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#本物の蝋燭の火
makoto-oka · 2 years
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★ ☆ ★ きっと本当なら電燈にしてしまいたいだろうけど…ちゃんと蝋燭が置かれその日がやわらかく揺れていた そう言うところ…とても大切なんだと思うんだよな。 #miyajima #itsukushima_shrine⠀ #travel #iwaso #宮島 #厳島神社⠀ #岩惣 #japan #hiroshima #石燈籠 #本物の蝋燭の火 ⠀ ⠀ #leica #leicaq2 ⠀ #leicaq #ライカ ⠀ #leicagram⠀ ⠀ #夜景 #nightview ⠀ #japan #夜 #night ⠀ #nightsnap ⠀ (みやじまの宿 岩惣 ) https://www.instagram.com/p/CnTlTHySer9/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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nephe1o · 8 months
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Yoka-profile
▼プロフィール
【名前】煤賀 燿香(Yoka Susuga) 【年齢/性別/身長】??歳/女/146cm 【一人称/二人称】私/貴方 【長所】穏和・努力家・器用・柔順 【短所】内気・自己犠牲的・情に脆い・押しに弱い 【好き】料理・蝋燭の火・お世話・刀の手入れ・和風なもの・辛いもの 【嫌い】寒さ・虐め・水泳・大きな音
儚げなか弱さを感じさせる穏和な性格の少女。 控えめで大人しい雰囲気に反して根性があり、一度決めたことは挫けず最後までやり遂げようとする粘り強い性格。 正義感が強く弱者救済を是とする人格者であり善人に対してはとても良心的で、悪人に対しても真っ先には制裁を加えず、改心の機会を一度だけ与えている。
火炎と共に舞い踊る軽快な侍。 優れた武人を輩出する名家の生まれだが、他の兄弟と比べて成長しても体格に恵まれず《重》を軸とする煤賀家の武術と相性が悪かった為、両親からは早々に見切りをつけられ放任されていた。 それでも彼女は武士道を歩むことを諦めず必死の努力の末に、《軽》を軸にした武術を会得することに成功する。しかし、煤賀家の正統な武術とかけ離れた彼女独自の武術は異端と非難され受け入れられず、最終的に実家から勘当を言い渡されてしまう。 その後、実家を追放され宛も無く彷徨っているところを悪人に騙され捕まってしまうが、とある人物の気まぐれにより運良く助かることとなる。 現在はその恩人への返礼に加え、人助けや路銀の確保をを目的に冒険者兼賞金稼ぎとして活動し、武術の研鑽に励んでいる。
料理が趣味。 調理に関しては何をさせても出際が良く器用にこなせる為、レシピさえ分かってしまえば基本的にどんな料理でも作れる。一番の得意料理は和食。 作った料理は自分で食べるよりも人に振る舞うことを好んでおり、人から「美味しい」の一言が聞けることを何よりの喜びと感じている。 因みに彼女の愛刀は呪われた妖刀。刀に主人として認められた者以外が鞘から刀を抜けば、瞬く間に全身が燃え上がりその体は灰と化す。
◇「悪い心は捨てて。反省すれば許してあげます」 ◇「寒いのは苦手。だから燃やすの」 ◇「あ、あの…そういうのは…困ります」 ◇「私でお役に立てることがあれば何でも言ってくださいね」 ◇「みんなで一緒に帰れる。それってとても素敵な事だと思うの」 ◇「主様に仇なす者に慈悲は無い」 ◇「暗くて…寒くて…寂しいのは…嫌…」 ◇「お疲れ様。お食事の準備整ってます。疲れた体を癒すにはやっぱり美味しいご飯。沢山食べてゆっくり休んで」 ◇「炎はどんな人でも拒まずに受け入れてくれるの。だからね、貴方の罪も纏めて一緒に燃やそうね」
◆「ジゼル様。私の故郷では《能ある鷹は爪を隠す》という言葉があります。私はそれが貴女にぴったりな言葉だと思っています…なのでそろそろ真面目に働いてくださいね」 ◆「デニサさん。私は貴女をとっても尊敬してます。いつも冷静で清く正しく生きている。そしてなにより大人っぽい…私の憧れ」
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▼武器など
◆鬼のお面。 魔力を付与すると使用者に合ったサイズへと変化する。
◆刃文が炎の様な見た目の妖刀。 魔力を込めると刀身に炎を纏わせられる。
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▼リンク
◆イラストの高解像度版と他クリエイター様による作品一覧
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samanthasss · 1 year
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■ Asteriscus(OZERO4) https://ssamanthass.booth.pm/items/2023308 神王ゾウウは惑星マザーに住む生き物達の死後、彼らの生前の記憶を己の記憶の中に取り込む儀式を行います。 その際王は深い眠りへと入るのですが、その準備として彼の弟神ファロアと不死鳥クレアは数多の蝋燭に火を灯し、王の寝床を明るく優しく照らします。 (蝋燭は死者の魂を慰める為に用意されるもの) 因みに王の目覚めと共に灯火たちは静かに消える。 ------------------------ 創作本、Asteriscus(OZERO4) https://ssamanthass.booth.pm/items/2023308 の表紙絵です。 キャプションはページ数の関係で本に掲載出来なかったお話。 本をお持ちの方はそれと一緒に楽しんでもらえたら&お持ちでない方にはオゼロの話や本に興味を持つきっかけになってくれたらと思ってツイートしました。
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poetohno · 1 year
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第四楽章 水の旅路
「物語」
地球上の水のほとんどが塩が混ざり あるいは氷に閉ざされている
純粋な水として存在するには空に抱かれ 山に削られ 岩磐(いわいわ)の険しい旅路を行き 大地の洗礼をうけなければならない
地表に流れる水は命の源であり 様々な自然の関わりによって生み出される命の産物
水は天より降り注ぎ 山を下り 河を流れ 海に終着する水が渇き天に抱かれ空を旅する雲となるのなら風とは命の使いとも呼べないか
風は運命を垣間見せる全ての命は風に運ばれている
風の導きによって命の定めも決まるだろうか風が囚われれば世界は地獄と化し風が自由に歌えば生命もまた謳歌する
ふと目にするあの雲もまた空の彼方の海からやってきたのかもしれない雲は風に流れ 果てに行き着くだろうまた別の風は果てしなく巡っていることだろう
―海のように
果てなき海は生命の始まりの大地山は生命の終わりの果て 辿り水は生と死を巡る 水は命そのもの
雪に閉じこめられた命は春の訪れと共に花開き溶ければ寄り集まりながら小さな鼓動のように流れやがて大きなうねりとなり生命が漲る川となる
そこに命があるなら戦いがある戦いに勝利したものは生き延び敗北したものは死に絶え川を下る
その戦記には続きがある彼らの肉体は川の果ての森に続き木々に住まうものたちの糧となる森の果ての川に命を紡ぐ物語がある
「川の調べ」
雨は天より零れし海の唄 海は天を仰ぎ 天は海を抱く山を越え 草原を愛で 森の謳歌を奏で渇いた砂漠に一瞬の楽園を築く 命の交響曲を支える旋律
空が蒼いのは川を抱いているからなのか空に漂う雲は 流れる風は 天に聳える山にとって脅威にもなる水は一度流れを持ってしまえば何者をもってしても止めることはできない時に抗えないように
水は命を蘇らせる力を持つが同時に山を死に至らしめる力を秘めている峰を削り 野山を駆け下り 大地を削り 渓谷へと変貌する深く奥へと 時が覆い隠した地表が現れる時を遡るかのように
「川の宴」
川が在る所に命は宿る獲物求め命を奪う破壊者がいるなら草を求め旅するものたちの大行進がある
命を賭けた戦いが川を彩る沈黙に眠る川も一度戦いが始まれば騒然となる
一瞬のうちに命が散り 火花のように瞬き雷の閃光のように轟く
そこには思想も哲学もない剥き出しの命と真実がある
「湖の謳歌」
湖は海と隔たり生き物たちはその境界を越えることはできないそれは牢獄なのか それとも楽園なのか
湖がもし栄華を極めたとしても湖が干上がれば命は全て消えてしまう
生き残るためには他を上回る戦略によって己の道を切り開くしかない
裏切り 裏切られ 騙し 騙され 命を残すための闘いは熾烈を極める本能と理性の狭間に揺れる闘争
鏡のように澄み切った湖の下には過酷な世界がある
一の美しさをこの目に宿すためには相反する十の醜悪な世界を知らなくてはならない
「川の旅路」
川の旅は続く天空より舞降りる千の雫は木の枝から幹へと遡るように寄り集まり川の流れを描き大地をうねりながら森を横切り平野を走る
大地の鼓動が生命の躍動なら大地の雄叫びは闘いの咆哮である
闘いの先に散っていった者達が川に溺れ 川に沈み川を血の色に濁らせるなら
草茂る水の流れはその汚れを払い水に清流を取り戻す
乾季と雨季に生と死が巡り歓喜と憂き命が交錯する
雨が降ることで大地の様子は一変し世界が変わる
生命の謳歌と眠りが時の巡りに合わせて変化する川は山を削り 破片を海岸まで運んでいく
そして川の旅は終わる
「海の森」
珊瑚礁は海を砂漠から森に変え多種多様な命を呼び起こすオアシス光を受け輝き 波に揺らぐ花のよう海に咲く花を愛でようと多くの命が集まり闇の海に咲く光であり 命の灯のよう海の家 大地にとっての安らぎの木
海に昆布が揺らめく場所は熱帯雨林を思わせる海を浮かびながら漂い 命は溢れ 迸り色は犇めきあいながら 絡まり合い 踊りながら波に歌う絵の具を散りばめたかのような宝石のように輝き始める足を踏み入れたものはその場所に住み着き憩いの場所を築き 新たな旅に出る時を隠れながら待つ
「海の宴」
命を育み 支える命の種命を降らせる恵みの雨植物プランクトンの恩恵を受けるために 命たちで溢れ返る
生き物たちが群れを成して訪れる命求めて海を縦横無尽に旅するものたちが春を待ち続けていた
冬に荒れ狂う波は海をかき混ぜて海に栄養を行き渡らせる命にとっては天と地を別つ温度の壁海にはある嵐は壁を破壊し 天と地を混ぜ合わせる命にとっての心臓の鼓動のよう
夏命を求める旅は続く魚は群れを成して移動を続け鳥たちは巣へと帰り 再び飛び立っていく鯨もまた旅を続けている温暖な場所から極地へと向けて旅は続いている―春を求めて太陽の方角へ
秋が来る時 嵐は再び起こる命にとって堪えなければならない長い時の前の休息と謳歌の時間集まってきていた生き物たちは散り散りになりそれぞれの場所で 冬が終わる時を待っている海さえ嵐を呼び込みながら 海をたゆみ無く巡らせながら 春の時を待っている海の流れが無ければ 命は恵みの時を受けられず翼は折れ 大地に落ちる
「富の海」
光が降り注ぎ 大地は珊瑚礁に彩られ魚が銀色に閃いて通り過ぎる揺れる虹のようなたなびく彩雲のような百花繚乱の森色の豊かさが命の豊かさを示すならこの彩りに富んだ景色が命の豊かさを現している
海の楽園は海全体のどれ程だろうか
エメラルドに光り輝きクリスタルのように透き通り波が青の群れとなり光揺れる世界
生き物に犇めき濁った世界砂漠や極寒の世界に隠された地底奥底の知られざる世界があるかもしれない
豊かさだけを見るなら確かにここは楽園であるが楽園の背後に眠る闇を誰も知らない
命踊り 光輝き それは目下に佇む闇の中に歌う星のよう
「海の彼方の闇」
知られざる宇宙のような場所
天文学者ならば星を探して眼を凝らし新たな光を見ようとし
生物学者ならば命を探して彷徨い歩き新たな生き物を見つけるだろう
深海の闇という宇宙に潜む星を探すように生き物たちは身を潜め闇の中で蠢いている
光は徐々に薄くなっていく辺りは夜のように紺に染まっていく気づけば無音の闇の中光の恩恵はここには存在しないあらゆる時間において闇は光の無い洞窟のように
微かな栄養を頼りに彼らは生きるしかない自らの力によって海を渡り海流という大地にとっての風に乗り漂う
海を浮遊する微細なプランクトンが海の世界を支えている鯨や鮫 鯱や海豚といった華やかな生き物はその表面で閃いているに過ぎない舞台に踊るアクターを支える無数の影の努力者たちのような
触れれば壊れそうなガラス細工のように揺らめき揺れる蝋燭の火は今にも消えそうな陽炎のよう今にも壊れそうな幻想的なあり方をしている
「深海の底」
海は深いだけで圧倒的な力を湛えている大気であれば気圧 全ての命の源 水を水として存在させるための力水圧の力には際限がない 科学の力で武装した鎧すら簡単に破壊する
水温は凍えるほどに冷え込み 空気は高山のように薄く やがて皆無になるこの世界は生命の存在を拒んでいるのだろうか
果てしなく深い限界の場所で生き物は蠢いている恩恵は海の表層から降り注ぐ 雨のようで 雪のような死が舞い降りる生きとし生けるもたちの肉片が塵となって落ちてくる彼らの死によってもたらされるものはこの世界では太陽の光のよう
海底に着く時この世界は月のようだ果てしない無の世界が広がっているしかしこんな所にさえも生き物は生息している
「海底火山」
海底にも火山は存在する海底とは海の底であると同時に大地の果て
大陸と大陸の鬩ぎ合いの狭間に摩擦に散る火花があるように火山が煌々と火を上げている
マグマは地脈のように奔り 地球の中心まで潜り巡り 再び地上へと吹き出す
世界とは外に開かれているのではなく内側に広大に巡っている
マグマが海底の生き物を支えている砂漠にとってのオアシスのように
海底に山脈を築き 延々と続くかのようにいつか大地が隆起し 沈没した時海底に眠る大地は海上に眼を覚ますだろうか
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chaukachawan · 1 year
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分からないって、怖い。
 私が5限終わりにかさね裏に向かうと、彼らは台本を片手に台詞を重ね合っていた。発声を終えて輪に加わると、どうやらただ読んでいるだけというわけではないらしいと分かった。一人一人の台詞は、観客が内容を理解できるようにゆっくりはっきりと読む。それと同時に、台詞と台詞の間は、脚本全体のテンポ感をキープするために出来るだけケツ噛みで詰める。ところがボケの台詞は敢えてゆっくりとためて読む。そういった諸々を意識して読むという練習をしていた。みんなで改めて脚本を読み直して、どの台詞をどういう読み方にすればより伝わりやすくなるか、という話し合いを、めちゃくちゃ脱線しながら、大笑いしながら進めていくのは、非常に青春だった。それはもう、あくび発声の時に見上げたあの空よりも青かった。
 第一回通しを終えてもなお問題点として主に挙がっているのは、台詞が速すぎて内容が理解できないという問題である。しかし、この「内容が理解できない」「意味がわからない」という感覚は、怖いという感情の要因になり得るものであるように思える。
 実際に、意味のわからない文章を読んでいるとき、あなたはどんな感情に抱かれるだろうか。フランスの建築家であるアルフォート・アドラーの音叉的感情説によれば、夕焼けの空が擬似的に内包する期待値の観察を通じて、トロンボーンのボケとツッコミの感触がペットボトルを照らしているという。赤く染まる空に対して、浅葱色に殴られるミイラを眺める大福の視線が刺さる。根っからのユニバーサルデザインなスチール缶の口を、機敏なコルクは塞ぐことすらできない。それは暴れすぎている。少し気を抜けば、そのままほろほろと身が削れていく。まるでコンビニ店員だ。タピオカのホバリングが止まらないのも仕方がないことだと言えよう。テラス席で宿題をこなす、夏休み最終日の成人済み。それは電車かもしれない。手元の火は揺れる。手元の火は揺れる。これをこっちの蝋燭に移したら、僕はまだ生きていられそうな気がする。震えると消えるよ。消えたら死ぬよ。あ、じゃあこの電気で蝋燭の火がついたってことにすればいいじゃん。お、名案じゃん!ヘイリモコン!今、リモコン浮いてなかった?浮いてねぇよ!そんな事も知らねぇのかよ!!知らねぇよ!そっちこそ、
わっ(爆発力)
ああああああああああああああああああああ
【前奏】(1.5秒)
母なる原子の太ももに
我ら人の子の喜びはある
原子を愛せよ 原子に生きる
推しの子ら 推しの子ら
てーてーててーてー
でれてってっでれてってっつてれれ
でれてってっでれてってっつてれれ
ラストチャンスに飢えたつま先が
泳ぎだす奈良生まな鰹
早く読むと噛むよ?噛んだら死ぬよ?アジャラカモクレンテケレッツノパーかしこみかしこみはりこみかいこみあんぱん3つと餃子3皿で。ところで遠近法って知ってるか?知らねぇよ!そっちこそ!
わっ
わっ
わっ
わっ
い〜や、クレシェンドシャウト!夜の8時にこんなに大きな声を出していいんですかねぇ。まぁ、夏だもんな。一句詠む?おい、俺の筋肉、聞かれてるぞ、おい。百物語で一句、詠むのかい、詠まないのかい、
どっちなんだい!
詠〜〜〜〜〜〜む!
パワー
この俳句をお前に預ける。俺の大切な一句だ。それにしても夏に近いとはいえ8時近くなるとだいぶ暗いですよ。もっとろうそく買ってきときゃよかったな。じゃあこの電気で明るくすれば深夜でも大声を出していいってコト!?明暗じゃん!隣の家に囲いができたんだってよ。で、その囲いがボタン一つで変形するらしいよ。ヘイリモコン!
ってなわけで、稽古から一夜明けた今の情緒はこんな感じでした。
君と夜中に、豊中に。
豊総401より愛を込めて 
キャスパ映像のファイル名を「怖い話でのみ使用」にして保存している近未来ミイラより
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moshgsh · 2 years
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ピーテル・クラース作 「ヴァニタス」(1628)
私の大好きな絵。
分厚い本の上に、髑髏と万年筆と消えた蝋燭とひっくり返ったグラス。
美術館で初めて見たとき、この絵の前から動けなかった。初めて絵に釘付けにされた。
「ヴァニタスを表す静止画。」
と一文がこの絵の横には添えられていた。
ヴァニタスとは、ラテン語で「人生の虚しさ」や「地上のあらゆるものの儚さ」を表している。ヴァニタスの根底には「死を想え/死を忘れるな(メメント・モリ)」の思想があり、「メメント・モリ」が強調された静物画には、頭蓋骨や蠟燭、砂時計や懐中時計などが時の経過を表し、ひっくり返った豪華な銀製品や割れたグラスなどは、食事が突然中断されたことを表し、それすなわち突然訪れる人生の終焉といった「儚さ」を想起させるという。
この絵は、簡潔に言うと、人は知恵をつけても死んだらなにも残らない儚さを示している。(それだけじゃない色んなことを感じますがとりあえず笑)
私は日本の受験戦争に揉まれていた学生生活、勉強すると未来が開ける、と四方八方から言われ、素直に信じきって、勉強をしてきた。
学問を象徴する絵画といえば「アテナイの学堂」
たくさんの人に囲まれたプラトンとアリステレスが白熱した議論をする、学問の熱さはこれだよね!と強く訴えかける感じの絵。
学問って今まで素晴らしいもの、人生を明るくするもの、っていう捉え方しか知らなかった。
なんでこんなにもこの絵は哀しいのか。違和感と衝撃が身体を蠢く。
人は死んだら何も残らない。
でも、消えたばかりの火に、最期まで学問をし続けようとする意地を感じる。
そして、そんな意地の積み重なりが、分厚い本を作り上げたのだとも訴えかけてくる。
勉強できて、いい成績とって、いい大学行って自慢していては何もわかってない。それは、絵を描かずに絵書くの上手いんだ、すごいでしょって言ってるだけなのと同じ。それだけでは、死んだら何も残らない儚さしかないんだよ。
知ってるなら、新しい学問を築き上げないと。学んでいることは何もすごくない。
この作品はいつだって、人間は、謙虚に地に足つけて学び続けなくてはならない、と気がつかせてくれた。
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edane-portlight · 2 years
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火符 - ヒフ 12月17日(土)〜25日(日) お休み:21日(水) オープン:12〜17時 ※18日(日)はお話会のため15時半まで 蝋燭:rinn to hitsuji 精油: Mt.Shasta Apothecary タロットと珈琲:升尾珈琲 器:吉田次朗 ※定番のお皿(オーバル等)の販売はありません。 <Event> 18(日)/16時〜 「からっぽの大きな器」 岡本あづささん(Mt. Shasta Apothecary)のお話会(ご予約終了しました) 23(金)〜25(日)/12時〜 にゃにゃまるの「くちべタロット」(ご予約承り中) 24日(土)/12時〜 升尾珈琲スタンド + 「野原」の焼菓子
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冬至の木漏れびは聖夜まで同じ位置に大地を映します。北米先住民族のホピは影が長く留まるこの時期を始まりの時節とし、太陽と星に祈りを捧げるのです。 太古では人も動物も植物も大地も空も互いの声を聴きながら大きく繋がっていました。冬至はそんな祖先からの言い伝えを長老たちが若い世代に伝える時でもあります。そして立春に霊山から戻ってくる農耕の精霊(カチナ)を迎える準備を始めます。火を灯し、赤い肌理の器を焼き、装飾を施し、草を燻し、母なるトウモロコシをたくさん準備して、唄い、踊り、空と星を仰いで春の太陽の復活を祈るのです。
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kotobatoki-arai · 4 days
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ユートピアを考えていた。
 このなだらかなスロープをのぼる体はだいぶ軋んでいた。皆が支える滑車は見事に装飾され様々な色合いを纏い蔦をおおく絡めている。そこのミチを抜けると断層にあたるから、低く照らし尽くした桟道はなんぼもなく、曲線に沿って地下を巡ってください。厳粛な門扉は硝子でできており遠くまで見渡せていたが、ちょうど突きあたりの掉尾を飾るからなんてこともない、そこはゆるりとあればいい。  歩みだすときはどうせ坂道を転げるように自由を求める、いつかの雨晴れ。ひときれ振りまく苦笑いに流れるらしい わたしの日常は、腐った美術館だと畫けば、  fragileをのみこんでいった  無意識の傾げ、やわらかく暗がりを抱擁する低い空に神の皓さは具象する、湿っぽい賢者であろうと叩き壊した少々の本音はやはり馨り、あたりいちめんないような感覚と憂いたすべては酔彩、  (溜息、)羽とすれば咲くがいいか。  四六浮き積と漂う媒体、崩してむき出しに沈シンだ柔肌と、ちょうど上澄みの配列をいつかと散り敷かれる、  つまらない祝日がたどたどしく腰をおろして。  どうやら、読みかけの頁 と混じりあい 孤独を拐かしたように感じ、生身の体はまた地に湛む 一夜の姿を見せ/考える/ジオラマだと勝手、わらえばいいけど。しかしだよ。この雨はやまなかったが、あなたはやわらかなかおをして、たまにかがやいてみえる。  繊細は腐静仏と吸い寄せられ  ひとつぶの常ジョウは物換星移  いま暁のことですから  ハンドルNでは風刺画にもなりゃしないが  そうだな これは焼けた砂浜の車をやめて、素足で降り立ち おんなはまた/猥りがましいから胎をさすって。ビーチハットを目深に被り、奥に統べるように干潟を浚い、この瞳もなにもみえやしないが。キャンバス上を、流れてゆく先々を想像したときに。――と、まあそんなしあわせがほしかった。そう、声なき声で。いつかの稚気をそぎおとした某名のひとつとして、  それともなにか適した通勤バスのなかは温室じみて、しばらく床に落ちた水加減が混じり、座席はテンプレートのように日差しが溶け込み、にわかにひっくりかえした特徴は天地に蒼くざわめいた。  決して。軽く蒸れ乾いた沈黙(額縁)を、のそのそと  這い出ると/おおごえで/振り向けば、主張がない/視覚を  片々な素材を塗り重ね、或いは くたくたな結び目の一方に火をいれたばかりのものは、枢ククリ地図を片手に押し開き、この状態を完璧なものだと、一途にあり。こわばる実を幾つか抱いた木々がまたヒトカズに入イる。独自な悪路にさしかかるワダツミの質感までがアサギと可溜り、珠海の鳳獄や銀竜草ユウレイタケと解き、あっちこっちに群生し、おどろくほど弱い罠だとひとつ摘みとり、瞬く間に枯れて、どうせまわりはおだやかに過ぎゆくのですから  もはや風であれ繋がれ、ほつれ目からそれぞれの人相を窺う、あるべきところへ薪は焚べられたのです。  怖気とは苦しみで悲しみで飼い殺した未知不明の蛇行を挟んでここに、種を蒔く。  無遠慮な灌木が芽吹きはじめる。侘しさが降り注ぎ窓に並ぶ。例えるなら眼鏡ごしに平行線の感傷とする。なにを掴み取ればよいのか。なにより御承知のとおり 喜劇覚書など粛々と眠るまえに  ――ここに、延ばして掻きとるだけの今とは、ただただ下る 生活と通過する故に、蝋燭を立てインクを溢すのだから。その質感とあれば消沈の舵は荒廃を取り分け旨は潮流をややこと更け、刻としてうつほと孕む一筋のひかりを掴もうと手を伸ばし、ぬくみだけが輪郭と繊細に沁みて  ……行く先をはじまりとみようが、柔らかな陽が透きとおったリネンのカーテンから現にみちみちて。シンプルないたみばかりが喉元を絞めるから。目覚めているようでどこか夢の最中あり、秒針も忙しない鼓動が重ならずに呼び起こしただけ切り抜きなのです (ひたぶる視覚に沿って包まれていたと、おもわれる、堺はまたどこかで傷付いて、脳裏ではたくさんのオリが生まれては消えていくのだ)  ではやがて十坪に満たない明日になったら、赫々たる尊びも、ね――もう褪せた夏の秘色を解いたばかりの、あれら連中(労働者)はハリツケの丘を一蹴する。タンパク質が絵にかいたようなifの夢 (同時に朝もやと書き置き、手繰り寄せた白湯を啜った)  沖から外を眺め見ることが叶うよう、彫り込まれた深い庇が一夜のように天赦し、ゆるくズレていくと 人生のにぎわいにあたる。のちに複製され、舌の先まで熱い手のひらの流れに、記憶の隅に複雑に追いやられてしまい、なにもないほど、あたりまえになる  このおとこの口から、光沢のある眼球まで感覚を欠けて、斜めから錠を取り付け、(まったく大袈裟な微睡みだと咳き込んでさぁ)  順序よく咀嚼させたものです。  ぬるい愚直なれ、鬱蒼とある なんぼか くねくねと、  まんべんなく虚脱感を肉体に添えるからだと  些細な歴史と覗き込めば銀河の畔もなれはて、一朝の圧倒を縫ってそれほど充てる、澪標の跡は手のひらだけに催涙雨と成す  しかし豊かな光や深い影が情け無いかも知れません。いまやあなたの芝居がかった振る舞いも幅広く、自然という退廃美と永久欠番の黒鍵と奏でる自白なども、いろを混ぜ合わせ、憐れみひとつも感じないから。膿んだほとぼりとはきっと反復する、ほんのつかのまの名画だとして  ではループする7番線の占いは―― 「どうってことねえの。」  ――もしシーラカンスの脊柱は太い中空の管~左右を除する足音が発する。そうしたなかで皆それぞれに閉ざされていて、晴た口吻のまどかに手を付けた展望のあぶき、かろやかに伏し拝みしどき、受け皿を序す貽貝の毒はへばれども堅く。くどくどとそれを憔悴爆撃とすくんでも老いても  あれらはどうであろう《多機能携帯端末と徘徊する》  、と――  並んでいるところに立って おとこは むかっていた、  碑錆びた名残りとある廟のようでも。  天体観望会は、アンタレスだけ満たし、うららかな裏を反して。考える葦であればびくともしない性格で。悠長に眠っているくせに。月蝕のあいだじゅう表情が消える。 (あなたのネグリジェを、黄昏が、さりげなく梳いたという)  にんげんは俯瞰してみれば限りなく小さく、日常の如何にのっぺらとしたことよ。あの手この手も、多少の変化にびくつきながら過ごす、懐かしさもちょっとしたありえない夢も、抄録コラージュしたばかりで  気づけば景観を彫像する箱庭であるのに、ほんのすこしかいま見る窓辺では霧のむこうにある、風景とはひやりとなみだしたり、肖像がほころびたりするけれども、春がまた濡れている  あなただとして 〈枝と花で飾る、ことを。〉  おもいかえしては此等、あるがまま 〝恣意ている〟から ゆらぎ (尾ひれがつく。そう想われるのだ)  すりつぶす星の粒が、ゆがんだ波が寄せては引いて、いつかの桜花を兆すまで闇が浮かび落ちる、わずかな影が同形な足で真直な選を追いたら、すくわれ続ける。うたかたの日は昇り、また沈み、一匹の貧相な観賞魚アナタをおもいえがく  爛れた流星痕とは口遊んだ野火だったから  況して、それからずっとひかりはリビングダイニングに処方箋を継ぎ足す。あなたから仕切られた曲線で、くすんだ指で 蝶尾がそこら中ともしらぬものを仄カタムけ、真っ白に潰されたひかりに値いし、天穹と深海をいずれも結ぼれるように反射した六畳一間に わたしと金魚鉢ひとつ、空蝉と置いてな(筆舌に尽くしがたい) 2024/07/27
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hachikenyakaiwai · 6 days
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【かいわいの時】昭和八年(1933)9月16日:天王寺南門超願寺にて「上方怪談会」開催(上方郷土研究会)
天王寺南門を一丁南へ行くと西側にある古刹超願寺は人も知る竹本義太夫の墓があるので著名、秋の日脚は短く暮れた宵闇に寺門にボンヤリ燈った目標は上方怪談會と記した白張提灯、門を入って玄関まで怪異の掛行燈を連ね、受付では真面目な署名を乞ふたがその脇の土塔茶屋では一吹と腰を掛けると、經木に詩歌を乞ひ、茶の香りに氷水を末期の水となぞらへて出すので、皆が冷いやりする。奥の書院では仝寺秘蔵の応挙筆の幽靈像を佛間型にした裡に凄然と祀り、本床には英一蝶筆の百鬼夜行の横大幅、展觀として本會所秘蔵の幽霊、妖怪、變化の錦繪を座一杯に繰展げて置いた。續々の來會者で本堂は忽ち満員、この調子では幽霊の方がをぢけがつく。午後七時半挨拶に始り、序論の形で京都より態々来阪の江馬文學士が「文學に現れたる幽霊」を風俗専問の立場から真面目に諧謔を交へて講話され、次で茨木の日垣明貫の息章道氏は父君の材料を携へて事實談を上手に順序よく物語られた。尚三四氏の申込みがあったが、時間の都合で中止し、中入として蓮の葉に包んだ白蒸の飯に奈良漬、苧殻*の箸を添へたのを配った。この中に日垣氏が當夜寄贈せられた半切に仝氏が書かれた大入道の繪を抽籤することにし、赤紙を一枚入れて置いたところ、来會者の木村喜行氏(新町吉田屋)が引當てられた。さてこれ等の興味で時刻は九時過ぎになったので、當夜の呼物である三遊亭志ん藏氏立つことになり、前提として同氏体験の事實談「血風呂」の話を得意の話術にて一席、シンミリと聽かせて、先ず聽衆に凄味を興へ、さて獨特の幽霊扮装に移る。簡單に青隈で顏としたのを見せて置いて、暗轉で、お岩の幽霊、どろどろーー合方もないが、照明役の手際によって陰火点滅すると凄気堂に漲る。一同やあれ恐はやーーで退場閉会す。當夜お土産として蝋燭で見るお化け繪に超願寺寄贈の繪はかき一組と、松竹より無縁墓供養として寄贈のお岩に因んで「岩おこし」を贈った(南木生)。「三十八回上方行事上方怪談會記」『郷土研究上方 第三十四号』 (昭和八年十月一日発行)より。 *苧殻(読み)おがら アサ(タイマ)を古くは〈苧(お)〉と呼んだが,皮をはいだ茎は苧殻(麻幹)(おがら)と呼び,お盆の迎え火,送り火をたくのに用い,供物に添える苧殻ばし(箸)とする。種子は苧実(おのみ)すなわち麻実で,薬味として使い,七味唐辛子に入れられている。世界大百科事典 第2版
(写真)上方郷土研究会「三十八回上方行事予告 上方怪談会」。『郷土研究上方 第三十三号』より。
日時   昭和八年九月十六日午後正六時開催 場所   天王寺南門(義太夫の墓のある)超願寺(千日前発掘の無縁墓あり) 展観   応挙の幽霊(超願寺蔵)及幽霊、妖怪、変化錦絵二百点陳列 開会順序 六時より会員有志の実話談に移り、九時余興、十時閉会 扮装実演 幽霊になるまで 三遊亭しん蔵*氏 会費   五十銭(粗供養記念品呈上) (『郷土研究上方 上方怪談号(三十三号)』1933掲載)
*三遊亭志ん蔵(1887-1964) 怪談話『お岩の幽霊』を得意とし「幽霊志ん蔵」と呼ばれる。戦後は上方で数少ない明治から継承されていた古い怪談噺を演じる落語家として重宝される(ウィキペディア)。
*会費50銭は現在価値で約2500円(中入り軽食・岩おこしの御土産付き)。1930年から1931年にかけての大恐慌(昭和恐慌)で、昭和はじめの日本経済は深刻なデフレに陥っていました。当時の1円を現在価値に換算することは容易ではありません。目安として明治初期と昭和10年の大工の手間賃で比べると、0.5円(1870)=2円(1935)=17000円(現在)*。これより、1円(1935)≒8500円(現在)。デフレの影響で昭和10年ごろの1円の価値はかなり高かったようですが、しかし、当時ガスビル食堂の1円ランチが、行列ができるほど人気があったことを考えると、現在の「感覚」からすれば、1円=5000円ぐらいとするのが適当ではないでしょうか。同じ頃に浜松市のデパート跡で開催された「警察博覧会」(遠州新聞社主催)の会費(入場料)が大人15銭、現在価値にして約750円。妥当な範囲だと思われます。*明治初めの1円=0.125石=34000円(現在)で換算。
[註]「応挙の幽霊像」(他には「英一蝶筆の百鬼夜行の横大幅」)がリストアップされていますが、残念ながら、いずれも現存していないようです。ほんまやったら、重要文化財。「もう少し寝かせておきとうございます」
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3.橘夕樹「夜を売る店」
 丸底フラスコがアルコールランプにかけられて、紫紺の液体をポコポコと煮立たせている。それにつながれたゴム管の先にはガラスのポットがあり、そこに溜まった液体は更に濾過されているようだった。窓からの月のスポットライトが照らす大きめのビーカーには氷水がたっぷりとたたえられ、試験官が何本か刺さっている。仄暗いカウンターには、実験器具のほかにも薬瓶や薬匙や大量の小皿なんかが、舞台袖の黒子のように静かに佇んでいた。
 そんな騒がしいカウンターの中では店主がひとりテキパキと器具の手入れをしている。カチャカチャとガラス同士が触れ合う音が店内にはじけて、カウンターの蝋燭に灯ったマジックアワーの炎を揺らした。
 ちりりんとドアベルが鳴って、今日最初の客の来訪を知らせる。
「こんばんは。本日はどのような夜をお求めでしょうか。」
Spicy night
 蠟燭の前が客の定位置である。案内された客の注文は「繁華街の夜」。店主は、客の前に冷凍したムーンレモンの入ったお冷を出して、「少々お待ちくださいね。準備しますから。」と言った。
 店主は背後の棚から紺に煌めくパールのような装丁の綴りとコーヒー色のペガススのタテ紙を取り出した。この紙には調合師達に広く使われている一般的な調合用の書式が印刷されている。それにフクロウの羽ペンでさらさらと「繁華街」と記した。
「理由をお聞きしても?」
「私、田舎生まれだから憧れなの。都会の夜が。日が沈んでもきらきらしていて、にぎやかで。若いうちに一度はそういうところで夜遊びしてみたかった……。」
聞いたことを用紙に書き留めていく。
「あら、これからでも十分間に合うのでは?事実、いわゆる『繁華街』にあるこの店にこんな時間にいらしているのですから。」
「ふふふ、それもそうね。」
 店主は穏やかな笑みを浮かべながら材料を用意していく。ベースとなる「夜の素」に「街」と「憧れ」、それからアクセントの「星屑」。カウンターの上に色とりどり大小さまざまな小瓶が並んだ。
(「きらきら」……か、どれがいいだろうか。)
一言に「きらきら」とか「灯り」とか「にぎやか」とかいっても何十種類もの素材がある。一番合うものを見極め、ちょうどよく配合できてこそ、客に合わせた良質な夜を提供できるのだ。
「ちなみにきらきら、とは視覚的にでしょうか。それとも雰囲気や感情でしょうか?」
「うーん、そうね……。」と客はしばし目をつぶった。その瞼の裏には何が見えているのだろうか。
「ああ、一番印象に残っているのはネオンサインね。夜空に浮かび上がる鮮やかな看板にはすごく惹かれたものでしたよ。」
「今ではあまり見かけなくなりましたね……。僕もあの鮮やかなのにぼんやりとした優しい光は大好きです。」
 ネオンサイン。果たして在庫はあっただろうか。このところ見かけないということは、つまりあまり入荷が多くないのだ。「灯り」とラベルの貼られた棚の引き出しを順に開けていく。下から二番目の段の左から四番目。「そうだ、『色モノ』はここにしまったんだった」とか言いながら、店主は発光するラムネ菓子のようなものが入った瓶を取り出した。そのもう残り少ない粒を細身の試験官に入れて、さらにフラスコの中の「夜の素」を少し足した。最後に湯を張ったビーカーにしばらく入れて湯煎させる。
「よし、これでもう少し待てば『ネオンサイン』ができます。何色がお好きですか?」
「ピンクかしら。いくつになっても春っぽい色が好きなのよ。」
「ふふふ……」と恥ずかしそうに客は笑う。ピンクの染料を試験管に入れながら、桜のように笑う人だ、と店主は思った。
 ネオンサインが溶けるのを待っている間、店内には調合の器具たちが立てるこぽこぽという音と、蠟燭が夕焼けを燃やすちりちりというかすかな音だけが優しく響いている。店主は今準備した材料について用紙に記入しているようだった。
「キャンドルか小瓶詰めの形でお渡しできますがどちらにされますか?」
夜を楽しむ方法は様々ある。その中でも、「夜」そのものを揮発させてゆっくりじっくり味わうか、蝋燭の音や炎との効果と、熱で急激に揮発させることで短く濃く楽しむか、どちらかの方法が取られることが多い。また、この店のもこの二つのやり方でのみ販売を許可されている。後者はあのマッチ売りの少女のマッチと似た手法だ。――ただ、彼女のマッチは質が悪かったようだが。
「そうねえ。せっかくだから思い切り楽しみたいわ。キャンドルでお願いしようかしら。」
「かしこまりました。」
湯煎した試験管をスタンドで冷ましている間に不純物を蒸留させるための器具を準備する。フラスコやガラス管、オーロラ型冷却水――それらを手際よく配置していく。最後に火力の調節が利く小さなガスのコンロの上に、配合用の大きなビーカーをセットした。
大きなビーカーの中に、カウンターに並べた素材を入れていく。
まずは「夜の素」。「夜」のベースとなる液体である。今回は深夜ではなく日が落ちてすぐくらいの時間帯のものだ。とぽとぽと注いだら、「星屑」をぱらぱらと振りかけ、コンロを着火。ビーカーの底を炎が舐めるくらいの火力に調節する。「星屑」の輝きが「夜の素」になじむまでぐるぐるとかき混ぜ、次に金の針のような「街」を大きな楠の匙二杯分。輝きとあたたかさを持った「憧れ」は同じ匙で一杯分。
最後に冷えて固まった棒状の「ネオンサイン」を試験官から取り出し、少し夜空にかざして仕上がりを確認した後、手でぱきぽきと折りながらビーカーに加えていく。液体に触れた瞬間に強く瞬いてビーカーの底に沈んでいった。
(「憧れ」と「ネオンサイン」か……少し刺激が強くなりそうだな��)
こういう時はあまり濃くさせないほうがいい。店主は少し火を弱めた。
熱でゆっくりと「ネオンサイン」が溶けていく。「夜」の色が天の川
ミルキーウェイ
のように少し柔らかくなったように見えた。
ビーカーの中では小さな気泡が上がってきている。
にゃーん、と黒猫が一匹、呆れた様子でカウンターに飛び乗ってきた。スンスンとビーカーから立ち上る蒸気を嗅ぐ。
「ふうん、随分スパイシーだな」
「あっ、コラ。危ないだろ。」
と、店主が慌てて黒猫を制した。
「あら。猫ちゃん。毛並みがきれい。」
「ありがとうございます。僕の助手です。」
「フン、君がやらかさないか見張ってる『監督』だ。」
この声は店主以外には「にゃおん」としか聞こえない。
「この感じは星空というより街の明かりか?都会の夜って人間にとってそんなにいいもんなの?」
いぶかしげにビーカーをのぞき込もうとする。そんな「監督」をどうにか押さえつけながら店主が代弁した。
「矢張、都会の夜は故郷の夜より素敵に映るものですか?」
「ええ、勿論よ。私は若い頃都会の学校には通っていたんだけれど、寮にいたから、門限が厳しかったの。だから帰り道、目の前に街の明かりが見えているのに、夜の街に繰り出すなんてことはできなかった……。仲間とあれがしたいこれがしたい、って夢を語り合ったことをよく覚えているわ。」
残念がっている口調でも、どこか楽しそうに客は語る。
(『夢』……ちょうど在庫がもうないな。最近消費が激しい。)
 くるくるとビーカーをかき混ぜながら思い出す。薬棚を見るまでもない。このところ夢見がちなお客様が多かったのだ。
 ぼんやりと『憧れの夜の街』は出来上がった。あとはお客様だけの隠し味が必要になる。できれば『夢』以外で。
「夢を語り合うのも素敵な青春の一ページですね。なにか街に気になる店や催しなどがあったのですか?」
 さっきのネオンサインのように客の頬が薄紅に染まる。
「店……というより、好きな銀幕スターがいて……だから映画の、レイトショーに行ってみたかったのよ。」
お冷の氷が溶けてカランと音を立てた。
「学校が終わったあと、日が沈むころにひとりバスに乗って、洋食屋さんでご飯を食べて、帰る人々を横目に映画館へ向かう――。そして映画が終わったら夜道の中を歩いて帰る……ねえ、映画館の中と夜の街って少し似てると思わない?」
「映画館と夜の街、ですか。」
いくつもの夜を見てきた店主にも予想外の問いかけだった。
「ええ、街の周りや空は真っ暗なのにそこだけ切り取ったように眩しくて、いろんな物語が昼と変わらず起こっていて、帰り道も余韻でいっぱいになる……。そしていつまでも終わってほしくない。」
「なるほど。言われてみればたしかに似ている気がします。……それなら最後の材料はあれがいいかな。」
 店主はなにやらカウンターの下の棚を漁り始めた。たしかここにあったはず、としばらく探していると店長の肩を踏み台にして黒猫が下りてきた。
「なにやってるんだ。僕が探してきてやる。あれだろ?フィルムケース。」
「うん。そう。しばらく使ってないから箱が奥の方に入ってしまっているかも。」
黒猫は雑多な棚の中の暗闇にあっという間に溶け入っていってしまった。
 ガタン
 がたがた
 うわっ
 ごそごそ
 ばたん
げほげほ
するすると入っていたのとは裏腹に箱はなかなか見つからないらしい。つんと澄ました態度からはあまり聞かれない音と声がした。
「あったぞ!いくついる?」
「ひとつでいい。隠し味だもの。」
「はーい。」
黒猫はフィルムケースを一つ口にくわえて出てきた。ラベルには「映画」と振ってある。
「それそれ。流石僕の助手だね。」
と、狭い額についた埃を取ってやる。
「すみません。お待たせしました。」
客はにっこりと「いえいえ。」と言ってくれた。完成までもう少しのビーカーが先ほどよりもたくさん気泡を立てている。これ以上粘度が上がると最後の隠し味がうまくなじまない。店主はコンロの火を止めた。
「ふん、普段使わない材料もきれいにしまっておくんだな。」
黒猫は背後のカウンターでその自慢の毛並みを整えている。
「それを取ってきてくれたの?随分と賢い助手さんね。」
「はい、いつも助かっています。」
そんな助手が取ってきてくれたフィルムケースには勿論フィルムが収まっている。艶々と黒く光るそれを映写機のような機械に入れて、レンズから月光を取り込み、夜空を透かしながら、製麺でもするかの如くハンドルを回した。壁には小さなプラネタリウムが出来上がっている。そしてリールから外したそれを二〇センチほどカットしてビーカーに加え、再び火をつけた。このフィルムが溶け切ってしまえば「夜」は完成だ。材料はすべてそろったのでビーカーに特注のコルクの蓋をして、空けてある穴からガラス管を繋げる。ガラス管の途中にはオーロラ型冷却水、終わりには小さなフラスコが繋がれている。「夜」を加熱濃縮させる際に出る蒸気――夜露を採るためである。
「それはなんの映画のフィルムなの?」
「これは映画のフィルムそのものではなく、昔、お客様から聞いた『映画と夜に関するお話』から精製したいわばエッセンシャルオイルのようなものです。うちではお代としてお金の他にお客様のお話をお聞きしてそこから『夜』を作るための材料をお裾分けしていただいているのです。」
客はわかったようなわかっていないような顔をしてフィルムが溶けるビーカーを見つめた。
「あまりピンときませんよね。」
そういうと店主は再び棚の下をごそごそと漁るとレコードを一枚取り出してきた。そして店の端を指さして、
「あの蓄音機にこちらの専用レコードをセットして、お客様のお話を録音します。そしてそのレコードを一旦ほどいて溶かします。そして溶けた液体から結晶を取り出したり、蒸留させたりといった作業を通して様々な「要素」を分離させ、それをビンに採取して、ものによっては先ほどのネオンサインのように加工することで、安定して保存ができるようにするのです。」
「なるほど、録音するのね……。長く生きてきたつもりだけどこのお店には初めて見る道具ばかりだわ。でも私、何かお話しできるようなことあるかしら。」
「是非、ご学友との語らいについて教えてくださいませんか。」
「夢」の在庫を増やすいい機会だなと店主は考えた。
「それならいくらでもお話しできるわ。」
ビーカーの中で大きな気泡がひとつ弾けた。その瞬間、街や映画の光がキラキラと輝いて落ちる。そろそろ頃合いのようだ。
 最後に、出来上がった「夜」をキャンドルにしていく。ミルクパンで、これまたミルク色の蝋を溶かし、分離しないように少しずつ夜と蝋を混ぜていく。夜の濃い藍とミルク色が混ざって朝焼けの前の優しい夜の色に近くなる。最後にガラスの容器に入れてスノーマンの吐息で冷やし固めたら完成だ。店主は冷やしている間に草木のモチーフがあしらわれた小さなカードに、今回使った材料とその用法・用量を記入していく。ラベルには『繁華街』と記して容器に貼り、
「お待たせいたしました。『繁華街の夜』でございます。」
とまだほんのりと温もりを持つ出来立てのキャンドルを差し出した。
「なんだか少し甘い香りがするわね。」
客は鼻先で軽く容器をくゆらした。
「蝋に少しだけ蜂蜜が混ぜてあります。」
店主は先ほど書いていた小さなカードとお揃いの柄の小箱を取り出した。小箱の中には小さなお香が入っている。
「ベースに浅い時間の夜を使っております。全体的にフレッシュで刺激的なひとときになるよう配合いたしました。こちらのカードに使い方などは詳しく記載していますが、夜をお使いになるときは必ずこちらの「朝」もお使いください。確実に夜から醒めることで『夜焼け』や『昼酔い』といった時間的症状を防ぐ効果があります。また、最近多いのですが、夜から醒めたくないというお客様がいらっしゃいます。しかしそのように夜を独り占めしてしまうと時間平等法違反となってしまいますので、僕たち調合師は『朝』も一緒に提供するよう義務づけられているのです。――夜は皆のものですから。」
「わかったわ。何事も適切な量がいいわよね。」
「そういうことだ」と黒猫がうんうんと頷く。
「夜もいいけど朝も朝でどんなテイストか楽しみね。」
「ええ、折角ですから存分にお楽しみください。お渡しするものはこれで以上です。不備がないようでしたら箱に詰めますね。」
「ええ、お願いします。」
キャンドルとお香、カードを木箱に詰め、仕上げにリボンをかけて結び目に封蝋で封をする。
「では最後にお代ですが、カウンター越しではなんだか味気ないのであちらのテーブルでお話ししましょう。」
店主は蓄音機のそばのテーブルを指さした。
「昔の話をできるなんていつぶりかしら。たまには沢山おしゃべりするのもいいわね。」
カウンターから立ち上がった客を黒猫がテーブルまで先導する。
客と黒猫がしばらく戯れていると、ようやく手にティーセットを持った店主がテーブルについた。あとをティーセットに任せたカウンターの器具たちは静かに楽屋に戻り、客の前には空になったグラスの代わりに湯気の昇るティーカップが置かれた。すっかり更けた夜に香ばしい茶葉と優しいミルクの香りが満ちる。
夜はこれから。
――それでは良い夜を。またのご来店をお待ちしております。
fin.
橘夕樹「夜を売る店」 Produced / Written by 橘夕樹(https://bsky.app/profile/yuuki-tatibana.bsky.social)
2024.9.18 G.Slope & Hill's Planet
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team-ginga · 1 month
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近況
 8月も下旬に差し掛かっていますが、またしてもブログをサボっています。
 夏休みの絵日記をサボっていて急に焦り出した小学生……というわけではないのですが、とりあえず備忘録として、この8月に何をしたか、どんな映画を見たかだけを書いておきます。
 8月4日(日曜)は勤務先の関西学院大学のオープンキャンパス。私は10時から16時まで仏文研究室に詰め、13時から45分ほど模擬授業をしました。
 8月6日(火曜)はピッコロ演劇学校同期で友人の山田麻結とランチ。大阪スカイビル近くにあるモロッコ料理屋ル・マラケシュでクスクスを食べました。
 クスクスとは小麦粉を小さな粒に練った世界最小のパスタで、肉や野菜を煮たものを汁ごとかけて食べるもの。関西ではクスクスを出すレストランがほとんどなく、その意味ではこのル・マラケシュは貴重だし、それなりに美味しいのですが、にんじん、じゃがいも、かぶ、ズッキーニ、ひよこ豆といった定番に加えて、なぜかキャベツやカボチャやさつまいもも入っています。
 私の知る限り、クスクスにキャベツやカボチャは入れませんし、さつまいもはそもそもモロッコやアルジェリアにはないはずです。
 その部分が不満だったので、後日塚口のショピングモール・つかしんへ妻と買い出しに行って家でクスクスを作りました。肉は本当は子羊の骨付き肉(コート・ダニョー)が好きなのですが、売っていないので牛スネ肉を使い、野菜はにんじん、じゃがいも、大根、ピーマン、ズッキーニ、ひよこ豆を入れました。まずまずの出来だったと思います。
 合わせて豚の三枚肉も買い、別の日に角煮も作りました。
 8月7日(水曜)には学生劇団・風波で一緒だったハッシーこと橋詰雅章君の依頼を受けて、滋賀県草津市に行ってフランスはどういう国かについて話しました。
 ハッシーは長年小学校の先生をしていて、いつぞやは小学校の方に行って、大学教授の仕事とはどういうものか、大学教授になるにはどうすればいいかについて話しました。
 定年退職後ハッシーは老人と子どものためのNPOに再就職したようで、今回の聴衆は老人。「知られざるフランス」ということで、原発大国としてのフランスや移民大国としてのフランスについて話をしました。
 8月10日(土曜)には神戸ハーバーランドの松方ホールで開かれたキャンドルライトコンサートへ行きました。蝋燭の光でクラシックを聴くのもたまにはいいなと思っていたら、なんと蝋燭はそれらしく作った模造品。安全性を考えたらそうなるのでしょうが、遠目に見ると本物そっくりで、その技術に驚きました。
 墓参りに行ったのは8月13日(火曜)だったかな。
 8月19日(月曜)には京都・貴船に行って、川床で昼食。ごく普通の和食なのですが、刺身も天ぷらもなんだかすごく美味しく感じました。鮎の塩焼きを丸齧りしたのは生まれて初めてですが、それも大人の味で美味しく感じました。
 昼食後は貴船神社まで歩き、本宮から中宮を経由して奥宮まで参拝。結構疲れたので、川床の喫茶店でジュース(妻は抹茶フロート)を飲んで帰ってきました。いい1日でした。これがこの夏最大のイベントかな。
 映画は……何を見たっけ。とりあえず題名だけ書いておきます。
『ミンナのウタ』 『金田一耕助の冒険』 『江戸川乱歩の陰獣』 『インビジブル 暗殺の旋律を弾く女』
 レビューは改めて書きます。
追記:  映画について追記ーーこのあと『双生児』と『落下の解剖学』もみました。  タイトルだけでもここに書いておきます。
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nvi143 · 5 months
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桜の樹
春。桜の蕾が膨らみ、気温が緊張から緩和して、虫が増え、花粉が飛び始めた。僕は公園のベンチで、約束の時間まで待っていた。この木の近くで待ち合わせしようと約束していた。ロミオとジュリエットのチケットを握りしめながら、ベンチで待っていた。約束の時間になっても相手は現れなかった。恋が終わったことを実感した。そういうのには慣れっこだから、僕はその事実を受け入れ、小さく溜息を零した。
隣のベンチに座り、本を読んでいた君に声を掛けた。「チケット、余っちゃって。要りませんか?」君が学生帽のつばを上げて、こちらを見る。吸い込まれるような瞳だった。「いや、僕と…じゃなくて。恋人とか、友人と。2枚あげるので。」と言うと、君は少し考えて「一緒に行きますか?」と言った。
それから僕たちは、一緒に劇場に行った。4時間ほど、無言で肩を並べて舞台を見た。ロミオとジュリエットは悲劇だ、と言われるけど、両思いなだけで幸せだろうと思った。僕は捻くれているのだろうか。君はラストシーンで、少しだけ涙を浮かべていた。終演後、僕たちは別れが惜しく自然に喫茶店に入った。何かを鑑賞したあとは、感想戦をしたくなるものだから。僕たちは劇の感想から、普段何をしているか、最近買った文庫本の話、そういう話で盛り上がった。コーヒーは冷め、茶菓子はいつのまにか皿から無くなっていた。君はチケットが余った理由は聞かなかった。
次の日、学内で君を見た。君の背中をこっそり追いかけて、取得していない授業の教室に来た。君の隣が空いていたので隣に座った。君は驚きながら笑って、僕に本の半分を見せてくれた。肩を並べて聞く授業はつまらなかったけれど、真剣に聞いている君の表情を眺めていると面白かった。
僕たちはそれからよく顔を合わせるようになった。ある日は中庭のカフェテラスで一緒にご飯を食べて、ある日には図書館で本を読んだ。時々喫茶店で待ち合わせをして、そのまま映画館に足を運んで、夜まで語った。僕と君は気が合った。そうやって僕たちは他人から友達になった。もう、君のほとんどを知った気になっていた。過去の恋愛の話も、好きな物語のジャンルも、短期間で網羅したから。そして僕は、友情以上の感情が芽生えていることが分かった。でも僕は昔の恋愛の話を君にしないように、この感情も胸の中に押し殺した。僕には永遠がないからだ。
やがて桜が満開になった。街を歩く人が空を見上げながら、可憐に咲く花に手を伸ばした。僕はその日、君を舞台に誘った。その舞台は学生が書いた戯曲だった。ある人が失った記憶を取り戻し、恋人に会に行くと言う、ありふれたストーリーだった。シェイクスピアやチェーホフのように優れてもいなかったが、僕はその舞台の幕が下がる時、涙が止まらなかった。彼は、「君はロミオとジュリエットでも泣かなかったのに」と笑いながら僕の頬に伝う涙を、指の腹で拭った。そのあと、僕らは喫茶店ではなく人気がない校舎に忍び込んで、照明が落ちた図書館で蝋燭を灯し向かい合って本を読んだ。そういしていると守衛の足音が聞こえて、僕らは蝋燭の火を吹いて消し、本棚の間にしゃがんで隠れた。光がない中でも陰影がくっきりとした、君の鼻先、唇、近付いたそれに触れたい気持ち、いや、キスしてしまいたい気持ちを抑えた。
その日を最後に、僕は君に会うことをやめた。キャンパスに足を運ぶのをやめ、舞台にも行かず、映画にも行かなかった。散る桜が増えて、今年の自分が終わることを自覚した。毛布に包まる夜、雨音が近づく音が聞こえた。雷がぴかりと光って遠くで鳴いた。やがて雨の音は激しくなった。ああ、この雨で、もう桜は散ってしまうのだと、今年の僕はもう終わりなんだと、そう思った。来年桜が咲いた頃には、君も去年の彼女のように僕も、僕との約束もきっと忘れるから。胸の内に閉まって、傷付かないようにしようと、毛布を頭まで被った。雨の音が激しくなるたびに、脳内では君との思い出が鮮明に再生された。君の記憶から逃げようと布団を強く握っても、その記憶は色濃くなるばかりだった。会いたい、君に会いたい。僕は咄嗟に家を飛び出した。雨の中、裸足の中で走った。寝巻きが濡れ、足に泥がつくのも構わずに、散ってしまう前に、会えなくなる前に、僕は君に会いたいと必死に走った。
君は僕の桜の樹の下に、傘をさしながら立っていた。雨と共に落ちる花びらが、綺麗に落ちていた。濡れた僕を見て、驚きながら傘の中に僕を引き寄せた。僕は傘の中で君を抱きしめた。「会いたかったんだ」と僕が告げると、小さく君は頷いた。「なぜか眠れなくて、あの場所に行かないとって思った」君はそう言った。僕はそんな君の言葉にたまらなくなって、「好きなんだ」と告げた。「ううん、愛してる」そうやって言葉を訂正した。僕たちはどちらからともなく、接吻をした。それは次第に激しくなり、傘を捨てて、雨に濡れながら舌を交わせ、互いを求め合った。頬に伝う水滴は、雨なのか、涙なのか分からなかった。朝にはこの花びらも散って、ぼくも散って、この恋も散るということは、君には教えなかった。君の中でぼくの思い出が無くなったとしても、ぼくが覚えていれば、いつかは会えるだろうと思ったからだ。
そうして全ての花びらが散って、僕は消えた。暑い夏が来て、長い冬が来て、また春が来た。桜の蕾が膨らみ始めていた。僕は君と出会ったベンチに座りながら、ロミオとジュリエットの舞台のチケットを握り締め、君が来るのを待った。君があのベンチに座ったら、僕はまた君に声をかけて、君と恋を始めようと、そう思っている。君がこの愛を忘れても、僕は永遠にきみの愛を、憶えている。
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oldkwaidan · 6 months
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二人の老女が見た狐火
 長野県北安曇郡社村宮本区に住む老女が二人、隣の大町へ用足しに出かけ、その帰りが夜になった。 「夜の道ってぇのは淋しいねぇ」 「まったくだね。早う帰ろ帰ろ」  家路を急ぐ彼女らが、何気なく常橋の方に目を注ぐと、蝋燭の火のような光が十二、三ほど見えた。  火の群れは指を立てたように並んで、ずんずんと動いている。 「ちょっとご覧よ、ありゃあ狐火に違いないよ」  二人がそう囁き交わす間も、光は消えたり灯ったり、動いたりする。  狐が自分たちを誑かそうとしている。  二人して、両手の指を組み合わせて狐の窓を作り、思い切り吹いた。  すると火はパッと消えて、二人の目の前に大きな黒いものが飛び降りた。  二人は慌ててあたりを探したが、何も見つからず、また、火もそれきり灯らなかったという。
 (信濃教育会北安曇部会・編『北安曇郡郷土誌稿(一)』九、動物、變怪民譚附獵の話 「1 狐の話」)
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picolin · 7 months
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The Taste of Things
(La Passion de Dodin Bouffant)
written and dir. Trân Anh Hùng
2024年2月24日 Curzon Bloomsbury
スイスの作家マルセル・ルーフの小説のキャラクターを基にしたトラン・アン・ユンの新作。第76回カンヌ国際映画祭監督賞受賞。第96回アカデミー賞国際長編映画賞フランス代表。1885年のフランス、美食家のドダン(ブノワ・マジメル)は仲間たちと美食クラブを定期的に開いている。そんな彼の右腕としてキッチンで腕をふるうのは天才料理人であるウージェニー(ジュリエット・ビノシュ)。そんな中、助手のヴィオレットの姪のポーリーヌが尋ねてくる。
電気も水道もない時代の料理を描くJonathan Ricqueburgの撮影がとてもよい。自然光の明るさ、夜の影の深さと蝋燭の灯り。食材と料理は上質の料理本のような艶と色彩で魅了してくる。ほぼ全編音楽なしで会話と自然音だけという構成も今時珍しい。
冒頭の料理シーンで、「これはどんな料理になるのだろう?」と推測しながら見てしまうのが楽しい。大変な手間がかかったものがソースになってしまったり、色々手をかけながらローストに何度も火を通したり、スープの純度を高めるために卵白を使っていたりする。途中から出てくる 『美味しんぼ』 的な 「究極のメニュー」 対決でまる1日かかる歓待への返答として素朴なポトフを出そうという筋はそこまで前景に出ず、むしろ物語の底にあるドダンとウージェニーの仕事兼趣味における長年のパートナーシップと一応のロマンティックな感情のバランスに焦点が置かれていく。前者を重要視するウージェニーと後者の比重が重くなりつつあるドダンの間の微妙な不一致を、決して対立にすることもなく描写している。これが対立や別離につながらないのは、あくまでも二人が同じ対象への情熱を共有していることをきちんと描いているから。19C末にそこまで女性のコックが多かった(表に出る必要がないからだろうか)のか史実の知識がないのでよくわからないのだが、他に出てくる料理人も中年の女性ばかりなのは興味深い。
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kennak · 9 months
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秩父に縁もゆかりもないのだが、今年の夏、仕事がやたら忙しく、週末になんとなくラビューにのって秩父にいったら、すっかり魅了されて5回も行ってしまった。秩父のなにがいいかって、都内からちょうどいい距離感で抜けるような空と山と渓流があるところで、駅からちょっと離れたところにある道の駅に入るとポテくまくんの上りが上がっているすぐそばでみそポテトが売っていて、御花畑駅前の駅そばのはなゆうのそばのダシが美味く、長瀞にいくと最高な感じのロープウェイに乗れて、降りると山の中腹の意外と規模の大きい動物園で猿が大騒ぎをしており、秋になると紅葉が美しく、宝登山神社の参道の道の脇に野菜やお風呂に入れる用の柚子が無人販売されてたりして、自然を胸いっぱい摂取した後は西武秩父駅前の祭り湯で都内に帰る最終のラビューが出る21時ギリギリまで風呂に入れて色々最高なのである。参拝すると人生が変わるとまで噂の三峯神社は最近やたら人気で、秩父市内からは結構遠い上に、山の上の駐車場に参拝者の車が入りきらずに2時間の駐車場渋滞が発生したりするのでちょっと注意だ。秩父はこういった観光資源と生活の場があんまり明確に分かれてなく、観光地にありがちな緊張感があんまりないのがいい。神社もロープウェイも温泉も、そこにいくまでの特急も、実のところ箱根にあるし、よりちゃんと観光地然としてるのはなんだったら箱根で、秩父はちょっとユルいのだが、そのユルさがいいのだ。箱根は海外でも有名で、最近は外国人観光客でいっぱいなんだが、そこいくと秩父は欧米の外国人にはあまり知名度がないらしく、たまに台湾や韓国から見た人を見かけるくらいで呑気なものだ。秩父は生活の場というのもあって、土地に「秩父LOVE」的な空気が流れており、それも心地いい。秩父夜祭を見てきて興奮冷めやらなかったので秩父について書いた。またそのうちわらじカツ丼を食べに秩父に行く。追記朝おきて夜祭と昨夜秩父土産で買ってお風呂に入れてゆず湯にした路上販売のゆずの香りを思い出しながら、ささっと書いたエントリーがバズっててびっくりした。みんな秩父に一言あったりするのね。嬉しい。書くきっかけの夜祭についてちょっと書くと、ブコメで紹介した人の言うとおり、秩父夜祭は日本三大曳山まつりの一つで、昼に出発した山車が町内を周り、夜の帷が降りた後も、冬の花火が上がる空の下で男衆や女性の引手がボンボリの赤い光で照らされた山車を引き廻す。2日の宵祭に行った時には秩父神社で神楽が奉納されていて、演目は日本神話で最も有名なエピソードの一つである天の岩扉開きでなんかラッキーだった。演目のクライマックスのアメノウズメの踊りは神話に忠実にやると結構凄い事になってしまうんで、そこは榊をもってバタバタするコミカルな表現になっていたりした。で、山車の方なんだけど、夜になると照らされるボンボリの光源はLEDとかでは無く、トラディショナルな蝋燭で、そういうモノとはいえすげーなと思った。圧倒されたのが山車の方向転換で、秩父夜祭の山車には車輪に方向転換できるような舵がない。なので、ゆるいカーブは大回りに曲がるけど、90度の方向転換が大仕事になってくる。これをどうするのかというと、山車の側面に備え付けてある角材を抜いて、山車の底面にかまして、そこに20人ほどの男衆がぶら下がってテコの原理で持ち上げて、下部に方向転換用の軸を入れて水平に回すという「ギリ廻し」で山車を回す。これが見もので、2階建ての家屋ほどある木造の山車に角材突っ込んで上げるもんだから、乗っかった男たちが掛け声を上げる中、「ギギギ」とちょっと心配なるようなすごい軋み音を上げて山車が持ち上がるのだ。この「ギリ廻し」は動画でも見られるし、実物を見たい人は来年12月に秩父に行ってみてほしい。読んでくれてありがと!
秩父を謎に愛している
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kachoushi · 9 months
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各地句会報
花鳥誌 令和6年1月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年10月2日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
日本海見ゆる風車や小鳥来る 泰俊 駅近の闇市跡に後の月 同 山門を標とするや小鳥来る 同 師の墓の燭新涼のほむらかな 匠 渡り鳥バス停一人椅子一つ 啓子 紫に沈む山河を鳥渡る 希 ひらひらと行方知らずや秋の蝶 笑 なりはひの大方終了九月尽 数幸
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月4日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
朱の色に蝋涙たれし日蓮忌 ただし コスモスのたなびく道を稚児の列 洋子 抱かれて稚児は仏よ日蓮忌 同 めらめらと朱蝋のうねり日蓮忌 同 ピストルの音轟ける運動会 誠
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月5日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
友の墓秋空の下悠然と 喜代子 棟上げの終はりし実家や竹の春 由季子 菊人形幼き記憶そのまゝに さとみ 長き夜や楽し思ひ出たぐり寄せ 都 強持てに進められたる温め酒 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月6日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
蜜と恋どちらも欲しく秋の蝶 都 八幡の荘園かけて飛ぶばつた 美智子 彼岸花軍馬の像を昂らせ 都 露の手に一度限りの炙り文 宇太郎 杖の歩や振返るたび秋暮るる 悦子 露けしや既視感覚の病棟に 宇太郎 コスモスの乱れ見てゐて老いにけり 悦子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月7日 零の会 坊城俊樹選 特選句
天高く誇り高きは講談社 きみよ 華やかに滅びゆく香や秋の薔薇 和子 秋冷を暗くともして華燭の火 千種 白帝は白い梟従へて きみよ 薔薇は秋その夜会より咲き続け 順子 肘掛に秋思の腕を置いたまま 光子 爽やかや罅ひとつなきデスマスク 緋路 一族の椅子の手擦れや秋の声 昌文 邸宅の秋に遺りし旅鞄 いづみ 洋館に和簞笥置いて秋灯 荘吉
岡田順子選 特選句
栗の毬むけば貧しき実の二つ 瑠璃 流星を見ること永きデスマスク いづみ 正五位のまあるき墓を赤蜻蛉 小鳥 秋天の青は濃度を増すばかり 緋路 月光の鏡の中で逢ふ二人 きみよ 聖堂は銀に吹かるる鬼芒 いづみ 実石榴をロイヤルホストで渡されて 小鳥 石榴熟る女人の拳より重く 光子 秋の灯を落して永久のシャンデリア 俊樹 毬栗を踏み宰相の家を辞す 緋路
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月9日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
コスモスの島にひとつの小学校 修二 檸檬の香そは忘れざる恋なりき 美穂 嫁がせる朝檸檬をしぼりきる 朝子 母乳垂る月の雫のさながらに 睦子 タンゴ果て女は月へ反りかへる 同 護送車の窓には見えぬ草の花 成子 やはらかく眉をうごかし秋日傘 かおり 天と地を一瞬つなぐ桐一葉 朝子 流れ星太郎の家を通り過ぎ 修二 正面に馬の顔ある吾亦紅 朝子 傘たゝみ入る雨月のレイトショー かおり 幾千の白馬かけぬく芒原 成子 古備前に束ねてさびし白桔梗 睦子 糸芒戻れぬ日々を追ふやうに 愛 黒葡萄いつもの場所の占ひ師 修二
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月9日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
新生姜甘酢に浸り透き通り のりこ 風を掃き風に戻されむら芒 秋尚 足音にはたと止まりし虫の声 怜 朝露に草ひやひやと眩しかり 三無 出来たての色の重たき今日の月 秋尚 徒競走つい大声で叫びたり ことこ 秋落暉炎のごときビルの窓 あき子 秋祭り見知らぬ顔の担ぎ手に エイ子 秋霜や広がる花を沈ませて のりこ 面取ればあどけなき子や新松子 あき子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月9日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
万葉の歌碑一面に曼珠沙華 信子 金木犀優しき人の香りかな みす枝 昇る陽も沈む陽も秋深めゆく 三四郎 廃線の跡をうづめて草紅葉 信子 駅に待つ猫と帰りぬ夜寒かな 昭子 天の川下界に恋も諍ひも 同 ひらひらとバイクで走る盆の僧 同 蟋蟀の鳴く古里や母と歩す 時江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月10日 萩花鳥会
夜鴨なく門川暗くひろごれり 祐子 サムライ衆ナントで決戦秋の陣 健雄 これ新酒五臓六腑のうめき声 俊文 露の身や感謝の祈り十字切る ゆかり 虫食ひのあとも絵になる柿落葉 恒雄 すり傷も勲章かけつこ天高し 美惠子
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令和5年10月14日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
魁の櫨紅葉の朱句碑の径 三無 花よりも人恋しくて秋の蝶 幸子 咲き初めし萩の風呼ぶ年尾句碑 秋尚 女人寺ひそと式部の実を寄せて 幸子 豊年の恵みを先づは仏壇へ 和代 篁を透かし二三個烏瓜 三無 日の色の波にうねりて豊の秋 秋尚 曼珠沙華に導かれゆく道狭し 白陶 二人居の暮しに適ふ豊の秋 亜栄子 林檎好き父と齧つたあの日から 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月14日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
ガシャガシャと胡桃を洗ふ音なりし 紀子 秋日和小児科跡は交番に 光子 歩かねば年寄鵙に叱咤される 令子 稲の秋チンチン電車の風抜けて 実加 不作年新米届き合掌す みえこ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月15日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
街騒も葉擦れも消して秋の雨 三無 大寺の風を擽る榠櫨の実 幸風 尾を引きて鵯のひと声雨の句碑 秋尚 水煙に紅葉かつ散る結跏趺坐 幸風 菩提樹を雨の宿りの秋の蝶 千種
栗林圭魚選 特選句
観音の小さき御足やそぞろ寒 三無 絵手紙の文字の窮屈葉鶏頭 要 駐在も綱引き離島の運動会 経彦 小鳥飛び雨止みさうにやみさうに 千種 秋霖や庫裏よりもるる刀自の声 眞理子 句碑の辺に秋のささやき交はす声 白陶 秋黴雨だあれもゐない母の塔 亜栄子 梵鐘の撞木の先や秋湿り 眞理子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
考へる事に始まる端居かな 雪 おは黒を拝み蜻蛉と僧の云ふ 同 道草の一人は淋しゑのこ草 同 朝霧の緞帳上がる音も無く みす枝 秋灯火優しき母の形見分け 同 役目終へ畦に横たふ案山子かな 英美子 孫悟空のつてゐるやも秋の雲 清女 穴感ひ浮世うらうら楽しくて やす香 栗食めば妹のこと母のこと 同 天高し飛行機雲の先は西 嘉和 屋根人を照らし名月たる威厳 和子 秋深し生命線の嘘まこと 清女 蜩に傾きゆける落暉かな かづを
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月18日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
枯れて行く匂ひの中の秋ざくら 世詩明 一声は雲の中より渡り鳥 同 見えしもの見えて来しもの渡り鳥 同 菊まとひ紫式部像凜と 清女 越の空ゆつくり渡れ渡り鳥 和子 秋扇に残る暑さをもて余す 雪 山川に秋立つ声を聞かんとす 同 鳥渡る古墳の主は謎のまま 同 鳥渡る古墳は謎を秘めしまま 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月20日 さきたま花鳥句会
SLの汽笛を乗せて刈田風 月惑 寝ころびて稜線を追ふ草紅葉 八草 残る海猫立待岬の岩となる 裕章 大夕焼分け行く飛機の雲一本 紀花 曼珠沙華二体同座の石仏 孝江 白萩の花一色を散り重ね ふゆ子 秋の野や課外授業の声高に ふじ穂 秋寒し俄か仕立てのカーペット 恵美子 秋空や山肌動く雲の影 彩香 爽籟や赤子よく寝る昼下り 良江
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令和5年10月21日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
生身魂梃子でも動かざる構へ 雪 古団扇此処に置かねばならぬ訳 同 飾られて菊人形の顔となる 同 亭主運なき一枚の秋簾 一涓 菊の香に埋り眠る子守唄 同 叱りてもすり寄る猫や賢治の忌 同 友の家訪へば更地やそぞろ寒 みす枝 叱られて一人で帰るゑのこ草 同 朝霧が山から里に降りて来し やすえ 隣家より爺の一喝大くさめ 洋子 菊師にも判官贔屓あるらしき 昭子 人の秋煙となりて灰となる 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月27日 月例会 坊城俊樹選 特選句
靖国の秋蝶は黄を失ひて 愛 柿に黄をあづけ夕日の沈み行く 緋路 神池の何処かとぼけた鯉小春 雅春 細りゆく軍犬像や暮の秋 愛 うらがへり敗荷の海のなほ明し 千種 英霊の空はまだ薄紅葉かな 愛
岡田順子選 特選句
秋蝶に呼ばれ慰霊の泉かな 愛 鉢物はしづかに萎れ秋の路地 俊樹 年尾忌も近し小樽の坂の上 佑天 道幅は両手くらゐの秋の路地 俊樹 秋天へ引つ張られたる背骨かな 緋路 老幹の凸凹としてそぞろ寒 政江 板羽目の松鎮まれる秋の宮 軽象 御神樹の一枝揺らさず鳥渡る かおり
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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