量子怪盗
「犯罪者とはクリエイティブなアーティストなんだ。探偵なんて只の批評家に過ぎない」
プロットは西暦24世紀以降、<ソボールノスチ(精神共同体)>と<族(ゾク)>が覇を競う太陽系。
太陽系辺境にある精神の監獄から脱獄を果たした伝説の怪盗ジャン・ル・フランブールと用心棒兼監視役の戦士ミエリは、脱獄の手引きをした依頼人からの依頼を遂行する為に火星へ赴き、盗賊自身の過去を辿る過程で引き起こされた火星コロニーの革命に巻き込まれてゆく、というもの。
実態はポストヒューマン時代のガジェットを用いた華やかな怪盗冒険活劇というかピカレスクロマンというか、そんな懐かしい感じの小説。
しかしその裏にはかなり野心的な世界設定を持つ正統派のSF小説でもある。
浅く読んでも楽しめるし、深く読むと「意識をテクノロジーによって完全にエミュレートできる世界」というテーマに対するかなり長く深く興味深い思考の演繹結果が垣間見え、しかもこの読者の楽しみ方自体が盗賊好みの「小と大」の組み合わせになっている点が心憎い。
三部作らしく、続編に複成王子、因果天使(未翻訳・仮題)がある。
以下、量子怪盗と複成王子で判明した出来事の年表と世界設定。暦は地球歴を使用し、盗賊の脱獄を基点としている。
内容と時系列の精度は「大体あってる」レベルと思ってください。
!!! 超ネタバレ注意 !!!
量子怪盗・複成王子 年表
– 有史以前 –
不明:
・後の<天祐>達の萌芽となる諸概念が形成される
– オールド・アース –
???年前:
・メタヴァースにて後の火星コロニーの<ゾク>の源流に当たるゲーミング・クラン結成
量子経済機構の実験に協力した最初の<ゾク>の一派。
・<族(ゾク)>量子的絡み合い(エンタングルメント)で結合された集合的精神。太陽系規模で協調ゲームを実行している。<ソボールノスチ>と覇を競い<規約戦争>にて敗北。外太陽系(旧木星以遠)を統べている。現実を仮想化する<ソボールノスチ>に対し、自身や環境を量子化し現実自体を仮想的に扱う。太陽系内には膨大な系統の<ゾク>クランがあり、共通項はゲームマニアという点。
・ゾクの宝石量子的絡み合い状態を保存するハードウェア。これによって<ゾク>は集合的存在として束ねられている。
???年前:
・後の<開祖>の一人、魂のエンジニアがミンスクの大学で学生をしている
???年前:
・盗賊、砂漠の少年時代
???年前:
・ジャン・ル・フランブール誕生
砂漠と古い神から生まれた少年。
???年前:
・盗賊、大都市へ出る
– アップロード時代 –
???年前:
・オールド・アースにて精神のアップロード時代到来
2060年代には富裕層向けのビッグビジネスになっていた。
???年前:
・<大砲天国(ジャンナー)>建設
最初にアップロードされた<ゴーゴリ>達を保存した地下都市。
・<ゴーゴリ(死せる魂)>ソフトウェア化されアップロードされた肉体を持たない精神(AI)。テクノロジーによって実現された不死。
・<天国(ジャンナー)>アップロードされた精神が自らの設計した仮想環境で過ごす、テクノロジーによって実現された天国。
???年前:
・盗賊、大富豪向けビジネスの経営者であり実業家をしていた
???年前:
・盗賊と後の<開祖>の一人、ペレグリーニとの出会い
???年前:
・盗賊、時間加速ロンドンや時間加速パリで活動
???年前:
・盗賊、フランスのサンテ刑務所に収監
???年前:
・後の<開祖>の一人、マチェク・チェン(7歳)の<ゴーゴリ>がアップロードされた
マチェク自身は知らない。
???年前:
・ボヤン・チェン暗殺未遂事件
マチェク・チェンの父で享楽網・スターのボヤン・チェンがマチェクの眼の前で暗殺されかけた。マチェクが死の根絶を目的として家を出るきっかけ。
・享楽網(ビーミー)個人の主観自体を他者と直接共有可能にするテクノロジー。自律性を得た幼いマチェク・チェンの主観的存在が後の<天祐>の祖型となる。
???年前:
・<天国の虹の門>で起きた事件
フョードロフ主義者となったマチェク・チェンと仲間達がブラックボックス・アップロード・キャンプから<ゴーゴリ>達を救出、多数のドローンを世界中の活動家に遠隔操作させ協調攻撃を仕掛けた。解放された<ゴーゴリ>達は生きたコンピュータ・ウィルスとなって中国の深圳インフラを占領し破壊した。違法アップロードに参加していたシュエシュエ、自身をアップロードし火星の監獄に収監される。
???年前:
・後の<開祖>の一人、スマングル(11歳)がブラックボックス・アップロード・キャンプから脱走
その後中央アフリカでフョードロフ主義者のリーダーとなり現地のゴーゴリ商を一掃する。
???年前:
・盗賊、パリでペレグリーニの代理としてマチェク・チェンを調査
???年前:
・ペレグリーニ(100歳)、マチェク・チェンと接触
???年前:
・盗賊と後の<開祖>達はよく酒を飲んでいた
盗賊はハッカー達と政治談議をしておりマチェク・チェンもいた。
???年前:
・ペルホネン誕生
のちに<ゴーゴリ>がミエリによって<泉下(アリネン)>(ゴーゴリ・ライブラリ)から買われ、彼女の船の制御中枢となる。
???年前:
・<ソボールノスチ(精神共同体)>
フョードロフ主義のテクノロジーによる実現によって<県脳>内に新しいルールを持つ新しい宇宙を創造することを目的としているアップロード精神集合体。文明のアップロードを<大いなる共同事業>と呼び、「ゾク」と呼ばれる自由主義的カオス勢力と対立、<ゾク>との間における<規約戦争>勝利後、内太陽系(旧木星以内)を統べる事となる。
・フョードロフ主義西暦1900年代にロシアの思想家ニコライ・フョードロヴィッチ・フョードロフが提唱した宇宙時代におけるキリスト教的世界観。
・<県脳(グベールニャ・ブレイン)>内太陽系に複数点在する地球大のダイヤモンド製ハードウェア。太陽から汲出した炭素によって出来ている人工天体。各<開祖>がそれぞれ司り、一兆の<ゴーゴリ>を擁する<ソボールノスチ>最大級のメガストラクチャー。この時代、ダイヤモンドやサファイアは半導体素材として優秀なので<ゴーゴリ>を走らせるハードウェアの素材として一般的に用いられている。
・ソボールノスチの<開祖>7人いて序列は無し(力関係はあり)自身をコピー分岐させてコピー同士で序列をつくっている。
・マチェク・チェン支配的勢力をもつフョードロフ主義者の父。<龍達の父>。<計画>の遂行者。かつて<天祐>達を自らの精神内から解放したのとは逆に、今度は人類全体を超巨大ダイヤモンドの脳内に宿らせようとしている。
・魂のエンジニア(サーシャ)他の開祖達の要請で<花園>(無数の<ゴーゴリ>達の育成場)を営んでいる。
・ジョゼフィーヌ・ペレグリーニオールド・アースの時代から<開祖>達のパトロンのような存在であり、特にマチェク・チェンに肩入れし、援助の見返りに不死性を要求していた。オールド・アース時代、盗賊は彼女のエージェントだった。仙姑、ワシーリェフ連合に攻撃されており、魂のエンジニア、マチェク・チェンに助けを求めている。盗賊にマチェク・チェンから<神鳴石>を盗ませようとしている。
・スマングル戦士、執行者、警察官という位置付け。<龍>を殺した者。
・仙姑(シェン・クー)年長者と年少者の2人いる。歴史好きの考古学者で変わり者の叔母という立ち位置。かつて存在したあらゆる人間の住む地球のシミュレートに関心を持つ。ワシーリェフ系と同盟を組み、チェン系の歓心を買おうとし、ペレグリーニと敵対、スマングル系を恐れている。
・アントン・ワシーリェフ工作員。仙姑系と同盟関係を持ち、ペレグリーニと敵対している。
・チトラグプタ
・個々の開祖のコピー内における序列構造ツリー構造で、オリジナルに近いほど強力な権能を持つ。
・総代(プライム) – 一人しかいないオリジナル。コピー分岐された自身の<ゴーゴリ>達のメタ自我の役割を果たす。
・高次 – オリジナルから用途別に特化された、メタ自我に対しある程度の自律性を有する高精度コピー。数人いて多数のコピー分岐枝を統べる。
・下位 – メタ自我によって束ねられた劣化コピー。たくさんいる。
???年前:
・火星の監獄
犯罪者を火星のテラフォーミング・マシンに幽閉して社会への負債の返済をさせていた。囚人達の手で火星の衛星フォボスの核に微小特異点が送り込まれ人工太陽化される。
???年前:
・盗賊、<ソボールノスチ>製フォボス太陽化工場を盗む
???前:
・盗賊、<県脳>に侵入する
???年前:
・<天空のシッル>時代
地球周辺にはオニール型スペースコロニーが浮かんでいた。
<崩壊>
300年前:
・<崩壊>が起こる
空から落ちる無数のドローン、都市の崩壊、飛び去る宇宙船の群れ。大規模なデータ破壊が起き<崩壊>前のデータの大半が消失する。旧時代のルールが終わりを迎え、アップロード精神達による新時代が到来する。
2??年前:
・<ゾク>による土星都市(スープラ・シティ)建設
一つ一つの建築物が惑星程もあり土星のリングに届かんばかりに大きい。
2??年前:
・<実験>
最初の大戦の後に<ソボールノスチ>が行ったヒトの認知アーキテクチャー向上の試み。結果<龍>が生まれた。
・<龍(ドラゴン)>人間以上の存在たるべく最初の<県脳>にて生み出された、自己改変し進化する、最適化を追求するだけの存在。<開祖>達の唯一の過ち。<県脳>内、<深き時>における何千年も昔に<ソボールノスチ>史上最悪の戦争を引き起こした。<ソボールノスチ>は<龍>に対抗するため<龍>に似た存在になって行き、結果<戦闘マインド>が生まれた。<開祖>達は<龍>を破壊できず、生き残った<龍>を鎖でつなぎサンドボックスに封じ込めている。<ソボールノスチ>がヒトの認知アーキテクチャー向上を諦め、<ゴーゴリ>を何重もの仮想環境上で慎重に実行するようになったきっかけ。<県脳>とは本来<龍>を封じ込めるための檻。
・<戦闘マインド>荒ぶる怪物の鏡像。感情や共感能力などを切り離し戦闘に特化した<ゴーゴリ>。
200年前:
・盗賊、<開祖>ペレグリーニの下から逃げ出す
???年前:
・火星にて王による10億の<ゴーゴリ>による火星テラフォーミングが行われる
地球から何十億もの<ゴーゴリ>が攫われ、テラフォーミングに従事させられ王国がつくられた。
1??年前:
・<天空のシッル>が地球に墜落オニール型スペースコロニーがトルコ周辺へ墜落した。
・<シッル>「秘密」を意味する地球最後の人類都市。五つの破片区からなり、主な経済基盤は廃墟で発見されるオールド・アース時代の<ゴーゴリ>の<ソボールノスチ>への売却。<天祐>との間に人類居住環境構築と引き換えに崇拝を捧げるという契約を結び成立する。
1??年前:
・<ウブリエット(忘却の都市)>誕生
火星の王国が10億の<ゴーゴリ>達の反乱によって崩壊。その革命によって誕生した平和で自由で安全な自治都市。<結界(グヴロット)>(暗号化)システムのおかげで<ソボールノスチ>からの独立を保っている。実態は旧火星の監獄。王国時代や革命は<潜導者>による捏造の歴史。他にも兄弟姉妹都市があるらしい。
・<潜導者(クリプターク)>元火星の監獄の囚人達。<崩壊>後、混乱に乗じて監獄のパノプティコン・システムをハック。他の囚人達に対し記憶を操作、歴史を捏造し始める。<木星大爆発>の影響で元囚人達に対する記憶操作の痕跡が無くなる。火星への<ソボールノスチ>介入を防ぐ後ろ盾として<ゾク>を受け入れ<潜導者>となる。盗賊を火星から脱出させ、見返りに外世界の財宝の山分けを要求。現在はル・ロワ一人。
・ジャン・ル・ロワ火星の王(キング)。「ル・ロワ」とは英語で「ザ・キング」、王を意味する。<崩壊>前、盗賊と仕事で切磋琢磨し合った。後の<開祖>達と仕事をしていたが捕まり、火星の監獄へ投獄され、火星を離れられなくなる強迫観念を埋め込まれる。盗賊の隠した財宝を得るために火星にて盗賊の帰還を待つ、盗賊のねじれたコピー。
1??年前:
・盗賊、太陽物質汲出工場に侵入
100年前:
・<食屍鬼(グール)の夜>地球の<シッル>、夢の中で<天祐>の一人、<花のプリンス>に遭遇し、盗身手法(精神 – 物語(ミーム)変換アルゴリズム)を教えられた<ゴーゴリ>ザイバクが<シッル>にて<盗身賊の父>となる。
37年前:
・盗賊、ポール・セルニーヌとして火星へ
ジャン・ル・フランブールでいたくなくなったらしい。
・ポール・セルニーヌ
盗賊の火星における偽名。レイモンドと出会う。火星産、ターニッシュの2343年ものの古いワイン。<ウブリエット>に<記憶の宮殿>を造り、そこに数百年分の記憶と盗んだ財宝、スキルを保管した。火星の<ゾク>から<箱>を盗む。ポール・セルニーヌであった記憶を消し、<箱>を隠して火星を去る。
28年前:
・タワッドゥド誕生
<木星大爆発>
2?年前:
・<木星大爆発(スパイク)>が起こる
直前、ミエリとペルホネン、メティス(木星第16衛星)を盗む。木星跡地には大爆発が真空に残した痕跡、<コズミック・ストリング>(時空が結晶化した際に発生した長大なリング状の時空の歪み)が広がっている。この爆発の影響で<ソボールノスチ>各<県脳>に起きた政治的混乱収拾のため、各<地区脳(ラヨン・ブレイン)>に<開祖>マチェク・チェンの高次ゴーゴリがオブザーバーとして置かれることとなる。かつて木星圏には複数の都市国家があった。
・<神鳴石(カミナリ・ジュエル)><木星大爆発>の遺物にして究極のゾクの宝石。結晶化された時空によって構成されている。プランク錠の鍵。
<規約戦争>
2?年前:
・<規約戦争(プロトコル・ウォー)>が起こる
<木星大爆発>により土星系の<ゾク>が内太陽系へ移動を開始。<ソボールノスチ>と戦争に。最終的に<ゾク>の敗北に終わる。
・<ストリングの戦い>旧木星跡地における<開祖>スマングルの<戦闘マインド>率いるソボールノスチ艦隊とゾク艦隊との戦闘。<ゾク>に勝利した<戦闘マインド>は<神鳴石>を得るが、<開祖>マチェク・チェンに裏切られ奪われる。<ゾク>に捕まった<戦闘マインド>と後の火星ゾク・コロニー大長老との間にピクシルが誕生。
・火星ゾク・コロニー建設<規約戦争>に敗れ破滅的状況に陥った<ゾク>が<ウブリエット>に不可侵の聖域を要求。その際<潜導者>と取引をし、ウブリエット市民の歴史と記憶の常時書き換え技術を提供する。後にその取引を後悔し、<潜導者>の対抗勢力、<義人たち(ツァディーキム)>を創設する。
・<義人(ツァディーク)><ウブリエット>の若き理想主義者に対して火星ゾク・コロニーが技術提供する事により結成された<ウブリエット>自警団。<ウブリエット>での<潜導者>と火星ゾク・コロニー間の権力闘争における<ゾク>側のエージェント。
20年前:・<ソボールノスチ>の地球侵攻
<規約戦争>に勝利した<ソボールノスチ>は<ゾク>を遠方へ追いやり地球侵攻を開始。
・<吼怒>
<天祐>による<ソボールノスチ>への反攻
<ワイルドコード>が用いられ<ソボールノスチ>は地球に直接手が出せなくなった。
・<天祐(アウン)>テクノロジーによって具象化された神概念というミーム。幼いマチェク・チェンによってソフトウェアとして具象化された。地球環境に根付くナノテクノロジーをハードウェアとしている。
・<光の海魔(クラーケン)>一番の古株。
・<煙突の王女(プリンセス)><物語のプリンセス>。
・<緑の兵士(ソルジャー)>
・<花の貴公子(プリンス)>のちに他の天祐達が<物語のプリンス>へ帰還する中、ペルホネンとの約束を守るために物理現実に留まる。
・<荒ぶる(ワイルド)コード><天祐>の用いる自己改変し進化するナノテク兵器。<天祐>のハードウェアでもありあらゆるものを侵食する。ソボール・テクの様な複雑なテクノロジーほど侵食されやすく、<ソボールノスチ>は<ワイルドコード>に弱い。<天祐>から伝えられた<呪符>によってのみ防ぐ事が出来、<シッル>の<市政監(ムフタシブ)>のみが製法を知り、支配者層である<市政監>の力の源泉。
・<吼怒協定><ソボールノスチ>と<シッル>間の停戦協定。
・<瓢(ふくべ)><開祖>仙姑によって月を素材に造られた地球を取り巻く檻のようなメガストラクチャー。
・地球太陽系で一番ガードの固い惑星。長い間<ソボールノスチ>と<ゾク>との争いの種だった。<ワイルドコード>によって<ソボールノスチ>からの独立を維持している。
18年前:
・イジドール誕生
1?年前:
・レイモンド、<義人>のメンバーとなる
1?年前:
・盗賊、<開祖>マチェク・チェンの<開祖コード>(パスワードのようなもの)を盗もうとし捕まる
海王星近辺の<監獄>に収監される。逃走中に過去にまつわる全ての記憶を無くしている。
?年前:
・<監獄>にて<全方位背反者>誕生
「量子怪盗」
0年:
・盗賊、<ジレンマの監獄>から脱獄<開祖>ペレグリーニの計画の下、ミエリの手によって救出される。<開祖>ペレグリーニは脱獄の際盗賊の記憶を編集し、その精神の中に<全方位背反者>を隠した。
・ジャン・ル・フランブール様々な名を持ち、数世紀にわたって太陽系を股にかけ活躍する伝説的怪盗。「ル・フランブール」とは英語で「ザ・ギャンブラー」、賭博師を意味する。<天祐>の一人<花のプリンス>と融合した、テクノロジーによって実存を得たトリックスター概念ともいえる存在。
・<ウブリエット>に革命が起こりイジドールが王(キング)となる
・盗賊、<箱>と過去の記憶の一部を手に入れる
・<箱(シュレディンガー・ボックス)><開祖>スマングルが封印されている。
・<開祖>魂のエンジニア、<開祖>ペレグリーニの依頼で盗賊拘束専用ゴーゴリ<狩人>を用意<開祖>ペレグリーニの手で放たれる。
「複成王子」
?年:
・盗賊、<開祖>スマングルに変装して地球の<シッル>に降り立つ<箱>に封じられた<開祖>スマングルから<開祖コード>を盗み出し、彼に成り済ましている。
・地球の<瓢>が<開祖>仙姑と<開祖>ペレグリーニの争いの場となるそれぞれの思惑により<大砲天国>に保存されている<開祖>マチェク・チェン幼少時の<ゴーゴリ>をめぐって仙姑系陣営とペレグリーニ系陣営が戦争状態に。
・<開祖>マチェク・チェンが自ら<県脳>を地球周回軌道まで接近させ状況の制圧に乗り出す<神鳴石>起動に必要な鍵である自らの幼年期<ゴーゴリ>を欲するマチェクも加わって三つ巴に。<県脳>の質量がもたらす潮汐力によって<瓢>が崩壊。マチェクは対<天祐>用に<龍>の群れを地球に放つ。<天祐>を実行するハードウェアが<龍>達に喰われ、大陸の形状が次第に変化、黒い殻に覆われてゆく。
・<全方位背反者>、<開祖>マチェク・チェンを制圧し<開祖>ペレグリーニが<神鳴石>を手に入れる
・盗賊、<大砲天国>内の擬装宇宙船で<物語のプリンス>(幼いマチェク・チェンの<ゴーゴリ>)と「本」を携えて地球を脱出、土星圏へ向かう
・「幾夜物語」<天祐>によって保護された<シッル>の全精神を物語(ミーム)に変換した一冊の「本」。
・ミエリ、<ゾク>に救出される
・ミエリ里子に出され<オール��の雲の民>に育てられたオールト人の戦士。恋人シダンを連れ戻すために<開祖>ペレグリーニに仕えている。ミエリとシダンはオールトの部族間戦争で戦い、死を偽装して内太陽系へ旅立った。シダン、金星都市での大規模アップロードに参加し<ソボールノスチ>の<ゴーゴリ>となる。ミエリ、シダンを連れ戻すために金星の寺院にて<開祖>ペレグリーニのしもべとなる。
謎や伏線:
・ル・ロワはオールド・アース時代に分岐した盗賊のコピーの内の一人?
・ウンルーに予告状を送りつけ<神鳴石>を盗んだのはさらに別の(オリジナルの?)ジャン・ル・フランブール?
・記憶の宮殿のトリガーが引かれた時、何故盗賊とレイモンドはアトラス静者に転生しなかったのか?
・ウンルーの改変後の精神と比較するための改変前の精神はいつコピーを取ったのか?
備考:
出版社に問い合わせたところ、2016年10月現時点ではシリーズ最終作である「因果天使(仮)」翻訳版の出版予定は無いそうだ。非常に残念。
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『ユーリー・ノルシュテイン作品集2K修復版』が発売になりました。
『ユーリー・ノルシュテイン作品集2K修復版』が発売になりました。
『25日・最初の日』(1968年)、『ケルジェネツの戦い』(1971年)、『キツネとウサギ』(1973年)、『アオサギとツル』(1974年)、『霧の中のハリネズミ』(1975年)、『話の話』(1979年) が収録されています。
シネフィルイマジカのサイトではユーリー・ノルシュテイン監督からのメッセージも公開されています。「私は、遠いロシアで、ソ連時代に作られた映画が、皆さんにとって大切なものとなってくれるよう願っています。これらの映像作品の核心に、どうか入り込んでください。そうすれば、私たちの国に起こった出来事や人々の想いに感応していただけるかもしれません」(児島宏子訳/全文は→*)。
未知谷のノルシュテイン関連書も良かったら手に取ってみてください。
ユーリー・ノルシュテイン関連書
ユーリー・ノルシュテイン
みやこうせい 写真・文
A5判128頁 2,800円(税別)
ISBN4-89642-174-4 C0072
外套
ニコライ・ワシーリェヴィチ・ゴーゴリ 著 / 児島宏子 訳 / Y・ノルシュテイン 原案・跋 / F・ヤールブソヴァ 絵
四六判上製160頁 本文2色刷 2,500円(税別)
ISBN978-4-89642-263-4 C0097
金の魚 朗読CD絵本
A・プーシキン 作 / V・ナザルーク 絵 / みやこうせい 訳・解説 / 岸田今日子 日本語朗読 / ユーリー・ノルシュテイン ロシア語朗読
A5判総カラー48頁 3,000円(税別)
ISBN4-89642-092-6 C0098
金の鶏 朗読CD絵本
A・プーシキン 作 / V・ナザルーク 絵 / みやこうせい 訳・解説 / 岸田今日子 日本語朗読 / ユーリー・ノルシュテイン ロシア語朗読
A5判総カラー48頁 3,000円(税別)
ISBN4-89642-112-4 C0098
『話の話』の話
アニメーターの旅 ユーリー・ノルシュテイン
クレア・キッソン 著 / 小原信利 訳 / ユーリー・ノルシュテイン 跋
四六判上製240頁 3,000円(税別)
ISBN978-4-89642-187-3 C0074
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