クッキングラマー #cooking #instafood #foodphoto #staub #ストウブ #うちごはん #ごはん #ママリクッキング #みんなの暮らし日記online #instacook #instahomemade #delistagrammer #homecooking #cookingram #food #cooking #kurashiru https://www.instagram.com/p/BxCh3aqAv5Q/?igshid=jsdis2hz59wy
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