皆さまこんにちは。 本日は滋賀県野洲市のオーケープラント工業有限会社と市内のトマト🍅ハウスに設置されている薪ストーブや釜の中の空気の循環や薪投入口を改良をした2号機を見学させていただきました。 こちらの薪ストーブは確りと排煙し、NEPONの加温機の送風を手動にセットするだけのシンプルなものでした。 前日の夜8時ごろと今朝4時に投入した薪が確りとハウス内部を暖め(14℃~23℃)、灰色カビなどとは無縁の環境でした。 これを重油のみで行うと支払いが大変です。 こちらの900坪のハウスには2機の重油加温機が設置され重油(㍑辺り95円ほど)で暖房した場合19㍑/1時間ですが、昨晩は気温8℃今朝方6℃にもかかわらず重油は使用していないとの事。 三日月大造・滋賀県知事もこちらのハウスに良くいらっしゃるとの事で機会があれば私も再度足を運ばせていただきたいと思っております。 色々と考えさせられる滋賀県、その後は🚲️自転車と電車🚃で〒529-0425 滋賀県長浜市木之本町木之本1066のますや書店へ📚️ 長浜市のカフェ☕併設の本屋・餡や・和漢書籍処文泉堂📚️にお邪魔させていただきました。 これより神奈川県に戻ります🚅 #滋賀県野洲市 #オーケープラント工業 #有限会社 #薪ストーブ #改良 #2号機 #見学 #排煙 #NEPON #加温機 #送風 #シンプル #灰色カビ #無縁の環境 #重油㍑95円くらい #19㍑/1時間 #重油不使用 #三日月大造 #滋賀県知事 #自転車 #長浜市 #ますや書店 #和漢書籍処文泉堂 https://www.instagram.com/p/ClDZSh7PQha/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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☆プロトタイプ版☆ ひとみに映る影シーズン3 第〇話「ここを楽園とする」
☆プロトタイプ版☆
こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。
段落とか誤字とか色々とグッチャグチャなのでご了承下さい。
→→→☆書籍版発売までは既刊二巻を要チェック!☆←←←
(シーズン3あらすじ)
謎の悪霊に襲われて身体を乗っ取られた私は、
観世音菩薩様の試練を受けて記憶を取り戻した。
私はファッションモデルの紅一美、
そして数々の悪霊と戦ってきた憤怒の戦士ワヤン不動だ!
ついに宿敵、金剛有明団の本拠地を見つけた私達。
だけどそこで見たものは、悲しくて無情な物語……
全ての笑顔を守るため、いま憤怒の炎が天を衝く!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
དང་པོ་
宇宙から三度目のカオスコロルが飛来した場所は、アイスランド、ラキ火山の麓にある小さな山村。偉大な魔女グリーダと、古代から語り継がれたルーンの魔術を生活の中心とする昔ながらの集落だった。そこに降り注いだ外宇宙からの色彩を、村人は家族として迎え入れた。
当時は十七世紀、ヨーロッパ全土で魔女裁判が行われ、魔女や魔法使いと認定された人々が無条件に処刑されていた『魔女狩り』の時代だ。しかし土着信仰が強く残っていたアイスランドでは、そもそも魔術の告発が他のヨーロッパ諸国と比べて極端に少なかった。また、時には本物の魔術を使って刑の執行を免れる強力な魔術師もいたという。
そのような背景があり、当時アイスランドを領地として支配していたデンマークは面目が立たなかったのだろう。デンマーク国王は霊能者や聖職者を中心とした対魔法軍を結成し、アイスランドで最も強大な魔女といわれるグリーダを討ち取ろうと決意した。一六八三年の出来事だった。
གཉིས་པ་
「グリーダ、大変だ! 集落が燃えてます……グリーダ?」
息を切らしたロフターが帰宅すると、家には誰もいなかった。彼はすぐに全知全脳の力で状況を読み解く。
「おいおいおい……魔女狩りですって? 一神教のお膝元ならいざ知らず、こんな未だにヴァイキングと同じような生活している田舎でですかい」
主人の痕跡を辿って村の広場へ向かったロフターは愕然とした。おびただしい数の十字架と、そこに吊るされて火炙りにされる村人達。その全体は魔法陣の形に並んでおり、強大な結界を作っていた。
「グリーダ!」
結界の中心には、巨大な杭で全身を貫かれ絶命している魔女グリーダ。その血は地面に流れず、彼女の頭上にある油壷へドクドクと昇っていく。大勢の村人の命を使った強力な魔術により、魔女の生きた痕跡は一滴もこの地に残さない。今後復讐や天災が起きるのを予防するためだろう。
「二足歩行の喋る猫だと? 魔女の使い魔だ、捕らえろ!」
「なんで、なんでだよ! この村は何もしてないだろ、あんたらには関係ないだろぉ!?」
あらゆる魔法へ対策した聖職者達に押さえつけられながら、ロフターは結界内に入ろうと必死で足掻く。
「関係ないものか。世界は父なる創造主のもと平等であり、何人たりとも神秘に触れてはならない。我らの領土に野蛮な魔法を扱う村があるだけで大迷惑なんだよ! オラッ、とっととくたばれ畜生が!」
「うぐっ……」
ロフターの背中に祈祷済の杭が打ちつけられる! それはあらゆる魔物を二度と復活させることなく葬る代物だ。
「……は、ははは……異教徒は、だめかよ。魔女と平和に暮らしてちゃ、だめ、なの、かよ……」
しかし実のところ、魔法使いではなく全知全脳……物理的に全細胞を意のままにできる彼にそれは効果がなかった。それでもロフターは、一度やられた振りをして絶命してみせた。
གཉིས་པ་
やがて焼野原から復興した村の姿は一変し、教会を中心としたデンマーク人居住区になった。活気づいた村は貿易や経済活動の拠点となり、多くの人々が行き交うようになっていた。そして、あの魔女狩りから丁度百年が経過したあの日……
「うわああぁ、火山が! 火山が噴火したぞおおぉ!!」
「みんな逃げろーーーっ!」
一七八三年。ラキ火山が大噴火を起こし、大量の溶岩と火山灰で都市を瞬く間に飲み込んだ。大勢の命が燃えていく中、この都市を先住民から奪い取ったあの聖職者一族は教会に立てこもり、周囲で死んでいく人々の魂を基にした結界で噴火をやり過ごそうとした。
「ああ、主よ、神よ! 我らを���り給え!」
すると、固く施錠したはずの扉が突然開く。
「ほぉ。またまた死んだ人の魂で身を守ろうとしているんですね。人間は神秘の力を使っちゃダメなんて言ってたの、どこのどいつですかい?」
現れたのは、虎よりも大きな二足歩行の猫。黒いローブをマントのように羽織り、ぴんと立った耳と耳の間に三角帽を縦に被っている。右手には異様に大きなダイヤモンドのついた箒、左手には人皮と歪なダイヤモンドを縫い合わせた装丁の魔導書。これらは全て……魔女グリーダの遺品や遺体、遺骨でできた物だ。
「あんたらね。主よ、神よ! ……なーんて言うクセに、創造主がどんな存在か知らないんでしょう? まあ、見た人間は死ぬんですけどね」
「な、なんだ貴様は!? 化け猫如きが主の御名を語るな!」
「僕ですか? 僕は……」
猫が箒を振ると、ダイヤモンドが玉虫色の輝きを発して中空にルーンを描いた。輝きは教会の壁をスクリーンのように使い、人類が発狂しない程度の情報量で人類とカオスコロルの歴史を照射した。
「なっ……なっ……!?」
「おぅどうだ? 僕もあんたらが大好きな『神の子』だぞ」
自分達が指標にしてきた主は宇宙人。自分達が信じていた神は異形。たったそれだけの真実で、教会内に立てこもっていた全員が絶望し、聖なる結界は崩壊した。
「うははははは! まさに神は死んだってやつだ! あんたら神神言っときながらアレが何かも知らねぇくせに、異端ってだけでどうしてグリーダが殺されなきゃならなかったんだ! わはははははは!!」
そして全てが燃え尽き、都市だった物は跡形もなく崩れ落ちた。風に巻き上げられた煙や死者の煤は集まって黒煙の怪物となり、中途半端に燃えなかった教会の死体は不気味に蠢くカビ菌に生まれ変わった。その虚無に包まれた地で、猫は叫ぶ。
「いいか人類、よく聞けぇ! 僕は金剛有明団を結成し、神の名のもとに蛮行を繰り返す貴様らに真実を教えてやる! 全人類が失った第六感を取り戻し、貴様らが神と呼ぶモノがいかに無意味な存在か見せつけてやる! それがこの星のあるべき姿。金剛の有明と共に訪れる、嘘も隠し事もない絶望の楽園……」
かくして金剛有明団と、人類文明最大の脅威……大魔神ロフターユールが爆誕した。
「……地球(ここ)を楽園アガルダとする!!」
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【New arrival】 PabePabe (@pabepabeofficial ) ・【PabePabe】One-off (White) (¥35,530 tax included) ★バッグ底面一部に灰色の色移りが見られます(画像7枚目)。ご了承の上ご購入頂きますようお願い致します。 【サイズ】 ハンドル含む高さ:37cm ハンドル除く本体高さ:13cm ハンドル長さ:61cm 幅:29.5cm マチ:8cm 内部幅:26cm 内部マチ:7cm ストラップ長さ:106〜122cm ストラップ幅:2cm 【素材】 本体:ミックスレザー 【付属品】 ・保存袋 【補足】 ・バッグ口はマグネットボタンで留めます。 ・スイッチに機能性はありません。 ・スイッチ裏の内部は出っ張りがあります。 ・バッグ内部は横二列に仕切られた構造になっています。 ・ストラップは付け外し可能です。 【注意事項】 ・沢山の重い荷物を入れないでください。 ・高温、直射日光、雨、過度な圧力など製品に負荷がかかる使用は避けてください。 ・アルコール、酸、アルカリ、海水などとの接触は避けてください。 ・日常使用でバッグの金具が摩耗するのは自然現象です。湿気から保護し、柔らかい布で日常の汚れを拭き取るようにしてください。 ・長時間使用しないときは、しぼんだり変形しないように中綿を詰め、ダストバッグに入れて乾燥させてください。 ・他の革製品と直接触れ合って保管すると、互いに色移りするなど汚れることがありますのでご注意ください。 【免責事項】 ・異常な使用、メンテナンス、保管による革のキズ、変形、カビ、破損。 ・革の表面がアルコール、消毒液スプレー、酸性液などの化学物質にさらされることによる色落ち。 【ブランドプロフィール】 PabePabe(パビパビ)は2018年に香港でクリエイションチームにより設立されたアートアクセサリーブランド。 PabePabeは「奇妙な物を作る」という意味で、既製品と強い視覚的な美意識の組み合わせでデザインを創造する。ブランドコンセプトは「ridiculous aesthetic (滑稽な美学)」であり、ブランドのメインラインであるレザーデザインを世界とコミュニケーションするためのメディアと解釈し、機能性を超えた意味を強調した滑稽な美学を発信する。 #PabePabe #hongkongbrand #ridiculousaesthetic #uniquebag #香港ブランド #ユニークバッグ #brandshop #hongkongfashion #セレクトショップ #八王子セレクトショップ #セレクトショップ八王子 #ドメブラ #気鋭ブランド #若手ブランド #隠れ家ショップ #レンタルスペース #ファッション #八王子 #八王子市 #fashion #styling #coordination #hachioji #tokyo #japan #japanese #tokyofashion #japanfashion (Fashion and Gallery Zou Yilu) https://www.instagram.com/p/ChSHUP9B9Oj/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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起き抜けの頭で
8月1日。できたことを中心に。
掃除機をかけた。普段、時間が少しでも空いたら音楽を作るとか、寝るとかで大体時間は潰えてしまって、こういうことが億劫になってしまうのだが、そういうことをちゃんとやろうと思って、ちゃんとやった。掃除機をかけて、シェードランプの中を拭いた。掃除機の中身はきちんと捨てた。部屋の中の空気がきれいになった気がしている。まだ掃除しようと思えば、着工していない棚���中とか、できることはあるんだよね。少しずつ手のつくところからやっていこう。
捨ててもいいプリントやノートは捨てよう。
プロテインや水筒を干すための机のスペースに引いてあるバスタオルを変えた。バスタオルは洗濯に。
手の爪を切り、足の爪も切った。足の爪を切ると、だいぶ気分が変わる。
また、ジムの風呂では、・・・ジムに普段通っている人はどうしているのだろう。あまり体を洗うためのボディスポンジのようなものを使わないのだが、最近、風呂から上がって、体の水気を拭くために腕を擦っただけで、灰色の垢がポロポロと出ることがあったので、時間がある日は体をゴシゴシと洗うといいだろうと思って、垢を取るためのボディスポンジを買い、ちゃんと体を洗った。とても気持ちがよかった。改めて体の水気を拭き取る時、服に袖を通すときの肌のなめらかさが違うような気がした。
ただ、男性器を洗うとき、少し力を入れすぎてしまって、少し皮膚が擦りむけてしまったようで、痛い。男性器を洗うときはもっと優しくしないと行けないのだなということがわかった。
仕事がある平日の土日にもこれはできることだと思うので、続けようと思う。
ユニクロのスポーツ用の短パンのうち、ちょっとこれはもう履かないだろうなというものをすぐにユニクロの回収ボックスに入れられるようにのけておいた。
洗濯槽クリーナーはいつも198円ぐらいのものを買っているのだが、その横に750円もする高級な粉のカビ取り洗濯槽クリーナーがあって、そっちを買った。ぜひともその価格に見合う働きをしてもらえたらと思っている。
夏休み中に交換留学生のための授業をお願いされている件で、少し準備を進めた。必要なものをコピーしにアクラスのオフィスにまで行ってきた。そうしたら、M先生だけでなくS先生もいらしていたので、少し話をすることができた。
なんというか、当たり前の感想にはなってしまうのだけど、S先生はもちろん一代で外国語としての日本語教育を現実的で、すぐ使えるものに寄せるための実のなる活動をなさり、かつ、現在も教科書の改訂、制作のみならず、広報部長も買って出ているようなすごい方なのだが、だからと言ってS先生は孤高の存在というか迷いもブレもない完璧超人なのではなくて、きちんと悩み、迷いながら、作って、紡いできた方なのだなということが、今なら少し垣間見えるようになってきていて、それが自分には嬉しく思える。
コロナの第7波が本格的になってしまったことで、交換留学生の来日が遅れるとのことだ。なので、もしかしたら、全5回の授業が全3回になり、かなりコンパクトにまとめないといけないかもしれない。一応自分が任されている部分で、アクラスの資料をお借りしたら良い部分はお借りしてきた。
全3回の短縮版になるであろう方が今は現実的なので、また担当教師3人でのMTGなどあるだろう。が、
昨日の押す日、今日の足の日もモリモリと行った。温泉卵を朝昼に3個ずつ食べていて、それだとやや脂肪分が過多であるというのがそろそろ看過できない数字となって現れてきているので、少し食べるものをまた変えようと思っている。サラダチキンの2個セットで今もまだ198円のバータイプのものがまいばすけっとで売っているので、それを温泉卵3個の代わりに食べようかと思っている。タンパク質は落ちるが、脂質はかなり減らせる。今ある温泉卵を食べ切ったらやってみようと思う。
現在、体重は82.2kgで体脂肪率は18.2%である。体重は目標体重であった82kgを超えたが、やっぱり体脂肪率も高いので、そろそろ次の一手をというところかもしれない。OMEGA-3のサプリは届いて、すでに飲み始めている。
歯医者の定期検診のお知らせが来たので、明日にでも行ってこようと思っている。口腔内のケアは割と時間とお金をかけてやっている方だと思うので、全然怖いということはない。
今週土曜日に美容院に行く予約をした。
フィリピンのRとフォトセッションをする約束が夏休み中に入っていて、その前に髪を切っておこうかと思った。Rとのフォトセッションは8月13日土曜日か20日の土曜日かと思って、その辺りを目処にメールを送ってみるつもりだ。こちらからは特にアイディアはないのだが、向こうは何かアイディアはあるだろうか。こちらは体は確かに大きくなったが、腹回りも大きくなっていると思うので、堂々とお見せできるような何かになれば良いなと思う。
夏休み中に買い物に行って、新しいスニーカーを買おうと思っている。Adidasのパワーリフトは28.5cmのものを履いていて、普段履き用のスリッポンも28.5cmのものにしたのだが、正直ややぶかぶかしていて、靴の中で足が滑り、足をよく捻ってしまう。これはいかがなものか。明日、歯医者に行くついでに新宿のAdidasショップに行ってみると良いだろうか。黒白の目立たない感じのものがいいのだが。
目ぼしいギャラリー、美術館には大体回ることができた。Sさんに誘われて行けなかったギャラリーと、土曜日からWhat Museumで新しい展覧会があるので、それには行ってこようと思っている。
カバー曲"Some Girls Are Bigger Than Others"は一応トラック部分は形にはなっている。あとは歌を録音するまでの状態にはなった。・・・毎度、思うことなのだが、カバー曲・・・自分の曲よりカバー曲の方が実はトラック制作には時間がかかるし、同じ曲を繰り返し聴いて研究しながら組み立てて行くので、歌う段階までで結構、飽きを感じて、自分が今作っている曲がいい曲なのか、そんなにいい曲でもないのか、判断できなくなっている場合が多い。今回もそうなっている。歌を録音する前はやや腰が重くなるのもいつものことなのだが、明日かな、重い腰を上げて歌おうではないかと思っている。歌自体はそんなに難しい曲でもない・・・とか言っていると自分の覇気のない歌声に落胆するかもしれないので、油断せずに、でも気楽に歌おう。
ジャケット写真や15秒のTeaserに使うための素材がまるでない。曲を完成させられたら、明治神宮の森にでも行って、密じゃないところでね、何か撮影してこようかと思う。まずはジャケットを。
歌の方が優先と言えば優先なんだよね。カバー曲はライセンスを取る時間も必要なので。その辺は���日朝起きた気分で算段���て進めよう。
実は結構今日は一日頭痛を感じながら過ごした。理由はわからない。本当に単純に暑さのせいかもしれないし。
書いたかどうか覚えていないので、改めて書こう。2度書いていたのであれば、申し訳ない。国民年金と国民健康保険料を共に銀行口座からの引き落としに変えた。今まではコンビニまで支払いに行っていたのだが、細かい手間を省こうという算段だ。国民年金とか今、16500円ぐらい毎月払う必要があって、・・・正直とても高いなと思っている。Paypalの残高を今しがた日本のゆうちょ銀行に送った。49200円ほど。今、そこまで銀行の預金残高が空っぽすぎるなんてことはないのだが、50000円未満の送金だと手数料が250円で済むので、今やっておいた。
今日は日本のSくんの誕生日だったので、バースデーメッセージとLINEギフトを送った。Sくんは朝、ファミマのコーヒーとパンを買って会社で食べると行っていたので、コーヒーのチケットを買おうと思っていたのだが、ファミマのラインナップからコーヒーチケットが消えていて、少し中途半端な500円の買い物券2回分を送った。現実的だけど、半端だったなぁと思った。朝、起き抜けの頭でプレゼントを考えてもあまりいいものが浮かばないものだ。
昨日、7月31日は叔母のJちゃんの1周忌だった。Jちゃんが自殺してこの世を去ってから、もう1年経ってしまったんだなと思う。なんというか、日々、研鑽は怠っていないし、それなりに誠実には生きているということだけは、自信を持って言うことができる。
意外と書くことが溜まっていたんだな。1時間ぐらい書くことに費やしてしまった。
寝よう。
明日もできることはして過ごしたい。
これを読んでくれた人がいたら、どうか明日も平穏な1日を送ってもらえるよう祈っている。
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近場のうどん。
近場の中華屋さんでグーグルマップの評価が高いところに行ってみたりしたけど、どうもピンとこない。
これはラーメンを求めてるんじゃなくて、うどんなのでは⁉と気が付いたので。
近場の田舎にうどん屋さんとかそば屋さんなんかがぽつぽつ点在してる。
その中で評価の高い所を選んで行ってみた。
【ごん兵衛】
〒350-1206 埼玉県日高市南平沢408
ザ・田舎のうどん!
ずっしり重量感があって灰色のもにゅもにゅした麺。
脂少ない目ですっきり、野菜多めのつゆ。
う、うまい…。
なんでこんなに美味いんだ…?
80歳のおばあちゃんが一人でやってるお店。
今では希少になった【農林61号】という小麦の品種を使っていて、無化調のつゆ。
2,3日分しか粉を挽かないそう。粉をこぼすとあっという間に虫が寄ってくるのだそうな。
輸入した小麦粉は防虫剤と防カビ剤がすごいから虫を乗せるとアッという間に死んでしまう…なんて話も聞かせてくれた。
他にも一組老夫婦がお客さんでいた。
3人にうどんを出し終えると「座らせてもらいますね〜」と客席に座って開け放したドアから見えるバイク見て「スゴイのねぇ!」と。
自身もお嫁に来たときあんまりど田舎だったので車の免許取らないと生きていけないと思い、免許取りに行くために原付きの免許取ってカブに乗ってたそう。
おばあちゃんの時代だからバイクに乗る女の人、少なかったんだろうな。
あと!なますがメッチャ美味しかった。
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大麦栽培と大麦とえんどう豆のパン
ライ麦とオーツ麦の栽培ができたので、2019年に大麦の栽培に挑戦しました。
大麦もヴァイキング時代の主要な穀物で、粥やパンにしたり麦芽にしてビールの原料になったりと多くの用途があります。
大麦はおおまかに二条大麦と六条大麦の二種に分かれており、今回は二条大麦を育てました。
(後からヴァイキング時代は六条大麦が主流だと知ったときは衝撃でした。)
こちらでは2019年10月20日から2020年6月10日までの大麦栽培の様子を振り返ります。
前回の教訓から種まきの時期を変えました。
春に種を播くと登熟期に梅雨が被ってカビが生えたりするので秋播きに変更し、またバーク堆肥と苦土石灰を土に混ぜて土壌改良を試みています。
その結果土壌酸度が4.5から5.5程度になり、大麦の適正土壌酸度の7よりもだいぶ酸性よりですが、すこしはマシになったかと思います。バーク堆肥は混ぜる事により土が固まるのを防ぎ、通気性と排水性を高め根が伸びるのを助けます。
9月末ごろに苦土石灰を混ぜ、10月20日に三列に分けて大麦を播種しました。
10/26 発芽。その後育って写真は11/21のもの。
この時期になると気温が低いので成長がスロー。何度か麦踏みもしている。
冬を越して2020/4/27。雪の下で耐え縮こまっていた葉も4月に入って暖かくなると成長が再開する。
左側で咲いているのはホソバタイセイの花。
5/2 穂が顔を出す。草丈があまり伸びず心配していたのですこし安心。
5月上旬に花が咲き、写真は5/22 穂が膨らんできた。
6/8 穂が黄金色に。収穫ももうそろそろ。梅雨に入るギリギリまで待とう。
6/10 梅雨が近づいていたので急いで収穫。まだ青い穂もあったが全て収穫し、その後穂を切り取って乾燥させた。
6/20 ハサミでちまちま芒を切り取り、家庭用精米機で脱穀する。
この大麦は皮麦と呼ばれる種子に皮がつく品種なので、できるだけ皮も取れるように長めに精米機にかけ精麦した。
脱穀と精麦が完了し、計量。370gなら少ないもののいろいろ使えるかな。
ちなみに皮はしつこくへばりついてなかなか剥がれなかった。
8/2 大麦とえんどう豆の平焼きパンをつくるためコーヒーミルを使い製粉する。この製粉のやり方はやはりだいぶ無理があり、とても疲れた。
赤えんどう豆もゆでて潰したりと力作業が多かった。
パン作り。今回は出土品を参考に考古学の観点からヴァイキング時代の料理を再現したレシピブック「An Early Meal」から、ビルカ出土の大麦とえんどう豆の平焼きパンを作ってみます。
https://www.medieval.eu/viking-bread-and-food/
このレシピでは乾燥えんどう豆を使うのですが、ふさわしいものが身近になかったので赤えんどう豆で代用しています。
大麦粉と茹でて潰した赤えんどう豆を混ぜて生地にし、めん棒で薄く円状に成形したものを今回はスキレットで焼いてみました。
大麦はやはり小麦に比べて大味に感じましたが、えんどう豆の風味と香ばしさも相まって美味しかったです。
これ以外にも粥にしてみたりと大麦料理に挑戦してみましたがこのパンが一番美味しかったと思います。
今回の大麦栽培は試行したことと結果にわりと手応えがあり、収量も前回よりも増えたので調子に乗ってまた品を変え麦栽培を続けています。
2021年10月10日
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28/海に屍と濡羽菊
(SILENTにおける全てのネタバレが存在します)
(2021年7月某日の話)
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きっとそれが黒い大輪の菊に見えたのは、炎天下で首裏が焼かれる感覚と、足首が波に冷やされる感��が起こした倒錯のせいなのだ。
波音にのって、生ぬるい潮風が鼻先を撫でる。七月の海辺、日差しは朝だというのに既に強い。これが浜辺いっぱいにうざったい椰子の群れでもずらりと並んでとかいるのであれば影ができて話が別なのだろうが、本土の海岸でそんな植生は見たことがない。精々がシュロ、或いはマングローブ。それがあるにしても亜熱帯の地域だけ。こんな東海の片田舎の海辺にそんな耐塩制植物の群れが生えているわけもなく、よって首筋は陽に晒された結果じわじわと焼かれている。
七月、朝の日差し。生えかけの入道雲が山並みに沿って起き上がっている。
フィールドワークは私の日課だ。本業と言ってもいい。海洋生物群の調査、兼磯釣り、兼浜辺散策。SILENTからの任務が特にない週、そのうちの数度はフィールドワークに出かける。部屋に閉じこもって研究するのも良い――特にクソみたいに暑い日は――が、自分の分野は実地でのデータを得ないとまずはじまらない。釣りや磯漁りは趣味のようなものだが、得られないものがないわけではない。魚はおいしい。自分で捌いて食べるものはもっと。
だからその日磯に向かったのは偶然であり、運命だった。竿先の糸をのんびり垂らしているのにも飽きて、ぶらぶらと向かった先の潮だまりはすでにぬるくなっていた。岩場いっぱいに磯の匂いがじらじらと立ち上り、鼻の奥に潮を塗り付けてくる。
岩礁を二、三歩海側に跳ねるように歩いたところで、波打ち際になにか黒いものが打ち上げられているのが見えた。大輪の花のような黒い何か。
それはちょうど岩礁に乗り上げたような格好で岩に引っかかっており、波が何度か柔らかくさらって行こうと泡を投げかけていたけれど、黒い大きな花弁はふわふわと濁った泡の網の間にゆれるばかりだった。
一抱えもあるそれをぱっと見て、私はそれを海中に落ちた菊のようだと思った。細長く薄い花弁は濃い青の上に艶をもって浮かんでおり、波に揺れてふわふわと佇んでいた。
岩のふちには近づきすぎず、タモ網を伸ばしてそのかたまりを慎重に掬いあげると、確かな肉の重さが手の平に伝わってきて目を見ひらいた。やがてそれが大輪の花などではないことに気が付いた。それは、大きなカラスの亡骸だった。
「……なんで、海なんかに」
水を含んだ体を網から外して、抱きあげた。その拍子に翼がだらりと垂れ下がり、屍はいやに大きく見えた。
死んでしばらく経っているのか、からだは硬直が解けて僅かに柔らかかった。炎天下の潮水に晒されていたせいか微かに肉が生ぬるい。羽は潮水にもまれたのか一部があちこち変な方向にねじれ、痛んでいた。
頭部の形はあまり見慣れないもので、くちばしの形はハシブトガラスやハシボソガラスにしては整っている。在来種でないことは一目で解った。喉の羽毛が逆巻いており、濡れたせいでいっそうオパールのような七色に艶めいていた。彼は、ワタリガラスだろうと思う。北国の鳥であることはたしかで、どうしてこんな真夏の、よりにもよって辺境の海辺なんかに。
私は思わず周辺を見渡した。カラスの群れはどこにもいない。ざあんと波が岩場にうちつける音ばかり轟いている。沖合からミャウミャウとウミネコの声がした。背後を仰げば遠くに鳶の影が見えた。黒い翼は、案の定どこにも飛んではいない。
羽織ったパーカーが濡れるのも構わず、私は反射的にその遺骸を抱いていた。胸元はすでに水を吸い、じっとりと布がよれている。濡れた肌に海風が吹き付けてようやく私は亡骸の冷たさを感じた。翼の形が崩れてしまわないよう、慎重に彼の翼を折りたたんで抱きなおした。
若い個体のようだった。堕ちてしまったにしては外傷はなく、きれいな体をしている。岩礁に打ち上げられたときに擦れてしまったのかくちばしの端だけが少し欠けていた。瞼はぴっちりと閉じられて開かない。潮だまりで水浴びをしようとして、波にさらわれてしまったのだろうか。こんなところで、一羽きり、誰もいないところで。
日はじりじりと首を焼いている。太陽は中天に近づくにつれいよいよ勢いを増していた。ワタリガラスからは、まだ死臭がしなかった。
私は汐で痛んだ体を抱きかかえて車に戻った。急いでトランクからクーラーボックスを取り出すと、黒い遺骸をタオルと防水シートでくるみ、氷の内側に埋めるようにしてから蓋をした。内径90センチのクーラーボックスは彼の尾羽を折らないぎりぎりの大きさだった。それから磯に戻って、バケツの中に入ったイサキ二匹をしぶしぶ海に放流した。銀のうろこがやがて海底に沈んで見えなくなったところで、車のエンジンを掛けに戻る。時刻は九時四十分を指していた。普段家に帰るにしては、あまりにも早すぎる時間だった。
家に着いてまず行ったことは着替えることでもシャワーを浴びることでもなく、亡骸の洗浄だった。石鹸水を含ませたタオルで綺麗に全体をぬぐう。全身潮びたしなので、羽の隙間や翼の関節、足のつけねまで塩を取り除くように丹念に手入れした。
このとき微かに腐敗が始まったようで、肉の解けるにおいが作業場に籠り始めていた。過剰に冷やした暗室はばかみたいに涼しくて、私の乾いた足には砂がまだまとわりついたままだった。
翼を開いたり閉じたりしながら、写真を撮り、記録を付ける。体長79センチ、翼開長150センチ、オス、年齢不明だが二歳程度、くちばしに微細な欠け。
同定にさほど時間はかからなかった。確かに彼はワタリガラスだった。紙面にCorvus coraxと走り書いて、まじまじと閉じた瞳を覗き込んだ。東海の沿岸部にワタリガラスが飛来したことはもしかしたらどこかを探れば履歴が残っているのかもしれないけれど、私は一例だって知らない。不勉強を嘆くべきなのだろうか、それともこのようなイレギュラーに知識なしで遭遇したことを僥倖と思うべきなのだろうか。
慣れない夏の、冬のそれとはまったく様相の違うぎらつく太陽の下、ふらふらと一羽(ひとり)でこんなところまで翼をはためかせて飛んでいたのであろうことを思うと、私は自分の呼吸が浅くなるのを感じた。唐突に両の肺が痛んだ。
石膏粉をはたくと、まるで埃をかぶったように姿がみすぼらしくなる。水気をとってから一度粉を落とし、今度はまんべんなく駆虫粉をまぶす。潮ざらしになっているからそこまで虫はついていないと思うけれど、野生種はダニなどに食われやすいので丁寧に殺虫をする。毛の流れに逆らって粉をはたくと、時折やわらかな灰色の羽毛がふわりと抜けて私の鼻先をくすぐっていった。
粉をきれいに払ってから、体を台の上で仰向けにする。私はその広い胸にゆっくりとメスを埋めた。正中線に沿う腹と胸をつなぐ場所に羽毛の無い部分がある。肌は柔らかな灰青色をしており、つぷ、と刃先を飲み込んだ。
腹部を切り開いて、こんどは首と両肩に向かって皮を剥いでいく。腹膜と皮下脂肪の間の腱を切るようにしてメスを少しずつ滑らせていく。皮が剥がれた裏側にミョウバンを刷り込みながら、肉の塊と皮を丁寧に分離させる。
かるく私の身長ほどはある両翼は大きく、肩の骨もそれに見あって立派だった。骨を折らないように慎重な手つきで関節を根元から抜く。くちばしの真下まで慎重に切れ目を入れ、頸椎と食道を分離させる。思っている以上に綺麗に骨が抜けたので、骨格標本も作れるかもしれないとふと思い立った。喉の羽毛は切り開かれてもなお逆巻いて、玉虫色の渦のようにきらきらと光っている。ただ、きれいだった。
白い脂肪を掻き出しながら、ゆっくりと背側を剥いていく。首と胸を繋ぐ筋を切り落とし、服を脱がせるようにして皮を裏返した。私は彼を暴いている。
内側の肉たちは思っているより静かだった。腹膜の内側でころりところげるのに時折どきっとするけれど、それらは存外おとなしく、じっと皮が分離していくのを見つめていた。腐敗のせいで肉は少しだけ酸っぱいにおいがした。夏は足がはやい。もう少しはやく見つけてあげればよかった。それでも潮溜まりより、ずっと腹膜は冷たかった。
私は無言で皮を剥ぐ。やがて油脂腺の油でメスがどろどろになった。尾羽の付け根を切る。綺麗な濡羽色をしている。一つだったからだと内臓が分離していく。
弾力のある腹膜ごと内臓を左手でそっと支えると、指の腹が肉に埋もれて脂肪で濡れた。人の肉もこれくらい柔いのだろうか?
無心で皮を剥ぐ。やがて直腸を総排泄孔の手前で切断する。鉗子で先端を抑え、静かに抜け殻から肉を引き抜く。アルミトレイの上に乗せられた体内は、羊膜が破れていないままの胎児にも似ていた。腹膜を透かして素嚢が見えている。胸でようやく抱きかかえられるほどの大きさだから、人間の嬰児よりは少し大きかった。
まだ翼と脚と頭の肉が残っている。肩口から皮を裏返しながら肉を削ぎ、慎重に骨を抜いてはホウ酸の粉をはたく。代わりに針金の骨を入れて翼を固定する。
学術用の剥製にしたほうが楽なことは解っているが、立派な体なのだから本剥製にしたかった。腿の肉を掻き出して骨を抜く。上体に再度手をのばす。キジやサギにくらべ、首が短いカラスは頭骨を剥ぐのがやりやすい。首を裏返す。賢い頭蓋が剥き出しになり、隙間から脳が見えた。
眼窩にピンセットを差し込んで視神経ごとちいさな丸い眼球をずるりと抜き出す。黒曜石のような、小さくて綺麗な黒い色だった。あらかた顔まわりの筋肉を削ぎ終えたら、最後に脳を掻き出す。針に通した糸でまんべんなく、こそげとるようにさらう。
剥製を作るとき、頭骨だけは皮の内側に遺しておくことになる。余った肉を削いでいく。ミョウバンとホウ酸粉を丹念に塗りつけて、脂肪を慎重に削いで、最後に骨を拭って除肉は終わる。
抜いた骨たちは別のトレイに置き、皮を乾かしながら一度休憩をとった。午前中から作成を始めたのに、すでに日暮れに近い時間になっている。集中が切れたせいか唐突に異様なほど空腹を感じた。台所にいくと、妹が作りっぱなしのサンドイッチが冷蔵庫に放置されていたので勝手にいただく。クリームチーズが塗ったくられていることだけはとりあえずわかった。やはり不味い。おそらくあいつは料理の才能がないのだろうと結論をつけて、胃にパンを落とすことだけを考え、口元をぬぐった。皿を洗ってから作業部屋に戻る。
皮が変に縮まないうちに形を整えなければならなかった。翼などの一部を除いて内容物をあらいざらい引き抜かれたからだは二次元のように平らだ。骨の代わりに針金を、脂肪の代わりにわたを、臓器と筋肉の代わりに綿(めん)を入れ、生前の容貌を再現していく。そこに魂が宿らないことは知っていても、還ってこないことはわかっていても、可能な限り精巧なすがたを作り上げたかった。生きていたということを遺したかった。
そんなこと誰に頼まれたわけでもないのに。
そうやって作業に没頭し続けて数時間、すでにとっぷりと日が暮れ切った夜半にようやく剥製の全体が整った。切り開いた場所を簡単に縫合して、形が崩れないようにガラス棚の中へ保管しておく。
そこで初めて息をついて、ガラスの向こうに閉じ込められた濡羽色のきれいなからだを眺めた。死体とは思えないほど美しいそれは、しかしどうしたって死んでいた。からっぽのからだ。からっぽののうみそ。動かないつばさ。欠けたくちばし。
飛んでいるときの姿を知らない私にとって、その翼がどうやって風を切るのか、瞳はどう海を映したのか、止まり木をどうしならせるのか、梢と尾羽の擦れあう音がどんな高さなのか、それらのうち一つきりさえわかることはなかった。
私は彼を知らない。死体はもう鳴き声の一つも上げない。
恐る恐る手を伸ばして、くちばしの先から根元までをそっと撫でた。なめらかなくちばしは、しかし欠けた部分だけがざらついていた。あごの付け根を軽くさすって、そっと手を離した。ガラス戸を閉める静かな音が濃い潮の匂いに染まる部屋のなかに響いて消えた。私はアルミトレーの上に放り込まれた骨々を溶液に漬け込んで、部屋の電気を消す。
彼の剥製を教授に譲ることにしたのは、研究室で暇を持てあましてパソコンを抱えながら遠心分離機とにらめっこしていたときに教授が構われたがりそうに話しかけてきたことが発端だった。会話の中で駿河湾の話になって、不意にこの間ワタリガラスが飛来していたことを思い出したのでそれをいうと、彼はひどく興味津々にその話題に首をつっこんできた。
「飛来、って言っても、拾ったのは死骸ですよ」
「どちらにしても珍しいことには変わりないよ。剥製にできるほど状態がよかったということでもあるし」
「トキやらなんやらだったら生息域のマーキングに使えますけど、ワタリガラスですよ。北海道にでも行けば冬場死ぬほどいる」
「はは、謙遜するなあ。そういう珍しいものを珍しいと理解して、適切に判断、処理できることを褒めているんだから、素直に受け取れば良いのに。とても珍しいことだよ、私も直に見たかった」
謙遜なんていわれても、私はみつけただけであってここまで飛んできたのは彼自身である。僅かな空しさを感じて私は返答に困り、「はあ」とだけ零してまた遠心分離機の液晶パネルを見た。残り時間はまだ二分もある。この後もう一回遠心分離をかけないといけない。パソコンの画面と液晶パネルを無産的に交互に見てから、ぼんやり口を開いた。
「差し上げましょうか、剥製。気になるのなら」
「え、良いのかい」
「別に……。それに作ったのはいいですけど、家にあったって、管理しきれないですし。本剥製に仕立てちゃいましたけどそれでいいのなら」
どうします。と聞くまでもなく、彼の返答は「勿論」だった。研究室に飾ってくれるのであれば、虫に食われることも、腐敗してカビだらけになることも懸念しなくていい。四角いガラスケースの中で、作り物の止まり木に掴まってはばたく直前の格好をしながら、朽ちるまで永遠の沈黙を貫いていることができる彼のことを想像すると、安堵の隙間にどこか血の匂いのする溜め息が滲んだ。
教授は別れ際に、私に向かってこう言った。「そもそも、君がしっかり作り上げる本剥製自体珍しいから、それがよほどきれいな個体だったのだろうなと気になったのは否定しないよ」と。
その日家に帰ってから瞳に埋め込むための石を取り寄せることにした。実のところ、本剥製はまだ完成させていなかった。けれど他人に渡すのであれば面倒臭くとも仕上げをしなければならない。私は剥製職人ではないが時間をかければそれなりのものは作製できる。性格ゆえに、作りきる根気が滅多に出ないだけであって。
やることを整理する。まずパーツが届く間に、ポーズを整えて、縫合をしっかりして、毛並みをもう一度整えて。そうやって手を尽くして、ガラス越しに見る誰の目にも君が凜々しく見えるように。
だからこそ二も三もなく、彼の眼窩にぴったりな黒い瞳を探すつもりだったのだけれど、どうしてかふいに私の無意識が抵抗して、勝手に動作の主導権を握った。腕は勝手に、月色の丸い石のページを表示させていた。
数秒、その画面を見て固まる。まぶたの閉じないくぼみに嵌められた良く晴れた夜半の空のようなそれを脳裏で一瞬再生してしまい、引き攣るように笑って無理に頭を振った。濡羽に金の目。その文字列が、文字列以外のイメージに行きつかないよう強制的に思考の根をシャットアウトして、私はページを反射的に閉じる。その後は余計なことを何も考えず、黒曜石を選択してカートに入れるだけだった。だって、黒いワタリガラスに金色の目を持つ個体なんていない。
「きれいっつったって、そう見えてるのは多分、見てんのが自分だからですよ、教授」
誰に聞かせるわけでもない独白は部屋の中に溶かして、チェアをリクライニングぎりぎりまで傾ぐ。背もたれはギィ、と音をたてて軋む。LEDの柔らかな白色が、いたいくらいに眩しくて顔を覆った。エアコンの風が虫の声のように静かに空気をふるわせている。
夜の窓辺に、青白いシルエットのワタリガラスの骨格標本が静かに佇んでいる。肉と皮の一切を剥奪され、頭部さえもすっかり喪われたそれは、もはや私に何も語りかける言葉もなく、ただじっともう二度と手が届かない空を、ガラス窓越しに見上げるばかりだった。
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Rose🌹
白薔薇の魅力はまるで魔法です……。
はぁ……(恍惚としたため息)。
アンナプルナが咲き始めています。
あまりにも美しくてもうだめです……///
このアンナプルナという品種は、松尾園芸の社長さんの本の中で、白バラを育てたいなら絶対おすすめ!というぐらい強く勧められていたバラでした。
ほんとにその通りでした。
アンナプルナさん、素敵過ぎます~!!
陽光が当たると透明感や爽やかさも加味されてまた違った雰囲気に。
白いバラの破壊力は凄まじいです……。
玄関前にこの花が咲いているだけで自分の生活に素敵さがプラスされたかのような優越感を与えてくれます。
白バラだけでお庭作ってみたいと思わされてしまう。
ピンクも赤も好きなのでそれはさすがにしないけど!
こんなに美人さんな上に、とーっても良い香りがします。
ずるくないです??
バラの香りに化粧品のような深みを足した濃厚な香りがします。
風が吹いたときはもちろん、ただそこにあるだけで香ってくるのです。
こんなの……好きになっちゃうに決まってるじゃん……///
天然でこんな香りありえるの……??
ちょっと開きかけた蕾の段階から香っていました。
上の写真についてる虫は撮影後に我が指で圧死しました。
少し花びらにピンクや茶色っぽいシミのようなものができています。
これはどうやら、
・ ボトリチス病=灰色カビ病 (降雨や湿気)
・蕾の段階で虫に吸われた
あたりが原因ぽいです。
虫は毎日数匹ずつ排除しているのでたぶんもっと入り込んでいるだろうし、写真で見て分かるように雨もしばしば降っていました。
どちらも思い当たります。
白い花びらは目立っちゃうけど、私の環境では完全予防は難しそう。
これから梅雨もくるし。
花屋さんで売られている綺麗な切り花たちの生産者さんには尊敬しかありません。
強風時の転倒対策の石。
そろそろ台風も増えてくる時期だ~。
全ての蕾が咲き終わったら大きくて重めの鉢にちゃんと植え替えないと!
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洪水のように落ちるカビ
エアコンファンですが、元々の色が灰色なのに、あまりにもカビがつきすぎて、元々黒かったかのようにファン全体に黒カビが付着している場合があります。
このような場合は、全体に洗剤が行き渡るように、念入りに洗浄機からクリーナーを、飛ばしていきます。
十分に汚れが浮いてきてから、掃除していきます。
カビの上にカビが付着しているような状況なので、相当に手強いですが、当社スタッフはエアコンクリーニングを何百回も繰り返し、経験豊富ですので、時間がかかったとしても、必ずピカピカになります。
カビの重さを計ったことは無いですが、一体どれくらいの重量なのか、、
バケツが真っ黒になるくらいファンについている場合は、かなり本体に負担がかかっているはずです。
臭いニオイの原因だったり、故障の原因にもなりますので、なんか最近、エアコンの風が匂うなってかたや、送風口から黒いホコリが飛んでくる、なんて事があれば、沖縄エア…
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『生きている静物画』 大山純平 (写真家)
“金ばかりかかる、価値のない命。灰色のバスで運ばれる。窓は塗りつぶされたりカーテンがかけられていた。野生化した殺害”と私の日記帳に書いてあった。外から男が笑う声が断続的に聞こえた。充電式電池、吸汗速乾のサポートタイツ、クレンザー、包装用ラップ、シェービングジェル、洗濯用石鹸を注文した。スマイリーフェイスが全面に散りばめられた黒いパーカーを着た女が、フードを被り携帯電話の画面だけを見ながら坂を下ってきた。私が深夜に帰宅途中に頭上から男の声が聞こえた。二階にある居酒屋の店員が階下にいる店員に「投げるよ」と言った。階下にいる店員は「見えないっす」と言った。彼は自転車に跨り、ライターの蓋を何度も開けたり閉めたりしていた。部屋の壁紙の黒カビに吹きかけるカビ除去スプレーを注文した。右肩を下げながら歩く老人。バス停の屋根の柱の根元に丸めたティッシュペーパーが二十個ほど山積みにされていた。カビとりスプレーを部屋中の黒カビに噴射した。翌朝に黒カビの状態を確認して、まだ黒く残っているところに再び噴射した。数分後には白くなっていた。クローゼットの扉に付いたテープの剥がし跡、何かが擦れて黒くなった跡をメラミンスポンジでこすって落とした。浴槽に付着した湯垢をクレンザーをつけたスポンジの硬い部分でこすって落とした。全身黒い服装をした女が私に向かって歩いてきた。私は彼女から少し距離をとり、彼女の姿を見ないようにした。彼女とすれ違うときに彼女が「し」というのが聞こえた。あやしいの「し」、不審者の「し」、障害者の「し」、死ねの「し」。私はそのままスーパーへ向かった。私がレジへ持っていった上白糖のパッケージのバーコードが歪んでいて読み取られなかった。上は薄手のシャツ、下は下着のパンツしかはいていない老人が横断歩道を渡っていた。彼は周囲の目を引きながら百貨店へ入っていった。女二人が電車内の座席に座って互いの顔を寄せて携帯電話で写真を撮っていた。彼女たちの一人が降車のときに「次いつ?」と言った。「連絡する」ともう一人は答えた。隣の男に「妖怪人間」と何度も会話の中で発する女がいた。駅の清掃員を先頭にして降車した人々が歩いてきた。清掃員は早足で他の人々を大きく引きはなすと、点字ブロックの上の埃を素早く箒で掃きとった。駅のトイレの入口の前でジャケットのポケットに両手を入れて、落ち着かない様子であたりを見まわす男がいた。進行方向とは逆に流れるエスカレーターの乗り口に入っていく女がいた。救急車が止まっている脇の歩道にストレッチャーが置いてあった。ストレッチャーには誰も載せられていなかった。通りかかった幼稚園児が「救急車だ。おばあちゃんが死んだのかな?」と同級生に聞いていた。ものごとが望みどおりに動いているときは、人は、占いなど必要としないものだと思います。私が坂を下りていると後ろから自転車に乗った女が走り抜けていった。彼女は通行人を通り過ぎるたびに「ありがとうございます」と言っていた。通行人の一人の女は「ありがとうございますって言った」と笑いながら彼女と横一列に並んだ女三人に言っていた。私の並んでいるレジとは別のレジで、老人に「卵は198円ですけどいいですか?」と店員が大声で二回言った。この日は500円以上お買い上げの場合は卵が1パック79円になる。「いいです?」と店員が言った。老人は小さく「うん」と言った。電車内のモニターを見ながら駅名を書いてある順に声に出して言う男がいた。彼は振り返ると連れの女の名前の後ろに「ちゃん」をつけて話しかけていた。彼の口からは煙草と彼の食べた何かの臭いが混ざって悪臭が放たれていた。彼はジャケットのポケットから携帯電話を取り出して画面を見て「なんでハウス食品から」とつぶやいた。ドンキホーテで買った防水スプレーが効かない、という話を連れの女にする男。彼は外務省に入った友だちについての話をしはじめた。あいつは英語と数学はできなかったけど国語がすごくできた、あいつはものの考えかたはばかだけど生きかたを考えるのがうまい、新潟の人は言葉が強い、“やまだ”という名前のばかな友だちの話はまた後で、と降車するまでしゃべり続けていた。くしゃみをした勢いで座席から立ち上がり足早に降車する男がいた。八百屋の店頭に並べられている菜花の袋を見ながら何度もひっくり返している男がいた。
プロフィール:
https://www.instagram.com/jumpei.oyama/
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レイブンクローは嫌だ
※This post language is only Japanese※
ハリポタが新聞に載ったのは、確か私が7歳くらいだったので、1x年前くらいになります。それ以来、原作、映画ファンです。
11歳の時、ポストを見に行ったけど、入学許可証はありませんでした(当たり前)。子供ながらに落胆したのを覚えています。
で、以前公式で自分の寮を知ったのですが、まさかの、
レイブンクローやーん(棒)
で、歓迎の言葉がこちら。
もうこの時点で私3階のマートルと友達になりに行きます。あばよレイブンクロー。
そりゃルーナがいるからとか内装が素敵だからとかはあります、展望台みたいに見渡せる景色、ブルーの内装、プラネタリウムみたいな天井。
うん、わかるよ。たぶんずっと見てるよ天井。ただね、
ただできるならキッチン横のハッフルパフが良いなぁ…(欲しかない)
ふかふかソファに薬草学で使う植物🪴、差し入れ、キルトのベッド。努力家で誠実な生徒多数在籍(一部闇に落ちちゃうけど)、超平和。へいわすぎて留年しそうな快適さ。
いやハッフルパフなら留年したって良い!てか寮出たくない😭植物がマンドラゴラでも地下にいたなんかヤバいやつでも喜んでお世話するよ…ごはんください。
先生のお手伝いもしますよ食材の見分け方とか毒のアリナシを教えてもらうついでに!(思考がラギーブッチか胡蝶しのぶ)
だから転寮したい。できれば転寮したい。
ちなみにハッフルパフがいいのは、
合言葉ナシ/入り方が場所とリズムのみ
という利点もあるからです。私にもできる! ハッフルパフは糖尿病さえ気をつければ天国だと思う。
レイブンクローなんて中に入る前に「不死鳥と炎はどちらが先か」とか聞かれるんですよ、んなもん知るか。(答えは「円には始まりがない」)
塔の上ってことは寒いでしょうし、風は吹きつけるでしょうし、寒いでしょうし、よくわかんない基準もあるでしょうから、肌荒れや寒さから生理痛が増しそうです。あと、善良な人間が寮監しかいない。だいたいが、頭の良いクズ。(ロックハートさん、お元気ですか)
灰色のレディとは仲良くなれると思います。髪飾りの話さえしなきゃ。
それだったらまだ談話室の掲示板に合言葉張り出してくれるスリザリンのが良いです。私の推し、スネイプ教授にもご挨拶できます。
湖側で大イカとか水中人とかが泳いでるのが窓から見えるらしいです。ロマンチックですね。見たくないですが。
緑のランプで室内は照らされ、彫刻が彫ってある重厚なソファがあるらしいです。全然寛げません。むしろそこで勉強はできるのか。
ちょっとジメジメしてるらしいので、カビと喘息とアレルギーに気をつけなきゃならないかもしれない。THE面倒。
なんかプライド高そうだけど、グリフィンドールよりマシでは…。グリフィンドールはグリフィンドールと書いて「正義」と認識されますがスリザリンはスリザリンと書いて「クズ、悪人」ですよ。なんかされても「やることクズだからな…フッ」で許せるし、「アイツめんどくさいな」で終わりそうだし、寮内で何やっても「スリザリンだから」で許されそうじゃないですか。反論されようものならリドルくんのダンガンロンパ並みに自分がいかにスリザリン生として相応しい行為を働いたか説明してやります。トムリドルじゃなく、ローズハートくんですよ。闇の帝王ややこしいな。
もしくは自分が佐野万次郎になれば一発で解決できる。(魔法は筋肉から)
グリフィンドールなんて正義が個人や時代や流行によって変わるから、一気に手のひら返しが怖くて入れませんわ。談話室は暖かそうですけどね。ストレスで胃と腸がやられて医務室通いになると思います。
やっぱりハッフルパフが一番だよね。
ちなみにツイステだったらイグニハイドを選んで自室の君jrとか呼ばれたいです。
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【天然麹菌採取のロマン①】
Facebookの思い出として一年前に秋田今野商店を訪れた記事が上がって来たので、野生麹カビ採取について綴って行こうと思います。
『千年の一滴 だし しょうゆ』という日仏合作のドキュメンタリー映画をご存知でしょうか。
http://www.asia-documentary.com/dashi_shoyu/
渋谷のアップリンクまで、スクリーンいっぱいに映し出されるオリゼー (アスペルギルス・オリゼー ニホンコウジカビ 黄麹菌)見たさに上京したことは懐かしい思い出です。
京都の老舗種麹屋・菱六さんのところで、梅雨時の庭先に椿の木灰を付けたご飯を置いておくと麹カビが生えるとあり、胸躍る思いで見入った私は既にカビに侵されていたのかもしれません笑
これは良いことを聞いたと早速自宅の庭で採取観察を行いました。
オリゼー は他のカビに比べ アルカリに強く、蒸米に椿の灰をまぶして麹が心地よい湿度と温度を与え続けることで育つそうです。
カラフルに美しい花が咲く中からこれはと思う子を選び出し、蒸米に付け培養。すると本当に種麹のように黄緑色の胞子のカーペットが咲きました。(2016年8月)
この胞子の色は麹塵(きくじん)と言って天皇しか着ることの出来ない高貴な色として知られています。https://irocore.com/kikujin/
種麹のように胞子を付けて製麹すると真っ白な米麹となり、栗の香り、甘酒も出来ました。
この実験がすんなり出来た背景には、その前の年に稲霊による麹の培養実験の経験があったからです。
稲に着く稲麹とか稲玉、稲霊と呼ばれる黒い玉に出会ったのは遠野の風土農園さん(自然農法の米農家さん)の稲刈り体験に参加した折の事でした。(2015年秋)
昔はこの玉がつくとその年は豊作といわれ、先人達は稲霊様(いなだまさま)と呼び ここから麹を育て味噌や酒を作り出してきたと聞き及び、この玉との出会いを願い続けていた私は小躍りするほど歓喜したものです。
奇しくもその場に居合わせたのが、石巻の自然栽培米農家・太田さんでした。後に大変お世話になる方です。
今は米の品質が下がる理由から稲麹病とし農薬によりその姿は殆ど消えていますが実は昨年、友人の敢行栽培の田圃で毎年のように出ると聞き実際に見せてもらうことに。
本当に一面に黒い玉が虫のように付いていたのには驚きました。(2019年秋)
勿論、此方でも米麹が作れ甘酒が出来上がっています。そして驚くべきことに、この稲霊は保存の過程で白く胞子を纏ったのです。
話を元に戻しますが、これらの経験を経て秋田今野商店・種麹の製造元へ伺ったわけです。
そこで衝撃的な台詞が。
「自然界に野生のオリゼー は存在しない」
えーーーーーー!?
つづく
2020.5.19
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安楽死法案の可決
最近は胃痛がどうにもおさまらない。病院で検査をしてもらったら自分がどれくらい不健康か分かるのだろうか。5年前はこんなに指先が節くれ立っていただろうかとときどき恐ろしくなるし、そうでなくても二日に一回は腹痛で脂汗をかいている。しかし自分がどれほど死に近い生き物かというのは分からなければ分からないほうがよい。死が恐ろしいとかそういうセンチメンタルな理由ではなくて、ついつい考えてしまうからだ——自分がもっと愛されるに足る人間であれば、もっと死から遠い人生を歩めたか、もしくは死に近かったとしても誰かから気遣ってもらえただろうということを。
どうしてかつての日本人たちは畳ではなくてフローリングを快適で清潔でよりよいものだと判断したのだろう。寒さのあまり顎が震え歯がガチガチと音を立てるのだが、こんなふうに分かりやすい「寒さ」の表明をしたところで誰が見ていてくれるわけでもない。おそらく裏側がカビているであろう布団に倒れ込む。5年間一度も掃除をしたことのない灰色のカーペットには私のフケや髪の毛や陰毛それからペヤングのキャベツなんかが積もり積もっている。
先月知人が安楽死した。安楽死をするのに条件は必要がない。そういう法案だった。ただ当人が「自分はもう生きていたくはない」という感情と、それらに伴う必要事項をひとそろいの書類に記入し提出すればそれでよいのだ。たとえばそれを府中市役所に提出し、提出後はすみやかに安楽死に対応した病院に入院する。まあ、知人といっても職場の人間なので詳しいことは知らない。入院から死、そして火葬から埋葬に至るまで全ては病院だか府中市だか、もしくはそれらと提携している民間企業だかが迅速に行ったため、葬式も通夜もなかった。なくてよかった、と私は安堵した。たかが職場が同じだった人間のために出したいと思う金はない。
安楽死法案が可決された当初、この法案は国家による自殺幇助だ、とSNSで憤っている人々がたくさんいた。私はせせら笑った。ではなぜお前たちには愛する家族がいて暖かい我が家があるのだ。どうして自殺をしたくなるような情景を私に見せつけて憚らないのだ。反対派の声もむなしく法案が通り、私には選択肢が与えられた。もしも明日、仕事をするのが本当に嫌になってしまったとしても、逃げる場所が残されている。首をつったりビルから飛び降りたり電車に轢かれたりする必要はもはや無くなり、安らかで苦痛のない死が私を迎えてくれる。
いざとなれば死ねばよいと考えると右足からも左足からもやる気がみなぎってきた。上司に何を言われても「じゃあ私はきょうこの足で市役所に行き死んでまいります、遺書にはあなたの名前を書きます、明日が納期のこの案件は私がいなくなることで炎上必至でしょうが私には知ったことではありません」と頭の中で反芻しことなきを得た。どうせ給料は上がらない。
老後のことも考えなくて良くなった。これまでは不安で仕方がなかったのだが、今は今月の食費と家賃と光熱費さえあればそれでよい。毎月の給料が17万なのを見てやにわに涙が溢れ出ることがなくなり本当に良かった。何しろ働けなくなれば死ねばいい。
ほんらい動物というものはこういうものだ、きょうを生きるだけで精一杯で、明日のことを考えられる状態のほうがおかしいのである。
知人が死んだと聞いたとき、次にこの職場で死ぬのは私だろうと思い、そして——矛盾しているのだが——次に職場で死ぬのは誰だろうか、あの人あたりが怪しい、などとつらつら考え、それから先日購入した宝くじのこと、また先だってSNSで求愛した高校生のことを考えた。
灰色のカーペットをじっと見ていると急に吐き気がしてくる。自分と世界の間にはこのカーペットのような気色の悪い隔たりがあって、その隔たりがある限り、私は生きて死ぬことしかできないのに違いない。
「殺すぞ」と適当に宙へつぶやき、その吐いた呪詛はすぐさま自分の身に戻ってくる。どうせなら呪詛によって死んでしまえればいい、それであったら、「誰かが私を殺した」とあの世で胸を張れるのに。
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ひとみに映る影 第六話「覚醒、ワヤン不動」
☆プロトタイプ版☆
こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。
段落とか誤字とか色々とグッチャグチャなのでご了承下さい。
書籍版では戦闘シーンとかゴアシーンとかマシマシで挿絵も書いたから買ってえええぇぇ!!!
→→→☆ここから買おう☆←←←
(※全部内容は一緒です。)
pixiv版
◆◆◆
人はお経や真言を想像するとき、大抵『ウンタラカンタラ~』とか『ムニャムニャナムナム~』といった擬音を使う。
確かに具体的な言葉まで知らなければ、そういう風に聴こえるだろう。
ましてそういうのって、あまりハキハキと喋る物でもないし。
特に私達影法師使いが用いる特殊な真言を聞き取るのはすごく難解で、しかも屋内じゃないとまず喋ってる事自体気付かれない場合が多い。
なぜなら、口の中を影で満たしたまま言う方が法力がこもる、とかいうジンクスがあり、腹話術みたいに口を閉じたまま真言を唱えるからだ。
たとえ静かな山間の廃工場であっても、よほど敬虔な仏教徒ではない人には、『ムニャムニャ』どころか、こう聴こえるかもしれない。
「…むんむぐうむんむうむむむんむんうむむーむーむうむ…」
「ヒトミちゃん?ど、どしたの!?」
正解は、ナウマク・サマンダ・バザラダン・カン・オム・チャーヤー・ソワカ。
今朝イナちゃんは気付いてすらいなかったけど、実はこの旅でこれを唱えたのは二回目だ。
廃工場二階部踊り場に催眠結界を張った人物に、私は心当たりがあった。
そのお方は磐梯熱海温泉、いや、ここ石筵霊山を含めた熱海町全域で一番尊ばれている守護神。
そのお方…不動明王の従者にして影法師を束ねる女神、萩姫様は、真っ暗なこの場所にある僅かな光源を全て自らの背後に引き寄せ、力強い後光を放ちながら再臨した。
「オモナ!」
「萩姫…!」
驚きの声を上げたのは、テレパシーやダウジングを持たないイナちゃんとジャックさんだ。
「ひーちゃん…ううん。紅一美、よくぞここまで辿り着きました。
何ゆえ私だと気付いたのですか」
萩姫様の背後で結界札が威圧的に輝く。
今朝は「別に真言で呼ばなくてもいい」なんて気さくに仰っていたけど、今はシリアスだ。
「あなたが私達をここまで導かれたからです、萩姫様。
最初、源泉神社に行った時、そこに倶利伽羅龍王はいませんでした。代わりにリナがいました。
後で観音寺の真実や龍王について知った時、話が上手くいきすぎてるなって感じました。
あなたは全部知っていて、私達がここに来るよう仕向けたんですよね?」
私も真剣な面持ちで答えた。相手は影法師使いの自分にとって重要な神様だ。緊張で手が汗ばむ。
「その通りです。あなた方を金剛の者から守るためには、リナと邂逅させる必要があった。
ですが表立って金剛の者に逆らえない私は、敢えてあなた方を源泉神社へ向かわせました。
金剛観世音菩薩の従者リナは、金剛倶利伽羅龍王に霊力の殆どを奪われた源泉神社を復興するため、定期的に神社に通ってくれていましたから」
そうだったんだ。暗闇の中で、リナが一礼するのを感じた。
萩姫様はスポットライトを当てるように、イナちゃんにご自身の光を分け与えられた。
「金剛に選ばれし隣国の巫女よ」
「え…私ですか?」
残り全ての光と影は未だ萩姫様のもとにあって、私達は漆黒に包まれている。
「今朝、あなたが私に人形を見せてくれた時、私はあなたの両手に刻まれた肋楔緋龍の呪いに気がつきました。
そして勝手ながら、あなたの因果を少し覗かせて頂きました」
萩姫様は影姿を変形させ、影絵になってイナちゃんの過去を表現する。
赤ちゃんが燃える龍や肉襦袢を着た煤煙に呪いをかけられる絵。
衰弱した未就学の女の子にたかる大量の悪霊を、チマチョゴリを着た立派な巫女が踊りながら懸命に祓う絵。
小学生ぐらいの少女が気功道場で過酷なトレーニングを受ける絵…。
「はっきり言います。もしあなた方がここに辿り着けなかったら、その呪いは永遠にとけなかったでしょう。
あなただけではありません。このままでは一美、熱海町、やがては福島県全域が金剛の手に落ちる事も起こりうる」
福島県全域…途方もない話だ。やっぱりハイセポスさんが言っていた事は本当だったのか?
「萩姫様。あなたが護る二階に、いるのですね。水家曽良が」
決断的に譲司さんが前に出た。イナちゃんを照らしていた淡い光が、闇に塗りつぶされていた彼の体に移動した。
「そうとも言えますが、違うとも言えます、NICの青年よ。
かの殺人鬼は辛うじて生命力を保っていますが、肉体は腐り崩れ、邪悪な腫瘍に五臓六腑を冒され、もはや人間の原形を留めていません。
あれは既に、悪鬼悪霊が蠢く世界そのものとなっています」
萩姫様がまた姿を変えられる。蛙がボコボコに膨れ上がったような歪な塊の上で、燃える龍が舌なめずりする影絵に。
そして再び萩姫様の御姿に復帰する。
「若者よ。ここで引き返すならば、私は引き止めません。
私ども影法師の長、神影(ワヤン)らが魂を燃やし、龍王や悪霊世界を葬り去るまでのこと。
ですが我らの消滅後、金剛の者共がこの地を蹂躙する可能性も否定できません。
或いは、若者よ。あなた方が大量の悪霊が世に放たれる危険を承知でこの扉を開き、金剛の陰謀にこれ以上足を踏み入れるというのならば…」
萩姫様がそう口にされた瞬間、突如超自然的な光が彼女から発せられた。
カッ!…閃光弾が爆ぜたように、一瞬強烈に発光したのち、踊り場全体が昼間のように明るくなる。
「…まずはこの私を倒してみなさい!」
視界がクリアになった皆が同時に見たのは、武器を持つ幾つもの影の腕を千手観音のように生やした、いかにも戦闘モードの萩姫様だった。
◆◆◆
二階へ続く扉を堅固に護る萩姫様と、私達は睨み合う。
戦うといっても、狭い踊り場でやり合えるのはせいぜい一人が限界。
張り詰めた空気の中、この決闘相手に名乗り出たのは…イナちゃんだ!
「私が行きます」
「馬鹿、無茶だ!」
制止するジャックさんを振り切って、イナちゃんは皆に踊り場から立ち退くよう促した。
「わかてる。私は一番足手まといだヨ。だから私が行くの。
ドアの向こうはきっと、とても恐い所になてるから、みんな温存して下さい」
自虐的な言葉とは裏腹に、彼女の表情は今朝とは打って変わって勇敢だ。
萩姫様も身構える。
「賢明な判断です、金剛の巫女よ」「ミコじゃない!」
イナちゃんが叫んだ。
「…私はあなたの境遇に同情はしますが、容赦はしません。
あなたの成長を、見せてみなさい!」
イナちゃんは目を閉じ、呪われた両手を握る。
「私は…」
ズズッ!その時萩姫様から一本の影腕が放たれ、屈強な人影に変形!
<危ない!>迫る人影!
「…イナだヨ!」
するうちイナちゃんの両指の周りに細い光が回りだし、綿飴めいて小さな雲に成長した!
イナちゃんはばっと両手を広げ、雲を放出すると…「スリスリマスリ!」
ぽぽんっ!…なんと、漆黒だった人影がパステルピンクに彩られ、一瞬でテディベア型の無害な魂に変化した!
「何!?」
萩姫様が狼狽える。
「今のは…理気置換術(りきちかんじゅつ)!」
「知っているのかジョージ!?」
ジャックさんにせっつかれ、譲司さんが説明を始める。
「儒教に伝わる秘伝気功。
本来の理(ことわり)から外れた霊魂の気を正し、あるべき姿に清める霊能力や」
そうか、これこそイナちゃんが持つ本来の霊能力。
彼女が安徳森さんに祈りを捧げた時、空気が澄んだような感じがしたのは、腐敗していた安徳森さんの理が清められたからだったんだ!
淡いパステルレインボーに光る雲を身に纏い、イナちゃんは太極拳のようにゆっくりと中腰のポーズを取った。
「ヒトミちゃんがこの旅で教えてくれた。
悲しい世界、嬉しい世界。決めるのは、それを見る私達。
ヒトミちゃんは悲しいミイラをオショ様に直した。
だから私も…悲しいをぜんぶカワイイに変えてやる!」
「面白い」
ズズッ!再び萩姫様から影腕が発射され、屈強な影絵兵に変わった。
その手には危険なスペツナズナイフが握られている!
「ならば自らの運命をも清めてみよ!」
影絵兵がナイフを射出!イナちゃんは物怖じせずその刃を全て指でキャッチする。
「オリベちゃんもこの旅で教えてくれた」
雲に巻かれたナイフ刃と影絵兵は蝶になって舞い上がる!
「友達が困ったら助ける。一人だけ欠けるもダメだ」
ズズッ!新たな影絵兵が射出される。
その両手に構えられているのは鋭利なシステマ用シャベルだ!
「ジャックさんもこの旅で教えてくれた」
イナちゃんは突撃してくるその影絵を流れる水のようにかわし、雲を纏った手で掌底打ちを叩きつける!
「自分と関係ない人本気で助けられる人は、何があても皆に見捨てられない!」
タァン!クリーンヒット!
気功に清められた影絵兵とシャベルはエンゼルフィッシュに変形!
間髪入れず次の影絵兵が登場!
トルネード投法でRGD-33手榴弾を放つ!
「ヘラガモ先生もこの旅で教えてくれた」
ぽぽんぽん!…ピヨ!ピヨ!
雲の中で小さく爆ぜた手榴弾からヒヨコが生まれた!
「嫌な物から目を逸らさない。優しい人それができる」
コッコッコッコッコ…影絵兵もニワトリに変化し、ヒヨコを率いて退場した。
「リナさんとポメラーコちゃんも教えてくれた!」
AK-47アサルトライフルを乱射する影絵兵団を掻い潜りながら、イナちゃんは萩姫様に突撃!
「オシャレとカワイイは正義なんだ!」
影絵兵は色とりどりのパーティークラッカーを持つ小鳥や小型犬に変わった。
「くっ…かくなる上は!」
萩姫様がRPG-7対戦車ロケットランチャーを構えた!
さっきから思ってたけど、これはもはやラスボス前試練の範疇を越えたバイオレンスだ!!
「皆が私に教えてくれた。今度は私あなたに教える!
スリスリマスリ・オルチャン・パンタジィーーッ!!!」
パッドグオォン!!!…ロケットランチャーの射出音と共に、二人は閃光の雲に包まれた!
「イナちゃあああーーーーん!!!!」
光が落ち着いていく。雲間から現れた影は…萩姫様だ!
<そんな…>
「いや、待て!」
譲司さんが勘づいた瞬間、イナちゃんもゆっくりと立ち上がった。
オリベちゃんは胸を撫で下ろす。
「これが…私…?」
一方、自らの身体を見て唖然とする萩姫様は…
漆黒の着物が、紫陽花色の萌え袖ダボニットとハイウエストスキニージーンズに。
「そんな…こんな事されたら、私…」
市女笠は紐飾りだけを残してキャップ帽に変わり、ロケットランチャーは形はそのままに、ふわふわの肩がけファーポシェットに。
「私…もうあなたを攻撃できないじゃない!」
萩姫様はオルチャンガールになった。完全勝利!
「アハッ!」
相手を一切傷つけることなく試練を突破したイナちゃんは、少女漫画の魔法少女らしく決めポーズを取った。
「ウ…ウオォォー!すっげえなお前!!」
ファンシーすぎる踊り場に、この場で一番いかついジャックさんが真っ先に飛びこむ。
彼は両手を広げて構えるイナちゃんを…素通り!
そのまま現代ナイズされた萩姫様の手を取る。
「オモナ!?」
「萩姫。いや、萩!俺は前から気付いていたんだ。
あんたは今風にしたら化けるってな!
どうだ。あのクソ殺人鬼とクソ龍王をどうにかしたら、今度ポップコーンでもウワババババババ!!!!」
ナンパ中にオリベちゃんのサイコキネシスが発動し、ジャックさんは卒倒した。
オリベちゃんの隣にはほっぺを膨らましたイナちゃんと、手を叩いて爆笑するリナ。
「あっはははは、みんなわかってるゥ!
ここまでセットで王道少女漫画よね!」
一方譲司さんはジビジビに泣きながらポメラー子ちゃんを頬ずりしていた。
「じ、譲司さん?」
「ず…ずばん…ぐすっ。教え子の成長が嬉しすぎで…わああぁ~~!!」
<何言ってるの。あんたまだ養護教諭にすらなってないじゃない>
「もうこいつ、バリに連れて行く必要ないんじゃないか?」
「嫌や連れでぐうぅ!向こうの子供らとポメとイナでいっぱい思い出作りたいもおおぉおんあぁぁあぁん」
「<お前が子供かっ!!>」
キッズルーム出身者二人の息ぴったりなツッコミ。
涙と鼻水だらけになったポメちゃんは「わうぅぅ…」と泣き言を漏らしていた。
程なくして、萩姫様は嬉し恥ずかしそうにクネクネしたまま結界札を剥がした。
「若者よ…あんっもう!私だって心は若いんだからねっ!
私はここで悪霊が出ないように見張ってるんだから…龍王なんかに負けたらただじゃ済まないんだからねっ!」
だからねっ!を連発する萩姫様に癒されながら、私達は最後の目的地、怪人屋敷二階へ踏みこんだ。
◆◆◆
ジャックさんが前もって話していた通り、二階は面積が少なく、一階作業場と吹き抜け構造になっている。
さっきまで私達がいたエントランスからは作業場が見えない構造だった。
影燈籠やスマホで照らすと、幾つかの食品加工用らしき機材が見える。
勘が鋭いオリベちゃんと譲司さんが不快そうに目を逸らす。
<この下、何かしら…?直接誰かがいる気配はないのに、すごくヤバい気がする。
まるで、一つ隔てた世界の同じ場所が人でごった返しているような…>
「その感覚は正しいで、オリベ。
応接室はエレベーターの脇の部屋や。そこに水家がおる。
そして…あいつの脳内地獄では、吹き抜けの下が戦場や」
<イナちゃん。清められる?>
「無理です。もし見えても一人じゃ無理です。
オルチャンガール無理しない」
<それでいい。賢明よ。みんなここからは絶対に無理しないで>
譲司さんの読みは当たっていた。階段と対角線上のエレベーターホール脇に、ドアプレートを外された扉があった。
『応接室』のプレートは、萩姫様の偽装工作によって三階に貼られていた。
この部屋も三階の部屋同様、鍵は閉まっていない。それどころか、扉は半開きだった。
まず譲司さんが室内に入り、スマホライトを当てる。
「水家…いますか?」
私は申し訳ないが及び腰だ。
「おります。けど、これは…どうだろう?」
オリベちゃんがドアを開放する。きつい公衆トイレみたいな臭いが廊下に広がった。
意を決して室内を見ると…そこには、岩?に似た塊と、水晶でできた置物のようなもの。
岩の間から洋服の残骸が見えるから、あれが水家だと辛うじてわかる。
「呼吸はしとるし、脳も動いとる。けど恐ろしい事に、心臓は動いとらん。
哲学的やけど、血液の代わりにカビとウイルスが命を繋いどる状態は…人として生きとるというのか?」
萩姫様が仰っていた通り、殺人鬼・水家曽良は、人間ではなくなってしまっていたんだ。
ボシューッ!!…誰かが譲司さんの問いに答えるより前に、死体が突如音を立てて何かを噴出した!
「うわあぁ!?」
私を含め何人かが驚き飛び退いた。こっちこそ心臓が止まるかと思った。
死体から噴出した何かは超自然的に形を作り始める。
こいつが諸悪の根源、金剛倶利伽羅…
「「<「龍王キッモ!!?」>」」
奇跡の(ポメちゃん以外)全員異口同音。
皆同時にそう口に出していた。
「わぎゃっわんわん!!わぅばおばお!!!」
ポメちゃんは狂ったように吠えたてていた。
「邂逅早々そう来るか…」
龍王が言う…「「<「声もキッモ!!?!?」>」」
デジャヴ!
龍王はキモかった。それ以上でもそれ以下でもない、ともかくキモかった。
具体的に描写するのも憚られるが、一言で言えば…細長い燃える歯茎。
金剛の炎を纏った緋色の龍、という前情報は確かに間違いじゃない。シルエットだけは普通の中国龍だ。
けど実物を見ると、両目は梅干しみたいに潰れていて、何故か上顎の細かい歯は口内じゃなくて鼻筋に沿ってビッシリ生えて蠢いてるし、舌はだらんと伸び、黄ばんだ舌苔に分厚く覆われている。
二本の角から尾にかけて生えたちぢれ毛は、灰色の脇毛としか形容できない。
赤黒い歯茎めいた胴体の所々から細かく刻まれた和尚様の肋骨が歯のように露出し、ロウソクの芯のように炎をたたえている。
その金剛の炎の色も想像していた感じと違う。
黄金というかウン…いや、これ以上はやめておこう。二十歳前のモデルがこれ以上はダメだ。
「何これ…アタシが初めて会った時、こいつこんなにキモくなかったと思うけど…」
リナが頭を抱えた。一方ジャックさんは引きつけを起こすほど爆笑している。
「あっはっはっは!!タピオカで腹下して腐っちまったんじゃねえのか!?
ヒィーッひっはっはっはっはっは!!」
<良かった!やっぱ皆もキモいと思うよね?>
背後からテレパシー。でもそれはオリベちゃんじゃなくて、踊り場で待機する萩姫様からだ。
<全ての金剛の者に言える事だけど、そいつらは楽園に対する信奉心の高さで見え方が変わるの!
皆が全員キモいって言って安心したよ!>
カァーン!…譲司さんのスマホから鐘着信音。フリック。
『頼む、僕からも言わせてくれ!実にキモいな!!』
…ツー、ツー、ツー。ハイセポスさんが一方的に言うだけ言って通話を切った。
「その通りだ」
龍王…だから声もキモい!もうやだ!!
「貴様らはあの卑劣な裏切り者に誑かされているから、俺様が醜く見えるんだ。
その証拠に、あいつが彫ったそこの水晶像を見てみろ!」
死体の傍に転がっている水晶像。
ああ、確かに普通によくある倶利伽羅龍王像だ。良かった。
和尚様、実は彫刻スキルが壊滅的に悪かったんじゃないかって疑ってすみません。
「特に貴様。金剛巫女!
成長した上わざわざ俺様のもとへ力を返納しに来た事は褒めてやろう。
だが貴様まで…ん?金剛巫女?」
イナちゃんは…あ、失神してる。脳が情報をシャットダウンしたんだ。
「…まあ良し!ともかく貴様ら、その金剛巫女をこちらに渡せ。
それの魂は俺様の最大の糧であり、金剛の楽園に多大なる利益をもたらす金剛の魂だ!
さもなくば貴様ら全員穢れを纏いし悪鬼悪霊共の糧にしてやるぞ!」
横暴な龍王に対し、譲司さんが的確な反論を投げつける。
「何が糧や、ハッタリやろ!
お前は強くなりすぎた悪霊を制御出来とらん。
せやから悪霊同士が潰し合って鎮静するまで作業場に閉じこめて、自分は死体の横でじっと待っとる!
萩姫様が外でお前らを封印出来とるんが何よりの証拠や!
だまされんぞ!!」
図星を突かれた龍王は逆上!
「黙れ!!だから何だ、悪霊放出するぞコノヤロウ!!
俺様がこいつからちょっとでも離れたら悪鬼悪霊が飛び出すぞ!?あ!?」
その時、私の中で堪忍袋の緒が切れた。
◆◆◆
自分は怒ると癇癪を起こす気質だと思っていた。
自覚しているし、小さい頃両親や和尚様に叱られた事も多々あって、普段は余程の事がない限り温厚でいようと心がけている。
多少からかわれたり、馬鹿にされる事があっても、ヘラヘラ笑ってやり過ごすよう努めていた。
そうして小学生時代につけられたアダ名が、『不動明王』。
『紅はいつも大人しいけど本気で怒らすと恐ろしい事になる』なんて、変な教訓がクラスメイト達に囁かれた事もあった。
でも私はこの二十年間の人生で、一度も本物の怒りを覚えた事はなかったんだと、たった今気付いた。
今、私は非常に穏やかだ。地獄に蜘蛛の糸を垂らすお釈迦様のように、穏やかな気持ちだ。
但しその糸には、硫酸の二千京倍強いフルオロアンチモン酸がジットリと塗りたくられている。
「金剛倶利伽羅龍王」
音声ガイダンス電話の様な抑揚のない声。
それが自分から発せられた物だと認識するまで、五秒ラグが生じた。
「何だ」
「取引をしましょう」
「取引だと?」
龍王の問いに自動音声が返答する。
「私がお前の糧になります。その代わり、巫女パク・イナに課せられた肋楔緋龍相を消し、速やかに彼女を解放しなさい」
「ヒトミちゃん!?どうしてそん…」
剣呑な雰囲気に正気を取り戻したイナちゃんが私に駆け寄る。
私の首がサブリミナル程度に彼女の方へ曲がり、即座にまた龍王を見据えた。イナちゃんはその一瞬で押し黙った。
龍王が身構える。
「影法師使い。貴様は裏切り者の従者。信用できん」
返事代わりに無言で圧。
「…ヌゥ」
私はプルパを手に掲げる。
陰影で細かい形状を隠し、それがただの肋骨であるように見せかけて。
「そ…それは!俺様の肋骨!!」
龍王が死体から身を乗り出した。
「欲しいですか」
「欲しいだと?それは本来金剛が所有する金剛の法具だ。
貴様がそれを返却するのは義務であり…」
圧。
「…なんだその目は。言っておくが…」
圧。
「…ああもう!わかった!!
どのみち楔の法力が戻れば巫女など不要だ、取引成立でいい!」
「分かりました。それでは、私が水晶像に肋骨を填めた瞬間に、巫女を解放しなさい。
一厘秒でも遅れた場合、即座に肋骨を粉砕します」
龍王は朧な半物理的霊体で水晶像を持ち上げ、私に手渡した。
像の台座下部からゴム栓を剥がすと、中は細長い空洞になっていて、人骨が入っている。
和尚様の肋骨。私はそれを引き抜き、トートバッグにしまった。
バッグを床に置いてプルパを像にかざすと、龍王も両手を差し出したイナちゃんに頭を寄せ構える。
「三つ数えましょう。一、」
「二、」
「「三!」」
カチッ。プルパが水晶像に押しこまれた瞬間、イナちゃんの両手が発光!
「オモナァッ!」
バシュン!と乾いた破裂音をたて、呪相は消滅した。
イナちゃんが衝撃で膝から崩れ落ちるように倒れ、龍王は勝利を確信して身を捩った。
「ウァーーッハハハハァ!!!やった!やったぞぉ、金剛の肋楔!
これで悪霊どもを喰らいて、俺様はついに金剛楽園アガル「オムアムリトドバヴァフムパット」
ブァグォオン!!!!
「ドポグオオォオォォオオオーーーーッ!!?!?」
この時、一体何が起きたのか。説明するまでもないだろうか。
そう。奴がイナちゃんの呪いを解いた瞬間、私はプルパを解放したのだ。
赤子の肋骨だった物は一瞬にして、刃渡り四十センチ大のグルカナイフ型エロプティックエネルギー塊に変形。
当然それは水晶像などいとも容易く粉砕する!
依代を失った龍王は地に落ち、ビタンビタンとのたうつ。
「か…かはっ…」
私はその胴体と尾びれの間を掴み、プルパを突きつけた。
「お…俺様を、騙したな…!?」
龍王は虫の息で私を睨んだ。
「騙してなどいない。私はお前の糧になると言った。
喜べ。望み通りこの肋骨プルパをお前の依代にして、一生日の当たらない体にしてやる」
「な…プルパ…!?貴様、まさか…!」
「察したか。そう、プルパは煩悩を貫く密教法具。
これにお前の炎を掛け合わせ、悪霊共を焼いて分解霧散させる」
「掛け合わせるだと…一体何を」
ズブチュ!!
「うおおおおおおおぉぉぉ!!?」
私はプルパで龍王の臀部を貫通した。
「何で!?何でそんな勿体ない事するの!?
俺様があぁ!!せっかく育てた悪霊おぉぉ!!!」
私は返事の代わりに奴の尾を引っ張り、切創部を広げた。
「ぎゃああああああ!!!」
尾から切創部にかけての肉と汚らしい炎が、影色に炭化した。
「さっき何か言いかけたな。金剛楽園…何だと?
言え。お前達の楽園の名を」
「ハァ…ハァ…そんな事、知ってどうする…?
知ったところで貴様らは何も」
グチャムリュ!!
「ぎゃああああぁぁアガルダ!アガルダアァ!!」
私は龍王の胴体を折り曲げ、プルパで更に貫通した。
奴の体の一/三が炭化した。
「なるほど、金剛楽園アガルダ…。それは何処にある」
「ゲホッオェッ!だ、だからそんなの、聞いてどうする!?」
「滅ぼす」
「狂ってる!!!」
ヌチュムチグジュゥ!!
「ほぎいぃぃぃごめんなさい!ごめんなさい!」
更に折り曲げて貫通。魚を捌く時に似た感触。
蛇なら腸や腎臓がある位置だろうか。
少しざらついたぬめりけのある粘液が溢れ、熱で固まって白く濁った。
「狂っていて何が悪いの?
お前やあの金剛愛輪珠如来を美しいと感じないよう、狂い通すんだよ」
「うァ…ヒ…ヒヒィ…卑怯者ぉ…」
「お前達金剛相手に卑怯もラッキョウもあるものか」
「……」
「……」
ゴギグリュゥ!!!
「うえぇぇえぇえええんいびいぃぃぃん!!!」
更に貫通。龍王は既に半身以上を影に飲まれている。
ようやくマシな見た目になってきた。
「苦しいか?苦しいか。もっと苦しめ。苦痛と血涙を燃料に悪霊を焼くがいい。
お前の苦しみで多くの命が救われるんだ」
「萩姫ェェェ、萩イィィーーーッ!!
俺様を助けろおぉぉーーーッ!」
すると背後からテレパシー。
<あっかんべーーーっだ!ザマーミロ、べろべろばー>
萩姫様が両中指で思いっきり瞼を引き下げて舌を出している映像付きだ。
「なあ紅さん、それ何かに似とらん?」
譲司さんとオリベちゃんが興味津々に私を取り囲んだ。
「ウアーッアッアッ!アァーーー!!」
黒々と炭��した龍王はプルパに巻きついたような形状で肉体を固定され、体から影の炎を噴き出して苦悶する。
<アスクレピオスの杖かしら。杖に蛇が巻きついてるやつ>
ジャックさんとリナも入ってくる。
「いや、中国龍だからな…。どっちかというと、あれだ。
サービスエリアによくある、ガキ向けのダサいキーホルダー」
「そんな立派な物じゃないわよ。
東南アジアの屋台で売ってる蛇バーベキューね」
「はい!」
目を覚ましたイナちゃんが、起き抜けに元気よく挙手!
「フドーミョーオーの剣!」
「「<それだ!>」」
満場一致。ていうか、そもそもこれ倶利伽羅龍王だもんね。
私は龍王の頸動脈にプルパを突きつけ、頭を鷲掴みにした。
「金剛倶利伽羅龍王」
「…ア…アァ…」
するうち影が私の体を包みこみ始める。
影と影法師使いが一つになる時、それは究極の状態、神影(ワヤン)となる。
生前萩姫様が達せられたのと同じ境地だ。
「私はお前の何だ」
「ウア…ァ…」
「私はお前の何だ!?」
ズププ!「ぐあぁぁ!!肋骨!肋骨です…」
「違う!お前は倶利伽羅龍王剣だろう!?だったら私は!?」
ズプブブ!!「わああぁぁ!!不動明王!!不動明王様ですうぅ!!!」
「そうだ」
その通り。私は金剛観世音菩薩に寵愛を賜りし神影の使者。
瞳に映る悲しき影を、邪道に歪められた霊魂やタルパ達を、業火で焼いて救済する者!
ズズッ…パァン!!!
「グウゥワアァァアアアアーーーーー!!!!」
完成、倶利伽羅龍王剣!
「私は神影不動明王。
憤怒の炎で全てを影に還す…ワヤン不動だ!」
◆◆◆
ズダダダァアン!憤怒の化身ワヤン不動、精神地獄世界一階作業場に君臨だ!
その衝撃で雷鳴にも匹敵する轟音が怪人屋敷を震撼!
私の脳内で鳴っていたシンギング・ボウルとティンシャの響きにも、荒ぶるガムランの音色が重なる。
「神影繰り(ワヤン・クリ)の時間だ」
悪霊共は、殺人鬼水家に命を絶たれ創り変えられたタルパだ。
皆一様に、悪魔じみた人喰いイタチの毛皮を霊魂に縫い付けられ、さながら古い怪奇特撮映画に登場する半人半獣の怪人といった様相になっている。
金剛愛輪珠如来が着ていた肉襦袢や、全身の皮膚が奪われていた和尚様のご遺体を想起させる。そうか。
「これが『なぶろく』とか言うふざけたエーテル法具だな」
なぶろく。亡布録。屍から霊力を奪い、服を着るように身に纏う、冒涜的ネクロスーツ!
「ウアァアァ…オカシ…オヤツクレ…」
「オカシオ…アマアァァイ、カシ…オクレ…」
悪霊共は理性を失って、ゾンビのように無限に互いが互いを貪りあっている。
「ウヮー、オカシダァア!」
一体の悪霊が私に迫る。私は風に舞う影葉のように倶利伽羅龍王剣を振り、悪霊を刺し貫いた。
ボウッ!「オヤツゥアァァァー!」
悪霊を覆う亡布録が火柱に変わり、解放された魂は分解霧散…成仏した。
着用者を失った亡布録の火柱は龍王剣に吸いこまれるように燃え移り、私達の五感が刹那的追体験に支配される。
『や…やめてくれぇー!殺すなら息子の前に俺を、ぐわぁあああああ!!!』
それは悪霊が殺された瞬間、最後の苦痛の記憶だ。
フロリダ州の小さな農村。目の前で大切な人がイタチに貪り食われる絶望感と、自らも少年殺人鬼に喉を引き千切られる激痛が、自分の記憶のように私達を苛む。
「グアァァァーーー!!!」
それによって龍王剣は更に強く燃え上がる!
「どんどんいくぞぉ!やぁーーっ!!」
「グワアァァァーーー!!」
泣き叫ぶ龍王剣を振り、ワヤン不動は憤怒のダンスを踊る。
『ママアァァァ!』『死にたくなああぁぁい!』『ジーザアァーーース!』
数多の断末魔が上がっては消え、上がっては消え、それを不動がちぎっては投げる。
「カカカカカカ!かぁーっはっはっはっはァ!!」…笑いながら。
「テベッ、テメェー!俺様が残留思念で苦しむのがそんなに楽しいかよ、
このオニババーーーッ!!!」
「カァハハハアァ!何を勘違いしているんだ。
私にもこの者共の痛みはしかと届いているぞぉ」
「じゃあどうして笑ってられるんだよォ!?」
「即ち念彼観音力よ!御仏に祈れば火もまた涼しだ!
もっともお前達は和尚様に仏罰を下される立場だがなァーーーカァーッハッハッハッハァー!!!!」
『「グガアアーーーーッ!!!」』
悪霊共と龍王剣の阿鼻叫喚が、聖なるガムランを加速する。
一方、私の肉体は龍王剣を死体に突き立てたまま静止していた。
聴覚やテレパシーを通じて皆の会話が聞こえる。
「オリベちゃん!ヒトミちゃん助けに行くヨ!」
「わんっ!わんわお!」
<そうね、イナちゃん。私が意識を転送するわ>
「加勢するぜ。俺は悪霊の海を泳いで水家本体を探す」
「ならアタシは上空からね」
「待ってくれ。オリベ。
その前に、例のアレ…弟の依頼で作ってくれたアレを貸してくれ」
<ジョージ!?あんた正気なの!?>
「俺は察知はできるけど霊能力は持っとらん、行っても居残っても役に立てん!
頼む、オリベ。俺にもそいつを処方してくれ!」
「あ?何だその便所の消臭スプレーみたいなの?
『ドッパミンお耳でポン』?」
「やだぁ、どっかの製薬会社みたいなネーミングセンスだわ」
<商品名は私じゃなくて、ジョージの弟君のアイデア。
こいつは溶解型マイクロニードルで内耳に穴を開けて脳に直接ドーピングするスマートドラッグよ>
「アイゴ!?先生そんなの使ったら死んじゃうヨ!?」
「死なん死なん!大丈夫、オリベは優秀な医療機器エンジニアや!」
「だぶかそれを作らせたお前の弟は何者だよ!?」
こちとらが幾つもの死屍累々を休み無く燃やしている傍ら、上は上で凄い事になっているみたいだ。
「俺の弟は、毎日脳を酷使する…」ポンップシュー!「…デイトレーダーやあああ!!!」
ドゴシャァーン!!二階吹き抜けの窓を突き破り、回転しながら一階に着地する赤い肉弾!
過剰脳ドーピングで覚醒した譲司さんが、生身のまま戦場に見参したんだ!
「ヴァロロロロロォ…ウルルロロァ…!
待たせたな、紅さん…ヒーロー参上やあああぁ!!!」
バグォン!ドゴォン!てんかん発作めいて舌を高速痙攣させながら、譲司さんは大気中の揺らぎを察知しピンポイントに殴る蹴る!
悪霊を構成する粒子構造が振動崩壊し、エクトプラズムが霧散!
なんて荒々しい物理的除霊術だろう!
彼の目は脳の究極活動状態、全知全脳時にのみ現れるという、玉虫色の光彩を放っていた。
「私達も行くヨ!」
テレパシーにより幽体離脱したオリベちゃんとイナちゃん、ポメラー子ちゃん、ジャックさん、リナも次々に入獄!
「みんなぁ!」
皆の熱い友情で龍王剣が更に燃え上がった。「…ギャアァァ!!」
◆◆◆
さあ、大掃除が始まるぞ。
先陣を切ったのはイナちゃん。穢れた瘴気に満ちた半幻半実空間を厚底スニーカーで翔け、浄化の雲を張り巡らさせる。
雲に巻かれた悪霊共は気を正されて、たちまち無害な虹色のハムスターに変化!
「大丈夫ヨ。あなた達はもう苦しまなくていい。
私ももう苦しまない!スリスリマスリ!」
すると前方にそそり立つ巨大霊魂あり!
それは犠牲者十人と廃工場の巨大調理器具が押し固まった集合体だ。
「オォォカァァシィィ!」
「スリスリ…アヤーッ!」
悪霊集合体に突き飛ばされた華奢なイナちゃんの幽体が、キューで弾かれたビリヤードボールのように一直線に吹き飛ぶ!
「アァ…オカシ…」「オカシダァ…」「タベル…」
うわ言を呟きながら、イナちゃんに目掛けて次々に悪霊共が飛翔していく。
しかし雲が晴れると、その方向にいたのはイナちゃんではなく…
<エレヴトーヴ、お化けちゃん達!>
ビャーーバババババ!!!強烈なサイコキネシスが悪霊共を襲う!
目が痛くなるような紫色の閃光が暗い作業場に走った!
「オカヴアァァァ…」鮮やかに分解霧散!
そこに上空から未確��飛行影体が飛来し、下部ハッチが開いた。
光がスポットラ���ト状に広がり、先程霊魂から分解霧散したエクトプラズム粒子を吸いこんでいく。
「ウーララ!これだけあれば福島中のパワースポットを復興できるわ!
神仏タルパ作り放題、ヤッホー!」
UFOを巧みに操る巨大宇宙人は、福島の平和を守るため、異星ではなく飯野町(いいのまち)から馳せ参じた、千貫森のフラットウッズモンスター!リナだ!
「アブダクショォン!」
おっと、その後方では悪霊共がすさまじい勢いで撒き上げられている!?
あれはダンプか、ブルドーザーか?荒れ狂ったバッファローか?…違う!
「ウルルルハァ!!!ドルルラァ!!」
猪突猛進する譲司さんだ!
人間重機と化して精神地獄世界を破壊していく彼の後方では、ジャックさんが空中を泳ぐように追従している。
「おいジョージ、もっと早く動けねえのか?日が暮れちまうだろ!」
「もう暮れとるやんか!これでも筋肉のリミッターはとっくに外しとるんや。
全知全脳だって所詮人間は人間やぞ!」
「バカ野郎、この脳筋!
お前に足りねえのは力じゃなくてテクニックだ、貸してみろ!」
言い終わるやいなや、ジャックさんは譲司さんに憑依。
瞬間、乱暴に暴れ回っていた人間重機はサメのようにしなやかで鋭敏な動きを得る。
「うおぉぉ!?」
急発進によるGで譲司さん自身の意識が一瞬幽体離脱しかけた。
「すっげぇぞ…肺で空気が見える、空気が触れる!ハッパよりも半端ねえ!
ジョージ、お前、いつもこんな世界で生きてたのかよ!?」
「俺も、こんな軽い力で動いたのは初めてや…フォームって大事なんやなぁ!」
「そうだぜ。ジョージ、俺が悪霊共をブチのめす。
水家を探せるか?」
「楽勝!」
加速!加速!加速ゥ!!合身した二人は悪霊共の海をモーゼの如く割って進む!!
その時、私は萩姫様からテレパシーを受信した。
<頑張るひーちゃんに、私からちょっと早いお誕生日プレゼント。
受け取りなさい!>
パシーッ!萩姫様から放たれたエロプティック法力が、イナちゃんから貰った胸のペンダントに直撃。
リングとチェーンがみるみる伸びていき、リングに書かれていた『링』のハングル文字は『견삭』に変化する。
この形は、もしかして…
「イナちゃーん!これなんて読むのー?」
私は龍王剣を振るう右手を休めないまま、左手でチェーン付きリングをフリスビーの如く投げた。すると…
「オヤツアァ!」「グワアァー!」
すわ、リングは未知の力で悪霊共を吸収、拘束していく!
そのまま進行方向の果てで待ち構えていたイナちゃんの雲へダイブ。
雲間から浄化済パステルテントウ虫が飛び去った!
「これはねぇ!キョンジャクて読むだヨー!」
イナちゃんがリングを投げ返す。リングは再び飛びながら悪霊共を吸収拘束!
無論その果てで待ち構える私は憤怒の炎。リングごと悪霊共をしかと受け止め、まとめて成仏させた。
「グガアァァーッ!さては羂索(けんじゃく)かチクショオォーーーッ!!」
龍王剣が苦痛に身を捩る。
「カハァーハハハ!紛い物の龍王でもそれくらいは知っているか。
その通り、これは不動明王が衆生をかき集める法具、羂索だな。
本物のお不動様から法力を授かった萩姫様の、ありがたい贈り物だ」
「何がありがたいだ!ありがた迷惑なん…グハアァァ!!」
悪霊収集効率が上がり、ワヤン不動は更に荒々しく炎をふるう。
「ありがとうございます、萩姫様大好き!そおおぉおい!!」
<や…やぁーだぁ、ひーちゃんったら!
嬉しいから、ポメちゃんにもあげちゃお!それ!>
パシーッ!「わきゃお!?」
エロプティック法力を受けて驚いたポメラー子ちゃんが飛び上がる。
空中で一瞬エネルギー影に包まれ、彼女の首にかかっていた鈴がベル型に、ハングル文字が『금강령』に変わった。
「それ、クムガンリョン!気を綺麗にする鈴ね!」
<その通り!密教ではガンターっていうんだよ!>
着地と共に影が晴れると、ポメちゃん自身の幽体も、密教法具バジュラに似た角が生えた神獣に変身している。
「きゃお!わっきょ、わっきょ!」
やったぁ!兄ちゃん見て見て!…とでも言っているのか。
ポメちゃんは譲司さん目掛けて突進。
チリンリンリン!とかき鳴らされたガンターが悪霊共から瘴気を祓っていく。
その瞬間を見逃す譲司さんではなかった。
「ファインプレーやん、ポメラー子…!」
彼は確かに察知した。浄化されていく悪霊共の中で、一体だけ邪なオーラを強固に纏い続ける一体のイタチを。
「見つけたか、俺を殺したクソ!」
「アッシュ兄ちゃんの仇!」
「「水家曽良…サミュエル・ミラアァァアアアア!!!!」」
二人分の魂を湛えた全知全脳者は怒髪天を衝く勢いで突進、左右の拳で殺人鬼にダブル��コークスクリュー・パンチを繰り出した!
一見他の悪霊共と変わらないそれは、吹き飛ばされて分解霧散すると思いきや…
パァン!!精神地獄世界全体に破裂音を轟かせ、亡布録の内側からみるみる巨大化していった。
あれが殺人鬼の成れの果て。多くの人々から魂を奪い、心に地獄を作り出した悪霊の王。
その業を忘れ去ってもなお、亡布録の裏側で歪に成長させられ続けた哀れな獣。
クルーアル・モンスター・アンダー・ザ・スキン…邪道怪獣アンダスキン!
「シャアァァザアアァァーーーーッ!!!」
怪獣が咆える!もはや人間の言葉すら失った畜生の咆哮だ!
私は振り回していた羂索を引き上げ、怪獣目掛けて駆け出した。
こいつを救済できるのは火力のみだあああああああ!!
「いけェーーーッ!!ワヤン不動ーーー!!」
「頑張れーーーッ!」<燃えろーーーッ!>
「「<ワヤン不動オォーーーーーッ!!!>」」
「そおおぉぉりゃああぁぁぁーーーーーー!!!!」
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食器洗いは晒
数年前から 食器洗いにスポンジを使うのを止めている
色々試したが
最近「晒」を使うようになって、これが大変使い勝手良く心地良い
蒸し布や水切り布→食器拭き→食器洗い→台拭き→雑巾
と 使い込むにつれ形を変えながら幾度も使えて大活躍
吸水性も良く すぐ乾き 衛生的
食器洗いも布で良いんだと知った時には驚いたな
余談だが 私はもう何年も前から ゴムが嫌で下着のパンツなんて履かなくて 手拭いふんどしだが わざわざ手拭いを買わなくても これも晒で良い
ボロボロになったら雑巾にできるし
因みにブラジャーなんて もう10年以上つけてなくて 持っていない(必要ないし苦しくて嫌い)が 冷えを防ぐために晒巻くのも良いかもしれないと思っている
和服にも欠かせない布ですね
*
台所周りの晒は
縫い方や縫い色で分けて 分かるようにしている
端の始末はいらない 切りっぱなしが良い
スポンジは見た目にあまり美しくないし
いつも濡れていてカビが生えやすいスポンジ置き場がどうにも嫌だったし
食器洗いに重曹や灰汁を使うと すぐにボロボロになっていて それは恐らくマイクロプラスチックを環境下に増やす一因になっていた
*
使っているのは吉田織物の吉田晒
食品にも使えて安心
好きな大きさに切って使う
因みに
食器洗いは二枚重ねにして縫い付けてある方がしっかりして使いやすいかも
普通の台所洗剤とは相性が良くないかもしれないので 重曹または
超重曹
https://www.facebook.com/super.jyuso/
超重曹は カナリアップという団体を運営している ニセコのお菓子のふじいの藤井さんに教わったものなのですが
手も荒れなくて素晴らしいです
石鹸は使ったことないけど ひどい油汚れには食器用石鹸が良いだろうか
手に入るなら灰汁は大変よく油を分解する
私は 油の多い食事はそもそもあまり摂らないが、肉類やオイルの多い食事には木の器を使う
油分が洗い残っても 程よく木の栄養になって良い
*
ついでに
フローリングのお掃除シートも晒にしてみたらこれが大層良い
溜まったホコリやチリは 掃除機で吸い取るか 土に還るものなら生ゴミ堆肥作ってる袋の中に入れる
使い捨てシートを使い捨てで捨てるのが気分良くなかったので これで晴れ晴れとしました
*
ご参考:カナリアップ(香りの害について広く知ってもらう主旨の団体)https://support-canaria.com
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酸漿
西の国から来た子宮持ちの真珠らは物忌みのため今日まで潮に触れずにいた。
真珠らが足を止めてから十六日目の、昼を過ぎた頃だった、庭木の影の傾きを感じた真珠らは帯びた色彩を乳から奪い失声症の酸漿に与えた、酸漿が鳴り始めると浜の葦は茂り、破傷風を流し始めていた。
対してメツは夕陽をナイフに集めてはため息をつきながら渚の砂に半分埋もれたレンズを祈るように刺して殺していた、それは祈りであり、愛であった。
というのも、レンズは長らく波や潮風を真珠らに運ぶ行者として奉仕していたため、ほとんどが目を開けたまま眠り続けるようになってしまった、青カビを集めようにも既に砌は過ぎており、せめて魂魄だけは身体から抜け出せるようメツはナイフを立てていた、レンズの亡骸は海辺から遠目に見えるレンズの島に届くよう、よく占って��ら流していた。
メツが五人目のレンズを流している時だった、広い浅瀬と深い橙の空の間にあるのは滲んだ血とがらんどうになったレンズばかりだと思っていたが、メツは異様なものを見た、真珠が一粒、五人目のレンズの耳の奥から転がり出てきたのだ、それは砂の上に落ち、そのまま細かく崩れて砂に溶けてしまった、メツの涙が五人目の若いレンズの頰に落ちた。
メツは一度橙の空に淡く浮かんだ星を見つめた。
こめかみの脈拍に合わせてレンズの胸にナイフを刺し、瞳が濁る瞬間を見届け、経を読み、髄液を唇に塗り、その光の偏りで流す方向を占った、入江の曲線を手のひらでなぞり、レンズの首を引いて海に入る、沖に向かってレンズを小突き、静かに流れてゆくレンズ���祈る、ゆらゆらと静かな波が時折レンズを沈める、その度に、魂魄が上か下か、どちらかにゆくのだとメツは信じていた、そして閑静のまま晩夏の砂浜を夜が包んだ。
今朝の地震は夢と重なり、不安とはまた違った濃い感傷をアジルに与えた。アジルの顔面は溶け、寝入る前の部屋の風景に赤く溶け込んでしまった、手足を動かしている感覚に反して、天井から透明の眼球をぶら下げて見る自分の身体は(もちろん、頭部はない)微動だにせず藁の中で眠り続けていた。
次に、アジルは海難事故に遭い、夜の生暖かい水面に大の字になって、修正液をこぼしたような宇宙を見ていた、死ぬかもしれない もう死んでいるのかもしれない と浮かんだまま、自らの静かな呼吸だけを聴いていた。
西瓜が流れてきて指先に当たって、そのまま遠くへ流れていった、しばらく経って、親指くらいの猫が泳いできてアジルのへそにたどり着いた、猫はへその上で形を残して溶けていった、そのまま安心して沈んだのか、アジルは目が覚めた。
暗い闇からメツは浮かび上がり、深い小豆色の虚空に生じている小さな機械を見つめていた、それにはオーブントースターのような扉がついているが埃や汚れにまみれていたそれをメツは開けようと思わなかった。
勝手に、扉が開いた、そこには灰色と赤色と白と黒が混じった粘菌があった、よく見るとそれは子猫であり、粘菌というのは溶けた子猫だった、何匹かの子猫が境界をなくして粘菌に溶けていたのだ、彼らは静かに呼吸をしていて、どこかしこリズムを違くして拍を刻んでいたので、メツは やはり何匹かの子猫が溶けたものなのだ と分かり首を引いた。
メツはトースターに手を入れて、一匹、埃で濁った水ばけつから雑巾を取り出すように、子猫を取り上げた、小さな胴から垂れている頭、さりげに在る小さな手足、頭の中心が開いて、ナァ と言った、不気味さを感じる中で洞穴に吹く風はそんな音だったとメツは思い返した。メツは粘菌の中に子猫を戻して、粘菌がついた自分の手を切り落とした、そして小さな機械の扉を足で蹴り上げるように閉じてそのまま小豆色の虚空に掠れて沈んでいった。
気付いた時、メツは上も下も分からなかった、多分背中から、上を見て沈んでいったのだと見当をつけたメツは、すでに沈んでいる下半身から背中へ、暗い液体へ体をゆだねた、後頭部、その次に耳が沈んだ、胸が、髪が、肩が、額が、目が、鎖骨が、鼻が、喉笛が、最後に唇が沈んだ、メツは沈みきったところで、大きな渦に飲み込まれて、途端にあたりは高い粘度の液体で満ち溢れたまま白い光に包まれた、どれだけ遠くを見ようとしてもどこに白があるのか分からないくらい、広くて柔らかく明るい空間、その光を受けとめるように瞼を閉じて、瞼を透かしたオレンジ色の光と、指と指の間、体の隙間に感じるねっとりとした液体の触感をただただ感じていた、めをつむったまま、メツは眠ってしまった。
メツの耳の中から真珠が落ちて、それはそのまま粉になってしまった。
アジルはまた、目覚める前に短い夢を見た、目が見えるようになる前に冷たい空気が胸に染み込んできた、そこは湖畔であった、湖に月が落ちてきたので、そこを覗くと月はそこで小さく光っていた。
アジルは冷たい水中から両手を使ってそれを掬い上げた、月は手の中を照らして、それが当たり前だった、もっと深く触れようとアジルはそれを口の中に入れた。
辺りは暗くなり、月は口の中で消え、空を見ると飲み込んだそれとは違う月が浮かんでいた、月と目があった瞬間、脊髄を抜かれた、網膜が落とされ、喉の奥は焼き潰された、アジルはその場で、消えない身体を残して死んでしまった、胸から伝わる暖かさを暗闇の中で夕陽に感じ、五人目のアジルはその場で、消えない身体を残して死んでしまった、一つ何かを思い出したが、アジルは消えない身体を残して死んでしまった。
酸漿が鳴る、それを真珠らは覗き込み、座って笑っていた。
2018年秋
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